(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189677
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】快速吸着型バイオマス系多種重金属イオン用吸着材料およびその製造方法ならびに応用
(51)【国際特許分類】
B01J 20/26 20060101AFI20221215BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20221215BHJP
C02F 1/28 20060101ALI20221215BHJP
C08G 81/00 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
B01J20/26 E
B01J20/30
C02F1/28 B
C02F1/28 J
C08G81/00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131021
(22)【出願日】2021-08-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-02
(31)【優先権主張番号】202110649368.0
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520208111
【氏名又は名称】▲広▼西大学
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(74)【代理人】
【識別番号】100184631
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 隆
(72)【発明者】
【氏名】チュー ホンシアン
(72)【発明者】
【氏名】ホー ホイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン レイ
(72)【発明者】
【氏名】シュエ フェイ
(72)【発明者】
【氏名】レイ シエンリン
【テーマコード(参考)】
4D624
4G066
4J031
【Fターム(参考)】
4D624AA04
4D624AB16
4D624BA16
4G066AB07A
4G066AB12A
4G066AC02A
4G066AC02C
4G066AC07A
4G066AC07C
4G066AC21A
4G066AC26B
4G066AC27A
4G066AC31A
4G066AC33B
4G066AC35B
4G066BA36
4G066CA46
4G066CA50
4G066DA08
4G066FA03
4G066FA17
4G066FA21
4G066FA33
4G066FA34
4G066FA37
4G066FA38
4G066FA40
4J031AA49
4J031AA57
4J031AA58
4J031AB04
4J031AC07
4J031AD03
4J031AE17
4J031AF16
4J031AF30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料およびその製造方法ならびに応用を提供する。
【解決手段】バイオマス原料を基質とし、N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマーを機能試薬とし、1ステップ快速架橋法を採用して多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料を製造する。超分岐ポリマーは2種類以上の異なる重金属イオン吸着サイト(N、S、Oなどの元素を含む)を有する。製造した材料は水中の複数種の重金属イオンに対して優れた吸着性能を有し、10min以内に同期して低濃度の複数種の重金属イオン(Cr6+、Cu2+、Pd2+)を迅速かつ完全に除去することができ、処理後、水中に残留する重金属イオンはない。再生性能は安定しており、50回再生を経た後、材料再生率は依然として96%以上である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス原料を基質とし、N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマーを機能試薬とし、1ステップ快速架橋法を採用して製造され、
前記N、O、Sのキレート原子を含む超分岐ポリマーは超分岐ポリアミン、超分岐ポリカルボン酸と超分岐ポリチオ尿素がアミド化反応によって合成されたものであり、N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマー上のN含有基は第一級アミノ基、第二級アミノ基と第三級アミノ基であり、O含有基はカルボキシル基であり、S含有基はC-SおよびC=Sである多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料。
【請求項2】
前記バイオマス原料は、微結晶セルロース、ナノセルロース、パルプ繊維、バガス、わら、ピーナッツ殻またはトウモロコシ穂軸である請求項1に記載の多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料。
【請求項3】
N、O、Sのキレート原子を含む超分岐ポリマーは超分岐ポリアミン、超分岐ポリカルボン酸と超分岐ポリチオ尿素がアミド化反応によって製造されたものであり、N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマー上のN含有基は第一級アミノ基、第二級アミノ基と第三級アミノ基であり、O含有基はカルボキシル基であり、S含有基はC-SおよびC=Sであり、具体的な反応として、超分岐ポリカルボン酸のカルボキシル基はそれぞれ超分岐ポリアミンと超分岐ポリチオ尿素の第一級アミノ基と反応させ、超分岐ポリカルボン酸が化学結合により超分岐ポリアミンと超分岐ポリチオ尿素に連結された、N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマーを形成し、N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマー上のN含有基:O含有基:S含有基のモル比を5:3:2~5:1:1に制御し、具体的には超分岐ポリアミンと超分岐ポリチオ尿素を低温0℃で均一に混合した後、超分岐ポリカルボン酸を加え、ここでは、超分岐ポリアミン、超分岐ポリチオ尿素と超分岐ポリカルボン酸の質量比は1:1:2~5:1:10であり、続いて60℃で2h反応させ、100℃で2h反応する手順で昇温して反応を完了し、反応が終了して自然冷却した後にN、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマーを得るステップS1と、
アルカリ溶液を利用してバイオマス原料にアルカリ処理を行い、さらにステップS1で製造したN、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマーと均一に混合し、マイクロ波を用いて超分岐ポリマーのバイオマス原料内の浸透性を補強し、さらに撹拌条件で架橋剤であるエピクロロヒドリンを加え、ここでは、バイオマス原料、N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマー、エピクロロヒドリンの質量比は1:1:1~1:50:100であり、反応系を完全に固体粒子に転化させることで、多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料が得られ、該材料中のN含有基:O含有基:S含有基のモル比は5:3:2~5:1:1であり、かつ、N含有基、O含有基およびS含有基の総密度は12mmol/gより高いステップS2とを含む多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料の製造方法。
【請求項4】
前記超分岐ポリカルボン酸の製造において、具体的には、トリメチロールプロパン、クエン酸とp-トルエンスルホン酸を混合して135℃の撹拌条件で1.5h反応させ、超分岐ポリカルボン酸を得て、前記トリメチロールプロパンとクエン酸のモル比は1:4であり、p-トルエンスルホン酸の添加質量はトリメチロールプロパンとクエン酸の合計質量の1.5wt%である請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記超分岐ポリアミンの製造において、具体的には、テトラエチレンペンタミンとメチルアクリレートをモル比2:1で混合し、かつ0℃の撹拌条件で20h反応させ、反応系を70℃に昇温し、2h撹拌反応させ、反応系を100℃に昇温し、2h撹拌反応させ、反応系を140℃に昇温し、2h撹拌反応させ、反応後の生成物は超分岐ポリアミンである請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
前記超分岐ポリチオ尿素の製造において、具体的には、ジアリルアミン、エピクロロヒドリと水をジアリルアミン:エピクロロヒドリ:水のモル:モル:体積0.25:0.27:25mLで混合した後、0℃で5h撹拌し、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、続いて無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、真空下で溶媒と余分なエピクロロヒドリを除去し、得られた無色溶液をメタノールに溶解した後、ジアリルアミンとチオシアン酸カリウムのモル比5:6に従ってチオシアン化カリウムを加え、9h反応させ、反応液を室温に戻した後、塩類を除去し、濃縮し、続いて酢酸エチルで希釈し、さらに水洗し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し、減圧蒸留により1-(2-ヒドロキシ-3-ジアリルアミノ)プロピルイソチオシアネートエステルを得て、トリス(2-アミノエチル)アミンと1-(2-ヒドロキシ-3-ジアリルアミノ)プロピルイソチオシアナートを質量比1.15:5.65で混合した後、0℃で15min撹拌し、さらに60℃で8h以上撹拌し、反応液を減圧蒸留して余分な1-(2-ヒドロキシ-3-ジアリルアミノ)プロピルイソチオシアナートを除去した後、得られた無色油状液体をA-G1と記し、A-G1、シシステアミン塩酸塩とジメトキシベンゾインを質量比0.5:4.4:0.2で混合し、メタノールを加え、溶液をアルゴンで15バブリングした後、室温で365nmの紫外光を2h照射し、トリエチルアミンを加え、ここでは、A-G1:メタノール:トリエチルアミンの質量:体積:体積は0.5g:5mL:10mLであり、30min撹拌し、回転蒸発してメタノールと余分なトリエチルアミンを除去し、脱イオン水を加え、ジエチルエーテルで洗浄し、水溶液を透析、凍結乾燥した後に、得られた淡黄色生成物は、超分岐ポリチオ尿素である請求項3に記載の製造方法。
【請求項7】
ステップS2において、前記アルカリ溶液は、質量分率が5wt%である水酸化ナトリウム水溶液であり、前記バイオマス原料とアルカリ溶液の質量:体積は1g:20mLである請求項3に記載の製造方法。
【請求項8】
ステップS2において、前記マイクロ波のパワーは1~1000Wであり、マイクロ波の触媒時間は1~120minである請求項3に記載の製造方法。
【請求項9】
前記バイオマス原料は、微結晶セルロース、ナノセルロース、パルプ繊維、バガス、わら、ピーナッツ殻またはトウモロコシ穂軸である請求項3に記載の製造方法。
【請求項10】
材料は水中の複数種の重金属イオンに対して優れた吸着性能を有し、10min以内に同期して低濃度の複数種の重金属イオンを迅速かつ完全に除去することができ、処理後、水中に残留する重金属イオンがない請求項1または2に記載の多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料または請求項3~9のいずれか一項に記載の製造方法で製造された多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料の水中の多種重金属イオンに対する吸着における応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は繊維改質の分野に属し、具体的には多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料およびその製造方法ならびに応用に関する。
【背景技術】
【0002】
現代工業の高速発展に伴い、大量の採鉱、冶金、電気メッキ、皮革などの工業が構築されており、必ず大量の重金属が工業廃水または工業廃棄物などの経路によって人類の日常生活に流入し、人体に対して不可逆的な損傷を引き起こす。そのため、多くの重金属イオン処理方法が研究者によって開発され、よく見られる重金属イオン処理方法として、化学沈殿、電気化学法、イオン交換法、吸着法があげられる。吸着法は操作が簡単で、重金属イオンを含む廃水を大規模に処理しやすく、広く注目されており、よく見られる吸着剤の種類は、炭素類、合成高分子系、MOFs類、ミネラル類、天然高分子系がある。合成高分子系吸着材料は、官能基を多量に含有し、吸着容量が大きく、除去率が高いことから、研究者の注目を集めている。しかし、合成高分子系着材料は、通常硬質固体であるため、材料内部には同様に多量の官能基が含まれ、溶液中の目的重金属イオンと効果的に接触することができないため、材料の官能基利用率が低い。同時に合成高分子系吸着材料は通常自然界で分解しにくく、深刻な二次汚染を引き起こしやすい。そのため、バイオマスを基質として選択し、その表面を改質し、製造されたバイオマス吸着材料は表面官能基密度が大きく、比表面が大きい特徴を有し、吸着官能基と目的重金属イオンの効果的な接触を効果的に促進する。また、製造されたバイオマス系重金属イオン吸着材は分解可能な特性を有し、環境に二次汚染を与えにくい。従来のバイオマス表面グラフトの官能基は一般に1種類または1種類の官能基しかなく、水中の重金属イオンを有効に吸着することができるが、1種類または同じ電荷性質を有する重金属イオンしか処理できず、水中に存在する複数種の性質の重金属イオンを同時に処理することは困難である。また、吸着剤表面に固定化された重金属イオンの多くは、吸着剤上の官能基と化学結合の形で反応させて化学結合を生成するため、脱着過程で大量のエネルギーを消費する必要がある。したがって、分解可能なバイオマスを基質とした、水中の複数種の重金属イオンを同時に吸着することができ、かつ低エネルギー消費で重金属イオンの脱着再利用を実現可能なものを設計することは、特に重要になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来技術におけるバイオマス系重金属吸着材料に存在する欠陥に対して、本発明は多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料およびその製造方法を提供し、該材料は水中の複数種の重金属イオンに対して優れた吸着性能を有し、10min以内に同期して低濃度の複数種の重金属イオン(Cr6+、Cu2+、Pd2+)を迅速かつ完全に除去することができ、処理後、水中に残留する重金属イオンはなく、しかも、再生性能が安定している。
【0004】
本発明の目的は多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料を提供することである。
【0005】
本発明の他の目的は、上記多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料の製造方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、上記多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料の応用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は以下の技術的解決手段によって実現される。
多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料であって、バイオマス原料を基質とし、N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマーを機能試薬とし、1ステップ快速架橋法を採用して製造され、
前記N、O、Sのキレート原子を含む超分岐ポリマーは超分岐ポリアミン、超分岐ポリカルボン酸と超分岐ポリチオ尿素がアミド化反応によって合成されたものであり、N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマー上のN含有基は第一級アミノ基、第二級アミノ基と第三級アミノ基であり、O含有基はカルボキシル基であり、S含有基はC-SおよびC=Sである。
【0007】
好ましくは、前記バイオマス原料は、微結晶セルロース、ナノセルロース、パルプ繊維、バガス、わら、ピーナッツ殻またはトウモロコシ穂軸である。
【0008】
上記多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料の製造方法は、
N、O、Sのキレート原子を含む超分岐ポリマーは超分岐ポリアミン、超分岐ポリカルボン酸と超分岐ポリチオ尿素がアミド化反応によって製造されたものであり、N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマー上のN含有基は第一級アミノ基、第二級アミノ基と第三級アミノ基であり、O含有基はカルボキシル基であり、S含有基はC-SおよびC=Sであり、具体的な反応として、超分岐ポリカルボン酸のカルボキシル基はそれぞれ超分岐ポリアミンと超分岐ポリチオ尿素の第一級アミノ基と反応させ、超分岐ポリカルボン酸が化学結合により超分岐ポリアミンと超分岐ポリチオ尿素に連結された、N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマーを形成し、N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマー上のN含有基:O含有基:S含有基のモル比を5:3:2~5:1:1に制御し、具体的には超分岐ポリアミンと超分岐ポリチオ尿素を低温0℃で均一に混合した後、超分岐ポリカルボン酸を加え、ここでは、超分岐ポリアミン、超分岐ポリチオ尿素と超分岐ポリカルボン酸の質量比は1:1:2~5:1:10であり、続いて60℃で2h反応させ、100℃で2h反応する手順で昇温して反応を完了し、反応が終了して自然冷却した後にN、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマーを得るステップS1と、
アルカリ溶液を利用してバイオマス原料にアルカリ処理を行い、さらにステップS1で製造したN、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマーと均一に混合し、マイクロ波を用いて超分岐ポリマーのバイオマス原料内の浸透性を補強し、さらに撹拌条件で架橋剤であるエピクロロヒドリンを加え、ここでは、バイオマス原料、N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマー、エピクロロヒドリンの質量比は1:1:1~1:50:100であり、反応系を完全に固体粒子に転化させることで、多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料が得られ、該材料中のN含有基:O含有基:S含有基のモル比は5:3:2~5:1:1であり、かつ、N含有基、O含有基およびS含有基の総密度は12mmol/gより高いステップS2とを含む。
【0009】
好ましくは、前記超分岐ポリカルボン酸の製造において、具体的には、トリメチロールプロパン、クエン酸とp-トルエンスルホン酸を混合して135℃の撹拌条件で1.5h反応させ、超分岐ポリカルボン酸を得て、前記トリメチロールプロパンとクエン酸のモル比は1:4であり、p-トルエンスルホン酸の添加質量はトリメチロールプロパンとクエン酸の合計質量の1.5wt%である。
【0010】
好ましくは、前記超分岐ポリアミンの製造において、具体的には、テトラエチレンペンタミンとメチルアクリレートをモル比2:1で混合し、かつ0℃の撹拌条件で20h反応させ、反応系を70℃に昇温し、2h撹拌反応させ、反応系を100℃に昇温し、2h撹拌反応させ、反応系を140℃に昇温し、2h撹拌反応させ、反応後の生成物は超分岐ポリアミンである。
【0011】
好ましくは、前記超分岐ポリチオ尿素の製造において、具体的には、ジアリルアミン、エピクロロヒドリと水をジアリルアミン:エピクロロヒドリ:水のモル:モル:体積0.25:0.27:25mLで混合した後、0℃で5h撹拌し、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、続いて無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、真空下で溶媒と余分なエピクロロヒドリを除去し、得られた無色溶液をメタノールに溶解した後、ジアリルアミンとチオシアン酸カリウムのモル比5:6に従ってチオシアン化カリウムを加え、9h反応させ、反応液を室温に戻した後、塩類を除去し、濃縮し、続いて酢酸エチルで希釈し、さらに水洗し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し、減圧蒸留により1-(2-ヒドロキシ-3-ジアリルアミノ)プロピルイソチオシアネートエステルを得て、トリス(2-アミノエチル)アミンと1-(2-ヒドロキシ-3-ジアリルアミノ)プロピルイソチオシアナートを質量比1.15:5.65で混合した後、0℃で15min撹拌し、さらに60℃で8h以上撹拌し、反応液を減圧蒸留して余分な1-(2-ヒドロキシ-3-ジアリルアミノ)プロピルイソチオシアナートを除去した後、得られた無色油状液体をA-G1と記し、A-G1、シシステアミン塩酸塩とジメトキシベンゾインを質量比0.5:4.4:0.2で混合し、メタノールを加え、溶液をアルゴンで15バブリングした後、室温で365nmの紫外光を2h照射し、トリエチルアミンを加え、ここでは、A-G1:メタノール:トリエチルアミンの質量:体積:体積は0.5g:5mL:10mLであり、30min撹拌し、回転蒸発してメタノールと余分なトリエチルアミンを除去し、脱イオン水を加え、ジエチルエーテルで洗浄し、水溶液を透析、凍結乾燥した後に、得られた淡黄色生成物は、超分岐ポリチオ尿素である。
【0012】
好ましくは、ステップS2において、前記アルカリ溶液は、質量分率が5wt%である水酸化ナトリウム水溶液であり、前記バイオマス原料とアルカリ溶液の質量:体積は1g:20mLである。
【0013】
好ましくは、ステップS2において、前記マイクロ波のパワーは1~1000Wであり、マイクロ波の触媒時間は1~120minである。
【0014】
本発明で製造した多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料は水中の複数種の重金属イオンへの吸着に応用することができ、該材料は水中の複数種の重金属イオンに対して優れた吸着性能を有し、10min以内に同期して低濃度の複数種の重金属イオン(Cr6+、Cu2+、Pd2+)を迅速かつ完全に除去することができ、処理後、水中に残留する重金属イオンはない。再生性能は安定しており、50回再生を経た後、材料再生率は依然として96%以上である。
【0015】
従来の技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を有する:
1)本発明は1ステップ快速架橋法によって、材料中に必要な官能基密度を制御可能に導入することができ、すなわち官能基密度は制御可能であり、かつ超分岐ポリアミン、超分岐ポリカルボン酸と超分岐ポリチオ尿素の導入割合と導入量を制御することによって、材料の高い官能基密度を実現し、多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料のN含有基:O含有基:S含有基のモル比を5:3:2~5:1:1に制御し、N含有基、O含有基およびS含有基の総密度は12mmol/gより高い。高い官能基密度は材料の重金属イオンに対する高い除去率の保証であり、したがって、本発明で製造した材料の複数種の重金属イオン(Cr6+、Cu2+、Pd2+)に対する除去率は100%に達することができ、処理後、水中に残留する重金属イオンがない。また、材料の表面は、複数種の官能基(N含有基、O含有基およびS含有基)を有するので、材料は、水中の複数種の重金属イオン(Cr6+、Cu2+、Pd2+など、正電荷および負電荷の異なる電荷を有する)に対して同期て除去することを達成することができる。
2)本発明が製造した多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料は超分岐構造を有し、重金属イオンの分子内と分子間での拡散質量移動に有利であり、さらに材料の複数種の重金属イオンに対する吸着速度を促進し、10min以内に同期して低濃度の多種の重金属イオン(Cr6+、Cu2+、Pd2+)を迅速かつ完全に除去することができ、処理後、水中に残留する重金属イオンがない。
3)本発明が開発した快速架橋方法は、その原理はバイオマス原料の水酸基と機能試薬のアミノ基を架橋することであり、汎用性を有し、マルチバイオマス基質、例えば微結晶セルロース、ナノセルロース、パルプ繊維、バガス、わら、ピーナッツ殻またはトウモロコシ穂軸などに適用することができる。それは架橋剤の添加量を制御することによって、反応系を固体吸着材料に完全に転換させ、反応試薬の転化率(100%)を向上させ、各機能基の割合を有効に調整することができ、さらに材料の複数種の重金属イオンに対する吸着性能を調整する。
4)本発明はバイオマスセルロース材料を基質とし、製造過程は1ステップ快速架橋法によって実現され、製造された多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料は、従来のセルロース系重金属吸着材料に比べて、表面官能基密度が大きく、種類が多いなどの特徴を有し、性能において本発明の多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料は従来のセルロース系重金属吸着に比べて、除去率が高く、吸着容量が大きく、吸着速度が速く、再生性能がよく、吸着重金属イオンの種類が多く、回収が簡単であり、解析が容易であるなどの利点を有する。
5)本発明で製造した多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料は複数のN、O、S吸着サイトを含み、Cr6+、Cu2+、Pd2+に対して非常に強い吸着能力を有し、また、N、O、Sの官能基の総密度は12mmol/gより高いので、材料は同期して複数種の重金属イオンを完全に除去することができ、除去率は100%である。
6)本発明はバイオマスセルロースを基材とし、再生可能で生物分解可能である。
7)本発明で製造した材料は水中の重金属イオンに対して吸着容量が360mg/g以上に達し、除去率は100%に達することができる。
8)架橋剤は化学結合によって超分岐ポリマーを繊維の表面に固定しているため、材料の再生安定性がよく、50回再生した後も再生率は依然として96%以上に達することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明を限定するものと解釈すべきではない。本発明の精神および本質から逸脱することなく、本発明の方法、ステップまたは条件の簡単な置換は、本発明の範囲内にある。具体的に説明しない限り、実施例で使用される技術的手段は、当業者に周知の従来の手段である。
【0017】
特に明記しない限り、本発明で使用される原料、試薬、方法および装置は、当該技術分野における従来の試薬、方法および装置である。特に明記されていない限り、以下の実施例に用いる試薬及び材料は市販のものである。
【0018】
以下の実施例で使用した超分岐ポリクロサン酸、超分岐ポリアミン及び超分岐ポリチオ尿素は、以下の製造方法により製造した。
【0019】
好ましくは、前記超分岐ポリカルボン酸の製造において、具体的には、トリメチロールプロパン、クエン酸とp-トルエンスルホン酸を混合して135℃の撹拌条件で1.5h反応させ、超分岐ポリカルボン酸を得て、前記トリメチロールプロパンとクエン酸のモル比は1:4であり、p-トルエンスルホン酸の添加質量はトリメチロールプロパンとクエン酸の合計質量の1.5wt%である。
【0020】
前記超分岐ポリアミンの製造において、具体的には、テトラエチレンペンタミンとメチルアクリレートをモル比2:1で混合し、かつ0℃の撹拌条件で20h反応させ、反応系を70℃に昇温し、2h撹拌反応させ、反応系を100℃に昇温し、2h撹拌反応させ、反応系を140℃に昇温し、2h撹拌反応させ、反応後の生成物は超分岐ポリアミンである。
【0021】
前記超分岐ポリチオ尿素の製造において、具体的には、ジアリルアミン、エピクロロヒドリと水をジアリルアミン:エピクロロヒドリ:水のモル:モル:体積0.25:0.27:25mLで混合した後、0℃で5h撹拌し、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、続いて無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、真空下で溶媒と余分なエピクロロヒドリを除去し、得られた無色溶液をメタノールに溶解した後、ジアリルアミンとチオシアン酸カリウムのモル比5:6に従ってチオシアン化カリウムを加え、9h反応させ、反応液を室温に戻した後、塩類を除去し、濃縮し、続いて酢酸エチルで希釈し、さらに水洗し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し、減圧蒸留により1-(2-ヒドロキシ-3-ジアリルアミノ)プロピルイソチオシアネートエステルを得て、トリス(2-アミノエチル)アミンと1-(2-ヒドロキシ-3-ジアリルアミノ)プロピルイソチオシアナートを質量比1.15:5.65で混合した後、0℃で15min撹拌し、さらに60℃で8h以上撹拌し、反応液を減圧蒸留して余分な1-(2-ヒドロキシ-3-ジアリルアミノ)プロピルイソチオシアナートを除去した後、得られた無色油状液体をA-G1と記し、A-G1、シシステアミン塩酸塩とジメトキシベンゾインを質量比0.5:4.4:0.2で混合し、メタノールを加え、溶液をアルゴンで15バブリングした後、室温で365nmの紫外光を2h照射し、トリエチルアミンを加え、ここでは、A-G1:メタノール:トリエチルアミンの質量:体積:体積は0.5g:5mL:10mLであり、30min撹拌し、回転蒸発してメタノールと余分なトリエチルアミンを除去し、脱イオン水を加え、ジエチルエーテルで洗浄し、水溶液を透析、凍結乾燥した後に、得られた淡黄色生成物は、超分岐ポリチオ尿素である。
【0022】
実施例1:多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料の製造
(1)超分岐ポリアミンと超分岐ポリチオ尿素を低温0℃で均一に混合した後、超分岐ポリカルボン酸を加え、ここでは、超分岐ポリアミン、超分岐ポリチオ尿素と超分岐ポリカルボン酸の質量比は1:1:2であり、続いて60℃で2h反応させ、100℃で2h反応する手順で昇温して反応を完了し、反応が終了して自然冷却した後にN、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマーを得る。N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマー上のN基は第一級アミノ基、第二級アミノ基と第三級アミノ基であり、O含有基はカルボキシル基であり、S含有基はC-SおよびC=Sであり、N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマー上のN含有基:O含有基:S含有基のモル比は5:1:1である。
(2)20mLの5wt%水酸化ナトリウム水溶液で1gの微結晶セルロースにアルカリ処理を行い、さらにステップ(1)で製造したN、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマーと均一に混合し、マイクロ波を用いて超分岐ポリマーのバイオマス原料内の浸透性を補強し、マイクロ波パワーは1Wであり、マイクロ波触媒時間は120minであり、さらに撹拌条件下で、さらに撹拌条件で架橋剤であるエピクロロヒドリンを加え、ここでは、微結晶セルロース、N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマー、エピクロロヒドリンの質量比は1:1:1であり、反応系を完全に固体粒子に転化させることで、多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料を得る。材料中のN含有基:O含有基:S含有基のモル比は5:1:1であり、N含有基、O含有基およびS含有基の総密度は12mmol/gより高い。
【0023】
実施例2:多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料の製造
(1)超分岐ポリアミンと超分岐ポリチオ尿素を低温0℃で均一に混合した後、超分岐ポリカルボン酸を加え、ここでは、超分岐ポリアミン、超分岐ポリチオ尿素と超分岐ポリカルボン酸の質量比は5:1:10であり、続いて60℃で2h反応させ、100℃で2h反応する手順で昇温して反応を完了し、反応が終了して自然冷却した後にN、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマーを得る。N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマー上のN基は第一級アミノ基、第二級アミノ基と第三級アミノ基であり、O含有基はカルボキシル基であり、S含有基はC-SおよびC=Sであり、N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマー上のN含有基:O含有基:S含有基のモル比は5:3:2である。
(2)20mLの5wt%水酸化ナトリウム水溶液で1gのバガスにアルカリ処理を行い、さらにステップ(1)で製造したN、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマーと均一に混合し、マイクロ波を用いて超分岐ポリマーのバイオマス原料内の浸透性を補強し、マイクロ波パワーは1000Wであり、マイクロ波触媒時間は1minであり、さらに撹拌条件下で、さらに撹拌条件で架橋剤であるエピクロロヒドリンを加え、ここでは、バガス、N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマー、エピクロロヒドリンの質量比は1:50:100であり、反応系を完全に固体粒子に転化させることで、多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料を得る。材料中のN含有基:O含有基:S含有基のモル比は5:3:2であり、N含有基、O含有基およびS含有基の総密度は12mmol/gより高い。
【0024】
実施例3:多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料の製造
(1)超分岐ポリアミンと超分岐ポリチオ尿素を低温0℃で均一に混合した後、超分岐ポリカルボン酸を加え、ここでは、超分岐ポリアミン、超分岐ポリチオ尿素と超分岐ポリカルボン酸の質量比は2:1:4であり、続いて60℃で2h反応させ、100℃で2h反応する手順で昇温して反応を完了し、反応が終了して自然冷却した後にN、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマーを得る。N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマー上のN基は第一級アミノ基、第二級アミノ基と第三級アミノ基であり、O含有基はカルボキシル基であり、S含有基はC-SおよびC=Sであり、N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマー上のN含有基:O含有基:S含有基のモル比は5:2:2である。
(2)20mLの5wt%水酸化ナトリウム水溶液で1gのトウモロコシ穂軸にアルカリ処理を行い、さらにステップ(1)で製造したN、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマーと均一に混合し、マイクロ波を用いて超分岐ポリマーのバイオマス原料内の浸透性を補強し、マイクロ波パワーは500Wであり、マイクロ波触媒時間は60minであり、さらに撹拌条件下で、さらに撹拌条件で架橋剤であるエピクロロヒドリンを加え、ここでは、トウモロコシ穂軸、N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマー、エピクロロヒドリンの質量比は1:25:50であり、反応系を完全に固体粒子に転化させることで、多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料を得る。材料中のN含有基:O含有基:S含有基のモル比は5:2:2であり、N含有基、O含有基およびS含有基の総密度は12mmol/gより高い。
【0025】
実施例4:多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料の製造
(1)超分岐ポリアミンと超分岐ポリチオ尿素を低温0℃で均一に混合した後、超分岐ポリカルボン酸を加え、ここでは、超分岐ポリアミン、超分岐ポリチオ尿素と超分岐ポリカルボン酸の質量比は5:1:10であり、続いて60℃で2h反応させ、100℃で2h反応する手順で昇温して反応を完了し、反応が終了して自然冷却した後にN、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマーを得る。N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマー上のN基は第一級アミノ基、第二級アミノ基と第三級アミノ基であり、O含有基はカルボキシル基であり、S含有基はC-SおよびC=Sであり、N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマー上のN含有基:O含有基:S含有基のモル比は5:3:2である。
(2)20mLの5wt%水酸化ナトリウム水溶液で1gのナノセルロースにアルカリ処理を行い、さらにステップ(1)で製造したN、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマーと均一に混合し、マイクロ波を用いて超分岐ポリマーのバイオマス原料内の浸透性を補強し、マイクロ波パワーは750Wであり、マイクロ波触媒時間は90minであり、さらに撹拌条件下で、さらに撹拌条件で架橋剤であるエピクロロヒドリンを加え、ここでは、ナノセルロース、N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマー、エピクロロヒドリンの質量比は1:10:10であり、反応系を完全に固体粒子に転化させることで、多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料を得る。材料中のN含有基:O含有基:S含有基のモル比は5:3:2であり、N含有基、O含有基およびS含有基の総密度は12mmol/gより高い。
【0026】
実施例5:多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料の製造
(1)超分岐ポリアミンと超分岐ポリチオ尿素を低温0℃で均一に混合した後、超分岐ポリカルボン酸を加え、ここでは、超分岐ポリアミン、超分岐ポリチオ尿素と超分岐ポリカルボン酸の質量比は2:1:4であり、続いて60℃で2h反応させ、100℃で2h反応する手順で昇温して反応を完了し、反応が終了して自然冷却した後にN、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマーを得る。N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマー上のN基は第一級アミノ基、第二級アミノ基と第三級アミノ基であり、O含有基はカルボキシル基であり、S含有基はC-SおよびC=Sであり、N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマー上のN含有基:O含有基:S含有基のモル比は5:2:2である。
(2)20mLの5wt%水酸化ナトリウム水溶液で1gのピーナッツ殻にアルカリ処理を行い、さらにステップ(1)で製造したN、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマーと均一に混合し、マイクロ波を用いて超分岐ポリマーのバイオマス原料内の浸透性を補強し、マイクロ波パワーは250Wであり、マイクロ波触媒時間は90minであり、さらに撹拌条件下で、さらに撹拌条件で架橋剤であるエピクロロヒドリンを加え、ここでは、ピーナッツ殻、N、O、Sキレート原子を含む超分岐ポリマー、エピクロロヒドリンの質量比は1:30:80であり、反応系を完全に固体粒子に転化させることで、多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料を得る。材料中のN含有基:O含有基:S含有基のモル比は5:2:2であり、N含有基、O含有基およびS含有基の総密度は12mmol/gより高い。
【0027】
比較例1
実施例1と異なって、本比較例1のステップ(1)に超分岐ポリアミンを添加せず、超分岐ポリアミンの代わりに同じ質量の超分岐ポリチオ尿素を用て、その他のステップ及びプロセス条件は実施例1と同じである。
【0028】
比較例2
実施例2と異なって、本比較例2はステップ(2)を行わず、その他のステップ及びプロセス条件は実施例2と同じである。
【0029】
比較例3
実施例3と異なって、本比較例3のステップ(1)に超分岐ポリチオ尿素を加えず、超分岐ポリチオ尿素塩の代わりに同じ質量の超分岐ポリアミンを用い、その他のステップ及びプロセス条件は実施例3と同じである。
【0030】
性能試験:
実施例1~5、比較例1~3で得られた材料に重金属イオン吸着容量及び除去率試験を行い、構造を表1に示す 。
【0031】
表1の実験結果からわかるように、本発明の多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料は高密度のアミノ基、カルボキシル基、C-S及びC=Sといった重金属イオンに対する吸着能を有する官能基を含み、かつ材料は超分岐構造を有し、そのため、重金属イオンに対する材料の吸着容量が著しく向上し、材料の官能基の利用率も明らかに向上するとともに、負電荷および正電荷を帯びる重金属イオンに対する材料の除去率が明らかに向上する。重金属イオン(Cr6+、Cu2+、Pb2+)に対する材料の吸着容量はいずれも360mg/g以上であり、吸着率は100%である。
【0032】
比較例1は、材料の製造中に超分岐ポリアミンを添加していないため、Cr6+に対する材料の吸着容量および除去率はいずれも低い。比較例3は、製造中に超分岐ポリチオ尿素を添加していないため、Cu2+とPb2の両方に対する材料の吸着容量および除去速度は低い。
【0033】
【0034】
表2の実験結果よりわかるように、本発明の多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料は超分岐構造及び多吸着サイトを有するため、複数種の重金属イオンに対する材料の吸着速度を有効に向上させることができる。
【0035】
比較例2は、製造中にバイオマス原料であるバガスを添加していないため、材料の重金属イオンに対する吸着速度が大いに低下する。
【0036】
【0037】
表3の実験結果からわかるように、本発明の多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料は、ハイパーブランポリマーとバイオマス原料が化学結合で連結され、同時に表面に低電位エネルギーの超分岐ポリマーを導入したため、同じ再生条件で、より良い再生性能を有し、多吸着サイト型バイオマス系超分岐状多種重金属イオン用吸着材料は、50回再生した後の再生率は依然として96%以上である。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス原料を基質とし、N、O、Sキレート原子を含む分岐ポリマーを機能試薬とし、架橋法を採用して製造され、
前記N、O、Sのキレート原子を含む分岐ポリマーは分岐ポリアミン、分岐ポリカルボン酸と分岐ポリチオ尿素がアミド化反応によって合成されたものであり、N、O、Sキレート原子を含む分岐ポリマー上のN含有基は第一級アミノ基、第二級アミノ基と第三級アミノ基であり、O含有基はカルボキシル基であり、S含有基はC-SおよびC=Sである多吸着サイト型バイオマス系分岐状多種重金属イオン用吸着材料の製造方法。
【請求項2】
前記バイオマス原料は、微結晶セルロース、ナノセルロース、パルプ繊維、バガス、わら、ピーナッツ殻またはトウモロコシ穂軸である請求項1に記載の多吸着サイト型バイオマス系分岐状多種重金属イオン用吸着材料の製造方法。
【請求項3】
N、O、Sのキレート原子を含む分岐ポリマーは分岐ポリアミン、分岐ポリカルボン酸と分岐ポリチオ尿素がアミド化反応によって製造されたものであり、N、O、Sキレート原子を含む分岐ポリマー上のN含有基は第一級アミノ基、第二級アミノ基と第三級アミノ基であり、O含有基はカルボキシル基であり、S含有基はC-SおよびC=Sであり、分岐ポリカルボン酸のカルボキシル基はそれぞれ分岐ポリアミンと分岐ポリチオ尿素の第一級アミノ基と反応させ、分岐ポリカルボン酸が化学結合により分岐ポリアミンと分岐ポリチオ尿素に連結された、N、O、Sキレート原子を含む分岐ポリマーを形成し、N、O、Sキレート原子を含む分岐ポリマー上のN含有基:O含有基:S含有基のモル比を5:3:2~5:1:1に制御し、分岐ポリアミンと分岐ポリチオ尿素を低温0℃で均一に混合した後、分岐ポリカルボン酸を加え、ここでは、分岐ポリアミン、分岐ポリチオ尿素と分岐ポリカルボン酸の質量比は1:1:2~5:1:10であり、続いて60℃で2h反応させ、100℃で2h反応する手順で昇温して反応を完了し、反応が終了して自然冷却した後にN、O、Sキレート原子を含む分岐ポリマーを得るステップS1と、
アルカリ溶液を利用してバイオマス原料にアルカリ処理を行い、さらにステップS1で製造したN、O、Sキレート原子を含む分岐ポリマーと均一に混合し、マイクロ波を用いて分岐ポリマーのバイオマス原料内の浸透性を補強し、さらに撹拌条件で架橋剤であるエピクロロヒドリンを加え、ここでは、バイオマス原料、N、O、Sキレート原子を含む分岐ポリマー、エピクロロヒドリンの質量比は1:1:1~1:50:100であり、反応系を完全に固体粒子に転化させることで、多吸着サイト型バイオマス系分岐状多種重金属イオン用吸着材料が得られ、該材料中のN含有基:O含有基:S含有基のモル比は5:3:2~5:1:1であり、かつ、N含有基、O含有基およびS含有基の総密度は12mmol/gより高いステップS2とを含む多吸着サイト型バイオマス系分岐状多種重金属イオン用吸着材料の製造方法。
【請求項4】
前記分岐ポリカルボン酸の製造において、トリメチロールプロパン、クエン酸とp-トルエンスルホン酸を混合して135℃の撹拌条件で1.5h反応させ、分岐ポリカルボン酸を得て、前記トリメチロールプロパンとクエン酸のモル比は1:4であり、p-トルエンスルホン酸の添加質量はトリメチロールプロパンとクエン酸の合計質量の1.5wt%である請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記分岐ポリアミンの製造において、テトラエチレンペンタミンとメチルアクリレートをモル比2:1で混合し、かつ0℃の撹拌条件で20h反応させ、反応系を70℃に昇温し、2h撹拌反応させ、反応系を100℃に昇温し、2h撹拌反応させ、反応系を140℃に昇温し、2h撹拌反応させ、反応後の生成物は分岐ポリアミンである請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
前記分岐ポリチオ尿素の製造において、ジアリルアミン、エピクロロヒドリと水をジアリルアミン:エピクロロヒドリ:水のモル:モル:体積0.25:0.27:25mLで混合した後、0℃で5h撹拌し、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、続いて無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、真空下で溶媒と余分なエピクロロヒドリを除去し、得られた無色溶液をメタノールに溶解した後、ジアリルアミンとチオシアン酸カリウムのモル比5:6に従ってチオシアン化カリウムを加え、9h反応させ、反応液を室温に戻した後、塩類を除去し、濃縮し、続いて酢酸エチルで希釈し、さらに水洗し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し、減圧蒸留により1-(2-ヒドロキシ-3-ジアリルアミノ)プロピルイソチオシアネートエステルを得て、トリス(2-アミノエチル)アミンと1-(2-ヒドロキシ-3-ジアリルアミノ)プロピルイソチオシアナートを質量比1.15:5.65で混合した後、0℃で15min撹拌し、さらに60℃で8h以上撹拌し、反応液を減圧蒸留して余分な1-(2-ヒドロキシ-3-ジアリルアミノ)プロピルイソチオシアナートを除去した後、得られた無色油状液体をA-G1と記し、A-G1、シシステアミン塩酸塩とジメトキシベンゾインを質量比0.5:4.4:0.2で混合し、メタノールを加え、溶液をアルゴンで15分間バブリングした後、室温で365nmの紫外光を2h照射し、トリエチルアミンを加え、ここでは、A-G1:メタノール:トリエチルアミンの質量:体積:体積は0.5g:5mL:10mLであり、30min撹拌し、回転蒸発してメタノールと余分なトリエチルアミンを除去し、脱イオン水を加え、ジエチルエーテルで洗浄し、水溶液を透析、凍結乾燥した後に、得られた淡黄色生成物は、分岐ポリチオ尿素である請求項3に記載の製造方法。
【請求項7】
ステップS2において、前記アルカリ溶液は、質量分率が5wt%である水酸化ナトリウム水溶液であり、前記バイオマス原料とアルカリ溶液の質量:体積は1g:20mLである請求項3に記載の製造方法。
【請求項8】
ステップS2において、前記マイクロ波のパワーは1~1000Wであり、マイクロ波の触媒時間は1~120minである請求項3に記載の製造方法。
【請求項9】
前記バイオマス原料は、微結晶セルロース、ナノセルロース、パルプ繊維、バガス、わら、ピーナッツ殻またはトウモロコシ穂軸である請求項3に記載の製造方法。
【請求項10】
材料は水中の複数種の重金属イオンに対して優れた吸着性能を有し、10min以内に同期して低濃度の複数種の重金属イオンを迅速かつ完全に除去することができ、処理後、水中に残留する重金属イオンがない請求項1または2に記載の多吸着サイト型バイオマス系分岐状多種重金属イオン用吸着材料または請求項3~9のいずれか一項に記載の製造方法で製造された多吸着サイト型バイオマス系分岐状多種重金属イオン用吸着材料。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N、O、Sのキレート原子を含む分岐ポリマーは分岐ポリアミン、分岐ポリカルボン酸と分岐ポリチオ尿素がアミド化反応によって製造されたものであり、N、O、Sキレート原子を含む分岐ポリマー上のN含有基は第一級アミノ基、第二級アミノ基と第三級アミノ基であり、O含有基はカルボキシル基であり、S含有基はC-SおよびC=Sであり、分岐ポリカルボン酸のカルボキシル基はそれぞれ分岐ポリアミンと分岐ポリチオ尿素の第一級アミノ基と反応させ、分岐ポリカルボン酸が化学結合により分岐ポリアミンと分岐ポリチオ尿素に連結された、N、O、Sキレート原子を含む分岐ポリマーを形成し、N、O、Sキレート原子を含む分岐ポリマー上のN含有基:O含有基:S含有基のモル比を5:3:2~5:1:1に制御し、分岐ポリアミンと分岐ポリチオ尿素を低温0℃で均一に混合した後、分岐ポリカルボン酸を加え、ここでは、分岐ポリアミン、分岐ポリチオ尿素と分岐ポリカルボン酸の質量比は1:1:2~5:1:10であり、続いて60℃で2h反応させ、100℃で2h反応する手順で昇温して反応を完了し、反応が終了して自然冷却した後にN、O、Sキレート原子を含む分岐ポリマーを得るステップS1と、
アルカリ溶液を利用してバイオマス原料にアルカリ処理を行い、さらにステップS1で製造したN、O、Sキレート原子を含む分岐ポリマーと均一に混合し、マイクロ波を用いて分岐ポリマーのバイオマス原料内の浸透性を補強し、さらに撹拌条件で架橋剤であるエピクロロヒドリンを加え、ここでは、バイオマス原料、N、O、Sキレート原子を含む分岐ポリマー、エピクロロヒドリンの質量比は1:1:1~1:50:100であり、反応系を完全に固体粒子に転化させることで、多吸着サイト型バイオマス系分岐状多種重金属イオン用吸着材料が得られ、該材料中のN含有基:O含有基:S含有基のモル比は5:3:2~5:1:1であり、かつ、N含有基、O含有基およびS含有基の総密度は12mmol/gより高いステップS2とを含む多吸着サイト型バイオマス系分岐状多種重金属イオン用吸着材料の製造方法。
【請求項2】
前記分岐ポリカルボン酸の製造において、トリメチロールプロパン、クエン酸とp-トルエンスルホン酸を混合して135℃の撹拌条件で1.5h反応させ、分岐ポリカルボン酸を得て、前記トリメチロールプロパンとクエン酸のモル比は1:4であり、p-トルエンスルホン酸の添加質量はトリメチロールプロパンとクエン酸の合計質量の1.5wt%である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記分岐ポリアミンの製造において、テトラエチレンペンタミンとメチルアクリレートをモル比2:1で混合し、かつ0℃の撹拌条件で20h反応させ、反応系を70℃に昇温し、2h撹拌反応させ、反応系を100℃に昇温し、2h撹拌反応させ、反応系を140℃に昇温し、2h撹拌反応させ、反応後の生成物は分岐ポリアミンである請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記分岐ポリチオ尿素の製造において、ジアリルアミン、エピクロロヒドリと水をジアリルアミン:エピクロロヒドリ:水のモル:モル:体積0.25:0.27:25mLで混合した後、0℃で5h撹拌し、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、続いて無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、真空下で溶媒と余分なエピクロロヒドリを除去し、得られた無色溶液をメタノールに溶解した後、ジアリルアミンとチオシアン酸カリウムのモル比5:6に従ってチオシアン化カリウムを加え、9h反応させ、反応液を室温に戻した後、塩類を除去し、濃縮し、続いて酢酸エチルで希釈し、さらに水洗し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し、減圧蒸留により1-(2-ヒドロキシ-3-ジアリルアミノ)プロピルイソチオシアネートエステルを得て、トリス(2-アミノエチル)アミンと1-(2-ヒドロキシ-3-ジアリルアミノ)プロピルイソチオシアナートを質量比1.15:5.65で混合した後、0℃で15min撹拌し、さらに60℃で8h以上撹拌し、反応液を減圧蒸留して余分な1-(2-ヒドロキシ-3-ジアリルアミノ)プロピルイソチオシアナートを除去した後、得られた無色油状液体をA-G1と記し、A-G1、シシステアミン塩酸塩とジメトキシベンゾインを質量比0.5:4.4:0.2で混合し、メタノールを加え、溶液をアルゴンで15分間バブリングした後、室温で365nmの紫外光を2h照射し、トリエチルアミンを加え、ここでは、A-G1:メタノール:トリエチルアミンの質量:体積:体積は0.5g:5mL:10mLであり、30min撹拌し、回転蒸発してメタノールと余分なトリエチルアミンを除去し、脱イオン水を加え、ジエチルエーテルで洗浄し、水溶液を透析、凍結乾燥した後に、得られた淡黄色生成物は、分岐ポリチオ尿素である請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
ステップS2において、前記アルカリ溶液は、質量分率が5wt%である水酸化ナトリウム水溶液であり、前記バイオマス原料とアルカリ溶液の質量:体積は1g:20mLである請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
ステップS2において、前記マイクロ波のパワーは1~1000Wであり、マイクロ波の触媒時間は1~120minである請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記バイオマス原料は、微結晶セルロース、ナノセルロース、パルプ繊維、バガス、わら、ピーナッツ殻またはトウモロコシ穂軸である請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
材料は水中の複数種の重金属イオンに対して優れた吸着性能を有し、10min以内に同期して低濃度の複数種の重金属イオンを迅速かつ完全に除去することができ、処理後、水中に残留する重金属イオンがない請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法で製造された多吸着サイト型バイオマス系分岐状多種重金属イオン用吸着材料。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N、O、Sのキレート原子を含む分岐ポリマーは分岐ポリアミン、分岐ポリカルボン酸と分岐ポリチオ尿素がアミド化反応によって製造されたものであり、N、O、Sキレート原子を含む分岐ポリマー上のN含有基は第一級アミノ基、第二級アミノ基と第三級アミノ基であり、O含有基はカルボキシル基であり、S含有基はC-SおよびC=Sであり、分岐ポリカルボン酸のカルボキシル基はそれぞれ分岐ポリアミンと分岐ポリチオ尿素の第一級アミノ基と反応させ、分岐ポリカルボン酸が化学結合により分岐ポリアミンと分岐ポリチオ尿素に連結された、N、O、Sキレート原子を含む分岐ポリマーを形成し、N、O、Sキレート原子を含む分岐ポリマー上のN含有基:O含有基:S含有基のモル比を5:3:2~5:1:1に制御し、分岐ポリアミンと分岐ポリチオ尿素を低温0℃で均一に混合した後、分岐ポリカルボン酸を加え、ここでは、分岐ポリアミン、分岐ポリチオ尿素と分岐ポリカルボン酸の質量比は1:1:2~5:1:10であり、続いて60℃で2h反応させ、100℃で2h反応する手順で昇温して反応を完了し、反応が終了して自然冷却した後にN、O、Sキレート原子を含む分岐ポリマーを得るステップS1と、
アルカリ溶液を利用してバイオマス原料にアルカリ処理を行い、さらにステップS1で製造したN、O、Sキレート原子を含む分岐ポリマーと均一に混合し、マイクロ波を用いて分岐ポリマーのバイオマス原料内の浸透性を補強し、さらに撹拌条件で架橋剤であるエピクロロヒドリンを加え、ここでは、バイオマス原料、N、O、Sキレート原子を含む分岐ポリマー、エピクロロヒドリンの質量比は1:1:1~1:50:100であり、反応系を完全に固体粒子に転化させることで、多吸着サイト型バイオマス系分岐状多種重金属イオン用吸着材料が得られ、該材料中のN含有基:O含有基:S含有基のモル比は5:3:2~5:1:1であり、かつ、N含有基、O含有基およびS含有基の総密度は12mmol/gより高いステップS2とを含む多吸着サイト型バイオマス系分岐状多種重金属イオン用吸着材料の製造方法。
【請求項2】
前記分岐ポリカルボン酸の製造において、トリメチロールプロパン、クエン酸とp-トルエンスルホン酸を混合して135℃の撹拌条件で1.5h反応させ、分岐ポリカルボン酸を得て、前記トリメチロールプロパンとクエン酸のモル比は1:4であり、p-トルエンスルホン酸の添加質量はトリメチロールプロパンとクエン酸の合計質量の1.5wt%である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記分岐ポリアミンの製造において、テトラエチレンペンタミンとメチルアクリレートをモル比2:1で混合し、かつ0℃の撹拌条件で20h反応させ、反応系を70℃に昇温し、2h撹拌反応させ、反応系を100℃に昇温し、2h撹拌反応させ、反応系を140℃に昇温し、2h撹拌反応させ、反応後の生成物は分岐ポリアミンである請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
ステップS2において、前記アルカリ溶液は、質量分率が5wt%である水酸化ナトリウム水溶液であり、前記バイオマス原料とアルカリ溶液の質量:体積は1g:20mLである請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
ステップS2において、前記マイクロ波のパワーは1~1000Wであり、マイクロ波の触媒時間は1~120minである請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記バイオマス原料は、微結晶セルロース、ナノセルロース、パルプ繊維、バガス、わら、ピーナッツ殻またはトウモロコシ穂軸である請求項1に記載の製造方法。