(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189617
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】負荷試験装置、荷重検出ユニット、および負荷試験方法
(51)【国際特許分類】
G01N 3/24 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
G01N3/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098288
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000103644
【氏名又は名称】オイレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】和氣 知貴
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA11
2G061AA17
2G061AB01
2G061CA10
2G061DA01
2G061EA01
2G061EA02
2G061EB05
2G061EC02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】試験体の水平方向の負荷荷重をより高精度に測定可能とする。
【解決手段】荷重検出ユニット11は、試験体3が載置され、水平移動可能な載置テーブル110と、水平移動可能な第1支持板111と、第1支持板111上に載置された第1ゴム支承112と、第1ゴム支承112上に配置され、水平移動可能な第2支持板113と、第2支持板113上に載置された第2ゴム支承114と、第2ゴム支承114上に配置され、第1支持板111と同方向に同量だけ移動するように第1支持板111に連結された第3支持板115と、第3支持板115上に載置され、載置テーブル110を水平移動可能に支持する第3ゴム支承116と、載置テーブル110の水平荷重を測定する第1ロードセル117と、第1支持板111および第3支持板115の水平荷重を測定する第2ロードセル118と、第2支持板113の水平荷重を測定する第3ロードセル119と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験体の上面に垂直荷重を加えながら前記試験体の下面を水平方向に変位させた際における前記試験体の水平方向の負荷荷重を測定する負荷試験装置であって、
前記試験体が載置され、水平方向アクチュエータにより水平方向に移動可能な載置テーブルを有する荷重検出ユニットと、
前記試験体の上面と当接し、垂直方向アクチュエータにより垂直方向に移動可能な加圧板と、を備え、
前記荷重検出ユニットは、
水平方向に移動可能な第1支持板と、
前記第1支持板上に載置された第1支承と、
前記第1支承上に配置され、前記第1支持板に対して水平方向に移動可能な第2支持板と、
前記第2支持板上に載置された第2支承と、
前記第2支承上に配置され、前記第2支持板に対して前記第1支持板と同方向に同量だけ移動するように前記第1支持板に連結された第3支持板と、
前記第3支持板上に載置され、前記載置テーブルを前記第3支持板に対して水平方向に移動可能に支持する第3支承と、
前記載置テーブルに加わる水平方向の負荷荷重を測定する第1ロードセルと、
前記載置テーブルと前記第1支持板および前記第3支持板との間に配置され、前記第1支持板および前記第3支持板に加わる水平方向の負荷荷重を測定する第2ロードセルと、
前記載置テーブルと前記第2支持板との間に配置され、前記第2支持板に加わる水平方向の負荷荷重を測定する第3ロードセルと、をさらに有する
ことを特徴とする負荷試験装置。
【請求項2】
請求項1に記載の負荷試験装置であって、
前記第1支承、前記第2支承、および前記第3支承は、同じせん断ばね定数を有するゴム支承である
ことを特徴とする負荷試験装置。
【請求項3】
請求項1に記載の負荷試験装置であって、
前記第1支承、前記第2支承、および前記第3支承は、同じ摩擦係数を有するローラ支承である
ことを特徴とする負荷試験装置。
【請求項4】
試験体の上面に垂直荷重を加えながら前記試験体の下面を水平方向に変位させた際における前記試験体の水平方向の負荷荷重を測定する負荷試験装置であって、
前記試験体が載置され、水平方向アクチュエータにより水平方向に移動可能な載置テーブルを有する荷重検出ユニットと、
前記試験体の上面と当接し、垂直方向アクチュエータにより垂直方向に移動可能な加圧板と、を備え、
前記荷重検出ユニットは、
水平方向に移動可能な支持板と、
前記支持板上に載置され、前記載置テーブルを前記支持板に対して水平方向に移動可能に支持する支承と、
前記載置テーブルに加わる水平方向の負荷荷重を測定する第1ロードセルと、
前記載置テーブルと前記支持板との間に配置され、前記支持板に加わる水平方向の負荷荷重を測定する第2ロードセルと、をさらに有する
ことを特徴とする負荷試験装置。
【請求項5】
請求項4に記載の負荷試験装置であって、
前記支承は、ゴム支承である
ことを特徴とする負荷試験装置。
【請求項6】
請求項4に記載の負荷試験装置であって、
前記支承は、ローラ支承である
ことを特徴とする負荷試験装置。
【請求項7】
試験体の水平方向の負荷荷重を測定するために用いられる荷重検出ユニットであって、
前記試験体が載置され、水平方向に移動可能な載置テーブルと、
水平方向に移動可能な第1支持板と、
前記第1支持板上に載置された第1支承と、
前記第1支承上に配置され、前記第1支持板に対して水平方向に移動可能な第2支持板と、
前記第2支持板上に載置された第2支承と、
前記第2支承上に配置され、前記第2支持板に対して前記第1支持板と同方向に同量だけ移動するように前記第1支持板に連結された第3支持板と、
前記第3支持板上に載置され、前記載置テーブルを前記第3支持板に対して水平方向に移動可能に支持する第3支承と、
前記載置テーブルに加わる水平方向の負荷荷重を測定する第1ロードセルと、
前記載置テーブルと前記第1支持板および前記第3支持板との間に配置され、前記第1支持板および前記第3支持板に加わる水平方向の負荷荷重を測定する第2ロードセルと、
前記載置テーブルと前記第2支持板との間に配置され、前記第2支持板に加わる水平方向の負荷荷重を測定する第3ロードセルと、を有する
ことを特徴とする荷重検出ユニット。
【請求項8】
試験体の水平方向の負荷荷重を測定するために用いられる荷重検出ユニットであって、
前記試験体が載置され、水平方向に移動可能な載置テーブルと、
水平方向に移動可能な支持板と、
前記支持板上に載置され、前記載置テーブルを前記支持板に対して水平方向に移動可能に支持する支承と、
前記載置テーブルに加わる水平方向の負荷荷重を測定する第1ロードセルと、
前記載置テーブルと前記支持板との間に配置され、前記支持板に加わる水平方向の負荷荷重を測定する第2ロードセルと、を有する
ことを特徴とする荷重検出ユニット。
【請求項9】
負荷試験装置を用いて試験体の水平方向の負荷荷重を測定する負荷試験方法であって、
前記負荷試験装置は、
前記試験体が載置され、水平方向アクチュエータにより水平方向に移動可能な載置テーブルを有する荷重検出ユニットと、
前記試験体の上面と当接し、垂直方向アクチュエータにより垂直方向に移動可能な加圧板と、を備え、
前記荷重検出ユニットは、
水平方向に移動可能な第1支持板と、
前記第1支持板上に載置された第1支承と、
前記第1支承上に配置され、前記第1支持板に対して水平方向に移動可能な第2支持板と、
前記第2支持板上に載置された第2支承と、
前記第2支承上に配置され、前記第2支持板に対して前記第1支持板と同方向に同量だけ移動するように前記第1支持板に連結された第3支持板と、
前記第3支持板上に載置され、前記載置テーブルを前記第3支持板に対して水平方向に移動可能に支持する第3支承と、
前記載置テーブルに加わる水平方向の負荷荷重を測定する第1ロードセルと、
前記載置テーブルと前記第1支持板および前記第3支持板との間に配置され、前記第1支持板および前記第3支持板に加わる水平方向の負荷荷重を測定する第2ロードセルと、
前記載置テーブルと前記第2支持板との間に配置され、前記第2支持板に加わる水平方向の負荷荷重を測定する第3ロードセルと、をさらに有し、
前記垂直方向アクチュエータによって前記加圧板を垂直方向に移動させることにより、前記試験体の上面に垂直荷重を加えながら、前記水平方向アクチュエータによって前記載置テーブルを水平方向に移動させることにより、前記試験体の下面を水平方向に変位させて、前記第1ロードセル、前記第2ロードセル、および前記第3ロードセルの測定値を取得し、
前記取得した前記第1ロードセル、前記第2ロードセル、および前記第3ロードセルの測定値を用いて、前記試験体の水平方向の負荷荷重を算出する
ことを特徴とする負荷試験方法。
【請求項10】
請求項9に記載の負荷試験方法であって、
前記第1支承、前記第2支承、および前記第3支承は、同じせん断ばね定数を有するゴム支承であり、
前記第1ロードセルの測定値をF1、前記第2ロードセルの測定値をF2、前記第3ロードセルの測定値をF3、前記第2ロードセルの剛性をk2、および、前記第3ロードセルの剛性をk3として、前記試験体の水平方向の負荷荷重Fhを、
【数21】
により算出する
ことを特徴とする負荷試験方法。
【請求項11】
請求項9に記載の負荷試験方法であって、
前記第1支承、前記第2支承、および前記第3支承は、同じ摩擦係数を有するローラ支承であり、
前記第1ロードセルの測定値をF1、前記第2ロードセルの測定値をF2、および、前記第3ロードセルの測定値をF3として、前記試験体の水平方向の負荷荷重Fhを、
【数22】
により算出する
ことを特徴とする負荷試験方法。
【請求項12】
負荷試験装置を用いて試験体の水平方向の負荷荷重を測定する負荷試験方法であって、
前記負荷試験装置は、
前記試験体が載置され、水平方向アクチュエータにより水平方向に移動可能な載置テーブルを有する荷重検出ユニットと、
前記試験体の上面と当接し、垂直方向アクチュエータにより垂直方向に移動可能な加圧板と、を備え、
前記荷重検出ユニットは、
水平方向に移動可能な支持板と、
前記支持板上に載置され、前記載置テーブルを前記支持板に対して水平方向に移動可能に支持する支承と、
前記載置テーブルに加わる水平方向の負荷荷重を測定する第1ロードセルと、
前記載置テーブルと前記支持板との間に配置され、前記支持板に加わる水平方向の負荷荷重を測定する第2ロードセルと、をさらに有し、
前記垂直方向アクチュエータによって前記加圧板を垂直方向に移動させることにより、前記試験体の上面に垂直荷重を加えながら、前記水平方向アクチュエータによって前記載置テーブルを水平方向に移動させることにより、前記試験体の下面を水平方向に変位させて、前記第1ロードセルおよび前記第2ロードセルの測定値を取得し、
前記取得した前記第1ロードセルおよび前記第2ロードセルの測定値を用いて、前記試験体の水平方向の負荷荷重を算出する
ことを特徴とする負荷試験方法。
【請求項13】
請求項10に記載の負荷試験方法であって、
前記支承は、ゴム支承であり、
前記第1ロードセルの測定値をF1、前記第2ロードセルの測定値をF2、前記第2ロードセルの剛性をk2、および、前記支承のせん断ばね定数をkrとして、前記試験体の水平方向の負荷荷重Fhを、
【数23】
により算出する
ことを特徴とする負荷試験方法。
【請求項14】
請求項10に記載の負荷試験方法であって、
前記支承は、ローラ支承であり、
前記第1ロードセルの測定値をF1、前記第2ロードセルの測定値をF2、前記支承の摩擦係数をμr、および、前記垂直方向アクチュエータが前記加圧板に加える垂直方向の負荷荷重をNとして、前記試験体の水平方向の負荷荷重Fhを、
【数24】
により算出する
ことを特徴とする負荷試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層ゴム支承等の試験体の水平方向の負荷荷重を測定する負荷試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積層ゴム支承等の試験体の上面に垂直荷重を加えながら試験体の下面を水平方向に変位させた際における試験体の水平方向の負荷荷重(水平抗力)を測定する負荷試験装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の負荷試験装置は、試験体が載置され、水平方向アクチュエータにより水平方向に移動可能な可動ベースと、試験体の上面と当接する第1加圧部材と、第1加圧部材上に載置された積層ゴムと、積層ゴム上に配置され、垂直方向アクチュエータにより垂直方向に移動可能な第2加圧部材と、第1加圧部材に加わる水平方向の負荷荷重を測定するロードセルと、を備えている。
【0004】
特許文献1に記載の負荷試験装置において、ロードセルにより測定される、第1加圧部材に加わる水平方向の負荷荷重は、試験体および積層ゴムそれぞれの水平方向の負荷荷重の合計値であり、可動ベースの水平方向への移動手段(ローラ支承、リニアガイド等)の摩擦力は含まれない。また、積層ゴムは、垂直剛性が高くて水平剛性が低く、その水平方向の負荷荷重は水平方向の変位量に比例する。このため、可動ベースの水平方向の移動量が極めて小さい場合、ロードセルの測定値に含まれる積層ゴムの水平方向の負荷荷重を小さくすることができる。したがって、特許文献1に記載の負荷試験装置によれば、試験体の水平方向の負荷荷重を高精度に測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、積層ゴムは、垂直剛性が高くて水平剛性が低く、その水平方向の負荷荷重は水平方向の変位量に比例する。このため、特許文献1に記載の負荷試験装置において、可動ベースの水平方向の移動量が大きくなると、それに比例して、ロードセルの測定値に含まれる積層ゴムの水平方向の負荷荷重も大きくなる。積層ゴムの水平剛性が低いほど、その負荷荷重を小さくするができるが、そのためには、積層ゴムの積層数を増やす必要があり、これにより負荷試験装置が大型化してしまう。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、試験体の水平方向の負荷荷重をより高精度に測定可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では、積層ゴム支承等の試験体が載置され、水平方向アクチュエータにより水平方向に移動可能な載置テーブルを有する荷重検出ユニットを用いる。
【0009】
ここで、本発明の第一の態様に係る荷重検出ユニットは、水平方向に移動可能な第1支持板と、第1支持板上に載置された第1支承と、第1支承上に配置され、第1支持板に対して水平方向に移動可能な第2支持板と、第2支持板上に載置された第2支承と、第2支承上に配置され、第2支持板に対して第1支持板と同方向に同量だけ移動するように第1支持板に連結された第3支持板と、第3支持板上に載置され、載置テーブルを第3支持板に対して水平方向に移動可能に支持する第3支承と、載置テーブルに加わる水平方向の負荷荷重を測定する第1ロードセルと、載置テーブルと第1および第3支持板との間に配置され、第1および第3支持板に加わる水平方向の負荷荷重を測定する第2ロードセルと、載置テーブルと第2支持板との間に配置され、第2支持板に加わる水平方向の負荷荷重を測定する第3ロードセルと、をさらに有する。なお、第1~第3支承は、同じせん断ばね定数のゴム支承でもよいし、あるいは、同じ摩擦係数のローラ支承でもよい。
【0010】
例えば、本発明の第一の態様に係る負荷試験装置は、
試験体の上面に垂直荷重を加えながら前記試験体の下面を水平方向に変位させた際における前記試験体の水平方向の負荷荷重を測定する負荷試験装置であって、
前記試験体が載置され、水平方向アクチュエータにより水平方向に移動可能な載置テーブルを有する荷重検出ユニットと、
前記試験体の上面と当接し、垂直方向アクチュエータにより垂直方向に移動可能な加圧板と、を備え、
前記荷重検出ユニットは、
水平方向に移動可能な第1支持板と、
前記第1支持板上に載置された第1支承と、
前記第1支承上に配置され、前記第1支持板に対して水平方向に移動可能な第2支持板と、
前記第2支持板上に載置された第2支承と、
前記第2支承上に配置され、前記第2支持板に対して前記第1支持板と同方向に同量だけ移動するように前記第1支持板に連結された第3支持板と、
前記第3支持板上に載置され、前記載置テーブルを前記第3支持板に対して水平方向に移動可能に支持する第3支承と、
前記載置テーブルに加わる水平方向の負荷荷重を測定する第1ロードセルと、
前記載置テーブルと前記第1支持板および前記第3支持板との間に配置され、前記第1支持板および前記第3支持板に加わる水平方向の負荷荷重を測定する第2ロードセルと、
前記載置テーブルと前記第2支持板との間に配置され、前記第2支持板に加わる水平方向の負荷荷重を測定する第3ロードセルと、をさらに有する。
【0011】
また、本発明の第二の態様に係る荷重検出ユニットは、水平方向に移動可能な支持板と、支持板上に載置され、載置テーブルを支持板に対して水平方向に移動可能に支持する支承と、載置テーブルに加わる水平方向の負荷荷重を測定する第1ロードセルと、載置テーブルと支持板との間に配置され、支持板に加わる水平方向の負荷荷重を測定する第2ロードセルと、をさらに有する。なお、支承は、ゴム支承でもよいし、あるいはローラ支承でもよい。
【0012】
例えば、本発明の第二の態様に係る負荷試験装置は、
試験体の上面に垂直荷重を加えながら前記試験体の下面を水平方向に変位させた際における前記試験体の水平方向の負荷荷重を測定する負荷試験装置であって、
前記試験体が載置され、水平方向アクチュエータにより水平方向に移動可能な載置テーブルを有する荷重検出ユニットと、
前記試験体の上面と当接し、垂直方向アクチュエータにより垂直方向に移動可能な加圧板と、を備え、
前記荷重検出ユニットは、
水平方向に移動可能な支持板と、
前記支持板上に載置され、前記載置テーブルを前記支持板に対して水平方向に移動可能に支持する支承と、
前記載置テーブルに加わる水平方向の負荷荷重を測定する第1ロードセルと、
前記載置テーブルと前記支持板との間に配置され、前記支持板に加わる水平方向の負荷荷重を測定する第2ロードセルと、をさらに有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第一の態様において、垂直方向アクチュエータにより加圧板に垂直荷重を加えながら水平方向アクチュエータにより載置テーブルを水平方向に移動させた場合、第1ロードセルの測定値である、載置テーブルに加わる水平方向の負荷荷重は、試験体の水平方向の負荷荷重と、第1支持板の水平方向への移動手段(ローラ支承、リニアガイド等)の摩擦力との合計値であり、また、試験体の水平方向の負荷荷重と、第2ロードセルの測定値である、第1および第3支持板に加わる水平方向の負荷荷重と、第3ロードセルの測定値である、第2支持板に加わる水平方向の負荷荷重と、第3支承の水平方向の負荷荷重と、の合計値で表すことができる。したがって、第1ロードセルの測定値から、第2ロードセルの測定値、第3ロードセルの測定値、および第3支承の水平方向の負荷荷重を差し引くことにより、試験体の水平方向の負荷荷重を算出することができる。
【0014】
ここで、第2ロードセルの測定値である第1および第3支持板に加わる水平方向の負荷荷重は、第1支持板の水平方向への移動手段(ローラ支承、リニアガイド等)の摩擦力から第1~第3支承それぞれの水平方向の負荷荷重を差し引いた値である。したがって、試験体の水平方向の負荷荷重の上記算出において、試験体の水平方向の負荷荷重と、第1支持板の水平方向への移動手段の摩擦力との合計値である第1ロードセルの測定値から、第2ロードセルの測定値を差し引くことにより、その計算値から第1支持板の水平方向への移動手段の摩擦力の影響を除去することができる。
【0015】
また、第3ロードセルの測定値である、第2支持板に加わる水平方向の負荷荷重は、第1および第2支承それぞれの水平方向の負荷荷重の合計値である。
【0016】
第1~第3支承が同じせん断ばね定数のゴム支承である場合、これらの支承の水平方向の負荷荷重は、このせん断ばね定数とその水平方向の変位量との積となる。ここで、第3ロードセルの測定値である、第2支持板に加わる水平方向の負荷荷重は、第1および第2支承それぞれの水平方向の負荷荷重の合計値であるので、せん断ばね定数は、第3ロードセルの測定値と第1および第2支承の水平方向の変位量で表すことができる。また、第1および第2支承の水平方向の変位量は、第2ロードセルの変位量から第3ロードセルの変位量を差し引いた値であり、第2ロードセルの変位量は、第3支承の水平方向の変位量と同じである。そして、第2および第3ロードセルそれぞれの変位量は、それぞれの測定値と剛性を用いて表現できる。このため、第3支承の水平方向の負荷荷重は、第2および第3ロードセルそれぞれの測定値と剛性を用いて表現することができるので、第1~第3ロードセルの測定値を用いて、第1~第3支承のせん断ばね定数に依存することなく、試験体の水平方向の負荷荷重を算出することができる。
【0017】
また、第1~第3支承が同じ摩擦係数のローラ支承である場合、これらの支承の水平方向の負荷荷重は、この摩擦係数と垂直方向アクチュエータによる垂直荷重との積となる。ここで、第3ロードセルの測定値である、第2支持板に加わる水平方向の負荷荷重は、第1および第2支承それぞれの水平方向の負荷荷重の合計値であるので、摩擦係数は、第3ロードセルの測定値と垂直方向アクチュエータによる垂直荷重で表すことができる。このため、第1~第3ロードセルの測定値を用いて、第1~第3支承の摩擦係数に依存することなく、試験体の水平方向の負荷荷重を算出することができる。
【0018】
このように、本発明の第一の態様によれば、試験体の水平方向の負荷荷重をより高精度に測定することができる。
【0019】
また、本発明の第二の態様において、垂直方向アクチュエータにより加圧板に垂直荷重を加えながら水平方向アクチュエータにより載置テーブルを水平方向に移動させた場合、第1ロードセルの測定値である、載置テーブルに加わる水平方向の負荷荷重は、試験体の水平方向の負荷荷重と、支持板の水平方向への移動手段(ローラ支承、リニアガイド等)の摩擦力との合計値であり、また、試験体の水平方向の負荷荷重と、第2ロードセルの測定値である、支持板に加わる水平方向の負荷荷重と、支承の水平方向の負荷荷重と、の合計値で表すことができる。したがって、第1ロードセルの測定値から、第2ロードセルの測定値および支承の水平方向の負荷荷重を差し引くことにより、試験体の水平方向の負荷荷重を算出することができる。
【0020】
ここで、第2ロードセルの測定値である、支持板に加わる水平荷重は、支持板の水平方向への移動手段(ローラ支承、リニアガイド等)の摩擦力から支承の水平方向の負荷荷重を差し引いた値である。したがって、試験体の水平方向の負荷荷重の上記算出において、試験体の水平方向の負荷荷重と、支持板の水平方向への移動手段の摩擦力との合計値である第1ロードセルの測定値から、第2ロードセルの測定値を差し引くことにより、その計算値から支持板の水平方向への移動手段の摩擦力の影響を除去することができる。
【0021】
また、支承がゴム軸受である場合、この支承の水平方向の負荷荷重は、そのせん断ばね定数と水平方向の変位量との積となる。ここで、支承の水平方向の変位量は、第2ロードセルの変位量と同じであるので、第2ロードセルの測定値と剛性を用いて表現できる。このため、支承の水平方向の負荷荷重は、支承のせん断ばね定数と、第2ロードセルの測定値および剛性と、を用いて表現できる。したがって、本発明の第一の態様において第1~第3支承に同じせん断ばね定数のゴム支承を用いた場合と異なり、第1および第2ロードセルの測定値を用いて算出した試験体の水平方向の負荷荷重は、支承のせん断ばね定数に依存する。しかし、支承のせん断ばね定数は、第2ロードセルの剛性に比べて極めて小さい。あらかじめ、もしくは定期的に、支承のせん断ばね定数を把握することにより、その影響を小さくすることができる。その一方で、荷重検出ユニットの構成を簡素化して負荷試験装置を小型化することができる。
【0022】
また、支承がローラ支承である場合、この支承に加わる水平荷重は、その摩擦係数と垂直方向アクチュエータによる垂直荷重との積となる。したがって、本発明の第二の態様において第1~第3支承に同じ摩擦係数のローラ支承を用いた場合と異なり、第1および第2ロードセルの測定値を用いて計算した試験体の水平方向の負荷荷重は、支承の摩擦係数に依存する。このため、試験体の水平方向の負荷荷重をより高精度に求めるためには、支承の摩擦係数をできるだけ低くする必要がある。あらかじめ、もしくは定期的に、支承の摩擦係数を把握することにより、その影響を小さくすることができる。その一方で、荷重検出ユニットの構成を簡素化して負荷試験装置を小型化することができる。
【0023】
このように、本発明の第二の態様によれば、本発明の第一の態様に比べて負荷試験装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施の形態に係る負荷試験装置1の概略構成図である。
【
図2】
図2は、負荷試験装置1の各部に加わる負荷荷重を説明するための図である。
【
図3】
図3は、負荷試験装置1を用いた負荷試験方法を説明するためのフロー図である。
【
図4】
図4は、負荷試験装置1の変形例1aの概略構成図である。
【
図5】
図5は、負荷試験装置1の変形例1bにおいて、各部に加わる負荷荷重を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施の形態に係る負荷試験装置2の概略構成図である。
【
図7】
図7は、負荷試験装置2の各部に加わる負荷荷重を説明するための図である。
【
図8】
図8は、負荷試験装置2を用いた負荷試験方法を説明するためのフロー図である。
【
図9】
図9は、負荷試験装置2の変形例2aにおいて、各部に加わる負荷荷重を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0026】
[第1実施の形態]
図1は、本実施の形態に係る負荷試験装置1の概略構成図である。
【0027】
本実施の形態に係る負荷試験装置1は、積層ゴム支承等の試験体3の水平方向の負荷荷重(水平抗力)を測定するための装置であり、図示するように、断面コの字型の固定ベース10と、荷重検出ユニット11と、加圧板12と、垂直方向アクチュエータ13と、水平方向アクチュエータ14と、水平移動機構15と、垂直移動機構16と、を備えている。
【0028】
水平移動機構15は、ローラ支承、リニアガイド等で構成され、荷重検出ユニット11を固定ベース10に対して水平方向に移動可能に支持する。
【0029】
垂直移動機構16は、ローラ支承、リニアガイド等で構成され、加圧板12を固定ベース10に対して垂直方向に移動可能に支持する。
【0030】
垂直方向アクチュエータ13は、固定ベース10に取り付けられており、加圧板12を垂直方向に加圧する。
【0031】
水平方向アクチュエータ14は、固定ベース10に取り付けられており、荷重検出ユニット11を水平方向に加圧する。
【0032】
加圧板12は、試験体3の上面と当接しており、垂直方向アクチュエータ13および垂直移動機構16によって垂直方向に移動することにより試験体3を加圧する。
【0033】
荷重検出ユニット11は、試験体3の水平方向の負荷荷重を算出するために必要な測定値を計測するためのものであり、試験体3を載置するための載置テーブル110と、第1支持板111と、第1ゴム支承112と、第2支持板113と、第2ゴム支承114と、第3支持板115と、第3ゴム支承116と、第1ロードセル117と、第2ロードセル118と、第3ロードセル119と、を有する。
【0034】
第1支持板111は、水平移動機構15上に配置され、固定ベース10に対して水平方向に移動可能である。第1支持板111上には、第1ゴム支承112が載置されている。
【0035】
第2支持板113は、第1ゴム支承112上に配置され、第1支持板111に対して水平方向に移動可能である。第2支持板113上には、第2ゴム支承114が載置されている。
【0036】
第3支持板115は、第2ゴム支承114上に配置され、第2支持板113に対して第1支持板111と同方向に同量だけ移動するように、連結部1151によって第1支持板111に連結されている。第3支持板115上には、第3ゴム支承116が載置されている。
【0037】
載置テーブル110は、第3ゴム支承116上に配置され、第3支持板115に対して水平方向に移動可能である。また、載置テーブル110は、その両端に側壁部1101、1102を有し、側壁部1101が水平方向アクチュエータ14によって水平方向に加圧されることにより、水平方向に移動する。
【0038】
第1ゴム支承112、第2ゴム支承114、および第3ゴム支承116には、同じせん断ばね定数を有するものが用いられる。
【0039】
第1ロードセル117は、載置テーブル110の側壁部1101と水平方向アクチュエータ14との間に配置され、載置テーブル110に加わる水平方向の負荷荷重(載置テーブル110と固定ベース10との間の水平方向の負荷荷重)を測定する。
【0040】
第2ロードセル118は、載置テーブル110の側壁部1101と第1支持板111および第3支持板115の連結部1151との間に配置され、第1支持板111および第3支持板115に加わる水平方向の負荷荷重(第1支持板111および第3支持板115と載置テーブル110との間の水平方向の負荷荷重)を測定する。
【0041】
第3ロードセル119は、載置テーブル110の側壁部1102と第2支持板113との間に配置され、第2支持板113に加わる水平方向の負荷荷重(第2支持板113と載置テーブル110との間の水平方向の負荷荷重)を測定する。
【0042】
図2は、本実施の形態に係る負荷試験装置1の各部に加わる負荷荷重を説明するための図である。
【0043】
図示するように、垂直方向アクチュエータ13により加圧板12に垂直荷重Nを加えながら水平方向アクチュエータ14により載置テーブル110を水平方向に移動させた場合、第1ロードセル117の測定値である、載置テーブル110に加わる水平方向の負荷荷重F1は、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhと、水平移動機構15の摩擦力との合計値である。水平移動機構15の摩擦係数をμとした場合、第1ロードセル117の測定値F1は、数1で表すことができる。
【0044】
【0045】
また、第1ロードセル117の測定値F1は、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhと、第2ロードセル118の測定値である、第1支持板111および第3支持板115に加わる水平方向の負荷荷重F2と、第3ロードセル119の測定値である、第2支持板113に加わる水平方向の負荷荷重F3と、第3ゴム支承116の水平方向の負荷荷重と、の合計値で表すことができる。したがって、第1ロードセル117の測定値F1から、第2ロードセル118の測定値F2、第3ロードセル119の測定値F3、および第3ゴム支承116の水平方向の負荷荷重を差し引くことにより、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhを算出することができる。ここで、第1ゴム支承112、第2ゴム支承114、および第3ゴム支承116のせん断ばね定数をkr、第3ゴム支承116の変位量をdx2とした場合、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhは、数2で表すことができる。
【0046】
【0047】
ここで、第2ロードセル118の測定値である、第1支持板111および第3支持板115に加わる水平方向の負荷荷重F2は、水平移動機構15の摩擦力μ・Nから第1ゴム支承112、第2ゴム支承114、および第3ゴム支承116それぞれの水平方向の負荷荷重を差し引いた値である。第1支持板111および第3支持板115は、第2支持板113に対して同方向に同量だけ移動するので、第1ゴム支承112および第2ゴム支承114の変位量は同じである。第1ゴム支承112および第2ゴム支承114の変位量をdxrとした場合、第2ロードセル118の測定値である第1支持板111および第3支持板115に加わる水平方向の負荷荷重F2は、数3で表すことができる。
【0048】
【0049】
数3に示すように、第2ロードセル118の測定値F2は水平移動機構15の摩擦力μ・Nを含む。したがって、数2において、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhと、水平移動機構15の摩擦力μ・Nと、の合計値である第1ロードセル117の測定値F1(数1参照)から、第2ロードセル118の測定値F2を差し引くことにより、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhの算出値から水平移動機構15の摩擦力μ・Nの影響を除去することができる。
【0050】
また、第3ロードセル119の測定値である、第2支持板113に加わる水平方向の負荷荷重F3は、第1ゴム支承112および第2ゴム支承114それぞれの水平方向の負荷荷重の合計値であり、数4で表すことができる。
【0051】
【0052】
また、数4から、第1ゴム支承112、第2ゴム支承114、および第3ゴム支承116のせん断ばね定数krは、第3ロードセルの測定値F3と第1ゴム支承112および第2ゴム支承114の変位量dxrとを用いて、数5で表すことができる。
【0053】
【0054】
さらに、第1ゴム支承112および第2ゴム支承114の変位量dxrは、第2ロードセル118の変位量から第3ロードセル119の変位量を差し引いた値であり、第2ロードセル118の変位量は、第3ゴム支承116の水平方向の変位量dx2と同じである。第3ロードセル119の変位量をdx3とした場合、第1ゴム支承112および第2ゴム支承114の変位量dxrは、数6で表すことができる。
【0055】
【0056】
また、第2ロードセル118の測定値F2は、第2ロードセル118の剛性と変位量dx2との積であるので、第2ロードセル118の剛性をk2とした場合、第2ロードセル118の変位量dx2は、数7で表すことができる。
【0057】
【0058】
同様に、第3ロードセル119の測定値F3は、第3ロードセル119の剛性と変位量dx3との積であるので、第3ロードセル119の剛性をk3とした場合、第3ロードセル119の変位量dx3は、数8で表すことができる。
【0059】
【0060】
数5~数8により、第1ゴム支承112、第2ゴム支承114、および第3ゴム支承116のせん断ばね定数krは、第2ロードセル118および第3ロードセル119それぞれの測定値F2、F3と剛性k2、k3を用いて数9で表すことができる。
【0061】
【0062】
したがって、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhは、数10で表すことができるので、第1~第3ロードセル117~119の測定値F1~F3を用いて、第1ゴム支承112、第2ゴム支承114、および第3ゴム支承116のせん断ばね定数krに依存することなく、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhを算出することができる。
【0063】
【0064】
図3は、本実施の形態に係る負荷試験装置1を用いた負荷試験方法を説明するためのフロー図である。
【0065】
まず、垂直方向アクチュエータ13により加圧板12に垂直荷重Nを加えながら、水平方向アクチュエータ14により載置テーブル110を水平方向に移動させる(S10)。これにより、試験体3は、その上面を垂直荷重Nで加圧されながら、その下面が水平方向に変位して、水平方向の負荷荷重Fhを発生させる。
【0066】
つぎに、第1~第3ロードセル117~119の測定値F1~F3を取得する(S11)。それから、取得した第1~第3ロードセル117~119の測定値F1~F3をパーソナルコンピュータ等の情報処置装置に送信し、情報処置装置において、測定値F1~F3を上述の数10に代入して、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhを算出する(S12)。
【0067】
本実施の形態では、第1~第3ロードセル117~119の測定値F1~F3を上述の数10に代入して、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhを算出することにより、この算出値から水平移動機構15の摩擦力μ・Nの影響を除去することができる。また、第1ゴム支承112、第2ゴム支承114、および第3ゴム支承116のせん断ばね定数krに依存することなく、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhを算出することができる。したがって、本実施の形態によれば、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhをより高精度に測定することができる。
【0068】
なお、本実施の形態において、水平方向アクチュエータ14により載置テーブル110を水平方向に移動して、
図2に示すように、試験体3が変形する場合、その変形量が大きくなると、載置テーブル110に回転モーメントが作用して、載置テーブル110が時計回りに回転(傾斜)しようとする。ゴムは、引張剛性が小さく、変形しやすい。そこで、これに対抗するために、第1ゴム支承112、第2ゴム支承114、および第3ゴム支承116の回転防止機構を採用してもよい。
【0069】
図4に示す負荷試験装置1の変形例1aでは、第1ゴム支承112、第2ゴム支承114、および第3ゴム支承116の回転防止機構として、ローラ軸受、すべり軸受等の水平移動機構170を有するボルト17を採用している。載置テーブル110、第2支持板113、第3支持板115には、それぞれ、ボルト17の直径よりも大径の貫通穴1103、1130、1150が形成されており、第1支持板111の上面(第1ゴム支承112の載置面)には、ボルト17の先端部に形成されたネジ部と螺合するネジ孔1110が形成されている。ボルト17を、載置テーブル110の貫通穴1103、第3支持板115の貫通穴1150、および第2支持板113の貫通穴1130に通して、そのネジ頭と載置テーブル110の上面(試験体3の載置面)との間に水平移動機構170を介在させた状態で、その先端部を第1支持板111のネジ孔1110に螺合させる。これにより、第1支持板111に対して、載置テーブル110および第2支持板113の水平方向の移動を許容しつつ、垂直方向の移動を拘束して、第1ゴム支承112、第2ゴム支承114、および第3ゴム支承116の回転を防止することができる。
【0070】
また、本実施の形態では、第2支持板113を第1支持板111に対して水平方向に移動可能に支持する第1支承、第3支持板115を第2支持板113に対して水平方向に支持する第2支承、および、載置テーブル110を第3支持板115に対して水平方向に移動可能に支持する第3支承として、同じばねせん断定数を有するゴム支承を用いている。しかし、本発明はこれに限定されない。第1~第3支承として、同じ摩擦係数を有するローラ支承、すべり支承等を用いてもよい。
【0071】
図5に示す負荷試験装置1の変形例1bでは、同じせん断ばね定数を有する第1ゴム支承112、第2ゴム支承114、および第3ゴム支承116に代えて、同じ摩擦係数を有する第1ローラ支承120、第2ローラ支承121、および第3ローラ支承122を用いている。
【0072】
図示するように、垂直方向アクチュエータ13により加圧板12に垂直荷重Nを加えながら水平方向アクチュエータ14により載置テーブル110を水平方向に移動させた場合、第1ロードセル117の測定値である、載置テーブル110に加わる水平方向の負荷荷重F1は、数1に示すように、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhと、水平移動機構15の摩擦力μ・Nとの合計値である。
【0073】
また、第1ロードセル117の測定値F1は、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhと、第2ロードセル118の測定値である、第1支持板111および第3支持板115に加わる水平方向の負荷荷重F2と、第3ロードセル119の測定値である、第2支持板113に加わる水平方向の負荷荷重F3と、第3ローラ支承122の水平方向の負荷荷重と、の合計値で表すことができる。したがって、第1ロードセル117の測定値F1から、第2ロードセル118の測定値F2、第3ロードセル119の測定値F3、および第3ローラ支承122の水平方向の負荷荷重を差し引くことにより、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhを算出することができる。ここで、第1ローラ支承120、第2ローラ支承121、および第3ローラ支承122の摩擦係数をμrとした場合、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhは、数11で表すことができる。
【0074】
【0075】
ここで、第2ロードセル118の測定値である、第1支持板111および第3支持板115に加わる水平方向の負荷荷重F2は、数12に示すように、水平移動機構15の摩擦力μ・Nから第1ローラ支承120、第2ローラ支承121、および第3ローラ支承122それぞれの水平方向の負荷荷重を差し引いた値である。
【0076】
【0077】
数12に示すように、第2ロードセル118の測定値F2は水平移動機構15の摩擦力μ・Nを含む。したがって、数11において、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhと、水平移動機構15の摩擦力μ・Nと、の合計値である第1ロードセル117の測定値F1(数1参照)から、第2ロードセル118の測定値F2を差し引くことにより、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhの算出値から水平移動機構15の摩擦力μ・Nの影響を除去することができる。
【0078】
また、第1ローラ支承120、第2ローラ支承121、および第3ローラ支承122の水平荷重は、これらの摩擦係数μrと垂直方向アクチュエータ13による垂直荷重Nとの積となる。ここで、第3ロードセル119の測定値である、第2支持板113に加わる水平方向の負荷荷重F3は、第1ローラ支承120および第2ローラ支承121それぞれの水平方向の負荷荷重の合計値であり、数13で表すことができる。
【0079】
【0080】
したがって、第1ローラ支承120、第2ローラ支承121、および第3ローラ支承122の摩擦係数μrは、第3ロードセル119の測定値F3を用いて数14で表すことができる。
【0081】
【0082】
このため、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhは、数15で表すことができる。
【0083】
【0084】
したがって、第1~第3ロードセル117~119の測定値F1~F3を用いて、第1ローラ支承120、第2ローラ支承121、および第3ローラ支承122の摩擦係数μrに依存することなく、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhを算出することができる。
【0085】
[第2実施の形態]
図6は、本実施の形態に係る負荷試験装置2の概略構成図である。
【0086】
本実施の形態に係る負荷試験装置2は、本発明の第1実施の形態に係る負荷試験装置1と同様、積層ゴム支承等の試験体3の水平方向の負荷荷重(水平抗力)を測定するための装置であり、図示するように、断面コの字型の固定ベース20と、荷重検出ユニット21と、加圧板22と、垂直方向アクチュエータ23と、水平方向アクチュエータ24と、水平移動機構25と、垂直移動機構26と、を備えている。
【0087】
水平移動機構25は、ローラ支承、リニアガイド等で構成され、荷重検出ユニット21を固定ベース20に対して水平方向に移動可能に支持する。
【0088】
垂直移動機構26は、ローラ支承、リニアガイド等で構成され、加圧板22を固定ベース20に対して垂直方向に移動可能に支持する。
【0089】
垂直方向アクチュエータ23は、固定ベース20に取り付けられており、加圧板22を垂直方向に加圧する。
【0090】
水平方向アクチュエータ24は、固定ベース20に取り付けられており、荷重検出ユニット21を水平方向に加圧する。
【0091】
加圧板22は、試験体3の上面と当接しており、垂直方向アクチュエータ23および垂直移動機構26によって垂直方向に移動することにより試験体3を加圧する。
【0092】
荷重検出ユニット21は、試験体3の水平方向の負荷荷重を算出するために必要な測定値を計測するためのものであり、試験体3を載置するための載置テーブル210と、支持板211と、ゴム支承212と、第1ロードセル213と、第2ロードセル214と、を有する。
【0093】
支持板211は、水平移動機構25上に配置され、固定ベース20に対して水平方向に移動可能である。支持板211上には、ゴム支承212が載置されている。
【0094】
載置テーブル210は、ゴム支承212上に配置され、支持板211に対して水平方向に移動可能である。また、載置テーブル210は、その一端に側壁部2101を有し、側壁部2101が水平方向アクチュエータ24によって水平方向に加圧されることにより、水平方向に移動する。
【0095】
第1ロードセル213は、載置テーブル210の側壁部2101と水平方向アクチュエータ24との間に配置され、載置テーブル210に加わる水平方向の負荷荷重(載置テーブル210と固定ベース20との間の水平方向の負荷荷重)を測定する。
【0096】
第2ロードセル214は、載置テーブル210の側壁部2101と支持板211との間に配置され、支持板211に加わる水平方向の負荷荷重(支持板211と載置テーブル210との間の水平方向の負荷荷重)を測定する。
【0097】
図7は、本実施の形態に係る負荷試験装置2の各部に加わる負荷荷重を説明するための図である。
【0098】
図示するように、垂直方向アクチュエータ23により加圧板22に垂直荷重Nを加えながら水平方向アクチュエータ24により載置テーブル210を水平方向に移動させた場合、第1ロードセル213の測定値である、載置テーブル210に加わる水平方向の負荷荷重F1は、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhと、水平移動機構25の摩擦力との合計値である。水平移動機構25の摩擦係数をμとした場合、上述の数1で表すことができる。
【0099】
また、第1ロードセル213の測定値F1は、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhと、第2ロードセル214の測定値である、支持板211に加わる水平方向の負荷荷重F2と、ゴム支承212の水平方向の負荷荷重と、の合計値で表すことができる。したがって、第1ロードセル213の測定値F1から、第2ロードセル214の測定値F2およびゴム支承212の水平方向の負荷荷重を差し引くことにより、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhを算出することができる。ここで、ゴム支承212のせん断ばね定数をkrとし、その変位量をdx2とした場合、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhは、数16で表すことができる。
【0100】
【0101】
ここで、第2ロードセル214の測定値である、支持板211に加わる水平方向の負荷荷重F2は、水平移動機構25の摩擦力μ・Nからゴム支承212の水平方向の負荷荷重を差し引いた値であり、数17で表すことができる。
【0102】
【0103】
数17に示すように、第2ロードセル214の測定値F2は水平移動機構25の摩擦力μ・Nを含む。したがって、数16において、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhと、水平移動機構25の摩擦力μ・Nとの合計値である第1ロードセル213の測定値F1(数1参照)から、第2ロードセル214の測定値F2を差し引くことにより、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhの算出値から水平移動機構15の摩擦力μ・Nの影響を除去することができる。
【0104】
また、第2ロードセル214の変位量は、ゴム支承212の変位量dx2と同じである。第2ロードセル214の測定値F2は、第2ロードセル214の剛性と変位量dx2との積であるので、第2ロードセル118の剛性をk2とした場合、第2ロードセル214の変位量dx2は、数18で表すことができる。
【0105】
【0106】
したがって、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhは、数19で表すことができる。
【0107】
【0108】
数19によれば、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhは、本発明の第1実施の形態と異なり、ゴム支承212のせん断ばね定数krに依存する。しかし、一般に、ゴム支承212のせん断ばね定数krは、第2ロードセル214の剛性k2に比べて極めて小さい。あらかじめ、もしくは定期的に、ゴム支承212のせん断ばね定数krを把握することにより、その影響を小さくすることができる。その一方で、本発明の第1実施の形態に比べて、荷重検出ユニット21の構成を簡素化して負荷試験装置2を小型化することができる。
【0109】
図8は、本実施の形態に係る負荷試験装置2を用いた負荷試験方法を説明するためのフロー図である。
【0110】
まず、垂直方向アクチュエータ23により加圧板22に垂直荷重Nを加えながら、水平方向アクチュエータ24により載置テーブル210を水平方向に移動させる(S20)。これにより、試験体3は、その上面を垂直荷重Nで加圧されながら、その下面が水平方向に変位して、水平方向の負荷荷重Fhを発生させる。
【0111】
つぎに、第1、第2ロードセル213、214の測定値F1、F2を取得する(S21)。それから、取得した第1、第2ロードセル213、214の測定値F1、F2をパーソナルコンピュータ等の情報処置装置に送信し、情報処置装置において、測定値F1、F2を上述の数19に代入し、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhを算出する(S22)。
【0112】
本実施の形態では、第1、第2ロードセル213、214の測定値F1、F2を上述の数19に代入して、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhを算出することにより、この算出値から水平移動機構25の摩擦力μ・Nの影響を除去することができる。また、本発明の第1実施の形態と異なり、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhの算出値が、ゴム支承212のせん断ばね定数krに依存するが、一般に、ゴム支承212のせん断ばね定数krは、第2ロードセル214の剛性k2に比べて極めて小さい。あらかじめ、もしくは定期的に、ゴム支承212のせん断ばね定数krを把握することにより、その影響を小さくすることができる。その一方で、本発明の第1実施の形態に比べて、荷重検出ユニット21の構成を簡素化して負荷試験装置2を小型化することができる。
【0113】
なお、本実施の形態において、載置テーブル210を支持板211に対して水平方向に移動可能に支持する支承として、ゴム支承212を用いている。しかし、本発明はこれに限定されない。載置テーブル210を支持板211に対して水平方向に移動可能に支持する支承として、ローラ支承、すべり支承等を用いてもよい。
【0114】
図9に示す負荷試験装置2の変形例2aでは、ゴム支承212に代えてローラ支承215を用いている。
【0115】
図示するように、垂直方向アクチュエータ23により加圧板22に垂直荷重Nを加えながら水平方向アクチュエータ24により載置テーブル210を水平方向に移動させた場合、第1ロードセル213の測定値である、載置テーブル210に加わる水平方向の負荷荷重F1は、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhと、第2ロードセル24の測定値である、支持板211に加わる水平方向の負荷荷重F2と、ローラ支承215の水平方向の負荷荷重と、の合計値となる。したがって、第1ロードセル213の測定値F1から、第2ロードセル214の測定値F2およびローラ支承215の水平方向の負荷荷重を差し引くことにより、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhを算出することができる。ここで、ローラ支承215の摩擦係数をμrとした場合、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhは、数20で表すことができる。
【0116】
【0117】
数20によれば、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhは、本発明の第1実施の形態の変形例1bと異なり、ローラ支承215の摩擦係数μrに依存する。したがって、試験体3の水平方向の負荷荷重Fhの算出値におけるローラ支承215の水平方向の負荷荷重の影響を小さくするためには、ローラ支承215の摩擦係数μrを小さくする必要がある。あらかじめ、もしくは定期的に、ローラ支承215の摩擦係数μrを把握することにより、その影響を小さくすることができる。その一方で、本発明の第1実施の形態の変形例1bに比べて、荷重検出ユニット21の構成を簡素化して負荷試験装置2を小型化することができる。
【0118】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0119】
本発明は上記の各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0120】
例えば、上記の各実施の形態では、試験体3の水平方向の一方向における負荷荷重を測定する負荷試験装置を例にとり説明した。しかし、本発明はこれに限定されない。本発明は、試験体3の水平方向の直交する二方向における負荷荷重を測定する負荷試験装置にも適用できる。
【0121】
例えば、
図1、
図4に示す負荷試験装置1、1aにおいて、水平移動機構15として、荷重検出ユニット11を固定ベース10に対して水平方向の直交する二方向に移動可能に支持するXYステージ等を採用する。そして、水平方向の直交する二方向の断面図のそれぞれにおいて、
図1、
図4に示す負荷試験装置1、1aの構成となるように、固定ベース10および載置テーブル110を形成するとともに、水平方向アクチュエータ14、垂直移動機構16、第1ロードセル117、第2ロードセル118、第3ロードセル119を、それぞれ2つ設ける。
【0122】
また、
図5に示す負荷試験装置1bにおいて、水平移動機構15として、荷重検出ユニット11を固定ベース10に対して水平方向の直交する二方向に移動可能に支持するXYステージ等を採用し、第1ローラ支承120の代わりに、第2支持板113を第1支持板111に対して水平方向の直交する二方向に移動可能に支持するXYステージ等を採用し、第2ローラ支承121の代わりに、第3支持板115を第2支持板113に対して水平方向の直交する二方向に移動可能に支持するXYステージ等を採用し、第3ローラ支承122の代わりに、載置テーブル110を第3支持板115に対して水平方向の直交する二方向に移動可能に支持するXYステージ等を採用する。そして、水平方向の直交する二方向の断面図のそれぞれにおいて、
図5に示す負荷試験装置1bの構成となるように、固定ベース10および載置テーブル110を形成するとともに、水平方向アクチュエータ14、垂直移動機構16、第1ロードセル117、第2ロードセル118、および第3ロードセル119を、それぞれ2つ設ける。
【0123】
また、
図6に示す負荷試験装置2において、水平移動機構25として、荷重検出ユニット21を固定ベース20に対して水平方向の直交する二方向に移動可能に支持するXYステージ等を採用する。そして、水平方向の直交する二方向の断面図のそれぞれにおいて、
図6に示す負荷試験装置2の構成となるように、固定ベース20および載置テーブル210を形成するとともに、水平方向アクチュエータ24、垂直移動機構26、第1ロードセル213、および第2ロードセル214を、それぞれ2つ設ける。
【0124】
また、
図9に示す負荷試験装置2aにおいて、水平移動機構25として、荷重検出ユニット21を固定ベース20に対して水平方向の直交する二方向に移動可能に支持するXYステージ等を採用し、ローラ支承215の代わりに、載置テーブル210を支持板211に対して水平方向の直交する二方向に移動可能に支持するXYステージ等を採用する。そして、水平方向の直交する二方向の断面図のそれぞれにおいて、
図9に示す負荷試験装置2aの構成となるように、固定ベース20および載置テーブル210を形成するとともに、水平方向アクチュエータ24、垂直移動機構26、第1ロードセル213、および第2ロードセル214を、それぞれ2つ設ける。
【符号の説明】
【0125】
1、1a、1b、2、2a:負荷試験装置
3:試験体 10、20:固定ベース
11、21:荷重検出ユニット 12、22:加圧板
13、23:垂直方向アクチュエータ
14、24:水平方向アクチュエータ
15、25、170:水平移動機構
16、26:垂直移動機構 17:ボルト
110、210:載置テーブル 111:第1支持板
112:第1ゴム支承 113:第2支持板
114:第2ゴム支承 115:第3支持板
116:第3ゴム支承 117、213:第1ロードセル
118、214:第2ロードセル 119:第3ロードセル
120:第1ローラ支承 121:第2ローラ支承
122:第3ローラ支承 211:支持板
212:ゴム支承 215:ローラ支承 1151:連結部
1101、1102、2101:側壁部
1103、1130、1150:貫通穴