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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189692
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】個室ブース
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20221215BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
E04B2/74 511P
E04H1/12 302Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021170320
(22)【出願日】2021-10-18
(31)【優先権主張番号】P 2021098277
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】山下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】國重 優太
(57)【要約】
【課題】コーナー支柱における係止面を取付面に対して傾斜させることにより、コーナー支柱の係止孔を見えにくくして意匠性を向上させることができる、個室ブースを提供する。
【解決手段】個室ブースの一実施形態であるブース装置1は、床に接地する複数のパネル体が互いに複数の支柱120で連結されることにより、平面視で矩形状に形成され、支柱120は、互いに直交する少なくとも二つの取付面を有し、それぞれの取付面にパネル体が連結可能とされ、支柱120の長手方向と直交する断面において、取付面の切断線方向における支柱120の幅寸法が、当該取付面に連結されるパネル体の厚み寸法よりも大きく形成され、二つの取付面の間には、それぞれの取付面に対して傾斜する係止面122aが形成され、係止面122aには、ブラケットの係止部を係止可能な係止孔122bが開口される。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床に接地する複数のパネル体が互いに複数のコーナー支柱で連結されることにより、平面視で矩形状に形成された個室ブースであって、
前記コーナー支柱は、互いに直交する少なくとも二つの取付面を有し、それぞれの前記取付面に前記パネル体が連結可能とされ、
前記コーナー支柱の長手方向と直交する断面において、前記取付面の切断線方向における前記支柱の幅寸法が、当該取付面に連結される前記パネル体の厚み寸法よりも大きく形成され、
二つの前記取付面の間には、それぞれの前記取付面に対して傾斜する係止面が形成され、
前記係止面には、ブラケットの係止部を係止可能な係止孔が開口される、個室ブース。
【請求項2】
前記コーナー支柱は、前記コーナー支柱の長手方向と直交する断面において、二つの前記取付面の切断線方向における前記支柱の幅寸法が同じ寸法に形成される、請求項1に記載の個室ブース。
【請求項3】
前記コーナー支柱は、前記コーナー支柱の長手方向と直交する断面で正方形状に形成されるとともに、互いに直交する四つの前記取付面を有し、それぞれの前記取付面にパネル体が連結可能とされ、
前記コーナー支柱の長手方向と直交する断面において、前記前記取付面の切断線方向における前記支柱の幅寸法が、当該取付面に連結される前記パネル体の厚み寸法よりも大きく形成され、
四つの前記取付面の間には、それぞれの前記取付面に対して傾斜する四つの係止面が形成され、
それぞれの前記係止面には、ブラケットの係止部を係止可能な係止孔が開口される、請求項1又は請求項2に記載の個室ブース。
【請求項4】
前記コーナー支柱における前記取付面はカバー部材で被覆可能とされ、
複数の前記カバー部材の間の間隙が、前記係止部を挿通可能なスリットとして形成される、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の個室ブース。
【請求項5】
前記コーナー支柱は、支柱本体部と、前記支柱本体部に組付けられる係止プレートと、を備え、
前記支柱本体部は、前記取付面が形成されるとともに、隣接する前記取付面の間に挿入溝部が形成され、
前記係止プレートは、前記係止孔が開口されて前記係止面を構成するとともに、前記挿入溝部に挿入されることにより前記支柱本体部に組付けられる、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の個室ブース。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、一人又は小人数で利用可能な個室ブースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィス等で一人又は小人数で利用可能な専用の個室ブースを構成するために、複数のパネル体をコーナー支柱で連結する技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-179001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構成において、コーナー支柱にはブラケットの係止部を係止するための係止孔が開口されている。上記の構成によれば、係止孔がコーナー支柱の一面に形成されることにより視認されやすくなるため、コーナー支柱の意匠性低下の要因となっていた。そこで、本開示は、上記に関する課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る個室ブースは、床に接地する複数のパネル体が互いに複数のコーナー支柱で連結されることにより、平面視で矩形状に形成された個室ブースであって、前記コーナー支柱は、互いに直交する少なくとも二つの取付面を有し、それぞれの前記取付面に前記パネル体が連結可能とされ、前記コーナー支柱の長手方向と直交する断面において、前記取付面の切断線方向における前記支柱の幅寸法が、当該取付面に連結される前記パネル体の厚み寸法よりも大きく形成され、二つの前記取付面の間には、それぞれの前記取付面に対して傾斜する係止面が形成され、前記係止面には、ブラケットの係止部を係止可能な係止孔が開口される。
【0006】
上記第1観点に係る個室ブースによれば、コーナー支柱における係止面を取付面に対して傾斜させることにより、コーナー支柱の係止孔を見えにくくして意匠性を向上させることができる。
【0007】
上記第1観点に係る個室ブースにおいて、コーナー支柱が有する取付面は互いに直交して少なくとも二つあれば良く、コーナー支柱が備える取付面を三つ又は四つとすることも可能である。また、上記第1観点に係る個室ブースにおいて、コーナー支柱が有する取付面の切断線方向におけるコーナー支柱の幅寸法を異なる寸法とするもとも可能である。また、コーナー支柱に対して係止面を一体的に形成することも別部材として形成することも可能である。
【0008】
また、上記第1観点に係る個室ブースにおいて、3方向に設けたパネル体をコーナー支柱で連結して、一定のエリアを形成するように構成することも可能である。即ち、個室ブースの一方の側方は開放されていても良く、扉等を設けない構成とすることも可能である。
【0009】
また、本発明の第2観点に係る個室ブースは、第1観点に係る個室ブースであって、前記コーナー支柱は、前記コーナー支柱の長手方向と直交する断面において、二つの前記取付面の切断線方向における前記支柱の幅寸法が同じ寸法に形成される。
【0010】
上記第2観点に係る個室ブースによれば、それぞれの取付面に連結されるパネル体の厚さを共通化することが可能となる。
【0011】
また、本発明の第3観点に係る個室ブースは、第1観点又は第2観点に係る個室ブースであって、前記コーナー支柱は、前記コーナー支柱の長手方向と直交する断面で正方形状に形成されるとともに、互いに直交する四つの前記取付面を有し、それぞれの前記取付面にパネル体が連結可能とされ、前記コーナー支柱の長手方向と直交する断面において、前記取付面の切断線方向における前記支柱の幅寸法が、当該取付面に連結される前記パネル体の厚み寸法よりも大きく形成され、四つの前記取付面の間には、それぞれの前記取付面に対して傾斜する四つの係止面が形成され、それぞれの前記係止面には、ブラケットの係止部を係止可能な係止孔が開口される。
【0012】
上記第3観点に係る個室ブースによれば、コーナー支柱における四つの取付面にパネル体を連結可能とし、それぞれの取付面の間に四箇所の係止面を形成することができる。
【0013】
また、本発明の第4観点に係る個室ブースは、第1観点から第3観点の何れか一に係る個室ブースであって、前記コーナー支柱における前記取付面はカバー部材で被覆可能とされ、複数の前記カバー部材の間の間隙が、前記係止部を挿通可能なスリットとして形成される。
【0014】
上記第4観点に係る個室ブースによれば、コーナー支柱の取付面をカバー部材で被覆した状態においても、係止孔にブラケットの係止部を係止することが可能となる。
【0015】
また、本発明の第5観点に係る個室ブースは、第1観点から第4観点の何れか一に係る個室ブースであって、前記コーナー支柱は、支柱本体部と、前記支柱本体部に組付けられる係止プレートと、を備え、前記支柱本体部は、前記取付面が形成されるとともに、隣接する前記取付面の間に挿入溝部が形成され、前記係止プレートは、前記係止孔が開口されて前記係止面を構成するとともに、前記挿入溝部に挿入されることにより前記支柱本体部に組付けられる。
【0016】
上記第5観点に係る個室ブースによれば、係止プレートを挿入溝部に挿入するだけで、コーナー支柱に係止孔を容易に形成することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
以上における本発明に係る個室ブースは、以下に示す効果を奏する。
【0018】
第1観点に係る個室ブースによれば、意匠性を向上させることができる。
【0019】
第2観点に係る個室ブースによれば、取付面に連結されるパネル体の厚さを共通化することができる。
【0020】
第3観点に係る個室ブースによれば、それぞれの取付面の間に四箇所の係止面を形成することができる。
【0021】
第4観点に係る個室ブースによれば、コーナー支柱の取付面をカバー部材で被覆した状態においても、係止孔にブラケットの係止部を係止することが可能となる。
【0022】
第5観点に係る個室ブースによれば、コーナー支柱に係止孔を容易に形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第一実施形態に係るブース装置を示した斜視図。
図2】第一実施形態に係るブース装置の内部構造を示した斜視図。
図3図1におけるY1-Y1線断面図。
図4】第一実施形態に係るブース装置を示した平面図。
図5】取付枠の組付構成を示した斜視図。
図6】スピーカ及び吸音パネルの組付構成を示した斜視図。
図7】(a)から(c)はそれぞれ、図1におけるX1-X1線拡大断面図、X2-X2線拡大断面図、及び、X3-X3線拡大断面図。
図8】支柱に対する側板及び天板の組付構成を示した斜視図。
図9】(a)及び(b)は支柱と側板との組付構成を示した平面図及び斜視図。
図10】一実施例に係るブースユニットを示した斜視図。
図11】側板に対して取付枠を組付ける状態を示した斜視図。
図12】(a)及び(b)は側板と取付枠との組付構成を示した斜視図及び平面図。
図13】(a)及び(b)はそれぞれ、測定試験の構成を示した平面図、及び、測定試験結果を示した図。
図14】第二実施形態に係るブース装置を示した斜視図。
図15】第二実施形態に係るブース装置の内部構造を示した斜視図。
図16】第二実施形態に係るブース装置を示した平面図。
図17】天板支持部の組付構成を示した斜視図。
図18】支柱の構成を示した斜視図。
図19】支柱に対するパネル部材の組付構成を示した平面図。
図20】支柱の詳細構成を示した平面断面図。
図21】支柱と側板との組付構成を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[ブース装置1]
以下では図1から図9を用いて、本発明の第一実施形態に係るブース装置1について説明する。本実施形態に係るブース装置1は、本発明に係る個室ブースの一実施例である。本実施形態に係るブース装置1は図1及び図2に示す如く、床面に載置されて一人又は小人数で室内を利用するために用いられる。ブース装置1は主にスチール又はアルミ合金等の金属製部材を組み合わせることにより構成される。本実施形態においては、図1中の矢印でブース装置1の方向を規定する。
【0025】
図1及び図2に示す如く、本実施形態に係るブース装置1は、上方に開口部2aが形成された筒形状の周壁2を備えていることにより個室を構成する。周壁2は、図1図2及び図4に示す如く平面視で矩形に形成される。周壁2は、上下方向に向けて四隅に配置された支柱21、周壁2の両側部に配置される側板22、周壁2の前部に配置される扉枠パネル23と扉24、及び、周壁の後部に配置される背板25で構成される。
【0026】
図1及び図4に示す如く、支柱21は周壁2の四隅に配置され、側板22、扉枠パネル23及び扉24、及び、背板25が組付けられる柱状部材である。周壁2において外側に露出する支柱21の側面には側面カバー部材21aが取り付けられる。また、支柱21の上面には上面カバー部材21bが取り付けられる。
【0027】
支柱21には図8及び図9(a)に示す如く、前後左右の斜め方向に突出して支柱21の角部となる突条部21cが長手方向に沿って形成されている。突条部21cの外面には多数の係合孔21dが開口されている。突条部21cの間のスペースは側板22等の連結部材を挿入したり配線コードC等を挿通したりすることができる挿通部21eとして形成される(図9(a)及び(b)を参照)。
【0028】
側板22及び背板25は、側板22及び背板25の上部に固定された連結部材22b・25bを介して支柱21に組付けられる。具体的には図9(a)に示す如く、連結部材22b・25bの端部には係止部が形成され、この係止部は側板22及び背板25の端面から延出される。そして、係止部が支柱21の突条部21c・21cの間に挿入されることにより、連結部材22b・25bが支柱21に連結される。側板22及び背板25の下部についても、上部と同様に支柱21に連結される。また、扉枠パネル23についても、側板22及び背板25と同様に支柱21に組付けられる。
【0029】
図1に示す如く、扉枠パネル23と扉24とはヒンジHを介して回動可能に組付けられている。扉24にはドアノブ24aが設けられる。また、扉24の後面上部にはドアクローザ24bが設けられる。本実施形態において、扉24には透明なガラスパネルが組付けられるが、扉24を不透明な素材で構成しても差し支えない。
【0030】
本実施形態において、周壁2の両側部にはそれぞれ二枚の側板22・22が互いに連結されて配置される。それぞれの側板22の上辺には、互いに連通される溝部22aが形成されている。図11及び図12に示す如く、溝部22aの内面には互いに対向して突出する被係止部22cが長手方向に沿って形成される。また、背板25の上辺にも溝部25aが形成されている。
【0031】
なお、側板22、扉枠パネル23と扉24、及び、背板25の幅寸法(厚さ方向と直交する水平方向の長さ寸法)を変更することにより、周壁2の外形寸法を変更することができる。即ち、ブース装置1は、周壁2の外形寸法を変更することによって前後左右方向の大きさを適宜変更することが可能である。
【0032】
図2から図4に示す如く、周壁2の内側面のうち、側板22の後部及び背板25(扉24の反対側)には、不織布等の吸音素材で形成された複数の吸音パネル42が設けられる。本実施形態に係るブース装置1によれば、ブース装置1の内部の使用者からの発声を吸音パネル42で吸収することにより、ブース装置1の遮音性(ブース装置1の内部と外部との相互間において伝達される音量の減衰性)を高める構成としている。なお、本実施形態においては、複数の吸音パネル42が上下方向に分割されて設けられており、周壁2に対してそれぞれ独立して着脱可能とされている。
【0033】
本実施形態に係るブース装置1において、周壁2の開口部2aには、図1から図4に示す如く遮蔽部として屋根部材31、第一ルーバー部材32、及び、第二ルーバー部材33が設けられている。本実施形態において、遮蔽部である屋根部材31、第一ルーバー部材32、及び、第二ルーバー部材33は、不織布等の吸音性の素材が表出するように構成されている。
【0034】
本実施形態において、遮蔽部である屋根部材31、第一ルーバー部材32、及び、第二ルーバー部材33は、平面視で開口部2aの開口面積の3割以下の領域を遮蔽するように構成されている。これにより、火災発生時にスプリンクラー等による上方からの散水性を確保することができる。
【0035】
図1及び図2に示す如く、屋根部材31は高さ方向寸法よりも水平方向寸法(前後方向寸法及び左右方向寸法)が大きくなるように略水平に配置された板状の部材である。また、図7(b)に示す如く、屋根部材31は平面視で矩形となるように上下方向に窪んで形成された屋根本体部31aと、屋根本体部31aの左右両側に形成された鉤状の係合部31bと、を備える。ブース装置1においては、屋根部材31の係合部31bが対向する側板22の溝部22aに係合されることにより、屋根部材31が周壁2に組付けられる。
【0036】
図1から図4に示す如く、ブース装置1における屋根部材31は、前後方向に対向する二つの側辺と周壁2との間が開放されている。換言すれば、屋根部材31の前後両側は周壁2(扉枠パネル23と扉24、及び、背板25)との間に隙間が形成されている。
【0037】
屋根部材31と、扉枠パネル23及び扉24と、の間の隙間には、四枚の第一ルーバー部材32が設けられる。また、屋根部材31と、背板25と、の間の隙間には、四枚の第二ルーバー部材33が設けられる。なお、各ルーバー部材の枚数は限定されるものではなく、他の枚数をすることも可能である。
【0038】
図1及び図2に示す如く、第一ルーバー部材32及び第二ルーバー部材33は前後方向寸法よりも上下方向寸法及び左右方向寸法が大きくなるように配置された板状の部材である。また、図7(b)に示す如く、第一ルーバー部材32は扉24と平行となるように配置された板状の第一ルーバー部32aと、第一ルーバー部32aの左右両側に形成された鉤状の第一係合部32bとを備える。また、図7(c)に示す如く、第二ルーバー部材33は背板25と平行となるように配置された板状の第二ルーバー部33aと、第二ルーバー部33aの左右両側に形成された鉤状の第二係合部33bとを備える。
【0039】
図7(a)及び(c)に示す如く、ブース装置1においては、第一係合部32b及び第二係合部33bがそれぞれ対向する側板22の溝部22aに係合されることにより、第一ルーバー部材32と第二ルーバー部材33とが周壁2に組付けられる。本実施形態においては図7(c)に示す如く、第二ルーバー部材33が組付けられる部分には側板22に吸音パネル42が設けられているため、第二ルーバー部33aは第一ルーバー部32aよりも左右方向の幅寸法が小さくなるように形成されている。
【0040】
本実施形態に係るブース装置1では、屋根部材31の係合部31b、第一ルーバー部材32の第一係合部32b、及び、第二ルーバー部材33の第二係合部33bは、側板22の溝部22aにおける前後方向の任意の位置に設けることを可能としている。なお、溝部22aに所定間隔ごとに複数のスリットを形成し、このスリットに係合部31b、第一係合部32b、及び、第二係合部33bを挿入することにより、屋根部材31、第一ルーバー部材32、及び、第二ルーバー部材33の前後位置を規制する構成とすることも可能である。また、スリットを形成した位置決め金具を溝部22aの長手方向に沿って溝部22aに固定し、この位置決め金具のスリットに係合部31b、第一係合部32b、及び、第二係合部33bを挿入することにより、屋根部材31、第一ルーバー部材32、及び、第二ルーバー部材33を溝部22aに位置決めした状態で組付けることも可能である。
【0041】
上記の如く、本実施形態に係るブース装置1においては、ブース装置1の内部の使用者からの発声を屋根部材31で反射させることにより、発声がブース装置1の外部に放出され難くなるため、ブース装置1の遮音性を高めることができる。また、屋根部材31において前後方向に対向する二つの側辺と周壁2との間が開放されているため、スプリンクラー等による上方からの散水性を阻害することがない。
【0042】
また、本実施形態に係るブース装置1においては、ブース装置1の内部の使用者からの発声を第一ルーバー部材32同士、及び、第二ルーバー部材33同士の間で反射させることにより、発声がブース装置1の外部に放出され難くなるため、ブース装置1の遮音性をより高めることができる。
【0043】
本実施形態に係るブース装置1では、周壁2において左右方向に互いに対向する内周面(側板22の内側面)にはスピーカSが設けられる。図3及び図4に示す如く、スピーカSは取付枠41を介して側板22に組付けられる。取付枠41は枠体で構成されるラダー状のオプション取付枠であり、側板22と吸音パネル42との間に介挿される連結部材である。
【0044】
取付枠41は、図5に示す如く、上端部に形成された係止部41aと、取付枠41の枠組となるフレーム41bと、フレーム41bに設けられてスピーカSが固定される支持板41cと、を備える。取付枠41を側板22に組付ける際には、まず、図5に示す如く係止部41aを側板22の溝部22aに係止する。
【0045】
その後、図6に示す如く、支持板41cにスピーカSを組付ける。また、吸音パネル42を側板22に組付けることにより、取付枠41を被覆する。さらに、図3に示す如く、窓部42aが開口された吸音パネル42をスピーカSの周囲に組付けることにより、吸音パネル42の一部にスピーカSが露出した状態でブース装置1が構成される。本実施形態において、スピーカSの表面はメッシュ生地等で形成されたカバー部材により被覆されている。
【0046】
図4に示す如く、本実施形態に係るブース装置1において、スピーカSと屋根部材31とは、平面視で重複する領域に設けられる。これにより、スピーカSからの発声を屋根部材31で反射させることにより、スピーカSからの発声がブース装置1の外部に放出され難くなるため、ブース装置1の遮音性をより高めることができる。なお、スピーカSからの発声を外部に放出し難くするという観点より、スピーカSとして指向性スピーカを採用することが好ましい。また、使用者を左右から挟むようにスピーカSを配置することで、スピーカSの音量を抑制することが可能となるため、スピーカSからの発声がブース装置1の外部に漏れにくくすることができる。
【0047】
本実施形態に係るブース装置1において、吸音パネル42は樹脂製のリベット等を介して取付枠41に取り付けられる。なお、側板22及び背板25に対して、吸音パネル42に固定した磁性体を吸着させることにより吸音パネル42を取付ける構成や、吸音パネル42を側板22及び背板25に対して接着により固定する構成も可能である。
【0048】
本実施形態に係るブース装置1の内部には、背板25に沿って天板52が設けられる。具体的には図8に示す如く、天板ブラケット51に形成された係合部51aが支柱21の係合孔21dに係合されることにより、ブース装置1の後部に位置する二本の支柱21・21のそれぞれに天板ブラケット51が組付けられる。そして、天板52が二枚の天板ブラケット51・51の上部に固定されることにより、天板52がブース装置1における後方の内部(背板25に沿った位置)に設けられる。
【0049】
本実施形態に係るブース装置1においては図3及び図8に示す如く、二枚の天板ブラケット51・51の間には、通信機器や配線等を収容するためのトレイ53が設けられる。また、トレイ53の前側には、トレイ53の上側を被覆するためのカバー54が固定されている。
【0050】
図2から図4に示す如く、本実施形態に係るブース装置1において、天板52の後端部は平面視で屋根部材31の近傍に配置される。ブース装置1の使用者は、天板52の前側近傍に座って発話することが多いため、上記の如く天板52の後端部と屋根部材31とを平面視で近づけることにより、ブース装置1の使用者の頭部を屋根部材31の下方に位置させることができる。これにより、ブース装置1の使用者からの発声を屋根部材31で反射させやすくすることができる。即ち、本実施形態に係るブース装置1によれば、使用者からの発声をブース装置1の外部により放出され難くすることができるため、ブース装置1の遮音性をさらに高めることが可能となる(後述する試験結果を参照)。
【0051】
特に、本実施形態に係るブース装置1においては、屋根部材31を二枚の側板22・22に固定している。これにより、ブース装置1の内部における発声を側板22・22の近傍において屋根部材31で反射させることができるため、ブース装置1の側方の外部に発声が伝達され難くすることができる。
【0052】
また、本実施形態の如く、ブース装置1の使用者の頭部を屋根部材31の下方に位置させることにより、ブース装置1の外部の音が使用者に届くことを抑制できる。即ち、本実施形態に係るブース装置1においては、使用者の上方から入ってくる外部の音を屋根部材31で遮断することにより、遮音性をより高めることを可能としている。
【0053】
[ブースユニット100]
次に、図10を用いて、ブースユニット100について説明する。本実施例に係るブースユニット100は、前記実施形態に係るブース装置1が左右方向に二個連接される。ブースユニット100を構成する構成部材は、ブース装置1の構成部材と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0054】
本実施例に係るブースユニット100において、左右のブース装置1はそれぞれの間に配置される二本の支柱21及び側板22を共有している。このため、本実施例に係るブースユニット100においては、同じ側板22に対向して組付けられる取付枠41・41が干渉せずに前後方向に同じ位置に設けられるように構成されている。
【0055】
具体的には図11及び図12(a)に示す如く、本実施例における取付枠41は、フレーム41bの上端に形成された固定板41dに対して、爪状の係止部41aが垂直に折り曲げられて形成されている。この際、図12(b)に示す如く、固定板41dの中心線Lから左側の係止部41aまでの距離が、右側の係止部41aまでの距離よりも大きくなるように形成している。
【0056】
これにより、図12(a)及び(b)に示す如く、側板22の溝部22aに取付枠41を対向させて係合させ、被係止部22cに係止部41aを係止させた際に、互いの固定板41dの中心線を一致させることができる。即ち、対向して組付けられる取付枠41・41を、互いに干渉させずに、側板22における前後方向の同じ位置に設けることが可能となる。
【0057】
本実施例に係るブースユニット100において、それぞれのブース装置1に設けられる屋根部材31は、隣接するブース装置1との間に配置される一方の周壁2(本実施例においては、二個のブース装置1・1の間に設けられる側板22)と、一方の周壁2と対向する他方の周壁2(本実施例においては、ブースユニット100の左右方向外側に設けられる側板22・22)と、に固定される。
【0058】
ブースユニット100によれば、上記の如く構成することにより、隣接するブース装置1・1の内部における互いの発声を側板22・22の近傍において屋根部材31で反射させることができる。これにより、ブース装置1の側方の外部に発声が漏れにくくなるため、発声がブース装置1・1の間で伝達され難くなる。即ち、ブース装置1・1の間での遮音性をより高めることが可能となる。
【0059】
また、本実施例に係るブースユニット100におけるそれぞれのブース装置1・1の内部には、側板22と交差する背板25に沿って天板52が設けられる(図2を参照)。これにより、それぞれのブース装置1・1の内部において、天板52を使用する使用者を背板25に対向する姿勢とすることができる。このため、隣接するブース装置1・1と直交する方向(本実施例においては後方)に使用者を発声させることができるため、隣接するブース装置1・1の間での遮音性をより高めることが可能となる。
【0060】
また、本実施例に係るブースユニット100を使用する際に、外部への音漏れの影響を最小限にするという観点からは、ブースユニット100を構成するブース装置1の背板25を壁に近づけた状態とすることが好ましい。
【0061】
[測定試験結果]
次に、ブースユニット100における遮音性を検証するために本願出願人が行った測定試験の結果について、図13を用いて説明する。図13(a)に示す如く、本願出願人は、ブースユニット100と同様に二個連続するブース装置(発声ブースBs及び測定ブースBm)を用いて、互いの遮音性について試験を行った。
【0062】
本試験において、発声ブースBs及び測定ブースBmにおいては、ブース装置1における周壁2と同様の構成を使用し、双方が同じ条件となるように構成した。また、ブース装置1に設けられる吸音パネル42と同様の吸音パネルPを室内の左右両側及び前側の三方に配置した。そして、矢印Stに示す如く、発声ブースBsの中央における発声点Psに配置したスピーカから前方に向けて500Hzで発声を行った。さらに、発声ブースBsに隣接する測定ブースBmの中央における測定点Pmでの音量を測定した。
【0063】
本試験においては、図13(b)に示す如く、屋根部材及びルーバー部材の配置条件が異なる試験1から試験5までの試験を行った。具体的には、試験1は屋根部材及びルーバー部材を設けない構成とした。試験2は屋根部材で上側の開口部を全て閉塞してルーバー部材を設けない構成とした。試験3は屋根部材で上側の開口部の前方30%を閉塞してルーバー部材を設けない構成とした。試験4は屋根部材で上側の開口部の頭上(発声点Ps及び測定点Pmの上方)30%を閉塞してルーバー部材を設けない構成とした。試験5は屋根部材を上側の開口部の頭上(発声点Ps及び測定点Pmの上方)に設けるとともにルーバー部材を屋根部材の前後に合計10枚設けることにより、屋根部材とルーバー部材とで開口部を計30%閉塞する構成とした。
【0064】
本試験においては、図13(b)に示す如く、試験1から試験5のそれぞれについて、発声点Psの近傍で音量を測定した条件(以下、「基本条件」と記載する)と比較した際の測定音量の低減効果を測定した。即ち、屋根部材を設けない試験1においては、基本条件に対して19.1dBの音量低減効果が確認された。また、開口部を全て屋根部材で閉塞した試験2は、基本条件に対して28.7dBの高い音量低減効果が確認された。
【0065】
一方、図13(b)に示す如く、前方30%を屋根部材で閉塞した試験3は、基本条件に対して20.2dBの音量低減効果に留まり、屋根部材を設けない試験1と大きな違いは見られなかった。また、頭上30%を屋根部材で閉塞した試験4は、基本条件に対して25.2dBの音量低減効果が確認された。このように、本試験により、屋根部材を発声点の上方(ブース使用者の頭上位置)に配置した場合は、屋根部材を前方に配置した場合と比較して5dB以上の音量低減効果があり、散水性を阻害することなく高い遮音性を発揮することが確認された。
【0066】
また、頭上30%を屋根部材とルーバー部材とで閉塞した試験5は、基本条件に対して27.9dBと、開口部を全て屋根部材で閉塞した試験2と同程度の高い音量低減効果が確認された。このように、本試験により、屋根部材に加えてルーバー部材を配置することで遮音性のさらなる向上が可能となることが確認された。
【0067】
[他の変形例]
上記の実施形態は、以下に示す他の変形例に示すように適宜変形が可能である。なお、本明細書に記載する各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。
【0068】
ブース装置については、平面視での形状を矩形状以外の他の形状とすることが可能である。例えば、ブース装置を平面視で円形状、三角形状、五角形状、台形状等の形状とすることも可能である。
【0069】
ブース装置1における屋根部材31は、本実施形態の如く前後方向に対向する二つの側辺と周壁2との間が開放されている場合だけでなく、左右方向に対向する二つの側辺と周壁2との間が開放されていても良い。また、前後左右方向の三つ以上の側辺と周壁2との間が開放されていても差し支えない。
【0070】
ブース装置1において、周壁2の開口部2aを遮蔽する遮蔽部として屋根部材31、第一ルーバー部材32、及び、第二ルーバー部材33が設けられているが、屋根部材31のみを遮蔽部として設ける構成とすることも可能である。また、ブース装置1において、遮蔽部をルーバー部材だけで構成し、一部のルーバー部材を回動させて隣接するルーバー部材と連続させることで屋根部材を構成することも可能ことも可能である。
【0071】
ブース装置1において、遮蔽部である屋根部材31、第一ルーバー部材32、及び、第二ルーバー部材33は、不織布製に限らず、鋼板等、音を反射することが可能な他の素材で構成しても良い。また、鋼板製のパネル体の内部に吸音材を入れることにより吸音パネルを構成することも可能である。
【0072】
ブース装置1において、吸音パネル42、スピーカSの何れか一方又は両方を設けない構成とすることも可能である。また、吸音パネル42をブース装置1の後部のみ又は側部のみに設ける構成とすることも可能である。また、スピーカSをブース装置1の後部に設ける構成とすることも可能である。
【0073】
ブースユニット100において、ブース装置1における屋根部材31の長手方向を前後方向に向けて設置することも可能である。また、ブース装置1の天板52を側板22に沿って設ける構成(使用者が側板22に対向する姿勢で使用する構成)とすることも可能である。
【0074】
[ブース装置1A]
以下では図14から図20を用いて、本発明の第二実施形態に係るブース装置1Aについて説明する。本実施形態に係るブース装置1Aは、本発明に係る個室ブースの一実施例である。本実施形態に係るブース装置1Aは図14から図16に示す如く、床面に載置されて一人又は小人数で室内を利用するために用いられる。ブース装置1Aを構成する各部材のうち、前記実施形態に係るブース装置1と共通するものについては同符号を付して詳細な説明を省略する。本実施形態においては、図14中の矢印でブース装置1Aの方向を規定する。
【0075】
図14から図17に示す如く、本実施形態に係るブース装置1Aは、前記実施形態に係るブース装置1と同様に、上方に開口部2aが形成されて床に接地する筒形状の周壁2を備えることにより個室を構成する。周壁2はコーナー支柱である四本の支柱120と、支柱120によって平面視で矩形に連結されたパネル体である、側板22、扉枠パネル23、及び、背板25と、で構成される。扉枠パネル23にはヒンジHを介して扉24が開閉可能に組付けられる。なお、3方向に設けたパネル体を支柱120で連結して、一定のエリアを形成するようにブース装置1Aを構成することも可能である。即ち、ブース装置1Aの一方の側方は開放されていても良く、扉24等を設けない構成とすることも可能である。
【0076】
図14及び図16に示す如く、支柱120は周壁2の四隅に配置され、側板22、扉枠パネル23及び扉24、及び、背板25が組付けられる柱状部材である。図18及び図20に示す如く、支柱120は、支柱本体部121に対して係止プレート122、側面カバー部材123等が組付けられることにより構成される。
【0077】
図20に示す如く、支柱本体部121には前後左右の斜め方向に突出して支柱本体部121の角部となる突条部121aが長手方向である上下方向に沿って形成されている。また、突条部121aの先端部には長手方向に沿って挿入溝部121bが形成されている。突条部121aの間には凹形状の挿通部121cが形成され、この挿通部121cは側板22等のパネル部材の連結部材を挿入したり、配線コードC等を挿通したりすることのできるスペースとして構成される(図21を参照)。
【0078】
図21に示す如く、本実施形態においては、側板22の上辺における溝部22a(背板25の溝部25aについても同様)に挿通される配線コードCを、支柱本体部121を乗り越えることなく挿通部121cに通すことができるように、支柱本体部121は側板22及び背板25よりも上端部が低くなるように形成されている。また、側面カバー部材123は上端部が側板22及び背板25の上端部と同じ高さに形成される。即ち、側面カバー部材123は支柱本体部121よりも上端部が上方に位置するように形成されている。これにより、支柱本体部121に側面カバー部材123を組付けた際には、挿通部121cに挿通される配線コードCを外部から見えなくすることができる。
【0079】
図19及び図20に示す如く、本実施形態における支柱120は、長手方向と直交する断面である水平断面で正方形状に形成され、互いに直交する四つの取付面を有する。具体的には、支柱120において隣接する二つの突条部121a・121aで形成される面によって、前後左右に面する四つの取付面が形成されている。図19に示す如く、支柱120におけるそれぞれの取付面にはパネル体である側板22、背板25等が連結可能とされている。
【0080】
側板22及び背板25は、側板22及び背板25の上部に固定された連結部材22b・25bを介して支柱120の取付面に組付けられる。具体的には図19に示す如く、連結部材22b・25bの端部には係止部が形成され、この係止部は側板22及び背板25の端面から延出される。そして、係止部が支柱120の挿通部121cに挿入されることにより、連結部材22b・25bが支柱120に連結される。側板22及び背板25の下部についても、上部と同様に支柱120に連結される。また、扉枠パネル23についても、側板22及び背板25と同様に支柱120に組付けられる。
【0081】
本実施形態に係るブース装置1Aにおいては図19に示す如く、支柱120は水平断面において、側板22を取付ける前側取付面の切断線方向(左右方向)における支柱120の幅寸法(図19中に示す支柱左右幅寸法Ps)が、側板22の厚み寸法(図19中に示す側板厚み寸法Ss)よりも大きく形成されている。また、支柱120は水平断面において、背板25を取付ける左側取付面の切断線方向(前後方向)における支柱120の幅寸法(図19中に示す支柱前後幅寸法Pb)が、背板25の厚み寸法(図19中に示す背板厚み寸法Sb)よりも大きく形成されている。
【0082】
なお、本実施形態において、支柱120は水平断面で正方形状に形成されているため、支柱左右幅寸法Psと支柱前後幅寸法Pbは同じ寸法である。また、側板厚み寸法Ssと背板厚み寸法Sbは同じ寸法である。
【0083】
図17に示す如く、周壁2において外側に露出する支柱120の側面には側面カバー部材123が設けられる。具体的には図18及び図20に示す如く、側面カバー部材123には長手方向に沿って係合突条部123aが形成されている。そして、係合突条部123aが支柱本体部121の挿通部121cと接続部材124を介して係合することにより、側面カバー部材123が支柱本体部121に組付けられる。
【0084】
図18に示す如く、突条部121aの挿入溝部121bには板状の係止プレート122が挿入される。係止プレート122の表面である係止面122aには長手方向に沿って多数の係止孔122bが開口される。また、係止面122aにはねじ孔122cが開口されている。係止プレート122が挿入溝部121bに挿入されることにより、支柱120において前後左右の四隅に面する係止面122aが形成される。
【0085】
係止プレート122に開口された係止孔122bは、支柱120に他の部材を組付ける際にブラケットの係止部が係止可能とされる。具体的には図17に示す如く、天板152を支持するための天板支持部151は、係止部である係止爪151a・151aが形成されたブラケットを備える。天板支持部151の係止爪151a・151aが支柱120の係止孔122bに係止されることにより、ブース装置1Aの後部に位置する二本の支柱120・120のそれぞれに天板支持部151が組付けられる。天板支持部151は固定ねじをねじ孔122cに螺入することにより係止プレート122に対して固定される。これにより、天板支持部151が上方に変位して係止爪151aが係止孔122bから離脱することを防止できる。
【0086】
なお、係止孔122bに係止するためのブラケットは天板支持部151が限定して備えるものではなく、他の部材が備えるブラケットに設けられた係止爪を係止孔122bに係止する構成とすることも可能である。
【0087】
また、本実施形態においては図18に示す如く、係止プレート122は支柱120と同程度の長さに形成されているが、複数枚の短尺の係止プレートを挿入溝部121bに挿入して係止面122aを形成することも可能である。これにより、ブース装置1Aを配置した後で支柱120に係止プレートを挿入する際に、天井との間に充分なスペースがない場合でも挿入溝部121bに係止プレートを挿入することが可能となる。この場合、短尺の係止プレートは使用する箇所(ブラケットを係止する部分)までが挿入溝部121bに挿入されていれば良く、支柱120の上部まで係止プレートを重ねて挿入する必要はない。
【0088】
本実施形態に係るブース装置1Aにおいて、支柱本体部121に形成される挿入溝部121bは図20に示す如く、パネル体である側板22及び背板25を組付ける取付面に対して約45度ずつ傾斜して形成されている。このため、挿入溝部121bに挿入される係止プレート122は、係止面122aが取付面に対して傾斜した姿勢で支柱本体部121に取付けられる。換言すると、支柱120において隣接する取付面の間には、それぞれの取付面に対して傾斜する係止面122aが形成されている。
【0089】
本実施形態に係るブース装置1Aによれば、上記の如く支柱120における係止面122aを、パネル体を組付ける取付面に対して傾斜させている。これにより、ブース装置1Aの内部又は外部から、支柱120における係止孔122bを見えにくくすることができるため、ブース装置1Aの意匠性を向上させることができる。
【0090】
また、本実施形態に係るブース装置1Aにおいて、支柱120は水平において取付面の切断線方向における支柱120の幅寸法(支柱左右幅寸法Psと支柱前後幅寸法Pb)が同じ寸法に形成される。これにより、それぞれの取付面に連結されるパネル体の厚さ(側板22における側板厚み寸法Ssと背板25における背板厚み寸法Sb)を同じ寸法にして、パネル体を共通化することができる。
【0091】
また、本実施形態に係るブース装置1Aにおいては図20に示す如く、支柱120は水平断面で正方形状に形成されるとともに、前後左右方向に互いに直交する四つの取付面を有し、それぞれの取付面にパネル体が連結可能とされている。そして、四つの取付面の間には、それぞれの取付面に対して傾斜する四つの係止面122aが形成される。さらに、それぞれの係止面122aには、ブラケットの係止部を係止可能な係止孔122bが開口される。これにより、支柱120における四つの取付面にパネル体を連結可能とし、それぞれの取付面の間に四箇所の係止面122aを形成することが可能となる。
【0092】
また、本実施形態に係るブース装置1Aは、支柱120における取付面はカバー部材である側面カバー部材123被覆可能とされている。そして、図19における支柱120の角部に示す如く、複数の側面カバー部材123・123の間の間隙は、ブラケットの係止部を挿通可能なスリットとして形成される。これにより、支柱120の取付面を側面カバー部材123で被覆した状態においても、係止孔122bにブラケットの係止部を係止することを可能としている。
【0093】
また、本実施形態に係るブース装置1Aにおいて、支柱120は支柱本体部121と係止プレート122とを備えている。そして、支柱本体部121には、パネル体を組付ける取付面が形成されるとともに、隣接する取付面の間に挿入溝部121bが形成される。さらに、係止プレート122は、係止孔122bが開口されて係止面122aを構成するとともに、挿入溝部121bに挿入されることにより支柱本体部121に組付けられる。これにより、係止プレート122を挿入溝部121bに挿入するだけで、支柱120に係止孔122bを容易に形成することを可能としている。
【0094】
なお、本実施形態に係るブース装置1Aにおいて、支柱120を水平断面で正方形状とすることにより、支柱120が四つの取付面を備える構成としたが、支柱120は互いに直交する少なくとも二つの取付面を備える構成であれば良い。また、この場合、二つの取付面の切断線方向における支柱120の幅寸法を異なる長さとすることも可能である。また、前記第一実施形態に記載したブース装置1における支柱21の如く、支柱21に係合孔21dを直接形成する構成とすることも可能である(図9(b)に示す第一実施形態に係る支柱21を参照)。
【0095】
図15及び図16に示す如く、周壁2の内側面のうち、側板22の後部及び背板25(扉24の反対側)には、不織布等の吸音素材で形成された複数の吸音パネル142が設けられる。本実施形態に係るブース装置1Aにおいても、ブース装置1Aの内部の使用者からの発声を吸音パネル142で吸収することにより、ブース装置1Aの遮音性(ブース装置1Aの内部と外部との相互間において伝達される音量の減衰性)を高める構成としている。なお、本実施形態においては、複数の吸音パネル142が上下方向に5枚に分割されて設けられており、周壁2に対してそれぞれ独立して着脱可能とされている。
【0096】
吸音パネル142は取付枠141を介して側板22及び背板25に組付けられる。取付枠141は側板22と吸音パネル42との間に介挿される連結部材であり、スピーカSaを取付けるためのオプション取付部材としても機能する。取付枠141の上端部は上キャップ141dにより被覆される。
【0097】
本実施形態に係るブース装置1Aでは、周壁2において左右方向に互いに対向する内周面(側板22の内側面)にはスピーカSaが設けられる。本実施形態におけるスピーカSaは正面(使用者に対向する側の面)が略矩形状に形成されるとともに、正面のほぼ全域が音声出力部Soとして構成されている。図16に示す如く、スピーカSaはオプション取付部材である取付枠141を介して側板22に組付けられる。
【0098】
オプション取付部材である取付枠141には、スピーカSa以外のオプション部材を取付けることが可能である。例えば、本実施形態に係るブース装置1Aにおいて、背板25において吸音パネル142を支持する取付枠141には、照明I及びディスプレイDが取り付けられている。
【0099】
本実施形態に係るブース装置1Aにおいて、周壁2の開口部2aには、図14及び図15に示す如く、支持部材130を介して遮蔽部が設けられる。本実施形態において、遮蔽部として屋根部材131、第一ルーバー部材132、及び、第二ルーバー部材133が採用される。
【0100】
ブース装置1Aにおいては、支持部材130・130が左右両側における側板22の溝部22aに係合される。そして、それぞれの支持部材130・130の間に、屋根部材131、第一ルーバー部材132、及び、第二ルーバー部材133が架け渡される。これにより、開口部2aを遮蔽する遮蔽部として屋根部材131、第一ルーバー部材132、及び第二ルーバー部材133が設けられる。
【0101】
本実施形態において、遮蔽部である屋根部材131、第一ルーバー部材132、及び、第二ルーバー部材133は、不織布等の吸音性の素材が表出するように構成されている。また、遮蔽部である屋根部材131、第一ルーバー部材132、及び、第二ルーバー部材133は、平面視で開口部2aの開口面積の3割以下の領域を遮蔽する(遮蔽率が3割以下となる)ように構成されている。これにより、火災発生時にスプリンクラー等による上方からの散水性を確保することができる。
【0102】
本実施形態に係るブース装置1Aの内部には、背板25に沿って天板152が設けられる。具体的には図15及び図17に示す如く、天板支持部151が支柱120に固定され、天板152が二個の天板支持部151の上部に固定されることにより、天板152がブース装置1Aにおける後方の内部(背板25に沿った位置)に設けられる。
【0103】
ブース装置1Aの内部の前側には、ブース装置1Aの内部を遮蔽可能なカーテン162が設けられる。具体的には図16に示す如く、カーテン162を吊支可能なレール161が取付部材を介して扉枠パネル23に取付けられる。そして、カーテン162がレール161に沿ってスライドしつつ伸縮可能に設けられる。これにより、扉24に透明なガラスパネルを用いた場合でも、カーテン162によりブース装置1Aの内部を遮蔽することができる。
【0104】
本実施形態に係るブース装置1Aの内部には、使用者が天板152を使用する際に座るための椅子172が設けられる。本実施形態において、椅子172は背板25の下端部から延びる椅子支持部材171に支持され、ブース装置1Aの内部における位置が不変に固定されている。
【符号の説明】
【0105】
1 ブース装置(個室ブース・第一実施形態)
1A ブース装置(個室ブース・第二実施形態)
2 周壁 2a 開口部
21 支柱 21a 側面カバー部材
21b 上面カバー部材 21c 突条部
21d 係合孔 21e 挿通部
22 側板 22a 溝部
22b 連結部材 22c 被係止部
23 扉枠パネル 24 扉
24a ドアノブ 24b ドアクローザ
25 背板 25a 溝部
25b 連結部材
31 屋根部材 31a 屋根本体部
31b 係合部 32 第一ルーバー部材
32a 第一ルーバー部 32b 第一係合部
33 第二ルーバー部材
33a 第二ルーバー部 33b 第二係合部
41 取付枠 41a 係止部
41b フレーム 41c 支持板
41d 固定板 42 吸音パネル
42a 窓部
51 天板ブラケット 51a 係合部
52 天板 53 トレイ
54 カバー 100 ブースユニット
120 支柱(コーナー支柱)
121 支柱本体部 121a 突条部
121b 挿入溝部 121c 挿通部
122 係止プレート 122a 係止面
122b 係止孔 122c ねじ孔
123 側面カバー部材 123a 係合突条部
124 接続部材
130 支持部材 131 屋根部材
132 第一ルーバー部材
133 第二ルーバー部材
141 取付枠 141d 上キャップ
142 吸音パネル
151 天板支持部 151a 係止爪
152 天板
161 レール 162 カーテン
H ヒンジ S スピーカ
Sa スピーカ So 音声出力部
D ディスプレイ I 照明
C 配線コード L 中央線
Bs 発声ブース Bm 測定ブース
Ps 発声点 Pm 測定点
P 吸音パネル St 矢印
Ss 側板厚み寸法 Sb 背板厚み寸法
Ps 支柱左右幅寸法 Pb 支柱前後幅寸法

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21