(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189515
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】接合構造、半導体装置および接合方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/50 20060101AFI20221215BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
H01L23/50 M
H01L25/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098134
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】高橋 聡一郎
【テーマコード(参考)】
5F067
【Fターム(参考)】
5F067BB04
5F067BB06
5F067CB08
5F067CD01
(57)【要約】
【課題】2つの金属部材を超音波接合する上で、回路パターンなどの金属部材が基板から剥離することを抑制できる接合構造を提供する。
【解決手段】本開示の接合構造は、導電体層11(第1金属部材)を有し、厚さ方向zの一方の表層が導電体層11である基板10と、厚さ方向zに見て導電体層11に重なる第1部232a、および、厚さ方向zに直交する第1方向xにおいて第1部232aから延びる第2部232bを含む第1電源端子23A(第2金属部材)と、を備える。第2部232bは、第1部232aに繋がる端部232eを有している。第1部232aの厚さ方向zの寸法は、端部232eの厚さ方向zの寸法よりも小さく、第1部232aは、導電体層11に固相接合された接合部232cを含む。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属部材を有し、厚さ方向の一方の表層が前記第1金属部材である基板と、
前記厚さ方向に見て前記第1金属部材に重なる第1部、および、前記厚さ方向に直交する第1方向において前記第1部から延びる第2部を含む第2金属部材と、
を備えており、
前記第2部は、前記第1部に繋がる端部を有しており、
前記第1部の前記厚さ方向の寸法は、前記端部の前記厚さ方向の寸法よりも小さく、
前記第1部は、前記第1金属部材に固相接合された接合部を含む、
接合構造。
【請求項2】
前記第1部は、前記端部よりも、前記厚さ方向および前記第1方向に直交する第2方向の寸法が大きい、
請求項1に記載の接合構造。
【請求項3】
前記第1部は、前記端部と前記接合部とに繋がる連結部をさらに含み、
前記連結部は、前記接合部よりも、前記第1方向の寸法が小さい、
請求項1または請求項2のいずれかに記載の接合構造。
【請求項4】
前記連結部は、前記接合部よりも、前記厚さ方向の寸法が大きい、
請求項3に記載の接合構造。
【請求項5】
前記接合部は、前記連結部よりも、前記厚さ方向および前記第1方向に直交する第2方向の寸法が大きい、
請求項4に記載の接合構造。
【請求項6】
前記第1部のうちの前記端部に繋がる部分の前記厚さ方向の寸法は、前記端部の前記厚さ方向の寸法の30%以上70%以下である、
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の接合構造。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の接合構造と、
前記基板に支持された半導体素子と、
を備える半導体装置。
【請求項8】
前記第1金属部材としての導電体層と、
前記第2金属部材としての電力端子と、
を備えており、
前記半導体素子は、前記導電体層に接合されており、
前記電力端子は、前記半導体素子に導通する、
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記基板は、金属ベースおよび絶縁層をさらに有しており、
前記金属ベースは、前記厚さ方向に離間する主面および裏面を有し、
前記絶縁層は、前記金属ベースの前記主面と前記導電体層との間に介在する、
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記絶縁層は、エポキシ系樹脂からなる、
請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体素子は、各々がスイッチング動作を行う第1半導体素子と第2半導体素子とを含み、
前記第1半導体素子と前記第2半導体素子とは、電気的に直列に接続されている、
請求項9または請求項10のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記電力端子は、前記第1半導体素子に導通する第1電源端子と、前記第2半導体素子に導通する第2電源端子と、前記第1半導体素子と前記第2半導体素子との電気的な接続点に導通する出力端子と、を含む、
請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記導電体層は、互いに離間する第1配線部、第2配線部および第3配線部を含み、
前記第1配線部は、前記第1半導体素子および前記第1電源端子が接合され、
前記第2配線部は、前記第2半導体素子および前記出力端子が接合され、
前記第3配線部は、前記第2電源端子が接合されている、
請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1半導体素子と前記第2配線部とを導通させる第1導通部材と、
前記第2半導体素子と前記第3配線部とを導通させる第2導通部材と、
をさらに備える、
請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記基板を底板として含み、前記半導体素子を収容するケースをさらに備える、
請求項8ないし請求項14のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記半導体素子を覆う樹脂部材をさらに備え、
前記樹脂部材は、前記ケースと前記基板とで区画された領域に収容されている、
請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
第1金属部材を有し、厚さ方向の一方の表層が前記第1金属部材である基板を準備する工程と、
互いに繋がる第1部および第2部を含み、前記第1部が前記第2部よりも前記厚さ方向の寸法が小さい第2金属部材を準備する工程と、
前記第2金属部材のうちの少なくとも前記第1部を前記第1金属部材上に配置し、前記第1部を前記第1金属部材に超音波接合する工程と、
を有する接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接合構造、半導体装置および接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのパワー半導体素子を搭載した半導体装置が広く知られている。このような半導体装置は、たとえばインバータなどの電力変換装置の一部を構成する。特許文献1には、パワー半導体素子を搭載した半導体装置の一例が開示されている。特許文献1に記載のパワー半導体モジュールは、パワー半導体素子、基板、回路パターン、および端子を備える。基板は、セラミックス板製である。回路パターンは、銅からなり、基板の表面(上面および下面)に形成されている。パワー半導体素子は、回路パターンに導通接合されている。端子は、銅板製であり、回路パターンに超音波接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のパワー半導体モジュールでは、端子を回路パターンに超音波接合する際、超音波接合時の加圧および振動などが回路パターンを介して基板に伝わる。この加圧および振動により、回路パターンが基板から剥離したり、基板にクラックが生じたりするおそれがある。このような問題を考慮して、超音波接合時の加工条件を弱めに設定すると、接合部分の接合強度が低下する。これらは、パワー半導体モジュールの信頼性を低下させる。したがって、2つの金属部材を超音波接合する上で、未だ改善の余地があった。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みて考え出されたものであり、その目的は、2つの金属部材を超音波接合する上で、回路パターンなどの金属部材が基板から剥離することを抑制できる接合構造および接合方法を提供することにある。また、当該接合構造を有する半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の側面によって提供される接合構造は、第1金属部材を有し、厚さ方向の一方の表層が前記第1金属部材である基板と、前記厚さ方向に見て前記第1金属部材に重なる第1部、および、前記厚さ方向に直交する第1方向において前記第1部から延びる第2部を含む第2金属部材と、を備えており、前記第2部は、前記第1部に繋がる端部を有しており、前記第1部の前記厚さ方向の寸法は、前記端部の前記厚さ方向の寸法よりも小さく、前記第1部は、前記第1金属部材に固相接合された接合部を含む。
【0007】
本開示の第2の側面によって提供される半導体装置は、第1の側面によって提供される接合構造と、前記基板に支持された半導体素子と、を備える。
【0008】
本開示の第3の側面によって提供される半導体装置は、第1金属部材を有し、厚さ方向の一方の表層が前記第1金属部材である基板を準備する工程と、互いに繋がる第1部および第2部を含み、前記第1部が前記第2部よりも前記第1金属部材の厚さ方向の寸法が小さい第2金属部材を準備する工程と、前記第2金属部材のうちの少なくとも前記第1部を前記第1金属部材上に配置し、前記第1部を前記第1金属部材に超音波接合する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の接合構造および接合方法は、2つの金属部材を超音波接合する上で、回路パターンなどの金属部材が基板から剥離することを抑制することができる。また、本開示の半導体装置は、2つの金属部材を超音波接合する上で、回路パターンなどの金属部材が基板から剥離することが抑制された接合構造を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態にかかる半導体装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態にかかる半導体装置の平面図である。
【
図3】
図3は、
図1の斜視図において、樹脂部材およびワイヤ類を省略した図である。
【
図4】
図4は、
図2の平面図において、樹脂部材を想像線で示した図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態にかかる半導体装置の正面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態にかかる半導体装置の右側面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態にかかる半導体装置の左側面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態にかかる半導体装置の底面図である。
【
図21】
図21は、第1実施形態の変形例にかかる半導体装置示す要部断面図であって、
図19に対応する断面である。
【
図22】
図22は、第1実施形態の変形例にかかる半導体装置を示す要部平面図(第1電源端子周辺)である。
【
図23】
図23は、第1実施形態の変形例にかかる半導体装置を示す要部平面図(第1電源端子周辺)である。
【
図24】
図24は、第1実施形態の変形例にかかる半導体装置を示す要部断面図であって、
図15に対応する断面である。
【
図25】
図25は、第2実施形態にかかる半導体装置を示す斜視図である。
【
図27】
図27は、第2実施形態にかかる半導体装置の平面図であって、樹脂部材を想像線で示している。
【
図29】
図29は、第2実施形態にかかる半導体装置の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の好ましい実施の形態につき、図面を参照して説明する。以下では、同一あるいは類似の構成要素には、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0012】
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単にラベルとして用いたものであり、必ずしもそれらの対象物に順列を付することを意図していない。
【0013】
本開示において、「ある物Aがある物Bに形成されている」および「ある物Aがある物B(の)上に形成されている」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bに直接形成されていること」、および、「ある物Aとある物Bとの間に他の物を介在させつつ、ある物Aがある物Bに形成されていること」を含む。同様に、「ある物Aがある物Bに配置されている」および「ある物Aがある物B(の)上に配置されている」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bに直接配置されていること」、および、「ある物Aとある物Bとの間に他の物を介在させつつ、ある物Aがある物Bに配置されていること」を含む。同様に、「ある物Aがある物B(の)上に位置している」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bに接して、ある物Aがある物B(の)上に位置していること」、および、「ある物Aとある物Bとの間に他の物が介在しつつ、ある物Aがある物B(の)上に位置していること」を含む。また、「ある物Aがある物Bにある方向に見て重なる」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bのすべてに重なること」、および、「ある物Aがある物Bの一部に重なること」を含む。
【0014】
<第1実施形態>
図1~
図20は、第1実施形態にかかる半導体装置A1を示している。
図1~
図20に示すように、半導体装置A1は、基板10、複数の電力端子、複数の信号端子、複数の半導体素子30、複数の導通部材40、複数のワイヤ、第1層51、第2層52、第3層53、ケース60、および樹脂部材70を備える。本実施形態では、複数の電力端子は、第1電源端子23A、第2電源端子23Bおよび出力端子24を有し、複数の信号端子は、第1ゲート端子25A、第2ゲート端子25B、第1検出端子26A、第2検出端子26B、電源電流検出端子27、およびサーミスタ端子28を有する。また、複数の半導体素子30は、複数の第1半導体素子31および複数の第2半導体素子32を含む。複数のワイヤは、複数の第1ゲートワイヤ431、複数の第2ゲートワイヤ432、第3ゲートワイヤ433、第4ゲートワイヤ434、複数の第1検出ワイヤ441、複数の第2検出ワイヤ442、第3検出ワイヤ443、第4検出ワイヤ444、電源電流検出ワイヤ45および一対のサーミスタワイヤ46を有する。なお、
図3は、理解の便宜上、樹脂部材70および複数のワイヤを省略している。また、
図4は、樹脂部材70を省略している。
【0015】
図1に示す半導体装置A1は、パワーモジュールである。半導体装置A1は、様々な電気製品やハイブリッド車などのインバータに用いられる。
図1および
図2に示すように、基板10の厚さ方向z(以下「厚さ方向z」に略称する。)に視て、半導体装置A1は、略矩形状である。ここで、説明の便宜上、厚さ方向zに対して直交する方向を第1方向xと呼ぶ。厚さ方向zおよび第1方向xの双方に対して直交する方向を第2方向yと呼ぶ。第1方向xは、半導体装置A1の長手方向である。
【0016】
基板10は、複数の半導体素子30(複数の第1半導体素子31および複数の第2半導体素子32)などを支持する。基板10は、たとえばメタルベース基板である。基板10は、
図11に示すように、導電体層11、金属ベース12および絶縁層13を有する。
【0017】
金属ベース12は、絶縁層13に対して導電体層11とは反対側(厚さ方向zの他方側)に位置し、この金属ベース12に絶縁層13が積層されている。金属ベース12は、導電性を有する金属材料からなり、たとえばアルミまたはアルミ合金からなる金属板により構成される。金属ベース12は、アルミまたはアルミ合金ではなく、銅または銅合金であってもよい。
【0018】
金属ベース12は、主面12aおよび裏面12bを有する。主面12aおよび裏面12bは、厚さ方向zに離間する。主面12aには、絶縁層13が形成されている。裏面12bは、厚さ方向zにおいて、主面12aと反対側を向き、ケース60から露出する。
図12に示す例では、裏面12bは、たとえば凸面である。つまり、裏面12bは、湾曲しており、厚さ方向zの下方に凸である。この例において、裏面12bの一部は、ケース60よりも下方に膨らんでいる。裏面12bは、厚さ方向zに直交する略平面であってもよい。ただし、後に詳述される構成により、裏面12bは、厚さ方向zの凹に湾曲しない。
【0019】
絶縁層13は、厚さ方向zにおいて導電体層11と金属ベース12との間に介在する。絶縁層13は、電気絶縁性を有する。絶縁層13の構成材料は、たとえばエポキシ系樹脂であるが、プリプレグであってもよい。
【0020】
導電体層11、金属ベース12および絶縁層13の厚さの一例を挙げると、導電体層11の厚さが0.1mm以上2.0mm以下であり、金属ベース12の厚さが0.3mm以上2.0mm以下であり、絶縁層13の厚さが0.12mm以上0.18mm以下である。
【0021】
導電体層11は、絶縁層13に積層されている。導電体層11は、搭載面11aを含む。搭載面11aは、厚さ方向zの一方側(
図11における上側)を向く。導電体層11は、導電性を有する金属材料からなり、たとえば銅(Cu)または銅合金からなる金属箔により構成される。
【0022】
本実施形態において、導電体層11は、第1配線部111、第2配線部112、第3配線部113、第1ゲート部114、第1検出部115、一対のサーミスタ搭載部116、第2ゲート部117および第2検出部118を含む。導電体層11を構成する各部は、たとえば、絶縁層13に積層された銅箔をウエットエッチングの手法により部分除去することにより、形成される。なお、導電体層11の各部の表面に銀(Ag)めっきを施してもよい。
【0023】
図4および
図9~
図12に示すように、第1配線部111には、複数の第1半導体素子31が搭載されている。
図4などに示すように、第1配線部111は、第2方向yにおける基板10の一端側(
図4の上方側)に位置する。第1配線部111は、第1方向xに延びる帯状である。半導体装置A1では、第1配線部111に10個の第1半導体素子31が搭載されているが、第1半導体素子31の個数はこれに限定されない。第1方向xにおいて第1配線部111の一端部(
図4の右方側)には、第2方向yに延びる帯状であるパッド111aが形成されている。
【0024】
図4、
図9、
図10および
図12に示すように、第2配線部112には、複数の第2半導体素子32が搭載されている。
図4などに示すように、第2配線部112は、第2方向yにおいて第1配線部111と第3配線部113との間に位置する。第2配線部112は、第1方向xに延びる帯状である。半導体装置A1では、第2配線部112に10個の第2半導体素子32が搭載されているが、第2半導体素子32の個数はこれに限定されない。第1方向xにおいて第2配線部112の一端部(
図4の左方側)には、第2方向yに延びる帯状であるパッド112aが形成されている。第2方向yにおいて第2配線部112の一方側(
図4の上方側)に位置するパッド112aの一部は、第1方向xにおいて第1配線部111の隣に位置する。第2方向yにおいて第2配線部112の他方側(
図4の下方側)に位置するパッド112aの一部は、第1方向xにおいて第3配線部113の隣に位置する。
【0025】
図4、
図9および
図10に示すように、第3配線部113は、複数の第1半導体素子31および複数の第2半導体素子32に導通している。第3配線部113は、第2方向yにおいて第2配線部112に対して第1配線部111とは反対側に位置する。第3配線部113は、第1方向xに延びる帯状である。第1方向xにおいて第3配線部113の一端部(
図4の右方側)には、第2方向yに延びる帯状であるパッド113aが形成されている。
図4に示すように、第3配線部113には、第1方向xに延びる切り欠き113bが形成されている。切り欠き113bは、第2方向yにおいて第3配線部113の中央に位置し、第1方向xにおける一端(
図4の右端)から第1方向xにおける中央まで延びる。
【0026】
第1ゲート部114は、
図4、
図9および
図10に示すように、複数の第1半導体素子31に導通する。第1ゲート部114は、第1方向xに延びる帯状である。第1ゲート部114は、第2方向yにおいて第1配線部111とケース60との間に位置する。半導体装置A1では、第1ゲート部114は、第1方向xにおける一端部(
図4の右端部)で折り返しており、第2方向yに2列形成されている。第1ゲート部114の幅(第2方向yにおける寸法)は、第1配線部111、第2配線部112、および第3配線部113のそれぞれの幅よりも小である。
【0027】
第1検出部115は、
図4、
図9および
図10に示すように、複数の第1半導体素子31に導通する。第1検出部115は、第1方向xに延びる帯状である。第1検出部115は、第2方向yにおいて第1配線部111とケース60との間に位置する。半導体装置A1では、第1検出部115は、第1方向xにおける一端部(
図4の左端部)で折り返しており、第2方向yに2列形成されている。第1検出部115の幅(第2方向yにおける寸法)は、第1ゲート部114の幅と同一である。
【0028】
一対のサーミスタ搭載部116は、
図4および
図9に示すように、第2方向yにおいて互いに離間し、かつサーミスタ33を搭載している。一対のサーミスタ搭載部116は、基板10の隅の近傍に位置する。一対のサーミスタ搭載部116の周囲には、第1配線部111、第1ゲート部114および第1検出部115が位置する。
【0029】
第2ゲート部117は、
図4、
図9および
図10に示すように、複数の第2半導体素子32に導通する。第2ゲート部117は、第1方向xに延びる帯状である。第2ゲート部117は、第2方向yにおいて第3配線部113とケース60との間に位置する。半導体装置A1では、第2ゲート部117は、第1方向xにおける一端部(
図4の左端部)で折り返しており、第2方向yに2列形成されている。第2ゲート部117の幅(第2方向yにおける寸法)は、第1配線部111、第2配線部112、および第3配線部113のそれぞれの幅よりも小である。
【0030】
第2検出部118は、
図4、
図9および
図10に示すように、複数の第2半導体素子32に導通する。第2検出部118は、第1方向xに延びる帯状である。第2検出部118は、第2方向yにおいて第3配線部113とケース60との間に位置する。半導体装置A1では、第2検出部118は、第1方向xにおける一端部(
図4の右端部)で折り返しており、第2方向yに2列形成されている。第2検出部118の幅(第2方向yにおける寸法)は、第2ゲート部117の幅と同一である。
【0031】
第1電源端子23Aおよび第2電源端子23Bは、
図2~
図4等に示すように、半導体装置A1に設けられた外部接続端子の一部である。第1電源端子23Aおよび第2電源端子23Bは、半導体装置A1の外部に配置された直流電源に接続される。第1電源端子23Aおよび第2電源端子23Bは、ケース60に支持されている。第1電源端子23Aおよび第2電源端子23Bは、金属板から構成される。当該金属板の構成材料は、たとえば銅である。第1電源端子23Aと第2電源端子23Bとは、鏡像対称に構成されている。
【0032】
第1電源端子23Aは、正極(P端子)である。第1電源端子23Aは、第1配線部111のパッド111aに接続されている。第2電源端子23Bは、負極(N端子)である。第2電源端子23Bは、第3配線部113のパッド113aに接続されている。第1電源端子23Aおよび第2電源端子23Bは、第2方向yにおいて互いに離間している。
【0033】
図9および
図13に示すように、第1電源端子23Aおよび第2電源端子23Bの各々は、外部接続部231、内部接続部232および中間部233を有する。
【0034】
外部接続部231は、半導体装置A1において露出し、かつ厚さ方向zに対して直交する平板状である。外部接続部231には、直流電源のケーブルなどが接続される。外部接続部231は、ケース60に支持されている。外部接続部231には、厚さ方向zに貫通する接続孔231aが設けられている。接続孔231aには、ボルトなどの締結部材が挿入される。なお、外部接続部231の表面にニッケル(Ni)めっきを施してもよい。
【0035】
内部接続部232は、第1電源端子23Aでは第1配線部111のパッド111aに接続され、第2電源端子23Bでは第3配線部113のパッド113aに接続される。内部接続部232は、櫛歯状である。半導体装置A1では、内部接続部232は、3つの歯を有し、これら複数の歯が第2方向yに沿って配列されている。複数の歯は、厚さ方向zに曲げ加工されている。このため、複数の歯は、第2方向yに視て鉤状となっている。複数の歯は、いずれも超音波接合によりパッド111aまたはパッド113aに接合されている。
図9では、内部接続部232のうち、パッド111aまたはパッド113aに接合された部分(後述の接合部232c)に、ドットを付けている。
【0036】
内部接続部232は、
図9に示すように、複数の歯のそれぞれにおいて、第1部232aおよび第2部232bを含む。
【0037】
第2部232bは、第1部232aと中間部233とに繋がり、これらの間に介在する。第2部232bは、厚さ方向zに屈曲している。第2部232bは、
図9および
図19に示すように、第1部232aに繋がる端部232eを有する。第2部232bの厚さは、第1電源端子23Aおよび第2電源端子23Bのそれぞれにおいて、たとえば1.0mm程度である。
【0038】
第1部232aは、第2部232bの端部232eから第1方向xに延びる。厚さ方向zに視て、第1電源端子23Aにおける第1部232aは、第1配線部111(導電体層11)に重なり、第2電源端子23Bにおける第1部232aは、第3配線部113(導電体層11)に重なる。第1部232aは、
図9および
図19に示すように、接合部232cおよび連結部232dを含む。
【0039】
接合部232cは、導電体層11に接合された部位である。第1電源端子23Aにおける接合部232cは、第1配線部111のパッド111aに接合されており、第2電源端子23Bにおける接合部232cは、第3配線部113のパッド113aに接合されている。接合部232cは、たとえば超音波接合によって、導電体層11に固相接合されている。連結部232dは、接合部232cと第2部232b(端部232e)との間に介在し、これらに繋がる。連結部232dは、導電体層11(第1配線部111)に接合されていない。
【0040】
本実施形態では、第1電源端子23Aの内部接続部232において、第1部232a(接合部232cおよび連結部232d)と第2部232b(端部232e)との各寸法の関係は、次のように構成されている。以下の説明では、厚さ方向zに沿う寸法を厚さ、第1方向xに沿う寸法を長さ、第2方向yに沿う寸法を幅という。
【0041】
第1部232aの厚さt11は、第2部232bの端部232eの厚さt12よりも小さい(
図19参照)。つまり、第1部232aは、第2部232bよりも薄い。これは、第1部232aを導電体層11に超音波接合する際に、当該超音波接合による押圧力を良好に伝達させるためである。たとえば、第1部232aの厚さt11は、0.3mm以上0.5mm以下である。半導体装置A1では、第1部232aの厚さt11は、第2部232bの端部232eの厚さt12の30%以上70%以下となっている。第1部232aの厚さt11は、第1部232aのうちの端部232eに繋がる部分であり、本実施形態では連結部232dの厚さである。接合部232cの厚さt13と連結部232dの厚さt14とは、略同じである。また、第1部232aの幅w11は、第2部232bの端部232eの幅w12と略同じである(
図9参照)。なお、
図9から理解されるように、接合部232cの幅w13と連結部232dの幅w14とは、略同じである。また、接合部232cの長さd13は、連結部232dの長さd14よりも大きい(
図19参照)。連結部232dの長さd14は、たとえば1mm以下である。なお、連結部232dの長さd14は、理想的には0mmとなることが好ましい(つまり、第1部232aは、連結部232dを含まず、第1部232aのすべてが接合部232cにより構成される)。連結部232dの長さd14が小さいほど、接合部232cの長さd13が大きくなり、第1部232aがより広い面積で導電体層11に接合されるので、導電性および接合強度をそれぞれ向上させることができるからである。
【0042】
図示は省略するが、第2電源端子23Bにおける第1部232aおよび第2部232bの寸法関係は、上記した第1電源端子23Aにおける第1部232aおよび第2部232bの寸法関係と同様に構成される。
【0043】
このような形状の第1電源端子23Aおよび第2電源端子23Bは、平らな金属板を折り曲げ加工およびプレス加工することで形成される。たとえば、このときのプレス加工により、第1部232aが第2部232bよりも薄くなる。
【0044】
中間部233は、外部接続部231と内部接続部232とを相互に連結している。中間部233は、第1方向xに対する横断面がL字状である。中間部233は、基部233aおよび起立部233bを有する。基部233aは、第1方向xおよび第2方向yに沿っている。第1方向xにおける基部233aの一端は、内部接続部232に繋がる。起立部233bは、基部233aから厚さ方向zに起立する。厚さ方向zにおける起立部233bの一端は、外部接続部231に繋がる。
【0045】
出力端子24は、
図2~
図4などに示すように、半導体装置A1に設けられた外部接続端子の一部である。出力端子24は、半導体装置A1の外部に配置された電力供給対象(モータなど)に接続される。出力端子24は、ケース60に支持され、かつ第1方向xにおいて基板10に対して第1電源端子23Aおよび第2電源端子23Bとは反対側に位置する。出力端子24は、金属板から構成される。当該金属板の構成材料は、たとえば銅である。
【0046】
半導体装置A1では、出力端子24は、第1端子部24Aおよび第2端子部24Bの2つの分離されている。なお、出力端子24は、この構成と異なり、分離されていない単一の部材でもよい。第1端子部24Aおよび第2端子部24Bは、第2配線部112に導通接合されている。第1端子部24Aおよび第2端子部24Bは、第2方向yにおいて互いに離間する。第1端子部24Aと第2端子部24Bとは、鏡像対称に構成されている。
【0047】
図10および
図14に示すように、第1端子部24Aおよび第2端子部24Bの各々は、外部接続部241、内部接続部242および中間部243を有する。
【0048】
外部接続部241は、半導体装置A1において露出し、かつ厚さ方向zに対して直交する平板状である。外部接続部241には、電力供給対象に導通するケーブルなどが接続される。外部接続部241は、ケース60に支持されている。外部接続部241には、厚さ方向zに貫通する接続孔241aが設けられている。接続孔241aには、ボルトなどの締結部材が挿入される。なお、外部接続部241の表面にニッケルめっきを施してもよい。
【0049】
内部接続部242は、第2配線部112のパッド112aに接続される。内部接続部242は、櫛歯状である。半導体装置A1では、内部接続部242は、3つの歯を有し、これら複数の歯が第2方向yに沿って配列されている。複数の歯は、厚さ方向zに曲げ加工されている。このため、複数の歯は、第2方向yに視て鉤状となっている。複数の歯は、いずれも超音波接合によりパッド112aに接続されている。
図10では、内部接続部242のうち、パッド112aに接合された部分(後述の接合部242c)に、ドットを付けている。
【0050】
内部接続部242は、
図10に示すように、複数の歯のそれぞれにおいて、第1部242aおよび第2部242bを含む。
【0051】
第2部242bは、第1部242aと中間部243とに繋がり、これらの間に介在する。第2部242bは、厚さ方向zに屈曲している。第2部242bは、
図10および
図20に示すように、第1部242aに繋がる端部242eを有する。第2部242bの厚さは、たとえば1.0mm程度である。
【0052】
第1部242aは、第2部242bの端部242eから第1方向xに延びる。厚さ方向zに視て、第1部242aは、第2配線部112(導電体層11)に重なる。第1部242aは、
図10および
図20に示すように、接合部242cおよび連結部242dを含む。
【0053】
接合部242cは、導電体層11に接合された部位である。接合部242cは、第2配線部112の112aに接合されている。接合部242cは、たとえば超音波接合によって、導電体層11に固相接合されている。連結部242dは、接合部242cと第2部242b(端部242e)との間に介在し、これらに繋がる。連結部242dは、導電体層11(第2配線部112)に接合されていない。
【0054】
本実施形態では、第1端子部24Aの内部接続部242において、第1部242a(接合部242cおよび連結部242d)と第2部242b(端部242e)との各寸法の関係は、次のように構成されている。第1部242aの厚さt21は、第2部242bの端部242eの厚さt22よりも小さい(
図20参照)。つまり、第1部242aは、第2部242bよりも薄い。これは、第1部242aを導電体層11に超音波接合する際に、当該超音波接合による押圧力を良好に伝達させるためである。たとえば、第1部242aの厚さt21は、0.3mm以上0.5mm以下である。半導体装置A1では、第1部242aの厚さt21は、第2部242bの端部242eの厚さt22の30%以上70%以下となっている。第1部242aの厚さt21は、第1部242aのうちの端部242eに繋がる部分であり、本実施形態では連結部242dの厚さである。接合部242cの厚さt23と連結部242dの厚さt24とは、略同じである。また、第1部242aの幅w21は、第2部242bの端部242eの幅w22と略同じである(
図10参照)。なお、
図10から理解されるように、接合部242cの幅w23と連結部242dの幅w24とは、略同じである。また、接合部242cの長さd23は、連結部242dの長さd24よりも大きい。連結部242dの長さd24は、たとえば1mm以下である。なお、連結部242dの長さd24は、理想的には0mmとなることが好ましい(つまり、第1部242aは、連結部242dを含まず、第1部242aのすべてが接合部242cにより構成される)。連結部242dの長さd24が小さいほど、接合部242cの長さd23が大きくなり、第1部242aがより広い面積で導電体層11に接合されるので、導電性および接合強度をそれぞれ向上させることができるからである。
【0055】
図示は省略するが、第2端子部24Bにおける第1部242aおよび第2部242bの寸法関係は、上記第1端子部24Aにおける第1部242aおよび第2部242bの寸法関係と同様に構成される。
【0056】
このような形状の出力端子24(第1端子部24Aおよび第2端子部24B)は、平らな金属板を折り曲げ加工およびプレス加工することで形成される。たとえば、このときのプレス加工により、第1部242aが第2部242bよりも薄くなる。
【0057】
中間部243は、外部接続部241と内部接続部242とを相互に連結している。中間部243は、第1方向xに対する横断面がL字状である。中間部243は、基部243aおよび起立部243bを有する。基部243aは、第1方向xおよび第2方向yに沿っている。第1方向xにおける基部243aの一端は、内部接続部242に繋がる。起立部243bは、基部243aから厚さ方向zに起立している。厚さ方向zにおける起立部243bの一端は、外部接続部241に繋がる。
【0058】
第1ゲート端子25Aおよび第2ゲート端子25Bはそれぞれ、
図2~
図5等に示すように、半導体装置A1に設けられた外部接続端子である。第1ゲート端子25Aおよび第2ゲート端子25Bはそれぞれ、外部に配置された半導体装置A1の駆動回路(ゲートドライバなど)に接続される。第1ゲート端子25Aおよび第2ゲート端子25Bはそれぞれ、ケース60に支持されている。第1ゲート端子25Aおよび第2ゲート端子25Bはそれぞれ、金属棒から構成される。当該金属棒の構成材料は、たとえば銅または銅合金である。なお、第1ゲート端子25Aおよび第2ゲート端子25Bの各表面に、錫(Sn)めっき、またはニッケルめっきおよび錫めっきを施してもよい。
図12に示すように、第1ゲート端子25Aおよび第2ゲート端子25Bはそれぞれ、第1方向xに対する横断面がL字状である。第1ゲート端子25Aおよび第2ゲート端子25Bのそれぞれ一部は、ケース60から厚さ方向zにおいて導電体層11(基板10)の搭載面11aが向く側に突出している。
【0059】
第1ゲート端子25Aは、第1ゲート部114に導通する。第1ゲート端子25Aは、
図10に示すように、第2方向yにおいて第1ゲート部114に近接している。第2ゲート端子25Bは、第2ゲート部117に導通する。第2ゲート端子25Bは、
図9に示すように、第2方向yにおいて、導電体層11(基板10)に対して第1ゲート端子25Aとは反対側に位置する。第2ゲート端子25Bは、第2ゲート部117に近接している。
【0060】
第1検出端子26Aおよび第2検出端子26Bはそれぞれ、
図2~
図5等に示すように、半導体装置A1に設けられた外部接続端子の一部である。第1検出端子26Aおよび第2検出端子26Bはそれぞれ、外部に配置された半導体装置A1の制御回路に接続される。第1検出端子26Aおよび第2検出端子26Bはそれぞれ、ケース60に支持されている。第1検出端子26Aおよび第2検出端子26Bはそれぞれ、金属棒から構成される。当該金属棒の構成材料は、たとえば銅または銅合金である。なお、第1検出端子26Aおよび第2検出端子26Bの各表面に、錫めっき、またはニッケルめっきおよび錫めっきを施してもよい。
図12に示すように、第1検出端子26Aおよび第2検出端子26Bはそれぞれ、第1方向xに対する横断面がL字状である。第1検出端子26Aおよび第2検出端子26Bのそれぞれ一部は、ケース60から厚さ方向zにおいて導電体層11(基板10)の搭載面11aが向く側に突出している。
【0061】
第1検出端子26Aは、第1検出部115に導通する。第1検出端子26Aは、
図10に示すように、第1方向xにおいて第1ゲート端子25Aの隣に位置する。第2検出端子26Bは、第2検出部118に導通する。第2検出端子26Bは、
図9に示すように、第1方向xにおいて第2ゲート端子25Bの隣に位置する。
【0062】
図2~
図5、および
図10に示すように、半導体装置A1は、電源電流検出端子27を備える。電源電流検出端子27は、半導体装置A1に設けられた外部接続端子の一部である。電源電流検出端子27は、外部に配置された半導体装置A1の制御回路に接続される。電源電流検出端子27は、ケース60に支持されている。電源電流検出端子27は、金属棒から構成される。当該金属棒の構成材料は、たとえば銅または銅合金である。なお、電源電流検出端子27の表面に、錫めっき、またはニッケルめっきおよび錫めっきを施してもよい。電源電流検出端子27の形状は、
図12に示す第1ゲート端子25Aおよび第2ゲート端子25Bのそれぞれと同一である。電源電流検出端子27の一部は、
図12に示す第1ゲート端子25Aおよび第2ゲート端子25Bのそれぞれと同じく、ケース60から厚さ方向zにおいて導電体層11(基板10)の搭載面11aが向く側に突出している。第2方向yにおいて、電源電流検出端子27の位置は、第1ゲート端子25Aの位置と同一である。電源電流検出端子27は、第1方向xにおいて第1ゲート端子25Aから第1端子部24A側に離間している。
【0063】
図2~
図5、および
図9に示すように、半導体装置A1は、一対のサーミスタ端子28を備える。一対のサーミスタ端子28は、半導体装置A1に設けられた外部接続端子の一部である。一対のサーミスタ端子28は、外部に配置された半導体装置A1の制御回路に接続される。一対のサーミスタ端子28は、ケース60に支持されている。一対のサーミスタ端子28は、金属棒から構成される。当該金属棒の構成材料は、たとえば銅または銅合金である。なお、一対のサーミスタ端子28の各表面に、錫めっき、またはニッケルめっきおよび錫めっきを施してもよい。一対のサーミスタ端子28の形状は、
図12に示す第1ゲート端子25Aおよび第2ゲート端子25Bのそれぞれと同一である。一対のサーミスタ端子28の一部は、
図12に示す第1ゲート端子25Aおよび第2ゲート端子25Bのそれぞれと同じく、ケース60から厚さ方向zにおいて導電体層11(基板10)の搭載面11aが向く側に突出している。第2方向yにおいて、一対のサーミスタ端子28の位置は、第1ゲート端子25Aの位置と同一である。一対のサーミスタ端子28は、第1方向xにおいて第1ゲート端子25Aから第1電源端子23A側に離間している。一対のサーミスタ端子28は、第1方向xにおいて互いに離間している。
【0064】
複数の半導体素子30は、たとえば炭化ケイ素(SiC)を含む半導体基板を有し、スイッチング機能を有する。複数の半導体素子30は、炭化ケイ素を主とする半導体材料を用いて構成されたMOSFETである。なお、複数の半導体素子30の各半導体層は、SiCではなくケイ素(Si)を含む構成でもよい。また、複数の半導体素子30は、MOSFETに限らず、IGBTであってもよい。半導体装置A1では、複数の半導体素子30は、それぞれがMOSFETである場合について説明する。
図15、
図17に示すように、複数の半導体素子30はそれぞれ、厚さ方向zに視て矩形状(半導体装置A1では正方形状)である。半導体装置A1においては、複数の半導体素子30の各厚さは、たとえば400μm以下であり、より好ましくは150μm以下である。
【0065】
複数の半導体素子30は、複数の第1半導体素子31および複数の第2半導体素子32を含む。複数の第1半導体素子31はそれぞれ、第1配線部111に搭載されている。複数の第1半導体素子31は、第1方向xに沿って所定の間隔を隔てて配列されている。複数の第2半導体素子32はそれぞれ、第2配線部112に搭載されている。複数の第2半導体素子32は、第1方向xに沿って所定の間隔を隔てて配列されている。半導体装置A1では、各第2半導体素子32は、第2方向yに視て、各第1半導体素子31に重なるが、この構成と異なり、重ならなくてもよい。
【0066】
図15~
図18に示すように、複数の第1半導体素子31および複数の第2半導体素子32はそれぞれ、ソース電極301、ドレイン電極302、およびゲート電極303を有する。
【0067】
ソース電極301は、各第1半導体素子31および各第2半導体素子32の上端に設けられている。当該上端は、厚さ方向zにおいて搭載面11aが向く側の端面である。ソース電極301には、複数の第1半導体素子31および複数の第2半導体素子32のそれぞれの内部からソース電流が流れる。
【0068】
ドレイン電極302は、各第1半導体素子31および各第2半導体素子32の下端に設けられている。当該下端は、厚さ方向zにおいて搭載面11aが向く側とは反対側の端面である。ドレイン電極302には、複数の第1半導体素子31および複数の第2半導体素子32のそれぞれの内部に向けてドレイン電流が流れる。
【0069】
ゲート電極303は、各第1半導体素子31および各第2半導体素子32の上端に設けられている。ゲート電極303には、複数の第1半導体素子31および複数の第2半導体素子32のそれぞれを駆動するためのゲート電圧が印加される。厚さ方向zに視て、ゲート電極303の面積は、ソース電極301の面積よりも小である。
【0070】
複数の第1半導体素子31および複数の第2半導体素子32はそれぞれ、各ゲート電極303に印加されるゲート電圧に応じて、スイッチング動作を行う。スイッチング動作は、各ドレイン電極302と各ソース電極301との間に電流が流れる状態(導通状態)と電流が流れない状態(遮断状態)とが切り替わる動作である。
【0071】
第1層51は、
図11、
図12および
図15~
図18に示すように、厚さ方向zにおいて、導電体層11(第1配線部111および第2配線部112)の搭載面11aと、複数の第1半導体素子31および複数の第2半導体素子32のそれぞれとの間に位置する。第1層51は、導電性を有する金属材料からなる。第1層51は、金属ベース12と熱伝導率が同一の材料、または金属ベース12よりも熱伝導率が大きい材料からなる。第1層51は、たとえば銅または銅合金により構成される。第1層51の構成材料が銅である場合、第1層51の熱伝導率は、398W/mkである。第1層51の構成材料としては、銅および銅合金の他に、たとえばアルミニウム、鉄、または、炭素などが挙げられる。
【0072】
半導体装置A1では、第1層51は、互いに分離した複数の個別部511を含む。半導体装置A1では、複数の個別部511は、複数の第1半導体素子31および複数の第2半導体素子32のそれぞれに個別に対応して配置されている。複数の第1半導体素子31および複数の第2半導体素子32はそれぞれ、複数の個別部511のいずれかに支持されている。半導体装置A1では、複数の第1半導体素子31に対応する複数の個別部511は、第1配線部111に支持されており、第1方向xに間隔を隔てて配列されている。複数の第2半導体素子32に対応する複数の個別部511は、第2配線部112に支持されており、第1方向xに間隔を隔てて配列されている。各個別部511は、厚さ方向zに視て矩形状(半導体装置A1では正方形状)である。個別部511の構成は、上述したものに限定されず、複数の個別部511の各々の第1方向xにおける寸法を図示された例よりも大きくして、複数の個別部511の各々が、複数の第1半導体素子31(または複数の第2半導体素子32)を支持する構成でもよい。たとえば、1個の個別部511が、第1方向xにおいて隣り合う2個の第1半導体素子31(または第2半導体素子32)を支持してもよいし、1個の個別部511が3個以上の第1半導体素子31(または第2半導体素子32)を支持してもよい。
【0073】
第2層52は、厚さ方向zにおいて、導電体層11(第1配線部111および第2配線部112)と、第1層51(複数の個別部511)との間に位置する。第2層52は、導電性を有し、第1配線部111および第2配線部112のそれぞれの搭載面11aと、複数の個別部511とを導通接合している。第2層52の構成材料は、たとえば錫を主成分とする鉛フリーはんだである。第2層52の厚さは、たとえば0.02mm以上0.20mm以下である。
【0074】
半導体装置A1では、第2層52は、互いに分離した複数の領域を有する。第2層52の複数の領域は、複数の個別部511それぞれに個別に対応している。なお、第2層52は、複数の個別部511の幾つかに共通する領域を有する構成でもよい。たとえば、第2層52は、第1配線部111に支持された複数の個別部511に共通する領域と、第2配線部112に支持された複数の個別部511に共通する領域と、を有する構成であってもよい。
【0075】
第3層53は、厚さ方向zにおいて、第1層51(複数の個別部511)と、複数の第1半導体素子31および複数の第2半導体素子32のそれぞれとの間に位置する。第3層53は、導電性を有し、複数の個別部511と、複数の第1半導体素子31および複数の第2半導体素子32のそれぞれとを導通接合している。より具体的には、複数の第1半導体素子31および複数の第2半導体素子32の各ドレイン電極302と、第1層51(個別部511)とが、第3層53によって導通接合されている。第3層53は、金属材料を含む接合材からなる。半導体装置A1では、第3層53の構成材料は、銀を含む。半導体装置A1では、第3層53は焼結銀である。なお、第3層53は、銀以外の金属を含む焼結金属(たとえば焼結銅)、固相拡散接合されたアルミニウム、はんだ、あるいは金属ペースト材により構成してもよい。第3層53の厚さは、たとえば0.02mm以上0.20mm以下である。
【0076】
半導体装置A1では、上述する構成によって、複数の第1半導体素子31および複数の第2半導体素子32はそれぞれ、第1層51、第2層52および第3層53によって、第1配線部111または第2配線部112のいずれかに搭載されている。この構成とは異なり、第1層51、第2層52および第3層53を設けず、複数の第1半導体素子31のそれぞれが、導電性接合材により第1配線部111に接合されていてもよいし、複数の第2半導体素子32のそれぞれが、導電性接合材により第2配線部112に接合されていてもよい。
【0077】
複数の導通部材40は、金属製の板材により構成される。当該金属は、銅または銅合金である。複数の導通部材40は、曲げ加工がなされた金属製の板材である。複数の導通部材40は、複数の第1導通部材41および複数の第2導通部材42を含む。
【0078】
複数の第1導通部材41はそれぞれ、複数の第1半導体素子31のいずれかのソース電極301と、第2配線部112とに接合される。各第1導通部材41と第2配線部112とは、導通部材接合層48を介して接合される。各第1導通部材41と各第1半導体素子31のソース電極301とは、導通部材接合層49を介して接合される。第1導通部材41を接合する導通部材接合層48および導通部材接合層49は、たとえばはんだ、金属ペースト材、あるいは、焼結金属などの導電性接合材である。
【0079】
複数の第2導通部材42はそれぞれ、複数の第2半導体素子32のいずれかのソース電極301と、第3配線部113とに接合される。各第2導通部材42と第3配線部113とは、導通部材接合層48を介して接合される。各第2導通部材42と各第2半導体素子32のソース電極301とは、導通部材接合層49を介して接合される。第2導通部材42を接合する導通部材接合層48および導通部材接合層49は、たとえばはんだ、金属ペースト材、あるいは、焼結金属などである。
【0080】
半導体装置A1では、
図4および
図9に示すように、サーミスタ33を備える。サーミスタ33は、一対のサーミスタ搭載部116に電気的に接合されている。半導体装置A1では、サーミスタ33は、NTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタである。NTCサーミスタは、温度上昇に対して緩やかに抵抗が低下する特性を有する。サーミスタ33は、半導体装置A1の温度検出用センサとして用いられる。サーミスタ33は、一対のサーミスタ搭載部116および一対のサーミスタワイヤ46を介して、一対のサーミスタ端子28に導通する。
【0081】
複数の第1ゲートワイヤ431、複数の第2ゲートワイヤ432、第3ゲートワイヤ433および第4ゲートワイヤ434はそれぞれ、ボンディングワイヤである。これらの各構成材料は、たとえばアルミニウム、金、銅のいずれであってもよい。
【0082】
図4、
図9、
図10および
図17から理解されるように、複数の第1ゲートワイヤ431はそれぞれ、一端が各第1半導体素子31のゲート電極303に接合され、他端が第1ゲート部114に接合されている。第3ゲートワイヤ433は、一端が第1ゲート部114に接合され、他端が第1ゲート端子25Aに接合されている。これにより、第1ゲート端子25Aは、複数の第1半導体素子31の各ゲート電極303に導通する。
【0083】
図4、
図9、
図10および
図17から理解されるように、複数の第2ゲートワイヤ432はそれぞれ、一端が各第2半導体素子32のゲート電極303に接合され、他端が第2ゲート部117に接合されている。第4ゲートワイヤ434は、一端が第2ゲート部117に接合され、他端が第2ゲート端子25Bに接合されている。これにより、第2ゲート端子25Bは、複数の第2半導体素子32の各ゲート電極303に導通する。
【0084】
複数の第1検出ワイヤ441、複数の第2検出ワイヤ442、第3検出ワイヤ443および第4検出ワイヤ444はそれぞれ、ボンディングワイヤである。これらの各構成材料は、たとえばアルミニウム、金、銅のいずれであってもよい。
【0085】
図4、
図9、
図10および
図15に示すように、複数の第1検出ワイヤ441は、一端が各第1半導体素子31のソース電極301に接合され、他端が第1検出部115に接合されている。第3検出ワイヤ443は、一端が第1検出部115に接合され、他端が第1検出端子26Aに接合されている。これにより、第1検出端子26Aは、複数の第1半導体素子31の各ソース電極301に導通する。
【0086】
図4、
図9、
図10および
図17から理解されるように、複数の第2検出ワイヤ442は、一端が各第2半導体素子32のソース電極301に接合され、他端が第2検出部118に接合されている。第4検出ワイヤ444は、一端が第2検出部118に接合され、他端が第2検出端子26Bに接合されている。これにより、第2検出端子26Bは、複数の第2半導体素子32の各ソース電極301に導通する。
【0087】
電源電流検出ワイヤ45および一対のサーミスタワイヤ46はそれぞれ、ボンディングワイヤである。これらの各構成材料は、たとえばアルミニウム、金、銅のいずれであってもよい。電源電流検出ワイヤ45は、
図10に示すように、電源電流検出端子27と第1配線部111とに接合されている。電源電流検出ワイヤ45により、電源電流検出端子27は、第1配線部111に導通する。一対のサーミスタワイヤ46はそれぞれ、一対のサーミスタ端子28および一対のサーミスタ搭載部116に個別に接合されている。各サーミスタワイヤ46により、各サーミスタ端子28は、各サーミスタ搭載部116に導通する。
【0088】
ケース60は、
図3~
図7に示すように、厚さ方向zに視て導電体層11(基板10)を囲む電気絶縁部材である。ケース60の構成材料は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)など、耐熱性に優れた合成樹脂である。ケース60は、一対の第1側壁611、一対の第2側壁612、複数の取付部62、電源端子台63および出力端子台64を含む。また、ケース60は、基板10を底板として含んでいる。
【0089】
図2および
図4に示すように、一対の第1側壁611は、第1方向xにおいて互いに離間している。一対の第1側壁611は、第2方向yおよび厚さ方向zの双方に沿って配置されている。
【0090】
図2および
図4に示すように、一対の第2側壁612は、第2方向yにおいて互いに離間している。一対の第2側壁612は、第1方向xおよび厚さ方向zの双方に沿って配置されている。第1方向xにおける一対の第2側壁612の両端は、一対の第1側壁611につながっている。一方の第2側壁612の内部には、第1ゲート端子25A、第1検出端子26A、電源電流検出端子27および一対のサーミスタ端子28が配置されている。また、他方の第2側壁612の内部には、第2ゲート端子25Bおよび第2検出端子26Bが配置されている。
図9、
図10、
図12に示すように、厚さ方向zにおいて導電体層11(基板10)に近接するこれらの端子の端部は、一対の第2側壁612に支持されている。
【0091】
図2、
図9および
図10に示すように、複数の取付部62は、厚さ方向zに視てケース60の四隅に設けられた部分である。複数の取付部62の各々には、厚さ方向zに貫通する貫通孔が形成されており、当該各貫通孔には取付部材621がはまっている。各取付部材621には、厚さ方向zに貫通する取付孔621aが設けられている。半導体装置A1では、たとえば図示しない締結部材を取付孔621aにはめ込むことで、図示しない放熱部材(たとえばヒートシンク)を取り付け可能である。
【0092】
図2、
図6および
図9に示すように、電源端子台63は、一方の第1側壁611から第1方向xの外方に向けて突出している。電源端子台63には、第1電源端子23Aおよび第2電源端子23Bが支持される。電源端子台63は、第1端子台631および第2端子台632を有する。第1端子台631および第2端子台632は、第2方向yにおいて互いに離間している。第1端子台631には、第1電源端子23Aが支持される。第1端子台631から第1電源端子23Aの外部接続部231が露出している。第2端子台632には、第2電源端子23Bが支持される。第2端子台632から第2電源端子23Bの外部接続部231が露出している。第1端子台631と第2端子台632との間には、第1方向xに延びる複数の溝部633が形成されている。
図9および
図13に示すように、第1端子台631および第2端子台632の内部には、一対のナット634および一対の中間部材635が配置されている。中間部材635は、ナット634に対して厚さ方向zの他方側(
図13の下方側)に位置し、当該ナット634に当接している。一方のナット634および中間部材635は、第1電源端子23Aの外部接続部231および中間部233に係止されている。他方のナット634および中間部材635は、第2電源端子23Bの外部接続部231および中間部233に係止されている。一対の中間部材635それぞれの一部は、電源端子台63から露出している。一対のナット634は、第1電源端子23Aおよび第2電源端子23Bに設けられた一対の接続孔231aに対応している。一対の接続孔231aに挿入されたボルトなどの締結部材は、一対のナット634にはめ合う。
【0093】
図2、
図7および
図10に示すように、出力端子台64は、他方の第1側壁611から第1方向xの外方に向けて突出している。出力端子台64には、出力端子24が支持されている。出力端子台64は、第1端子台641および第2端子台642を有する。第1端子台641および第2端子台642は、第2方向yにおいて互いに離間している。第1端子台641には、出力端子24の第1端子部24Aが支持される。第1端子台641から第1端子部24Aの外部接続部241が露出している。第2端子台642には、出力端子24の第2端子部24Bが支持される。第2端子台642から第2端子部24Bの外部接続部241が露出している。第1端子台641と第2端子台642との間には、第1方向xに延びる複数の溝部643が形成されている。
図10および
図14に示すように、第1端子台641および第2端子台642の内部には、一対のナット644および一対の中間部材645が配置されている。中間部材645は、ナット644に対して厚さ方向zの他方側(
図14の下方側)に位置し、当該ナット644に当接している。一方のナット644および中間部材645は、第1端子部24Aの外部接続部241および中間部243に係止されている。他方のナット644および中間部材645は、第2端子部24Bの外部接続部241および中間部243に係止されている。一対の中間部材645それぞれの一部は、出力端子台64から露出している。一対のナット644は、第1端子部24Aおよび第2端子部24Bに設けられた一対の接続孔241aに対応している。一対の接続孔241aに挿入されたボルトなどの締結部材は、一対のナット644にはめ合う。
【0094】
樹脂部材70は、
図11および
図12に示すように、ケース60および基板10により囲まれた領域に収容されている。樹脂部材70は、基板10に接し、導電体層11、複数の第1半導体素子31、複数の第2半導体素子32、複数の導通部材40(複数の第1導通部材41および複数の第2導通部材42)、および、複数のワイヤなどを覆う。樹脂部材70の構成材料は、たとえば黒色のエポキシ樹脂である。樹脂部材70の構成材料として、エポキシ樹脂ではなく、シリコーンゲルなどの他の材料を選択してもよい。
【0095】
半導体装置A1においては、上アーム回路および下アーム回路の2つのスイッチング回路が構成されている。上アーム回路は、第1配線部111と、第1配線部111に搭載された複数の第1半導体素子31とにより構成される。複数の第1半導体素子31は、第1電源端子23Aと出力端子24との間において並列接続されている。上アーム回路における複数の第1半導体素子31のゲート電極303はそれぞれ、第1ゲート端子25Aに並列接続されている。半導体装置A1の外部に配置されたゲートドライバなどの駆動回路により、第1ゲート端子25Aにゲート電圧が印加されることで、上アーム回路における複数の第1半導体素子31は同時に駆動する。上アーム回路における複数の第1半導体素子31のソース電極301はそれぞれ、第1ゲート端子25Aに並列接続されている。上アーム回路における複数の第1半導体素子31に流れるソース電流は、第1検出端子26Aを介して、半導体装置A1の外部に配置された半導体装置A1の制御回路に入力される。
【0096】
下アーム回路は、第2配線部112と、第2配線部112に搭載された複数の第2半導体素子32とにより構成される。複数の第2半導体素子32は、出力端子24と第2電源端子23Bとの間において並列接続されている。下アーム回路における複数の第2半導体素子32のゲート電極303はそれぞれ、第2ゲート端子25Bに並列接続されている。半導体装置A1の外部に配置されたゲートドライバなどの駆動回路により、第2ゲート端子25Bにゲート電圧が印加されることで、下アーム回路における複数の第2半導体素子32は同時に駆動する。下アーム回路における複数の第2半導体素子32のソース電極301はそれぞれ、第2検出端子26Bに並列接続されている。下アーム回路における複数の第2半導体素子32に流れるソース電流は、第2検出端子26Bを介して、半導体装置A1の外部に配置された半導体装置A1の制御回路に入力される。
【0097】
第1電源端子23Aおよび第2電源端子23Bに直流電源が接続され、かつ上アーム回路における複数の第1半導体素子31および下アーム回路における複数の第2半導体素子32が駆動することによって、出力端子24(第1端子部24Aおよび第2端子部24B)のそれぞれから様々な周波数の交流電圧が出力される。出力端子24から出力された当該交流電圧は、モータなどの電力供給対象に供給される。
【0098】
次に、半導体装置A1の製造方法について、説明する。
【0099】
まず、基板10を準備する。準備する基板10は、導電体層11、金属ベース12および絶縁層13が、上述の通り積層された構成である。
【0100】
次いで、基板10の厚さ方向zの一方側に、複数の第1半導体素子31および複数の第2半導体素子32を搭載する。具体的には、基板10の上方側(絶縁層13に対して導電体層11が形成された側)であって、第1配線部111上に複数の第1半導体素子31を搭載し、第2配線部112上に複数の第2半導体素子32を搭載する。このとき、第1層51(複数の個別部511)、第2層52および第3層53を介して、複数の第1半導体素子31が第1配線部111に接合され、複数の第2半導体素子32が第2配線部112に接合される。
【0101】
次いで、第1電源端子23A、第2電源端子23Bおよび出力端子24を準備する。準備する第1電源端子23Aは、銅または銅合金からなる金属板を、折り曲げ加工およびプレス加工をすることで、上述する形状にする。たとえば、プレス加工により、金属板の一部を薄くして、第1部232aを含む第1電源端子23Aを形成する。また、折り曲げ加工により、屈曲した第2部232bが形成される。第2電源端子23Bおよび出力端子24(第1端子部24Aおよび第2端子部24B)もそれぞれ同様に準備する。
【0102】
次いで、ケース60を準備して、このケース60を、基板10上に第1半導体素子31および第2半導体素子32を囲むように配置する。ケース60は、たとえばインサート成形により、各端子(第1電源端子23A、第2電源端子23B、出力端子24、第1ゲート端子25A,第2ゲート端子25B、第1検出端子26A、第2検出端子26Bなど)が取り付けられている。
【0103】
次いで、第1電源端子23A、第2電源端子23Bおよび出力端子24をそれぞれ、導電体層11に接合する。第1電源端子23A、第2電源端子23Bおよび出力端子24の接合は、たとえば超音波接合による。超音波接合では、周知のツールを用いて行う。第1電源端子23Aと導電体層11(第1配線部111)との接合では、まず、第1電源端子23Aの第1部232aを導電体層11(第1配線部111)上に配置し、ツールの先端を第1電源端子23Aの第1部232aに押し当てる。そして、当該ツールの先端を導電体層11側に押し付けつつ、超音波振動を加えることで、第1部232aと導電体層11(第1配線部111)とが固相接合される。このとき、第1部232aのうちの上記ツールによる加圧力と超音波振動が付加された部分が、固相接合され、接合部232cが形成される。また、形成された接合部232cと第2部232bとの間の部分が連結部232dとなる。なお、超音波接合時に用いるツールの先端(第1電源端子23Aを押さえる部分)がローレット加工されている場合、形成される接合部232cの上面に細かい凹凸状の加工痕が残ることがある。第2電源端子23Bおよび出力端子24(第1端子部24Aおよび第2端子部24B)もそれぞれ同様に接合される。
【0104】
次いで、複数の導通部材40(複数の第1導通部材41および複数の第2導通部材42)、および、複数のワイヤ類(各ゲートワイヤ431~434、各検出ワイヤ441~444など)の接合をそれぞれ行う。
【0105】
次いで、ケース60の収容空間(基板10とケース60とで区画される空間)の基板10上に、樹脂部材70を形成する(樹脂部材形成工程)。樹脂部材形成工程では、たとえば、ポッティングにより樹脂部材70の素材である樹脂材料をケース60内に流し込み、この樹脂材料を硬化させる。これにより、樹脂部材70が形成される。
【0106】
以上に示す工程を経ることで、半導体装置A1が製造される。上述した半導体装置A1の製造方法は、一例であって、これに限定されない。たとえば、上記製造方法では、インサート成形により、各端子(第1電源端子23A、第2電源端子23B、出力端子24、第1ゲート端子25A,第2ゲート端子25B、第1検出端子26A、第2検出端子26Bなど)をケース60に取り付けた状態で、第1電源端子23A、第2電源端子23Bおよび出力端子24を導電体層11に超音波接合したが、この構成とは異なり、導電体層11(基板10)に第1電源端子23A、第2電源端子23Bおよび出力端子24を超音波接合した状態でケース60を形成してもよい。
【0107】
半導体装置A1の作用および効果は、次の通りである。
【0108】
半導体装置A1は、2つの金属部材が接合された接合構造を備えている。この接合構造は、第1金属部材としての導電体層11と第2金属部材としての電力端子(第1電源端子23A、第2電源端子23Bまたは出力端子24)を備える。たとえば第1電源端子23Aは、第1部232aおよび第2部232bを含む。第2部232bは、第1部232aに繋がる端部232eを有しており、第1部232aの厚さ方向zの寸法は、端部232eの厚さ方向zの寸法よりも小さい。つまり、第1部232aは、第2部232bよりも薄い。そして、第1部232aは、第1金属部材(導電体層11)に固相接合された接合部232cを含む。この構成によると、第1電源端子23A(第2金属部材)は、第2部232bよりも薄い第1部232aにおいて、導電体層11(第1金属部材)に接合されている。つまり、第1電源端子23A(第2金属部材)を導電体層11(第1金属部材)に固相接合する際、たとえば超音波接合時の加圧力および振動などを第1部232aに付加している。このため、大きな加圧力および振動などを付加することなく、第1電源端子23Aと導電体層11との適度な接合強度を確保できる。したがって、半導体装置A1における接合構造では、第1電源端子23A(第2金属部材)を導電体層11(第1金属部材)に超音波接合する際に、導電体層11が基板10から剥離することを抑制できる。このことは、他の電力端子、すなわち、第2電源端子23Bおよび出力端子24においても同様である。
【0109】
半導体装置A1では、第1電源端子23A(第2金属部材)において、第1部232aは、接合部232cおよび連結部232dを含む。そして、連結部232dの長さd14(第1方向xに沿う寸法)が1mm以下である。第1部232aは、第2部232bよりも薄く、電流路における断面積が小さい。そのため、連結部232dは、第2部232bよりも高抵抗である。なお、接合部232cは、導電体層11に接合されており、電流路における断面積は接合面積に相当するため、連結部232dよりも低抵抗となる。したがって、半導体装置A1では、寄生抵抗が高い連結部232dの長さd14を1mm以下とすることで、連結部232dにおける内部抵抗を低くして、当該内部抵抗による電力損失を抑制することができる。このことは、他の電力端子、すなわち、第2電源端子23Bと出力端子24(第1端子部24Aおよび第2端子部24B)とにおいても同様である。
【0110】
半導体装置A1では、第1部232aの厚さt11は、第2部232bの端部232eの厚さt12の30%以上70%以下である。たとえば第1部232aの厚さt11がこの範囲よりも大きいと、適度な接合強度の確保をするために、上記超音波接合時の加圧および振動などが大きくなる。また、第1部232aの厚さt11がこの範囲よりも小さいと、第1部232aの一部(連結部232d)における内部抵抗が大きくなる。したがって、半導体装置A1では、第1電源端子23Aと導電体層11との接合構造において、適度な接合強度を確保しつつ、内部抵抗の増加を抑制できる。このことは、他の電力端子、すなわち、第2電源端子23Bと出力端子24(第1端子部24Aおよび第2端子部24B)とにおいても同様である。
【0111】
<第1実施形態の変形例>
図21~
図23は、第1実施形態の変形例にかかる半導体装置A2~A4をそれぞれ示している。
【0112】
図21に示す半導体装置A2は、半導体装置A1と比較して、第1電源端子23Aの第1部232a(内部接続部232)において、接合部232cが連結部232dよりも薄い。つまり、接合部232cの厚さt13(厚さ方向zに沿う寸法)が連結部232dの厚さt14(厚さ方向zに沿う寸法)よりも小さい。たとえば、接合部232cの厚さt13は、連結部232dの厚さt14の60%以上70%以下である。また、半導体装置A3は、第1電源端子23Aにおける接合部232cおよび連結部232dのそれぞれと同様に、第2電源端子23Bの第1部232a(内部接続部232)においても、接合部232cの厚さが連結部232dの厚さよりも小さい。また、半導体装置A3は、出力端子24(第1端子部24Aおよび第2端子部24Bの各々)の第1部242a(内部接続部242)において、接合部242cの厚さt23が連結部242dの厚さt24よりも小さい。たとえば、接合部242cの厚さt23は、連結部242dの厚さt24の60%以上70%以下である。
【0113】
半導体装置A2の第1電源端子23Aおよび第2電源端子23Bは、超音波接合時の上記ツールによる押圧力により接合部232cが押しつぶされ、接合部232cが連結部232dよりも薄くなる。また、半導体装置A2の出力端子24(第1端子部24Aおよび第2端子部24B)は、超音波接合時の上記ツールによる押圧力により接合部242cが押しつぶされ、接合部242cが連結部242dよりも薄くなる。
【0114】
半導体装置A2においても、半導体装置A1と同様の効果を奏することができる。
【0115】
図22に示す半導体装置A3は、半導体装置A1と比較して、第1電源端子23Aの内部接続部232において、第1部232aの幅w11(第2方向yに沿う寸法)が第2部232bの幅w12(第2方向yに沿う寸法)よりも大きい。また、半導体装置A3は、第1電源端子23Aにおける第1部232aおよび第2部232bのそれぞれと同様に、第2電源端子23Bの内部接続部232においても、第1部232aの幅が第2部232bの幅よりも大きく、出力端子24(第1端子部24Aおよび第2端子部24Bの各々)の内部接続部242において、第1部242aの幅w21が第2部242bの幅w12よりも大きい。
【0116】
半導体装置A3の第1電源端子23Aおよび第2電源端子23Bはそれぞれ、第1部232aを形成する際の加工時(プレス加工)において、第1部232aとなる部分が押し広げられることで、第1部232aの幅w11が第2部232bの幅w12よりも大きくなる。同様に、半導体装置A3の出力端子24(第1端子部24Aおよび第2端子部24B)は、第1部242aを形成する際の加工時(プレス加工)において、第1部242aとなる部分が押し広げられることで、第1部242aの幅w21が第2部242bの幅w12よりも大きくなる。
【0117】
半導体装置A3においても、半導体装置A1と同様の効果を奏することができる。また、半導体装置A3では、第1部232aの幅w11が第2部232bの幅w12よりも大きくなることから、半導体装置A1よりも、第1部232aの接合部232cと導電体層11との接合面積を大きくすることが可能となる。つまり、半導体装置A3では、接合部232cにおける寄生抵抗を半導体装置A1における接合部232cよりも低減できる。
【0118】
図23に示す半導体装置A4は、半導体装置A3と比較して、第1電源端子23Aの第1部232a(内部接続部232)において、接合部232cの幅が連結部232dの幅よりも大きい。また、半導体装置A4は、第1電源端子23Aにおける接合部232cおよび連結部232dのそれぞれと同様に、第2電源端子23Bの第1部232a(内部接続部232)において、接合部232cの幅が連結部232dの幅よりも大きく、出力端子24(第1端子部24Aおよび第2端子部24Bの各々)の第1部242a(内部接続部242)において、接合部242cの幅が連結部242dの幅よりも大きい。
【0119】
半導体装置A4の第1電源端子23Aおよび第2電源端子23Bはそれぞれ、第1部232aを導電体層11に接合する際の超音波接合において、接合部232cとなる部分が押し広げられることで、接合部232cの幅が連結部232dの幅よりも大きくなる。同様に、半導体装置A4の出力端子24(第1端子部24Aおよび第2端子部24B)は、第1部242aを導電体層11に接合する際の超音波接合において、接合部242cとなる部分が押し広げられることで、接合部242cの幅が連結部242dの幅よりも大きくなる。
【0120】
半導体装置A4においても、半導体装置A1と同様の効果をすることができる。また、半導体装置A4では、接合部232cの幅が連結部232dの幅よりも大きくなることから、半導体装置A3よりも、第1部232aの接合部232cと導電体層11との接合面積を大きくすることが可能となる。つまり、半導体装置A4では、接合部232cにおける寄生抵抗を半導体装置A3における接合部232cよりも低減できる。
【0121】
上記第1実施形態では、第1導通部材41が導電体層11(第2配線部112)に導通部材接合層48を介して接合された例を示したが、この構成とは異なり、第1導通部材41が導電体層11(第2配線部112)に超音波接合されていてもよい。また、第1導通部材41が第1半導体素子31のソース電極301に導通部材接合層49を介して接合された例を示したが、この構成とは異なり、第1導通部材41が第1半導体素子31のソース電極301に超音波接合されていてもよい。この場合、
図24に示すように、第1導通部材41は、導電体層11(第2配線部112)に接合される端部と、第1半導体素子31のソース電極301に接合される端部とのそれぞれにおいて、接合部41cおよび連結部41dを含む第1部41aと、端部41eを含む第2部41bが形成されている。つまり、
図24に示す変形例では、第1金属部材としての導電体層11(第2配線部112)および第2金属部材としての第1導通部材41を備える接合構造が形成されるとともに、第1金属部材としての第1半導体素子31のソース電極301および第2金属部材としての第1導通部材41を備える接合構造が形成される。
【0122】
上記第1実施例では、第2導通部材42が導電体層11(第3配線部113)に導通部材接合層49を介して接合された例を示したが、この構成とは異なり、第1導通部材41が導電体層11(第3配線部113)に超音波接合されていてもよい。また、第2導通部材42が第2半導体素子32のソース電極301に導通部材接合層49を介して接合された例を示したが、この構成とは異なり、第2導通部材42が第2半導体素子32のソース電極301に超音波接合されていてもよい。この場合、第2導通部材42は、
図24に示す第1導通部材41と同様に、導電体層11(第3配線部113)に接合される端部と、第2半導体素子32のソース電極301に接合される端部とのそれぞれにおいて、接合部および連結部を含む第1部と、端部を含む第2部が形成されている。
【0123】
<第2実施形態>
図25~
図31は、第2実施形態にかかる半導体装置B1を示している。
【0124】
半導体装置B1では、半導体装置A1と比較して、基板10は、導電体層11の構成が異なる。半導体装置B1の導電体層11は、
図27に示すように、第1配線部111、第2配線部112、第1ゲート部114、第1検出部115、第2ゲート部117、第2検出部118および2つの絶縁部119を含む。
【0125】
図30および
図31に示すように、半導体装置B1では、半導体装置A1と同様に、第1配線部111および第2配線部112が、絶縁層13上に形成されている。これに対して、第1ゲート部114および第1検出部115は、半導体装置A1と異なり、2つの絶縁部119の一方を挟んで、第1配線部111上に配置されている。よって、2つの絶縁部119の一方は、第1配線部111上に形成され、当該絶縁部119上には、第1ゲート部114および第1検出部115が配置されている。また、第2ゲート部117および第2検出部118は、半導体装置A1と異なり、2つの絶縁部119の他方を挟んで、第2配線部112上に配置されている。よって、2つの絶縁部119の他方は、第2配線部112上に形成されており、当該絶縁部119上には、第2ゲート部117および第2検出部118が配置されている。
【0126】
図29~
図31に示すように、半導体装置B1では、金属ベース12の裏面12bが、樹脂部材70の下面から露出する。
図29に示すように、樹脂部材70の下面は、裏面12bを囲む枠状である。
【0127】
図30に示すように、半導体装置B1では、半導体装置A1と同様に、第1電源端子23Aが第1配線部111に接合され、かつ、出力端子24が第2配線部112に接合されている。これに対して、第2電源端子23Bは、半導体装置A1と異なり、導電体層11に接合されていない。ただし、後に詳述される構成により、第2電源端子23Bは、半導体装置A1と同様に、各第2半導体素子32のソース電極301に導通する。
【0128】
半導体装置B1では、第1電源端子23Aと第2電源端子23Bとは、絶縁部材239を挟んで、厚さ方向zに略平行に配置されている。第1電源端子23Aと第2電源端子23Bとは、
図27から理解されるように、厚さ方向zに視て一部が重なる。
【0129】
絶縁部材239は、電気絶縁性を有しており、その構成材料は、たとえば絶縁紙などである。絶縁部材239の一部は、
図30に示すように、厚さ方向zにおいて第1電源端子23Aと、第2電源端子23Bとの間に介在する。第1電源端子23Aおよび第2電源端子23Bはそれぞれ、厚さ方向zに視て、少なくとも一部が絶縁部材239に重なる。絶縁部材239により、第1電源端子23Aと第2電源端子23Bとが互いに絶縁されている。絶縁部材239は、樹脂部材70に覆われた部分と、樹脂部材70から露出する部分とがある。
【0130】
図27および
図30に示すように、第1電源端子23Aは、外部接続部231および内部接続部232を含む。第1電源端子23Aにおいて、外部接続部231と内部接続部232とは互いに繋がる。外部接続部231は、樹脂部材70から露出し、内部接続部232は、樹脂部材70に覆われている。第1電源端子23Aにおいて、内部接続部232は、
図27に示すように、第1方向xにおいて、外部接続部231に繋がる側と反対側の端部が櫛歯状である。複数の歯は、いずれも超音波接合により第1配線部111に接合されている。
【0131】
図27および
図30に示すように、第2電源端子23Bは、外部接続部231および内部接続部232を含む。第2電源端子23Bにおいて、外部接続部231と内部接続部232とは互いに繋がる。外部接続部231は、樹脂部材70から露出し、内部接続部232は、樹脂部材70に覆われている。第1電源端子23Aの外部接続部231と第2電源端子23Bの外部接続部231とは、厚さ方向zに視て互いに重なる。第2電源端子23Bにおいて、内部接続部232は、
図27に示すように、櫛歯状に形成されている。
図27に示すように、内部接続部232の複数の歯の先端はそれぞれ、当該土台部59を介して、第1配線部111に支持されている。複数の土台部59の各々は、電気絶縁性(たとえばセラミックなど)のブロックである。
【0132】
図27および
図30に示すように、出力端子24は、外部接続部241および内部接続部242を含む。外部接続部241と内部接続部242とは互いに繋がる。外部接続部241は、樹脂部材70から露出し、内部接続部242は、樹脂部材70に覆われている。内部接続部242は、
図27に示すように、第1方向xにおいて、241に繋がる側と反対側の端部が櫛歯状である。複数の歯は、いずれも超音波接合により第2配線部112に接合されている。
【0133】
半導体装置B1の内部接続部242は、
図27および
図30に示すように、半導体装置A1と同様に、複数の歯のそれぞれにおいて、第1部242aおよび第2部242bを含む。そして、第1部242aは、接合部242cおよび連結部242dを含み、第2部242bは、端部242eを含む。第1部242a(接合部242cおよび連結部242d)と、第2部242b(端部242eを含む)とはそれぞれ、半導体装置A1と同様に構成されている。ただし、各部の形状や大きさなどは、適宜変更されている。たとえば、半導体装置B1の出力端子24は、第2部242bなどが屈曲しておらず、板状である。
【0134】
図25~
図29に示すように、半導体装置B1は、複数のノンコネクト端子29を備えている。複数のノンコネクト端子29は、第1方向xにおいて第1ゲート端子25Aに対して第1検出端子26Aと反対側に位置するものと、第1方向xにおいて第2ゲート端子25Bに対して第2検出端子26Bとは反対側に位置するものとがある。ノンコネクト端子29の数は、図示された例に限定されず、また、半導体装置B1が複数のノンコネクト端子29を備えない構成としてもよい。複数のノンコネクト端子29は、第1ゲート端子25A、第2ゲート端子25B、第1検出端子26Aおよび第2検出端子26Bのそれぞれと同形状である。
【0135】
半導体装置B1では、
図27、
図28および
図31に示すように、各第1導通部材41は、各第1半導体素子31のソース電極301と第2配線部112とに接合されている。よって、各第1導通部材41により、第2配線部112は、各第1半導体素子31のソース電極301に導通する。第2配線部112は、各第2半導体素子32が接合されて各第2半導体素子32のドレイン電極302に導通することから、第2配線部112に接合された出力端子24は、各第1半導体素子31のソース電極301と各第2半導体素子32のドレイン電極302とに導通する。
【0136】
半導体装置B1では、
図27、
図28および
図30に示すように、各第2導通部材42は、各第2半導体素子32のソース電極301と第2電源端子23Bの内部接続部232の櫛歯状の部分とにそれぞれ接合されている。これにより、第2電源端子23Bは、各第2半導体素子32のソース電極301に導通する。
【0137】
図25、
図27~
図31に示すように、半導体装置B1がケース60を備えていないことから、樹脂部材70の側面(上面および下面を除く面)は、半導体装置B1の外部に露出している。
【0138】
半導体装置B1において、半導体装置A1と同様に、2つの金属部材が接合された接合構造を備えている。この接合構造は、第1金属部材としての導電体層11(第2配線部112)と第2金属部材としての電力端子(出力端子24)を備える。したがって、半導体装置B1における接合構造では、出力端子24(第2金属部材)を導電体層11(第1金属部材)に超音波接合する際に、導電体層11が基板10から剥離することを抑制できる。
【0139】
第2実施形態にかかる半導体装置B1においても、第1実施形態の変形例と同様の構成を適用してもよい。つまり、半導体装置B1は、上記半導体装置A2(
図21参照)と同様に、接合部242cが連結部242dよりも薄くてもよい。また、上記半導体装置A3(
図22参照)と同様に、第1部242aの幅が第2部242bの幅よりも大きくてもよい。また、上記半導体装置A4(
図23参照)と同様に、接合部242cの幅が連結部242dの幅よりも大きくてもよい。
【0140】
上記第1実施形態および第2実施形態において、各半導体装置A1,B1における基板10の構成は、上述する例に限定されない。つまり、各半導体装置A1,B1において、基板10は、メタルベース基板に限定されず、DBC(Direct Bonded Copper)基板またはDBA(Direct Bonded Aluminum)基板であってもよい。DBC基板は、セラミック製の絶縁基板の両面に銅または銅合金からなる導電体が形成されたものであり、DBAは、セラミック製の絶縁基板の両面にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる導電体が形成されたものである。
【0141】
本開示にかかる接合構造、半導体装置および接合方法は、上記した実施形態に限定されるものではない。本開示の接合構造および半導体装置の各部の具体的な構成および本開示の接合方法の各工程の具体的な処理は、種々に設計変更自在である。たとえば、本開示の接合構造、半導体装置および接合方法は、以下の付記に関する実施形態を含む。
〔付記1〕
第1金属部材を有し、厚さ方向の一方の表層が前記第1金属部材である基板と、
前記厚さ方向に見て前記第1金属部材に重なる第1部、および、前記厚さ方向に直交する第1方向において前記第1部から延びる第2部を含む第2金属部材と、
を備えており、
前記第2部は、前記第1部に繋がる端部を有しており、
前記第1部の前記厚さ方向の寸法は、前記端部の前記厚さ方向の寸法よりも小さく、
前記第1部は、前記第1金属部材に固相接合された接合部を含む、接合構造。
〔付記2〕
前記第1部は、前記端部よりも、前記厚さ方向および前記第1方向に直交する第2方向の寸法が大きい、付記1に記載の接合構造。
〔付記3〕
前記第1部は、前記端部と前記接合部とに繋がる連結部をさらに含み、
前記連結部は、前記接合部よりも、前記第1方向の寸法が小さい、付記1または付記2のいずれかに記載の接合構造。
〔付記4〕
前記連結部は、前記接合部よりも、前記厚さ方向の寸法が大きい、付記3に記載の接合構造。
〔付記5〕
前記接合部は、前記連結部よりも、前記厚さ方向および前記第1方向に直交する第2方向の寸法が大きい、付記4に記載の接合構造。
〔付記6〕
前記第1部のうちの前記端部に繋がる部分の前記厚さ方向の寸法は、前記端部の前記厚さ方向の寸法の30%以上70%以下である、付記1ないし付記5のいずれかに記載の接合構造。
〔付記7〕
付記1ないし付記6のいずれかに記載の接合構造と、
前記基板に支持された半導体素子と、を備える半導体装置。
〔付記8〕
前記第1金属部材としての導電体層と、
前記第2金属部材としての電力端子と、
を備えており、
前記半導体素子は、前記導電体層に接合されており、
前記電力端子は、前記半導体素子に導通する、付記7に記載の半導体装置。
〔付記9〕
前記基板は、金属ベースおよび絶縁層をさらに有しており、
前記金属ベースは、前記厚さ方向に離間する主面および裏面を有し、
前記絶縁層は、前記金属ベースの前記主面と前記導電体層との間に介在する、付記8に記載の半導体装置。
〔付記10〕
前記絶縁層は、エポキシ系樹脂からなる、付記9に記載の半導体装置。
〔付記11〕
前記半導体素子は、各々がスイッチング動作を行う第1半導体素子と第2半導体素子とを含み、
前記第1半導体素子と前記第2半導体素子とは、電気的に直列に接続されている、付記9または付記10のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記12〕
前記電力端子は、前記第1半導体素子に導通する第1電源端子と、前記第2半導体素子に導通する第2電源端子と、前記第1半導体素子と前記第2半導体素子との電気的な接続点に導通する出力端子と、を含む、付記11に記載の半導体装置。
〔付記13〕
前記導電体層は、互いに離間する第1配線部、第2配線部および第3配線部を含み、
前記第1配線部は、前記第1半導体素子および前記第1電源端子が接合され、
前記第2配線部は、前記第2半導体素子および前記出力端子が接合され、
前記第3配線部は、前記第2電源端子が接合されている、付記12に記載の半導体装置。
〔付記14〕
前記第1半導体素子と前記第2配線部とを導通させる第1導通部材と、
前記第2半導体素子と前記第3配線部とを導通させる第2導通部材と、
をさらに備える、付記13に記載の半導体装置。
〔付記15〕
前記基板を底板として含み、前記半導体素子を収容するケースをさらに備える、付記8ないし付記14のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記16〕
前記半導体素子を覆う樹脂部材をさらに備え、
前記樹脂部材は、前記ケースと前記基板とで区画された領域に収容されている、付記15に記載の半導体装置。
〔付記17〕
第1金属部材を有し、厚さ方向の一方の表層が前記第1金属部材である基板を準備する工程と、
互いに繋がる第1部および第2部を含み、前記第1部が前記第2部よりも前記厚さ方向の寸法が小さい第2金属部材を準備する工程と、
前記第2金属部材のうちの少なくとも前記第1部を前記第1金属部材上に配置し、前記第1部を前記第1金属部材に超音波接合する工程と、を有する接合方法。
【符号の説明】
【0142】
A1,A2,A3,A4,B1:半導体装置
10 :基板
11 :導電体層
11a :搭載面
111 :第1配線部
111a :パッド
112 :第2配線部
112a :パッド
113 :第3配線部
113a :パッド
113b :切り欠き
114 :第1ゲート部
115 :第1検出部
116 :サーミスタ搭載部
117 :第2ゲート部
118 :第2検出部
119 :絶縁部
12 :金属ベース
12a :主面
12b :裏面
13 :絶縁層
23A :第1電源端子
23B :第2電源端子
231 :外部接続部
231a :接続孔
232 :内部接続部
232a :第1部
232b :第2部
232c :接合部
232d :連結部
232e :端部
233 :中間部
233a :基部
233b :起立部
239 :絶縁部材
24 :出力端子
24A :第1端子部
24B :第2端子部
241 :外部接続部
241a :接続孔
242 :内部接続部
242a :第1部
242b :第2部
242c :接合部
242d :連結部
242e :端部
243 :中間部
243a :基部
243b :起立部
25A :第1ゲート端子
25B :第2ゲート端子
26A :第1検出端子
26B :第2検出端子
27 :電源電流検出端子
28 :サーミスタ端子
29 :ノンコネクト端子
30 :半導体素子
301 :ソース電極
302 :ドレイン電極
303 :ゲート電極
31 :第1半導体素子
32 :第2半導体素子
33 :サーミスタ
40 :導通部材
41 :第1導通部材
41a :第1部
41b :第2部
41c :接合部
41d :連結部
41e :端部
42 :第2導通部材
431 :第1ゲートワイヤ
432 :第2ゲートワイヤ
433 :第3ゲートワイヤ
434 :第4ゲートワイヤ
441 :第1検出ワイヤ
442 :第2検出ワイヤ
443 :第3検出ワイヤ
444 :第4検出ワイヤ
45 :電源電流検出ワイヤ
46 :サーミスタワイヤ
48 :導通部材接合層
49 :導通部材接合層
51 :第1層
511 :個別部
52 :第2層
53 :第3層
59 :土台部
60 :ケース
611 :第1側壁
612 :第2側壁
62 :取付部
621 :取付部材
621a :取付孔
63 :電源端子台
631 :第1端子台
632 :第2端子台
633 :溝部
634 :ナット
635 :中間部材
64 :出力端子台
641 :第1端子台
642 :第2端子台
643 :溝部
644 :ナット
645 :中間部材
70 :樹脂部材