(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189735
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】光拡散シート、光拡散シート積層体、バックライトユニット、及び液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/02 20060101AFI20221215BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20221215BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20221215BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221215BHJP
【FI】
G02B5/02 C
G02F1/13357
F21S2/00 481
F21S2/00 482
F21S2/00 484
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078307
(22)【出願日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2021097155
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000165088
【氏名又は名称】恵和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100174827
【弁理士】
【氏名又は名称】治下 正志
(72)【発明者】
【氏名】蔡 承亨
(72)【発明者】
【氏名】芝 悟志
(72)【発明者】
【氏名】狩谷 憂
【テーマコード(参考)】
2H042
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H042BA04
2H042BA13
2H042BA15
2H042BA20
2H391AA03
2H391AB04
2H391AB21
2H391AB34
2H391AC13
2H391AC25
2H391AC32
2H391EA13
3K244AA01
3K244BA08
3K244BA26
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA13
3K244DA19
3K244FA13
3K244GA01
3K244GA02
3K244GA04
3K244GB16
3K244GC16
(57)【要約】
【課題】透過光の輝度の低下を充分に抑制でき、かつ、輝度の面内均一性を高めることができる光拡散シートを提供することを目的とする。また、前記光拡散シートを積層する光拡散シート積層体、前記光拡散シートを備えるバックライトユニット、及び前記バックライトユニットを備える液晶表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】光を拡散させる複数の凹部13が形成された第1面10aと、光を透過可能な複数の凸部12を互いに離間して備える第2面10bとを有する光拡散シート10である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を拡散させる複数の凹部が形成された第1面と、
光を透過可能な複数の凸部を互いに離間して備える第2面とを有することを特徴とする光拡散シート。
【請求項2】
前記複数の凸部が、互いに島状に離間した複数の凸部である請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項3】
前記凸部が、半球状である請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項4】
前記凸部の占める面積が、前記第2面の全面に対して、0.1~30%である請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項5】
前記凸部の平均高さが、1~1000μmである請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項6】
前記第2面における前記凸部以外の面が平坦面である請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項7】
前記凹部が、略逆多角錐状である請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項8】
前記凹部が、略逆四角錐状である請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の光拡散シートを複数枚積層する光拡散シート積層体。
【請求項10】
複数の光源と、
請求項1~8のいずれか1項に記載の光拡散シートとを備えるバックライトユニット。
【請求項11】
前記光拡散シートを複数枚積層して備え、
複数枚の前記光拡散シートの、前記複数の光源に向けて配置されるそれぞれの面が同じ面である請求項10に記載のバックライトユニット。
【請求項12】
前記光拡散シートは、前記第1面を前記複数の光源に向けて配置される請求項10に記載のバックライトユニット。
【請求項13】
前記複数の光源は、互いに離間して配置されている請求項10に記載のバックライトユニット。
【請求項14】
前記複数の光源から照射された光を反射する反射シートをさらに備え、
前記複数の光源は、前記反射シートの、前記光拡散シート側の表面上に、互いに離間して配置されている請求項10に記載のバックライトユニット。
【請求項15】
前記光源が、青色光を照射する発光ダイオード素子である請求項10に記載のバックライトユニット。
【請求項16】
複数の光源及び請求項1~8のいずれか1項に記載の光拡散シートを備えるバックライトユニットと、
液晶パネルとを備える液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光拡散シート、光拡散シート積層体、バックライトユニット、及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン及びタブレット端末等の各種情報機器における表示装置として、液晶表示装置(液晶ディスプレイ)が広く利用されている。液晶ディスプレイに用いられるバックライトユニットとしては、例えば、液晶パネルの背面側に複数の光源を配置する直下型方式、及び、液晶パネルの側面近傍に光源を配置するエッジライト方式等が挙げられる。
【0003】
液晶ディスプレイに用いられるバックライトユニットには、光源からの光を、液晶ディスプレイに好適な光に変換するための光学シートが備えられている。このような光学シートとしては、例えば、光源からの光を拡散させる光拡散シート等が挙げられる。前記バックライトユニットは、前記光拡散シートを備えることによって、光源からの光を拡散させて、液晶ディスプレイにおいて画像を表示する領域(表示画面)における、輝度等の均一性(面内均一性)を高めることができる。
【0004】
このような光学シートとしては、特許文献1に記載の光学シート等が挙げられる。特許文献1には、ディスプレイ用バックライトユニットにおける照明光路制御に使用される光学シートにおいて、出射面側に、多数並べて配列された少なくとも1種類の単位レンズもしくは単位プリズムと、入射面側に突出した凸部と、前記凸部に挟まれた領域であって前記凸部よりも高さの低い凹部とが多数順番に並べられた凹凸形状とを備え、前記入射面側の凹部は、前記出射面側の単位レンズもしくは単位プリズムから入射された平行光の集光形状に対応した位置に配置されており、前記凸部には、前記凸部と前記凹部の境界に挟まれた領域である前記凸部の頂部、側部を含む全表面に光反射層が形成されている光学シートが記載されている。
【0005】
特許文献1によれば、バックライトユニットに用いた場合に光の利用効率が高い光学シートを提供することができる旨が開示されている。特許文献1に記載の光学シートは、光を拡散させて、バックライトにおける輝度等の面内均一性を高めることを目的としたシートではなく、光拡散シートとともに用いるシートである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
液晶ディスプレイには、薄型化が求められている。この液晶ディスプレイの薄型化を実現するために、光源から光拡散シートまでの距離を短くしたり、光拡散シート等の光学シートを薄くすることがある。このような場合、光拡散シートによる光の拡散が不充分になる傾向がある。また、例えば、直下型方式のバックライトユニットでは、前記光源として、複数の発光ダイオード(LED)素子を点在させて用いることが多く、液晶ディスプレイにおいて画像を表示する領域(表示画面)において、LED素子が直下に存在する部分としない部分とで輝度等にむらが発生しやすい傾向がある。光拡散シートによる光の拡散が不充分な場合、この傾向が顕著となる。このような輝度むらをより低減させるためにも、前記バックライトユニットに備えられる光拡散シートには光をより好適に拡散できることが求められている。そして、バックライトユニットには、前記光拡散シートを備えること等によって、輝度等の面内均一性がより高いことが求められている。また、光拡散シートを厚くして、輝度等の面内均一性を高めると、上述した液晶ディスプレイの薄型化に寄与しないだけではなく、輝度が低下することもある。これらのことから、前記バックライトユニットに備えられる光拡散シートには、透過光の輝度の低下を抑制しつつ、かつ、輝度の面内均一性を高めることができることが求められる。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、透過光の輝度の低下を充分に抑制でき、かつ、輝度の面内均一性を高めることができる光拡散シートを提供することを目的とする。また、本発明は、前記光拡散シートを積層する光拡散シート積層体、前記光拡散シートを備えるバックライトユニット、及び前記バックライトユニットを備える液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、種々検討した結果、以下の本発明により、上記目的は達成されることを見出した。
【0010】
本発明の一態様に係る光拡散シートは、光を拡散させる複数の凹部が形成された第1面と、光を透過可能な複数の凸部を互いに離間して備える第2面とを有することを特徴とする光拡散シートである。
【0011】
このような構成によれば、透過光の輝度の低下を充分に抑制でき、かつ、輝度の面内均一性を高めることができる光拡散シートを提供することができる。このことは、以下のことによると考えられる。
【0012】
まず、前記光拡散シートの前記第2面に、光を透過可能な複数の凸部を互いに離間して備えることによって、前記光拡散シートの前記第2面側に他のシートが隣接しても、前記光拡散シートと前記他のシートが離間する。すなわち、前記光拡散シートと前記他のシートとの間に空気層を好適に形成することができる。また、前記第2面は、前記凸部を備えていても、前記凸部が光透過可能であること等から、前記第2面から光を入射させることも出射させることもできる。前記光拡散シートの前記第2面側から光を入射させる場合、前記第2面から入射した光は、前記第1面に到達し、前記第1面に形成されている凹部によって均一に拡散させることができる。また、前記光拡散シートの前記第1面側から光を入射させる場合、前記第1面から入射する光が、前記第1面に形成されている凹部によって均一に拡散され、拡散された光が前記第2面まで到達し、均一に拡散された光が前記第2面から出射される。また、前記光拡散シートとそれに隣接する他のシートとの間に前記空気層が形成されていることにより、光源との距離を長くすることができ、光が均一に拡散させることができると考えられる。すなわち、光源との距離が短くなることによる輝度の面内均一性の低下を抑制することができると考えられる。また、前記光拡散シートを厚くして、光の拡散を高めるのではないことから、透過光の輝度の低下を充分に抑制できると考えられる。これらのことから、前記光拡散シートは、透過光の輝度の低下を充分に抑制でき、かつ、輝度の面内均一性を高めることができると考えられる。
【0013】
よって、前記光拡散シートは、バックライトユニットに用いることによって、輝度に優れ、かつ、輝度の面内均一性の高いバックライトユニットを提供することができる。また、前記光拡散シートは、輝度の面内均一性を高めることができることから、前記光拡散シートを薄くしても、また、前記光拡散シートの、光源からの距離を短くしても、輝度の充分な面内均一性を確保することができる。よって、バックライトユニットを薄型化することができ、結果として、液晶表示装置を薄型化することができる。また、前記光拡散シートは、輝度の面内均一性を高めることができることから、光源の数(単位面積あたりの光源の数)を減らしても、輝度の充分な面内均一性を確保することができる。よって、バックライトユニットにおける光源の数を減らすことができる。
【0014】
また、前記光拡散シートにおいて、前記複数の凸部が、互いに島状に離間した複数の凸部であることが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、透過光の輝度の低下をより抑制でき、かつ、輝度の面内均一性をより高めることができる。このことは、前記光拡散シートとそれに隣接する他のシートとの間に前記空気層をより好適に形成することができることによると考えられる。
【0016】
また、前記光拡散シートにおいて、前記凸部が、半球状であることが好ましい。
【0017】
このような構成によれば、透過光の輝度の低下をより抑制でき、かつ、輝度の面内均一性をより高めることができる。このことは、前記光拡散シートに隣接する他のシートの表面形状等にかかわらず、前記光拡散シートと前記他のシートとの間に前記空気層をより好適に形成することができることによると考えられる。
【0018】
また、前記光拡散シートにおいて、前記凸部の占める面積が、前記第2面の全面に対して、0.1~30%であることが好ましい。
【0019】
このような構成によれば、透過光の輝度の低下をより抑制でき、かつ、輝度の面内均一性をより高めることができる。このことは、前記光拡散シートとそれに隣接する他のシートとの間に前記空気層をより好適に形成することができることによると考えられる。
【0020】
また、前記光拡散シートにおいて、前記凸部の平均高さが、1~1000μmであることが好ましい。
【0021】
このような構成によれば、透過光の輝度の低下をより抑制でき、かつ、輝度の面内均一性をより高めることができる。このことは、前記光拡散シートとそれに隣接する他のシートとの間に前記空気層をより好適に形成することができることによると考えられる。
【0022】
また、前記光拡散シートにおいて、前記第2面における前記凸部以外の面が平坦面であることが好ましい。
【0023】
このような構成によれば、透過光の輝度の低下をより抑制でき、かつ、輝度の面内均一性をより高めることができる。
【0024】
また、前記光拡散シートにおいて、前記凹部が、略逆多角錐状であることが好ましく、略逆四角錐状であることがより好ましい。
【0025】
このような構成によれば、透過光の輝度の低下をより抑制でき、かつ、輝度の面内均一性をより高めることができる。このことは、前記第1面に形成されている凹部が上記形状であれば、前記第1面を光が透過する際に、その光がより均一に拡散されることによると考えられる。具体的には、前記光拡散シートの前記第2面側から光を入射させる場合、前記第2面から入射し、前記第1面に到達した光が、前記第1面から出射する際に、前記第1面に形成されている凹部が上記形状であれば、より均一に拡散されることによると考えられる。前記光拡散シートの前記第1面側から光を入射させる場合、前記第1面から入射する光が、より均一に拡散され、その拡散された光が前記第2面まで到達して前記第2面から出射されることによると考えられる。
【0026】
また、本発明の他の一態様に係る光拡散シート積層体は、前記光拡散シートを複数枚積層する光拡散シート積層体である。
【0027】
このような構成によれば、前記光拡散シートを複数枚積層することによって、輝度の面内均一性をより高めることができる。また、前記光拡散シートは、透過光の輝度の低下を抑制することができるので、前記光拡散シートを複数枚積層しても、透過光の輝度が大幅に低下することを抑制できる。よって、透過光の輝度の低下を充分に抑制でき、かつ、輝度の面内均一性をより高めることができる。また、前記光拡散シートを予め積層した光拡散シート積層体であると、前記光拡散シートを複数枚備えるバックライトユニットを組み立てる際であっても、1枚の前記光拡散シートより厚くなるため、取り扱いしやすく、バックライトユニットの組み立てに対する作業性が向上する。また、前記光拡散シートを予め積層した光拡散シート積層体であると、バックライトユニットを組み立てる際に、前記光拡散シート同士が擦れ合うこと等による、前記光拡散シートへの傷つきの発生を抑制できる。また、前記光拡散シート積層体を構成する各前記光拡散シート間へのごみやほこり等の異物混入の発生も抑制できる。さらに、バックライトユニットを組み立てる際に、前記光拡散シートの組み合わせを間違えること(人為的なミスの発生)を防止できる。
【0028】
また、本発明の他の一態様に係るバックライトユニットは、複数の光源と、前記光拡散シートとを備えるバックライトユニットである。
【0029】
このような構成によれば、前記光拡散シートを備えることから、前記光源からの光を好適に拡散させることができ、輝度の面内均一性を高めることができる。また、前記光源からの光が前記光拡散シートを透過しても、その輝度の低下を抑制することができる。よって、輝度に優れ、かつ、輝度の面内均一性の高い光を照射するバックライトユニットを提供することができる。また、前記バックライトユニットに備えられている光拡散シートは、薄くしても、また、光源からの距離を短くしても、充分な面内均一性を確保することができることから、前記バックライトユニットは、薄型化することができ、結果として、液晶表示装置を薄型化することができる。また、前記バックライトユニットに備えられている前記光拡散シートは、光源の数(単位面積あたりの光源の数)を減らしても、輝度の充分な面内均一性を確保することができることから、前記バックライトユニットは、光源の数を減らすこともできる。
【0030】
また、前記バックライトユニットにおいて、前記光拡散シートを複数枚積層して備え、複数枚の前記光拡散シートの、前記複数の光源に向けて配置されるそれぞれの面が同じ面であることが好ましい。
【0031】
このような構成によれば、前記光拡散シートを複数枚積層することによって、輝度の面内均一性をより高めることができる。また、前記光拡散シートは、透過光の輝度の低下を抑制することができるので、前記光拡散シートを複数枚積層しても、透過光の輝度が大幅に低下することを抑制できる。よって、輝度に優れ、かつ、輝度の面内均一性のより高い光を照射するバックライトユニットを提供することができる。
【0032】
また、前記バックライトユニットにおいて、前記光拡散シートは、前記第1面を前記複数の光源に向けて配置されることが好ましい。
【0033】
このような構成によれば、輝度及びその面内均一性のより高いバックライトユニットが得られる。例えば、前記光源として、青色光を照射する発光ダイオード素子を用いた場合に、輝度及びその面内均一性のより高いバックライトユニットが得られる。
【0034】
また、前記バックライトユニットにおいて、前記複数の光源は、互いに離間して配置されていることが好ましい。
【0035】
このような前記複数の光源が互いに離間して配置されたバックライトユニット、例えば、直下型方式のバックライトユニットであっても、輝度に優れ、かつ、輝度の面内均一性のより高い光を照射するバックライトユニットが得られる。
【0036】
また、前記バックライトユニットにおいて、前記複数の光源から照射された光を反射する反射シートをさらに備え、前記複数の光源は、前記反射シートの、前記光拡散シート側の表面上に、互いに離間して配置されていることが好ましい。
【0037】
このような構成のバックライトユニットは、いわゆる、直下型方式のバックライトユニットであり、このようなバックライトユニットであっても、輝度に優れ、かつ、輝度の面内均一性のより高い光を照射するバックライトユニットが得られる。
【0038】
また、前記バックライトユニットにおいて、前記光源が、青色光を照射する発光ダイオード素子であってもよい。
【0039】
前記光源から出射される光が青色光であり、このような青色光であっても、前記光拡散シートは、光を好適に拡散でき、輝度の面内均一性を高めることができる。このため、前記光源が、青色光を照射する発光ダイオード素子であってもよい。また、前記バックライトユニットに、前記光拡散シートともに、例えば、青色光を白色光に変換可能な色変換シートを備えることによって、輝度に優れ、かつ、輝度の面内均一性の高い光を照射するバックライトユニットを提供することができる。
【0040】
また、本発明の他の一態様に係る液晶表示装置は、複数の光源及び前記光拡散シートを備えるバックライトユニットと、液晶パネルとを備える液晶表示装置である。すなわち、前記液晶表示装置は、前記バックライトユニットと、液晶パネルとを備える液晶表示装置である。
【0041】
このような構成によれば、輝度に優れ、かつ、輝度の面内均一性の高い光を照射するバックライトユニットを備えることから、画質に優れる液晶表示装置を提供することができる。また、前記液晶表示装置に備えられるバックライトユニットが薄型化することができることから、前記液晶表示装置は、薄型化することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、透過光の輝度の低下を充分に抑制でき、かつ、輝度の面内均一性を高めることができる光拡散シートを提供することができる。また、本発明によれば、前記光拡散シートを積層する光拡散シート積層体、前記光拡散シートを備えるバックライトユニット、及び前記バックライトユニットを備える液晶表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る光拡散シートを示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る光拡散シートを示す概略斜視図である。
【
図3】
図3は、比較例に係る光拡散シートを示す概略断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る光拡散シートを積層する光拡散シート積層体を示す概略断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る光拡散シートを備えるバックライトユニットの構成の一例を示す概略断面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示すバックライトユニットを備える液晶表示装置の構成の一例を示す概略断面図である。
【
図7】
図7は、実施例及び比較例に係る各光拡散シートを用いた評価結果を示すグラフである。
【
図8】
図8は、実施例及び比較例に係る各光拡散シートを用いた評価結果を示すグラフである。
【
図9】
図9は、実施例及び比較例に係る各光拡散シートを用いた評価結果を示すグラフである。
【
図10】
図10は、実施例及び比較例に係る各光拡散シートを用いた評価結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0045】
[光拡散シート]
本実施形態に係る光拡散シート10は、
図1及び
図2に示すように、光を拡散させる複数の凹部13が形成された第1面10aと、光を透過可能な複数の凸部12を互いに離間して備える第2面10bとを有する。前記光拡散シート10は、前記第2面10bから光を入射させることも出射させることもできる。前記第2面10bから光を入射させる場合、前記第2面10bから入射した光が、前記第1面10aに到達し、前記第1面10aに形成されている凹部13によって均一に拡散させることができる。また、前記第1面10a側から光を入射させる場合、前記第1面10aから入射する光が、前記第1面10aに形成されている凹部によって均一に拡散され、拡散された光が前記第2面10bまで到達し、均一に拡散された光が前記第2面10bから出射される。そして、前記光拡散シート10は、前記第2面10bに前記複数の凸部12を互いに離間して備えられていることから、前記光拡散シート10の前記第2面10b側に他のシートが隣接しても、前記光拡散シート10と前記他のシートが離間する。すなわち、前記光拡散シート10と前記他のシートとの間に空気層を好適に形成することができる。前記光拡散シート10は、このように、前記第2面10bに前記複数の凸部12を互いに離間して備えることによって、前記光拡散シート10を透過する光の拡散性を高め、透過光の輝度の低下を充分に抑制でき、かつ、輝度の面内均一性を高めることができる。なお、
図1は、本実施形態に係る光拡散シート10を示す概略断面図である。また、
図2は、本実施形態に係る光拡散シート10を示す概略斜視図である。
【0046】
前記光拡散シート10は、例えば、液晶表示装置に備えられるバックライトユニットに備えられる光学シートとして用いることができる。具体的には、前記光拡散シート10は、液晶表示装置に備えられるバックライトユニットにおいて、前記第2面10bが前記バックライトユニットに備えられる複数の光源に向けて配置されるように備えられる光学シートとして用いることができる。また、前記光拡散シート10は、前記第1面10aが前記バックライトユニットに備えられる複数の光源に向けて配置されるように備えられる光学シートとしても用いることができる。
【0047】
前記光拡散シート10は、前記第1面10a及び前記第2面10bを有するシートであれば、特に限定されない。前記光拡散シート10としては、例えば、前記第1面10aと前記第2面10bとを同一層に有するシート(すなわち、前記複数の凹部が形成されている層と前記凸部とが一体であるシート)であってもよい。また、前記光拡散シート10としては、例えば、
図1及び
図2に示すように、前記複数の凹部13が形成されている本体部11と、前記本体部11の、前記複数の凹部13が形成されている側とは反対側の表面上に配置される前記複数の凸部12とを備えるシートであってもよい。また、前記光拡散シート10は、前記第1面10a及び前記第2面10bを有していれば、上述したように、前記本体部11と凸部12とを備えるシートであってもよいし、また、前記本体部11と凸部12とを備え、これら以外の層(他の層)を1層以上備えるシート(3層以上からなるシート)、例えば、前記本体部11と、前記複数の凸部12との間に、他の層を備えるシートであってもよい。
【0048】
前記第1面10aは、光を拡散させる複数の凹部13が形成された面である。前記第1面10aは、前記複数の凹部13が形成されている層と前記凸部とが一体であるシートの場合、そのシートの一方の面を構成する。また、前記第1面10aは、
図1及び
図2に示すように、前記本体部11と前記複数の凸部12とを備えるシートの場合、前記本体部11の、前記複数の凸部12が備えられる面とは反対側の表面を構成する。
【0049】
前記凹部13としては、前記第1面10aから入射された光や、前記第2面10bから入射され、前記第1面10aに到達した光を拡散することができれば、特に限定されず、例えば、略逆多角錐状の凹部であることが好ましい。前記略逆多角錐状の凹部としては、光を拡散させることができれば、特に限定されず、例えば、略逆三角錐状、略逆四角錐状、及び略逆六角錐状等の、隙間なく、又は、隙間が少なく2次元配置することができる形状の凹部がより好ましい。また、前記略逆多角錐状の凹部としては、例えば、
図2に示すような略逆四角錐状(逆ピラミッド状)の凹部であることがさらに好ましい。また、前記凹部13の頂角θは、光を拡散させることができれば、特に限定されず、例えば、80~100°であることが好ましく、90°であることがより好ましい。ここで、前記凹部13の頂角θは、前記光拡散シート10の前記第2面10bにおける前記凸部12以外の面に対して直角な面であって、前記凹部13の頂点を通り、且つ、前記頂点を挟んで向き合う一対の斜面を開口線において直角となるように切断した断面において、前記斜面の断面線同士がなす角である。
【0050】
前記第1面10aには、前記凹部13が複数並んで形成されており、具体的には、略逆多角錐状の凹部が2次元配列されていることが好ましい。また、前記第1面10aに形成される凹部の配置は、光を拡散させることができれば、特に限定されず、前記凹部として、上述したような、隙間なく、又は、隙間が少なく2次元配置することができる形状の凹部を用い、隙間なく、又は、隙間が少なく2次元配置することが好ましい。より具体的には、
図2に示すように、略逆四角錐状の凹部が、隙間なく、又は、隙間が少なく2次元配列されていることがさらに好ましい。また、前記第1面10aには、前記複数の凹部13により光を拡散させることができる程度に規則的に配置されていればよく、複数の凹部13が、所定の間隔をあけて並んでいてもよい。また、隣り合う前記凹部13間の距離(ピッチ)Pは、光を拡散させることができれば、特に限定されず、例えば、100μm程度等が挙げられる。ここで、ピッチPとは、隣り合う前記凹部13のそれぞれにおける頂点同士の間の水平距離(前記第2面10bに平行な方向に沿った距離)である。
【0051】
前記第1面10aには、
図2に示すように、略逆四角錐状の凹部が2次元配列されて凹凸形状を設けたことを例示する。前記凹部13は、他の略逆多角錐状の凹部であってもよいし、光を拡散させることができる形状であれば、略逆多角錐状以外の形状の凹部であってもよい。また、前記複数の凹部13の配置は、光を拡散することができれば、特に限定されず、光を拡散することができる程度、ランダムに配置されていてもよい。
【0052】
前記略逆多角錐状とは、逆多角錐状(真正の逆多角錐状)も、実質的に逆多角錐状とみなせる形状も含む。また、前記略逆四角錐状とは、逆四角錐状(真正の逆四角錐状)も、実質的に逆四角錐状とみなせる形状も含む。また、ここで、略とは、近似可能であることを意味し、例えば、前記略逆多角錐状とは、略逆多角錐に近似可能な形状であり、前記略逆四角錐状とは、略逆四角錐に近似可能な形状である。前記略逆多角錐状には、より具体的には、光を拡散することができる程度に頂部の面積が小さければ、逆多角錐台形状も含まれる。また、前記略逆四角錐状には、より具体的には、光を拡散することができる程度に頂部の面積が小さければ、逆四角錐台形状も含まれる。また、前記略逆多角錐状及び前記略逆四角錐状は、凹部を形成する際の工業生産上の加工精度に起因する不可避的な形状のばらつきの範囲内で変形した形状も含まれる。
【0053】
前記第2面10bには、光を透過可能な複数の凸部12を互いに離間して備えられる。また、前記複数の凸部12は、互いに島状に離間した複数の凸部であることが好ましい。このように、前記光拡散シート10の前記第2面10bに、複数の凸部12が備えられていると、凸部12間が好適に離間され、この離間された複数の凸部12により、前記光拡散シート10とそれに隣接する他のシートとの間に空気層を好適に形成させることができる。また、前記凸部12の形状は、特に限定されず、例えば、半球状、円錐台状、多角錐台状、円柱状、及び多角柱状等が挙げられ、半球状であることが好ましい。前記凸部12の形状が、半球状であると、前記光拡散シート10に隣接する他のシートの表面形状等にかかわらず、前記光拡散シート10とそれに隣接する他のシートとの間に空気層を好適に形成させることができる。例えば、前記他のシートが前記光拡散シート10である場合(すなわち、前記光拡散シート10を積層して用いる場合)、前記凸部12が接触する前記他のシート(他の光拡散シート10)の表面は、前記第1面10aのように複数の凹部13が形成されていても、前記光拡散シート10とそれに隣接する他のシートとの間に空気層を好適に形成させることができる。よって、このような複数の凸部12が、前記第2面10bに備えられていることによって、前記光拡散シート10は、前記光拡散シート10を透過する光の拡散性をより高め、透過光の輝度の低下をより抑制でき、かつ、輝度の面内均一性をより高めることができる。
【0054】
前記第2面10bのうち、前記凸部12以外の面は、特に限定されないが、平坦面であることが好ましく、算術平均粗さが0.1μm以下の平坦面であることがより好ましい。前記第2面10bのうち、前記凸部12以外の面が平坦面であれば、前記第2面10bから光が入射されやすくなり、また、前記第2面10bから光が出射されやすくなり、その結果として、透過光の輝度の低下を充分に抑制でき、かつ、輝度の面内均一性を高めることができる光拡散シートが得られる。また、前記光拡散シート10は、内部ヘイズが低いほうが好ましく、例えば、内部ヘイズが1.5%以下であることが好ましい。このように内部ヘイズが低いと、前記第2面10bから入射された光が前記第1面10aまで好適に到達でき、また、前記第1面10aから入射された光が前記第2面10bまで好適に到達できる。その結果として、透過光の輝度の低下を充分に抑制でき、かつ、輝度の面内均一性を高めることができる光拡散シートが得られる。なお、内部ヘイズとは、全ヘイズのうち、表面形状(具体的には、前記第1面10aに形成されている前記複数の凹部13、前記第2面10bに備えられる前記複数の凸部12、前記第2面10bのうちの前記凸部12以外の面における算術平均粗さ等)に起因する表面ヘイズを除いたヘイズである。なお、前記算術平均粗さは、一般的な算術平均粗さであって、例えば、JIS B 0601(1994)に準拠の方法により測定された算術平均粗さ等が挙げられる。
【0055】
前記凸部12の占める面積は、特に限定されないが、前記光拡散シート10とそれに隣接する他のシートとの間に空気層を好適に形成できる面積であることが好ましい。前記凸部12の占める面積としては、例えば、前記第2面10b全面に対して、0.1~30%であることが好ましく、0.3~20%であることがより好ましい。また、前記凸部12の平均高さは、特に限定されないが、前記光拡散シート10とそれに隣接する他のシートとの間に空気層を好適に形成できる高さであることが好ましい。前記凸部12の平均高さとしては、例えば、1~1000μmであることが好ましく、5~200μmであることがより好ましい。このような凸部であれば、前記光拡散シート10とそれに隣接する他のシートとの間に空気層を好適に形成でき、透過光の輝度の低下を充分に抑制でき、かつ、輝度の面内均一性を高めることができる光拡散シートが得られる。前記凸部12の平均高さとは、前記各凸部12の高さの算術平均値(凸部12の高さの合計値を凸部12の個数で除した値)である。また、前記凸部12の大きさが略同じであれば、前記各凸部12の高さが、前記凸部12の平均高さとなる。
【0056】
前記光拡散シート10は、透過した光を拡散する(例えば、前記第2面10bから光が入射され、前記第1面10aに到達でき、その到達した光を拡散する、又は前記第1面10aから入射する光が拡散され、その拡散された光が前記第2面10bまで到達し、均一に拡散された光を前記第2面10bから出射する)ことができれば、その材質は、特に限定されず、例えば、透光性を有する樹脂(透光性樹脂)等が挙げられる。その材質は、特に限定されず、例えば、透光性を有する樹脂(透光性樹脂)等が挙げられる。前記透光性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、メチルメタクリレート-スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフレート、セルロースアセテート、ポリイミド、及び紫外線(UV)硬化樹脂等が挙げられる。前記UV硬化樹脂としては、例えば、UV硬化アクリル樹脂等が挙げられる。前記光拡散シート10を構成する透光性樹脂としては、例えば、
図1及び
図2に示すように、前記本体部11と前記複数の凸部12とを備えるシートの場合、前記本体部11を構成する樹脂として、ポリカーボネート等が用いられ、前記複数の凸部12を構成する樹脂として、UV硬化アクリル樹脂等のUV硬化樹脂等が用いられる。このようなシートであれば、ポリカーボネート等からなる本体部11の、前記複数の凹部13が形成されている側とは反対側の表面上に、硬化前のUV硬化樹脂を適宜滴下した後、そのUV硬化樹脂を硬化させることにより、前記凸部12を形成することができる。よって、前記複数の凸部12を備えるシートを容易に製造することができる。
【0057】
前記光拡散シート10には、光拡散剤を含有してもよいし、光拡散剤を含有しなくてもよい。前記光拡散シート10は、光拡散剤を含有しなくても、光を好適に拡散することができることから、この観点からは光拡散剤を含有しないことが好ましい。前記光拡散シート10における光の拡散性をより高めるためには、前記光拡散シート10は、光拡散剤を含有することが好ましい。
【0058】
本実施形態に係る光拡散シート10は、上記のような構成によって、透過した光を好適に拡散することができる。前記光拡散シート10は、前記第2面10b側から光を入射させる場合、前記第2面10bから入射された光が、前記第1面10aに到達し、前記第1面10aで好適に拡散することができる。また、前記光拡散シート10は、前記第1面10a側から光を入射させる場合、前記第1面10aから入射する光が、均一に拡散され、拡散された光が前記第2面10bまで到達し、均一に拡散された光が前記第2面10bから出射される。よって、前記光拡散シート10は、透過光の輝度の低下を充分に抑制でき、かつ、輝度の面内均一性を高めることができる。具体的には、前記光拡散シート10は、
図3に示すような光拡散シート(前記光拡散シート10における、前記凸部12の代わりに、第2面側を覆うような樹脂層32を設けた光拡散シート)より、透過光の輝度の低下を充分に抑制でき、かつ、輝度の面内均一性を高めることができる。なお、前記光拡散シート30は、光を拡散させる複数の凹部13が形成された第1面30aと、光を透過可能な平坦な第2面30bとを有する。前記光拡散シート30は、前記第1面30aを有する本体部11を備える。前記光拡散シート30における本体部11は、前記光拡散シート10における本体部11と同じであり、前記光拡散シート30は、この本体部11に、これを覆うような樹脂層32を備える。すなわち、
図3は、比較例に係る光拡散シート30を示す概略断面図である。
【0059】
前記光拡散シート10の製造方法は、前記構成の光拡散シート10を製造できれば、特に限定されない。前記光拡散シート10の製造方法としては、まず、前記本体部11を製造する。この本体部11を製造する方法としては、例えば、押出成形(一方の面に前記複数の凹部13が形成されるような金型を用いた押出成形や射出成形等)や、両面が平坦な樹脂層に対して、一方の面に前記複数の凹部13が形成されるような金型を押し当てて変形させる方法等が挙げられる。次に、このようにして得られた本体部11に対して、前記凸部12を複数形成する。前記凸部12を複数形成する方法としては、例えば、前記本体部11に対して、前記凸部12の材料(硬化前のUV硬化樹脂等)を適宜滴下し、その滴下した前記凸部12の材料を処理(硬化処理等)して、前記凸部を形成する方法等が挙げられる。前記凸部12を複数形成する他の方法としては、例えば、スクリーン印刷等の印刷によって、複数の前記凸部12を形成する方法等が挙げられる。前記スクリーン印刷としては、例えば、前記凸部12を形成させることができる構造材料とスクリーン印刷版とを用いたスクリーン印刷等が挙げられる。前記スクリーン印刷版としては、例えば、ステンレス鋼製のメッシュに乳剤を塗布したスクリーン印刷版等が挙げられる。また、前記ステンレス鋼製のメッシュとしては、例えば、ステンレス製スクリーンメッシュ#80等が挙げられる。また、前記乳剤厚としては、例えば、400μm程度等が挙げられる。前記構造材料としては、例えば、UV硬化樹脂を含むインキ等が挙げられ、より具体的には、十条ケミカル株式会社製の点字用Dメジウム(UVインキ)等が挙げられる。このようなUV硬化樹脂を含むインキを用いた場合は、スクリーン印刷後、紫外線照射等の硬化処理をする。このようなスクリーン印刷で、前記本体部11に対して、前記凸部12(例えば、高さ400μm程度の半球状の凸部等)を複数形成することができる。
【0060】
[光拡散シートの積層体]
前記光拡散シートは、バックライトユニットに組み込む前に、予め複数枚積層しておいてもよい。すなわち、前記光拡散シートを複数枚積層する光拡散シート積層体であってもよい。前記光拡散シート積層体20としては、例えば、複数枚の前記光拡散シート10を、
図4に示すように、前記第1面10aが同じ方向を向いた状態(すなわち、前記第2面10bが同じ方向を向いた状態)で積層した積層体等が挙げられる。なお、
図4は、本実施形態に係る光拡散シート10を積層する光拡散シート積層体20を示す概略断面図である。また、前記光拡散シート積層体としては、前記第1面10aが反対の方向を向いた状態で複数枚の前記光拡散シートを積層したものであってもよい。前記光拡散シートの積層体における、前記光拡散シートの積算枚数は、
図4に示すような2枚に限定されない。前記積算枚数は、特に限定されないが、2~5枚であることが好ましく、2枚又は3枚であることが好ましい。このような光拡散シート積層体は、前記光拡散シートを複数枚積層することによって、輝度の面内均一性をより高めることができる。また、前記光拡散シートは、透過光の輝度の低下を抑制することができるので、前記光拡散シートを複数枚積層しても、透過光の輝度が大幅に低下することを抑制できる。よって、透過光の輝度の低下を充分に抑制でき、かつ、輝度の面内均一性をより高めることができる。また、前記光拡散シートを予め積層した光拡散シート積層体であると、前記光拡散シートを複数枚備えるバックライトユニットを組み立てる際であっても、1枚の前記光拡散シートより厚くなるため、取り扱いしやすく、バックライトユニットお組立に対する作業性が向上する。また、前記光拡散シートを予め積層した光拡散シート積層体であると、バックライトユニットを組み立てる際に、前記光拡散シート同士が擦れ合うこと等による、前記光拡散シートへの傷つきの発生を抑制できる。また、前記光拡散シート積層体を構成する各前記光拡散シート間へのごみやほこり等の異物混入の発生も抑制できる。さらに、バックライトユニットを組み立てる際に、前記光拡散シートの組み合わせを間違えること(人為的ミスの発生)を防止できる。
【0061】
[バックライトユニット]
前記液晶表示装置に備えられるバックライトユニットは、前記光拡散シート10を備えていれば、特に限定されない。前記バックライトユニットとしては、例えば、複数の光源と、前記光拡散シートとを備え、前記光拡散シートは、前記第2面を前記複数の光源に向けて配置されるバックライトユニット等が挙げられる。このようなバックライトユニットであれば、前記バックライトユニットに備えられる前記複数の光源から出射される光が、前記光拡散シートの第2面から入射して、前記光拡散シートを透過させることができる。また、前記バックライトユニットとしては、例えば、
図5に示すような、複数の光源と、前記光拡散シートとを備え、前記光拡散シートは、前記第1面を前記複数の光源に向けて配置されるバックライトユニット等も挙げられる。このようなバックライトユニットであれば、前記バックライトユニットに備えられる前記複数の光源から出射される光が、前記光拡散シートの第1面から入射して、前記光拡散シートを透過させることができる。上述したように、前記第1面からであっても、前記第2面からであっても、前記光拡散シートに光を透過させると、上述したように、光を好適に拡散することができ、輝度の面内均一性を高めることができる。前記光拡散シートであれば、前記光源からの光が前記光拡散シートを透過しても、その輝度の低下を抑制できる。よって、前記バックライトユニットは、輝度に優れ、かつ、輝度の面内均一性の高い光を照射することができる。また、前記光拡散シートは、薄くしても、また、光源からの距離を短くしても、充分な面内均一性を確保することができる。このことから、前記バックライトユニットは、前記光拡散シートを備えることによって、薄型化することができ、結果として、液晶表示装置を薄型化することができる。
【0062】
前記バックライトユニットとしては、その方式は特に限定されず、例えば、直下型方式のバックライトユニットでも、エッジライト方式のバックライトユニットであってもよいが、バックライトユニットに備えられる光源が複数であって、それら複数の光源が互いに離間して配置されているバックライトユニットであることが好ましい。このようなバックライトユニットとしては、具体的には、前記複数の光源から照射された光を反射する反射シートも備え、前記複数の光源は、前記反射シートの、前記光拡散シート側の表面上に、互いに離間して配置されているバックライトユニットである。このような、いわゆる直下型方式のバックライトユニットであることが好ましい。このようなバックライトユニットであっても、前記光拡散シートが透過光の輝度の面内均一性を高めることができることから、輝度に優れ、かつ、輝度の面内均一性のより高い光を照射するバックライトユニットが得られる。前記バックライトユニットとしては、例えば、
図5に示すような、直下型方式のバックライトユニット40等が挙げられる。また、前記バックライトユニットに備えられている前記光拡散シートは、光源の数(単位面積あたりの光源の数)を減らしても、輝度の充分な面内均一性を確保することができることから、前記バックライトユニットは、光源の数を減らすこともできる。
【0063】
前記バックライトユニットは、前記光拡散シートを備えていればよく、その枚数は、1枚であってもよいし、複数枚であってもよい。前記光拡散シートを複数枚備えることによって、バックライトユニットから照射される光の輝度の面内均一性が高められる傾向がある。前記光拡散シートを複数枚備える場合、複数枚の前記光拡散シートの、前記複数の光源に向けて設置されるそれぞれの面が同じ面である。すなわち、複数枚の前記光拡散シートは、それぞれが前記第1面を前記複数の光源に向けて配置されるか、又は、それぞれが前記第2面を前記複数の光源に向けて配置されるかである。また、前記光拡散シートは、前記複数の光源に、前記第1面を向けて設置しても、前記第2面を向けて設置してもよい。例えば、前記光源等によって、前記複数の光源に向ける面が前記第1面及び前記第2面のどちらが好ましいかが変わり、例えば、前記光源として、青色光を照射する発光ダイオード素子を用いた場合等には、前記光拡散シートは、前記第1面を前記複数の光源に向けて設置することが好ましい。また、前記バックライトユニットは、前記光拡散シートを複数枚積層して備え、複数枚の前記光拡散シートは、それぞれが前記第1面を前記複数の光源に向けて配置されることが好ましい。一方で、前記光拡散シートの積算枚数が多すぎると、複数枚の前記光拡散シートを透過する光の輝度が低下する傾向があり、よって、バックライトユニットから照射される光の輝度が低下する傾向がある。これらのことから、前記バックライトユニットにおける、前記光拡散シートの積算枚数は、特に限定されないが、2~5枚であることが好ましく、2枚又は3枚であることがより好ましい。
【0064】
前記バックライトユニット40は、
図5に示すように、反射シート41と、複数の光源42と、前記光拡散シート10と、色変換シート43と、第1プリズムシート44と、第2プリズムシート45と、偏光シート46とを備える。前記複数の光源42は、前記反射シート41上に2次元状に配置されている。前記光拡散シート10は、本実施形態に係る光拡散シートであって、上述したように、1枚であっても、複数枚積層していてもよい。
図5では、前記光拡散シート10を2枚積層した場合を図示する。前記光拡散シート10は、前記光源42と前記第1プリズムシートとの間に位置する。また、前記バックライトユニット40では、前記色変換シート43を、
図5に示すように、前記第1プリズムシート44と前記光拡散シート10との間に配置するが、前記光源42と前記光拡散シート10との間に配置してもよく、前記色変換シート43を配置していなくてもよい。前記第1プリズムシート44及び前記第2プリズムシート45は、前記光拡散シート10と前記偏光シート46との間に位置し、前記光拡散シート10側に配置されるのが、前記第1プリズムシート44であって、前記偏光シート46側に配置されるのが、前記第2プリズムシート45である。なお、
図5は、本実施形態に係る光拡散シート10を備えるバックライトユニット40の構成の一例を示す概略断面図である。
【0065】
前記反射シート41は、特に限定されず、例えば、一般的なバックライトユニットに備えられる反射シート等が挙げられる。前記反射シート41としては、例えば、白色のポリエチレンテレフタレート樹脂製のフィルム、及び銀蒸着フィルム等が挙げられる。
【0066】
前記光源42は、特に限定されず、例えば、一般的なバックライトユニットに備えられる光源等が挙げられる。前記光源42としては、いわゆる小型光源を用いることができ、例えば、発光ダイオード(LED)素子、及びレーザ素子等が挙げられる。この中でも、コスト及び生産性等の観点から、LED素子が好ましく用いられる。また、前記光源42から出射される光が青色光であっても、前記光拡散シート10は、光を好適に拡散でき、輝度の面内均一性を高めることができる。このため、前記光源42が、青色光を照射する発光ダイオード素子であってもよい。また、前記バックライトユニット40に、前記光拡散シート10ともに、例えば、青色光を白色光に変換可能な色変換シート43等を備えることによって、輝度に優れ、かつ、輝度の面内均一性の高い光を照射するバックライトユニットを提供することができる。よって、前記光源42として、青色光を照射する青色LED素子であってもよい。また、前記光源42は、平面視した場合に長方形状を有していてもよく、その場合、一辺の長さは10μm~20mmであることが好ましく、10μm~10mmであることがより好ましく、50μm~5mmであることがさらに好ましい。前記光源42としてLED素子を用いる場合、LEDチップを一定の間隔をもって前記反射シート41上に配置してもよい。また、前記光源42となるLED素子の出光角度特性を調節するために、LEDにレンズを装着してもよい。
【0067】
前記色変換シート43は、光を透過させることによって、その光の色を、所定の色(例えば、白色光等)に変換するシートである。前記色変換シート43としては、例えば、前記光源42として、青色光を照射する発光ダイオード素子を用いた場合、青色光を白色色に変換する色変換シート等が挙げられる。前記色変換シート43としては、バインダ及び蛍光剤を含むシート等が挙げられる。
【0068】
前記蛍光剤は、特に限定されないが、光が吸収され、吸収された光が長波長化されて出射することができる蛍光剤等が挙げられる。前記蛍光剤としては、例えば、青色光で励起されて黄色光を発する黄色蛍光剤(青色光を吸収して前記青色光より黄色側に変換した光を放射可能な黄色蛍光剤)、青色光で励起されて緑色光を発する緑色蛍光剤(青色光を吸収して前記青色光より緑色側に変換した光を放射可能な緑色蛍光剤)、及び、青色光で励起されて赤色光を発する赤色蛍光剤(青色光を吸収して前記青色光より赤色側に変換した光を放射可能な赤色蛍光剤)等が挙げられる。前記黄色蛍光剤としては、例えば、YAG、及びLSN等が挙げられる。前記緑色蛍光剤としては、例えば、β-SiAlON、及びLuAG等が挙げられる。前記赤色蛍光剤としては、例えば、KSF、及びCASN等が挙げられる。前記蛍光剤としては、前記緑色蛍光剤と前記赤色蛍光剤とを含むことが好ましく、前記緑色蛍光剤と前記赤色蛍光剤とからなるものであってもよい。このような場合、例えば、前記色変換シートを透過させる光が青色光である場合、その青色光を、前記緑色蛍光剤に吸収されて、前記青色光より緑色側に変換した光を放射することができる。また、前記色変換シートを透過する青色光が、前記色変換シートに含まれる赤色蛍光剤に吸収して、前記青色光より赤色側に変換した光を放射することができる。これらの変換された光の混色光は、黄色側に変換されることになる。そして、前記色変換シートを透過した光は、この混色光によって、白色光側に変換されることになる。
【0069】
前記バインダとしては、例えば、透光性を有する樹脂(透光性樹脂)等が挙げられる。前記透光性樹脂としては、例えば、前記光拡散シート10を構成する透光性樹脂と同様のもの等が挙げられる。
【0070】
前記色変換シートとしては、上記のようなシートが挙げられ、より具体的には、量子ドットシート(QDシート)等が挙げられる。
【0071】
前記第1プリズムシート44及び前記第2プリズムシート45は、特に限定されず、例えば、一般的なバックライトユニットに備えられるプリズムシート等が挙げられる。前記第1プリズムシート44及び前記第2プリズムシート45としては、例えば、横断面が二等辺三角形の複数の溝条が互いに隣り合うように形成され、隣り合う一対の溝条からなるプリズムの頂角が90°程度に形成されたフィルム等が挙げられる。前記第1プリズムシート44及び前記第2プリズムシート45としては、より具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに、UV硬化型アクリル樹脂を用いてプリズム形状をつけたもの等が挙げられる。前記第1プリズムシート44及び前記第2プリズムシート45とは、前記第1プリズムシート44に形成された各溝条と前記第2プリズムシート45に形成された各溝条とが、互いに直交するように配置される。前記第1プリズムシート44及び前記第2プリズムシート45とは、一体に形成されていてもよい。
【0072】
前記偏光シート46は、特に限定されず、例えば、一般的なバックライトユニットに備えられる偏光シート等が挙げられる。前記偏光シート46としては、市販品を用いることができ、例えば、3M社製のDBEFシリーズ等が挙げられる。
【0073】
[液晶表示装置]
前記液晶表示装置は、前記バックライトユニット(すなわち、複数の光源と、前記光拡散シートとを備えるバックライトユニット)を備えていれば、特に限定されず、具体的には、前記バックライトユニットと、液晶パネルとを備える液晶表示装置である。前記液晶表示装置としては、例えば、前記バックライトユニットの前記プリズムシート側に設けられた液晶パネルとを備える液晶表示装置等が挙げられ、より具体的には、
図6に示すような液晶表示装置50等が挙げられる。このような液晶表示装置は、前記光拡散シートを備えるバックライトユニットから、輝度に優れ、かつ、輝度の面内均一性の高い光が照射されるので、前記液晶パネルに好適に画像表示することができる。前記液晶表示装置50は、
図6に示すように、前記バックライトユニット40と、液晶パネル55と、第1偏光板56及び第2偏光板57とを備える。前記液晶パネル55は、前記第1偏光板56と前記第2偏光板57との間に位置し、前記バックライトユニット40側に配置されるのが、前記第1偏光板56であり、前記バックライトユニット40から遠い側(前記液晶表示装置50の表示画面50a側)に配置されるのが、前記第2偏光板57である。なお、
図6は、前記バックライトユニット40を備える液晶表示装置50の構成の一例を示す概略断面図である。
【0074】
前記液晶パネル55は、互いに対向するように設けられた薄膜トランジスタ(TFT)基板51及びカラーフィルタ(CF)基板52と、前記TFT基板51と前記CF基板52との間に設けられた液晶層53とを備える。また、前記液晶パネル55には、前記TFT基板51と前記CF基板52との間に前記液晶層53を封入するために枠状に設けられたシール材(図示省略)をさらに備える。
【0075】
前記TFT基板51は、特に限定されず、例えば、一般的な液晶表示装置に備えられるTFT基板等が挙げられる。前記TFT基板51としては、例えば、ガラス基板と、前記ガラス基板上にマトリクス状に設けられた複数のTFTと、前記TFTのそれぞれを覆うように設けられた層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上にマトリクス状に設けられ且つ複数のTFTにそれぞれ接続された複数の画素電極と、前記画素電極のそれぞれを覆うように設けられた配向膜とを備える基板等が挙げられる。
【0076】
前記CF基板52は、特に限定されず、例えば、一般的な液晶表示装置に備えられるCF基板等が挙げられる。前記CF基板52としては、例えば、ガラス基板と、前記ガラス基板上に格子状に設けられたブラックマトリクスと、前記ブラックマトリクスの各格子間にそれぞれ設けられた赤色層、緑色層及び青色層を含むカラーフィルタと、前記ブラックマトリクス及び前記カラーフィルタを覆うように設けられた共通電極と、前記共通電極を覆うように設けられた配向膜とを備える基板等が挙げられる。
【0077】
前記液晶層53は、特に限定されず、例えば、一般的な液晶表示装置に備えられる液晶層等が挙げられる。前記液晶層53としては、例えば、電気光学特性を有する液晶分子を含むネマチック液晶材料等により構成される液晶層等が挙げられる。
【0078】
前記第1偏光板56及び前記第2偏光板57は、特に限定されず、例えば、一般的な液晶表示装置に備えられる偏光板等が挙げられる。前記第1偏光板56及び前記第2偏光板57としては、例えば、一方向の偏光軸を有する偏光子層と、その偏光子層を挟持するように設けられた一対の保護層とを備える偏光板等が挙げられる。
【0079】
前記液晶表示装置50の表示画面50aを正面(
図6における上方)から見た形状は、特に限定されない。この形状としては、長方形又は正方形が多いが、これに限らず、長方形の角が丸くなった形状、楕円形、円形、台形、又は、自動車のインストルメントパネル(インパネ)等の任意の形状であってもよい。
【0080】
前記液晶表示装置50は、前記画素電極のそれぞれに対応する各サブ画素において、前記液晶層53に所定の大きさの電圧を印加して前記液晶層53の配向状態を変えるとともに、前記バックライトユニット40から前記第1偏光板56を介して入射した光をその透過率を調整して前記第2偏光板57を介して出射することにより、画像が表示される。
【0081】
前記液晶表示装置50は、種々の情報機器(例えば、カーナビゲーション等の車載装置、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末、携帯型ゲーム機、コピー機、券売機、及び現金自動預け払い機等)に組み込まれる表示装置として用いられる。
【0082】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されない。
【実施例0083】
[実施例1]
ポリカーボネート製の厚さ110μmのピラミッドシート[一方の面が、略逆四角錐状(逆ピラミッド状)の凹部が隙間なく2次元配置されるように形成した面であり、他方の面が算術平均粗さ0.03μmの平坦面であるシート]を用意した。ここでの算術平均粗さは、株式会社ミツトヨ製のSJ-210を使用し、JIS B 0601(1994)に準拠して、測定速度を0.5mm/秒、測定距離を4mm、カットオフ値λcを0.8mmに設定して測定した。前記ピラミッドシートは、具体的には、以下のようにして製造した。まず、ペレット状の樹脂(ポリカーボネート、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製のユーピロン)を、押出成形機によって、樹脂フィルム化した。表面が凸ピラミッド形状[略逆四角錐状(逆ピラミッド状)に対応する形状]を持つロールと、平坦なロール(鏡面ロール)との、2本の金属ロールに、得られた樹脂フィルムを挟み込むことによって、前記ピラミッドシートが得られた。
【0084】
次に、前記ピラミッドシートの平坦面側に、硬化前(液状)のUV硬化樹脂(UV硬化アクリル樹脂、共栄社化学株式会社製の屈折率が1.55の樹脂)を、硬化後の形状が半径50μmの半球状の凸部となり、その凸部の面積率(平坦面の全面に対する凸部の占める面積の割合:ドット面積率)が0.39%となるように滴下した。その後、前記ピラミッドシートに滴下した硬化前(液状)のUV硬化樹脂にUVを照射して、前記UV硬化樹脂を硬化させた。そうすることによって、前記ピラミッドシートの平坦面上に、半径50μmの半球状の凸部が、その面積率が0.39%となるように形成され、実施例1に係る光拡散シートが得られた。なお、前記凸部は、略同じ高さであることから、前記凸部の平均高さは、50μmであった。また、前記光拡散シートの厚さは、前記凸部の高さも含めて、計160μmであった。
【0085】
[実施例2~6]
実施例2~6に係る各光拡散シートは、前記凸部の面積率(ドット面積率)が、それぞれ0.79%、1.6%、3.9%、7.9%、及び16%となるように、前記凸部を形成させたこと以外、実施例1に係る光拡散シートと同様に製造した。なお、前記凸部は、実施例1に係る光拡散シートと同様、半径50μmの半球状の凸部であった。また、前記各光拡散シートの厚さは、実施例1に係る光拡散シートと同様、160μmであった。
【0086】
[比較例]
前記ピラミッドシートの平坦面側に、前記硬化前(液状)のUV硬化樹脂(UV硬化アクリル樹脂)を、硬化後の厚さ50μmの層となるように塗布した。その後、前記ピラミッドシートに塗布した、硬化前(液状)のUV硬化樹脂にUVを照射して、前記UV硬化樹脂を硬化させた。そうすることによって、前記ピラミッドシートの平坦面上に、厚さ50μmの層が形成され、比較例に係る光拡散シートが得られた。なお、前記光拡散シートの厚さは、160μmであった。
【0087】
[評価(輝度、及び輝度の面内均一性)]
実施例1~6及び比較例に係る各光拡散シートの評価(輝度、及び輝度の面内均一性)は、以下のように行った。
【0088】
まず、光拡散シートして、実施例1~6及び比較例に係る各光拡散シートを用いて、偏光シートの代わりに透明ガラス板を備えたこと以外、
図5に示すバックライトユニットと同様の構成のバックライトユニットを組み立てた。具体的には、まず、光源及び反射シートとして、反射シート上に3mmピッチでアレイ状に配列された青色LED素子(青色LEDアレイ)を用い、その上に、実施例1~6及び比較例に係る各光拡散シートを、前記第1面(略逆四角錐状(逆ピラミッド状)の凹部が形成された面)が前記光源に向くように2枚又は3枚積層して配置し、さらに、その光拡散シートの上に、色変換シートとして、量子ドットシート(富士フイルム株式会社製のQDシート)を配置した。前記色変換シートの上に、溝条が互いに直交するように配置した2枚のプリズムシートを載せ、さらに、その上に、シート類の浮きを抑えるために透明ガラス板を載せることによって、バックライトユニットを組み立てた。このバックライトユニットから照射される光の、前記透明ガラス板に対して垂直方向(前記青色LEDアレイから前記透明ガラス板に向かう方向)の輝度を、輝度計(株式会社トプコンテクノハウス製の2次元色彩輝度計UA-200)を用いて測定した。そうすることによって、二次元輝度分布画像が得られる。次に、得られた二次元輝度分布画像に対して、個々の青色LED素子の発光強度ばらつきに対する補正を行い、異物等に起因する輝点・暗点ノイズを抑えるためのフィルタリング処理を行った後、全画素の輝度について平均値(cd/m
2)及び標準偏差を算出した。この算出した輝度の平均値及び標準偏差から、輝度の面内均一性(=輝度の平均値/輝度の標準偏差)をさらに算出した。
【0089】
得られた結果を、
図7~
図10に示す。なお、
図7~
図10は、それぞれ、実施例及び比較例に係る各光拡散シートを用いた評価結果を示すグラフである。なお、
図7は、光拡散シートを2枚積層したときの輝度の結果を示し、プロット61~66は、それぞれ、実施例1~6に係る光拡散シートを用いた結果を示し、プロット67は、比較例に係る光拡散シートを用いた結果を示す。また、
図8は、光拡散シートを2枚積層したときの輝度の面内均一性の結果を示し、プロット71~76は、それぞれ、実施例1~6に係る光拡散シートを用いた結果を示し、プロット77は、比較例に係る光拡散シートを用いた結果を示す。また、
図9は、光拡散シートを3枚積層したときの輝度の結果を示し、プロット81及びプロット82は、それぞれ、実施例3及び実施例6に係る光拡散シートを用いた結果を示し、プロット83は、比較例に係る光拡散シートを用いた結果を示す。また、
図10は、光拡散シートを3枚積層したときの輝度の面内均一性の結果を示し、プロット91及びプロット92は、それぞれ、実施例3及び実施例6に係る光拡散シートを用いた結果を示し、プロット93は、比較例に係る光拡散シートを用いた結果を示す。
【0090】
図7~
図10からわかるように、略逆四角錐状(逆ピラミッド状)の凹部(光を拡散させる複数の凹部)が形成された面とは反対側の面(前記第2面)に、前記凸部を複数備える(光を透過可能な複数の凸部を互いに離間して備える)光拡散シート(実施例1~6に係る光拡散シート)を用いた場合は、前記第2面を覆うような層を備える光拡散シート(比較例に係る光拡散シート)を用いた場合と比較して、輝度が高く、輝度の面内均一性も高かった。このことから、一方の面に前記凹部を形成させ、他方の面に前記凸部を備えることによって、光が光拡散シートを透過することによる輝度の低下を充分に抑制でき、さらに、光が光拡散シートを透過することにより、その輝度の面内均一性を高められることがわかった。また、
図7~
図10からわかるように、実施例に係る光拡散シートを用いた場合は、前記凸部の面積率(ドット面積率)にかかわらず、比較例に係る光拡散シートを用いた場合より、輝度が高く、輝度の面内均一性も高かった。また、光拡散シートを2枚積層して用いた場合(
図7及び
図8)であっても、光拡散シートを3枚積層して用いた場合(
図9及び
図10)であっても、それぞれにおいて、一方の面に前記凹部を形成させ、他方の面に前記凸部を備える光拡散シートを用いることによって、輝度が高く、その輝度の面内均一性を高められることがわかった。