IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-制御装置及び制御装置の製造方法 図1
  • 特開-制御装置及び制御装置の製造方法 図2
  • 特開-制御装置及び制御装置の製造方法 図3
  • 特開-制御装置及び制御装置の製造方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189585
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】制御装置及び制御装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20221215BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
B60R16/02 660K
H02G3/16
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098244
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 隼人
(72)【発明者】
【氏名】奥田 定治
【テーマコード(参考)】
5G361
【Fターム(参考)】
5G361BA01
5G361BB01
(57)【要約】
【課題】基板を共通化することができ、コストダウンを図ることができる制御装置及び制御装置の製造方法を提供する。
【解決手段】ゾーンECU3は、電装機器4、5を制御する。ベース基板7には、標準電装機器4用の入力回路72及び出力回路71と、入力回路72及び出力回路71を制御する制御回路73と、が搭載される。幹線用基板6には、セントラルECU2と通信を大なうための通信ラインL1及び電源を供給するための正極線L2+、負極線L2-が接続されるコネクタ61と、正極線L2+、負極線L2-から供給される電源からベース基板7を動作させるための電源を生成する電源回路62と、が搭載されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電装機器を制御する制御装置であって、
標準電装機器用の入力回路及び出力回路の少なくとも1つである第1入力/出力回路と、前記第1入力/出力回路を制御する制御回路と、が搭載された標準基板と、
電源を供給するための電源線が接続される接続部と、前記電源線から供給される電源から前記標準基板を動作させるための電源を生成する電源回路と、が搭載された電源基板と、を備えた
制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置において、
前記接続部には、上位制御装置との通信線が接続され、
前記制御回路は、前記電源基板を介して前記上位制御装置と通信可能に接続され、前記上位制御装置との通信に応じて前記第1入力/出力回路を制御する、
制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の制御装置において、
拡張電装機器用の入力回路及び出力回路の少なくとも1つである第2入力/出力回路が搭載された拡張基板をさらに備え、
前記制御回路は、前記第2入力/出力回路を制御し、
前記拡張基板は、前記標準基板を介して前記電源回路から電源供給される、
制御装置。
【請求項4】
電装機器を制御する制御装置の製造方法であって、
標準電装機器用の入力回路及び出力回路の少なくとも1つである第1入力/出力回路と、前記第1入力/出力回路を制御する制御回路と、が搭載された標準基板と、
電源を供給するための電源線が接続される接続部と、前記電源線から供給される電源から前記標準基板を動作させるための電源を生成する電源回路と、が搭載された電源基板と、を用意すると共に、
前記電源回路が異なる前記電源基板を複数種類用意し、
前記標準電装機器及び前記電源線から供給される電源に応じて、複数種類の前記電源基板の1つを選択し、選択した前記電源基板と前記標準基板とを接続する、
制御装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置及び制御装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セントラルECUと、車両の各エリアに配置されたゾーンECUと、の通信によって、ゾーンECUがセントラルECUの指示に従ってエリア内の電装機器を制御することが検討されている。
【0003】
ところで、車両には様々な仕様がある。例えば、ローグレード仕様の車両には、標準電装機器のみ搭載される。ハイグレード仕様の車両には、標準電装機器に加えて拡張電装機器が搭載される。このため、従来の通信システムでは、車両の仕様毎にゾーンECUを設計し、用意する必要があり、コスト的に問題があった。
【0004】
そこで、特許文献1、2の技術を上記ゾーンECUに適用することが考えられる。特許文献1には、標準電装機器を制御する標準制御回路及び拡張電装機器を制御する拡張制御回路を有するジャンクションボックスに、標準電装機器に接続された標準ハーネスの一端を接続するための標準コネクタ部と、拡張電装機器に接続された拡張ハーネスの一端を接続するための拡張コネクタ部と、を設けることが記載されている。特許文献1の技術では、標準ハーネスを仕様に関係なく共通化して、コストダウンを図っている。
【0005】
また、特許文献2には、ローグレード車用の電子制御ユニットに、サブハーネスを接続して、サブハーネスを、多重通信可能な機能内蔵コネクタにコネクタ接続することも考えられている。特許文献2の技術では、電子制御ユニットと標準電装機器とを接続するベースハーネスを仕様に関係なく共通化して、コストダウンを図っている。
【0006】
また、近年、CASE(Connected,Autonomous,Shared&Services,Electric)やMaas(Mobility as a Service)の対応のため、車両に搭載される電装機器の種類の増大に伴い車両に搭載されるバッテリの種類も増大している。一例を挙げて説明すると、48Vバッテリと12Vバッテリ両方搭載されている車両もあれば、12Vバッテリのみ搭載される車両もある。よって、ゾーンECUに設けられた電源回路も仕様によって様々な種類があり、ハーネスを共通化するだけでは十分にコストダウンを図れない、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-15809号公報
【特許文献2】特開2011-76972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板を共通化することができ、コストダウンを図ることができる制御装置及び制御装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明に係る制御装置及び制御装置の製造方法は、下記[1]~[4]を特徴としている。
[1]
電装機器を制御する制御装置であって、
標準電装機器用の入力回路及び出力回路の少なくとも1つである第1入力/出力回路と、前記第1入力/出力回路を制御する制御回路と、が搭載された標準基板と、
電源を供給するための電源線が接続される接続部と、前記電源線から供給される電源から前記標準基板を動作させるための電源を生成する電源回路と、が搭載された電源基板と、を備えた
制御装置であること。
[2]
[1]に記載の制御装置において、
前記接続部には、上位制御装置との通信線が接続され、
前記制御回路は、前記電源基板を介して前記上位制御装置と通信可能に接続され、前記上位制御装置との通信に応じて前記第1入力/出力回路を制御する、
制御装置であること。
[3]
[1]又は[2]に記載の制御装置において、
拡張電装機器用の入力回路及び出力回路の少なくとも1つである第2入力/出力回路が搭載された拡張基板をさらに備え、
前記制御回路は、前記第2入力/出力回路を制御し、
前記拡張基板は、前記標準基板を介して前記電源回路から電源供給される、
制御装置であること。
[4]
電装機器を制御する制御装置の製造方法であって、
標準電装機器用の入力回路及び出力回路の少なくとも1つである第1入力/出力回路と、前記第1入力/出力回路を制御する制御回路と、が搭載された標準基板と、
電源を供給するための電源線が接続される接続部と、前記電源線から供給される電源から前記標準基板を動作させるための電源を生成する電源回路と、が搭載された電源基板と、を用意すると共に、
前記電源回路が異なる前記電源基板を複数種類用意し、
前記標準電装機器及び前記電源線から供給される電源に応じて、複数種類の前記電源基板の1つを選択し、選択した前記電源基板と前記標準基板とを接続する、
制御装置の製造方法であること。
【0010】
上記[1]の構成の制御装置によれば、車両の仕様に合わせた電源基板、標準基板を選択して接続することができる。これにより、複数の仕様で電源基板又は標準基板を共通化することができるため、コストダウンを図ることができる。
上記[2]の構成の制御装置によれば、上位制御装置との通信によって制御回路が、標準電装機器を制御することができる。
上記[3]の構成の制御装置によれば、車両の仕様に合わせた拡張基板を選択して接続することができる。これにより、複数の仕様で電源基板、標準基板又は拡張基板を共通化することができるため、コストダウンを図ることができる。
上記[4]の構成の制御装置の製造方法によれば、車両の仕様に合わせた電源基板を標準基板に接続することができる。これにより、複数の仕様で電源基板又は標準基板を共通化することができるため、コストダウンを図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の仕様で基板を共通化することができ、コストダウンを図ることができる制御装置及び制御装置の製造方法を提供することができる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の制御装置としてのゾーンECUを組み込んだ通信システムを示すブロック図である。
図2図2は、ハイグレード車両用の図1に示すゾーンECUを示す構成図である。
図3図3は、ローグレード車両用の図1に示すゾーンECUを示す構成図である。
図4図4は、図2に示すゾーンECUの詳細な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0015】
図1は、本発明の制御装置としてのゾーンECU3を組み込んだ通信システム1を示すブロック図である。本実施形態の通信システム1は、車両に搭載されている。通信システム1は、セントラルECU(上位制御装置)2と、ゾーンECU(制御装置)3と、を備えている。
【0016】
セントラルECU2は、CPUを有するマイクロコンピュータから構成され、例えば車両のインストルメントパネルに設けられている。セントラルECU2は、通信システム1全体を制御する。
【0017】
ゾーンECU3は、左右ドアなど車両の各エリアに設けられている。ゾーンECU3は、セントラルECU2と通信を行い、セントラルECU2の指示に従ってエリア内に配置された標準電装機器4、拡張電装機器5を制御する。標準電装機器4とは、ハイグレード車両、ローグレード車両に共通して取り付けられる電装機器(例えばエアコン・ユニットやパワーウインドウ・ユニットなど)である。なお、標準電装機器4は、取付対象車両の仕様毎に異なっていてもよい。拡張電装機器5とは、取付対象車両の仕様に応じて選択的に取り付けられる電装機器である。拡張電装機器5は、車両の出荷時に取り付けられてもよいし、出荷後に後付けされてもよい。
【0018】
次に、ゾーンECU3の構成について図2及び図3を参照して説明する。図2は、拡張電装機器5が搭載されたハイグレード車両用のゾーンECU3を示す。図3は、拡張電装機器5が搭載されていないローグレード車両用のゾーンECU3を示す。ハイグレード車両用のゾーンECU3は、図2に示すように、幹線用基板6(電源基板)と、標準電装機器4を動作させるためのベース基板7(標準基板)と、拡張電装機器5を動作させるための拡張基板8と、幹線用基板6及びベース基板7を接続する接続部9と、ベース基板7及び拡張基板8を接続する接続部10と、を備えている。上述した幹線用基板6、ベース基板7及び拡張基板8は、それぞれ別体の基板から構成されている。ローグレード車両用のゾーンECU3は、図3に示すように、幹線用基板6と、ベース基板7と、を備え、拡張基板8は備えていない。
【0019】
まず、幹線用基板6について説明する。幹線用基板6には、図4に示すように、セントラルECU2に接続された幹線Lに接続するためのコネクタ61(接続部)と、電源回路62と、が搭載されている。幹線Lは、セントラルECU2と、ゾーンECU3と、の間に接続される。幹線Lは、セントラルECU2との通信を行う通信線L1と、電源を供給するための正極線L2+、負極線L2-(電源線)と、を有する。正極線L2+からは、電源の正極側電位が供給され、負極線からL2-は、電源の負極電位(グランド)が供給される。
【0020】
電源回路62は、正極線L2+、L2-から供給される電源から後述するベース基板7や拡張基板8を動作させるための電源を生成する回路である。車両の仕様によっては、車両に48Vバッテリが搭載され、正極線L2+、負極線L2-から48Vが供給されたり、12Vバッテリが搭載され、正極線L2+、負極線L2-から12Vが供給されたり、する場合がある。また、電装機器4、5としても、その必要電圧が48Vのものもあれば、12Vのものもある。本実施形態の幹線用基板6は、このような車両の仕様に合わせて電源回路62が異なる複数種類が用意されている。以下、本実施形態では、幹線用基板6は、電源回路62の異なる2種類が用意されている場合について説明するが、幹線用基板6としては、3種類以上用意されていてもよい。
【0021】
本実施形態では、電源回路62としては、定電圧回路のみから構成されるものと、定電圧回路及びDC/DCコンバータから構成されるものと、の2種類が用意されている。定電圧回路は、例えばツェナーダイオードから構成される周知の定電圧回路であり、正極線L2+、負極線L2-から供給される電圧から後述する制御回路73に供給する5Vを生成することができる。DC/DCコンバータは、正極線L2+、負極線L2-から供給される48Vを12Vに降圧する。
【0022】
48Vバッテリが搭載され、ゾーンECU3に接続される電装機器4、5の必要電圧が12Vであった場合、定電圧回路及びDC/DCコンバータが設けられた電源回路62を有する幹線用基板6が選択され、後述するベース基板7に接続される。一方、ゾーンECU3に接続される電装機器4、5の必要電圧が正極線L2+、負極線L2-から供給される電源電圧と同じであった場合、定電圧回路のみが設けられた幹線用基板6が選択され、後述するベース基板7に接続される。
【0023】
次いで、ベース基板7について説明する。ベース基板7は、標準電装機器4用の出力回路71及び入力回路72(第1入力/出力回路)と、セントラルECU2との通信に応じて出力回路71及び入力回路72を制御する制御回路73と、標準電装機器4、拡張電装機器5に接続するためのコネクタ74と、が搭載されている。出力回路71は、モータやランプなど制御回路73からの出力により動作する標準電装機器4に対して設けられる。出力回路71には、正極線L2+、負極線L2-から供給される電源、電源回路62に設けられたDC/DCコンバータが生成した電源の何れかが供給され、出力回路71は、制御回路73の制御に従って供給された電源を標準電装機器4に供給する。
【0024】
入力回路72は、検出スイッチなど制御回路73にオンオフ情報などを入力する標準電装機器4に対して設けられ、幹線用基板6から供給される電源からオンオフ情報などを生成して制御回路73に入力する。図4に示す例では、ベース基板7には、出力回路71及び入力回路72の双方が搭載されているが、ゾーンECU3に接続される標準電装機器4によっては出力回路71及び入力回路72の少なくとも一方が搭載されていればよい。
【0025】
制御回路73は、CPUを有するマイクロコンピュータから構成され、幹線用基板6を介して通信線L1に接続され、セントラルECU2と通信可能に設けられている。また、制御回路73には、電源回路62が生成された5V電源が供給され、この5V電源により動作する。
【0026】
コネクタ74は、標準電装機器4から引き出された電線の端末に接続される。このコネクタ74を介してベース基板7の出力回路71及び入力回路72と、標準電装機器4と、が接続される。
【0027】
本実施形態のベース基板7は、車両の仕様に合わせて複数種類用意されている。例えば、出力回路71のみが搭載されベース基板7、入力回路72のみが搭載されたベース基板7、出力回路71や入力回路72に加え、標準電装機器4と通信を行うための通信回路が搭載されたベース基板7などの複数種類が考えられる。
【0028】
次いで、拡張基板8について説明する。拡張基板8は、拡張電装機器5用の出力回路81及び入力回路82(第2入力/出力回路)が搭載されている。出力回路81は、出力回路71と同様に、モータやランプなど制御回路73からの出力により動作する標準電装機器4に対して設けられる。出力回路81には、正極線L2+、負極線L2-から供給される電源、電源回路62に設けられたDC/DCコンバータが生成した電源の何れかがベース基板7を介して供給され、出力回路81は、制御回路73の制御に従って供給された電源を拡張電装機器5に供給する。
【0029】
入力回路82は、入力回路72と同様に、検出スイッチなど制御回路73にオンオフ情報などを入力する拡張電装機器5に対して設けられ、幹線用基板6から供給される電源からオンオフ情報などを生成して制御回路73に入力する。図4に示す例では、拡張基板8には、出力回路81及び入力回路82の双方が搭載されているが、ゾーンECU3に接続される拡張電装機器5によっては出力回路81及び入力回路82の少なくとも一方が搭載されていればよい。
【0030】
上述した出力回路81、入力回路82は、後述する接続部10、ベース基板7に搭載されたコネクタ74を介して拡張電装機器5に接続されている。
【0031】
本実施形態の拡張基板8は、車両の仕様に合わせて複数種類用意されている。例えば、出力回路81のみが搭載され拡張基板8、入力回路82のみが搭載された拡張基板8、出力回路81や入力回路82に加え、拡張電装機器5と通信を行うための通信回路が搭載された拡張基板8などの複数種類が考えられる。
【0032】
接続部9は、幹線用基板6及びベース基板7を接続する。接続部10は、ベース基板7及び拡張基板8を接続する。これら接続部9、10としては、ピンヘッダを用いてもよいし、コネクタを用いてもよい。
【0033】
次に、上述したゾーンECU3の組付け方法について説明する。上述したように幹線用基板6、ベース基板7、拡張基板8を複数種類用意する。まず、ゾーンECU3に標準電装機器4のみが接続されている場合について説明する。標準電装機器4の必要電圧、正極線L2+、負極線L2-により供給される電源電圧に応じて、複数種類の幹線用基板6の一つを選択する。また、ゾーンECU3に接続される標準電装機器4に応じて、複数のベース基板7の一つを選択する。そして、選択した幹線用基板6と、ベース基板7と、を接続して、ゾーンECU3を完成する。
【0034】
次に、ゾーンECU3に標準電装機器4及び拡張電装機器5が接続されている場合について説明する。標準電装機器4の必要電圧、正極線L2+、負極線L2-により供給される電源電圧に応じて、2種類の幹線用基板6の一つを選択する。また、ゾーンECU3に接続される標準電装機器4に応じて、複数のベース基板7の一つを選択する。さらに、ゾーンECU3に接続される拡張電装機器5に応じて、複数の拡張基板8の一つを選択する。そして、選択した幹線用基板6と、ベース基板7と、拡張基板8と、を接続して、ゾーンECU3を完成する。
【0035】
上述した実施形態によれば、車両の仕様に合わせた幹線用基板6、ベース基板7、拡張基板8を選択して接続することができる。これにより、複数の仕様で幹線用基板6、ベース基板7、拡張基板8を共通化することができるため、コストダウンを図ることができる。
【0036】
具体的な例を挙げて説明する。今、幹線用基板6A,6Bの2種類用意され、ベース基板7A,7Bの2種類が用意され、拡張基板8A,8Bの2種類が用意されている場合、下記に示すように最大仕様S1~S12に合わせたゾーンECU3を基板6~8により構成することができる。
仕様S1:幹線用基板6A+ベース基板7A
仕様S2:幹線用基板6A+ベース基板7B
仕様S3:幹線用基板6B+ベース基板7A
仕様S4:幹線用基板6B+ベース基板7B
仕様S5~S8:仕様S1~S4の幹線用基板6+ベース基板7+拡張基板8A
仕様S9~S12:仕様S1~S4の幹線用基板6+ベース基板7+拡張基板8B
【0037】
この場合、仕様S1、S2などで幹線用基板6Aを共通化することができ、仕様S3、S4などで幹線用基板6Bを共通化することができる。仕様S1、S3などでベース基板7Aを共通化することができ、仕様S2、S4などでベース基板7Bを共通化することができる。また、仕様S5~S8で拡張基板8Aを共通化することができ、仕様S9~S12で拡張基板8Bを共通化することができる。
【0038】
このように基板6~8を複数の仕様で共通化することにより、マスボリュームによるゾーンECU3の低コスト化を図ることができる。また、ゾーンECU3を構成する部品(基板6~8含む)の品番数を削減することができ、管理費を削減することができる。また、ゾーンECU3の回路変更にも基板6~8を選択するだけで対応できる場合もあり、開発工数の削減できる。
【0039】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0040】
上述した実施形態によれば、ベース基板7も拡張基板8を複数種類用意していたが、これに限ったものではない。ベース基板7、拡張基板8については1種類だけ用意するようにしてもよい。
【0041】
上述した実施形態によれば、制御回路73は、セントラルECU2との通信に応じて電装機器4、5を制御していたが、これに限ったものではない。制御回路73が単独で、電装機器4、5を制御するシステムにも適用することができる。
【0042】
上述した実施形態によれば、ベース基板7に搭載されたコネクタ74に拡張電装機器5を接続していたが、これに限ったものではない。拡張基板8に搭載されたコネクタに拡張電装機器5を接続するようにしてもよい。
【0043】
ここで、上述した本発明に係る制御装置及び制御装置の製造方法の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
電装機器(4、5)を制御する制御装置(3)であって、
標準電装機器(4)用の入力回路(72)及び出力回路(71)の少なくとも1つである第1入力/出力回路(71、72)と、前記第1入力/出力回路(71、72)を制御する制御回路(73)と、が搭載された標準基板(7)と、
電源を供給するための電源線(L2+、L2-)が接続される接続部(61)と、前記電源線(L2+、L2-)から供給される電源から前記標準基板(7)を動作させるための電源を生成する電源回路(62)と、が搭載された電源基板(6)と、を備えた
制御装置(3)。
[2]
[1]に記載の制御装置(3)において、
前記接続部(61)には、上位制御装置(2)との通信線(L1)が接続され、
前記制御回路(73)は、前記電源基板(6)を介して前記上位制御装置(2)と通信可能に接続され、前記上位制御装置(2)との通信に応じて前記第1入力/出力回路(71、72)を制御する、
制御装置(3)。
[3]
[1]又は[2]に記載の制御装置(3)において、
拡張電装機器(5)用の入力回路(82)及び出力回路(81)の少なくとも1つである第2入力/出力回路(81、82)が搭載された拡張基板(8)をさらに備え、
前記制御回路(73)は、前記第2入力/出力回路(81、82)を制御し、
前記拡張基板(8)は、前記標準基板(7)を介して前記電源回路(62)から電源供給される、
制御装置(3)。
[4]
電装機器(4、5)を制御する制御装置(3)の製造方法であって、
標準電装機器(4)用の入力回路(72)及び出力回路(71)の少なくとも1つである第1入力/出力回路(71、72)と、前記第1入力/出力回路(71、72)を制御する制御回路(73)と、が搭載された標準基板(7)と、
電源を供給するための電源線(L2+、L2-)が接続される接続部(61)と、前記電源線(L2+、L2-)から供給される電源から前記標準基板(7)を動作させるための電源を生成する電源回路(62)と、が搭載された電源基板(6)と、を用意すると共に、
前記電源回路(62)が異なる前記電源基板(6)を複数種類用意し、
前記標準電装機器(4)及び前記電源線(L2+、L2-)から供給される電源に応じて、複数種類の前記電源基板(6)の1つを選択し、選択した前記電源基板(6)と前記標準基板(7)とを接続する、
制御装置(3)の製造方法。
【符号の説明】
【0044】
2 セントラルECU(上位制御装置)
3 ゾーンECU(制御装置)
4 標準電装機器(電装機器)
5 拡張電装機器(電装機器)
6 幹線用基板(電源基板)
7 ベース基板(標準基板)
61 コネクタ(接続部)
62 電源回路
71 出力回路(第1入力/出力回路)
72 入力回路(第1入力/出力回路)
81 出力回路(第2入力/出力回路)
82 入力回路(第2入力/出力回路)
73 制御回路
L1 通信線
L2+ 正極線(電源線)
L2- 負極線(電源線)
図1
図2
図3
図4