(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189674
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】母指球で押すハサミ
(51)【国際特許分類】
B26B 13/12 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
B26B13/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021120040
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】518292759
【氏名又は名称】株式会社AT idea
(72)【発明者】
【氏名】田中 昭彦
【テーマコード(参考)】
3C065
【Fターム(参考)】
3C065AA01
3C065AA03
3C065BA01
3C065FA17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】はさみ使用時に、母指通し孔で末節部に力がかかり母指痛が起こり特に母指CM関節に変形が起こり痛みがおこる。
【解決手段】母指側の刃部の支軸に対して対称となる反対側とその延長部に、母指側の刃部の直角方向に、母指末節部から母指球までの掌側部を置くことができる母指置き面4を設け、母指第一関節部背面に接する母指用柄部5を設けたことを特徴とするはさみを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
母指側使用の刃部の支軸に対して対称となる反対側とその延長部に、母指側使用の刃部の直角方向に、母指末節部腹側から母指球掌側部を置くことができる母指置き面を設け、母指第一関節部背面に接する母指用柄を設けたことを特徴とするはさみ。
【請求項2】
母指用柄の基部を母指置き面の両側対称に設けた母指通し孔をもつ請求項1のはさみ。
【請求項3】
母指用柄の基部を指置き面の両側前後に設けた母指通し孔をもつ請求項1のはさみ。
【請求項4】
母指用柄の基部を母指置き面の片側に設けた請求項1のはさみ。
【請求項5】
母指置き面を母指球の表面に合わせて広げ凹凸や湾曲を設けた請求項1のはさみ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はさみ使用時に、物を切るとき母指先から母指球の掌側全体を使用する柄と指通し孔に関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどのはさみの柄は指通し柄であり、はさみの切れ味、使い易さに関する考案は[文献1]は刃部や連結部の工夫や[文献2]では右利き左利きでも使用できるハサミについて述べてある。渉猟しえた範囲では柄と指通し部の形についての文献はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-300154
【特許文献2】特開2006-181036
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
母指先から順に関節名を第1関節、第2関節、第3関節と呼ぶが、整形外科的に母指は第1関節をIP関節、第2関節をMP関節、第3関節をCM関節と呼ばれている。IP関接より遠位を末節部、IP関節とMP関節の間を基節部、MP関節とCM関節の掌側の筋肉のふくらみを母指球と呼ぶ。母指の骨は、末節部には末節骨が、基節部には基節骨が、母指球には中手骨が、その近位には手首の骨の大菱形骨がある。IP関節の屈曲は深指屈筋腱が、PIP関節の屈曲は浅指屈筋腱が、CM関節の屈曲は母指球部の筋肉が主として働く。
【0005】
整形外科領域において、母指先端から3番目の関節で 母指の第1中手骨と大菱形骨との関節の変形性関節症である母指CM関節症は、使い過ぎや加齢で関節症が起こり使用時母指の付け根の痛みを起こす。母指CM関節に変形が起こると、母指で物を把持したりハサミを使用時に痛みが起こり鎮痛剤を内服したり母指のサポーターを使用することが多い。また手指の第1関節で変形が起こるヘバーデン結節は母指にも多く痛みに対して対処が必要である。
【0006】
また、次のような問題点がある。
(イ)一般のはさみの指通し柄に厚みがないとき、孔の内側部が母指の腹側に線状に力がかかり末節部腹側やIP関節の痛みの原因となる。
(ロ)はさみで切るとき、IP関節、MP関節、CM関節は空中にあり不安定な状態となり回旋動作も加わり痛みの原因となる。
(ハ)はさみで切るとき、刃の動きと母指の動きが同一平面上でなく交差するため力のロスが起こり、且つ、各関節にひねり動作が加わり負担がかかる。
本考案は、以上の問題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
母指側使用の刃部(1)の支軸(3)に対して対称となる反対側とその延長部に、母指側使用の刃部(1)の直角方向に、母指末節部(12)腹部から母指球(11)掌側部を置くことができる母指置き面(4)を設け、前記母指置き面(4)の両側または片側に基部をもつ母指用柄部(5)を、母指(10)の第1関節背側部が接する位置に設ける。はさみをひろげるときは母指(10)の第1関節背面で母指用柄部(5)を押し、閉じるときは母指末節部(12)から母指球(11)の掌側全体で母指置き面(4)を押して閉じる。
以上を特徴とする母指置き面(4)と母指用柄(5)をもつはさみである。
【0008】
はさみの柄は一般に指通し孔をもつ指通し柄になっている。本考案では母指置き面(4)上の両側か片側から立ち上がる部位を母指用柄の基部(7)とし母指背面と接する部位を母指用柄(5)としたが、広い意味では母指置き面(4)も含めて柄である。
【発明の効果】
【0009】
厚い紙を切るとき母指(10)に大きな力がかかるが、母指置き面(4)を母指末節部(12)腹部から母指球(11)掌側部の全体で押すと母指置き面(4)で母指(10)の各関節が安定するためと、母指側使用の刃部(1)の動きと母指の動きが同一平面上の動きになるため力のロスがなくなり母指痛が発生しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本考案の母指用柄の基部を母指置き面の左右対称に設けた斜視図。
【
図2】本考案の母指用柄の基部を母指置き面の両側前後に設けた斜視図。
【
図5】本考案の母指用柄の基部を1か所とした斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明実施の形態を説明する。
(イ)母指使用の刃部(1)の支軸(3)に対して対称となる反対側とその延長部に、母指側使用の刃部(1)の直角方向に、母指末節部(12)腹側から母指球(11)掌側部を置くことができる母指置き面(4)を設け
(ロ)前記母指置き面(4)の面上に母指(10)を置いたとき母指第1関節背面部に接し、前記母指置き面(4)に基部をもつ母指用柄(5)を設ける。
本発明は、以上の構成よりなっている。
【0012】
このとき母指用柄の基部(7)には3つの形態がある。
(ハ)母指用柄の基部(7)を母指置き面(4)の両側対称の2か所に設けるときと
(ニ)母指用柄の基部(7)を母指置き面(4)の両側前後に2か所に設けるときと
(ホ)母指用柄の基部(7)を母指置き面(4)の片側1か所に設けるときがある。
(ハ)(ニ)は指通し孔をもち、(ホ)は指通し孔をもたない。
本考案を使用するときは、母指置き面(4)に母指末節部(12)腹側から母指球(11)掌側部全体を置いてはさみを閉じ、母指末節部を持ちあげてはさみを開いて使用する。
【0013】
また、本考案は 母指の各関節の動き自由度が減るため2~5指の動きが必要となり2~5指用の通し孔(9)を大きくしたり、
図2図3のように小指をかける部位を設けると使用し易い。また本考案は、従来のはさみの柄の一方を取り換えるだけで作成できる。
【実施例0014】
本考案の実施例について実施例1と2と3について述べる。