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  • 特開-携帯ロケットストーブ調理器具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189675
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】携帯ロケットストーブ調理器具
(51)【国際特許分類】
   F24B 1/02 20060101AFI20221215BHJP
   F24B 5/02 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
F24B1/02 C
F24B5/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021121020
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】521324481
【氏名又は名称】小峰 智久
(72)【発明者】
【氏名】小峰 智久
(57)【要約】
【課題】従来のロケットストーブを利用した携帯調理器具においては、食材に対し、上下左右満遍なく熱源を供給することが困難である。また、煙突を差し込む煙突の接続部は突起構造となっているため、持ち運び時の破損や煙突接続時の怪我が憂慮される。
【解決手段】調理室2をバーントンネルで包み込むように配置し、さらにバーントンネルの距離が長くなる場合には、調理室2の上部、かつ、バーントンネル内に第2の燃料5bを配置することで、調理室2の上部も高温を保ったバーントンネルを実現する。これにより、調理室2に対して、包み込むように熱源を供給することが出来る。また、煙突接続部4を本体の内部に凹型に配置することで運搬時の破損や怪我を防止する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焚口から供給した第1の木材燃料を燃焼させると共に、バーントンネル内に発生する対流熱を熱源として調理を行う携帯調理器具において、
ヒートライザとして前記携帯調理器具に接続する煙突部と、
前記煙突部と携帯調理器具とを、脱着可能に接続する煙突接続部と、
バーントンネルの下方から上方に向かってバーントンネルで包み込む形状に配置され、何れか一方の面に調理具材を供給するための調理室開口部を備えた調理室と
を備えることを特徴とする携帯ロケットストーブ調理器具
【請求項2】
前記調理室の上方に位置するバーントンネル内に、第2の木材燃料を供給するための、携帯調理器具上部に位置する燃焼室上部開口部と、
前記燃焼室上部開口部を塞ぐ形状、かつ、其の上部に更なる第2の調理器具を配置可能な形状の上部カバーと
を備えることを特徴とする請求項1記載の携帯ロケットストーブ調理器具
【請求項3】
前記煙突接続部は、携帯調理器具の内部方向に形成され、
前記煙突部を、煙突部内側形状に沿った内部壁、煙突部外側形状に沿った外部壁、および煙突部下部を支える底部壁にて前記煙突部を保持して接続する、或いは、前記煙突部を、煙突部外側形状に沿った外部壁、および煙突部下部を支える底部壁にて前記煙突部を保持して接続する
事を特徴とする請求項1乃至請求項2記載の携帯ロケットストーブ調理器具
【請求項4】
前記内部壁、前記外部壁、および前記底部壁は、其の形状を、吸気を通す網形状あるいは止め金具形状とすることを特徴とする請求項3記載の携帯ロケットストーブ調理器具。
【請求項5】
前記携帯ロケットストーブは、ペール缶、一斗缶、またはドラム缶を加工することで形成することを特徴とする請求項1乃至請求項4記載の携帯ロケットストーブ調理器具。
【請求項6】
焚口から供給した第1の木材燃料を燃焼させると共に、バーントンネル内に発生する対流熱を熱源として調理を行う携帯調理器具において、
ヒートライザとして前記携帯調理器具に接続する煙突部と、
前記煙突部と携帯調理器具とを、脱着可能に接続する煙突接続部と、
バーントンネルの下方から上方に向かってバーントンネルで包み込む形状に配置され、何れか一方の面に調理具材を供給するための調理室開口を備えた調理室と
を備えることを特徴とする携帯ロケットストーブ調理方法
【請求項7】
前記煙突接続部は、携帯調理器具の内部方向に形成され、
前記煙突部を、煙突部内側形状に沿った内部壁、煙突部外側形状に沿った外部壁、および煙突部下部を支える底部壁にて前記煙突部を保持して接続する、或いは、前記煙突部を、煙突部外側形状に沿った外部壁、および煙突部下部を支える底部壁にて前記煙突部を保持して接続する
事を特徴とする請求項6記載の携帯ロケットストーブ調理方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材燃料を燃焼させた時の熱源を利用して調理を行うための調理器具、特に、携帯用として持ち運びの容易なロケットストーブ型調理器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ロケットストーブの原理を用いた調理器具は存在する。例えば、熱源としてのバーントンネルを、食材が内在する調理室の周りに水平方向に配置したり、上部、或いは下部に配置することで食材を調理する調理器具である。
【0003】
また、キャンプなどで、ロケットストーブ型調理器具を携帯する場合には煙突部分、足部分などをコンパクトに折りたたんで収納或いは脱着可能な状態として携帯することができる製品も多く存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、バーントンネルを、食材の入った調理室の周りに水平方向に配置したり、上部、或いは下部に配置する方法では食材の入った調理室の側面、上面、或いは下面のいずれか一方を熱することで調理を行っているため、食材によっては、まんべんなく火を通すことができないといった課題があった。
【0005】
また、キャンプなどで、ロケットストーブ型調理器具を携帯した場合には理論上、煙突部分は必須の部品である為、現地で調理器具本体から突起した接続部分に煙突を差し込む必要があるが、突起形状ゆえに、運搬途中での損傷や運搬の煩雑さに加え、怪我の原因にもなるといった課題があった。
【0006】
上記に鑑み、本発明では、焚口から供給した第1の木材燃料を燃焼させると共に、バーントンネル内に発生する対流熱を熱源として調理を行う携帯調理器具において、ヒートライザとして携帯調理器具に接続する煙突部と、煙突部と携帯調理器具とを、脱着可能に接続する煙突接続部と、バーントンネルの下方から上方に向かってバーントンネルで包み込む形状に配置され、何れか一方の面に調理具材を供給するための調理室開口を備えた調理室とを備えることで食材にまんべんなく火を通す調理器具を提供する。
【0007】
また、煙突接続部は、携帯調理器具の内部方向に形成され、煙突部を、煙突部内側形状に沿った内部壁、煙突部外側形状に沿った外部壁、および煙突部下部を支える底部壁にて前記煙突部を保持して接続することで、突起構造を採用しない方法にて煙突を接続することが可能となり、携帯時や安全面での問題が大幅に改善される。さらにまた、内部壁、前記外部壁、および前記底部壁は、其の形状を、吸気を通す網形状とすることでヒートライザとしての煙突部への吸気が促進され2次燃焼効率を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記に鑑み、本発明は請求項1~5を提供することで、食材に対して四方より満遍なく熱源を提供するとともに、携帯時の損傷を軽減し、安全に煙突部を接続する方法と2次燃焼効率を高める携帯ロケットストーブ調理器具を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の携帯ロケットストーブ調理器具の一実施例を示す図である。
図2】本発明の煙突接続部の一実施例を示す図である。
図3】本発明の煙突接続部の他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について、図面を使って詳細に説明する。
【実施例0011】
図1は本発明における携帯ロケットストーブ調理器具の一実施例である。図1にて、1は燃焼室、1aは燃焼室焚口、1bは燃焼室上部開口部、2は調理室、2aは調理室開口部、3は煙突、4は煙突接続部、5aと5bは燃料、6が上部カバー、および、7が本体である。
【0012】
燃焼室1では、燃焼室焚口1aから供給された燃料5aを燃焼させることで、図中の矢印で示すような空気の流れが発生する。
【0013】
すなわち、本体7の外部の空気が燃焼室焚口1aから吸気され、燃料5aの燃焼により熱せられ、調理室開閉部2aから供給された調理具材を内包する調理室2の底面に沿うように燃焼室焚口1aとは逆方向となる燃焼室1の奥へと流れ込む。さらに、この対流は燃焼室1の奥へ到達すると調理室2の側面に沿うように上昇し、さらにまた、この対流が燃焼室1の上部に達すると調理室2の上面に沿うように煙突接続部4の方向に流れる。
【0014】
最後に、この熱せられた空気は、煙突接続部4を介して接続された煙突3の内部へと流れこみ、煙突効果による上昇気流となって煙突3の上部より排気される。この過程においては、燃料5aの一次燃焼時に木ガスが発生し、この木ガスが煙突内部にて二次燃焼されることで、煙突上部から排出される煙の量を大幅に軽減させることができる。
【0015】
このようにして、燃焼室1内部の燃料5aから煙突接続部4までをロケットストーブのバーントンネルとして、また、煙突3をロケットストーブのヒートライザとして利用することで、調理室2を包み込むような形状にて調理室2に熱源を供給することで本発明のロケットストーブ調理器具を実現している。
【0016】
また、バーントンネルとしての『燃焼室1内部の燃料5aから煙突接続部4まで』の距離によっては、その過程で火力が弱くなる場合もある。この対応としは、調理室2の上層の位置に、本体7の燃焼室上部開口部1bを設け、燃焼室上部開口部1bを介して直接、燃焼中の燃料5bを調理室2の上部に配置する。さらに、上部カバー6により燃焼室上部開口部1bを塞ぐことで、バーントンネル内部の温度を上げると共に、調理室2の上面温度の上昇を促すことができる。
【0017】
上部カバー6は、其の上に更なる調理器具、例えば、やかんや、フライパンなどの調理器具を載せることで、上部カバー6を熱源とした調理にも対応可能となる。
【0018】
図1に示した実施例においては、煙突の形状を円筒形としているが、勿論他の形状、例えば、上部から見た形状が正方形を含む長方形形状、あるいは多角形形状とすることも可能である。
【実施例0019】
図2は本発明における煙突接続部の一実施例である。
【0020】
図2にて、3は煙突、4aは内部壁、4bは外部壁、4cは底部壁、4は本発明の煙突接続部、7は本体である。
【0021】
内部壁4a、外部壁4b、および底部壁4cから構成される煙突接続部4は、本体7の内側、すなわち燃焼室側に凹の構造となっている。
【0022】
本体7の上部より煙突3が煙突接続部4を介して本体7に接続されるときには、煙突3の下部の外壁が外部壁4b、煙突3の下部の内壁が内部壁4a、そして煙突3の底が底部壁4cとにより包み込まれるようにして保持されることで、煙突3を本体7に差し込む構造となっている。
【0023】
このように、煙突接続部4が本体7の内側に存在するため、本発明の携帯ロケットストーブ調理器具を持ち運ぶ際、周囲物との接触による破損や怪我のリスクを大幅に改善することができる。
【実施例0024】
図3は本発明における煙突接続部の第2の実施例である。
【0025】
図3にて、3は煙突、4aは内部壁、4bは外部壁、4cは底部壁、4は本発明の煙突接続部、7は本体である。
【0026】
図3の煙突接続部4において、図2に示した煙突接続部4との違いは、底部壁4cを空気を通しやすい網目形状とし、さらに、外部壁4bと内部壁4aとの間隔をあけた構造としたものである。
【0027】
外部の空気は、外部壁4bと煙突3の外部壁との隙間を通り、さらに、底部壁4cを抜けて、煙突3の内部壁と内部壁4aとの隙間を介して煙突3の内部に流れ込む構造となっている。これにより、煙突3の内部に周辺の外部空気を送り込むことが可能となり、燃焼効率を改善し、二次燃焼を促進することが可能となる。
【0028】
図3に示した煙突接続部4では、底部壁4cを網目形状としたが、勿論、外壁部4b、内部壁4aを網形状として構成することも可能である。
【実施例0029】
図4は、本発明における煙突接続部の第3の実施例である。
【0030】
図4の煙突接続部4においては、図2に示した内部壁4a、外部壁4b、および底部壁4cを止め金具4eに置き換えた構成となっている。止め金具4eを3つ、等間隔で配置し煙突3を保持するように構成されている。この場合においても、図3のときと同様に外部の空気を、止め金具4eと煙突3、或いは開口部4dと煙突3との隙間から吸気することで煙突3内の2次燃焼を促進することが可能である。勿論、止め金具4eは任意の数で煙突3を保持するように構成することも可能である。
【0031】
このようにして、調理室をバーントンネルで包み込むように構成することで、調理室を調理室の開口部以外の上下左右の方向から熱源を供給することができる。また、煙突接続部を本体内部に配置した構造により、本体持ち運び時の破損や怪我を大幅に軽減させることができる。
【0032】
図1に示した本発明の携帯ロケットストーブ調理器具では調理室開口部を焚口側に設置した構造として説明したが、勿論、焚口とは水平方向に90度ずらした方向に調理室開口部を設けることも可能である。
【0033】
また、図2に示した煙突接続部4では煙突接続部4の内部壁4aを構成に含めているが、煙突3の径と外部壁4bの径が密着するように構成した場合、煙突接続部4の内部壁4aは不要とした構成も可能となる。このような構成にした場合においても煙突は煙突接続部によって十分保持されるため、グラつきを抑えることが可能である。
【0034】
さらにまた、既存資源を有効に活用するために、ペール缶、一斗缶、あるいはドラム缶などの比較的市場から入手し易い形状物を利用して本発明を実施するなど、様々な改変が可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 燃焼室
1a 燃焼室焚口
1b 燃焼室上部開口部
2 調理室
2a 調理室開口部
3 煙突
4 煙突接続部
4a 外部壁
4b 内部壁
4c 底部壁
4d 開口部
4e 止め金具
5a、5b 燃料
6 上部カバー
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-09-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
図1】本発明の携帯ロケットストーブ調理器具の一実施例を示す図である。
図2】本発明の煙突接続部の第1の実施例を示す図である。
図3】本発明の煙突接続部の第2の実施例を示す図である。
図4】本発明の煙突接続部の第3の実施例を示す図である。