(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189730
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】コンテンツ生成装置、コンテンツ生成装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/28 20190101AFI20221215BHJP
G06F 21/64 20130101ALI20221215BHJP
【FI】
G06F16/28
G06F21/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070966
(22)【出願日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】P 2021097427
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】植野 大優
(72)【発明者】
【氏名】久保 圭一朗
(72)【発明者】
【氏名】土田 尚彦
(72)【発明者】
【氏名】坂井田 稔
(72)【発明者】
【氏名】藤田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓介
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175BA01
5B175KA04
5B175KA12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ブロックチェーンに情報を登録済みのコンテンツを容易に確認するコンテンツ生成装置、コンテンツ生成装置の制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】方法は、コンテンツ生成装置としての撮像装置102が、画像ファイルを生成した直後に当該画像ファイルのハッシュ値を生成し、当該ハッシュ値を含む画像ファイルの情報を管理システム101へ送信し、ブロックチェーンに画像ファイルの情報を登録する処理を完了した旨を示す登録完了通知を受信したことに従って、ブロックチェーンに画像ファイルの情報を登録済みであることを示す登録済み情報を画像ファイルに付与する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを生成した直後に当該コンテンツのハッシュ値を生成する手段と、
前記ハッシュ値を含むコンテンツの情報をブロックチェーンに登録する管理サーバへ前記コンテンツの情報を送信する手段と、
前記ブロックチェーンに前記コンテンツの情報を登録する処理を完了した旨を示す通知を受信する手段と、
前記通知の受信に従って、前記ブロックチェーンに前記コンテンツの情報を登録済みであることを示す登録済み情報を、前記コンテンツに付与する手段とを有することを特徴とするコンテンツ生成装置。
【請求項2】
被写体を撮影する手段を更に備え、
前記コンテンツは、前記被写体を撮影して得られた画像データを含むことを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ生成装置。
【請求項3】
前記画像データは、静止画データ又は動画データであることを特徴とする請求項2に記載のコンテンツ生成装置。
【請求項4】
前記動画データは、音声データのみのデータであることを特徴とする請求項3に記載のコンテンツ生成装置。
【請求項5】
表示手段を更に備え、
前記登録済み情報が付与されたコンテンツを、前記登録済み情報が付与されないコンテンツと識別可能に前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ生成装置。
【請求項6】
前記登録済み情報が付与されたコンテンツを含む複数のコンテンツを格納する格納手段を更に備え、
ユーザによる指示に従って、前記複数のコンテンツにおける前記登録済み情報が付与されたコンテンツを前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項5に記載のコンテンツ生成装置。
【請求項7】
ユーザによる指示に従って、前記複数のコンテンツにおける前記登録済み情報が付与されたコンテンツのお気に入り登録を行うことを特徴とする請求項6に記載のコンテンツ生成装置。
【請求項8】
ユーザによる指示に従って、前記登録済み情報が付与されたコンテンツを前記格納手段から削除することを特徴とする請求項6に記載のコンテンツ生成装置。
【請求項9】
前記格納手段は、前記コンテンツ生成装置に挿抜可能な構成であり、
前記コンテンツの情報を送信してから前記通知を受信するまでの間、前記格納手段を挿抜しないように注意喚起する通知を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項6に記載のコンテンツ生成装置。
【請求項10】
前記登録済み情報を前記コンテンツに付与できなかった場合、前記登録済み情報の付与を失敗した原因をユーザに通知することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ生成装置。
【請求項11】
コンテンツ生成装置の制御方法であって、
コンテンツを生成した直後に当該コンテンツのハッシュ値を生成する工程と、
前記ハッシュ値を含むコンテンツの情報をブロックチェーンに登録する管理サーバへ前記コンテンツの情報を送信する工程と、
前記ブロックチェーンに前記コンテンツの情報を登録する処理を完了した旨を示す通知を受信する工程と、
前記通知の受信に従って、前記ブロックチェーンに前記コンテンツの情報を登録済みであることを示す登録済み情報を、前記コンテンツに付与する工程とを有することを特徴とするコンテンツ生成装置の制御方法。
【請求項12】
コンテンツ生成装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記コンテンツ生成装置の制御方法は、
コンテンツを生成した直後に当該コンテンツのハッシュ値を生成する工程と、
前記ハッシュ値を含むコンテンツの情報をブロックチェーンに登録する管理サーバへ前記コンテンツの情報を送信する工程と、
前記ブロックチェーンに前記コンテンツの情報を登録する処理を完了した旨を示す通知を受信する工程と、
前記通知の受信に従って、前記ブロックチェーンに前記コンテンツの情報を登録済みであることを示す登録済み情報を、前記コンテンツに付与する工程とを有することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ生成装置、コンテンツ生成装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットやSNSによる情報共有が活発化し、誰もが情報を閲覧・発信できる時代になった。このような状況下において、更にデジタル画像の加工技術も進化したため、情報の閲覧者が閲覧内容の真偽を確認することが難しくなってきており、フェイクニュース等の問題が深刻化している。このような問題に対処するために、デジタル画像の真正性(加工や改ざんが行われていないこと)を保証する仕組みの需要が高まっている。
【0003】
デジタル画像の真正性を保証する仕組みとして、金融をはじめとして広く産業利用されているブロックチェーン技術の利用が検討されている。ブロックチェーン技術は、非中央集権的方法且つ低コストにデジタルデータの改ざんを防ぐことができる。
【0004】
例えば、ブロックチェーン技術を利用した管理システムは、コンテンツ生成装置が生成したコンテンツのハッシュ値と当該コンテンツに付随するメタデータをコンテンツの情報として、ブロックチェーンに登録する。これにより、コンテンツの生成時からの真正性を保証する(例えば、特許文献1参照)。これにより、生成時から加工等が施されていないコンテンツをこの管理システムから取得し、取得したコンテンツをインターネットやSNS等で公開することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上述した特許文献1では、コンテンツの情報をブロックチェーンに登録することについて言及されている。しかしながら、ユーザがコンテンツ生成装置を操作して、ブロックチェーンに情報を登録済みのコンテンツを確認し、お気に入り登録や削除などを行って整理することが困難という問題を抱えている。
【0007】
本発明の目的は、ブロックチェーンに情報を登録済みのコンテンツを容易に確認することができるコンテンツ生成装置、コンテンツ生成装置の制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のコンテンツ生成装置は、コンテンツを生成した直後に当該コンテンツのハッシュ値を生成する手段と、前記ハッシュ値を含むコンテンツの情報をブロックチェーンに登録する管理サーバへ前記コンテンツの情報を送信する手段と、前記ブロックチェーンに前記コンテンツの情報を登録する処理を完了した旨を示す通知を受信する手段と、前記通知の受信に従って、前記ブロックチェーンに前記コンテンツの情報を登録済みであることを示す登録済み情報を、前記コンテンツに付与する手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ブロックチェーンに情報を登録済みのコンテンツを容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係るコンテンツ生成装置としての撮像装置と通信を行う管理システムの機能を説明するための図である。
【
図2】
図1の撮像装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図3】
図1の撮像装置において実行されるデータ送信処理の手順を示すフローチャートである。
【
図4】
図1の管理システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図5】
図4の画像データベースの構成の一例を示す図である。
【
図6】
図1の管理システムにおいて実行されるブロックチェーン登録処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図4のブロックチェーン管理部で管理するブロックチェーンのブロックデータ構造の一例を示す図である。
【
図8】
図1の管理システムによって実行される画像公開サイトへの画像データ送信処理の手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図1の管理システムにおいて実行される真正性判定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図10】
図1の撮像装置において実行される登録済み情報付与処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。なお、本実施の形態では、撮像装置をコンテンツ生成装置の一例として説明するが、コンテンツ生成装置は撮像装置に限られない。例えば、コンテンツ生成装置は、録音した音声の音声データを生成する装置、ユーザがデジタル描画したイラスト画像等の画像データを生成する装置、ユーザが作曲した音楽のデータを生成する装置等といったコンテンツを生成する他の装置であっても良い。
【0012】
図1は、本実施の形態に係るコンテンツ生成装置としての撮像装置102と通信を行う管理システム101の機能を説明するための図である。
【0013】
管理システム101は、撮像装置102等の外部装置からインターネット等を介して取得したコンテンツを管理する機能を備える。管理システム101は1つ以上のコンピュータ装置により実現される。なお、本実施の形態では、管理システム101がさらにブロックチェーンのピアツーピアネットワーク104と通信して利用する構成について説明するが、この構成に限られず、他のネットワークを利用して実現しても良い。
【0014】
図1に示すように、撮像装置102は、撮影動作を行うと、これにより得られた画像ファイル、ハッシュ値(画像ハッシュ値)、及びハッシュ値計算詳細情報を管理システム101へ対応付けて送信する(ステップ(1))。画像ファイルは、画像データ及びメタデータを含む。また、画像データは、静止画データや動画データである。メタデータは、画像データの撮影者、撮影時刻、撮影場所、撮像装置の機種、撮影時の設定値等を示す画像データの属性情報を含む。ハッシュ値は、生成時の画像ファイルに対してハッシュ関数を実行することで得られる値である。
【0015】
ハッシュ値計算詳細情報は、画像ファイルに含まれる画像データを間引いてハッシュ関数にかけた場合に、その間引き方を示す情報を記載した情報である。尚、使用するハッシュ関数のアルゴリズムは、初期設定されたアルゴリズムのみとしてもよいし、SHA256、MD5など複数のアルゴリズムの一つを選択できるようにしてもよい。後者の場合は、ハッシュ値計算詳細情報にハッシュ値計算に使用したアルゴリズムも記載される。例えばSHA256で画像データをハッシュ化する場合、SHA256はデータを先頭から64バイトずつ、データの終了まで繰り返し演算処理し、32バイト(256bit)のハッシュ値を生成するアルゴリズムである。画像データの先頭から64バイトを演算に使用し、次の64バイトは演算に使用せず読み飛ばす、ということを画像データすべてに対して繰り返し行えば、演算量は半分で済むことになる。この場合のハッシュ値計算詳細情報は、CSVファイル形式を用いると、「Algorithm,SHA256,Read,64,Skip,64」などと表記できる。また、画像データが動画データの場合は、1フレームおきに、ハッシュ関数にかけることもできる。この場合のハッシュ値計算詳細情報は、CSVファイル形式を用いると、「Algorithm,SHA256,SkipFrame,1,」などと表記できる。さらにこれに組み合わせて、1フレームの中でもすべてのデータを使わず、間引くこともできる。この場合のハッシュ値計算詳細情報は、CSVファイル形式を用いると、「Algorithm,SHA256,SkipFrame,1,Read,64,Skip,64」などと表記できる。
【0016】
なお、ハッシュ値計算詳細情報の書式はCSVファイル形式に限られない。例えば、JSONファイル形式など広く使用されるファイル形式でもよいし、独自のファイル形式を使用してもよい。
【0017】
なお、本実施の形態では、撮像装置102がハッシュ値を生成し、管理システム101へ送信する構成について説明するが、この構成に限られず、例えば、管理システム101が撮像装置102から取得した画像ファイルに基づいてハッシュ値を生成しても良い。
【0018】
本実施形態の管理システム101は、画像ファイル、ハッシュ値及びハッシュ値計算詳細情報を撮像装置102から受信すると、管理システム101内で一意の番号である真正保証番号を生成する。真正保証番号は、当該画像ファイルを一意に識別するための識別番号である。
【0019】
管理システム101は、メタデータ、ハッシュ値及びハッシュ値計算詳細情報といった画像ファイルの情報と、真正保証番号とを含むトランザクションデータを生成し、生成したトランザクションデータが書き込まれたブロックをブロックチェーンに接続する。具体的には、管理システム101が、生成したトランザクションデータを発行して、ブロックチェーンのピアツーピアネットワーク104に参加する1つ以上のコンピュータ(ノード)へブロードキャストする(ステップ(2))。これにより、トランザクションデータがトランザクションプールに一時的に保存され、マイナーによりトランザクションデータが承認されることにより検証が完了する。そして、トランザクションデータが書き込まれたブロックが生成され、ブロックチェーンの末尾に追加される。これにより、画像ファイルの情報がブロックチェーンに登録される。
【0020】
上記トランザクションデータが書き込まれたブロックをブロックチェーンに接続した後、管理システム101は、画像ファイル及び真正保証番号を対応付けて後述する
図4の画像データベース407に格納(提供)する。そして、管理システム101は、ブロックチェーンに画像ファイルの情報を登録する処理を完了したことを示す登録完了通知を撮像装置102へ送信する(ステップ(3))。
【0021】
管理システム101は、その後、画像公開サイト103上で公開する画像ファイルを、画像データベース407に登録されている複数の画像ファイルの中からユーザ(例えば、撮影者や画像提供者)に選択させる(ステップ(4))。具体的には、ユーザは、当該ユーザが操作する通信装置105aから管理システム101のWEBページにアクセスし、そのWEBページ上で画像公開サイト103上で公開するための画像ファイルを選択することができる。管理システム101は、ユーザが選択した画像ファイルと、当該画像ファイルに対応付けられた真正保証番号を画像公開サイト103に提供する(ステップ(5))。併せて管理システム101は、ステップ(4)でユーザが選択した画像ファイルが画像公開サイト103上で公開可能となった旨を通信装置105aに通知する。
【0022】
画像公開サイト103は、そのWEBページにおいて、管理システム101から当該画像ファイルと共に提供された真正保証番号が、例えば、画像ファイルの近傍に表示されるように表示制御する。なお、真正保証番号の表示位置は、一例であり、画像公開サイト103の閲覧者が、画像ファイルに対応する真正保証番号であることを認識可能な位置に表示されていれば良い。
【0023】
画像公開サイト103の閲覧者は、画像公開サイト103のWEBページに表示されている画像ファイルが撮影時から改ざんされていないことを確認したい場合がある。この場合、閲覧者は、まず、通信装置105bを用いて画像公開サイト103から、当該画像ファイルとこれに対応付けられた真正保証番号を取得(ダウンロード)する(ステップ(6))。具体的には、閲覧者は通信装置105bから画像公開サイト103のWEBページにアクセスし、そのWEBページ上で公開されている画像ファイルを選択し、ダウンロードの指示をする。この指示があると、画像公開サイト103は、その選択された画像ファイル及び真正保証番号を通信装置105bに送信する。
【0024】
上記ダウンロードが完了すると、通信装置105b(第1の通信装置)は、取得した画像ファイルおよび真正保証番号とともに、当該画像ファイルの真正確認要求を管理システム101へ送信する(ステップ(7))。本実施例では、真正確認要求は、閲覧者が通信装置105bを用いて、管理システム101によって提供される入力フォームに、画像公開サイト103から取得した画像ファイル及び真正保証番号を添付することで行われる。しかし、真正確認要求は本実施例の方法に限定されず、例えば、上記画像ファイル及び真正保証番号を添付した電子メールを管理システム101へ送信することで行うようにしてもよい。
【0025】
通信装置105bから真正確認要求が送信されると、管理システム101は、真正確認要求の対象の画像ファイルの真正性の判定を行う。尚、ここでは、真正性の判定のタイミングは、管理システム101が画像公開サイト103の閲覧者の通信装置105bから画像公開サイト103に表示された画像データの真正確認要求を受け付けた時であるが、これに限定されない。例えば、管理システム101は、真正性の判定を画像データベース407に基づき定期的に行うようにしてもよい。管理システム101は、真正性の判定結果を管理システム101のWebページに表示する、若しくはメールで通信装置105bに通知する(ステップ(8))。
【0026】
図2は、
図1の撮像装置102の構成を概略的に示すブロック図である。撮像装置102は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラといったカメラ、又はカメラ機能を備える携帯電話やカメラ付きコンピュータ等といったカメラ機能を備える電子機器である。
【0027】
図2において、撮像装置102は、MPU201、タイミング信号生成回路202、撮像素子203、A/D変換器204、メモリコントローラ205、バッファメモリ206、及び画像表示部207を備える。また、撮像装置102は、記録媒体I/F208、記録媒体209、ハッシュ値生成部210、及び通信部211を備える。
【0028】
MPU201は、撮影シーケンス等の撮像装置102のシステムに関する制御を行うためのマイクロコントローラである。
【0029】
タイミング信号生成回路202は、撮像素子203を動作させるために必要となるタイミング信号を生成する。
【0030】
撮像素子203は、被写体からの反射光を電気信号(アナログ画像データ)に変換し、A/D変換器204に読み出すCCDやCMOS等の撮像素子である。
【0031】
A/D変換器204は、撮像素子203から読み出されたアナログ画像データをデジタル画像データに変換する。以下、このデジタル画像データを単に「画像データ」という。
【0032】
メモリコントローラ205は、バッファメモリ206への画像ファイルの読み書きやバッファメモリ206のリフレッシュ動作等を制御する。この画像ファイルは、後述するようにMPU201により生成される、画像データにそのメタデータが付加された画像ファイルである。詳細は後述する。
【0033】
バッファメモリ206は、画像ファイルを格納する。
【0034】
画像表示部207は、バッファメモリ206に格納された画像ファイルを表示する。
【0035】
記録媒体I/F208は、記録媒体209に対するデータの読み書きを制御するためのインターフェースである。
【0036】
記録媒体209は、例えば、メモリカード等といった撮像装置102に挿抜可能な構成の記憶媒体であり、プログラムや画像ファイル等を格納する。
【0037】
ハッシュ値生成部210は、バッファメモリ206に格納された画像ファイルに対してハッシュ関数を実行してハッシュ値を生成(算出)する。なお、ハッシュ値生成部210ではなく、MPU201がハッシュ値の生成を行ってもよい。また、画像ファイルではなく、画像データに対してハッシュ関数を実行してハッシュ値を生成してもよい。
【0038】
通信部211は、インターネットに接続され、外部装置とデータの送受信を行う。
【0039】
図3は、
図1の撮像装置102において実行されるデータ送信処理の手順を示すフローチャートである。
図3のデータ送信処理は、撮像装置102のMPU201が記録媒体209等に格納されたプログラムを実行することによって実現される。
図3のデータ送信処理は、撮影者が撮像装置102の撮影ボタンを押下する等の撮影開始操作を撮像装置102が受け付けた際に開始する。
【0040】
図3において、MPU201は、露光時間を制御するために撮像素子203の被写体側に配置されるシャッター(不図示)を駆動させる(ステップS301)。
【0041】
次いで、MPU201は、撮像素子203がシャッターを介して受光した被写体からの光を電気信号(アナログ画像データ)に変換する撮像処理を行う(ステップS302)。
【0042】
次いで、MPU201は、上記撮像処理によって得られた電気信号に対して、現像・符号化等の画像処理を施す(ステップS303)。これにより、画像データが生成される。
【0043】
次いで、MPU201は、画像データを生成するための撮像処理が実行されたときの属性情報(撮影者、撮影時刻、撮影場所、撮影装置の機種、撮影時の設定値等)を含むメタデータを生成する(ステップS304)。
【0044】
次いで、MPU201は、上記画像データに上記メタデータを付加したJPEG形式やMPEG形式等の画像ファイルを生成する(ステップS305)。
【0045】
次いで、MPU201は、ハッシュ値生成部210を制御して、生成した画像ファイルのバイナリデータに対してハッシュ関数を実行してハッシュ値を生成する(ステップS306)。
【0046】
また、ハッシュ値の生成時(算出時)、画像ファイルのバイナリデータの一部を読み飛ばしながらハッシュ値が生成される場合がある。この場合、MPU201は、画像ファイルのバイナリデータをどのように読み飛ばしたか(間引き方)を記録するハッシュ値計算詳細情報を生成する(ステップS307)。
【0047】
次いで、MPU201は、通信部211を制御して、ハッシュ値及び画像ファイルを管理システム101へ送信する(ステップS308)。この際、ステップS307で生成されている場合は、ハッシュ値計算詳細情報も併せて管理システム101へ送信する。なお、ステップS308にて送信されるデータに、暗号化処理が施されていてもよい。また、MPU201は、画像表示部207に警告通知を表示させる(ステップS309)。この警告通知は、例えば、管理システム101から上記登録完了通知を受信するまで画像表示部207に表示される。この警告通知は、例えば、ブロックチェーンへの登録を完了するまで記録媒体209を挿抜しないように注意喚起する通知である。これにより、記録媒体209の挿抜に起因して、ブロックチェーンに画像ファイルの情報を登録する処理や、後述する画像ファイルに登録済み情報を付与する処理が失敗するのを未然に防ぐことができる。
【0048】
次いで、MPU201は、画像ファイルを記録媒体209に記憶し(ステップS310)、本処理を終了する。
【0049】
このようにして、本実施の形態では、撮像装置102が撮影処理を行うと、画像データとメタデータを含む画像ファイルが記録媒体209に記録されるだけでなく、画像ファイル及びそのハッシュ値が管理システム101へ送信される。また、ステップS307で生成されている場合は、ハッシュ値計算詳細情報も管理システム101へ送信される。
【0050】
図4は、
図1の管理システム101の構成を概略的に示すブロック図である。本実施の形態では、管理システム101は、ネットワークに接続された1つ又は複数のコンピュータにて構成される。
【0051】
図4において、管理システム101は、制御部400、データ受信部401、データ送信部402、真正保証番号生成部403、及びトランザクション生成部404を備える。また、管理システム101は、ブロック生成部405、ブロックチェーン管理部406、画像データベース407、ハッシュ生成部408、及びハッシュ比較部409を備える。
【0052】
制御部400は、管理システム101全体を制御する。
【0053】
データ受信部401は、外部装置から各種データを受信する。例えば、データ受信部401は、撮像装置102からハッシュ値、ハッシュ値計算詳細情報、及び画像ファイルを受信する。また、データ受信部401は、画像公開サイト103の閲覧者が操作する通信装置105bから真正性の判定を行うための画像ファイル及び真正保証番号を受信する。
【0054】
データ送信部402は、外部装置へ各種データを送信する。例えば、データ送信部402は、画像公開サイト103上で公開するように選択された画像ファイルおよびそれに対応する真正保証番号をユーザ(例えば、撮影者や画像提供者)が操作する通信装置105aへ送信する。また、データ送信部402は、画像ファイルの真正確認要求を行った閲覧者が操作する通信装置105bへ、真正性の判定結果を送信する。
【0055】
真正保証番号生成部403は、撮像装置102からハッシュ値及び画像ファイルを受信した際に、管理システム101内で一意の番号である真正保証番号を生成する。
【0056】
トランザクション生成部404は、トランザクションデータを生成し、ブロックチェーンのピアツーピアネットワーク104に参加する1つ以上のコンピュータ(ノード)へブロードキャストする。トランザクションデータは、撮像装置102から受信したハッシュ値、当該ハッシュ値を受信した際に生成され、対応付けられた真正保証番号、及び画像ファイルに含まれるメタデータを含む。
【0057】
ブロック生成部405は、上記ブロードキャストされたトランザクションデータがマイナーにより承認され、その検証が完了すると、トランザクションデータが書き込まれたブロックを生成し、そのブロックをブロックチェーンに接続する。
【0058】
ブロックチェーン管理部406は、ブロックチェーンのピアツーピアネットワーク104に参加する1つ又は複数のコンピュータ(ノード)によっても保持されるブロックチェーンを管理する。また、管理システム101及び各ノードは、夫々が保持するブロックチェーンが常に同じ内容になるよう、同期が取られている。
【0059】
画像データベース407には、画像ファイル及び当該画像ファイルに対応する真正保証番号が登録されている。具体的には、画像データベース407は、
図5に示すように、互いに紐づく、ブロックID501、真正保証番号502、画像ファイル名503で構成される。
【0060】
ブロックID501には、画像ファイルが書き込まれたブロックがブロックチェーンに接続される毎に、順に発行されるブロックID(ID番号)が設定される。すなわち、ブロックID501に設定される各ブロックIDは、ブロックチェーンに登録されるハッシュ値の1つに対応する。
【0061】
真正保証番号502には、画像ファイルに対応する真正保証番号が設定される。
【0062】
画像ファイル名503には、管理システム101が撮像装置102等から受信した画像ファイルのファイル名が設定される。
【0063】
なお、画像データベース407の構成は、上述した構成に限られず、画像データベース407は他の項目を含んでいても良い。
【0064】
図4に戻り、ハッシュ生成部408は、真正性の判定を行う際に、真正確認要求を行ったユーザ(閲覧者)の通信装置105bから送信された画像ファイルに対してハッシュ関数を実行してハッシュ値を生成する。
【0065】
ハッシュ比較部409は、ブロックチェーン管理部406で管理されるブロックチェーンの中から、真正確認要求を行ったユーザから送信された真正保証番号に対応するブロック(後述)を取得する。そして、ブロックチェーンのうち、そのブロックに書き込まれたハッシュ値(画像ハッシュ値)を取得する。ハッシュ比較部409は、ブロックから取得したハッシュ値と、ハッシュ生成部408が生成したハッシュ値とを比較して真正性の判定を行う。これら2つのハッシュ値が同じである場合、ハッシュ比較部409は、真正確認要求を行ったユーザから送信された画像ファイルがその生成時から改ざんされていない(真である)と判定する。一方、これら2つのハッシュ値が異なる場合、ハッシュ比較部409は、真正確認要求を行ったユーザから送信された画像ファイルがその生成時から改ざんされた(真でない/偽である)と判定する。
【0066】
例えば、画像公開サイト103から通信装置105bへ配信された画像ファイルが改ざんされており、真正確認要求と共にその改ざんされている画像ファイルが管理システム101に送信される場合がある。かかる真正確認要求があった場合、ハッシュ生成部408が、その画像ファイルに対してハッシュ関数を実行して生成したハッシュ値は、改ざん前の画像ファイルから生成されたハッシュ値とは異なる。また、管理システム101において、ブロックチェーンに保存したハッシュ値は、誰からも変更されることが不可能である。よって、上記真正確認要求があった場合、ハッシュ生成部408がその画像ファイルに対して生成したハッシュ値は、ブロックチェーンのうち、その真正確認要求の真正保証番号に対応するブロックに格納されたハッシュ値とは一致しない。
【0067】
図6は、
図1の管理システム101において実行されるブロックチェーン登録処理の手順を示すフローチャートである。
図6のブロックチェーン登録処理は、制御部400が管理システム101を構成するコンピュータが備える記録媒体に格納されたプログラムを実行することによって実現される。
図6のブロックチェーン登録処理は、例えば、撮像装置102によって
図3のデータ送信処理が行われて、ステップS308の処理により撮像装置102からハッシュ値及び画像ファイルが送信された際に実行される。ここでは、ステップS307でハッシュ値計算詳細情報が生成され、ステップS308でハッシュ値及び画像ファイルと共にハッシュ値計算詳細情報も管理システム101へ送信された場合について説明する。
【0068】
図6において、制御部400は、撮像装置102からハッシュ値、ハッシュ値計算詳細情報、及び画像ファイルを受信する(ステップS601)。受信したデータに暗号化処理が施されている場合、制御部400は、受信したデータに対して復号化処理を施す。その後、制御部400は、不図示のRAMに、ハッシュ値、ハッシュ値計算詳細情報、及び受信した画像ファイルに含まれるメタデータといった画像ファイルの情報を保存する。
【0069】
次いで、制御部400は、真正保証番号生成部403を制御して、受信した画像ファイルの真正保証番号を生成する(ステップS602)。
【0070】
次いで、制御部400は、ステップS602で生成した真正保証番号と、ステップS601でRAMに保存したハッシュ値、ハッシュ値計算詳細情報、及びメタデータといった画像ファイルの情報とをブロックチェーンに登録する(ステップS603)。具体的には、まず、トランザクション生成部404で、真正保証番号、ハッシュ値、ハッシュ値計算詳細情報、及びメタデータを含むトランザクションデータを生成する。次に、トランザクション生成部404で、ブロックチェーンのピアツーピアネットワーク104に参加する1つ以上のコンピュータ(ノード)へトランザクションデータをブロードキャストする。ブロードキャストされたトランザクションデータがマイナーにより承認され、その検証が完了すると、ブロック生成部405は、検証済のトランザクションデータを書き込んだブロックを生成し、当該ブロックをブロックチェーンに接続(登録)する。
【0071】
次いで、制御部400は、上記ブロックに対応するブロックIDを発行する(ステップS604)。ここで、制御部400は、ブロックのヘッダに対してハッシュ関数を2回実行することにより生成した値をブロックIDとして発行する。なお、ブロックIDは、ブロックの参照に使用されるが、ブロック内にはブロックIDのフィールドはない。
【0072】
次いで、制御部400は、発行したブロックIDと、ステップS601にて受信した画像ファイルと、ステップS602にて生成した真正保証番号とを対応付けて画像データベース407へ登録する(ステップS605)。次いで、制御部400は、ブロックチェーンに画像ファイルの情報を登録する処理を完了したことを示す登録完了通知を撮像装置102へ送信する(ステップS606)。その後、ブロックチェーン登録処理は終了する。
【0073】
図7は、
図4のブロックチェーン管理部406で管理するブロックチェーンのブロックデータ構造の一例を示す図である。
図7に示すように、ブロックチェーンは、ブロックが時系列に沿ってチェーンのように連結されて形成されるデータベースである。ブロックチェーンに接続されるブロック701は、前ブロックのハッシュ702、ナンス703、トランザクション704を含む。
【0074】
前ブロックのハッシュ702は、ブロック701の1つ前にブロックチェーンに接続されたブロックのハッシュ値である。
【0075】
ナンス703は、マイニングに用いられるナンス値である。
【0076】
トランザクション704は、トランザクション生成部404によって生成されたトランザクションデータであり、トランザクション種類、画像ハッシュ、真正保証番号、ハッシュ値計算詳細情報、及びメタデータが含まれる。
【0077】
トランザクション種類は、トランザクションの種類を示す情報である。トランザクション種類によって、トランザクションの内部の構造が異なる。
【0078】
画像ハッシュは、撮像装置102から管理システム101に送信されたハッシュ値である。
【0079】
真正保証番号は、画像ハッシュが撮像装置102から管理システム101に送信された際に、管理システム101で生成された真正保証番号である。
【0080】
ハッシュ値計算詳細情報は、撮像装置102から管理システム101に送信されたハッシュ値である。
【0081】
メタデータは、撮像装置102から管理システム101に送信された画像ファイルに含まれるメタデータである。
【0082】
図8は、
図1の管理システム101において実行される画像公開サイト103への画像ファイル送信処理の手順を示すフローチャートである。
図8の画像ファイル送信処理も、制御部400が管理システム101を構成するコンピュータが備える記録媒体に格納されたプログラムを実行することによって実現される。
図8の画像ファイル送信処理は、例えば、ユーザ(例えば、撮影者)が、通信装置105aを用いて、画像データベース407に登録された複数の画像ファイルの一つを選択し、その画像ファイルの画像公開サイト103への送信要求を行った際に実行される。この送信要求には、画像データベース407において、ユーザ選択された画像ファイルと紐づくブロックIDが含まれる。
【0083】
図8において、まず、制御部400は、データ受信部401により、ユーザが操作する通信装置105aから上記送信要求を受信する(ステップS801)。
【0084】
次いで、制御部400は、上記送信要求の対象である画像ファイル及び当該画像ファイルの真正保証番号を画像データベース407から取得する(ステップS802)。具体的には、上記送信要求に含まれるブロックIDに対応する画像ファイル及び真正保証番号を画像データベース407から取得する。
【0085】
次いで、制御部400は、データ送信部402により、取得した画像ファイル及び真正保証番号を画像公開サイト103へ送信する(ステップS803)。併せて制御部400は、上記送信要求の対象である画像ファイルが画像公開サイト103上で公開可能となった旨を上記送信要求の要求元であるユーザの通信装置105aに通知する。
【0086】
次いで、制御部400は、上記画像ファイルの送信情報をブロックチェーンに登録する(ステップS804)。具体的には、まず、トランザクション生成部404で、真正保証番号、及び画像ファイルの送信情報、画像データ、真正保証番号の送信先を表す情報(URLなど)を含むトランザクションデータを生成する。次に、トランザクション生成部404で、ブロックチェーンのピアツーピアネットワーク104に参加する1つ以上のコンピュータ(ノード)へトランザクションデータをブロードキャストする。ブロードキャストされたトランザクションデータがマイナーにより承認され、その検証が完了すると、ブロック生成部405は、検証済のトランザクションデータを書き込んだブロックを生成し、当該ブロックをブロックチェーンに接続する。その後、画像ファイル送信処理は終了する。
【0087】
以上、
図8の画像ファイル送信処理では、ユーザからの送信要求に応じて管理システム101から画像公開サイト103に画像ファイルが送信された際、ユーザにその画像ファイルが画像公開サイト103上で公開可能となった旨を通知する。併せて、その画像ファイルの送信情報がブロックチェーンに登録される。このため、ユーザは画像ファイルの利用状況を把握できるようになる。
【0088】
図9は、
図1の管理システム101において実行される真正性判定処理の手順を示すフローチャートである。
図9の真正性判定処理も、制御部400が管理システム101を構成するコンピュータが備える記録媒体に格納されたプログラムを実行することによって実現される。尚、ここでは、
図9の真正性判定処理は、画像公開サイト103の閲覧者が、通信装置105bを操作して、画像公開サイト103に表示された画像ファイルの真正確認要求を、管理システム101へ行った際に実行されるがこれに限定されない。
【0089】
図9において、制御部400は、データ受信部401により、閲覧者が操作する通信装置105bから真正確認要求を受信する(ステップS901)。この受信の際、制御部400は、データ受信部401により、真正性の判定対象となる画像ファイル及び当該画像ファイルに対応する真正保証番号も受信する。
【0090】
次いで、制御部400は、ステップS901で受信したこの真正保証番号をキーに画像データベース407に問い合わせ、当該真正保証番号と対応するブロックIDを取得する(ステップS902)。
【0091】
次いで、制御部400は、ブロックチェーンにおける、取得したブロックIDに対応するブロックにアクセスし、当該ブロックに格納されたハッシュ値(画像ハッシュ値)を取得する(ステップS903)。
【0092】
また、ステップS902,S903の処理と並行して、制御部400は、ハッシュ生成部408により、ステップS901で受信した画像ファイルに対してハッシュ関数を実行する(ステップS904)。これにより、制御部400は、ハッシュ値をハッシュ生成部408で生成(取得)する。この際、ブロックチェーンを構成する複数のブロックのうち、取得したブロックIDに対応するブロックにアクセスし、当該ブロックに格納されたハッシュ値計算詳細情報を取得する。ステップS904では、このハッシュ値計算詳細情報を参照してハッシュ値が生成される。
【0093】
ステップS902~S904の処理を完了すると、制御部400は、ハッシュ比較部409により、ステップS903にて取得した画像ハッシュ値と、ステップS904にて生成されたハッシュ値を比較する(ステップS905)。
【0094】
制御部400は、ステップS905で比較した2つのハッシュ値が一致するか否かを判別する(ステップS906)。
【0095】
ステップS906の判別の結果、2つのハッシュ値が一致する場合、制御部400は、ステップS901にて受信した画像ファイルがその生成時から改ざんされていないことを示す「真」であると判定する(ステップS907)。その後、ステップS909へ進む。
【0096】
一方、ステップS906の判別の結果、2つのハッシュ値が一致しない場合、制御部400は、ステップS901にて受信した画像ファイルがその生成時から改ざんされていることを示す「偽」であると判定し(ステップS908)、ステップS909へ進む。
【0097】
次いで、制御部400は、ブロック生成部405を制御して、ステップS907又はステップS908の判定結果をブロックチェーンに登録する(ステップS909)。具体的には、ブロック生成部405は、ステップS907又はS908の判定結果を書き込んだブロックを生成し、当該ブロックをブロックチェーンに接続する。
【0098】
次いで、制御部400は、データ送信部402を制御して、真正確認要求の要求元である通信装置105bに上記判定結果を通知し(ステップS910)、本処理を終了する。
【0099】
以上、本実施の形態によれば、管理システム101では以下の処理が実行される。まず、画像ファイル及びその生成時のハッシュ値の受信に応じて、受信した画像ファイルを識別するための真正保証番号が生成され、受信したハッシュ値が真正保証番号に対応付けられてブロックチェーンに登録される。その後、閲覧者からの真正確認要求に応じて、真正確認要求と共に受信した画像ファイルから生成されたハッシュ値と、ブロックチェーンにおける、真正確認要求と共に受信した真正保証番号に対応するハッシュ値とが比較される。これにより、管理システム101において、閲覧者が取得した画像ファイルの真正性を容易に判定することができる。
【0100】
また、本実施の形態では、管理システム101が撮像装置102からハッシュ値と共に受信する画像ファイルは、静止画データ又は動画データを含む。すなわち、本実施の形態では、管理システム101に登録された静止画データや動画データの真正性を容易に判定することができる。また、撮像装置102は、画像ファイルに対してハッシュ関数を実行する際、その画像ファイルに含まれる画像データを間引いて(例えば、画像データが動画データの場合は、1フレームおきに)ハッシュ関数にかけるため、計算負荷が軽減される。また、この間引きに関する情報もハッシュ値計算詳細情報としてブロックチェーンに紐づけられ変更されないので、画像ファイルに対して真正性判定処理を実行する際の判定の正確性が高まる。
【0101】
本実施の形態では、ユーザから受けた画像ファイルの送信要求に従って、ブロックチェーンに登録されたハッシュ値に対応する画像ファイルと、当該画像ファイルと共に表示される真正保証番号であってブロックチェーンに当該ハッシュ値に対応付けられて登録された真正保証番号とが送信される。これにより、ユーザは、この画像ファイルの真正確認要求を行う際に、この画像ファイルと当該画像データの真正保証番号を管理システム101へ送信することができる。その結果、この画像ファイルの真正性を容易に判定することができる。
【0102】
また、本実施の形態では、管理システム101がハッシュ生成部408を備える。これにより、真正確認要求を行うユーザに画像ファイルのハッシュ値の生成を強いることなく、ユーザから送信された画像ファイルに基づいて、当該画像ファイルの真正性を判定することができる。
【0103】
本実施の形態では、管理システム101は、少なくとも、画像ファイルの真正保証番号を生成する第1のコンピュータと、画像ファイルの生成時のハッシュ値を真正保証番号に対応付けてブロックチェーンに登録する第2のコンピュータとで構成される。これにより、画像ファイルの真正保証番号の生成とブロックチェーンの登録とが異なるコンピュータで行われる構成において、画像ファイルの真正性を容易に判定することができる。
【0104】
また、本実施の形態では、管理システム101は、少なくとも、画像ファイルの生成時のハッシュ値を真正保証番号に対応付けてブロックチェーンに登録する複数のコンピュータで構成される。これにより、複数のコンピュータでブロックチェーンの登録を行う構成において、画像ファイルの真正性を容易に判定することができる。
【0105】
ここで、撮像装置102の記録媒体209には、撮像装置102が撮影処理を行って生成された複数の画像ファイルが格納されている。この複数の画像ファイルの中には、上述した処理によってブロックチェーンに情報を登録済みの画像ファイルも含まれる。ユーザ(撮影者)は、撮像装置102の画像表示部207で画像ファイルを確認し、お気に入り登録や削除などを行って、記録媒体209に格納された画像ファイルの整理を行う。しかし、従来では、どの画像ファイルの情報がブロックチェーンに登録済みであるかが撮像装置102の画像表示部207に示されないため、画像ファイルの整理を容易に行うことができない。
【0106】
これに対し、本実施の形態では、ブロックチェーンに画像ファイルの情報を登録する処理を完了した旨を示す登録完了通知を受信したことに従って、ブロックチェーンに画像ファイルの情報を登録済みであることを示す登録済み情報が画像ファイルに付与される。
【0107】
図10は、
図1の撮像装置102において実行される登録済み情報付与処理の手順を示すフローチャートである。
図10の登録済み情報付与処理は、撮像装置102のMPU201が記録媒体209等に格納されたプログラムを実行することによって実現される。
図10の登録済み情報付与処理は、管理システム101がブロックチェーンに画像ファイルの情報を登録する処理を完了した際に実行される。
【0108】
図10において、まず、MPU201は、管理システム101から上記登録完了通知を受信する(ステップS1001)。次いで、MPU201は、画像ファイルに登録済み情報を付与する(ステップS1002)。具体的に、MPU201は、画像ファイルに含まれるメタデータに登録済み情報を付与する。登録済み情報は、ブロックチェーンに画像ファイルの情報を登録済みであることを示す情報である。次いで、MPU201は、ブロックチェーンに画像ファイルの情報を登録した旨をユーザに通知する(ステップS1003)。具体的に、MPU201は、ブロックチェーンに画像ファイルの情報を登録したことを知らせるためのガイドを画像表示部207に表示させる。次いで、MPU201は、絞り込み表示指示を受け付けたか否かを判別する(ステップS1004)。
【0109】
ステップS1004において、絞り込み表示指示を受け付けたと判別された場合、MPU201は、記録媒体209に格納された複数の画像ファイルのうち、登録済み情報が付与されたメタデータを含む画像ファイルを画像表示部207に表示させる(ステップS1005)。なお、以下では、登録済み情報が付与されたメタデータを含む画像ファイルを「登録済み情報込み画像ファイル」とする。その後、処理はステップS1006へ進む。
【0110】
ステップS1004において、絞り込み表示指示を受け付けないと判別された場合、MPU201は、登録済み情報込み画像ファイルのお気に入り登録指示を受け付けたか否かを判別する(ステップS1006)。
【0111】
ステップS1006において、登録済み情報込み画像ファイルのお気に入り登録指示を受け付けたと判別された場合、MPU201は、記録媒体209に格納された複数の画像ファイルのうち、登録済み情報込み画像ファイルをお気に入りに登録する(ステップS1007)。その後、処理はステップS1008へ進む。
【0112】
ステップS1006において、登録済み情報込み画像ファイルのお気に入り登録指示を受け付けないと判別された場合、MPU201は、登録済み情報込み画像ファイルの削除指示を受け付けたか否かを判別する(ステップS1008)。
【0113】
ステップS1008において、登録済み情報込み画像ファイルの削除指示を受け付けないと判別された場合、本処理は終了する。ステップS1008において、登録済み情報込み画像ファイルの削除指示を受け付けたと判別された場合、MPU201は、記録媒体209から登録済み情報込み画像ファイルを削除する(ステップS1009)。その後、本処理は終了する。
【0114】
本実施の形態によれば、画像ファイルを生成した直後に当該画像ファイルのハッシュ値が生成され、このハッシュ値を含む画像ファイルの情報が管理システム101へ送信される。ブロックチェーンに画像ファイルの情報を登録する処理を完了した旨を示す登録完了通知を受信したことに従って、登録済み情報が画像ファイルに付与される。これにより、ブロックチェーンに情報を登録済みの画像ファイルを容易に確認することができる。
【0115】
また、本実施の形態では、画像ファイルは、被写体を撮影して得られた画像データを含む。これにより、ブロックチェーンに情報を登録済みの画像データを容易に確認することができる。
【0116】
更に、本実施の形態では、画像データは、静止画データ又は動画データである。これにより、ブロックチェーンに情報を登録済みの静止画データや動画データを容易に確認することができる。
【0117】
本実施の形態では、ユーザによる絞り込み表示指示に従って、記録媒体209に格納された複数の画像ファイルにおける登録済み情報込み画像ファイルが画像表示部207に表示される。これにより、ユーザはブロックチェーンに情報を登録済みの画像ファイルを容易に把握することができる。
【0118】
また、本実施の形態では、ユーザによる登録済み情報込み画像ファイルのお気に入り登録指示に従って、記録媒体209に格納された複数の画像ファイルにおける登録済み情報込み画像ファイルがお気に入りに登録される。これにより、ブロックチェーンに情報を登録済みの画像ファイルを容易にお気に入りに登録することができる。
【0119】
更に、本実施の形態では、ユーザによる登録済み情報込み画像ファイルの削除指示に従って、記録媒体209から登録済み情報込み画像ファイルが削除される。これにより、ブロックチェーンに情報を登録済みの画像ファイルを記録媒体209から容易に削除することができる。
【0120】
なお、上述したステップS1002において、例えば、撮像装置102から記録媒体209が抜かれ、画像ファイルに登録済み情報を付与できなかった場合、登録済み情報の付与を失敗した原因をユーザに通知しても良い。これにより、ユーザは、登録済み情報の付与を失敗した原因を容易に把握することができ、登録済み情報の付与が成功するように即座に対処することができる。
【0121】
なお、上述した実施の形態では、撮像装置102が画像ファイルに登録済み情報を付与する構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、管理システム101が撮像装置102から取得した画像ファイルに登録済み情報を付与し、登録済み情報が付与された画像ファイルを撮像装置102へ送信する構成であっても良い。このような構成においても、上述した実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0122】
また、上述した実施の形態では、動画データは、音声データのみのデータであっても良い。これにより、ブロックチェーンに情報を登録済みの音声データを容易に確認することができる。
【0123】
また、上述した実施の形態では、登録済み情報込み画像ファイルは、登録済み情報が付与されていない画像ファイルと識別可能に画像表示部207に表示されても良い。例えば、登録済み情報込み画像ファイルの近傍には、当該画像ファイルの情報がブロックチェーンに登録済みであることを示す所定のマーク等が表示される。一方、登録済み情報が付与されていない画像ファイルの近傍には、上記所定のマーク等が表示されない。このような表示制御を行うことにより、ユーザは、ブロックチェーンに情報を登録済みの画像ファイルを容易に把握することができる。
【0124】
本発明は、上述の実施の形態の1以上の機能を実現するプログラムをネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、該システム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行する処理でも実現可能である。また、本発明は、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0125】
なお、本実施の形態の開示は、以下の構成及び方法を含む。
(構成1)コンテンツを生成した直後に当該コンテンツのハッシュ値を生成する手段と、前記ハッシュ値を含むコンテンツの情報をブロックチェーンに登録する管理サーバへ前記コンテンツの情報を送信する手段と、前記ブロックチェーンに前記コンテンツの情報を登録する処理を完了した旨を示す通知を受信する手段と、前記通知の受信に従って、前記ブロックチェーンに前記コンテンツの情報を登録済みであることを示す登録済み情報を、前記コンテンツに付与する手段とを有することを特徴とするコンテンツ生成装置。
(構成2)被写体を撮影する手段を更に備え、前記コンテンツは、前記被写体を撮影して得られた画像データを含むことを特徴とする構成1に記載のコンテンツ生成装置。
(構成3)前記画像データは、静止画データ又は動画データであることを特徴とする構成2に記載のコンテンツ生成装置。
(構成4)前記動画データは、音声データのみのデータであることを特徴とする構成3に記載のコンテンツ生成装置。
(構成5)表示手段を更に備え、前記登録済み情報が付与されたコンテンツを、前記登録済み情報が付与されないコンテンツと識別可能に前記表示手段に表示させることを特徴とする構成1乃至4の何れか1項に記載のコンテンツ生成装置。
(構成6)前記登録済み情報が付与されたコンテンツを含む複数のコンテンツを格納する格納手段を更に備え、ユーザによる指示に従って、前記複数のコンテンツにおける前記登録済み情報が付与されたコンテンツを前記表示手段に表示させることを特徴とする構成5に記載のコンテンツ生成装置。
(構成7)ユーザによる指示に従って、前記複数のコンテンツにおける前記登録済み情報が付与されたコンテンツのお気に入り登録を行うことを特徴とする構成6に記載のコンテンツ生成装置。
(構成8)ユーザによる指示に従って、前記登録済み情報が付与されたコンテンツを前記格納手段から削除することを特徴とする構成6又は7に記載のコンテンツ生成装置。
(構成9)前記格納手段は、前記コンテンツ生成装置に挿抜可能な構成であり、前記コンテンツの情報を送信してから前記通知を受信するまでの間、前記格納手段を挿抜しないように注意喚起する通知を前記表示手段に表示させることを特徴とする構成6乃至8の何れか1項に記載のコンテンツ生成装置。
(構成10)前記登録済み情報を前記コンテンツに付与できなかった場合、前記登録済み情報の付与を失敗した原因をユーザに通知することを特徴とする構成1乃至9の何れか1項に記載のコンテンツ生成装置。
(構成11)コンテンツ生成装置の制御方法であって、コンテンツを生成した直後に当該コンテンツのハッシュ値を生成する工程と、前記ハッシュ値を含むコンテンツの情報をブロックチェーンに登録する管理サーバへ前記コンテンツの情報を送信する工程と、前記ブロックチェーンに前記コンテンツの情報を登録する処理を完了した旨を示す通知を受信する工程と、前記通知の受信に従って、前記ブロックチェーンに前記コンテンツの情報を登録済みであることを示す登録済み情報を、前記コンテンツに付与する工程とを有することを特徴とするコンテンツ生成装置の制御方法。
【符号の説明】
【0126】
101 管理システム
102 撮像装置
201 MPU
207 画像表示部
209 記録媒体
210 ハッシュ値生成部
211 通信部