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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189693
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】ブース装置及びブースユニット
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20221215BHJP
   E04B 1/82 20060101ALI20221215BHJP
   G10K 11/16 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
E04H1/12 302Z
E04B1/82 Z
G10K11/16 150
E04H1/12 B
G10K11/16 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177661
(22)【出願日】2021-10-29
(31)【優先権主張番号】P 2021098277
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】今 健一
(72)【発明者】
【氏名】山下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】湯川 賢訓
(72)【発明者】
【氏名】東田 祐治
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 駿汰
【テーマコード(参考)】
2E001
5D061
【Fターム(参考)】
2E001DF04
2E001FA14
5D061CC17
(57)【要約】
【課題】内部の使用者からの発声を屋根部材で反射させることにより、スプリンクラー等による上方からの散水性を阻害することなく、遮音性をより高めることができる、ブース装置、及び、ブースユニットを提供する。
【解決手段】ブースユニット100を構成するブース装置1は、上方に向けて開口部2aが形成された周壁2を備え、開口部2aには、平面視で開口部2aの開口面積の3割以下の領域を遮蔽する遮蔽部が設けられ、遮蔽部として、前後方向に対向する二つの側辺と周壁2との間が開放される屋根部材31と、複数の第一ルーバー部材32と、複数の第二ルーバー部材33と、が設けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に向けて開口部が形成された周壁を備え、
前記開口部には、平面視で前記開口部の開口面積の3割以下の領域を遮蔽する遮蔽部が設けられ、
前記遮蔽部の一部又は全部として、少なくとも対向する二つの側辺と前記周壁との間が開放される屋根部材が設けられる、ブース装置。
【請求項2】
前記遮蔽部の一部として、前記屋根部材を支持する一対の支持部材が設けられ、
それぞれの前記支持部材は、対向して配置される前記周壁の上端部に沿って設けられる、請求項1に記載のブース装置。
【請求項3】
前記遮蔽部の一部として複数のルーバー部材が設けられる、請求項1又は請求項2に記載のブース装置。
【請求項4】
前記周壁の内側面に吸音パネルが設けられる、請求項1から請求項3の何れか1項に記載のブース装置。
【請求項5】
前記周壁において互いに対向する内周面にはスピーカが設けられ、
前記スピーカと前記屋根部材とは、平面視で重複する領域に設けられる、請求項1から請求項4の何れか1項に記載のブース装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1項に記載のブース装置が連続して配置され、
前記屋根部材は、隣接するブース装置との間に配置される一方の前記周壁と、一方の前記周壁と対向する他方の前記周壁と、に亘って設けられることにより、対向する二つの前記側辺と、一方の前記周壁と交差して対向する他の前記周壁との間が開放される、ブースユニット。
【請求項7】
前記ブース装置の内部には、一方の前記周壁と交差する他の前記周壁に沿って天板が設けられる、請求項6に記載のブースユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、一人又は小人数で利用可能なブース装置、及び、複数のブース装置が連続して配置されるブースユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遮音性に優れつつ、スプリンクラー等による上方からの散水性を阻害しないブース装置が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-37671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術において、ブース装置の内部における使用者からの発声は、天井部に衝突することで減衰するように構成されている。このようなブース装置においては、スプリンクラー等による上方からの散水性を阻害することのない、より高い遮音性が求められている。そこで、本開示は、上記に関する課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係るブース装置は、上方に向けて開口部が形成された周壁を備え、前記開口部には、平面視で前記開口部の開口面積の3割以下の領域を遮蔽する遮蔽部が設けられ、前記遮蔽部の一部又は全部として、少なくとも対向する二つの側辺と前記周壁との間が開放される屋根部材が設けられる。
【0006】
上記第1観点に係るブース装置によれば、ブース装置の内部の使用者からの発声を屋根部材で反射させることにより、上方からの散水性を阻害することなく、ブース装置の遮音性をより高めることができる。
【0007】
上記第1観点に係るブース装置における屋根部材は、前後方向に対向する二つの側辺と周壁との間が開放されていても、左右方向に対向する二つの側辺と周壁との間が開放されていても良い。また、前後左右方向の三つ以上の側辺と周壁との間が開放されていても差し支えない。
【0008】
本発明の第2観点に係るブース装置は、第1観点に係るブース装置において、前記遮蔽部の一部として、前記屋根部材を支持する一対の支持部材が設けられ、それぞれの前記支持部材は、対向して配置される前記周壁の上端部に沿って設けられる。
【0009】
上記第2観点に係るブース装置によれば、支持部材を介して屋根部材を支持する構成とすることにより、屋根部材の取付性を向上させることができる。
【0010】
本発明の第3観点に係るブース装置は、第1観点又は2観点に係るブース装置において、前記遮蔽部の一部として、複数のルーバー部材が設けられる。
【0011】
上記第3観点に係るブース装置によれば、ブース装置の内部の使用者からの発声をルーバー部材の間で反射させることにより、ブース装置の遮音性をより高めることができる。
【0012】
本発明の第4観点に係るブース装置は、第1観点から第3観点の何れか一に係るブース装置において、前記周壁の内側面に吸音パネルが設けられる。
【0013】
上記第4観点に係るブース装置によれば、ブース装置の内部の使用者からの発声を吸音パネルで吸収することにより、ブース装置の遮音性をより高めることができる。
【0014】
本発明の第5観点に係るブース装置は、第1観点から第4観点の何れか一に係るブース装置において、前記周壁において互いに対向する内周面にはスピーカが設けられ、前記スピーカと前記屋根部材とは、平面視で重複する領域に設けられる。
【0015】
上記第5観点に係るブース装置によれば、スピーカからの発声を屋根部材で反射させることにより、ブース装置の遮音性をより高めることができる。
【0016】
本発明の第6観点に係るブースユニットは、第1観点から第5観点の何れか一に係るブース装置が連続して配置され、前記屋根部材は、隣接するブース装置との間に配置される一方の前記周壁と、一方の前記周壁と対向する他方の前記周壁と、に亘って設けられることにより、対向する二つの前記側辺と、一方の前記周壁と交差して対向する他の前記周壁との間が開放される。
【0017】
上記第6観点に係るブースユニットによれば、隣接するブース装置の使用者の互いの発声をそれぞれの屋根部材で反射させることにより、ブース装置間の遮音性をより高めることができる。
【0018】
本発明の第7観点に係るブースユニットは、第6観点に係るブースユニットにおいて、前記ブース装置の内部には、一方の前記周壁と交差する他の前記周壁に沿って天板が設けられる。
【0019】
上記第7観点に係るブースユニットによれば、ブース装置の内部において、天板を使用する使用者を他の周壁に対向する姿勢として、隣接するブース装置と直交する方向に発声させることができるため、ブース装置間の遮音性をより高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上における本発明に係るブース装置は、以下に示す効果を奏する。
【0021】
第1観点に係るブース装置によれば、上方からの散水性を阻害することなく、ブース装置の遮音性をより高めることができる。
【0022】
第2観点に係るブース装置によれば、屋根部材の取付性を向上させることができる。
【0023】
第3観点に係るブース装置によれば、ブース装置の遮音性をより高めることができる。
【0024】
第4観点に係るブース装置によれば、ブース装置の遮音性をより高めることができる。
【0025】
第5観点に係るブース装置によれば、ブース装置の遮音性をより高めることができる。
【0026】
第6観点に係るブースユニットによれば、ブース装置間の遮音性をより高めることができる。
【0027】
第7観点に係るブースユニットによれば、ブース装置間の遮音性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第一実施形態に係るブース装置を示した斜視図。
図2】第一実施形態に係るブース装置の内部構造を示した斜視図。
図3図1におけるY-Y線断面図。
図4】第一実施形態に係るブース装置を示した平面図。
図5】取付枠の組付構成を示した斜視図。
図6】スピーカ及び吸音パネルの組付構成を示した斜視図。
図7】(a)から(c)はそれぞれ、図1におけるX1-X1線拡大断面図、X2-X2線拡大断面図、及び、X3-X3線拡大断面図。
図8】支柱に対する側板及び天板の組付構成を示した斜視図。
図9】(a)及び(b)は支柱と側板との組付構成を示した平面図及び斜視図。
図10】一実施例に係るブースユニットを示した斜視図。
図11】側板に対して取付枠を組付ける状態を示した斜視図。
図12】(a)及び(b)は側板と取付枠との組付構成を示した斜視図及び平面図。
図13】(a)及び(b)はそれぞれ、測定試験の構成を示した平面図、及び、測定試験結果を示した図。
図14】第二実施形態に係るブース装置を示した斜視図。
図15】第二実施形態に係るブース装置の扉を外した状態を示した斜視図。
図16】連結部材の組付構成を示した斜視図。
図17】遮蔽部の組付構成を示した斜視図。
図18】屋根部材の組付構成を示した分解斜視図。
図19】屋根部材の組付構成を示した下側斜視図。
図20】ルーバー部材の組付構成を示した斜視図。
図21】ルーバー部材の組付構成を示した分解斜視図。
図22】(a)及び(b)はそれぞれ、図14におけるX4-X4線拡大断面図及びX5-X5線拡大断面図。
図23】吸音パネルの組付構成を示した斜視図。
図24】吸音パネルの組付構成を示した分解斜視図。
図25】吸音パネルの組付構成を示した断面図。
図26】照明部材の組付構成を示した斜視図。
図27】照明部材の組付構成を示した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[ブース装置1]
以下では図1から図9を用いて、本発明の一実施形態に係るブース装置1について説明する。本実施形態に係るブース装置1は図1及び図2に示す如く、床面に載置されて一人又は小人数で室内を利用するために用いられる。ブース装置1は主にスチール又はアルミ合金等の金属製部材を組み合わせることにより構成される。本実施形態においては、図1中の矢印でブース装置1の方向を規定する。
【0030】
図1及び図2に示す如く、本実施形態に係るブース装置1は、上方に開口部2aが形成された筒形状の周壁2を備えている。周壁2は、図1図2及び図4に示す如く平面視で矩形に形成される。周壁2は、上下方向に向けて四隅に配置された支柱21、周壁2の両側部に配置される側板22、周壁2の前部に配置される扉枠パネル23と扉24、及び、周壁の後部に配置される背板25で構成される。
【0031】
図1及び図4に示す如く、支柱21は周壁2の四隅に配置され、側板22、扉枠パネル23及び扉24、及び、背板25が組付けられる柱状部材である。周壁2において外側に露出する支柱21の側面には側面カバー部材21aが取り付けられる。また、支柱21の上面には上面カバー部材21bが取り付けられる。
【0032】
支柱21には図8及び図9(a)に示す如く、前後左右の斜め方向に突出して支柱21の角部となる突条部21cが長手方向に沿って形成されている。突条部21cの外面には多数の係合孔21dが開口されている。突条部21cの間のスペースは側板22等の連結部材を挿入したり配線コードC等を挿通したりすることができる挿通部21eとして形成される(図9(a)及び(b)を参照)。
【0033】
側板22及び背板25は、側板22及び背板25の上部に固定された連結部材22b・25bを介して支柱21に組付けられる。具体的には図9(a)に示す如く、連結部材22b・25bの端部には係止部が形成され、この係止部は側板22及び背板25の端面から延出される。そして、係止部が支柱21の突条部21c・21cの間に挿入されることにより、連結部材22b・25bが支柱21に連結される。側板22及び背板25の下部についても、上部と同様に支柱21に連結される。また、扉枠パネル23についても、側板22及び背板25と同様に支柱21に組付けられる。
【0034】
図1に示す如く、扉枠パネル23と扉24とはヒンジHを介して回動可能に組付けられている。扉24にはドアノブ24aが設けられる。また、扉24の後面上部にはドアクローザ24bが設けられる。本実施形態において、扉24には透明なガラスパネルが組付けられるが、扉24を不透明な素材で構成しても差し支えない。
【0035】
本実施形態において、周壁2の両側部にはそれぞれ二枚の側板22・22が互いに連結されて配置される。それぞれの側板22の上辺には、互いに連通される溝部22aが形成されている。図11及び図12に示す如く、溝部22aの内面には互いに対向して突出する被係止部22cが長手方向に沿って形成される。また、背板25の上辺にも溝部25aが形成されている。
【0036】
なお、側板22、扉枠パネル23と扉24、及び、背板25の幅寸法(厚さ方向と直交する水平方向の長さ寸法)を変更することにより、周壁2の外形寸法を変更することができる。即ち、ブース装置1は、周壁2の外形寸法を変更することによって前後左右方向の大きさを適宜変更することが可能である。
【0037】
図2から図4に示す如く、周壁2の内側面のうち、側板22の後部及び背板25(扉24の反対側)には、不織布等の吸音素材で形成された複数の吸音パネル42が設けられる。本実施形態に係るブース装置1によれば、ブース装置1の内部の使用者からの発声を吸音パネル42で吸収することにより、ブース装置1の遮音性(ブース装置1の内部と外部との相互間において伝達される音量の減衰性)を高める構成としている。なお、本実施形態においては、複数の吸音パネル42が上下方向に分割されて設けられており、周壁2に対してそれぞれ独立して着脱可能とされている。
【0038】
本実施形態に係るブース装置1において、周壁2の開口部2aには、図1から図4に示す如く遮蔽部として屋根部材31、第一ルーバー部材32、及び、第二ルーバー部材33が設けられている。本実施形態において、遮蔽部である屋根部材31、第一ルーバー部材32、及び、第二ルーバー部材33は、不織布等の吸音性の素材が表出するように構成されている。
【0039】
本実施形態において、遮蔽部である屋根部材31、第一ルーバー部材32、及び、第二ルーバー部材33は、平面視で開口部2aの開口面積の3割以下の領域を遮蔽するように構成されている。これにより、火災発生時にスプリンクラー等による上方からの散水性を確保することができる。
【0040】
図1及び図2に示す如く、屋根部材31は高さ方向寸法よりも水平方向寸法(前後方向寸法及び左右方向寸法)が大きくなるように略水平に配置された板状の部材である。また、図7(b)に示す如く、屋根部材31は平面視で矩形となるように上下方向に窪んで形成された屋根本体部31aと、屋根本体部31aの左右両側に形成された鉤状の係合部31bと、を備える。ブース装置1においては、屋根部材31の係合部31bが対向する側板22の溝部22aに係合されることにより、屋根部材31が周壁2に組付けられる。
【0041】
図1から図4に示す如く、ブース装置1における屋根部材31は、前後方向に対向する二つの側辺と周壁2との間が開放されている。換言すれば、屋根部材31の前後両側は周壁2(扉枠パネル23と扉24、及び、背板25)との間に隙間が形成されている。
【0042】
屋根部材31と、扉枠パネル23及び扉24と、の間の隙間には、四枚の第一ルーバー部材32が設けられる。また、屋根部材31と、背板25と、の間の隙間には、四枚の第二ルーバー部材33が設けられる。なお、各ルーバー部材の枚数は限定されるものではなく、他の枚数とすることも可能である。
【0043】
図1及び図2に示す如く、第一ルーバー部材32及び第二ルーバー部材33は前後方向寸法よりも上下方向寸法及び左右方向寸法が大きくなるように配置された板状の部材である。また、図7(b)に示す如く、第一ルーバー部材32は扉24と平行となるように配置された板状の第一ルーバー部32aと、第一ルーバー部32aの左右両側に形成された鉤状の第一係合部32bとを備える。また、図7(c)に示す如く、第二ルーバー部材33は背板25と平行となるように配置された板状の第二ルーバー部33aと、第二ルーバー部33aの左右両側に形成された鉤状の第二係合部33bとを備える。
【0044】
図7(a)及び(c)に示す如く、ブース装置1においては、第一係合部32b及び第二係合部33bがそれぞれ対向する側板22の溝部22aに係合されることにより、第一ルーバー部材32と第二ルーバー部材33とが周壁2に組付けられる。本実施形態においては図7(c)に示す如く、第二ルーバー部材33が組付けられる部分には側板22に吸音パネル42が設けられているため、第二ルーバー部33aは第一ルーバー部32aよりも左右方向の幅寸法が小さくなるように形成されている。
【0045】
本実施形態に係るブース装置1では、屋根部材31の係合部31b、第一ルーバー部材32の第一係合部32b、及び、第二ルーバー部材33の第二係合部33bは、側板22の溝部22aにおける前後方向の任意の位置に設けることを可能としている。なお、溝部22aに所定間隔ごとに複数のスリットを形成し、このスリットに係合部31b、第一係合部32b、及び、第二係合部33bを挿入することにより、屋根部材31、第一ルーバー部材32、及び、第二ルーバー部材33の前後位置を規制する構成とすることも可能である。また、スリットを形成した位置決め金具を溝部22aの長手方向に沿って溝部22aに固定し、この位置決め金具のスリットに係合部31b、第一係合部32b、及び、第二係合部33bを挿入することにより、屋根部材31、第一ルーバー部材32、及び、第二ルーバー部材33を溝部22aに位置決めした状態で組付けることも可能である。
【0046】
上記の如く、本実施形態に係るブース装置1においては、ブース装置1の内部の使用者からの発声を屋根部材31で反射させることにより、発声がブース装置1の外部に放出され難くなるため、ブース装置1の遮音性を高めることができる。また、屋根部材31において前後方向に対向する二つの側辺と周壁2との間が開放されているため、スプリンクラー等による上方からの散水性を阻害することがない。
【0047】
また、本実施形態に係るブース装置1においては、ブース装置1の内部の使用者からの発声を第一ルーバー部材32同士、及び、第二ルーバー部材33同士の間で反射させることにより、発声がブース装置1の外部に放出され難くなるため、ブース装置1の遮音性をより高めることができる。
【0048】
本実施形態に係るブース装置1において、周壁2において左右方向に互いに対向する内周面(側板22の内側面)にはスピーカSが設けられる。図3及び図4に示す如く、スピーカSは取付枠41を介して側板22に組付けられる。取付枠41は枠体で構成されるラダー状のオプション取付枠であり、側板22と吸音パネル42との間に介挿される連結部材である。
【0049】
取付枠41は、図5に示す如く、上端部に形成された係止部41aと、取付枠41の枠組となるフレーム41bと、フレーム41bに設けられてスピーカSが固定される支持板41cと、を備える。取付枠41を側板22に組付ける際には、まず、図5に示す如く係止部41aを側板22の溝部22aに係止する。
【0050】
その後、図6に示す如く、支持板41cにスピーカSを組付ける。また、吸音パネル42を側板22に組付けることにより、取付枠41を被覆する。さらに、図3に示す如く、窓部42aが開口された吸音パネル42をスピーカSの周囲に組付けることにより、吸音パネル42の一部にスピーカSが露出した状態でブース装置1が構成される。本実施形態において、スピーカSの表面はメッシュ生地等で形成されたカバー部材により被覆されている。
【0051】
図4に示す如く、本実施形態に係るブース装置1において、スピーカSと屋根部材31とは、平面視で重複する領域に設けられる。これにより、スピーカSからの発声を屋根部材31で反射させることにより、スピーカSからの発声がブース装置1の外部に放出され難くなるため、ブース装置1の遮音性をより高めることができる。なお、スピーカSからの発声を外部に放出し難くするという観点より、スピーカSとして指向性スピーカを採用することが好ましい。また、使用者を左右から挟むようにスピーカSを配置することで、スピーカSの音量を抑制することが可能となるため、スピーカSからの発声がブース装置1の外部に漏れにくくすることができる。
【0052】
本実施形態に係るブース装置1において、吸音パネル42は樹脂製のリベット等を介して取付枠41に取り付けられる。なお、側板22及び背板25に対して、吸音パネル42に固定した磁性体を吸着させることにより吸音パネル42を取付ける構成や、吸音パネル42を側板22及び背板25に対して接着により固定する構成も可能である。
【0053】
本実施形態に係るブース装置1の内部には、背板25に沿って天板52が設けられる。具体的には図8に示す如く、天板ブラケット51に形成された係合部51aが支柱21の係合孔21dに係合されることにより、ブース装置1の後部に位置する二本の支柱21・21のそれぞれに天板ブラケット51が組付けられる。そして、天板52が二枚の天板ブラケット51・51の上部に固定されることにより、天板52がブース装置1における後方の内部(背板25に沿った位置)に設けられる。
【0054】
本実施形態に係るブース装置1においては図3及び図8に示す如く、二枚の天板ブラケット51・51の間には、通信機器や配線等を収容するためのトレイ53が設けられる。また、トレイ53の前側には、トレイ53の上側を被覆するためのカバー54が固定されている。
【0055】
図2から図4に示す如く、本実施形態に係るブース装置1において、天板52の後端部は平面視で屋根部材31の近傍に配置される。ブース装置1の使用者は、天板52の前側近傍に座って発話することが多いため、上記の如く天板52の後端部と屋根部材31とを平面視で近づけることにより、ブース装置1の使用者の頭部を屋根部材31の下方に位置させることができる。これにより、ブース装置1の使用者からの発声を屋根部材31で反射させやすくすることができる。即ち、本実施形態に係るブース装置1によれば、使用者からの発声をブース装置1の外部により放出され難くすることができるため、ブース装置1の遮音性をさらに高めることが可能となる(後述する試験結果を参照)。
【0056】
特に、本実施形態に係るブース装置1においては、屋根部材31を二枚の側板22・22に固定している。これにより、ブース装置1の内部における発声を側板22・22の近傍において屋根部材31で反射させることができるため、ブース装置1の側方の外部に発声が伝達され難くすることができる。
【0057】
また、本実施形態の如く、ブース装置1の使用者の頭部を屋根部材31の下方に位置させることにより、ブース装置1の外部の音が使用者に届くことを抑制できる。即ち、本実施形態に係るブース装置1においては、使用者の上方から入ってくる外部の音を屋根部材31で遮断することにより、遮音性をより高めることを可能としている。
【0058】
[ブースユニット100]
次に、図10を用いて、本発明の一実施形態に係るブースユニット100について説明する。本実施形態に係るブースユニット100は、前記実施形態に係るブース装置1が左右方向に二個連続して配置される。ブースユニット100を構成する構成部材は、ブース装置1の構成部材と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0059】
本実施形態に係るブースユニット100において、左右のブース装置1はそれぞれの間に配置される二本の支柱21及び側板22を共有している。このため、本実施形態に係るブースユニット100においては、同じ側板22に対向して組付けられる取付枠41・41が干渉せずに前後方向に同じ位置に設けられるように構成されている。
【0060】
具体的には図11及び図12(a)に示す如く、本実施形態における取付枠41は、フレーム41bの上端に形成された固定板41dに対して、爪状の係止部41aが垂直に折り曲げられて形成されている。この際、図12(b)に示す如く、固定板41dの中心線Lから左側の係止部41aまでの距離が、右側の係止部41aまでの距離よりも大きくなるように形成している。
【0061】
これにより、図12(a)及び(b)に示す如く、側板22の溝部22aに取付枠41を対向させて係合させ、被係止部22cに係止部41aを係止させた際に、互いの固定板41dの中心線を一致させることができる。即ち、対向して組付けられる取付枠41・41を、互いに干渉させずに、側板22における前後方向の同じ位置に設けることが可能となる。
【0062】
本実施形態に係るブースユニット100において、それぞれのブース装置1に設けられる屋根部材31は、隣接するブース装置1との間に配置される一方の周壁2(本実施形態においては、二個のブース装置1・1の間に設けられる側板22)と、一方の周壁2と対向する他方の周壁2(本実施形態においては、ブースユニット100の左右方向外側に設けられる側板22・22)と、に固定される。
【0063】
ブースユニット100によれば、上記の如く構成することにより、隣接するブース装置1・1の内部における互いの発声を側板22・22の近傍において屋根部材31で反射させることができる。これにより、ブース装置1の側方の外部に発声が漏れにくくなるため、発声がブース装置1・1の間で伝達され難くなる。即ち、ブース装置1・1の間での遮音性をより高めることが可能となる。
【0064】
また、本実施形態に係るブースユニット100におけるそれぞれのブース装置1・1の内部には、側板22と交差する背板25に沿って天板52が設けられる(図2を参照)。これにより、それぞれのブース装置1・1の内部において、天板52を使用する使用者を背板25に対向する姿勢とすることができる。このため、隣接するブース装置1・1と直交する方向(本実施形態においては後方)に使用者を発声させることができるため、隣接するブース装置1・1の間での遮音性をより高めることが可能となる。
【0065】
また、本実施形態に係るブースユニット100を使用する際に、外部への音漏れの影響を最小限にするという観点からは、ブースユニット100を構成するブース装置1の背板25を壁に近づけた状態とすることが好ましい。
【0066】
[測定試験結果]
次に、ブースユニット100における遮音性を検証するために本願出願人が行った測定試験の結果について、図13を用いて説明する。図13(a)に示す如く、本願出願人は、ブースユニット100と同様に二個連続するブース装置(発声ブースBs及び測定ブースBm)を用いて、互いの遮音性について試験を行った。
【0067】
本試験において、発声ブースBs及び測定ブースBmにおいては、ブース装置1における周壁2と同様の構成を使用し、双方が同じ条件となるように構成した。また、ブース装置1に設けられる吸音パネル42と同様の吸音パネルPを室内の左右両側及び前側の三方に配置した。そして、矢印Stに示す如く、発声ブースBsの中央における発声点Psに配置したスピーカから前方に向けて500Hzで発声を行った。さらに、発声ブースBsに隣接する測定ブースBmの中央における測定点Pmでの音量を測定した。
【0068】
本試験においては、図13(b)に示す如く、屋根部材及びルーバー部材の配置条件が異なる試験1から試験5までの試験を行った。具体的には、試験1は屋根部材及びルーバー部材を設けない構成とした。試験2は屋根部材で上側の開口部を全て閉塞してルーバー部材を設けない構成とした。試験3は屋根部材で上側の開口部の前方30%を閉塞してルーバー部材を設けない構成とした。試験4は屋根部材で上側の開口部の頭上(発声点Ps及び測定点Pmの上方)30%を閉塞してルーバー部材を設けない構成とした。試験5は屋根部材を上側の開口部の頭上(発声点Ps及び測定点Pmの上方)に設けるとともにルーバー部材を屋根部材の前後に合計10枚設けることにより、屋根部材とルーバー部材とで開口部を計30%閉塞する構成とした。
【0069】
本試験においては、図13(b)に示す如く、試験1から試験5のそれぞれについて、発声点Psの近傍で音量を測定した条件(以下、「基本条件」と記載する)と比較した際の測定音量の低減効果を測定した。即ち、屋根部材を設けない試験1においては、基本条件に対して19.1dBの音量低減効果が確認された。また、開口部を全て屋根部材で閉塞した試験2は、基本条件に対して28.7dBの高い音量低減効果が確認された。
【0070】
一方、図13(b)に示す如く、前方30%を屋根部材で閉塞した試験3は、基本条件に対して20.2dBの音量低減効果に留まり、屋根部材を設けない試験1と大きな違いは見られなかった。また、頭上30%を屋根部材で閉塞した試験4は、基本条件に対して25.2dBの音量低減効果が確認された。このように、本試験により、屋根部材を発声点の上方(ブース使用者の頭上位置)に配置した場合は、屋根部材を前方に配置した場合と比較して5dB以上の音量低減効果があり、散水性を阻害することなく高い遮音性を発揮することが確認された。
【0071】
また、頭上30%を屋根部材とルーバー部材とで閉塞した試験5は、基本条件に対して27.9dBと、開口部を全て屋根部材で閉塞した試験2と同程度の高い音量低減効果が確認された。このように、本試験により、屋根部材に加えてルーバー部材を配置することで遮音性のさらなる向上が可能となることが確認された。
【0072】
[他の変形例]
上記の実施形態は、以下に示す他の変形例に示すように適宜変形が可能である。なお、本明細書に記載する各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。
【0073】
ブース装置については、平面視での形状を矩形状以外の他の形状とすることが可能である。例えば、ブース装置を平面視で円形状、三角形状、五角形状、台形状等の形状とすることも可能である。
【0074】
ブース装置1における屋根部材31は、本実施形態の如く前後方向に対向する二つの側辺と周壁2との間が開放されている場合だけでなく、左右方向に対向する二つの側辺と周壁2との間が開放されていても良い。また、前後左右方向の三つ以上の側辺と周壁2との間が開放されていても差し支えない。
【0075】
ブース装置1において、周壁2の開口部2aを遮蔽する遮蔽部として屋根部材31、第一ルーバー部材32、及び、第二ルーバー部材33が設けられているが、屋根部材31のみを遮蔽部として設ける構成とすることも可能である。また、ブース装置1において、遮蔽部をルーバー部材だけで構成し、一部のルーバー部材を回動させて隣接するルーバー部材と連続させることで屋根部材を構成することも可能ことも可能である。
【0076】
ブース装置1において、遮蔽部である屋根部材31、第一ルーバー部材32、及び、第二ルーバー部材33は、不織布製に限らず、鋼板等、音を反射することが可能な他の素材で構成しても良い。また、鋼板製のパネル体の内部に吸音材を入れることにより吸音パネルを構成することも可能である。
【0077】
ブース装置1において、吸音パネル42、スピーカSの何れか一方又は両方を設けない構成とすることも可能である。また、吸音パネル42をブース装置1の後部のみ又は側部のみに設ける構成とすることも可能である。また、スピーカSをブース装置1の後部に設ける構成とすることも可能である。
【0078】
ブースユニット100において、ブース装置1における屋根部材31の長手方向を前後方向に向けて設置することも可能である。また、ブース装置1の天板52を側板22に沿って設ける構成(使用者が側板22に対向する姿勢で使用する構成)とすることも可能である。
【0079】
[ブース装置1A]
以下では図14から図27を用いて、本発明の第二実施形態に係るブース装置1Aについて説明する。本実施形態に係るブース装置1Aは、本発明に係る個室ブースの一実施例である。本実施形態に係るブース装置1Aは図14及び図15に示す如く、床面に載置されて一人又は小人数で室内を利用するために用いられる。ブース装置1Aを構成する各部材のうち、前記実施形態に係るブース装置1と共通するものについては詳細な説明を省略する。本実施形態においては、図14中の矢印でブース装置1Aの方向を規定する。
【0080】
図14及び図15に示す如く、本実施形態に係るブース装置1Aは、前記実施形態に係るブース装置1と同様に、上方に開口部2aが形成されて床面に立設される筒形状の周壁2を備えることにより個室を構成する。周壁2は四本の支柱21と、支柱21によって平面視で矩形に連結されたスチールパネルである、側板22、扉枠パネル23、及び、背板25と、で構成される。
【0081】
図14から図16に示す如く、扉枠パネル23には扉枠として、一対の縦枠23a・23aと、縦枠23a・23aの上部を跨ぐ上枠23bと、が設けられる。右側の縦枠23aにはヒンジHを介して扉24が回動可能に支持される。
【0082】
本実施形態に係るブース装置1Aにおいて、扉枠には、一対の縦枠23a・23aの下端を繋ぐ連結部材26が設けられる。図16に示す如く、連結部材26は、板状部26aと、板状部26aの左右両端部から上方に起立する嵌合部26b・26bと、を備える。図15に示す如く、ブース装置1Aを設置した際に板状部26aは床面と平行に接するように配置される。また、嵌合部26b・26bは、鉛直方向上側に起立するとともに、連結部材26を扉枠に組付けた際に一対の縦枠23a・23aの下端にそれぞれ嵌合する。
【0083】
連結部材26は、一対の縦枠23a・23aに対して、ねじ等の固定手段を用いずに、嵌合部26b・26bが縦枠23a・23aの下端に嵌合されることによって扉枠に組付けられている。このため、連結部材26は、縦枠23a・23aの長手方向である上下方向に相対変位可能とされ、自重により床面に当接するように扉枠に設けられる。
【0084】
上記の如く、本実施形態に係るブース装置1Aによれば、扉枠パネル23が備える扉枠には、一対の縦枠23a・23aの下端を繋ぐ連結部材26が設けられる。本実施形態に係るブース装置1Aにおいては上記の如く構成することにより、扉枠の下部を床面に固定することなく、扉枠の剛性を高くして歪みを生じにくくしている。
【0085】
なお、ブース装置1Aにおいて、縦枠23a・23aと上枠23bとが直接的に固定されている必要はなく、他の部材を介して連結されていても良い。また、連結部材26について、縦枠23a・23aに直接固定されている必要はない。
【0086】
また、本実施形態に係るブース装置1Aによれば、連結部材26に板状部26aを形成して板状部26aを床面に当接させることにより、ブース装置1Aに出入りする際に乗り越える段差を小さくすることができる。このため、ブース装置1Aの使用者が出入りを円滑に行うことができる。
【0087】
また、本実施形態に係るブース装置1Aによれば、連結部材26は上下方向に相対変位可能とされるとともに、床面に当接するように設けられる。これにより、床面に対する周壁2の距離をアジャスタにより調整した場合でも、連結部材26を床面に当接させることができるため、ブース装置1Aへの出入りを円滑に行うことができる。
【0088】
また、本実施形態に係るブース装置1Aによれば、連結部材26は自重により床面に当接するように扉枠に設けられる。これにより、床面に対する周壁2の距離を調整しても、連結部材26が自重により床面に当接し、連結部材26の位置調節が不要となる。このため、ブース装置1Aの設置作業を簡易に行うことができる。
【0089】
また、本実施形態に係るブース装置1Aにおいて、扉24は周壁2の外側に回動して開くように設けられている。また、扉枠を構成する上枠23bは、図14に示す如く、扉24の上端部と上下方向に重複する位置に設けられる(図15を参照)。これにより、扉24を閉めた際に外部から上枠23bを視認できないように、上枠23bを扉24で被覆することができる。このため、扉24を閉めた際のブース装置1Aの意匠性を高めることができる。
【0090】
本実施形態に係るブース装置1Aにおいて、周壁2の開口部2aには、図14及び図15に示す如く遮蔽部として支持部材130、屋根部材131、及び、ルーバー部材132が設けられる。ブース装置1Aにおいては図17及び図22(a)に示す如く、支持部材130・130に形成された係止部130aが左右両側における側板22の溝部22aに係合されることにより、支持部材130・130が左右の側板22・22に組付けられる。そして、それぞれの支持部材130・130の間に、屋根部材131及び複数のルーバー部材132・132・・・が架け渡される。
【0091】
図14及び図15に示す如く、屋根部材131は高さ方向寸法よりも水平方向寸法(前後方向寸法及び左右方向寸法)が大きくなるように略水平に配置された板状の部材である。また、図18に示す如く、屋根部材131の左右両端部には係止孔131aが開口されている。
【0092】
図18及び図19に示す如く、屋根部材131の下面における前後方向の中央部には、左右方向に沿った溝部131bが形成される。溝部131bにはダクトレール131cを収容することができる。ダクトレール131cの下面には、照明器具や各種センサ等を取付けることが可能である。本実施形態において、ダクトレール131cは図示しない取付部材を介して側板22の溝部22aに係合される等の手段によって組付けられるが、ダクトレール131cを屋根部材131に固定することも可能である。
【0093】
図18図19、及び、図22(b)に示す如く、屋根部材131は屋根支持部材130cを介して支持部材130に組付けられる。支持部材130は上側支持部材130Uと下側支持部材130Dとに分割可能とされている。下側支持部材130Dには切り欠き部130bが形成されている。
【0094】
図19及び図22(b)に示す如く、屋根支持部材130cの爪部130dを屋根部材131の係止孔131aに挿入して係止した状態で、爪部130dを切り欠き部130bに挿入する。そして、リベットにより屋根支持部材130cを下側支持部材130Dに固定することにより、屋根部材131が下側支持部材130Dに組付けられる。その後、上側支持部材130Uが下側支持部材130Dの上側に組付けられ、屋根支持部材130c等が被覆される。
【0095】
上記の如く、本実施形態に係るブース装置1Aにおいては、遮蔽部の一部として、屋根部材131を支持する一対の支持部材130・130が設けられている。そして、それぞれの支持部材130・130は、左右方向に対向して配置される周壁2(側板22・22)の上端部に沿って設けられる。
【0096】
このように、本実施形態によれば、支持部材130・130を介して屋根部材131を支持する構成とすることにより、屋根部材131の取付性を向上させている。また、屋根部材を側板22・22に直接的に係止する構成と比較して、屋根部材131を安定的に周壁2に組付けることができるとともに、屋根部材131の組付部分を被覆することによりブース装置1Aの意匠性を高めることを可能としている。
【0097】
図14及び図15に示す如く、ブース装置1Aにおける屋根部材131は、前後方向に対向する二つの側辺と周壁2との間が開放されている。換言すれば、屋根部材131の前後両側は周壁2(扉枠パネル23と扉24、及び、背板25)との間に隙間が形成されている。
【0098】
屋根部材131と扉枠パネル23及び扉24との間の隙間、及び、屋根部材131と背板25との間の隙間には、それぞれ三枚(計六枚)のルーバー部材132が設けられる。なお、ルーバー部材132の枚数は限定されるものではなく、他の枚数とすることも可能である。
【0099】
図14及び図15に示す如く、ルーバー部材132は前後方向寸法よりも上下方向寸法及び左右方向寸法が大きくなるように配置された板状の部材である。図20及び図21に示す如く、ルーバー部材132の左右両端の上端部には挿通孔132aが開口されている。
【0100】
ルーバー部材132は棒状の第一係合部材132b及び環状の第二係合部材132cを介して支持部材130に組付けられる。下側支持部材130Dにはルーバー挿入部130eが切り欠かれて形成されている。
【0101】
図21及び図22(a)に示す如く、第一係合部材132bをルーバー部材132の挿通孔132aに挿入し、第一係合部材132bの先端部に第二係合部材132cを取付ける。そして、ルーバー部材132を下側支持部材130Dのルーバー挿入部130eに挿入して第一係合部材132b及び第二係合部材132cを下側支持部材130Dに係合させることにより、ルーバー部材132が下側支持部材130Dに組付けられる。その後、上側支持部材130Uが下側支持部材130Dの上側に組付けられ、第一係合部材132b及び第二係合部材132cが被覆される。
【0102】
上記の如く、本実施形態に係るブース装置1Aにおいては、周壁2の開口部2aを遮蔽する遮蔽部として支持部材130、屋根部材131、及び、ルーバー部材132が設けられる。このように、ブース装置1Aの内部の使用者からの発声を屋根部材131で反射させることにより、発声がブース装置1Aの外部に放出され難くなるため、ブース装置1Aの遮音性を高めることができる。また、屋根部材131において前後方向に対向する二つの側辺と周壁2との間が開放されているため、スプリンクラー等による上方からの散水性を阻害することがない。
【0103】
また、本実施形態に係るブース装置1Aにおいては、ブース装置1Aの内部の使用者からの発声をルーバー部材132同士の間で反射させることにより、発声がブース装置1Aの外部に放出され難くなるため、ブース装置1Aの遮音性をより高めることができる。
【0104】
また、本実施形態によれば、支持部材130・130を介してルーバー部材132・132・・を支持する構成とすることにより、ルーバー部材132の取付性を向上させている。また、ルーバー部材132を側板22・22に直接的に係止する構成と比較して、ルーバー部材132を安定的に周壁2に組付けることができるとともに、ルーバー部材132の組付部分を被覆することによりブース装置1Aの意匠性を高めることを可能としている。
【0105】
また、本実施形態に係るブース装置1Aにおいては、支持部材130・130を介して屋根部材131及びルーバー部材132・132・・を支持することにより、吸音パネル142の有無に関わらず、統一された仕様の屋根部材131及びルーバー部材132を採用することができる。即ち、第一実施形態に係るブース装置1の如く、吸音パネル42の有無によって第一ルーバー部材32と第二ルーバー部材33とを使い分ける必要がない(図7(a)及び(c)を参照)。また、吸音パネル42を設けない場合でも、屋根部材31における屋根本体部31aの形状等を変更する必要がない(図7(b)を参照)。
【0106】
また、本実施形態においては、支持部材130・130を介して屋根部材131及びルーバー部材132・132・・を支持することにより、側板22の溝部22aに対する屋根部材131及びルーバー部材132の位置決めや移動規制を容易に行うことができる。即ち、溝部22aに対しては支持部材130の係止部130aの位置決め等をするだけで屋根部材131及びルーバー部材132を固定することができるため、側板22に対する位置決め等をそれぞれの部材毎に行うことが不要となる。
【0107】
本実施形態において、遮蔽部を構成する屋根部材131、及び、ルーバー部材132は、不織布等の吸音性の素材が表出するように構成されている。また、遮蔽部である支持部材130、屋根部材131、及び、ルーバー部材132は、平面視で開口部2aの開口面積の3割以下の領域を遮蔽するように構成されている。これにより、火災発生時にスプリンクラー等による上方からの散水性を確保することができる。
【0108】
図15図17、及び図23に示す如く、周壁2の内側面のうち、側板22の後部及び背板25(扉24の反対側)には、不織布等の吸音素材で形成された複数の吸音パネル142が設けられる。本実施形態に係るブース装置1Aにおいても、ブース装置1Aの内部の使用者からの発声を吸音パネル142で吸収することにより、ブース装置1Aの遮音性(ブース装置1Aの内部と外部との相互間において伝達される音量の減衰性)を高める構成としている。
【0109】
本実施形態に係るブース装置1Aにおいては、部品を共通化するために、全ての吸音パネル142について形状及び大きさが同じものを採用している。また、本実施形態における吸音パネル142はブース装置1Aの側壁(側板22・22)の前後幅寸法よりも短く形成されているが、使用者の発話音を吸音するという観点より、吸音パネル142は少なくとも使用者の位置より前方に位置するように配置すればよい。また、吸音パネル142は、ブース装置1Aの側壁の幅方向の全長に亘って設けられていても良い。
【0110】
図23から図25に示す如く、吸音パネル142は取付枠141を介して側板22及び背板25に組付けられる。取付枠141は側板22と吸音パネル42との間に介挿される連結部材であり、後述する照明ユニット146やスピーカ等を取付けるためのオプション取付部材としても機能する。本実施形態において側板22に対する吸音パネル142の組付構成は、背板25に対する組付構成と同様であるため、以下では背板25に対して吸音パネル142を組付ける手法について説明する。
【0111】
取付枠141は、上端部に形成された係止部141aと、取付枠141の本体部である棒状のフレーム141bと、を備える。図23及び図24に示す如く、係止部141aが背板25の溝部25aに係止されることにより、取付枠141が背板25に組付けられる。フレーム141bにはパネル支持部材143を固定するために複数の取付孔141cが開口される。
【0112】
取付枠141にはパネル支持部材143を介して吸音パネル142が支持される。具体的には図23及び図24に示す如く、吸音パネル142の上下端部の背面には凹んだ形状の被係止部142aが形成される。
【0113】
そして、図25に示す如く、取付枠141を背板25に組付け、取付枠141が被係止部142aを通るように吸音パネル142を背板25に押し当てた状態で、パネル支持部材143と取付孔141cとにプッシュリベット144rを挿入する。これにより、吸音パネル142の被係止部142aがパネル支持部材143に係止され、吸音パネル142が取付枠141を介して背板25に組付けられる。
【0114】
なお、パネル支持部材143を取付枠141に組付ける際に、プッシュリベット144rを用いずに、パネル支持部材143を弾性変形させて取付枠141に係止する構成とすることも可能である。また、本実施形態において、取付枠141の最上部に取付けられるパネル支持部材143は、プッシュリベット144rではなく固定ねじ144sで取付枠141に固定されている。図24に示す如く、パネル支持部材143にはキャップ145が組付けられることにより、パネル支持部材143の表面、固定ねじ144s、プッシュリベット144rが被覆される。
【0115】
上記の如く、本実施形態に係るブース装置1Aにおいては、それぞれの吸音パネル142はパネル支持部材143に係止しているだけであるため、上下いずれかのパネル支持部材143を取付枠141から取り外すだけで側板22又は背板25から外すことが可能である。例えば、一番下の吸音パネル142を外す際には、下側のパネル支持部材143を取付枠141から外すことにより、側板22又は背板25から取り外し可能となる。
【0116】
図23に示す如く、本実施形態に係るブース装置1Aでは、背板25には取付枠141を介して照明ユニット146が設けられる。図26及び図27に示す如く、照明ユニット146は固定部材146aを介してカバー部材146b及び照明器具146cが取付枠141に組付けられる。具体的には、照明ユニット146が組付けられるパネル支持部材143にはキャップ145が組付けられず、ターンナット144t、スペーサ144a、及びボルト144bによって固定部材146aが取付枠141に固定される。
【0117】
図26に示す如く、固定部材146aは板状部材が折り曲げられて形成されている。そして、固定部材146aが図27に示す如くターンナット144t、スペーサ144a、及びボルト144bによって取付枠141に固定された状態で、ねじ等の部材を介してカバー部材146b及び照明器具146cを固定部材146aに固定する。これにより、照明ユニット146はパネル支持部材143及び取付枠141を介して背板25に組付けられる。上記の如く、本実施形態における照明ユニット146は、使用者から見て照明器具146cの手前側にカバー部材146bを配置した間接照明にすることにより、WEB会議等において使用者のカメラ写りを向上させることができる。
【0118】
オプション取付部材である取付枠141には、照明ユニット146以外のオプション部材を取付けることが可能である。例えば、本実施形態に係るブース装置1Aにおいて、側板22において吸音パネル142を支持する取付枠141には、照明ユニット146と同様の構成でスピーカ等を取付けることが可能である。
【0119】
本実施形態に係るブース装置1Aについても、図10に示す前記実施形態に係るブース装置1の如く、複数の個室であるブース装置1Aを連接させてブースユニットを構成することが可能である。本実施形態に係るブース装置1Aを複数個用いて連接し、ブースユニットを構成する場合は、複数のブース装置1Aは各ブース装置1Aの使用者が、ブース装置1Aの連接方向と直交した同じ方向を向いて使用可能に配置する構成(並列配置構成)とすることができる(例えば、図10に示すブースユニット100の如く、ブース装置1を左右方向に連接する構成)。
【0120】
上記の如く構成されたブースユニットにおいて、それぞれの個室を構成するブース装置1A(ブース装置1についても同様、以下同じ)は、上方に向けた開口部2aを有するとともに、床に接地する複数のスチールパネル(側板22、扉枠パネル23、及び、背板25)が互いに複数の連結部材である支柱21でコーナー連結されて平面視で矩形状に形成されている。そして、ブース装置1Aの内側に面する側板22及び背板25の表面の一部又は全部に、吸音パネル142が取付けられる。
【0121】
本発明に係るブース装置1Aにおいては上記の如く、周壁2を構成する側板22及び背板25に吸音パネル142を取付けることにより、ブース装置1Aの内部における反響や音漏れを軽減し、狭小空間でもWEB会議等を快適に行うことが可能となる。即ち、本実施形態に係るブース装置1Aを用いてブースユニットを構成した場合、スチールパネルである側板22及び背板25により遮音するとともに、吸音パネル142により吸音及び効果的な音漏れ抑制を実現することが可能となる。
【0122】
また、本実施形態に係るブース装置1Aを用いたブースユニットは、スチールパネルに吸音パネル142を取付ける構成とすることにより、ブース装置1Aの施工時や解体時の作業を容易にすることができる。このため、ブースユニットを構成するブース装置1Aの数やレイアウトの変更に対して柔軟に対応することができる。
【0123】
本実施形態に係るブース装置1Aにおいては、左右両側の側板22に吸音パネル142を取付ける構成としている。なお、複数のブース装置1Aを連接して、図10に示すブースユニット100のようなブースユニットを構成する場合は、少なくとも隣接するブース装置1Aとの間に設けられるスチールパネル(側板22)には吸音パネル142が取付けられることが好ましい。これにより、隣接するブース装置1Aに声が漏れにくくすることができる。
【0124】
また、本実施形態に係るブース装置1Aを用いてブースユニットを構成する場合、屋根部材131は、隣接するブース装置1Aとの間に配置される一方の側板22と、一方の側板22と対向する他方の側板22と、に亘って設けられることにより、対向する二つの側辺(前辺及び後辺)と、一方の側板22と交差して対向する他の周壁である、扉枠パネル23と扉24、及び、背板25との間が開放されることが好ましい。これにより、隣接するブース装置1Aの使用者の互いの発声をそれぞれの屋根部材131で反射させることができるため、ブース装置1Aの間で遮音性をより高めることができる。
【0125】
また、本実施形態に係るブース装置1Aにおいて、スチールパネル(側板22及び背板25)と吸音パネル142との間に、オプション部材を取付可能なオプション取付部材として取付枠141が設けられている。そして、取付枠141は吸音パネル142に隠蔽される。これにより、取付枠141を介して照明ユニット146等のオプション部材の着脱を行うことができる。さらに、ブース装置1A内に取付枠141が露出することを抑制して、ブース装置1Aの内部の意匠性を維持することができる。
【0126】
また、本実施形態に係るブース装置1Aにおいて、吸音パネル142はパネル支持部材143を介してオプション取付部材である取付枠141に着脱可能に固定される。これにより、取付枠141に対してパネル支持部材143を着脱することによって吸音パネル142の着脱ができるため、側板22及び背板25に対する吸音パネル142の着脱を容易に行うことが可能となる。
【0127】
また、本実施形態に係るブース装置1Aを用いてブースユニットを構成する場合、取付枠141は、互いに隣接するブース装置1Aの間に設けられる側板22の両面に、側板22の幅方向に同位置になるように取付可能とされることが好ましい。これにより、ブース装置1A内に取付けるオプション部材の前後方向における取付け位置を統一することができる。
【0128】
また、本実施形態に係るブース装置1Aにおいて、スチールパネル(側板22及び背板25)の表面と吸音パネル142の裏面との間には配線を挿通可能な空間が形成される。これにより、ブース装置1A内に配線が露出することを抑制できるため、ブース装置1Aの内部の意匠性を損なうことなく配線を取り廻すことができる。
【0129】
また、図25に示す如く、吸音パネル142の裏側に横溝を形成することにより、横方向の配線を横溝に挿通可能とすることもできる。この際、吸音パネル142に形成する横溝に対応する形で、一対の取付枠141・141を繋ぐ配線受けを設ける構成とすることもできる。これにより、配線受けにケーブルを載せた状態で吸音パネル142を取り付けることで配線作業を容易に行うことが可能となる。
【0130】
また、本実施形態に係るブース装置1Aにおいて、吸音パネル142は、上下方向に五枚に分割されるとともに、個別に着脱可能とされる。これにより、一枚あたりの吸音パネル142の上下方向の大きさをコンパクトにすることができるため、吸音パネル142の搬送、着脱、及び交換時の作業を容易に行うことができる。
【0131】
ブース装置1Aの内部の前側には、ブース装置1Aの内部を遮蔽可能なカーテンを設ける構成とすることもできる。例えば、カーテンを吊支可能なレールを支持部材130・130に設け、カーテンをレールに沿ってスライドしつつ伸縮可能に設けることも可能である。これにより、扉24に透明なガラスパネルを用いた場合でも、カーテンによりブース装置1Aの内部を遮蔽することができる。
【符号の説明】
【0132】
1 ブース装置(個室ブース・第一実施形態)
1A ブース装置(個室ブース・第二実施形態)
2 周壁 2a 開口部
21 支柱 21a 側面カバー部材
21b 上面カバー部材 21c 突条部
21d 係合孔 21e 挿通部
22 側板 22a 溝部
22b 連結部材 22c 被係止部
23 扉枠パネル 23a 縦枠(扉枠)
23b 上枠(扉枠) 24 扉
24a ドアノブ 24b ドアクローザ
25 背板 25a 溝部
25b 連結部材 26 連結部材
26a 板状部 26b 嵌合部
31 屋根部材 31a 屋根本体部
31b 係合部 32 第一ルーバー部材
32a 第一ルーバー部 32b 第一係合部
33 第二ルーバー部材
33a 第二ルーバー部 33b 第二係合部
41 取付枠 41a 係止部
41b フレーム 41c 支持板
41d 固定板 42 吸音パネル
42a 窓部
51 天板ブラケット 51a 係合部
52 天板 53 トレイ
54 カバー 100 ブースユニット
130 支持部材 130a 係止部
130b 切り欠き部 130c 屋根支持部材
130d 爪部 130e ルーバー挿入部
130U 上側支持部材 130D 下側支持部材
131 屋根部材 131a 係止孔
131b 溝部 131c ダクトレール
132 ルーバー部材 132a 挿通孔
132b 第一係合部材 132c 第二係合部材
141 取付枠 141a 係止部
141b フレーム 141c 取付孔
142 吸音パネル 142a 被係止部
143 パネル支持部材 144s 固定ねじ
144r プッシュリベット
144t ターンナット 144a スペーサ
144b ボルト 145 キャップ
146 照明ユニット 146a 固定部材
146b カバー部材 146c 照明器具
H ヒンジ S スピーカ
C 配線コード Bs 発声ブース
Bm 測定ブース Ps 発声点
Pm 測定点 P 吸音パネル
St 矢印
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