(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189532
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0232 20140101AFI20221215BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20221215BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
H01L31/02 D
G02B3/00 A
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098159
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 泰啓
【テーマコード(参考)】
4M118
5F849
【Fターム(参考)】
4M118AB01
4M118CA02
4M118CB20
4M118GB02
4M118GB07
4M118GB11
4M118GB13
4M118GD01
4M118GD07
5F849AA01
5F849AB11
5F849BA28
5F849BA30
5F849BB07
5F849CB17
5F849CB20
5F849DA44
5F849HA10
5F849HA20
5F849JA12
5F849XB05
5F849XB51
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スペーサを設ける領域を十分確保でき、マイクロレンズの面積が小さくなることを防ぎ、センサ性能の低減を防ぐことが可能な電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、複数のマイクロレンズMLと、複数のセンサ領域SX間に配置された複数のスペーサPSと、を備え、複数のセンサ領域SXは、第1センサ領域SX11、第2センサ領域SX12、第3センサ領域SX21を有し、第1センサ領域SX11及び第2センサ領域SX12に重畳するマイクロレンズMLb、MLdと、第1センサ領域SX11及び第3センサ領域SX21に重畳するマイクロレンズMLcを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に複数のセンサ素子をそれぞれ有する、複数のセンサ領域と、
前記複数のセンサ素子上に互いに交差する第1方向及び第2方向に亘って、六方配置の周期構造で配置され、前記複数のセンサ領域に設けられる、複数のマイクロレンズと、
前記基板上にあって前記複数のセンサ領域間に配置された複数のスペーサと、
を備え、
前記複数のセンサ領域は、前記複数のスペーサに隣接する第1センサ領域、前記第1センサ領域に前記第1方向で隣り合う第2センサ領域、前記第1センサ領域に前記第2方向で隣り合う第3センサ領域を有し、前記第1センサ領域及び前記第2センサ領域に重畳する少なくとも1つのマイクロレンズと、第1センサ領域及び第3センサ領域に重畳する少なくとも1つのマイクロレンズを含む、電子機器。
【請求項2】
前記複数のスペーサは、それぞれ、矩形形状を有する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記複数のスペーサは、それぞれ、ひし形形状を有する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記複数のスペーサは、それぞれ、円形形状を有する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記複数のスペーサは、それぞれ、楕円形状を有する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
隣り合う前記複数のスペーサの間には、少なくとも2列の前記センサ領域に設けられる、請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記複数のスペーサは、第1スペーサ、第2スペーサ、及び第3スペーサを含み、
前記第1スペーサ及び前記第2スペーサの間の前記センサ領域の列数と、前記第2スペーサ及び前記第3スペーサの間の前記センサ領域の列数が、異なる、請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記複数のセンサ素子は、光学式指紋センサを構成する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
遮光層と
前記遮光層に設けられる、複数のピンホールと、
をさらに備え、
前記複数のマイクロレンズは、前記複数のピンホールを介して、前記複数のセンサ素子に重畳して配置される、請求項1に記載の電子機器。
【請求項10】
前記複数のスペーサは、それぞれ、樹脂材料で形成される、請求項1に記載の電子機器。
【請求項11】
前記複数のスペーサは、それぞれ、レンズ材料で形成された台座の上に形成される、請求項1に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子デバイスへのアクセスを制限するために、電子デバイスに認証システムが搭載されることがある。認証システムには、生体センサが用いられることがある。個人認証等に用いられる生体センサとして、光学式の生体センサが知られている。光学式の生体センサとして、指紋センサや静脈センサが知られている。指紋センサは、光電変換素子等が基板上に複数配列されている。光電変換素子は、照射される光量に応じて出力される信号が変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、スペーサを設ける領域を十分確保でき、マイクロレンズの面積が小さくなることを防ぎ、センサ性能の低減を防ぐことが可能な電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る電子機器は、
基板と、
前記基板上に複数のセンサ素子をそれぞれ有する、複数のセンサ領域と、
前記複数のセンサ素子上に互いに交差する第1方向及び第2方向に亘って、六方配置の周期構造で配置され、前記複数のセンサ領域に設けられる、複数のマイクロレンズと、
前記基板上にあって前記複数のセンサ領域間に配置された複数のスペーサと、
を備え、
前記複数のセンサ領域は、前記複数のスペーサに隣接する第1センサ領域、前記第1センサ領域に前記第1方向で隣り合う第2センサ領域、前記第1センサ領域に前記第2方向で隣り合う第3センサ領域を有し、前記第1センサ領域及び前記第2センサ領域に重畳する少なくとも1つのマイクロレンズと、第1センサ領域及び第3センサ領域に重畳する少なくとも1つのマイクロレンズを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態の電子機器の一部を示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、貼り合わせた2つの基板の断面図である。
【
図4】
図4は、比較例1の基板を示す平面図である。
【
図5】
図5は、比較例2の基板を示す平面図である。
【
図6】
図6は、実施形態における基板の他の構成例を示す平面図である。
【
図7】
図7は、実施形態における基板の他の構成例を示す平面図である。
【
図8】
図8は、実施形態における基板の他の構成例を示す平面図である。
【
図9】
図9は、
図8の線A1-A2に示す基板の断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態における基板の他の構成例を示す平面図である。
【
図12】
図12は、実施形態における基板の他の構成例を示す平面図である。
【
図13】
図13は、実施形態における基板の他の構成例を示す平面図である。
【
図14】
図14は、実施形態における基板の他の構成例を示す平面図である。
【
図15】
図15は、実施形態における基板の他の構成例を示す平面図である。
【
図16】
図16は、研磨工程の際に貼り合された、マザー基板の外周シールを説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
以下、図面を参照しながら一実施形態に係る電子機器について詳細に説明する。
【0008】
本実施形態においては、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第3方向Zの矢印の先端に向かう方向を上又は上方と定義し、第3方向Zの矢印の先端に向かう方向とは反対側の方向を下又は下方と定義する。なお第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zを、それぞれ、X方向、Y方向、及び、Z方向と呼ぶこともある。
【0009】
また、「第1部材の上方の第2部材」及び「第1部材の下方の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、又は第1部材から離れて位置していてもよい。後者の場合、第1部材と第2部材との間に、第3の部材が介在していてもよい。一方、「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は第1部材に接している。
【0010】
また、第3方向Zの矢印の先端側に電子機器を観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視という。第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面、あるいは第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY-Z平面における電子機器の断面を見ることを断面視という。
【0011】
図1は、実施形態の電子機器の一部を示す概略断面図である。電子機器ERPは、基材BA1と、センサ層SRと、遮光層BM1と、絶縁層IL1と、遮光層BM2と、絶縁層IL2と、マイクロレンズMLと、を備えている。
基材BA1は、透明絶縁材料、例えばガラスで形成されている。基材BA1上に、センサ層SRが設けられている。センサ層SRには、光学式指紋センサを構成するセンサ素子SMが設けられている。センサ素子SMは、光電変換素子であり、例えば半導体によるフォトダイオード、あるいは、有機受光素子(Organic Photodiode: OPD)を用いる。
【0012】
基材BA1と接して、遮光層BM1及び絶縁層IL1が設けられている。隣り合う2つのBM1は、間隙を有して配置されている。遮光層BM1は、例えば金属材料、より具体的には、アルミニウムをモリブデンで挟持した積層膜で形成されている。ただし遮光層BM1は、金属材料に代えて、平坦化機能を有する有機絶縁樹脂材料や、感光性の樹脂材料を用いて形成してもよい。
絶縁層IL1は、基材BA1及び遮光層BM1に接し、遮光層BM1を覆って設けられている。絶縁層IL1は、透光性を有する樹脂材料で形成されている。
【0013】
絶縁層IL1と接して、遮光層BM2及び絶縁層IL2が設けられている。遮光層BM2は、絶縁層IL1を挟んで、遮光層BM1と重畳している。隣り合う2つのBM2は、間隙を有して配置されている。遮光層BM2の材料は、遮光層BM1と同様である。
絶縁層IL2は、絶縁層IL1及び遮光層BM2に接し、遮光層BM2を覆って設けられている。絶縁層IL2の材料は、絶縁層IL1と同様であってもよいし、透光性を有する基材、例えばガラスであってもよい。
【0014】
隣り合う2つの遮光層BM1との間の間隙、及び、隣り合う2つの遮光層BM2との間の間隙は、ピンホールPHを形成している。なお
図1では、同層の遮光層2つが隣り合い、当該2つの間にピンホールPHが設けられているように示されている。しかし、本実施形態の遮光層及びピンホールはこれに限定されない。一体形成された遮光層に、複数のピンホールPHが設けられていてもよい。すなわち、2つの隣り合う遮光層は、連続して一層の遮光層を構成していてもよい。
【0015】
絶縁層IL2に接して、マイクロレンズMLが設けられている。マイクロレンズMLは、ピンホールPHを介して、センサ素子SMに重畳して配置されている。マイクロレンズMLを介して電子機器ERPに入射した光は、ピンホールPHを通って、センサ素子SMに到達する。
【0016】
基材BA1、センサ層SR、遮光層BM1、絶縁層IL1、遮光層BM2、絶縁層IL2、マイクロレンズMLの積層体を、基板SUB1ともいう。電子機器ERPの製造工程においては、基板SUB1どうしを貼り合わせて、基材BA1を研磨する工程が存在する。
【0017】
図2は、貼り合わせた2つの基板の断面図である。基板SUB1どうしの間には、間隔を維持するためのスペーサPSが設けられている。スペーサPSは、隣り合うマイクロレンズMLとの間に配置されていればよい。スペーサPSは、遮光層BM1及びBM2と重畳している。スペーサPSの材料は、樹脂材料、より具体的には、有機絶縁樹脂材料や、感光性の樹脂材料であればよい。
【0018】
電子機器ERPは、センサ領域に対するマイクロレンズMLの面積を増やすと、センサ性能が向上する。しかしながら、マイクロレンズMLの面積が増えると、スペーサPSを設ける領域が減少する。スペーサPSを設ける領域が減少すると、上記研磨工程において、基板SUB1どうしの間隔を維持することが困難になる恐れが生じる。
スペーサPSを設ける領域を増大させると、マイクロレンズMLの面積を小さくせざるを得ず、電子機器ERPのセンサ性能が低減してしまう。
【0019】
本実施形態の電子機器ERPにおいて、スペーサPSと隣接するセンサ領域では、少なくとも1つのマイクロレンズMLが、隣り合うセンサ領域と重畳している。当該センサ領域では、第1方向Xで隣り合うセンサ領域に重畳するマイクロレンズMLと、第2方向Yで隣り合うセンサ領域に重畳するマイクロレンズMLとを有している。
【0020】
このようなマイクロレンズMLの配置を行うことにより、基板SUB1を貼り合わせて研磨工程を行う場合でも、スペーサPSを設ける領域を十分確保でき、かつ、基板SUB1どうしの間隔を維持可能である。マイクロレンズMLの面積が小さくなることを防ぎ、電子機器ERPのセンサ性能が低減することを防ぐことができる。
【0021】
図3は、本実施形態の基板の平面図である。基板SUB1では、平面視で、複数のマイクロレンズMLが、第1方向X及び第2方向Yに亘って、六方配置の周期構造で配置されている。スペーサPSは、縦長の矩形形状を有している。スペーサPSは、第1方向Xに沿って2つのセンサ領域SXごとに設けられ、第2方向Yに沿って延伸している。すなわち、スペーサPSは、2列のセンサ領域SXごとに設けられている。
【0022】
センサ領域SXは、電子機器EPRのセンシングの精細度を決める基本単位に相当する。センサ領域SXは、
図3に示す例では、第1方向X及び第2方向Yに2つずつ、計4つのセンサ素子SMを有している。ただし、センサ素子SMの数はこれに限定されず、センサ性能に応じた数を配置すればよい。あるいは、センサ素子SMの数やピッチは、電子機器ERPと重畳させる表示パネルの画素ピッチに応じて決定すればよい。センサ素子SMの数やピッチ、及び、画素ピッチを調整することにより、表示パネルのモアレを解消することができる。例えば、センサ素子SMのピッチが、画素ピッチと等しくなければよい。
【0023】
複数のセンサ素子SMのそれぞれ、複数のマイクロレンズMLそれぞれに重畳している。
図3に示す例では、センサ素子SMは、マイクロレンズMLの中心C1と重畳して設けられている。ただし、これに限定されず、マイクロレンズMLの中心と重畳していなくてもよい。マイクロレンズMLに入射した光が、センサ領域SX内に到達すればよい。
マイクロレンズMLの大きさは、例えば、センサ領域SXの第1方向X及び第2方向Yそれぞれの長さの半分であればよい。
【0024】
ここで、スペーサPSに、第1方向Xと平行な方向で隣接するセンサ領域SXに着目する。センサ領域SX11は、第1方向Xと逆方向でスペーサPSと隣接している。センサ領域SX11には、六方配置されたマイクロレンズMLa、MLb、MLc、及びMLdが設けられている。マイクロレンズMLa及びMLcは、第1方向Xにおいて、マイクロレンズMLb及びMLdよりも、スペーサPSに近い。
マイクロレンズMLb及びMLdは、第1方向Xで隣り合うセンサ領域SX12に重畳している。換言すると、マイクロレンズMLb及びMLdは、センサ領域SX12及びSX12の境界に重畳している。
【0025】
上記では第1方向Xについて述べたが、第2方向Yについても同様である。センサ領域SX11は、第2方向Yでセンサ領域SX21に隣接している。
マイクロレンズMLbは、第2方向Yと逆方向で、センサ領域SX11と隣り合うセンサ領域に重畳している。マイクロレンズMLdは、第2方向Yで、センサ領域SX21に重畳している。
【0026】
例えば、センサ領域SX11、SX12、及びSX21を、それぞれ、第1センサ領域、第2センサ領域、及び第3センサ領域と呼ぶ。第1センサ領域に設けられたマイクロレンズMLのうち、少なくとも1つは、第2センサ領域と重畳している。かつ、第1センサ領域に設けられたマイクロレンズMLのうち、少なくとも1つは、第3センサ領域と重畳している。
【0027】
センサ領域SX22は、第1方向XでスペーサPSと隣接している。センサ領域SX22のマイクロレンズMLb及びMLdは、第1方向Xにおいて、マイクロレンズMLa及びMLcよりも、スペーサPSに近い。
マイクロレンズMLa及びMLcは、第1方向Xと逆方向で隣り合うセンサ領域SX21と重畳している。換言すると、マイクロレンズMLa及びMLcは、センサ領域SX21及びSX22の境界に重畳している。
【0028】
センサ領域SX22のマイクロレンズMLbは、第2方向Yと逆方向で隣り合うセンサ領域SX12と重畳している。換言すると、マイクロレンズMLbは、センサ領域SX12及びSX22の境界に重畳している。
【0029】
ただし、全てのマイクロレンズMLが、隣り合うセンサ領域に重畳していなくてもよい。スペーサPSに隣接した1つのセンサ領域には、次に述べる少なくとも1つのマイクロレンズが設けられていればよい。すなわち、当該1つのマイクロレンズは、第1方向Xで隣り合うセンサ領域に重畳していればよい。かつ、当該1つのセンサ領域に設けられた、少なくとも1つのマイクロレンズが、第2方向Yで隣り合うセンサ領域に重畳していればよい。第1方向Xで隣り合うセンサ領域に重畳するマイクロレンズと、第2方向Yで隣り合うセンサ領域に重畳するマイクロレンズは、異なっていても、同じであってもよい。
図3は、第1方向X及び第2方向Yで重畳するマイクロレンズが、異なる例を示している。
【0030】
図4は、比較例1の基板を示す平面図である。
図4において、マイクロレンズMLは、第1方向X及び第2方向Yに沿って、マトリクス状に設けられている。1つのセンサ領域SXに設けられたマイクロレンズMLは、隣り合うセンサ領域SXには重畳しない。
ひし形形状のスペーサPSは、近接する4つのマイクロレンズMLの間に設けられている。
図3に示すスペーサPSと比較して、
図4のスペーサPSは、第1方向Xに沿った距離(幅)が短い。またスペーサPSは、第2方向Yに沿っては延伸していないため、
図4のスペーサPSは、
図3のスペーサPSよりも面積が小さいことは明らかである。
【0031】
図5は、比較例2の基板を示す平面図である。
図5に示す基板SUB1では、マイクロレンズMLが六方配置されている。1つのセンサ領域SXは、第1方向Xにおいて、2つのスペーサPSとの間に設けられている。スペーサPSは、第2方向Yに沿って延伸している。
【0032】
図5において、1つのセンサ領域SXに設けられたマイクロレンズMLは、第2方向Yで隣り合うセンサ領域に重畳している。しかしながら、当該1つのセンサ領域SXに設けられた、マイクロレンズMLは、第1方向Xで隣り合うセンサ領域SXには重畳していない。
【0033】
センサ領域SX11に設けられたMLcは、第2方向Yで隣り合うセンサ領域SX21に重畳している。しかしながら、センサ領域SX11は、第1方向Xと他のセンサ領域とは隣り合わない。すなわち、センサ領域SX11に設けられたマイクロレンズMLa、MLb、MLc、及びMLdのうち、第1方向Xで隣り合うセンサ領域SXに重畳するものは存在しない。
【0034】
本実施形態の基板SUB1は、スペーサPSに隣接するセンサ領域SXは、第1方向X及び第2方向Yの両方で、隣り合うセンサ領域に重畳するマイクロレンズを有している。これにより、スペーサPSが設けられる領域を確保し、かつ、マイクロレンズMLの面積が減少することを防ぐことが可能である。よって、電子機器ERPのセンサ性能が低減することを防ぐことができる。
【0035】
<構成例1>
図6は、実施形態における基板の他の構成例を示す平面図である。
図6に示した構成例では、
図3に示した構成例と比較して、3列のセンサ領域ごとにスペーサが設けられるという点で異なっている。
本構成例においても、スペーサPSに隣接するセンサ領域SXは、第1方向X及び第2方向Yの両方で、隣り合うセンサ領域に重畳するマイクロレンズを有している。
【0036】
例えば、
図6におけるセンサ領域SX11に設けられるマイクロレンズMLの配置は、
図3と同様である。
図6におけるセンサ領域SX23は、
図3におけるセンサ領域SX22と同様である。
【0037】
スペーサPSと隣接しないセンサ領域SX12及びSX22については、マイクロレンズMLは、第2方向Yで隣り合うセンサ領域と重畳するが、第1方向Xでは重畳していない。
しかしながら、上述のようにスペーサPSと隣接するセンサ領域により、スペーサPSを設ける領域を確保可能である。
【0038】
図6では、隣り合うスペーサPS間に設けられるセンサ領域SXの列数が、3である例について説明した。当該列数は、
図3に示す2、及び、
図6に示す3だけでなく、4以上であってもよい。ただし、列数が1の場合は
図5で示す配置となるので、隣り合うスペーサPS間には、少なくとも2列のセンサ領域SXが設けられることが好ましい。
本構成例においても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0039】
<構成例2>
図7は、実施形態における基板の他の構成例を示す平面図である。
図7に示した構成例では、
図6に示した構成例と比較して、隣り合うスペーサ間で設けられるセンサ領域の列数が均一でないという点で異なっている。
図7に示す例では、スペーサPSとして、スペーサPS1及びPS2が設けられている。スペーサPS1及びPS2との間には、3列のセンサ領域SXが設けられている。スペーサPS2及びPS1との間には、2列のセンサ領域SXが設けられている。すなわち、
図6とは異なり、スペーサPS間に設けられるセンサ領域SXの列数が均一ではない。スペーサPS1、PS2、及びPS3を、第1スペーサ、第2スペーサ、及び第3スペーサと呼ぶこともある。
【0040】
図7では、スペーサPS間に、3列及び2列のセンサ領域SXを設ける例について述べたが、本構成例はこれに限定されない。他の列数のセンサ領域SXを設けることが可能である。
本構成例においても、スペーサPSに隣接するセンサ領域SXは、第1方向X及び第2方向Yの両方で、隣り合うセンサ領域に重畳するマイクロレンズを有している。
本構成例においても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0041】
<構成例3>
図8は、実施形態における基板の他の構成例を示す平面図である。
図8に示した構成例では、
図3に示した構成例と比較して、スペーサの平面形状が円形形状であるという点で異なっている。
図8に示す例では、第1方向Xで隣り合うスペーサPSとの間には、2列のセンサ領域SXが設けられている。例えば、スペーサPS11及びPS12との間には、センサ領域SX111及びSX112が設けられている。スペーサPS12及びPS13との間には、センサ領域SX211及びSX212が設けられている。
【0042】
スペーサPS12は、センサ領域SX112のマイクロレンズMLb及びMLd、並びに、センサ領域SX211のマイクロレンズMLa及びMLcとの間に設けられている。上述のように、スペーサPS12は、平面視で円形形状を有しており、実際には第3方向Zに沿って延伸する円柱形状を有している。このように、本構成例のスペーサPSは、実施形態のスペーサPSと異なり、第2方向Yに沿って延伸しない形状を有している。
【0043】
スペーサPS11及びPS13についても、スペーサPS12と同様に配置されている。
スペーサPS12に、第2方向Yで隣り合うスペーサPS22は、センサ領域SX122のマイクロレンズMLb及びMLd、並びに、センサ領域SX221のマイクロレンズMLa及びMLcとの間に設けられている。
【0044】
図8では、第1方向Xで隣り合う2つのセンサ領域SXとの間に、1つのスペーサPSを設けるが、本構成例はこれに限定されない。2つのセンサ領域SXとの間に、2つ以上のスペーサPSを設けてもよい。
マイクロレンズMLとの間には、平面視で遮光層BM2が設けられている。遮光層BM2は、スペーサPSに重畳する領域にも設けられている。
【0045】
図9は、
図8の線A1-A2に示す基板の断面図である。分かり易くするために、
図8の線A1―A2は、複数の線に分けて示している。
図9に示すように、スペーサPSの第3方向Zに沿った高さHPは、マイクロレンズMLの高さHLより高い。これにより、研磨工程において、マイクロレンズMLどうしが接しない。よって、マイクロレンズMLを傷つける恐れがなくなる。
【0046】
また、貼り合わせる基板SUB1どうしのスペーサPSの断面形状は、異なっていてもよい。
図10は、貼り合わせた2つの基板の断面図である。基板SUB1aに設けられたスペーサPSa、及び、基板SUB1bに設けられたスペーサPSbの断面形状は、異なっている。基板SUB1a及びSUB1bにおいて、他の構成要素は同一の形状を有している。スペーサPSa及びPSbの断面形状が異なることにより、貼り合わせ強度が向上する。
【0047】
また例えば、第1方向X及び第2方向Yの長さが異なる形状を有するスペーサPSを貼り合わせる場合に、貼り合わせる基板SUB1の一方を、他方と同一平面上で90°回転させて配置させてもよい。同じ基板SUB1を用いていても、
図10に示す構成と同様となる。
【0048】
図11は、実施形態における基板の他の構成例を示す平面図である。
図11に示した構成例では、
図8に示した構成例と比較して、スペーサの平面形状がひし形形状であるという点で異なっている。
図11に示すスペーサPSは、実際には第3方向Zに沿って延伸するひし形柱形状を有している。このように、本構成例では断面視で円形形状、XYZ空間では円柱形状だけでなく、他の形状を有するスペーサPSを用いることができる。
【0049】
図12は、実施形態における基板の他の構成例を示す平面図である。
図12に示した構成例では、
図8に示した構成例と比較して、スペーサの平面形状が楕円形状であるという点で異なっている。
図12に示すスペーサPSは、実際には第3方向Zに沿って延伸する楕円柱形状を有している。スペーサPSは、第2方向Yに沿って、楕円形状の長軸が配置されており、第1方向Xに沿って、楕円形状の短軸が配置されている。スペーサPSは、いわゆる縦長の楕円形状を有している。このように、スペーサPSは、所定の長さは第2方向Yに延伸するが、全てのセンサ領域SXに亘って延伸していなくてもよい。
【0050】
図13は、実施形態における基板の他の構成例を示す平面図である。
図11に示した構成例では、
図8に示した構成例と比較して、スペーサの平面形状が横長の楕円形状であるという点で異なっている。
図13に示すスペーサPSの断面形状において、楕円形状の長軸は、第1方向Xに沿って配置されている。楕円形状の短軸は、第2方向Yに沿って配置されている。
【0051】
図12に示すスペーサPS及び
図13に示すスペーサPSを、貼り合わせる基板SUB1のそれぞれに用いてもよい。例えば、
図10に示すスペーサPSaとして、
図12に示すスペーサPSを用い、
図10に示すスペーサPSbとして、
図13に示すスペーサPSを用いてもよい。
本構成例においても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0052】
<構成例4>
図14は、実施形態における基板の他の構成例を示す平面図である。
図14に示した構成例では、
図9に示した構成例と比較して、レンズ材料で形成された台座の上にスペーサを設けるという点で異なっている。
図14のスペーサPSは、マイクロレンズMLと同様の材料で形成された台座DZ上に設けられている。台座DZの高さは、マイクロレンズMLの高さHLと同じである。台座DZ及びスペーサPSを併せた高さは、
図9のスペーサPSの高さHPと同様である。つまりスペーサPSは、高さ(HP-HL)の分だけ形成すればよい。これにより、スペーサPSの高さを低減することが可能である。なお、スペーサPS及び台座DZを併せて、スペーサとしての機能を奏するので、これらを併せてスペーサと呼ぶこともある。
本構成例においても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0053】
<構成例5>
図15は、実施形態における基板の他の構成例を示す平面図である。
図15に示した構成例では、マイクロレンズが外周シールに重畳しない構成について説明する。
図15に示す電子機器ERPは、
図3に示す基板SUB1を用いて形成されている。ただし、これに限定されず、電子機器ERPは、上述した基板SUB1のいずれかを用いて形成すればよい。
【0054】
1つの電子機器ERPに備えられる基板SUB1をチップCPともいう。チップCPは、外周シールSAL1に覆われている。1つのチップCPに設けられるマイクロレンズMLは、センサ領域SXの外側にはみ出していてもよいが、外周シールSAL1には重畳しない。
【0055】
図16は、研磨工程の際に貼り合された、マザー基板の外周シールを説明する平面図である。マザー基板MSBには、後にチップCPとなる複数の領域が設けられている。
上記研磨工程の際、マザー基板MSBには、外周シールSAL2が貼り合され、マザー基板MSBの表面を保護する。研磨工程終了後、マザー基板MSBを当該複数の領域ごとに分断することにより、複数のチップCPが形成される。外周シールSAL2は貼り合されたまま分断され、外周シールSAL1となる。
【0056】
マザー基板MSBにおいても、複数の領域(チップCP)ごとに設けられるマイクロレンズは、外周シールSAL2に重畳しない。
本構成例においても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
BM1…遮光層、BM2…遮光層、C1…中心、CP…チップ、DZ…台座、ERP…電子機器、ML…マイクロレンズ、MSB…マザー基板、PH…ピンホール、PS…スペーサ、SAL1…外周シール、SAL2…外周シール、SM…センサ素子、SR…センサ層、SUB1…基板、SX…センサ領域。