IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オリンピアの特許一覧

<>
  • 特開-遊技機 図1
  • 特開-遊技機 図2
  • 特開-遊技機 図3
  • 特開-遊技機 図4
  • 特開-遊技機 図5
  • 特開-遊技機 図6
  • 特開-遊技機 図7
  • 特開-遊技機 図8
  • 特開-遊技機 図9
  • 特開-遊技機 図10
  • 特開-遊技機 図11
  • 特開-遊技機 図12
  • 特開-遊技機 図13
  • 特開-遊技機 図14
  • 特開-遊技機 図15
  • 特開-遊技機 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189590
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
A63F5/04 605D
A63F5/04 613A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098250
(22)【出願日】2021-06-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 純一
(72)【発明者】
【氏名】杉山 純也
(72)【発明者】
【氏名】久保田 智裕
【テーマコード(参考)】
2C182
【Fターム(参考)】
2C182CA01
2C182CC21
2C182CE11
(57)【要約】
【課題】遊技者のストレスを低減する。
【解決手段】遊技機は、遊技価値を付与する場合、クレジットが上限量となるまで、クレジットに遊技価値を付与し、クレジットが上限量となった場合、払出装置から遊技価値を払い出させ、クレジットに遊技価値を付与するときには、モータの励磁の開放を待たずに遊技価値を付与し、払出装置から遊技価値を払い出させるときには、モータの励磁の開放を待つ励磁開放待ち処理を実行した後に、払出装置から遊技価値を払い出させ、払出装置による遊技価値の払い出しが終了する前に所定の事象が発生した場合、払出装置の作動を停止させ、払出装置の作動停止後に所定条件を満たせば、励磁開放待ち処理を行うことなく、払出装置を再度作動させる。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の図柄がそれぞれ配列された複数のリールと、
前記リールを回転させるためのモータと、
当選役の当否を決定する当選役抽選手段と、
複数の前記リールの回転を開始し、所定のストップスイッチの操作に応じ、操作された前記ストップスイッチに対応するリールに対応する前記モータを励磁させて前記リールを停止させ、励磁させてから所定時間が経過したときに励磁を開放するリール制御手段と、
前記当選役の入賞を判定する判定手段と、
入賞した前記当選役に対応する価値量の遊技価値を付与する遊技価値付与手段と、
を備え、
前記遊技価値付与手段は、
前記遊技価値を付与する場合、クレジットが上限量となるまで、前記クレジットに遊技価値を付与し、前記クレジットが上限量となった場合、払出装置から前記遊技価値を払い出させ、
前記クレジットに遊技価値を付与するときには、前記モータの励磁の開放を待たずに前記遊技価値を付与し、前記払出装置から前記遊技価値を払い出させるときには、前記モータの励磁の開放を待つ励磁開放待ち処理を実行した後に、前記払出装置から前記遊技価値を払い出させ、
前記払出装置による前記遊技価値の払い出しが終了する前に所定の事象が発生した場合、前記払出装置の作動を停止させ、
前記払出装置の作動停止後に所定条件を満たせば、前記励磁開放待ち処理を行うことなく、前記払出装置を再度作動させる遊技機。
【請求項2】
複数種類の図柄がそれぞれ配列された複数のリールと、
前記リールを回転させるためのモータと、
当選役の当否を決定する当選役抽選手段と、
複数の前記リールの回転を開始し、所定のストップスイッチの操作に応じ、操作された前記ストップスイッチに対応するリールに対応する前記モータを励磁させて前記リールを停止させ、励磁させてから所定時間が経過したときに励磁を開放するリール制御手段と、
前記当選役の入賞を判定する判定手段と、
入賞した前記当選役に対応する価値量の遊技価値を付与する遊技価値付与手段と、
を備え、
前記遊技価値付与手段は、
前記遊技価値を付与する場合、クレジットが上限量となるまで、前記クレジットに遊技価値を付与し、前記クレジットが上限量となった場合、払出装置から前記遊技価値を払い出させ、
前記クレジットに遊技価値を付与するときには、前記モータの励磁の開放を待たずに前記遊技価値を付与し、前記クレジットに遊技価値を付与した後に前記払出装置から前記遊技価値を払い出させるときには、前記クレジットに付与した価値量に拘わらず、前記モータの励磁の開放を待つ励磁開放待ち処理を実行した後に、前記払出装置から前記遊技価値を払い出させ、
前記払出装置による前記遊技価値の払い出しが終了する前に所定の事象が発生した場合、前記払出装置の作動を停止させ、
前記払出装置の作動停止後に所定条件を満たせば、前記励磁開放待ち処理を行うことなく、前記払出装置を再度作動させる遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者に遊技上の利益を付与するか否かを抽選により決定する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機としてのスロットマシンでは、遊技者によるメダル(遊技媒体)のベットおよびスタートスイッチの操作に応じて、当選役の抽選を行うとともに、種々の図柄が記された複数のリールが回転する。そして、抽選結果と遊技者によるストップスイッチの操作に応じてリールが順次停止され、払い出しの対象となるライン上である有効ライン上に、当選役に対応する図柄組み合わせが表示されると、所定枚数のメダルが払い出されるなど、遊技上の利益(以下、単に遊技利益という)が遊技者に付与されることとなる。
【0003】
このようなスロットマシンでは、リールを停止させる際に、停止させるリールに対応するモータを励磁させた後、所定時間が経過してから励磁を開放している。そして、メダルをメダル払出装置から排出させる場合、モータの励磁の開放を待って、メダル払出装置を作動させることで、モータが励磁されるタイミングと、メダル払出装置が作動するタイミングとを異ならせ、最大消費電力を抑制するようになされている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-246694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スロットマシンでは、スロットマシンの内部に電気的にメダルが貯留されることがある。そして、メダルが払い出される際に、スロットマシンの内部に電気的にメダルが貯留されるときにまで、モータの励磁の開放を待つと、遊技の進行が遅れ、遊技者にストレスを与えるおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、遊技者のストレスを低減することが可能な遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の遊技機は、複数種類の図柄がそれぞれ配列された複数のリールと、前記リールを回転させるためのモータと、当選役の当否を決定する当選役抽選手段と、複数の前記リールの回転を開始し、所定のストップスイッチの操作に応じ、操作された前記ストップスイッチに対応するリールに対応する前記モータを励磁させて前記リールを停止させ、励磁させてから所定時間が経過したときに励磁を開放するリール制御手段と、前記当選役の入賞を判定する判定手段と、入賞した前記当選役に対応する価値量の遊技価値を付与する遊技価値付与手段と、を備え、前記遊技価値付与手段は、前記遊技価値を付与する場合、クレジットが上限量となるまで、前記クレジットに遊技価値を付与し、前記クレジットが上限量となった場合、払出装置から前記遊技価値を払い出させ、前記クレジットに遊技価値を付与するときには、前記モータの励磁の開放を待たずに前記遊技価値を付与し、前記払出装置から前記遊技価値を払い出させるときには、前記モータの励磁の開放を待つ励磁開放待ち処理を実行した後に、前記払出装置から前記遊技価値を払い出させ、前記払出装置による前記遊技価値の払い出しが終了する前に所定の事象が発生した場合、前記払出装置の作動を停止させ、前記払出装置の作動停止後に所定条件を満たせば、前記励磁開放待ち処理を行うことなく、前記払出装置を再度作動させる。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の他の遊技機は、複数種類の図柄がそれぞれ配列された複数のリールと、前記リールを回転させるためのモータと、当選役の当否を決定する当選役抽選手段と、複数の前記リールの回転を開始し、所定のストップスイッチの操作に応じ、操作された前記ストップスイッチに対応するリールに対応する前記モータを励磁させて前記リールを停止させ、励磁させてから所定時間が経過したときに励磁を開放するリール制御手段と、前記当選役の入賞を判定する判定手段と、入賞した前記当選役に対応する価値量の遊技価値を付与する遊技価値付与手段と、を備え、前記遊技価値付与手段は、前記遊技価値を付与する場合、クレジットが上限量となるまで、前記クレジットに遊技価値を付与し、前記クレジットが上限量となった場合、払出装置から前記遊技価値を払い出させ、前記クレジットに遊技価値を付与するときには、前記モータの励磁の開放を待たずに前記遊技価値を付与し、前記クレジットに遊技価値を付与した後に前記払出装置から前記遊技価値を払い出させるときには、前記クレジットに付与した価値量に拘わらず、前記モータの励磁の開放を待つ励磁開放待ち処理を実行した後に、前記払出装置から前記遊技価値を払い出させ、前記払出装置による前記遊技価値の払い出しが終了する前に所定の事象が発生した場合、前記払出装置の作動を停止させ、前記払出装置の作動停止後に所定条件を満たせば、前記励磁開放待ち処理を行うことなく、前記払出装置を再度作動させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、遊技者のストレスを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】スロットマシンの概略的な機械的構成を説明するための外観図である。
図2】スロットマシンの概略的な機械的構成を説明するための前面扉を開いた状態での外観図である。
図3】リールの図柄配列および有効ラインを説明する図である。
図4】スロットマシンの概略的な電気的構成を示したブロック図である。
図5】当選役を説明するための説明図である。
図6】遊技状態の遷移を説明するための説明図である。
図7】当選役抽選テーブルを示す図である。
図8】主制御基板のメイン処理を示したフローチャートである。
図9】主制御基板の抽選処理を示したフローチャートである。
図10】主制御基板の払出処理を示したフローチャートである。
図11】主制御基板のメダル払出装置制御処理を示したフローチャートである。
図12】主制御基板の励磁開放待ち処理を示したフローチャートである。
図13】メインROMおよびメインRAMのメモリマップを示す説明図である。
図14】メダル払出装置制御処理のプログラムおよびワークエリアを説明するための説明図である。
図15】スロットマシンの概略的な機械的構成を説明するための外観図である。
図16】リール数が4つの場合の励磁開放待ち処理を示したフローチャート、励磁開放待ち処理のプログラムおよびワークエリアを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
本発明の実施形態の理解を容易にするため、まず、遊技者が遊技可能なスロットマシン(遊技機)の機械的構成および電気的構成を簡単に説明し、その後、スロットマシンの各基板における具体的な処理(役構成や遊技状態の遷移)および本実施形態で特徴的な処理を説明し、これらを実現するためのフローチャートを詳述する。
【0013】
(スロットマシン100の機械的構成)
図1および図2の外観図に示すように、スロットマシン100は、略矩形状の箱体である筐体102と、筐体102の前面開口部に対して開閉可能に取り付けられた前面上扉104と、前面上扉104の下方に位置し、前面上扉104同様、筐体102の前面開口部に対して開閉可能に取り付けられた前面下扉106と、前面下扉106の下部に位置し、メダル排出口108aから払い出されたメダルを貯留するための受け皿部108とを備えている。
【0014】
前面下扉106の上部には操作部設置台122が形成され、操作部設置台122には、メダル投入部124、ベットスイッチ126、スタートスイッチ128、ストップスイッチ130等が配設されている。
【0015】
操作部設置台122の右側に位置するメダル投入部124は、メダル投入口(投入口)124aを通じて遊技価値としてのメダルの投入を受け付け、前面下扉106の背面に設けられたメダルセレクタ(図示せず)にメダルを送る。メダルセレクタには、メダルの投入が可能な投入期間外に投入されたメダルや規格外のメダルをメダル排出口108aに導くブロッカー(図示せず)と、投入期間内に投入された規格内のメダルの通過を検出する投入メダル検出部124bとが設けられている。ここで、メダル排出口108aに導かれたメダルは受け皿部108に排出される。遊技者により、1遊技を開始するために必要なメダルのベット枚数である複数の規定枚数のうち、最大規定枚数(例えば3枚)を超えてメダルが投入されると、その最大規定枚数を超えた分のメダルが、所定の上限枚数(上限量、例えば50枚)を上限としてスロットマシン100の内部(メインRAM200c)に電気的に貯留(以下、単にクレジットという)される。なお、クレジットされているメダルの枚数を貯留枚数と呼ぶ。
【0016】
ベットスイッチ126は、クレジットされているメダルのうち最大規定枚数のメダルをベットする、押圧式のボタンスイッチである。最大規定枚数以上のメダルがクレジットされている状態で、ベットスイッチ126を押圧すると、最大規定枚数のメダルがベットされるとともに、貯留枚数が最大規定枚数分だけ減枚される。なお、最大規定枚数未満のメダルがクレジットされている状態で、ベットスイッチ126を押圧すると、貯留枚数のメダルの全てがベットされるとともに、貯留枚数が0枚に減枚される。
【0017】
操作部設置台122の左側に位置するスタートスイッチ128は、傾倒操作を検出可能なレバーで構成され、遊技者による1遊技の開始操作を検出する。また、スタートスイッチ128は、押圧操作を検出可能なボタンスイッチによって構成することも可能である。
【0018】
前面上扉104の下部略中央には、ガラス板や透明樹脂板等で構成された無色透明の図柄表示窓136が設けられ、筐体102内の図柄表示窓136に対応した位置には、リールユニット134が設けられている。リールユニット134には、図3(a)のリールの図柄配列に示すように、20等分された各領域に複数種類の図柄がそれぞれ配列された3つのリール134a、134b、134cが、それぞれ独立して回動可能に設けられ、遊技者は、図柄表示窓136を通じて、リール134a、134b、134cを視認することができる。リールユニット134は、スタートスイッチ128の操作を契機として、リール134a、134b、134cの回転を開始する。
【0019】
操作部設置台122の中央に位置するストップスイッチ130は、リール134a、134b、134cそれぞれに対応して設けられた、遊技者の押圧操作を検出可能なボタンスイッチであり、リール134a、134b、134cそれぞれを停止させようとする遊技者の停止操作を検出する。なお、ストップスイッチ130に係る3つのボタンスイッチを、その位置に応じて左から順にストップスイッチ130a、130b、130cとする。
【0020】
このように、ストップスイッチ130a、130b、130cを通じた停止操作により、リール134a、134b、134cがそれぞれ停止する。ここでは、その停止態様を遊技者が把握できるように、図3(b)のように、有効ラインが設けられている。有効ラインは1本であり、具体的に、図柄表示窓136に臨む9個の図柄(3リール×上中下の3段)のうち、リール134a、134b、134cの中段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインを当選役の入賞を判定するための有効ラインAとして設定している。
【0021】
前面上扉104の上部略中央には、演出に伴う様々な映像を表示する液晶表示部(画像表示部)138が設けられている。また、前面上扉104の上部や左右には、例えば高輝度の発光ダイオード(LED)によって構成される演出用ランプ142が設けられる。
【0022】
また、図2に示すように、前面上扉104の裏面における液晶表示部138の左右位置や前面下扉106の裏面における内面左右位置には、効果音や楽音等による聴覚的な演出を行うスピーカ140が設けられている。さらに、筐体102内におけるリールユニット134の下方には、メダル排出口108aからメダルを払い出すためのメダル払出装置(メダルホッパー)264が設けられている。メダル払出装置264は、メダルを貯留するメダル貯留部264aと、メダル貯留部264aに貯留されたメダルをメダル排出口108aから排出するための払出制御部264bと、メダル排出口108aから排出されるメダルを検出する払出メダル検出部264cとを備えている。
【0023】
また、図1図2では図示していないが、各リール134a、134b、134cの内側には、それぞれに施された図柄のうち、図柄表示窓136に対応する各リール134a、134b、134cの上段、中段、下段の図柄を背面から個々に独立して照射するリールバックライト144(図4参照)が設けられている。また、図柄表示窓136の裏面上部にもリール134a、134b、134c全ての正面を直接照射するリール上方ライト146が設けられている。
【0024】
また、図1に示すように、操作部設置台122において、図柄表示窓136とストップスイッチ130との間に設けられた段部122aの略水平面には、メインクレジット表示部152およびメイン払出表示部154が設けられている。また、図柄表示窓136と操作部設置台122との間には、サブクレジット表示部156およびサブ払出表示部158が設けられている。これらメインクレジット表示部152およびサブクレジット表示部156には内部的に記憶された貯留枚数が表示され、メイン払出表示部154およびサブ払出表示部158にはメダルの払出枚数が表示される。なお、サブクレジット表示部156およびサブ払出表示部158には、演出に伴う様々な数値を表示することもできる。
【0025】
また、筐体102内の任意の位置には、電源スイッチ148が設けられている。電源スイッチ148は、ロッカースイッチ等、押圧操作を検出可能なスイッチで構成され、当該スロットマシン100を管理する管理者側が操作し、電源の切断状態と電源の投入状態の2つの状態を切り換えるために用いられる。
【0026】
(スロットマシン100の電気的構成)
図4は、スロットマシン100の概略的な電気的構成を示したブロック図である。図4に示すように、スロットマシン100は、主として、制御基板によって制御されている。ここでは、制御基板の一例として、制御基板の機能を分担した、主制御基板200と、副制御基板202とを挙げて説明する。例えば、遊技の進行に関わるプログラムのうち、遊技に供する当選役の抽選やその入賞といったような、特に重要な処理を主制御基板200で実行し、それ以外の例えば演出に関する処理を副制御基板202で実行している。また、図4に示したように、主制御基板200と副制御基板202との間の電気的な信号の伝達は、不正防止等の観点から、主制御基板200から副制御基板202への一方向のみに制限される。ただし、このような制限がなければ、電気的に双方向通信も技術的に可能である。
【0027】
(主制御基板200)
主制御基板200は、中央処理装置であるメインCPU200a、プログラム等が格納されたメインROM200b、ワークエリアとして機能するメインRAM(RWM)200c等を含む各種半導体集積回路を有し、スロットマシン100全体を統括的に制御する。ただし、メインRAM200cには不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、設定変更が行われてメインRAM200cの初期化処理を実行しない限り、データが消去されることなく保持される。
【0028】
また、主制御基板200は、メインCPU200aが、メインROM200bに格納されたプログラムに基づきメインRAM200cと協働することで機能する、初期化手段300、ベット手段302、当選役抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段(遊技価値付与手段)310、状態移行手段312、コマンド決定手段314、コマンド送信手段316等の機能部を有する。
【0029】
初期化手段300は、主制御基板200における初期化処理を実行する。ベット手段302は、遊技に使用するためのメダルをベットする。ここで、ベットは、ベットスイッチ126の操作を通じてクレジットされているメダルを投入する場合と、メダル投入部124を通じてメダルを投入する場合と、リプレイ役が有効ラインA上に表示されたことに基づいてメダルを自動投入する場合のいずれも含む。当選役抽選手段304は、メダルのベットおよびスタートスイッチ128の操作に基づき、小役、リプレイ役、および、ボーナス役を含む複数種類の当選役、ならびに、不当選のうちいずれかを当選役抽選により決定する。
【0030】
リール制御手段306は、スタートスイッチ128の操作に応じて、複数のリール134a、134b、134cを回転制御し、回転しているリール134a、134b、134cにそれぞれ対応した複数のストップスイッチ130a、130b、130cの操作に応じ、操作されたストップスイッチ130a、130b、130cに対応するリール134a、134b、134cをそれぞれ停止制御する。また、リール制御手段306は、スタートスイッチ128の操作に応じて、前回の遊技においてストップスイッチ130の操作を有効化してから、当選役抽選の抽選結果を表示するために遊技者によるストップスイッチ130の操作を有効化するまで(前回の遊技におけるストップスイッチ130の操作完了により無効化されている)の時間を規定の時間(ウェイト時間、例えば、4.1秒)より延長し、その間、リール134a、134b、134cを多彩な態様で回転制御するリール演出(フリーズ演出)を行う場合がある。リール演出は、本来有効となるべき任意のスイッチを所定時間有効にしなかったり、本来実行されるべき処理を所定時間保留したり、本来送受信されるべき任意のスイッチの信号を所定時間送信または受信させなかったりすることでも実現できる。
【0031】
判定手段308は、当選役抽選で決定した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたか否か判定する。ここで、当選役抽選で決定した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることを単に入賞という場合がある。払出制御手段310は、当選役抽選で決定した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたこと(入賞したこと)に基づいて、当該当選役に対応する数だけメダルを払い出す。状態移行手段312は、ボーナス役の当選や入賞に基づいて遊技状態を遷移させる。
【0032】
コマンド決定手段314は、ベット手段302、当選役抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、状態移行手段312等の動作に伴う、遊技に関するコマンドを順次決定する。コマンド送信手段316は、コマンド決定手段314が決定したコマンドを副制御基板202に順次送信する。
【0033】
主制御基板200では、投入メダル検出部124b、ベットスイッチ126、スタートスイッチ128およびストップスイッチ130から各種の検出信号を受信しており、受信した検出信号に基づいて、ベット手段302、当選役抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308が上述した種々の処理を実行する。また、主制御基板200には、メインクレジット表示部152およびメイン払出表示部154が接続されており、払出制御手段310が両表示部152、154に対してメダルの貯留枚数や払出枚数の表示を制御する。
【0034】
また、主制御基板200には、リール駆動制御部258が接続されている。このリール駆動制御部258は、スタートスイッチ128の操作信号に応じ、リール制御手段306から送信される各リール134a、134b、134cの回転開始信号に基づいて、ステッピングモータ262を駆動するとともに、ストップスイッチ130の操作信号に応じ、リール制御手段306から送信される、リール134a、134b、134cそれぞれの停止信号および回転位置検出回路260の検出信号に基づいて、ステッピングモータ262の駆動を停止する。
【0035】
また、主制御基板200には、メダル払出装置264が接続されている。主制御基板200には払出メダル検出部264cの検出信号が入力されるようになっており、払出制御手段310は、その検出信号に応じてメダルの払出枚数を計数しながら払出制御部264bからのメダルの排出を制御する。
【0036】
また、主制御基板200には、乱数発生器200dが設けられる。乱数発生器200dは、計数値を順次インクリメントし、所定の総数(例えば65536)内でループさせ(0~65535)、所定の時点における計数値を抽出することで乱数を生成(取得)する。主制御基板200の乱数発生器200dによって生成される乱数(以下、当選役抽選乱数という)は、遊技者に付与する遊技利益、例えば、当選役抽選手段304が当選役を決定するために用いられる。
【0037】
(副制御基板202)
また、副制御基板202は、主制御基板200と同様に、中央処理装置であるサブCPU202a、プログラム等が格納されたサブROM202b、ワークエリアとして機能するサブRAM202c等を含む各種半導体集積回路を有し、主制御基板200からのコマンドに基づき、特に演出を制御する。また、サブRAM202cにもメインRAM200c同様、不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、データが消去されることなく保持される。なお、副制御基板202にも、主制御基板200同様、乱数発生器202dが設けられており、乱数発生器202dによって生成される乱数(以下、演出抽選乱数という)は、主に演出の態様を決定するために用いられる。
【0038】
また、副制御基板202は、サブCPU202aが、サブROM202bに格納されたプログラムに基づき、サブRAM202cと協働することで機能する、初期化決定手段330、コマンド受信手段332、演出制御手段334等の機能部を有する。
【0039】
初期化決定手段330は、副制御基板202における初期化処理を実行する。コマンド受信手段332は、主制御基板200等、他の制御基板からのコマンドを受信し、コマンドに対する処理を行う。演出制御手段334は、当選役コマンドに基づいて液晶表示部138、スピーカ140、演出用ランプ142の各デバイスで行われる遊技の演出を決定する。具体的に、演出制御手段334は、液晶表示部138に表示される画像データや、演出用ランプ142、リールバックライト144、リール上方ライト146、サブクレジット表示部156、サブ払出表示部158等の電飾機器を通じた演出のための電飾データを決定するとともに、スピーカ140から出力すべき音声を構成する音声データを決定する。そして、演出制御手段334は、決定した遊技の演出を実行する。
【0040】
演出は、上述したリール演出のような主制御基板200によって実行される演出と、副制御基板202によって実行される演出がある。副制御基板202によって実行される演出は、遊技の進行に伴い、液晶表示部138、スピーカ140、演出用ランプ142、リールバックライト144、リール上方ライト146、サブクレジット表示部156、サブ払出表示部158等を通じて提供される視覚的および聴覚的な表現手段であり、当該遊技にストーリー性を与えたり、当選役抽選の結果をよりダイナミックな画像で示唆したりすることができる。このような演出では、例えば、ボーナス遊技の当選を示唆する演出を複数遊技に亘って行い、遊技者の期待感を高めることができる。また、たとえ、いずれの当選役にも当選していなかったとしても、恰も当選しているかのような演出を通じて遊技者に高配当の期待感を持たせ、遊技者を飽きさせないようにすることが可能となる。上記の主制御基板200および副制御基板202を連動させることで、様々な遊技性を構築することができる。以下、主となる遊技態様を詳述する。
【0041】
(主制御基板200で用いられるテーブル)
スロットマシン100においては、複数の遊技状態が設けられており、遊技の進行に応じて遊技状態が遷移する。そして、主制御基板200では、状態移行手段312により管理される遊技状態に対応する複数の当選役抽選テーブル等がメインROM200bに格納されている。当選役抽選手段304は、メインRAM200cに記憶された現在の遊技状態(後述するボーナス役の成立有無に基づく遊技状態等)に応じて、対応する当選役抽選テーブルをメインROM200bから抽出し、抽出した当選役抽選テーブルと現在の設定値に基づき、スタートスイッチ128の操作信号に応じて取得された当選役抽選乱数が当選役抽選テーブル内のいずれの当選役または不当選に対応するか判定する。ここで、設定値は、遊技利益を得る容易性を段階的に示したものであり、その設定値の数値が高いほど、遊技利益を得易い。なお、設定値は、一般的に、ホール側管理者により少なくとも遊技開始時には決定されており、遊技者が、遊技中に設定値を取得および変更することはできないようになっている。
【0042】
ここで、当選役抽選テーブルで抽出される当選役には、リプレイ役、小役、ボーナス役がある。このような当選役に対応する図柄組み合わせが、有効ラインA上に揃った状態を表示または入賞といい、当選役に当選し、その当選役に対応する図柄組み合わせが表示されるまでの状態を内部当選状態とする。当選役のうちのリプレイ役は、そのリプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されると、遊技者によるメダルの新たなるベットを行わずして再度1遊技を実行できる役であり、小役は、その小役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることにより、図柄組み合わせに応じて所定枚数のメダルの払い出しを受けることができる役である。また、ボーナス役は、そのボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることにより、状態移行手段312により管理される遊技状態をボーナス遊技状態に移行させることができる当選役である。以下に、当選役および遊技者に付与される遊技利益について説明する。
【0043】
図5は、当選役を説明するための説明図であり、図6は、遊技状態の遷移を説明するための説明図である。
【0044】
また、本実施形態においては、当選役として、図5に示すように、当選役「リプレイ」、「ベル」、「ビッグボーナス(以下「BB」という)」が設けられている。このうち、当選役「リプレイ」が上記リプレイ役に相当し、当選役「ベル」が上記小役に相当し、当選役「BB」が上記ボーナス役に相当する。
【0045】
(リプレイ役)
当選役抽選の結果、当選役「リプレイ」に当選すると、図5に示した当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせである、各リール134a、134b、134cそれぞれに記される図柄「リプレイ」が有効ラインA上に表示可能となり、当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されると、上記したように、遊技者によるベットを行わずして再度1遊技(再遊技)を実行できる。
【0046】
ここで、本実施形態においては、遊技者によってストップスイッチ130が押圧操作されたときに、当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ラインA上にある場合には、リール制御手段306によって、当該図柄が有効ラインA上に停止するように停止制御がなされる。また、ストップスイッチ130が押圧操作されたときに、当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が、有効ラインA上にはないが、各リール134a、134b、134cの回転方向と反対の方向の図柄4コマ分に相当する範囲(引込範囲)内に存在している場合には、リール制御手段306によって、離れている図柄数が滑りコマ数となり、当該当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持した後に停止するように停止制御がなされる。また、当選役に対応する図柄が各リール134a、134b、134c中に複数あり、いずれも各リール134a、134b、134cの引込範囲内に存在している場合には、予め定められた優先順位に従っていずれの図柄を有効ラインA上に引き込むか決定され、当該優先された図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持した後に停止するように停止制御がなされる。なお、ストップスイッチ130が押圧操作されたときに、当選した当選役以外の当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ラインA上にある場合には、リール制御手段306によって、その図柄を有効ラインA上に停止させないようにする、所謂蹴飛ばし処理も並行して実行される。
【0047】
そして、各リール134a、134b、134cにおいては、当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が、上記の停止制御によって、必ず有効ラインA上に表示可能なように配列されている(図3および図5参照)。具体的に、当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄同士は、各リール134a、134b、134c内で最大図柄4コマ分しか離隔していないので、停止制御によって必ず有効ラインA上に表示することができる。このように、当選役「リプレイ」に当選すると、これら当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせが、必ず、有効ラインA上に表示されることとなる。このようにして、当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示された場合には、メダルを投入することなく次の1遊技を開始することが可能となる。
【0048】
(小役)
また、当選役抽選の結果、当選役「ベル」に当選した場合には、当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせである、各リール134a、134b、134cそれぞれに記される図柄「ベルA」が有効ラインA上に表示可能となり、当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示された場合には、当選役に対応した枚数(ここでは9枚)のメダルが遊技者に払い出される。ここで、当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄「ベルA」同士は、各リール134a、134b、134c内で最大図柄4つ分しか離隔していないので(図3および図5参照)、当選役「リプレイ」同様、上記の停止制御によって、必ず有効ラインA上に表示することができる。
【0049】
(ボーナス役)
また、当選役抽選の結果、当選役「BB」に当選すると、図5に示した当選役「BB」に対応する図柄組み合わせである、各リール134a、134b、134cそれぞれに記される図柄「赤7」が有効ラインA上に表示可能となり、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されると、遊技状態がボーナス遊技状態に設定され、次の1遊技(以下、単に次遊技という)以降、メダルが所定枚数(例えば、297枚)払い出されるまで、ボーナス遊技状態にて遊技を実行することが可能となる。なお、各リール134a、134b、134cにおいては、それぞれ図柄「赤7」が、上記の停止制御によっても、有効ラインA上に表示されない場合があるように配列されている(図3および図5参照)。そのため、当選役「BB」に当選したとしても、遊技者は、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを必ずしも有効ラインA上に表示させられるとは限らない。
【0050】
なお、上述したいずれかの当選役に当選すると、それぞれの当選役に対応する内部当選フラグが成立(ON)するとともに、この内部当選フラグの成立状況に応じて、リール134a、134b、134cそれぞれの停止制御がなされることとなる。このとき、小役に当選したものの、その小役に対応する図柄組み合わせを、その1遊技内で有効ラインA上に表示させることができなかった場合には、当該1遊技の終了後に内部当選フラグがOFFされる。つまり、小役の当選の権利は小役に当選した1遊技内のみに限られ、当該権利を次遊技に持ち越すことはできない。また、リプレイ役である当選役「リプレイ」に対応する内部当選フラグが成立した場合には、当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせが必ず有効ラインA上に表示され、メダルを要することなく次遊技を行うために必要となる処理が行われた後に、当該内部当選フラグがOFFされる。これらに対して、当選役「BB」に当選した場合には、BB内部当選フラグが成立(ON)するとともに、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されるまで、BB内部当選フラグが遊技を跨いで持ち越される。
【0051】
(遊技状態の遷移)
ここで、BB内部当選フラグについて、遊技状態の遷移と合わせて具体的に説明する。BB内部当選フラグが成立すると、BB内部当選フラグの成立状況に応じて、図6の(1)に示すように、主制御基板200で管理している遊技状態が、ボーナス役である当選役「BB」に当選していないボーナス非成立遊技状態から、ボーナス遊技状態の準備状態に相当するボーナス成立遊技状態となり、ボーナス成立遊技状態に基づいてリール134a、134b、134cそれぞれの停止制御がなされる。このとき、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができなかった場合には、そのままBB内部当選フラグが次遊技に持ち越され(ボーナス成立遊技状態が維持され)、次回以降の遊技においても当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることが可能となる。そして、遊技者が、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させると、図6の(2)に示すように、遊技状態がボーナス成立遊技状態からボーナス遊技状態に移行する。また、ボーナス遊技状態において、所定枚数(例えば、297枚)を超えるメダルが払い出されると、図6の(3)に示すように、遊技状態が、ボーナス遊技状態からボーナス非成立遊技状態に移行する。ただし、図6の(4)に破線の矢印で示すように、ボーナス非成立遊技状態における当選役「BB」が成立した遊技で、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させた場合、ボーナス成立遊技状態を経由せず、直接、ボーナス遊技状態に移行する。
【0052】
(当選役抽選テーブル)
図7は、当選役抽選乱数を判定する場合に用いられる当選役抽選テーブルを示す図である。当選役抽選テーブルでは、複数の当選領域が区画されており、各遊技状態によって抽選の対象となる当選役が異なったりする。図7は、各遊技状態(ボーナス非成立遊技状態、ボーナス成立遊技状態、ボーナス遊技状態)毎に割り当てられた当選領域(当選役)を「○」で表している。したがって、「○」が記載されていない当選領域は、その遊技状態に割り当てられていないことを示す。区画化された各当選領域にはそれぞれ当選範囲を示す数値である所定の置数(当選範囲値)と当選役が対応付けられており、遊技状態毎に割り当てられた全ての当選領域の置数を合計すると当選役抽選乱数の総数(65536)となる。したがって、当選役それぞれが決定される確率は、当選領域に対応付けられた置数を当選役抽選乱数の総数で除算した値となる。当選役抽選手段304は、その時点の遊技状態に基づいて、当該当選役抽選テーブルにおける複数の当選領域のうち番号の高い方から、順次、置数を取得し、その置数を当選役抽選乱数から減算して、その減算値が0未満となると、その時点の当選領域に対応付けられた当選役を抽選結果としている。当該抽選の手順は、他の抽選においても適用できる。
【0053】
また、各遊技状態によって抽選の対象となる当選役が異なっている。例えば、図7において、ボーナス非成立遊技状態と、ボーナス成立遊技状態とを比較すると、前者は当選役「BB」の抽選を行っているのに対し、後者では当選役「BB」の抽選を行っていない。これは、後者では、既に当選役「BB」に当選しているので重ねて当選役「BB」を当選させることができないからである。また、後者では、前者に比べ、当選役「リプレイ」の当選確率を高く設定している。また、図7のボーナス遊技状態によれば、重ねて当選役「BB」の抽選を行わないとともに、当選役「リプレイ」の抽選も行われない。また、当選役「ベル」が高確率で当選するように設定されているので、ボーナス非成立遊技状態やボーナス成立遊技状態と比べて、1遊技で獲得できる枚数の平均値を示す期待獲得枚数が高くなっている。なお、当選役抽選テーブルの当選領域0には、「不当選」が対応付けられており、当選役抽選によって「不当選」が決定すると、図5に示したいずれの当選役に対応する図柄組み合わせも有効ラインA上に表示されることなく、メダルの払い出し等が行われることはない。ただし、ボーナス成立遊技状態(BB内部当選フラグがON)において、当選役抽選によって「不当選」が決定すると、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示可能となる。
【0054】
以下、主制御基板200における具体的処理をフローチャートに基づいて説明する。
【0055】
(主制御基板200のメイン処理)
図8は、主制御基板200のメイン処理を示したフローチャートである。ここでは、まず、主制御基板200のメイン処理に沿って、初期化後の1遊技の概略を説明する。また、詳細な説明は省略するが、各処理が実行される際、各処理において用いられるスイッチ(ベットスイッチ126、スタートスイッチ128、ストップスイッチ130a、130b、130c、130d)は、処理の開始時に有効化され、処理の終了時に無効化される。
【0056】
(ステップS100)
電源スイッチ148を介してスロットマシン100の電源が投入され、通電状態になると、初期化手段300は、遊技開始に備え初期化処理を実行する。初期化手段300は、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをメインRAM200cに保持している。したがって、不意の電断が生じたとしても、この初期化処理において、保持されたバックアップデータを用い電断前の状態に復帰させることができる。例えば、リール134a、134b、134cの回転中に不意の電断が起きたとしても、復帰動作後に再度各リール134a、134b、134cが回転している状態から開始される。したがって、初期化処理では、基本的に、メインRAM200cの初期化(RAMクリア)は行われない。
【0057】
(ステップS200)
また、コマンド決定手段314は、ベット枚数に変更があった場合に、変更されたベット枚数および貯留枚数を示す投入コマンドを生成し、コマンド送信手段316は、生成された投入コマンドを副制御基板202に送信する。
【0058】
(ステップS300)
次に、当選役抽選手段304は、スタートスイッチ128に対する遊技開始操作を有効化し、スタートスイッチ128の操作待ち状態に移行する。ここで、当選役抽選手段304は、遊技者によるスタートスイッチ128の操作に応じて、主制御基板200の乱数発生器200dによって更新された当選役抽選乱数から、スタートスイッチ128が操作された時点における1の当選役抽選乱数を取得する。そして、当選役抽選手段304は、図7に示した当選役抽選テーブル、および、現在設定されている遊技状態に基づいて、取得した当選役抽選乱数が、いずれの当選領域に対応するか判定し、判定された当選領域の当選役または不当選を抽選結果として決定する。また、コマンド決定手段314は、スタートスイッチ128の操作に応じて抽選結果が決定された後、当選役抽選の抽選結果(当選役または不当選)や遊技状態に関する情報等を含む当選役コマンドを生成し、コマンド送信手段316は、生成された当選役コマンドを副制御基板202に送信する。また、状態移行手段312は、ボーナス非成立遊技状態において当選役「BB」に当選したことに基づき遊技状態をボーナス非成立遊技状態からボーナス成立遊技状態へ移行させる。かかる抽選処理S300について、詳しくは後述する。
【0059】
(ステップS400)
スタートスイッチ128が操作されると、リール制御手段306は、ステッピングモータ262を駆動してリール134a、134b、134cを回転させる。このリール回転処理においては、前回の1遊技におけるリール134a、134b、134cの回転開始時点から所定の時間(例えば4.1秒)が経過すると(ウェイト)、当該遊技におけるリール134a、134b、134cの回転を開始し、リール134a、134b、134cの全てが定速回転となったところで、ステップS500に処理を移す。また、リール制御手段306は、リール演出を実行する場合もある。
【0060】
(ステップS500)
続いて、リール制御手段306は、ストップスイッチ130a、130b、130cを有効化し、遊技者によるストップスイッチ130a、130b、130cの操作を受け付けると、その操作に対応するリール134a、134b、134cのいずれかを停止制御する。また、コマンド決定手段314は、ストップスイッチ130a、130b、130cのいずれかの操作がなされると、操作がなされたストップスイッチ130a、130b、130cの情報を示す停止コマンド(第1停止コマンド、第2停止コマンド、第3停止コマンド)を操作の度に生成し、コマンド送信手段316は、生成された停止コマンドを順次、副制御基板202に送信する。
【0061】
(ステップS600)
次に、判定手段308は、図3(b)に示した有効ラインA上に表示された図柄組み合わせが予め定められたどの組み合わせに相当するかを判定し、その図柄組み合わせに応じて遊技状態の変更やリプレイに際して要求される種々の処理を実行する。また、コマンド決定手段314は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせや、有効ラインA上に小役に対応する図柄組み合わせが表示された場合におけるメダルの払出枚数等を含む入賞コマンドを生成し、コマンド送信手段316は、生成された入賞コマンドを副制御基板202に送信する。また、状態移行手段312は、ボーナス成立遊技状態において当選役「BB」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたことに基づき、遊技状態をボーナス成立遊技状態からボーナス遊技状態へ移行させる。
【0062】
(ステップS700)
続いて、払出制御手段310は、ステップS600における判定結果に基づき、例えば、有効ラインA上に小役に対応する図柄組み合わせが表示されると、当該小役に対応するメダルの払出処理を実行し、有効ラインA上にリプレイ役に対応する図柄組み合わせが表示されると、自動的に次遊技のベットを行うための処理を実行する。また、状態移行手段312は、ボーナス遊技状態においてメダルの所定枚数の払い出しが実行されると、遊技状態をボーナス遊技状態からボーナス非成立遊技状態へ移行させる。このように、払出制御手段310は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせに対応して種々の処理を実行し、当該1遊技を終了する。また、コマンド決定手段314は、メダルの払出処理がなされた場合、払出処理がなされたことを示す払出コマンドを生成し、コマンド送信手段316は、生成された払出コマンドを副制御基板202に送信する。かかる払出処理S700について、詳しくは後述する。
【0063】
ステップS200からステップS700までの一連の処理を通じて1遊技が実行される。以後は、ステップS200からステップS700までのメインループを繰り返すこととなる。
【0064】
(抽選処理S300)
図9は、上記ステップS300の抽選処理を示したフローチャートである。ここでは本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
【0065】
(ステップS301)
当選役抽選手段304は、当選役抽選乱数を取得し、図7に示した当選役抽選テーブル、および、現在設定されている遊技状態に基づいて、取得した当選役抽選乱数が、いずれの当選領域に対応するか判定し、判定された当選領域の当選役または不当選を抽選結果として決定する当選役抽選処理を実行する。
【0066】
(ステップS302)
当選役抽選手段304は、上記ステップS301において決定した抽選結果に基づいて、リール134a、134b、134cにそれぞれ配列された図柄のうち、有効ラインA上に表示可能な図柄を決定する図柄コード設定処理を実行する。
【0067】
(ステップS800)
リール制御手段306は、リール134a、134b、134cの全相励磁が開放されるまで待つ励磁開放待ち処理を実行する。かかる励磁開放待ち処理S800について、詳しくは後述する。
【0068】
(ステップS303)
リール制御手段306は、1遊技間のウェイト時間を計時するための1遊技間タイマが0であるか否かを判定する。その結果、1遊技間タイマが0であれば、ステップS304に処理を移し、1遊技間タイマが0でなければ、ステップS303の処理を繰り返す。なお、1遊技間タイマは、下記ステップS304でセットされ、並行して動作している、1.49msec毎の割込みの4回に1回実行される割込処理(5.96msec毎)において、毎回1ずつ減算される。
【0069】
(ステップS304)
リール制御手段306は、1遊技間タイマに、ウェイト時間に相当する値をセットし、当該抽選処理S300を終了する。
【0070】
このように、抽選処理S300において、リール134a、134b、134cの全相励磁が開放され、1遊技間のウェイト時間が経過すると、抽選処理S300が終了してリール回転処理S400に移行し、リール134a、134b、134cが回転開始されることになる。
【0071】
(払出処理S700)
図10は、上記ステップS700の払出処理を示したフローチャートである。ここでは本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
【0072】
(ステップS701)
払出制御手段310は、上記ステップS600における判定結果(当選役)に基づき、メダルの払い出しがあるか否かを判定する。その結果、メダルの払い出しがあれば、ステップS702に処理を移し、メダルの払い出しがなければ、当該払出処理S700を終了する。
【0073】
(ステップS702)
払出制御手段310は、貯留枚数(クレジットされているメダル)が50枚(上限枚数)であるか否かを判定する。その結果、貯留枚数が50枚であれば、ステップS703に処理を移し、貯留枚数が50枚でない、つまり、貯留枚数が49枚以下であれば、ステップS704に処理を移す。
【0074】
(ステップS703)
払出制御手段310は、メダル排出口108aからメダルを1枚払い出すためにメダル払出装置264を制御するメダル払出装置制御処理を実行する。かかるメダル払出装置制御処理S703について、詳しくは後述する。
【0075】
(ステップS704)
払出制御手段310は、貯留枚数を1加算する。
【0076】
(ステップS705)
払出制御手段310は、メイン払出表示部154に表示される数値を1加算する。
【0077】
(ステップS706)
払出制御手段310は、全てのメダルの払い出しが終了したか否かを判定する。その結果、全てのメダルの払い出しが終了していれば、ステップS707に処理を移し、全てのメダルの払い出しが終了していなければ、ステップS702に処理を戻す。
【0078】
(ステップS707)
払出制御手段310は、メダル払出装置264の作動を停止させ、当該払出処理S700を終了する。なお、メダル払出装置264が作動していない場合、当該ステップS707の処理は省略される。
【0079】
このように、払出処理S700では、メダルの払い出しがある場合、メダルを1枚ずつ払い出すために、ステップS702~ステップS706までの処理が繰り返し行われる。したがって、例えば15枚の払い出しがある場合、ステップS702~ステップS706までの処理が15回行われることになる。
【0080】
(メダル払出装置制御処理S703)
図11は、上記ステップS703のメダル払出装置制御処理を示したフローチャートである。ここでは本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
【0081】
(ステップS800)
メダル払出装置制御処理S703を開始すると、払出制御手段310は、リール134a、134b、134cの全相励磁が開放されるまで待つ励磁開放待ち処理を実行する。かかる励磁開放待ち処理S800について、詳しくは後述する。
【0082】
(ステップS703-1)
払出制御手段310は、メダル払出装置264を作動させ、メダル払出装置264からメダルを1枚払い出させる(送出させる)。
【0083】
(ステップS703-2)
払出制御手段310は、メダル貯留部264aに貯留されたメダルが空になったことを検出するためのエンプティタイマに、エンプティと判断される時間に相当する所定の値をセットする。なお、エンプティタイマは、並行して動作している、1.49msec毎の割込みの4回に1回実行される割込処理(5.96msec毎)において、毎回1ずつ減算される。
【0084】
(ステップS703-3)
払出制御手段310は、エンプティタイマが0であるか、つまり、エンプティエラーが発生したか否かを判定する。その結果、エンプティエラーが発生していれば、ステップS703-7に処理を移し、エンプティエラーが発生していなければ、ステップS703-4に処理を移す。
【0085】
(ステップS703-4)
払出制御手段310は、払出メダル検出部264cがオフであるか、すなわち、メダル払出装置264によってメダルの払い出しが開始されていないか否かを判定する。その結果、払出メダル検出部264cがオフであれば、ステップS703-3に処理を戻し、払出メダル検出部264cがオフでなければ、すなわち、メダル払出装置264によってメダルの払い出しが開始されていれば、ステップS703-5に処理を移す。
【0086】
(ステップS703-5)
払出制御手段310は、メダル詰まりエラーが発生したか否かを判定する。なお、メダル詰まりエラーは、払出メダル検出部264cがオンである時間が、メダル詰まりエラーとされる規定時間以上であることによって検出される。その結果、メダル詰まりエラーが発生していれば、ステップS703-7に処理を移し、メダル詰まりエラーが発生していなければ、ステップS703-6に処理を移す。
【0087】
(ステップS703-6)
払出制御手段310は、払出メダル検出部264cがオンであるか、すなわち、メダル払出装置264によってメダルの払い出しが終了していないか否かを判定する。その結果、払出メダル検出部264cがオンであれば、ステップS703-5に処理を戻し、払出メダル検出部264cがオンでなければ、すなわち、メダル払出装置264によってメダルの払い出しが終了していれば、当該メダル払出装置制御処理S703を終了する。
【0088】
(ステップS703-7)
払出制御手段310は、メダル払出装置264の作動を停止させる。
【0089】
(ステップS703-8)
払出制御手段310は、メダル詰まりエラーに対応するエラーコードをメインクレジット表示部152に表示したり、メダル詰まりエラーを副制御基板202に報知させるエラーウェイト処理を実行する。また、払出制御手段310は、エラーの原因が取り除かれ、エラー解除操作がなされるまでウェイト(待機)し、エラーの原因が取り除かれ、エラー解除操作がなされると、上記ステップS703-1に処理を移す。
【0090】
このように、メダル払出装置制御処理S703では、払出処理S700においてステップS702~ステップS706までの処理がループしている間に、初めてステップS703-1の処理を実行するときにメダル払出装置264に電力を供給し、メダル払出装置264を起動させた後に、メダル払出装置264からメダルを1枚払い出させるが、エラーが発生していなければ、メダル払出装置264を停止(電力の供給の停止)させることはない。その後、2回目以降にステップS703-1の処理を実行するときには、メダル払出装置264に電力が供給されているので、そのままメダル払出装置264からメダルを1枚払い出させる。そして、払出処理S700においてステップS702~ステップS706までの処理が全て終了すると、ステップS707において、メダル払出装置264を停止(電力の供給の停止)させることになる。
【0091】
(励磁開放待ち処理S800)
図12は、上記ステップS800の励磁開放待ち処理を示したフローチャートである。ここでは本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。なお、上記した抽選処理S300においては、リール制御手段306が励磁開放待ち処理S800を実行し、メダル払出装置制御処理S703においては、払出制御手段310が励磁開放待ち処理S800を実行することになるが、リール制御手段306および払出制御手段310が実行する励磁開放待ち処理S800は、同一のサブルーチン(プログラム)で実行される。
【0092】
(ステップS801)
リール制御手段306または払出制御手段310は、リール134a(図中、左リールとして示す)のモータフェーズを取得する。ここで、リール134a、134b、134cの状態として、モータフェーズが設定されている。モータフェーズは、詳しくは後述するように、リール134a、134b、134cの動作状態、すなわち、加速中、定常回転中、停止中、待機中を示す。具体的に、モータフェーズに割り当てられた1バイト(記憶単位)の変数が、そのステッピングモータ262の動作状態に応じて、加速中=3、定常回転中=2、停止中=1、待機中=0といった値に変化する。なお、ここでは、記憶単位として1バイトとする例を挙げているが、例えば2バイトでもよい。また、励磁解放待ち処理S800は、全てのリール134a、134b、134cのモータフェーズが0になるのを待つ判定処理である。
【0093】
(ステップS802)
リール制御手段306または払出制御手段310は、上記ステップS801において取得したリール134aのモータフェーズが0であるか、つまり、リール134aが待機中であるか否かを判定する。その結果、リール134aのモータフェーズが0であれば、ステップS803に処理を移し、リール134aのモータフェーズが0でなければ、ステップS801に処理を戻す。したがって、リール制御手段306または払出制御手段310は、モータフェーズが0でなければ、0であるかの判定処理を繰り返す。
【0094】
(ステップS803)
リール制御手段306または払出制御手段310は、リール134b(図中、中リールとして示す)およびリール134c(図中、右リールとして示す)のモータフェーズを取得する。
【0095】
(ステップS804)
リール制御手段306または払出制御手段310は、上記ステップS803において取得したリール134b、134cのモータフェーズが0であるか否かを判定する。その結果、リール134b、134cのモータフェーズが0であれば、当該励磁開放待ち処理S800を終了し、リール134b、134cのモータフェーズが0でなければ、ステップS801に処理を戻す。したがって、リール制御手段306または払出制御手段310は、モータフェーズが0でなければ、0であるかの判定処理を繰り返す。
【0096】
このように、励磁開放待ち処理S800では、始めに、リール134aのモータフェーズが0であるか否かを判定し、リール134aのモータフェーズが0であれば、続いて、リール134b、134cのモータフェーズが0であるか否かを判定する。そして、リール134b、134cのモータフェーズが0であれば、全てのリール134a、134b、134cが待機中であり、リール134a、134b、134cにそれぞれ対応するステッピングモータ262の全相励磁が終了していると判定して、励磁開放待ち処理S800を終了する。
【0097】
(リール134a、134b、134cの状態)
本実施形態では、3つのリール134a、134b、134cを回動するために、ステップ数の総数が252であるステッピングモータ262を用いている。これは、図柄数が仮に21であった場合に、252が21の倍数なので、図柄毎のステップ数を均等に扱えるからである。なお、本実施形態では、ステッピングモータ262を1-2相励磁で動作させているので、分解能を上げ、そのステップ数を252の2倍の504で計数することができる。したがって、以下の例では、ステップ数の総数を504として扱っている。
【0098】
また、リール134a、134b、134cの状態は、モータフェーズ(パラメータ)で表される。モータフェーズは、リール134a、134b、134cの動作状態、すなわち、加速中、定常回転中、停止中、待機中を示す。具体的に、モータフェーズに割り当てられた1バイトの変数が、そのモータの動作状態に応じて、加速中=3、定常回転中=2、停止中=1、待機中=0といった値に変化する。なお、ここでは、加速中、定常回転中、停止中、待機中といった動作を挙げているが、動作として減速中が含まれていてもよい。
【0099】
リール制御手段306は、スタートスイッチ128が操作されると、リール134a、134b、134cに対応するステッピングモータ262を1-2相励磁し、リール134a、134b、134cそれぞれを回転開始させる。このとき、リール制御手段306は、モータフェーズを3に移行させる。そして、リール制御手段306は、リール134a、134b、134cが、加速状態を経由し、例えば167msec後に所定の速度(80rpm/min未満)に到達すると、1-2相励磁を継続して、定速状態に移行させる。このとき、リール制御手段306は、モータフェーズを2に移行させる。
【0100】
その後、例えばストップスイッチ130aが操作されると、リール制御手段306は、操作時において引込範囲内に存在している図柄を停止図柄として決定し(滑りコマ数を決定し)、当該停止図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持する。続いて、リール制御手段306は、決定された停止図柄を有効ラインA上に停止可能な停止位置にリール134aが到達すると、リール134aに対応するステッピングモータ262を全相励磁し、励磁する相が切り換わらないように、リール134aの停止処理を開始する。このとき、リール制御手段306は、モータフェーズを1に移行させる。こうして、リール134aは、回転速度が減少し、停止処理の開始から約13msec後に停止し、停止した状態を維持する。かかる全相励磁は、所定時間(例えば200msec)の間継続された後に開放され、リール制御手段306は、モータフェーズを0に移行させる。
【0101】
(抽選処理S300における励磁開放待ち処理S800)
ここで、リール134a、134b、134cのうち、最後に停止されるリール134a、134b、134cのいずれかに対応するステッピングモータ262が全相励磁している間に、(メダルの払い出しがなく、)次の遊技が開始され、リール134a、134b、134cの回転が開始されたとする。その場合、全相励磁されているステッピングモータ262に対応するリール134a、134b、134cのいずれかの動作が不安定になるおそれがある。具体的には、全相励磁されているステッピングモータ262に対応するリール134a、134b、134cのいずれかは、全相励磁されている間、振動している可能性がある。このように、振動しているリール134a、134b、134cのいずれかについても回転を開始させてしまうと、そのリールの初期動作に影響を与えることになる。
【0102】
そこで、本実施形態では、上記したように、抽選処理S300において、当選役抽選処理S301および図柄コード設定処理S302が実行された後であって、リール回転処理S400を実行する前に、励磁開放待ち処理S800が実行される。つまり、リール134a、134b、134cの回転が開始する前に、全てのリール134a、134b、134cに対応するステッピングモータ262の全相励磁が開放されるのを待つことになる。
【0103】
これにより、例えば、前回の遊技において、有効ラインA上に当選役に対応する図柄組み合わせが揃わないハズレの結果となった場合であって、遊技を開始するために必要な枚数である規定数以上の貯留がクレジットにある場合のように、前の遊技において行われたステッピングモータ262の全相励磁が継続している間に、次の遊技におけるスタートスイッチ128の操作が可能な場合に、次の遊技におけるリール134a、134b、134cの回転が開始することを防止することができ、リール134a、134b、134cの回転を安定させることができる。これは、リール134a、134b、134cのいずれか1つに対して停止操作がなされてから、次のリール134a、134b、134cのいずれか1つの停止操作が可能となるまでの間に、所定時間(例えば、200ms)や停止操作したリール134a、134b、134cの停止までの時間分、待つ仕様でも起こる場合があるが、より顕著なのは、これらの時間を待つことがない仕様、つまり、1つのリール134a、134b、134cに対して停止操作してから、即次のリール134a、134b、134cの停止操作が可能となる仕様の場合である。
【0104】
また、励磁開放待ち処理S800は、当選役抽選処理S301および図柄コード設定処理S302が実行された後に実行されるようにしている。これにより、当選役抽選処理S301および図柄コード設定処理S302が実行される時間だけ、ステッピングモータ262の全相励磁が継続している時間を経過させることができ、励磁開放待ち処理S800にかかる時間を減らすことができる。
【0105】
(払出処理S700における励磁開放待ち処理S800)
また、払出処理S700においては、メダル払出装置264からメダルが払い出される際に、メダル払出装置制御処理S703内で励磁開放待ち処理S800が実行される。したがって、スロットマシン100の内部(メインRAM200c)に電気的にメダルを貯留できるときには、励磁開放待ち処理S800が実行されることはない。これにより、スロットマシン100の内部(メインRAM200c)に電気的にメダルを貯留する際には直ちにメダルが貯留されるため、遊技の進行が速やかに行われることになり、遊技者のストレスを低減することができる。
【0106】
一方、スロットマシン100の内部(メインRAM200c)に電気的にメダルを貯留できない場合、つまり、貯留枚数が50枚となった場合、払出制御手段310は、メダル払出装置制御処理S703を実行する。
【0107】
ここで、メダル払出装置264を駆動させるために大電流を供給する必要がある。そして、リール134a、134b、134cの励磁(全相励磁)タイミングとメダル払出装置264が駆動(起動)するタイミングとが重なってしまうと、主制御基板200が管理するデバイス全体に許容される電流量を超過するおそれがある。
【0108】
そこで、メダル払出装置264からメダルを払い出させるときには、メダル払出装置264に電力を供給して作動させる(ステップS703-1)前に、払出制御手段310は、励磁開放待ち処理S800を実行する。
【0109】
これにより、リール134a、134b、134cの励磁(全相励磁)タイミングとメダル払出装置264が駆動するタイミングとを異ならせることができるので、主制御基板200が管理するデバイス全体に許容される電流量を超過することがなくなる。したがって、リール134a、134b、134cの励磁中にメダル払出装置264を駆動させるための大電流容量の電源を準備する必要がなくなり、コストの削減を図ることができる。
【0110】
また、メダル払出装置制御処理S703は、メダルを1枚払い出す度に実行されることになる。したがって、励磁開放待ち処理S800も、メダルを1枚払い出す度に実行されることになる。励磁開放待ち処理S800は、一度実行すれば、ステッピングモータ262の励磁が開放されることになるため、複数回実行する必要がないようにも思える。しかしながら、メダルを1枚払い出す度に、励磁開放待ち処理S800を実行したか否かを判定すると、その分だけ、プログラム容量(メモリ容量)が増加することになる。そこで、本実施形態では、励磁開放待ち処理S800を実行したか否かを判定することなく、メダルを1枚払い出す度に励磁開放待ち処理S800が実行されることで、プログラム容量を削減することができる。
【0111】
また、抽選処理S300および払出処理S700において、同一のサブルーチン(プログラム)で励磁開放待ち処理S800を実行するようにしたことで、それぞれの処理において別のサブルーチン(プログラム)を設けなくてよいため、プログラム容量を削減することができる。
【0112】
(メインCPU200aによるメモリ管理)
ところで、上述したように、主制御基板200においては、メインCPU200aが、メインROM200bに格納されたプログラムに基づきメインRAM200cと協働することで、初期化手段300、ベット手段302、当選役抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、状態移行手段312、コマンド決定手段314、コマンド送信手段316等として機能し、遊技の進行を制御する。これらの機能部を実行するためのプログラムは、メインROM200bおよびメインRAM200cの所定の領域(使用領域)に配される。
【0113】
図13は、メインROM200bおよびメインRAM200cのメモリマップを示す説明図である。ここで、メインROM200bには、0000h~2FFFh(12kbyte)のメモリ空間が割り当てられ、メインRAM200cには、F000h~F1FFh(512byte)およびF200h~F3FFh(512byte)のメモリ空間が割り当てられている。また、メインROM200bおよびメインRAM200cのいずれにおいても使用領域が規定されている。
【0114】
メインROM200bの0000h~1DF3hのメモリ空間には使用領域が割り当てられている。具体的に、0000h~11FFh(4.5kbyte)に制限されたメモリ空間(制御領域)に、初期化手段300、ベット手段302、当選役抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、状態移行手段312、コマンド決定手段314、コマンド送信手段316を機能させて遊技の進行を制御するメイン処理を実行するためのプログラムの命令コードが格納され、1200h~1DF3h(3.0kbyte)に制限されたメモリ空間(データ領域)に、遊技制御処理のプログラムに用いられるデータが格納されている。また、1E00h~1EFFhのメモリ空間にはコメント領域が割り当てられ、2FC0h~2FFFhのメモリ空間にはプログラム管理領域が割り当てられている。また、プログラムの命令コードはアセンブラ言語で記述されている。ここで、プログラムは、命令コードで構成されたものであり、コンピュータに読み出され、データやワークエリアと協働して所定の処理を実現することができる。
【0115】
また、メインRAM200cのF000h~F1FFhのメモリ空間には使用領域が割り当てられている。具体的に、F000h~F13Fhのメモリ空間には、上記メイン処理のワークエリアが割り当てられ、タイマ、カウンタ、フラグ等の変数管理に用いられる。F1C0h~F1FFhのメモリ空間には、上記メイン処理のスタック領域が割り当てられている。また、メインCPU200aには内部レジスタが設けられている。内部レジスタは、例えば、8ビットの汎用レジスタであるAレジスタ~Hレジスタが設けられており、それぞれ16ビットのペアレジスタAF、BC、DE、HLを構成する。
【0116】
このような環境の下、メインCPU200aは、使用領域のプログラムの命令コードに従い、使用領域のプログラムデータを参照しつつ、また、各内部レジスタ、使用領域のワークエリアやスタック領域を利用して、初期化手段300、ベット手段302、当選役抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、状態移行手段312、コマンド決定手段314、コマンド送信手段316を機能させるメイン処理を実行する。
【0117】
なお、ここでは、命令コードとして、エルイーテック(LETech)社が販売するLEM50A-P(製品名)に対して準備されたコマンドを用いている。LEM50A―Pは、遊技機業界で汎用的に用いられる(市場占有率が高い)、NC80EXというZ80系CPUを搭載したマイクロプロセッサである。
【0118】
このように、メインCPU200aにおいて、使用領域の記憶容量は予め定められており、例えば、図13に示したように、制御領域が4.5kbyteに制限され、データ領域が3.0kbyteに制限されている。したがって、AT演出状態や、リールユニット134を多彩な態様で回転させる所謂リール演出を、メインCPU200aが管理する場合、制御領域の中で、遊技制御処理の記憶容量がさらに制限されるおそれがある。ここでは、変数の配列を工夫することで、遊技制御処理を行うための制御領域の容量を確保する。
【0119】
なお、以後の説明において、リール134a、リール134b、リール134cといったように、スロットマシン100の一部であり、それぞれ物理的に独立して認識可能なものをデバイスと称することがあり、モータフェーズといったように、デバイスを制御するための値をパラメータと称することがある。
【0120】
ここでは、3つのリール134a、134b、134c(複数のデバイス)それぞれについて、モータフェーズといったパラメータに対応する変数がワークエリアに配置される。
【0121】
図14は、励磁開放待ち処理S800のプログラムおよびワークエリアを説明するための説明図である。ワークエリアには、リール134a、134b、134cのモータフェーズが順に連続して配置されている。具体的に、図14(b)に示すように、ワークエリアのF010Hにリール134aのモータフェーズ(_SMC_PHS+0)が割り当てられ、F011Hにリール134bのモータフェーズ(_SMC_PHS+1)が割り当てられ、F012Hにリール134cのモータフェーズ(_SMC_PHS+2)が割り当てられている。また、モータフェーズ(_SMC_PHS+0)~モータフェーズ(_SMC_PHS+2)には、図14(c)に示すように、リール134a、134b、134cのモータフェーズとして、0~3のいずれかが変数として記憶されている。
【0122】
励磁開放待ち処理S800のフローチャートは、例えば、図14(a)のプログラムによって実現される。図14(a)の1行目の「EXCFREE」は、当該サブルーチンの先頭アドレスを示す。2行目の「JTQ NZ,(LOW _SMC_PHS+0),EXCFREE」は、「Q」が付されたNC80EX独自で利用されるコマンドであり、リール134aのモータフェーズのアドレス(_SMC_PHS+0)の値から0(ゼロ)を減算した場合の第1ゼロフラグ(全ビットが0のとき1にセットされるゼロフラグ)が0でなければ、EXCFREEに移動することを示す。かかる2行目のコマンドが、図12のステップS801およびステップS802に対応する。3行目の「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+1)」は、リール134bのモータフェーズのアドレス(_SMC_PHS+1)と、リール134cのモータフェーズのアドレス(_SMC_PHS+2)の内容をHLレジスタに設定することを示す。なお、単にレジスタに値を呼び出した場合であっても、その呼び出した値が0であれば、第2ゼロフラグ(全ビットが0のとき1にセットされる遊技機用拡張仕様の特定ビットフラグ)は0となる。かかる3行目のコマンドが、図12のステップS803に対応する。4行目の「JR NTZ,EXCFREE」は、第2ゼロフラグが0でなければ、EXCFREEに移動することを示す。かかる4行目のコマンドが、図12のステップS804に対応する。そして、5行目の「RET」によって、メインルーチンに戻ることとなる。
【0123】
かかる図14(a)の例において、コマンドをマシン語にしたときのコマンド長は、「JTQ NZ,(LOW _SMC_PHS+0),EXCFREE」が4バイト、「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+1)」が2バイト、「JR NTZ,EXCFREE」が2バイト、「RET」が1バイトとなる。したがって、図14(a)のプログラムのコマンド長の合計は9バイトとなる。かかる図14(a)のプログラムのコマンド長の合計は、各リール134a、134b、134cのモータフェーズがそれぞれ0であるか判定する場合、つまり、1つのリール134a、134b、134cごとにJTQ命令を3回行い、RET命令を1回行う場合(4バイト×3+1=13バイト)より4バイト短縮されている。
【0124】
これは、図14(a)の場合、リール制御手段306または払出制御手段310が、1の命令コマンド(「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+1)」)または連続する複数の命令コマンド(「JTQ NZ,(LOW _SMC_PHS+0),EXCFREE」および「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+1)」)によって、同一のパラメータ(_SMC_PHS)に対応する異なる複数のデバイス(リール134a、134b、134c)の変数にアクセスしているからであり、これにより、命令コマンドを少なく、かつ、コマンド長を短縮することができる。より具体的には、命令コマンド(「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+1)」)によって、2つのリール134b、134cのモータフェーズの値を1命令で読み出すことで、リール134b、134cについてそれぞれ読み出して判定する4バイトのJTQ命令を2回行うよりも、合計で4バイトとなるLDQ命令とJR命令を1回ずつ行う方が、合計バイト数が少なくなるためである。こうして、メイン処理を行うための制御領域の容量(プログラム容量)を確保することが可能となる。
【0125】
また、図14(b)を参照して理解できるように、モータフェーズといったパラメータの変数を記憶単位で連続して配置することで、モータフェーズについて変数を参照する場合や、その値を確認する場合に把握し易く、一部の変数の書き換えを失念してしまう等の問題を回避することができる。
【0126】
なお、ここでは、リール数が3つの場合を挙げ、変数の配置によりコマンド長の合計が2バイト短縮される例を説明したが、リール数を4以上に増やした場合、短縮されるコマンド長の合計はさらに増加することとなる。
【0127】
図15は、スロットマシン100の概略的な機械的構成を説明するための外観図である。ここでは、図1と同スロットマシン100において、図1のスロットマシン100よりリール数およびストップスイッチ数が1つ増えている。したがって、図15のスロットマシン100では、図1のスロットマシン100と比べてリール134dが追加されるとともに、ストップスイッチ130dが追加されている。
【0128】
図16は、リール数が4つ(リール134a、134b、134c、134d)の場合の励磁開放待ち処理S1800を示したフローチャート、励磁開放待ち処理S1800のプログラムおよびワークエリアを説明する図である。
【0129】
(ステップS1801)
図16(a)に示すように、励磁開放待ち処理S1800が開始されると、リール制御手段306または払出制御手段310は、リール134a、134b(図中、第1、第2リールとして示す)のモータフェーズを取得する。
【0130】
(ステップS1802)
リール制御手段306または払出制御手段310は、上記ステップS1801において取得したリール134a、134bのモータフェーズが0であるか否かを判定する。その結果、リール134a、134bのモータフェーズが0であれば、ステップS1803に処理を移し、リール134a、134bのモータフェーズが0でなければ、ステップS1801に処理を戻す。したがって、リール制御手段306または払出制御手段310は、モータフェーズが0でなければ、0であるかの判定処理を繰り返す。
【0131】
(ステップS1803)
リール制御手段306または払出制御手段310は、リール134c、134d(図中、第3、第4リールとして示す)のモータフェーズを取得する。
【0132】
(ステップS1804)
リール制御手段306または払出制御手段310は、上記ステップS1803において取得したリール134c、134dのモータフェーズが0であるか否かを判定する。その結果、リール134c、134dのモータフェーズが0であれば、当該励磁開放待ち処理S1800を終了し、リール134c、134dのモータフェーズが0でなければ、ステップS1801に処理を戻す。したがって、リール制御手段306または払出制御手段310は、モータフェーズが0でなければ、0であるかの判定処理を繰り返す。
【0133】
そして、励磁開放待ち処理S1800のフローチャートは、例えば、図16(b)のプログラムによって実現される。また、ワークエリアには、図16(c)に示すように、リール134a、134b、134c、134dのモータフェーズが順に連続して配置されている。
【0134】
図16(b)のプログラムでは、図14(a)と比べ、図14(a)の2行目の「JTQ NZ,(LOW _SMC_PHS+0),EXCFREE」が、図16(b)の2行目の「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+0)」と、図16(b)の3行目の「JR NTZ,EXCFREE」に置換され、図14(a)の3行目の「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+1)」の記述が、図16(b)の4行目のように「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+2)」に変更されている。図16(b)の2行目の「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+0)」は、リール134aのモータフェーズのアドレス(_SMC_PHS+0)と、リール134bのモータフェーズのアドレス(_SMC_PHS+1)の内容をHLレジスタに設定することを示す。なお、単にレジスタに値を呼び出した場合であっても、その呼び出した値が0であれば、第2ゼロフラグは0となる。図16(b)の3行目の「JR NTZ,EXCFREE」は、第2ゼロフラグが0でなければ、EXCFREEに移動することを示す。図16(b)の4行目の「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+2)」は、リール134cのモータフェーズのアドレス(_SMC_PHS+2)と、リール134dのモータフェーズのアドレス(_SMC_PHS+3)の内容をHLレジスタに設定することを示す。また、図16(b)の5行目の「JR NTZ,EXCFREE」は、第2ゼロフラグが0でなければ、EXCFREEに移動することを示す。ここでは、2、3行目のコマンドで、リール134aのモータフェーズとリール134bのモータフェーズとの両者を対象として0であるか否か判定し、4、5行目のコマンドで、リール134cのモータフェーズとリール134dのモータフェーズとの両者を対象として0であるか否か判定している。
【0135】
図14(a)と比較し、命令コードの行数は追加されているが、図14(a)の2行目の「JTQ NZ,(LOW _SMC_PHS+0),EXCFREE」のコマンド長が4バイトであるのに対し、図16(b)の2行目の「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+0)」のコマンド長が3バイト、3行目の「JR NTZ,EXCFREE」のコマンド長が2バイトなので、結果的にコマンド長が1バイトだけの増加に留まっている。また、図16(b)の4行目の「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+2)」への記述変更はコマンド長に影響を及ぼさない(コマンド長は変わらない)。したがって、プログラムのコマンド長の合計が9バイトとなる。
【0136】
したがって、命令コマンド(「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+0)」)によって、2つのリール134a、134bのモータフェーズの値を1命令で読み出すことで、リール134a、134bについてそれぞれ読み出して判定する4バイトのJTQ命令を2回行うよりも、合計で4バイトとなるLDQ命令とJR命令を1回ずつ行う方が、合計バイト数が少なくなる。また、命令コマンド(「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+2)」)によって、2つのリール134c、134dのモータフェーズの値を1命令で読み出すことで、リール134c、134dについてそれぞれ読み出して判定する4バイトのJTQ命令を2回行うよりも、合計で4バイトとなるLDQ命令とJR命令を1回ずつ行う方が、合計バイト数が少なくなる。
【0137】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0138】
また、上述した実施形態では、主制御基板200と副制御基板202とが、遊技を進行するための機能部を分担するように配したが、主制御基板200の機能部を副制御基板202に配しても、副制御基板202の機能部を主制御基板200に配してもよく、また、全ての機能部を1の制御基板に纏めて配することもできる。
【0139】
また、上述した実施形態においては、遊技利益としてボーナス遊技を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、上述したAT演出状態や、リプレイ役の当選確率が通常遊技より高くなるように設定してメダルの消費を抑えることで、メダルの消費に対する当選役の抽選機会を増やす、RT(リプレイタイム)遊技や、上記のATとRT遊技が同時に進行されるART遊技を設けてもよい。
【0140】
また、抽選処理S300における励磁開放待ち処理S800は、当選役抽選処理S301の前に実行されてもよいし、図柄コード設定処理S302の前に実行されてもよいし、1遊技タイマが0となった後(S303におけるYES)に実行されてもよいし、1遊技タイマをセットした後に実行されてもよい。つまり、励磁開放待ち処理S800は、スタートスイッチ128が操作されてから、リール134a、134b、134cの回転が開始される前のいずれかのタイミングで実行されるようにすればよい。
【0141】
また、上述した実施形態においては、デバイスとしてリール134a、134b、134cを例に挙げて説明したが、デバイスはこれに限らない。
【0142】
また、上述した実施形態においては、モータフェーズとして、加速中=3、定常回転中=2、停止中=1、待機中=0としたが、例えば、加速中=2、定常回転中=1、停止中=0、待機中=3のように、0に対応する状態がどのような状態であってもよい。
【0143】
また、上述した実施形態においては、デバイスのパラメータとして、モータフェーズを例に挙げて説明したが、パラメータは、ステップカウンタ値、現在出現図柄番号、停止要求フラグ、インデックス前回値、シーケンスカウンタ、回転エラー検出カウンタ、初回検出エッジ種別等であってもよい。
【0144】
また、上記した実施形態においては、ステッピングモータ262を全相励磁することでリール134a、134b、134cを停止させるようにしたが、ステッピングモータ262を1相励磁または2相励磁することでリール134a、134b、134cを停止させるようにしてもよい。
【0145】
また、上述した主制御基板200および副制御基板202が行う各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【符号の説明】
【0146】
100 スロットマシン(遊技機)
134a、134b、134c リール
200a メインCPU(CPU)
200b メインROM
200c メインRAM
262 ステッピングモータ(モータ)
304 当選役抽選手段
306 リール制御手段
308 判定手段
310 払出制御手段(遊技価値付与手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16