(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018950
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】診療装置
(51)【国際特許分類】
A61B 90/30 20160101AFI20220120BHJP
A61C 19/00 20060101ALI20220120BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
A61B90/30
A61C19/00 E
A61L2/10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020122412
(22)【出願日】2020-07-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000141598
【氏名又は名称】株式会社吉田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 通三
(72)【発明者】
【氏名】川原 恒夫
【テーマコード(参考)】
4C052
4C058
【Fターム(参考)】
4C052AA01
4C052LL04
4C058AA13
4C058AA28
4C058BB06
4C058CC05
4C058DD01
4C058DD02
4C058DD05
4C058DD13
4C058DD16
4C058KK02
4C058KK21
(57)【要約】
【課題】治療中の感染患者からの飛散した飛散物、あるいは、治療前後の診療器具に付着した飛散物に対して人体に安全な遠紫外線C波を使って殺菌することができる診療装置を提供すること。
【解決手段】診療装置Sは、少なくとも診療椅子11と、診療用無影灯2と、を有している。診療装置Sは、波長が190nm乃至230nmのいずれかの波長の、または、前記いずれかの波長を含む遠紫外線C波発生手段4を備えている。遠紫外線C波発生手段4は、診療用無影灯2と一体的に設置、または、診療用無影灯2の近傍に設置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診療椅子と、診療用無影灯と、を有する診療装置であって、
波長が190nm乃至230nmのいずれかの波長の、または、前記いずれかの波長を含む遠紫外線C波発生手段を備え、
前記遠紫外線C波発生手段は、前記診療用無影灯と一体的に、または、前記診療用無影灯の近傍に設けられていること
を特徴とする診療装置。
【請求項2】
前記診療用無影灯は、
通常診療時に通常照明照射のみを行う通常診療モードと、
感染あるいは感染の疑いのある患者に対して、通常照明照射と同時に遠紫外線C波照射の同時照射を可能にする遠紫外線C波診療モードと、
を切換可能なモード切換手段を備えていること
を特徴とする請求項1記載の診療装置。
【請求項3】
前記遠紫外線C波発生手段は、遠紫外線C波照射領域を可変可能な遠紫外線C波照射野可変手段を備えていること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の診療装置。
【請求項4】
前記遠紫外線C波発生手段は、照射する方向を角度調整することが可能な遠紫外線C波照射角度調整機構を備えていること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の診療装置。
【請求項5】
前記診療装置は、歯科用診療装置であって、
前記遠紫外線C波診療モード時において、
前記診療用無影灯の照射野を診察時に所定の患者の口腔領域に位置付したときに、前記遠紫外線C波発生手段は、少なくとも患者の口腔及び鼻孔を照射可能な照射野を有していること
を特徴とする請求項2に記載の診療装置。
【請求項6】
前記診療用無影灯は、サーモカメラを備え、
前記診療装置は、患者の体温が予め設定された所定の体温を超えた場合に報知する報知手段を備え、
前記モード切換手段は、患者の体温が予め設定された所定の体温を超えた場合に、自動的に前記遠紫外線C波診療モードを選択すること
を特徴とする請求項2または請求項5に記載の診療装置。
【請求項7】
前記モード切換手段は、更に診療前後に前記診療用無影灯が具備された診療装置の所望の診療器具に遠紫外線C波照射のみを照射可能にする診療器具殺菌モードを有していること
を特徴とする請求項2または請求項5に記載の診療装置。
【請求項8】
前記診療用無影灯または前記診療椅子は、患者の有無を検知する患者検知センサを備え、
前記モード切換手段は、前記遠紫外線C波診療モードと前記診療器具殺菌モードとを自動判別可能にし、前記遠紫外線C波診療モードであっても、前記患者検知センサが患者を検知しない場合は前記診療器具殺菌モードに切り換えること
を特徴とした請求項7に記載の診療装置。
【請求項9】
前記診療用無影灯または前記診療椅子に患者の有無を検知する患者検知センサを備え、
前記モード切換手段は、前記遠紫外線C波診療モードと前記診療器具殺菌モードとを自動判別可能にし、前記遠紫外線C波診療モードであっても、前記患者検知センサが患者を検知しない場合は予め設定された所定の時間経過後に、前記診療器具殺菌モードに切り換えること
を特徴とした請求項7に記載の診療装置。
【請求項10】
前記診療器具殺菌モードにおいて、前記遠紫外線C波発生手段の照射時間を予め設定可能な遠紫外線C波の照射時間設定手段を備えていること
を特徴とした請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の診療装置。
【請求項11】
前記診療器具殺菌モード時において、前記患者検知センサが患者を検知した場合は、前記診療器具殺菌モードでの遠紫外線C波の照射をできないようにしたこと
を特徴とした請求項8または請求項9に記載の診療装置。
【請求項12】
患者の口腔と術者の顔面との間の空間の所定位置に配置され、術者から患者の口腔を目視可能な、飛沫の飛散を防止するための飛沫飛散防止手段を備え、
前記飛沫飛散防止手段は、遠紫外線C波が透過可能な透明な材質から成る遮蔽板で構成され、前記診療用無影灯に搭載された前記遠紫外線C波発生手段から発生する紫外線を前記遮蔽板を通して患者に照射可能にしたこと
を特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の診療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の患部を照明する診療用無影灯を備えた診療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯科、耳鼻科等の治療を行う場合には、患者の患部を照明する診療用無影灯が使用されている(例えば、特許文献1参照)。この他、その診療用無影灯には、ウイルスや細菌を殺菌する殺菌灯を取り付けたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献2に記載の無影灯は、無影灯用ランプ(3)の反射ミラー(2)の後側に殺菌灯(10)を設置している。昼間の診療中は、殺菌灯(10)で天井を照らすようにして天井付近を浮遊している菌を滅菌している。夜間等の休診中は、無影灯(1)の向きを上側に反転させて、殺菌灯(10)を下向きにして床面等に付着している菌を滅菌している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-130333号公報
【特許文献2】実開平5-20717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2に記載された無影灯は、昼間の診療中に天井を照らして滅菌し、夜間等の休診中に床面を照らして滅菌するため、治療中の感染患者から飛散して診療器具に付着した飛散物を殺菌することができなかった。
【0006】
そこで、本発明は、そのような問題点を解消すべく発明されたものであって、治療中の感染患者からの飛散した飛散物、あるいは、治療前後の診療器具に付着した飛散物に対して殺菌することができる診療装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、診療椅子と、診療用無影灯と、を有する診療装置であって、波長が190nm乃至230nmのいずれかの波長の、または、前記いずれかの波長を含む遠紫外線C波発生手段を備え、前記遠紫外線C波発生手段は、前記診療用無影灯と一体的に、または、前記診療用無影灯の近傍に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、治療中の感染患者からの飛散した飛散物、あるいは、治療前後の診療器具に付着した飛散物に対して殺菌することができる診療装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る診療装置の一例を示す概略斜視図である。
【
図3】遠紫外線C波発生手段の構造を示す説明図である。
【
図4A】ダブル誘電体方式の遠紫外線C波発生の原理を示す説明図である。
【
図4B】遠紫外線C波の相対強度を示すグラフである。
【
図5A】シングル誘電体方式の遠紫外線C波発生の原理を示す説明図である。
【
図6】遠紫外線C波配光パターン(照射野)及び照明光の配光パターン(照射野)を示す説明図ある。
【
図7】診療用無影灯の照射野を診察時に所定の患者の口腔領域に位置付けしたときの状態を示す歯科用治療ユニットの斜視図である。
【
図8】診療器具を殺菌する際の遠紫外線C波の配光パターン(照射野)と、照明光の配光パターン(照射野)とを示す説明図である。
【
図9A】(a)は通常診療モード(通常照明)のタイミングチャート、(b)はサーモカメラが所定体温を超えたことを検知したときのタイミングチャート、(c)は遠紫外線C波診療モード(通常照明+遠紫外線C波照射)のタイミングチャートである。
【
図9B】(a)は遠紫外線C波診療モード(通常照明+遠紫外線C波照射)のタイミングチャート、(b)は患者検知センサのタイミングチャート、(c)は診療器具殺菌モード(遠紫外線C波照射)のタイミングチャートである。
【
図10】本発明の実施形態に係る診療装置の第1変形例を示す図であり、遠紫外線C波発生手段の構造を示す概略図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る診療装置の第2変形例を示す図であり、診療用無影灯を示す概略斜視図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る診療装置の第3変形例を示す図であり、遠紫外線C波発生手段の設置状態を示す概略正面図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る診療装置の第4変形例を示す図であり、遠紫外線C波発生手段の設置状態を示す概略正面図である。
【
図14】は、本発明の実施形態に係る診療装置の5変形例を示す図であり、歯科用治療ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、
図1~
図9Bを参照して本発明の実施形態に係る診療装置Sの一例を説明する。
なお、便宜上、前後、左右、上下は、
図1に示す診療用無影灯2の向いている方向を正面(前)として基準とする。また、なお、以下の説明において、同一の構成のものは、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0011】
<診療装置>
図1に示す診療装置Sは、歯科、耳鼻科、眼科等の医療の診断・治療を行うのに使用される装置である。診療装置Sは、例えば、鼻、眼、口腔Ma(
図6参照)等を診療部位とする医療に主に使用される。診療装置Sは、少なくとも、患者M(
図6参照)が着座する診療椅子11と、患者Mの口腔Maを明るく照らすための診療用無影灯2と、を有している。
なお、診療装置Sは、医療の診断、治療を行う装置であればよく、使用用途、設置場所等は特に限定されない。以下、診療装置Sの一例として、診療用無影灯2を備えた歯科用診療装置100によって、患者Mの口腔Ma(
図6参照)内を治療する場合を例に挙げて説明する。
【0012】
<歯科用診療装置>
図1に示すように、歯科用診療装置100は、歯科用治療ユニット1と、スマートフォン6と、を備えて構成されている。
スマートフォン6は、診療用無影灯2を後記する通常診療モードと、遠紫外線C波診療モードと、診療器具殺菌モードと、に切換可能なモード切換手段61としての機能を有している。
【0013】
<歯科用治療ユニット>
歯科用治療ユニット1は、診療椅子11と、診察台10と、診察台10に立設された支柱12と、支柱12の上部に軸支されたアーム13と、アーム13の先端部に取り付けた診療用無影灯2と、ドクターテーブル5と、ドクター用インスツルメントハンガ15と、アシスタント用インスツルメントハンガ16と、モード切換手段26,51,61と、サーモカメラ27と、患者検知センサ14,28と、表示部25と、表示装置(図示省略)と、を備えている。歯科用治療ユニット1は、診察台10、支柱12、アーム13、診療用無影灯2及びドクターテーブル5を有するものであればよく、型式、種類等は特に限定されない。
【0014】
<診察台>
図1に示すように、診察台10は、支柱12を有するものであればよく、形状、構造等は特に限定されるものではない。
【0015】
<診療椅子>
診療椅子11は、患者M(
図6参照)が診療時に着座する医療用椅子である。診療椅子11は、基台となるベース部11aと、患者Mが着座する座部11bと、患者Mの背部を支えて患者Mを所定の診療体位に保持するバックレスト11cと、患者Mの頭部を支えるヘッドレスト11dと、患者Mの肘を支えるアームレスト11eと、を有している(
図6参照)。
【0016】
ベース部11aには、診療椅子11の他に、診察台10と、ドクターテーブル5と、ドクター用インスツルメントハンガ15と、アシスタント用インスツルメントハンガ16と、が設けられている。
座部11bまたはバックレスト11cには、患者M(
図6参照)の有無を検知する患者検知センサ14が設けられている。
【0017】
<患者検知センサ>
図1または
図2に示す患者検知センサ14,28は、患者Mの有無を検出するためのセンサである。
図1に示す患者検知センサ14は、患者Mが診療椅子11に着座したときに、患者Mの体重によって診療椅子11やヘッドレスト11dが押される押圧力を検出する圧力センサや、患者Mの体重で押されてONする着座スイッチ等から成る。また、
図2に示す患者検知センサ28は、診療用無影灯2に設けられて、患者Mが発する人体赤外線を感知するセンサや、光反射型センサ等から成る。
患者検知センサ14は、
図1に示すように、診療椅子11の座部11bあるいはバックレスト11cに設けられている。
患者検知センサ28は、
図2に示すように、診療用無影灯2に設けられている。
【0018】
支柱12は、アーム13の基端部を回転可能に支持する柱部材である。支柱12は、例えば、電源等と診療用無影灯2とを電気的に接続するハーネス(図示省略)を挿通した円筒形状の金属製部材によって形成されている。支柱12の上部には、アーム13の基端部が回動可能に設置されている。
【0019】
アーム13は、支柱12から診療用無影灯2に延びて配置されて、所定以上の力(予め設定された回転方向の任意の力)を移動方向に加えることで、診療用無影灯2を上下前後左右方向に移動可能に弾性支持する支持力を有するバランスアームから成る。アーム13は、複数の関節を有する多関節アームから成る。アーム13は、支柱12に軸支された第1アーム13aと、第1アーム13aの先端側に配置された第2アーム13bと、第1アーム13a及び第2アーム13b内に配線されたハーネス(図示省略)と、第1アーム13aと第2アーム13bとの間に設けられたジョイント部13cと、第2アーム13bの先端の設けられた接続部13dと、を備えて成る。なお、アーム13の構成等は、適宜変更してよい。
【0020】
<診療用無影灯>
図1及び
図2に示すように、診療用無影灯2は、患者M(
図6参照)の口腔Ma内、被検査歯(歯牙)、根管内等の被写体を明るく照らすための照明装置である。
図2に示すように、診療用無影灯2は、筐体21と、ジョイント部22と、左右の把持部23と、反射ミラー24と、表示部25と、モード切換手段26と、サーモカメラ27と、患者検知センサ28と、照射スイッチ29と、複数(例えば、4つ)の照明用光源3と、遠紫外線C波発生手段4と、を備えて成る。また、診療用無影灯2は、通常診療モードと、遠紫外線C波診療モードと、診療器具殺菌モードと、の3種類のモードを有している。
【0021】
<通常診療モード>
通常診療モードは、通常診療時に、患者M(
図6参照)等に対して照明用光源3による通常照明照射のみを行うモードである。
【0022】
<遠紫外線C波診療モード>
遠紫外線C波診療モードは、感染あるいは感染の疑いのある患者M(
図6参照)に対して、照明用光源3による通常照明照射と、この通常照明照射と同時に遠紫外線C波発生手段4による遠紫外線C波照射を行うモードである。歯科用診療装置100は、遠紫外線C波診療モードを有していることで、特に、ウイルスや細菌の感染の疑いがある患者Mの場合、診療中に人体に無害な遠紫外線C波の照射が可能なので、術者や補助者が感染するのを防止することができる。
【0023】
<診療器具殺菌モード>
図1に示すように、診療器具殺菌モードは、更に診療前後に前記診療用無影灯2が具備された診療装置Sの所望の診療器具等に遠紫外線C波照射のみを行うモードである。このため、歯科用診療装置100は、診療時の前後に患者Mからの飛散物が付着する可能性がある診療器具に対して殺菌消毒が可能となるので、術者、補助者、他の患者Mに対しての感染を防止することが可能となる(
図8参照)。
【0024】
また、紫外線は、見えない。このため、診療器具を殺菌する際に、始めに、モード切換手段26は、遠紫外線C波診療モードにして照明用光源3の照明光の照射野P1で殺菌位置を目視で確認した後、診療器具殺菌モードに切り換えて、診療器具を殺菌することが好ましい。
【0025】
ここで、診療器具とは、
図1に示す診療椅子11のヘッドレスト11dと、バックレスト11cと、アームレスト11eと、術者が使用するドクター用インスツルメントハンガ15と、補助者が使用するアシスタント用インスツルメントハンガ16と、ドクターテーブル5(診療テーブル)と、操作パネル54と、操作スイッチ(図示省略)等が含まれる。
【0026】
<筐体>
筐体21は、診療用無影灯2のケース本体である。筐体21は、略お椀型をしている。筐体21の前面には、反射ミラー24、照明用光源3及び遠紫外線C波発生手段4が設けられている。筐体21の後部には、ジョイント部22が設けられている。筐体21の左右側面には、把持部23が突設されている。筐体21には、多数の接続端子を有する電気接続部(図示省略)が設けられている。
【0027】
<ジョイント部>
ジョイント部22は、筐体21をアーム13の接続部13dに対して上下左右方向に回動自在に連結する自在接手を構成する連結部材である。ジョイント部22は、基端部が接続部13dに連結され、先端部が筐体21の後面の左右に連結されている。このため、筐体21の前面に配置された照明用光源3及び遠紫外線C波発生手段4は、照射する方向を自由に変えることが可能になっている。
【0028】
<把持部>
図2に示すように把持部23は、照明用光源3または遠紫外線C波発生手段4を照射するとき、あるいは、筐体21をアーム13に着脱したり、筐体21の向きを調整したりするときに、持ち手となる部材である。把持部23は、略U字状に形成された略棒状の部材から成る。右側の把持部23の上側には、表示部25が取り付けられている。右側の把持部23の下側には、モード切換手段26が取り付けられている。左側の把持部23の下側には、サーモカメラ27と患者検知センサ28とが取り付けられている。
【0029】
<モード切換手段>
モード切換手段26,51,61は、診療用無影灯2のモードを通常診療モードと、遠紫外線C波診療モードと、診療器具殺菌モードと、に切り換える切換スイッチ(モード選択スイッチ)である。つまり、モード切換手段26,51,61は、患者M(
図6参照)が健常者である場合に使用する通常診療モードと、患者Mがウイルス感染の疑いがある場合に使用する遠紫外線C波診療モードと、診療器具を殺菌する診療器具殺菌モードと、を有する。このため、モード切換手段26,51,61は、診療用無影灯2の使用時に遠紫外線C波を照射するか否かの選択が可能である。
なお、三つのモード切換手段26,51,61は、少なくともどれか一つあればよく、どれか一つであっても、複数であってもよい。
【0030】
図9Aに示すように、モード切換手段26,51,61は、サーモカメラ27で患者M(
図6参照)の体温が予め設定された所定の体温(患者Mの体温が平熱よりも高い体温、あるいは、例えば、37.5度)を超えたことを検出した場合に、サーモカメラ27からの検出信号に基づく制御装置(図示省略)からの駆動信号によって自動的に通常診療モードから遠紫外線C波診療モードに切り換えるように構成されている。
【0031】
また、
図9Bに示すように、モード切換手段26,51,61は、遠紫外線C波診療モードと診療器具殺菌モードとを自動判別可能にし、遠紫外線C波診療モードであっても、患者検知センサ14,33が患者M(
図6参照)を検知しない場合は予め設定された所定時間t1経過後に、診療器具殺菌モードに切り換えて、設定された遠紫外線C波を所定時間t2照射する。
【0032】
図2に示すように、モード切換手段26は、診療用無影灯2の把持部23の下端部に設けられた切換スイッチから成る。モード切換手段26は、その切換機構は特に限定されず、例えば、ロータリー方式でも、モーメンタリー方式でもよい。
なお、モード切換手段26がモーメンタリー方式の場合は、モード切換手段26のスイッチボタンを押している時だけONになり、スイッチボタンから手を離すと自動復帰(OFF状態に戻る)する動作方式なので、どのモードになっているか判るように、診療用無影灯2やドクターテーブル5に表示部25,55を設けてモードを表示する表示機能を設けることが望ましい。
【0033】
<モードの自動判別機能>
図9Aのように患者Mの体温によって通常診療モードと遠紫外線C波診療モードを切り換えたり、
図9Bのように患者Mの検知によって遠紫外線C波診療モードと診療器具殺菌モードを切り換えたりするモードの自動判別機能を設ける場合、モード切換手段26,51,61は、ロータリー方式ではなく、モーメンタリー方式のスイッチを使用し、診療用無影灯2やドクターテーブル5に設けた表示部25,55にモードの状態を表示することが望ましい。
【0034】
例えば、歯科用診療装置100の電源が投入された状態では、表示部25,55に通常診療モードと表示され、モード切換手段26,51,61のスイッチを1回押すと遠紫外線C波診療モードに切り換わり、遠紫外線C波診療モードと表示され、更にもう1回押すと診療器具殺菌モードに切り換わり診療器具殺菌モードと表示される。モード表示は、表示名を変えてもよいし、文字でなく色や記号で表示してもよい。
【0035】
ここで
図9Aのように通常診療モード時に、体温が所定の体温より高い患者Mが診療椅子11に着座した場合は、モードは遠紫外線C波診療モードに切り換わり、表示部25,55に遠紫外線C波診療モードと表示される。
【0036】
また、
図9Bのように、遠紫外線C波診療モード時に患者Mがいない場合は、所定時間t1後に診療器具殺菌モードに切り換わり、表示部25,55には、診療器具殺菌モードと表示される。このとき、所定時間t1の間、診療用無影灯2は点灯している。
【0037】
診療用無影灯2が点灯している間に、殺菌したい診療器具に診療用無影灯2の照射野P1を位置付けすることで、目に見えない遠紫外線C波の照射野P2を殺菌したい診療器具に照射することができる(
図8参照)。その後、予め設定してある時間t2の間、遠紫外線C波発生手段4は、遠紫外線C波を照射し自動的に照射は停止する。
【0038】
また、診療器具殺菌モード時に、患者Mが診療椅子11に着座して患者Mを検出した場合は、診療器具殺菌モードでの照射を停止する。この場合、患者Mの体温が所定の体温を超えていない場合は表示部25,55に通常診療モードと表示して、通常診療モードに切り換えたり、患者Mの体温が所定の体温を超えている場合は、表示部25,55に遠紫外線C波診療モードと表示し、遠紫外線C波診療モードに切り換えてもよい。
【0039】
さらに、診療器具殺菌モード時に、患者Mが診療椅子11に着座しないように、新たな患者Mが診療椅子11に着座する場合は、通常診療モードになるようにしてもよい。
通常、歯科用診療装置100では、患者導入時や退出時に、診療椅子11を患者Mが導入、あるいは、退出し易いように最も低い位置に移動するためのリセットスイッチ(図示しない)が診療椅子11やドクターテーブル5に用意されている。
このリセットスイッチに連動してリセットスイッチが押されたときは、通常診療モードになるようにしてもよい。また、歯科用診療装置100の電源が投入されたときは、通常診療モードになるようにしてもよい。
【0040】
図1に示すように、モード切換手段51は、ドクターテーブル5の操作パネル54に設けられたタッチスイッチから成る。
モード切換手段61は、スマートフォン6の操作画面に設けられている。
【0041】
<サーモカメラ>
サーモカメラ27は、被撮影体である患者M(
図6参照)から出ている赤外線放射エネルギーを検出して可視化し、表示部25,55に温度測定、温度計測及び温度分布の画像表示を行なう赤外線カメラ装置である。このため、サーモカメラ27は、非接触で発熱者を検知が可能であり、術者の二次感染のリスクを防止するのに役立つ。
【0042】
<表示部>
前記したように表示部25,55は、診療用無影灯2の現在のモードが通常診療モードと、遠紫外線C波診療モード、診療器具殺菌モードとの三つのうちのどれであるかを表示する表示器である。表示部25,55は、例えば、液晶表示装置、あるいは、LED表示装置から成る。
【0043】
<照射スイッチ>
照射スイッチ29は、診療用無影灯2を点灯、消灯するためのスイッチである。照射スイッチ29は、例えば、筐体21の中央部下面に設置されている。照射スイッチ29は、手をかざすことで、照明用光源3(遠紫外線C波の照射を含む)の駆動制御を行う非接触スイッチ(近接センサ)から成る。照射スイッチ29は、メカニカルなトグルスイッチであってもよい。また、照射スイッチ29は、ドクターテーブル5の操作パネル54からの操作でON,OFFするスイッチであってもよい。
【0044】
<照明用光源>
図2に示す照明用光源3は、例えば、ランプあるいはLEDの後ろ側に反射ミラー用の拡散板を設置し、面光源として影を生じないように被写体の周囲に所望の照射野(光パターン)を設ける無影灯から成る(例えば、特開2014-53164号公報参照)。照明用光源3は、不図示の支持体を介して支持部に、回動機構によって回動自在に取り付けられている。このため、照明用光源3によって照明される照明位置は、自由に調整することができるようになっている。歯科用の通常照明光の照明用光源3は、一般に、色温度3600°K~6000°K(ケルビン温度)の白色光が使用されている。照明用光源3は、診療用無影灯2に遠紫外線C波発生手段4と一体に構成する場合は、通常照明の中央に遠紫外線C波発生手段4を設け直接集光手段を用いて患者M(
図6参照)に照射するようにする。
なお、照明用光源3は、無影灯であればよく、影が生じないように複数のLEDを設け、前方に照射野形状のスリット及びレンズを配置して照射野を設けた周知の無影灯であってもよい。
【0045】
<遠紫外線C波発生手段>
遠紫外線C波発生手段4は、波長が190nm乃至230nmのいずれかの波長の、または、前記いずれかの波長を含む遠紫外線C波を発生する装置である。遠紫外線C波発生手段4は、照明用光源3がある診療用無影灯2に一体的に設けられている。このため、遠紫外線C波発生手段4は、治療中の感染した患者M(
図6参照)からの飛散あるいは治療前後の診療器具に付着した飛散物に対して、皮膚の細胞を透過せず、人体に無害な遠紫外線C波を使って殺菌することが可能になる。遠紫外線C波発生手段4のその波長域を発光する発光源には、エキシマランプ41と、紫外線LEDとがあるが、以下、エキシマランプ41を使用した場合の一例を説明する。
【0046】
また、
図6に示すように、遠紫外線C波診療モード時において、診療用無影灯2(
図2参照)の照射野P1(光の照射パターン)を診察時に所定の患者Mの口腔領域に位置付したときに、遠紫外線C波発生手段4は、少なくとも飛散物の発生源である患者Mの口腔Ma及び鼻孔Mbに遠紫外線C波を照射可能な照射野P2を有している。
【0047】
照射野P1は、患者Mの口腔領域全体を網羅可能なように位置付けしたときに、所定の大きさの長方形の照射パターンを有しており、このとき、照明用光源3と口腔領域までの距離がL1になるように予め定められている。
また、遠紫外線C波発生手段4の照射野P2は、照明用光源3と口腔領域までの距離がL1で、照射野P1を患者Mの口腔全体を網羅可能な位置に位置付けしたときに、患者Mの口腔Ma及び鼻孔Mbに遠紫外線C波を照射可能な大きさに、また、照射角度になるように予め調整されている。
【0048】
次に、
図3を参照して遠紫外線C波発生手段4の構造を説明する。
図3に示すように、遠紫外線C波発生手段4は、交流電源ACと、エキシマランプ41と、ガイドマスク42と、バンドパスフィルタ43と、コーン44と、を備えて構成されている。
【0049】
<エキシマランプ>
エキシマランプ41は、例えば、波長が193nmの場合はArF(アルゴン・フッ素)エキシマランプ、波長が207nmの場合はKrBr(クリプトン・臭素)エキシマランプ、波長が222nmの場合はKrCl(クリプトン・塩素)エキシマランプ等がある。これらの中で、新型コロナウイルス(正式名称は「SARS-Cov-2」)を最も短時間で死滅させるには、波長222nmのKrCl(クリプトン・塩素)エキシマランプが最も好ましい。
【0050】
遠紫外線C波発生手段4には、波長域を照射可能なエキシマランプ41、あるいは、紫外線LEDが用いられる。エキシマランプ41には、
図4Aに示すダブル誘電体方式(矩形型)のエキシマランプ41Aと、
図5A及び
図5Bに示すシングル誘電体方式(円筒型)のエキシマランプ41Bとがあり、そのどちらかを使用する。
【0051】
<ダブル誘電体方式のエキシマランプ>
図4Aに示すように、ダブル誘電体方式のエキシマランプ41Aは、上側から順に金属電極41Aaと、誘電体41Abと、放電プラズマが発生する放電空間41Acと、誘電体41Adと、金属網電極41Aeとを備えて構成されて、光照射41Afを発する。
【0052】
二つの誘電体41Ab,41Adは、放電空間41Acを介して平行に配置された板状の石英ガラスから成る。
放電空間41Acには、放電用ガスが充填されている。放電用ガスは、希ガスとハロゲンガスの混合ガスを用いて遠紫外線C波を発光させることができる。希ガスは、ArF(193nm)、KrBr(207nm)、KrCl(222nm)がある。新型コロナウイルスを最も短時間で死滅させる希ガスは、
図4Bに示すように、波長222nmのKrCl(クリプトン・塩素)エキシマランプの相対強度が強く最も好ましい。
【0053】
金属電極41Aaは、誘電体41Abの上側に配置されている。金属電極41Aaと金属網電極41Aeとの電極間には、高周波、高電圧(数Hz~数MHz、数kV)が印加される。この電圧の印加に伴って、誘電体41Ab,41Adの放電空間41Ac側の表面には、プラス、マイナスの電位が誘電されて、表面電位差が放電破壊電圧に達すると、放電空間41Ac内で放電し、放電プラズマが発生させる。そして、エキシマランプ41Aは、放電時の電子と封入ガス分子との衝突によってエキシマ発光する。
【0054】
<シングル誘電体方式のエキシマランプ>
図5A及び5Bに示すように、シングル誘電体方式のエキシマランプ41Bは、誘導体41Baと、外部電極41Bbと、内部電極41Bcと、放電空間41Bdと、を備えて構成されて、光照射41Beを発する。
【0055】
誘導体41Baは、円筒状の石英ガラスから成る。
外部電極41Bbは、誘導体41Baの外側表面に設けられた棒状の電極から成る。
内部電極41Bcは、誘導体41Baの中心線上に配置された棒状の電極から成る。
放電空間41Bdは、円筒状の誘導体41Ba内の空間である。放電空間41Bd内には、ガス体が注入されて放電プラズマが発生される。
そして、放電空間41Bd内の内部電極41Bcと、放電管である誘導体41Ba外の外部電極41Bbと、の間に低い印加電圧を加えると、誘導体41Ba内には、放電プラズマが発生し、誘導体41Ba外には、遠紫外線C波が光放射される。
【0056】
<ガイドマスク、コーン>
図3に示すように、ガイドマスク42は、照射パターン形状を決めるための部材である。
バンドパスフィルタ43は、例えば、希ガスがKrCl(クリプトン・塩素)の場合は波長222nmの遠紫外線C波のみを通過させるフィルタである。
コーン44は、遠紫外線C波の照射の広がりを抑制するための円筒形の部材である。コーン44の内壁は、遠紫外線C波を反射する紫外線反射膜が塗布されて、患者M(
図6参照)等を照射する遠紫外線C波のエルルギーを効率よく伝達できるようにしている。
【0057】
遠紫外線C波発生手段4は、例えば、遠紫外線C波の相対強度を示すグラフ(
図4B)の希ガスがKrCl(クリプトン・塩素)の特性に於いて、前述のようにバンドパスフィルタ43を用いてピーク波長の222nmの特定波長のみを通過させるようにしてもよいし、230nmを超える波長を通過させないようなバンドパスフィルタ43を用いてもよい。この場合は、概ね215nm~230nmの特定範囲の遠紫外線C波を通過させる遠紫外線C波発生手段4とすることもできる。
このように遠紫外線C波発生手段4は、希ガスの選択や、バンドパスフィルタ43の波長の通過領域を抽出することで、波長が190nm乃至230nmの範囲で特定波長のみを発生するようにしてもよいし、波長が190nm乃至230nmのいずれかの特定範囲の波長を発生するようにしてもよい。
【0058】
なお、遠紫外線C波の照射部は、紫外線反射膜を塗布した反射ミラー24に遠紫外線C波を反射させて患者M(
図6参照)に照射させるようにしてもよい。
また、遠紫外線C波の照射部は、遠紫外線C波を反射させずに、紫外線透過可能な石英レンズを使って集光して患者Mに直接照射してもよい。
また、遠紫外線C波の照射部は、レンズを設けずにコーン44を使って照射野を絞って照射してもよい。
さらにまた、コーン44内面に無電解ニッケルメッキ加工などの無反射処理を行ってコーン44内の乱反射を抑え遠紫外線C波の照射野P2の指向性を高めてもよい。
【0059】
<ドクターテーブル>
図1に示すように、ドクターテーブル5は、前記したモード切換手段51と、報知手段52と、照射時間設定手段53と、操作パネル54と、表示部55と、を有している。ドクターテーブル5は、診療椅子11のベース部11aに設けられて、ドクター用インスツルメントハンガ15及び診療椅子11の近隣に配置されている。
【0060】
<報知手段52>
報知手段52は、患者M(
図6参照)の体温が予め設定された所定の体温を超えた場合に報知して術者等に知らせるための報知装置である。報知手段52は、音、音声、警告灯表示、表示画面への警告表示等によって術者(操作者)の五感に感じるものであればよく、その構造や報知方法は特に限定されない。
【0061】
<照射時間設定手段>
照射時間設定手段53は、遠紫外線C波を照射する時間を設定するための入力装置である。照射時間設定手段53による時間設定は、ドクターテーブル5の操作パネル54に予め設定されている複数の設定時間から任意の設定時間を選択する方法、あるいは、デジタル時間を操作キーにより入力する方法である。
【0062】
<操作パネル>
操作パネル54は、照射時間設定手段53の照射時間を設定するための操作等を行う複数のタッチスイッチ(図示省略)を有する液晶パネル部である。操作パネル54は、ドクターテーブル5に内設された制御装置(図示省略)に電気的に接続されて、タッチスイッチ(図示省略)の操作信号が制御装置に入力されて、照明用光源3及び遠紫外線C波発生手段4を駆動させる。
【0063】
<ドクター用インスツルメントハンガ>
ドクター用インスツルメントハンガ15は、術者が使用する種々のインスツルメントが係止される箇所である。
【0064】
<アシスタント用インスツルメントハンガ>
アシスタント用インスツルメントハンガ16は、補助者が使用する種々のインスツルメントが係止される箇所である。
【0065】
<制御装置>
制御装置(図示省略)は、歯科用診療装置100の動作を制御する装置である。制御装置は、モード切換手段26、サーモカメラ27、患者検知センサ28、ドクターテーブル5等からの駆動信号を受けて、各手段を制御して、主に、表示部25,55や、照明用光源3や遠紫外線C波発生手段4を駆動させる制御を実行させる。制御装置は、例えば、ドクターテーブル5に設けられている。制御装置は、診療用無影灯2、不図示の液晶表示装置及び電源(図示省略)に電気的に接続されている。
【0066】
[作用効果]
次に、診療装置S(歯科用診療装置100)の作用効果を説明する。
【0067】
このように、本発明は、
図1または
図2に示すように、診療椅子11と、診療用無影灯2と、を有する診療装置Sであって、波長が190nm乃至230nmのいずれかの波長の、または、前記いずれかの波長を含む遠紫外線C波発生手段4を備え、遠紫外線C波発生手段4は、診療用無影灯2と一体的に、または、診療用無影灯2の近傍に設けられている。
【0068】
かかる構成によれば、本発明の診療装置Sは、波長が190nm乃至230nmのいずれかの波長の、または、前記いずれかの波長を含む遠紫外線C波発生手段4を有している。このため、遠紫外線C波発生手段4は、ウイルス等に感染した患者M(
図6参照)からの飛散、あるいは、治療前後の診療器具に付着した飛散物に対して、人体に安全な遠紫外線C波を使って殺菌することが可能になる。また、遠紫外線C波発生手段4は、診療用無影灯2と一体的に、または、診療用無影灯2の近傍に配置されているので、照明用光源3で患者Mの患部や、診療器具を照明するのと同様に、遠紫外線C波を照射して殺菌することができる。
【0069】
また、
図1または
図2に示すように、診療用無影灯2は、通常診療時に通常照明照射のみを行う通常診療モードと、感染あるいは感染の疑いのある患者M(
図6参照)に対して、通常照明照射と同時に遠紫外線C波照射の同時照射を可能にする遠紫外線C波診療モードと、を切換可能なモード切換手段26,51,61を備えている。
【0070】
かかる構成によれば、診療用無影灯2は、通常照明照射のみを行う通常診療モードと、通常照明照射と同時に遠紫外線C波照射の同時照射を行う遠紫外線C波診療モードと、を切換可能なモード切換手段26,51,61を備えている。このため、診療用無影灯2は、患者M(
図6参照)が健常者である場合と、ウイルス感染の疑いがある場合とで、無影灯使用時に遠紫外線C波を照射するか否かの選択が可能である。特に、感染疑いがある患者Mの場合は、診療中に人体に無害な遠紫外線C波の照射が可能なので、術者や補助者に対して感染を防止することができる。
【0071】
また、
図6または
図7に示すように、診療装置Sは、歯科用診療装置100であって、遠紫外線C波診療モード時において、診療用無影灯2の照射野P1を診察時に所定の患者Mの口腔領域に位置付したときに、遠紫外線C波発生手段4は、少なくとも患者Mの口腔Ma及び鼻孔Mbを照射可能な照射野P2を有している。
【0072】
かかる構成によれば、歯科用診療装置100は、遠紫外線C波診療モード時に、通常照明照射の照射野(光の照射パターン)を所定配置するだけで、患者Mの飛散物の発生源である鼻孔Mb及び口腔Maに自動的に遠紫外線C波を照射することができる。このため、遠紫外線C波発生手段4は、照射する位置方向を決めるための位置付けする作業の手間を削減させることができる。
【0073】
また、
図1または
図2に示すように、診療用無影灯2は、サーモカメラ27を備え、診療装置Sは、患者M(
図6参照)の体温が予め設定された所定の体温を超えた場合に報知する報知手段52を備え、モード切換手段26,51,61は、患者Mの体温が予め設定された所定の体温を超えた場合に、自動的に前記遠紫外線C波診療モードを選択する。
【0074】
かかる構成によれば、報知手段52は、患者M(
図6参照)の体温が所定の体温よりも高い場合(患者Mの体温が平熱よりも高い体温の場合、あるいは、例えは、体温が37.5度以上の場合)、患者Mの体温が高いことを自動的に術者等に知らせることができる。また、モード切換手段26,51,61は、
図9Aに示すように、患者Mの体温が平熱よりも高い場合、自動的に遠紫外線C波診療モードに切り換えることが可能になり、安全で効率的よく診療を行うことが可能となる。
【0075】
また、
図1及び
図2に示すように、モード切換手段26,51,61は、更に診療前後に前記診療用無影灯2が具備された診療装置Sの所望の診療器具に遠紫外線C波照射のみを照射可能にする診療器具殺菌モードを有している。
【0076】
かかる構成によれば、更に診療前後に患者M(
図6参照)からの飛散物が付着する可能性がある診療器具に殺菌消毒が可能となり、術者、補助者や、他の患者Mに対しての感染を防止することができる。モード切換手段26,51,61は、診療器具殺菌モードを有することで、3種類のモードを容易に切り換えることができる。また、紫外線は、見えない。このため、
図8に示すように、診療器具を殺菌する際に、始めに、モード切換手段26,51,61は、遠紫外線C波診療モードにして照明光の照射野P1で殺菌位置を目視で確認した後、診療器具殺菌モードに切り換えて照射野P1よりも広い遠紫外線C波の照射野P2で、診療器具を殺菌することが可能である。
【0077】
また、
図1または
図2に示すように、診療用無影灯2または診療椅子11は、患者M(
図6参照)の有無を検知する患者検知センサ14,28を備え、モード切換手段26,51,61は、遠紫外線C波診療モードと診療器具殺菌モードとを自動判別可能にし、遠紫外線C波診療モードであっても、患者検知センサ14,28が患者Mを検知しない場合は診療器具殺菌モードに切り換える。
【0078】
かかる構成によれば、診療用無影灯2または診療椅子11は、患者M(
図6参照)の有無検出でモード選択の動作が減るので、術者(操作者)の感染リスクを更に減らすことができる。また、モード切換手段26,51,61は、通常診療モードと、遠紫外線C波診療モードと、の2選択にすることが可能である。
【0079】
また、
図1、
図2あるいは
図9Bに示すように、診療用無影灯2または診療椅子11に患者M(
図6参照)の有無を検知する患者検知センサ14,28を備え、モード切換手段26,51,61は、遠紫外線C波診療モードと診療器具殺菌モードとを自動判別可能にし、遠紫外線C波診療モードであっても、患者検知センサ14,28が患者Mを検知しない場合は予め設定された所定の時間経過後に、診療器具殺菌モードに切り換える。
【0080】
かかる構成によれば、診療器具を殺菌する際に、遠紫外線C波は目に見えないため、予め遠紫外線C波診療モードの診療用照明の照射野で殺菌する位置を定めておけば、所定時間経過後に診療用照明が消えて診療器具殺菌モードに切り換わるので、診療器具の殺菌の際に位置決めが容易である。モード切換手段26,51,61は、通常診療モードと、遠紫外線C波診療モードと、の2選択にすることが可能である。
【0081】
また、
図1に示すように、診療器具殺菌モードにおいて、遠紫外線C波発生手段4の照射時間を予め設定可能な遠紫外線C波の照射時間設定手段53を備えている。
【0082】
かかる構成によれば、歯科用診療装置100は、遠紫外線C波の照射時間設定手段53を備えていることで、開始時のみスイッチ操作することで自動停止できるので照射時間を気にしなくてよい。
【0083】
また、診療器具殺菌モード時において、患者検知センサ14,28が患者Mを検知した場合は、診療器具殺菌モードでの遠紫外線C波の照射をできないようにした。
【0084】
かかる構成によれば、診療器具殺菌モード時に誤って健常者である患者Mを導入した場合には、遠紫外線C波の照射をできなくすることができる。また、患者Mの体温が所定の体温を超えていない場合は、表示部25,55に通常診療モードと表示して、通常診療モードに切り換えたり、患者Mの体温が所定の体温を超えている場合は、表示部25,55に遠紫外線C波診療モードと表示して、遠紫外線C波診療モードに切り換えることも可能である。
【0085】
[第1変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。
【0086】
図10は、本発明の実施形態に係る診療装置S1の第1変形例を示す図であり、遠紫外線C波発生手段の構造を示す概略図である。
【0087】
また、
図10に示すように、遠紫外線C波発生手段4Aは、遠紫外線C波照射領域A1を可変可能な遠紫外線C波照射野可変手段45Aを備えるものであってもよい。
【0088】
この場合、遠紫外線C波発生手段4Aは、遠紫外線C波を発生する遠紫外線C波発光源40Aと、ストッパを設けたガイドマスク42Aと、ハンドパスフィルタ43Aと、遠紫外線C波照射野可変手段45Aと、を備えて成る。
遠紫外線C波発生手段4Aは、遠紫外線C波を照射可能なUVランプ(エキシマランプ)あるいはLEDの手前に、焦点可変可能な複数の石英レンズ45Aaから成るレンズ群で構成された遠紫外線C波照射野可変手段45Aを設け、レンズ群の位置を調整することにより、アウトフォーカス領域を可変可能にする。
【0089】
かかる構成によれば、遠紫外線C波発生手段4Aは、遠紫外線C波照射野可変手段45Aを備えているので、石英レンズ45Aaを移動させることで、遠紫外線C波照射領域A1の大きさを変えることができる。このため、遠紫外線C波発生手段4Aは、照射対象に対して照射野P2を任意な範囲に調整することが可能であるので、殺菌する対象物に応じて遠紫外線C波照射領域A1を適宜に可変することができる。
【0090】
この他、遠紫外線C波照射野可変手段45Aは、
図10に示すように、1枚のレンズを移動させることでアウトフォーカス領域を可変してもよい。
また、石英レンズ45Aaは、紫外線透過可能な材質を使用する。
また、遠紫外線C波発生手段4Aは、レンズを使わずに、コーンの長さを可変可能にした二重筒構造にして、照射の広がりを抑えるようにした装置であってもよい。
また、診療器具殺菌モードの場合は、診療器具の大きさに合わせて照射野P2を可変させることが可能である。例えば、左右のアームレスト11e(
図1参照)も殺菌する場合は、照射野P2を広げればよい。また、ヘッドレスト11d(
図1参照)のみを照射する場合は、照射野P2を狭くすればよい。なお、照射野P2は、診療用無影灯2の位置を照射部位に近付けたり、遠ざけたりすることでも可能である。
【0091】
[第2変形例]
図11は、本発明の実施形態に係る診療装置S2の第2変形例を示す図であり、診療用無影灯2Aを示す概略斜視図である。
【0092】
図11に示すように、遠紫外線C波発生手段4Bは、照射する方向を角度調整することが可能な遠紫外線C波照射角度調整機構46Bを備えたものであってもよい。
この場合、遠紫外線C波照射角度調整機構46Bは、遠紫外線C波発生手段4Bの照射する方向に対して、角度θ1上下左右方向に回動可能に筐体21に支持して、照射する方向を変更可能にしている。遠紫外線C波照射角度調整機構46Bは、例えば、紫外線発光部を中心として角度調整可能なように回動して任意の位置に固定できるようにしたネジ機構を備えて成る。
【0093】
かかる構成によれば、遠紫外線C波発生手段4Bは、遠紫外線C波照射角度調整機構46Bを備えていることで、遠紫外線C波を照射してウイルス等を殺菌した箇所を、アーム13やジョイント部22(
図1参照)を動かすことなく、自由に調整することができる。このため、遠紫外線C波発生手段4Bで患者M(
図6参照)を照射する遠紫外線照射領域は、患者Mの口腔領域よりも上方にあるので、遠紫外線C波照射角度調整機構46Bで角度を調節することで、口腔Ma及び鼻孔Mbを照射可能になる(
図6参照)。
【0094】
[第3変形例]
図12は、本発明の実施形態に係る診療装置S3の第3変形例を示す図であり、遠紫外線C波発生手段4Cの設置状態を示す概略正面図である。
【0095】
前記実施形態では、
図2に示すように、遠紫外線C波発生手段4の一例として、診療用無影灯2に一体的に設けた場合を説明したが、遠紫外線C波発生手段4はこれに限定されるものではない。
図12に示すように、遠紫外線C波発生手段4Cは、診療用無影灯2Cの近傍に設けたものであってもよい。
【0096】
この場合、診療用無影灯2Cは、実施形態の診療用無影灯2の遠紫外線C波発生手段4を取り外したものであって、4つの照明用光源3と、筐体21と、ジョイント部22と、把持部23と、反射ミラー24と、を有している(
図2参照)。
遠紫外線C波発生手段4Cは、例えば、矩形型エキシマランプから成る遠紫外線C波発光源40Cと、遠紫外線C波照射野可変手段またはコーン45Cと、を備えている。
【0097】
かかる構成によれば、遠紫外線C波発生手段4Cは、診療用無影灯2Cの近傍に設けたので、診療用無影灯2Cと遠紫外線C波発生手段4Cとが別体になっている。このため、遠紫外線C波発生手段4Cは、照明用光源3のみを備えた一般的な診療用無影灯2Cの周辺に、適宜配置して、通常の無影灯及び殺菌用装置として使用することができる。
【0098】
[第4変形例]
図13は、本発明の実施形態に係る診療装置S4の第4変形例を示す図であり、遠紫外線C波発生手段4Dの設置状態を示す概略正面図である。
【0099】
前記第3変形例の遠紫外線C波発生手段4C(
図12参照)は、一例であって、
図13に示すように、円筒型エキシマランプをから成る遠紫外線C波発光源40Dを有する遠紫外線C波発生手段4Dであってもよく、その構造は特に限定されない。
遠紫外線C波発生手段4Dは、遠紫外線C波発光源40Dと、放物面状(湾曲面状)の反射面を有するミラー47Dと、を備えて構成されている。このように、診療用無影灯2Dの近傍に遠紫外線C波発生手段4Dを設ける場合は、照明用光源3の照明光とは別のミラー47Dを設けてもよいし、直接集光手段を用いて患者M(
図6参照)に照射するように配置してもよい。
ミラー47Dの反射面には、紫外線反射膜が設けられている。
【0100】
[第5変形例]
図14は、本発明の実施形態に係る診療装置S5の5変形例を示す図であり、歯科用治療ユニット1Eの斜視図である。
【0101】
図14に示すように、診療装置S5は、患者Mの口腔Maと術者の顔面との間の空間の所定位置に配置され、術者から患者Mの口腔Maを目視可能な、飛沫の飛散を防止するための飛沫飛散防止手段19を備え、飛沫飛散防止手段19は、遠紫外線C波が透過可能な透明な材質から成る遮蔽板191で構成され、診療用無影灯2に搭載された遠紫外線C波発生手段4から発生する紫外線を遮蔽板191を通して患者Mに照射可能にしてもよい(
図6参照)。
【0102】
この場合、飛沫飛散防止手段19は、術者から患者Mの口腔Maを目視可能な材質であって、遠紫外線C波が透過可能な透明な材質の部材から成る遮蔽板191である(
図6参照)。
遮蔽板191は、遠紫外線C波が透過可能な透明な材質の板材から成る。遮蔽板191は、例えば、サイトップ(登録商標)、石英ガラス、ポリエチレン、アクリル、フッ素樹脂等によって形成されている。遮蔽板191は、基端部を支柱12に軸支し、先端部を遮蔽板191に連結した飛沫飛散防止手段用アーム18によって、略水平に保持されている。遮蔽板191は、飛沫飛散防止手段用アーム18によって、診療の際に、診療椅子11に寝た姿勢の患者Mと、術者との間を仕切るように配置される。
飛沫飛散防止手段用アーム18は、アーム13と同様、多関節のバランスアームから成る。
【0103】
かかる構成によれば、歯科用治療ユニット1E(診療装置S5)は、診療椅子11と、診療用無影灯2と、患者Mと、術者との空間に、飛沫飛散防止手段19(遮蔽板191)を配置している。このため、遮蔽板191は、患者Mの口腔Maと、術者の顔面との空間を仕切って、両者の飛沫感染を防止することができる。また、診療装置S4は、遠紫外線C波発生手段4を、診療用無影灯2と一体的に、または、診療用無影灯2の近傍に設けているので、患者Mの口腔近傍のウイルス等を遠紫外線C波発生手段4によって殺菌することができる。
【0104】
[その他の変形例]
前記実施形態では、患者M(
図6参照)の体温を検出する装置として
図2に示すサーモカメラ27を使用した場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、実施形態で説明したサーモカメラ27は、患者Mから離れた位置から患者Mの体温を検出可能な体温検出センサであればよく、サーモカメラ27に限定するものではない。
【0105】
また、
図2に示すモード切換手段26は、把持部23に設置することに限定されるものではない。モード切換手段26は、診療用無影灯2の筐体21に設けてもよいし、
図1に示す歯科用診療装置100のドクターテーブル5に設けたスイッチや、フットスイッチ(図示省略)であってもよい。また、診療用無影灯2や、ドクターテーブル5に設けたモード切換手段26の場合は、非接触スイッチであってもよい。
【0106】
また、モード切換手段26は、
図1に示すように、スマートフォン6等に専用ソフトをインストールして、スマートフォン6から成るリモート操作式のモード切換手段61でもよい。スマートフォン6を使用したモード切換手段61の場合は、自分専用になるのでウイルス等の感染のリスクを減らすことができる。
【0107】
また、モード切換手段26は、室温、平熱、平熱でない場合を三段階に分けて、モードを切り換えてもよい。サーモカメラ27で検出した患者M(
図6参照)の体温が平熱の場合は、制御装置によって自動的に通常診療モードに切り換える。サーモカメラ27で検出した患者Mの体温が平熱でない場合は、制御装置によって遠紫外線C波診療モードに自動的に切り換える。また、サーモカメラ27で検出した診療器具の温度が室温の場合は、診療器具殺菌モードに自動で切り換えるようにしてもよい。
【0108】
また、
図2に示す患者検知センサ28は、このセンサの代わりに、サーモカメラ27を使用して患者M(
図6参照)を検出してもよい。
【0109】
また、
図1に示すように、歯科用診療装置100は、報知手段52を設けた場合を説明したが、報知手段52は無くてもよい。その場合は、モード切換手段26,51,61は、報知手段52による報知無しに、遠紫外線C波発生手段4で遠紫外線C波を発生するように自動的に切り換えてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1,1E 歯科用診療装置
2,2A,2C,2D 診療用無影灯
4,4A,4B,2C,2D 遠紫外線C波発生手段
5 ドクターテーブル
11 診療椅子
14,28 患者検知センサ
19 飛沫飛散防止手段
26,51,61 モード切換手段
27 サーモカメラ
45A 遠紫外線C波照射野可変手段
45C 遠紫外線C波照射野可変手段またはコーン
46B 遠紫外線C波照射角度調整機構
52 報知手段
53 遠紫外線C波の照射時間設定手段
191 遮蔽板
M 患者
Ma 口腔
Mb 鼻孔
P1,P2 照射野
S,S5 診療装置
【手続補正書】
【提出日】2021-07-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診療椅子と、診療用無影灯と、を有する診療装置であって、
波長が190nm乃至230nmのいずれかの波長の、または、前記いずれかの波長を含む遠紫外線C波発生手段を備え、
前記遠紫外線C波発生手段は、前記診療用無影灯と一体的に、または、前記診療用無影灯の近傍に設けられ、
前記診療用無影灯は、
通常診療時に通常照明照射のみを行う通常診療モードと、
感染あるいは感染の疑いのある患者に対して、通常照明照射と同時に遠紫外線C波照射の同時照射を可能にする遠紫外線C波診療モードと、
を切換可能なモード切換手段を備え、
前記診療装置は、歯科用診療装置であって、
前記遠紫外線C波診療モード時において、
前記診療用無影灯の照射野を診察時に所定の患者の口腔領域に位置付したときに、前記遠紫外線C波発生手段は、
人体に無害で目に見えない遠紫外線C波を、少なくとも患者の口腔及び鼻孔を照射可能な照射野を有していること
を特徴とする診療装置。
【請求項2】
前記遠紫外線C波発生手段は、遠紫外線C波照射領域を可変可能な遠紫外線C波照射野可変手段を備えていること
を特徴とする請求項1に記載の診療装置。
【請求項3】
前記遠紫外線C波発生手段は、照射する方向を角度調整することが可能な遠紫外線C波照射角度調整機構を備えていること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の診療装置。
【請求項4】
前記診療用無影灯は、サーモカメラを備え、
前記診療装置は、患者の体温が予め設定された所定の体温を超えた場合に報知する報知手段を備え、
前記モード切換手段は、患者の体温が予め設定された所定の体温を超えた場合に、自動的に前記遠紫外線C波診療モードを選択すること
を特徴とする請求項1に記載の診療装置。
【請求項5】
前記モード切換手段は、更に診療前後に前記診療用無影灯が具備された診療装置の所望の診療器具に遠紫外線C波照射のみを照射可能にする診療器具殺菌モードを有していること
を特徴とする請求項1に記載の診療装置。
【請求項6】
前記診療用無影灯または前記診療椅子は、患者の有無を検知する患者検知センサを備え、
前記モード切換手段は、前記遠紫外線C波診療モードと前記診療器具殺菌モードとを自動判別可能にし、前記遠紫外線C波診療モードであっても、前記患者検知センサが患者を検知しない場合は前記診療器具殺菌モードに切り換えること
を特徴とした請求項5に記載の診療装置。
【請求項7】
前記診療用無影灯または前記診療椅子に患者の有無を検知する患者検知センサを備え、
前記モード切換手段は、前記遠紫外線C波診療モードと前記診療器具殺菌モードとを自動判別可能にし、前記遠紫外線C波診療モードであっても、前記患者検知センサが患者を検知しない場合は予め設定された所定の時間経過後に、前記診療器具殺菌モードに切り換えること
を特徴とした請求項5に記載の診療装置。
【請求項8】
前記診療器具殺菌モードにおいて、前記遠紫外線C波発生手段の照射時間を予め設定可能な遠紫外線C波の照射時間設定手段を備えていること
を特徴とした請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の診療装置。
【請求項9】
前記診療器具殺菌モード時において、前記患者検知センサが患者を検知した場合は、前記診療器具殺菌モードでの遠紫外線C波の照射をできないようにしたこと
を特徴とした請求項6または請求項7に記載の診療装置。
【請求項10】
患者の口腔と術者の顔面との間の空間の所定位置に配置され、術者から患者の口腔を目視可能な、飛沫の飛散を防止するための飛沫飛散防止手段を備え、
前記飛沫飛散防止手段は、遠紫外線C波が透過可能な透明な材質から成る遮蔽板で構成され、
前記遮蔽板は、基端部を支柱に軸支し、先端部を前記遮蔽板に連結した飛沫飛散防止手段用アームによって、診療の際に、前記診療椅子に寝た姿勢の患者と、術者との間を仕切るように配置されて、前記診療用無影灯に搭載された前記遠紫外線C波発生手段から発生する紫外線を前記遮蔽板を通して患者に照射可能にしたこと
を特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の診療装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、診療椅子と、診療用無影灯と、を有する診療装置であって、波長が190nm乃至230nmのいずれかの波長の、または、前記いずれかの波長を含む遠紫外線C波発生手段を備え、前記遠紫外線C波発生手段は、前記診療用無影灯と一体的に、または、前記診療用無影灯の近傍に設けられ、前記診療用無影灯は、通常診療時に通常照明照射のみを行う通常診療モードと、感染あるいは感染の疑いのある患者に対して、通常照明照射と同時に遠紫外線C波照射の同時照射を可能にする遠紫外線C波診療モードと、を切換可能なモード切換手段を備え、前記診療装置は、歯科用診療装置であって、前記遠紫外線C波診療モード時において、前記診療用無影灯の照射野を診察時に所定の患者の口腔領域に位置付したときに、前記遠紫外線C波発生手段は、人体に無害で目に見えない遠紫外線C波を、少なくとも患者の口腔及び鼻孔を照射可能な照射野を有していることを特徴とする。