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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189548
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】ガスメータ
(51)【国際特許分類】
   G01F 3/22 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
G01F3/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098190
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 一裕
【テーマコード(参考)】
2F030
【Fターム(参考)】
2F030CC13
2F030CE13
2F030CE22
2F030CE25
2F030CE26
2F030CE27
2F030CF05
2F030CF11
2F030CF15
(57)【要約】
【課題】電線を容易に配索でき、しかも、端子台を収容する収容室内の水を円滑に排出することが可能なガスメータを提供すること。
【解決手段】電線23が接続可能な端子台21を収容する収容室12を備えたメータ本体11と、メータ本体11に組付けられて収容室12を覆う端子台カバー30と、メータ本体11の収容室12における少なくとも端子台21に接続されて収容室12から引き出される電線23の引き出し側の縁部に装着される、弾性材料から形成された第1パッキン40と、端子台カバー30に装着され、メータ本体11に端子台カバー30が組付けられることにより第1パッキン40に接触される、弾性材料から形成された第2パッキン50と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が接続可能な端子台を収容する収容室を備えたメータ本体と、
前記メータ本体に組付けられて前記収容室を覆う端子台カバーと、
前記メータ本体の前記収容室における少なくとも前記端子台に接続されて前記収容室から引き出される前記電線の引き出し側の縁部に装着される、弾性材料から形成された第1パッキンと、
前記端子台カバーに装着され、前記メータ本体に前記端子台カバーが組付けられることにより前記第1パッキンに接触される、弾性材料から形成された第2パッキンと、
を備える、
ガスメータ。
【請求項2】
前記第1パッキン及び前記第2パッキンの少なくとも一方は、空洞部を有する押圧部を備える、
請求項1に記載のガスメータ。
【請求項3】
前記第1パッキンは、前記電線を押し込み可能なスリットを有する、
請求項1または請求項2に記載のガスメータ。
【請求項4】
前記第1パッキンは、前記収容室内の水の重みで前記第2パッキンから離間する方向へ弾性変形する排水部を備える、
請求項1~3のいずれか一項に記載のガスメータ。
【請求項5】
前記排水部は、前記第1パッキンの正面視における幅方向端部に設けられ、
前記第1パッキンは、前記収容室内に位置する面が、前記幅方向の中央から前記排水部へ向かって低くなるように傾斜されている、
請求項4に記載のガスメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスメータに関する。
【背景技術】
【0002】
使用したガスの流量を計量するとともに、異常を感知してガスの供給を遮断するガスメータは、各種の設定情報等の入出力や検針のために通信ケーブルなどの電線が接続される端子台を備えている。この種のガスメータは、屋外に設置される場合があるが、端子台が収容された収容室内に水が溜まると、電線を介した信号の入出力やデータの取り出しに支障をきたすおそれがある。
【0003】
このような屋外に設置される設備をシールするシール構造として、特許文献1には、電線を挿通させる環状のパッキンによって電線の挿通部分をシールすることが記載されている。また、特許文献2には、互いに閉じ合わせた時に中空部を形成する一対の半部体を備え、両半部体を、ケーブルを挟むように閉じ合わせることにより、ケーブルを伝って浸入する水を遮断するシール構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-280813号公報
【特許文献2】特開2006-158172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ガスメータでは、端子台に接続した電線を容易に配索でき、しかも、電線の引き出し箇所から端子台への水の浸入防止及び収容室内の水の円滑な排出が求められる。
【0006】
このようなガスメータにおける電線の引き出し箇所に特許文献1に記載のシール構造を適用する場合、電線を端子台へ接続するたびに円筒状のパッキンへ電線を通さなければならず、電線の配索作業に手間を要する。また、特許文献1,2のシール構造では、端子台の収容室内に入り込んだ水の円滑な排出が困難である。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電線を容易に配索でき、しかも、端子台を収容する収容室内の水を円滑に排出することが可能なガスメータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 電線が接続可能な端子台を収容する収容室を備えたメータ本体と、
前記メータ本体に組付けられて前記収容室を覆う端子台カバーと、
前記メータ本体の前記収容室における少なくとも前記端子台に接続されて前記収容室から引き出される前記電線の引き出し側の縁部に装着される、弾性材料から形成された第1パッキンと、
前記端子台カバーに装着され、前記メータ本体に前記端子台カバーが組付けられることにより前記第1パッキンに接触される、弾性材料から形成された第2パッキンと、
を備える、ガスメータ。
【0009】
上記(1)の構成のガスメータによれば、メータ本体に端子台カバーを組付けることにより、メータ本体の第1パッキンに端子台カバーの第2パッキンが接触する。これにより、収容室における端子台に接続されて引き出される電線の引き出し箇所を第1パッキンと第2パッキンとで封鎖し、電線の引き出し箇所からの水の浸入、虫や塵埃の入り込みを抑えることができる。そして、このガスメータでは、電線を挿通させる挿通作業を要する円筒状のパッキンを備えた構造と比較し、電線を容易に配索できる。さらに、このガスメータでは、排水孔を設けることなく、収容室に入り込んだ水をそれぞれ弾性材料から形成された第1パッキン及び第2パッキンの接触箇所から自重で排出させることができる。収容室に入り込んだ水が排出されることで、収容室内に水がたまりにくくなるため、ショートが発生しにくくなる。
【0010】
(2) 前記第1パッキン及び前記第2パッキンの少なくとも一方は、空洞部を有する押圧部を備える、(1)に記載のガスメータ。
【0011】
上記(2)の構成のガスメータによれば、第1パッキン及び第2パッキンの少なくとも一方が空洞部を有する押圧部を備えるので、この押圧部が容易に弾性変形する。この構成により、収容室に入り込んだ水が第1パッキン及び第2パッキンの接触箇所から円滑に排出される。
【0012】
(3) 前記第1パッキンは、前記電線を押し込み可能なスリットを有する、(1)または(2)に記載のガスメータ。
【0013】
上記(3)の構成のガスメータによれば、端子台に接続した電線を第1パッキンのスリットへ押し込むことにより、電線を容易に第1パッキンに保持させることができ、電線をさらに容易に配索させることができる。
【0014】
(4) 前記第1パッキンは、前記収容室内の水の重みで前記第2パッキンから離間する方向へ弾性変形する排水部を備える、(1)~(3)のいずれか一つに記載のガスメータ。
【0015】
上記(4)の構成のガスメータによれば、収容室内に水が入り込んだとしても、その水の重みで第1パッキンの排水部が弾性変形して第2パッキンから離間し、隙間が形成される。この構成により、収容室内の水が第1パッキンの排水部と第2パッキンとの隙間から排出されることとなり、排水性を向上させることができる。
【0016】
(5) 前記排水部は、前記第1パッキンの正面視における幅方向端部に設けられ、
前記第1パッキンは、前記収容室内に位置する面が、前記幅方向の中央から前記排水部へ向かって低くなるように傾斜されている、(4)に記載のガスメータ。
【0017】
上記(5)の構成のガスメータによれば、収容室内に入り込んだ水を、第1パッキンの収容室内に位置する面の傾斜に沿って排水部へ流して円滑に排出させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電線を容易に配索でき、しかも、端子台を収容する収容室内の水を円滑に排出することが可能なガスメータを提供できる。
【0019】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本実施形態に係るガスメータを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は端子台カバーを取り外した状態の斜視図である。
図2図2は、端子台カバーを開いた状態の端子収容部の正面図である。
図3図3は、ガスメータにおける端子台収容部の縦方向に沿う概略断面図である。
図4図4は、第1パッキン及び第2パッキンの側面図である。
図5図5は、参考例に係るガスメータの斜視図である。
図6図6は、参考例に係るガスメータにおける端子台収容部の縦方向に沿う概略断面図である。
図7図7は、他の実施形態に係るガスメータの正面図である。
図8図8は、他の実施形態に係るガスメータの端子台カバーを取り外した状態の斜視図である。
図9図9は、他の実施形態に係るガスメータにおける端子台収容部の縦方向に沿う概略断面図である。
図10図10は、第1パッキンを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
図11図11は、図10におけるA-A断面図である。
図12図12は、図10におけるB-B断面図である。
図13図13は、電線の配索作業を説明する端子台カバーを取り外した状態の端子台収容部の斜視図である。
図14図14は、電線の配索後に端子台カバーを閉じた状態の第1パッキンの図10におけるA-A断面相当図である。
図15図15は、端子台カバーを閉じた状態における排水部の状態を示す図であって、(a)は端子台カバーの第2パッキンに密着した第1パッキンの図10におけるB-B断面相当図、(b)は端子台カバーの第2パッキンとの間に水が通過する際の状態を示した第1パッキンの図10におけるB-B断面相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るガスメータを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は端子台カバーを取り外した状態の斜視図である。
【0022】
図1(a)及び図1(b)に示すように、本実施形態に係るガスメータ10は、メータ本体11の内部に、流量計測部を備えている。このガスメータ10は、その上部に、流入部13と、流出部14とが設けられており、これらの流入部13及び流出部14は、それぞれメータ本体11の内部に設けられた流量計測部に繋げられている。流量計測部は、流入部13から送り込まれて流出部14から送り出されるガスの流量を計測する。また、流量計測部は、遮断弁(図示略)を備えている。遮断弁は、例えば、一定量のガスが長時間流れた場合、地震を検知した場合、ガスの圧力が低下した場合、ガス漏れや異常燃焼を警報する警報器が作動した場合などに流路を閉じてガスの流れを遮断する。
【0023】
ガスメータ10には、中央上部に表示部15が設けられている。この表示部15には、流量計測部によって計測されたガスの流量や警報等のガス使用情報が表示される。また、ガスメータ10は、復帰ボタン16を備えている。この復帰ボタン16は、表示部15の側方に配置されている。復帰ボタン16は、操作者によって押下可能なボタンであり、この復帰ボタン16が押下されることにより、例えば、流路を閉鎖している遮断弁が開放される。
【0024】
ガスメータ10は、その下部に、端子台収容部20を備えている。この端子台収容部20には、端子台21が設けられている(図1(b)参照)。端子台21は、メータ本体11に形成された凹状の収容室12に収容されて収容室12の内壁に固定されている。収容室12は、メータ本体11に取り付けられる端子台カバー30によって覆われる(図1(a)参照)。
【0025】
図2は、端子台カバーを開いた状態の端子収容部の正面図である。
図2に示すように、端子台21には、複数本の通信ケーブル等の電線23が接続可能とされている。端子台21は、一列に配列された複数の端子部22を有しており、これらの端子部22に電線23の端部が接続される。端子台21の端子部22に接続された電線23は、メータ本体11と端子台カバー30との間を通してガスメータ10の下方へ引き出される。なお、電線23は、線径6mm程度とされており、端子台21には、例えば、3本程度の電線23が接続される。
【0026】
端子台カバー30の上縁における両端には、係合部31が形成されており、これらの係合部31は、収容室12の上縁における両端に形成された係合爪(図示略)に係合可能とされている。また、端子台カバー30の下縁における両端には、係止部33が形成されており、これらの係止部33は、収容室12の下縁における両端に形成された係止爪34に係止可能とされている。そして、端子台カバー30は、係合部31を係合爪に係合させながら下方へ回動させ、係止部33を係止爪34に係止させることにより、収容室12を塞ぐようにメータ本体11に組付けられる。
【0027】
図3は、ガスメータにおける端子台収容部の縦方向に沿う概略断面図である。図4は、第1パッキン及び第2パッキンの側面図である。
【0028】
図3及び図4に示すように、メータ本体11における収容室12の下縁には、第1パッキン40が取り付けられ、端子台カバー30の下縁には、第2パッキン50が取り付けられている。
【0029】
第1パッキン40は、収容室12の下縁への装着側に係合凹部41を有している。第1パッキン40は、収容室12の下縁に形成された係合凸部45を係合凹部41に嵌め込ませることにより、収容室12の下縁に取り付けられる。この第1パッキン40は、収容室12の下縁への装着側と反対側に押圧部43を有している。この押圧部43は、空洞部44を有する側面視環状に形成されている。
【0030】
第2パッキン50は、端子台カバー30の下縁への装着側に係合凹部51を有している。第2パッキン50は、端子台カバー30の下縁に形成された係合凸部55を係合凹部51に嵌め込ませることにより、端子台カバー30の下縁に取り付けられる。この第2パッキン50は、端子台カバー30の下縁への装着側と反対側に押圧部53を有している。この押圧部53は、空洞部54を有する側面視環状に形成されている。
【0031】
本例では、これらの第1パッキン40及び第2パッキン50は、同一形状とされており、それぞれ弾性を有する樹脂材料から一体成形されている。
【0032】
これらの第1パッキン40及び第2パッキン50は、メータ本体11に端子台カバー30を組付けることにより、それぞれの押圧部43,53が互いに接触される。これにより、端子台21の端子部22に接続されてガスメータ10の下方へ引き出された電線23は、第1パッキン40及び第2パッキン50の押圧部43,53によって挟まれて保持される。
【0033】
また、電線23の保持箇所以外の部分では、第1パッキン40及び第2パッキン50の互いに接触された押圧部43,53がそれぞれ弾性変形して(潰れて)密着する。これにより、これらの第1パッキン40及び第2パッキン50によって端子台収容部20の収容室12内への下方からの水の浸入、虫や塵埃の入り込みが抑えられる。
【0034】
また、端子台収容部20を構成する収容室12の内部に水が入り込んだとしても、この水は、収容室12の縁部と端子台カバー30との間における第1パッキン40及び第2パッキン50の押圧部43,53が密着したシール箇所以外から排出される。また、第1パッキン40及び第2パッキン50の押圧部43,53の密着箇所に溜まった水は、電線23の挟持箇所に形成される僅かな隙間から電線23を伝って流れ落ちる。さらに、電線23の挟持箇所以外においては、水の重みで押圧部43,53が弾性変形し、押圧部43,53の間に隙間が形成される。これにより、押圧部43,53の密着箇所に溜まった水は、押圧部43,53の間から流れ落ちる。
【0035】
ここで、第1パッキン40及び第2パッキン50の材料としては、変形がしやすく密着性に優れたスポンジや低反発樹脂材料を用いることが考えられる。しかし、スポンジは、固定状態が長く続くと、その固定状態で形状が決まってしまうため、電線23の良好な保持が困難となる。また、低反発樹脂は、排水時に変形が容易であるが、弾性があまりなく、長期放置により押圧部43,53同士が貼り付くおそれがある。
【0036】
このため、第1パッキン40及び第2パッキン50としては、貼り付きにくく、弾性が高い、例えば、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)などのゴム材料から成形するのが好ましい。
【0037】
ところで、ゴム材料は、反発が大きく、しかも、変形しづらいため、第1パッキン40及び第2パッキン50をゴムで形成すると、メータ本体11に対して端子台カバー30を強固に固定しなければならない。しかし、本例における第1パッキン40及び第2パッキン50では、互いに接触する部分に、空洞部44,54を有する側面視環状の押圧部43,53を設けたので、十分な硬さを確保しつつ容易に変形可能としている。これにより、メータ本体11への端子台カバー30の固定を容易にでき、固定構造を簡略化させることができる。しかも、押圧部43,53の密着箇所に水が溜まった際に、その水の重さで押圧部43,53が容易に弾性変形し、押圧部43,53の間から水が円滑に排出される。
【0038】
ここで、参考例に係るガスメータについて説明する。
なお、上記実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
図5は、参考例に係るガスメータの斜視図である。図6は、参考例に係るガスメータにおける端子台収容部の縦方向に沿う概略断面図である。
【0039】
図5及び図6に示すように、参考例に係るガスメータ100は、端子台21が設けられた収容室12の下縁に、取付凹部1が形成されており、これらの取付凹部1に、2つの円筒部(環状部)を有するパッキン2が嵌め込まれて装着される。そして、このパッキン2には、端子台21の端子部22に接続されてガスメータ100の下方へ引き出される電線23が通される。また、収容室12の下縁には、収容室12の内部に入り込んだ水を排出するための排水孔3が設けられている。この排水孔3には、虫や塵埃の入り込み防止用の網(図示略)が設けられている。また、このガスメータ100では、収容室12を覆う端子台カバー30がネジ止めによってメータ本体11に固定される。この端子台カバー30には、メータ本体11への固定側の面に板状のパッキン4が取り付けられている。
【0040】
この参考例に係るガスメータ100では、電線23を配索する際に、電線23をパッキン2の円筒部へそれぞれ挿通させてから端子台21の端子部22に接続し、さらに、パッキン2を取付凹部1に嵌め込まなければならず、配索作業に手間を要する。また、このガスメータ100では、排水孔3の網が目詰まりを起こすことにより、収容室12の内部に入り込んだ水が円滑に排出されなくなるおそれがある。
【0041】
これに対して、本実施形態に係るガスメータ10によれば、メータ本体11に端子台カバー30を組付けることにより、メータ本体11の第1パッキン40に端子台カバー30の第2パッキン50が接触する。これにより、収容室12における端子台21に接続されて引き出される電線23の引き出し箇所を第1パッキン40と第2パッキン50とで封鎖し、電線23の引き出し箇所からの水の浸入、虫や塵埃の入り込みを抑えることができる。そして、このガスメータ10では、電線23を挿通させる挿通作業を要するパッキン2を備えた構造と比較し、電線23を容易に配索できる。しかも、排水孔3を設けることなく、収容室12に入り込んだ水をそれぞれ弾性材料から形成された第1パッキン40及び第2パッキン50の接触箇所から自重で排出させることができる。
【0042】
特に、第1パッキン40及び第2パッキン50が空洞部44,54を有する押圧部43,53を備えるので、この押圧部43,53が容易に弾性変形することにより、収容室12に入り込んだ水が第1パッキン40及び第2パッキン50の接触箇所から円滑に排出される。
【0043】
次に、他の実施形態に係るガスメータについて説明する。
なお、上記実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
図7は、他の実施形態に係るガスメータの正面図である。図8は、他の実施形態に係るガスメータの端子台カバーを取り外した状態の斜視図である。図9は、他の実施形態に係るガスメータにおける端子台収容部の縦方向に沿う概略断面図である。
【0044】
図7図9に示すように、他の実施形態に係るガスメータ10Aは、端子台21が設けられた収容室12の下縁に、第1パッキン60が設けられている。また、このガスメータ10Aでは、収容室12を覆う端子台カバー30がネジ止めによってメータ本体11に固定される。この端子台カバー30には、メータ本体11への固定側の面に板状の第2パッキン70が取り付けられている。
【0045】
図10は、第1パッキンを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は正面図である。図11は、図10におけるA-A断面図である。図12は、図10におけるB-B断面図である。
【0046】
図10(a)及び図10(b)に示すように、第1パッキン60は、収容室12の下縁への装着側に係合凹部61を有している。第1パッキン60は、収容室12の下縁に形成された係合凸部45を係合凹部61に嵌め込ませることにより、収容室12の下縁に取り付けられる。第1パッキン60の上面、すなわち収容室12内に位置する面は、中央部60aから両端60bへ向かって次第に低くなるように傾斜されている。中央部60aは、第1パッキン60の正面視における幅方向の中央部分である。
【0047】
この第1パッキン60は、収容室12の下縁への装着側と反対側に押圧部63を有している。そして、メータ本体11に端子台カバー30を組付けることにより、第1パッキン60の押圧部63に、第2パッキン70が接触される。
【0048】
図11及び図12に示すように、第1パッキン60の押圧部63は、両端60bを除く部分が上方側から下方側へ湾曲され、この湾曲の内側が空洞部64とされた断面視円弧状に形成されている。また、押圧部63には、第2パッキン70との接触部分に、長手方向にわたって突条部65が形成されている。
【0049】
第1パッキン60の押圧部63には、長手方向に間隔をあけて複数のスリット66が形成されている。また、押圧部63の上面には、各スリット66に対応する位置に、他の部分より肉厚が薄くされた平面視円形状の薄肉部67が形成されて容易に弾性変形可能とされている。また、第1パッキン60は、その両端60bの近傍に、排水部68が設けられている。これらの排水部68では、突条部65よりも下方部分の肉厚が薄くされて容易に弾性変形可能とされている(図12参照)。
【0050】
図13は、電線の配索作業を説明する端子台カバーを取り外した状態の端子台収容部の斜視図である。図14は、電線の配索後に端子台カバーを閉じた状態の第1パッキンの図10におけるA-A断面相当図である。図15は、端子台カバーを閉じた状態における排水部の状態を示す図である。図15(a)は端子台カバーの第2パッキンに密着した第1パッキンの図10におけるB-B断面相当図、図15(b)は端子台カバーの第2パッキンとの間に水が通過する際の状態を示した第1パッキンの図10におけるB-B断面相当図である。
【0051】
図13に示すように、ガスメータ10Aでは、電線23を配索する際に、まず、電線23の端部を端子台21の端子部22に接続させる。なお、本例では、端部が二股に分岐された電線23を接続する場合を例示しており、電線23の分岐された端部を端子部22にそれぞれ接続する。
【0052】
端子部22に電線23を接続したら、この電線23を、第1パッキン60の押圧部63に形成されたスリット66へ前方側から押し込む。そして、図14に示すように、スリット66に押し込んだ電線23を、スリット66に対応する位置に形成された平面視円形状の薄肉部67に通す。このようにすると、ガスメータ10の下方へ引き出された電線23が第1パッキン60のスリット66の両縁部に挟持されて保持される。
【0053】
その後、メータ本体11に端子台カバー30を組付けて収容室12を塞ぐ。すると、端子台カバー30の第2パッキン70と第1パッキン60の押圧部63とが互いに接触される。これにより、第1パッキン60の押圧部63が弾性変形され、第2パッキン70に第1パッキン60の押圧部63の突条部65が密着し、第1パッキン60及び第2パッキン70によって収容室12の内部への下方からの水の浸入、虫や塵埃の入り込みが抑えられる。なお、ガスメータ10Aでは、第1パッキン60との接触箇所以外で第2パッキン70が収容室12の縁部に接触する。これにより、第2パッキン70と第1パッキン60の押圧部63との接触箇所以外においても、収容室12の内部への水の浸入、虫や塵埃の入り込みが抑制される。
【0054】
また、図15(a)に示すように、第1パッキン60は、両端60bの近傍に設けられた排水部68においても、突条部65が第2パッキン70に密着し、端子台収容部20の収容室12の内部への下方からの水の浸入、虫や塵埃の入り込みが抑えられる。
【0055】
このガスメータ10Aでは、端子台収容部20の収容室12の内部に水が入り込んだ場合、その水は、中央部60aから両端60bへ向かって次第に低くなるように傾斜された第1パッキン60の上面において、両端60bへ向かって流れる。そして、第1パッキン60の両端60bへ向かって流れた水は、突条部65よりも下方部分の肉厚が薄くされて容易に弾性変形可能とされた排水部68に溜まる。すると、図15(b)に示すように、水の重さによって排水部68が弾性変形されて第2パッキン70との間に隙間が形成され、この隙間から水が流れ落ちる。これにより、端子台収容部20の収容室12の内部に入り込んだ水が良好に排出される。
【0056】
このように、他の実施形態に係るガスメータ10Aの場合も、収容室12における端子台21に接続されて引き出される電線23の引き出し箇所を第1パッキン60と第2パッキン70とで封鎖する。この構成により、電線23の引き出し箇所からの水の浸入、虫や塵埃の入り込みを抑えることができる。さらに、電線23を容易に配索でき、しかも、収容室12に入り込んだ水をそれぞれ弾性材料から形成された第1パッキン40及び第2パッキン50の接触箇所から自重で排出させることができる。
【0057】
また、ガスメータ10Aによれば、第1パッキン60が電線23を正面側から押し込み可能なスリット66を有している。したがって、端子台21に接続した電線23を第1パッキン60のスリット66へ押し込むことにより、電線23を容易に第1パッキン60に保持させることができ、電線23をさらに容易に配索させることができる。
【0058】
また、第1パッキン60は、収容室12内の水の重みで第2パッキン70から離間する方向へ弾性変形する排水部68を備える。したがって、収容室12内に水が入り込んだとしても、その水の重みで第1パッキン60の排水部68が弾性変形して第2パッキン70から離間し、隙間が形成される。これにより、収容室12内の水が第1パッキン60の排水部68と第2パッキン70との隙間から排出されることとなり、排水性を向上させることができる。
【0059】
しかも、第1パッキン60は、その上面が、中央部60aから排水部68が設けられた両端60bへ向かって下方へ傾斜されているので、収容室12内に入り込んだ水を第1パッキン60の上面の傾斜に沿って排水部68へ流して円滑に排出させることができる。
【0060】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0061】
ここで、上述した本発明に係るガスメータの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 電線(23)が接続可能な端子台(21)を収容する収容室(12)を備えたメータ本体(11)と、
前記メータ本体(11)に組付けられて前記収容室(12)を覆う端子台カバー(30)と、
前記メータ本体(11)の前記収容室(12)における少なくとも前記端子台(21)に接続されて前記収容室(12)から引き出される前記電線(23)の引き出し側の縁部に装着される、弾性材料から形成された第1パッキン(40,60)と、
前記端子台カバー(30)に装着され、前記メータ本体(11)に前記端子台カバー(30)が組付けられることにより前記第1パッキン(40,60)に接触される、弾性材料から形成された第2パッキン(50,70)と、
を備える、ガスメータ。
[2] 前記第1パッキン(40,60)及び前記第2パッキン(50,70)の少なくとも一方は、空洞部(44,54,64)を有する押圧部(43,53,63)を備える、[1]に記載のガスメータ。
[3] 前記第1パッキン(60)は、前記電線(23)を押し込み可能なスリット(66)を有する、[1]または[2]に記載のガスメータ。
[4] 前記第1パッキン(60)は、前記収容室(12)内の水の重みで前記第2パッキン(70)から離間する方向へ弾性変形する排水部(68)を備える、[1]~[3]のいずれか一つに記載のガスメータ。
[5] 前記排水部(68)は、前記第1パッキン(60)の正面視における幅方向端部に設けられ、
前記第1パッキン(60)は、前記収容室内に位置する面が、前記幅方向の中央から前記排水部(68)へ向かって低くなるように傾斜されている、[4]に記載のガスメータ。
【符号の説明】
【0062】
10,10A:ガスメータ
11:メータ本体
12:収容室
21:端子台
23:電線
30:端子台カバー
40,60:第1パッキン
43,53,63:押圧部
44,54,64:空洞部
50,70:第2パッキン
66:スリット
68:排水部
図1
図2
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図5
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図9
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