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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189712
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 18/31 20060101AFI20221215BHJP
   C23C 18/32 20060101ALI20221215BHJP
   C23C 18/20 20060101ALI20221215BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20221215BHJP
   H05K 3/24 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
C23C18/31 Z
C23C18/32
C23C18/20 Z
H05K3/18 H
H05K3/18 E
H05K3/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033421
(22)【出願日】2022-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2021097414
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000189327
【氏名又は名称】上村工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 陽平
(72)【発明者】
【氏名】田邉 克久
(72)【発明者】
【氏名】前田 剛志
(72)【発明者】
【氏名】大神 雄平
【テーマコード(参考)】
4K022
5E343
【Fターム(参考)】
4K022AA02
4K022BA14
4K022BA21
4K022BA36
4K022CA17
4K022CA18
4K022CA19
4K022CA20
4K022CA21
4K022DA01
4K022DB01
5E343BB24
5E343BB28
5E343BB35
5E343BB38
5E343BB40
5E343BB43
5E343BB44
5E343BB45
5E343DD33
5E343DD43
5E343ER01
5E343FF17
5E343FF18
5E343GG01
5E343GG11
(57)【要約】
【課題】十分に厚いSnめっき皮膜を有し、接続信頼性に優れた電子部品を安定して製造できるようにする。
【解決手段】電子部品の製造方法は、銅若しくは銅合金、又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる基材101の上に、ニッケル等からなる基材側層211を形成する工程と、基材側層211の上に、金、パラジウム、白金、銀、ロジウム、コバルト、スズ、銅、イリジウム、オスミウム、及びルテニウムからなる群から選ばれた1種又は2種以上の金属を触媒212として付与する工程と、還元剤として3価のチタンを含有し、錯化剤としてピロリン酸塩を含有する無電解スズめっき浴により表面側層213を形成する工程とを備えている。表面側層213は、厚さが0.5μm以上である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅若しくは銅合金、又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる基材の上に、無電解ニッケルめっき浴又は無電解ニッケル合金めっき浴により、ニッケル又はニッケル合金からなる基材側層を形成する基材側層形成工程と、
前記基材側層の上に、金、パラジウム、白金、銀、ロジウム、コバルト、スズ、銅、イリジウム、オスミウム、及びルテニウムからなる群から選ばれた1種又は2種以上の金属を触媒として付与する触媒付与工程と、
還元剤として3価のチタンを含有し、錯化剤としてピロリン酸塩を含有する無電解スズめっき浴又は無電解スズ合金めっき浴により表面側層を形成する表面側層形成工程とを備え、
前記表面側層形成工程において、厚さが0.5μm以上の表面側層を形成する、電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記無電解スズめっき浴又は前記無電解スズ合金めっき浴は、窒素不含有機チオールを含む、請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記無電解スズめっき浴又は前記無電解スズ合金めっき浴は、イオウのオキソ酸を含む、請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記表面側層形成工程において前記無電解スズめっき浴又は前記無電解スズ合金めっき浴に生成する4価のチタンを電解処理により3価のチタンに還元するチタン還元工程をさらに備え、
前記チタン還元工程は、陽イオン交換膜により仕切られたアノード室とカソード室とを有する還元処理槽において、前記表面側層を形成する工程を行うめっき槽中のめっき液の一部を、前記カソード室に移動させて行い、
前記表面側層形成工程と前記チタン還元工程とは並行して行う、請求項1~3のいずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スズ(Sn)又はSn合金からなるSn皮膜は、特にはんだ接合部として好適である。このため、プリント配線基板やウエハー等の電子部品において、Sn皮膜が広く用いられている。
【0003】
近年、電子部品や回路の小型化や微細化に伴って、電気めっき法ではめっきできない部分が生じるため、Sn皮膜の形成の主流は無電解めっき法となっている。無電解めっき法のうち置換型の無電解めっき浴は、置換析出反応を用いるため、厚いめっき皮膜を形成しようとすると、下地の銅等を大きくエッチングすることとなり、めっき皮膜の膜厚分布が不均一になるとともに、ソルダーレジスト下へはんだが潜り込む等、はんだ接合特性が著しく低下してしまう。また、下地の銅等を溶解させる結果、配線の断線が生じたり、外観変色が生じたりする等の問題がある。
【0004】
下地の溶解を抑えるために、3価のチタン等の還元剤を含有させ、その還元剤の還元作用によってめっき皮膜を形成させる還元型のSnめっき浴が開発されている。しかし、3価のチタンを還元剤として含有させたSnめっき浴の場合、4価のチタンへの酸化が急速に進みめっき成長が停止してしまうという問題がある。4価のチタンを3価に還元しつつめっきを行う方法も検討されているが、還元剤の供給以外にも、めっき浴の安定性が低く浴分解が生じやすいという問題があり、厚いSnめっき皮膜を形成することが困難である。Snめっき皮膜の膜厚が薄いと、大きな熱履歴が実装の際に加わると、Snめっき皮膜が下地金属との合金化によって失われ、接続信頼性が低下してしまう。
【0005】
Snめっき皮膜の形成と、銅めっき皮膜の形成とを交互に繰り返すことによりSnめっき皮膜の厚膜化を行う方法も検討されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-202895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
交互に皮膜形成を行うことにより、確実にめっき皮膜を厚膜化できるが、皮膜形成を交互に繰り返し行わなければならないため、処理が煩雑であるという問題がある。
【0008】
本開示の課題は、十分に厚いSnめっき皮膜を有し、接続信頼性に優れた電子部品を安定して製造できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の電子部品の製造方法の一態様は、銅若しくは銅合金、又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる基材の上に、無電解ニッケルめっき浴又は無電解ニッケル合金めっき浴により、ニッケル又はニッケル合金からなる基材側層を形成する基材側層形成工程と、基材側層の上に、金、パラジウム、白金、銀、ロジウム、コバルト、スズ、銅、イリジウム、オスミウム、及びルテニウムからなる群から選ばれた1種又は2種以上の金属を触媒として付与する触媒付与工程と、還元剤として3価のチタンを含有し、錯化剤としてピロリン酸塩を含有する無電解スズめっき浴又は無電解スズ合金めっき浴により表面側層を形成する表面側層形成工程とを備え、表面側層形成工程において、厚さが0.5μm以上の表面側層を形成する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の電子部品の製造方法によれば、十分に厚いSnめっき皮膜を有し、接続信頼性に優れた電子部品を安定して製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る積層皮膜を示す断面図である。
図2】電解還元槽の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態の電子部品の製造方法により、図1に示すような基材101の上に形成された基材側層121、触媒122及び表面側層123を有する積層皮膜102を形成することができる。
【0013】
基材101は、例えばプリント配線基板や半導体ウエハー等の表面に形成された配線層や接続パッド等とすることができる。また、配線層や接続パッド等の表面にめっき又はスパッタリング等により形成された金属層等であってもよい。基材101は、例えば、銅(Cu)若しくはアルミニウム(Al)又はこれらの合金からなる層とすることができる。銅合金及びアルミニウム合金は、銅又はアルミニウムの他に、合金成分としてニッケル、クロム、マンガン、鉄、コバルト、タングステン、チタン及びシリコン等を含むものとすることができる。合金成分の含有量は、好ましくは50%以下、より好ましくは10%以下である。基材101の厚さは特に限定されないが、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上で、好ましくは100μm以下、より好ましくは60μm以下である。
【0014】
基材側層121は、ニッケル(Ni)又はリン若しくはホウ素等を合金成分として含むニッケル合金からなる層とすることができる。基材側層121における合金成分の含有量は、好ましくは50%以下、より好ましくは15%以下である。中でもリンを含むニッケル-リンからなる層は良好な皮膜を形成しやすく好ましい。基材側層121の厚さは特に限定されないが、接続信頼性の観点から好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上で、好ましくは15μm以下、より好ましくは7μm以下である。
【0015】
触媒122は、金(Au)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、スズ(Sn)、銅(Cu)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、及びルテニウム(Ru)からなる群から選ばれた1種又は2種以上の金属とすることができる。中でも、金、パラジウム、白金、銀及びロジウムは、触媒効果が高く付与も容易であるので好ましい。図1に示すように、触媒122は、基材側層121の表面全体を覆う層状に形成することができる。しかし、触媒122は、基材側層121の表面全体を覆うのではなく、基材側層121の表面の一部が露出する島状又は網状に付与されていてもよい。触媒が付与された部分の厚さは特に限定されないが、良好な表面側層123を形成する観点から好ましくは0.0001μm以上、より好ましくは0.001μm以上で、好ましくは0.1μm以下である。
【0016】
表面側層123は、スズ(Sn)又はスズ合金からなる層とすることができる。表面側層123は、接続信頼性の観点から厚さが0.5μm以上、好ましくは1.0μm以上である。膜厚の上限は、皮膜の形成時間等の観点から好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。スズ合金は、スズの他に合金成分として銀(Ag)、銅(Cu)、ビスマス(Bi)、ニッケル(Ni)等を含むものが挙げられる。具体例としては、Sn-Ag、Sn-Ag-Cu、Sn-Cu、Sn-Bi、Sn-Cu-Ni、及びSn-Cu-Bi等が挙げられる。
【0017】
本実施形態の積層皮膜102は、以下のようにして形成することができる。基材101の表面に脱脂、ソフトエッチング及び酸洗等の処理を行った後、無電解ニッケルめっき又は無電解ニッケル合金めっき(以下、両方を合わせて無電解ニッケルめっき等という)を用いて基材側層121を形成する。基材101が銅等からなる場合には、無電解ニッケルめっき等を行う前に触媒の付与を行えばよい。触媒は、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)又は白金(Pt)等とすることができる。基材101がアルミニウム等からなる場合には、ジンケート処理を行った後、無電解ニッケルめっき等を行うことができる。
【0018】
次に、基材側層121の表面に触媒122を付与する。触媒122の付与は、例えば、電位的に貴な金属の塩を含む溶液に基材を浸漬することにより行うことができる。コロイド状の触媒金属を基材側層121の表面に物理的に吸着させることにより行うことができる。
【0019】
触媒122の付与を行った基材側層121の上に、無電解スズめっき浴を用いて表面側層123を形成する。無電解スズめっき浴は、スズ化合物と、還元剤として3価のチタンと錯化剤としてピロリン酸塩を含む。
【0020】
スズ化合物は、めっき浴中において2価のスズイオンを生じる化合物であればよい。例えば、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、硫酸スズ(II)、硫酸スズ(II)、ピロリン酸スズ(II)、臭化スズ(II)、臭化スズ(IV)、ヨウ化スズ(II)、ヨウ化スズ(IV)、フッ化スズ(II)、フッ化スズ(IV)、及びリン酸スズ(II)等とすることができる。めっき浴中におけるスズ化合物の濃度は特に限定されないが、皮膜の品質や析出速度等の観点からスズの濃度として好ましくは0.1g/L以上、より好ましくは1g/L以上で、好ましくは30g/L以下、より好ましくは15g/L以下である。
【0021】
還元剤としての3価のチタンは、例えば3価のハロゲン化チタン又は硫酸チタン等とすることができ、例えば塩化チタン(III)、臭化チタン(III)、ヨウ化チタン(III)、又は硫酸チタン(III)等とすることができ、中でも塩化チタンが(III)が好ましい。めっき浴における還元剤である3価のチタンの濃度は、スズを十分に析出させる観点及びめっき浴の安定性の観点から好ましくは0.1g/L以上、より好ましくは1g/L以上で、好ましくは10g/L以下、より好ましくは7g/L以下である。
【0022】
錯化剤としてのピロリン酸塩は、例えばピロリン酸4カリウム、ピロリン酸4ナトリウム、又はピロリン酸二水素ナトリウム等とすることができる。めっき浴における錯化剤であるピロリン酸の濃度は、めっき浴の安定性の観点から好ましくは20g/L以上、より好ましくは50g/L以上で、好ましくは400g/L以下、より好ましくは300g/L以下である。
【0023】
還元剤として3価のチタンを用い、錯化剤としてピロリン酸塩を用いることにより、めっき浴の浴分解の発生を抑えることができる。これにより、厚い表面側層123を形成することが可能となり、積層皮膜102の接続信頼性を大きく向上させることができる。浴安定性が悪いめっき浴の場合、厚いスズめっき層を実験室レベルでは形成することができても、工業生産することは困難である。一方、本開示のめっき浴は安定性が高いため、厚さが0.5μm以上の厚いスズめっき層を工業生産することが容易にできる。
【0024】
本実施形態の無電解スズめっき浴は、スズの析出を促進する促進剤として、窒素不含有機チオールを含んでいてもよい。窒素不含有機チオールは、例えば1-プロパンチオール、1-ブタンチオール、1,2-エタンジチオール、1,2-プロパンジチオール、1,4-ブタンジチオール、1,5-ペンタンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール、2-アミノエタンチオール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、1,4-ジメルカプト-2,3-ブタンジオール、3-メルカプトプロピオン酸エチル、ベンゼンチオール、ベンゼントリチオール、2,3-ジクロロベンゼンチオール、2,4-ジメチルベンゼンチオール、2-アミノベンゼンチオール、2-ナフタレンチオール、メルカプト安息香酸、メルカプトコハク酸、3-メルカプトプロピオン酸、メルカプト酢酸、メルカプトサリチル酸、2-メルカプトプロピオン酸、6-メルカプト1-ヘキサノール、3-メルカプトプロパノール、3-メルカプト-1-ヘキサノール、3-メルカプト-1-ヘキサノール、3-メルカプトエタノール、2-メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム、3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、及び2,3-ジメルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム一水和物のいずれか1以上とすることができる。窒素不含有機チオールにより、めっき析出を促進することができる。窒素不含有機チオールの濃度は、好ましくは0.1g/L以上、より好ましくは0.2g/L以上で、好ましくは10g/L以下、より好ましくは5g/L以下である。
【0025】
めっき析出を促進して、サイクルタイムを短縮する観点からは、めっき浴が促進剤を含むことが好ましいが、還元剤として3価のチタンを用い、錯化剤としてピロリン酸塩を用いれば、窒素不含有機チオール等の促進剤を含まない場合においても、厚いスズめっき層を安定して形成することができる。
【0026】
また、本実施形態の無電解スズめっき浴は、促進剤として、窒素不含有機チオールに代えて又は窒素不含有機チオールと共に、イオウのオキソ酸を用いることができる。イオウのオキソ酸としては、例えば、ジチオン酸、トリチオン酸、テトラチオン酸、亜ジチオン酸及びチオ硫酸等が挙げられる。これらは塩の状態であってもよい。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩等が挙げられる。具体的には、テトラチオン酸ナトリウム、テトラチオン酸カリウム、トリチオン酸ナトリウム、ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム及びチオ硫酸アンモニウム等が挙げられる。イオウのオキソ酸により、めっき析出を促進することができる。イオウのオキソ酸の濃度は、好ましくは0.1mg/L以上、より好ましくは1mg/L以上で、好ましくは10g/L以下、より好ましくは1g/L以下である。
【0027】
本実施形態の無電解スズめっき液は、酸化防止剤を含んでいてもよい。酸化防止剤は、例えばカテコール、ピロガール、レゾルシノール、ヒドロキノン、アスコルビン酸、及びソルビトール等のいずれか1以上とすることができる。酸化防止剤の濃度は、めっき浴の安定性の観点から、好ましくは0.1g/L以上で、好ましくは50g/L以下、より好ましくは10g/L以下である。
【0028】
本実施形態の無電解スズめっき浴のpHは、好ましくは5.0以上、より好ましくは7.0以上で、好ましくは10.0以下、より好ましくは9.0以下である。pHを適正範囲とするために、pH調整剤を用いることができる。pH調整剤には、リン酸、塩酸、硫酸及び硝酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、リンゴ酸及び乳酸等の有機酸を用いることができる。また、リン酸緩衝剤等の緩衝作用を有する化合物を用いることもできる。この他界面活性剤及び光沢剤等を含んでいてもよい。
【0029】
表面側層123を析出させる際の無電解スズめっき浴の浴温は、好ましくは40℃以上、より好ましくは60℃以上で、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下である。また、めっき時間は好ましくは10分以上で、好ましくは180分以下、より好ましくは60分以下である。
【0030】
本実施形態の無電解スズめっき浴は、めっきの進行に伴い3価から4価に酸化されたチタンを電解還元処理等により再び3価に還元して使用することができる。4価チタンの3価チタンへの還元は、例えば、図2に示すような電解還元槽201により行うことができる。電解還元槽201は、陽イオン交換膜213によりアノード室211及びカソード室212に区画されている。アノード室211にはチタン-白金合金等からなるアノード215が配置され、カソード室212には金属スズ等からなるカソード216が配置されている。アノード室211に硫酸等のアノード液を入れ、カソード室212にめっき液を入れて電流を流すことにより、カソード216上において4価チタンが3価チタンに還元される。副反応としてスズイオンが金属に還元され、H+が還元され水素ガスが発生する。
【0031】
4価チタンから3価チタンへの還元は、バッチ処理により行うことができるが、めっき処理と並行して行うこともできる。この場合、めっき処理を行うめっき槽と電解還元槽201のカソード室212との間をめっき液が循環するようにすればよい。この場合、めっき槽内のめっき液の一定量を電解還元槽に送り出し、電解還元処理が終わった後でめっき槽に送り返す方法でも、めっき槽と電解還元槽との間を連続的にめっき液が循環する連続循環式であってもよい。
【0032】
本実施形態の電子部品の製造方法は、プリント配線基板及びウエハー等に膜厚が0.5μm以上のスズめっき皮膜を安定して形成することができる。このため、実装時の熱履歴が大きい場合においても、スズめっき皮膜が下地金属と合金化して消失する事態を避けることができ、接続信頼性を大きく向上できる。このため、接続信頼性が必要とされる電子部品の製造方法等として有用である。
【実施例0033】
以下に、実施例を用いて本開示の発明をさらに説明する。以下の実施例は、例示であり、本開示の発明を限定するものではない。
【0034】
<接続信頼性試験>
ボールグリッドアレイ(BGA)基板(上村工業製)に、所定のめっき浴を用いて基材側層、触媒金属、表面側層を有する積層皮膜を形成した。積層皮膜を形成したBGA基板に対して、フラックス(529D-1、千住金属製)を用いてはんだボール(φ0.6mmのSn-3.0Ag-0.5Cu系はんだボール、千住金属製)を接合した。はんだボールの接合は、BGA基板を最高温度240℃にてリフロー処理した後で、はんだボールの搭載を行い、はんだボール搭載後に再び最高温度240℃にてリフロー処理することにより行った。
【0035】
リフロー後のはんだボールに対してボールプルテストを行い、破壊モードのはんだ破断率を求め、はんだ破断率が80%以上の場合を良好(接続)、はんだ破断率が80%未満を不良(切断)と評価した。
【0036】
<無電解スズめっき浴>
めっき浴Aとして、スズ化合物として塩化スズ(II)をスズ濃度として10g/L、還元剤として塩化チタン(III)を5g/L、錯化剤としてピロリン酸カリウムを200g/L、窒素不含有機チオールとしてチオリンゴ酸を2g/L含むめっき浴を調製した。
【0037】
めっき浴Bとして、スズ化合物として塩化スズ(II)をスズ濃度として10g/L、還元剤として塩化チタン(III)を5g/L、錯化剤としてエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を50g/L、窒素不含有機チオールとしてチオリンゴ酸を2g/L含むめっき浴を調製した。
【0038】
めっき浴Cとして、スズ化合物として塩化スズ(II)をスズ濃度として10g/L、還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを0.5g/L、錯化剤としてピロリン酸カリウムを200g/L、窒素不含有機チオールとしてチオリンゴ酸を2g/L含むめっき浴を調製した。
【0039】
めっき浴Dとして、スズ化合物として塩化スズ(II)をスズ濃度として10g/L、還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを0.5g/L、錯化剤としてエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を50g/L、窒素不含有機チオールとしてチオリンゴ酸を2g/L含むめっき浴を調製した。
【0040】
めっき浴Eとして、スズ化合物として塩化スズ(II)をスズ濃度として10g/L、還元剤として塩化チタン(III)を5g/L、錯化剤としてピロリン酸カリウムを200g/L、イオウのオキソ酸としてチオ硫酸ナトリウムを100mg/L含むめっき浴を調製した。
【0041】
めっき浴Fとして、スズ化合物として塩化スズ(II)をスズ濃度として10g/L、還元剤として塩化チタン(III)を5g/L、錯化剤としてピロリン酸カリウムを200g/L、イオウのオキソ酸として亜ジチオン酸ナトリウムを1g/L含むめっき浴を調製した。
【0042】
めっき浴Gとして、スズ化合物として塩化スズ(II)をスズ濃度として10g/L、還元剤として塩化チタン(III)を5g/L、錯化剤としてピロリン酸カリウムを200g/L、イオウのオキソ酸としてテトラチオン酸カリウムを1g/L含むめっき浴を調製した。
【0043】
めっき浴Hとして、スズ化合物として塩化スズ(II)をスズ濃度として10g/L、還元剤として塩化チタン(III)を5g/L、錯化剤としてエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を50g/L、イオウのオキソ酸としてチオ硫酸ナトリウムを100mg/L含むめっき浴を調製した。
【0044】
めっき浴Iとして、スズ化合物として塩化スズ(II)をスズ濃度として10g/L、還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを0.5g/L、錯化剤としてピロリン酸カリウムを200g/L、イオウのオキソ酸としてチオ硫酸ナトリウムを100mg/L含むめっき浴を調製した。
【0045】
めっき浴Jとして、スズ化合物として塩化スズ(II)をスズ濃度として10g/L、還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを0.5g/L、錯化剤としてエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を50g/L、イオウのオキソ酸としてチオ硫酸ナトリウムを100mg/L含むめっき浴を調製した。
【0046】
表1及び表2に調製した無電解スズめっき浴の組成をまとめて示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
<浴安定性>
調製した無電解スズメッキ浴をめっき温度である70℃で1時間放置した際に浴分解による析出(ビーカー析出)が生じるかどうかを確認し、析出が生じなかった場合を良好、析出が生じた場合を不良とした。
【0050】
(実施例1)
銅からなる下地層(基材層)の表面に前処理として、脱脂、ソフトエッチング及び酸洗を行った。前処理した下地層にパラジウム触媒を付与し、無電解ニッケルめっき浴(無電解Niめっき液NPR-4、上村工業製)により厚さが2.0μmの基材側層を形成した。基材側層に触媒金属として銀(Ag)を付与した後、無電解めっき浴Aを用いて厚さが0.5μmの表面側層を形成した。めっき時間は15分、めっき温度は70℃とした。なお、膜厚は蛍光X線膜厚計(FT150、日立ハイテクサイエンス製)により測定した。
【0051】
めっき温度である70℃で1時間静置した場合にも浴分解によるビーカー析出は生じず、めっき浴は安定であった。また、同じ条件によりBGA基板上に皮膜を形成し接続信頼性試験を行ったところ、接続は良好であった。
【0052】
(実施例2)
触媒金属をパラジウム(Pd)とした以外は、実施例1と同様にした。接続信頼性試験は良好であった。
【0053】
(実施例3)
触媒金属を金(Au)とした以外は、実施例1と同様にした。接続信頼性試験は良好であった。
【0054】
(実施例4)
アルミニウム-銅合金からなる下地層の表面に前処理として脱脂、酸洗、1次ジンケート、酸洗、2次ジンケートを行った。前処理した下地層にパラジウム触媒を付与し、無電解ニッケルめっき浴(無電解Niめっき液NPR-4、上村工業製)により厚さが2.0μmの基材側層を形成した。基材側層に触媒金属として銀(Ag)を付与した後、無電解めっき浴Aを用いて厚さが0.5μmの表面側層を形成した。めっき時間は15分、めっき温度は70℃とした。
【0055】
同じ条件によりBGA基板上に皮膜を形成し接続信頼性試験を行ったところ、接続は良好であった。
【0056】
(実施例5)
触媒金属をパラジウム(Pd)とした以外は、実施例4と同様にした。接続信頼性試験は良好であった。
【0057】
(実施例6)
触媒金属を金(Au)とした以外は、実施例4と同様にした。接続信頼性試験は良好であった。
【0058】
(比較例1)
基材側層に触媒金属の付与を行わなかった以外は、実施例1と同様にした。スズの析出が生じず、表面側層を形成できなかった。表面側層が形成されていない状態で接続信頼性試験を行ったが、接続は不良であった。
【0059】
(比較例2)
基材側層に触媒金属の付与を行わなかった以外は、実施例4と同様にした。スズの析出が生じず、表面側層を形成できなかった。表面側層が形成されていない状態で接続信頼性試験を行ったが、接続は不良であった。
【0060】
(比較例3)
めっき時間を12分、めっき温度を70℃として、表面側層の膜厚を0.4μmとした以外は、実施例1と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0061】
(比較例4)
めっき時間を12分、めっき温度を70℃として、表面側層の膜厚を0.4μmとした以外は、実施例2と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0062】
(比較例5)
めっき時間を12分、めっき温度を70℃として、表面側層の膜厚を0.4μmとした以外は、実施例3と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0063】
(比較例6)
めっき時間を12分、めっき温度を70℃として、表面側層の膜厚を0.4μmとした以外は、実施例4と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0064】
(比較例7)
めっき時間を12分、めっき温度を70℃として、表面側層の膜厚を0.4μmとした以外は、実施例5と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0065】
(比較例8)
めっき時間を12分、めっき温度を70℃として、表面側層の膜厚を0.4μmとした以外は、実施例6と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0066】
(比較例9)
無電解スズめっき浴Bを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例1と同様にした。めっき温度で1時間静置した場合にビーカー析出が生じ、めっき浴は不安定であった。また、接続信頼性試験は不良であった。
【0067】
(比較例10)
無電解スズめっき浴Bを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例2と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0068】
(比較例11)
無電解スズめっき浴Bを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例3と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0069】
(比較例12)
無電解スズめっき浴Bを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例4と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0070】
(比較例13)
無電解スズめっき浴Bを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例5と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0071】
(比較例14)
無電解スズめっき浴Bを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例6と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0072】
(比較例15)
めっき時間を25分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.5μmとした以外は、比較例9と同様にした。接続信頼性試験は良好であったが、めっき浴が不安定であるため繰り返し使用は困難であった。
【0073】
(比較例16)
無電解スズめっき浴Cを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例1と同様にした。めっき温度で1時間静置した場合にビーカー析出が生じ、めっき浴は不安定であった。また、接続信頼性試験は不良であった。
【0074】
(比較例17)
無電解スズめっき浴Cを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例2と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0075】
(比較例18)
無電解スズめっき浴Cを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例3と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0076】
(比較例19)
無電解スズめっき浴Cを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例4と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0077】
(比較例20)
無電解スズめっき浴Cを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例5と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0078】
(比較例21)
無電解スズめっき浴Cを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例6と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0079】
(比較例22)
めっき時間を25分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.5μmとした以外は、比較例17と同様にした。接続信頼性試験は良好であったが、めっき浴が不安定であり繰り返し使用は困難であった。
【0080】
(比較例23)
無電解スズめっき浴Dを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例1と同様にした。めっき温度で1時間静置した場合にビーカー析出が生じ、めっき浴は不安定であった。また、接続信頼性試験は不良であった。
【0081】
(比較例24)
無電解スズめっき浴Dを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例2と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0082】
(比較例25)
無電解スズめっき浴Dを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例3と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0083】
(比較例26)
無電解スズめっき浴Dを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例4と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0084】
(比較例27)
無電解スズめっき浴Dを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例5と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0085】
(比較例28)
無電解スズめっき浴Dを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例6と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0086】
(比較例29)
めっき時間を25分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.5μmとした以外は、比較例25と同様にした。接続信頼性試験は良好であったが、めっき浴が不安定であり繰り返し使用は困難であった。
【0087】
表3~表7に、各実施例及び比較例の結果をまとめて示す。
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
【0090】
【表5】
【0091】
【表6】
【0092】
【表7】
【0093】
(実施例7)
実施例1と同様に基材層をCu、基材側層に付与する触媒金属をAgとし、無電解スズめっき浴Eを用いて70℃で15分のめっきを行い、厚さが0.5μmの表面側層を形成した。めっき温度である70℃で1時間静置した場合にも浴分解によるビーカー析出は生じず、めっき浴は安定であった。接続信頼性試験は良好であった。
【0094】
(実施例8)
触媒金属をパラジウム(Pd)とした以外は、実施例7と同様にした。接続信頼性試験は良好であった。
【0095】
(実施例9)
触媒金属を金(Au)とした以外は、実施例7と同様にした。接続信頼性試験は良好であった。
【0096】
(実施例10)
実施例4と同様に基材層をAl-Cu、基材側層に付与する触媒金属をAgとし、無電解スズめっき浴Eを用いて70℃で15分のめっきを行い、厚さが0.5μmの表面側層を形成した。接続信頼性試験は良好であった。
【0097】
(実施例11)
触媒金属をパラジウム(Pd)とした以外は、実施例10と同様にした。接続信頼性試験は良好であった。
【0098】
(実施例12)
触媒金属を金(Au)とした以外は、実施例10と同様にした。接続信頼性試験は良好であった。
【0099】
(実施例13)
無電解スズめっき浴Fを用いた以外は、実施例7と同様にした。めっき温度である70℃で1時間静置した場合にも浴分解によるビーカー析出は生じず、めっき浴は安定であった。接続信頼性試験は良好であった。
【0100】
(実施例14)
触媒金属をパラジウム(Pd)とした以外は、実施例13と同様にした。接続信頼性試験は良好であった。
【0101】
(実施例15)
触媒金属を金(Au)とした以外は、実施例13と同様にした。接続信頼性試験は良好であった。
【0102】
(実施例16)
無電解スズめっき浴Fを用いた以外は、実施例10と同様にした。接続信頼性試験は良好であった。
【0103】
(実施例17)
触媒金属をパラジウム(Pd)とした以外は、実施例16と同様にした。接続信頼性試験は良好であった。
【0104】
(実施例18)
触媒金属を金(Au)とした以外は、実施例16と同様にした。接続信頼性試験は良好であった。
【0105】
(実施例19)
無電解スズめっき浴Gを用いた以外は、実施例7と同様にした。めっき温度である70℃で1時間静置した場合にも浴分解によるビーカー析出は生じず、めっき浴は安定であった。接続信頼性試験は良好であった。
【0106】
(実施例20)
触媒金属をパラジウム(Pd)とした以外は、実施例19と同様にした。接続信頼性試験は良好であった。
【0107】
(実施例21)
触媒金属を金(Au)とした以外は、実施例19と同様にした。接続信頼性試験は良好であった。
【0108】
(実施例22)
無電解スズめっき浴Gを用いた以外は、実施例10と同様にした。接続信頼性試験は良好であった。
【0109】
(実施例23)
触媒金属をパラジウム(Pd)とした以外は、実施例22と同様にした。接続信頼性試験は良好であった。
【0110】
(実施例24)
触媒金属を金(Au)とした以外は、実施例22と同様にした。接続信頼性試験は良好であった。
【0111】
(比較例30)
表面側層に触媒金属の付与を行わなかった以外は、実施例7と同様にした。スズの析出が生じず、表面側層を形成できなかった。表面側層が形成されていない状態で接続信頼性試験を行ったが、接続は不良であった。
【0112】
(比較例31)
表面側層に触媒金属の付与を行わなかった以外は、実施例10と同様にした。スズの析出が生じず、表面側層を形成できなかった。表面側層が形成されていない状態で接続信頼性試験を行ったが、接続は不良であった。
【0113】
(比較例32)
めっき時間を12分、めっき温度を70℃として、表面側層の膜厚を0.4μmとした以外は、実施例7と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0114】
(比較例33)
めっき時間を12分、めっき温度を70℃として、表面側層の膜厚を0.4μmとした以外は、実施例8と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0115】
(比較例34)
めっき時間を12分、めっき温度を70℃として、表面側層の膜厚を0.4μmとした以外は、実施例9と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0116】
(比較例35)
めっき時間を12分、めっき温度を70℃として、表面側層の膜厚を0.4μmとした以外は、実施例10と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0117】
(比較例36)
めっき時間を12分、めっき温度を70℃として、表面側層の膜厚を0.4μmとした以外は、実施例11と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0118】
(比較例37)
めっき時間を12分、めっき温度を70℃として、表面側層の膜厚を0.4μmとした以外は、実施例12と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0119】
(比較例38)
無電解スズめっき浴Hを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例7と同様にした。めっき温度である70℃で1時間静置した場合にビーカー析出が生じ、めっき浴は不安定であった。また、接続信頼性試験は不良であった。
【0120】
(比較例39)
無電解スズめっき浴Hを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例8と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0121】
(比較例40)
無電解スズめっき浴Hを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例9と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0122】
(比較例41)
無電解スズめっき浴Hを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例10と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0123】
(比較例42)
無電解スズめっき浴Hを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例11と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0124】
(比較例43)
無電解スズめっき浴Hを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例12と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0125】
(比較例44)
めっき時間を25分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.5μmとした以外は、比較例38と同様にした。接続信頼性試験は良好であったが、めっき浴が不安定であるため繰り返し使用は困難であった。
【0126】
(比較例45)
無電解スズめっき浴Iを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例7と同様にした。めっき温度である70℃で1時間静置した場合にビーカー析出が生じ、めっき浴は不安定であった。また、接続信頼性試験は不良であった。
【0127】
(比較例46)
無電解スズめっき浴Iを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例8と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0128】
(比較例47)
無電解スズめっき浴Iを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例9と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0129】
(比較例48)
無電解スズめっき浴Iを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例10と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0130】
(比較例49)
無電解スズめっき浴Iを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例11と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0131】
(比較例50)
無電解スズめっき浴Iを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例12と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0132】
(比較例51)
めっき時間を25分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.5μmとした以外は、比較例46と同様にした。接続信頼性試験は良好であったが、めっき浴が不安定であり繰り返し使用は困難であった。
【0133】
(比較例52)
無電解スズめっき浴Jを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例7と同様にした。めっき温度である70℃で1時間静置した場合にビーカー析出が生じ、めっき浴は不安定であった。また、接続信頼性試験は不良であった。
【0134】
(比較例53)
無電解スズめっき浴Jを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例8と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0135】
(比較例54)
無電解スズめっき浴Jを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例9と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0136】
(比較例55)
無電解スズめっき浴Jを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例10と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0137】
(比較例56)
無電解スズめっき浴Jを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例11と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0138】
(比較例57)
無電解スズめっき浴Jを用い、めっき時間を5分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例12と同様にした。接続信頼性試験は不良であった。
【0139】
(比較例58)
めっき時間を25分、めっき温度を70℃として表面側層の膜厚を0.5μmとした以外は、比較例54と同様にした。接続信頼性試験は良好であったが、めっき浴が不安定であり繰り返し使用は困難であった。
【0140】
表8~表14に、各実施例及び比較例の結果をまとめて示す。
【0141】
【表8】
【0142】
【表9】
【0143】
【表10】
【0144】
【表11】
【0145】
【表12】
【0146】
【表13】
【0147】
【表14】
【産業上の利用可能性】
【0148】
本開示の電子部品の製造方法は、接続信頼性に優れた十分に厚いSnめっき皮膜を安定して製造することができ、電子部品等の製造方法として有用である。
【符号の説明】
【0149】
101 基材層
102 積層皮膜
121 基材側層
122 触媒
123 表面側層
201 電解還元槽
211 アノード室
212 カソード室
213 陽イオン交換膜
215 アノード
216 カソード
図1
図2