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特開2022-189690音声増大装置、パーテーション、マスク、マウスシールドおよびフェイスシールド
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  • 特開-音声増大装置、パーテーション、マスク、マウスシールドおよびフェイスシールド 図1
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  • 特開-音声増大装置、パーテーション、マスク、マウスシールドおよびフェイスシールド 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189690
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】音声増大装置、パーテーション、マスク、マウスシールドおよびフェイスシールド
(51)【国際特許分類】
   A62B 18/08 20060101AFI20221215BHJP
   A41D 13/11 20060101ALI20221215BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20221215BHJP
   G10K 11/24 20060101ALI20221215BHJP
   G10K 11/02 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
A62B18/08 A
A41D13/11 Z
A41D13/11 L
A62B18/02 B
G10K11/24
G10K11/02 100
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169458
(22)【出願日】2021-10-15
(62)【分割の表示】P 2021097740の分割
【原出願日】2021-06-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】520154438
【氏名又は名称】末次 功憲
(74)【代理人】
【識別番号】100140796
【弁理士】
【氏名又は名称】原口 貴志
(72)【発明者】
【氏名】末次 功憲
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA06
2E185AA07
2E185DA17
(57)【要約】
【課題】 話し手の音声を聞き手にとって聞き取り易くすることができる音声増大装置、パーテーション、マスク、マウスシールドおよびフェイスシールドを提供する。
【解決手段】 飛沫抑制部材91に対して特定の位置に配置される音声増大装置10は、飛沫抑制部材91および自身の間の空気、および、飛沫抑制部材91から振動を受ける固体部分である基部振動入力部21aと、飛沫抑制部材91から振動を受ける固体部分である被載置部30と、飛沫抑制部材91および自身の間の空気、および、飛沫抑制部材91から振動を受ける固体部分である連結部40と、基部振動入力部21a、被載置部30および連結部40によって受けられた振動を自身に対する聞き手側の空気に伝える固体部分である基部振動出力部21bとを備え、基部振動入力部21a、被載置部30および連結部40から基部振動出力部21bに音声を、固体中を伝わる振動として伝えることを特徴とする。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
話し手の口および鼻の少なくとも一方から生じた飛沫を抑制するために前記話し手と、聞き手との間に配置される飛沫抑制部材に対して特定の位置に配置されて、前記聞き手に伝わる前記話し手の音声を増大させる音声増大装置であって、
前記飛沫抑制部材と、前記飛沫抑制部材および自身の間の空気との少なくとも一方から振動を受ける振動入力部と、
前記振動入力部によって受けられた振動を自身に対する前記聞き手側の空気に伝える振動出力部と
を備えることを特徴とする音声増大装置。
【請求項2】
前記振動出力部によって出力された音声に指向性を付与することによって前記聞き手に伝わる音声を増大させる指向性付与部を備えることを特徴とする請求項1に記載の音声増大装置。
【請求項3】
前記飛沫抑制部材に載置される被載置部を備え、
前記音声増大装置は、前記被載置部が前記飛沫抑制部材に載置されることによって前記飛沫抑制部材に対して前記特定の位置に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音声増大装置。
【請求項4】
前記振動出力部および前記被載置部を連結する連結部を備え、
前記連結部は、前記音声増大装置が前記飛沫抑制部材に対して前記特定の位置に配置されている場合の鉛直方向における長さが可変であることを特徴とする請求項3に記載の音声増大装置。
【請求項5】
前記飛沫抑制部材に対する前記話し手側の空気から振動を受ける追加入力部を備え、
前記振動出力部は、前記振動入力部によって受けられた振動と、前記追加入力部によって受けられた振動とを自身に対する前記聞き手側の空気に伝えることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の音声増大装置。
【請求項6】
前記振動出力部によって出力された音声を増大させる拡声器を備えることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の音声増大装置。
【請求項7】
前記音声増大装置が前記飛沫抑制部材に対して前記特定の位置に配置されている場合に前記飛沫抑制部材に対する前記話し手側に配置されて、前記音声増大装置のうち前記飛沫抑制部材に対する前記聞き手側の部分を共鳴させる共鳴用部材を備え、
前記振動出力部は、前記音声増大装置が前記飛沫抑制部材に対して前記特定の位置に配置されている場合に前記飛沫抑制部材に対する前記聞き手側に配置されることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載の音声増大装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれかに記載の音声増大装置と、
前記飛沫抑制部材と
を備えることを特徴とするパーテーション。
【請求項9】
請求項1から請求項7までのいずれかに記載の音声増大装置と、
前記飛沫抑制部材と
を備えることを特徴とするマスク。
【請求項10】
請求項1から請求項7までのいずれかに記載の音声増大装置と、
前記飛沫抑制部材と
を備えることを特徴とするマウスシールド。
【請求項11】
請求項1から請求項7までのいずれかに記載の音声増大装置と、
前記飛沫抑制部材と
を備えることを特徴とするフェイスシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、話し手の口および鼻の少なくとも一方から生じた飛沫を抑制するために話し手と、聞き手との間に配置される飛沫抑制部材に対して特定の位置に配置されて、聞き手に伝わる話し手の音声を増大させる音声増大装置、パーテーション、マスク、マウスシールドおよびフェイスシールドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、話し手の口および鼻の少なくとも一方から生じた飛沫を抑制するために話し手と、聞き手との間に配置される飛沫抑制部材として、話し手によって着用されるマスクが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-084388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のマスクにおいては、話し手の口および鼻の少なくとも一方から生じた飛沫を抑制することができるものの、聞き手に伝わる話し手の音声を小さくしてしまうので、話し手の音声が聞き手にとって聞き取り難いという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、話し手の音声を聞き手にとって聞き取り易くすることができる音声増大装置、パーテーション、マスク、マウスシールドおよびフェイスシールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の音声増大装置は、話し手の口および鼻の少なくとも一方から生じた飛沫を抑制するために前記話し手と、聞き手との間に配置される飛沫抑制部材に対して特定の位置に配置されて、前記聞き手に伝わる前記話し手の音声を増大させる音声増大装置であって、前記飛沫抑制部材と、前記飛沫抑制部材および自身の間の空気との少なくとも一方から振動を受ける振動入力部と、前記振動入力部によって受けられた振動を自身に対する前記聞き手側の空気に伝える振動出力部とを備えることを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明の音声増大装置は、話し手の音声の振動を、飛沫抑制部材と、飛沫抑制部材および振動入力部の間の空気との少なくとも一方から振動入力部によって受け、振動入力部によって受けられた、話し手の音声の振動を、振動出力部に対する聞き手側の空気に振動出力部によって伝えるので、聞き手に伝わる話し手の音声を増大させることができ、その結果、話し手の音声を聞き手にとって聞き取り易くすることができる。
【0008】
本発明の音声増大装置は、前記振動出力部によって出力された音声に指向性を付与することによって前記聞き手に伝わる音声を増大させる指向性付与部を備えても良い。
【0009】
この構成により、本発明の音声増大装置は、振動出力部によって出力された音声に指向性付与部によって指向性を付与することによって聞き手に伝わる音声を増大させるので、話し手の音声を聞き手にとって更に聞き取り易くすることができる。
【0010】
本発明の音声増大装置は、前記飛沫抑制部材に載置される被載置部を備え、前記音声増大装置は、前記被載置部が前記飛沫抑制部材に載置されることによって前記飛沫抑制部材に対して前記特定の位置に配置されても良い。
【0011】
この構成により、本発明の音声増大装置は、被載置部が飛沫抑制部材に載置されることによって飛沫抑制部材に対して特定の位置に配置されるので、飛沫抑制部材に対する音声増大装置の配置作業を容易化することができる。
【0012】
本発明の音声増大装置は、前記振動出力部および前記被載置部を連結する連結部を備え、前記連結部は、前記音声増大装置が前記飛沫抑制部材に対して前記特定の位置に配置されている場合の鉛直方向における長さが可変であっても良い。
【0013】
この構成により、本発明の音声増大装置は、音声増大装置が飛沫抑制部材に対して特定の位置に配置されている場合の鉛直方向における連結部の長さが可変であるので、音声増大装置が飛沫抑制部材に対して特定の位置に配置されている場合の鉛直方向における振動出力部の位置が、振動出力部によって出力された、話し手の音声が聞き手にとって聞き取り易い位置に連結部の長さによって調整されることができ、その結果、話し手の音声を聞き手にとって更に聞き取り易くすることができる。
【0014】
本発明の音声増大装置は、前記飛沫抑制部材に対する前記話し手側の空気から振動を受ける追加入力部を備え、前記振動出力部は、前記振動入力部によって受けられた振動と、前記追加入力部によって受けられた振動とを自身に対する前記聞き手側の空気に伝えても良い。
【0015】
この構成により、本発明の音声増大装置は、振動入力部によって受けられた、話し手の音声の振動だけでなく、飛沫抑制部材に対する話し手側の空気から追加入力部によって受けられた、話し手の音声の振動も、振動出力部が振動出力部自身に対する聞き手側の空気に伝えるので、聞き手に伝わる話し手の音声を増大させることができ、その結果、話し手の音声を聞き手にとって更に聞き取り易くすることができる。
【0016】
本発明の音声増大装置は、前記振動出力部によって出力された音声を増大させる拡声器を備えても良い。
【0017】
この構成により、本発明の音声増大装置は、振動出力部によって出力された音声を拡声器によって増大させるので、聞き手に伝わる話し手の音声を増大させることができ、その結果、話し手の音声を聞き手にとって更に聞き取り易くすることができる。
【0018】
本発明の音声増大装置は、前記音声増大装置が前記飛沫抑制部材に対して前記特定の位置に配置されている場合に前記飛沫抑制部材に対する前記話し手側に配置されて、前記音声増大装置のうち前記飛沫抑制部材に対する前記聞き手側の部分を共鳴させる共鳴用部材を備え、前記振動出力部は、前記音声増大装置が前記飛沫抑制部材に対して前記特定の位置に配置されている場合に前記飛沫抑制部材に対する前記聞き手側に配置されても良い。
【0019】
この構成により、本発明の音声増大装置は、飛沫抑制部材に対する話し手側の空気から、話し手の音声の振動を共鳴用部材が受け、音声増大装置のうち飛沫抑制部材に対する聞き手側の部分を共鳴用部材が共鳴させるので、振動出力部が振動出力部自身に対する聞き手側の空気に伝える、話し手の音声の振動を増大させることができる。したがって、本発明の音声増大装置は、聞き手に伝わる話し手の音声を増大させることができ、その結果、話し手の音声を聞き手にとって更に聞き取り易くすることができる。
【0020】
本発明のパーテーションは、上述の音声増大装置と、前記飛沫抑制部材とを備えることを特徴とする。
【0021】
この構成により、本発明のパーテーションは、話し手の音声を聞き手にとって聞き取り易くすることができる。
【0022】
本発明のマスクは、上述の音声増大装置と、前記飛沫抑制部材とを備えることを特徴とする。
【0023】
この構成により、本発明のマスクは、話し手の音声を聞き手にとって聞き取り易くすることができる。
【0024】
本発明のマウスシールドは、上述の音声増大装置と、前記飛沫抑制部材とを備えることを特徴とする。
【0025】
この構成により、本発明のマウスシールドは、話し手の音声を聞き手にとって聞き取り易くすることができる。
【0026】
本発明のフェイスシールドは、上述の音声増大装置と、前記飛沫抑制部材とを備えることを特徴とする。
【0027】
この構成により、本発明のフェイスシールドは、話し手の音声を聞き手にとって聞き取り易くすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の音声増大装置、パーテーション、マスク、マウスシールドおよびフェイスシールドは、話し手の音声を聞き手にとって聞き取り易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施の形態に係る音声増大装置が取り付けられた状態でのパーテーションの斜視図である。
図2図1に示す音声増大装置が取り付けられた状態でのパーテーションの一部の側面断面図である。
図3】(a)図2に示す例とは異なる例の音声増大装置が取り付けられた状態でのパーテーションの一部の側面断面図である。 (b)図2および図3(a)に示す例とは異なる例の音声増大装置が取り付けられた状態でのパーテーションの一部の側面断面図である。
図4】連結部が延長された、図1に示す音声増大装置が取り付けられた状態でのパーテーションの正面図である。
図5】(a)追加入力部を備えた、図1に示す音声増大装置が取り付けられた状態でのパーテーションの背面図である。 (b)図5(a)に示す音声増大装置が取り付けられた状態でのパーテーションの一部の側面図である。
図6】拡声器を備えた、図1に示す音声増大装置が取り付けられた状態でのパーテーションの一部の、側面側から観察した部分断面図である。
図7】飛沫抑制部材の両面のそれぞれ側の聞き手用の、図1に示す音声増大装置が取り付けられた状態でのパーテーションの正面図である。
図8】(a)被載置部および連結部が紐状の部材で形成されている、本発明の一実施の形態に係る音声増大装置が取り付けられた状態でのパーテーションの正面図である。 (b)被載置部および連結部が紐状の部材で形成されている、本発明の一実施の形態に係る2つの音声増大装置が取り付けられた状態でのパーテーションの正面図である。
図9】被載置部および連結部を備えていない、本発明の一実施の形態に係る音声増大装置が取り付けられた状態でのパーテーションの一部の側面断面図である。
図10】共鳴用部材を備えた、本発明の一実施の形態に係る音声増大装置が取り付けられた状態でのパーテーションの一部の側面図である。
図11】(a)マスクタイプの飛沫抑制部材に取り付けられた状態での、図9に示す音声増大装置の斜視図である。 (b)マウスシールドタイプの飛沫抑制部材に取り付けられた状態での、図9に示す音声増大装置の斜視図である。 (c)フェイスシールドタイプの飛沫抑制部材に取り付けられた状態での、図9に示す音声増大装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0031】
まず、本発明の一実施の形態に係る音声増大装置の構成について説明する。
【0032】
図1は、本実施の形態に係る音声増大装置10が取り付けられた状態でのパーテーション90の斜視図である。図2は、図1に示す音声増大装置10が取り付けられた状態でのパーテーション90の一部の側面断面図である。
【0033】
図1および図2に示すように、音声増大装置10は、パーテーション90に取り付けられて、聞き手に伝わる話し手の音声を増大させるものである。図2において、飛沫抑制部材91に対して右側が話し手側の空間であり、飛沫抑制部材91に対して左側が聞き手側の空間である。
【0034】
パーテーション90は、話し手の口および鼻の少なくとも一方から生じた飛沫を抑制するために話し手と、聞き手との間に配置される飛沫抑制部材91と、飛沫抑制部材91を支持する脚部92とを備えている。パーテーション90は、例えば卓上に設置されるものである。飛沫抑制部材91は、例えばアクリルなどの透明な部材で形成されている。
【0035】
音声増大装置10は、本体20と、飛沫抑制部材91に引っ掛けられることによって飛沫抑制部材91に載置される被載置部30と、本体20および被載置部30を連結する連結部40とを備えている。
【0036】
被載置部30は、飛沫抑制部材91に接触しており、飛沫抑制部材91から振動を受ける振動入力部を構成している。被載置部30は、例えば、木、金属、プラスチックなどの材料によって形成されても良い。音声増大装置10は、被載置部30が飛沫抑制部材91に載置されることによって飛沫抑制部材91に取り付けられる。
【0037】
連結部40は、音声増大装置10が飛沫抑制部材91に取り付けられている場合に飛沫抑制部材91に対する聞き手側に配置されている。連結部40は、飛沫抑制部材91に接触可能であり、飛沫抑制部材91と、飛沫抑制部材91および連結部40自身の間の空気との少なくとも一方から振動を受ける振動入力部を構成している。連結部40は、例えば、木、金属、プラスチックなどの材料によって形成されても良い。連結部40は、本体20および被載置部30の少なくとも一方と、一部品として一体に形成されても良い。
【0038】
本体20は、音声増大装置10が飛沫抑制部材91に取り付けられている場合に飛沫抑制部材91に対する聞き手側に配置されている。本体20は、基部21と、基部21から延設された壁部22とを備えている。本体20は、例えば、木、金属、プラスチックなどの材料によって形成されても良い。本体20は、音声増大装置10が飛沫抑制部材91に取り付けられている場合に鉛直方向、すなわち、矢印10aで示す方向における位置が被載置部30より下になる。
【0039】
基部21のうち飛沫抑制部材91側の部分(以下「基部振動入力部」という。)21aは、飛沫抑制部材91に接触可能であり、飛沫抑制部材91と、飛沫抑制部材91および基部振動入力部21a自身の間の空気との少なくとも一方から振動を受ける振動入力部を構成している。
【0040】
基部21のうち聞き手側の部分(以下「基部振動出力部」という。)21bは、基部振動入力部21a、被載置部30および連結部40によって受けられた振動を基部振動出力部21b自身に対する聞き手側の空気に伝える振動出力部を構成している。
【0041】
壁部22は、基部振動出力部21bによって出力された音声に指向性を付与することによって聞き手に伝わる音声を増大させる指向性付与部を構成している。すなわち、壁部22は、音声を音響的に増大させる音響メガホンを構成している。
【0042】
次に、音声増大装置10の動作について説明する。
【0043】
話し手が音声を発すると、話し手の音声の振動は、空気中を伝った後、主に、飛沫抑制部材91に対する話し手側の空気から飛沫抑制部材91によって受けられる。
【0044】
飛沫抑制部材91によって受けられた、話し手の音声の振動は、飛沫抑制部材91内を伝った後、飛沫抑制部材91から被載置部30によって受けられる。また、飛沫抑制部材91によって受けられた、話し手の音声の振動は、飛沫抑制部材91内を伝った後、飛沫抑制部材91から基部振動入力部21aおよび連結部40の少なくとも一方によって受けられる場合がある。また、飛沫抑制部材91によって受けられた、話し手の音声の振動は、飛沫抑制部材91内を伝った後、飛沫抑制部材91から飛沫抑制部材91に対する聞き手側の空気によって受けられて、更に、空気中を伝った後、飛沫抑制部材91および基部振動入力部21aの間の空気から基部振動入力部21aによって受けられる場合があるとともに、飛沫抑制部材91および連結部40の間の空気から連結部40によって受けられる場合がある。
【0045】
基部振動入力部21a、被載置部30および連結部40によって受けられた、話し手の音声の振動は、音声増大装置10内を伝った後、基部振動出力部21bから、基部振動出力部21bに対する聞き手側の空気によって受けられる。
【0046】
基部振動出力部21bに対する聞き手側の空気によって受けられた、話し手の音声の振動は、壁部22によって指向性が付与されて空気中を伝った後、聞き手によって受けられる。
【0047】
以上に説明したように、音声増大装置10は、話し手の音声の振動を、飛沫抑制部材91と、飛沫抑制部材91および基部振動入力部21aの間の空気との少なくとも一方から基部振動入力部21aによって受け、飛沫抑制部材91から被載置部30によって受け、飛沫抑制部材91と、飛沫抑制部材91および連結部40の間の空気との少なくとも一方から連結部40によって受け、基部振動入力部21a、被載置部30および連結部40によって受けられた、話し手の音声の振動を、基部振動出力部21bに対する聞き手側の空気に基部振動出力部21bによって伝えるので、聞き手に伝わる話し手の音声を増大させることができ、その結果、話し手の音声を聞き手にとって聞き取り易くすることができる。
【0048】
音声増大装置10は、基部振動出力部21bによって出力された音声に壁部22によって指向性を付与することによって聞き手に伝わる音声を増大させるので、話し手の音声を聞き手にとって更に聞き取り易くすることができる。
【0049】
図3(a)は、図2に示す例とは異なる例の音声増大装置10が取り付けられた状態でのパーテーション90の一部の側面断面図である。図3(b)は、図2および図3(a)に示す例とは異なる例の音声増大装置10が取り付けられた状態でのパーテーション90の一部の側面断面図である。
【0050】
壁部22の形状は、本実施の形態において図2に示すようにホーン型であるが、ホーン型以外の形状でも良い。例えば、壁部22の形状は、図3(a)に示すようにコーン型でも良いし、図3(b)に示すように円筒型でも良い。
【0051】
聞き手側の正面から観察した場合の本体20の形状は、本実施の形態において円形であるが、例えば四角形など、円形以外の形状でも良い。
【0052】
音声増大装置10は、本実施の形態において壁部22を備えているが、壁部22を備えていなくても良い。
【0053】
音声増大装置10は、被載置部30が飛沫抑制部材91に載置されることによって飛沫抑制部材91に対して特定の位置に配置されるので、飛沫抑制部材91に対する音声増大装置10の配置作業を容易化することができる。
【0054】
図4は、連結部40が延長された音声増大装置10が取り付けられた状態でのパーテーション90の正面図である。
【0055】
連結部40は、音声増大装置10が飛沫抑制部材91に取り付けられている場合の鉛直方向、すなわち、矢印10aで示す方向における長さが可変でも良い。矢印10aで示す方向における連結部40の長さを可変にする方法としては、種々の方法が採用されることが可能である。例えば、図4に示すように、連結部40は、延長用部材41が追加されることによって、矢印10aで示す方向における長さを延長することが可能でも良い。音声増大装置10は、矢印10aで示す方向における連結部40の長さが可変である場合、矢印10aで示す方向における基部振動出力部21bの位置が、基部振動出力部21bによって出力された、話し手の音声が聞き手にとって聞き取り易い位置に、矢印10aで示す方向における連結部40の長さによって調整されることができ、その結果、話し手の音声を聞き手にとって更に聞き取り易くすることができる。
【0056】
図5(a)は、追加入力部50を備えた音声増大装置10が取り付けられた状態でのパーテーション90の背面図である。図5(b)は、図5(a)に示す音声増大装置10が取り付けられた状態でのパーテーション90の一部の側面図である。
【0057】
図5に示すように、音声増大装置10は、飛沫抑制部材91に対する話し手側の空気から振動を受ける追加入力部50を備えても良い。追加入力部50は、音声増大装置10が飛沫抑制部材91に取り付けられている場合に、飛沫抑制部材91に対して本体20側とは反対側に配置されている。追加入力部50は、飛沫抑制部材91に対する話し手側の空気から主に振動を受けるための主入力部51と、主入力部51を被載置部30に連結するとともに、飛沫抑制部材91に対する話し手側の空気から振動を受けるための補助入力部52とを備えている。追加入力部50は、例えば、木、金属、プラスチックなどの材料によって形成されても良い。追加入力部50は、被載置部30と、一部品として一体に形成されても良い。追加入力部50は、被載置部30に対して着脱可能でも良い。主入力部51は、話し手の口の正面に配置されることが好ましい。音声増大装置10は、追加入力部50を備える場合、基部振動入力部21a、被載置部30および連結部40によって受けられた、話し手の音声の振動だけでなく、飛沫抑制部材91に対する話し手側の空気から追加入力部50によって受けられた、話し手の音声の振動も、基部振動出力部21bが基部振動出力部21b自身に対する聞き手側の空気に伝えるので、聞き手に伝わる話し手の音声を増大させることができ、その結果、話し手の音声を聞き手にとって更に聞き取り易くすることができる。
【0058】
図6は、拡声器60を備えた音声増大装置10が取り付けられた状態でのパーテーション90の一部の、側面側から観察した部分断面図である。
【0059】
図6に示すように、音声増大装置10は、基部振動出力部21bによって出力された音声を増大させる拡声器60を備えても良い。拡声器60は、基部振動出力部21bによって出力された音声が入力されるマイク61と、マイク61の出力信号を増幅する増幅器62と、増幅器62の出力信号に応じた音声を出力するスピーカー63と、マイク61、増幅器62およびスピーカー63の電源としての、図示していない電池とを備えている。拡声器60は、基部振動出力部21bに例えば両面テープなどの接着剤によって貼り付けられることによって取り付けられても良い。音声増大装置10は、拡声器60を備える場合、基部振動出力部21bによって出力された音声を拡声器60によって増大させるので、聞き手に伝わる話し手の音声を増大させることができ、その結果、話し手の音声を聞き手にとって更に聞き取り易くすることができる。
【0060】
図7は、飛沫抑制部材91の両面のそれぞれ側の聞き手用の音声増大装置10が取り付けられた状態でのパーテーション90の正面図である。
【0061】
音声増大装置10は、図1において飛沫抑制部材91の一面側の聞き手用のもののみが設けられている。しかしながら、音声増大装置10は、図7に示すように飛沫抑制部材91の他面側の聞き手用のものが追加で設けられても良い。
【0062】
図7に示すように、飛沫抑制部材91の両面のそれぞれ側の聞き手用の音声増大装置10が設けられる場合、これらの音声増大装置10は、音声の伝達において互いに悪影響を及ぼし合う可能性を低減させるために、互いの基部21が飛沫抑制部材91を介して完全に対向する配置以外の配置にすることが好ましい。すなわち、これらの音声増大装置10の基部21は、飛沫抑制部材91の延在方向における位置が互いにずれるように配置されることが好ましい。
【0063】
図8(a)は、被載置部30および連結部40が紐状の部材で形成されている音声増大装置10が取り付けられた状態でのパーテーション90の正面図である。図8(b)は、被載置部30および連結部40が紐状の部材で形成されている2つの音声増大装置10が取り付けられた状態でのパーテーション90の正面図である。
【0064】
連結部40は、図1において板状の部材で形成されているが、紐状の部材で形成されていても良い。同様に、被載置部30は、紐状の部材で形成されていても良い。例えば、被載置部30および連結部40は、図8に示すように紐状の部材で形成されても良い。
【0065】
図8(a)に示す例では、紐状の被載置部30は、飛沫抑制部材91に形成されている孔91aに一部が通された後、輪になるように飛沫抑制部材91に括り付けられている。
【0066】
図8(b)に示す例では、紐状の被載置部30は、2つの音声増大装置10に共有されており、針金で形成されている。
【0067】
図9は、被載置部30および連結部40を備えていない音声増大装置10が取り付けられた状態でのパーテーション90の一部の側面断面図である。
【0068】
音声増大装置10は、図1において被載置部30が飛沫抑制部材91に載置されることによって飛沫抑制部材91に対して特定の位置に配置されているが、被載置部30が飛沫抑制部材91に載置される方法以外の方法によって、飛沫抑制部材91に対して特定の位置に配置されても良い。例えば、音声増大装置10は、被載置部30および連結部40を備えずに、図9に示すように基部振動入力部21aが飛沫抑制部材91に例えば両面テープなどの接着剤によって貼り付けられることによって、飛沫抑制部材91に取り付けられても良い。また、音声増大装置10は、被載置部30および連結部40を備えずに、本体20が飛沫抑制部材91に例えばネジによって固定されることによって、飛沫抑制部材91に取り付けられても良い。
【0069】
図10は、共鳴用部材70を備えた音声増大装置10が取り付けられた状態でのパーテーション90の一部の側面図である。
【0070】
図10に示すように、音声増大装置10は、音声増大装置10のうち飛沫抑制部材91に対する聞き手側の部分を共鳴させる共鳴用部材70を備えても良い。図10に示す例では、音声増大装置10のうち飛沫抑制部材91に対する聞き手側の部分は、本体20である。共鳴用部材70は、音声増大装置10が飛沫抑制部材91に取り付けられている場合に飛沫抑制部材91に対する話し手側に配置されている。共鳴用部材70は、飛沫抑制部材91に例えば両面テープなどの接着剤によって貼り付けられることによって取り付けられても良い。共鳴用部材70は、例えば、木、金属、プラスチックなどの材料によって形成されても良い。図10に示す例では、共鳴用部材70は、本体20の固有振動数と同一の固有振動数を有するように、質量および剛性などが定められている。共鳴用部材70は、音声増大装置10のうち飛沫抑制部材91に対する聞き手側の部分に飛沫抑制部材91を介して対向する位置に配置されることが好ましい。音声増大装置10は、共鳴用部材70を備える場合、飛沫抑制部材91に対する話し手側の空気から、話し手の音声の振動を共鳴用部材70が受け、音声増大装置10のうち飛沫抑制部材91に対する聞き手側の部分を共鳴用部材70が共鳴させるので、基部振動出力部21bが基部振動出力部21b自身に対する聞き手側の空気に伝える、話し手の音声の振動を増大させることができる。したがって、音声増大装置10は、共鳴用部材70を備える場合、聞き手に伝わる話し手の音声を増大させることができ、その結果、話し手の音声を聞き手にとって更に聞き取り易くすることができる。
【0071】
図11(a)は、マスクタイプの飛沫抑制部材91に取り付けられた状態での、図9に示す音声増大装置10の斜視図である。図11(b)は、マウスシールドタイプの飛沫抑制部材91に取り付けられた状態での、図9に示す音声増大装置10の斜視図である。図11(c)は、フェイスシールドタイプの飛沫抑制部材91に取り付けられた状態での、図9に示す音声増大装置10の斜視図である。
【0072】
図1に示すようなパーテーション90においては、飛沫抑制部材91は、話し手の正面の、話し手とは少し離れた場所に設置されている。しかしながら、飛沫抑制部材91は、例えば図11に示すように話し手に装着されることによって、話し手と、聞き手との間に配置されても良い。図11(a)に示すマスク93と、図11(b)に示すマウスシールド94と、図11(c)に示すフェイスシールド95とは、話し手の口および鼻の少なくとも一方から生じた飛沫を抑制するための飛沫抑制部材91をそれぞれ備えている。
【0073】
なお、音声増大装置10は、図11において、飛沫抑制部材91に貼り付けられることによって、飛沫抑制部材91に対して特定の位置に配置されている。しかしながら、音声増大装置10は、マスク93、マウスシールド94およびフェイスシールド95に取り付けられる場合に、飛沫抑制部材91に貼り付けられる方法以外の方法によって、飛沫抑制部材91に対して特定の位置に配置されても良い。例えば、音声増大装置10は、図1に示すように被載置部30が飛沫抑制部材91に載置されることによってマスク93、マウスシールド94およびフェイスシールド95に取り付けられても良い。
【0074】
以上においては、飛沫抑制部材91の材料としてアクリルを例示したが、飛沫抑制部材91は、アクリル以外の材料で形成されても良い。例えば、飛沫抑制部材91は、綿織物などの不織布以外の布、不織布、ポリウレタン、ビニールなど、様々な材料で形成されることが可能である。
【符号の説明】
【0075】
10 音声増大装置
10a 矢印(鉛直方向を示す矢印)
21a 基部振動入力部(振動入力部)
21b 基部振動出力部(振動出力部)
22 壁部(指向性付与部)
30 被載置部(振動入力部)
40 連結部(振動入力部)
50 追加入力部
60 拡声器
70 共鳴用部材
90 パーテーション
91 飛沫抑制部材
93 マスク
94 マウスシールド
95 フェイスシールド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2021-10-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
話し手の口および鼻の少なくとも一方から生じた飛沫を抑制するために前記話し手と、聞き手との間に配置される飛沫抑制部材に対して特定の位置に配置されて、前記聞き手に伝わる前記話し手の音声を増大させる音声増大装置であって、
前記飛沫抑制部材と、前記飛沫抑制部材および自身の間の空気との少なくとも一方から音声の振動を受ける固体部分である振動入力部と、
前記振動入力部によって受けられた振動を自身に対する前記聞き手側の空気に伝える固体部分である振動出力部と
を備え
前記音声増大装置は、前記振動入力部から前記振動出力部に音声を、固体中を伝わる振動として伝えることを特徴とする音声増大装置。
【請求項2】
前記振動出力部によって出力された音声に指向性を付与することによって前記聞き手に伝わる音声を増大させる指向性付与部を備えることを特徴とする請求項1に記載の音声増大装置。
【請求項3】
前記飛沫抑制部材に載置される被載置部を備え、
前記被載置部は、前記飛沫抑制部材のうち前記被載置部自身が載置される部分に鉛直方向における上側から接触する状態で、前記飛沫抑制部材に載置され、
前記音声増大装置は、前記被載置部が前記飛沫抑制部材に載置されることによって前記飛沫抑制部材に対して前記特定の位置に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音声増大装置。
【請求項4】
前記振動出力部および前記被載置部を連結する連結部を備え、
前記連結部は、前記音声増大装置が前記飛沫抑制部材に対して前記特定の位置に配置されている場合の鉛直方向における長さが可変であることを特徴とする請求項3に記載の音声増大装置。
【請求項5】
前記飛沫抑制部材に対して前記話し手側に配置されて、前記飛沫抑制部材に対する前記話し手側の空気から音声の振動を受ける固体部分である追加入力部を備え、
前記振動出力部は、前記振動入力部によって受けられた振動と、前記追加入力部によって受けられた振動とを自身に対する前記聞き手側の空気に伝え
前記音声増大装置は、前記振動入力部および前記追加入力部から前記振動出力部に音声を、固体中を伝わる振動として伝えることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の音声増大装置。
【請求項6】
前記振動出力部によって出力された音声を増大させる拡声器を備え
前記拡声器は、
前記振動出力部によって出力された音声が入力されるマイクと、
前記マイクの出力信号を増幅する増幅器と、
前記増幅器の出力信号に応じた音声を出力するスピーカーと
を備えることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の音声増大装置。
【請求項7】
前記音声増大装置が前記飛沫抑制部材に対して前記特定の位置に配置されている場合に前記飛沫抑制部材に対する前記話し手側に配置されて、前記音声増大装置のうち前記飛沫抑制部材に対する前記聞き手側の部分を共鳴させる共鳴用部材を備え、
前記振動出力部は、前記音声増大装置が前記飛沫抑制部材に対して前記特定の位置に配置されている場合に前記飛沫抑制部材に対する前記聞き手側に配置されることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載の音声増大装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれかに記載の音声増大装置と、
前記飛沫抑制部材と
を備えることを特徴とするパーテーション。
【請求項9】
請求項1から請求項7までのいずれかに記載の音声増大装置と、
前記飛沫抑制部材と
を備えることを特徴とするマスク。
【請求項10】
請求項1から請求項7までのいずれかに記載の音声増大装置と、
前記飛沫抑制部材と
を備えることを特徴とするマウスシールド。
【請求項11】
請求項1から請求項7までのいずれかに記載の音声増大装置と、
前記飛沫抑制部材と
を備えることを特徴とするフェイスシールド。