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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189607
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/365 20180101AFI20221215BHJP
   F21S 41/663 20180101ALI20221215BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20221215BHJP
   F21S 41/265 20180101ALI20221215BHJP
   F21V 7/09 20060101ALI20221215BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20221215BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20221215BHJP
   F21W 102/155 20180101ALN20221215BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20221215BHJP
【FI】
F21S41/365
F21S41/663
F21S41/143
F21S41/265
F21V7/09 510
F21V5/04 650
F21V19/00 150
F21W102:155
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098272
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 悠二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英治
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 和則
【テーマコード(参考)】
3K013
【Fターム(参考)】
3K013BA01
3K013CA05
3K013CA16
(57)【要約】
【課題】光源の切り替えにより異なる配光パターンが得られる灯具において、コンパクト化要求に応える車両用灯具を提供すること。
【解決手段】灯具ユニット10は、光源と、リフレクタと、照射レンズ7と、を備える。光源として、基板8に設けられたハイビーム用光源1とロービーム用光源2とを有する。照射レンズ7は、複数に分割されて形成されており、後方にハイビーム用光源1が配置されたローレンズエリア72と、後方にロービーム用光源2が配置されたハイレンズエリア71と、を有する。リフレクタは、ハイビーム用光源1から入射された光をハイレンズエリア71に向けて反射する第1ハイリフレクタ3及び第2ハイフレクタ4と、ロービーム用光源2から入射された光をローレンズエリア72に向けて反射する第1ローリフレクタ5及び第2ローフレクタ6と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源から入射された光を反射するリフレクタと、前記リフレクタから入射された反射光を外部へ照射する照射レンズと、を備える車両用灯具において、
前記光源として、基板に設けられた第1光源と第2光源とを有し、
前記照射レンズは、複数に分割されて形成されており、後方に前記第1光源が配置された第2レンズエリアと、後方に前記第2光源が配置された第1レンズエリアと、を有し、
前記リフレクタは、前記第1光源から入射された光を前記第1レンズエリアに向けて反射する第1光源リフレクタと、
前記第2光源から入射された光を前記第2レンズエリアに向けて反射する第2光源リフレクタと、を有する
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
請求項1に記載された車両用灯具において、
前記第1光源を、ハイビーム用光源とし、
前記第2光源を、ロービーム用光源とし、
前記第1光源リフレクタを、前記ハイビーム用光源からの光を反射する第1反射面を有する第1ハイリフレクタと、前記第1反射面からの反射光を反射する第2反射面を有する第2ハイリフレクタとし、
前記第2光源リフレクタを、前記ロービーム用光源からの光を反射する第1反射面を有する第1ローリフレクタと、前記第1反射面からの反射光を反射する第2反射面を有する第2ローリフレクタとし、
前記照射レンズを、レンズエリア境界により上下2つのレンズエリアに分け、
前記第1レンズエリアを、前記レンズエリア境界より下側の下側レンズ領域であって、前記第2ハイリフレクタからの反射光が入射するハイレンズエリアとし、
前記第2レンズエリアを、前記レンズエリア境界より上側の上側レンズ領域であって、前記第2ローリフレクタからの反射光が入射するローレンズエリアとする
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項3】
請求項2に記載された車両用灯具において、
前記第1ハイリフレクタと前記第2ハイリフレクタと前記第1ローリフレクタと前記第2ローリフレクタとは、前記ハイビーム用光源からの光路と前記ロービーム用光源からの光路とが互いに光路を遮らない位置に配置されている
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項4】
請求項3に記載された車両用灯具において、
前記第1ハイリフレクタと前記第2ローリフレクタは、前記照射レンズと前記基板との対向空間のうち前記レンズエリア境界から前記基板へ向かって延びるレンズエリア境界部より上側の上側空間の位置に配置されており、
前記第1ローリフレクタと前記第2ハイリフレクタは、前記対向空間のうち前記レンズエリア境界部より下側の下側空間の位置に配置されており、
前記第1ハイリフレクタと前記第2ハイリフレクタと前記第1ローリフレクタと前記第2ローリフレクタとは、上下方向において互いに重なり合う配置とされている
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項5】
請求項1から請求項4までの何れか1項に記載された車両用灯具において、
前記第1レンズエリアによる第1レンズ焦点の前後方向位置は、前記基板の近傍位置に設定され、前記第2レンズエリアによる第2レンズ焦点の前後方向位置は、前記第1レンズ焦点の前後方向位置より前方の位置に設定されている
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項6】
請求項5に記載された車両用灯具において、
前記第1レンズエリアの前記第1レンズ焦点は、前記第1光源リフレクタの第2ハイリフレクタに対応する位置に配置されており、
前記第2レンズエリアの前記第2レンズ焦点は、前記第2光源リフレクタの第2ローリフレクタに対応する位置に配置されている
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項7】
請求項6に記載された車両用灯具において、
前記第1光源リフレクタの第1ハイリフレクタは、前記第1光源とともに前記第2レンズエリアの後方に配置され、前記第2ハイリフレクタは前記第1レンズエリアの後方に配置されており、
前記第2光源リフレクタの第1ローリフレクタは、前記第2光源とともに前記第1レンズエリアの後方に配置され、前記第2ローリフレクタは前記第2レンズエリアの後方に配置されている
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項8】
請求項1から請求項7までの何れか一項に記載された車両用灯具において、
前記第1光源と前記第2光源は、同一平面上に設けられている
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項9】
請求項2から請求項8までの何れか一項に記載された車両用灯具において、
前記照射レンズは、入射される反射光を集光して外部へ照射する集光レンズ部と、入射される反射光を拡散して外部へ照射する拡散レンズ部と、を車幅方向の隣接位置に有し、
前記集光レンズ部と前記拡散レンズ部のそれぞれについて、前記ハイレンズエリアと前記ローレンズエリアに分ける
ことを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に半導体型光源と別個の半導体型光源の2つの光源を備える車両用灯具が知られている。半導体型光源の発光部からの光であって第1反射面で反射された反射光の一部は、開口部を通ってカットオフされ、残りの反射光は、第2反射面で反射されて光学レンズを透過して所定の基本配光パターンで外部に照射される。別個の半導体型光源の発光部からの光は、光学レンズに直接入射して光学レンズを透過して所定の補助配光パターンで外部に照射される(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-324002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の車両用灯具は、半導体型光源から上部へ離れた位置に別個の半導体型光源を配置し、別個の半導体型光源の発光部からの光が、光学レンズの下半分領域に直接入射する(特許文献1の図6を参照)。よって、別個の半導体型光源と光学レンズの下半分領域とが上下方向において重なり合う同じ高さ位置の配置になる。その結果、別個の半導体型光源より下部に配置される半導体型光源及び第1リフレクタが、光学レンズの下端部からさらに下方に向かって突出させた位置への配置になる。このため、2つの半導体型光源を設けた基板のうち別個の半導体型光源側の基板と光学レンズとが、前後方向において重なり合い、灯具の上下方向寸法が、基板の上下方向寸法に光学レンズの上下方向寸法を加えた長さになり、灯具のコンパクト化要求に応えられず、改善の余地がある。
【0005】
本開示は、上記課題に着目してなされたもので、光源の切り替えにより異なる配光パターンが得られる灯具において、コンパクト化要求に応える車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の車両用灯具は、光源と、光源から入射された光を反射するリフレクタと、リフレクタから入射された反射光を外部へ照射する照射レンズと、を備える。光源として、基板に設けられた第1光源と第2光源とを有する。照射レンズは、複数に分割されて形成されており、後方に第1光源が配置された第2レンズエリアと、後方に第2光源が配置された第1レンズエリアと、を有する。リフレクタは、第1光源から入射された光を第1レンズエリアに向けて反射する第1光源リフレクタと、第2光源から入射された光を第2レンズエリアに向けて反射する第2光源リフレクタと、を有する。
【発明の効果】
【0007】
よって、光源の切り替えにより異なる配光パターンが得られる灯具において、灯具のコンパクト化要求に応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の灯具ユニットにおいて透明な照射レンズのレンズ表面側から視たときのユニット全体構成を示す正面図である。
図2】実施例1の灯具ユニットにおいてリフレクタを断面としたときのユニット全体構成を示す側面図である。
図3】実施例1の灯具ユニットにおいてハイビーム用光源から2つの反射面を経由してハイレンズエリアから外部に照射されるHIビーム配光パターンによる光路を示す図1のA―A線による断面図である。
図4】実施例1の灯具ユニットにおいてロービーム用光源から2つの反射面を経由してローレンズエリアから外部に照射されるLoビーム配光パターンによる光路を示す図1のB―B線による断面図である。
図5】実施例1の灯具ユニットにおいて光源の切り替えにより得られるHIビーム配光パターン及びLoビーム配光パターンを示す配光パターン図である。
図6】実施例1の灯具ユニットにおいてレンズ表面から入射する光軸と平行な光の光路がローレンズエリアを通過した後に集光するローレンズ焦点位置を示す説明図である。
図7】実施例1の灯具ユニットにおいてレンズ表面から入射する光軸と平行な光の光路がハイレンズエリアを通過した後に集光するハイレンズ焦点位置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示による車両用灯具を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例0010】
実施例1における車両用灯具は、自動車等の車両での灯具ユニットとして用いられるものであり、例えば、ヘッドランプやフォグランプ等に適用される。灯具ユニットは、車両の前部の左右両側に配置され、ランプハウジングの開放された前端がアウターレンズで覆われて形成される灯室に設けられる。以下の説明では、灯具ユニットにおいて、車両の前方直進時における進行方向であって光を照射する方向を前後方向(図面ではZ)とし、車両に搭載された状態で上下をあらわす方向を上下方向(図面ではY)とし、前後方向及び上下方向に直交する方向を幅方向(図面ではX)とする。
【0011】
まず、図1及び図2を参照し、自動車のヘッドランプに適用される灯具ユニット10(車両用灯具の一例)の構成を説明する。
【0012】
灯具ユニット10は、ハイビーム用光源1(第1光源)と、ロービーム用光源2(第2光源)と、第1ハイリフレクタ3(第1光源リフレクタ)と、第2ハイリフレクタ4(第1光源リフレクタ)と、第1ローリフレクタ5(第2光源リフレクタ)と、第2ローリフレクタ6(第2光源リフレクタ)と、照射レンズ7と、を備える。灯具ユニット10は、HIビーム配光パターンを得るハイビーム配光ユニットと、Loビーム配光パターンを得るロービーム配光ユニットとを集約して一体としたユニット構成としている。
【0013】
ハイビーム用光源1は、基板8の表面に設けられたハイビームの照射光源である。照射レンズ7の段差面7b(レンズエリア境界)から基板8へ向かって延びる面をレンズエリア境界部70というとき、ハイビーム用光源1は、図2に示すように、レンズエリア境界部70より上側位置に配置している。実施例1では、レンズエリア境界部70を、段差面7bを延長した「面」で説明しているが、段差やトリムにより境界が設けられていれば良い。ここで、照射レンズ7が集光レンズ部73と拡散レンズ部74とを有する場合、ハイビーム用光源1は、図1に示すように、後述する集光側第1ハイリフレクタ31と拡散側第1ハイリフレクタ32のそれぞれに対応する位置に1個ずつ設けても良い(合計2個)。
【0014】
ここで、「レンズエリア境界」とは、照射レンズ7を第1レンズエリア(例えば、ハイレンズエリア71)と第2レンズエリア(例えば、ローレンズエリア72)に分ける段差面7bをいう。実施例1における照射レンズ7のレンズエリア境界は、照射レンズ7の中心位置より少し上の位置を通る水平方向の段差面7bであって、ハイレンズエリア71の上下方向寸法が、ローレンズエリア72の上下方向寸法より長くなる面に設定している。つまり、ハイレンズエリア71の面積を、ローレンズエリア72の面積よりも広く設定している。これは、ハイレンズエリア71の領域を増やしたいという要求に応えるためである。更に、ロービーム側よりハイビーム側の光量を上げるため、立体角を増やしたいという要求に応えるためである。
【0015】
ロービーム用光源2は、基板8の表面に設けられたロービームの照射光源である。ロービーム用光源2は、図2に示すように、レンズエリア境界部70より下側位置に配置している。ここで、照射レンズ7が集光レンズ部73と拡散レンズ部74とを有する場合、ロービーム用光源2は、図1に示すように、後述する集光側第1ローリフレクタ51,52,53のそれぞれに対応する位置に1個ずつ設けても良い(合計3個)。さらに、拡散側第1ローリフレクタ54,55のそれぞれに対応する位置に1個ずつ設けても良い(合計2個)。
【0016】
ここで、ハイビーム用光源1及びロービーム用光源2としては、自発光半導体型光源が用いられ、実施例1ではLED光源(LEDは、「Light Emitting Diode」の略称)を用いている。ハイビーム用光源1及びロービーム用光源2には、光源発生熱を外部に逃がす図外のヒートシンクが設けられ、ヒートシンクは、熱伝導率の高い金属材料(例えば、アルミダイカスト)や樹脂材料などにより構成される。なお、基板8が光源発生熱を外部に逃がす機能を有する場合にはヒートシンクを設けない構成としても良い。
【0017】
ハイビーム用光源1及びロービーム用光源2には、発光箇所の切り替えによって配光パターン(HIビーム配光パターン、Loビーム配光パターン)を切り替える光源駆動回路が接続される。なお、発光箇所の切り替え手法としては、例えば、ドライバーの手動操作によって切り替える手動切り替え手法、先行車や対向車などを検知し、発光箇所を自動で切り替える自動切り替え手法、手動と自動を併用する切り替え手法、などがある。
【0018】
第1ハイリフレクタ3は、基板8などに取り付けられ、ハイビーム用光源1からの光を反射する第1反射面3aを有する。第1反射面3aは、ハイビーム用光源1から入射された前後方向(Z軸方向)の光を反射し、第2ハイリフレクタ4に向かう下方向(Y軸の下向き方向)に光路方向を変える回転楕円又は楕円を基調とする自由曲面(例えば、NUBRS曲面)などの反射面からなる。第1ハイリフレクタ3は、ハイビーム用光源1の前方位置に配置している。ここで、照射レンズ7が集光レンズ部73と拡散レンズ部74とを有する場合、第1ハイリフレクタ3として、図1に示すように、集光レンズ部73に1個の集光側第1ハイリフレクタ31を設け、拡散レンズ部74に1個の拡散側第1ハイリフレクタ32を設けても良い。集光側第1ハイリフレクタ31と拡散側第1ハイリフレクタ32は、レンズエリア境界延長部70より上方の同じ高さ位置への配置であっても良い。
【0019】
第2ハイリフレクタ4は、基板8などに取り付けられ、第1ハイリフレクタ3の第1反射面3aからの反射光を反射する第2反射面4aを有する。第2反射面4aは、第1ハイリフレクタ3からの反射光を入射し、ハイレンズエリア71に向かう前後方向(Z軸方向)に光路方向を変える平面又は平面に近似する曲面などの反射面からなる。第2ハイリフレクタ4は、ハイレンズエリア71の後方のハイレンズ焦点F1の近傍位置に配置している。ここで、照射レンズ7が集光レンズ部73と拡散レンズ部74とを有する場合、第2ハイリフレクタ4は、長方形状の平面板材などにより構成され、図1に示すように、集光レンズ部73と拡散レンズ部74とを跨いで車幅方向(X軸方向)に一体に設けても良い。第2ハイリフレクタ4は、レンズエリア境界部70より少し下方の位置であって、上下方向のリフレクタ全長が照射レンズ7と上下方向で重なり合う位置への配置であっても良い。
【0020】
第1ローリフレクタ5は、基板8などに取り付けられ、ロービーム用光源2からの光を反射する第1反射面5aを有する。第1反射面5aは、ロービーム用光源2から入射された前後方向(Z軸方向)の光を反射し、第2ローリフレクタ6に向かう上方向(Y軸の上向き方向)に光路方向を変える回転楕円又は楕円を基調とする自由曲面(例えば、NUBRS曲面)などの反射面からなる。第1ローリフレクタ5は、ロービーム用光源2の前方位置に配置している。ここで、照射レンズ7が集光レンズ部73と拡散レンズ部74とを有する場合、第1ローリフレクタ5としては、図1に示すように、集光レンズ部73に3個の集光側第1ローリフレクタ51,52,53を設けても良い。そして、拡散レンズ部74に2個の拡散側第1ローリフレクタ54,55を設けても良い。集光側第1ローリフレクタ51,52,53と拡散側第1ローリフレクタ54,55は、レンズエリア境界部70より下方の同じ高さ位置への配置であっても良い。
【0021】
第2ローリフレクタ6は、基板8もしくは図外のヒートシンクなどに取り付けられ、第1反射面5aからの反射光を反射する第2反射面6aを有する。第2反射面6aは、第1ローリフレクタ5からの反射光を入射し、ローレンズエリア72に向かう前後方向(Z軸方向)に光路方向を変える回転楕円を基調とする曲面などの反射面からなる。第2ローリフレクタ6は、第1ハイリフレクタ3の前方下部位置に配置している。ここで、照射レンズ7が集光レンズ部73と拡散レンズ部74とを有する場合、第2ローリフレクタ6は、長方形状の曲面板材などにより構成され、図1に示すように、集光レンズ部73と拡散レンズ部74とを跨いで車幅方向(X軸方向)に一体に設けても良い。そして、集光レンズ側のリフレクタ中央部には、Loビーム配光パターンにおけるLoビーム集光領域を形成するとき、明暗の境目になるカットオフラインを作り出すため、図1に示すように、カットオフ段差端面6bを形成している。第2ローリフレクタ6は、レンズエリア境界部70より上方位置であっても良い。
【0022】
ここで、図2を参照し、各リフレクタ3,4,5,6の配置について説明する。第1ハイリフレクタ3と第2ハイリフレクタ4と第1ローリフレクタ5と第2ローリフレクタ6とは、照射レンズ7の裏面と基板8の表面との対向空間90の位置に配置している。ここで、各リフレクタ3,4,5,6は、HIビーム配光パターンとLoビーム配光パターンにおいて、ハイビーム用光源1からの光路とロービーム用光源2からの光路とが互いに光路を遮らない位置への配置としている(図3及び図4を参照)。なお、第1ハイリフレクタ3と第2ハイリフレクタ4と第1ローリフレクタ5と第2ローリフレクタ6は、個別に基板8などに取り付けるようにしても良い。また、支持プレートに各リフレクタ3,4,5,6を設定したリフレクタユニットとして一体に構成し、支持プレートを基板8などに取り付けるようにしても良い。
【0023】
第1ハイリフレクタ3は、ハイビーム用光源1の直前位置に配置し、第2ローリフレクタ6は、第1ハイリフレクタ3の前方下部位置に配置している。即ち、第1ハイリフレクタ3と第2ローリフレクタ6を、対向空間90のうちレンズエリア境界部70より上側空間の位置(=ローレンズエリア72の後方空間の位置)であって、第1ハイリフレクタ3と第2ローリフレクタ6が上下方向に一部重なり合う位置に配置している。第1ローリフレクタ5は、ロービーム用光源2の直前位置に配置し、第2ハイリフレクタ4は、第1ローリフレクタ5の上部位置に配置している。即ち、第1ローリフレクタ5と第2ハイリフレクタ4を、対向空間90のうちレンズエリア境界部70より下側空間の位置(=ハイレンズエリア71の後方空間の位置)であって、第1ローリフレクタ5と第2ハイリフレクタ4が上下方向に互いに重なり合う位置に配置している。
【0024】
照射レンズ7は、図外のホルダを介して基板8などに取り付けられ、各リフレクタ3,4,5,6の前方位置に配置される光学レンズである。照射レンズ7の素材としては、透明な樹脂(例えば、アクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂等)が用いられ、多様なレンズ形状に対応できる樹脂成形により形成される。照射レンズ7は、レンズエリア境界である段差面7bによりレンズ裏面を上側エリアと下側エリアに分け、照射レンズ7の下側エリアをハイレンズエリア71とし、照射レンズ7の上側エリアをローレンズエリア72としている。
【0025】
ハイレンズエリア71は、第2ハイリフレクタ4から入射される反射光を屈折させて外部へ照射することによりHIビーム配光パターンを形成する。ローレンズエリア72は、第2ローリフレクタ6から入射される反射光を屈折させて外部へ照射することによりLoビーム配光パターンを形成する。
【0026】
ハイレンズエリア71及びローレンズエリア72と、ハイビーム用光源1及びロービーム用光源2の位置関係について説明する。照射レンズ7は、集光拡散で分けずにハイビーム側とロービーム側とで分けたときに2つに分割されて形成されており、後方にハイビーム用光源1が配置されたローレンズエリア72と、後方にロービーム用光源2が配置されたハイレンズエリア71と、を有する。よって、ハイビーム用光源1とハイレンズエリア71を組み合わせたHIビーム配光パターン組と、ロービーム用光源2とローレンズエリア72を組み合わせたLoビーム配光パターン組とは、レンズエリア境界部70を挟んで上下方向に交差するクロス配置の設定にされている。
【0027】
照射レンズ7は、照射光の出射面であるレンズ表面7aを、連続する曲率の曲面で形成している。一方、反射光の入射面であるレンズ裏面を、段差面7bをレンズエリア境界として第1レンズ裏面7cと第2レンズ裏面7dとに分け、第1レンズ裏面7cと第2レンズ裏面7dについて個別に曲率が設定されている。ここで、実施例1のように、照射レンズ7の裏面を段差構造とした場合、段差面7bが照射レンズ7のレンズエリアを分けるレンズエリア境界になる。なお、照射レンズの表面及び裏面をともに段差の無い円滑な面とした場合には、照射レンズのうちレンズ曲率が変わる位置やレンズ曲率が変わる領域がレンズエリア境界になる。
【0028】
即ち、レンズ表面から入射する光軸と平行な光の光路がハイレンズエリア71を通過した後に集光する位置がハイレンズ焦点F1(第1レンズ焦点)になる。一方、レンズ表面から入射する光軸と平行な光の光路がローレンズエリア72を通過した後に集光する位置がローレンズ焦点F2(第2レンズ焦点)になる。そして、ハイレンズ焦点F1の前後方向の位置と、ローレンズ焦点F2の前後方向の位置とを、前後方向に異ならせた位置の設定にしている。その結果として、ハイレンズエリア71とローレンズエリア72のそれぞれのレンズに入射した太陽光は、それぞれのレンズ焦点(ハイレンズ焦点F1、ローレンズ焦点F2)付近に集光してゆくことになる。
【0029】
実施例1では、第2レンズ裏面7dのレンズ曲率を、第1レンズ裏面7cのレンズ曲率より大きくすることで、ローレンズ焦点F2前後方向は、ハイレンズ焦点F1前後方向より前方位置に配置している。ハイレンズ焦点F1の位置は、レンズ表面から入射する光軸と平行な光の光路がハイレンズエリア71を通過した後に集光する位置である(図7を参照)。具体的なハイレンズ焦点F1は、第2ハイリフレクタ4の反射面4aの上部位置に設定している(図3を参照)。一方、ローレンズ焦点F2の位置は、レンズ表面から入射する光軸と平行な光の光路がローレンズエリア72を通過した後に集光する位置である(図6を参照)。具体的なローレンズ焦点F2は、第2ローリフレクタ6の略下端位置であって、かつ、ハイレンズ焦点F1の位置より基板8の表面から前方に離れた位置に設定している(図4を参照)。
【0030】
照射レンズ7は、図1に示すように、集光レンズ部73と、拡散レンズ部74とを車幅方向の隣接位置に一体に有する。集光レンズ部73は、上下に分けられたハイレンズエリア71とローレンズエリア72に入射される反射光のそれぞれを集光して外部へ照射するレンズ形状に形成している。拡散レンズ部74は、上下に分けられたハイレンズエリア71とローレンズエリア72に入射される反射光のそれぞれを拡散して外部へ照射するレンズ形状に形成している。そして、集光レンズ部73と拡散レンズ部74のそれぞれについて、レンズ上端面7eとレンズ下端面7fによる上下方向エリアを、ハイレンズエリア71とローレンズエリア72に分けている。さらに、集光レンズ部73と拡散レンズ部74のそれぞれについては、ハイビーム用光源1とロービーム用光源2を備えている。加えて、第1反射面3aを有する第1ハイリフレクタ3と、第2反射面4aを有する第2ハイリフレクタ4と、第1反射面5aを有する第1ローリフレクタ5と、第2反射面6aを有する第2ローリフレクタ6と、を備えている。
【0031】
次に、図3図5を参照し、実施例1における灯具ユニット10での配光パターン形成作用を説明する。なお、図5の配光パターン図において、Vは中心点Oを通る上下方向垂直線を示し、Hは中心点Oを通る車幅方向水平線を示す。
【0032】
ハイビーム用光源1を点灯すると、ハイレンズエリア71から外部への照射光によってHIビーム配光パターンが形成される。なお、夜間走行などにおいて、HIビーム配光パターンを形成するときは、ハイビーム用光源1とロービーム用光源2の両方が点灯する。よって、HIビーム配光パターンによる走行中、Loビーム配光パターンを形成するときは、点灯しているハイビーム用光源1を消灯する。
【0033】
即ち、図3において、ハイビーム用光源1からの出射光は、拡散側第1ハイリフレクタ32の第1反射面3aにより反射し、光路を下方に変え、第2ハイリフレクタ4に向かう反射光になる。第1反射面3aからの反射光は、第2ハイリフレクタ4の第2反射面4aにより反射し、光路を車両前方に変え、照射レンズ7のハイレンズエリア71の第1レンズ裏面7cに入射する。第1レンズ裏面7cに入射した反射光は、ハイレンズエリア71のレンズ形状に応じて屈折し、レンズ表面7aから外部へ照射される。したがって、ハイビーム点灯時において、拡散レンズ部74側からはHIビーム配光パターンのうちHIビーム拡散領域101が形成される。
【0034】
そして、ハイビーム点灯時において、集光レンズ部73側からはHIビーム配光パターンのうちHIビーム集光領域100が形成される。なお、ハイビーム配光については、集光と拡散とに分けて配光する例を示したが、集光と拡散とに分けないで同じ配光パターンを形成する場合もある。
【0035】
このため、照射レンズ7の集光レンズ部73によって、図5に示すように、中心位置Oに対して上下方向および左右方向に対称な横長形状であって、高照度によるHIビーム集光領域100が形成される。同時に、照射レンズ7の拡散レンズ部74によって、図5に示すように、HIビーム集光領域100の外周を囲むように、横長形状でHIビーム集光領域100より照度が低いHIビーム拡散領域101が形成される。この結果、発光箇所としてハイビーム用光源1を選択した場合、図5に示すように、HIビーム集光領域100とHIビーム拡散領域101とを組み合わせたHIビーム配光パターン(「走行用配光パターン」とも呼ばれる。)を形成することができる。
【0036】
一方、ロービーム用光源2を点灯すると、ローレンズエリア72から外部への照射光によってLoビーム配光パターンが形成される。
【0037】
即ち、図4において、ロービーム用光源2からの出射光は、集光側第1ローリフレクタ52の第1反射面5aにより反射し、光路を上方に変え、第2ローリフレクタ6に向かう反射光になる。第1反射面5aからの反射光は、第2ローリフレクタ6の第2反射面6aにより反射し、光路を車両前方に変え、照射レンズ7のローレンズエリア72の第2レンズ裏面7dに入射する。第2レンズ裏面7dに入射した反射光は、ローレンズエリア72のレンズ形状に応じて屈折し、レンズ表面7aから外部へ照射される。したがって、集光レンズ部73に有する集光側第1ローリフレクタ51,52,53を用いることで、Loビーム配光パターンのうちLoビーム集光領域200が形成される。このとき、第2ローリフレクタ6にカットオフ段差端面6aを形成しているため、Loビーム集光領域200は、暗所部と明所部との境界線であるカットオフラインを有し、上方に光が照射されない、若しくは上方に光を照射しないようにされている。
【0038】
発光箇所としてロービーム用光源2を選択すると、拡散レンズ部74に有するロービーム用光源2も同時に点灯するため、ロービーム用光源2からの出射光は、拡散側第1ローリフレクタ54の第1反射面5aにより反射する。したがって、拡散レンズ部74に有する拡散側第1ローリフレクタ54を用いることで、Loビーム配光パターンのうちLoビーム拡散領域201が形成される。
【0039】
このため、照射レンズ7の集光レンズ部73によって、図5に示すように、中心位置Oより下側で左右方向に非対称なカットオフラインを有する横長形状であって、HIビーム集光領域100より照度が低いLoビーム集光領域200が形成される。同時に、照射レンズ7の拡散レンズ部74によって、図5に示すように、Loビーム集光領域200の下側に重なり合い、車幅方向にオフセットさせた横長形状であって、Loビーム集光領域200より照度が低いLoビーム拡散領域201が形成される。この結果、発光箇所としてロービーム用光源2を選択した場合、図5に示すように、Loビーム集光領域200とLoビーム拡散領域201とを組み合わせたLoビーム配光パターン(「すれ違い用配光パターン」とも呼ばれる。)を形成することができる。
【0040】
次に、図1図7を参照し、実施例1における灯具ユニット10の特徴作用を説明する。
【0041】
実施例1において、照射レンズ7は、複数に分割されて形成されており、後方にハイビーム用光源1が配置されたローレンズエリア72と、後方にロービーム用光源2が配置されたハイレンズエリア71と、を有する。リフレクタは、ハイビーム用光源1から入射された光をハイレンズエリア71に向けて反射する第1ハイリフレクタ3と第2ハイフレクタ4と、ロービーム用光源2から入射された光をローレンズエリア72に向けて反射する第1ローリフレクタ5と第2ローフレクタ6と、を有する。
【0042】
車両用灯具の背景技術としては、各種のセンサーをユニットに配置し、様々な機能を追加することが進んでいる。このように、車両用灯具の多機能化に伴ってセンサーなどの取り付けスペースの確保ができるように、ヘッドランプユニットそのものをできる限り小型にしたいというコンパクト化要求がある。
【0043】
これに対し、光源1,2に対し、照射レンズ7をレンズエリア境界である段差面7bによりレンズエリア71,72に分けると、対応する1つの光源と1つのレンズエリアによる配光パターンの組み合わせを作ることができる。例えば、2つの配光パターンの組み合わせを作った場合、ローレンズエリア72の後方にハイビーム用光源1が配置され、ハイレンズエリア71の後方にロービーム用光源2が配置される。この場合、ハイレンズエリア71とロービーム用光源2、及び、ローレンズエリア72とハイビーム用光源1が、それぞれ前後方向において互いに向かい合う配置になり、灯具ユニット10の上下方向のコンパクト化を図ることが可能になる。よって、ハイビーム用光源1とロービーム用光源2を基板8の同一平面に配置し、一つの照射レンズ7(エリア分けはある)により配光パターンを照射する場合、前後方向の薄型化を含めてコンパクト化を図ると、上下方向と前後方向がコンパクトな灯具ユニット10を提供することができる。
【0044】
実施例1では、第1光源をハイビーム用光源1とし、第2光源をロービーム用光源2とし、照射レンズ7を、レンズエリア境界である段差面7bにより上下2つに分け、上側のローレンズエリア72と、下側のハイレンズエリア71とに分けている。そして、照射レンズ7のローレンズエリア72は、後方にハイビーム用光源1が配置され、照射レンズ7のハイレンズエリア71は、後方にロービーム用光源2が配置される設定としている。
【0045】
例えば、実施例1において、図2に示すように、クロス配置の組み合わせ線C,Dを描くと、ハイレンズエリア71とロービーム用光源2、及び、ローレンズエリア72とハイビーム用光源1が、それぞれ前後方向において互いに向かい合う配置になる。よって、両光源1,2を設ける基板8が、前後方向において照射レンズ7と全体的に重なり合うことになり、上下方向のコンパクト化が図られる。なお、実施例1においては、図1および図2において、照射レンズ上下寸法L0<基板上下寸法L1の例を示しているが、照射レンズ上下寸法L0=基板上下寸法L1であっても良いし、また、照射レンズ上下寸法L0>基板上下寸法L1であっても良い。
【0046】
また、照射レンズ7と基板8との間に配置される第1光源リフレクタを、第1ハイリフレクタ3と第2ハイリフレクタ4とし、第2光源リフレクタを、第1ローリフレクタ5と、第2ローリフレクタ6としている。このため、光源から上下方向を含む2回の反射により照射レンズ7へ光を入射させる構成であることにより、照射レンズ7と基板8との間隔を狭くすることができ、前後方向のコンパクト化が図られる。
【0047】
さらに、ハイビームとロービームの配光パターン設計において、先行文献のように共通レンズを用いる場合には、配光設計が難しい。これに対し、照射レンズ7には、個別にハイレンズエリア71とローレンズエリア72があることで、配光設計が容易になる。加えて、ハイビーム用のレンズ領域が個別に存在するため、ハイレンズエリア71を大きくとることで、HIビーム配光パターンの光量も向上する。よって、ハイビーム用光源1とロービーム光源2の切り替えにより異なる配光パターンが得られる灯具ユニット10において、灯具ユニット10の上下方向および前後方向のコンパクト化要求に応えることができる。加えて、HIビーム配光パターンとLoビーム配光パターンの配光設計が容易になるし、HIビーム配光パターンの光量を向上させることができる。
【0048】
実施例1において、第1ハイリフレクタ3と第2ハイリフレクタ4と第1ローリフレクタ5と第2ローリフレクタ6とは、ハイビーム用光源1からの光路とロービーム用光源2からの光路とが互いに光路を遮らない位置に配置されている。
【0049】
即ち、ハイビーム用光源1からの光が進行するHIビーム配光パターンの選択時には、図3の矢印91に示すように、第1ハイリフレクタ3及び第2ハイリフレクタ4を経過する反射光の光路を、第1ローリフレクタ5と第2ローリフレクタ6が遮ることがない。ロービーム用光源2からの光が進行するLoビーム配光パターンの選択時には、図4の矢印92に示すように、第1ローリフレクタ5及び第2ローリフレクタ6を経過する反射光の光路を、第1ハイリフレクタ3と第2ハイリフレクタ4が遮ることがない。このため、HIビーム配光パターンでの反射光の光路と、Loビーム配光パターンでの反射光の光路とを確保しながら、各リフレクタ3,4,5,6を照射レンズ7と基板8との間に配置できる。
【0050】
実施例1において、第1ハイリフレクタ3と第2ローリフレクタ6は、対向空間90のうちレンズエリア境界部70より上側の上側空間の位置に配置されている。第1ローリフレクタ5と第2ハイリフレクタ4は、対向空間90のうちレンズエリア境界部70より下側の下側空間の位置に配置されている。第1ハイリフレクタ3と第2ハイリフレクタ4と第1ローリフレクタ5と第2ローリフレクタ6とは、上下方向に互いに重なり合う配置とされている。
【0051】
即ち、4個のリフレクタ3,4,5,6を、レンズエリア境界部70を境界として2個(リフレクタ3,6):2個(リフレクタ4,5)に分けることで、例えば、1個(リフレクタ3,4,5,6のうち1つ):3個(リフレクタ3,4,5,6の残りの3つ)に分ける場合に比べ、より細やかな配光形成が可能となる。
【0052】
加えて、4個のリフレクタ3,4,5,6を、上下方向に互いに重なり合う配置とすることで、リフレクタ配置スペースが削減される。例えば、図2に示すように、最も大きな形状の第1ローリフレクタ5を基準にすると、第1ハイリフレクタ3と第2ハイリフレクタ4は上下方向に全部重なり合い、第2ローリフレクタ6は上下方向に一部重なり合う。このため、選択された配光パターンにおいて反射光の光路を遮らないというリフレクタを設けた灯具の基本条件を成立させながら、各リフレクタ3,4,5,6を照射レンズ7と基板8との対向空間90の前後方向に対してコンパクトに配置できる。
【0053】
実施例1において、ハイレンズエリア71によるハイレンズ焦点F1の前後方向位置は、基板8の近傍位置に設定され、ローレンズエリア72によるローレンズ焦点F2の前後方向位置は、ハイレンズ焦点F1の前後方向位置より前方の位置に設定されている。
【0054】
即ち、ハイレンズ焦点F1の前後方向位置が、一枚の基板8の近傍位置に設定されるため、一枚の基板8に設けられるハイビーム用光源1とロービーム用光源2の設定位置が、ハイレンズ焦点F1の前後方向位置を超えることがない。よって、図2に示すように、照射レンズ7の表面位置と基板8の裏面位置により決まる灯具ユニット10の前後方向寸法L2を短くすることができる。また、ローレンズ焦点F2の前後方向位置が、ハイレンズ焦点F1の前後方向位置より前方の位置に設定されるため、照射レンズ7と基板8との対向空間90に、ハイビーム側とロービーム側の互いのリフレクタ3,4,5,6を配置することが可能になる。
【0055】
ローレンズ焦点F2の前後方向位置を、ハイレンズ焦点F1の前後方向位置より前方の位置に設定することで、ハイレンズ焦点F1の位置と、ローレンズエリア72によるローレンズ焦点F2の位置とが、前後方向に異なる位置になる。したがって、太陽の集光エネルギーが、ハイレンズ焦点F1の位置とローレンズ焦点F2の位置とに分散される。この太陽光の集光エネルギーの分散作用により、各リフレクタ3,4,5,6や基板8などの部品材質として耐熱温度を下げた材質を選択することが可能になる。このため、灯具ユニット10を安価に製造できるとともに、灯具ユニット10の前後方向寸法L2を短くすることができる。
【0056】
実施例1において、ハイレンズエリア71のハイレンズ焦点F1は、第2ハイリフレクタ4に対応する位置(上端側)に配置されている。ローレンズエリア72のローレンズ焦点F2は、第2ローリフレクタ6に対応する位置(下端側)に配置されている。
【0057】
即ち、ハイレンズ焦点F1が、第2ハイリフレクタ4に対応する位置(上端側)に配置されるため、第2ハイリフレクタ4はハイレンズエリア71の後方の位置に配置される。ローレンズ焦点F2が、第2ローリフレクタ6に対応する位置(下端側)に配置されるため、第2ローリフレクタ6はローレンズエリア72の後方の位置に配置される。したがって、第2ハイリフレクタ4からの反射光が、照射レンズ7のハイレンズエリア71に有効かつ的確に入射するとともに、第2ローリフレクタ6からの反射光が、照射レンズ7のローレンズエリア72に有効かつ的確に入射する。
【0058】
実施例1において、第1ハイリフレクタ3は、ハイビーム用光源1とともにローレンズエリア72の後方に配置され、第2ハイリフレクタ4はハイレンズエリア71の後方に配置されている。第1ローリフレクタ5は、ロービーム用光源2とともにハイレンズエリア71の後方に配置され、第2ローリフレクタ6はローレンズエリア72の後方に配置されている。
【0059】
即ち、照射レンズ7のハイレンズエリア71の後方に、ロービーム用光源2と第1ローリフレクタ5とハイレンズ焦点F1を上端部に有する第2ハイリフレクタ4が集中して配置される。照射レンズ7のローレンズエリア72の後方に、ハイビーム用光源1と第1ハイリフレクタ3とローレンズ焦点F2を下端部に有する第2ローリフレクタ6が集中して配置される(図2を参照)。したがって、ハイビーム用光源1とロービーム用光源2と各リフレクタ3,4,5,6とが、照射レンズ7のハイレンズエリア71の後方空間と、照射レンズ7のローレンズエリア72の後方空間とに分けてコンパクトに集中配置される。
【0060】
実施例1において、照射レンズ7は、入射される反射光を集光して外部へ照射する集光レンズ部73と、入射される反射光を拡散して外部へ照射する拡散レンズ部74とを車幅方向の隣接位置に有している。集光レンズ部73と拡散レンズ部74のそれぞれについて、ハイレンズエリア71とローレンズエリア72に分けている。
【0061】
即ち、図5に示すように、集光レンズ部73のハイレンズエリア71によりHIビーム集光領域100が得られ、拡散レンズ部74のハイレンズエリア71によりHIビーム拡散領域101が得られる。また、集光レンズ部73のローレンズエリア72によりLoビーム集光領域200が得られ、拡散レンズ部74のローレンズエリア72によりLoビーム拡散領域201が得られる。そして、HIビーム配光パターンは、HIビーム集光領域100とHIビーム拡散領域101との組み合わせによる適切な照度分布により得られる。Loビーム配光パターンは、Loビーム集光領域200とLoビーム拡散領域201との組み合わせによる適切な照度分布により得られる。このため、ハイビーム用光源1とロービーム用光源2による発光箇所を切り替えることで、適切な照度分布によるHIビーム配光パターンと、適切な照度分布のLoビーム配光パターンと、を得ることができる。
【0062】
以上説明したように、実施例1の灯具ユニット10にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
【0063】
(1)車両用灯具(灯具ユニット10)は、光源と、光源から入射された光を反射するリフレクタと、リフレクタから入射された反射光を外部へ照射する照射レンズ7と、を備える。光源として、基板8に設けられた第1光源(ハイビーム用光源1)と第2光源(ロービーム用光源2)とを有する。照射レンズ7は、複数に分割されて形成されており、後方に第1光源(ハイビーム用光源1)が配置された第2レンズエリア(ローレンズエリア72)と、後方に第2光源(ロービーム用光源2)が配置された第1レンズエリア(ハイレンズエリア71)と、を有する。リフレクタは、第1光源(ハイビーム用光源1)から入射された光を第1レンズエリア(ハイレンズエリア71)に向けて反射する第1光源リフレクタ(第1ハイリフレクタ3、第2ハイフレクタ4)と、第2光源(ロービーム用光源2)から入射された光を第2レンズエリア(ローレンズエリア72)に向けて反射する第2光源リフレクタ(第1ローリフレクタ5、第2ローフレクタ6)と、を有する。このため、第1光源(ハイビーム用光源1)と第2光源(ロービーム光源2)の切り替えにより異なる配光パターンが得られる灯具ユニット10において、灯具ユニット10のコンパクト化要求に応えることができる。
【0064】
(2)第1光源を、ハイビーム用光源1とし、第2光源を、ロービーム用光源2とする。第1光源リフレクタを、ハイビーム用光源1からの光を反射する第1反射面3aを有する第1ハイリフレクタ3と、第1反射面3aからの反射光を反射する第2反射面4aを有する第2ハイリフレクタ4とする。第2光源リフレクタを、ロービーム用光源2からの光を反射する第1反射面5aを有する第1ローリフレクタ5と、第1反射面5aからの反射光を反射する第2反射面6aを有する第2ローリフレクタ6とする。照射レンズ7を、レンズエリア境界(段差面7b)により上下2つのレンズエリアに分ける。第1レンズエリアを、レンズエリア境界(段差面7b)より下側の下側レンズ領域であって、第2ハイリフレクタ4からの反射光が入射するハイレンズエリア71とする。第2レンズエリアを、レンズエリア境界(段差面7b)より上側の上側レンズ領域であって、第2ローリフレクタ6からの反射光が入射するローレンズエリア72とする。このため、ハイビーム用光源1とロービーム用光源2の切り替えによりHIビーム配光パターンとLoビーム配光パターンが得られる灯具ユニット10において、ユニット上下方向寸法のコンパクト化要求に応えることができる。
【0065】
(3)第1ハイリフレクタ3と第2ハイリフレクタ4と第1ローリフレクタ5と第2ローリフレクタ6とは、ハイビーム用光源1からの光路とロービーム用光源2からの光路とが互いに光路を遮らない位置に配置されている。このため、HIビーム配光パターンでの反射光の光路と、Loビーム配光パターンでの反射光の光路とを確保しながら、各リフレクタ3,4,5,6を照射レンズ7と基板8との間に配置できる。
【0066】
(4)第1ハイリフレクタ3と第2ローリフレクタ6は、照射レンズ7と基板8との対向空間90のうちレンズエリア境界(段差面7b)から基板8へ向かって延びるレンズエリア境界部70より上側の上側空間の位置に配置されている。第1ローリフレクタ5と第2ハイリフレクタ4は、対向空間90のうちレンズエリア境界部70より下側の下側空間の位置に配置されている。第1ハイリフレクタ3と第2ハイリフレクタ4と第1ローリフレクタ5と第2ローリフレクタ6とは、上下方向において互いに重なり合う配置とされている。このため、選択された配光パターンにおいて反射光の光路を遮らないという条件を成立させながら、各リフレクタ3,4,5,6を照射レンズ7と基板8との対向空間90に対してコンパクトに配置できる。
【0067】
(5)第1レンズエリア(ハイレンズエリア71)による第1レンズ焦点(ハイレンズ焦点F1)の前後方向位置は、基板8の近傍位置に設定されている。第2レンズエリア(ローレンズエリア72)による第2レンズ焦点(ローレンズ焦点F2)の前後方向位置は、第1レンズ焦点の前後方向位置より前方の位置に設定されている。このため、部品に高耐熱性素材を用いることが要求されず、灯具ユニット10を安価に製造できるとともに、灯具ユニット10の前後方向寸法L2を短くすることができる。
【0068】
(6)第1レンズエリア(ハイレンズエリア71)の第1レンズ焦点(ハイレンズ焦点F1)は、第1光源リフレクタの第2ハイリフレクタ4に対応する位置に配置されている。第2レンズエリア(ローレンズエリア72)の第2レンズ焦点(ローレンズ焦点F2)は、第2光源リフレクタの第2ローリフレクタ6に対応する位置に配置されている。このため、第2ハイリフレクタ4からの反射光を、照射レンズ7のハイレンズエリア71に有効かつ的確に入射できるとともに、第2ローリフレクタ6からの反射光を、照射レンズ7のローレンズエリア72に有効かつ的確に入射できる。
【0069】
(7)第1光源リフレクタの第1ハイリフレクタ3は、第1光源(ハイビーム用光源1)とともに第2レンズエリア(ローレンズエリア72)の後方に配置され、第2ハイリフレクタ4は第1レンズエリア(ハイレンズエリア71)の後方に配置されている。第2光源リフレクタの第1ローリフレクタ5は、第2光源(ロービーム用光源2)とともに第1レンズエリア(ハイレンズエリア71)の後方に配置され、第2ローリフレクタ6は第2レンズエリア(ローレンズエリア72)の後方に配置されている。このため、ハイビーム用光源1とロービーム用光源2と各リフレクタ3,4,5,6とを、照射レンズ7のハイレンズエリア71の後方空間と、照射レンズ7のローレンズエリア72の後方空間とに分けてコンパクトに集中配置することができる。
【0070】
(8)第1光源(ハイビーム用光源1)と第2光源(ロービーム用光源2)は、同一平面上に設けられている。このため、2つの光源を異なる平面上に設ける場合に比べ、灯具ユニット10の前後方向寸法L2をより短くすることができる。
【0071】
(9)照射レンズ7は、入射される反射光を集光して外部へ照射する集光レンズ部73と、入射される反射光を拡散して外部へ照射する拡散レンズ部74と、を車幅方向の隣接位置に有する。集光レンズ部73と拡散レンズ部74のそれぞれについて、ハイレンズエリア71とローレンズエリア72に分ける。このため、ハイビーム用光源1とロービーム用光源2による発光箇所を切り替えることで、集中領域と拡散領域が組み合わされた適切な照度分布によるHIビーム配光パターンと、集中領域と拡散領域が組み合わされた適切な照度分布によるLoビーム配光パターンと、を得ることができる。
【0072】
以上、本開示の車両用灯具を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0073】
実施例1では、照射レンズ7として、レンズ裏面のレンズエリア境界70により2つのエリアに分割する例を示した。しかし、照射レンズとしては、レンズ表面のレンズ分割面により2つのエリアに分割する例としても良いし、レンズ表面とレンズ裏面のレンズ分割面により2つのエリアに分割する例としても良い。さらに、照射レンズを、3以上の複数のエリアに分割する例としても良い。
【0074】
実施例1では、レンズエリア境界として、水平方向の面によって照射レンズ7を、ハイレンズエリア71とローレンズエリア72とに上下に分ける例を示した。しかし、照射レンズのレンズエリア境界としては、水平方向の面により分ける場合に限られるものではなく、垂直方向の面により分ける例としても良く、垂直方向の面により分けた場合、幅方向寸法の短くすることができる。さらに、照射レンズを、水平面又は垂直面からの傾斜角度を有する傾斜面により分ける例としても良い。
【0075】
実施例1では、第1光源としてハイビーム用光源1を示し、第2光源としてロービーム用光源2を示した。しかし、第1光源及び第2光源としては、HIビーム配光パターンとLoビーム配光パターンを作り出す用途に供するハイビーム用光源及びロービーム用光源に限られるものではなく、異なる用途に応じた少なくとも2種類の光源を有するものであれば良い。
【0076】
実施例1では、照射レンズ7として、集光レンズ部73と拡散レンズ部74とを車幅方向の隣接位置に一体に有する例を示した。しかし、照射レンズとしては、これに限られるものではなく、集光レンズ部と拡散レンズ部とを車幅方向の隣接位置に別体に有する例としても良い。さらに、集光レンズ部と拡散レンズ部との間の他のレンズ部を挟むような例としても良い。
【0077】
実施例1では、灯具ユニット10として、HIビーム配光パターンとLoビーム配光パターンを切り替えるユニット例を示した。灯具ユニットとしては、HIビーム配光パターンとLoビーム配光パターンを切り替えるユニットに限られることなく、HIビーム、Loビーム以外の様々な配光パターンを切り替えるユニットであっても良い。
【符号の説明】
【0078】
10 灯具ユニット(車両用灯具)
1 ハイビーム用光源(第1光源)
2 ロービーム用光源(第2光源)
3 第1ハイリフレクタ(第1光源リフレクタ)
3a 第1反射面
4 第2ハイリフレクタ(第1光源リフレクタ)
4a 第2反射面
5 第1ローリフレクタ(第2光源リフレクタ)
5a 第1反射面
6 第2ローリフレクタ(第2光源リフレクタ)
6a 第2反射面
7 照射レンズ
70b 段差面(レンズエリア境界)
70 レンズエリア境界部
71 ハイレンズエリア(第1レンズエリア)
72 ローレンズエリア(第2レンズエリア)
73 集光レンズ部
74 拡散レンズ部
8 基板
90 対向空間
F1 ハイレンズ焦点(第1レンズ焦点)
F2 ローレンズ焦点(第2レンズ焦点)
L0 照射レンズ7の上下方向寸法
L1 基板8の上下方向寸法
L2 灯具ユニット10の前後方向寸法
100 HIビーム集光領域
101 HIビーム拡散領域
200 Loビーム集光領域
201 Loビーム拡散領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7