(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189493
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】駆動伝達機構、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
G03G21/16 147
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098096
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 和喜
(72)【発明者】
【氏名】椎名 祐偉
【テーマコード(参考)】
2H171
【Fターム(参考)】
2H171FA04
2H171LA03
2H171LA08
2H171LA13
2H171LA18
2H171QA02
2H171QA08
2H171QB03
2H171QB32
2H171QC03
2H171SA10
2H171SA12
2H171SA19
2H171SA22
2H171SA26
(57)【要約】
【課題】第1駆動源と第2駆動源のそれぞれが別の出力部を駆動する構成で、第1駆動源の駆動力の伝達及び遮断が、第2駆動源により切り替え可能な駆動伝達機構を提供する。
【解決手段】画像形成装置に設けられる駆動伝達機構において、第1出力部と第2出力部を駆動する第1駆動源21と、第3出力部を駆動する、第1回転方向の第1回転力と第2回転方向の第2回転力を発生可能な第2駆動源41と、伝達状態と遮断状態に切り替え可能なクラッチ31と、クラッチ31の伝達状態と遮断状態を切り替える切替機構と、を有し、切替機構は、(i)第2駆動源41から第1回転力を受けると、クラッチ31を遮断状態から伝達状態に切り替え、第1回転力の第3出力部への伝達を許容する第1状態となり、(ii)第2駆動源41から第2回転力を受けると、クラッチ31を伝達状態から遮断状態に切り替え、第2回転力の第3出力部への伝達を許容する第2状態となる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に設けられる駆動伝達機構において、
第1出力部と第2出力部を駆動する第1駆動源と、
第3出力部を駆動する、第1回転方向の第1回転力と、前記第1回転方向と反対の第2回転方向の第2回転力と、を発生させることが可能な第2駆動源と、
前記第1駆動源の駆動力の前記第2出力部への伝達を許容する伝達状態と許容しない遮断状態に切り替え可能なクラッチ部材と、
前記第2駆動源から駆動力が伝達されることで、前記クラッチ部材の前記伝達状態と前記遮断状態を切り替える切替機構と、
を有し、
前記切替機構は、(i)前記第2駆動源から前記第1回転力を受けると、前記クラッチ部材を前記遮断状態から前記伝達状態に切り替え、前記第1回転力の前記第3出力部への伝達を許容する第1状態となり、(ii)前記第2駆動源から前記第2回転力を受けると、前記クラッチ部材を前記伝達状態から前記遮断状態に切り替え、前記第2回転力の前記第3出力部への伝達を許容する第2状態となることを特徴とする駆動伝達機構。
【請求項2】
前記クラッチ部材が前記伝達状態にあるとき、前記クラッチ部材を前記伝達状態から前記遮断状態に切り替えることなく、前記第2駆動源の前記第1回転力により、前記第3出力部を駆動可能であることを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達機構。
【請求項3】
前記クラッチ部材が前記遮断状態にあるとき、前記クラッチ部材を前記遮断状態から前記伝達状態に切り替えることなく、前記第2駆動源の前記第2回転力により、前記第3出力部を駆動可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の駆動伝達機構。
【請求項4】
前記切替機構は、
前記第2駆動源と前記第3出力部との間の駆動列に含まれる第1ギアと、
前記第1ギアから前記第3出力部への駆動列とは分岐して、前記第1ギアから駆動力が伝達される第2ギアと、
前記第2ギアから伝達される駆動力により移動するラックであって、前記クラッチ部材と係合しており、移動することで前記クラッチ部材の状態を変化させるラックと、
を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の駆動伝達機構。
【請求項5】
前記切替機構は、
前記第2ギアに対して回転及び変位が可能に組付けられた、前記第1ギアと噛み合い可能な第3ギアと、
前記第2ギアに対して回転及び変位が可能に組付けられた、前記第1ギアと噛み合い可能な第4ギアと、
をさらに含み、
前記第2ギアは、
前記ラックと噛み合い可能な第1歯車部と、
前記第1ギアと噛み合い可能な第2歯車部と、
を有し、
前記第1歯車部が前記ラックと噛み合い、かつ前記第2歯車部が前記第1ギアと噛み合うことで、前記第1ギアから伝達される駆動力を前記ラックへ伝達可能となる噛合位相と、
前記第2歯車部が前記第1ギアと噛み合わないことで、前記ラックへ駆動力を伝達しない非噛合位相と、
を取り得、
前記非噛合位相にあるときに、前記第3ギアと前記第4ギアのいずれかを介して前記
第1ギアの駆動力が伝達されることで、前記噛合位相へ変化することが可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の駆動伝達機構。
【請求項6】
前記第3ギアと前記第4ギアは、それぞれ、
前記第2ギアに対する回転と変位が規制され、前記第1ギアから伝達される駆動力によって前記第2ギアと一体的に移動することが可能な伝達位置と、
前記第2ギアに対する回転が許容され、前記第1ギアから伝達される駆動力によって前記第2ギアに対して回転することが可能な空転位置と、
を取り得るように、前記第2ギアに組付けられていることを特徴とする請求項5に記載の駆動伝達機構。
【請求項7】
前記切替機構は、
前記クラッチ部材を前記伝達状態から前記遮断状態へ切り替える際において、
前記空転位置にある前記第3ギアに前記第1ギアから前記第2回転力が伝達されることで、前記第3ギアが、前記空転位置から前記伝達位置へ移動し、
前記伝達位置にある前記第3ギアが、前記第2回転力を前記第2ギアに伝達することで、前記第2ギアが、前記非噛合位相から前記噛合位相に変化し、
前記噛合位相となった前記第2ギアが、前記第2回転力によって回転することで、前記第3ギアの前記第1ギアとの噛み合いが解除され、
前記第2ギアのさらなる回転により、前記第2ギアが前記噛合位相から前記非噛合位相に変化し、前記空転位置に位置する前記第4ギアが前記第1ギアと噛み合う状態となることを特徴とする請求項6に記載の駆動伝達機構。
【請求項8】
前記切替機構は、前記第2状態において、前記第2ギアが前記非噛合位相にあり、かつ、前記空転位置にある前記第4ギアが前記第1ギアから伝達される前記第2回転力により前記第2ギアに対して回転することで、前記第1ギアから前記第2ギアへの前記第2回転力の伝達を遮断しつつ、前記第1ギアから前記第3出力部への前記第2回転力の伝達を許容することを特徴とする請求項7に記載の駆動伝達機構。
【請求項9】
前記切替機構は、
前記クラッチ部材を前記遮断状態から前記伝達状態へ切り替える際において、
前記空転位置にある前記第4ギアに前記第1ギアから前記第1回転力が伝達されることで、前記第4ギアが、前記空転位置から前記伝達位置へ移動し、
前記伝達位置にある前記第4ギアが、前記第1回転力を前記第2ギアに伝達することで、前記第2ギアが、前記非噛合位相から前記噛合位相に変化し、
前記噛合位相となった前記第2ギアが、前記第1回転力によって回転することで、前記第4ギアの前記第1ギアとの噛み合いが解除され、
前記第2ギアのさらなる回転により、前記第2ギアが前記噛合位相から前記非噛合位相に変化し、前記空転位置に位置する前記第3ギアが前記第1ギアと噛み合う状態となることを特徴とする請求項6~8のいずれか1項に記載の駆動伝達機構。
【請求項10】
前記切替機構は、前記第1状態において、前記第2ギアが前記非噛合位相にあり、かつ、前記空転位置にある前記第3ギアが前記第1ギアから伝達される前記第1回転力により前記第2ギアに対して回転することで、前記第1ギアから前記第2ギアへの前記第1回転力の伝達を遮断しつつ、前記第1ギアから前記第3出力部への前記第1回転力の伝達を許容することを特徴とする請求項9に記載の駆動伝達機構。
【請求項11】
前記切替機構は、
前記第2駆動源の駆動力と前記第3出力部との間の駆動列に含まれる第1ギアと、
前記第1ギアから伝達される駆動力により移動するラックであって、前記クラッチ部
材を係合しており、移動することで前記クラッチ部材の状態を変化させるラックと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達機構。
【請求項12】
前記切替機構は、
前記ラックに対して回転及び変位が可能に組付けられた、前記第1ギアと噛み合い可能な第3ギアと、
前記ラックに対して回転及び変位が可能に組付けられた、前記第1ギアと噛み合い可能な第4ギアと、
をさらに含み、
前記第3ギアと前記第4ギアは、それぞれ、
前記ラックに対する回転と変位が規制され、前記第1ギアから伝達される駆動力によって前記ラックと一体的に移動することが可能な伝達位置と、
前記ラックに対する回転が許容され、前記第1ギアから伝達される駆動力によって前記ラックに対して回転することが可能な空転位置と、
を取り得るように、前記ラックに組付けられていることを特徴とする請求項11に記載の駆動伝達機構。
【請求項13】
前記切替機構は、前記第2状態において、前記ラックが前記第1ギアと噛み合わない状態にあり、かつ、前記空転位置にある前記第4ギアが前記第1ギアから伝達される前記第2回転力により前記ラックに対して回転することで、前記第1ギアから前記ラックへの前記第2回転力の伝達を遮断しつつ、前記第1ギアから前記第3出力部への前記第2回転力の伝達を許容することを特徴とする請求項12に記載の駆動伝達機構。
【請求項14】
前記切替機構は、前記第1状態において、前記ラックが前記第1ギアと噛み合わない状態にあり、かつ、前記空転位置にある前記第3ギアが前記第1ギアから伝達される前記第1回転力により前記ラックに対して回転することで、前記第1ギアから前記ラックへの前記第1回転力の伝達を遮断しつつ、前記第1ギアから前記第3出力部への前記第1回転力の伝達を許容することを特徴とする請求項13に記載の駆動伝達機構。
【請求項15】
前記ラックの位置を検知する検知手段をさらに有することを特徴とする請求項4~14のいずれか1項に記載の駆動伝達機構。
【請求項16】
像担持体と、
現像剤を担持する現像部材と、
請求項1~15のいずれか1項に記載の駆動伝達機構と、
を備え、
前記駆動伝達機構により、前記像担持体と前記現像部材の少なくとも一方を駆動して、前記現像剤を用いて転写材に画像形成を行う画像形成装置。
【請求項17】
前記第2出力部は、前記現像部材であり、
前記クラッチ部材の切り替えは前記転写材に画像形成を行う前後で行われることを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記第1出力部は、前記像担持体であることを特徴とする請求項17に記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記現像部材を収容する現像室と、
前記現像剤を収容する現像剤収容室と、
をさらに有し、
前記第3出力部は、前記現像剤収容室に設けられ、前記現像剤の搬送と撹拌を行う搬送
部材であり、
前記搬送部材は、前記第1回転力を受けると、前記現像剤を前記現像剤収容室から前記現像室へ搬送する方向に回転することを特徴とする請求項17又は18に記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記第1出力部、前記第2出力部と前記第3出力部は、プロセスカートリッジとして一体的に画像形成装置に対して着脱可能であることを特徴とする請求項19に記載の画像形成装置。
【請求項21】
前記搬送部材が設けられた前記現像剤収容室は、トナーカートリッジとして前記プロセスカートリッジに着脱可能であることを特徴とする請求項20に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチの切り替えを伴う駆動伝達機構と、駆動伝達機構を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置において、トナーの浪費解消及び現像ローラを長寿命化するために、感光ドラムと現像部の回転を別々に制御して現像部の回転を最小限に抑える方法が用いられている。そのような画像形成装置の現像駆動部として、電磁クラッチを用いる方法が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の技術をさらに発展させたものである。
【0005】
そこで本発明は、第1駆動源と第2駆動源のそれぞれが別の出力部を駆動する構成において、第1駆動源の駆動力の伝達及び遮断が、第2駆動源によって切り替えることができる駆動伝達機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述のような課題を解決するための本発明の駆動伝達機構は、
画像形成装置に設けられる駆動伝達機構において、
第1出力部と第2出力部を駆動する第1駆動源と、
第3出力部を駆動する、第1回転方向の第1回転力と、前記第1回転方向と反対の第2回転方向の第2回転力と、を発生させることが可能な第2駆動源と、
前記第1駆動源の駆動力の前記第2出力部への伝達を許容する伝達状態と許容しない遮断状態に切り替え可能なクラッチ部材と、
前記第2駆動源から駆動力が伝達されることで、前記クラッチ部材の前記伝達状態と前記遮断状態を切り替える切替機構と、
を有し、
前記切替機構は、(i)前記第2駆動源から前記第1回転力を受けると、前記クラッチ部材を前記遮断状態から前記伝達状態に切り替え、前記第1回転力の前記第3出力部への伝達を許容する第1状態となり、(ii)前記第2駆動源から前記第2回転力を受けると、前記クラッチ部材を前記伝達状態から前記遮断状態に切り替え、前記第2回転力の前記第3出力部への伝達を許容する第2状態となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1駆動源と第2駆動源のそれぞれが別の出力部を駆動する構成において、第1駆動源の駆動力の伝達及び遮断が、第2駆動源によって切り替えることができる駆動伝達機構を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の断面模式図である。
【
図2】第1の実施形態に係るプロセスカートリッジの駆動入力部を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る駆動ユニットの全体図である。
【
図4】第1の実施形態に係るクラッチの斜視図である。
【
図5】第1の実施形態に係るクラッチの断面図である。
【
図6】クラッチが伝達状態のときの補給駆動部の動作を示す図である。
【
図7】クラッチを切り替えるときの補給駆動部の動作を示す図である。
【
図8】クラッチが遮断状態のときの補給駆動部の動作を示す図である。
【
図9】第1の実施形態に係る動作シーケンスを示すである。
【
図10】第2の実施形態に係る補給駆動部の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施形態]
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施形態に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。
【0010】
<画像形成装置1>
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1の断面模式図である。以下、図においてX方向は水平方向、Z方向は鉛直方向をそれぞれ示す。本実施形態の画像形成装置1は、電子写真方式を用いてモノクロ画像を形成することのできる、モノクロレーザービームプリンタである。しかし、本発明の適用はこれに限られるものではなく、2色以上のカラートナーを、中間転写ベルトを介して転写材上に転写し、画像形成するタンデム方式等のカラーレーザプリンタに適用することも可能である。
【0011】
画像形成装置1は、像担持体としてドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラム3)を備えている。感光ドラム3は、OPC(有機光半導体)、アモルファスセレン、アモルファスシリコン等の感光剤料が、アルミニウムやニッケル等で形成されたシリンダ状のドラム基体上に設けられて構成されたものである。感光ドラム3は、回転自在に支持されており、駆動源によって所定のスピードで回転駆動される。感光ドラム3の周囲には、その回転方向に沿って順に、帯電部材である帯電ローラ4、現像部材である現像ローラ5、転写部材である転写ローラ6が配置されている。また、感光ドラム3の上部には露光手段であるスキャナユニット7が配置されている。感光ドラム3、帯電ローラ4、現像ローラ5は、プロセスカートリッジ8として、画像形成装置1の筐体としての本体枠2に対して一体的に着脱可能である。
【0012】
プロセスカートリッジ8は、現像ローラ5が収容される現像室63、現像剤としてのトナーが内部に収容される現像剤収容室62、現像剤を搬送するための搬送部材61をさらに備える。搬送部材61は後述する駆動源によって回転することで、現像剤収容室62から現像室63へトナーを搬送する。また、搬送部材61はトナーを搬送する方向とは反対方向にも回転可能であり、反対方向に回転することで現像剤収容室62内のトナーを攪拌し、トナー凝集を崩す。なお、本実施形態では現像剤収容室62を現像室63と一体的に構成しているが、搬送部材61を含む現像剤収容室62をトナーカートリッジとして、プロセスカートリッジ8に対して脱着可能とする構成としても良い。
【0013】
画像形成装置1は、その他の構成として、転写材Sの搬送経路に沿って順に、紙等の転写材Sを積載するカセット給紙部9、給紙ローラ10、搬送ローラ11、レジストローラ12、定着手段13、排出ローラ14、排紙トレイ15を備えている。
【0014】
次に、画像形成装置1の画像形成動作について、
図1を用いて説明する。駆動源によって回転駆動された感光ドラム3は、帯電ローラ4によって所定の極性、所定の電位に一様
に帯電される。帯電後の感光ドラム3は、その表面に対しスキャナユニット7によって画像情報に基づいた画像露光がなされ、露光部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。静電潜像は、現像ローラ5によって現像されトナー像(現像剤像)として可視化される。感光ドラム3上のトナー像は、転写ローラ6と感光ドラム3によって形成される転写ニップにおいて、転写材Sに転写される。
【0015】
転写材Sは、転写材Sを積載収納するカセット給紙部9から、給紙ローラ10によってX方向に給紙される。転写材Sは搬送ローラ11、レジストローラ12を経て、転写ニップ部に搬送される。転写ニップ部で感光ドラム3から転写材Sに転写されたトナー像は、定着手段13によって加熱定着される。定着手段13を通過した転写材Sは排出ローラ14を介して排紙トレイ15上にX方向に排出される。
【0016】
<プロセスカートリッジ8の駆動入力部>
プロセスカートリッジ8の駆動入力部について、
図2を用いて詳細に説明する。
図2は、画像形成装置1で用いるプロセスカートリッジ8の側面図であり、
図1の断面図の背面(紙面奥)方向から見た図である。
図2に示すように、プロセスカートリッジ8は、3つの駆動入力部を通じて後述する駆動ユニット20から駆動が入力される。
【0017】
第1駆動入力部16は、第1出力部としての感光ドラム3を回転駆動するための駆動入力部である。第1駆動入力部16は、駆動源である駆動モータ21の駆動及び停止に連動して駆動される。画像形成動作中、感光ドラム3は転写材Sを搬送するため、搬送開始前から回転を始め、転写材Sの搬送完了後に回転を停止する。
【0018】
第2駆動入力部17は、第2出力部としての現像ローラ5を回転駆動する駆動入力部であり、感光ドラム3の回転と別に制御できるように設けられている。つまり、画像形成動作において感光ドラム3は、転写材Sを搬送前から搬送後まで駆動するのに対し、現像ローラ5は、後述する現像切り替え機構により現像を行う期間のみ駆動するよう制御することができる。現像ローラ5の駆動時間を最小限に抑えることで、トナーの浪費解消及び現像ローラ5の長寿命化につながる。
【0019】
第3駆動入力部18は、第3出力部としての搬送部材61を回転駆動して、トナー容器から現像ローラ5にトナーの補給を行う駆動入力部である。駆動により現像ローラ5に必要な量を補給し、現像ローラ5のトナー量が適正に保たれるように、トナーの消費量に合わせて回転時間を調整する。また、トナー容器内でのトナー凝集を崩すため、搬送部材61を逆回転させる。本実施形態では、トナー容器内でのトナー凝集を崩すため逆回転としたが、低速により補給駆動モータ41のトルクが許容されるのであれば、トナー搬送を行う方向である正回転によりトナー凝集を崩しても良い。
【0020】
3つの駆動入力部には回転駆動力を伝えるカップリング形状を設けている。本実施形態では、3角形のカップリング形状としたが、駆動伝達することができれば、他のカップリン形状でも良いし、ギア駆動入力部にする構成としても良い。
【0021】
<駆動ユニット20>
次に、本装置に設けられた駆動伝達機構としての駆動ユニット20について、
図3~8を用いて説明する。
図3は、現像駆動切替部30と補給駆動部40を含む、プロセスカートリッジ8を駆動する駆動ユニット20の全体図である。第1駆動源である駆動モータ21に設けられた駆動モータピニオン22から分岐ギア23を経由して、第1駆動入力ギア24に駆動力を伝達する。第1駆動入力ギア24の先端には、プロセスカートリッジ8の第1駆動入力部16に対応したカップリング形状を設けている。第1駆動入力ギア24が第1駆動入力部16と接続することで、駆動モータ21の駆動力により感光ドラム3を駆
動することができる。
【0022】
分岐ギア23はさらに、駆動モータ21の駆動力をアイドラギア27と後述する現像駆動切替部30を経由し、第2駆動入力ギア25に伝達する。第2駆動入力ギア25の先端には、プロセスカートリッジ8の第2駆動入力部17に対応したカップリング形状を設けている。第2駆動入力ギア25が第2駆動入力部17と接続することで、駆動モータ21の駆動力により、現像ローラ5を駆動することができる。
【0023】
補給駆動部40は、第2駆動源である補給駆動モータ41に設けられた補給駆動モータピニオン42から補給駆動分岐ギア43を経由して、第3駆動入力ギア26に駆動力を伝達する。第3駆動入力ギア26の先端には、プロセスカートリッジ8の第3駆動入力部18に対応したカップリング形状を設けている。第3駆動入力ギア26が第3駆動入力部18と接続することで、補給駆動モータ41の駆動力により補給部(搬送部材61)を駆動することができる。補給駆動部40ではさらに、切替部材44を介してレバー部材38を操作することで現像駆動切替部30のクラッチ31(クラッチ部材)を切り替える。これらの動作について、詳細は後述する。
【0024】
<現像駆動切替部30>
次に、現像駆動切替部30について詳細を説明する。現像駆動切替部30には機械式クラッチとしてのクラッチ31が設けられており、クラッチ31を切り替えることで、駆動モータ21の駆動力を第2駆動入力ギア25に伝達するか、又は遮断するかを選択できる。
【0025】
図4(a)は、現像駆動切替部30のクラッチ31の分解斜視図であり、クラッチ出力ギア35を手前にして見たときの図である。
図4(b)は、現像駆動切替部30のクラッチ31の分解斜視図であり、クラッチ入力ギア32を手前にして見たときの図である。
図5(a)は、クラッチ31が駆動を伝達する伝達状態のときの断面図である。
図5(b)は、クラッチ31が駆動を伝達しない遮断状態のときの断面図である。アイドラギア27から駆動伝達されるクラッチ入力ギア32は、不図示の固定部材であるクラッチ支持軸に回転可能に支持されている。クラッチ入力ギア32の内側は大きく肉抜きされており、クラッチ入力ギア32の中心には摺動ボス32aが配置される。摺動ボス32aの内周は、クラッチ支持軸に対する位置決め及び摺動面となり、摺動ボス32aの外周は、駆動側係合部材34に対する位置決め及び摺動面となる。また、クラッチ入力ギア32の内側には4か所の回転止め32bが設けられており、駆動側係合部材34の回転止め34bと係合する。
【0026】
駆動側係合部材34は、内周面34aがクラッチ入力ギア32の摺動ボス32a外周面に摺動可能に支持される。駆動側係合部材34の外周部に設けられ回転止め34bがクラッチ入力ギア32の回転止め32bと係合する。回転止め34bと回転止め32bが係合しているため、駆動側係合部材34はクラッチ入力ギア32と一体的に回転する。一方、駆動側係合部材34には、突起34cが4か所設けられており、これが従動側のクラッチ出力ギア35の突起35aと係合すると、クラッチ出力ギア35も駆動側係合部材34と一体的に回転し、駆動力が伝達される。突起34cの駆動伝達面は、回転すると相手部品に食い込むように傾斜している。これにより、回転中にクラッチをつなげても確実に噛み合い、大きなトルクが加わっても歯飛びが生じない。また、駆動伝達面を緩やかな斜面で形成されていることにより、回転中にクラッチを接続させる時でもスムーズに駆動伝達面同士を係合することができる。駆動側係合部材34のクラッチ出力ギア35側の端面には、後述する解除部材36と回転摺動する摺動部材34dを有している。
【0027】
また、駆動側係合部材34は弾性部材としてのコイルバネ37により、常にクラッチ出
力ギア35の突起35aの方向に付勢されている。コイルバネ37と、コイルバネ37の両端に接している駆動側係合部材34とクラッチ入力ギア32は一体となって回転するため、バネの端部摺動に関する問題や巻き径が変化することに起因する動作不良は生じない。
【0028】
クラッチ出力ギア35は、内周面35bで不図示のクラッチ支持部材に係合し、回転可能に支持されている。また、クラッチ出力ギア35には突起35aが4か所設けられており、これが駆動側係合部材34の突起34cと噛み合うことで駆動力が伝達される。突起35aの駆動伝達面は、相手部品の駆動側係合部材34と同様に、部品同士が食い込む方向に傾斜しており、かつ、駆動伝達面は緩やかな斜面で接続されるように形成されている。クラッチ出力ギア35は、駆動側係合部材34を介して第2駆動入力ギア25に駆動モータ21の駆動力を伝達する。
【0029】
図5に示すように、クラッチ31は、駆動側係合部材34、クラッチ出力ギア35の突起35a及びコイルバネ37が、クラッチ入力ギア32及びクラッチ出力ギア35に内包されるように構成されている。本構成によりスペースを有効利用しているためコンパクトにして省スペース化を実現すると共に、歯面から伝えられた駆動力をそのまま内側に伝えるため、駆動側係合部材34はねじれに強く、部品強度も確保しやすいため、大きいトルクの伝達が可能となる。
【0030】
レバー部材38は、クラッチ出力ギア35に回転可能に支持される。レバー部材38は、後述する切替部材44により操作されるレバー部38aと、レバー部材38の軸方向の位置を制御するために解除部材36のカム部36aに当接するカム部38bを備える。また、カム部36a、38bは、回転中心に対して軸対称となるように複数設けられている。これにより、解除部材36が傾いたとしても、動作不良や動作抵抗の増加を防ぐことができる。
【0031】
解除部材36は、レバー部材38に係合するとともに、回転規制部36bで不図示の固定部材と係合し、固定部材により回転を規制されながら軸方向に移動可能に支持される。カム部36aは、レバー部材38のカム部38bに対応した形状となっており、カム部36aがカム部38bと当接し、さらに反対側の面の摺動部36cが駆動側係合部材34の摺動部材34dと当接することで、解除部材36の軸方向の位置が決まる。
【0032】
図5(b)に示すように、レバー部材38のカム部38bと解除部材36のカム部36aの山と山が合わさった遮断状態においては、解除部材36はクラッチ入力ギア32の方向に押し出される。すると、摺動部36cが駆動側係合部材34の摺動部材34dと当接して、コイルバネ37に反して駆動側係合部材34をクラッチ出力ギア35から引き離し、駆動力が切断された状態となる。
【0033】
一方、
図5(a)に示すように、レバー部材38のカム部38bと解除部材36のカム部36aの山と谷が合わさった伝達状態においては、解除部材36は、クラッチ出力ギア35の方向に移動する。駆動側係合部材34がコイルバネ37の弾性力により押圧され、クラッチ出力ギア35と噛み合うことで、クラッチがつながり駆動力が伝達される。各部品が係合した状態において、駆動側係合部材34と解除部材36及びレバー部材38との間に隙間が生じるように配置することにより、摺動部材34d、36cにはほとんど摺動負荷が発生せず、効率の低下がほとんど無い。なお、上記クラッチの構成は、駆動側と従動側を反対にした構成とすることも可能である。
【0034】
<補給駆動部40>
次に、補給駆動部40について詳細を説明する。補給駆動部40の駆動列は、補給駆動
モータ41(第2駆動源)、補給駆動分岐ギア43(第1ギア)、切替大ギア45(第2ギア)、第1切替小ギア46(第3ギア)、第2切替小ギア47(第4ギア)を含む。補給駆動モータ41の駆動力は、補給駆動分岐ギア43を介して、搬送部材61(第3出力部)と切替部材44(ラック)へと伝達される。
【0035】
クラッチ31の伝達状態と遮断状態を切り替えるための切替部材44は、不図示の固定部材によって支持されており、ラック部44aを介して切替大ギア45から駆動力を受けるとX方向に直線移動する。切替部材44は、クラッチ31が伝達状態とされる伝達位置と、クラッチ31が遮断状態とされる遮断位置と、の間を移動可能に構成されている。切替部材44には、レバー部材38のレバー部38aに対応した、円筒形状のボス形状44bを設けている。ボス形状44bを円筒形状にすることにより、レバー部38aがクラッチ31を中心に回転動作しても、切替部材44の直線移動を妨げることなく、摺動不良を起こさずに駆動力を伝達することができる。
【0036】
切替大ギア45は、歯車形状の2か所を切り欠いた形状のギアである。すなわち、切替大ギア45は歯車形状が設けられた2つの歯車部と、歯車部の間に位置する歯車形状が設けられていない切り欠き部(欠け歯部)45cを備える。歯車部の一方(第1歯車部45a)には、切替部材44に設けられたラック部44aに対応した歯車形状が設けられており、切替大ギア45の回転動作に連動して、切替部材44はX方向に直進運動する。もう一方の歯車部(第2歯車部45b)には、補給駆動分岐ギア43の歯車部に対応した歯車形状が設けられており、後述する切り替え動作をきっかけに、補給駆動分岐ギア43と噛み合う。すなわち、切替大ギア45は、第2歯車部45bが補給駆動分岐ギア43から伝達される駆動力を切替部材44へ伝達可能な噛合位相と、第2歯車部45bが駆動力を伝達しない非噛合位相と、を取り得る。
【0037】
また、切替大ギア45には、第1切替小ギア46と第2切替小ギア47が切替大ギア45に対して回転及び変位が可能に組付けられている。第1切替小ギア46と第2切替小ギア47はそれぞれ、切替大ギア45に対する回転と変位が規制されて切替大ギア45と一体的に移動する伝達位置と、切替大ギア45に対して回転して駆動力を伝達しない空転位置に移動する。第1切替小ギア46と第2切替小ギア47が、伝達位置と空転位置に移動することで、補給駆動モータ41の駆動力を切替部材44に伝達する状態と伝達しない状態とを切り替えることが可能である。
【0038】
以下、
図6~
図8を用いて補給駆動部40の駆動伝達機構について、特にクラッチ31の切り替えを行う切替機構について詳細を説明する。
図6は、クラッチ31が駆動を伝達する伝達状態にあるときの補給駆動部40の動作を示す図である。
図6(a)に示すように、補給駆動モータ41の駆動力が補給駆動モータピニオン42を介して補給駆動分岐ギア43を回転させることで、不図示の補給駆動軸に回転可能に支持された第3駆動入力ギア26に駆動力が伝達される。補給駆動モータ41が正回転方向(第1回転方向)に回転すると、図中に矢印で示すように補給駆動分岐ギア43の回転方向は反時計回り、第3駆動入力ギア26の回転方向が時計回りとなり、搬送部材61がトナーの搬送動作を行うための駆動力が伝達される。ここで、搬送部材61がトナーを現像剤収容室62から現像室63へと搬送する動作を行うための第1回転方向の駆動力を第1回転力とし、第1回転力を付与する補給駆動モータ41の回転方向を正回転方向(第1回転方向)とする。一方、切替部材44と第1歯車部45aが噛み合うように配置されている切替大ギア45は、クラッチ31が伝達状態のとき、第2歯車部45bが補給駆動分岐ギア43と係合せず、非噛合位相となって、第1回転力の伝達を遮断する。
【0039】
図6(b)は
図6(a)を背面から見たときの図であり、
図6(c)は
図6(b)から切替小ギアホルダカバー49を外した状態を示した図である。
図6(b)、(c)に示す
ように、補給駆動分岐ギア43から後述する第1切替小ギア46に対して第1回転力が伝達される。しかし、クラッチ31が伝達状態にあるとき、第1切替小ギア46は空転し、切替大ギア45に対して駆動力を伝達しない状態となっている。第1切替小ギア46は、不図示の補給駆動切替軸に回転可能に支持された切替小ギアホルダ48とそれに係合する切替小ギアホルダカバー49に挟持され、回転可能でかつ、ギアガイド部49a内で移動可能に支持されている。また、切替小ギアホルダ48と切替小ギアホルダカバー49は、第1切替小ギア46と同様に第2切替小ギア47も挟持している。
【0040】
さらに補給駆動部40には、切替大ギア45に当接する位置保持レバー50が設けられている。位置保持レバー50は、位置保持用バネ51から力を受けて、切替大ギア45の回転動作に規制力を与える。
図6及び
図8の状態において、第1切替小ギア46や第2切替小ギア47は空転している間、切替大ギア45は位置保持レバー50によって回転が規制され、位置が固定される。また、後述する切り替え動作時に補給駆動モータ41の駆動力が切替大ギア45に伝達されると、切替大ギア45は位置保持用バネ51と位置保持レバー50に反して、回転動作することが可能である。
【0041】
上述の通り、クラッチ31が伝達状態にあり、切替部材44が
図6の位置にあるとき、第3駆動入力ギア26等を介して搬送部材61が搬送動作を行うように補給駆動モータ41を正回転させても、補給駆動モータ41の第1回転力は切替部材44まで伝達されない。いいかえると、切替機構は、クラッチ31を伝達状態から遮断状態に切り替えることなく、補給駆動モータ41の正回転方向の駆動力(第1回転力)を搬送部材61に伝達する状態(第1状態)である。このとき、補給駆動モータ41の第1回転力によって搬送部材61が駆動される一方で、切替部材44は、クラッチ31を伝達状態にする位置(伝達位置)から移動しない。すなわち本発明の構成によれば、画像形成動作中に切替部材44によりクラッチ31を伝達状態から遮断状態に切り替えることなく、補給駆動モータ41の第1回転力により、搬送部材61を駆動してトナーを現像室63へと搬送することが可能である。つまり、クラッチ31が伝達状態に保たれた状態で、補給駆動モータ41が正回転し、搬送部材61を駆動可能である。
【0042】
次に、補給駆動部40での切り替え動作について説明する。
図7は、クラッチ31を伝達状態から遮断状態に切り替えるときの補給駆動部40の動作を示す図であり、切り替え動作の動き始めの状態を示す。また、
図8は、クラッチ31が駆動を切断した遮断状態にあるときの補給駆動部40の動作を示す図である。
図7に示すように、クラッチ31を伝達状態から遮断状態に切り替える際、補給駆動モータ41は
図6と反対の方向(第2回転方向)に回転を始める。ここで、第2回転方向の駆動力を第2回転力とする。補給駆動分岐ギア43から第2回転力を受けた第1切替小ギア46は、まず切替小ギアホルダカバー49のギアガイド部49a内の端部から他端部へと移動する。第1切替小ギア46と切替小ギアホルダカバー49間の摺動部にはグリスが塗布されており、第1切替小ギア46がギアガイド部49a内で移動せずに空転することを防いでいる。他端部に移動した第1切替小ギア46は回転し、その後、切替小ギアホルダ48のギア係止部48aに接触することで回転が規制される。第1切替小ギア46の回転が規制されることで、補給駆動分岐ギア43の第2回転力は第1切替小ギア46と係合している切替大ギア45を回転させる。切替大ギア45が回転すると、切替大ギア45の第2歯車部45bが補給駆動分岐ギア43と噛み合い、切替大ギア45は回転を続け、第1切替小ギア46と補給駆動分岐ギア43の噛み合いは解除される。切替大ギア45が回転することで、切替部材44が
図7の位置から
図8の位置まで移動し、クラッチ31が駆動力を伝達しない遮断状態に切り替わる。つまり、第1切替小ギア46が空転位置から伝達位置へ移動し、切替大ギア45が非噛合位相から噛合位相へ変位することで、切替部材44を駆動伝達位置(
図6)から駆動切断位置(
図8)に移動することが可能である。いいかえると、搬送部材61がトナーの撹拌動作を行うように、補給駆動モータ41の回転を逆回転にして駆動することで、クラッ
チ31を伝達状態から遮断状態へと切り替えることができる。
【0043】
切替大ギア45が回転移動して
図8の状態になったとき、図中矢印の方向に補給駆動分岐ギア43が回転するように補給駆動モータ41を駆動しても、第2切替小ギア47は空転する。さらに、切り欠き部45cが補給駆動分岐ギア43に対向するため、切替大ギア45に対しては駆動力が伝達されない状態となる。いいかえると、切替機構は、クラッチ31を遮断状態から伝達状態に切り替えることなく、補給駆動モータ41の逆回転方向の駆動力(第2回転力)を搬送部材61に伝達する状態(第2状態)である。このとき、補給駆動モータ41の第2回転力によって搬送部材61が駆動される一方で、切替部材44は、クラッチ31を遮断状態にする位置(遮断位置)から移動しない。すなわち、クラッチ31が遮断状態にあるときは、クラッチ31を遮断状態から伝達状態に切り替えることなく、補給駆動モータ41の第2回転力により、搬送部材61を駆動して、現像剤収容室62内のトナーを撹拌して、トナー凝集を崩すことが可能である。つまり、クラッチ31が遮断状態に保たれた状態で、補給駆動モータ41が逆回転し、搬送部材61を駆動可能である。また、クラッチ31が遮断状態にある
図8の状態から、クラッチ31が伝達状態にある
図6の状態へと切り替えるためには、補給駆動モータ41を正回転に駆動させれば良い。つまり、搬送部材61の搬送動作と撹拌動作に伴って、クラッチ31の伝達状態と遮断状態が切り替わる構成となっている。すなわち、本実施例の切替機構は(i)補給駆動モータ41の第1回転力によりクラッチ31を遮断状態から伝達状態に切り替え、第1状態となり、(ii)補給駆動モータ41の第2回転力によりクラッチ31を伝達状態から遮断状態に切り替え、第2状態となる。
【0044】
次に、画像形成動作における各部材の動作について説明する。
図9は、画像形成装置1の本実施形態に関する動作シーケンスを示す図である。画像形成動作が行われない待機状態(S0)において、各駆動源は停止しており、クラッチ31も遮断状態にある。画像形成装置1がプリント指示を受けると、まずプリントを行う準備として駆動モータ21の回転が開始され、感光ドラム3が回転する(S1)。このとき、クラッチ31は遮断状態にあるため、駆動が伝達されないプロセスカートリッジ8の現像ローラ5は回転しない。次に、カセット給紙部9から搬送される転写材Sに画像を形成するため、補給駆動モータ41を正回転して、切替部材44を動かし、クラッチ31を伝達状態へと切り替える。すると、搬送部材61によりトナーの搬送動作が行われ、さらに現像ローラ5の駆動が開始される(S2)。クラッチ31の切り替え動作が完了すると、補給駆動モータ41は回転を停止する。また、プリント動作中、現像ローラ5のトナー量が適正に保たれるように、トナーの消費量にあわせて、適宜、補給駆動モータ41は駆動(正回転)し、搬送部材61がトナーを現像室63へと搬送する(S3)。つまり、クラッチ31の切り替え動作が完了し、補給駆動モータ41が停止したのちに、再度補給駆動モータ41が正回転することができる。このとき、上述の通り、補給駆動モータ41が正回転しても、切替部材44は移動しないため、クラッチ31は伝達状態に保たれる。したがって、クラッチ31が伝達状態に保たれた状態で、補給駆動モータ41が正回転と停止を繰り返すことにより、搬送部材61を間欠的に複数回駆動することができる。画像形成終了時は、まず補給駆動モータ41を逆回転し、切替部材44を動かしてクラッチ31を遮断状態へと切り替えることで、現像ローラ5の駆動切断を行う(S4)。そして、転写材Sの搬送動作が完了し、駆動モータ21が回転を停止することで、感光ドラム3の回転が停止する(S5)。なお、クラッチ31が遮断状態にあり、現像ローラ5が停止し、感光ドラム3が駆動した状態、及び、現像ローラ5と感光ドラム3が停止した状態で、補給駆動モータ41は逆回転することができる。
【0045】
上述の通り、本実施形態においては、感光ドラム3と現像ローラ5の回転を別々に制御でき、現像ローラ5の回転時間を最小限に抑えることができる。すなわち、現像ローラ5が感光ドラム3と同一制御で同一時間回転する装置と比較して、S0からS1までの時間
と、S4からS5までの時間分だけ現像ローラ5の回転時間が短くなる。また、画像形成前後のクラッチ31の切り替え動作を伴うことなく、補給駆動モータ41を駆動して画像形成途中にトナー補給動作を行うことができるため、1つのモータで2つの動作を行うことが可能となる。さらに、クラッチ31切り替え動作は、第3駆動入力ギア26が連動して駆動される。そのため、第3駆動入力ギア26がトナー凝集等によりロックして正常に回転していない場合、切替部材44も意図した位置に移動しない。したがって、トナー凝集などによる不正常な状態を検知するためには、切替部材44の位置を検知する検知手段が1つあれば足りる。検知手段としては、例えば、モータロックを検知する必要がないため、安価なDCブラシモータを使用でき、装置のコストが抑えられる。
【0046】
以上、本発明によれば、現像ローラ5を、感光ドラム3とは別に駆動制御できるため、トナーの浪費解消や現像ローラの長寿命化を実現できる。また、現像駆動切替部30のクラッチ31には突起34c、35aが設けられているため、確実に噛み合うようにクラッチをつなげることができ、かつ、大きなトルクが加わっても歯飛びが生じない。そして、クラッチ31の駆動伝達面は緩やかな斜面で接続されるため、駆動モータ21が駆動し、駆動側係合部材34等が回転中であってもスムーズに接続することが可能となる。
【0047】
さらに、補給駆動部40は、補給駆動モータ41の正回転及び逆回転により切替部材44を移動させる機構とすることで、クラッチ31の伝達状態と遮断状態を切り替えることができる。加えて、切替部材44が移動した後も第1切替小ギア46、第2切替小ギア47が空転することで、現像ローラ5の駆動と停止を阻害することなく、トナーの搬送動作と撹拌動作が可能である。すなわち、1つの駆動源(補給駆動モータ41)によって、トナーの搬送、撹拌動作と、クラッチ31の切り替え動作をそれぞれ必要なタイミングで、互いの動作を阻害することなく行うことができるため、装置の小型化とコストダウンを可能とする。また、クラッチ部材として機械式クラッチを使用した機構であるため、電磁クラッチを使用した場合と比較して、より安価で高トルクとすることができる点でも意義がある。
【0048】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について
図10を用いて説明する。
図10は、本発明の第2の実施形態の補給駆動部40の動作を示す図である。第2の実施形態の補給駆動部と
図6に示す第1の補給駆動部と相違する点は、切り替え部のみであり、同じ構成については同一符合を用いて説明する。第2の実施形態に係る補給駆動部の駆動列は、補給駆動モータ41(第2駆動源)、切替大ギア145(第1ギア)、第1切替小ギア146(第3ギア)、不図示の第2切替小ギア(第4ギア)を含む。本実施形態の切替大ギア145は、第1の実施形態のように切り欠き部を有した歯車形状ではなく、外周全体に歯車部を有する。また、切替部材144の長手方向の一端には、第1切替小ギア146が、切替部材144に対して固定部材149のギアガイド部149a内で移動可能、かつ回転可能に設けられている。また、切替部材144の長手方向の他端には、同様に第2切替小ギアと固定部材が設けられている。
【0049】
図10(a)は、クラッチ31が伝達状態のときの図である。クラッチ31が伝達状態にあるとき、補給駆動モータ41の正回転時は、切替部材144に設けられた第1切替小ギア146は空転し、切替部材144に駆動が伝達されない。
図10(b)は、クラッチ31を伝達状態から遮断状態へと切り替える、切り替え動作開始時の図である。補給駆動モータ41を逆回転させると、第1切替小ギア146は、ギアガイド部149a内を移動し、切替部材144に設けられたギア係止部144bに係合して回転が規制される。第1切替小ギア146の回転が規制されると、補給駆動モータ41の駆動力により切替部材144が移動し、切替部材144のラック部144aと切替大ギア145の歯車部が噛み合い、切替大ギア145を介して切替部材144に駆動を伝達することができる。その後、
切替部材144が移動完了すると、第1切替小ギア146と同様に支持された不図示の第2切替小ギアが空転した状態となる。クラッチ31を遮断状態から伝達状態へと切り替えるためには、補給駆動モータ41を正回転させて、第2切替小ギアを介することで切替部材144を移動させることができる。
【0050】
切替部材144に第1切替小ギア146及び、不図示の第2切替小ギアを設けることで、切り欠き部を有する歯車を用いることなく、補給駆動モータ41の駆動力により切替部材144の移動動作を行うことができる。また、切替部材144が移動した後も第1切替小ギア146、不図示の第2切替小ギアが空転することで、現像ローラ5の動作を阻害することなく、トナーの搬送動作と撹拌動作が可能である。つまり、切替大ギア145が補給駆動分岐ギア43と連動して回転できる構成であるため、切替大ギア145を第3駆動入力ギアとして、プロセスカートリッジ8の駆動入力ギアとすることが可能となる。ひいては、第1の実施形態と比較して補給駆動部の小型化が実現でき、かつ、切替大ギア145と第3駆動入力ギアを同一部品とできるためコストダウンにつながる。
【0051】
以上、本発明を具体的な実施形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、プロセスカートリッジ8は、1つのプロセスカートリッジ8に3つの駆動入力部で駆動が入力されるとしたが、プロセスカートリッジ8が複数のカートリッジに分割される構成においても、同様の効果を得られる。また、本実施例では搬送部材61を駆動する補給駆動モータ41をクラッチ31の切り替え動作に使用したが、他の出力部や駆動源を使用して、1つの駆動源でタイミングを分けて2つの動作を行うことができるような機構とすれば、同様の効果が得られる。具体例として、クラッチ部材によって切り替える対象は感光ドラム3と現像ローラ5の当接離間動作であってもよい。または、搬送部材61の代わりに、転写材を給紙ローラ10に押し付けるリフタ等を補給駆動モータ41によって駆動させるような機構でも同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0052】
3…感光ドラム(第1出力部)、5…現像部材(第2出力部)、21…駆動モータ(第1駆動源)、31…クラッチ、41…補給駆動モータ(第2駆動源)、61…搬送部材(第3出力部)