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特開2022-189740加重トレーラ角度推定を含む自動パンニングカメラミラーシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189740
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】加重トレーラ角度推定を含む自動パンニングカメラミラーシステム
(51)【国際特許分類】
   B62D 53/00 20060101AFI20221215BHJP
   B60R 1/28 20220101ALI20221215BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
B62D53/00 Z
B60R1/28
H04N7/18 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022081368
(22)【出願日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】63/209006
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/723775
(32)【優先日】2022-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506139288
【氏名又は名称】ストーンリッジ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ、 ウトゥカルシュ
(72)【発明者】
【氏名】マ、 リャン
(72)【発明者】
【氏名】コオプリダー、 トロイ オティス
【テーマコード(参考)】
5C054
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054FE18
5C054FE26
5C054HA30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の推定トレーラ角度を特定することを含む商用車用のビューを自動的にパンニングする方法とカメラミラーシステム(CMS)を提供する。
【解決手段】推定トレーラ角度は、異なる推定方法を用いて特定され、方法は、複数の推定トレーラ角度におけるそれぞれの推定トレーラ角度に信頼値を割り当てる。方法は、複数の推定トレーラ角度の加重和を特定し、加重和及び現在の車両操作に少なくとも部分的に基づいてビューを自動的にパンニングする。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用車用のビューを自動的にパンニングするための方法であって、
複数の推定トレーラ角度を特定することであって、異なる推定方法を用いてそれぞれの推定トレーラ角度を特定することと、
前記複数の推定トレーラ角度におけるそれぞれの推定トレーラ角度に信頼値を割り当てることと、
前記複数の推定トレーラ角度の加重和を特定することと、
前記加重和及び現在の車両操作に少なくとも部分的に基づいてビューを自動的にパンニングすることと
を含む方法。
【請求項2】
特定された前記加重和を過去の加重和の順序付きリストに追加し、前記順序付きリストを低域通過フィルタ処理することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ビューを自動的にパンニングすることは、フィルタ処理された前記順序付きリストに基づく、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記信頼値をそれぞれの推定トレーラ角度に割り当てた後、前記加重和を特定する前に、予め定められた閾値未満の信頼値を有する推定トレーラ角度を破棄することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記予め定められた閾値は少なくとも85%である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記加重和は、それぞれのトレーラ角度推定値に対応する信頼値を乗じて加重推定値を特定し、前記加重推定値を合計し、合計した前記加重推定値を前記信頼値の合計で割ることによって特定される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記異なる推定方法は、画像ベースのホイール検出、画像ベースのトレーラ後端角度検出、画像ベースのトレーラマーキング角度検出、画像ベースのホイール角度検出、道路端逸脱検出、レーンマーカ逸脱検出、ヒッチ角センサ、及びホイール角度センサのうちの少なくとも2つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ビューを自動的にパンニングすることは、クラスIIビューをクラスIVビュー内で調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ビューを自動的にパンニングすることは、前記トレーラの後端を前記クラスIIビュー内に維持することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法を連続的に繰り返し、それによってリアルタイムのトレーラ角度監視を生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の推定トレーラ角度を特定すること、前記複数の推定トレーラ角度におけるそれぞれの推定トレーラ角度に信頼値を割り当てること、及び前記複数の推定トレーラ角度の加重平均を特定することが、前記車両のカメラミラーシステムコントローラ内で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の推定トレーラ角度を特定すること、前記複数の推定トレーラ角度におけるそれぞれの推定トレーラ角度に信頼値を割り当てることと、及び前記複数の推定トレーラ角度の加重平均を特定することのうちの少なくとも1つが、カメラミラーシステムコントローラからリモートで行われ、前記カメラミラーシステムコントローラに送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
車両用のカメラミラーシステムであって、
第1の視野を有する第1のカメラと、
前記第1の視野を受信し、前記第1の視野の一部を第1のディスプレイに出力するように構成されたコントローラと
を備え、
前記コントローラは、複数のトレーラ角度推定値を特定するように構成されたトレーラ角度検出モジュールと、それぞれのトレーラ角度推定値の信頼値を特定するように構成された信頼値モジュールと、前記複数のトレーラ角度推定値及び前記信頼値を単一のトレーラ角度推定値に融合させるように構成された融合モジュールとを含み、
前記単一のトレーラ角度推定値に少なくとも部分的に基づいて、前記カメラミラーシステムの少なくとも1つのビューを自動的にパンニングして、トレーラの特徴が前記少なくとも1つのビュー内に維持されるようにする、カメラミラーシステム。
【請求項14】
前記融合モジュールは、前記複数のトレーラ角度推定値及び対応する信頼値に基づいて加重和トレーラ角度を特定するように構成される、請求項13に記載のカメラミラーシステム。
【請求項15】
前記融合モジュールは、前記加重和トレーラ角度を過去の加重和トレーラ角度データセットに追加し、前記過去の加重和トレーラ角度データセットを低域通過フィルタ処理するようにさらに構成される、請求項14に記載のカメラミラーシステム。
【請求項16】
前記複数のトレーラ角度推定値におけるそれぞれのトレーラ角度推定値は、異なる角度推定方法を用いて特定される、請求項13に記載のカメラミラーシステム。
【請求項17】
前記コントローラは、前記単一のトレーラ推定値を過去のトレーラ角度推定値の順序付きリストに追加し、前記順序付きリストを低域通過フィルタ処理するようにさらに構成される、請求項13に記載のカメラミラーシステム。
【請求項18】
前記自動パンニングは、低域通過フィルタ処理された前記順序付きリストに少なくとも部分的に基づく、請求項17に記載のカメラミラーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、商用トラックで使用するためのカメラミラーシステム(CMS)に関し、特に、融合させたトレーラ角度推定を含む自動パンニング機能を有するCMSに関する。
【背景技術】
【0002】
ミラー代替システム及びミラービューを補足するためのカメラシステムは、商用車で車両運転者が周囲の環境を見る能力を高めるために利用されている。カメラミラーシステム(CMS)は、1つ以上のカメラを利用して車両運転者に拡張された視野を提供する。いくつかの例では、ミラー代替システムは、従来のミラーよりも広い視野をカバーするか、又は従来のミラーでは完全には得られないビューを含む。
【0003】
トレーラの後退操作などの一部の操作では、固定ミラー又は固定視野カメラによって提供されるような固定ビューが操作の完全なビューを提供しない場合があり、運転者に提示されるはずの望ましい情報が運転者に提示されない。オペレータが物理的なカメラ又はミラー角度を手動で調整する手動パンニングシステムは、提供されるビューを調整するために操作を頻繁に停止する必要があり、調整に不十分な精度を提供する可能性がある。
【0004】
いくつかの例示的なシステムは、自動又は半自動パンニングを実施することによって、手動パンニングの問題を最小限に抑えようとしている。このようなシステムは、潜在的に不正確なトレーラ角度の推定に依存しており、特に後退操作における車両操作の運動学的モデルは、トレーラ角度推定の潜在的なばらつきを考慮に入れるのが困難な可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
商用車用のビューを自動的にパンニングするための例示的な方法は、複数の推定トレーラ角度を特定することであって、異なる推定方法を用いてそれぞれの推定トレーラ角度を特定することと、複数の推定トレーラ角度におけるそれぞれの推定トレーラ角度に信頼値を割り当てることと、複数の推定トレーラ角度の加重和を特定することと、加重和及び現在の車両操作に少なくとも部分的に基づいてビューを自動的にパンニングすることとを含む。
【0006】
商用車用のビューを自動的にパンニングするための上記方法の別の例は、特定された加重和を過去の加重和の順序付きリストに追加し、順序付きリストを低域通過フィルタ処理することをさらに含む。
【0007】
商用車用のビューを自動的にパンニングするための上記方法のいずれかの別の例では、ビューを自動的にパンニングすることは、フィルタ処理された順序付きリストに基づく。
【0008】
商用車用のビューを自動的にパンニングするための上記方法のいずれかの別の例は、信頼値をそれぞれの推定トレーラ角度に割り当てた後、加重和を特定する前に、予め定められた閾値未満の信頼値を有する推定トレーラ角度を破棄することをさらに含む。
【0009】
商用車用のビューを自動的にパンニングするための上記方法のいずれかの別の例では、予め定められた閾値は少なくとも85%である。
【0010】
商用車用のビューを自動的にパンニングするための上記方法のいずれかの別の例では、加重和は、それぞれのトレーラ角度推定値に対応する信頼値を乗じて加重推定値を特定し、加重推定値を合計し、合計された加重推定値を信頼値の合計で割ることによって特定される。
【0011】
商用車用のビューを自動的にパンニングするための上記方法のいずれかの別の例では、異なる推定方法は、画像ベースのホイール検出、画像ベースのトレーラ後端角度検出、画像ベースのトレーラマーキング角度検出、画像ベースのホイール角度検出、道路端逸脱検出、レーンマーカ逸脱検出、ヒッチ角センサ、及びホイール角度センサのうちの少なくとも2つを含む。
【0012】
商用車用のビューを自動的にパンニングするための上記方法のいずれかの別の例では、ビューを自動的にパンニングすることは、クラスIIビューをクラスIVビュー内で調整することを含む。
【0013】
商用車用のビューを自動的にパンニングするための上記方法のいずれかの別の例では、ビューを自動的にパンニングすることは、トレーラの後端をクラスIIビュー内に維持することを含む。
【0014】
商用車用のビューを自動的にパンニングするための上記方法のいずれかの別の例は、この方法を連続的に繰り返し、それによってリアルタイムのトレーラ角度監視を生成することをさらに含む。
【0015】
商用車用のビューを自動的にパンニングするための上記方法のいずれかの別の例では、複数の推定トレーラ角度を特定すること、複数の推定トレーラ角度におけるそれぞれの推定トレーラ角度に信頼値を割り当てること、及び複数の推定トレーラ角度の加重平均を特定することが、車両のカメラミラーシステムコントローラ内で行われる。
【0016】
商用車用のビューを自動的にパンニングするための上記方法のいずれかの別の例では、複数の推定トレーラ角度を特定すること、複数の推定トレーラ角度におけるそれぞれの推定トレーラ角度に信頼値を割り当てること、及び複数の推定トレーラ角度の加重平均を特定することのうちの少なくとも1つが、カメラミラーシステムコントローラからリモートで行われ、カメラミラーシステムコントローラに送信される。
【0017】
例示的な一実施形態では、車両用のカメラミラーシステムが、第1の視野を有する第1のカメラと、第1の視野を受信し、第1の視野の一部を第1のディスプレイに出力するように構成されたコントローラとを含み、コントローラは、複数のトレーラ角度推定値を特定するように構成されたトレーラ角度検出モジュールと、それぞれのトレーラ角度推定値の信頼値を特定するように構成された信頼値モジュールと、複数のトレーラ角度推定値及び信頼値を単一のトレーラ角度推定値に融合させるように構成された融合モジュールとを含み、単一のトレーラ角度推定値に少なくとも部分的に基づいてカメラミラーシステムの少なくとも1つのビューを自動的にパンニングして、トレーラの特徴が少なくとも1つのビュー内に維持されるようにする。
【0018】
上記車両用のカメラミラーシステムの別の例では、融合モジュールは、複数のトレーラ角度推定値及び対応する信頼値に基づいて加重和トレーラ角度を特定するように構成される。
【0019】
上記車両用のカメラミラーシステムのいずれかの別の例では、融合モジュールは、加重和トレーラ角度を過去の加重和トレーラ角度データセットに追加し、過去の加重和トレーラ角度データセットを低域通過フィルタ処理するようにさらに構成される。
【0020】
上記車両用のカメラミラーシステムのいずれかの別の例では、複数のトレーラ角度推定値におけるそれぞれのトレーラ角度推定値は、異なる角度推定方法を用いて特定される。
【0021】
上記車両用のカメラミラーシステムのいずれかの別の例では、コントローラは、単一のトレーラ推定値を過去のトレーラ角度推定値の順序付きリストに追加し、順序付きリストを低域通過フィルタ処理するようにさらに構成される。
【0022】
上記車両用のカメラミラーシステムのいずれかの別の例では、自動パンニングは、低域通過フィルタ処理された順序付きリストに少なくとも部分的に基づく。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本開示は、添付の図面に関連して検討されるとき、以下の詳細な説明を参照することによってさらに理解することができる。
図1A】少なくともクラスIIビュー及びクラスIVビューを提供するために使用されるカメラミラーシステム(CMS)を有する商用トラックの概略正面図である。
図1B】クラスIIビュー、クラスIVビュー、クラスVビュー及びクラスVIビューを提供するカメラミラーシステムを備えた商用トラックの概略上面図である。
図2】ディスプレイ及び内部カメラを含む車両キャビンの概略上面斜視図である。
図3図3Aは、トレーラ角度のない後退操作の開始時の車両を示す。図3Bは、トレーラ角度が大きい後退操作中間の車両を示す。
図4】推定加重トレーラ角度を得るための方法を示す。
図5】推定加重角度から正確なトレーラ角度を特定し、カメラミラーシステムを自動的にパンニングするためのシステムを示す。
【0024】
先の段落、請求項、又は以下の説明及び図面の実施形態、実施例及び代替物は、それらの様々な態様又はそれぞれの個々の特徴のいずれかを含めて、独立して、又は任意の組み合わせで採用することができる。一実施形態に関連して説明された特徴は、そのような特徴が相容れないものでない限り、すべての実施形態に適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
商用車10の概略図を図1A及び図1Bに示す。車両10は、トレーラ14を牽引するための車両キャブ又はトラクタ12を含む。本開示では商用トラックを想定しているが、本発明は他のタイプの車両にも適用することができる。車両10は、車両キャブ12の外側に取り付けられた運転席側及び助手席側のカメラアーム16a、16bを有するカメラミラーシステム(CMS)15(図2)を組み込んでいる。必要に応じて、カメラアーム16a、16bは、それらと一体化された従来のミラーを含むことができるが、ミラーに完全に取って代わるようにCMS15を使用することができる。更なる例では、それぞれの側面が複数のカメラアームを含むことができ、それぞれのアームは1つ以上のカメラ及び/又はミラーを収容する。
【0026】
カメラアーム16a、16bのそれぞれは、例えばキャブ12に固定される基部を含む。旋回アームが基部によって支持され、基部に対して関節運動することができる。少なくとも1つの後ろ向きのカメラ20a、20bがそれぞれカメラアーム内に配置される。外部カメラ20a、20bはそれぞれ、商用トラック業界において法的に規定されたビューであるクラスIIビュー及びクラスIVビュー(図1B)のうちの少なくとも1つをそれぞれが含む外部視野FOVEX1、FOVEX2を提供する。車両10の特定の側のクラスIIビューは、車両10の同じ側のクラスIVビューの一部である。必要に応じて、これらのビューを提供するために、それぞれのカメラアーム16a、16bに複数のカメラを使用することもできる。それぞれのアーム16a、16bはまた、CMS15の様々な機能を提供するように構成された電子機器を包み込むハウジングを提供することができる。
【0027】
第1及び第2のビデオディスプレイ18a、18bが、車両キャブ12内の運転者側及び乗客側のそれぞれでAピラー19a、19b又はその近くに配置され、車両10のそれぞれの側のクラスIIビュー及びクラスIVビューを表示し、これらは、外部カメラ20a、20bによって捕捉される車両10に沿った後ろ向きのサイドビューを提供する。
【0028】
クラスVビュー及びクラスVIビューのビデオも必要な場合、カメラハウジング16c及びカメラ20cを車両10の前部又はその近くに配置して、これらのビューを提供することができる(図1B)。車両キャブ12内のフロントガラスの上部中央付近に配置された第3のディスプレイ18cを使用して、車両10の前方に向けたクラスVビュー及びクラスVIビューを運転者に表示することができる。
【0029】
クラスVIIIビューのビデオが所望される場合、カメラハウジングを車両10の側面及び後部に配置して、車両10のクラスVIIIゾーンの一部又は全部を含む視野を提供することができる。このような例では、第3のディスプレイ18cは、クラスVIIIビューを表示する1つ以上のフレームを含むことができる。代わりに、第1、第2及び第3のディスプレイ18a、18b、18cの近くに更なるディスプレイを追加して、クラスVIIIビューを提供する専用のディスプレイを提供することができる。
【0030】
引き続き図1A図1B及び図2を参照すると、図3A及び図3Bは、後退操作を実行中の車両100を示す。当初位置(図3A)では、トレーラ110は車両キャブ120に対して約0度の当初角度を有し、これは車両キャブ120の向きと整列していることを意味する。代わりに、この角度をキャブ120に対して180度として表すこともできる。後退の過程で、特に方向転換中に後退するとき、トレーラ110はキャブ120に対して斜めになり(図3B)、後退操作に影響を与えるトレーラ角度を形成する。図3Bの特定のスキューは、説明のために、大部分の予想される角度に対して誇張されている。
【0031】
運転者が後退操作を行うのを支援するために、トレーラ110の後部112が後退操作の間中少なくとも1つのディスプレイで運転者に確実に見えるようにすることが有益である。いくつかの特定の例では、トレーラ110の後部112を含むだけでなく、トレーラ110の後部112をクラスIIビューの中心とすることが望ましい。しかしながら、図3Bに示すように、静的クラスIIビューは、後部112がクラスIVの視野内に留まっている場合でも、トレーラ110の後部112がクラスIIビューの境界を越えて延在する結果となり得る。クラスIIビューにおいてトレーラ110の後部112のビューが失われるのを防ぐために、又はクラスIIビューの中心をトレーラ110の後部112に維持するために、本明細書に示される車両10、100は、カメラミラーシステム内に自動パンニング機能を含む。
【0032】
自動パンニング機能は、異なるトレーラ角度推定及び検出システムの組み合わせを使用して、任意の特定の時点でトラクタに対するトレーラ角度を推定する。推定トレーラ角度は、現在の運転条件を前提としてどれだけ正確である可能性が高いかに対応する「重み」が割り当てられ、車両コントローラ内の融合システムに提供される。例として、ホイール検出に基づくシステムは、黒いホイールが周囲の環境に対して目立つ日中の条件では精度の確率が高く(90%を超える)、黒いホイールが暗い環境に溶け込む夜間の条件では精度の確率が低い(50~70%)可能性がある。同様に、ハフ変換を使用する直線検出システムなどのレーンマーカに基づく検出システムは、薄暗い気象条件(雨、雪、霧など)では精度の確率が低く、晴天条件では精度の確率が高い可能性があり、下端検出システムは、コンテナトレーラでは精度の確率が高く、タンカートレーラでは精度の確率が低い可能性がある。
【0033】
車両コントローラは、それぞれの検出方法の信頼値に基づく加重和を用いて複数のトレーラ角度推定値を融合させる。加重和は、未処理の推定値と呼ばれる。次に、未処理の推定値を過去の推定値と組み合わせ、低域通過フィルタを用いてフィルタ処理して、CMSの自動パンニング機能及びトレーラ角度推定値を利用することの恩恵を受けることができる他の車両システムに滑らかに移行するトレーラ角度を提供する。いくつかの例では、カメラミラーシステムは、トレーラの側面に対応するメタ情報を生成することができ、メタ情報は、誤検出を防ぐために、かつ/又は別の方法で特定されたトレーラ角度に対して更なる信頼を提供するために利用することができる。トレーラ角度推定値を特定する際の位相遅れ、ひいては報告の遅延を無視できるレベルに低減するために、低域通過フィルタは最初の測定から開始する。これにより、最初の割り当て値が提供されることによって位相遅れが低減する。このようなシステムにはまだいくらかの遅延が存在するが、後退システムに影響を与えないように遅延は最小限に抑えられる。
【0034】
引き続き図1図3Bを参照すると、図4は、より正確なトレーラ角度を特定するためのプロセスを示す。最初に、プロセス300は、「角度推定値を特定する」ステップ310で角度推定値を特定する。特定される角度推定値の数は、関係する特定のシステムによって異なる。いくつかの例では、角度推定値の少なくともいくつかは、純粋に視覚に基づいており、CMSビデオフィードで識別された物体(例えば、ホイール、後端、トレーラマーキングなど)の特徴追跡を利用して推定トレーラ角度を特定する。同様に、いくつかの角度推定値は、道路端及び/又は車線からの逸脱検出、測位衛星と記憶されたマップとの比較、ヒッチ角センサ、トレーラ端検出、車線検出器、レーダセンサ、ライダセンサ、及び他の同様のトレーラ角度検出システムに基づいて特定することができる。
【0035】
トレーラ角度推定値が特定されると、トレーラ角度推定値を特定するコントローラは、「信頼値を特定する」ステップ320でそれぞれのトレーラ角度推定値に信頼値を割り当てる。それぞれの推定値の信頼度を特定するための方法は、特定の推定がどのように行われるかによって決まり、任意の適切な技術を用いて当業者によって特定され得る。いくつかの例では、信頼値は、気象条件、照明条件、トレーラタイプ、過去の精度データ、及び精度の可能性に関連する可能性がある他の特徴によって決まる可能性がある。信頼値は、精度のパーセンテージで表される(例えば、15度のホイールに基づくトレーラ角度は、94%の確率で正確である)。
【0036】
信頼値を特定した後、コントローラは、「信頼閾値未満の角度を破棄する」ステップ330で最小信頼閾値未満のすべての推定値を破棄する。一例では、信頼度85%未満の推定値は、一部のシステムでは誤り又は不正確であると見なされ、検討の対象から除外される。別の例では、信頼度90%未満の推定値は誤りであると見なされる。最小信頼値閾値未満の推定値を破棄することにより、不正確なセンサ、特定の推定技術にとって特に悪い条件及び不正確な推定値をもたらす他の類似の条件によって生じる可能性のある外れ値が排除される。極端な外れ値を排除すると、推定の精度が向上する。いくつかの例では、かなりの数の推定値がコントローラに提供される場合、及び/又は低い信頼値がエラーを示していない場合、閾値未満の角度を破棄することを省略することができる。
【0037】
閾値未満のすべての推定値が破棄されるか、又はステップ330が無視された後、コントローラ内の融合アルゴリズムが、「加重和を特定する」ステップ340で角度推定値の加重和を特定する。加重平均特定の一例では、14度の第1のトレーラ角度推定値は98%の信頼度を有し、10度の第2のトレーラ角度推定値は86%の信頼度を有し、15度の第3のトレーラ角度推定値は94%の信頼度を有する。予め定められた信頼の閾値は85%に設定されており、3つの値はすべて許容可能と見なされている。融合アルゴリズムは、それぞれの角度に対応する信頼度を乗算し、結果を合計し、その合計を信頼度の合計で割る。例示的なケースでは、融合アルゴリズムは、結果として、((14*98)+(10*86)+(15*94))/(98+86+94)=13.10度となる。したがって、例示的なケースでは、特定された角度(又は生の測定値と呼ばれる)は13.10度であり、この角度は低域通過フィルタへの出力である。低域通過フィルタ処理した角度は、自動パンニングシステムに出力される。実際の実施は、実質的に3つを超える角度推定値を利用することができ、使用される角度推定値が多いほど、結果として得られる値がより正確になることが理解される。
【0038】
推定角度の加重平均が特定されると、コントローラは、現在の操作の以前に特定された加重平均を含む過去のデータセットに加重平均を追加する。一例では、トレーラ角度の推定は約200ms毎に行われ、過去のデータセットには、それぞれの後続エントリが順番に含まれる。低域通過フィルタは、新たに特定された加重平均を含む過去のデータセットに適用される。低域通過フィルタは、移行を滑らかにし、「ガタガタした」又は「急激な」トレーラ角度の移行を排除し、経時的なトレーラ角度の変化のより正確な表現を提供し、自動パンニングシステム及び/又は他の車両システムが正確な変化を考慮に入れることを可能にする。
【0039】
引き続き図4を参照すると、図5は、車両410のための例示的な自動パンニングシステムを概略的に示す。コントローラ420は、車両410から画像及び他のセンサ情報を受信し、コントローラ420は、角度検出モジュール424を用いて受信した画像及びセンサ情報から生の角度推定値を特定する。角度検出モジュール424と並行して、信頼値特定モジュール422が、それぞれの検出角度の信頼度に影響を与える条件及び他の側面を示す受信データ421を利用する。信頼値特定モジュール422は、それぞれのトレーラ角度検出の信頼度を特定し、検出及び信頼値は、融合モジュール426に提供される。
【0040】
融合モジュール426は、推定されたトレーラ角度の加重平均を特定し、その加重平均をトレーラ角度履歴428に記憶されている以前のトレーラ角度と融合する。融合モジュール426はまた、組み合わせたトレーラ角度及び過去のトレーラ角度データに低域通過フィルタを適用し、2次元のトレーラ角度を特定する。2次元のトレーラ角度は、2次元平面上の現在のトレーラ角度の正確な推定値である。2次元のトレーラ角度は、トレーラ角度と地理的特徴(例えば、丘の勾配)に基づいて3次元のトレーラ位置に変換される。次に、3次元のトレーラ角度が自動パンニング機能に提供され、カメラミラーシステムが画像内の少なくとも1つのカメラビューを自動的にパンニングする。一例では、自動パンニングは、トレーラの後端が車両の操作の間中ずっとクラスIIビュー内に維持されるように構成される。他の実施では、自動パンニングは、他の物体又は物体の一部をビュー内に維持することができる。
【0041】
様々なソースからの複数の推定角度をより信頼性の高い単一のトレーラ角度推定値に融合することは、複数のシステムにわたって使用することができる。複数のトレーラ角度推定値を単一の値に融合することはまた、システムが、特定の条件及び/又は特定のタイプのトレーラに対する特定のトレーラ角度推定技術の信頼性の低さを考慮に入れながら、正確なトレーラ角度を確実に特定してパンニングすることを可能にする。
【0042】
例示的な実施形態が開示されているが、当業者であれば、一部の変更が特許請求の範囲内に入ることを認識するであろう。そのため、以下の特許請求の範囲を検討して、その真の範囲及び内容を判断すべきである。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】