IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三井金属アクト株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車両用シートロック装置 図1
  • 特開-車両用シートロック装置 図2
  • 特開-車両用シートロック装置 図3
  • 特開-車両用シートロック装置 図4
  • 特開-車両用シートロック装置 図5
  • 特開-車両用シートロック装置 図6
  • 特開-車両用シートロック装置 図7
  • 特開-車両用シートロック装置 図8
  • 特開-車両用シートロック装置 図9
  • 特開-車両用シートロック装置 図10
  • 特開-車両用シートロック装置 図11
  • 特開-車両用シートロック装置 図12
  • 特開-車両用シートロック装置 図13
  • 特開-車両用シートロック装置 図14
  • 特開-車両用シートロック装置 図15
  • 特開-車両用シートロック装置 図16
  • 特開-車両用シートロック装置 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189570
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】車両用シートロック装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/22 20060101AFI20221215BHJP
   B60N 2/20 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
B60N2/22
B60N2/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098223
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】近藤 誠人
(72)【発明者】
【氏名】落合 俊介
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BD01
3B087BD03
(57)【要約】
【課題】車両用シートロック装置において、構成を簡単にして、シートバックの背凭れ角度を第1位置及び第2位置の2段階に変更可能とする。
【解決手段】ラッチ12は、ストライカ進入溝71に進入した第1脚部51が噛合溝123に噛合することにより、アンラッチ位置から第1ラッチ位置に回動可能で、ストライカ進入溝71に進入した第2脚部52が被押部127に当接することにより、第2ラッチ位置へ向けて回動する。ストライカ5の第1脚部51は、ラッチ12が第2ラッチ位置に回動することにより、噛合溝123から抜け出てストッパ18と第3アーム部124の先端部125との間に挟持される。

【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体又はシートバックのいずれか一方に設けられ、第1脚部及び前記第1脚部から所定距離離間した第2脚部を有するストライカと、
前記車体又は前記シートバックのいずれか他方に設けられると共に、前記第1、2脚部が前記シートバックの作動に伴って進退可能なストライカ進入溝を有するベースプレートと、
前記ベースプレートにラッチ軸により所定角度回動可能に支持されると共に、アンラッチ位置から第1ラッチ位置を経由して第2ラッチ位置及びその逆へ回動可能であって、前記ストライカ進入溝に進入した前記第1脚部に噛合可能な噛合溝と、前記噛合溝のラッチ方向側に設けた第1アーム部と、前記噛合溝のアンラッチ方向側に設けた第2アーム部と、前記噛合溝と前記第2アーム部との間に設けた第3アーム部と、前記ストライカ進入溝に進入した前記第2脚部が当接可能な被押部を有するラッチと、
前記ベースプレートにラチェット軸により所定角度回動可能に支持されると共に、スプリングにより係合方向へ付勢されて、前記第1アーム部に係合することにより、前記ラッチを第1ラッチ位置に拘束し、前記第2アーム部に係合することにより、前記ラッチを第2ラッチ位置に拘束可能な拘束部を有するラチェットと、
前記ベースプレートにおける前記ストライカ進入溝の奥部に設けたストッパと、を備え、
前記ラッチは、前記ストライカ進入溝に進入した前記第1脚部が前記噛合溝に噛合することにより、アンラッチ位置から第1ラッチ位置に回動可能で、前記ストライカ進入溝に進入した前記第2脚部が前記被押部に当接することにより、第2ラッチ位置へ向けて回動可能であり、
前記第1脚部は、前記ラッチが第2ラッチ位置に回動することにより、前記噛合溝から抜け出て前記ストッパと前記第3アーム部の先端部との間に挟持されることを特徴とする車両用シートロック装置。
【請求項2】
前記ラッチの前記噛合溝は、前記ラッチがアンラッチ位置と第2ラッチ位置の手前との間の位置にあるとき、前記ストライカ進入溝に対して重なる位置にあり、前記ラッチが第2ラッチ位置にあるとき、前記ストライカ進入溝に対して重ならない位置に退避することを特徴とする請求項1記載の車両用シートロック装置。
【請求項3】
前記ラチェットは、前記スプリングの付勢力により前記ラッチの前記第2アーム部に当接することにより、前記ラッチを第2ラッチ位置の手前位置から第2ラッチ位置まで強制回動させるカム部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の車両用シートロック装置。
【請求項4】
前記ラチェットは、前記ラチェット軸により所定角度回動可能に支持される第1ラチェットと、前記ラチェット軸により前記第1ラチェットと独立して所定角度回動可能に支持される第2ラチェットとを含み、
前記第1ラチェットは、前記第1アーム部に係合することにより、前記ラッチの第1ラッチ位置からアンラッチ方向への回動を阻止し、前記第2アーム部に係合することにより、前記ラッチの第2位置からアンラッチ方向への回動を阻止する係合部を有し、
前記第2ラチェットは、前記第1アーム部に係合することにより、前記ラッチの第1ラッチ位置からラッチ方向への回動を阻止するフック部を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の車両用シートロック装置。
【請求項5】
前記ラチェットの前記カム部を、前記第1ラチェットの前記係合部に連続形成したことを特徴とする請求項3を引用する請求項4記載の車両用シートロック装置。
【請求項6】
前記ストッパを、合成樹脂又は弾性体としたことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の車両用シートロック装置。
【請求項7】
前記ストライカ進入溝は、前記ストライカの前記第1脚部及び前記第2脚部の太さよりも少なくとも2倍以上の開口幅を有することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の車両用シートロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートロック装置に関し、特には、シートバックの背凭れ角度を2段階に変更可能とした車両用シートロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用シートロック装置においては、乗物シート、例えば、車両用シートにあっては、車体に対して回動可能に支持されたシートバックに設けられたロック機構を、車体に固定されたストライカに係合させることによりシートバックの背凭れ角度を第1位置及び第2位置の2段階に変更可能としたものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、車体側に固定され、第1棒状係合部及び第2棒状係合部を有するストライカと、シートバックに固定されるベースプレートに第1軸により回動可能に支持されると共に、シートバックの第1位置において第1棒状係合部のシートバックの倒れ方向と反対側の部位に当接する第1前当接面部、及びシートバックの第2位置において第2棒状係合部のシートバックの倒れ方向と反対側の部位に当接する第2前当接面部を有する第1フックプレートと、ベースプレートに第1軸により回動可能に支持されると共に、シートバックの第1位置において第1棒状係合部のシートバックの倒れ方向の部位に当接する第1後当接面部、及びシートバックの第2位置において第2棒状係合部のシートバックの倒れ方向の部位に当接する第2後当接面部を有する第2フックプレートと、ベースプレートに第2軸により回動可能に支持されると共に、第1フックプレートと係合して第1フックプレートの回動を止めるポールと、当該ポールと連動して回動するカムと、を備えて、シートバックを第1位置及び第2位置の2段階の変更可能とした車両用シートロック装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-131100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の車両用シートロック装置は、シートバックの背凭れ角度を第1位置及び第2位置の2段階に変更可能とするため、ストライカの第1棒状係合部及び第2棒状係合部に噛合する要素が第1フックプレートと第2フックプレートとの2要素により構成されるため、部品数が多く、構成が複雑である問題点を有している。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑み、構成を簡単にして、シートバックの背凭れ角度を第1位置及び第2位置の2段階に変更可能とした車両用シートロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
車両用シートロック装置において、車体又はシートバックのいずれか一方に設けられ、第1脚部及び前記第1脚部から所定距離離間した第2脚部を有するストライカと、前記車体又は前記シートバックのいずれか他方に設けられると共に、前記第1、2脚部が前記シートバックの作動に伴って進退可能なストライカ進入溝を有するベースプレートと、前記ベースプレートにラッチ軸により所定角度回動可能に支持されると共に、アンラッチ位置から第1ラッチ位置を経由して第2ラッチ位置及びその逆へ回動可能であって、前記ストライカ進入溝に進入した前記第1脚部に噛合可能な噛合溝と、前記噛合溝のラッチ方向側に設けた第1アーム部と、前記噛合溝のアンラッチ方向側に設けた第2アーム部と、前記噛合溝と前記第2アーム部との間に設けた第3アーム部と、前記ストライカ進入溝に進入した前記第2脚部が当接可能な被押部を有するラッチと、前記ベースプレートにラチェット軸により所定角度回動可能に支持されると共に、スプリングにより係合方向へ付勢されて、前記第1アーム部に係合することにより、前記ラッチを第1ラッチ位置に拘束し、前記第2アーム部に係合することにより、前記ラッチを第2ラッチ位置に拘束可能な拘束部を有するラチェットと、前記ベースプレートにおける前記ストライカ進入溝の奥部に設けたストッパと、を備え、前記ラッチは、前記ストライカ進入溝に進入した前記第1脚部が前記噛合溝に噛合することにより、アンラッチ位置から第1ラッチ位置に回動可能で、前記ストライカ進入溝に進入した前記第2脚部が前記被押部に当接することにより、第2ラッチ位置へ向けて回動可能であり、前記第1脚部は、前記ラッチが第2ラッチ位置に回動することにより、前記噛合溝から抜け出て前記ストッパと前記第3アーム部の先端部との間に挟持されることを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記ラッチの前記噛合溝は、前記ラッチがアンラッチ位置と第2ラッチ位置の手前との間の位置にあるとき、前記ストライカ進入溝に対して重なる位置にあり、前記ラッチが第2ラッチ位置にあるとき、前記ストライカ進入溝に対して重ならない位置に退避する。
【0009】
好ましくは、前記ラチェットは、前記スプリングの付勢力により前記ラッチの前記第2アーム部に当接することにより、前記ラッチを第2ラッチ位置の手前位置から第2ラッチ位置まで強制回動させるカム部を有する。
【0010】
好ましくは、前記ラチェットは、前記ラチェット軸により所定角度回動可能に支持される第1ラチェットと、前記ラチェット軸により前記第1ラチェットと独立して所定角度回動可能に支持される第2ラチェットとを含み、前記第1ラチェットは、前記第1アーム部に係合することにより、前記ラッチの第1ラッチ位置からアンラッチ方向への回動を阻止し、前記第2アーム部に係合することにより、前記ラッチの第2位置からアンラッチ方向への回動を阻止する係合部を有し、前記第2ラチェットは、前記第1アーム部に係合することにより、前記ラッチの第1ラッチ位置からラッチ方向への回動を阻止するフック部を有する。
【0011】
好ましくは、前記ラチェットの前記カム部を、前記第1ラチェットの前記係合部に連続形成する。
【0012】
好ましくは、前記ストッパを、合成樹脂又は弾性体とする。
【0013】
好ましくは、前記ストライカ進入溝は、前記ストライカの前記第1脚部及び前記第2脚部の太さよりも少なくとも2倍以上の開口幅を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、ストライカに噛合する要素を単一のラッチとしたことによって、シートバックの背凭れ角度を第1位置及び第2位置の2段階に変更可能でありながらも、部品数を削減して、構成の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る車両用シートロック装置を装着したシートの斜視図である。
図2】ロック機構の分解斜視図である。
図3】ロック機構の左側面図である。
図4】ロック機構の右側面図である。
図5図3におけるV―V線縦断面図である。
図6】ロック機構におけるアンラッチ状態の説明図である。
図7】ロック機構におけるアンラッチ状態から第1ラッチ状態に至る途中の第1状態の作動説明図である。
図8】ロック機構におけるアンラッチ状態から第1ラッチ状態に至る途中の第2状態の作動説明図である。
図9】ロック機構におけるアンラッチ状態から第1ラッチ状態に至る途中の第3状態の作動説明図である。
図10】ロック機構における第1ラッチ状態の説明図である。
図11】ロック機構における第1ラッチ状態での解除作動の説明図である。
図12】ロック機構における第1ラッチ状態から第2ラッチ状態に至る途中の第4状態の作動説明図である。
図13】ロック機構における第1ラッチ状態から第2ラッチ状態に至る途中の第5状態の作動説明図である。
図14】ロック機構における第1ラッチ状態から第2ラッチ状態に至る途中の第6状態の作動説明図である。
図15】ロック機構における第2ラッチ状態の説明図である。
図16】ロック機構における第2ラッチ状態での解除作動の説明図である。
図17】ロック機構における解除作動後の作動説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明に係る車両用シートロック装置1が装着されるリアシート2は、車体フロアに据え付けられるシートクッション3Aと、シートクッション3Aの後端下部に左右方向を向くヒンジ軸(図示略)により前後方向へ起倒可能に支持されるシートバック3Bとを備える。
【0017】
車両用シートロック装置1は、シートバック3B側に取り付けられるロック機構4と、車体側に固定されるストライカ5とを備え、シートバック3Bの起立位置において、ロック機構4がストライカ5に係合することで、シートバック3Bの背凭れ角度を図1に実線で示す第1位置と第1位置より後方に傾いた2点鎖線で示す第2位置との2段階に変更可能とした機能を有する。
【0018】
シートバック3Bは、前述のように第1位置又は第2位置のいずれかの位置に選択的に保持されると共に、シートバック3Bの肩部に設けられた操作部材6の操作に基いて、ロック機構4とストライカ5との係合が解除されることで、図1に示す2点鎖線で示すように、前方へ倒伏した倒伏位置に移動させることができる。
【0019】
図1から理解できるように、ストライカ5は、シートバック3の側面に対向する車体側に固定され、平面視略コ字型を呈して、前側の第1脚部51と、第1脚部51から後方へ所定量離間した後側の第2脚部52とを有する。
【0020】
図2~5に示すように、ロック機構4は、シートバック3B内のシートフレーム31B(図5参照)に固定される金属製のベースプレート7と、ベースプレート7に左右方向を向くラチェット軸8により所定角度回動可能に支持される第1ラチェット9及び第2ラチェット10を含むラチェットと、ベースプレート7に左右方向を向くラッチ軸11により所定角度回動可能に支持されるラッチ12と、ベースプレート7に固定されるストッパ18と、を備える。これにより、後述のように、ベースプレート7におけるストライカ進入溝71の上側に第1、2ラチェット9、10を配置し、ストライカ進入溝71の下側にラッチ12を配置することにより、ロック機構4における特に前後方向の寸法を縮小して小型化を可能にしている。
【0021】
ベースプレート7は、金属製であって、上下方向の略中央部にシートバック3を作動させた際、ストライカ5の第1、2脚部51、52が前後方向へ進退し得るように後方が開口したストライカ進入溝71を有する。ベースプレート7におけるストライカ進入溝71の奥には、ストッパ18が固定される。ストッパ18は、ゴム等の弾性体又は合成樹脂で形成され、ストライカ進入溝71に進入したストライカ5の第1脚部51が当接し得るように、ストライカ5の進入方向に相対する面(後面)がストライカ進入溝71の奥端よりも若干後方に突出している。これにより、ストライカ5の第1脚部51とストッパ18との当接音を緩和することが可能となる。さらには、ストッパ18を軟質の合成樹脂又はゴム等の弾性体とすることで、当接音の発生をより確実に抑えることができる。
【0022】
ベースプレート7のストライカ進入溝71の上下方向の開口幅は、ストライカ5の第1脚部51及び第2脚部52の太さ(直径)の約2~3倍程度に設定される。これにより、リアシート2の取付位置誤差、シートバック3Bの可動部分のガタ付き等によって、ベースプレート7のストライカ進入溝71に対するストライカ7の進入位置が基準位置から上下方向にずれたとしても、図6~17に示すように、ストライカ5の第1、2脚部51、52の移動軌跡のずれが予め定めた許容範囲内であれば、ストライカ進入溝71に対するストライカ5の第1、2脚部51、52の進入を許容する。
【0023】
図6~17において、実線で示す第1、2脚部51、52は基準位置を示し、2点鎖線で示す第1、2脚部51a、52a(図6参照)は、リアシート2の取付位置誤差、シートバック3Bの可動部分のガタ付き等によって、基準位置から上下方向にずれた位置を示す。また、1点鎖線で示す経路X(図6参照)は、基準位置でのベースプレート7のストライカ進入溝71に対する第1、2脚部51、52の基準進入軌跡を示し、1点鎖線で示す経路X1、X2(図6参照)は、ずれが発生した状態でのベースプレート7のストライカ進入溝71に対する第1、2脚部51a、52aの進入軌跡を示す。
【0024】
ベースプレート7は、自体の前上部に固定された鍔付き円筒状の支持部16、及び当該支持部16と同一形状の第1、2軸部8、11にそれぞれ挿入される複数のボルト32Bによってシートフレーム31Bに固定される。詳細には、図5に示すように、支持部16、第1、2軸部8、11のそれぞれ鍔部16a、8a、11aをシートフレーム31Bの表面に当接させた状態で、複数のボルト32Bによってシートフレーム31Bに固定される。
【0025】
第1ラチェット9は、金属製であって、ラチェット軸8によりベースプレート7におけるストライカ進入溝71の上位に所定角度回動可能に支持されると共に、第1軸8に支持されたスプリング13により係合方向(図3において反時計方向、図4において時計方向)へ付勢される。第1ラチェット9は、上下方向へ移動可能な操作力伝達部材14を介して操作部材6に連結される。これにより、第1ラチェット9は、操作部材6の操作に連動してラチェット軸8を中心にスプリング13の付勢力に抗して解除方向(図3において時計方向、図4において反時計方向)へ所定角度回動する。
【0026】
第2ラチェット10は、ラチェット軸8によりベースプレート7におけるストライカ進入溝71の上位に第1ラチェット9と独立して所定角度回動可能に支持されて、ベースプレート7における支持部16に支持されたスプリング15により係合方向(図3において反時計方向、図4において時計方向)へ付勢されると共に、第1ラチェット9の解除方向への回動に伴って解除方向へ回動する。第1ラチェット9の解除方向への回動に伴う第2ラチェット10の解除方向への回動は、第1ラチェット9に設けた突起部93が第2ラチェット10に設けたアーム部102に対して解除方向から当接することで達成される。
【0027】
ラッチ12は、ベースプレート7におけるストライカ進入溝71の下側に第2軸11により所定角度回動可能に支持されると共に、ラッチ軸11に支持されたスプリング17によりアンラッチ方向(図3において時計方向、図4において反時計方向)へ付勢される。
【0028】
さらに、ラッチ12は、シートバック3Bが第1位置及び第2位置以外の位置にあって、ストライカ5がベースプレート7のストライカ進入溝71に進入していない場合には、図6に示すアンラッチ位置に停止しており、シートバック3Bの起立動作に伴ってストライカ5がストライカ進入溝71に進入することにより、スプリング17の付勢力に抗して、アンラッチ位置からラッチ方向(図6において反時計方向)へ所定角度回動した図10に示す第1ラッチ位置に回動して当該位置に停止し、さらに第1ラッチ位置からラッチ方向へ所定角度回動した図15に示す第2ラッチ位置に回動して停止し、また、操作部材6の操作に基づくシートバック3Bの倒伏動作に伴ってその逆にアンラッチ方向へ回動する。
【0029】
ラッチ12の第1ラッチ位置は、シートバック3の第1位置に相当し、同じく第2ラッチ位置は、シートバック3の第2位置に相当する。
【0030】
ラッチ12には、ストライカ5の第1脚部51が噛合可能な噛合溝123と、噛合溝123のラッチ方向側にあって、ラッチ軸11を中心とした遠心方向へ延出する第1アーム部121と、噛合溝123のアンラッチ方向側にあって、ラッチ軸11を中心とした遠心方向へ延出する第2アーム部122と、噛合溝123と第2アーム部122との間に設けた第3アーム部124と、第2アーム部122よりもアンラッチ側に設けた被押部127と、第1アーム部121からラッチ方向側に所定距離離間する第4アーム部126とを有する。
【0031】
ラッチ12は、芯材を金属製として、第1、2アーム部121、122の先端部を除く表面が合成樹脂材より被覆されることによって形成される。
【0032】
第1アーム部121の先端部は、ラッチ12の第1ラッチ位置において第1ラチェット9に対してアンラッチ方向へ係合可能な第1アンラッチ側当接部121aと、ラッチ12の第1ラッチ位置において第2ラチェット10の後述のフック部101に対してラッチ方向へ係合可能な第1ラッチ側当接部121bとを含む。第2アーム部122の先端部は、ラッチ12の第2ラッチ位置において第1ラチェット9に対してアンラッチ方向へ係合可能な第2アンラッチ側当接部122aと、ラッチ12の第2ラッチ位置において第2ラチェット10のフック部101に対してラッチ方向へ係合可能な第2ラッチ側当接部122bとを含む。
【0033】
第1アーム部121は、ラッチ12がアンラッチ位置にあるとき、図6に示すように、ストライカ進入溝71に重なった状態で後斜め上方へ向く姿勢にあり、ラッチ12が第2ラッチ位置にあるとき、前向の姿勢となって、ストライカ進入溝71から外れてストライカ進入溝71の下方へ移動する。
【0034】
第2アーム部122は、ラッチ12がアンラッチ位置にあるとき、ストライカ進入溝71の下方に位置し、ラッチ12のラッチ方向への回動に伴って上方へ移動して、第2ラッチ位置においてストライカ進入溝71の上方へ移動する。
【0035】
第3アーム部124は、ラッチ12がアンラッチ位置にあるとき、後斜め上方へ向く姿勢で、ストライカ進入溝71の下方に位置し、ラッチ12が第2ラッチ位置に回動することでストライカ進入溝71に重なった状態で前向きの姿勢となって、自体の先端部125がストッパ18に対向する。
【0036】
ラッチ12が第2ラッチ位置に回動した場合には、第3アーム124の先端部125とストッパ18との間に、ストライカ5の第1脚部51が挟持される。
【0037】
噛合溝123は、第1アーム部121と第3アーム部124との間に設けられ、ラッチ12がアンラッチ位置にあるとき、ストライカ進入溝71に重なる位置にあり、シートバック3Bの起立作動に伴って、ストライカ5の第1脚部51がストライカ進入溝71に進入することで、第1脚部51に噛合する。これに伴って、ラッチ12は、アンラッチ位置からラッチ方向へ回動して、図10に示す第1ラッチ位置まで回動し、さらに、ストライカ5の第1脚部51がストライカ進入溝71に深く進入して、ストライカ進入溝71に進入したストライカ5の第2脚部52がラッチ12の被押部127に当接することで、図14に示す第2ラッチ位置の手前位置、または図15に示す第2ラッチ位置まで回動する。本実施形態においては、ストライカ5の第2脚部52がラッチ12の被押部127に当接することで、第2ラッチ位置の手前位置まで回動し、第1ラチェット9に設けた後述のカム部92により第2ラッチ位置の手前位置から第2ラッチ位置に回動するように構成される。
【0038】
被押部127は、第2アーム部122のアンラッチ方向側にあって、ラッチ12がアンラッチ位置にあるとき、ストライカ進入溝71の下方に位置し、ラッチ12が第1ラッチ位置の手前に達した時点で、ストライカ進入溝71に重なる位置に移動することにより、ストライカ5の第2脚部52が当接可能な状態となる。
【0039】
第1ラチェット9は、自体の前端に設けた係合部91と、係合部91の下部に連続して設けたカム部92とを有する。係合部91は、図10に示すように、ラッチ12の第1ラッチ位置において第1アーム部121に係合することで、ラッチ12の第1ラッチ位置からアンラッチ方向への回動を阻止し、図15に示すように、ラッチ12の第2ラッチ位置において第2アーム部122に係合することで、ラッチ12の第2ラッチ位置からアンラッチ方向への回動を阻止する。
【0040】
さらに、第1ラチェット9は、操作部材6の操作に基づいて、係合部91が第1アーム部121又は第1アーム部122に係合した係合位置から解除方向(時計方向)へ回動することで、係合部91が第1アーム部121又は第2アーム部122から外れて、ラッチ12のアンラッチ方向への回動を許可する。
【0041】
以下の説明においては、図3、4及び図6に示すように、第1ラチェット9の下縁がラッチ12の外周部126aに乗り上げた状態を、第1ラチェット9の待機位置、図10及び図15に示すように、係合部91が第1アーム部121又は第2アーム部122に係合した状態を、第1ラチェット9の係合位置、また、図11図16に示すように、係合部91が第1アーム部121又は第2アーム部122から外れた状態を、第1ラチェット9の解除作動とそれぞれ定義する。
【0042】
第1ラチェット9のカム部92は、ラッチ12が第1ラッチ位置の手前で、第1アーム部121の第1アンラッチ側当接部121aに当接することにより、第1ラチェット9に作用するスプリング13の付勢力により、ラッチ12に対してラッチ方向への回動力を付与してラッチ12を第1位置に強制回動させ、また、ラッチ12が第2ラッチ位置の手前で、第2アーム部122の第2アンラッチ側当接部122aに当接することにより、第1ラチェット9に作用するスプリング13の付勢力により、ラッチ12に対してラッチ方向への回動力を付与して、ラッチ12を第2ラッチ位置の手前から第2ラッチ位置迄強制回動させる。
【0043】
第2ラチェット10は、自体の前端部で、かつ第1ラチェット9の係合部91からラッチ方向へ所定距離離間した位置にあって、下方へ突出するフック部101を有する。これにより、フック部101と第1ラチェット9の係合部91との間には、ラッチ12の第1ラッチ位置において第1アーム部121、またラッチ12の第2ラッチ位置において第2アーム部122がそれぞれ係合する拘束部103が形成される。拘束部103は、下方を向く開口幅が第1アーム部121及び第2アーム部122の先端部の幅と同一又はそれよりも僅かに大きくなるように形成されて、第1アーム部121又は第2アーム部122の先端部がそれぞれ係合することにより、ラッチ12のラッチ方向及びアンラッチ方向への両方向の回動を阻止することで、ラッチ12を第1ラッチ位置又は第2ラッチ位置に拘束する。
【0044】
第2ラチェット10のインジケータ接続部104には、ロック機構4の噛合状態を目視可能なインジケータ(図示略)が接続される。インジケータは、シートバック3Bに設けられる。
【0045】
フック部101は、ラッチ12がアンラッチ位置にあるとき、ラッチ12における第4アーム部126の外周部126aに当接し、ラッチ12がアンラッチ位置からラッチ方向へ回動した際、図9に示すように、ラッチ12の第1アーム部121に当接することでラッチ12を第1ラッチ位置に停止させると共に、スプリング13の付勢力により、図10に示すように、第1アーム部121に完全に係合する位置に移動し、さらに、ラッチ12が第1ラッチ位置からラッチ方向へ回動した場合には、図15に示すように、スプリング13の付勢力により図10に示す位置と同位置に移動する。このように、ラッチ12がアンラッチ位置と第1、2ラッチ位置にあるときとで、第2ラチェット10におけるフック部101の位置が互いに変化することで、インジケータにより、ラッチ12に対する第2ラチェット10の係合状態を確実に確認できる。
【0046】
さらに、第2ラチェット10は、操作部材6の操作に基づいて、解除方向に所定角度回動すると、フック部101がラッチ12の第1アーム部121又は第2アーム部122から外れることで、ラッチ12のラッチ方向への回動を許可する。但し、ラッチ12が第2ラッチ位置にあるときには、第3アーム部124の先端部125がストライカ5の第1脚部51を介してストッパ18に当接するので、実質的にはラッチ方向へ回動することはない。
【0047】
以下の説明においては、図3、4及び図6に示すように、第2ラチェット10のフック部101がラッチ12の外周部126aに乗り上げた状態を、第2ラチェット10の待機位置、図10図15に示すように、フック部101が第1アーム部121又は第2アーム部122に完全に係合状態を、第2ラチェット10の係合位置、また、図11、16に示すように、フック部101が第1アーム部121又は第2アーム部122から外れた状態を、第2ラチェット10の解除作動とそれぞれ定義する。
【0048】
次に、図6~17に基づいて、本実施形態に係る車両用シートロック装置1の作用について説明する。
【0049】
図6は、ロック機構4におけるアンラッチ状態、図7は、ロック機構4におけるアンラッチ状態から第1ラッチ状態に至る途中の第1状態、図8は、ロック機構4におけるアンラッチ状態から第1ラッチ状態に至る途中の第2状態、図9は、ロック機構4におけるアンラッチ状態から第1ラッチ状態に至る途中の第3状態、図10は、ロック機構4における第1ラッチ状態、図11は、ロック機構4における第1ラッチ状態での解除作動、図12は、ロック機構4における第1ラッチ状態から第2ラッチ状態に至る途中の第4状態、図13は、ロック機構4における第1ラッチ状態から第2ラッチ状態に至る途中の第5状態、図14は、ロック機構4における第1ラッチ状態から第2ラッチ状態に至る途中の第6状態、図15は、ロック機構4における第2ラッチ状態、図16は、ロック機構4における第2ラッチ状態での解除作動、図17は、ロック機構3における解除作動後のそれぞれの作動説明図である。
【0050】
(シートバック3Bを倒伏位置から第1位置に移動させた場合)
シートバック3Bが倒伏位置にある場合には、図6に示すように、ラッチ12は、アンラッチ位置に保持され、第1ラチェット9及び第2ラチェット10は、それぞれ待機位置に保持されている。
【0051】
シートバック3Bを倒伏位置から起立させると、ストライカ5の第1脚部51は、ストライカ進入溝71に進入して、ラッチ12の第1アーム部121に当接する。これにより、図7に示すように、ラッチ12は、スプリング17の付勢力に抗して、アンラッチ位置からラッチ方向へ回動する。ラッチ12がラッチ方向へ回動すると、ストライカ5の第1脚部51がラッチ12の噛合溝123に噛合すると共に、ラッチ12における第1アーム部121の先端部が第1ラチェット9の下縁部94に接近する。
【0052】
さらに、ストライカ5の第1脚部51が噛合溝123に噛合したままラッチ12がラッチ方向へ回動すると、図8に示すように、ラッチ12の第1アーム部121の先端部が第1ラチェット9の下縁部94に接触する。これにより、ラッチ12のラッチ方向への回動に伴って、第1アーム部121の先端部が第1ラチェット9の下縁部94に摺接しつつ回動し、第1ラチェット9を待機位置に保持する。なお、この状態においては、第2ラチェット10は待機位置に保持されている。
【0053】
ストライカ5の第1脚部51及び第2脚部52がベースプレート7のストライカ進入溝71に進入する場合には、リアシート2の取付位置誤差、シートバック3Bの可動部分のガタ付き等によって、ベースプレート7のストライカ進入溝71に対するストライカ7の進入位置が基準位置から上下方向にずれたとしても、ずれが予め定めた許容範囲内であれば、ストライカ進入溝71に対するストライカ5の第1脚部51及び第2脚部52の進入を許容する。これにより、ロック機構4とストライカ5との互いの取り付け位置関係が上下方向に互いに若干ずれが生じたとしても、ラッチ12の噛合溝123に対して、ストライカ5の第1脚部51を確実に噛合させることができる。また、ストライカ5の第2脚部52は、ストライカ進入溝71に若干進入するものの、ラッチ12の被押部127に対して接触していない。
【0054】
さらに、ラッチ12がラッチ方向へ回動すると、図9に示すように、第2ラチェット10のフック部101がラッチ12の外周部126aから外れると共に、ラッチ12の第1アーム部121の先端部が第1ラチェット9の下縁部94から外れる。これにより、第1ラチェット9及び第2ラチェット10は、それぞれのスプリング13、15の付勢力により、それぞれの係合位置に回動可能となり、ラッチ12の第1アーム部121がフック部101に当接する。これにより、ラッチ12は、第1ラッチ位置に停止して、これ以上のラッチ方向への回動が阻止される。
【0055】
ラッチ12が第1ラッチ位置に停止させられると、図10に示すように、第1ラチェット9はスプリング13の付勢力により係合位置に回動し、第2ラチェット10はスプリング15の付勢力により係合位置に回動する。これにより、ラッチ12の第1アーム部121が第1ラチェット9及び第2ラチェット10により形成される拘束部103に係合することにより、ラッチ12の第1ラッチ位置からラッチ方向及びアンラッチ方向への回動が阻止される。これにより、ラッチ12は第1ラッチ位置に拘束される。また、ストライカ5は、図10に示す第1位置に拘束される。
【0056】
ラッチ12が第1ラッチ位置及びストライカ5が第1位置にそれぞれ拘束された状態においては、図10に示すように、噛合溝123がストライカ進入溝71に重なって直交する方向で真上を向いている。これにより、ロック機構4とストライカ5との互いの取り付け位置関係が上下方向に互いに若干ずれが生じたとしても、ストライカ5の第1脚部51がラッチ12の噛合溝123内を上下方向へ相対移動可能であるので、上下方向のずれを吸収して、ラッチ12の噛合溝123にストライカ5の第1脚部51を確実に噛合させることができる。また、ストライカ5の第2脚部52は、ストライカ進入溝71に若干進入するものの、ラッチ12の被押部127に対して接触していない。
【0057】
第1ラチェット9が係合位置に回動する際の作動について、詳細に説明すると、第1ラチェット9が係合位置に達する前に、先ず、カム部92がラッチ12の第1アーム部121に当接することで、スプリング13の付勢力による第1ラチェット9の係合方向への回動力により、ラッチ12を第1ラッチ位置に向けて強制回動させることで、ラッチ12を確実に第1ラッチ位置に回動させる。その後に、第1ラチェット9の係合部91がラッチ12の第1アーム部121に係合する。これにより、第1ラチェット9の係合部91をラッチ12の第1アーム部121に確実に係合させることができる。よって、ラッチ12は、第1ラッチ位置に確実に拘束され、シートバック3Bを第1位置にがた付きなく確実に保持できる。
【0058】
シートバック3Bが第1位置に保持された状態で、シートバック3Bに対して後から前方へ向けて大きな負荷が加わった場合には、ラッチ12の第1アーム部121がカム部92に係合していることに起因して、第1ラチェット9が解除方向へ強制的に解除作動させられる虞があるが、仮にこの状態になっても、第1アーム部121が第2ラチェット10に設けた段部105に当接することで、ラッチ12のアンラッチ方向への回動を阻止して、ラッチ12を第1ラッチ位置に確実に拘束できる。
【0059】
(シートバック3Bを第1位置から第2位置に移動させる場合)
シートバック3Bが第1位置に保持されている場合には、図10に示すように、ラッチ12は、第1ラッチ位置に拘束され、ストライカ5は、第1位置に拘束され、第1ラチェット9及び第2ラチェット10は、それぞれ係合位置に保持されている。
【0060】
ユーザにより操作部材6が解除操作されると、図11に示すように、第1ラチェット9は、係合位置から解除作動し、これに連動して第2ラチェット10も係合位置から解除作動する。これにより、第1ラチェット9の係合部91がラッチ12の第1アーム部121から外れると共に、第2ラチェット10のフック部101がラッチ12の第1アーム部121から外れることで、ラッチ12の第1ラッチ位置からラッチ方向及びアンラッチ方向への回動が可能となる。
【0061】
次いで、操作部材6を操作したままシートバック3Bを後方へ押し込む。これにより、図12に示すように、ストライカ5の第1脚部51が噛合溝123に噛合した状態でストライカ進入溝71内を奥部に向けて進入移動すると共に、ラッチ12が第1ラッチ位置からラッチ方向へ回動し、被押部127がストライカ進入溝71に進入する。
【0062】
さらに、第1脚部51の進入移動で、ラッチ12がラッチ方向へさらに回動すると、図13に示すように、ラッチ12の噛合溝123が前斜め上方を向く姿勢となって、ストライカ5の第1脚部51が噛合溝123から抜け出るのと略同時に、ラッチ12の第3アーム部124が前向き姿勢でストライカ進入溝71に重なると共に、第2脚部52がラッチ12の被押部127に当接する。これにより、ラッチ12は、被押部127が第2脚部52の進入移動により前方へ押されることでラッチ方向へ回動する。
【0063】
さらに、ストライカ5の第2脚部52がストライカ進入溝71内を進入移動すると、図14に示すように、ラッチ12は、第2ラッチ位置の手前位置まで回動し、第1脚部51は、ラッチ12の噛合溝123から完全に抜け出る。
【0064】
図14に示すように、ラッチ12が第2ラッチ位置の手前位置まで回動すると、第1ラチェット9のカム部92がラッチ12における第2アーム部122の第2アンラッチ側当接部122aに当接することで、ラッチ12は、第1ラチェット9に作用するスプリング13の付勢力により、第2ラッチ位置の手前位置から第2ラッチ位置まで強制回動させられて、図15に示すように、第3アーム部124の先端部125が第1脚部51に当接することで第2ラッチ位置に停止する。
【0065】
ラッチ12が第2ラッチ位置に停止すると、第1脚部51は、ラッチ12の噛合溝123から完全に抜け出ると共に、ストッパ18とラッチ12における第3アーム部124の先端部125との間に挟持される。そして、第2ラチェット10は、スプリング15の付勢力により係合位置に回動し、第1ラチェット9は、スプリング13の付勢力により係合位置に回動する。これにより、ラッチ12の第2アーム部122は、第1ラチェット9及び第2ラチェット10により形成される拘束部103に係合することで、ラッチ12のアンラッチ方向及びラッチ方向への回動が阻止される。これにより、ストライカ5は図15に示す第2位置に拘束され、シートバック3Bは第2位置に保持される。
【0066】
また、ラッチ12が第2ラッチ位置に拘束され、ストライカ5が第2位置に拘束された状態においては、ストライカ5の第1脚部51がラッチ12における第3アーム部124の先端部125と弾性体で形成されるストッパ18との間に挟持されるため、第1脚部51をストライカ進入溝71内にがた付きなく確実に拘束される。
【0067】
シートバック3Bが第2位置に保持された状態で、シートバック3Bに対して後から前方へ向けて大きな負荷が加わった場合には、ラッチ12の第2アーム部122がカム部92に係合していることに起因して、第1ラチェット9が解除方向へ強制的に解除作動させられる虞があるが、仮にこの状態になっても、第2アーム部122が第2ラチェット10に設けた段部105に当接することで、ラッチ12のアンラッチ方向への回動を阻止して、ラッチ12を第2ラッチ位置に確実に拘束できる。
【0068】
上述のように、本実施形態においては、単一のラッチ12によりストライカ5を第1位置及び第2位置に拘束可能であるため、従来技術に比して、構成部品を削減して、構成の簡素化を図ることができる。
【0069】
(シートバック3Bを第2位置(又は第1位置)から倒伏位置に移動させる場合)
シートバック3Bが第2位置(又は第1位置)に保持されている場合には、車両用シートロック装置1は、図15(又は図10)に示すような状態にある。この状態において、操作部材6が操作されると、図16(又は図11に示すように、第1ラチェット9及び第2ラチェット10が解除作動し、ラッチ12のアンラッチ方向への回動を許可する。
【0070】
シートバック3Bを第2位置から前方へ移動させると、図17に示すように、ストライカ5の第1脚部51及び第2脚部52のストライカ進入溝71からの退出移動により、ラッチ12は第2ラッチ位置からアンラッチ位置に回動する。これにより、シートバック3Bを第2位置から倒伏位置に移動させることができる。また、シートバック3Bを第1起立位置から前方へ移動させた場合には、図示は省略するが、ストライカ5の第1脚部51のストライカ進入溝71からの退出移動により、ラッチ12が第1ラッチ位置からアンラッチ位置に回動する。これにより、シートバック3Bを第1位置から倒伏位置に移動させることができる。
【0071】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、上記実施形態に対して、次のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
【0072】
(a)ロック機構4を車体側に取り付け、ストライカ5をシートバック3B側に設ける。
【0073】
(b)ラチェットを、第1ラチェット9と第2ラチェット10とを一体形成したものとする。
【符号の説明】
【0074】
1 車両用シートロック装置 2 リアシート
3A シートクッション 3B シートバック
31B シートフレーム 32B ボルト
4 ロック機構 5 ストライカ
51 第1脚部 52 第2脚部
6 操作部材 7 ベースプレート
71 ストライカ進入溝 8 ラチェット軸
8a 鍔部 9 第1ラチェット
91 係合部 92 カム部
93 突起部 94 下縁部
10 第2ラチェット 101 フック部
102 アーム部 103 拘束部
104 インジケータ接続部 105 段部
11 ラッチ軸 11a 鍔部
12 ラッチ 121 第1アーム部
121a 第1アンラッチ側当接部 121b 第1ラッチ側当接部
122 第2アーム部 122a 第2アンラッチ側当接部
122b 第2ラッチ側当接部 123 噛合溝
124 第3アーム部 125 先端部
126 第4アーム部 126a 外周部
127 被押部 13 スプリング
14 操作力伝達部材 15 スプリング
16 支持部 16a 鍔部
17 スプリング 18 ストッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17