(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189558
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02257 20210101AFI20221215BHJP
H01S 5/183 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
H01S5/02257
H01S5/183
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098204
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100207778
【弁理士】
【氏名又は名称】阿形 直起
(72)【発明者】
【氏名】秋山 貴
(72)【発明者】
【氏名】原 博昭
(72)【発明者】
【氏名】内村 仁
(72)【発明者】
【氏名】相原 健志
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MC30
5F173MD83
5F173MD84
5F173ME03
5F173ME22
5F173ME47
5F173MF03
5F173MF18
5F173MF39
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡易な構成により光学素子の脱落を検出する。
【解決手段】発光装置1は、相互に離間する第1電極及び第2電極が配置された基板11と、基板に配置され、第1電極及び第2電極によって電流が供給されることに応じて上方に光を出射する発光素子と、相互に離間して発光素子を囲むように基板に配置され、導電性の金属で形成される第1壁部151及び第2壁部152と、発光素子の上方に、且つ、第1壁部及び第2壁部の上面に配置される透光性の光学素子16と、光学素子に形成され、第1壁部と第2壁部とを電気的に接続する導電層と、基板に配置され、第1壁部及び第2壁部とそれぞれ電気的に接続される、光学素子の脱落を検出するための検査用端子対と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に離間する第1電極及び第2電極が配置された基板と、
前記基板に配置され、前記第1電極及び前記第2電極によって電流が供給されることに応じて上方に光を出射する発光素子と、
相互に離間して前記発光素子を囲むように前記基板に配置され、導電性の金属で形成される第1壁部及び第2壁部と、
前記発光素子の上方に、且つ、前記第1壁部及び前記第2壁部の上面に配置される透光性の光学素子と、
前記光学素子に形成され、前記第1壁部と前記第2壁部とを電気的に接続する導電層と、
前記基板に配置され、前記第1壁部及び前記第2壁部とそれぞれ電気的に接続される、前記光学素子の脱落を検出するための検査用端子対と、
を有することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記導電層は、透光性の導電膜であり、前記光学素子の前記発光素子に対向する面に形成される、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記基板の上面に配置され、前記発光素子に電流を供給するための配線をさらに有し、
前記第1壁部及び前記第2壁部は、前記配線と同一の金属により形成される、
請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記発光素子は、VCSELである、
請求項1-3の何れか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1壁部の前記第2壁部に対向する対向面と、前記第2壁部の前記第1壁部に対向する対向面とは、前記発光素子を外部から視認不能にするように相補的な形状に形成される、
請求項1-4の何れか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
絶縁性の樹脂により形成され、前記第1壁部及び前記第2壁部の外周を被覆する被覆部をさらに有する、
請求項1-5の何れか一項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)等の発光素子を用いた発光装置が知られている。このような発光装置は、発光素子から出射された光の光路上に拡散板やレンズ等の光学素子を有し、所望の光学特性が得られるように構成される。このような発光装置において光学素子が脱落した場合には、所望の光学特性が得られなくなるため、光学素子の脱落を適切に検出することが求められている。
【0003】
特許文献1には、基板上に配置された発光チップと、発光チップを取り囲み、側面に一対の導電経路が配置された枠体と、光軸上に位置するように枠体に配置されるレンズと、レンズの上面又は下面に位置する透光性導電層とを含む発光モジュールが記載されている。特許文献1に記載の発光モジュールにおいて、レンズが枠体に配置されているときは透光性導電層が一対の導電経路に電気的に接続されて閉回路を構成し、レンズが枠体から外れたときは導電経路が開放される。これにより、発光モジュールは、レンズが枠体から外れたことを検出可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発光モジュールのように枠体に導電経路を配置するためには、絶縁材料により枠体が形成された後に三次元配線又はめっきを施す必要があるため、工程が増加して製造効率が低下するという問題があった。そこで、より簡易な構成により光学素子の脱落を検出することが求められていた。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、簡易な構成により光学素子の脱落を検出することを可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る発光装置は、相互に離間する第1電極及び第2電極が配置された基板と、基板に配置され、第1電極及び第2電極によって電流が供給されることに応じて上方に光を出射する発光素子と、相互に離間して発光素子を囲むように基板に配置され、導電性の金属で形成される第1壁部及び第2壁部と、発光素子の上方に、且つ、第1壁部及び第2壁部の上面に配置される透光性の光学素子と、光学素子に形成され、第1壁部と第2壁部とを電気的に接続する導電層と、基板に配置され、第1壁部及び第2壁部とそれぞれ電気的に接続される、光学素子の脱落を検出するための検査用端子対と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る発光装置において、導電層は、透光性の導電膜であり、光学素子の発光素子に対向する面に形成される、ことが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る発光装置は、基板の上面に配置され、発光素子に電流を供給するための配線をさらに有し、第1壁部及び第2壁部は、配線と同一の金属により形成される、ことが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る発光装置において、発光素子は、VCSELである、ことが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る発光装置において、第1壁部の第2壁部に対向する対向面と、第2壁部の第1壁部に対向する対向面とは、発光素子を外部から視認不能にするように相補的な形状に形成される、ことが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る発光装置は、絶縁性の樹脂により形成され、第1壁部及び第2壁部の外周を被覆する被覆部をさらに有する、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る発光装置は、簡易な構成により光学素子の脱落を検出することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】発光装置1を用いたシステム100の概略構成を示す図である。
【
図5】発光装置1の製造方法の流れの例を示すフロー図である。
【
図6】配線・壁部形成工程について説明するための模式図である。
【
図7】配線・壁部形成工程について説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の様々な実施形態について説明する。本発明の技術的範囲はこれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明及びその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0016】
図1は実施形態に係る発光装置1の斜視図であり、
図2は発光装置1の平面図であり、
図3は発光装置1の断面図である。
図1においては、光学素子を透過して見える構成は破線により図示されている。
図2は、発光装置1から光学素子を除いた状態の平面図である。
図3は、
図1のIII-III断面における断面図である。発光装置1は、基板11、第1電極121、第2電極122、第1配線131、第2配線132、発光素子14、第1壁部151、第2壁部152、光学素子16、第1検査用端子171及び第2検査用端子172を有する。
【0017】
基板11は、絶縁性の樹脂により平板状に形成される。絶縁性の樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はポリエステル樹脂等が用いられる。基板11には、窒化アルミ又は酸化アルミ(アルミナ)等の絶縁性のセラミック材が用いられてもよい。基板11には、それぞれが基板11の上下を貫通する複数の貫通孔が設けられる。
【0018】
第1電極121及び第2電極122は、導電性の金属により形成され、相互に離間して基板11の下面に配置される。第1電極121及び第2電極122は、例えば、銅、銀、タングステン、アルミニウム又は金により形成される。第1電極121及び第2電極122は、保護層であるニッケル、パラジウム、銀又は金により表面を保護されてもよい。
【0019】
第1配線131及び第2配線132は、導電性の金属により平板状に形成され、相互に離間して基板11の上面に配置される。第1配線131及び第2配線132は、例えば、銅又はアルミニウムにより形成される。第1配線131及び第2配線132は、保護層であるニッケル、パラジウム、銀又は金により表面を保護されてもよい。第1配線131及び第2配線132は、基板11の貫通孔を介して第1電極121及び第2電極122とそれぞれ電気的に接続され、第1電極121及び第2電極122に接続される電源からの電流を発光素子14に供給する。
【0020】
発光素子14は、VCSELである。発光素子14は、上面に複数のエミッタを有し、上方に光を出射する。出射される光は、800nm~1400nmの波長を有する近赤外光である。発光素子14の上面にはアノードが、下面にはカソードがそれぞれ配置され、発光素子14は、アノードとカソードとの間に電流が供給されることに応じて光を出射する。発光素子14は、はんだや銀ペースト等の導電性の接着剤により第1配線131の上面に接着されることにより、第1配線131の上面に配置される。これにより、カソードが第1配線131と電気的に接続される。また、アノードは、ボンディングワイヤ141を介して第2配線132と電気的に接続される。なお、発光素子14は、360nm~800nmの波長を有する可視光を出射するLED(Light Emitting Diode)でもよい。
【0021】
第1壁部151及び第2壁部152は、全体が導電性の金属で形成され、相互に離間して基板11の上面に配置される。第1壁部151及び第2壁部152は、第1配線131及び第2配線132と同一の金属により形成され、例えば、銅又はアルミニウムにより形成される。金属は、電気抵抗率の低い順に銀、銅、金及びアルミニウムなどがあげられるが、安価なアルミニウム、銅が好ましく、更に加工が容易な銅が最も好ましい。第1壁部151及び第2壁部152は、保護層であるニッケル、パラジウム、銀又は金により表面を保護されてもよい。第1壁部151及び第2壁部152は、それぞれが一方向に開口したU字形の平面形状を有し、開口方向が相互に対向するように基板11の上面に配置されることにより、発光素子14を囲むように配置される。第1壁部151及び第2壁部152は、それぞれが一方向に開口したU字形の平面形状であり、それぞれの壁部への押圧に対し直交する壁面を有するから、破損の恐れは少ない。また、第1壁部151及び第2壁部152は、上面がボンディングワイヤ141よりも上方に位置するような高さを有する。
【0022】
第1壁部151及び第2壁部152は、複数の異なる金属を積層することにより形成されてもよい。この場合、各金属層の種類及び厚みは、基板11側から銅25μm/ニッケル1μm/金0.05μm/金錫3μm/銅110μm/銅110μm/ニッケル1μm/金0.05μm/金錫10μmとしてもよい。このとき、側面には保護層は設けない。すなわち、第1壁部151及び第2壁部152は、部分的に同じ材質の金属層が接する、異種金属で形成された壁である。
【0023】
光学素子16は、透光性を有する樹脂又はガラスにより形成される拡散板である。透光性を有する樹脂としては、例えばポリアリレート樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂又はエポキシ樹脂等の紫外線硬化樹脂が用いられる。光学素子16は、第1壁部151及び第2壁部152の上面に配置される。光学素子16の上面又は下面には、発光素子14から出射された光が所望の照射範囲に到達するように光を拡散させるためのシボ加工等の表面加工が施される。なお、光学素子16は、光を拡散若しくは集束させるためのレンズ又は所定の波長帯の光を選択的に透過させる光学フィルタ等の他の任意の光学素子であってもよく、ガラス板等の単なる平板であってもよい。
【0024】
光学素子16の下面には、透光性及び導電性を有する導電層161が形成される。導電層161は、光学素子16の、発光素子14に対向する下面の全部を被覆するように形成される。導電層161は、例えば、酸化インジウム錫又はフッ素ドープ酸化錫により形成される透光性の導電膜である。導電層161は、光学素子16が第1壁部151及び第2壁部152の上面に配置された状態で、第1壁部151及び第2壁部152と接触し、第1壁部151と第2壁部152とを電気的に接続する。導電層161は、第1壁部151及び第2壁部152と金属接合してもよい。なお、導電層161は、光学素子16の下面の一部のみを被覆するように形成されてもよい。例えば、導電層161は、光学素子16の下面の外周部のみを被覆するように形成されてもよい。
【0025】
第1検査用端子171及び第2検査用端子172は、導電性の金属により形成され、相互に離間して基板11の下面に配置される、光学素子16の脱落を検出するための部材である。第1検査用端子171及び第2検査用端子172は、例えば、銅、銀、タングステン、アルミニウム又は金により形成される。第1検査用端子171及び第2検査用端子172は、保護層であるニッケル、パラジウム、銀又は金により表面を保護されてもよい。第1検査用端子171は、基板11の貫通孔を介して第1壁部151と電気的に接続される。第2検査用端子172は、基板11の貫通孔を介して第2壁部152と電気的に接続される。なお、第1検査用端子171及び第2検査用端子172は、検査用端子対の一例である。
【0026】
図4は、発光装置1を用いたシステム100の概略構成を示す図である。システム100は、発光装置1を発光させるとともに、発光装置1から光学素子16が脱落した場合には、発光装置1の発光を停止させる。システム100は、発光装置1、電源101及び検出回路102を有する。
【0027】
電源101は、発光装置1の第1電極121及び第2電極122と接続され、第1電極121及び第2電極122を介して発光素子14に電流を供給する。検出回路102は、第1検査用端子171及び第2検査用端子172と接続される。検出回路102は、第1検査用端子171と第2検査用端子172との間に電圧を印可して第1検査用端子171と第2検査用端子172との間に流れる電流を測定することにより、第1検査用端子171と第2検査用端子172との間が導通しているか否かを判定する。
【0028】
光学素子16が発光装置1に装着されている場合、導電層161は第1壁部151及び第2壁部152と接触し、第1壁部151と第2壁部152とを電気的に接続する。これにより、第1検査用端子171と第2検査用端子172との間は導通し、矢印Iで示すように、第1壁部151、導電層161及び第2壁部152を介して電流が流れる。他方で、光学素子16が発光装置1から脱落した状態では、導電層161が第1壁部151及び第2壁部152と離間するため、第1壁部151と第2壁部152とが電気的に絶縁される。すなわち、検出回路102は、第1検査用端子171と第2検査用端子172との間が導通しているか否かを判定することにより、光学素子16の脱落を検出することができる。
【0029】
検出回路102は、第1電極121と第2電極122との間が導通していないと判定された場合に、電源101を制御して、発光素子14に電流が供給されないようにすることにより、発光装置1の発光を停止させる。これにより、検出回路102は、発光素子14からの光が、光学素子16を介さずに強度の大きいまま外部に出射されることを防止し、利用者にとっての安全性を向上させる。なお、検出回路102は、図示しない監視用端子を有し、監視用端子を介して光学素子16が脱落したことを示す脱落検出信号を出力するように構成されてもよい。
【0030】
図5は、発光装置1の製造方法の流れの例を示すフロー図である。なお、以下では一つの発光装置1を製造するための方法が説明されるが、以下に説明される方法を用いて複数の発光装置1が同時に製造されてもよい。
【0031】
まず、基板準備工程において、基板11が準備される(ステップS101)。基板11の上面及び下面は、あらかじめ銅箔により被覆されている。
【0032】
続いて、配線・壁部形成工程において、基板11の上面に第1配線131、第2配線132、第1壁部151及び第2壁部152が形成される(ステップS102)。
【0033】
図6及び
図7は、配線・壁部形成工程について説明するための模式図である。なお、第2配線132及び第2壁部152の形成過程は第1配線131及び第1壁部151の形成過程とそれぞれ同じであるため、
図6及び
図7では、第2配線132及び第2壁部152の図示が省略されている。また、以下では、第1配線131、第2配線132、第1壁部151及び第2壁部152が銅により形成される場合の製造方法について説明するが、各配線及び各壁部が他の金属で形成される場合も同様である。
【0034】
まず、
図6(A)に示すように、銅箔層C1により被覆された基板11の上下を貫通するように、貫通孔が形成される。
【0035】
続いて、
図6(B)に示すように、基板11の上下を被覆するように、銅めっきC2が形成される。銅めっきC2は、例えば、電解銅めっきにより形成される。銅めっきC2により、基板11の貫通孔が塞がれる。銅箔層C1と銅めっきC2は、同一の金属であり、基板11の貫通孔を上下及び貫通孔内の側面から挟み込む形状を有することによって、基板11に接着剤などの接合材を用いずに強固に保持されている。すなわち、第1壁部151と第1検査用端子171とが、基板11の貫通孔の内部も含めて同一の金属で形成されることにより、第1壁部151が基板11から脱落する可能性が低減される。同様に、第2壁部152と第2検査用端子172とが、貫通孔の内部も含めて同一の金属で形成されることにより、第2壁部152が基板11から脱落する可能性が低減される。
【0036】
続いて、
図6(C)に示すように、基板11の上面の、第1壁部151、第2壁部152、第1配線131及び第2配線132の位置にレジストRが配置される。また、基板11の下面の、第1検査用端子171、第2検査用端子172、第1電極121及び第2電極122の位置にレジストRが配置される。レジストRは、例えば、スクリーン印刷により配置されるが、フォトレジストを露光することによって配置されてもよい。
【0037】
続いて、
図6(D)に示すように、基板11の上面及び下面の、レジストRが配置されていない位置の銅箔層C1及び銅めっきC2がエッチングにより除去される。
【0038】
続いて、
図7(A)に示すように、基板11の上面及び下面のレジストRが除去される。レジストRは、エッチングにより除去される。これにより、基板11の上面に、第1配線131及び第2配線132並びに各配線と同じ高さの第1壁部151及び第2壁部152が形成される。また、基板11の下面に、第1検査用端子171、第2検査用端子172、第1電極121及び第2電極122が形成される。
【0039】
続いて、
図7(B)に示すように、基板11の上面の、第1壁部151及び第2壁部152の位置以外の位置にレジストRが配置される。レジストRは、すでに形成されている第1壁部151及び第2壁部152よりも厚くなるように、スクリーン印刷により塗布されることにより配置される。
【0040】
続いて、
図7(C)に示すように、基板11の上面に電解銅めっきが施され、基板11の上面の、レジストRが配置されていない位置の銅めっきC2が厚くなる。これにより、所望の高さを有する第1壁部151及び第2壁部152が形成される。なお、一度の電界銅めっきでは所望の高さの第1壁部151及び第2壁部152が得られない場合には、所望の高さの第1壁部151及び第2壁部152が得られるまで電解銅めっきが繰り返される。また、このとき、ニッケル、パラジウム、銀、金又は金錫などの層を更に設けてもよい。
【0041】
最後に、
図7(D)に示すように、基板11の上面に配置されたレジストRが除去される。このようにして、基板11の上面に第1配線131、第2配線132、第1壁部151及び第2壁部152が、基板11の下面に第1検査用端子171、第2検査用端子172、第1電極121、第2電極122がそれぞれ形成される。
【0042】
配線・壁部形成工程においては、プリント基板に対する配線を形成するために用いられる、サブトラクティブ法及びアディティブ法を組み合わせることにより、第1壁部151、第2壁部152等が形成される。したがって、壁部の形成のために新たな工程を行うための設備を導入する必要がなく、第1壁部151及び第2壁部152は、安価且つ簡易に形成可能である。また、第1壁部151及び第2壁部152は、接着剤を用いず、金属層のみで構成されており、層間剥離などの断線リスクの低い配線といえる。
【0043】
図5に戻り、続いて、発光素子配置工程において、第1配線131の上面に発光素子14が配置される(ステップS103)。発光素子14は、下面に配置されたカソードが第1配線131と電気的に接続されるように、銀ペーストやはんだ等の導電性接着剤であるダイボンドを用いて第1配線131に接着される。
【0044】
続いて、ワイヤボンディング工程において、発光素子14の上面に配置されたアノードと第2配線132とを電気的に接続するように、ボンディングワイヤ141が配置される(ステップS104)。ボンディングワイヤ141は、銀ペーストやはんだ等のダイボンドを用いてアノード及び第2配線132に接着される。
【0045】
続いて、導電層形成工程において、光学素子16の下面に導電層161が形成される(ステップS105)。導電層161は、酸化インジウム錫又はフッ素ドープ酸化錫等の導電層161を形成する材料を、光学素子16の下面に電子ビーム蒸着若しくはスパッタ蒸着を用いて蒸着し、又は塗布することにより形成される。
【0046】
続いて、光学素子配置工程において、導電層161が形成された光学素子16が発光素子14の上方を被覆するように第1壁部151及び第2壁部152の上面に配置され(ステップS106)、発光装置1が製造される。
【0047】
以上説明したように、発光装置1は、相互に離間して発光素子14を囲むように基板11に配置される、導電性の金属で形成される第1壁部151及び第2壁部152と、第1壁部151及び第2壁部152の上面に配置される透光性の光学素子16とを有する。また、光学素子16の下面には、光学素子16が第1壁部151及び第2壁部152の上面に配置された状態で第1電極121と第2電極122とを電気的に接続する導電層161が形成される。これにより、発光装置1は、簡易な構成により光学素子の脱落を検出することを可能とする。
【0048】
また、発光装置1において、第1壁部151及び第2壁部152は、第1配線131及び第2配線132と同一の金属により形成される。これにより、第1壁部151及び第2壁部152を第1配線131及び第2配線132と同一の工程により形成することができるため、発光装置1は、より簡易な構成により光学素子16の脱落を検出することを可能とする。
【0049】
なお、第1壁部151及び第2壁部152は、第1配線131及び第2配線132と異なる金属により形成されてもよい。この場合、基板11の上面に第1配線131及び第2配線132が形成された後に、あらかじめ成形された第1壁部151及び第2壁部152がはんだ等の導電性を有する接着部材により基板11に接着されることにより配置されてもよい。この場合も、光学素子16を検出するために追加の配線等の工程を要することはないため、発光装置1は、簡易な構成により光学素子の脱落を検出することを可能とする。
【0050】
図8は、他の実施形態に係る発光装置2の断面図である。
図8は、
図1のIII-III断面に対応する断面における断面図である。発光装置2は、光学素子16の下面に、導電層161に代えて導電接着層261が形成される点で発光装置1と相違する。導電接着層261以外の発光装置2の構成は、同一の符号を付した発光装置1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
導電接着層261は、導電性を有する接着部材により形成される。導電接着層261は、透光性を有しなくてもよく、例えば金錫又ははんだにより形成される。導電接着層261は、光学素子16の下面の外周部にのみ形成され、光学素子16の下面と第1壁部151及び第2壁部152の上面とを接着する。導電接着層261は、
図7(C)に示すように、基板11の上面に電解銅めっきが施されたあと、電解銅めっきの表面にニッケル、パラジウム、銀、金又は金錫などの層を設けることにより、第1壁部151及び第2壁部152の一部として形成されてもよい。このように、光学素子16の下面の外周部にのみ導電接着層261を形成することにより、発光装置2は、発光効率を損なうことなく光学素子16の脱落を防止することを可能とする。
【0052】
図9は、他の実施形態に係る発光装置3の平面図である。発光装置3は、第1壁部151及び第2壁部152に代えて、第1壁部351及び第2壁部352を有する点で発光装置1と相違する。第1壁部351及び第2壁部352以外の発光装置3の構成は、同一の符号を付した発光装置1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0053】
第1壁部351及び第2壁部352は、相互の対向面が、発光素子14を外部から視認不能にするように相補的な形状に形成される点で、第1壁部151及び第2壁部152とそれぞれ相違する。すなわち、第1壁部351の第2壁部352に対向する対向面には、凸部351aと凹部351bとが形成され、第2壁部352の第1壁部351に対向する対向面には、凸部352aと凹部352bとが形成される。第1壁部351の凸部351aは、第2壁部352の凹部352bと対向する位置に形成され、第2壁部352の凸部352aは、第1壁部351の凹部351bと対向する位置に形成される。第1壁部351の凸部351aと第2壁部352の凸部352aは、側方(
図9における上方又は下方)から見たときに部分的に重なり合うように形成される。これにより、第1壁部351の第2壁部352に対向する対向面と、第2壁部352の第1壁部351に対向する対向面とによって発光素子14が外部から視認不能にされる。
【0054】
第1壁部351及び第2壁部352の相互の対向面がこのような形状を有することにより、発光素子14から出射された光が光学素子16を経由せずに発光装置3の外部に漏出することが無くなるため、発光装置3は、利用者の安全性を向上させることを可能とする。
【0055】
上述した説明では、第1壁部351及び第2壁部352の相互の対向面はそれぞれ凸部及び凹部を有するものとしたが、このような例に限られない。第1壁部351及び第2壁部352の相互の対向面は、相補的な斜面又は曲面に形成されることにより、発光素子14を外部から視認不能にしてもよい。また、発光素子14から見たとき、第1壁部351と第2壁部352のすき間を覆うように、第1壁部351及び第2壁部352と電気的に接続されていない金属壁を設けてもよい。
【0056】
図10は、他の実施形態に係る発光装置4の斜視図であり、
図11は、発光装置4の断面図である。
図10においては、光学素子を透過して見える構成は破線により図示されている。
図11は、
図10のXI-XI断面における断面図である。発光装置4は、フレーム47をさらに有する点で発光装置1と相違する。フレーム47以外の発光装置4の構成は、同一の符号を付した発光装置1の構成と同様であるため、説明を省略する。なお、フレーム47は、被覆部の一例である。
【0057】
フレーム47は、発光素子14から出射された光を透過させない絶縁性の樹脂により形成され、第1壁部151及び第2壁部152の外周の全部を被覆する。フレーム47は、第1壁部151と第2壁部152との間の間隙部分を含めて第1壁部151及び第2壁部152の外周を被覆することにより、発光素子14を視認不能とする。また、第1壁部151及び第2壁部152の外周の酸化などによる劣化を防止する。フレーム47により、発光素子14から出射された光が直接に発光装置3の外部に漏出することが無くなるため、発光装置3は、利用者の安全性を向上させることを可能とする。また、フレーム47により、光学素子16の側面の少なくとも一部は強固に保持され、光学素子16の脱落を防止する。
【0058】
当業者は、本発明の精神および範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。例えば、上述した各部の処理は、本発明の範囲において、適宜に異なる順序で実行されてもよい。また、上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 発光装置
11 基板
121 第1電極
122 第2電極
131 第1配線
132 第2配線
14 発光素子
151 第1壁部
152 第2壁部
16 光学素子
161 導電層
171 第1検査用端子
172 第2検査用端子