(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189594
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】勧誘装置、勧誘システム、勧誘方法、及び勧誘プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20221215BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098255
(22)【出願日】2021-06-11
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)独立行政法人情報処理推進機構、2021年度未踏IT人材発掘・育成事業(一人一人に合った理由でイベントに誘ってくれるシステムの開発)に関する委託契約、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】安藤 真之介
(72)【発明者】
【氏名】新田 洸平
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】ユーザをイベントに勧誘するときに、勧誘者となるユーザが感じる心理的なハードルの高さを抑制しつつ、被勧誘者として選択されたユーザが抱く誘われている実感を強めること。
【解決手段】勧誘装置のプロセッサは、イベントに勧誘したいユーザの属性を表すイベントタグを含むイベント情報を、勧誘者となるユーザから取得する取得処理(S12)と、データベースにおいて前記イベントタグと合致するユーザタグと関連付けられたユーザを、被勧誘者として選択する選択処理(S14)と、前記イベントへの参加を勧誘する勧誘通知であって、前記イベントタグと合致したユーザタグを含む勧誘通知を、前記選択処理にて選択したユーザに送信する第1の送信処理(S17)と、を実行する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザとそのユーザの属性を表すユーザタグとを関連付けるデータベースを参照して動作する勧誘装置において、
(1)イベントに勧誘したいユーザの属性を表すイベントタグを含むイベント情報を、勧誘者となるユーザから取得する取得処理、(2)前記データベースにおいて前記イベントタグと合致するユーザタグと関連付けられたユーザを、被勧誘者として選択する選択処理、及び、(3)前記イベントへの参加を勧誘する勧誘通知であって、前記イベントタグと合致したユーザタグを含む勧誘通知を、前記選択処理にて選択したユーザに送信する第1の送信処理と、を実行するプロセッサ、を備えている、
ことを特徴とする勧誘装置。
【請求項2】
前記データベースは、複数のユーザの各々に対応するユーザノードと、複数のタグの各々に対応するタグノードと、各ユーザに対応するユーザノードとそのユーザの属性を表すタグである前記ユーザタグに対応するタグノードとを結ぶエッジと、を少なくとも含むグラフデータベースであり、
前記選択処理において、前記イベントタグに対応するタグノードとエッジで結ばれたユーザノードに対応するユーザを、被勧誘者として選択する、
ことを特徴とする請求項1に記載の勧誘装置。
【請求項3】
前記グラフデータベースには、各タグに対応するタグノードとそのタグの上位概念を表すタグに対応する他のタグノードとを結ぶエッジが更に含まれている、
ことを特徴とする請求項2に記載の勧誘装置。
【請求項4】
前記取得処理は、前記イベント情報の一部としてそのイベントの募集人数の下限値及び上限値を勧誘者となるユーザから取得し、
前記プロセッサは、前記被勧誘者の総数が前記下限値未満の場合には、前記イベントタグの上位概念を表すタグを提案タグとして前記勧誘者となるユーザに通知し、前記被勧誘者の総数が前記上限値を超える場合には、前記イベントタグの下位概念を表すタグを提案タグとして前記勧誘者となるユーザに通知する提案処理を更に実行する、
ことを特徴とする請求項3に記載の勧誘装置。
【請求項5】
前記グラフデータベースには、一対のユーザノード同士を結ぶエッジであって、一方のユーザノードに対応するユーザが他方のユーザノードに対応するユーザをフォローしていることを表すエッジが更に含まれており、
前記プロセッサは、
前記取得処理後に、前記イベント情報に対応するイベントノードを前記グラフデータベースに生成するイベントノード生成処理と、
何れかのイベント情報に興味を持ったことを示す入力を前記勧誘者及び前記被勧誘者の何れとも異なるユーザから取得した場合に、そのユーザに対応するユーザノードと、そのユーザが興味を持った前記イベント情報に対応するイベントノードとを、興味を持ったことを示すエッジで結ぶエッジ接続処理と、
イベントノードに対して結ばれている前記興味を持ったことを示すエッジのうち、被勧誘者として選択されたユーザがフォローしているユーザに対応するユーザノードとの間に結ばれている前記興味を持ったことを示すエッジの総数に基づいて、当該イベントノードに対応するイベント情報の盛り上がり度であって、被勧誘者として選択されたユーザにとっての盛り上がり度を算出する盛り上がり度算出処理と、
前記盛り上がり度を被勧誘者として選択されたユーザに送信する第2の送信処理と、を更に実行する、
ことを特徴とする請求項2~4の何れか1項に記載の勧誘装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
各ユーザに対応するユーザノードと、協調フィルタリングにより選択されたタグである推奨タグに対応するタグノードとの間をエッジで結ぶ推奨処理と、
前記推奨タグと前記エッジが結ばれた前記ユーザノードに対応するユーザに、前記推奨タグが付与されたことを示す通知を送信する第3の送信処理と、を更に実行する、
ことを特徴とする請求項2~5の何れか1項に記載の勧誘装置。
【請求項7】
前記選択処理は、前記勧誘者となるユーザと、前記データベースにおいて前記イベントタグと合致するユーザタグと関連付けられた各ユーザとの親密度を算出し、前記データベースにおいて前記イベントタグと合致するユーザタグと関連付けられたユーザのうち、前記親密度が高いユーザから順番に被勧誘者として選択する、
ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の勧誘装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、ユーザの行動の履歴を参照し、そのユーザにおける各ユーザタグの重要度を算出する重要度算出処理を更に実行し、
前記第1の送信処理は、前記勧誘通知を前記選択処理にて選択したユーザに送信する場合に、前記重要度を前記勧誘通知に含める、
ことを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の勧誘装置。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載の勧誘装置と、
前記データベースが格納されたストレージと、を備えている、
ことを特徴とする勧誘システム。
【請求項10】
ユーザとそのユーザの属性を表すユーザタグとを関連付けるデータベースを参照して動作する勧誘方法であって、
(1)イベントに勧誘したいユーザの属性を表すイベントタグを含むイベント情報を、勧誘者となるユーザから取得する取得処理、(2)前記データベースにおいて前記イベントタグと合致するユーザタグと関連付けられたユーザを、被勧誘者として選択する選択処理、及び、(3)前記イベントへの参加を勧誘する勧誘通知であって、前記イベントタグと合致したユーザタグを含む勧誘通知を、前記選択処理にて選択したユーザに送信する第1の送信処理と、を含んでいる、
ことを特徴とする勧誘方法。
【請求項11】
コンピュータを請求項1~8の何れか1項に記載の勧誘装置として機能させるための勧誘プログラムであって、前記コンピュータが備えるプロセッサに前記各処理を実行させる勧誘プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イベントにユーザを勧誘する勧誘装置、勧誘システム、勧誘方法、及び勧誘プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザ間でコミュニケーションを図るアプリケーションとして、ユーザ間でメッセージの送受信を行い、それらのメッセージをタイムライン形式で画面上に表示するメッセンジャーと呼ばれるアプリケーション、及び、ソーシャルネットワークサービス(Social Networking Service, SNS)と呼ばれるアプリケーションが知られている。メッセンジャーの一例としては、LINE(登録商標、非特許文献1参照)が挙げられ、SNSの一例としては、Twitter(登録商標、非特許文献2参照)及びFacebook(登録商標、非特許文献3参照)が挙げられる。
【0003】
これらのアプリケーションは、ユーザ間のコミュニケーションを図るだけではなく、例えば、イベントの勧誘にも用いることができる。勧誘者となるユーザからみた場合に、被勧誘者(換言すれば勧誘のターゲット)となるユーザが特定されている場合には、メッセンジャーを用いた勧誘が適しており、ターゲットとなるユーザが特定されていない場合には、SNSを用いた勧誘が適している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】"Messenger APP", [online], [令和3年6月1日検索]、インターネット<URL: https://line.me/en/>
【非特許文献2】"Twitter is what's happening and what people are talking about right now", [online], [令和3年6月1日検索]、インターネット<https://about.twitter.com>
【非特許文献3】"Let's find more that brings us together", [online], [令和3年6月1日検索]、インターネット<https://about.facebook.com/technologies/facebook-app>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した2タイプの勧誘のうち、メッセンジャーを用いた勧誘においては、被勧誘者として選択されたユーザは、勧誘者により自身が選択されていることが明らかであるため、自身が誘われているという実感を強く抱くことができる。その一方で、勧誘者となるユーザにとっては、被勧誘者を明確に選択することが求められるため、心理的なハードルが高くなりやすい。
【0006】
上述した2タイプの勧誘のうち、SNSを用いた勧誘においては、勧誘者となるユーザは、被勧誘者を特定することなくユーザを勧誘することができる。そのため、勧誘者となるユーザが感じ得る心理的なハードルは低くなりやすい。その一方で、被勧誘者として選択されたユーザは、勧誘者となるユーザが勧誘したいと考えているターゲットに自身が含まれているのか否かを判断することが難しい場合が多い。そのため、被勧誘者として選択されたユーザにとっては、誘われている実感を抱くことが難しく、勧誘されたイベントに興味を抱いた場合であっても、イベントに参加することを躊躇しやすい。
【0007】
本発明の一態様は、上述した課題に鑑みなされたものであり、その目的は、ユーザをイベントに勧誘するときに、勧誘者となるユーザが感じる心理的なハードルの高さを抑制しつつ、被勧誘者として選択されたユーザが抱く誘われている実感を強めることができる勧誘装置、勧誘システム、勧誘方法、及び勧誘プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る勧誘装置は、ユーザとそのユーザの属性を表すユーザタグとを関連付けるデータベースを参照して動作する勧誘装置である。上記の課題を解決するために、本勧誘装置は、(1)イベントに勧誘したいユーザの属性を表すイベントタグを含むイベント情報を、勧誘者となるユーザから取得する取得処理、(2)前記データベースにおいて前記イベントタグと合致するユーザタグと関連付けられたユーザを、被勧誘者として選択する選択処理、及び、(3)前記イベントへの参加を勧誘する勧誘通知であって、前記イベントタグと合致したユーザタグを含む勧誘通知を、前記選択処理にて選択したユーザに送信する第1の送信処理と、を実行するプロセッサを備えている。
【0009】
本発明の一態様に係る勧誘システムは、本発明の一態様に係る勧誘装置と、前記データベースが格納されたストレージと、を備えている。
【0010】
また、本発明の一態様に係る勧誘方法は、ユーザとそのユーザの属性を表すユーザタグとを関連付けるデータベースを参照して動作する勧誘方法である。上記の課題を解決するために、本勧誘方法は、(1)イベントに勧誘したいユーザの属性を表すイベントタグを含むイベント情報を、勧誘者となるユーザから取得する取得処理、(2)前記データベースにおいて前記イベントタグと合致するユーザタグと関連付けられたユーザを、被勧誘者として選択する選択処理、及び、(3)前記イベントへの参加を勧誘する勧誘通知であって、前記イベントタグと合致したユーザタグを含む勧誘通知を、前記選択処理にて選択したユーザに送信する第1の送信処理と、を含んでいる。
【0011】
本発明の各態様に係る勧誘装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記勧誘装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記勧誘装置をコンピュータにて実現させる勧誘プログラム、及び、それを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、ユーザをイベントに勧誘するときに、勧誘者となるユーザが感じる心理的なハードルの高さを抑制しつつ、被勧誘者として選択されたユーザが抱く誘われている実感を強めることができる勧誘装置、勧誘システム、勧誘方法、及び勧誘プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る勧誘装置を含む勧誘システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示した勧誘装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1に示した勧誘装置が実行する勧誘方法の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図1に示した勧誘装置が参照するグラフデータベースの模式図である。
【
図5】(a)は、
図3に示した勧誘方法に含まれる取得処理に先立って、勧誘者となるユーザがイベント情報を作成するために用いる画面のスクリーンショットである。(b)は、(a)に示した画面において「タグを選択」をタップした場合に表示される画面のスクリーンショットである。
【
図6】(a)は、
図3に示した勧誘方法に含まれる第1の送信処理を実行した結果、被勧誘者として選択されたユーザの端末に表示される画面のスクリーンショットである。(b)は、(a)に示した画面に表示される複数のイベントの1つである「ポーカー大会」をタップした場合に表示される画面のスクリーンショットである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔勧誘システムの構成〕
【0015】
本発明の一実施形態に係る勧誘装置1を含む勧誘システム100について、
図1を参照して説明する。
図1は、勧誘システム100の構成を示すブロック図である。なお、勧誘システム100も本発明の範疇に含まれる。
【0016】
勧誘システム100は、勧誘者となるユーザがイベントを設定し、勧誘装置1により被勧誘者として選択されたユーザをイベントに勧誘するためのシステムである。本実施形態において、イベントの態様は、参加する複数のユーザが少なくとも時間を共有するものであれば限定されない。また、本実施形態において、イベントの規模や参加ユーザ数なども限定されない。イベントの態様としては、複数のユーザが集まって、おしゃべりを楽しむ、飲食を楽しむ、及び、1つのゲームやスポーツやアクティビティやエンターテイメントなどを楽しむ、といった例が挙げられる。なお、イベントは、複数のユーザが同じ場所で面会するオフライン形式でもよいし、複数のユーザがインターネットを介して面会するオンライン形式でもよい。また、イベントは、複数のユーザが集まっている各会場をオンラインで接続するような、オフラインとオンラインとを組み合わせた形式であってもよい。
【0017】
図1に示すように、勧誘システム100は、勧誘装置1と、データベース2と、スマートフォン3,4と、を備えている。本実施形態においては、勧誘者となるユーザの例としてユーザU31を用い、被勧誘者として選択されたユーザの例としてユーザU41を用いる。スマートフォン3及びスマートフォン4の各々は、それぞれ、ユーザU31及びユーザU41が使用するスマートフォンである。
【0018】
なお、
図1には図示を省略しているが、勧誘システム100には、ユーザU31,U41以外にも多数のユーザが登録されている。すなわち、勧誘システム100には、スマートフォン3,4以外にも多数の端末(スマートフォンや、タブレットや、コンピュータなど)が含まれている。
【0019】
本実施形態において、コンピュータを勧誘装置1として機能させるための勧誘プログラムP(
図2参照)は、Webアプリケーションとして実現されている。ただし、本勧誘プログラムは、ネイティブアプリケーションとして実現されていてもよい。
【0020】
勧誘装置1は、ユーザU31が設定したイベントについて、データベース2を参照して動作する装置であって、被勧誘者として好適と考えられるユーザ(本実施形態では、例えばユーザU41)を選択し、被勧誘者として選択されたユーザをイベントに勧誘するための装置である。
【0021】
データベース2は、勧誘システム100に登録されている各ユーザとその各ユーザの属性を表すユーザタグとを関連付けるデータベースである。
図5を参照して後述するように、本実施形態では、データベース2としてグラフデータベースを採用している。データベース2についての詳細は、
図4を参照して後述する。
【0022】
ただし、データベース2は、グラフデータベースに限定されず、既存のデータベースの中から適宜選択することができる。グラフデータベース以外のデータベースの例としては、リレーショナルデータベースが挙げられる。
【0023】
本実施形態において、
図1に示すように、データベース2は、勧誘装置1の外部に設けられたストレージに格納されている。ただし、データベース2は、勧誘装置1の内部に設けられたストレージに格納されていてもよい。データベース2を勧誘装置1の内部に設ける構成の一例としては、勧誘装置1が備えているストレージ13にデータベース2を格納しておき、メモリ11上にデータベース2を展開する構成が挙げられる。また、勧誘装置1は、ストレージ13とは異なるストレージを更に備えている場合、データベース2は、ストレージ13とは異なるそのストレージに格納されていてもよい。
【0024】
〔装置の構成〕
勧誘装置1の構成について、
図2を参照して説明する。
図2は、勧誘装置1の構成を示すブロック図である。
【0025】
図2に示すように、勧誘装置1は、メモリ11と、プロセッサ12と、ストレージ13と、を備えている。メモリ11、プロセッサ12、及びストレージ13は、不図示のバスを介して互いに接続されている。このバスには、更に、不図示の入出力インタフェース、及び、不図示の通信インタフェースが接続されていてもよい。この入出力インタフェースは、例えば、外部装置(例えば、スマートフォン3)からデータ(例えば、後述するイベント情報)を取得するため、或いは、勧誘装置1から外部装置(例えば、スマートフォン4)にデータ(例えば、後述する勧誘通知)を出力するために利用される。また、この通信インタフェースは、例えば、外部装置(例えば、データベース2)を参照したり、更新したりするために利用される。
【0026】
メモリ11は、
図3を参照して後述する勧誘方法S1を実行するための勧誘プログラムPを記憶するための構成である。
【0027】
プロセッサ12は、データベース2を参照しつつ、メモリ11に展開された勧誘プログラムPを実行することにより、後述する勧誘方法S1を実行するための構成である。プロセッサ12としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ、マイクロコントローラ、TPU(Tensor Processing Unit)等のASIC(Application Specific Integrated Circuit)又は、これらの組み合わせ等を用いることができる。
【0028】
ストレージ13は、上述した勧誘プログラムPを格納(不揮発保存)するための構成である。プロセッサ12は、勧誘方法S1を実行する際にストレージ13に格納された勧誘プログラムPをメモリ11上に展開して利用する。なお、ストレージ13としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせ等を用いることができる。
【0029】
なお、プロセッサ12に勧誘方法S1を実行させるための勧誘プログラムPは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録され得る。この記録媒体は、メモリ11であってもよいし、ストレージ13であってもよいし、その他の記録媒体であってもよい。例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブル論理回路が、その他の記録媒体として利用可能である。
【0030】
〔勧誘方法の流れ〕
勧誘装置1のプロセッサ12が実行する勧誘方法S1の流れについて、
図3~
図6を参照して説明する。
【0031】
図3は、勧誘方法S1の流れを示すフローチャートである。
【0032】
図4は、勧誘装置1が参照するデータベース2であるグラフデータベースの模式図である。
【0033】
図5の(a)は、勧誘方法S1に含まれる取得処理S12に先立って、勧誘者となるユーザU31がイベント情報を作成するために用いる画面のスクリーンショットである。
図5の(b)は、
図5の(a)に示した画面において「タグを選択」をタップした場合に表示される画面のスクリーンショットである。なお、
図5の(a)及び(b)の画面は、ユーザU31が使用する端末であるスマートフォン3に表示される。
【0034】
図6の(a)は、勧誘方法S1に含まれる第1の送信処理S17を実行した結果、被勧誘者として選択されたユーザU41の端末(すなわちスマートフォン4)に表示される画面のスクリーンショットである。
図6の(b)は、
図6の(a)に示した画面に表示される複数のイベントの1つである「ポーカー大会」をタップした場合に、スマートフォン4に表示される画面のスクリーンショットである。
【0035】
<グラフデータベース>
勧誘システム100においては、ナレッジグラフを用いたデータの管理を実現するために、勧誘装置1が参照するデータベース2としてグラフデータベースを採用している。
図4には、データベース2であるグラフデータベースの一部を模式的に示している。勧誘システム100では、ナレッジグラフの主な構成要素であるユーザ、タグ、及びイベントの各々を各要素とする。グラフデータベースでは、各要素をノード(すなわち、ユーザノード、タグノード、及びイベントノード)として扱う。また、データベース2では、2つのノード間を1対1で結ぶエッジを用いて、2つのノード間の関係性を表している。このように、データベース2は、複数のユーザの各々に対応するユーザノードと、複数のタグの各々に対応するタグノードと、各ユーザに対応するユーザノードとそのユーザの属性を表すタグである前記ユーザタグに対応するタグノードとを結ぶエッジと、を少なくとも含んだグラフデータベースである。
【0036】
(ノード)
各ノードには、関連情報をプロパティとして付与できる。データベース2では、各ノードの作成時に、ノードID、作成日時、及び更新日時をプロパティとして各ノードに付与する。
【0037】
ユーザノードは、勧誘システム100において各ユーザがアカウントを作成したとき、すなわち、勧誘システム100に各ユーザが登録されたときに作成される(後述する登録処理S11参照)。ユーザノードには、ユーザ名、ユーザID、自己紹介文、及びユーザ認証におけるUIDなどの関連情報をプロパティとして持たせている。
【0038】
タグノードは,勧誘システム100において、ユーザがタグ作成を行ったときに作成される。タグノードの関連情報には,タグの名前のみをプロパティとして付与している。タグの種類は、いくつかに分けられる。タグの種類の例としては、ユーザの所属に関するタグや、ユーザの好みの対象や興味の対象などに関するタグや、ユーザの性格に関するタグなどが挙げられる。タグの決め方には特にルールや制限などがなく、ユーザが自由にタグを決めることができる。
【0039】
イベントノードは、勧誘システム100においてユーザがイベント情報を作成し、そのイベント情報を勧誘装置1が取得したときに作成される(後述する取得処理S12参照)。イベントノードには、タイトル、詳細な説明、募集人数の上限値、募集人数の下限値、開催場所、及び関連URLなどの関連情報をプロパティとして持たせている。
【0040】
なお、ユーザノード、タグノード、及びイベントノードの作成は、クエリにより実行される。
【0041】
(エッジ)
ノード間の関係性は、複数種類のエッジによって構成される。
図4においては、矢印を用いて各エッジを表現している。エッジには、ノードと同様に、関連情報をラベル(あるいはプロパティ)として付与できる。勧誘システム100においては、エッジの種類をラベルとして付与している。
【0042】
勧誘システム100において、エッジの種類は、Accept、Comment、Create、Follow、Select、Is-a、Tagged、及びTargetTagの8種類である。ただし、エッジの種類は、8種類に限定されない。また、これら8種類のエッジの名称は、あくまでも一例である。各エッジの名称は、各エッジを識別可能な名称であって、各エッジに固有の名称であればよい。この条件を満たす限り、各エッジには任意の名称を付すことができる。例えば、Is-aという名称に代えて、例えばSuperiorという名称を用いてもよい。
【0043】
Acceptは、被勧誘者として勧誘装置1に選択されたユーザU41が、イベントに対して興味ありとの意思を示したことを表すエッジであり、ユーザU41に対応するユーザノードからイベントノード(
図4においてはポーカー大会)に向けて作成される。
【0044】
なお、以下において、2つのタグ間に形成されたエッジは、2つのタグ同士を結んでいるとも表現する。
【0045】
Commentは、ユーザがイベントに対してコメントしたことを表すエッジであり、コメントしたユーザに対応するユーザノード(
図4においてはユーザU31)からイベントノード(
図4においてはポーカー大会)に向けて作成される。
【0046】
Createは、勧誘者であるユーザU31がお誘いを作成したことを表すエッジであり、ユーザU31に対応するユーザノードからイベントノード(
図4においてはポーカー大会)に向けて作成される。
【0047】
Followは、ユーザが他のユーザをフォローしていることを表すエッジであり、フォローするユーザのユーザノードからフォローされるユーザのユーザノードに向けて作成される。すなわち、Followは、一対のユーザノード同士を結ぶエッジであって、一方のユーザノードに対応するユーザが他方のユーザノードに対応するユーザをフォローしていることを表す。
【0048】
Selectは、ユーザがタグを自分の表現として選択したことを表すエッジであり、ユーザからタグに向けて作成される。
図4において、ユーザU31及びユーザU41の各々は、何れも、映画、カードゲーム、トランプ、及びテニス部のタグを自分の表現として選択済である。以下において、タグを自分の表現として選択することをユーザがタグを身につけるとも表現する。
【0049】
Is-aは、2つのタグ間における階層関係を表すエッジであり、下位概念に相当するタグのタグノードから、上位概念に相当するタグのタグノードに向けて作成される。例えば、
図4に図示したグラフデータベース上には、トランプというタグノードと、カードゲームというタグノードとがグラフデータベース上に存在する。この場合、Is-aは、トランプからカードゲームに向けて形成される。Is-aは、各タグに対応するタグノードとそのタグの上位概念を表すタグに対応する他のタグノードとを結ぶエッジの一例である。
【0050】
Taggedは、ユーザに対して推奨のタグ付けが行われたことを表すエッジであり、タグ付けされたタグノードからユーザノードに向けて作成される。
【0051】
TargetTagは、タグがイベントに勧誘したいユーザの属性を表すイベントタグとして指定されたことを示すエッジであり、イベントノードからイベントタグとして指定されたタグのタグノードに向けて作成される。
図4においては、ポーカー大会のイベントノードからトランプ及びテニス部の各々のタグノードに向けてTargetTagが形成されている。
【0052】
<勧誘方法の各処理>
勧誘方法S1は、
図3に示すように、登録処理S11と、取得処理S12と、イベントノード生成処理S13と、選択処理S14と、提案処理S15と、重要度算出処理S16と、第1の送信処理S17と、エッジ接続処理S18と、盛り上がり度算出処理S19と、第2の送信処理S20と、推奨処理S21と、第3の送信処理S22と、を含んでいる。
【0053】
(登録処理)
登録処理S11は、勧誘システム100のアカウントをユーザが作成する工程であり、勧誘システム100にユーザを登録する工程である。勧誘システム100においては、ユーザがアカウントを作成するときに、最低でも3つのタグを自分の表現として選択するように求めている。登録処理S11が実行されることにより、新規にアカウントが作成されたユーザのユーザノードがグラフデータベース上に形成される。また、登録処理S11が実行されることにより、作成されたユーザノードから選択されたタグのタグノードへSelectが形成される。なお、ユーザが選択したタグのタグノードがグラフデータベース上に存在しない場合には、そのタグのタグノードがグラフデータベース上に形成され、作成されたユーザノードから作成されたタグノードへSelectが形成される。
【0054】
なお、登録処理S11において、ユーザは、ユーザ名、ユーザID、自己紹介文、及びユーザ認証におけるUIDなどを入力するよう勧誘装置1より求められる。入力されたユーザ名、ユーザID、自己紹介文、及びユーザ認証におけるUIDなどは、関連情報としてユーザノードのプロパティに付される。
【0055】
勧誘者となるユーザU31は、スマートフォン3に作成するイベントの情報であるイベント情報を入力する。ユーザU31がイベント情報を入力するときにスマートフォン3に表示される画面の一例を
図5の(a)に示す。画面に表示された項目にしたがって、ユーザU31は、イベント情報を入力する。勧誘システム100は、ユーザがイベントを作成するとき、そのイベントに関して、タイトル、詳細な説明、募集人数の下限値、募集人数の上限値、1又は複数のイベントタグ、公開範囲、開催場所、及び関連URLなどの関連情報を入力するようにユーザに求める。なお、イベント情報には、少なくとも、タイトル及び1又は複数のイベントタグが含まれていればよく、募集人数の下限値及び募集人数の上限値が含まれていることが好ましい。後述する提案処理S15において募集人数の下限値及び上限値を参照するためである。
【0056】
イベントタグは、作成するイベントに勧誘したいユーザの属性を表すタグである。
図5の(a)に示す画面に表示されている1行目の「タグを選択」をタップすると、
図5の(b)に示すようにタグのリストが画面に表示される。そのリストの中から1又は複数のタグを選択することによって、選択した1又は複数のタグが1行目の「タグを選択」の欄に入力される。1行目の「タグを選択」の欄と同様に、2行目及び3行目の「タグを選択」の欄についても1又は複数のタグを選択することができる。
【0057】
(取得処理)
取得処理S12は、ユーザU31がスマートフォン3に入力したイベント情報(すなわち、タイトル、詳細な説明、募集人数の下限値、募集人数の上限値、1又は複数のイベントタグ、公開範囲、開催場所、及び関連URLなど)を、勧誘装置1が取得する処理である。すなわち、取得処理S12は、イベントに勧誘したいユーザの属性を表すイベントタグを含むイベント情報を、勧誘者となるユーザU31から取得する処理である。
【0058】
(イベントノード生成処理)
イベントノード生成処理S13は、スマートフォン3から取得したイベント情報のタイトルを用いて、そのイベント情報に対応するイベントノードをグラフデータベース上に作成する処理である。
【0059】
また、イベントノード生成処理S13を実行した後に、プロセッサ12は、当該イベントノードから選択されたイベントタグに対応するタグノードに向けてTargetTagを形成する。これらの処理を実行することにより、
図4に示した例では、グラフデータベース上にポーカー大会のイベントノードが形成され、そのイベントノードからトランプ及びテニス部の各々のタグノードに向かってTargetTagが形成される。
【0060】
(選択処理)
選択処理S14は、グラフデータベースにおいてイベントタグと合致するユーザタグと関連付けられたユーザを、被勧誘者として選択する処理である。具体的には、選択処理S14は、イベントタグに対応するタグノードとSelectのエッジで結ばれたユーザノードに対応するユーザを、被勧誘者として選択する。
【0061】
例えば、イベントタグとして1つのタグ(例えばトランプ)が選択されていた場合、プロセッサ12は、トランプのタグノードとの間にSelectが形成されているユーザノードのユーザを被勧誘者として選択する。
【0062】
また、例えば、ユーザU31がイベント情報を入力するときに、イベントタグとして複数のタグ(例えばトランプ及びテニス部)が同じ行の「タグを選択」の欄に入力されていた場合、プロセッサ12は、トランプのタグノードとの間にSelectが形成されており、且つ、カードゲームのタグノードとの間にSelectが形成されているユーザノードのユーザを被勧誘者として選択する。
【0063】
また、例えば、ユーザU31がイベント情報を入力するときに、イベントタグとして複数のタグ(例えばトランプ及びテニス部)が異なる行の「タグを選択」の欄に入力されていた場合、プロセッサ12は、トランプのタグノードとの間にSelectが形成されているユーザノードのユーザ、又は、カードゲームのタグノードとの間にSelectが形成されているユーザノードのユーザを被勧誘者として選択する。
【0064】
以上のように、プロセッサ12は、選択処理S14において、複数のイベントタグを用いて、これらのイベントタグと合致するユーザタグを検索する場合に、複数のイベントタグのandをとってもよいし、orをとってもよいし、andとorとを組み合わせてもよい。
【0065】
また、選択処理S14は、ユーザU31と、グラフデータベースにおいてイベントタグと合致するユーザタグと関連付けられた各ユーザとの親密度を算出し、グラフデータベースにおいてイベントタグと合致するユーザタグと関連付けられたユーザのうち、親密度が高いユーザから順番に被勧誘者として選択する、ように構成されていてもよい。
【0066】
勧誘装置1においては、2人のユーザ(例えばユーザAとユーザBとする)間における親密度を、(フォロー・フォロワー関係)×(タグ重複数)×(参加重複数)により求めている。
【0067】
フォロー・フォロワー関係は、ユーザA,B間において、相互方向にフォローを表すFollowのエッジが形成されている場合には2、何れか一方方向にFollowのエッジが形成されている場合には1、何れの方向にもFollowのエッジが形成されていない場合には0とする。
【0068】
タグ重複数としては,ユーザAが身につけているユーザタグのタグ集合と、ユーザBが身につけているユーザタグのタグ集合との積集合によって求めた要素数m(mは正の整数)を用いる。
【0069】
参加重複数では、ユーザAが興味を持っていることを示したイベントのイベント集合と、ユーザBが興味を持っていることを示したイベントのイベント集合との積集合によって求めた要素数n(nは正の整数)を用いる。
【0070】
(提案処理)
提案処理S15において、プロセッサ12は、選択処理S14において選択された被勧誘者の総数と、イベント情報に含まれている募集人数の下限値及び募集人数の上限値と、を参照し、これらを比較する。プロセッサ12は、被勧誘者の総数が募集人数に対して多すぎたり少なすぎたりした場合には、イベントタグとして選択されたタグのタグノードに結ばれているIs-aを用いて、イベントタグの上位概念又は下位概念を表すタグを検索する。そのうえで、募集人数に対して被勧誘者が適切な数になるように、イベントタグの変更をユーザU31に提案する。
【0071】
具体的には、被勧誘者の総数が募集人数の下限値未満の場合、プロセッサ12は、Is-aを用いて、イベントタグの上位概念を表すタグを検索し、そのタグを提案タグとして勧誘者となるユーザU31に通知する。一方、被勧誘者の総数が募集人数の上限値を超える場合、プロセッサ12は、イベントタグの下位概念を表すタグを提案タグとして勧誘者となるユーザU31に通知する。
【0072】
なお、本実施形態では、募集人数に対する被勧誘者の適切な数として、募集人数の下限値以上上限値以下を採用している。ただし、募集人数に対する被勧誘者の適切な数は、被勧誘者の参加率にも依存するので、これに限定されない。たとえば、募集人数に対する被勧誘者の適切な数として、募集人数の上限値の2倍を採用し、この適切な数に近づけるように、プロセッサ12は構成されていてもよい。
【0073】
新しいイベントタグの候補となる提案タグを確認したユーザU31は、提案タグを新しいイベントタグとして採用するか否かをスマートフォン3に入力する。採用する場合、プロセッサ12は、選択処理S14及び提案処理S15を再度実行する。選択処理S14及び提案処理S15は、募集人数に対して被勧誘者が適切な数になった場合か、ユーザU31が提案タグを採用しなかった場合に終了する。
【0074】
(重要度算出処理)
重要度算出処理S16は、被勧誘者として選択されるユーザ(例えばユーザU41)にとって、重要なタグをイベントタグとして指定しているイベントはより魅力的であるという考えに基づいている。重要度算出処理S16は、被勧誘者として選択されるユーザの勧誘システム100における行動の履歴を参照し、被勧誘者として選択されるユーザにおける各ユーザタグの重要度を算出する。ユーザにとってのイベントタグとして指定されているタグの重要度は、ユーザにとってのイベントの重要度と言い替えられる。
【0075】
具体的には、重要度算出処理S16は、ユーザU41が勧誘者として、これまでにイベント情報を入力したとき(イベントを作成したとき)に、そのイベント情報に含まれるイベントタグとして選択した回数をユーザタグ毎に集計し、その回数の多い順に、そのユーザU31における各ユーザタグの重要度を定めてもよい。また、重要度算出処理S16は、ユーザU41がこれまでに参加の意思を示したイベントのイベント情報を参照し、イベントタグとして含まれていた回数を、ユーザタグ毎に集計し、その回数の多い順に、そのユーザU41における各ユーザタグの重要度を定めてもよい。また、重要度算出処理S16は、上述した2つの処理を併せて実行してもよい。
【0076】
(第1の送信処理)
第1の送信処理S17は、イベントへの参加を勧誘する勧誘通知であって、イベント情報に加えてイベントタグと合致したユーザタグを含む勧誘通知を、選択処理S14にて選択したユーザに送信する処理である。本実施形態では、プロセッサ12が重要度算出処理S16も実行しているので、プロセッサ12は、イベントタグとして指定されているタグの重要度を勧誘通知に含める。
【0077】
勧誘装置1から勧誘通知を受け取ったスマートフォン4は、例えば、
図6の(a)に示すように、これまでに受け取った勧誘通知を画面に表示する。
図6の(a)に示すスクリーンショットにおいては、1件の勧誘通知として、勧誘者であるユーザと、イベントのタイトルと、イベントタグに合致したユーザタグとが表示されている。
【0078】
このように、勧誘装置1がユーザU41に送信する勧誘通知には、イベントタグと合致したユーザタグが含まれている。したがって、ユーザU41は、勧誘通知を確認したときに、自身が被勧誘者として選択された理由を理解することができる。したがって、勧誘装置1及び勧誘方法S1は、被勧誘者として選択されたユーザが抱く「誘われている実感」を強めることができる。
【0079】
(エッジ接続処理)
ユーザU41が何れかの勧誘通知をタップすると、
図6の(b)に示すように、タップされた勧誘通知に含まれるイベントのイベント情報が表示される。
【0080】
図6の(b)に示した画面には、ユーザU41がこのイベントに興味をもったときにその意思を表明するためのボタンが設けられている。ユーザU41がそのボタンをタップすることにより、ユーザU41がこのイベントに興味をもったという情報が勧誘装置1に送信される。その情報を受けて、プロセッサ12は、ユーザU41のユーザノードから当該イベントのイベントノードへ向かうAcceptのエッジを形成する(
図4参照)。なお、
図6の(b)では、ユーザがボタンをタップしたあとの状態のスクリーンショットを示しているのでボタンに「興味アリ中」と表示されている。
【0081】
このように、エッジ接続処理S18は、イベント情報に興味を持ったことを示す入力をユーザから取得した場合に、そのユーザに対応するユーザノードと、そのユーザが興味を持ったイベント情報に対応するイベントノードとを、興味を持ったことを示すエッジ(Accept)で結ぶ処理である。
【0082】
また、
図6の(b)に示した画面には、このイベントに興味をもっている他のユーザのユーザ名が示されている。
【0083】
また、勧誘システム100においては、
図6の(b)に示した画面を用いて、ユーザU41がこのイベントについてのコメントを投稿できるように、タイムライン形式のチャット機能が実装されている。ユーザU41がこのイベントについてのコメントを投稿すると、プロセッサ12は、ユーザU41のユーザノードから当該イベントのイベントノードへ向かうCommentのエッジを形成する(
図4参照)。
【0084】
(盛り上がり度算出処理)
盛り上がり度算出処理S19は、イベントノード(本実施形態においてはポーカー大会のイベントノード)に対して結ばれているAcceptのエッジのうち、被勧誘者として選択されたユーザU41がフォローしているユーザに対応するユーザノードとの間に結ばれているAcceptのエッジの総数に基づいて、当該イベントノードに対応するイベント情報(すなわちイベント)の盛り上がり度を算出する処理である。この盛り上がり度は、ユーザU41にとっての当該イベントの盛り上がり度を表す。
【0085】
盛り上がり度算出処理S19は、フォローしているユーザが複数参加するようなイベントはより魅力的であるという考えに基づいて実装されている。
【0086】
(第2の送信処理)
第2の送信処理S20は、盛り上がり度算出処理S19により算出された盛り上がり度をユーザU41のスマートフォン4に送信する処理である。
【0087】
(推奨処理)
推奨処理S21は、グラフデータベースを参照して協調フィルタリングを実行することにより、各ユーザに身につけることを推奨するタグを選択し、そのユーザに対応するユーザノードと、協調フィルタリングにより選択されたタグである推奨タグに対応するタグノードとの間をTargetTagのエッジで結ぶ処理である。
【0088】
協調フィルタリングは、ユーザベースとアイテムベースとの両方を利用することが好ましい。協調フィルタリングの根拠となるノード数に応じてユーザノードの類似度を求め、閾値を超える場合にのみ、そのユーザに対応するユーザノードと推奨タグに対応するタグノードとの間をTargetTagのエッジで結ぶ。
【0089】
TargetTagのエッジは、勧誘装置1が各ユーザに対して自動的に推奨タグを付与する場合に用いられるエッジであるが、選択処理S14においては、Selectのエッジと同様に機能する。このように推奨タグをユーザに自動的に付与することによって、ユーザが身につけるタグを豊富にすることができる。したがって、ユーザが被勧誘者として選択される頻度、すなわちイベントに勧誘される頻度を高めることができる。さらに、イベントを作成するときに、被勧誘者として選択されるユーザ数が増加するので、募集人数の下限値を満たすことができる確率が向上する。
【0090】
自動付与された推奨タグは、ユーザによって容易に確認可能である。ユーザに対して付された推奨タグが適合していないとユーザ自身が判断した場合には、推奨タグのタグ付けを容易に解除(TargetTagのエッジの削除)することができる。
【0091】
(第3の送信処理)
第3の送信処理S22は、推奨処理S21において推奨タグがタグ付けされたユーザに対応するユーザに、推奨タグが付与されたことを示す通知を送信する処理である。
【0092】
推奨タグがタグ付けされたことを確認したユーザは、推奨タグが自分の表現として適切だと感じた場合にはタグ付けされたままにしておくことができるし、適切ではないと感じた場合には、推奨タグのタグ付けを解除することができる。
【0093】
<勧誘装置、勧誘システム、及び勧誘方法の効果>
上述した勧誘装置1、勧誘システム100、及び勧誘方法S1の効果を以下にまとめる。勧誘装置1は、ユーザとそのユーザの属性を表すユーザタグとを関連付けるデータベース2(本実施形態ではグラフデータベース)を参照して動作する装置である。勧誘システム100は、勧誘装置1と、データベース2を格納したストレージとを備えている。勧誘方法S1は、勧誘装置1のプロセッサ12が実行する各処理を含む。勧誘システム100及び勧誘方法S1は、勧誘装置1と同様の効果を奏する。したがって、以下には、勧誘装置1の効果を記載する。
【0094】
勧誘装置1は、(1)イベントに勧誘したいユーザの属性を表すイベントタグを含むイベント情報を、勧誘者となるユーザU31から取得する取得処理S12、(2)データベース2(グラフデータベース)において前記イベントタグと合致するユーザタグと関連付けられたユーザを、被勧誘者として選択する選択処理S14、及び、(3)前記イベントへの参加を勧誘する勧誘通知であって、前記イベントタグと合致したユーザタグを含む勧誘通知を、選択処理S14にて選択したユーザ(例えばユーザU41)に送信する第1の送信処理S17と、を実行するプロセッサ、を備えている。
【0095】
ユーザU31は、イベント情報をスマートフォン3に入力することによってイベントを作成する場合に、被勧誘者を特定することを求められない。また、ユーザU41は、勧誘通知に含まれているイベントタグと合致したユーザタグを参照することによって、自身が被勧誘者として選択された理由を理解することができる。換言すれば、ユーザU41は、ユーザU31が勧誘したいと考えているターゲットに自身が含まれていることを理解することができる。したがって、勧誘装置1は、勧誘者となるユーザU31が感じる心理的なハードルの高さを抑制しつつ、被勧誘者として選択されたユーザU41が抱く「誘われている実感」を強めることができる。
【0096】
また、データベース2は、複数のユーザの各々に対応するユーザノードと、複数のタグの各々に対応するタグノードと、各ユーザに対応するユーザノードとそのユーザの属性を表すタグである前記ユーザタグに対応するタグノードとを結ぶエッジと、を少なくとも含むグラフデータベースであり、選択処理S14において、前記イベントタグに対応するタグノードとエッジで結ばれたユーザノードに対応するユーザを、被勧誘者として選択する、ことが好ましい。
【0097】
データベース2としてグラフデータベースを採用することによって、リレーショナルデータベースなど他の形式のデータベースを採用する場合と比較して、選択処理S14において被勧誘者を選択するときの効率を高めることができる。
【0098】
また、グラフデータベースには、各タグに対応するタグノードとそのタグの上位概念を表すタグに対応する他のタグノードとを結ぶIs-aのエッジが更に含まれている、ことが好ましい。
【0099】
Is-aのエッジを用いることにより、タグ間における階層関係をグラフデータベースで表現することができる。したがって、被勧誘者を選択する場合、イベントタグと一致するユーザタグを選択するだけでなく、イベントタグの上位概念又は下位概念にあたるユーザタグを選択することもできる。後者によれば、被勧誘者として選択するユーザ数を増加させることができる。
【0100】
なお、このイベントタグの上位概念又は下位概念にあたるユーザタグのことを本願明細書では、イベントタグに合致するユーザタグと表現している。
【0101】
このように、選択処理S14は、イベントタグと一致するユーザタグと関連付けられたユーザを被勧誘者として選択するように構成されていてもよいし、イベントタグと合致するユーザタグと関連付けられたユーザを被勧誘者として選択するように構成されていてもよい。後者の場合、勧誘通知にイベントタグそのものを含めてしまうと、被勧誘者として選択されたユーザが身につけているタグと一致しない可能性がある。したがって、後者の場合、イベントタグと合致するユーザタグを勧誘通知に含めることが好ましい。
【0102】
また、取得処理S12は、前記イベント情報の一部としてそのイベントの募集人数の下限値及び上限値を勧誘者となるユーザから取得し、プロセッサ12は、前記被勧誘者の総数が前記下限値未満の場合には、前記イベントタグの上位概念を表すタグを提案タグとして前記勧誘者となるユーザに通知し、前記被勧誘者の総数が前記上限値を超える場合には、前記イベントタグの下位概念を表すタグを提案タグとして前記勧誘者となるユーザに通知する提案処理を更に実行する、ことが好ましい。
【0103】
勧誘装置1において、被勧誘者として選択されるユーザ数が適切な人数になるためには、適切なイベントタグを選択することが重要である。このように、タグ間における階層関係を用いて提案タグをユーザU41に提案することによって、被勧誘者として選択されるユーザ数を適切な人数に近づけることが容易になる。
【0104】
また、前記グラフデータベースには、一対のユーザノード同士を結ぶエッジであって、一方のユーザノードに対応するユーザが他方のユーザノードに対応するユーザをフォローしていることを表すFollowのエッジが更に含まれており、プロセッサ12は、取得処理S12後に、前記イベント情報に対応するイベントノードを前記グラフデータベースに生成するイベントノード生成処理S13と、何れかのイベント情報に興味を持ったことを示す入力をユーザから取得した場合に、そのユーザに対応するユーザノードと、そのユーザが興味を持った前記イベント情報に対応するイベントノードとを、興味を持ったことを示すAcceptのエッジで結ぶエッジ接続処理S18と、イベントノードに対して結ばれている前記興味を持ったことを示すAcceptのエッジのうち、被勧誘者として選択されたユーザがフォローしているユーザに対応するユーザノードとの間に結ばれている前記興味を持ったことを示すエッジの総数に基づいて、当該イベントノードに対応するイベント情報の盛り上がり度であって、被勧誘者として選択されたユーザにとっての盛り上がり度を算出する盛り上がり度算出処理S19と、前記盛り上がり度を被勧誘者として選択されたユーザに送信する第2の送信処理S20と、を更に実行する、ことが好ましい。
【0105】
例えばユーザU41がフォローしているユーザが複数参加するようなイベントは、ユーザU41にとってより魅力的である。盛り上がり度がユーザU41のスマートフォン4に送信されることによって、スマートフォン4は、盛り上がり度を用いてイベント情報の表示のさせ方をカスタマイズすることができる。カスタマイズの例としては、盛り上がり度が高いイベントのイベント情報を優先的に画面に表示させることがあげられる。
【0106】
また、プロセッサ12は、各ユーザに対応するユーザノードと、協調フィルタリングにより選択されたタグである推奨タグに対応するタグノードとの間をエッジで結ぶ推奨処理S21と、前記推奨タグと前記エッジが結ばれた前記ユーザノードに対応するユーザに、前記推奨タグが付与されたことを示す通知を送信する第3の送信処理S22と、を更に実行する、ことが好ましい。
【0107】
推奨タグは、勧誘装置1が各ユーザに対して自動的に付与したタグであるが、選択処理S14においては、ユーザタグと同様に機能する。このように推奨タグをユーザに自動的に付与することによって、ユーザが身につけるタグを豊富にすることができる。したがって、ユーザが被勧誘者として選択される頻度、すなわちイベントに勧誘される頻度を高めることができる。さらに、イベントを作成するときに、被勧誘者として選択されるユーザ数が増加するので、募集人数の下限値を満たすことができる確率が向上する。
【0108】
また、選択処理S14は、前記勧誘者となるユーザユーザU31と、前記データベース(本実施形態ではグラフデータベース)において前記イベントタグと合致するユーザタグと関連付けられた各ユーザとの親密度を算出し、前記データベースにおいて前記イベントタグと合致するユーザタグと関連付けられたユーザのうち、前記親密度が高いユーザから順番に被勧誘者として選択する、ことが好ましい。
【0109】
あるユーザにとって、自身と関わる回数が多いユーザ(すなわち親密なユーザ)が作成したイベントは、親密でないユーザが作成したイベントよりも魅力的である可能性が高いと考えられる。親密度の高さに応じて被勧誘者となるユーザを選択することによって、被勧誘者のうちそのイベントに興味を持ってくれる被勧誘者の割合を高めることができる。また、勧誘者であるユーザとより親密なユーザがイベントに参加しやすくなる。
【0110】
また、プロセッサ12は、ユーザの行動の履歴を参照し、そのユーザにおける各ユーザタグの重要度を算出する重要度算出処理S16を更に実行し、
第1の送信処理S17は、前記勧誘通知を選択処理S14にて選択したユーザに送信する場合に、前記重要度を前記勧誘通知に含める、ことが好ましい。
【0111】
被勧誘者として選択されるユーザ(例えばユーザU41)にとって、重要なタグをイベントタグとして指定しているイベントはより魅力的であると考えられる。ユーザにとってのイベントタグとして指定されているタグの重要度は、ユーザにとってのイベントの重要度と言い替えられるためである。この重要度が勧誘通知に含められることによって、ユーザU41のスマートフォン4は、重要度を用いてイベント情報の表示のさせ方をカスタマイズすることができる。カスタマイズの例としては、重要度が高いイベントのイベント情報を優先的に画面に表示させることがあげられる。
【0112】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0113】
100 勧誘システム
1 勧誘装置
11 メモリ
12 プロセッサ
13 ストレージ
2 データベース(グラフデータベース)
3 スマートフォン
4 スマートフォン