(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189507
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】チューブ容器用包材、チューブ容器およびキャップ付きチューブ容器
(51)【国際特許分類】
B65D 35/02 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
B65D35/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098122
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】勝又 淑江
(72)【発明者】
【氏名】近藤 香
(72)【発明者】
【氏名】松下 田恵子
【テーマコード(参考)】
3E065
【Fターム(参考)】
3E065AA02
3E065BA02
3E065BA05
3E065BA14
3E065BA16
3E065BA18
3E065BA25
3E065BA28
3E065BA34
3E065BA35
3E065BB03
3E065CA20
3E065DA03
3E065DB05
3E065DC10
3E065DE20
3E065EA03
3E065EA10
3E065FA04
3E065FA11
3E065GA01
3E065HA02
3E065HA05
(57)【要約】
【課題】意匠性を向上させるとともに、内容物を容易に取り出すことが可能な、チューブ容器用包材、チューブ容器およびキャップ付きチューブ容器を提供する。
【解決手段】チューブ容器用包材50は、第1面501から第2面502に向かって順に配置された第1シーラント層51と、基材層52と、第2シーラント層53とを備えている。積層体50に、第1面501側に向かって凸となる複数の第1稜線11と、第2面502側に向かって凸となる複数の第2稜線12とが形成されている。第1平面P1の法線方向N1に沿った断面において、第2稜線12から第1稜線11までの高さH1は、0.1mm以上0.5mm以下である。第2平面P2の法線方向N2に沿った断面において、第2稜線12から第1稜線11までの高さH2は、0.1mm以上0.5mm以下である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ容器用包材において、
第1面から第2面に向かって順に配置された第1シーラント層と、基材層と、第2シーラント層とを備え、
前記第1面側に向かって凸となる複数の第1稜線と、前記第2面側に向かって凸となる複数の第2稜線とが形成され、
複数の前記第1稜線を含む第1平面の法線方向に沿った断面において、前記第2稜線から、当該第2稜線に隣り合う前記第1稜線までの前記第1面における高さは、0.1mm以上0.5mm以下であり、
複数の前記第2稜線を含む第2平面の法線方向に沿った断面において、前記第2稜線から、当該第2稜線に隣り合う前記第1稜線までの前記第2面における高さは、0.1mm以上0.5mm以下である、チューブ容器用包材。
【請求項2】
前記第1稜線は、平面視において、所定の方向における一方の側に向かって凸となるように、所定の点から放射状に延びる複数の第1曲線と、平面視において、前記所定の方向における他方の側に向かって凸となるように、前記所定の点から放射状に延びる複数の第2曲線とを含む、請求項1に記載のチューブ容器用包材。
【請求項3】
各々の前記第2稜線は、それぞれ、平面視において、前記所定の点から放射状に延びるとともに、前記第1曲線と前記第2曲線との交点を通る仮想線上に形成されている、請求項2に記載のチューブ容器用包材。
【請求項4】
前記第1シーラント層は、押出ラミネート成形層またはインフレーション成形層を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のチューブ容器用包材。
【請求項5】
前記基材層上に設けられた印刷層を更に備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のチューブ容器用包材。
【請求項6】
前記第1稜線は、前記印刷層が表示する絵柄に対応する、請求項5に記載のチューブ容器用包材。
【請求項7】
前記基材層と前記第2シーラント層との間に設けられたバリア層を更に備え、前記バリア層は、アルミニウム箔である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のチューブ容器用包材。
【請求項8】
前記第1面を構成するとともに前記第1シーラント層を保護する保護層を更に備える、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のチューブ容器用包材。
【請求項9】
前記第1シーラント層、前記基材層および前記第2シーラント層のうちの少なくとも1つは、バイオマス由来成分を含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のチューブ容器用包材。
【請求項10】
前記基材層は、紙を含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のチューブ容器用包材。
【請求項11】
90重量%以上が、同一素材によって構成されている、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のチューブ容器用包材。
【請求項12】
チューブ容器において、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のチューブ容器用包材の対向する端部同士を重ね合わせて互いに接合した接合部を有する胴部チューブと、
前記胴部チューブの一端に接合された頭部部材とを備える、チューブ容器。
【請求項13】
キャップ付きチューブ容器において、
請求項12に記載のチューブ容器と、
前記頭部部材に取り付けられたキャップとを備える、キャップ付きチューブ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、チューブ容器用包材、チューブ容器およびキャップ付きチューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、胴部チューブを備えるチューブ容器が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、胴部が、内容物を収容するベース層と、このベース層の外表面を覆う透明または半透明の保護層と、この保護層とベース層との相互間に介在して胴部の全面または一部を装飾する中間体とを備え、この胴部の外観に、当該中間体の厚み分の凹凸部を形成してなることを特徴とするチューブ容器が開示されている。
【0003】
また、チューブ容器に使用され得る包装材料が知られている(例えば、特許文献2)。特許文献2には、良好な熱接着性を維持しつつ、撥水性が高く優れた非付着性を持続的に発揮できる包装材料が開示されている。
【0004】
ところで、チューブ容器では、意匠性を向上させることが求められている。また、内容物の残量が少なくなった場合に、内容物を取り出しやすいチューブ容器が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4063730号公報
【特許文献2】特許第5793936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、意匠性を向上させるとともに、内容物を容易に取り出すことが可能な、チューブ容器用包材、チューブ容器およびキャップ付きチューブ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態によるチューブ容器用包材は、第1面から第2面に向かって順に配置された第1シーラント層と、基材層と、第2シーラント層とを備え、前記第1面側に向かって凸となる複数の第1稜線と、前記第2面側に向かって凸となる複数の第2稜線とが形成され、複数の前記第1稜線を含む第1平面の法線方向に沿った断面において、前記第2稜線から、当該第2稜線に隣り合う前記第1稜線までの前記第1面における高さは、0.1mm以上0.5mm以下であり、複数の前記第2稜線を含む第2平面の法線方向に沿った断面において、前記第2稜線から、当該第2稜線に隣り合う前記第1稜線までの前記第2面における高さは、0.1mm以上0.5mm以下である、チューブ容器用包材である。
【0008】
一実施の形態によるチューブ容器用包材において、前記第1稜線は、平面視において、所定の方向における一方の側に向かって凸となるように、所定の点から放射状に延びる複数の第1曲線と、平面視において、前記所定の方向における他方の側に向かって凸となるように、前記所定の点から放射状に延びる複数の第2曲線とを含んでもよい。
【0009】
一実施の形態によるチューブ容器用包材において、各々の前記第2稜線は、それぞれ、平面視において、前記所定の点から放射状に延びるとともに、前記第1曲線と前記第2曲線との交点を通る仮想線上に形成されてもよい。
【0010】
一実施の形態によるチューブ容器用包材において、前記第1シーラント層は、押出ラミネート成形層またはインフレーション成形層を含んでもよい。
【0011】
一実施の形態によるチューブ容器用包材において、前記基材層上に設けられた印刷層を更に備えてもよい。
【0012】
一実施の形態によるチューブ容器用包材において、前記第1稜線は、前記印刷層が表示する絵柄に対応してもよい。
【0013】
一実施の形態によるチューブ容器用包材は、前記基材層と前記第2シーラント層との間に設けられたバリア層を更に備え、前記バリア層は、アルミニウム箔であってもよい。
【0014】
一実施の形態によるチューブ容器用包材において、前記第1面を構成するとともに前記第1シーラント層を保護する保護層を更に備えてもよい。
【0015】
一実施の形態によるチューブ容器用包材において、前記第1シーラント層、前記基材層および前記第2シーラント層のうちの少なくとも1つは、バイオマス由来成分を含んでもよい。
【0016】
一実施の形態によるチューブ容器用包材において、前記基材層は、紙を含んでもよい。
【0017】
一実施の形態によるチューブ容器用包材において、90重量%以上が、同一素材によって構成されてもよい。
【0018】
一実施の形態によるチューブ容器は、一実施の形態によるチューブ容器用包材の対向する端部同士を重ね合わせて互いに接合した接合部を有する胴部チューブと、前記胴部チューブの一端に接合された頭部部材とを備える、チューブ容器である。
【0019】
一実施の形態によるキャップ付きチューブ容器は、一実施の形態によるチューブ容器と、前記頭部部材に取り付けられたキャップとを備える、キャップ付きチューブ容器である。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、チューブ容器において、意匠性を向上させるとともに、内容物を容易に取り出せる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、内容物が充填された、本実施の形態によるキャップ付きチューブ容器を示す部分垂直断面図である。
【
図2A】
図2Aは、本実施の形態による積層体の層構成の一例を示す断面図である。
【
図2B】
図2Bは、本実施の形態による積層体の層構成の一例を示す断面図である。
【
図2C】
図2Cは、本実施の形態による積層体の層構成の一例を示す断面図である。
【
図2D】
図2Dは、本実施の形態による積層体の層構成の一例を示す断面図である。
【
図2E】
図2Eは、本実施の形態による積層体の層構成の一例を示す断面図である。
【
図2F】
図2Fは、本実施の形態による積層体の層構成の一例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態による積層体を示す平面図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態による積層体を示す断面図(
図3のIV-IV線断面図)である。
【
図5】
図5は、本実施の形態によるチューブ容器の製造方法を示す概略図である。
【
図6】
図6(a)-(b)は、本実施の形態によるチューブ容器の製造方法を示す概略図である。
【
図7】
図7は、本実施の形態によるチューブ容器の製造方法を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、本実施の形態によるキャップ付きチューブ容器の製造方法を示す部分垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して一実施の形態について説明する。
図1乃至
図8は一実施の形態を示す図である。以下に示す各図は、模式的に示した図である。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施できる。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用できる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含めて解釈することとする。
【0023】
本実施の形態において、「X方向」とは、チューブ容器の胴部チューブの長手方向に対して垂直な方向である。このX方向は、チューブ容器に内容物を充填することにより作製された商品が、店頭における展示陳列時等において倒立させて(キャップを下にして)置かれた場合に、水平方向に対して平行になる方向である。また、X方向は、後述する積層体を作製する際に、積層体を構成するフィルムが流れる方向(流れ方向)に直交する方向(幅方向)であり、いわゆるTD(Transverse Direction)である。「Y方向」とは、X方向に垂直かつチューブ容器の胴部チューブの長手方向に対して平行な方向である。このY方向は、商品が倒立させて置かれた場合に、上下方向に対して平行になる方向である。また、Y方向は、後述する積層体を作製する際に、積層体を構成するフィルムが流れる方向(流れ方向)であり、いわゆるMD(Machine Direction)である。「Z方向」とは、X方向およびY方向の両方に垂直かつ積層体の厚み方向に平行な方向である。
【0024】
まず、
図1により、本実施の形態による積層体(チューブ容器用包材)50を使用して作製されたキャップ付きチューブ容器10Aについて説明する。
【0025】
図1に示すように、本実施の形態によるキャップ付きチューブ容器10Aは、チューブ容器10と、チューブ容器10の後述する頭部部材40に取り付けられたキャップ20とを備えている。
【0026】
このうち、チューブ容器10は、ラミネート成形チューブである胴部チューブ30と、胴部チューブ30の一端31に接合された頭部部材40とを備えている。
【0027】
ここでは、まず、チューブ容器10の頭部部材40について説明する。
【0028】
図1に示すように、頭部部材40は、肩部41と口部42とを有している。このうち口部42には、キャップ20が装着されるようになっている。
【0029】
このような頭部部材40は、後述するように、例えば圧縮成形法により成形される。また、頭部部材40は、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)等の樹脂材料から作製される。
【0030】
次に、チューブ容器10の胴部チューブ30について説明する。胴部チューブ30は、
図1に示すような、一端が封止された筒形状を有している。この胴部チューブ30は、ラミネート成形された積層体50(
図2A乃至
図2F参照)から構成されている。また、胴部チューブ30は、積層体50の対向する端部35(
図7参照)同士を重ね合わせて互いに接合した胴部シール部(接合部)32を有している。この胴部シール部32は、胴部チューブ30の長手方向(Y方向)に沿って形成されている。このような胴部チューブ30は、積層体50を円筒状に丸め、対向する端部35同士を重ね合わせて、例えばヒートシールにより互いに接合して得られた部材である。
【0031】
また、胴部チューブ30は、積層体50同士を互いに接合した底シール部34を有している。この底シール部34は、胴部チューブ30の他端33に形成された開口部50B(
図8参照)から、内容物Cを適量分充填した後に、当該開口部50B近傍の積層体50同士を互いに接合した部分である。内容物Cは、例えば、アルコールを含有するクレンジング用剤、日焼け止め、練り歯磨き、トリートメント、ボディクリームまたは整髪剤(いわゆるヘアワックス)等であってもよい。
【0032】
次に、積層体50の層構成について説明する。
図2A乃至
図2Fは、胴部チューブ30を構成する積層体50の層構成の一例を示している。
図2A乃至
図2Fに示すように、積層体50は、外面(第1面)501から内面(第2面)502に向かって順に配置された第1シーラント層51と、基材層52と、第2シーラント層53とを備えている。このうち、第1シーラント層51、基材層52および第2シーラント層53のうちの少なくとも1つは、後述するように、バイオマス由来成分を含んでいてもよい。
【0033】
また、
図2A、
図2C、
図2Dおよび
図2Fに示すように、積層体50は、基材層52上に設けられた印刷層54を更に備えていてもよい。また、
図2A乃至
図2Fに示すように、積層体50は、基材層52と第2シーラント層53との間に設けられたバリア層55を更に備えていてもよい。さらに、
図2A乃至
図2Cおよび
図2Eに示すように、積層体50は、外面501を構成するとともに第1シーラント層51を保護する保護層59を更に備えていてもよい。
【0034】
具体的には、
図2Aに示すように、積層体50は、外面501から内面502に向かって、保護層59と、第1印刷層54aと、第1シーラント層51と、第1アンカーコート層56aと、基材層52と、第2印刷層54b(印刷層54)と、第2アンカーコート層56bと、第1接着層57aと、中間層58と、第2接着層57bと、バリア層55と、第3接着層57cと、第2シーラント層53とをこの順に備えている。このうち、第1シーラント層51は、外面501から内面502に向かって順に配置された第1樹脂層51aと、第2樹脂層51bと、第3樹脂層51cとを有している。
図2Aに示す例においては、保護層59が、胴部チューブ30の外面を構成する。また、第2シーラント層53が、胴部チューブ30の内面を構成する。
【0035】
また、
図2Bに示すように、積層体50は、外面501から内面502に向かって、保護層59と、第1印刷層54aと、第1シーラント層51と、第1アンカーコート層56aと、基材層52と、第1接着層57aと、第1バリア層55a(バリア層55)と、第1中間層58aと、第2アンカーコート層56bと、第2接着層57bと、第2中間層58bと、第3アンカーコート層56cと、第3接着層57cと、第2バリア層55b(バリア層55)と、第4接着層57dと、第2シーラント層53とをこの順に備えている。このうち、第1シーラント層51は、外面501から内面502に向かって順に配置された第1樹脂層51aと、第2樹脂層51bとを有している。また、第2シーラント層53は、内面502から外面501に向かって順に配置された第1樹脂層53aと、第2樹脂層53bとを有している。
図2Bに示す例においては、保護層59が、胴部チューブ30の外面を構成する。また、第2シーラント層53の第1樹脂層53aが、胴部チューブ30の内面を構成する。
【0036】
また、
図2Cに示すように、積層体50は、外面501から内面502に向かって、保護層59と、第1シーラント層51と、第1アンカーコート層56aと、基材層52と、印刷層54と、第1接着層57aと、第1バリア層55a(バリア層55)と、第1中間層58aと、第2接着層57bと、第2中間層58bと、第2アンカーコート層56bと、第3接着層57cと、第2バリア層55b(バリア層55)と、第4接着層57dと、第2シーラント層53とをこの順に備えている。このうち、第1シーラント層51は、外面501から内面502に向かって順に配置された第1樹脂層51aと、第2樹脂層51bと、第3樹脂層51cとを有している。
図2Cに示す例においては、保護層59が、胴部チューブ30の外面を構成する。また、第2シーラント層53が、胴部チューブ30の内面を構成する。
【0037】
また、
図2Dに示すように、積層体50は、外面501から内面502に向かって、第1シーラント層51と、印刷層54と、基材層52と、第1接着層57aと、バリア層55と、第2接着層57bと、中間層58と、アンカーコート層56と、第2シーラント層53とをこの順に備えている。このうち、第1シーラント層51は、外面501から内面502に向かって順に配置された第1樹脂層51aと、第2樹脂層51bと、第3樹脂層51cとを有している。また、第2シーラント層53は、内面502から外面501に向かって順に配置された第1樹脂層53aと、第2樹脂層53bとを有している。
図2Dに示す例においては、第1シーラント層51の第1樹脂層51aが、胴部チューブ30の外面を構成する。また、第2シーラント層53の第1樹脂層53aが、胴部チューブ30の内面を構成する。
【0038】
また、
図2Eに示すように、積層体50は、外面501から内面502に向かって、保護層59と、第1印刷層54aと、第1シーラント層51と、第1接着層57aと、第1バリア層55a(バリア層55)と、基材層52と、第2接着層57bと、第1中間層58aと、第3接着層57cと、第2バリア層55b(バリア層55)と、第4接着層57dと、第2中間層58bと、第5接着層57eと、第2シーラント層53とをこの順に備えている。このうち、第1シーラント層51は、外面501から内面502に向かって順に配置された第1樹脂層51aと、第2樹脂層51bと、第3樹脂層51cとを有している。また、基材層52は、外面501から内面502に向かって順に配置された第1樹脂層52aと、第2樹脂層52bと、第3樹脂層52cとを有している。さらに、第2シーラント層53は、内面502から外面501に向かって順に配置された第1樹脂層53aと、第2樹脂層53bと、第3樹脂層53cとを有している。
図2Eに示す例においては、保護層59が、胴部チューブ30の外面を構成する。また、第2シーラント層53の第1樹脂層53aが、胴部チューブ30の内面を構成する。
【0039】
さらに、
図2Fに示すように、積層体50は、外面501から内面502に向かって、第1シーラント層51と、第1接着層57aと、基材層52と、印刷層54と、第2接着層57bと、バリア層55と、中間層58と、第3接着層57cと、第2シーラント層53とをこの順に備えている。
図2Fに示す例においては、第1シーラント層51が、胴部チューブ30の外面を構成する。また、第2シーラント層53が、胴部チューブ30の内面を構成する。
【0040】
以下、積層体50の各層について説明する。
【0041】
第1シーラント層
第1シーラント層51は、積層体50同士を接着させるための層である。第1シーラント層51を構成する材料としては、熱によって溶融し、融着する材料が用いられる。第1シーラント層51には、例えばポリオレフィンが用いられる。より具体的には、第1シーラント層51としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、ポリエチレン若しくはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、その他の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル、飽和ポリエステルまたはポリビニルアルコール等のその他の樹脂の1種以上からなる樹脂が用いられてもよい。なお、第1シーラント層51が多層である場合、第1樹脂層51a、第2樹脂層51bおよび第3樹脂層51cには、上述した樹脂材料が用いられてもよい。また、ポリエチレンがバイオマス由来成分を含んでいてもよく、ポリエチレンがバイオマス由来成分を含んでいてもよい。
【0042】
第1シーラント層51は、押出ラミネート成形層またはインフレーション成形層を含んでいてもよい。この場合、上述した第1樹脂層51aが、第2樹脂層51b上に形成された押出ラミネート成形層またはインフレーション成形層であってもよい。これにより、後述する第1稜線11および第2稜線12の成形性を向上できる。
【0043】
本実施の形態において、上記の第1シーラント層51を作製する場合、例えば、まず、上記の樹脂の1種以上を主成分とする樹脂組成物に対して、所望の添加剤が任意に添加される。このようにして、所望の樹脂組成物が調製される。次に、上記で調製した樹脂組成物を使用し、例えば、インフレーション法、その他の成形法を用いて、第1シーラント層51としてのフィルムまたはシートが成形される。
【0044】
なお、第1シーラント層51の材料として、例えば、アンチブロッキング剤、滑剤(脂肪酸アミド等)、難燃化剤、無機または有機充填剤等を任意に添加した材料が用いられてもよい。
【0045】
本実施の形態において、第1シーラント層51の厚みは、50μm以上250μm以下であることが好ましい。
【0046】
基材層
基材層52は、例えば、第1シーラント層51や第2シーラント層53を支持するとともに積層体50全体の強度を高めるための層である。基材層52を構成する材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂またはその他の強靱な樹脂が用いられてもよい。そして、基材層52は、上述した樹脂からなるフィルムまたはシートによって作製されてもよい。一例として、基材層52は、ポリエチレンテレフタレートを含んでいても良い。基材層52がポリエチレンテレフタレートを含む場合、ポリエチレンテレフタレートはバイオマス由来成分を含んでいてもよい。なお、基材層52が多層である場合、第1樹脂層52a、第2樹脂層52bおよび第3樹脂層52cには、上述した樹脂材料が用いられてもよい。
【0047】
また、上述した樹脂のフィルムまたはシートとしては、未延伸フィルムが使用されてもよい。また、上述した樹脂のフィルムまたはシートとしては、一軸方向または二軸方向に延伸された延伸フィルムが使用されてもよい。中でも、本実施の形態において、印刷適正の面で優れるため、基材層52として使用されるフィルムは、二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムであることが好ましい。
【0048】
また、基材層52は、紙を含んでいてもよい。この場合、基材層52としては、積層体50に対して、成形性、耐屈曲性、剛性等を持たせるもの、例えば、晒紙または未晒紙、あるいは純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材等が用いられてもよい。また、基材層52を構成する紙の坪量は、例えば80g/m2以上600g/m2以下であってもよく、100g/m2以上450g/m2以下であることが好ましい。
【0049】
本実施の形態において、基材層52の厚みは、10μm以上25μm以下であることが好ましい。
【0050】
第2シーラント層
第2シーラント層53は、積層体50同士を接着させるための層である。第2シーラント層53を構成する材料としては、例えば上述した第1シーラント層51と同様の材料が用いられてもよい。なお、第2シーラント層53が多層である場合、第1樹脂層53a、第2樹脂層53bおよび第3樹脂層53cには、上述した樹脂材料が用いられてもよい。
【0051】
本実施の形態において、第2シーラント層53の厚みは、50μm以上250μm以下であることが好ましい。
【0052】
印刷層
第1印刷層54aおよび第2印刷層54b等の印刷層は、絵柄等の印刷が施された層である。第1印刷層54aおよび第2印刷層54b等の印刷層は、積層体50の意匠性を向上させるための層である。印刷層としては、通常のインキビヒクルの1種以上を主成分とするインキ組成物が用いられてもよい。また、印刷層として、添加剤の1種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、その後、溶媒、希釈剤等で充分に混練して得られたインキ組成物が用いられてもよい。なお、添加剤としては、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤またはその他の添加剤が用いられてもよい。このようなインキビヒクルとしては、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴムまたはその他の材料の1種以上が用いられてもよい。印刷方法は、グラビア印刷のほか、凸版印刷(活版印刷)、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷またはその他の印刷方式であってもよい。なお、本明細書中、「絵柄」とは、文字、図形、記号、模様若しくは色彩又はこれらの結合をいう。
【0053】
バリア層
第1バリア層55aおよび第2バリア層55b等のバリア層は、酸素ガスおよび水蒸気などの透過を抑制するための層である。バリア層としては、例えば、酸素ガス若しくは水蒸気等に対するガスバリア性素材、太陽光等に対する遮光性素材または内容物に対する保香性等を有する材料が用いられてもよい。具体的には、バリア層としては、例えば、アルミニウム箔、スズ、鉛、銅、鉄、ニッケル若しくはこれらの合金等またはアルミニウム等の金属蒸着薄層が用いられてもよい。バリア層としてアルミニウム箔を使用する場合、バリア層の厚みは、5μm以上20μm以下程度とすることができる。バリア層としてアルミニウム箔を使用することにより、積層体50の作製が容易になる。また、バリア層としてアルミニウム箔を使用することにより、後述する第1稜線11および第2稜線12の成形性を更に向上できるとともに、成形された第1稜線11および第2稜線12の形状を効果的に保持できる。
【0054】
また、バリア層としてアルミニウム等の金属蒸着層を使用する場合、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法またはクラスターイオンビーム法等の物理気相成長法(PhysicalVapor Deposition法、PVD法)等を利用して、中間層上に、アルミニウム等の金属の蒸着薄膜を形成できる。
【0055】
バリア層として、アルミニウムの金属蒸着層を使用する場合、バリア層の厚みは、通常、50Å以上3000Å以下程度であることが好ましく、特に、100Å以上2000Å以下程度であることが好ましい。また、蒸着膜の密着性を高めるために、上記のアルミニウムの蒸着薄膜を支持する中間層の表面に、例えば、蒸着プライマー等を予めコーティングしてもよく、その他、中間層の表面に、所要の前処理が任意に施されてもよい。
【0056】
また、バリア層は、従来公知の方法により形成できる透明蒸着層であっても良い。バリア層が透明蒸着層であることにより、積層体50を透明にすることもできる。この場合、バリア層は、無機酸化物の蒸着層からなる透明蒸着層であっても良い。
【0057】
透明蒸着層としては、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)またはイットリウム(Y)等の酸化物の蒸着層を使用できる。特に、チューブ容器用の透明蒸着層としては、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素を含む蒸着層を備えることが好ましい。
【0058】
無機酸化物の表記は、例えば、SiOX、AlOX等のようにMOX(ただし、式中、Mは、無機元素を表し、Xの値は、無機元素によってそれぞれ範囲が異なる。)で表される。Xの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0~2、アルミニウム(Al)は、0~1.5、マグネシウム(Mg)は、0~1、カルシウム(Ca)は、0~1、カリウム(K)は、0~0.5、スズ(Sn)は、0~2、ナトリウム(Na)は、0~0.5、ホウ素(B)は、0~1.5、チタン(Ti)は、0~2、鉛(Pb)は、0~2、ジルコニウム(Zr)は0~2、イットリウム(Y)は、0~1.5の範囲の値をとることができる。上記において、X=0の場合、完全な無機単体(純物質)であり、当該無機単体は透明ではない。また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。包装用材料の蒸着層には、ケイ素(Si)またはアルミニウム(Al)が好適に使用される。このとき、無機元素がケイ素(Si)の場合、Xの値は、1.0~2.0であることが好ましい。また、無機元素がアルミニウム(Al)の場合、Xの値は、0.5~1.5であることが好ましい。
【0059】
透明蒸着層の厚みは、使用する無機酸化物の種類等によって異なるが、透明蒸着層の厚みは、例えば、50Å以上2000Å以下、好ましくは、100Å以上1000Å以下であることが好ましい。例えば、透明蒸着層が酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素を含む場合、透明蒸着層の厚みは、50Å以上500Å以下、更に、好ましくは、100Å以上300Å以下である。
【0060】
透明蒸着層は、中間層上に以下の形成方法を用いて形成できる。蒸着層の形成方法は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法またはイオンプレ-ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)であってもよい。また、蒸着層の形成方法は、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法または光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等であってもよい。具体的には、ローラー式蒸着層形成装置を用いて、成形ローラー上において、蒸着層が形成され得る。さらに、蒸着層上にガスバリア性塗布膜が設けられてもよい。これにより、酸素や水蒸気などの透過が抑制される。また、ガスバリア性塗布膜が蒸着層に隣接して設けられることにより、蒸着層において、クラックの発生が効果的に抑制される。上記のガスバリア性塗布膜は、金属アルコキシドの加水分解物または金属アルコキシドの加水分解縮合物などの樹脂組成物を少なくとも1種含んでいる。なお、金属アルコキシドの加水分解物または金属アルコキシドの加水分解縮合物などの樹脂組成物は、金属アルコキシドと水溶性高分子との混合物を、ゾルゲル法によって重縮合することにより、得られる。また、ゾルゲル法による重縮合の際、金属アルコキシドの加水分解物または金属アルコキシドの加水分解縮合物などの樹脂組成物は、ゾルゲル法触媒、水および有機溶剤などの存在下で重縮合される。
【0061】
保護層
保護層59は、第1シーラント層51を保護するための層である。保護層59としては、硝化綿樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩酢ビ樹脂若しくは塩素化PP樹脂等を含有する樹脂組成物またはインキが用いられてもよい。また、保護層59は、例えば、フレキソ印刷、活版印刷またはグラビア印刷等によって形成されてもよい。保護層59は、特に、アクリル系のOPニスを用いたグラビア印刷によって形成されてもよい。また、保護層59は、特に、フレキソ印刷用のニスを用いたフレキソ印刷または活版印刷によって、形成されてもよい。保護層59の厚みは、例えば、0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。
【0062】
アンカーコート層
第1アンカーコート層56a、第2アンカーコート層56bおよび第3アンカーコート層56cといったアンカーコート層は、層間の接着性を高めるための層である。このアンカーコート層56は、アンカーコート剤を塗布して乾燥させることにより形成される。アンカーコート剤としては、耐熱温度が135℃以上である任意の樹脂、例えばビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂またはポリエチレンイミン等からなるアンカーコート剤が挙げられる。特に、アンカーコート剤としては、構造中に2以上のヒドロキシル基を有するポリアクリル系樹脂又はポリメタクリル系樹脂(ポリオール)と、硬化剤としてのイソシアネート化合物との硬化物が用いられることが好ましい。また、このアンカーコート剤に、添加剤としてシランカップリング剤が添加されてもよい。また、このアンカーコート剤に、耐熱性を高めるために、硝化綿が用いられてもよい。乾燥後のアンカーコート層は、1μm以上10μm以下であることが好ましい。
【0063】
接着層
第1接着層57a、第2接着層57b、第3接着層57c、第4接着層57dおよび第5接着層57eといった接着層は、第1シーラント層51、基材層52、第2シーラント層53などを互いに接着するための層である。接着層を構成する材料は、接着する層を構成する樹脂によって適宜選択できる。
【0064】
接着層としては、例えば、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系または有機チタン系等のアンカーコーティング剤が用いられてもよい。また、接着層としては、例えば、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系またはその他のラミネート用接着剤等が任意に用いられてもよい。
【0065】
また、接着層を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-ビニルアルコール、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸共重合体、アイオノマーまたは無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂等を好適に使用できる。
【0066】
本実施の形態において、接着層の厚みは、それぞれ3μm以上60μm以下であることが好ましい。
【0067】
また、第1シーラント層51、基材層52または第2シーラント層53などを互いに積層する方法は、例えば、ウエットラミネーション法、ドライラミネ-ション法、無溶剤型ドライラミネーション法、押し出しラミネーション法、共押し出しラミネーション法、インフレーション法またはその他の任意の方法であってもよい。また、上述したラミネートを行う際に、フィルムに、例えば、コロナ処理またはオゾン処理等の前処理が施されてもよい。
【0068】
中間層
第1中間層58aおよび第2中間層58b等の中間層は、例えば、第1シーラント層51または第2シーラント層53を支持するとともに積層体50全体の強度を高めるための層である。中間層58を構成する材料としては、例えば上述した基材層52を構成する材料と同様の材料が用いられてもよい。また、中間層58は、積層体50の意匠性を向上させる役割を果たしてもよい。この場合、中間層58としては、乳化ポリエチレンフィルム等が用いられてもよい。
【0069】
本実施の形態において、中間層58の厚みは、10μm以上25μm以下であることが好ましい。
【0070】
このような積層体50は、90重量%以上が、同一素材によって構成されていることが好ましい。これにより、チューブ容器10をリサイクルする場合に、チューブ容器10を容易にリサイクルできる。
【0071】
ところで、
図3および
図4に示すように、積層体50に、外面(第1面)501側に向かって凸となる複数の第1稜線11と、内面(第2面)502側に向かって凸となる複数の第2稜線12とが形成されている。これにより、チューブ容器10に対して、立体感を有する優れた意匠が付与される。また、内容物が第1稜線11に沿って滑りやすくなる。このため、内容物が、チューブ容器10から容易に取り出される。とりわけ、内容物が第1稜線11に沿って滑りやすくなるため、内容物の残量が少なくなった場合であっても、内容物が、チューブ容器10から容易に取り出される。
【0072】
第1稜線11は、複数の第1曲線11aと、複数の第2曲線11bとを含んでいてもよい。このうち第1曲線11aは、平面視において、所定の方向における一方の側に向かって凸となるように、所定の点Pから放射状に延びている。図示された例においては、複数の第1曲線11aは、平面視において、X方向における一方の側(
図3の右側)に向かって凸となるように、所定の点Pから放射状に延びている。一方、複数の第2曲線11bは、平面視において、所定の方向における他方の側に向かって凸となるように、所定の点Pから放射状に延びている。図示された例においては、第2曲線11bは、平面視において、X方向における他方の側(
図3の左側)に向かって凸となるように、所定の点Pから放射状に延びている。これにより、
図3に示すように、チューブ容器10において、高級感をともなった豊かな意匠表現が実現される。このため、チューブ容器10の意匠性をより向上できる。
【0073】
図示された例においては、各々の第1曲線11aは、互いに同一の曲率半径をもつ円弧であり、各々の円弧の中心が互いに異なっている。この場合、各々の円弧の中心は、点Pを中心として所定の角度(
図3に示す例においては15°)ずつ回転させた位置に設けられている。
【0074】
各々の第2稜線12は、それぞれ、平面視において、所定の点Pから放射状に延びるとともに、第1曲線11aと第2曲線11bとの交点を通る仮想線IL上に形成されていてもよい。これにより、積層体50が立体感を効果的に表現できる。このため、チューブ容器10の意匠性を向上できる。
【0075】
ここで、上述した第1稜線11が積層体50に形成されていることにより、積層体50に、第1稜線11で囲まれた複数の凹凸パターン15が形成されている。互いに隣接する凹凸パターン15は、互いに異なる形状をもっている。ここでは、一例として、一の凹凸パターン15と、当該一の凹凸パターン15よりもY方向プラス側に位置するとともに同一の仮想線IL上に位置する他の凹凸パターン15とを比較する。
図3に示すように、一の凹凸パターン15は、他の凹凸パターン15と比較して、Y方向に沿った長さが長くなるとともに、凹凸パターン15のX方向に沿った長さが短くなる形状をもっている。これにより、Y方向マイナス側に向かうにつれて、Y方向に沿って内容物が滑落しやすくなる。このため、Y方向マイナス側の一端31(
図1参照)に頭部部材40を接合することにより、内容物が、チューブ容器10からより容易に取り出される。
【0076】
また、上述したように、第1稜線11は、平面視において、所定の点Pを通るように構成され得る。ここで、
図3に示すように、所定の点Pは、平面視において、積層体50とは重ならない位置に設けられた点であることが好ましい。
図3に示すように、点Pに近づくにつれて、仮想線ILが延びる方向に沿った凹凸パターン15の長さが長くなり、仮想線ILが延びる方向に直交する方向に沿った凹凸パターン15の長さが短くなる。すなわち、点Pに近づくにつれて、点Pに向けて内容物が滑りやすくなる。このため、点Pが、平面視において、積層体50とは重ならない位置に設けられていることにより、内容物が、チューブ容器10から更に容易に取り出される。なお、図示はしないが、点Pは、平面視において、積層体50と重なる位置に設けられた点であってもよい。
【0077】
図4に示すように、所定の断面において、第2稜線12から、当該第2稜線12に隣り合う第1稜線11までの高さH1は、0.1mm以上0.5mm以下である。ここで、所定の断面とは、第1平面P1の法線方向N1に沿った断面である。また、第1平面P1は、複数の第1稜線11を含む平面である。さらに、高さH1は、外面(第1面)501における高さである。高さH1が0.1mm以上であることにより、第1稜線11が目立つようになる。このため、チューブ容器10の意匠性を向上できる。また、高さH1が0.5mm以下であることにより、後述するように、エンボス加工によって第1稜線11および第2稜線12を成形する際の成形性を向上できる。なお、上述した高さH1および後述する高さH2は、それぞれ、レーザー顕微鏡(例えば、株式会社キーエンス製、形状解析レーザー顕微鏡VK-8710(製品名))を用いて測定できる。
【0078】
また、所定の断面において、第2稜線12から、当該第2稜線12に隣り合う第1稜線11までの高さH2は、0.1mm以上0.5mm以下である。ここで、所定の断面とは、第2平面P2の法線方向N2に沿った断面である。また、第2平面P2は、複数の第2稜線12を含む平面である。さらに、高さH2は、内面(第2面)502における高さである。高さH2が0.1mm以上であることにより、内容物が第1稜線11に沿って滑落しやすくなる。また、高さH2が0.5mm以下であることにより、後述するように、エンボス加工によって第1稜線11および第2稜線12を成形する際の成形性を向上できる。なお、本実施の形態では、第2平面P2の法線方向N2は、第1平面P1の法線方向N1と平行になっている。しかしながら、これに限られず、第2平面P2の法線方向N2が、第1平面P1の法線方向N1に非平行になっていてもよい。
【0079】
さらに、高さH1は、高さH2以上であってもよい。ここで、外面501における高さH1は、内面502における高さH2よりも、胴部チューブ30が形状を保持する性能に影響を与え得ることが判明した。そして、高さH1が高さH2以上であることにより、胴部チューブ30が形状を保持する性能が、向上し得ることが判明した。このため、高さH1が高さH2以上であることにより、胴部チューブ30の形状を効果的に保つことができる。
【0080】
また、高さH1が高さH2以上であることにより、チューブ容器10の品質を良好に保ちつつ、チューブ容器10の意匠性を向上できるようになる。すなわち、上述したように、高さH1を高くした場合、外面501において第1稜線11が目立つようになるため、チューブ容器10の意匠性を向上できる。また、高さH2を低くした場合、積層体50の第2シーラント層53または第2バリア層55b(バリア層55)等が、エンボス加工によって損傷を受けてしまうことを抑制できる。これにより、内容物の成分(例えばアルコール等)が積層体50の各層に浸透してしまうことを抑制でき、例えば基材層52が変質(例えば膨潤)してしまうことを抑制できる。このように、高さH1が高さH2以上であることにより、チューブ容器10の品質を良好に保ちつつ、チューブ容器10の意匠性を向上できるようになる。
【0081】
上述した第1稜線11は、印刷層54が表示する絵柄に対応するように設けられていてもよい。この場合、第1稜線11が、印刷層54が表示する絵柄の輪郭に沿うように形成されていてもよい。これにより、印刷層54が表示する絵柄が目立つようになる。このため、チューブ容器10の意匠性を更に向上できる。
【0082】
次に、
図5乃至
図8を参照して、キャップ付きチューブ容器10Aの製造方法について説明する。
【0083】
まず、例えば、
図2Aに示す積層体50を準備する。この際、まず、
図2Aに示す層構成を有する積層体中間体50a(
図5参照)を準備する。
【0084】
次に、
図5に示すように、積層体中間体50aに対してエンボス加工を施すことにより、積層体50が作製される。この積層体50には、外面501側に向かって凸となる複数の第1稜線11と、内面502側に向かって凸となる複数の第2稜線12とが形成される。この際、積層体中間体50aは、表面に凹凸構造が形成された冷却ロール85と、表面に凹凸構造が形成されたゴムロール86との間を通過する。これにより、積層体中間体50aに、外面501側に向かって凸となる複数の第1稜線11と、内面502側に向かって凸となる複数の第2稜線12とが形成される。このようにして、積層体50が得られる。
【0085】
次に、積層体50を丸め、対向する縁部35同士を例えばヒートシールにより接合する。これにより、積層体50を製筒し、胴部チューブ30を作製する。この際、まず、
図6(a)に示すように、円筒形状の内側シール部材80の外面上に積層体50を巻き付けて、積層体50の対向する縁部35同士を重ね合わせる。この際、積層体50の第2シーラント層53が内側シール部材80の外面と向かい合うように、積層体50を内側シール部材80に巻き付ける。また、積層体50の対向する縁部35同士を重ね合わせる際、積層体50は、図示しないガイドロールにより、下流側(
図6(a)の左側)に搬送される。なお、内側シール部材80は、金属、例えば、ステンレスから作製される。
【0086】
次に、
図6(b)に示すように、積層体50の対向する縁部35同士が重ね合わされた部分に、外側シール部材81を押し当てて、内側シール部材80と外側シール部材81とによって、積層体50の対向する縁部35同士が重ね合わされた部分を挟み込む。次いで、積層体50の対向する縁部35同士が重ね合わされた部分をヒートシールにより接合する。
【0087】
この場合、積層体50の外面501側に設けられた第1シーラント層51(
図2A参照)と、内面502側に設けられた第2シーラント層53(
図2A参照)とが溶融して接合される。
【0088】
その後、接合された積層体50を個々の胴部チューブ30に切断する。このようにして、
図7に示すように、胴部チューブ30が作製される。この際、胴部チューブ30を作製する速度は、300個/min程度の速度であってもよい。
【0089】
次に、圧縮成形法により上述したチューブ容器10を製造する。この際、胴部チューブ30が図示しない金型内に挿着され、金型内に、図示しない樹脂供給装置から溶融した樹脂を供給することにより、胴部チューブ30の一方の開口部50Aに、頭部部材40が圧縮成形される。これにより、胴部チューブ30と、胴部チューブ30の一端31に接合された頭部部材40とを備えるチューブ容器10が得られる(
図8参照)。
【0090】
なお、上述したように、胴部チューブ30と頭部部材40との接合は、頭部部材40を圧縮成形法で成形する際に、熱溶着により行われる。しかしながら、これに限定されることはなく、胴部チューブ30と頭部部材40との接合は、射出成形法により行われても良い。
【0091】
次に、得られたチューブ容器10の頭部部材40にキャップ20が装着され、キャップ20が装着されたキャップ付きチューブ容器10Aが得られる。その後、複数のキャップ付きチューブ容器10Aは、内容物Cを充填するための工場等へ搬送される。
【0092】
そして、内容物Cを充填するための工場等へ搬送されたキャップ付きチューブ容器10Aに対して、内容物Cが充填される。このとき、例えば、クレンジング用剤、練り歯磨きまたはその他の内容物Cが、胴部チューブ30の開口部50B(
図8参照)から、適量分だけ充填される。そして、開口部50Bを溶着して底シール部34(
図1参照)を形成して、内容物Cを充填包装したキャップ付きチューブ容器10Aが得られる。
【0093】
以上のように本実施の形態によれば、積層体50に、外面501側に向かって凸となる複数の第1稜線11と、内面502側に向かって凸となる複数の第2稜線12とが形成されている。これにより、チューブ容器10に対して、立体感を有する優れた意匠が付与される。また、チューブ容器10において、胴部チューブ30の真円度を高く保つことができる。このため、胴部チューブ30を消費者の指により、胴部チューブ30を押し潰しやすくできる。このため、チューブ容器10から内容物を取り出しやすくできる。
【0094】
また、外面501において、第2稜線12から第1稜線11までの高さH1が、0.1mm以上0.5mm以下である。このように高さH1が0.1mm以上であることにより、第1稜線11が目立つようになるため、チューブ容器10の意匠性を向上できる。また、高さH1が0.5mm以下であることにより、エンボス加工によって第1稜線11および第2稜線12を成形する際の成形性を向上できる。さらに、内面502において、第2稜線12から第1稜線11までの高さH1が、0.1mm以上0.5mm以下である。このように高さH2が0.1mm以上であることにより、内容物が第1稜線11に沿って滑落しやすくなる。また、高さH2が0.5mm以下であることにより、エンボス加工によって第1稜線11および第2稜線12を成形する際の成形性を向上できる。なお、内容物が、チューブ容器10から容易に取り出せることは、後述する実施例によって説明する。
【0095】
また、本実施の形態によれば、第1稜線11が、平面視において、X方向における一方の側(
図3の右側)に向かって凸となるように、所定の点Pから放射状に延びる複数の第1曲線11aと、平面視において、X方向における他方の側(
図3の左側)に向かって凸となるように、所定の点Pから放射状に延びる複数の第2曲線11bとを含んでいる。これにより、チューブ容器10において、高級感をともなった豊かな意匠表現が実現される。このため、チューブ容器10の意匠性をより向上できる。
【0096】
また、本実施の形態によれば、各々の第2稜線12が、それぞれ、平面視において、所定の点Pから放射状に延びるとともに、第1曲線11aと第2曲線11bとの交点を通る仮想線IL上に形成されている。これにより、積層体50が立体感を効果的に表現できる。このため、チューブ容器10の意匠性を向上できる。
【0097】
また、本実施の形態によれば、第1シーラント層51が、押出ラミネート成形層またはインフレーション成形層を含んでいる。これにより、積層体50に第1稜線11および第2稜線12を形成する際に、第1稜線11および第2稜線12の成形性を向上できる。
【0098】
また、本実施の形態によれば、基材層52上に設けられた印刷層54を更に備えている。これにより、チューブ容器10の意匠性を更に向上できる。
【0099】
また、本実施の形態によれば、第1稜線11は、印刷層54が表示する絵柄に対応している。これにより、チューブ容器10の意匠性を更に向上できる。
【0100】
また、本実施の形態によれば、基材層52と第2シーラント層53との間に設けられたバリア層55を更に備え、バリア層55は、アルミニウム箔である。これにより、チューブ容器10のバリア性を向上できる。また、バリア層55がアルミニウム箔であることにより、第1稜線11および第2稜線12の成形性を更に向上できるとともに、第1稜線11および第2稜線12の形状を効果的に保持できる。
【0101】
また、本実施の形態によれば、積層体50が、積層体50の外面501を構成するとともに第1シーラント層51を保護する保護層59を更に備えている。これにより、第1シーラント層51に傷が付くことを抑制できる。このため、胴部チューブ30同士が擦れた場合であっても、胴部チューブ30の外面に傷が付くことを抑制でき、チューブ容器10の外観を維持できる。
【0102】
また、本実施の形態によれば、第1シーラント層51、基材層52および第2シーラント層53のうちの少なくとも1つが、バイオマス由来成分を含んでいる。これにより、胴部チューブ30を作製する一連の工程で排出される二酸化炭素の排出量を削減できる。このため、チューブ容器10の環境負荷を低減できる。
【0103】
また、本実施の形態によれば、基材層52が、紙を含んでいる。これにより、積層体50に使用する樹脂量を低減できる。このため、胴部チューブ30に使用するプラスチックの使用量を削減できるため、チューブ容器10の環境負荷を低減できる。
【0104】
なお、上述した本実施の形態においては、第1稜線11が、外面501側に向かって凸となり、第2稜線12が、内面502側に向かって凸となる例について説明したが、これに限られない。例えば、図示はしないが、第1稜線11が、内面502側に向かって凸となり、第2稜線12が、外面501側に向かって凸となっていてもよい。
【0105】
また、上述した本実施の形態においては、第1稜線11が、第1曲線11aと第2曲線11bとを含んでいる例について説明したが、これに限られない。例えば、図示はしないが、第1稜線11および第2稜線12は、任意の絵柄を呈するように構成されていてもよい。
【実施例0106】
次に、上記実施の形態における具体的実施例について述べる。
【0107】
(実施例1)
まず、
図2Aに示す積層体50を作製した。この際、まず、基材層52として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、EB512(商品名)、厚み12μm)を準備した。続いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、第2印刷層54bを形成した。
【0108】
次に、上述した第2印刷層54b上に、アンカーコート材を介して、第1接着層57aとしてのポリエチレンを押し出した。なお、第1接着層57aの厚みは、20μmとした。このようにして、積層体50の第1中間体を作製した。得られた第1中間体の層構成は、以下の通りである。
PET/印/AC/接
上記において、「PET」は、ポリエチレンテレフタレートを意味している(以下同様)。また、「/」は層と層との境界を表している(以下同様)。また、「印」は印刷層を意味している(以下同様)。また、「AC」は、アンカーコート層を意味している(以下同様)。さらに、「接」は、接着層を意味している(以下同様)。
【0109】
次いで、中間層58として、乳白ポリエチレンフィルム(株式会社DNPテクノパック社製、SR-WN2(商品名)、厚み100μm)を準備した。また、バリア層55として、アルミニウム箔(厚み10μm)を準備した。さらに、第2シーラント層53として、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(株式会社DNPテクノパック社製、SR-WN2(商品名)、厚み100μm)を準備した。
【0110】
次に、第1中間体の第1接着層57a上に、中間層58を積層した。また、中間層58上に、第2接着層57bとしてのエチレン-メタクリル酸共重合体を押し出し、押出ラミネート法により、第2接着層57b上にバリア層55を積層した。なお、第2接着層57bの厚みは、20μmとした。さらに、バリア層55上に、第3接着層57cとしてのエチレン-メタクリル酸共重合体を押し出し、押出ラミネート法により、第3接着層57c上に第2シーラント層53を積層した。なお、第3接着層57cの厚みは、30μmとした。このようにして、積層体50の第2中間体を作製した。得られた第2中間体の層構成は、以下の通りである。
PET/印/AC/接/乳白PE/接/ALM箔/接/PE
上記において、「乳白PE」は、乳白ポリエチレンフィルムを意味している(以下同様)。また、「ALM箔」は、アルミ箔を意味している(以下同様)。さらに、「PE」は、ポリエチレンを意味している(以下同様)。
【0111】
次いで、第2中間体の基材層52上に、アンカーコート材を介して、第1シーラント層51の第3樹脂層51cとしてのポリエチレンを押し出した。なお、第3樹脂層51cの厚みは、20μmとした。
【0112】
次に、第1シーラント層51の第2樹脂層51bとして、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(株式会社DNPテクノパック社製、SR-WN2(商品名)、厚み60μm)を準備し、押出ラミネート法により、第3樹脂層51c上に、第2樹脂層51bを積層した。また、第2樹脂層51b上に、第1樹脂層51aとしてのポリエチレンを押し出し、第2樹脂層51b上に第1シーラント層51としての第1樹脂層51aを積層した。なお、第1樹脂層51aの厚みは、30μmとした。このようにして、積層体50の第3中間体を作製した。得られた第3中間体の層構成は、以下の通りである。
PE/PE/PE/AC/PET/印/AC/接/乳白PE/接/ALM箔/接/PE
【0113】
続いて、第1シーラント層51の第1樹脂層51a上に、第1印刷層54aを形成した。その後、第1印刷層54aを保護するための保護層59として、第1印刷層54a上にニスを印刷した。このようにして、積層体中間体50aを作製した。得られた積層体中間体50aの層構成は、以下の通りである。
ニス/印/PE/PE/PE/AC/PET/印/AC/接/乳白PE/接/ALM箔/接/PE
【0114】
その後、積層体中間体50aに対してエンボス加工を施し、積層体50を作製した。このとき、長さが約1000mの積層体中間体50aに対して、連続してエンボス加工を施した。また、外面501において、第2稜線12から第1稜線11までの高さH1は、253.8μmであった。また、内面502において、第2稜線12から第1稜線11までの高さH2は、263.7μmであった。なお、高さH1および高さH2は、それぞれ、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製、形状解析レーザー顕微鏡VK-8710(製品名))を用いて測定した。
【0115】
(1)成形性評価
次に、積層体中間体50aから積層体50を作製する際の成形性評価を行った。この際、冷却ロール85およびゴムロール86から積層体50が容易に剥離できたか否かについて観察した。また、冷却ロール85およびゴムロール86の表面に目詰まり等が生じていたか否かについて観察した。
【0116】
(2)内容物の滑落時間評価
また、内容物の滑落時間評価を行った。このとき、まず、得られた積層体50を壁面に貼り付けた。この際、積層体50の外面501が壁面と向かい合うとともに、Y方向(積層体50の流れ方向)が上下方向と平行になるように、積層体50を壁面に貼り付けた。次に、積層体50の内面502に内容物を塗り付けた。このとき、内容物が直径約4mm、高さ約5mmの円柱状となるように、約3gの内容物を積層体50の内面502に塗り付けた。内容物としては、トリートメント(クラシエ社製、いち髪トリートメント(商品名))およびハンドクリーム(コーセー社製、Q10(商品面))を用いた。そして、塗り付けられた内容物が、積層体50の内面502を100mm滑落した際の時間を測定した。測定は、各内容物に対して3回ずつ行い、各平均値を滑落時間とした。
【0117】
(3)耐傷性評価
また、耐傷性評価を行った。このとき、まず、得られた積層体50を用いて、
図1に示すチューブ容器10を2つ作製した。次に、チューブ容器10の胴部チューブ30同士を擦り合わせて、胴部チューブ30に発生した擦り傷について観察した。
【0118】
(4)バリア性評価
また、バリア性評価を行った。このとき、積層体50(100mm×100mm)の酸素透過度を、JISK7126-2(等圧法)に準拠した23℃×90%RH環境下でMOCON法を用いて測定した。また、積層体50(100mm×100mm)の水蒸気透過度を、JISK7129Bに準拠した40℃×90%RH環境下でMOCON法を用いて測定した。
【0119】
(5)ループスティフネス評価
さらに、ループスティフネス評価を行った。この際、まず、積層体50の流れ方向(Y方向)におけるループスティフネスを測定した。ここで、ループスティフネスとは、積層体50のこしの強さを表すパラメータである。
【0120】
この際、まず、積層体50を幅15mm、長さ100mmに切り出すことにより、試験片を作製した。このとき、試験片の長手方向が積層体50の流れ方向(Y方向)と一致するように、試験片を切り出した。次に、一対のチャック(図示せず)によって、試験片の長手方向両端部を挟み、チャック同士を互いに近づけることにより、試験片をループ状に丸めた。この際、ループ長さを70mmとした。次に、圧子(図示せず)により試験片を押し込むことにより、ループスティフネスを測定した。圧子により試験片を押し込む際、初期位置において、試験片を挟むチャックと圧子との上下方向距離は、15mmであった。そして、当該初期位置から圧子を下降させることにより、圧子により試験片を押し込んだ。測定器としては、東洋精機製作所社製のループステフネステスタ(登録商標)を用いた。荷重レンジは5000mNとし、圧縮速度は、3.3mm/sとし、圧子が試験片を押し込む時間は3秒とした。
【0121】
また、積層体50の幅方向(X方向)におけるループスティフネスを測定した。この際、試験片の長手方向が積層体50の幅方向と一致するように試験片を切り出したこと、以外は、積層体50の流れ方向におけるループスティフネスの測定と同様にして、ループスティフネスを測定した。
【0122】
(実施例2)
まず、
図2Bに示す積層体50を作製した。この際、まず、基材層52として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、EB512(商品名)、厚み12μm)を準備した。また、第1中間層58aとして、アルミニウムの蒸着層(第1バリア層55a)が設けられたポリエチレンテレフタレートフィルム(東レフィルム加工株式会社製、VM-PET 1310(商品名)、厚み12μm)を準備した。
【0123】
次に、基材層52用のポリエチレンテレフタレートフィルムおよび第1中間層58a用のポリエチレンテレフタレートフィルムをドライラミネート法により接着させて積層体50の第1中間体を作製した。得られた第1中間体の層構成は、以下の通りである。
PET/DL/ALM/PET
上記において、また、「DL」は、2液硬化型ウレタン接着剤を用いたドライラミネート法による接着層を意味している(以下同様)。さらに、「ALM」は、アルミニウムの蒸着層を意味している(以下同様)。
【0124】
また、第2中間層58bとして、乳白ポリエチレンフィルム(タマポリ株式会社製、HD白(商品名)、厚み60μm)を準備した。
【0125】
次に、第1中間体の第1中間層58a上に、アンカーコート材を介して、第2接着層57bとしてのポリエチレンを押し出し、押出ラミネート法により、第2接着層57b上に第2中間層58bを積層した。なお、第2接着層57bの厚みは、20μmとした。このようにして、積層体50の第2中間体を作製した。得られた第2中間体の層構成は、以下の通りである。
PET/DL/ALM/PET/AC/接/乳白PE
【0126】
次いで、第2バリア層55bとして、アルミニウム箔(厚み10μm)を準備した。
【0127】
次に、第2中間体の第2中間層58b上に、アンカーコート材を介して、第3接着層57cとしてのエチレン-メタクリル酸共重合体を押し出し、押出ラミネート法により、第3接着層57c上に第2バリア層55bを積層した。なお、第3接着層57cの厚みは、20μmとした。また、第2バリア層55b上に、第4接着層57dとしてのエチレン-メタクリル酸共重合体を押し出し、第4接着層57d上に第2シーラント層53としての第2樹脂層53bを積層した。なお、第4接着層57dの厚みは、30μmとし、第2樹脂層53bの厚みは、25μmとした。さらに、第2シーラント層53としての第2樹脂層53b上に、第1樹脂層53aとしての低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、ノバテックLC602A(商品名))を押し出し、第2樹脂層53b上に第2シーラント層53としての第1樹脂層53aを積層した。なお、第1樹脂層53aの厚みは、25μmとした。このようにして、積層体50の第3中間体を作製した。得られた第3中間体の層構成は、以下の通りである。
PET/DL/ALM/PET/AC/接/乳白PE/AC/接/ALM箔/接/PE/PE
【0128】
次いで、第3中間体の基材層52上に、アンカーコート材を介して、第1シーラント層51の第2樹脂層51bとしてのポリエチレンを押し出した。なお、第2樹脂層51bの厚みは、20μmとした。
【0129】
次に、第1シーラント層51としての第2樹脂層51b上に、第1樹脂層51aとしての低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、ノバテックLC602A(商品名))を押し出し、第2樹脂層51b上に第1シーラント層51としての第1樹脂層51aを積層した。なお、第1樹脂層51aの厚みは、30μmとした。このようにして、積層体50の第4中間体を作製した。得られた第4中間体の層構成は、以下の通りである。
PE/PE/AC/PET/DL/ALM/PET/AC/接/乳白PE/AC/接/ALM箔/接/PE/PE
【0130】
続いて、第1シーラント層51の第1樹脂層51a上に、第1印刷層54aを形成した。その後、第1印刷層54aを保護するための保護層59として、第1印刷層54a上にニスを印刷した。このようにして、積層体中間体50aを作製した。得られた積層体中間体50aの層構成は、以下の通りである。
ニス/印/PE/PE/AC/PET/DL/ALM/PET/AC/接/乳白PE/AC/接/ALM箔/接/PE/PE
【0131】
次に、積層体中間体50aに対してエンボス加工を施し、積層体50を作製した。このとき、長さが約1000mの積層体中間体50aに対して、連続してエンボス加工を施した。また、外面501において、第2稜線12から第1稜線11までの高さH1は、253.8μmであった。また、内面502において、第2稜線12から第1稜線11までの高さH2は、263.7μmであった。
【0132】
その後、実施例1と同様にして、成形性評価、内容物の滑落時間評価、耐傷性評価、バリア性評価およびループスティフネス評価を行った。
【0133】
(実施例3)
まず、
図2Cに示す積層体50を作製した。この際、まず、基材層52として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、EB512(商品名)、厚み12μm)を準備した。続いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、印刷層54を形成した。
【0134】
また、第1中間層58aとして、アルミニウムの蒸着層(第1バリア層55a)が設けられたポリエチレンテレフタレートフィルム(東レフィルム加工株式会社製、VM-PET 1310(商品名)、厚み12μm)を準備した。また、第2中間層58bとして、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(株式会社DNPテクノパック社製、SR-WN2(商品名)、厚み80μm)を準備した。
【0135】
次に、基材層52用のポリエチレンテレフタレートフィルム、第1中間層58a用のポリエチレンテレフタレートフィルムおよび第2中間層58b用の直鎖状低密度ポリエチレンフィルムをドライラミネート法により接着させて積層体50の第1中間体を作製した。得られた第1中間体の層構成は、以下の通りである。
PET/印/DL/ALM/PET/DL/PE
【0136】
次いで、第2バリア層55bとして、アルミニウム箔(厚み9μm)を準備した。また、第2シーラント層53として、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(株式会社DNPテクノパック社製、SR-XN(商品名)、厚み100μm)を準備した。
【0137】
次に、第1中間体の第2中間層58b上に、アンカーコート材を介して、第3接着層57cとしてのエチレン-メタクリル酸共重合体を押し出し、押出ラミネート法により、第3接着層57c上に第2バリア層55bを積層した。なお、第3接着層57cの厚みは、20μmとした。また、第2バリア層55b上に、第4接着層57dとしてのエチレン-メタクリル酸共重合体を押し出し、第4接着層57d上に第2シーラント層53を積層した。なお、第4接着層57dの厚みは、30μmとした。このようにして、積層体50の第2中間体を作製した。得られた第2中間体の層構成は、以下の通りである。
PET/印/DL/ALM/PET/DL/PE/AC/接/ALM箔/接/PE
【0138】
次いで、第2中間体の基材層52上に、アンカーコート材を介して、第1シーラント層51の第3樹脂層51cとしてのポリエチレンを押し出した。なお、第3樹脂層51cの厚みは、20μmとした。
【0139】
次に、第1シーラント層51の第2樹脂層51bとして、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(株式会社DNPテクノパック社製、SR-WN2(商品名)、厚み60μm)を準備し、押出ラミネート法により、第3樹脂層51c上に、第2樹脂層51bを積層した。また、第2樹脂層51b上に、第1樹脂層51aとしての低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、ノバテックLC602A(商品名))を押し出し、第2樹脂層51b上に第1シーラント層51としての第1樹脂層51aを積層した。なお、第1樹脂層51aの厚みは、30μmとした。このようにして、積層体50の第3中間体を作製した。得られた第3中間体の層構成は、以下の通りである。
PE/PE/PE/AC/PET/印/DL/ALM/PET/DL/PE/AC/接/ALM箔/接/PE
【0140】
続いて、第1シーラント層51を保護するための保護層59として、第1シーラント層51の第1樹脂層51a上にニスを印刷した。このようにして、積層体中間体50aを作製した。得られた積層体中間体50aの層構成は、以下の通りである。
ニス/PE/PE/PE/AC/PET/印/DL/ALM/PET/DL/PE/AC/接/ALM箔/接/PE
【0141】
次に、積層体中間体50aに対してエンボス加工を施し、積層体50を作製した。このとき、長さが約1000mの積層体中間体50aに対して、連続してエンボス加工を施した。また、外面501において、第2稜線12から第1稜線11までの高さH1は、253.8μmであった。また、内面502において、第2稜線12から第1稜線11までの高さH2は、263.7μmあった。
【0142】
その後、実施例1と同様にして、成形性評価、内容物の滑落時間評価、耐傷性評価、バリア性評価およびループスティフネス評価を行った。
【0143】
(実施例4)
まず、
図2Dに示す積層体50を作製した。この際、まず、バリア層55として、アルミニウム箔(厚み9μm)を準備した。また、中間層58として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製、E5200(商品名)、厚み12μm)を準備した。
【0144】
次に、バリア層55用のアルミニウム箔および中間層58用のポリエチレンテレフタレートフィルムをドライラミネート法により接着させて積層体50の第1中間体を作製した。得られた第1中間体の層構成は、以下の通りである。
ALM箔/DL/PET
【0145】
また、基材層52として、晒紙(大王製紙株式会社製、ナゴヤ晒竜王、坪量76g/m2)を準備した。続いて、基材層52上に、印刷層54を形成した。
【0146】
次に、上述した基材層52上に、第1接着層57aとしてのエチレン-メタクリル酸共重合体を押し出し、押出ラミネート法により、第1接着層57a上に、第1中間体のバリア層55を積層した。なお、第1接着層57aの厚みは、20μmとした。このようにして、積層体50の第2中間体を作製した。得られた第2中間体の層構成は、以下の通りである。
印/晒紙/接/ALM箔/DL/PET
【0147】
次いで、第2中間体の印刷層54上に、第1シーラント層51の第3樹脂層51cとしてのポリエチレンを押し出した。なお、第3樹脂層51cの厚みは、20μmとした。
【0148】
次に、第1シーラント層51の第2樹脂層51bとして、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(株式会社DNPテクノパック社製、SR-WN2(商品名)、厚み60μm)を準備し、押出ラミネート法により、第3樹脂層51c上に、第2樹脂層51bを積層した。また、第2樹脂層51b上に、第1樹脂層51aとしてのポリエチレンを押し出し、第2樹脂層51b上に第1シーラント層51としての第1樹脂層51aを積層した。なお、第1樹脂層51aの厚みは、20μmとした。このようにして、積層体50の第3中間体を作製した。得られた第3中間体の層構成は、以下の通りである。
PE/PE/PE/印/晒紙/接/ALM箔/DL/PET
【0149】
次いで、第3中間体の中間層58上に、アンカーコート材を介して、第2シーラント層53の第2樹脂層53bとしてのポリエチレンを押し出した。なお、第2樹脂層53bの厚みは、20μmとした。
【0150】
次に、第2シーラント層53の第1樹脂層53aとして、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(株式会社DNPテクノパック社製、SR-WN2(商品名)、厚み60μm)を準備し、押出ラミネート法により、第2樹脂層53b上に、第1樹脂層53aを積層した。このようにして、積層体中間体50aを作製した。得られた積層体中間体50aの層構成は、以下の通りである。
PE/PE/PE/印/晒紙/接/ALM箔/DL/PET/AC/PE/PE
【0151】
次に、積層体中間体50aに対してエンボス加工を施し、積層体50を作製した。このとき、長さが約1000mの積層体中間体50aに対して、連続してエンボス加工を施した。また、外面501において、第2稜線12から第1稜線11までの高さH1は、253.8μmであった。また、内面502において、第2稜線12から第1稜線11までの高さH2は、263.7μmであった。
【0152】
その後、実施例1と同様にして、成形性評価、内容物の滑落時間評価、耐傷性評価、バリア性評価およびループスティフネス評価を行った。
【0153】
(実施例5)
まず、
図2Eに示す積層体50を作製した。この際、まず、基材層52の第1樹脂層52aとしての直鎖状低密度ポリエチレン(ダウケミカル製、DOWLEX2098G(商品名)、密度0.926g/cm
3)と、第2樹脂層52bとしての高密度ポリエチレン(エクソンモービル製、HTA108(商品名)、密度0.961g/cm
3)と、第3樹脂層52cとしての直鎖状低密度ポリエチレン(エクソンモービル製、Exceed2018HA(商品名)、密度0.918g/cm
3)とを準備した。そして、これらの樹脂をインフレーション法により共押出成膜し、基材層52としての樹脂フィルムを得た。なお、第1樹脂層52aの厚みは、12.5μmとし、第2樹脂層52bの厚みは25μmとし、第3樹脂層52cの厚みは、12.5μmとした。
【0154】
次に、基材層52の第1樹脂層52aの表面に、PVD法により、第1バリア層55aとしてのアルミニウムの蒸着層を形成した。なお、アルミニウムの蒸着層の厚みは、20nmとした。このようにして、積層体50の第1中間体を作製した。得られた第1中間体の層構成は、以下の通りである。
ALM/PE/PE/PE
【0155】
次いで、第1中間層58aとしての直鎖状低密度ポリエチレン(ダウケミカル製、DOWLEX2045G(商品名)、密度0.920g/cm3)、第3接着層57cとしての接着性樹脂(三井化学製、アドマーNF557(商品名))、第2バリア層55bとしてのエチレン-ビニルアルコール共重合体(クラレ製、エバールH171B(商品名)、密度1.17g/cm3、エチレン含有率38mol%)、第4接着層57dとしての接着性樹脂(三井化学製、アドマーNF557(商品名))および第2中間層58bとしての直鎖状低密度ポリエチレン(ダウケミカル製、DOWLEX2045G(商品名)、密度0.920g/cm3)を準備した。そして、これらの樹脂をインフレーション法により共押出成膜し、積層体50の第2中間体を作製した。
【0156】
なお、第2中間体において、第1中間層58aの厚みは、21.9μmとし、第3接着層57cの厚みは、6.25μmとし、第2バリア層55bの厚みは、18.75μmとし、第4接着層57dの厚みは、6.25μmとし、第2中間層58bの厚みは、21.9μmとした。得られた第2中間体の層構成は、以下の通りである。
PE/接/EVOH/接/PE
【0157】
次に、第1中間体の基材層52の第3樹脂層52c上に、第2接着層57bとしての低密度ポリエチレン(住友化学製、スミカセンL705(商品名)、密度:0.919g/cm3)を押し出し、押出ラミネート法により、第2接着層57b上に第2中間体を積層した。なお、第2接着層57bの厚みは、15μmとした。このようにして、積層体50の第3中間体を作製した。得られた第3中間体の層構成は、以下の通りである。
ALM/PE/PE/PE/接/PE/接/EVOH/接/PE
【0158】
次いで、第2シーラント層53の第1樹脂層53aとしてのポリエチレン(ダウケミカル製DOWLEX 2038.68G、AB-MB 101820-K)、第2樹脂層53bとしてのポリエチレン(ダウケミカル製ELITE 5538G(商品名)、およびPTT CHEMICAL製LDPE LD2420F(商品名)の混合物)、並びに第3樹脂層53cとしてのポリエチレン(ダウケミカル製DOWLEX 2038.68G(商品名)、およびPTT CHEMICAL製LDPE LD2420H(商品名)の混合物)を準備した。
【0159】
次に、第3中間体の第2中間層58b上に、第5接着層57eとしての低密度ポリエチレン(住友化学製、スミカセンL705(商品名)、密度:0.919g/cm3)を押し出し、共押出ラミネート法により、第5接着層57e上に、第2シーラント層53としての第1樹脂層53a、第2樹脂層53bおよび第3樹脂層53cを積層した。なお、第1樹脂層53aの厚みは、30μmとし、第2樹脂層53bの厚みは、60μmとし、第3樹脂層53cの厚みは、30μmとした。このようにして、積層体50の第4中間体を作製した。得られた第4中間体の層構成は、以下の通りである。
ALM/PE/PE/PE/接/PE/接/EVOH/接/PE/接/PE/PE/PE
【0160】
次いで、第1シーラント層51の第1樹脂層51aとしてのポリエチレン(EXXON CHEMICAL製ENABLE 2705MC(商品名)、EXXON CHEMICAL製EXCEED 1327MA(商品名)およびPTT CHEMICAL製LDPE LD2420F(商品名)の混合物)、第2樹脂層51bとしてのポリエチレン(EXXON CHEMICAL製ENABLE 3505MC(商品名)、ダウケミカル製ELITE 5860G1(商品名)およびPTT CHEMICAL製LDPE LD2420F(商品名)の混合物)、並びに第3樹脂層51cとしてのポリエチレン(EXXON CHEMICAL製ENABLE 2705MC(商品面)、EXXON CHEMICAL製EXCEED 1327MA(商品面)およびPTT CHEMICAL製LDPE LD2420F(商品面)の混合物)を準備した。そして、これらの樹脂をインフレーション法により共押出成膜し、積層体50の第5中間体を作製した。
【0161】
なお、第5中間体において、第1樹脂層51aの厚みは、18.75μmとし、第2樹脂層51bの厚みは、37.5μmとし、第3樹脂層51cの厚みは、18.75μmとした。得られた第5中間体の層構成は、以下の通りである。
PE/PE/PE
【0162】
次に、第4中間体および第5中間体をドライラミネート法により接着させて積層体50の第6中間体を作製した。得られた第6中間体の層構成は、以下の通りである。
PE/PE/PE/DL/ALM/PE/PE/PE/接/PE/接/EVOH/接/PE/接/PE/PE/PE
【0163】
続いて、第1シーラント層51の第1樹脂層51a上に、第1印刷層54aを形成した。その後、第1印刷層54aを保護するための保護層59として、第1印刷層54a上にニスを印刷した。このようにして、積層体中間体50aを作製した。得られた積層体中間体50aの層構成は、以下の通りである。
ニス/印/PE/PE/PE/DL/ALM/PE/PE/PE/接/PE/接/EVOH/接/PE/接/PE/PE/PE
【0164】
次に、積層体中間体50aに対してエンボス加工を施し、積層体50を作製した。このとき、長さが約1000mの積層体中間体50aに対して、連続してエンボス加工を施した。また、外面501において、第2稜線12から第1稜線11までの高さH1は、196.1μmであった。また、内面502において、第2稜線12から第1稜線11までの高さH2は、187.7μmであった。
【0165】
その後、実施例1と同様にして、成形性評価、内容物の滑落時間評価、耐傷性評価、バリア性評価およびループスティフネス評価を行った。
【0166】
(実施例6)
まず、
図2Fに示す積層体50を作製した。この際、まず、基材層52として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、EB512(商品名)、厚み12μm)を準備した。続いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、印刷層54を形成した。
【0167】
また、中間層58として、アルミニウムの蒸着層(バリア層55)が設けられたポリエチレンテレフタレートフィルム(尾池工業株式会社製、テトライトEXC-B(商品名)、厚み12μm)を準備した。また、第2シーラント層53として、ポリエチレンフィルム(株式会社DNPテクノパック社製、BCO-LZ27N(商品名)、厚み110μm)を準備した。
【0168】
次に、基材層52用のポリエチレンテレフタレートフィルム、中間層58用のポリエチレンテレフタレートフィルムおよび第2シーラント層53用のポリエチレンフィルムをドライラミネート法により接着させて積層体50の第1中間体を作製した。得られた第1中間体の層構成は、以下の通りである。
PET/印/DL/ALM/PET/DL/PE
【0169】
また、第1シーラント層51として、ポリエチレンフィルム(株式会社DNPテクノパック社製、BCO-LZ27N(商品名)、厚み90μm)を準備した。
【0170】
次に、第1シーラント層51用のポリエチレンテレフタレートフィルムおよび第1中間体をドライラミネート法により接着させて積層体中間体50aを作製した。得られた積層体中間体50aの層構成は、以下の通りである。
PE/DL/PET/印/DL/ALM/PET/DL/PE
【0171】
次に、積層体中間体50aに対してエンボス加工を施し、積層体50を作製した。このとき、長さが約1000mの積層体中間体50aに対して、連続してエンボス加工を施した。また、外面501において、第2稜線12から第1稜線11までの高さH1は、196.1μmであった。また、内面502において、第2稜線12から第1稜線11までの高さH2は、187.7μmであった。
【0172】
その後、実施例1と同様にして、成形性評価、内容物の滑落時間評価、耐傷性評価、バリア性評価およびループスティフネス評価を行った。
【0173】
(比較例1)
積層体中間体50aに対してエンボス加工を施さなかったこと、以外は実施例1と同様にして、内容物の滑落時間評価、耐傷性評価、バリア性評価およびループスティフネス評価を行った。すなわち、積層体中間体50aに対して、実施例1と同様にして、内容物の滑落時間評価、耐傷性評価、バリア性評価およびループスティフネス評価を行った。比較例1による積層体(積層体中間体50a)の層構成は、以下の通りである。
ニス/印/PE/PE/PE/AC/PET/印/AC/接/乳白PE/接/ALM箔/接/PE
【0174】
(比較例2)
積層体中間体50aに対してエンボス加工を施さなかったこと、以外は実施例2と同様にして、内容物の滑落時間評価、耐傷性評価、バリア性評価およびループスティフネス評価を行った。すなわち、積層体中間体50aに対して、実施例2と同様にして、内容物の滑落時間評価、耐傷性評価、バリア性評価およびループスティフネス評価を行った。比較例2による積層体(積層体中間体50a)の層構成は、以下の通りである。
ニス/印/PE/PE/AC/PET/DL/ALM/PET/AC/接/乳白PE/AC/接/ALM箔/接/PE/PE
【0175】
(比較例3)
積層体中間体50aに対してエンボス加工を施さなかったこと、以外は実施例3と同様にして、内容物の滑落時間評価、耐傷性評価、バリア性評価およびループスティフネス評価を行った。すなわち、積層体中間体50aに対して、実施例3と同様にして、内容物の滑落時間評価、耐傷性評価、バリア性評価およびループスティフネス評価を行った。比較例3による積層体(積層体中間体50a)の層構成は、以下の通りである。
ニス/PE/PE/PE/AC/PET/印/DL/ALM/PET/DL/PE/AC/接/ALM箔/接/PE
【0176】
(比較例4)
積層体中間体50aに対してエンボス加工を施さなかったこと、以外は実施例4と同様にして、内容物の滑落時間評価、耐傷性評価、バリア性評価およびループスティフネス評価を行った。すなわち、積層体中間体50aに対して、実施例4と同様にして、内容物の滑落時間評価、耐傷性評価、バリア性評価およびループスティフネス評価を行った。比較例4による積層体(積層体中間体50a)の層構成は、以下の通りである。
PE/PE/PE/印/晒紙/接/ALM箔/DL/PET/AC/PE/PE
【0177】
(比較例5)
積層体中間体50aに対してエンボス加工を施さなかったこと、以外は実施例5と同様にして、内容物の滑落時間評価、耐傷性評価、バリア性評価およびループスティフネス評価を行った。すなわち、積層体中間体50aに対して、実施例5と同様にして、内容物の滑落時間評価、耐傷性評価、バリア性評価およびループスティフネス評価を行った。比較例5による積層体(積層体中間体50a)の層構成は、以下の通りである。
ニス/印/PE/PE/PE/DL/ALM/PE/PE/PE/接/PE/接/EVOH/接/PE/接/PE/PE/PE
【0178】
(比較例6)
積層体中間体50aに対してエンボス加工を施さなかったこと、以外は実施例6と同様にして、内容物の滑落時間評価、耐傷性評価、バリア性評価およびループスティフネス評価を行った。すなわち、積層体中間体50aに対して、実施例6と同様にして、内容物の滑落時間評価、耐傷性評価、バリア性評価およびループスティフネス評価を行った。比較例6による積層体(積層体中間体50a)の層構成は、以下の通りである。
PE/DL/PET/印/DL/ALM/PET/DL/PE
【0179】
以上の結果を表1乃至表5に示す。表1は、高さH1および高さH2の値、並びに成形性評価の結果を示し、表2は、内容物の滑落時間評価の結果を示し、表3は、耐傷性評価の結果を示し、表4は、バリア性評価の結果を示し、表5は、ループスティフネス評価の結果を示す。
【0180】
【0181】
【0182】
【0183】
【0184】
【0185】
なお、上記表1において、評価の「◎」は、積層体50が冷却ロール85およびゴムロール86から容易に剥離し、かつ冷却ロール85およびゴムロール86の表面に目詰まり等が生じていなかったことを意味する。
【0186】
また、上記表3において、評価の「◎」は、胴部チューブ同士を強く擦り合わせた場合であっても、胴部チューブに擦り傷が付き難かったことを意味する。また、評価の「○」は、胴部チューブ同士を強く擦り合わせた場合には、胴部チューブに擦り傷が付き易かったが、胴部チューブ同士を弱く擦り合わせた場合には、胴部チューブに擦り傷が付き難かったことを意味する。
【0187】
この結果、表1に示すように、実施例1乃至実施例6による積層体50では、エンボス加工時の成形性が良好であった。
【0188】
また、表2に示すように、比較例1乃至比較例6による積層体(積層体中間体)では、内容物がトリートメントの場合、滑落時間が90分以上であった。一方、実施例1乃至実施例6による積層体50では、内容物がトリートメントの場合、滑落時間が70分以下であった。また、比較例1乃至比較例4および比較例6による積層体(積層体中間体)では、内容物がハンドクリームの場合、滑落時間が180分以上であった。一方、実施例1乃至実施例4および実施例6による積層体50では、内容物がハンドクリームの場合、滑落時間が150分以下であった。さらに、比較例5による積層体(積層体中間体)では、内容物がハンドクリームの場合、滑落時間が120分であった。一方、実施例5による積層体50では、内容物がハンドクリームの場合、滑落時間が60分であった。
【0189】
このように、実施例1乃至実施例6による積層体50では、内容物が滑落しやすくなることがわかった。このため、実施例1乃至実施例6による積層体50を用いたチューブ容器10では、内容物がチューブ容器10から容易に取り出せることがわかった。
【0190】
また、表3に示すように、実施例1乃至実施例6による積層体50では、エンボス加工を施した場合であっても、エンボス加工を施していない比較例1乃至比較例6と同様に、胴部チューブの耐傷性を良好に保つことができた。
【0191】
また、表4に示すように、実施例1乃至実施例5による積層体50では、エンボス加工を施した場合であっても、エンボス加工を施していない比較例1乃至比較例5と同様に、酸素バリア性を良好に保つことができた。さらに、表4に示すように、実施例1乃至実施例6による積層体50では、エンボス加工を施した場合であっても、エンボス加工を施していない比較例1乃至比較例6と同様に、水蒸気バリア性を良好に保つことができた。
【0192】
さらに、表5に示すように、実施例1、実施例3および実施例5による積層体50では、エンボス加工を施すことにより、幅方向(X方向)におけるループスティフネスを、流れ方向(Y方向)におけるループスティフネスよりも大幅に小さくできた。このように、幅方向(X方向)におけるループスティフネスが小さくなる場合、チューブ容器10から内容物を取り出す際に、胴部チューブ30を消費者の指により、胴部チューブ30を押し潰しやすくできる。このため、チューブ容器10から内容物を取り出しやすくできる。
【0193】
上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。