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特開2022-189605情報処理装置、情報処理方法、コンピュータプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189605
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20221215BHJP
【FI】
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098270
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】豊浦 雅貴
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301AA10
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG09
5H301GG10
(57)【要約】
【課題】処理負荷又はメモリ使用量を抑えることが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置であって、センサ情報を解析して、環境情報を有する環境地図の更新に用いられるデータである地図基礎データを作成するセンサ情報解析部と、前記環境地図を保持するとともに、前記地図基礎データに基づいて、前記環境地図を更新する地図蓄積部と、前記環境地図を解析して、前記環境地図の前記環境情報を補充又は修正する地図解析部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ情報を解析して、環境情報を有する環境地図の更新に用いられるデータである地図基礎データを作成するセンサ情報解析部と、
前記環境地図を保持するとともに、前記地図基礎データに基づいて、前記環境地図を更新する地図蓄積部と、
前記環境地図を解析して、前記環境地図の前記環境情報を補充又は修正する地図解析部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記地図解析部は、前記環境地図の環境情報の欠落部分を補充する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記地図解析部は、所定の種類の環境情報の欠落部分の内容を、他の種類の環境情報の連続性を評価することによって推測し、その推測した内容を当該欠落部分に補充する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記地図解析部は、前記地図解析部により補充された環境情報が識別できる形式で前記環境情報の欠落部分を補充する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記センサ情報解析部は、第1の範囲及び第1の解像度を有する第1の地図基礎データと、前記第1の範囲より広い第2の範囲及び前記第1の解像度より低い第2の解像度を有する第2の地図基礎データと、を作成し、
前記地図蓄積部は、前記第1の地図基礎データに基づいて、第3の範囲及び前記第1の解像度を有する第1の環境地図を更新する第1の地図蓄積部と、前記第2の地図基礎データに基づいて、前記第3の範囲より広い第4の範囲及び前記第2の解像度を有する第2の環境地図を更新する第2の地図蓄積部と、を有し、
前記地図解析部は、前記第1の環境地図又は前記第2の環境地図の少なくとも一方を解析して、当該環境地図の環境情報を補充又は修正する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
センサ情報を解析して、環境情報を有する環境地図の更新に用いられるデータである地図基礎データを作成するセンサ情報解析部と、
前記環境地図を保持するとともに、前記地図基礎データに基づいて、前記環境地図を更新する地図蓄積部と、を備え、
前記センサ情報解析部は、第1の範囲及び第1の解像度を有する第1の地図基礎データと、前記第1の範囲より広い第2の範囲及び前記第1の解像度より低い第2の解像度を有する第2の地図基礎データと、を作成し、
前記地図蓄積部は、前記第1の地図基礎データに基づいて、第3の範囲及び前記第1の解像度を有する第1の環境地図を更新する第1の地図蓄積部と、前記第2の地図基礎データに基づいて、前記第3の範囲より広い第4の範囲及び前記第2の解像度を有する第2の環境地図を更新する第2の地図蓄積部と、を有する
情報処理装置。
【請求項7】
前記第2の地図基礎データは、前記第1の地図基礎データと重なる領域の少なくとも一部のデータを有しないものであり、
前記第2の地図蓄積部は、前記第1の環境地図の環境情報と、前記第2の地図基礎データと、に基づいて前記第2の環境地図を更新する
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
移動体の行動計画を作成する行動計画部をさらに備え、
前記行動計画部は、状況に応じて、前記第1の環境地図と前記第2の環境地図とのいずれか1つを選択し、その選択した環境地図に基づいて前記行動計画を作成する
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記行動計画部は、前記第2の環境地図に基づいて前記行動計画を作成し、より高精度な行動計画が必要と判断した場合に、前記第1の環境地図に基づいて前記行動計画を作成する
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1の環境地図又は前記第2の環境地図の少なくとも一方を解析して、当該環境地図の環境情報を補充又は修正する地図解析部
を備える請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項11】
センサ情報を取得するステップと、
前記センサ情報を解析して、環境情報を有する環境地図の更新に用いられるデータである地図基礎データを作成するステップと、
前記地図基礎データに基づいて、前記環境地図を更新するステップと、
前記環境地図を解析して、前記環境地図の環境情報を補充又は修正するステップと、
を備える情報処理方法。
【請求項12】
センサ情報を取得するステップと、
前記センサ情報を解析して、環境情報を有する環境地図の更新に用いられるデータである地図基礎データを作成するステップと、
前記地図基礎データに基づいて、前記環境地図を更新するステップと、を備え、
前記地図基礎データを作成するステップは、第1の範囲及び第1の解像度を有する第1の地図基礎データを作成するステップと、前記第1の範囲より広い第2の範囲及び前記第1の解像度より低い第2の解像度を有する第2の地図基礎データを作成するステップと、を有し、
前記環境地図を更新するステップは、前記第1の地図基礎データに基づいて、第3の範囲及び前記第1の解像度を有する第1の環境地図を更新するステップと、前記第2の地図基礎データに基づいて、前記第3の範囲より広い第4の範囲及び前記第2の解像度を有する第2の環境地図を更新するステップと、を有する
情報処理方法。
【請求項13】
センサ情報を取得するステップと、
前記センサ情報を解析して、環境情報を有する環境地図の更新に用いられるデータである地図基礎データを作成するステップと、
前記地図基礎データに基づいて、前記環境地図を更新するステップと、
前記環境地図を解析して、前記環境地図の環境情報を補充又は修正するステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項14】
センサ情報を取得するステップと、
前記センサ情報を解析して、環境情報を有する環境地図の更新に用いられるデータである地図基礎データを作成するステップと、
前記地図基礎データに基づいて、前記環境地図を更新するステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記地図基礎データを作成するステップは、第1の範囲及び第1の解像度を有する第1の地図基礎データを作成するステップと、前記第1の範囲より広い第2の範囲及び前記第1の解像度より低い第2の解像度を有する第2の地図基礎データを作成するステップと、を有し、
前記環境地図を更新するステップは、前記第1の地図基礎データに基づいて、第3の範囲及び前記第1の解像度を有する第1の環境地図を更新するステップと、前記第2の地図基礎データに基づいて、前記第3の範囲より広い第4の範囲及び前記第2の解像度を有する第2の環境地図を更新するステップと、を有する
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットの自律走行や自動車の自動運転などの移動体の自動移動の技術分野において、LiDARなどのセンサにより得られた移動体周辺の環境情報から環境地図を作成し、その環境地図に基づいて移動体の行動計画を作成する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-87248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
移動体の自動移動において、精度の高い行動計画を作成するためには、環境地図を詳細なものにする必要がある。しかし、環境地図をより詳細なものにすると、環境地図及び行動計画の作成を行うコンピュータの処理負荷及びメモリ使用量が増大することになる。また、移動体に設けるセンサの種類又は数を増やすと、コストが増加することになる。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑み、処理負荷又はメモリ使用量を抑制することが可能な情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面による情報処理装置は、センサ情報を解析して、環境情報を有する環境地図の更新に用いられるデータである地図基礎データを作成するセンサ情報解析部と、前記環境地図を保持するとともに、前記地図基礎データに基づいて、前記環境地図を更新する地図蓄積部と、前記環境地図を解析して、前記環境地図の前記環境情報を補充又は修正する地図解析部と、を備える。
【0007】
前記地図解析部は、前記環境地図の環境情報の欠落部分を補充する。前記地図解析部は、所定の種類の環境情報の欠落部分の内容を、他の種類の環境情報の連続性を評価することによって推測し、その推測した内容を当該欠落部分に補充する。前記地図解析部は、前記地図解析部により補充された環境情報が識別できる形式で前記環境情報の欠落部分を補充する。
【0008】
本開示の別の一側面による情報処理装置は、センサ情報を解析して、環境情報を有する環境地図の更新に用いられるデータである地図基礎データを作成するセンサ情報解析部と、前記環境地図を保持するとともに、前記地図基礎データに基づいて、前記環境地図を更新する地図蓄積部と、を備え、前記センサ情報解析部は、第1の範囲及び第1の解像度を有する第1の地図基礎データと、前記第1の範囲より広い第2の範囲及び前記第1の解像度より低い第2の解像度を有する第2の地図基礎データと、を作成し、前記地図蓄積部は、前記第1の地図基礎データに基づいて、第3の範囲及び前記第1の解像度を有する第1の環境地図を更新する第1の地図蓄積部と、前記第2の地図基礎データに基づいて、前記第3の範囲より広い第4の範囲及び前記第2の解像度を有する第2の環境地図を更新する第2の地図蓄積部と、を有する。
【0009】
前記第2の地図基礎データは、前記第1の地図基礎データと重なる領域の少なくとも一部のデータを有しないものであり、前記第2の地図蓄積部は、前記第1の環境地図の環境情報と、前記第2の地図基礎データと、に基づいて前記第2の環境地図を更新する。
【0010】
前記情報処理装置は、移動体の行動計画を作成する行動計画部をさらに備え、前記行動計画部は、状況に応じて、前記第1の環境地図と前記第2の環境地図とのいずれか1つを選択し、その選択した環境地図に基づいて前記行動計画を作成する。前記行動計画部は、前記第2の環境地図に基づいて前記行動計画を作成し、より高精度な行動計画が必要と判断した場合に、前記第1の環境地図に基づいて前記行動計画を作成する。
【0011】
本開示の一側面による情報処理方法は、センサ情報を取得するステップと、前記センサ情報を解析して、環境情報を有する環境地図の更新に用いられるデータである地図基礎データを作成するステップと、前記地図基礎データに基づいて、前記環境地図を更新するステップと、前記環境地図を解析して、前記環境地図の環境情報を補充又は修正するステップと、を備える。
【0012】
本開示の他の一側面による情報処理方法は、センサ情報を取得するステップと、前記センサ情報を解析して、環境情報を有する環境地図の更新に用いられるデータである地図基礎データを作成するステップと、前記地図基礎データに基づいて、前記環境地図を更新するステップと、を備え、前記地図基礎データを作成するステップは、第1の範囲及び第1の解像度を有する第1の地図基礎データを作成するステップと、前記第1の範囲より広い第2の範囲及び前記第1の解像度より低い第2の解像度を有する第2の地図基礎データを作成するステップと、を有し、前記環境地図を更新するステップは、前記第1の地図基礎データに基づいて、第3の範囲及び前記第1の解像度を有する第1の環境地図を更新するステップと、前記第2の地図基礎データに基づいて、前記第3の範囲より広い第4の範囲及び前記第2の解像度を有する第2の環境地図を更新するステップと、を有する。
【0013】
本開示の一側面によるコンピュータプログラムは、センサ情報を取得するステップと、前記センサ情報を解析して、環境情報を有する環境地図の更新に用いられるデータである地図基礎データを作成するステップと、前記地図基礎データに基づいて、前記環境地図を更新するステップと、前記環境地図を解析して、前記環境地図の環境情報を補充又は修正するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0014】
本開示の他の一側面によるコンピュータプログラムは、センサ情報を取得するステップと、前記センサ情報を解析して、環境情報を有する環境地図の更新に用いられるデータである地図基礎データを作成するステップと、前記地図基礎データに基づいて、前記環境地図を更新するステップと、をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記地図基礎データを作成するステップは、第1の範囲及び第1の解像度を有する第1の地図基礎データを作成するステップと、前記第1の範囲より広い第2の範囲及び前記第1の解像度より低い第2の解像度を有する第2の地図基礎データを作成するステップと、を有し、前記環境地図を更新するステップは、前記第1の地図基礎データに基づいて、第3の範囲及び前記第1の解像度を有する第1の環境地図を更新するステップと、前記第2の地図基礎データに基づいて、前記第3の範囲より広い第4の範囲及び前記第2の解像度を有する第2の環境地図を更新するステップと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態の情報処理装置を備える移動体の構成例を示すブロック図である。
図2】センサ部の構成例を示すブロック図である。
図3A】環境地図の一例を示す図であり、水平面内に配列されたボクセルを示す。
図3B】環境地図の一例を示す図であり、鉛直面内に配列されたボクセルを示す。
図4】環境地図の更新を説明する図である。
図5】本実施形態の情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図6】センサ情報の解析の一例を説明する図である。
図7】狭域・高解像度の環境地図及び広域・低解像度の環境地図を示す図である。
図8A】環境地図の解像度の影響を説明する図であり、環境地図が低解像度の場合を示す。
図8B】環境地図の解像度の影響を説明する図であり、環境地図が高解像度の場合を示す。
図9】センサのセンシング領域の一例を示す図である。
図10】センサによるセンシングの対象となる空間の一例を示す図である
図11A】環境情報の欠落部分の補充について説明する図である。
図11B】環境情報の欠落部分の補充について説明する図である。
図11C】環境情報の欠落部分の補充について説明する図である。
図12A】本実施形態の情報処理装置の動作の一例を示すフロー図である。
図12B】本実施形態の情報処理装置の動作の一例を示すフロー図である。
図12C】本実施形態の情報処理装置の動作の一例を示すフロー図である。
図12D】本実施形態の情報処理装置の動作の一例を示すフロー図である。
図13】変形例1の情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図14】変形例2の情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図15】変形例3の情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図16】変形例4の情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図17】情報処理装置のハードウェアの構成例を示すブロック図である。
図18】本開示の技術が適用される移動装置システムの一例である車両制御システムの構成例を示すブロック図である。
図19】センシング領域の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施の形態の1つ(以下、「本実施形態」という。)について、図面を参照しつつ説明する。説明は以下の順序で行う。
1.情報処理装置の構成例
2.情報処理装置の動作例
3.変形例
4.ハードウェア構成例
5.車両制御システムへの適用例
6.まとめ
【0017】
<1.情報処理装置の構成例>
まず、本実施形態の情報処理装置200の構成例について説明する。
【0018】
(移動体)
図1は、本実施形態の情報処理装置200を備える移動体100の構成例を示すブロック図である。
【0019】
なお、図1を含む以下の図中において、各部の間をつなぐ直線に付された矢印はデータ等の主な流れを示すものであり、その矢印と逆の方向に制御信号等が流れる場合もある。
【0020】
移動体100は、センサ部300と、情報処理装置200と、駆動部400と、を備える。
【0021】
移動体100は、自動移動する装置である。例えば、移動体100は、自律移動ロボットや自動運転自動車である。また、移動体100は、ドローンのような飛行体であってもよい。また、移動体100は、ロボットアームなどの移動部を有する装置の移動部に取り付けられた物体であってもよい。
【0022】
センサ部300は、センサ310により移動体100の周辺の環境をセンシングしてセンサ情報を取得する。
【0023】
図2は、センサ部300の構成例を示すブロック図である。
【0024】
センサ部300は、センサ310と、センサ制御部320と、を有する。
【0025】
センサ310は、例えば、LiDAR(Light Detection And Ranging)、RGBカメラ、レーダ、超音波センサ、GPS(Global Positioning System)センサである。図2に示す例では、センサ部300は、センサ310として、第1のLiDAR311(Light Detection And Ranging)と、第2のLiDAR312と、RGBカメラ313と、を有する。
【0026】
センサ310の種類及び数は特に限定されないが、少なくとも、物体の位置を検知できるセンサが必要である。また、後述の環境地図500の解析の処理においては、物体の位置の情報の他、2種以上の環境情報が必要となる。そのため、特性の異なる2種以上のセンサ310が必要となる。
【0027】
センサ制御部320は、これらのセンサ310を制御するとともに、これらのセンサ310によって取得されたセンサ情報を情報処理装置200に送信する。また、センサ制御部320は、適切なノイズフィルタを適用して、センサ情報のノイズを除去した上で、センサ情報を情報処理装置200に送信するものであることが好ましい。
【0028】
情報処理装置200は、センサ部300において取得されたセンサ情報から環境地図500を作成し、その環境地図500に基づいて移動体100の行動計画を作成する。この情報処理装置200の構成例については後述する。
【0029】
駆動部400は、情報処理装置200によって作成された行動計画に従うように移動体100を移動させる。駆動部400は、例えば、モータなどにより構成される。
【0030】
(環境地図)
環境地図500は、移動体100の周辺環境を記述した地図である。環境地図500は、移動体100の周辺環境に関する情報である環境情報を有する。
【0031】
図3A及び図3Bは、環境地図500の一例を示す図である。図3Aでは、移動体100を横切る水平面内に配列されたボクセル510が示されている。図3Bは、移動体100を横切る鉛直面内に配列されたボクセル510が示されている。
【0032】
なお、図3A及び図3Bを含む以下の図中において、水平面内の互いに直交する2方向をX方向及びY方向とし、鉛直方向をZ方向とする。
【0033】
環境地図500は、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)などの技術を利用して作成される。
【0034】
図3A及び図3Bに示す例において、環境地図500は、三次元空間をボクセルグリッドで区切ったボクセル地図として構成されている。そして、環境地図500のボクセル510毎に、物体の占有状態を示す環境情報が対応付けられて記録されている。
【0035】
物体の占有状態は、ボクセル510が物体に占有されているか否かを示す情報である。例えば、ボクセル510内にLiDAR311、312の点群データの測定点611が存在する場合は、占有状態とし、ボクセル510内にLiDAR311、312の点群データの測定点611が存在しない場合は、非占有状態とする。
【0036】
このように、環境地図500は、物体の占有状態などの環境情報が対応付けられて記録されたボクセル510の集合として構成される。
【0037】
環境地図500の空間における対象領域は、SLAMやGPSなどの技術を利用して得られる移動体100の自己位置に基づいて設定される。例えば、環境地図500の空間における対象領域は、移動体100の自己位置を中心とした一定の範囲の領域に設定される。また、環境地図500の空間における対象領域は、環境情報を所定の期間保持するというように、時間軸で限定したものであってもよい。
【0038】
環境地図500の空間における対象領域の大きさは、移動体100の移動特性や用途などに応じて、適宜設定される。例えば、環境地図500の空間における対象領域は、高速で移動する移動体100では、広く設定され、低速で移動する移動体100では、狭く設定される。
【0039】
このような環境地図500は、移動体100の移動に伴って、随時更新されることになる。環境地図500の更新の頻度は、例えば、1秒間に10~100回程度であり、移動体100の用途等に合わせて適宜設定される。
【0040】
そして、この環境地図500の更新は、地図基礎データ550に基づいてなされる。ここで、地図基礎データ550とは、環境地図500と同じデータ構造を有し、環境地図500の更新に用いられるデータを意味する。
【0041】
図4は、環境地図500の更新を説明する図である。
【0042】
環境地図500は、図4に示すように、地図基礎データ550を用いて更新される。具体的には、環境地図500において、地図基礎データ550の対象領域の環境情報は、地図基礎データ550の環境情報に書き換えられる。また、環境地図500において、地図基礎データ550の対象領域以外の環境情報は、そのまま維持されることになる。
【0043】
環境地図500の更新に用いられる地図基礎データ550は、環境地図500と同じデータ構造を有するものであるが、その空間における対象領域は、通常、図4に示すように、環境地図500の対象領域よりも狭い範囲となる。ただし、例えば、移動体100の移動領域が非常に狭い場合など、移動体100の用途によっては、地図基礎データ550の対象領域は、環境地図500の対象領域よりも広いものであってもよい。
【0044】
以上では、環境地図500が3次元のボクセルグリッドにより構成される例について説明した。しかし、本開示の情報処理装置200において用いられる環境地図500は、3次元のボクセルグリッドにより構成されるものに限定されない。環境地図500は、3次元のボクセルグリッドの変形例や、2次元の占有格子地図など、他の地図モデルによって構成されたものであってもよい。
【0045】
(情報処理装置)
図5は、本実施形態の情報処理装置200の構成例を示すブロック図である。
【0046】
本実施形態の情報処理装置200は、センサ情報解析部210と、センサ情報一時蓄積部215と、狭域・高解像度地図蓄積部220Aと、狭域・高解像度地図解析部230Aと、データ変換部225と、広域・低解像度地図蓄積部220Bと、広域・低解像度地図解析部230Bと、行動計画部240と、動作制御部250と、を備える。
【0047】
この情報処理装置200の各部の構成を説明する前に、本実施形態の情報処理装置200の3つの特徴について説明する。
【0048】
(第1の特徴-センサ情報の解析)
第1の特徴として、本実施形態の情報処理装置200は、解析結果情報を環境情報として地図基礎データ550を作成し、その地図基礎データ550に基づいて環境地図500を更新するものとなっている。
【0049】
ここで、解析結果情報とは、センサ部300において取得されたセンサ情報を解析することによって得られる情報を意味する。例えば、解析結果情報は、物体の傾斜、平坦度、反射強度、色彩、輝度、種別などである。
【0050】
物体の傾斜、平坦度及び反射強度は、例えば、LiDAR311、312の点群データから算出される。物体の色彩及び輝度は、例えば、RGBカメラ313の画像データから算出される。このセンサ情報の解析の具体例については、後述する。
【0051】
物体の種別は、そのボクセル510を占有する物体の種別を示すものであり、例えば、床、壁、障害物、車道、歩道、標識などを示す。この物体の種別は、他の種類の解析結果情報に基づいて判定される。例えば、物体の種別は、RGBカメラ313の画像データから、セマンティックセグメンテーションなどの画像認識の技術を用いて判定される。また、物体の種別は、物体の傾斜、平坦度、反射強度、色彩、輝度などに基づいて判定されてもよい。
【0052】
図6は、センサ情報の解析の一例を説明する図である。
【0053】
ここでは、センサ情報の解析について、移動体100が斜面610に向かって移動している状況を例に挙げて説明する。
【0054】
斜面610の領域をLiDAR311でセンシングしたときのセンサ情報は、多数の測定点611の集合である点群データとして取得される。しかし、環境地図500における物体の占有状態に関する情報は、ボクセル510の大きさに量子化されることになる。このことから、実際は平坦である斜面610が、環境地図500においては、階段状の斜面として表現されてしまうことになる。その結果、斜面610の傾斜に合わせて移動体100をコントロールしようとしても、その斜面610の傾斜が正しく検出されないことになる。
【0055】
この点、斜面610の傾斜が正しく検出されるようにするために、環境地図500の解像度を高くすることが考えられる。しかし、環境地図500の解像度を高くすればするほど、環境地図500及び行動計画の作成を行うコンピュータの処理負荷及びメモリ使用量が増大することになる。
【0056】
そこで、本実施形態の情報処理装置200は、物体の占有状態の他に、物体の傾斜に関する解析結果情報を環境情報に含む地図基礎データ550を作成し、その地図基礎データ550に基づいて環境地図500を更新する処理を行うものになっている。その具体的な処理は、次のとおりである。
【0057】
まず、ボクセル510内の測定点611のうちの1つを注目点612としてピックアップする。
【0058】
次に、注目点612を含む一定の領域である評価ウインドウ613を設定する。評価ウインドウ613は、例えば、注目点612からの距離に基づいて設定される。
【0059】
次に、評価ウインドウ613内の測定点611をサンプリングして、そのサンプリングした測定点611に基づいて、物体の傾斜を算出する。
【0060】
そして、その算出された物体の傾斜を、注目点612がピックアップされたボクセル510に対応する解析結果情報とする。
【0061】
そして、このような処理を、各ボクセル510について行うことになる。
【0062】
ここでは、物体の傾斜に関する解析結果情報を用いる例について説明したが、用いられる解析結果情報は、物体の斜面に関するものに限定されない。例えば、情報処理装置200は、物体の平坦度、反射強度、色相、輝度に関する解析結果情報を用いるものであってもよい。
【0063】
物体の平坦度及び反射強度に関する解析結果情報は、例えば、LiDAR311の点群データを解析し、評価ウインドウ613内の測定点611をサンプリングして、そのサンプリングした測定点611に基づいて算出される。反射強度に関する解析結果情報は、例えば、LiDAR311の点群データを解析し、評価ウインドウ613内の測定点611の反射強度の平均値として算出される。物体の色相又は輝度に関する解析結果情報は、例えば、RGBカメラ313の画像データを解析し、評価ウインドウ613内の画素の平均値として算出される。
【0064】
つまり、情報処理装置200は、ボクセル510内の測定点611のうちの1つである注目点612を含む一定の領域である評価ウインドウ613を設定し、その評価ウインドウ613内の測定点611を用いてそのボクセル510の解析結果情報を算出する。
【0065】
このように、情報処理装置200は、生のセンサ情報を環境地図500の環境情報とするのではなく、解析結果情報を環境地図500の環境情報とするものであることから、生のセンサ情報をそのまま環境情報とするよりも、メモリ使用量が抑えられたものとなっている。また、解析結果情報が、注目点612を含む一定の領域として設定される評価ウインドウ613内のすべてのセンサ情報を反映したものとなっていることから、情報処理装置200は、環境地図500の環境情報の量子化の影響を抑えることが可能となっている。
【0066】
このセンサ情報を解析して解析結果情報を得る処理は、センサ情報解析部210において実行される。
【0067】
この第1の特徴により、本実施形態の情報処理装置200では、環境地図500の解像度が低くても、詳細な情報を記録しておくことが可能となり、その結果、処理負荷又はメモリ使用量を抑えることが可能となっている。
【0068】
(第2の特徴-マルチ解像度の環境地図)
第2の特徴として、本実施形態の情報処理装置200は、狭域・高解像度の環境地図500Aと、広域・低解像度の環境地図500Bと、の2つの環境地図500を保持するものとなっている。
【0069】
ここで、狭域・高解像度とは、広域・低解像度よりも狭域且つ高解像度であることを意味するものとする。逆に、広域・低解像度とは、狭域・高解像度よりも広域且つ低解像度であることを意味するものとする。
【0070】
図7は、狭域・高解像度の環境地図500A及び広域・低解像度の環境地図500Bを示す図である。
【0071】
情報処理装置200がこの2つの環境地図500を保持するものとなっている理由について、図8A及び図8Bを示しつつ、説明する。
【0072】
例えば、移動体100が2つの障害物620に挟まれた狭所を移動する場合に作成される環境地図500を想定する。このとき、環境地図500がボクセル510によって量子化されていることから、障害物620の占有領域が最大で1ボクセル分大きく見える可能性がある。そのため、環境地図500では、2つの障害物620の間の空間が狭く表現されることになる。
【0073】
そして、環境地図500が低解像度の場合、この傾向が顕著となる。図8Aに示す例では、環境地図500において、障害物620の占有状態の情報がボクセル510によって量子化された結果、2つの障害物620の間に空間が存在しないことになっている。そのため、移動体100は、2つの障害物620の間を走行することができない。
【0074】
一方、環境地図500を高解像度のものにすると、図8Bに示すとおり、環境地図500において、2つの障害物620の間の空間の存在が表現されることになる。その結果、移動体100は、2つの障害物620に挟まれた狭所を移動できるようになる。しかし、環境地図500を高解像度のものにすればするほど、環境地図500及び行動計画の作成を行うコンピュータの処理負荷及びメモリ使用量が増大することになる。
【0075】
そこで、本実施形態の情報処理装置200は、低解像度の環境地図500に加えて、その低解像度の環境地図500より対象領域が狭い、高解像度の環境地図500を保持するものとなっている。このように、情報処理装置200は、コンピュータの処理負荷及びメモリ使用量の大きい高解像度の環境地図500の対象領域を適切な程度まで狭くすることによって、コンピュータの処理負荷又はメモリ使用量の増大を抑えたものとなっている。
【0076】
この環境地図500の保持及び更新の処理は、センサ情報解析部210、狭域・高解像度地図蓄積部220A及び広域・低解像度地図蓄積部220Bにおいて実行される。
【0077】
そして、情報処理装置200は、状況に応じて、低解像度の環境地図500と高解像度の環境地図500と切り替えて利用することが可能なものとなっている。また、情報処理装置200は、低解像度の環境地図500と高解像度の環境地図500との両方を保持するものであるので、低解像度の環境地図500と高解像度の環境地図500との切り替えを即時に行うことが可能となっている。
【0078】
この環境地図500の利用及び切り替えの処理は、行動計画部240において実行される。
【0079】
この第2の特徴により、本実施形態の情報処理装置200では、処理負荷又はメモリ使用量を抑えること、及び、狭域・高解像度の環境地図500Aと広域・低解像度の環境地図500Bとを即時に切り替えることが可能となっている。
【0080】
(第3の特徴-環境地図の解析)
第3の特徴として、本実施形態の情報処理装置200は、環境地図500を解析して、環境地図500の環境情報の欠落部分を補充するものとなっている。
【0081】
ここで、環境情報の欠落部分とは、環境情報を構成する個々のデータの欠落部分を意味する。例えば、環境情報の欠落部分は、環境地図500の一部の空間領域において物体の種別のデータが欠落している部分である。また、環境情報の欠落部分は、データが空白になっているものに限定されず、古いデータ、例えば、所定の時間よりも前に記録されたデータであってもよい。
【0082】
なお、この環境情報の欠落部分の補充は、環境情報の欠落部分のすべてを補充するものでなくてもよい。環境情報の欠落部分の補充は、環境情報の欠落部分の少なくとも一部を補充するものであればよい。また、環境情報の欠落部分の補充は、推測可能な欠落部分がないときには補充を行わないものであってもよい。
【0083】
ここでは、環境情報の欠落部分の補充について、物体の種別のデータの欠落部分の補充を例に挙げて説明する。
【0084】
図9は、センサ310のセンシング領域の一例を示す図である。この図9では、第1のLiDAR311のセンシング領域Ra、第2のLiDAR312のセンシング領域Rb及びRGBカメラ313のセンシング領域Rcが示されている。
【0085】
図10は、センサ310によるセンシングの対象となる空間の一例を示す図である。図10に示す空間は、水平面として構成された床面が存在する空間である。また、この床面は、車道領域Rxと歩道領域Ryとを有している。そして、移動体100が、床面上の車道領域Rxに位置している。
【0086】
図11Aから図11Cは、図9及び図10に示されている状況における、環境情報の欠落部分の補充について説明する図である。図11Aから図11Cでは、環境地図500が 床面に対応する水平面内に配列されたボクセル510の集合として示されている。
【0087】
図11Aは、図10に示す状況において、LiDAR311、312の点群データの解析により得られる物体の反射強度又は平坦度のデータの環境地図500における分布を示している。ここで、物体は床面である。
【0088】
図11Aに示す例では、車道領域Rx内の各ボクセル510における物体の反射強度又は平坦度は、実質的に同じ値になっている。同様に、歩道領域Ry内の各ボクセル510における物体の反射強度又は平坦度も、実質的に同じ値になっている。
【0089】
図11Bは、図10に示す状況において、LiDAR311の点群データ及びRGBカメラ313の画像データの解析により得られる物体の種別のデータの環境地図500における分布を示している。
【0090】
一般的に、物体の種別は、RGBカメラ313の画像データから画像認識の技術に基づいて判定される。そして、LiDAR311、312の点群データなどから得られる物体の占有状態のデータと組み合わせることで、どのような種別の物体がどこに存在するのかが判定される。
【0091】
そのため、環境地図500におけるLiDAR311のセンシング領域RaとRGBカメラ313のセンシング領域Rcとが重なる領域においては、物体の種別の判定が可能となり、物体の種別のデータが記録されることになる。図11Bにおいては、車道領域Rxにおける物体の種別のデータが車道を意味するC1で示され、歩道領域Ryにおける物体の種別のデータが歩道を意味するC2で示されている。
【0092】
一方、LiDAR311、312のセンシング領域Ra、Rbのうち、RGBカメラ313のセンシング領域Rcと重ならない領域においては、画像データが存在しないことから、物体の種別を判定できない。そのため、この領域においては、物体の種別のデータが欠落した状態となっている。
【0093】
そのため、移動体100の旋回又は後退など、RGBカメラ313のセンシング領域Rcの外へ向けた行動を計画する際に、車道領域Rxと歩道領域Ryとの区別がつかないことから、歩道領域Ryに進入するような行動計画を作成してしまう可能性がある。
【0094】
なお、図4に示す状況のように、移動体100が一方の方向に走行している状況の場合、移動体100が現在地よりも後方にいたときに記録された物体の種別のデータが残っているので、環境地図500における移動体100の後方の領域においても、物体の種別のデータが存在することになる。そのため、物体の種別のデータの欠落の問題は、特に、移動体100が移動を開始するときや、カーブしたときなどに生じることになる。
【0095】
この点、移動体100に複数のRGBカメラ313を配置して、RGBカメラ313のセンシング領域Rcの死角をなくすことが考えられる。しかし、RGBカメラ313の数を増やせば増やすほど、処理負荷及びメモリ使用量並びにコストが増大することになる。
【0096】
そこで、本実施形態の情報処理装置200は、環境地図500を解析することによって、環境地図500の環境情報の欠落部分の内容を推測し、その推測した内容を欠落部分の環境情報として補充する処理を行うものとなっている。
【0097】
より具体的には、本実施形態の情報処理装置200は、所定の種類の環境情報の欠落部分の内容を、他の環境情報の連続性を評価することによって推測し、その推測した内容を欠落部分の環境情報として補充する処理を行うものとなっている。
【0098】
また、本実施形態の情報処理装置200は、環境地図500の解析によって補充された環境情報であることが識別できる形式で環境情報の欠落部分を補充する処理を行うものとなっている。
【0099】
図11Cは、図11A及び図11Bに示されている環境地図500のデータから、物体の種別のデータの欠落部分を推測して補充する処理を説明する図である。
【0100】
物体の種別のデータの欠落部分の推測は、物体の種別のデータの欠落している領域に対して、物体の種別のデータが記録されている領域からの連続性を評価することによりなされる。
【0101】
例えば、車道C1であると記録されている領域と連続する領域のうち、物体の反射強度又は平坦度が車道C1であると記録されている領域と同じである領域は、車道であると推測できる。同様に、歩道C2であると記録されている領域と連続する領域のうち、物体の反射強度又は平坦度が歩道C2であると記録されている領域と同じである領域は、歩道であると推測できる。
【0102】
そして、推測により得られたデータは、センサ情報の解析により得られた解析結果情報と明確に区別がつくように、推測により得られたデータであることが識別できる形式で環境地図500に記録される。この形式については、例えば、推測によって得られたデータであるか否かを示す識別情報を、当該環境情報のデータに紐付けて記録することが考えられる。
【0103】
図11Cに示す例においては、車道と推定された領域における物体の種別のデータは、C1と区別されるgC1で示され、歩道と推定された領域における物体の種別のデータは、C2と区別されるgC2で示されている。
【0104】
このようにして、情報処理装置200は、環境地図500の解析によって補充された環境情報であることが識別できる形式で環境情報の欠落部分を補充する処理を行う。これにより、情報処理装置200は、その識別情報を移動体100の行動計画に結びつけることが可能となっている。
【0105】
例えば、移動体100が環境地図500の解析によって補充された環境情報が存在する領域に向けて移動する行動計画においては、より正確な行動計画を作成するために、徐行しながらRGBカメラ313をその領域の方向へ向けて、RGBカメラ313の画像データから物体の種別のデータを取得するようにすることが考えられる。
【0106】
以上では、物体の種別のデータの欠落部分の内容を、物体の反射強度又は平坦度のデータの連続性を評価することによって推測し、その推測した内容を物体の種別のデータとして補充する場合を例に挙げて説明した。しかし、補充の対象となる環境情報は、物体の種別に限定されない。また、連続性の評価に用いられる環境情報は、物体の反射強度又は平坦度に限定されない。
【0107】
この環境地図500の解析の処理のタイミングについては、特に限定されない。例えば、環境地図500の解析の処理は、環境地図500が更新される毎に実行されてもよい。また、環境地図500の解析の処理は、一定の時間毎に実行されるものであってもよい。また、環境地図500の解析の処理は、移動体100のスタート時又はカーブ時など、環境情報の欠落部分が多く生じることが想定される場合に実行されるものであってもよい。
【0108】
また、環境地図500の解析の処理は、行動計画によって、これから進入していく可能性の高い領域については、比較的高い頻度で行われ、侵入していく可能性が低い領域については、比較的低い頻度で行われるものとしてもよい。この場合、コンピュータの処理負荷及びメモリ使用量を抑えることが可能となる。
【0109】
さらに、本実施形態の情報処理装置200は、環境地図500を解析して、環境地図500の環境情報の異常値を修正できるものとなっている。これにより、環境地図500の異常値による不具合の発生を抑制できる。
【0110】
この環境地図500の解析の処理は、狭域・高解像度地図解析部230Aと広域・低解像度地図解析部230Bとにおいて実行される。
【0111】
この第3の特徴により、本実施形態の情報処理装置200では、移動体100に配置するセンサ310の数を抑えて、処理負荷又はメモリ使用量を抑えることが可能となっている。また、本実施形態の情報処理装置200では、移動体100に配置するセンサ310の数を抑えて、コストを抑えることが可能となっている。
【0112】
このように、本実施形態の情報処理装置200は、環境地図500の環境情報の欠落部分を補充するものであるが、本開示の情報処理装置200は、これに限定されない。本開示の情報処理装置200は、環境地図500を解析して、環境地図500の環境情報を補充又は修正するものであればよい。この構成により、環境地図500を行動計画の作成に適したものとすることが可能である。
【0113】
次に、情報処理装置の各部の構成について説明する。
【0114】
(センサ情報解析部)
センサ情報解析部210は、センサ部300において取得されたセンサ情報を解析して、狭域・高解像度の地図基礎データ550Aと、広域・低解像度の地図基礎データ550Bと、を作成する。
【0115】
後述するとおり、広域・低解像度の環境地図500Bの更新は、狭域・高解像度の環境地図500Aの環境情報も利用してなされるので、広域・低解像度の地図基礎データ550Bには、狭域・高解像度の地図基礎データ550Aの空間領域と重なる空間領域のデータは含まれていない。この構成により、情報処理装置200における処理負荷又はメモリ使用量が抑えられる。なお、広域・低解像度の地図基礎データ550Bは、狭域・高解像度の地図基礎データ550Aと重なる領域の少なくとも一部のデータを有しないものであればよい。
【0116】
また、センサ情報解析部210は、その狭域・高解像度の地図基礎データ550Aを、狭域・高解像度地図蓄積部220Aに送信し、その広域・低解像度の地図基礎データ550Bを、広域・低解像度地図蓄積部220Bに送信する。
【0117】
(センサ情報一時蓄積部)
センサ情報一時蓄積部215は、センサ情報解析部210に接続され、上述のセンサ情報解析部210おけるセンサ情報の解析のために、センサ部300から送信されてきたセンサ情報を一時的に蓄積する。このセンサ情報一時蓄積部215により、例えば、センサ情報の密度が十分でない場合において、少しだけ過去の時間のデータを合わせて用いることにより、十分な密度の情報で解析を行うことが可能となる。また、このセンサ情報一時蓄積部215の存在により、例えば、センサ情報解析部210がセンサ情報の時間軸方向のノイズを除去する処理を行うことが可能となる。ただし、情報処理装置200は、このセンサ情報一時蓄積部215を備えないものであってもよい。
【0118】
(狭域・高解像度地図蓄積部)
狭域・高解像度地図蓄積部220Aは、狭域・高解像度の環境地図500Aを蓄積する。
【0119】
より具体的には、狭域・高解像度地図蓄積部220Aは、狭域・高解像度の環境地図500Aを保持するとともに、センサ情報解析部210において作成された狭域・高解像度の地図基礎データ550Aを用いて、狭域・高解像度の環境地図500Aを更新する。
【0120】
前述のとおり、環境地図500の空間における対象領域は、SLAMやGPSなどの技術を利用して得られる移動体100の自己位置に基づいて設定される。
【0121】
(狭域・高解像度地図解析部)
狭域・高解像度地図解析部230Aは、狭域・高解像度地図蓄積部220Aに保持されている狭域・高解像度の環境地図500Aを解析して、狭域・高解像度の環境地図500Aの環境情報の欠落部分を補充する。
【0122】
より具体的には、狭域・高解像度地図解析部230Aは、狭域・高解像度の環境地図500Aを解析することによって、狭域・高解像度の環境地図500Aの環境情報の欠落部分の内容を推測し、その推測した内容を欠落部分の環境情報として補充する。
【0123】
さらに具体的には、狭域・高解像度地図解析部230Aは、所定の種類の環境情報の欠落部分の内容を、他の環境情報の連続性を評価することによって推測し、その推測した内容を欠落部分の環境情報として補充する。
【0124】
そして、狭域・高解像度地図解析部230Aは、環境地図500の解析によって補充された環境情報であることが識別できる形式で環境情報の欠落部分を補充する。
【0125】
さらに、狭域・高解像度地図解析部230Aは、狭域・高解像度地図蓄積部220Aに保持されている狭域・高解像度の環境地図500Aを解析して、狭域・高解像度の環境地図500Aの環境情報の異常値を修正するものであってもよい。
【0126】
また、本実施形態の狭域・高解像度地図解析部230Aは、狭域・高解像度の環境地図500Aの環境情報の欠落部分を補充するものであるが、本開示の狭域・高解像度地図解析部は、これに限定されない。本開示の狭域・高解像度地図解析部は、狭域・高解像度地図蓄積部220Aに保持されている狭域・高解像度の環境地図500Aを解析して、狭域・高解像度の環境地図500Aの環境情報を補充又は修正するものであればよい。
【0127】
(データ変換部)
データ変換部225は、狭域・高解像度地図蓄積部220Aと広域・低解像度地図蓄積部220Bとの間に設けられ、狭域・高解像度の環境地図500Aの環境情報のデータを広域・低解像度の環境地図500Bの環境情報のデータに変換する。
【0128】
データ変換部225におけるデータの変換においては、通常、狭域・高解像度の環境地図500Aにおける複数のボクセル510が、広域・低解像度の環境地図500Bの1つのボクセル510に対応することになる。そして、データ変換部225におけるデータの変換は、例えば、狭域・高解像度の環境地図500Aの複数のボクセル510のデータの中央値をとる、その平均をとる、その最大値をとる、その最小値をとる、などの方法で行うことが可能である。
【0129】
また、データ変換部225におけるデータの変換は、狭域・高解像度の環境地図500Aの複数のボクセル510のうち、広域・低解像度の環境地図500Bのボクセル510の重心に近いボクセル510のデータほど強く反映されるように重みを付けて平均をとることにより行うものであってもよい。1つのボクセル510が指し示す空間座標は、その重心にあると考えることができる。そこで、ボクセル510の重心に近いものほど重みを付けることで、重心に近い領域の高解像度の情報がより強く反映されることになる。その結果、データ変換部225において変換されたデータは、観測された現実に近いものとなる。
【0130】
(広域・低解像度地図蓄積部)
広域・低解像度地図蓄積部220Bは、広域・低解像度の環境地図500Bを蓄積する。
【0131】
より具体的には、広域・低解像度地図蓄積部220Bは、広域・低解像度の環境地図500Bを保持するとともに、狭域・高解像度の環境地図500Aの環境情報と、センサ情報解析部210において作成された広域・低解像度の地図基礎データ550Bと、を用いて、広域・低解像度の環境地図500Bを更新する。
【0132】
広域・低解像度地図蓄積部220Bは、広域・低解像度の環境地図500Bの更新に際して、広域・低解像度の地図基礎データ550Bに加えて、狭域・高解像度の環境地図500Aの環境情報を利用するものとなっている。つまり、広域・低解像度の環境地図500Bの更新は、狭域・高解像度の環境地図500Aと重なる空間領域については、狭域・高解像度の環境地図500Aの環境情報を利用して行われ、その他の空間領域については、センサ情報解析部210が作成した広域・低解像度の地図基礎データ550Bを利用して行われる。この構成により、情報処理装置200における処理負荷又はメモリ使用量が抑えられる。
【0133】
(広域・低解像度地図解析部)
広域・低解像度地図解析部230Bは、広域・低解像度地図蓄積部220Bに保持されている広域・低解像度の環境地図500Bを解析して、広域・低解像度の環境地図500Bの環境情報の欠落部分を補充する。この広域・低解像度地図解析部230Bの構成は、狭域・高解像度地図解析部230Aと同様である。
【0134】
(行動計画部)
行動計画部240は、狭域・高解像度地図蓄積部220Aにおいて保持されている狭域・高解像度の環境地図500A又は広域・低解像度地図蓄積部220Bにおいて保持されている広域・低解像度の環境地図500Bに基づいて、行動計画を作成し、その行動計画を、動作制御部250に送信する。
【0135】
行動計画部240は、行動計画の作成に際し、状況に応じて、狭域・高解像度の環境地図500Aと広域・低解像度の環境地図500Bとのいずれか1つを選択する。
【0136】
具体的には、行動計画部240は、まずは、広域・低解像度の環境地図500Bに基づいて行動計画を作成し、より高精度な行動計画が必要と判断した場合に、狭域・高解像度の環境地図500Aに基づいて行動計画を作成する。
【0137】
高精度な行動計画の必要性については、例えば、広域・低解像度の環境地図500Bでは通過できない場所が存在する場合、停止位置に近づいた場合、又は、障害物や運動物体が近くに存在する場合などに、高精度な行動計画が必要と判断することが考えられる。
【0138】
この構成により、情報処理装置200は、処理負荷又はメモリ使用量を抑えつつ、適切な行動計画を作成することが可能となっている。
【0139】
なお、行動計画部240は、情報処理装置200に必須の構成ではなく、情報処理装置200の外部の装置に設けられたものであってもよい。
【0140】
(動作制御部)
動作制御部250は、行動計画部240において作成された行動計画に基づいて駆動部400を制御する。そして、駆動部400は、動作制御部250による制御に従って移動体100を移動させる。
【0141】
なお、動作制御部250は、情報処理装置200に必須の構成ではなく、情報処理装置200の外部の装置に設けられたものであってもよい。
【0142】
<2.情報処理装置の動作例>
次に、情報処理装置200の動作例について説明する。
【0143】
図12Aから図12Dは、本実施形態の情報処理装置200の動作の一例を示すフロー図である。
【0144】
本実施形態の情報処理装置200は、図12Aに示すとおり、(1)センサ情報を取得するステップS100と、(2)地図基礎データを作成するステップS200と、(3)環境地図を更新・解析するステップS300と、(4)行動計画を作成するステップS400と、(5)駆動部を制御するステップS500と、の各ステップを順次実行する。
【0145】
(センサ情報を取得するステップ)
(1)のセンサ情報を取得するステップS100では、センサ情報解析部210が、センサ部300から送信されてきたセンサ情報を取得する。
【0146】
(地図基礎データを作成するステップ)
(2)の地図基礎データを作成するステップS200は、図12Bに示すとおり、(2-1)狭域・高解像度の地図基礎データを作成するステップS210と、(2-2)広域・低解像度の地図基礎データを作成するステップS220と、を有する。
【0147】
(2-1)の狭域・高解像度の地図基礎データを作成するステップS210では、センサ情報解析部210が、センサ情報を解析して、狭域・高解像度の地図基礎データ550Aを作成する。
【0148】
(2-2)の広域・低解像度の地図基礎データを作成するステップS220では、センサ情報解析部210が、センサ情報を解析して、広域・低解像度の地図基礎データ550Bを作成する。
【0149】
(環境地図を更新・解析するステップ)
(3)の環境地図を更新・解析するステップS300は、図12Cに示すとおり、(3-1)狭域・高解像度の環境地図を更新・解析するステップS310と、(3-2)広域・低解像度の環境地図を更新・解析するステップS320と、を有する。
【0150】
(3-1)の狭域・高解像度の環境地図を更新・解析するステップS310は、狭域・高解像度の環境地図500Aを更新するステップS311と、狭域・高解像度の環境地図500Aを解析するステップS312と、を有する。
【0151】
狭域・高解像度の環境地図を更新するステップS311では、狭域・高解像度地図蓄積部220Aが、センサ情報解析部210において作成された狭域・高解像度の地図基礎データ550Aに基づいて、狭域・高解像度の環境地図500Aを更新する。
【0152】
狭域・高解像度の環境地図を解析するステップS312では、狭域・高解像度地図解析部230Aが、狭域・高解像度の環境地図500Aを解析して、狭域・高解像度の環境地図500Aの環境情報の欠落部分を補充する。
【0153】
(3-2)の広域・低解像度の環境地図を更新・解析するステップS320は、広域・低解像度の環境地図を更新するステップS321と、広域・低解像度の環境地図を解析するステップS322と、を有する。
【0154】
広域・低解像度の環境地図を更新するステップS321では、広域・低解像度地図蓄積部220Bが、狭域・高解像度の環境地図500Aのデータ及びセンサ情報解析部210において作成された広域・低解像度の地図基礎データ550Bに基づいて、広域・低解像度の環境地図500Bを更新する。
【0155】
広域・低解像度の環境地図を解析するステップS322では、広域・低解像度地図解析部230Bが、広域・低解像度の環境地図500Bを解析して、広域・低解像度の環境地図500Bの環境情報の欠落部分を補充する。
【0156】
(行動計画を作成するステップ)
(4)の行動計画を作成するステップS400は、図12Dに示すとおり、(4-1)広域・低解像度の環境地図に基づいて行動計画を作成するステップ410と、(4-2)高精度計画の必要性を判断するステップS420と、(4-3)狭域・高解像度の環境地図に基づいて行動計画を作成するステップS430と、を有する。
【0157】
(4-1)の広域・低解像度の環境地図に基づいて行動計画を作成するステップ410では、行動計画部240が、広域・低解像度地図蓄積部220Bに保持されている広域・低解像度の環境地図500Bに基づいて行動計画を作成する。
【0158】
(4-2)の高精度計画の必要性を判断するステップS420では、行動計画部240が、より高精度な行動計画の必要性を判断する。この高精度計画の必要性を判断するステップS420において、高精度計画の必要性が認められる場合は、(4-3)の狭域・高解像度の環境地図に基づいて行動計画を作成するステップS430に進み、高精度計画の必要性が認められない場合は、(4)の行動計画を作成するステップS400を終了する。
【0159】
(4-3)の狭域・高解像度の環境地図に基づいて行動計画を作成するステップS430では、行動計画部240が、狭域・高解像度地図蓄積部220Aに保持されている狭域・高解像度の環境地図500Aに基づいて行動計画を作成する。
【0160】
(駆動部を制御するステップ)
(5)の駆動部を制御するステップS500では、動作制御部250が、行動計画部240において作成された行動計画に基づいて駆動部400を制御する。
【0161】
以上をまとめると、本実施形態の情報処理装置200は、センサ情報解析部210と、狭域・高解像度地図蓄積部220A(第1の地図蓄積部)と、狭域・高解像度地図解析部230A(第1の地図解析部)と、広域・低解像度地図蓄積部220B(第2の地図蓄積部)と、広域・低解像度地図解析部230B(第2の地図解析部)と、を備えるものである。
【0162】
また、本実施形態の情報処理装置200により実行される情報処理方法は、センサ情報を取得するステップS100と、地図基礎データを作成するステップS200と、狭域・高解像度の環境地図を更新・解析するステップS310と、広域・低解像度の環境地図を更新・解析するステップS320と、を備えるものである。
【0163】
そのため、本実施形態の情報処理装置200及び情報処理方法によれば、処理負荷又はメモリ使用量を抑えること、及び、狭域・高解像度の環境地図500Aと広域・低解像度の環境地図500Bとを即時に切り替えることが可能である。
【0164】
<3.変形例>
次に、変形例の情報処理装置200について説明する。
【0165】
(変形例1)
図13は、変形例1の情報処理装置200の構成例を示すブロック図である。
【0166】
変形例1の情報処理装置200は、1つの環境地図500のみを用いるものである点において、本実施形態の情報処理装置200と異なっている。
【0167】
この変形例1の情報処理装置200は、センサ情報解析部210と、センサ情報一時蓄積部215と、地図蓄積部220と、地図解析部230と、行動計画部240と、動作制御部250と、を備える。
【0168】
変形例1のセンサ情報解析部210は、センサ部300において取得されたセンサ情報を解析して、地図基礎データ550を作成する。変形例1の地図蓄積部220は、地図基礎データ550に基づいて環境地図500を更新する。変形例1の地図解析部230は、地図蓄積部220において保持されている環境地図500を解析して、環境地図500の環境情報の欠落部分を補充する。変形例1の行動計画部240は、地図蓄積部220において保持されている環境地図500に基づいて、行動計画を作成し、その行動計画を、動作制御部250に送信する。
【0169】
変形例1の情報処理装置200のその他の構成は、前述の本実施形態の情報処理装置200の構成と同様である。また、変形例1の情報処理装置200の動作は、1つの環境地図500のみを用いる点を除いて、前述の本実施形態の情報処理装置200の動作と同様である。
【0170】
このように、変形例1の情報処理装置200は、センサ情報解析部210と、地図蓄積部220と、地図解析部230と、を備えたものとなっている。
【0171】
また、変形例1の情報処理装置200により実行される情報処理方法は、センサ情報を取得するステップS100と、地図基礎データを作成するステップS200と、環境地図を更新するステップS311と、環境地図を解析するステップS312と、を備えたものとなっている。
【0172】
このような変形例1の情報処理装置200及び情報処理方法によれば、処理負荷又はメモリ使用量を抑えることが可能である。
【0173】
(変形例2)
図14は、変形例2の情報処理装置200の構成例を示すブロック図である。
【0174】
変形例2の情報処理装置200は、環境地図500を解析して環境情報の欠落部分を補充する処理を行うものではない点において、本実施形態の情報処理装置200と異なっている。換言すると、変形例2の情報処理装置200は、狭域・高解像度地図解析部230A及び広域・低解像度地図解析部230Bを備えるものではない点において、本実施形態の情報処理装置200と異なっている。
【0175】
変形例2の情報処理装置200のその他の構成は、前述の本実施形態の情報処理装置200の構成と同様である。また、変形例2の情報処理装置200の動作は、環境地図500を解析して環境情報の欠落部分を補充する処理を行わない点を除いて、前述の本実施形態の情報処理装置200の動作と同様である。
【0176】
このように、変形例2の情報処理装置200は、センサ情報解析部210と、狭域・高解像度地図蓄積部220A(第1の地図蓄積部)と、広域・低解像度地図蓄積部220B(第2の地図蓄積部)と、を備えたものとなっている。
【0177】
また、変形例2の情報処理装置200により実行される情報処理方法は、センサ情報を取得するステップS100と、地図基礎データを作成するステップS200と、狭域・高解像度の環境地図を更新するステップS311と、広域・低解像度の環境地図を更新するステップS321と、を備えたものとなっている。
【0178】
このような変形例2の情報処理装置200によれは、処理負荷又はメモリ使用量を抑えること、及び、狭域・高解像度の環境地図500Aと広域・低解像度の環境地図500Bとを即時に切り替えることが可能である。
【0179】
なお、変形例2の情報処理装置200は、狭域・高解像度地図解析部230Aと広域・低解像度地図解析部230Bとのいずれも備えていないものであるが、本開示の情報処理装置200は、狭域・高解像度地図解析部230Aと広域・低解像度地図解析部230Bとのいずれか1つを備えるものであってもよい。
【0180】
なお、移動体100においては、自身に近い領域の情報が最も重要な場合が多いことから、自身に近い領域の環境情報をできるだけ詳細に把握することが好ましい。また、前述のとおり、広域・低解像度の環境地図500Bは、その狭域・高解像度の環境地図500Aと重なる空間領域について、狭域・高解像度の環境地図500Aの環境情報を利用して更新されるものとなっている。この観点から、情報処理装置200は、狭域・高解像度地図解析部230Aを備えるものであることが好ましい。
【0181】
(変形例3)
図15は、変形例3の情報処理装置200の構成例を示すブロック図である。
【0182】
変形例3の情報処理装置200は、3つの解像度の異なる環境地図500を用いるものである点において、本実施形態の情報処理装置200と異なっている。換言すると、変形例3の情報処理装置200は、狭域・高解像度の環境地図500A及び広域・低解像度の環境地図500Bに加えて、中域・中解像度の環境地図を保持するものである点において、本実施形態の情報処理装置200と異なっている。
【0183】
ここで、中域・中解像度とは、狭域・高解像度よりも広域且つ低解像度であり、広域・低解像度よりも狭域且つ高解像度であることを意味するものとする。
【0184】
この変形例3の情報処理装置200は、中域・中解像度地図蓄積部220Cと中域・中解像度地図解析部230Cとをさらに備える。
【0185】
変形例3のセンサ情報解析部210は、狭域・高解像度の地図基礎データ550A及び広域・低解像度の地図基礎データ550Bに加えて、中域・中解像度の地図基礎データ550を作成する。
【0186】
変形例3の中域・中解像度地図蓄積部220Cは、狭域・高解像度の環境地図500Aのデータと中域・中解像度の地図基礎データ550に基づいて、中域・中解像度の環境地図500を更新する。
【0187】
変形例3の中域・中解像度地図解析部230Cは、中域・中解像度地図蓄積部220Cに保持されている中域・中解像度の環境地図500を解析して、中域・中解像度の環境地図500の環境情報の欠落部分を補充する。
【0188】
変形例3の広域・低解像度地図蓄積部220Bは、中域・中解像度の環境地図500のデータと、広域・低解像度の地図基礎データ550Bと、に基づいて、広域・低解像度の環境地図500Bを更新する。
【0189】
変形例3の行動計画部240は、行動計画の作成に際し、状況に応じて、狭域・高解像度の環境地図500Aと中域・中解像度の環境地図500と広域・低解像度の環境地図500Bとのいずれか1つを選択する。
【0190】
具体的には、行動計画部240は、まずは、広域・低解像度の環境地図500Bに基づいて行動計画を作成し、より高精度な行動計画が必要と判断した場合に、中域・中解像度の環境地図500に基づいて行動計画を作成し、さらに高精度な行動計画が必要と判断した場合に、狭域・高解像度の環境地図500Aに基づいて行動計画を作成する。
【0191】
ここで、広域・低解像度の環境地図500Bに基づく行動計画の作成の後、求められる行動計画の精度によっては、中域・中解像度の環境地図500に基づく行動計画の作成を経ずに、いきなり、狭域・高解像度の環境地図500Aに基づく行動計画を作成するようにしてもよい。
【0192】
変形例3の情報処理装置200のその他の構成は、前述の本実施形態の情報処理装置200の構成と同様である。また、変形例3の情報処理装置200の動作は、3つの解像度の異なる環境地図500を用いる点を除いて、前述の本実施形態の情報処理装置200の動作と同様である。
【0193】
このように、変形例3の情報処理装置200は、3つの解像度の異なる環境地図500を用いるものとなっている。このような変形例3の情報処理装置200によれは、より状況に合った行動計画を作成することが可能である。なお、本開示の情報処理装置200は、4つ以上の解像度の異なる環境地図500を用いるものであってもよい。
【0194】
(変形例4)
図16は、変形例4の情報処理装置200の構成例を示すブロック図である。
【0195】
変形例4の情報処理装置200は、移動体100の外部に設けられたものである点において、本実施形態の情報処理装置200と異なっている。
【0196】
変形例4の情報処理装置200のその他の構成は、前述の本実施形態の情報処理装置200の構成と同様である。また、変形例4の情報処理装置200の動作は、前述の本実施形態の情報処理装置200の動作と同様である。
【0197】
このように、本開示の情報処理装置200は、移動体100の外部に設けられたものであってもよい。
【0198】
<4.ハードウェア構成例>
次に、情報処理装置200のハードウェア構成例について説明する。
【0199】
図17は、情報処理装置200のハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0200】
情報処理装置200は、コンピュータ装置900により構成される。
【0201】
コンピュータ装置900は、CPU(Central Processing Unit)901と、ROM(Read Only Memory)902と、RAM(Random access memory)903と、記録媒体904と、バス905と、入出力インターフェース906と、通信インターフェース907と、を備える。
【0202】
CPU901は、例えば、マイクロプロセッサなどのプロセッサにより構成され、ROM902、記録媒体904に記録されているコンピュータプログラムを実行する。コンピュータプログラムは、情報処理装置200の前述の各機能構成を実現するプログラムである。コンピュータプログラムは、1つのプログラムではなく、複数のプログラムやスクリプトの組み合わせにより実現されていてもよい。CPU901が、コンピュータプログラムを実行することにより、情報処理装置200の各機能構成が実現される。
【0203】
ROM902は、CPU901が使用するコンピュータプログラムや演算パラメータなどの制御用データなどを記憶する。
【0204】
RAM903は、CPU901により実行されるコンピュータプログラムや、使用中のデータなどを一時的に記憶する。
【0205】
記録媒体904は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、SSD(Solid State Drive)等の半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、又は、光磁気記憶デバイスなどからなり、CPU901が実行するコンピュータプログラムや各種のデータを記憶する。この記録媒体904は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、メモリカード等の半導体メモリなどの外部記録媒体(リムーバブルメディア)、又は、インターネット上のサーバなどであってもよい。
【0206】
バス905は、CPU901、ROM902、RAM903、記録媒体904、通信インターフェース906及び入出力インターフェース907を相互に接続するための回路である。
【0207】
通信インターフェース906は、外部装置と、有線又は無線で通信を行うための回路である。この通信インターフェース906には、移動体100のセンサ部300及び駆動部400が接続される。そして、通信インターフェース906は、センサ部300からのセンサ情報に係る通信と、駆動部400を駆動するための信号に係る通信と、を行う。
【0208】
入出力インターフェース907は、各種スイッチ、キーボード、マウス、マイクロフォンなどの入力装置や、ディスプレイ、スピーカーなどの出力装置と接続するための回路である。
【0209】
なお、コンピュータプログラムは、コンピュータ装置900に予めインストールされていてもよいし、CD-ROMなどの記憶媒体に記憶されていてもよい。また、コンピュータプログラムは、インターネット上にアップロードされていてもよい。
【0210】
また、情報処理装置200は、単一のコンピュータ装置900により構成されてもよいし、相互に接続された複数のコンピュータ装置900からなるシステムとして構成されてもよい。
【0211】
<5.車両制御システムへの適用例>
次に、本開示の情報処理装置200の車両制御システム11への適用例について説明する。
【0212】
図18は、本開示の技術が適用される移動装置システムの一例である車両制御システム11の構成例を示すブロック図である。
【0213】
車両制御システム11は、車両1に設けられ、車両1の走行支援及び自動運転に関わる処理を行う。
【0214】
車両制御システム11は、車両制御ECU(Electronic Control Unit)21、通信部22、地図情報蓄積部23、位置情報取得部24、外部認識センサ25、車内センサ26、車両センサ27、記憶部28、走行支援・自動運転制御部29、DMS(Driver Monitoring System)30、HMI(Human Machine Interface)31、及び、車両制御部32を備える。
【0215】
車両制御ECU21、通信部22、地図情報蓄積部23、位置情報取得部24、外部認識センサ25、車内センサ26、車両センサ27、記憶部28、走行支援・自動運転制御部29、ドライバモニタリングシステム(DMS)30、ヒューマンマシーンインタフェース(HMI)31、及び、車両制御部32は、通信ネットワーク41を介して相互に通信可能に接続されている。通信ネットワーク41は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)、FlexRay(登録商標)、イーサネット(登録商標)といったディジタル双方向通信の規格に準拠した車載通信ネットワークやバス等により構成される。通信ネットワーク41は、伝送されるデータの種類によって使い分けられてもよい。例えば、車両制御に関するデータに対してCANが適用され、大容量データに対してイーサネットが適用されるようにしてもよい。なお、車両制御システム11の各部は、通信ネットワーク41を介さずに、例えば近距離無線通信(NFC(Near Field Communication))やBluetooth(登録商標)といった比較的近距離での通信を想定した無線通信を用いて直接的に接続される場合もある。
【0216】
なお、以下、車両制御システム11の各部が、通信ネットワーク41を介して通信を行う場合、通信ネットワーク41の記載を省略するものとする。例えば、車両制御ECU21と通信部22が通信ネットワーク41を介して通信を行う場合、単に車両制御ECU21と通信部22とが通信を行うと記載する。
【0217】
車両制御ECU21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)といった各種のプロセッサにより構成される。車両制御ECU21は、車両制御システム11全体又は一部の機能の制御を行う。
【0218】
通信部22は、車内及び車外の様々な機器、他の車両、サーバ、基地局等と通信を行い、各種のデータの送受信を行う。このとき、通信部22は、複数の通信方式を用いて通信を行うことができる。
【0219】
通信部22が実行可能な車外との通信について、概略的に説明する。通信部22は、例えば、5G(第5世代移動通信システム)、LTE(Long Term Evolution)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)等の無線通信方式により、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク上に存在するサーバ(以下、外部のサーバと呼ぶ)等と通信を行う。通信部22が通信を行う外部ネットワークは、例えば、インターネット、クラウドネットワーク、又は、事業者固有のネットワーク等である。通信部22が外部ネットワークに対して行う通信方式は、所定以上の通信速度、且つ、所定以上の距離間でディジタル双方向通信が可能な無線通信方式であれば、特に限定されない。
【0220】
また例えば、通信部22は、P2P(Peer To Peer)技術を用いて、自車の近傍に存在する端末と通信を行うことができる。自車の近傍に存在する端末は、例えば、歩行者や自転車等の比較的低速で移動する移動体が装着する端末、店舗等に位置が固定されて設置される端末、又は、MTC(Machine Type Communication)端末である。さらに、通信部22は、V2X通信を行うこともできる。V2X通信とは、例えば、他の車両との間の車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路側器等との間の路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、家との間(Vehicle to Home)の通信、及び、歩行者が所持する端末等との間の歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信等の、自車と他との通信をいう。
【0221】
通信部22は、例えば、車両制御システム11の動作を制御するソフトウエアを更新するためのプログラムを外部から受信することができる(Over The Air)。通信部22は、さらに、地図情報、交通情報、車両1の周囲の情報等を外部から受信することができる。また例えば、通信部22は、車両1に関する情報や、車両1の周囲の情報等を外部に送信することができる。通信部22が外部に送信する車両1に関する情報としては、例えば、車両1の状態を示すデータ、認識部73による認識結果等がある。さらに例えば、通信部22は、eコール等の車両緊急通報システムに対応した通信を行う。
【0222】
例えば、通信部22は、電波ビーコン、光ビーコン、FM多重放送等の道路交通情報通信システム(VICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標))により送信される電磁波を受信する。
【0223】
通信部22が実行可能な車内との通信について、概略的に説明する。通信部22は、例えば無線通信を用いて、車内の各機器と通信を行うことができる。通信部22は、例えば、無線LAN、Bluetooth、NFC、WUSB(Wireless USB)といった、無線通信により所定以上の通信速度でディジタル双方向通信が可能な通信方式により、車内の機器と無線通信を行うことができる。これに限らず、通信部22は、有線通信を用いて車内の各機器と通信を行うこともできる。例えば、通信部22は、図示しない接続端子に接続されるケーブルを介した有線通信により、車内の各機器と通信を行うことができる。通信部22は、例えば、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)、MHL(Mobile High-definition Link)といった、有線通信により所定以上の通信速度でディジタル双方向通信が可能な通信方式により、車内の各機器と通信を行うことができる。
【0224】
ここで、車内の機器とは、例えば、車内において通信ネットワーク41に接続されていない機器を指す。車内の機器としては、例えば、運転者等の搭乗者が所持するモバイル機器やウェアラブル機器、車内に持ち込まれ一時的に設置される情報機器等が想定される。
【0225】
地図情報蓄積部23は、外部から取得した地図及び車両1で作成した地図の一方又は両方を蓄積する。例えば、地図情報蓄積部23は、3次元の高精度地図、高精度地図より精度が低く、広いエリアをカバーするグローバルマップ等を蓄積する。
【0226】
高精度地図は、例えば、ダイナミックマップ、ポイントクラウドマップ、ベクターマップ等である。ダイナミックマップは、例えば、動的情報、準動的情報、準静的情報、静的情報の4層からなる地図であり、外部のサーバ等から車両1に提供される。ポイントクラウドマップは、ポイントクラウド(点群データ)により構成される地図である。ベクターマップは、例えば、車線や信号機の位置といった交通情報等をポイントクラウドマップに対応付け、ADAS(Advanced Driver Assistance System)やAD(Autonomous Driving)に適合させた地図である。
【0227】
ポイントクラウドマップ及びベクターマップは、例えば、外部のサーバ等から提供されてもよいし、カメラ51、レーダ52、LiDAR53等によるセンシング結果に基づいて、後述するローカルマップとのマッチングを行うための地図として車両1で作成され、地図情報蓄積部23に蓄積されてもよい。また、外部のサーバ等から高精度地図が提供される場合、通信容量を削減するため、車両1がこれから走行する計画経路に関する、例えば数百メートル四方の地図データが外部のサーバ等から取得される。
【0228】
位置情報取得部24は、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からGNSS信号を受信し、車両1の位置情報を取得する。取得した位置情報は、走行支援・自動運転制御部29に供給される。なお、位置情報取得部24は、GNSS信号を用いた方式に限定されず、例えば、ビーコンを用いて位置情報を取得してもよい。
【0229】
外部認識センサ25は、車両1の外部の状況の認識に用いられる各種のセンサを備え、各センサからのセンサデータを車両制御システム11の各部に供給する。外部認識センサ25が備えるセンサの種類や数は任意である。
【0230】
例えば、外部認識センサ25は、カメラ51、レーダ52、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)53、及び、超音波センサ54を備える。これに限らず、外部認識センサ25は、カメラ51、レーダ52、LiDAR53、及び、超音波センサ54のうち1種類以上のセンサを備える構成でもよい。カメラ51、レーダ52、LiDAR53、及び、超音波センサ54の数は、現実的に車両1に設置可能な数であれば特に限定されない。また、外部認識センサ25が備えるセンサの種類は、この例に限定されず、外部認識センサ25は、他の種類のセンサを備えてもよい。外部認識センサ25が備える各センサのセンシング領域の例は、後述する。
【0231】
なお、カメラ51の撮影方式は、特に限定されない。例えば、測距が可能な撮影方式であるToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラといった各種の撮影方式のカメラを、必要に応じてカメラ51に適用することができる。これに限らず、カメラ51は、測距に関わらずに、単に撮影画像を取得するためのものであってもよい。
【0232】
また、例えば、外部認識センサ25は、車両1に対する環境を検出するための環境センサを備えることができる。環境センサは、天候、気象、明るさ等の環境を検出するためのセンサであって、例えば、雨滴センサ、霧センサ、日照センサ、雪センサ、照度センサ等の各種センサを含むことができる。
【0233】
さらに、例えば、外部認識センサ25は、車両1の周囲の音や音源の位置の検出等に用いられるマイクロフォンを備える。
【0234】
車内センサ26は、車内の情報を検出するための各種のセンサを備え、各センサからのセンサデータを車両制御システム11の各部に供給する。車内センサ26が備える各種センサの種類や数は、現実的に車両1に設置可能な種類や数であれば特に限定されない。
【0235】
例えば、車内センサ26は、カメラ、レーダ、着座センサ、ステアリングホイールセンサ、マイクロフォン、生体センサのうち1種類以上のセンサを備えることができる。車内センサ26が備えるカメラとしては、例えば、ToFカメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラといった、測距可能な各種の撮影方式のカメラを用いることができる。これに限らず、車内センサ26が備えるカメラは、測距に関わらずに、単に撮影画像を取得するためのものであってもよい。車内センサ26が備える生体センサは、例えば、シートやステアリングホイール等に設けられ、運転者等の搭乗者の各種の生体情報を検出する。
【0236】
車両センサ27は、車両1の状態を検出するための各種のセンサを備え、各センサからのセンサデータを車両制御システム11の各部に供給する。車両センサ27が備える各種センサの種類や数は、現実的に車両1に設置可能な種類や数であれば特に限定されない。
【0237】
例えば、車両センサ27は、速度センサ、加速度センサ、角速度センサ(ジャイロセンサ)、及び、それらを統合した慣性計測装置(IMU(Inertial Measurement Unit))を備える。例えば、車両センサ27は、ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサ、ヨーレートセンサ、アクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサ、及び、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキセンサを備える。例えば、車両センサ27は、エンジンやモータの回転数を検出する回転センサ、タイヤの空気圧を検出する空気圧センサ、タイヤのスリップ率を検出するスリップ率センサ、及び、車輪の回転速度を検出する車輪速センサを備える。例えば、車両センサ27は、バッテリの残量及び温度を検出するバッテリセンサ、並びに、外部からの衝撃を検出する衝撃センサを備える。
【0238】
記憶部28は、不揮発性の記憶媒体及び揮発性の記憶媒体のうち少なくとも一方を含み、データやプログラムを記憶する。記憶部28は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)として用いられ、記憶媒体としては、HDD(Hard Disc Drive)といった磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、及び、光磁気記憶デバイスを適用することができる。記憶部28は、車両制御システム11の各部が用いる各種プログラムやデータを記憶する。例えば、記憶部28は、EDR(Event Data Recorder)やDSSAD(Data Storage System for Automated Driving)を備え、事故等のイベントの前後の車両1の情報や車内センサ26によって取得された情報を記憶する。
【0239】
走行支援・自動運転制御部29は、車両1の走行支援及び自動運転の制御を行う。例えば、走行支援・自動運転制御部29は、分析部61、行動計画部62、及び、動作制御部63を備える。
【0240】
分析部61は、車両1及び周囲の状況の分析処理を行う。分析部61は、自己位置推定部71、センサフュージョン部72、及び、認識部73を備える。
【0241】
自己位置推定部71は、外部認識センサ25からのセンサデータ、及び、地図情報蓄積部23に蓄積されている高精度地図に基づいて、車両1の自己位置を推定する。例えば、自己位置推定部71は、外部認識センサ25からのセンサデータに基づいてローカルマップを生成し、ローカルマップと高精度地図とのマッチングを行うことにより、車両1の自己位置を推定する。車両1の位置は、例えば、後輪対車軸の中心が基準とされる。
【0242】
ローカルマップは、例えば、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)等の技術を用いて作成される3次元の高精度地図、占有格子地図(Occupancy Grid Map)等である。3次元の高精度地図は、例えば、上述したポイントクラウドマップ等である。占有格子地図は、車両1の周囲の3次元又は2次元の空間を所定の大きさのグリッド(格子)に分割し、グリッド単位で物体の占有状態を示す地図である。物体の占有状態は、例えば、物体の有無や存在確率により示される。ローカルマップは、例えば、認識部73による車両1の外部の状況の検出処理及び認識処理にも用いられる。
【0243】
なお、自己位置推定部71は、位置情報取得部24により取得される位置情報、及び、車両センサ27からのセンサデータに基づいて、車両1の自己位置を推定してもよい。
【0244】
センサフュージョン部72は、複数の異なる種類のセンサデータ(例えば、カメラ51から供給される画像データ、及び、レーダ52から供給されるセンサデータ)を組み合わせて、新たな情報を得るセンサフュージョン処理を行う。異なる種類のセンサデータを組合せる方法としては、統合、融合、連合等がある。
【0245】
認識部73は、車両1の外部の状況の検出を行う検出処理、及び、車両1の外部の状況の認識を行う認識処理を実行する。
【0246】
例えば、認識部73は、外部認識センサ25からの情報、自己位置推定部71からの情報、センサフュージョン部72からの情報等に基づいて、車両1の外部の状況の検出処理及び認識処理を行う。
【0247】
具体的には、例えば、認識部73は、車両1の周囲の物体の検出処理及び認識処理等を行う。物体の検出処理とは、例えば、物体の有無、大きさ、形、位置、動き等を検出する処理である。物体の認識処理とは、例えば、物体の種類等の属性を認識したり、特定の物体を識別したりする処理である。ただし、検出処理と認識処理とは、必ずしも明確に分かれるものではなく、重複する場合がある。
【0248】
例えば、認識部73は、レーダ52又はLiDAR53等によるセンサデータに基づくポイントクラウドを点群の塊毎に分類するクラスタリングを行うことにより、車両1の周囲の物体を検出する。これにより、車両1の周囲の物体の有無、大きさ、形状、位置が検出される。
【0249】
例えば、認識部73は、クラスタリングにより分類された点群の塊の動きを追従するトラッキングを行うことにより、車両1の周囲の物体の動きを検出する。これにより、車両1の周囲の物体の速度及び進行方向(移動ベクトル)が検出される。
【0250】
例えば、認識部73は、カメラ51から供給される画像データに基づいて、車両、人、自転車、障害物、構造物、道路、信号機、交通標識、道路標示等を検出又は認識する。また、認識部73は、セマンティックセグメンテーション等の認識処理を行うことにより、車両1の周囲の物体の種類を認識してもよい。
【0251】
例えば、認識部73は、地図情報蓄積部23に蓄積されている地図、自己位置推定部71による自己位置の推定結果、及び、認識部73による車両1の周囲の物体の認識結果に基づいて、車両1の周囲の交通ルールの認識処理を行うことができる。認識部73は、この処理により、信号機の位置及び状態、交通標識及び道路標示の内容、交通規制の内容、並びに、走行可能な車線等を認識することができる。
【0252】
例えば、認識部73は、車両1の周囲の環境の認識処理を行うことができる。認識部73が認識対象とする周囲の環境としては、天候、気温、湿度、明るさ、及び、路面の状態等が想定される。
【0253】
行動計画部62は、車両1の行動計画を作成する。例えば、行動計画部62は、経路計画、経路追従の処理を行うことにより、行動計画を作成する。
【0254】
なお、経路計画(Global path planning)とは、スタートからゴールまでの大まかな経路を計画する処理である。この経路計画には、軌道計画と言われ、計画した経路において、車両1の運動特性を考慮して、車両1の近傍で安全かつ滑らかに進行することが可能な軌道生成(Local path planning)を行う処理も含まれる。
【0255】
経路追従とは、経路計画により計画された経路を計画された時間内で安全かつ正確に走行するための動作を計画する処理である。行動計画部62は、例えば、この経路追従の処理の結果に基づき、車両1の目標速度と目標角速度を計算することができる。
【0256】
動作制御部63は、行動計画部62により作成された行動計画を実現するために、車両1の動作を制御する。
【0257】
例えば、動作制御部63は、後述する車両制御部32に含まれる、ステアリング制御部81、ブレーキ制御部82、及び、駆動制御部83を制御して、軌道計画により計算された軌道を車両1が進行するように、加減速制御及び方向制御を行う。例えば、動作制御部63は、衝突回避又は衝撃緩和、追従走行、車速維持走行、自車の衝突警告、自車のレーン逸脱警告等のADASの機能実現を目的とした協調制御を行う。例えば、動作制御部63は、運転者の操作によらずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行う。
【0258】
DMS30は、車内センサ26からのセンサデータ、及び、後述するHMI31に入力される入力データ等に基づいて、運転者の認証処理、及び、運転者の状態の認識処理等を行う。認識対象となる運転者の状態としては、例えば、体調、覚醒度、集中度、疲労度、視線方向、酩酊度、運転操作、姿勢等が想定される。
【0259】
なお、DMS30が、運転者以外の搭乗者の認証処理、及び、当該搭乗者の状態の認識処理を行うようにしてもよい。また、例えば、DMS30が、車内センサ26からのセンサデータに基づいて、車内の状況の認識処理を行うようにしてもよい。認識対象となる車内の状況としては、例えば、気温、湿度、明るさ、臭い等が想定される。
【0260】
HMI31は、各種のデータや指示等の入力と、各種のデータの運転者等への提示を行う。
【0261】
HMI31によるデータの入力について、概略的に説明する。HMI31は、人がデータを入力するための入力デバイスを備える。HMI31は、入力デバイスにより入力されたデータや指示等に基づいて入力信号を生成し、車両制御システム11の各部に供給する。HMI31は、入力デバイスとして、例えばタッチパネル、ボタン、スイッチ、及び、レバーといった操作子を備える。これに限らず、HMI31は、音声やジェスチャ等により手動操作以外の方法で情報を入力可能な入力デバイスをさらに備えてもよい。さらに、HMI31は、例えば、赤外線又は電波を利用したリモートコントロール装置や、車両制御システム11の操作に対応したモバイル機器又はウェアラブル機器等の外部接続機器を入力デバイスとして用いてもよい。
【0262】
HMI31によるデータの提示について、概略的に説明する。HMI31は、搭乗者又は車外に対する視覚情報、聴覚情報、及び、触覚情報の生成を行う。また、HMI31は、生成された各情報の出力、出力内容、出力タイミング及び出力方法等を制御する出力制御を行う。HMI31は、視覚情報として、例えば、操作画面、車両1の状態表示、警告表示、車両1の周囲の状況を示すモニタ画像等の画像や光により示される情報を生成及び出力する。また、HMI31は、聴覚情報として、例えば、音声ガイダンス、警告音、警告メッセージ等の音により示される情報を生成及び出力する。さらに、HMI31は、触覚情報として、例えば、力、振動、動き等により搭乗者の触覚に与えられる情報を生成及び出力する。
【0263】
HMI31が視覚情報を出力する出力デバイスとしては、例えば、自身が画像を表示することで視覚情報を提示する表示装置や、画像を投影することで視覚情報を提示するプロジェクタ装置を適用することができる。なお、表示装置は、通常のディスプレイを有する表示装置以外にも、例えば、ヘッドアップディスプレイ、透過型ディスプレイ、AR(Augmented Reality)機能を備えるウエアラブルデバイスといった、搭乗者の視界内に視覚情報を表示する装置であってもよい。また、HMI31は、車両1に設けられるナビゲーション装置、インストルメントパネル、CMS(Camera Monitoring System)、電子ミラー、ランプ等が有する表示デバイスを、視覚情報を出力する出力デバイスとして用いることも可能である。
【0264】
HMI31が聴覚情報を出力する出力デバイスとしては、例えば、オーディオスピーカ、ヘッドホン、イヤホンを適用することができる。
【0265】
HMI31が触覚情報を出力する出力デバイスとしては、例えば、ハプティクス技術を用いたハプティクス素子を適用することができる。ハプティクス素子は、例えば、ステアリングホイール、シートといった、車両1の搭乗者が接触する部分に設けられる。
【0266】
車両制御部32は、車両1の各部の制御を行う。車両制御部32は、ステアリング制御部81、ブレーキ制御部82、駆動制御部83、ボディ系制御部84、ライト制御部85、及び、ホーン制御部86を備える。
【0267】
ステアリング制御部81は、車両1のステアリングシステムの状態の検出及び制御等を行う。ステアリングシステムは、例えば、ステアリングホイール等を備えるステアリング機構、電動パワーステアリング等を備える。ステアリング制御部81は、例えば、ステアリングシステムの制御を行うステアリングECU、ステアリングシステムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0268】
ブレーキ制御部82は、車両1のブレーキシステムの状態の検出及び制御等を行う。ブレーキシステムは、例えば、ブレーキペダル等を含むブレーキ機構、ABS(Antilock Brake System)、回生ブレーキ機構等を備える。ブレーキ制御部82は、例えば、ブレーキシステムの制御を行うブレーキECU、ブレーキシステムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0269】
駆動制御部83は、車両1の駆動システムの状態の検出及び制御等を行う。駆動システムは、例えば、アクセルペダル、内燃機関又は駆動用モータ等の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構等を備える。駆動制御部83は、例えば、駆動システムの制御を行う駆動ECU、駆動システムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0270】
ボディ系制御部84は、車両1のボディ系システムの状態の検出及び制御等を行う。ボディ系システムは、例えば、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウインドウ装置、パワーシート、空調装置、エアバッグ、シートベルト、シフトレバー等を備える。ボディ系制御部84は、例えば、ボディ系システムの制御を行うボディ系ECU、ボディ系システムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0271】
ライト制御部85は、車両1の各種のライトの状態の検出及び制御等を行う。制御対象となるライトとしては、例えば、ヘッドライト、バックライト、フォグライト、ターンシグナル、ブレーキライト、プロジェクション、バンパーの表示等が想定される。ライト制御部85は、ライトの制御を行うライトECU、ライトの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0272】
ホーン制御部86は、車両1のカーホーンの状態の検出及び制御等を行う。ホーン制御部86は、例えば、カーホーンの制御を行うホーンECU、カーホーンの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0273】
図19は、図18の外部認識センサ25のカメラ51、レーダ52、LiDAR53、及び、超音波センサ54等によるセンシング領域の例を示す図である。なお、図2において、車両1を上面から見た様子が模式的に示され、左端側が車両1の前端(フロント)側であり、右端側が車両1の後端(リア)側となっている。
【0274】
センシング領域101F及びセンシング領域101Bは、超音波センサ54のセンシング領域の例を示している。センシング領域101Fは、複数の超音波センサ54によって車両1の前端周辺をカバーしている。センシング領域101Bは、複数の超音波センサ54によって車両1の後端周辺をカバーしている。
【0275】
センシング領域101F及びセンシング領域101Bにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の駐車支援等に用いられる。
【0276】
センシング領域102F乃至センシング領域102Bは、短距離又は中距離用のレーダ52のセンシング領域の例を示している。センシング領域102Fは、車両1の前方において、センシング領域101Fより遠い位置までカバーしている。センシング領域102Bは、車両1の後方において、センシング領域101Bより遠い位置までカバーしている。センシング領域102Lは、車両1の左側面の後方の周辺をカバーしている。センシング領域102Rは、車両1の右側面の後方の周辺をカバーしている。
【0277】
センシング領域102Fにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の前方に存在する車両や歩行者等の検出等に用いられる。センシング領域102Bにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の後方の衝突防止機能等に用いられる。センシング領域102L及びセンシング領域102Rにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の側方の死角における物体の検出等に用いられる。
【0278】
センシング領域103F乃至センシング領域103Bは、カメラ51によるセンシング領域の例を示している。センシング領域103Fは、車両1の前方において、センシング領域102Fより遠い位置までカバーしている。センシング領域103Bは、車両1の後方において、センシング領域102Bより遠い位置までカバーしている。センシング領域103Lは、車両1の左側面の周辺をカバーしている。センシング領域103Rは、車両1の右側面の周辺をカバーしている。
【0279】
センシング領域103Fにおけるセンシング結果は、例えば、信号機や交通標識の認識、車線逸脱防止支援システム、自動ヘッドライト制御システムに用いることができる。センシング領域103Bにおけるセンシング結果は、例えば、駐車支援、及び、サラウンドビューシステムに用いることができる。センシング領域103L及びセンシング領域103Rにおけるセンシング結果は、例えば、サラウンドビューシステムに用いることができる。
【0280】
センシング領域104は、LiDAR53のセンシング領域の例を示している。センシング領域104は、車両1の前方において、センシング領域103Fより遠い位置までカバーしている。一方、センシング領域104は、センシング領域103Fより左右方向の範囲が狭くなっている。
【0281】
センシング領域104におけるセンシング結果は、例えば、周辺車両等の物体検出に用いられる。
【0282】
センシング領域105は、長距離用のレーダ52のセンシング領域の例を示している。
センシング領域105は、車両1の前方において、センシング領域104より遠い位置までカバーしている。一方、センシング領域105は、センシング領域104より左右方向の範囲が狭くなっている。
【0283】
センシング領域105におけるセンシング結果は、例えば、ACC(Adaptive Cruise Control)、緊急ブレーキ、衝突回避等に用いられる。
【0284】
なお、外部認識センサ25が含むカメラ51、レーダ52、LiDAR53、及び、超音波センサ54の各センサのセンシング領域は、図2以外に各種の構成をとってもよい。具体的には、超音波センサ54が車両1の側方もセンシングするようにしてもよいし、LiDAR53が車両1の後方をセンシングするようにしてもよい。また、各センサの設置位置は、上述した各例に限定されない。また、各センサの数は、1つでもよいし、複数であってもよい。
【0285】
以上の車両制御システム11に対して、本開示の情報処理装置200は、次のとおり適用される。
【0286】
前提として、上述の車両1は、本開示の移動体100に相当する。また、車両制御システム11の外部認識センサ25は、本開示のセンサ部300に相当する。また、車両制御システム11の車両制御部32は、本開示の駆動部400に相当する。
【0287】
そして、車両制御システム11の地図情報蓄積部23を、本開示の地図蓄積部220、220A、220Bの構成を有するものとする。また、車両制御システム11の分析部61を、本開示のセンサ情報解析部210及び地図解析部230、230A、230Bの構成を有するものとする。また、車両制御システム11の行動計画部62を、本開示の行動計画部240の構成を有するものとする。また、車両制御システム11の動作制御部63を、本開示の動作制御部250の構成を有するものとする。
【0288】
これにより、車両制御システム11は、情報処理装置200を有するものとなる。
【0289】
このような車両制御システム11によれば、環境地図500に詳細な情報を記録しておくこと、処理負荷又はメモリ使用量を抑えつつ、狭域・高解像度の環境地図500Aと広域・低解像度の環境地図500Bとを即時に切り替えること、及び、移動体100に配置するセンサ310の数を抑えることが可能である。
<6.まとめ>
【0290】
以上、本開示の実施の形態の一例を説明したが、本開示は、その他の様々な形態で実施することが可能である。例えば、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変形、置換、省略又はこれらの組み合わせが可能である。そのような変形、置換、省略等を行った形態も、本開示の範囲に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0291】
また、本明細書に記載された本開示の効果は例示に過ぎず、その他の効果があってもよい。
【0292】
なお、本開示は以下のような構成をとることもできる。
[項目1]
センサ情報を解析して、環境情報を有する環境地図の更新に用いられるデータである地図基礎データを作成するセンサ情報解析部と、
前記環境地図を保持するとともに、前記地図基礎データに基づいて、前記環境地図を更新する地図蓄積部と、
前記環境地図を解析して、前記環境地図の前記環境情報を補充又は修正する地図解析部と、
を備える情報処理装置。
[項目2]
前記地図解析部は、前記環境地図の環境情報の欠落部分を補充する
項目1に記載の情報処理装置。
[項目3]
前記地図解析部は、所定の種類の環境情報の欠落部分の内容を、他の種類の環境情報の連続性を評価することによって推測し、その推測した内容を当該欠落部分に補充する
項目2に記載の情報処理装置。
[項目4]
前記地図解析部は、前記地図解析部により補充された環境情報が識別できる形式で前記環境情報の欠落部分を補充する
項目2又は3に記載の情報処理装置。
[項目5]
前記センサ情報解析部は、第1の範囲及び第1の解像度を有する第1の地図基礎データと、前記第1の範囲より広い第2の範囲及び前記第1の解像度より低い第2の解像度を有する第2の地図基礎データと、を作成し、
前記地図蓄積部は、前記第1の地図基礎データに基づいて、第3の範囲及び前記第1の解像度を有する第1の環境地図を更新する第1の地図蓄積部と、前記第2の地図基礎データに基づいて、前記第3の範囲より広い第4の範囲及び前記第2の解像度を有する第2の環境地図を更新する第2の地図蓄積部と、を有し、
前記地図解析部は、前記第1の環境地図又は前記第2の環境地図の少なくとも一方を解析して、当該環境地図の環境情報を補充又は修正する
項目1から4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
[項目6]
センサ情報を解析して、環境情報を有する環境地図の更新に用いられるデータである地図基礎データを作成するセンサ情報解析部と、
前記環境地図を保持するとともに、前記地図基礎データに基づいて、前記環境地図を更新する地図蓄積部と、を備え、
前記センサ情報解析部は、第1の範囲及び第1の解像度を有する第1の地図基礎データと、前記第1の範囲より広い第2の範囲及び前記第1の解像度より低い第2の解像度を有する第2の地図基礎データと、を作成し、
前記地図蓄積部は、前記第1の地図基礎データに基づいて、第3の範囲及び前記第1の解像度を有する第1の環境地図を更新する第1の地図蓄積部と、前記第2の地図基礎データに基づいて、前記第3の範囲より広い第4の範囲及び前記第2の解像度を有する第2の環境地図を更新する第2の地図蓄積部と、を有する
情報処理装置。
[項目7]
前記第2の地図基礎データは、前記第1の地図基礎データと重なる領域の少なくとも一部のデータを有しないものであり、
前記第2の地図蓄積部は、前記第1の環境地図の環境情報と、前記第2の地図基礎データと、に基づいて前記第2の環境地図を更新する
項目6に記載の情報処理装置。
[項目8]
移動体の行動計画を作成する行動計画部をさらに備え、
前記行動計画部は、状況に応じて、前記第1の環境地図と前記第2の環境地図とのいずれか1つを選択し、その選択した環境地図に基づいて前記行動計画を作成する
項目6又は7に記載の情報処理装置。
[項目9]
前記行動計画部は、前記第2の環境地図に基づいて前記行動計画を作成し、より高精度な行動計画が必要と判断した場合に、前記第1の環境地図に基づいて前記行動計画を作成する
項目8に記載の情報処理装置。
[項目10]
前記第1の環境地図又は前記第2の環境地図の少なくとも一方を解析して、当該環境地図の環境情報を補充又は修正する地図解析部
を備える項目6から9のいずれか1つに記載の情報処理装置。
[項目11]
センサ情報を取得するステップと、
前記センサ情報を解析して、環境情報を有する環境地図の更新に用いられるデータである地図基礎データを作成するステップと、
前記地図基礎データに基づいて、前記環境地図を更新するステップと、
前記環境地図を解析して、前記環境地図の環境情報を補充又は修正するステップと、
を備える情報処理方法。
[項目12]
センサ情報を取得するステップと、
前記センサ情報を解析して、環境情報を有する環境地図の更新に用いられるデータである地図基礎データを作成するステップと、
前記地図基礎データに基づいて、前記環境地図を更新するステップと、を備え、
前記地図基礎データを作成するステップは、第1の範囲及び第1の解像度を有する第1の地図基礎データを作成するステップと、前記第1の範囲より広い第2の範囲及び前記第1の解像度より低い第2の解像度を有する第2の地図基礎データを作成するステップと、を有し、
前記環境地図を更新するステップは、前記第1の地図基礎データに基づいて、第3の範囲及び前記第1の解像度を有する第1の環境地図を更新するステップと、前記第2の地図基礎データに基づいて、前記第3の範囲より広い第4の範囲及び前記第2の解像度を有する第2の環境地図を更新するステップと、を有する
情報処理方法。
[項目13]
センサ情報を取得するステップと、
前記センサ情報を解析して、環境情報を有する環境地図の更新に用いられるデータである地図基礎データを作成するステップと、
前記地図基礎データに基づいて、前記環境地図を更新するステップと、
前記環境地図を解析して、前記環境地図の環境情報を補充又は修正するステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
[項目14]
センサ情報を取得するステップと、
前記センサ情報を解析して、環境情報を有する環境地図の更新に用いられるデータである地図基礎データを作成するステップと、
前記地図基礎データに基づいて、前記環境地図を更新するステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記地図基礎データを作成するステップは、第1の範囲及び第1の解像度を有する第1の地図基礎データを作成するステップと、前記第1の範囲より広い第2の範囲及び前記第1の解像度より低い第2の解像度を有する第2の地図基礎データを作成するステップと、を有し、
前記環境地図を更新するステップは、前記第1の地図基礎データに基づいて、第3の範囲及び前記第1の解像度を有する第1の環境地図を更新するステップと、前記第2の地図基礎データに基づいて、前記第3の範囲より広い第4の範囲及び前記第2の解像度を有する第2の環境地図を更新するステップと、を有する
コンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0293】
100 移動体
200 情報処理装置
210 センサ情報解析部
215 センサ情報一時蓄積部
220 地図蓄積部
220A 狭域・高解像度地図蓄積部(第1の地図蓄積部)
220B 広域・低解像度地図蓄積部(第2の地図蓄積部)
220C 中域・中解像度地図蓄積部
225 データ変換部
230 地図解析部
230A 狭域・高解像度地図解析部(第1の地図解析部)
230B 広域・低解像度地図解析部(第2の地図解析部)
230C 中域・中解像度地図解析部
240 行動計画部
250 動作制御部
300 センサ部
310 センサ
311 第1のLiDAR
312 第2のLiDAR
313 RGBカメラ
320 センサ制御部
400 駆動部
500 環境地図
500A 狭域・高解像度の環境地図(第1の環境地図)
500B 広域・低解像度の環境地図(第2の環境地図)
510 ボクセル
550 地図基礎データ
550A 狭域・高解像度の地図基礎データ(第1の地図基礎データ)
550B 広域・低解像度の地図基礎データ(第2の地図基礎データ)
610 斜面
620 障害物
900 コンピュータ装置
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904 記録媒体
905 バス
906 通信インターフェース
907 入出力インターフェース
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19