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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018968
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】画像生成支援装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 11/60 20060101AFI20220120BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
G06T11/60 100A
H04N1/387 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020122445
(22)【出願日】2020-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】599105850
【氏名又は名称】株式会社中電シーティーアイ
(71)【出願人】
【識別番号】503295518
【氏名又は名称】株式会社Geolocation Technology
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】特許業務法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 修
(72)【発明者】
【氏名】岡本 雄司
(72)【発明者】
【氏名】木村 佳央
(72)【発明者】
【氏名】村上 一彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 敬介
(72)【発明者】
【氏名】但野 正行
【テーマコード(参考)】
5B050
5C076
【Fターム(参考)】
5B050BA10
5B050BA16
5B050BA18
5B050EA12
5B050EA19
5B050FA02
5C076AA19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の構成要素が最適にレイアウトされた画像を容易に生成することができる画像生成支援装置を提供する。
【解決手段】画像生成支援装置100において、画像候補生成手段111は、構成要素データベース121に、構成要素に対応して記憶されている構成要素情報(位置情報、外形情報)に基づいて画像候補を生成し、表示手段130に表示する。評価情報取得手段112は、表示手段に表示した画像候補に対して入力手段140から評価信号が入力されると、画像候補を形成している構成要素の配置領域を示す評価情報を取得し、構成要素に対応させて構成要素データベースに記憶する。構成要素情報更新手段113は、更新終了条件が満足されると、取得した評価情報を構成要素毎に累積した累積評価情報に基づいて、各構成要素の構成要素情報を更新する。画像生成手段114は、更新した各構成要素の構成要素情報に基づいて画像を生成し、表示手段に表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の構成要素により形成される画像の生成を支援する画像生成支援装置であって、
処理手段と、記憶手段と、表示手段と、入力手段を備え、
前記記憶手段には、構成要素の基準配置位置を示す位置情報と構成要素の基準外形を示す外形情報を含む構成要素情報および構成要素の配置領域を示す評価情報が各構成要素に対応して記憶され、
前記処理手段は、
前記記憶手段に記憶されている各構成要素の構成要素情報に基づいて画像候補を生成し、生成した画像候補を前記表示手段に表示し、
前記表示手段に表示した画像候補に対して前記入力手段から入力される評価信号に基づいて、前記表示手段に表示した画像候補を形成する構成要素の配置領域を示す評価情報を取得し、取得した評価情報を構成要素に対応させて前記記憶手段に記憶し、
前記画像候補の前記表示手段への表示と前記評価情報の取得を所定回数繰り返した後、前記取得した評価情報を構成要素毎に累積した累積評価情報に基づいて、前記記憶手段に記憶されている各構成要素の構成要素情報を更新し、
前記更新した各構成要素の構成要素情報に基づいて画像を生成することを特徴とする画像生成支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像生成支援装置であって、
前記処理手段は、前記記憶手段に記憶されている各構成要素の構成要素情報の更新を、更新終了条件が満足されるまで実行することを特徴とする画像生成支援装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像生成支援装置であって、
前記表示手段の表示領域は、複数の分割領域に分割されており、
前記処理手段は、
前記表示手段に表示した画像候補を形成する構成要素の配置領域に対応する分割領域の位置を示す評価情報を取得し、
前記取得した評価情報を構成要素毎に累積した累積評価情報に基づいて、前記記憶手段に記憶されている各構成要素の構成要素情報を更新することを特徴とする画像生成支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像生成支援装置であって、
前記処理手段は、前記累積評価情報で示される分割領域の位置の中から、抽出条件を満足する分割領域の位置を抽出し、抽出した分割領域の位置に外接する図形の図形情報に基づいて、前記記憶手段に記憶されている各構成要素の構成要素情報を更新することを特徴とする画像生成支援装置。
【請求項5】
請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の画像生成支援装置であって、
前記処理手段は、画像候補の生成、評価情報の取得、構成要素情報の更新および画像の生成を、多層ニューラルネットワークを用いて実行することを特徴とする画像生成支援装置。
【請求項6】
請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の画像生成支援装置であって、
前記処理手段は、
前記記憶手段に記憶されている各構成要素の構成要素情報に基づいて画像候補を生成し、生成した画像候補を前記表示手段に表示する画像候補生成手段と、
前記表示手段に表示した画像候補に対して前記入力手段から入力される評価信号に基づいて、前記表示手段に表示した画像候補を形成する構成要素の配置領域を示す評価情報を取得する評価情報取得手段と、
前記画像候補の前記表示手段への表示と前記評価情報の取得が所定回数繰り返された後、前記評価情報取得手段で取得した評価情報を構成要素毎に累積した累積評価情報に基づいて、前記記憶手段に記憶されている各構成要素の構成要素情報を更新する構成要素情報更新手段と、
前記構成要素情報更新手段により更新した各構成要素の構成要素情報に基づいて画像を生成する画像生成手段と、
を有することを特徴とする画像生成支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の構成要素により形成される画像の生成を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
商品やサービスを宣伝する広告方法として、Webページやメール等を利用したオンライン広告(バナー)が用いられている。オンライン広告を提示する場合には、画面に表示される広告画像(以下、「バナー画像」という)を、広告画像を閲覧するユーザーによってクリックされ易いようにデザインすることが重要である。すなわち、バナー画像を形成する構成要素(例えば、オブジェクト画像、キャッチコピー、ロゴ等)を生成するとともに、各構成要素の最適な配置(レイアウト)を考える必要がある。
従来、バナー画像を生成する技術として、例えば、非特許文献1および非特許文献2に開示されているような、バナー画像を形成する構成要素であるキャッチコピーを自動生成する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】言語処理学会,第25回年次大会 学会論文集,2019年3月,頁1293-1296
【非特許文献2】言語処理学会,第25回年次大会 学会論文集,2019年3月,頁558-561
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術は、バナー画像を形成する構成要素であるコンテンツ素材(オブジェクト画像、キャッチコピー、ロゴ等)の自動生成に関するものであり、各構成要素の自動配置に関しては検討されていない。
このため、従来、バナー画像をデザインする場合、バナー画像を形成する構成要素の配置設計は、人間系の判断に依存していた。
バナー画像を形成する構成要素を最適に自動配置することができれば、バナー画像を容易に生成することができ、ユーザーのクリック率が高まることが期待される。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、画像を形成する構成要素を、ユーザーの選択に基づく学習によって最適に自動配置した画像を容易に生成することができる画像生成支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の画像生成支援装置は、複数の構成要素により形成される画像の生成を支援する。画像を形成する構成要素は、画像の種類に応じて選択される。例えば、バナー画像等のオンライン広告用の画像を生成する場合には、オブジェクト画像、キャッチコピー、ロゴ、説明文等の構成要素が選択される。
本発明は、処理手段、記憶手段、表示手段および入力手段により構成されている。
記憶手段には、画像を形成する構成要素が記憶されるとともに、構成要素に対応させて構成要素情報と評価情報が記憶される。好適には、構成要素、構成要素情報および評価情報を記憶する構成要素データベースが設けられる。
構成要素情報は、構成要素の基準配置位置を示す位置情報と構成要素の基準外形を示す外形情報を含んでいる。位置情報としては、表示手段の表示画面の表示領域における構成要素の配置位置が用いられる。構成要素の配置位置としては、例えば、表示領域における構成要素の特徴点の位置(例えば、矩形の重心位置あるい角部の位置、円形の中心位置)が用いられる。位置情報としては、好適には、表示領域における座標が用いられる。外形情報には、構成要素の外形形状(例えば、矩形、円形等)と大きさ(例えば、矩形の幅と高さ、円形の半径等)が含まれる。
評価情報は、表示領域における、構成要素の配置領域を示す。例えば、評価情報は、構成要素の表示領域の座標によって表される。
処理手段は、記憶手段に記憶されている各構成要素の構成要素情報に基づいて画像候補を生成し、表示手段に表示するように構成されている。構成要素情報に基づいて画像候補を生成する方法としては種々の方法を用いることができる。例えば、位置情報で示される基準配置位置に、乱数により設定されるオフセットを加算した位置に、外形情報で示される基準外形を有し、外形情報で示される大きさに、乱数により設定される係数を乗算した大きさの構成要素を配置する方法を用いることができる。
また、処理手段は、表示手段に表示した画像候補に対して入力手段から評価信号が入力されると、表示手段に表示した画像候補を形成する構成要素の配置領域を示す評価情報を取得し、構成要素に対応させて記憶手段に記憶するように構成されている。評価信号は、例えば、広告のターゲットであるユーザーが、表示手段に表示された画像候補を選好する場合に、入力手段を操作することによって入力される。
また、処理手段は、画像候補の表示手段への表示と評価情報の取得を所定回数繰り返した後、取得した評価情報を構成要素毎に累積した累積評価情報に基づいて、記憶手段に記憶されている各構成要素の構成要素情報を更新するように構成されている。累積評価情報に基づいて構成要素情報を更新する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、累積評価情報で示される、構成要素の配置位置の分布の重心位置に基づいて位置情報を更新し、構成要素の配置位置の分布状態に基づいて形状情報を更新する方法を用いることができる。なお、ユーザーが選好する配置位置が複数存在する場合には、構成要素の配置位置の分布の重心位置は、複数存在する。
また、処理手段は、更新した各構成要素の構成要素情報に基づいて画像を生成するように構成されている。更新した各構成要素の構成要素情報に基づいて画像を生成する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、更新した構成要素情報に含まれている位置情報で示される、更新した基準配置位置の近傍の位置に、外形情報で示される、更新した基準外形に近い外形を有する構成要素を配置した画像を生成する方法が用いられる。
好適には、画像の生成を要求する画像生成要求信号が入力手段から入力された場合に、画像が生成されるように構成される。また、画像生成要求信号が入力される毎に、各構成要素の構成要素情報に基づいて画像が生成される。複数回の画像の生成に対応可能とするには、例えば、更新した基準配置位置の近傍の位置をランダムに設定し、更新した基準外形に近い外形をランダムに設定する方法が用いられる。
本発明では、画像を形成する構成要素を、ユーザーの選択に基づく学習によって最適に自動配置した画像を容易に生成することができる。
本発明の異なる形態では、処理手段は、各構成要素の構成要素情報の更新を、更新終了条件が満足されるまで実行する。
更新終了条件は、種々設定可能である。例えば、構成要素情報の更新を設定された回数(1回を含む)行った条件、累積評価情報が設定された条件を満足した条件等を用いることができる。
本形態では、画像を形成する構成要素を、ユーザーの選択に基づく学習によって最適に自動配置した画像を容易に生成することができる。
本発明の異なる形態では、構成要素が表示される表示領域は、複数の分割領域に分割されている。好適には、分割領域は、表示手段の表示画面を形成する画素(ピクセル)により規定される。例えば、1つの画素(ピクセル)に対応する領域または複数の画素(ピクセル集合)に対応する領域が分割領域として規定される。
そして、処理手段は、表示手段に表示した画像候補を形成する構成要素の配置領域に対応する分割領域の位置を示す評価情報を取得し、また、同じ構成要素の各評価情報を累積した累積評価情報に基づいて各構成要素の構成要素情報を更新するように構成されている。
構成要素の配置領域を示す評価情報としては、好適には、表示手段の表示画面の表示領域における分割領域の位置を要素とし、構成要素の配置領域に対応する分割領域の位置を示す行列が用いられる。例えば、構成要素の配置領域に対応する要素に「1」が設定され、他の要素に「0」が設定された行列が用いられる。
同じ構成要素の評価情報を累積した累積評価情報としては、好適には、構成要素の配置位置の分布に対応する要素が累積値(正の整数値)を示す加算行列が用いられる。
本形態では、評価情報および累積評価情報を容易に取得することができる。
本発明の異なる形態では、処理手段は、累積評価情報で示される分割領域の位置の中から、抽出条件を満足する分割領域の位置を抽出し、抽出した分割領域の位置に外接する図形の図形情報に基づいて、各構成要素の構成要素情報を更新するように構成されている。
外接する図形としては、例えば、外接する矩形や外接する円(外接円)が用いられる。また、外接する図形の図形情報としては、例えば、外接する矩形の重心位置と大きさや、外接円の中心位置と半径が用いられる。
抽出条件は、適宜設定可能である。例えば、「累積値が所定値以上である、分割領域の位置」という抽出条件を用いることができる。
抽出した分割領域の位置に外接する図形の図形情報に基づいて構成要素情報を更新する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、外接する矩形の重心位置や外接円の中心位置に基づいて、位置情報で示される基準配置位置を更新し、外接する矩形の大きさ(幅と長さ)や外接円の半径に基づいて、外形情報で示される基準外形の大きさを更新する方法を用いることができる。
本形態では、画像を形成する構成要素を、ユーザーの選択に基づく学習によって最適に自動配置した画像を容易、確実に生成することができる。
本発明の異なる形態では、処理手段は、画像候補の生成、評価情報の取得、構成要素情報の更新および画像の生成を、多層ニューラルネットワークを用いて実行する。
本形態では、画像候補の生成、評価情報の取得、構成要素情報の更新および画像の生成を簡単に行うことができる。
本発明の異なる形態では、処理手段は、画像候補生成手段、評価情報取得手段、構成要素情報更新手段および画像生成手段を有している。
画像候補生成手段は、記憶手段に記憶されている各構成要素の構成要素情報に基づいて画像候補を生成し、表示手段に表示する。
評価情報取得手段は、表示手段に表示した画像候補に対して入力手段から評価信号が入力されると、表示手段に表示した画像候補を形成する構成要素の配置領域を示す評価情報を取得する。
構成要素情報更新手段は、画像候補の表示手段への表示と評価情報の取得が所定回数繰り返された後、評価情報取得手段で取得した評価情報を構成要素毎に累積した累積評価情報に基づいて、記憶手段に記憶されている各構成要素の構成要素情報を更新する。
画像生成手段は、構成要素情報更新手段により更新した各構成要素の構成要素情報に基づいて画像を生成する。
【0006】
本発明の画像生成支援装置を用いることにより、画像を形成する構成要素を、ユーザーの選択に基づく学習によって最適に自動配置した画像を容易に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の画像生成支援装置の一実施形態のブロック図である。
図2】構成要素データベースの一例を示す図である。
図3】学習モードにおける動作の一例を示すフローチャートである。
図4】画像生成モードにおける動作の一例を示すフローチャートである。
図5】画像を形成する構成要素A~Cの一例を示す図である。
図6】第1の画像候補G1の一例を示す図である。
図7】第1の画像候補G1を形成する構成要素A1の評価情報R(A1)を示す図である。
図8】第1の画像候補G1を形成する構成要素B1の評価情報R(B1)を示す図である。
図9】第1の画像候補G1を形成する構成要素C1の評価情報R(C1)を示す図である。
図10】第2の画像候補G2の一例を示す図である。
図11】第Nの画像候補GNの一例を示す図である。
図12】構成要素A1の評価情報R(A1)~構成要素ANの評価情報R(AN)を累積した累積評価情報S(A)の一例を示す図である。
図13】構成要素B1の評価情報R(B1)~構成要素BNの評価情報R(BN)を累積した累積評価情報S(B)の一例を示す図である。
図14】構成要素C1の評価情報R(C1)~構成要素CNの評価情報R(CN)を累積した累積評価情報S(C)の一例を示す図である。
図15】構成要素Aの累積評価情報S(A)から求めた累積評価情報の部分集合U(A)の一例を示す図である。
図16】構成要素Bの累積評価情報S(B)から求めた累積評価情報の部分集合U(B)の一例を示す図である。
図17】構成要素Cの累積評価情報S(C)から求めた累積評価情報の部分集合U(C)の一例を示す図である。
図18】本発明の画像生成支援装置を、多層ニューラルネットワークにより構成した異なる実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の画像生成支援装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下では、インターネットを利用した、バナー画像等のオンライン広告用の画像を生成する場合について説明する。
本発明の画像生成支援装置の一実施形態のブロック図が図1に示されている。図1に示されている画像生成支援装置100は、処理手段110、記憶手段120、表示手段130、入力手段140により構成されている。
【0009】
記憶手段120は、RAMやROM等の種々の記憶装置により構成され、プログラムや種々の情報を記憶する。
記憶手段120は、構成要素データベース121を有している。
構成要素データベース121には、構成要素が記憶されるとともに、構成要素に対応させて構成要素情報、候補画像情報および評価情報が記憶される。
構成要素情報には、構成要素の基準配置位置を示す位置情報と構成要素の基準外形を示す外形情報が含まれる。
構成要素は、表示手段130の表示画面の表示領域に表示(配置)される。本実施形態では、位置情報として、表示手段130の表示画面の表示領域における座標が用いられる。例えば、X軸およびY軸に沿って延在する矩形の表示領域に構成要素を表示(配置)する場合には、X座標とY座標によって表される位置が位置情報として用いられる。構成要素の基準配置位置としては、好適には、構成要素の特徴点の位置が用いられる。例えば、矩形の重心位置や角部の位置、円形の中心位置等等が用いられる。
外形情報には、構成要素の外形形状(例えば、矩形、円形等)と、大きさ(例えば、矩形の幅と高さ、円形の半径等)が含まれる。
評価情報は、詳しくは後述するが、表示手段130に表示した画像候補を形成する各構成要素の配置領域を示す。本実施形態では、評価情報として、表示領域を分割した分割領域の位置を要素とする行列を用いている。
【0010】
構成要素データベース121の一例が図2に示されている。
図2に示されている構成要素データベース121には、構成要素A(オブジェクト)、構成要素B(キャッチコピー)、構成要素C(ロゴ)、構成要素D(説明文)、構成要素E(背景画像)等が記憶されている。また、構成要素A~Eに対応させて構成要素情報、画像候補情報、評価情報が記憶される。
なお、各構成要素の構成要素情報の初期値(例えば、構成要素Aの、矩形の重心位置を示す位置情報の初期値(Xa0,Ya0)、矩形の幅の初期値(Wa0)、矩形の高さの初期値(Ha0))は、入力手段140により入力されて、構成要素データベース121に記憶される。後述する構成要素情報の更新の際には、構成要素データベース121に記憶されている構成要素情報の初期値が更新される。構成要素情報の更新の際には、少なくとも、位置情報の初期値が更新される。
【0011】
表示手段130は、液晶表示装置や有機EL表示装置等により構成され、後述する画像候補や画像を表示する。
入力手段140は、構成要素データベース121に記憶する情報、画像候補に対する評価信号(後述する)、画像要求信号等を入力する。入力手段140には、キーボードやタッチパネル、記憶媒体に記憶されている情報を読み取る読み取り装置、通信回線を介して外部と通信可能な通信手段等が含まれる。
【0012】
処理手段110は、CPU等の処理装置により構成され、種々の処理を実行する。
処理手段110は、画像候補生成手段111、評価情報取得手段112、構成要素情報更新手段113、画像生成手段114を有している。各手段は、共通の処理装置により構成することもできるし、異なる処理装置により構成することもできる。
【0013】
画像候補生成手段111は、記憶手段120の構成要素データベース121に記憶されている構成要素、構成要素に対応して記憶されている構成要素情報(位置情報、外形情報)に基づいて画像候補を生成し、生成した画像候補を表示手段130に表示する。
なお、画像候補生成手段111は、構成要素データベースに121に記憶されている構成要素情報に基づいて順次画像候補を生成して表示手段130に表示してもよいし、予め構成要素情報に基づいて一定数の画像候補を生成し、生成した一定数の画像候補の中から画像候補を選択して順次表示手段130に表示してもよい。
本実施形態では、構成要素データベース121に記憶されている構成要素情報(位置情報、外形情報)に基づいて、画像候補を形成する各構成要素の配置態様(配置位置および外形)をランダムに決定する。例えば、構成要素の構成要素情報に含まれている位置情報で示される基準配置位置に、乱数により設定されるオフセットを加算した位置を、当該構成要素の配置位置として決定する。また、構成要素の構成要素情報に含まれている外形情報で示される外形を、当該構成要素の外形として決定する。また、構成要素の構成要素情報に含まれている外形情報で示される大きさに、乱数により設定される係数を乗算した大きさを、当該構成要素の大きさとして決定する。
なお、全ての構成要素を有していない画像候補が含まれるように構成することもできる。
また、画像候補を形成する構成要素の外形は、複数の外形の中からランダムに選択するように構成することもできる。
【0014】
本実施形態では、ユーザーは、表示手段130に表示された画像候補のうちのいずれかを選択したことを示す評価信号を入力手段140から入力する。なお、ユーザーは、複数の画像候補を選択してもよいし、画像候補の選択を行わず、別の画像候補を評価対象にすることもできる。
評価情報取得手段112は、表示手段130に表示した画像候補に対して入力手段140から評価信号が入力されると、表示手段130に表示した画像候補を形成する構成要素の配置領域を示す評価情報を取得する。
構成要素により形成され画像候補や画像を表示(配置)する、表示手段130の表示画面の表示領域は、図5に示されているように、直交するX方向およびY方向に延在する複数の分割領域に分割されている。本実施形態では、分割領域は、表示手段130の表示画面を形成する画素(ピクセル)により規定されている。この場合、分割領域の位置は、X座標とY座標により表される。なお、分割領域は、複数の画素(ピクセル)からなるピクセル集合により規定することもできる。
また、本実施形態では、構成要素の配置領域を示す評価情報として行列を用いている。行列は、分割領域の位置を要素とし、構成要素の配置領域に対応する分割領域の位置を示す。例えば、行列を構成する要素のうち、構成要素の配置領域に対応する要素に「1」が設定され、他の要素に「0」が設定されている行列が用いられる(図7図9参照)。
【0015】
本実施形態では、画像候補生成手段111による、画像候補の表示手段130への表示および評価情報取得手段112による、表示手段130に表示された画像候補を形成する構成要素の評価情報の取得を所定回数(N回)行う(画像候補をN個表示する)。
構成要素情報更新手段113は、画像候補の表示手段130への表示と評価情報の取得が所定回数行われた後、評価情報取得手段112で取得した評価情報を構成要素毎に累積(加算)して累積評価情報を取得する。そして、取得した各構成要素の累積評価情報に基づいて、記憶手段120の構成要素データベース121に記憶されている各構成要素の構成要素情報を更新する。なお、構成要素情報の更新を複数回行う場合には、1回目の更新では、構成要素情報の初期値を更新し、2回目以降の更新では、更新された構成要素情報を更新する。
本実施形態では、同じ構成要素の評価情報を累積した累積評価情報として加算行列を用いている。加算行列は、分割領域の位置を要素とし、各評価情報で示される構成要素の配置の分布を示す。例えば、行列を構成する要素のうち、構成要素の配置の分布を示す分割領域の要素に累積値(正の整数値)が設定され、他の要素に「0」が設定されている加算行列が用いられる(図12図13参照)。
【0016】
加算行列に基づいて構成要素情報を更新する方法としては、種々の方法を用いることができる。
例えば、加算行列で示される、構成要素の配置の分布の重心位置と共分散に基づいて、構成要素情報を更新する方法を用いることができる。なお、ユーザーが選好する、構成要素の配置位置が1箇所の場合には、構成要素の配置の分布の重心位置は1つであるが、ユーザーが選好する、構成要素の配置位置が複数箇所(例えば、表示領域の上方と下方の2箇所)存在する場合には、構成要素の配置の分布の重心位置は複数となる。共分散は、位置座標(X,Y)の2つの変数の分布状態を示す。
あるいは、加算行列で示される、構成要素の配置の分布に対応する分割領域の中から、抽出条件を満足する分割領域を抽出する。抽出条件としては、適宜の条件を用いることができる。例えば、「累積値が所定位置以上である分割領域」という条件を用いることができる。次に、抽出した分割領域に外接する図形を判別する。本実施形態では、外接する矩形を判別している。外接する図形は、矩形に限定されず、外接する円(外接円)等を用いることもできる。そして、判別した、外接する図形の図形情報に基づいて構成要素情報を更新する。例えば、外接する矩形の重心位置に基づいて、構成要素情報に含まれている位置情報を更新する。また、外接する矩形の大きさ(幅と高さ)に基づいて、構成要素情報に含まれている外形情報で示される大きさを更新する。
【0017】
画像生成手段114は、構成要素データベース121に記憶されている、構成要素情報更新手段113により更新された(後述する学習モードで更新された)構成要素情報(位置情報、外形情報)に基づいて画像を生成し、生成した画像を表示手段130に表示する。
画像を生成する方法としては、例えば、更新された位置情報で示される基準配置位置の近傍の位置に、更新された外形情報で示される基準外形を有し、更新された外形情報で示される基準外形に近い外形を有する構成要素が配置された画像を生成する。
【0018】
本実施形態の画像生成支援装置100の動作を以下に説明する。
以下では、記憶手段120の構成要素データベース121に、画像を形成する各構成要素の構成要素情報の初期値(初期位置、初期形状、初期サイズ)が記憶されているものとする。構成要素や構成要素情報の初期値を入力する方法としては、入力手段140を構成するキーボードやタッチパネルを操作することによって入力する方法、入力手段140を構成する読み取り装置を用いて記憶媒体から読み取る方法、入力手段140を構成する通信手段を用いて外部から受信する方法等を用いることができる。
なお、構成要素情報の初期値として予め定められている値を用いることもできる。この場合、構成要素情報の入力は不要となる。
【0019】
本実施形態の画像生成支援装置100は、学習モードと画像生成モードに設定可能である。
先ず、学習モードにおける動作の一例を、図3に示されているフローチャートを参照して説明する。図3に示されている学習モードの処理は、例えば、入力手段140から学習モード開始信号が入力されることによって開始される。
図3に示されている学習モードにおける処理は、画像候補生成手段111、評価情報取得手段112および構成要素情報更新手段113により実行される。
【0020】
ステップs1では、画像候補の生成回数を示すnを「1」に設定する。
ステップs2では、構成要素データベース121に記憶されている、画像を形成する複数の構成要素のうちの一つを選択する。
ステップs3では、ステップs2で選択した構成要素に対応して構成要素データベース121に記憶されている構成要素情報(位置情報、外形情報)に基づいて、選択した構成要素の配置態様をランダムに決定する。例えば、位置情報で示される基準配置位置に、乱数により設定されるオフセットを加算した位置に、外形情報で示される基準外形の形状を有し、外形情報で示される基準外形の大きさに、乱数により設定される係数を乗算した大きさの構成要素を配置する。
ステップs4では、画像を形成する全ての構成要素を選択したか否かを判断する。全ての構成要素を選択していない場合には、ステップs5に進み、全ての構成要素を選択した場合には、ステップs6に進む。
ステップs5では、他の構成要素(選択していない構成要素のうちの一つ)を選択し、ステップs3に進む。本実施形態では、ステップs5からステップs3に進む場合には、構成要素同士が重ならないように他の構成要素の配置態様を決定する。例えば、他の構成要素の配置態様が、すでに配置態様が決定されている構成要素と重なる場合には、再度配置態様を決定する。なお、構成要素同士の重なりを許容するように設定することもできる。この場合には、重なりが許容された構成要素同士は、後から配置態様が決定された構成要素を、先に配置態様が決定された構成要素の前面に配置する。
【0021】
ステップs6では、ステップs3で決定した各構成要素の配置態様に基づいて画像候補を生成し、表示手段130に表示する。すなわち、画像候補を形成する構成要素を、表示手段130の表示画面の表示領域に表示(配置)する。
ステップs7では、表示手段130に表示した画像候補に対して評価が有ったか否かを判断する。本実施形態では、表示手段130に表示した画像候補に対して、ユーザーが、当該画像候補を選択したことを示す評価信号が入力されたか否かを判断する。画像候補に対して評価が有った(評価信号が入力された)場合には、ステップs8に進み、画像候補に対して評価信号が無かった(評価信号が入力されなかった)場合には、ステップs9に進む。なお、評価信号が入力されなかったことは、例えば、表示手段130に画像候補を表示してから一定時間内に入力手段140から評価信号が入力されなかったこと、あるいは、選択する画像候補がないことを示す信号が入力手段140から入力されたことにより判断することができる。
【0022】
ステップs8では、表示手段130に表示した画像候補に対する評価情報を取得し、構成要素データベース121に記憶する。具体的には、表示手段130に表示されている画像候補を形成する各構成要素の配置領域を示す評価情報を取得し、構成要素データベース121に、各構成要素に対応させて記憶する。
本実施形態では、画像候補および画像を表示する、表示手段130の表示画面の表示領域は、X方向およびY方向に延在する複数の分割領域に分割されている。分割領域の位置は、表示領域におけるX座標とY座標により表される。このため、構成要素が配置される配置領域は、分割領域の位置で表すことができる。
なお、本実施形態では、構成要素の配置領域を示す評価情報として行列を用いている。行列は、X方向およびY方向に延在する分割領域の位置を要素とし、構成要素の配置領域に対応する分割領域の位置を示す。例えば、行列を構成する要素のうち、構成要素の配置領域に対応する要素に「1」が設定され、他の要素に「0」が設定された行列が用いられる。
【0023】
ステップs9では、nが所定回数Nに等しいか否かを判断する。すなわち、画像候補をN個表示したか否か(詳しくは、画像候補の生成処理および画像候補に対する評価情報の取得処理がN回行われたか否か)を判断する。nがNと等しくない場合(画像候補をN個表示していない場合)には、ステップs10に進み、nがNと等しい場合(画像候補をN個表示した場合)には、ステップs11に進む。
ステップs10では、nに「1」を加算した後、ステップs2に進み、次の画像候補の生成処理および画像候補に対する評価情報の取得処理(ステップs2~s8)を繰り返す。
【0024】
ステップs11では、ステップs8で取得した、各画像候補に対する評価情報に基づいて、構成要素データベース121に記憶されている各構成要素の構成要素情報を更新する。
具体的には、ステップs8で取得した評価情報を構成要素毎に累積(加算)し、各構成要素の累積評価情報を求める。複数の評価情報を累積した累積評価情報は、構成要素の配置の分布を示す。本実施形態では、累積評価情報として、構成要素の配置領域に対応する分割領域の位置を示す行列を加算した加算行列を用いている。加算行列は、分割領域の位置を要素とし、構成要素の配置の分布を示す。例えば、行列を構成する要素のうち、構成要素の配置の分布を示す分割領域に対応する要素に累積値(正の整数値)が設定され、他の要素に「0」が設定された加算行列が用いられる。
そして、各構成要素の加算行列に基づいて、各構成要素の構成要素情報を更新する。各構成要素の加算行列に基づいて、各構成要素の構成要素情報を更新する方法としては、前述した方法を用いることができる。例えば、加算行列から求めた、構成要素の配置の分布の重心位置と共分散に基づいて構成要素情報を更新する方法を用いることができる。あるいは、加算行列から、抽出条件を満足する分割領域の位置を示す抽出行列(抽出評価情報)を求める。そして、抽出評価情報に基づいて構成要素情報を更新する。
【0025】
ステップs12では、更新終了条件が満足されたか否か(構成要素情報の更新を終了するか否か)を判断する。更新終了条件が満足されていない場合には、ステップs1に戻り、更新終了条件が満足された場合には、処理を終了する。
更新終了条件としては、適宜の条件を設定することができる。例えば、「構成要素情報の更新を設定回数(1回を含む)行った」条件を用ることができる。あるいは、一定回数の更新における各構成要素の加算行列の要素の「重心位置の移動量の平均」や「共分散の平均」が所定値に満たない場合は更新を終了する、といった条件を用いることができる。
構成要素情報の更新処理を繰り返す場合には、画像候補を生成する方法を変更するのが好ましい。
【0026】
次に、画像生成モードにおける動作の一例を、図4を参照して説明する。図4に示されている画像生成モードにおける処理は、画像生成手段114によって実行される。
図4に示されている画像生成モードの処理は、例えば、入力手段140から画像生成開始信号が入力されることによって開始される。なお、図3に示されている学習モードの処理が終了した後に開始されるように構成することもできる。
ステップt1では、構成要素データベース121に記憶されている、画像を形成する複数の構成要素のうちの一つを選択する。
ステップt2では、ステップt1で選択した構成要素に対応して構成要素データベース121に記憶されている、学習モード(図3参照)で更新した構成要素情報(位置情報、外形情報)に基づいて、選択した構成要素の配置態様を決定する。ステップt2における、構成要素の配置態様を決定する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、更新した構成要素情報に含まれている位置情報で示される、更新した基準配置位置の近傍の位置に、外形情報で示される、更新した基準外形に近い外形を有する構成要素を配置した画像を生成する方法が用いられる。
ステップt3では、画像を形成する全ての構成要素を選択したか否かを判断する。全ての構成要素を選択していない場合には、ステップt4に進み、全ての構成要素を選択した場合には、ステップt5に進む。
ステップt4では、他の構成要素(選択していない構成要素のうちの一つ)を選択し、ステップt2に進む。
【0027】
ステップt5では、ステップt2で決定した各構成要素の配置態様に基づいて画像を生成し、表示手段130に表示する。すなわち、画像を、表示手段130の表示画面の配置領域に表示(配置)する。
ステップt6では、表示手段130に表示した画像に対して他の画像の要求が有ったか否かを判断する。本実施形態では、ユーザーは、表示手段130に表示された画像と異なる他の画像の表示を要求する場合には、入力手段140から、他の画像の表示を要求する画像要求信号を入力可能に構成されている。このため、表示手段130に表示した画像に対して他の画像の要求が有ったか否かは、入力手段140から画像要求信号が入力されたか否かによって判断する。他の画像の要求が有った(画像要求信号が入力された)場合には、ステップt1に進み、他の画像の要求が無かった(画像要求信号が入力されなかった)場合には、終了する。なお、画像要求信号が入力されなかったことは、例えば、表示手段130に画像を表示してから一定時間内に入力手段140から画像要求信号が入力されなかったことにより、あるいは、表示された画像を選択したことを示す信号が入力手段140から入力されたことにより判断することができる。
【0028】
図3のステップs1~s6、s9、s10の処理は、画像候補生成手段111によって実行される。
図3のステップs7の処理は、評価情報取得手段112によって実行される。
図3のステップs11、s12の処理は、構成要素情報更新手段113によって実行される。
図4のステップt1~t6の処理は、画像生成手段114によって実行される。
【0029】
次に、本実施形態の画像生成支援装置100の動作を、図5図17を参照して具合的に説明する。
以下では、図5に示されているように、表示手段130の表示画面の表示領域に、画像を構成する構成要素A~Cを配置する場合について説明する。図5では、画像を形成する構成要素A~Cは、長方形を有している。
表示手段130の表示画面の表示領域は、X方向およびY方向に沿って延在する矩形形状を有しているとともに、X方向およびY方向に沿って複数の分割領域に分割されている。図5では、表示手段130の表示画面を形成する画素(ピクセル)の領域が分割領域として規定されている。分割領域の位置は、表示領域におけるX座標とY座標によって表される。
なお、構成要素データベース121には、構成要素A~Cが記憶されているとともに、構成要素A~Cの構成要素情報(位置情報、外形情報)の初期値が構成要素A~Cに対応して記憶されている。
【0030】
先ず、画像候補を生成して表示手段130に表示する動作を説明する。なお、画像候補はN個作成して表示するが、以下では、N個の画像候補G1、G2、…、GNを生成して表示する場合について説明する。
【0031】
先ず、図6に示されているように、構成要素データベース121に、構成要素A、B、Cに対応して記憶されている構成要素情報(位置情報、外形情報)に基づいて、画像候補G1を形成する構成要素A1、B1、C1の配置態様をランダムに順次決定する。
そして、入力手段140から入力される評価信号に基づいて、図7図9に示されているように、構成要素A1、B1、C1それぞれの評価情報R(A1)、R(B1)、R(C1)を取得する。
評価情報R(A1)は、図7に破線で囲まれている領域を示す。評価情報R(A1)は、表示領域を分割した分割領域の位置を要素とし、図7に「1」が示されている分割領域に対応する要素に「1」が設定され、他の要素に「0」が設定された行列で表される。
評価情報R(B1)は、図8に破線で囲まれている領域を示す。評価情報R(A1)は、表示領域を分割した分割領域の位置を要素とし、図8に「1」が示されている分割領域に対応する要素に「1」が設定され、他の要素に「0」が設定された行列で表される。
評価情報R(C1)は、図9に破線で囲まれている領域を示す。評価情報R(C1)は、表示領域を分割した分割領域の位置を要素とし、図9に「1」が示されている分割領域に対応する要素に「1」が設定され、他の要素に「0」が設定された行列で表される。
【0032】
次に、図10に示されているように、構成要素データベース121に、構成要素A、B、Cに対応して記憶されている構成要素情報(位置情報、外形情報)に基づいて、画像候補G2を形成する構成要素A2、B2、C2の配置態様をランダムに順次決定する。
そして、入力手段140から入力される評価信号に基づいて、構成要素A2、B2、C2それぞれの評価情報R(A2)(図12参照)、R(B2)(図13参照)、R(C2)(図14参照)を取得する。
次に、図11に示されているように、構成要素データベース121に、構成要素A、B、Cに対応して記憶されている構成要素情報(位置情報、外形情報)に基づいて、画像候補GNを形成する構成要素AN、BN、CNの配置態様をランダムに順次決定する。
そして、入力手段140から入力される評価信号に基づいて、構成要素AN、BN、CNそれぞれの評価情報R(AN)(図12参照)、R(BN)(図13参照)、R(CN)(図14参照)を取得する。
【0033】
画像候補G1、G2、…、GNを表示手段130に表示した後、取得した評価情報R(A1)~R(C1)、R(A2)~R(C2)、…、R(AN)~R(CN)を構成要素A~C毎に累積(加算)し、各構成要素A~Cの累積評価情報S(A)、S(B)、S(C)を取得する。
【0034】
構成要素Aの累積評価情報S(A)は、図12に示されているように、破線で囲まれている、構成要素A1の評価情報R(A1)で示される領域、一点鎖線で囲まれている、構成要素A2の評価情報R(A2)で示される領域、二点鎖線で囲まれている、構成要素ANの評価情報R(AN)で示される領域で表され、構成要素(A1)、(A2)、…、(AN)の配置の分布を示す。
累積評価情報S(A)は、表示領域を分割した分割領域の位置を要素とし、図12に「1」で示されている分割領域(R(A1)のみで示される領域、R(A2)のみで示される領域、R(AN)のみで示される領域)に対応する要素に「1」が設定され、「2」で示されている分割領域(R(A1)とR(A2)で示される領域、R(A2)とR(AN)で示される領域、R(AN)とR(A1)で示される領域)に対応する要素に「2」が設定され、「3」で示されている分割領域(R(A1)、R(A2)およびR(AN)で示される領域)に対応する要素に「3」が設定されている行列で表される。
【0035】
構成要素Bの累積評価情報S(B)は、図13に示されているように、破線で囲まれている、構成要素B1の評価情報R(B1)で示される領域、一点鎖線で囲まれている、構成要素B2の評価情報R(B2)で示される領域、二点鎖線で囲まれている、構成要素BNの評価情報R(BN)で示される領域で表され、構成要素(B1)、(B2)、…、(BN)の配置の分布を示す。
累積評価情報S(B)は、配置領域を分割した分割領域の位置を要素とし、図13に「1」で示されている分割領域(R(B1)のみで示される領域、R(B2)のみで示される領域、R(BN)のみで示される領域)に対応する要素に「1」が設定され、「2」で示されている分割領域(R(B1)とR(B2)で示される領域)に対応する要素に「2」が設定されている行列で表される。
【0036】
構成要素Cの累積評価情報S(C)は、図14に示されているように、破線で囲まれている、構成要素C1の評価情報R(C1)で示される領域、一点鎖線で囲まれている、構成要素C2の評価情報R(C2)で示される領域、二点鎖線で囲まれている、構成要素CNの評価情報R(CN)で示される領域で表され、構成要素(C1)、(C2)、…、(CN)の配置の分布を示す。
累積評価情報S(C)は、配置領域を分割した分割領域の位置を要素とし、図14に「1」で示されている分割領域(R(C1)のみで示される領域、R(C2)のみで示される領域、R(CN)のみで示される領域)に対応する要素に「1」が設定され、「2」で示されている分割領域(R(C1)とR(C2)で示される領域)に対応する要素に「2」が設定されている行列で表される。
【0037】
次に、構成要素Aの累積評価情報S(A)、構成要素Bの累積評価情報S(B)、構成要素Cの累積評価情報S(C)に基づいて、構成要素データベース121に構成要素A、B、Cに対応して記憶されている構成要素情報(位置情報、外形情報)を更新する。
累積評価情報に基づいて構成要素情報を更新する方法としては種々の方法を用いることができる。
【0038】
例えば、構成要素A~Cの累積評価情報S(A)~S(C)の重心位置と共分散に基づいて、構成要素A~Cの構成要素情報(位置情報、外形情報)を更新する方法を用いることができる。
あるいは、構成要素A~Cの累積評価情報S(A)~S(C)から求めた累積評価情報の部分集合U(A)~U(C)に基づいて、構成要素A~Cの構成要素情報(位置情報、外形情報)を更新する方法を用いることができる。
具体的には、累積評価情報で示される、構成要素の配置の分布に対応する分割領域の位置の中から、抽出条件を満足する分割領域の位置(抽出評価情報)を判別する。抽出条件としては、例えば、「累積値が所定値以上の分割領域」を用いることができる。そして、抽出した分割領域の位置に外接する図形(本実施形態では、矩形)を判別し、外接する図形の領域(累積評価情報の部分集合で表される領域)に含まれる分割領域の位置を示す累積評価情報の部分集合を求める。
図15に、累積評価情報S(A)から求めた抽出評価情報T(A)と、抽出評価情報T(A)から求めた累積評価情報の部分集合U(A)が示されている。抽出評価情報T(A)は、累積値(加算値)が「3」以上である分割領域を示している。累積評価情報の部分集合U(A)は、抽出評価情報T(A)で示される分割領域に外接する図形の領域(累積評価情報の部分集合で示される領域)に含まれる分割領域の位置を示している。
図16に、累積評価情報S(B)から求めた抽出評価情報T(B)と、抽出評価情報T(B)から求めた累積評価情報の部分集合U(B)が示されている。抽出評価情報T(B)は、累積値(加算値)が「2」以上である分割領域を示している。累積評価情報の部分集合U(B)は、抽出評価情報T(B)で示される分割領域に外接する図形の領域(累積評価情報の部分集合で示される領域)に含まれる分割領域の位置を示している。
図17に、累積評価情報S(C)から求めた抽出評価情報T(C)と、抽出評価情報T(C)から求めた累積評価情報の部分集合U(C)が示されている。抽出評価情報T(C)は、累積値(加算値)が「2」以上である分割領域を示している。累積評価情報の部分集合U(C)は、抽出評価情報T(C)で示される分割領域に外接する図形の領域(累積評価情報の部分集合で示される領域)に含まれる分割領域の位置を示している。
そして、求めた構成要素A~Cの累積評価情報の部分集合U(A)~U(C)に基づいて、構成要素A~Cの構成要素情報(位置情報、外形情報)を更新する。例えば、構成要素Aの累積評価情報の部分集合U(A)の重心位置に基づいて、構成要素Aの構成要素情報に含まれている位置情報を更新する。また、構成要素Aの累積評価情報の部分集合U(A)の大きさ(外接する矩形の大きさ)に基づいて、構成要素Aの構成要素情報に含まれている外形情報で示される大きさを更新する。
【0039】
以上の実施形態では、提示した画像候補に対するユーザー(広告の閲覧者)の選択結果に基づき、構成要素情報を更新している。
このような、ユーザー行動等の観測によるフィードバックから生成モデルのパラメータを最適値に更新する手法は、一般に「強化学習」と呼ばれている。強化学習は、オンライン機械学習の一種であり、システムの処理手段110に含まれる「エージェント」が、外部の「環境」の情報をリアルタイムに観測し、何らかの最適化基準(目的関数)に基づいて、ある局面での価値判断や方策決定のパラメータを更新していく手法である。
本発明の実施形態においては、エージェントは、「画像候補生成手段111」、「評価情報取得手段112」、「構成要素情報更新手段113」および「画像生成手段114」に相当し、環境は、「評価情報取得手段112」によって観測されるユーザーとその選択行動に相当する。
【0040】
強化学習に基づく手法は、多層ニューラルネットワークによる深層強化学習を用いて実現することもできる。
本発明の異なる実施形態では、画像候補の提示および画像候補に対するユーザーの選択結果に基づいた構成要素情報の更新処理を、多層ニューラルネットワークによる深層強化学習を用いて実現している。
本実施形態は、構成要素の配置態様の方策を決定する「エージェント」と、観測されるユーザーとその選択行動を表す「環境」により構成されている。
深層強化学習においては、エージェントが取る方策(構成要素の配置態様の決定)に対し、環境であるユーザーが選択行動を行い、その観測結果に応じてエージェントに報酬(評価情報)がフィードバックされ、方策のパラメータ(累積評価情報)の更新が行われる。
本実施形態では、前述した画像候補生成手段111、評価情報取得手段112、構成要素情報更新手段113および画像生成手段114の動作を、多層ニューラルネットワークが用いて実行し、ネットワークのパラメータ(各ノードの重み係数とバイアス値)は誤差逆伝播学習により最適な値に調整される。
深層強化学習における多層ニューラルネットワークは、典型的には、多層パーセプトロン(MLP)あるいは畳み込みニューラルネットワーク(CNN)等を用いて適宜最適な形態で構成される。また、深層強化学習では、既存の種々のアルゴリズムを用いることができる。
【0041】
本実施形態では、「環境」の情報を全て観測可能であることから、「方策ベース」のアルゴリズムが適している。方策ベースのアルゴリズムとしては既存の種々の方法を用いることができる。以下では、本実施形態に好適なアルゴリズムとして、「Actor-Critic法」を用いた例を説明する。
「Actor-Critic法」は、エージェントの方策(行動)を決定するActorと、行動結果の状態の評価を行うCriticにより構成される。図18に、本実施形態を「Actor-Critic法」でモデル化した構成が示されている。
学習モードにおいては、下記の手順(1)から(6)を繰り返し実行し、ユーザーの選択結果に基づき方策パラメータを逐次更新していく。
(1)Actorは、現時点の方策πに従って、行動a(t)を選択して実行する。
(2)ユーザーの選択により、環境は、1時刻先の状態S(t+1)へ遷移する。
(3)Criticは、1時刻先の状態S(t+1)を観測する。
(4)Criticは、行動a(t)による報酬r(t)を受け取る。
(5)Criticは、状態S(t+1)の評価値V(S(t))を推定し、Actorに渡す。
(6)Actorは、評価値V(S(t))に基づいて、方策πを更新する。
なお、手順(1)が、前述した「画像候補生成手段111」および「画像生成手段114」の処理に対応し、手順(2)~(4)が、前述した「評価情報取得手段112」の処理に対応し、手順(5)と(6)が、前述した「構成要素情報更新手段113」の処理にい対応する。
また、「状態」が、前述した「累積評価情報」に対応し、「評価値」が、ユーザーの選択により取得した各構成要素の「評価情報」に対応する。
画像生成モードにおいては、ある時刻Tで学習を終了した後に、その時間断面での方策パラメータに従って手順(1)を実行する。
【0042】
以上のように、本実施形態では、処理手段110は、画像候補の生成、評価情報の取得および各構成要素の構成要素情報の更新を、多層ニューラルネットワークで構成されるActor-Critic法を用いて実行することができる。
本実施形態においても、画像を形成する構成要素を、ユーザーの選択に基づく学習によって最適に自動配置した画像を容易に生成することができる。
【0043】
以上のように、本発明では、画像を形成する構成要素の配置態様は、構成要素に対応して記憶されている構成要素情報に基づいて決定される。構成要素の構成要素情報は、複数の画像候補に対するユーザーの選択に基づいて更新される。そして、更新された構成要素情報に基づいて画像を生成する。
これにより、画像を形成する構成要素の最適な配置を、ユーザーの選択に基づく学習結果に基づき容易に生成することができる。
【0044】
本発明は、実施形態で説明した構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。
画像を形成する構成要素は、適宜変更可能である。
構成要素の形状、大きさは、適宜変更可能である。
構成要素に対応する構成要素情報は、実施形態で説明した構成に限定されず、種々変更可能である。
構成要素データベースの構成は、実施形態で説明した構成に限定されない。
学習モードにおける処理は、図3に示されている処理に限定されない。
画像候補を生成する方法は、実施形態で説明した方法に限定されない。
評価情報を取得する方法は、実施形態で説明した方法に限定されない。
構成要素情報を更新する方法は、実施形態で説明した方法に限定されない。
画像生成モードにおける処理は、図4に示されている処理に限定されない。
画像を生成する方法は、実施形態で説明した方法に限定されない。
多層ニューラルネットワークによる深層強化学習で用いるアルゴリズムは、実施形態で説明したアルゴリズムに限定されない。
実施形態で説明した構成は、単独で用いることもできるし、適宜選択した複数の構成を組み合わて用いることもできる。
実施形態では、オンライン広告用の画像を生成する場合について説明したが、本発明は、複数の構成要素により形成される種々の画像を生成する際に用いることができる。
【符号の説明】
【0045】
100 画像生成支援装置
110 処理手段(処理装置)
111 画像候補生成手段
112 評価情報取得手段
113 構成要素情報更新手段
114 画像生成手段
120 記憶手段(記憶装置)
121 構成要素データベース
130 表示手段(表示装置)
140 入力手段(入力装置)
G1、G2、GN 画像候補
A、B、C、A1、B1、C1、A2、B2、C2、AN、BN、CN 構成要素
R(A1)、R(B1)、R(C1)、R(A2)、R(B2)、R(C2)、R(AN)、R(BN)、R(CN) 評価情報
S(A)、S(B)、S(C) 累積評価情報
T(A)、T(B)、T(C) 抽出評価情報
U(A)、U(B)、U(C) 累積評価情報の部分集合
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18