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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189627
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】基板洗浄装置および基板洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
H01L21/304 644Z
H01L21/304 644C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098303
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】中村 一樹
(72)【発明者】
【氏名】石井 淳一
(72)【発明者】
【氏名】篠原 智之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 拓馬
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB90
5F157AB98
5F157AC04
5F157AC23
5F157BA02
5F157BA13
5F157BA14
5F157BA31
5F157BA41
5F157BB22
5F157BB37
5F157BB45
5F157CB16
5F157CC03
5F157DB02
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】スループットを低下させることなくブラシの清浄度を維持することが可能な基板洗浄装置および基板洗浄方法を提供する。
【解決手段】基板保持部により基板Wが水平姿勢で保持される。処理位置において、基板保持部により保持された基板Wの下面が下面ブラシ51により洗浄される。基板保持部により保持された基板Wと上下方向に重なりかつ処理位置の下方にある待機位置において、下面ブラシ51がブラシ洗浄部により洗浄される。処理位置と待機位置との間で下面ブラシ51が下面ブラシ昇降駆動部により昇降される。
【選択図】図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を水平姿勢で保持する基板保持部と、
処理位置において、前記基板保持部により保持された前記基板の下面を洗浄する下面ブラシと、
前記基板保持部により保持された前記基板と上下方向に重なりかつ前記処理位置の下方にある待機位置において、前記下面ブラシを洗浄するブラシ洗浄部と、
前記処理位置と前記待機位置との間で前記下面ブラシを昇降させる下面ブラシ昇降駆動部とを備える、基板洗浄装置。
【請求項2】
前記基板保持部により保持された前記基板の上面を洗浄する上面洗浄部をさらに備え、
前記下面ブラシ昇降駆動部は、前記上面洗浄部により前記基板の上面が洗浄される期間に前記基板の下面の洗浄および前記下面ブラシの洗浄が実行されるように前記処理位置と前記待機位置との間で前記下面ブラシを昇降させる、請求項1記載の基板洗浄装置。
【請求項3】
前記下面ブラシ昇降駆動部は、前記基板の下面の洗浄および前記下面ブラシの洗浄が複数回実行されるように前記処理位置と前記待機位置との間で前記下面ブラシを繰り返し昇降させる、請求項1または2記載の基板洗浄装置。
【請求項4】
前記ブラシ洗浄部は、前記下面ブラシの中央部に洗浄液を吐出する第1の液ノズルと、前記下面ブラシの端部に洗浄液を吐出する第2の液ノズルとを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板洗浄装置。
【請求項5】
前記ブラシ洗浄部は、前記下面ブラシが浸漬される洗浄液を貯留する洗浄槽を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板洗浄装置。
【請求項6】
前記基板保持部および前記下面ブラシの各々は、円形の外形を有し、
前記下面ブラシの直径は、前記基板保持部の直径よりも大きい、請求項1~5のいずれか一項に記載の基板洗浄装置。
【請求項7】
前記基板および前記下面ブラシの各々は、円形の外形を有し、
前記下面ブラシの直径は、前記基板の直径の1/3よりも大きい、請求項1~5のいずれか一項に記載の基板洗浄装置。
【請求項8】
基板保持部により基板を水平姿勢で保持することと、
処理位置において、前記基板保持部により保持された前記基板の下面を下面ブラシにより洗浄することと、
前記基板保持部により保持された前記基板と上下方向に重なりかつ前記処理位置の下方にある待機位置において、前記下面ブラシをブラシ洗浄部により洗浄することと、
前記処理位置と前記待機位置との間で前記下面ブラシを昇降させることとを含む、基板洗浄方法。
【請求項9】
前記基板保持部により保持された前記基板の上面を上面洗浄部により洗浄することをさらに含み、
前記基板の下面の洗浄および前記下面ブラシの洗浄は、前記上面洗浄部により前記基板の上面が洗浄される期間に実行される、請求項8記載の基板洗浄方法。
【請求項10】
前記処理位置と前記待機位置との間で前記下面ブラシを昇降させることは、前記基板の下面の洗浄および前記下面ブラシの洗浄が複数回実行されるように繰り返される、請求項8または9記載の基板洗浄方法。
【請求項11】
前記下面ブラシをブラシ洗浄部により洗浄することは、第1の液ノズルにより前記下面ブラシの中央部に洗浄液を吐出することと、第2の液ノズルにより前記下面ブラシの端部に洗浄液を吐出することとを含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の基板洗浄方法。
【請求項12】
前記下面ブラシをブラシ洗浄部により洗浄することは、洗浄槽に貯留された洗浄液に前記下面ブラシを浸漬させることを含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の基板洗浄方法。
【請求項13】
前記基板保持部および前記下面ブラシの各々は、円形の外形を有し、
前記下面ブラシの直径は、前記基板保持部の直径よりも大きい、請求項8~12のいずれか一項に記載の基板洗浄方法。
【請求項14】
前記基板および前記下面ブラシの各々は、円形の外形を有し、
前記下面ブラシの直径は、前記基板の直径の1/3よりも大きい、請求項8~12のいずれか一項に記載の基板洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の下面を洗浄する基板洗浄装置および基板洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等の各種基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられている。基板を洗浄するためには、基板洗浄装置が用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された基板洗浄装置は、ウエハの裏面周縁部を保持する2つの吸着パッド、ウエハの裏面中央部を保持するスピンチャック、およびウエハの裏面を洗浄するブラシを備える。2つの吸着パッドがウエハを保持するとともに横方向に移動する。この状態で、ウエハの裏面中央部がブラシで洗浄される。その後、スピンチャックが吸着パッドからウエハを受け取り、スピンチャックがウエハの裏面中央部を保持しつつ回転する。この状態で、ウエハの裏面周縁部がブラシで洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5904169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板洗浄装置において、基板の洗浄が繰り返されるに従って、ブラシの清浄度が次第に低下する。ブラシの清浄度が低下すると、基板を効率的に洗浄することができない。そのため、ブラシの清浄度を一定以上に維持することが求められる。しかしながら、スループットを低下させることなくブラシの清浄度を維持することは容易ではない。
【0006】
本発明の目的は、スループットを低下させることなくブラシの清浄度を維持することが可能な基板洗浄装置および基板洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)第1の発明に係る基板洗浄装置は、基板を水平姿勢で保持する基板保持部と、処理位置において、基板保持部により保持された基板の下面を洗浄する下面ブラシと、基板保持部により保持された基板と上下方向に重なりかつ処理位置の下方にある待機位置において、下面ブラシを洗浄するブラシ洗浄部と、処理位置と待機位置との間で下面ブラシを昇降させる下面ブラシ昇降駆動部とを備える。
【0008】
この基板洗浄装置においては、下面ブラシの待機位置は基板保持部により保持された基板と上下方向に重なるので、下面ブラシが比較的大型である場合でも、フットプリントがほとんど増加しない。そのため、比較的大型の下面ブラシを用いることにより、短時間で基板の下面を洗浄することが可能になる。したがって、下面ブラシを洗浄する工程を設けた場合でも、スループットはほとんど変化しない。これにより、スループットを低下させることなく下面ブラシの清浄度を維持することができる。
【0009】
(2)基板洗浄装置は、基板保持部により保持された基板の上面を洗浄する上面洗浄部をさらに備え、下面ブラシ昇降駆動部は、上面洗浄部により基板の上面が洗浄される期間に基板の下面の洗浄および下面ブラシの洗浄が実行されるように処理位置と待機位置との間で下面ブラシを昇降させてもよい。この場合、上面洗浄部により基板の上面が洗浄される期間に基板の下面の洗浄および下面ブラシの洗浄が実行されるので、スループットを低下させることなく下面ブラシの清浄度を維持することができる。
【0010】
(3)下面ブラシ昇降駆動部は、基板の下面の洗浄および下面ブラシの洗浄が複数回実行されるように処理位置と待機位置との間で下面ブラシを繰り返し昇降させてもよい。この場合、短時間で下面ブラシを清浄にすることができる。
【0011】
(4)ブラシ洗浄部は、下面ブラシの中央部に洗浄液を吐出する第1の液ノズルと、下面ブラシの端部に洗浄液を吐出する第2の液ノズルとを含んでもよい。この構成によれば、下面ブラシが比較的大型である場合でも、下面ブラシの全体を容易に洗浄することができる。
【0012】
(5)ブラシ洗浄部は、下面ブラシが浸漬される洗浄液を貯留する洗浄槽を含んでもよい。この構成によれば、下面ブラシが比較的大型である場合でも、下面ブラシの全体を容易に洗浄することができる。また、短時間で下面ブラシを清浄にすることができる。
【0013】
(6)基板保持部および下面ブラシの各々は、円形の外形を有し、下面ブラシの直径は、基板保持部の直径よりも大きくてもよい。この場合、下面ブラシを比較的大型にすることができる。
【0014】
(7)基板および下面ブラシの各々は、円形の外形を有し、下面ブラシの直径は、基板の直径の1/3よりも大きくてもよい。この場合、下面ブラシを比較的大型にすることができる。
【0015】
(8)第2の発明に係る基板洗浄方法は、基板保持部により基板を水平姿勢で保持することと、処理位置において、基板保持部により保持された基板の下面を下面ブラシにより洗浄することと、基板保持部により保持された基板と上下方向に重なりかつ処理位置の下方にある待機位置において、下面ブラシをブラシ洗浄部により洗浄することと、処理位置と待機位置との間で下面ブラシを昇降させることとを含む。
【0016】
この基板洗浄方法によれば、下面ブラシの待機位置は基板保持部により保持された基板と上下方向に重なるので、下面ブラシが比較的大型である場合でも、フットプリントがほとんど増加しない。そのため、比較的大型の下面ブラシを用いることにより、短時間で基板の下面を洗浄することが可能になる。したがって、下面ブラシを洗浄する工程を設けた場合でも、スループットはほとんど変化しない。これにより、スループットを低下させることなく下面ブラシの清浄度を維持することができる。
【0017】
(9)基板洗浄方法は、基板保持部により保持された基板の上面を上面洗浄部により洗浄することをさらに含み、基板の下面の洗浄および下面ブラシの洗浄は、上面洗浄部により基板の上面が洗浄される期間に実行されてもよい。この場合、上面洗浄部により基板の上面が洗浄される期間に基板の下面の洗浄および下面ブラシの洗浄が実行されるので、スループットを低下させることなく下面ブラシの清浄度を維持することができる。
【0018】
(10)処理位置と待機位置との間で下面ブラシを昇降させることは、基板の下面の洗浄および下面ブラシの洗浄が複数回実行されるように繰り返されてもよい。この場合、短時間で下面ブラシを清浄にすることができる。
【0019】
(11)下面ブラシをブラシ洗浄部により洗浄することは、第1の液ノズルにより下面ブラシの中央部に洗浄液を吐出することと、第2の液ノズルにより下面ブラシの端部に洗浄液を吐出することとを含んでもよい。この構成によれば、下面ブラシが比較的大型である場合でも、下面ブラシの全体を容易に洗浄することができる。
【0020】
(12)下面ブラシをブラシ洗浄部により洗浄することは、洗浄槽に貯留された洗浄液に下面ブラシを浸漬させることを含んでもよい。この場合、短時間で下面ブラシを清浄にすることができる。
【0021】
(13)基板保持部および下面ブラシの各々は、円形の外形を有し、下面ブラシの直径は、基板保持部の直径よりも大きくてもよい。この場合、下面ブラシを比較的大型にすることができる。
【0022】
(14)基板および下面ブラシの各々は、円形の外形を有し、下面ブラシの直径は、基板の直径の1/3よりも大きくてもよい。この場合、下面ブラシを比較的大型にすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、スループットを低下させることなく下面ブラシの清浄度を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る基板洗浄装置の模式的平面図である。
図2図1の基板洗浄装置の内部構成を示す外観斜視図である。
図3】基板洗浄装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
図4図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図5図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図6図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図7図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図8図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図9図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図10図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図11図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図12図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図13図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図14図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図15図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図16図12における基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図17図12における基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図18図12における基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図19図12における基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図20図12における基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図21図12における基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図22図3の制御装置による基板洗浄処理を示すフローチャートである。
図23図3の制御装置による基板洗浄処理を示すフローチャートである。
図24】第2の実施の形態に係る基板洗浄装置の下面ブラシの近傍の構成を示す拡大断面図である。
図25図24の下面ブラシの洗浄動作を説明するための模式図である。
図26図24の下面ブラシの洗浄動作を説明するための模式図である。
図27図24の下面ブラシの洗浄動作を説明するための模式図である。
図28図24の下面ブラシの洗浄動作を説明するための模式図である。
図29図24の下面ブラシの洗浄動作を説明するための模式図である。
図30】第1の変形例に係る基板洗浄装置の下面ブラシの近傍の構成を示す拡大断面図である。
図31】第2の変形例に係る基板洗浄装置の下面ブラシの近傍の構成を示す拡大断面図である。
図32】第2の変形例に係る基板洗浄装置の下面ブラシの近傍の構成を示す拡大断面図である。
図33】第2の変形例に係る基板洗浄装置の下面ブラシの近傍の構成を示す拡大断面図である。
図34】第3の変形例に係る基板洗浄装置の下面ブラシの近傍の構成を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態に係る基板洗浄装置および基板洗浄方法について図面を用いて説明する。以下の説明において、基板とは、半導体基板、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。また、本実施の形態で用いられる基板は、少なくとも一部が円形の外周部を有する。例えば、位置決め用のノッチを除く外周部が円形を有する。
【0026】
[1]第1の実施の形態
(1)基板処理装置の構成
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る基板洗浄装置の模式的平面図である。図2は、図1の基板洗浄装置1の内部構成を示す外観斜視図である。本実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、位置関係を明確にするために互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を定義する。図1および図2以降の所定の図では、X方向、Y方向およびZ方向が適宜矢印で示される。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は鉛直方向に相当する。
【0027】
図1に示すように、基板洗浄装置1は、上側保持装置10A,10B、下側保持装置20、台座装置30、受渡装置40、下面洗浄装置50、カップ装置60、上面洗浄装置70、端部洗浄装置80および開閉装置90を備える。これらの構成要素は、ユニット筐体2内に設けられる。図2では、ユニット筐体2が点線で示される。
【0028】
ユニット筐体2は、矩形の底面部2aと、底面部2aの4辺から上方に延びる4つの側壁部2b,2c,2d,2eとを有する。側壁部2b,2cが互いに対向し、側壁部2d,2eが互いに対向する。側壁部2bの中央部には、矩形の開口が形成されている。この開口は、基板Wの搬入搬出口2xであり、ユニット筐体2に対する基板Wの搬入時および搬出時に用いられる。図2では、搬入搬出口2xが太い点線で示される。以下の説明においては、Y方向のうちユニット筐体2の内部から搬入搬出口2xを通してユニット筐体2の外方に向く方向(側壁部2cから側壁部2bを向く方向)を前方と呼び、その逆の方向(側壁部2bから側壁部2cを向く方向)を後方と呼ぶ。
【0029】
側壁部2bにおける搬入搬出口2xの形成部分およびその近傍の領域には、開閉装置90が設けられている。開閉装置90は、搬入搬出口2xを開閉可能に構成されたシャッタ91と、シャッタ91を駆動するシャッタ駆動部92とを含む。図2では、シャッタ91が太い二点鎖線で示される。シャッタ駆動部92は、基板洗浄装置1に対する基板Wの搬入時および搬出時に搬入搬出口2xを開放するようにシャッタ91を駆動する。また、シャッタ駆動部92は、基板洗浄装置1における基板Wの洗浄時に搬入搬出口2xを閉塞するようにシャッタ91を駆動する。
【0030】
底面部2aの中央部には、台座装置30が設けられている。台座装置30は、リニアガイド31、可動台座32および台座駆動部33を含む。リニアガイド31は、2本のレールを含み、平面視で側壁部2bの近傍から側壁部2cの近傍までY方向に延びるように設けられている。可動台座32は、リニアガイド31の2本のレール上でY方向に移動可能に設けられている。台座駆動部33は、例えばパルスモータを含み、リニアガイド31上で可動台座32をY方向に移動させる。
【0031】
可動台座32上には、下側保持装置20および下面洗浄装置50がY方向に並ぶように設けられている。下側保持装置20は、吸着保持部21および吸着保持駆動部22を含む。吸着保持部21は、いわゆるスピンチャックであり、基板Wの下面を吸着保持可能な円形の吸着面を有し、上下方向に延びる軸(Z方向の軸)の周りで回転可能に構成される。以下の説明では、吸着保持部21により基板Wが吸着保持される際に、基板Wの下面のうち吸着保持部21の吸着面が吸着すべき領域を下面中央領域と呼ぶ。一方、基板Wの下面のうち下面中央領域を取り囲む領域を下面外側領域と呼ぶ。
【0032】
吸着保持駆動部22は、モータを含む。吸着保持駆動部22のモータは、回転軸が上方に向かって突出するように可動台座32上に設けられている。吸着保持部21は、吸着保持駆動部22の回転軸の上端部に取り付けられる。また、吸着保持駆動部22の回転軸には、吸着保持部21において基板Wを吸着保持するための吸引経路が形成されている。その吸引経路は、図示しない吸気装置に接続されている。吸着保持駆動部22は、吸着保持部21を上記の回転軸の周りで回転させる。
【0033】
可動台座32上には、下側保持装置20の近傍にさらに受渡装置40が設けられている。受渡装置40は、複数(本例では3本)の支持ピン41、ピン連結部材42およびピン昇降駆動部43を含む。ピン連結部材42は、平面視で吸着保持部21を取り囲むように形成され、複数の支持ピン41を連結する。複数の支持ピン41は、ピン連結部材42により互いに連結された状態で、ピン連結部材42から一定長さ上方に延びる。ピン昇降駆動部43は、可動台座32上でピン連結部材42を昇降させる。これにより、複数の支持ピン41が吸着保持部21に対して相対的に昇降する。
【0034】
下面洗浄装置50は、下面ブラシ51、2つの液ノズル52、液ノズル52a,52b、気体噴出部53、昇降支持部54、移動支持部55、下面ブラシ回転駆動部55a、下面ブラシ昇降駆動部55bおよび下面ブラシ移動駆動部55cを含む。移動支持部55は、可動台座32上の一定領域内で下側保持装置20に対してY方向に移動可能に設けられている。図2に示すように、移動支持部55上に、昇降支持部54が昇降可能に設けられている。昇降支持部54は、吸着保持部21から遠ざかる方向(本例では後方)において斜め下方に傾斜する上面54uを有する。
【0035】
図1に示すように、下面ブラシ51は、平面視において円形の外形を有し、本実施の形態においては比較的大型に形成される。具体的には、下面ブラシ51の直径は、吸着保持部21の吸着面の直径よりも大きく、例えば吸着保持部21の吸着面の直径の1.3倍である。また、下面ブラシ51の直径は、基板Wの直径の1/3よりも大きくかつ1/2よりも小さい。なお、基板Wの直径は、例えば300mmである。
【0036】
下面ブラシ51は、基板Wの下面に接触可能な洗浄面を有する。また、下面ブラシ51は、洗浄面が上方を向くようにかつ洗浄面が当該洗浄面の中心を通って上下方向に延びる軸の周りで回転可能となるように、昇降支持部54の上面54uに取り付けられている。
【0037】
2つの液ノズル52の各々は、下面ブラシ51の近傍に位置しかつ液体吐出口が上方を向くように、昇降支持部54の上面54u上に取り付けられている。液ノズル52には、下面洗浄液供給部56(図3)が接続されている。下面洗浄液供給部56は、液ノズル52に洗浄液を供給する。液ノズル52は、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時に、下面洗浄液供給部56から供給される洗浄液を基板Wの下面に吐出する。本実施の形態では、液ノズル52に供給される洗浄液として純水が用いられる。
【0038】
2つの液ノズル52a,52bの各々は、下面ブラシ51の近傍に位置しかつ液体吐出口が斜め上方を向くように、昇降支持部54の上面54u上に取り付けられている。液ノズル52a,52bには、ブラシ洗浄液供給部57(図3)が接続されている。ブラシ洗浄液供給部57は、液ノズル52a,52bに洗浄液を供給する。液ノズル52a,52bは、下面ブラシ51の洗浄時に、ブラシ洗浄液供給部57から供給される洗浄液を下面ブラシ51の洗浄面の中央部および端部にそれぞれ吐出する。本実施の形態では、液ノズル52a,52bに供給される洗浄液として純水が用いられる。
【0039】
気体噴出部53は、一方向に延びる気体噴出口を有するスリット状の気体噴射ノズルである。気体噴出部53は、平面視で下面ブラシ51と吸着保持部21との間に位置しかつ気体噴射口が上方を向くように、昇降支持部54の上面54uに取り付けられている。気体噴出部53には、噴出気体供給部58(図3)が接続されている。噴出気体供給部58は、気体噴出部53に気体を供給する。本実施の形態では、気体噴出部53に供給される気体として窒素ガス等の不活性ガスが用いられる。気体噴出部53は、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時および後述する基板Wの下面の乾燥時に、噴出気体供給部58から供給される気体を基板Wの下面に噴射する。この場合、下面ブラシ51と吸着保持部21との間に、X方向に延びる帯状の気体カーテンが形成される。
【0040】
下面ブラシ回転駆動部55aは、モータを含み、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時に下面ブラシ51を回転させる。下面ブラシ昇降駆動部55bは、ステッピングモータまたはエアシリンダを含み、移動支持部55に対して昇降支持部54を昇降させる。下面ブラシ移動駆動部55cは、モータを含み、可動台座32上で移動支持部55をY方向に移動させる。ここで、可動台座32における下側保持装置20の位置は固定されている。そのため、下面ブラシ移動駆動部55cによる移動支持部55のY方向の移動時には、移動支持部55が下側保持装置20に対して相対的に移動する。以下の説明では、可動台座32上で下側保持装置20に最も近づくときの下面洗浄装置50の位置を接近位置と呼び、可動台座32上で下側保持装置20から最も離れたときの下面洗浄装置50の位置を離間位置と呼ぶ。
【0041】
底面部2aの中央部には、さらにカップ装置60が設けられている。カップ装置60は、カップ61およびカップ駆動部62を含む。カップ61は、平面視で下側保持装置20および台座装置30を取り囲むようにかつ昇降可能に設けられている。図2においては、カップ61が点線で示される。カップ駆動部62は、下面ブラシ51が基板Wの下面におけるどの部分を洗浄するのかに応じてカップ61を下カップ位置と上カップ位置との間で移動させる。下カップ位置はカップ61の上端部が吸着保持部21により吸着保持される基板Wよりも下方にある高さ位置である。また、上カップ位置はカップ61の上端部が吸着保持部21よりも上方にある高さ位置である。
【0042】
カップ61よりも上方の高さ位置には、平面視で台座装置30を挟んで対向するように一対の上側保持装置10A,10Bが設けられている。上側保持装置10Aは、下チャック11A、上チャック12A、下チャック駆動部13Aおよび上チャック駆動部14Aを含む。上側保持装置10Bは、下チャック11B、上チャック12B、下チャック駆動部13Bおよび上チャック駆動部14Bを含む。
【0043】
下チャック11A,11Bは、平面視で吸着保持部21の中心を通ってY方向(前後方向)に延びる鉛直面に関して対称に配置され、共通の水平面内でX方向に移動可能に設けられている。下チャック11A,11Bの各々は、基板Wの下面周縁部を基板Wの下方から支持可能な2本の支持片を有する。下チャック駆動部13A,13Bは、下チャック11A,11Bが互いに近づくように、または下チャック11A,11Bが互いに遠ざかるように、下チャック11A,11Bを移動させる。
【0044】
上チャック12A,12Bは、下チャック11A,11Bと同様に、平面視で吸着保持部21の中心を通ってY方向(前後方向)に延びる鉛直面に関して対称に配置され、共通の水平面内でX方向に移動可能に設けられている。上チャック12A,12Bの各々は、基板Wの外周端部の2つの部分に当接して基板Wの外周端部を保持可能に構成された2本の保持片を有する。上チャック駆動部14A,14Bは、上チャック12A,12Bが互いに近づくように、または上チャック12A,12Bが互いに遠ざかるように、上チャック12A,12Bを移動させる。
【0045】
図1に示すように、カップ61の一側方においては、平面視で上側保持装置10Bの近傍に位置するように、上面洗浄装置70が設けられている。上面洗浄装置70は、回転支持軸71、アーム72、スプレーノズル73および上面洗浄駆動部74を含む。
【0046】
回転支持軸71は、底面部2a上で、上下方向に延びるようにかつ昇降可能かつ回転可能に上面洗浄駆動部74により支持される。アーム72は、図2に示すように、上側保持装置10Bよりも上方の位置で、回転支持軸71の上端部から水平方向に延びるように設けられている。アーム72の先端部には、スプレーノズル73が取り付けられている。
【0047】
スプレーノズル73には、上面洗浄流体供給部75(図3)が接続される。上面洗浄流体供給部75は、スプレーノズル73に洗浄液および気体を供給する。本実施の形態では、スプレーノズル73に供給される洗浄液として純水が用いられ、スプレーノズル73に供給される気体として窒素ガス等の不活性ガスが用いられる。スプレーノズル73は、基板Wの上面の洗浄時に、上面洗浄流体供給部75から供給される洗浄液と気体とを混合して混合流体を生成し、生成された混合流体を下方に噴射する。
【0048】
上面洗浄駆動部74は、1または複数のパルスモータおよびエアシリンダ等を含み、回転支持軸71を昇降させるとともに、回転支持軸71を回転させる。上記の構成によれば、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの上面上で、スプレーノズル73を円弧状に移動させることにより、基板Wの上面全体を洗浄することができる。
【0049】
図1に示すように、カップ61の他側方においては、平面視で上側保持装置10Aの近傍に位置するように、端部洗浄装置80が設けられている。端部洗浄装置80は、回転支持軸81、アーム82、ベベルブラシ83およびベベルブラシ駆動部84を含む。
【0050】
回転支持軸81は、底面部2a上で、上下方向に延びるようにかつ昇降可能かつ回転可能にベベルブラシ駆動部84により支持される。アーム82は、図2に示すように、上側保持装置10Aよりも上方の位置で、回転支持軸81の上端部から水平方向に延びるように設けられている。アーム82の先端部には、下方に向かって突出するようにかつ上下方向の軸の周りで回転可能となるようにベベルブラシ83が設けられている。
【0051】
ベベルブラシ83は、上半部が逆円錐台形状を有するとともに下半部が円錐台形状を有する。このベベルブラシ83によれば、外周面の上下方向における中央部分で基板Wの外周端部を洗浄することができる。
【0052】
ベベルブラシ駆動部84は、1または複数のパルスモータおよびエアシリンダ等を含み、回転支持軸81を昇降させるとともに、回転支持軸81を回転させる。上記の構成によれば、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの外周端部にベベルブラシ83の外周面の中央部分を接触させることにより、基板Wの外周端部全体を洗浄することができる。
【0053】
ここで、ベベルブラシ駆動部84は、さらにアーム82に内蔵されるモータを含む。そのモータは、アーム82の先端部に設けられるベベルブラシ83を上下方向の軸の周りで回転させる。したがって、基板Wの外周端部の洗浄時に、ベベルブラシ83が回転することにより、基板Wの外周端部におけるベベルブラシ83の洗浄力が向上する。
【0054】
図3は、基板洗浄装置1の制御系統の構成を示すブロック図である。図3の制御装置9は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)および記憶装置を含む。RAMは、CPUの作業領域として用いられる。ROMは、システムプログラムを記憶する。記憶装置は、制御プログラムを記憶する。
【0055】
図3に示すように、制御装置9は、機能部として、チャック制御部9A、吸着制御部9B、台座制御部9C、受渡制御部9D、下面洗浄制御部9E、カップ制御部9F、上面洗浄制御部9G、ベベル洗浄制御部9Hおよび搬入搬出制御部9Iを含む。CPUが記憶装置に記憶された基板洗浄プログラムをRAM上で実行することにより制御装置9の機能部が実現される。制御装置9の機能部の一部または全部が電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。
【0056】
チャック制御部9Aは、基板洗浄装置1に搬入される基板Wを受け取り、吸着保持部21の上方の位置で保持するために、下チャック駆動部13A,13Bおよび上チャック駆動部14A,14Bを制御する。吸着制御部9Bは、吸着保持部21により基板Wを吸着保持するとともに吸着保持された基板Wを回転させるために、吸着保持駆動部22を制御する。
【0057】
台座制御部9Cは、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wに対して可動台座32を移動させるために、台座駆動部33を制御する。受渡制御部9Dは、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wの高さ位置と、吸着保持部21により保持される基板Wの高さ位置との間で基板Wを移動させるために、ピン昇降駆動部43を制御する。
【0058】
下面洗浄制御部9Eは、基板Wの下面を洗浄するために、下面ブラシ回転駆動部55a、下面ブラシ昇降駆動部55b、下面ブラシ移動駆動部55c、下面洗浄液供給部56および噴出気体供給部58を制御する。また、下面洗浄制御部9Eは、下面ブラシ51を洗浄するために、ブラシ洗浄液供給部57を制御する。カップ制御部9Fは、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの洗浄時に基板Wから飛散する洗浄液をカップ61で受け止めるために、カップ駆動部62を制御する。
【0059】
上面洗浄制御部9Gは、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの上面を洗浄するために、上面洗浄駆動部74および上面洗浄流体供給部75を制御する。ベベル洗浄制御部9Hは、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの外周端部を洗浄するために、ベベルブラシ駆動部84を制御する。搬入搬出制御部9Iは、基板洗浄装置1における基板Wの搬入時および搬出時にユニット筐体2の搬入搬出口2xを開閉するために、シャッタ駆動部92を制御する。
【0060】
(2)基板洗浄装置の概略動作
図4図15は、図1の基板洗浄装置1の概略動作を説明するための模式図である。図4図15の各々においては、上段に基板洗浄装置1の平面図が示される。また、中段にY方向に沿って見た下側保持装置20およびその周辺部の側面図が示され、下段にX方向に沿って見た下側保持装置20およびその周辺部の側面図が示される。中段の側面図は図1のA-A線側面図に対応し、下段の側面図は図1のB-B線側面図に対応する。なお、基板洗浄装置1における各構成要素の形状および動作状態の理解を容易にするために、上段の平面図と中段および下段の側面図との間では、一部の構成要素の拡縮率が異なる。また、図4図15では、カップ61が二点鎖線で示されるとともに、基板Wの外形が太い一点鎖線で示される。
【0061】
基板洗浄装置1に基板Wが搬入される前の初期状態においては、開閉装置90のシャッタ91が搬入搬出口2xを閉塞している。また、図1に示されるように、下チャック11A,11Bは、互いの距離が基板Wの直径よりも十分に大きくなる状態で維持されている。また、上チャック12A,12Bも、互いの距離が基板Wの直径よりも十分に大きくなる状態で維持されている。
【0062】
また、台座装置30の可動台座32は、平面視で吸着保持部21の中心がカップ61の中心に位置するように配置されている。可動台座32上で下面洗浄装置50は、接近位置に配置されている。下面洗浄装置50の昇降支持部54は、下面ブラシ51の洗浄面(上端部)が吸着保持部21よりも下方の位置にある。この初期状態における下面ブラシ51の位置を待機位置と呼ぶ。基板Wが吸着保持部21に保持された状態においては、待機位置は当該基板Wの下方にある。
【0063】
また、受渡装置40においては、複数の支持ピン41が吸着保持部21よりも下方に位置する状態にある。さらに、カップ装置60においては、カップ61は下カップ位置にある。以下の説明では、平面視におけるカップ61の中心位置を平面基準位置rpと呼ぶ。また、平面視で吸着保持部21の中心が平面基準位置rpにあるときの底面部2a上の可動台座32の位置を第1の水平位置と呼ぶ。
【0064】
基板洗浄装置1のユニット筐体2内に基板Wが搬入される。具体的には、基板Wの搬入の直前にシャッタ91が搬入搬出口2xを開放する。その後、図4に太い実線の矢印a1で示すように、図示しない基板搬送ロボットのハンド(基板保持部)RHが搬入搬出口2xを通してユニット筐体2内の略中央の位置に基板Wを搬入する。このとき、ハンドRHにより保持される基板Wは、図4に示すように、下チャック11Aおよび上チャック12Aと下チャック11Bおよび上チャック12Bとの間に位置する。
【0065】
次に、図5に太い実線の矢印a2で示すように、下チャック11A,11Bの複数の支持片が基板Wの下面周縁部の下方に位置するように、下チャック11A,11Bが互いに近づく。この状態で、ハンドRHが下降し、搬入搬出口2xから退出する。それにより、ハンドRHに保持された基板Wの下面周縁部の複数の部分が、下チャック11A,11Bの複数の支持片により支持される。ハンドRHの退出後、シャッタ91は搬入搬出口2xを閉塞する。
【0066】
次に、図6に太い実線の矢印a3で示すように、上チャック12A,12Bの複数の保持片が基板Wの外周端部に当接するように、上チャック12A,12Bが互いに近づく。上チャック12A,12Bの複数の保持片が基板Wの外周端部の複数の部分に当接することにより、下チャック11A,11Bにより支持された基板Wが上チャック12A,12Bによりさらに保持される。また、図6に太い実線の矢印a4で示すように、吸着保持部21が平面基準位置rpから所定距離ずれるとともに下面ブラシ51の中心が平面基準位置rpに位置するように、可動台座32が第1の水平位置から前方に移動する。このとき、底面部2a上に位置する可動台座32の位置を第2の水平位置と呼ぶ。
【0067】
次に、図7に太い実線の矢印a5で示すように、待機位置の下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面中央領域に接触するように、昇降支持部54が上昇する。このときの下面ブラシ51の位置を処理位置と呼ぶ。また、図7に太い実線の矢印a6で示すように、下面ブラシ51が上下方向の軸の周りで回転(自転)する。それにより、基板Wの下面中央領域に付着する汚染物質が下面ブラシ51により物理的に剥離される。
【0068】
図7の下段には、下面ブラシ51が基板Wの下面に接触する部分の拡大側面図が吹き出し内に示される。その吹き出し内に示されるように、下面ブラシ51が基板Wに接触する状態で、液ノズル52および気体噴出部53は、基板Wの下面に近接する位置に保持される。このとき、液ノズル52は、白抜きの矢印a51で示すように、下面ブラシ51の近傍の位置で基板Wの下面に向かって洗浄液を吐出する。これにより、液ノズル52から基板Wの下面に供給された洗浄液が下面ブラシ51と基板Wとの接触部に導かれることにより、下面ブラシ51により基板Wの裏面から除去された汚染物質が洗浄液により洗い流される。このように、下面洗浄装置50においては、液ノズル52が下面ブラシ51とともに昇降支持部54に取り付けられている。それにより、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄部分に効率よく洗浄液を供給することができる。したがって、洗浄液の消費量が低減されるとともに洗浄液の過剰な飛散が抑制される。
【0069】
ここで、昇降支持部54の上面54uは、吸着保持部21から遠ざかる方向において斜め下方に傾斜している。この場合、基板Wの下面から汚染物質を含む洗浄液が昇降支持部54上に落下する場合に、上面54uによって受け止められた洗浄液が吸着保持部21から遠ざかる方向に導かれる。
【0070】
また、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄時には、気体噴出部53が、図7の吹き出し内に白抜きの矢印a52で示すように、下面ブラシ51と吸着保持部21との間の位置で基板Wの下面に向かって気体を噴射する。本実施の形態においては、気体噴出部53は、気体噴射口がX方向に延びるように昇降支持部54上に取り付けられている。この場合、気体噴出部53から基板Wの下面に気体が噴射される際には、下面ブラシ51と吸着保持部21との間でX方向に延びる帯状の気体カーテンが形成される。それにより、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄時に、汚染物質を含む洗浄液が吸着保持部21に向かって飛散することが防止される。したがって、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄時に、汚染物質を含む洗浄液が吸着保持部21に付着することが防止され、吸着保持部21の吸着面が清浄に保たれる。
【0071】
なお、図7の例においては、気体噴出部53は、白抜きの矢印a52で示すように、気体噴出部53から下面ブラシ51に向かって斜め上方に気体を噴射するが、本発明はこれに限定されない。気体噴出部53は、気体噴出部53から基板Wの下面に向かってZ方向に沿うように気体を噴射してもよい。
【0072】
次に、図7の状態で、基板Wの下面中央領域の洗浄が完了すると、下面ブラシ51の回転が停止され、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wから所定距離離間するように、昇降支持部54が下降する。また、液ノズル52から基板Wへの洗浄液の吐出が停止される。このとき、気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射は継続される。
【0073】
その後、図8に太い実線の矢印a7で示すように、吸着保持部21が平面基準位置rpに位置するように、可動台座32が後方に移動する。すなわち、可動台座32は、第2の水平位置から第1の水平位置に移動する。このとき、気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射が継続されることにより、基板Wの下面中央領域が気体カーテンにより順次乾燥される。
【0074】
次に、図9に太い実線の矢印a8で示すように、下面ブラシ51の洗浄面が吸着保持部21の吸着面(上端部)よりも下方に位置するように、昇降支持部54が下降する。これにより、下面ブラシ51が待機位置に移動する。また、図9に太い実線の矢印a9で示すように、上チャック12A,12Bの複数の保持片が基板Wの外周端部から離間するように、上チャック12A,12Bが互いに遠ざかる。このとき、基板Wは、下チャック11A,11Bにより支持された状態となる。
【0075】
その後、図9に太い実線の矢印a10で示すように、複数の支持ピン41の上端部が下チャック11A,11Bよりもわずかに上方に位置するように、ピン連結部材42が上昇する。それにより、下チャック11A,11Bにより支持された基板Wが、複数の支持ピン41により受け取られる。
【0076】
次に、図10に太い実線の矢印a11で示すように、下チャック11A,11Bが互いに遠ざかる。このとき、下チャック11A,11Bは、平面視で複数の支持ピン41により支持される基板Wに重ならない位置まで移動する。それにより、上側保持装置10A,10Bは、ともに初期状態に戻る。
【0077】
次に、図11に太い実線の矢印a12で示すように、複数の支持ピン41の上端部が吸着保持部21よりも下方に位置するように、ピン連結部材42が下降する。それにより、複数の支持ピン41上に支持された基板Wが、吸着保持部21により受け取られる。この状態で、吸着保持部21は、基板Wの下面中央領域を吸着保持する。ピン連結部材42の下降と同時かまたはピン連結部材42の下降完了後、図11に太い実線の矢印a13で示すように、カップ61が下カップ位置から上カップ位置まで上昇する。
【0078】
次に、図12に太い実線の矢印a14で示すように、吸着保持部21が上下方向の軸(吸着保持駆動部22の回転軸の軸心)の周りで回転する。それにより、吸着保持部21に吸着保持された基板Wが水平姿勢で回転する。
【0079】
次に、上面洗浄装置70の回転支持軸71が回転し、下降する。それにより、図12に太い実線の矢印a15で示すように、スプレーノズル73が基板Wの上方の位置まで移動し、スプレーノズル73と基板Wとの間の距離が予め定められた距離となるように下降する。この状態で、スプレーノズル73は、基板Wの上面に洗浄液と気体との混合流体を噴射する。また、回転支持軸71が回転する。それにより、図12に太い実線の矢印a16で示すように、スプレーノズル73が回転する基板Wの上方の位置で移動する。基板Wの上面全体に混合流体が噴射されることにより、基板Wの上面全体が洗浄される。
【0080】
また、スプレーノズル73による基板Wの上面の洗浄時には、端部洗浄装置80の回転支持軸81も回転し、下降する。それにより、図12に太い実線の矢印a17で示すように、ベベルブラシ83が基板Wの外周端部の上方の位置まで移動する。また、ベベルブラシ83の外周面の中央部分が基板Wの外周端部に接触するように下降する。この状態で、ベベルブラシ83が上下方向の軸の周りで回転(自転)する。それにより、基板Wの外周端部に付着する汚染物質がベベルブラシ83により物理的に剥離される。基板Wの外周端部から剥離された汚染物質は、スプレーノズル73から基板Wに噴射される混合流体の洗浄液により洗い流される。
【0081】
さらに、スプレーノズル73による基板Wの上面の洗浄時には、待機位置の下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面外側領域に接触するように、昇降支持部54が上昇する。これにより、下面ブラシ51が処理位置に移動する。また、図12に太い実線の矢印a18で示すように、下面ブラシ51が上下方向の軸の周りで回転(自転)する。さらに、液ノズル52は基板Wの下面に向かって洗浄液を吐出し、気体噴出部53は基板Wの下面に向かって気体を噴射する。これにより、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの下面外側領域を全体に渡って下面ブラシ51により洗浄することができる。
【0082】
下面ブラシ51の回転方向は、吸着保持部21の回転方向とは逆であってもよい。この場合、基板Wの下面外側領域を効率よく洗浄することができる。なお、下面ブラシ51が比較的大型でない場合、図12に太い実線の矢印a19で示すように、移動支持部55が可動台座32上で接近位置と離間位置との間を進退動作されてもよい。この場合でも、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの下面外側領域を全体に渡って下面ブラシ51により洗浄することができる。
【0083】
また、本実施の形態においては、スプレーノズル73を用いた基板Wの上面の洗浄には比較的長時間を要するのに対し、比較的大型の下面ブラシ51を用いた基板Wの下面外側領域の洗浄は比較的短時間で実行可能である。そこで、基板Wの上面の洗浄期間に、上記の下面ブラシ51による基板Wの下面外側領域の洗浄とともに、図1の液ノズル52a,52bを用いた下面ブラシ51の洗浄とが交互に実行される。図12における下面ブラシ51の洗浄動作の詳細については後述する。
【0084】
次に、基板Wの上面、外周端部および下面外側領域の洗浄が完了すると、スプレーノズル73から基板Wへの混合流体の噴射が停止される。また、図13に太い実線の矢印a20で示すように、スプレーノズル73がカップ61の一側方の位置(初期状態の位置)まで移動する。また、図13に太い実線の矢印a21で示すように、ベベルブラシ83がカップ61の他側方の位置(初期状態の位置)まで移動する。さらに、下面ブラシ51の回転が停止され、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wから所定距離離間するように、昇降支持部54が下降する。これにより、液ノズル52が待機位置に移動する。また、液ノズル52から基板Wへの洗浄液の吐出、および気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射が停止される。この状態で、吸着保持部21が高速で回転することにより、基板Wに付着する洗浄液が振り切られ、基板Wの全体が乾燥する。
【0085】
次に、図14に太い実線の矢印a22で示すように、カップ61が上カップ位置から下カップ位置まで下降する。また、新たな基板Wがユニット筐体2内に搬入されることに備えて、図14に太い実線の矢印a23で示すように、新たな基板Wを支持可能な位置まで下チャック11A,11Bが互いに近づく。
【0086】
最後に、基板洗浄装置1のユニット筐体2内から基板Wが搬出される。具体的には、基板Wの搬出の直前にシャッタ91が搬入搬出口2xを開放する。その後、図15に太い実線の矢印a24で示すように、図示しない基板搬送ロボットのハンド(基板保持部)RHが搬入搬出口2xを通してユニット筐体2内に進入する。続いて、ハンドRHは、吸着保持部21上の基板Wを受け取り、搬入搬出口2xから退出する。ハンドRHの退出後、シャッタ91は搬入搬出口2xを閉塞する。
【0087】
(3)下面ブラシの洗浄動作
図16図21は、図12における基板洗浄装置1の概略動作を説明するための模式図である。図16に示すように、図12の基板Wの上面の洗浄時には、吸着保持部21が基板Wを吸着保持した状態で上下方向の軸の周りで回転するとともに、スプレーノズル73が基板Wの略中心の上方に移動される。この状態で、スプレーノズル73から基板Wの上面に洗浄液と気体との混合流体が噴射される。
【0088】
また、図12のベベルブラシ83による基板Wの外周端部の洗浄が開始される。このとき、基板Wの下面外側領域の汚染度は100%であり、下面ブラシ51の汚染度は0%であるとする。ここで、汚染度は清浄度の低さを示す指標であり、汚染度が高いことは清浄度が低いことを意味する。
【0089】
次に、図17に示すように、スプレーノズル73が回転する基板Wの上方で外方に向かって移動される。このスプレーノズル73の移動は、スプレーノズル73が基板Wの外周部の上方に到達するまで継続される。また、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面外側領域に接触するように、下面ブラシ51が回転しつつ待機位置から上方の処理位置に上昇される。さらに、図12の液ノズル52から基板Wの下面に洗浄液が吐出される。これにより、基板Wの下面外側領域が洗浄される。基板Wの下面外側領域の洗浄時には、図12の気体噴出部53から基板Wの下面に向かって気体が噴射される。
【0090】
図17の基板Wの下面外側領域の洗浄動作においては、例えば汚染度60%に相当する汚染物質が下面ブラシ51に転写されるとする。また、基板Wに付着した汚染物質のうち、例えば汚染度20%に相当する汚染物質が洗浄液により洗い流されるとする。この場合、基板Wの下面外側領域の汚染度は20%に低下し、下面ブラシ51の汚染度は60%に上昇する。
【0091】
次に、図18に示すように、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面外側領域から離間するように、下面ブラシ51が回転しつつ処理位置から下方の待機位置に下降される。また、待機位置において、液ノズル52aから下面ブラシ51の洗浄面の中央部に向けて洗浄液が吐出されるとともに、液ノズル52bから下面ブラシ51の洗浄面の端部に向けて洗浄液が吐出される。これにより、下面ブラシ51が洗浄される。なお、本例では、液ノズル52aから吐出された洗浄液は、放物線状に斜め上方から下面ブラシ51の洗浄面の中央部に供給される。下面ブラシ51の洗浄には、超音波洗浄が併用されてもよい。
【0092】
図18の下面ブラシ51の洗浄動作においては、下面ブラシ51に付着した汚染物質のうち、例えば汚染度20%に相当する汚染物質が洗浄液により洗い流されるとする。この場合、基板Wの下面外側領域の汚染度は20%のままであり、下面ブラシ51の汚染度は40%に低下する。
【0093】
続いて、図19に示すように、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面外側領域に接触するように、下面ブラシ51が回転しつつ待機位置から上方の処理位置に上昇されることにより、基板Wの下面外側領域が再度洗浄される。図19における基板Wの下面外側領域の洗浄動作は、図17における基板Wの下面外側領域の洗浄動作と同様である。
【0094】
図19の基板Wの下面外側領域の洗浄動作においては、基板Wの下面外側領域と下面ブラシ51との間で互いに汚染物質が転写される。しかしながら、現時点では、下面ブラシ51の汚染度は基板Wの下面外側領域の汚染度よりも大きい。そのため、下面ブラシ51から基板Wの下面外側領域への汚染物質の転写量は、基板Wの下面外側領域から下面ブラシ51への汚染物質の転写量よりも大きい。したがって、実質的に、下面ブラシ51に付着した汚染物質が基板Wの下面外側領域に転写されることとなる。
【0095】
下面ブラシ51に付着した汚染物質のうち、例えば汚染度20%に相当する汚染物質が基板Wの下面外側領域に転写されるとする。また、例えば汚染度20%に相当する汚染物質が洗浄液により洗い流されるとする。この場合、基板Wの下面外側領域の汚染度は20%のままであり、下面ブラシ51の汚染度は20%に低下する。
【0096】
その後、図20に示すように、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面外側領域から離間するように、下面ブラシ51が回転しつつ処理位置から下方の待機位置に下降されることにより、下面ブラシ51が再度洗浄される。図20における下面ブラシ51の洗浄動作は、図18における下面ブラシ51の洗浄動作と同様である。
【0097】
図20の下面ブラシ51の洗浄動作においては、下面ブラシ51に付着した汚染物質のうち、例えば汚染度20%に相当する汚染物質が洗浄液により洗い流されるとする。この場合、基板Wの下面外側領域の汚染度は20%のままであり、下面ブラシ51の汚染度は0%に低下する。
【0098】
図19における基板Wの下面外側領域の洗浄動作と、図20における下面ブラシ51の洗浄動作とが繰り返される。この場合、基板Wの下面外側領域の洗浄動作において、基板Wの下面外側領域と下面ブラシ51との間で互いに汚染物質が転写される。ここで、現時点では、基板Wの下面外側領域の汚染度は下面ブラシ51の汚染度よりも大きい。したがって、実質的に、基板Wの下面外側領域に付着した汚染物質が下面ブラシ51に転写されることとなる。これにより、基板Wの下面外側領域の汚染度が低下する。
【0099】
また、基板Wの下面外側領域の洗浄動作において、下面ブラシ51の汚染度が上昇した場合でも、その後に実行される下面ブラシ51の洗浄動作により下面ブラシ51の汚染度が低下する。そのため、基板Wの下面外側領域の洗浄動作と、下面ブラシ51の洗浄動作とが繰り返されることにより、基板Wの下面外側領域の汚染度および下面ブラシ51の汚染度をともに0%にすることができる。また、基板Wの下面外側領域の洗浄動作と、下面ブラシ51の洗浄動作とは、基板Wの上面の洗浄期間中に繰り返されるので、スループットは低下しない。
【0100】
最後に、図21に示すように、スプレーノズル73が基板Wの外周部の上方に到達する。スプレーノズル73から基板Wへの混合流体の噴射が停止されることにより、基板Wの上面の洗浄が終了する。また、下面ブラシ51の回転が停止され、下面ブラシ51が待機位置に移動されることにより、基板Wの下面外側領域の洗浄および下面ブラシ51の洗浄が終了する。
【0101】
本実施の形態において、下面ブラシ51の洗浄に用いられる洗浄液は純水であるが、実施の形態はこれに限定されない。下面ブラシ51の洗浄に用いられる洗浄液は、温水、機能水、薄いアルカリ水または薬液であってもよい。洗浄液が薬液である場合には、除去対象の汚染物質の種類に応じて薬液の種類が適宜変更されてもよい。
【0102】
また、液ノズル52a,52bは下面ブラシ51が処理位置にあるときに洗浄液の吐出を停止するが、実施の形態はこれに限定されない。液ノズル52a,52bは、下面ブラシ51が処理位置にあるとき、すなわち基板Wの下面外側領域の洗浄中にも洗浄液を吐出してもよい。さらに、液ノズル52a,52bは、下面ブラシ51が待機位置と処理位置との間で昇降する期間にも洗浄液を吐出してもよい。
【0103】
(4)基板洗浄処理
図22および図23は、図3の制御装置9による基板洗浄処理を示すフローチャートである。図22および図23の基板洗浄処理は、制御装置9のCPUが記憶装置に記憶された基板洗浄プログラムをRAM上で実行することにより行われる。以下、図22および図23のフローチャートとともに、図3の制御装置9および図4図21の基板洗浄装置1を用いて基板洗浄処理を説明する。
【0104】
まず、搬入搬出制御部9Iが、シャッタ駆動部92を制御することにより、ユニット筐体2内に基板Wを搬入する(図4図5およびステップS1)。次に、チャック制御部9Aが、下チャック駆動部13A,13Bおよび上チャック駆動部14A,14Bを制御することにより、上側保持装置10A,10Bにより基板Wを保持する(図5図6およびステップS2)。
【0105】
続いて、台座制御部9Cが、台座駆動部33を制御することにより、可動台座32を第1の水平位置から第2の水平位置に移動させる(図6およびステップS3)。その後、下面洗浄制御部9Eが、下面ブラシ回転駆動部55a、下面ブラシ昇降駆動部55b、下面ブラシ移動駆動部55c、下面洗浄液供給部56および噴出気体供給部58を制御することにより、基板Wの下面中央領域を洗浄する(図7およびステップS4)。
【0106】
次に、下面洗浄制御部9Eが、噴出気体供給部58を制御することにより、基板Wを乾燥させる(図8およびステップS5)。また、台座制御部9Cが、台座駆動部33を制御することにより、可動台座32を第2の水平位置から第1の水平位置に移動させる(図8およびステップS6)。本例では、ステップS5,S6は、略同時に実行される。これにより、基板Wの下面中央領域が順次乾燥される。
【0107】
続いて、チャック制御部9Aが下チャック駆動部13A,13Bおよび上チャック駆動部14A,14Bを制御するとともに、受渡制御部9Dがピン昇降駆動部43を制御することにより、基板Wを上側保持装置10A,10Bから下側保持装置20に受け渡す(図8図11およびステップS7)。この状態で、吸着制御部9Bが、基板Wの下面中央領域を吸着するように吸着保持駆動部22を制御することにより、下側保持装置20により基板Wを保持する(図11およびステップS8)。
【0108】
その後、ステップS9と、ステップS10と、ステップS11~S13とが並行して実行される。ステップS9~S13の実行時には、吸着制御部9Bが、吸着保持駆動部22を制御することにより、吸着保持駆動部22の回転軸の軸心の周りで基板Wを回転させる。また、カップ制御部9Fが、カップ駆動部62を制御することにより、カップ61を下カップ位置から上カップ位置まで上昇させる。
【0109】
ステップS9において、上面洗浄制御部9Gが、上面洗浄駆動部74および上面洗浄流体供給部75を制御することにより、基板Wの上面全体を洗浄する(図12図16図21およびステップS9)。ステップS10において、ベベル洗浄制御部9Hが、ベベルブラシ駆動部84を制御することにより、基板Wの外周端部を洗浄する(図12およびステップS10)。
【0110】
ステップS11において、下面洗浄制御部9Eが、下面ブラシ回転駆動部55a、下面ブラシ昇降駆動部55b、下面洗浄液供給部56および噴出気体供給部58を制御することにより、基板Wの下面外側領域を洗浄する(図12図17およびステップS11)。なお、下面ブラシ51が比較的大型でない場合には、下面洗浄制御部9Eは、下面ブラシ移動駆動部55cをさらに制御することにより、基板Wの下面外側領域が洗浄されるように可動台座32とともに下面ブラシ51をY方向に移動させてもよい。
【0111】
次に、ステップS12において、下面洗浄制御部9Eが、下面ブラシ回転駆動部55a、下面ブラシ昇降駆動部55b、ブラシ洗浄液供給部57および噴出気体供給部58を制御することにより、下面ブラシ51を洗浄する(図18およびステップS12)。続いて、ステップS13において、下面洗浄制御部9Eは、下面ブラシ51が所定回数洗浄されたか否かを判定する(ステップS13)。
【0112】
下面ブラシ51の洗浄回数は、予め設定されている。下面ブラシ51の洗浄回数は、何回であってもよいが、2回以上であることが好ましい。また、下面ブラシ51の洗浄回数は、ステップS9の実行期間内に実行可能な回数であることが好ましい。
【0113】
下面ブラシ51の洗浄が所定回数洗浄されていない場合には、下面洗浄制御部9EはステップS11に戻る。この場合、ステップS11において、基板Wの下面外側領域が再度洗浄される(図19)。また、ステップS12において、下面ブラシ51が再度洗浄される(図20)。下面ブラシ51の洗浄が所定回数洗浄されるまで、ステップS11~S13が繰り返される。これにより、基板Wの下面外側領域の汚染度および下面ブラシ51の汚染度をともに0%にすることができる。
【0114】
下面ブラシ51の洗浄が所定回数洗浄され、ステップS9~S13が終了した場合、吸着制御部9Bが、吸着保持駆動部22を制御して吸着保持部21を高速で回転させることにより、基板Wの全体を乾燥させる(図13およびステップS14)。乾燥の終了後、上側保持装置10A,10Bおよびカップ61等が初期状態に戻される(図14)。最後に、搬入搬出制御部9Iが、シャッタ駆動部92を制御することにより、ユニット筐体2内から基板Wを搬出し(図15およびステップS15)、基板洗浄処理を終了する。
【0115】
(5)効果
本実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、下面ブラシ51の待機位置は下側保持装置20により保持された基板Wと上下方向に重なるので、下面ブラシ51が比較的大型である場合でも、フットプリントがほとんど増加しない。そのため、比較的大型の下面ブラシ51を用いることにより、短時間で基板Wの下面を洗浄することが可能になる。
【0116】
また、基板Wの下面の洗浄および下面ブラシ51の洗浄は、上面洗浄装置70により基板Wの上面が洗浄される期間に実行されるので、下面ブラシ51を洗浄する工程を設けた場合でも、スループットは変化しない。これにより、スループットを低下させることなく下面ブラシ51の清浄度を維持することができる。
【0117】
さらに、下面ブラシ51は、基板Wの下面の洗浄および下面ブラシ51の洗浄が複数回実行されるように処理位置と待機位置との間で下面ブラシ昇降駆動部55bにより繰り返し昇降される。この構成によれば、下面ブラシ51の洗浄面を基板Wの下面に長時間接触させる場合に比べて、短時間で下面ブラシ51を清浄にすることができる。また、下面ブラシ51の洗浄面を基板Wの下面に長時間接触させる必要がないので、下面ブラシ51の消耗を最小にすることができる。
【0118】
下面ブラシ51の洗浄時には、液ノズル52aにより下面ブラシ51の中央部に洗浄液が吐出され、液ノズル52bにより下面ブラシ51の端部に洗浄液が吐出される。この構成によれば、下面ブラシ51が比較的大型である場合でも、下面ブラシ51の全体を容易に洗浄することができる。
【0119】
[2]第2の実施の形態
(1)基板洗浄装置の構成
第2の実施の形態に係る基板洗浄装置1について、第1の実施の形態に基板洗浄装置1と異なる点を説明する。図24は、第2の実施の形態に係る基板洗浄装置1の下面ブラシ51の近傍の構成を示す拡大断面図である。図24に示すように、本実施の形態に係る基板洗浄装置1は、待機位置に配置された洗浄槽100をさらに含む。洗浄槽100は、カップ形状を有し、洗浄液を貯留する。また、洗浄槽100は、待機位置にある下面ブラシ51を収容する。
【0120】
下面洗浄装置50は昇降支持部54を含まず、下面ブラシ51は下面ブラシ回転駆動部55aの回転軸の上端に取り付けられる。また、下面洗浄装置50は、図16の液ノズル52a,52bに代えて、液ノズル52cを含む。液ノズル52cは、図示しない支持部材により支持され、図3のブラシ洗浄液供給部57に接続される。ブラシ洗浄液供給部57は、液ノズル52cに洗浄液を供給する。液ノズル52cは、ブラシ洗浄液供給部57により供給された洗浄液を洗浄槽100内に吐出する。
【0121】
さらに、本実施の形態では、図12の液ノズル52および気体噴出部53は、図示しない支持部材により支持される。本実施の形態における液ノズル52および気体噴出部53の動作は、第1の実施の形態における液ノズル52および気体噴出部53の動作とそれぞれ同様である。
【0122】
下面ブラシ51の下方において、下面ブラシ回転駆動部55aの回転軸には、平板状の閉塞部110が取り付けられる。また、洗浄槽100の底面には、下面ブラシ回転駆動部55aの回転軸が挿通される開口部101が形成される。洗浄槽100内に貯留された洗浄液は、開口部101から徐々に排出される。開口部101の面積は、下面ブラシ51の底部の面積よりも小さく、閉塞部110の面積よりも小さい。
【0123】
下面ブラシ51が待機位置に下降したときには、閉塞部110が洗浄槽100の底部から離間する一方で、下面ブラシ51の底部が開口部101と重なるように洗浄槽100の底面の上部に接触する。これにより、開口部101が閉塞される。下面ブラシ51が処理位置に上昇したときには、下面ブラシ51が洗浄槽100の底部から離間する一方で、閉塞部110が開口部101と重なるように洗浄槽100の底面の下部に接触する。これにより、開口部101が閉塞される。
【0124】
開口部101が閉塞されているときに開口部101から排出される洗浄液の流量は、開口部101が閉塞されていないときに開口部101から排出される洗浄液の流量よりも小さい。すなわち、開口部101は、完全に閉塞されなくてもよい。したがって、下面ブラシ51が待機位置にある場合において、下面ブラシ51の底部は、洗浄槽100の底面の上部と強固に接触しなくてもよい。また、下面ブラシ51が処理位置にある場合において、閉塞部110は、洗浄槽100の底面の下部と強固に接触しなくてもよい。
【0125】
(2)基板洗浄装置の動作
図25図29は、図24の下面ブラシ51の洗浄動作を説明するための模式図である。本実施の形態に係る基板洗浄装置1は、図4図15に示した第1の実施の形態に係る基板洗浄装置1と基本的に同様に動作する。そのため、図25図29においては、図12における下面ブラシ51の洗浄動作以外の基板洗浄装置1の動作の説明を省略するが、基板Wの上面の洗浄も並行して行われる。
【0126】
図25に示すように、基板Wの下面外側領域の洗浄前には、下面ブラシ51は、待機位置で洗浄槽100に収容される。このとき、直前の下面ブラシ51の洗浄工程で用いられた洗浄液の一部が洗浄槽100内に残存していてもよい。この場合、洗浄槽100内に貯留された洗浄液は、開口部101から徐々に排出される。
【0127】
次に、図26に示すように、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面外側領域に接触するように、下面ブラシ51が待機位置から上方の処理位置に上昇される。また、液ノズル52cから洗浄槽100内に洗浄液が吐出される。この場合、開口部101が閉塞部110により閉塞されるので、単位時間に洗浄槽100内に供給される洗浄液の量は、洗浄槽100内から排出される洗浄液の量よりも大きい。
【0128】
続いて、図27に示すように、下面ブラシ回転駆動部55aにより下面ブラシ51が回転される。このとき、図12の液ノズル52から基板Wの下面に洗浄液が吐出され、図12の気体噴出部53から基板Wの下面に向かって気体が噴射される。これにより、基板Wの下面外側領域が洗浄される。また、基板Wの下面外側領域の洗浄期間には、液ノズル52cから洗浄液の吐出が継続されつつ開口部101が閉塞部110により閉塞されるので、洗浄槽100内における洗浄液の液面が上昇する。
【0129】
基板Wの下面外側領域の洗浄後、図28に示すように、下面ブラシ51の回転および液ノズル52cからの洗浄液の吐出が停止される。また、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面外側領域から離間するように、下面ブラシ51が処理位置から下方の待機位置に下降される。この場合、洗浄液が開口部101から徐々に排出されるが、開口部101が下面ブラシ51により閉塞されるので、洗浄槽100内には、十分な量の洗浄液が残存する。そのため、下面ブラシ51は、洗浄槽100内に貯留された洗浄液に浸漬される。
【0130】
最後に、図29に示すように、下面ブラシ回転駆動部55aにより下面ブラシ51が回転される。この場合、外方に向かう洗浄液の流れが洗浄槽100内に発生する。これにより、下面ブラシ51に付着した汚染物質が効率的に除去されるとともに、除去された汚染物質が洗浄液とともに開口部101から排出される。その結果、下面ブラシ51が洗浄される。本実施の形態においても、下面ブラシ51の洗浄には、超音波洗浄が併用されてもよい。
【0131】
また、洗浄液には少量の薬液が添加されてもよい。この場合、薬液が添加された洗浄液が洗浄槽100内で撹拌されるので、少量の洗浄液により下面ブラシ51が効率よく洗浄される。これにより、洗浄液の消費量を削減することができる。汚染物質がレジスト等のパーティクルである場合には、添加される薬液はアルカリ性水溶液であってもよい。汚染物質が金属成分を含む場合には、添加される薬液は酸性水溶液であってもよい。
【0132】
また、液ノズル52cは下面ブラシ51が待機位置にあるときに洗浄液の吐出を停止するが、実施の形態はこれに限定されない。液ノズル52cは、下面ブラシ51が待機位置にあるときにも洗浄液を吐出してもよい。さらに、液ノズル52cは、下面ブラシ51が待機位置と処理位置との間で昇降する期間にも洗浄液を吐出してもよい。
【0133】
図26において、下面ブラシ51の回転は、下面ブラシ51が処理位置に移動する前に開始されてもよい。同様に、図29において、下面ブラシ51の回転は、下面ブラシ51が待機位置に移動する前に開始されてもよい。すなわち、下面ブラシ51は、待機位置と処理位置との移動期間にも回転されてもよい。一方、図29の下面ブラシ51の洗浄動作において、下面ブラシ51が待機位置で回転されるが、下面ブラシ51が洗浄槽100内において十分に洗浄される場合には、下面ブラシ51は待機位置で回転されなくてもよい。
【0134】
(3)効果
本実施の形態に係る基板洗浄装置1においても、下面ブラシ51の待機位置は下側保持装置20により保持された基板Wと上下方向に重なるので、下面ブラシ51が比較的大型である場合でも、フットプリントがほとんど増加しない。そのため、比較的大型の下面ブラシ51を用いることにより、短時間で基板Wの下面を洗浄することが可能になる。したがって、下面ブラシ51を洗浄する工程を設けた場合でも、スループットは変化しない。これにより、スループットを低下させることなく下面ブラシ51の清浄度を維持することができる。
【0135】
下面ブラシ51の洗浄時には、下面ブラシ51は、洗浄槽100に貯留された洗浄液に浸漬される。この構成によれば、下面ブラシ51が比較的大型である場合でも、下面ブラシ51の全体を容易に洗浄することができる。また、下面ブラシ51の洗浄面を基板Wの下面に長時間接触させる必要がないので、下面ブラシ51の消耗を最小にすることができる。
【0136】
(4)変形例
本実施の形態において、基板洗浄装置1は閉塞部110を含むが、実施の形態はこれに限定されない。図30は、第1の変形例に係る基板洗浄装置1の下面ブラシ51の近傍の構成を示す拡大断面図である。図30に示すように、本変形例においては、洗浄槽100の開口部101の面積は比較的小さく、下面ブラシ回転駆動部55aの回転軸の断面積よりもわずかに大きい。この場合、単位時間当たりに洗浄槽100から排出される洗浄液の量が比較的小さいので、基板洗浄装置1は閉塞部110を含まない。
【0137】
図31図33は、第2の変形例に係る基板洗浄装置1の下面ブラシ51の近傍の構成を示す拡大断面図である。図31に示すように、本変形例に係る基板洗浄装置1は、洗浄槽昇降駆動部55dおよび外槽120をさらに含む。洗浄槽昇降駆動部55dは、ステッピングモータまたはエアシリンダを含み、図3の下面洗浄制御部9Eによる制御に基づいて図1の移動支持部55に対して洗浄槽100を昇降させる。
【0138】
洗浄槽昇降駆動部55dは、中空の駆動軸を有する。洗浄槽昇降駆動部55dの駆動軸は、開口部101および下面ブラシ回転駆動部55aの回転軸を取り囲むように洗浄槽100の底面の下部に取り付けられる。外槽120は、カップ形状を有し、待機位置において洗浄槽100を取り囲むように配置される。外槽120の底面には、下面ブラシ回転駆動部55aの回転軸および洗浄槽昇降駆動部55dの駆動軸が挿通される開口部121が形成される。
【0139】
基板Wの下面外側領域の洗浄時には、図32に示すように、下面ブラシ51が図3の下面ブラシ昇降駆動部55bにより待機位置から処理位置に上昇される。また、洗浄槽100が基板Wと近接するように洗浄槽昇降駆動部55dにより待機位置から上昇される。この状態で下面ブラシ51が回転されることにより、基板Wの下面外側領域が洗浄される。また、下面ブラシ51から飛散する洗浄液は、外槽120により受け止められる。これにより、洗浄槽100の周辺が汚染することが防止される。
【0140】
また、基板Wの下面外側領域の洗浄後、図33に示すように、下面ブラシ51の洗浄面が洗浄槽100の上端の高さ以下になるまで下面ブラシ51が下面ブラシ昇降駆動部55bにより処理位置から下降されてもよい。この状態で、液ノズル52cは、単位時間に洗浄槽100内から排出される洗浄液の量よりも大きい量の洗浄液を洗浄槽100内に吐出してもよい。この場合、洗浄槽100から洗浄液が溢れるとともに、基板Wと下面ブラシ51の洗浄面との間に洗浄液の液柱が形成される。この洗浄液の液柱により下面ブラシ51が洗浄される。その結果、下面ブラシ51の洗浄に使用される洗浄液の量を削減することができる。
【0141】
図34は、第3の変形例に係る基板洗浄装置1の下面ブラシ51の近傍の構成を示す拡大断面図である。図34に示すように、本変形例に係る基板洗浄装置1は、洗浄槽回転駆動部55eをさらに含む。洗浄槽回転駆動部55eは、例えばモータを含み、図9の下面洗浄制御部9Eによる制御に基づいて、ベルトおよびプーリ等の動力伝達部材を介して洗浄槽昇降駆動部55dを回転させる。これにより、洗浄槽100が回転可能である。
【0142】
また、洗浄槽100の側壁には、複数の排液孔102が形成される。下面ブラシ51の洗浄時には、洗浄槽回転駆動部55eにより洗浄槽100が回転される。この場合、洗浄槽100内の洗浄液が複数の排液孔102から排出されることにより、外方に向かう洗浄液の流れが洗浄槽100内に発生する。これにより、下面ブラシ51に付着した汚染物質が効率的に除去されるとともに、除去された汚染物質が洗浄液とともに排液孔102から排出される。その結果、下面ブラシ51が洗浄される。
【0143】
本変形例において、下面ブラシ51の洗浄時に、洗浄槽100の回転方向とは逆方向に下面ブラシ51が回転されてもよい。この場合、外方に向かう洗浄液の流れをより容易に洗浄槽100内に発生させることができる。これにより、下面ブラシ51に付着した汚染物質をより効率的に除去することができる。また、本変形例において、外方に向かう洗浄液の流れを容易に洗浄槽100内に発生させることができる場合には、洗浄槽100に排液孔102が形成されなくてもよい。
【0144】
[3]他の実施の形態
(1)上記実施の形態において、上側保持装置10A,10Bにおいて基板Wの下面中央領域の洗浄が実行された後に、下側保持装置20において基板Wの下面外側領域の洗浄と下面ブラシ51の洗浄とが実行されるが、実施の形態はこれに限定されない。下側保持装置20において基板Wの下面外側領域の洗浄と下面ブラシ51の洗浄とが実行された後に、上側保持装置10A,10Bにおいて基板Wの下面中央領域の洗浄が実行されてもよい。また、基板Wの下面中央領域の洗浄が実行されなくてもよい。この場合、基板洗浄装置1は、上側保持装置10A,10Bおよび受渡装置40を含まない。
【0145】
(2)上記実施の形態において、基板Wの上面はスプレーノズル73を用いて洗浄されるが、実施の形態はこれに限定されない。基板Wの上面は、ブラシを用いて洗浄されてもよいし、リンス液を吐出するリンスノズルを用いて洗浄されてもよい。また、基板Wの上面は洗浄されなくてもよい。この場合、基板洗浄装置1は上面洗浄装置70を含まない。同様に、基板Wの外周端部は洗浄されなくてもよい。この場合、基板洗浄装置1は端部洗浄装置80を含まない。
【0146】
(3)上記実施の形態において、基板洗浄装置1は制御装置9を含むが、実施の形態はこれに限定されない。基板洗浄装置1が外部の情報処理装置により制御可能に構成されている場合には、基板洗浄装置1は制御装置9を含まなくてもよい。
【0147】
(4)第1の実施の形態において、下面ブラシ51は液ノズル52a,52bから吐出される洗浄液により洗浄されるが、実施の形態はこれに限定されない。基板洗浄装置1は、第2の実施の形態の同様に、液ノズル52a,52bに代えて液ノズル52cおよび洗浄槽100等を含んでもよい。この場合、下面ブラシ51は、洗浄槽100内で液ノズル52cから吐出される洗浄液により洗浄されてもよい。また、処理位置における基板Wの下面外側領域の洗浄と、待機位置における下面ブラシ51の洗浄とは、繰り返されてもよいが、繰り返されなくてもよい。
【0148】
[4]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0149】
上記実施の形態においては、基板Wが基板の例であり、吸着保持部21が基板保持部の例であり、下面ブラシ51が下面ブラシの例であり、液ノズル52a,52bまたは洗浄槽100がブラシ洗浄部の例であり、下面ブラシ昇降駆動部55bが下面ブラシ昇降駆動部の例である。基板洗浄装置1が基板洗浄装置の例であり、上面洗浄装置70が上面洗浄部の例であり、液ノズル52a,52bがそれぞれ第1の液ノズルおよび第2の液ノズルの例であり、洗浄槽100が洗浄槽の例である。
【符号の説明】
【0150】
1…基板洗浄装置,2…ユニット筐体,2a…底面部,2b~2e…側壁部,2x…搬入搬出口,9…制御装置,9A…チャック制御部,9B…吸着制御部,9C…台座制御部,9D…受渡制御部,9E…下面洗浄制御部,9F…カップ制御部,9G…上面洗浄制御部,9H…ベベル洗浄制御部,9I…搬入搬出制御部,10A,10B…上側保持装置,11A,11B…下チャック,12A,12B…上チャック,13A,13B…下チャック駆動部,14A,14B…上チャック駆動部,20…下側保持装置,21…吸着保持部,22…吸着保持駆動部,30…台座装置,31…リニアガイド,32…可動台座,33…台座駆動部,40…受渡装置,41…支持ピン,42…ピン連結部材,43…ピン昇降駆動部,50…下面洗浄装置,51…下面ブラシ,52,52a~52c…液ノズル,53…気体噴出部,54…昇降支持部,54u…上面,55…移動支持部,55a…下面ブラシ回転駆動部,55b…下面ブラシ昇降駆動部,55c…下面ブラシ移動駆動部,55d…洗浄槽昇降駆動部,55e…洗浄槽回転駆動部,56…下面洗浄液供給部,57…ブラシ洗浄液供給部,58…噴出気体供給部,60…カップ装置,70…上面洗浄装置,71,81…回転支持軸,72,82…アーム,73…スプレーノズル,75…上面洗浄流体供給部,74…上面洗浄駆動部,80…端部洗浄装置,83…ベベルブラシ,84…ベベルブラシ駆動部,90…開閉装置,91…シャッタ,92…シャッタ駆動部,100…洗浄槽,101,121…開口部,102…排液孔,110…閉塞部,120…外槽,RH…ハンド
図1
図2
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図4
図5
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