(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189741
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】冷却通路のための出口表面を有する先端シュラウド
(51)【国際特許分類】
F01D 5/20 20060101AFI20221215BHJP
F01D 5/18 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
F01D5/20
F01D5/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022081866
(22)【出願日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】17/343,864
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・スコット・ゼミティス
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・タイソン・バルカム・3世
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202BA02
3G202CA05
3G202CB01
3G202JJ05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】質量のバランシングのために材料の除去を可能にする。
【解決手段】先端シュラウド220は、タービンブレードの翼形部202の半径方向外側端部222に結合された本体240を含む。先端シュラウドは、少なくとも1つの円周方向に延びる先端レール250を含み得る。先端シュラウドの第1の縁壁252は、本体の円周方向に面する前縁234または円周方向に面する後縁236の少なくとも1つに沿って本体から軸方向および半径方向外側に延び、円周方向に面する表面253を含む。冷却通路246は、本体に画定され、その中に円周方向に延びて第1の縁壁の近くのエリアを冷却する。先端シュラウドは、第1の縁壁に隣接する出口表面270を含み、出口表面)は、出口開口部272を含み、それを通って冷却通路246の少なくとも1つが本体から出る。出口表面は、第1の縁壁の円周方向に面する表面253に対して15°~80°の範囲で傾斜している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンブレード(114)用の先端シュラウド(220)であって、
前記タービンブレード(114)の翼形部(202)の半径方向外側端部(222)に結合された本体(240)であって、前記翼形部(202)は、正圧側(204)および負圧側(206)を含み、前記本体(240)は、円周方向に面する前縁(234)および円周方向に面する後縁(236)を含む本体(240)と、
前記本体(240)から半径方向外側に延び、前記本体(240)の円周方向長さに概して沿って延びる少なくとも1つの先端レール(250)と、
前記本体(240)に画定され、その中に円周方向に延びる第1の複数の冷却通路(246A)と、
前記本体(240)の前記円周方向に面する前縁(234)および前記円周方向に面する後縁(236)の少なくとも1つに沿った少なくとも1つの第1の縁壁構成部(238)であって、各第1の縁壁構成部(238)は、
前記本体(240)の前記円周方向に面する前縁(234)および前記円周方向に面する後縁(236)の前記少なくとも1つに沿って前記本体(240)から軸方向および半径方向外側に延びる第1の縁壁(252)であって、前記第1の縁壁(252)は、第1の円周方向に面する表面(253)を含む第1の縁壁(252)と、
前記第1の縁壁(252)に隣接する出口表面(270)であって、前記出口表面(270)は、内部に画定された出口開口部(272)を有し、それを通って前記第1の複数の冷却通路(246A)の少なくとも1つが前記本体(240)から出る出口表面(270)と
を含む少なくとも1つの第1の縁壁構成部(238)と
を備え、
前記出口表面(270)は、前記第1の縁壁(252)の前記第1の円周方向に面する表面(253)に対して15°~80°の範囲で傾斜している、
先端シュラウド(220)。
【請求項2】
前記第1の縁壁(252)および前記出口表面(270)は、前記本体(240)における一対の軸方向に対向する半径方向に延びる壁(276)の間に軸方向に延びる、請求項1に記載の先端シュラウド(220)。
【請求項3】
前記第1の縁壁(252)は、貫通する少なくとも1つの開口部(278)を含む、請求項1に記載の先端シュラウド(220)。
【請求項4】
前記第1の複数の冷却通路(246A)の前記少なくとも1つのための前記出口開口部(272)は、前記第1の縁壁(252)における前記少なくとも1つの開口部(278)と直線的に位置合わせされる、請求項3に記載の先端シュラウド(220)。
【請求項5】
前記翼形部(202)の後縁(210)に隣接する前記本体(240)の後縁(210)に画定された湾曲開口部(290)をさらに備え、前記湾曲開口部(290)は、隣接する先端シュラウド(220)の前記本体(240)によって充填されない、請求項1に記載の先端シュラウド(220)。
【請求項6】
前記湾曲開口部(290)は、半径方向(Z)に対して15°~45°の範囲で傾斜した平面を有する、請求項5に記載の先端シュラウド(220)。
【請求項7】
前記本体(240)の前記円周方向に面する前縁(234)および前記円周方向に面する後縁(236)の少なくとも1つに沿った少なくとも1つの第2の縁壁構成部(256)であって、各第2の縁壁構成部(256)は、
前記本体(240)の前記円周方向に面する前縁(234)および前記円周方向に面する後縁(236)の前記少なくとも1つに沿って前記本体(240)から軸方向および半径方向外側に延びる第2の縁壁(254)と、
前記本体(240)から軸方向および半径方向外側に延びる内側壁(258)であって、前記内側壁(258)は、前記第2の縁壁(254)に平行であり、前記第2の縁壁(254)から円周方向に離間してそれらの間に半径方向に延びるポケット(260)を形成し、前記内側壁(258)は、前記本体(240)に画定され、その中に円周方向に延びる第2の複数の冷却通路(246、246B)の少なくとも1つのために内部に画定された出口開口部(262)を有し、各出口開口部(262)は、前記半径方向に延びるポケット(260)に円周方向に面する内側壁(258)と
を含む少なくとも1つの第2の縁壁構成部(256)
をさらに備える、請求項1に記載の先端シュラウド(220)。
【請求項8】
前記第2の縁壁(254)は、貫通する少なくとも1つの開口部(278)を含む、請求項7に記載の先端シュラウド(220)。
【請求項9】
前記第2の複数の冷却通路(246、246B)の前記少なくとも1つのための前記出口開口部(272)は、前記第2の縁壁(254)を通って前記少なくとも1つの開口部(278)の一方と直線的に位置合わせされる、請求項8に記載の先端シュラウド(220)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの先端レール(250)は、複数の先端レール(250)を含み、前記少なくとも1つの第1の縁壁構成部(238)は、一対の前記複数の先端レール(250)の間に軸方向に位置決めされる、請求項1に記載の先端シュラウド(220)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ターボ機械に関し、より詳細には、質量のバランシングのために材料の除去を可能にする、冷却通路のための出口表面を有するタービンブレード用の先端シュラウドに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンシステムなどのターボ機械は、発電機のための動力を生成するために利用される。一般に、ガスタービンシステムは、ガスタービンシステムのタービン構成要素に流体(例えば、高温ガス)を通過させることによって動力を生成する。より具体的には、吸入空気は、圧縮機に引き込まれて圧縮され得る。圧縮されると、吸入空気は燃料と混合され、そしてガスタービンシステムの燃焼器によって点火されてガスタービンシステムの動作流体(例えば、高温ガス)を形成することができる。次に流体は、動力を生成するために、タービン構成要素の複数の回転ブレードおよびロータまたはシャフトを回転させるために流体流路を通って流れることができる。流体は、複数の回転ブレードと、回転ブレードの間に位置決めされた複数の静止ノズルまたはベーンとを介してタービン構成要素を通して導かれ得る。複数の回転ブレードがガスタービンシステムのロータを回転させると、ロータに結合された発電機は、ロータの回転から動力を生成することができる。
【0003】
動作効率を改善するために、回転ブレードは、その半径方向外側端部に先端シュラウドを含むことができる。先端シュラウドは、動作流体を導くために静止ケーシングの内側表面と相互作用する。先端シュラウドは、いくつかの機械的完全性の問題を呈する材料の質量を含む。1つの課題は、クリープ、または回転ブレードに及ぼされる回転力の応力下での先端シュラウドの漸進的な変形に対処することである。クリープは、翼形部または先端シュラウドの変形などのいくつかの機械的問題を引き起こす可能性がある。加えて、先端シュラウドにおける質量不均衡によって生じる過度の曲げモーメントは、クリープの問題を悪化させる可能性がある。したがって、別の課題は、理想的な空気力学的、熱伝達、機械的、および航空力学的性能を提供するために先端シュラウド内の質量バランスを確保することである。
【発明の概要】
【0004】
以下に述べるすべての態様、例、および特徴は、任意の技術的に可能な方法で組み合わせることができる。
【0005】
本開示の一態様は、タービンブレード用の先端シュラウドであって、タービンブレードの翼形部の半径方向外側端部に結合された本体であって、翼形部は、正圧側および負圧側を含み、本体は、円周方向に面する前縁および円周方向に面する後縁を含む本体と、本体から半径方向外側に延び、本体の円周方向長さに概して沿って延びる少なくとも1つの先端レールと、本体に画定され、その中に円周方向に延びる第1の複数の冷却通路と、本体の円周方向に面する前縁および円周方向に面する後縁の少なくとも1つに沿った少なくとも1つの第1の縁壁構成部であって、各第1の縁壁構成部は、本体の円周方向に面する前縁および円周方向に面する後縁の少なくとも1つに沿って本体から軸方向および半径方向外側に延びる第1の縁壁であって、第1の縁壁は、第1の円周方向に面する表面を含む第1の縁壁と、第1の縁壁に隣接する出口表面であって、出口表面は、内部に画定された出口開口部を有し、それを通って第1の複数の冷却通路の少なくとも1つが本体から出る出口表面とを含む少なくとも1つの第1の縁壁構成部とを備え、出口表面は、第1の縁壁の第1の円周方向に面する表面に対して15°~80°の範囲で傾斜している、先端シュラウドを提供する。
【0006】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、第1の縁壁および出口表面は、本体における一対の軸方向に対向する半径方向に延びる壁の間に軸方向に延びる。
【0007】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、第1の縁壁は、貫通する少なくとも1つの開口部を含む。
【0008】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、第1の複数の冷却通路の少なくとも1つのための出口開口部は、第1の縁壁における少なくとも1つの開口部と直線的に位置合わせされる。
【0009】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、翼形部の後縁に隣接する本体の後縁に画定された湾曲開口部をさらに含み、湾曲開口部は、隣接する先端シュラウドの本体によって充填されない。
【0010】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、湾曲開口部は、半径方向に対して15°~45°の範囲で傾斜した平面を画定する。
【0011】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、本体の円周方向に面する前縁および円周方向に面する後縁の少なくとも1つに沿った少なくとも1つの第2の縁壁構成部であって、各第2の縁壁構成部は、本体の円周方向に面する前縁および円周方向に面する後縁の少なくとも1つに沿って本体から軸方向および半径方向外側に延びる第2の縁壁と、本体から軸方向および半径方向外側に延びる内側壁であって、内側壁は、第2の縁壁に平行であり、第2の縁壁から円周方向に離間してそれらの間に半径方向に延びるポケットを形成し、内側壁は、本体に画定され、その中に円周方向に延びる第2の複数の冷却通路の少なくとも1つのために内部に画定された出口開口部を有し、出口開口部は、半径方向に延びるポケットに円周方向に面する内側壁とを含む少なくとも1つの第2の縁壁構成部をさらに含む。
【0012】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、第2の縁壁は、貫通する少なくとも1つの開口部を含む。
【0013】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、第1の複数の冷却通路の少なくとも1つのための出口開口部は、第1の縁壁における少なくとも1つの開口部と直線的に位置合わせされる。
【0014】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、少なくとも1つの先端レールは、複数の先端レールを含み、少なくとも1つの第1の縁壁構成部は、一対の複数の先端レールの間に軸方向に位置決めされる。
【0015】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、出口表面は、平坦ではない。
【0016】
本開示の一態様は、根元セクションと、根元セクションに結合された翼形部であって、翼形部は、正圧側および負圧側を含む翼形部と、先端シュラウドであって、タービンブレードの翼形部の半径方向外側端部に結合された本体であって、翼形部は、正圧側および負圧側を含み、本体は、円周方向に面する前縁および円周方向に面する後縁を含む本体と、本体から半径方向外側に延び、本体の円周方向長さに概して沿って延びる少なくとも1つの先端レールと、本体に画定され、その中に円周方向に延びる第1の複数の冷却通路と、本体の円周方向に面する前縁および円周方向に面する後縁の少なくとも1つに沿った少なくとも1つの第1の縁壁構成部であって、各第1の縁壁構成部は、本体の円周方向に面する前縁および円周方向に面する後縁の少なくとも1つに沿って本体から軸方向および半径方向外側に延びる第1の縁壁であって、第1の縁壁は、第1の円周方向に面する表面を含む第1の縁壁と、第1の縁壁に隣接する出口表面であって、出口表面は、内部に画定された出口開口部を有し、それを通って第1の複数の冷却通路の少なくとも1つが本体から出る出口表面とを含む少なくとも1つの第1の縁壁構成部とを含み、出口表面は、第1の縁壁の第1の円周方向に面する表面に対して15°~80°の範囲で傾斜している先端シュラウドとを備える、タービンブレードを提供する。
【0017】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、第1の縁壁および出口表面は、本体における一対の軸方向に対向する半径方向に延びる壁の間に軸方向に延びる。
【0018】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、第1の縁壁は、貫通する少なくとも1つの開口部を含む。
【0019】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、第1の複数の冷却通路の少なくとも1つのための各出口開口部は、第2の複数の冷却通路の1つと直線的に位置合わせされる。
【0020】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、翼形部の後縁に隣接する本体の後縁に画定された湾曲開口部をさらに含み、湾曲開口部は、隣接する先端シュラウドの本体によって充填されない。
【0021】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、本体の円周方向に面する前縁および円周方向に面する後縁の少なくとも1つに沿った少なくとも1つの第2の縁壁構成部であって、各第2の縁壁構成部は、本体の円周方向に面する前縁および円周方向に面する後縁の少なくとも1つに沿って本体から軸方向および半径方向外側に延びる第2の縁壁と、本体から軸方向および半径方向外側に延びる内側壁であって、内側壁は、第2の縁壁に平行であり、第2の縁壁から円周方向に離間してそれらの間に半径方向に延びるポケットを形成し、内側壁は、本体に画定され、その中に円周方向に延びる第2の複数の冷却通路の少なくとも1つのために内部に画定された出口開口部を有し、各出口開口部は、半径方向に延びるポケットに円周方向に面する内側壁とを含む少なくとも1つの第2の縁壁構成部をさらに含む。
【0022】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、第2の縁壁は、貫通する少なくとも1つの開口部を含み、第2の複数の冷却通路の少なくとも1つのための出口開口部は、第2の縁壁を通る少なくとも1つの開口部の1つと直線的に位置合わせされる。
【0023】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかを含み、少なくとも1つの先端レールは、複数の先端レールを含み、少なくとも1つの第1の縁壁構成部は、一対の複数の先端レールの間に軸方向に位置決めされる。
【0024】
本開示の別の態様は、前述の態様のいずれかのタービンブレードを備えるガスタービンを含む。
【0025】
この概要のセクションで説明されているものを含む、本開示で説明されている2つ以上の態様を組み合わせて、本明細書で具体的に説明されていない実施態様を形成することができる。
【0026】
1つまたは複数の実施態様の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。他の特徴、目的、および利点は、説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0027】
本開示のこれらおよび他の特徴は、本開示の様々な実施形態を図示する添付の図面と併せて、本開示の様々な態様に関する以下の詳細な説明から、さらに容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】例示的なガスタービン(GT)システムの概略図である。
【
図2】
図1のGTシステムと共に使用することができる例示的なタービンの断面図である。
【
図3】本開示の実施形態を採用することができるタイプのタービンブレードの斜視図である。
【
図4】本開示の実施形態による、各々が先端シュラウドを含む一対のタービンブレードの半径方向内側斜視図である。
【
図5】本開示の実施形態による、先端シュラウドの斜視図である。
【
図6】本開示の実施形態による、先端シュラウドの縁壁に隣接する出口表面の
図5の線6-6に沿った断面図である。
【
図7】本開示の実施形態による、先端シュラウドの縁壁に隣接する内側壁の
図5の線7-7に沿った断面図である。
【
図8】本開示の他の実施形態による、翼形部の後縁および先端シュラウドの円周方向に面する前縁の半径方向外側斜視図である。
【
図9】本開示の他の実施形態による、翼形部の後縁および先端シュラウドの円周方向に面する前縁の半径方向内側斜視図である。
【
図10】本開示の代替の実施形態による、先端シュラウドの斜視図である。
【
図11】本開示の代替の実施形態による、先端シュラウドの斜視図である。
【
図12】本開示の他の代替の実施形態による、先端シュラウドの斜視図である。
【
図13】本開示の他の実施形態による、先端シュラウドの斜視図である。
【
図14】本開示の代替の実施形態による、出口表面の
図6と同様の断面図である。
【
図15】本開示の他の実施形態による、出口表面の
図6と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示の図面は、必ずしも原寸に比例しないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様だけを図示することを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものと考えるべきではない。図面では、類似する符号は、図面間で類似する要素を表す。
【0030】
最初の問題として、本開示の主題を明確に説明するために、ターボ機械内の関連する機械構成要素を参照して説明するときに、特定の専門用語を選択することが必要になる。可能な限り、一般的な工業専門用語が、その受け入れられた意味と同じ意味で使用および利用される。別途記載のない限り、このような専門用語は、本出願の文脈および添付の特許請求の範囲と一致する広義の解釈を与えられるべきである。当業者であれば、多くの場合、特定の構成要素がいくつかの異なるまたは重複する用語を使用して参照されることがあることを理解するであろう。単一の部品であるとして本明細書に記載され得るものは、複数の構成要素からなるものとして別の文脈を含み、かつ別の文脈で参照されてもよい。あるいは、複数の構成要素を含むものとして本明細書に記載され得るものは、単一の部品として他の場所で参照されてもよい。
【0031】
加えて、本明細書ではいくつかの記述的用語を規則通りに使用することができ、このセクションの開始時にこれらの用語を定義することが有用であることがわかる。これらの用語およびその定義は、別途記載のない限り、以下の通りである。本明細書で使用する場合、「下流」および「上流」とは、タービンエンジンを通る作動流体、または例えば、燃焼器を通る空気の流れ、もしくはタービンの構成要素システムの1つを通る冷却剤などの流体の流れに対する方向を示す用語である。「下流」という用語は、流体の流れの方向に対応し、「上流」という用語は、流れとは反対の方向(すなわち、流体が流れてくる方向)を指す。「前方」および「後方」という用語は、別途指定のない限り、方向を指し、「前方」はエンジンの前部または圧縮機端部を指し、「後方」はターボ機械の後部セクションを指す。
【0032】
多くの場合、中心軸線に関して異なる半径方向位置に配置された部品を記述することが要求される。「半径方向」という用語は、軸線に垂直な移動または位置を指す。例えば、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸線に近接して位置する場合には、本明細書では、第1の構成要素は第2の構成要素の「半径方向内側」または「内方」にあると述べる。一方、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸線から遠くに位置する場合には、本明細書では、第1の構成要素は第2の構成要素の「半径方向外側」または「外方」にあると述べることができる。「軸方向」という用語は、軸線に平行な移動または位置を指す。最後に、「円周方向」という用語は、軸線に垂直な方向、すなわち、移動または位置が軸線の周りであり得る平面を指す。このような用語は、タービンの中心軸線に関連して適用することができることが理解されよう。
【0033】
加えて、以下に記載のように、本明細書ではいくつかの記述的用語を規則通りに使用することができる。「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語は、ある構成要素を別の構成要素から区別するために交換可能に使用することができ、個々の構成要素の場所または重要性を示すことを意図するものではない。
【0034】
本明細書で使用される専門用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「この(the)」は、特に明示しない限り、複数形も含むことを意図している。「備える(comprise)」および/または「備えている(comprising)」という用語は、本明細書で使用する場合、記載した特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素が存在することを明示するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの組が存在することまたは追加することを除外しないことがさらに理解されよう。「任意選択の」または「任意選択で」は、後で述べられる事象もしくは状況が起こる場合も起こらない場合もあること、または後で述べられる構成要素もしくは要素が存在する場合もしない場合もあることを意味し、この記述は、その事象が起こるまたは構成要素が存在する事例と、起こらないまたは存在しない事例とを含むことを意味する。
【0035】
ある要素または層が別の要素または層に対して「上に」、「係合される」、「接続される」、または「結合される」と言及される場合には、他の要素または層に対して直接上に、係合され、接続され、または結合されてもよいし、あるいは介在する要素または層が存在してもよい。逆に、ある要素が別の要素または層に対して「直接上に」、「直接係合される」、「直接接続される」、または「直接結合される」と言及される場合には、介在する要素または層は存在しなくてもよい。要素間の関係について説明するために使用される他の語も、同様に解釈されるべきである(例えば、「~の間に」に対して「直接~の間に」、「~に隣接して」に対して「直接~に隣接して」など)。本明細書で使用する場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0036】
上述のように、本開示は、ガスタービンシステムのタービンブレード用の先端シュラウドを提供する。先端シュラウドは、タービンブレードの翼形部の半径方向外側端部に結合された本体を含むことができる。翼形部は、正圧側および負圧側を含む。先端シュラウドの本体は、円周方向に面する前縁および円周方向に面する後縁を含む。先端シュラウドは、本体から半径方向外側に延び、本体の円周方向長さに概して沿って延びる少なくとも1つの先端レールを含むことができる。冷却通路は、本体に画定され、本体内に円周方向に延びて第1の縁壁の近くのエリアを冷却する。先端シュラウドはまた、本体の円周方向に面する前縁および円周方向に面する後縁の少なくとも1つに沿った少なくとも1つの第1の縁壁構成部を含む。第1の縁壁構成部は、先端シュラウドの本体の円周方向に面する前縁および/または円周方向に面する後縁に沿って本体から軸方向および半径方向外側に延びる第1の縁壁を含むことができる。第1の縁壁は、円周方向に面する表面を含む。
【0037】
先端シュラウドが、あるいは第1の縁壁から離間し、それを通って冷却通路が本体から出る内側壁を含む場合、本開示の実施形態における先端シュラウドは、第1の縁壁に隣接する出口表面を含む。出口表面は、内部に画定された出口開口部を含み、それを通って冷却通路の少なくとも1つが本体から出る。出口表面は、第1の縁壁の円周方向に面する表面に対して15°~80°の範囲で傾斜している。したがって、出口表面は、先端シュラウドの任意の選択された円周方向に面する縁部で使用される材料を少なくして質量バランスを向上させ、同時に十分な冷却を提供することを可能にする。
【0038】
図面を参照すると、
図1は、ガスタービン(GT)システム100(以下、「GTシステム100」)の形態の例示的なターボ機械90の概略図である。GTシステム100は、圧縮機102と、燃焼器104とを含む。燃焼器104は、燃焼領域105と、燃料ノズルアセンブリ106とを含む。GTシステム100はまた、タービン108と、共通の圧縮機/タービンロータシャフト110(以下、「ロータシャフト110」と呼ぶ)とを含む。1つの非限定的な実施形態では、GTシステム100は、サウスカロライナ州グリーンビルのゼネラルエレクトリック社から市販されているGT26エンジンであってもよい。本開示は、いかなる特定のGTシステムに限定されるものではなく、例えば、ゼネラルエレクトリック社の他のHA、F、B、LM、GT、TM、およびEクラスのエンジンモデル、ならびに他社のエンジンモデルを含む他のエンジンと関連して実装することができる。さらに、本開示の教示は、必ずしもGTシステムのみに適用可能ではなく、他のタイプのターボ機械、例えば、蒸気タービン、ジェットエンジン、圧縮機などに適用することができる。
【0039】
図2は、
図1のGTシステム100と共に使用することができる4つの段L0~L3を有するタービン108の例示的な部分の断面図を示す。4つの段は、L0、L1、L2、およびL3と呼ばれる。段L0は、第1段であり、4つの段のうちの(半径方向に)最小の段である。段L1は、第2段であり、軸方向(すなわち、段L0の下流)において次の段である。段L2は、第3段であり、軸方向(すなわち、段L1の下流)において次の段である。段L3は、最後の第4段(段L2の下流)であり、(半径方向に)最大の段である。4つの段は1つの非限定的な例としてのみ示されており、各タービンは4つよりも多いかまたは少ない段を有してもよいことを理解されたい。
【0040】
タービン108において、静止ベーンまたはノズル112のセットは、回転タービンブレード114のセットと協働してタービン108の各段L0~L3を形成し、タービン108を通る流路の一部を画定する。各セットの回転タービンブレード114は、回転タービンブレード114をロータシャフト110に円周方向に結合するそれぞれのロータホイール116に結合される。すなわち、回転タービンブレード114のセットは、各ロータホイール116に円周方向に離間して機械的に結合される。静的ブレードセクション115は、ロータシャフト110の周りに円周方向に離間した静止ノズル112を含む。各ノズル112は、翼形部130と接続された少なくとも1つの端壁(またはプラットフォーム)120、122を含むことができる。図示の例では、ノズル112は、半径方向外側端壁120および半径方向内側端壁122を含む。半径方向外側端壁120は、ノズル112をタービン108のケーシング124に結合する。
【0041】
動作中、空気は圧縮機102を通って流れ、圧縮空気が燃焼器104に供給される。具体的には、圧縮空気は、燃焼器104に一体化された燃料ノズルアセンブリ106に供給される。燃料ノズルアセンブリ106は、燃焼領域105と流れ連通している。燃料ノズルアセンブリ106はまた、燃料源(
図1には図示せず)と流れ連通しており、燃料および空気を燃焼領域105に送る。燃焼器104は、燃料を点火して燃焼させる。燃焼器104は、ガス流の熱エネルギーが機械的回転エネルギーに変換されるタービン108と流れ連通している。タービン108は、ロータシャフト110に回転可能に結合されてロータシャフト110を駆動する。圧縮機102はまた、ロータシャフト110に回転可能に結合されてもよい。例示的な実施形態では、複数の燃焼器104および燃料ノズルアセンブリ106が存在する。以下の説明では、特に明記しない限り、各構成要素の1つのみを説明する。回転ロータシャフト110の少なくとも1つの端部は、タービン108から離れて軸方向に延びてもよく、限定はしないが、発電機、負荷圧縮機、および/または別のタービンなどの負荷または機械(図示せず)に取り付けられてもよい。
【0042】
図3は、例示的なタービンブレード200の拡大斜視図を詳細に示す。説明の目的のために、X軸線が概して軸方向に延び(矢印Aと同じ)、Y軸線がロータシャフト110(
図1)の軸線Aに概して垂直に延び(円周方向平面または方向を示す)、Z軸線がロータシャフト110(
図1)の軸線Aに対して半径方向に延びる凡例が図面に提供されてもよい。Z軸線は、X軸線およびY軸線に垂直である。ブレード200は、回転可能な(動的な)ブレードであり、タービン(例えば、タービン108)の段におけるロータシャフト110(
図1)の周りに円周方向に分散したタービンブレード114のセットの一部である。
【0043】
タービン108の動作中、作動流体(例えば、GTシステム100内のガス、または蒸気タービン内の蒸気)がブレードの翼形部を横切って導かれると、ブレード200は、ロータシャフト(例えば、ロータシャフト110)の回転を開始し、ロータシャフト110によって画定された軸線Aの周りを回転する。ブレード200は、複数の同様のまたは別個のブレード(例えば、ブレード200または他のブレード)と結合(締結具、溶接部、スロット/溝などを介して機械的に)し、タービン108(
図2)の段におけるタービンブレード114(
図2)のセットを形成するように構成されることが理解される。
図2を参照すると、ブレード200は、任意の段(L0~L3)に位置することができる。
【0044】
図3に戻ると、ブレード200は、正圧側204(この図では遮られている)と、正圧側204に対向する負圧側206とを有する翼形部202を含むことができる。ブレード200はまた、正圧側204と負圧側206との間に広がる前縁208と、前縁208に対向し、正圧側204と負圧側206との間に広がる後縁210とを含んでもよい。上述したように、翼形部202の正圧側204は一般に上流に面し、負圧側206は一般に下流に面する。
【0045】
示すように、ブレード200はまた、翼形部202と接続された根元セクション212と、翼形部202の半径方向外側端部222上のタービンブレード先端シュラウド220(以下、「先端シュラウド220」)とを含むことができる。根元セクション212は、正圧側204、負圧側206、前縁208、および後縁210に沿って翼形部202と接続することができる。様々な実施形態において、ブレード200は、翼形部202の半径方向内側端部226に近接するフィレット214を含むことができ、フィレット214は、翼形部202と根元セクション212を接続する。フィレット214は、従来のMIG溶接、TIG溶接、ろう付けなどを介して形成することができる溶接またはろう付けフィレットを含むことができる。根元セクション212は、ダブテール224を含むものとして
図3に示されているが、根元セクション212は、ロータシャフト110に接続するための任意の適切な構成を有することができる。具体的には、根元セクション212は、タービンロータシャフト(例えば、ロータシャフト110のロータホイール)における嵌合スロット(例えば、ダブテールスロット)に嵌入し、他のブレード200の隣接する構成要素と嵌合するように構成される。根元セクション212は、翼形部202の半径方向内方に位置し、ロータシャフトと任意の相補的な構成で形成されることを意図している。
【0046】
先端シュラウド220は、正圧側204、負圧側206、前縁208、および後縁210に沿って翼形部202と接続されてもよい。様々な実施形態において、ブレード200は、翼形部202の半径方向外側端部222に近接するフィレット228を含むことができる。フィレット228は、翼形部202と先端シュラウド220を接続する。フィレット228は、従来のMIG溶接、TIG溶接、ろう付けなどを介して形成することができる溶接またはろう付けフィレットを含むことができる。先端シュラウド220は、ケーシング124(
図2)の内側表面および/またはその中のケーシングシュラウド(図示せず)と相互作用するように構成される。
【0047】
図4は、一対の隣接するタービンブレード200、特に隣接する先端シュラウド220の半径方向内側斜視図を示す。
図5は、単一の先端シュラウド220の斜視図を示す。以下の説明から明らかなように、本開示の実施形態は、反復構造を含むことができる。例えば、先端シュラウド220が3つ以上の先端レール250を含む場合、本明細書で説明するように、本開示の実施形態による第1の縁壁構成部238は、異なる対の先端レール250の間で反復することができる。反復構造を区別するために、必要に応じて、数字参照は、文字参照、例えば、A、B、Cなどを伴ってもよい。参照文字が反復構造から省略される場合、明らかな文脈に応じて、構造の単一の瞬間が単独で参照されるか、またはいくつかの構造が集合的に参照される。
【0048】
図3~
図5を参照すると、タービンブレード200の先端シュラウド220は、タービンブレード200の翼形部202の半径方向外側端部222に結合された本体240を含むことができる。上述したように、翼形部202は、正圧側204および負圧側206を含む。
図4および
図5では、翼形部冷却チャンバ242は、翼形部202の一般的な形状を有し、大部分は先端シュラウド220の半径方向内側にある。翼形部202内の1つまたは複数の冷却チャンバ(図示せず)は、冷却剤を先端シュラウド220および翼形部冷却チャンバ242に送達することが理解される。冷却剤の一部は、内部の開口部244を通って冷却チャンバ242から出て、かつ/または先端レール250に導かれてもよいが、他の冷却剤は、本体240に画定され、その中に円周方向に(Y軸線に沿って)延びる冷却通路246の1つまたは複数のセット(複数)を通って導かれる。冷却通路246は、本体240の半径方向外側表面248(
図5)において丸みを帯びたリブとして見える。先端シュラウド220は、前縁230と、後縁232と、円周方向に面する前縁234と、円周方向に面する後縁236とを有する。円周方向に面する前縁234は、翼形部202の正圧側204にあるためにそのように呼ばれ、円周方向に面する後縁236は、翼形部202の負圧側206にあるためにそのように呼ばれる。
【0049】
当分野で理解されるように、翼形部202から突出する先端シュラウド220の異なる範囲は、質量不均衡を引き起こす可能性がある。例えば、例示的な図面では、円周方向に面する前縁234は、円周方向に面する後縁236よりも翼形部202からわずかに遠くに延び、不均衡をもたらす場合がある。
【0050】
先端シュラウド220はまた、少なくとも1つの先端レール250を含んでもよい。各先端レール250は、本体240から半径方向外側に延び、本体240の円周方向長さに概して沿って延びる。本明細書で使用する場合、「概して」は、本体240の円周方向長さに概して沿って、または先端レール250に概して平行になど、述べられた方向に対して+/-5°以内を示す。説明の目的のために、先端シュラウド220は、3つの軸方向に離間した先端レール250A~Cと共に主に示される。ここで、先端シュラウド220は、本体240から半径方向外側に延び、本体240の円周方向長さに概して沿って延びる第1の先端レール250Aと、本体240から半径方向外側に延び、本体の円周方向長さに概して沿って延びる第2の先端レール250Bとを含むことができる。図示の非限定的な例では、先端シュラウド220はまた、本体240から半径方向外側に延び、本体240の円周方向長さに概して沿って延びる第3の先端レール250Cを含む。本開示の教示は、任意の数の先端レール、例えば、1つ(
図12)、2つ(
図13)、および4つ以上を有する先端シュラウド220に適用することができることが強調される。2つ以上の先端レール250が使用される場合、各先端レール250は、隣接する先端レールから軸方向に離間している(X軸線)。図示の例では、第2の先端レール250Bは、第1の先端レール250Aから軸方向に離間しており、第3の先端レール250Cは、第2の先端レール250Bから軸方向に離間している。図示のように、複数の冷却通路246は、円周方向に隣接する先端レール250の間、例えば、各対の先端レール250の間で、先端レール250に概して平行に延びる。第1の複数の冷却通路246Aは、第1および第2の先端レール250A、250Bの間に延び、第2の複数の冷却通路246Bは、第2および第3の先端レール250B、250Cの間に延びる。
【0051】
図6は、本開示の実施形態による、第1の縁壁構成部238の
図5の線6-6に沿った拡大断面図を示す。説明するように、各第1の縁壁構成部238は、質量を低減するために、本体240の円周方向に面する前縁234および円周方向に面する後縁236の少なくとも1つに沿って選択的に位置決めされてもよい。
図4および
図5の例では、第1の縁壁構成部238は、例えば、その方向の不均衡に対処するために、先端シュラウド220の円周方向に面する前縁234に沿って位置決めされる。したがって、
図4~
図5に示す例では、第1の縁壁構成部238は、翼形部202の正圧側204にある。
【0052】
第1の縁壁構成部238は、本体240の円周方向に面する前縁234(図示)および円周方向に面する後縁236(例えば、
図10)の少なくとも1つに沿って本体240から軸方向および半径方向外側に延びる第1の縁壁252を含む。さらに説明するように、先端シュラウド220は、複数の第1の縁壁構成部238を含んでもよい。この場合、第1の縁壁252Aは、本体240の円周方向に面する前縁234(図示)および円周方向に面する後縁236(例えば、
図10)の少なくとも1つに沿って本体240から軸方向および半径方向外側に延びてもよく、別の第1の縁壁252Bは、本体240の円周方向に面する前縁234および円周方向に面する後縁236の少なくとも1つに沿って本体240から軸方向および半径方向外側に延びてもよい。第1の縁壁252は各々、円周方向に面する表面、すなわち、翼形部202に面する表面253を含む。第1の縁壁252は、翼形部202の正圧側204および/または負圧側206上の先端シュラウド220の円周方向外側縁壁として作用する。場合によっては、第1の縁壁252は、先端シュラウド220のための補強材として作用してもよい。対の先端レール250が存在する場合、第1の縁壁構成部238は、対の先端レール250の間に軸方向に延びてもよい。例えば、第1の縁壁252Aは、第1の先端レール250Aと第2の先端レール250Bとの間に軸方向に延びてもよく、第1の縁壁252Bは、第2の先端レール250Bと第3の先端レール250C(
図5)との間に軸方向に延びてもよい。
【0053】
図7は、先端シュラウド220の第2の縁壁構成部256の
図5の線7-7に沿った拡大断面図を示す。第2の縁壁構成部256は、本体240の円周方向に面する前縁234および円周方向に面する後縁236の少なくとも1つに沿って位置決めされ、すなわち、ここでは第1の縁壁構成部238が存在せず、質量の低減が必要でない場合がある。第2の縁壁構成部256は、本体240の円周方向に面する前縁234および円周方向に面する後縁236の少なくとも1つに沿って本体240から軸方向および半径方向外側に延びる第2の縁壁254を含む。
図4~
図5に示す例では、第2の縁壁構成部256は、翼形部202の負圧側206にある。
【0054】
第2の縁壁構成部256はまた、本体240から軸方向および半径方向外側に延びる内側壁258を含む。対の先端レール250が存在する場合、各第2の縁壁構成部256は、対の先端レール250の間に軸方向に延びてもよい。例えば、第2の縁壁254Aは、第1の先端レール250Aと第2の先端レール250Bとの間に軸方向に延びる内側壁258Aを含むことができ、第2の縁壁254Bは、第2の先端レール250Bと第3の先端レール250C(
図5)との間に軸方向に延び、本体240から半径方向外側に延びる内側壁258Bを含むことができる。内側壁258は、それぞれの第2の縁壁254に平行であり、それらの間に半径方向に延びるポケット260を画定するようにそれぞれの第2の縁壁254から円周方向に離間している。半径方向に延びるポケット260は、半径方向外側方向に開いているが、半径方向内側方向に閉じている。内側壁258は、本体240に画定され、その中に円周方向に延びる冷却通路246のために内部に画定された出口開口部262を有する。出口開口部262は、半径方向に延びるポケット260に円周方向に面する。第2の縁壁254はまた、貫通する少なくとも1つの開口部264を含んでもよい。冷却通路246の少なくとも1つのための出口開口部262は、第2の縁壁254を通して開口部264と直線的に位置合わせされてもよい。したがって、冷却通路246から出る冷却剤は、半径方向に延びるポケット260または第2の縁壁254における開口部264を通って出ることができる。
【0055】
図5~
図7を参照すると、従来の先端シュラウドでは、両方の縁壁252、254は、第2の縁壁構成部256、すなわち、
図7の第2の縁壁254に対して示された構成を有する。本開示の実施形態によれば、内側壁258は、円周方向に面する縁部234および/または236の近くに、必要ではなく、クリープの問題を悪化させる曲げモーメントを引き起こす質量不均衡を生じさせる可能性がある材料の質量を提供することが発見された。
図6に示すように、本開示の実施形態による先端シュラウド220、特に第1の縁壁構成部238は、内側壁258(
図7)ではなく、第1の縁壁252に隣接する出口表面270を含む。出口表面270は、内部に画定された出口開口部272を含み、それを通って複数の冷却通路246の少なくとも1つが本体240から出る。
図6では、2つの出口開口部272が示されているが、任意の数が用いられてもよい(
図4および
図5参照)。出口表面270は、第1の縁壁252の円周方向に面する表面253に対して15°~80°の範囲で傾斜している(角度α参照)。このようにして、第1の縁壁構成部238において、冷却剤は、内側壁258およびポケット260の構成部(
図7)を含むが、内側壁258の質量を伴わない第2の縁壁構成部256と同様の効果で冷却するために、第1の縁壁252に向けられる。
【0056】
先端シュラウド220は、任意の現在知られているまたは今後開発される製造プロセス、例えば、鋳造、付加製造などを使用して、内部に出口表面270を有するように最初に製造することができる。あるいは、出口表面270は、第1の縁壁252上の内側壁258(
図7)で製造された先端シュラウド220に形成することができ、内側壁258(
図7)を除去するように機械加工することができ、例えば、内側壁258を研削、切断、または他の方法で物理的に除去し、出口表面270(
図6)を形成することができる。いずれの場合でも、
図5に最もよく示すように、第1の縁壁252および出口表面270は、本体240における一対の軸方向に対向する半径方向に延びる壁276の間に軸方向に延びることができる。半径方向に延びる壁276は、例えば、先端レール250A、250Bなどのそれぞれの先端レールから離間していてもよい。半径方向に延びる壁276の一方もまた、
図6に示されている。
【0057】
図5および
図6に示すように、第1の縁壁252は、貫通する少なくとも1つの開口部278を含むことができ、したがって、出口表面270における出口開口部272から出る冷却剤は、第1の縁壁252および他の下流構造を冷却することができる。1つの非限定的な例では、複数の冷却通路246の少なくとも1つのための出口開口部272は、第1の縁壁252における開口部278と直線的に位置合わせされてもよく、例えば、開口部の一対一の位置合わせが存在し得る。しかし、これはすべての場合に必要ではない。任意の数の出口開口部272および/または開口部278が、用いられてもよい。
【0058】
図5に示すように、先端シュラウド220が3つ以上の先端レール250、すなわち、250A~Cを含む場合、上述の構成部は、異なる対の先端レール250の間で反復されてもよい。より詳細には、先端レール250B、250Cの間に示すように、先端シュラウド220は、本体240から軸方向および半径方向外側に、例えば、先端レール250B~Cの間で翼形部202の正圧側204に延びる第1の縁壁252Bを含む別の第1の縁壁構成部238を含むことができる。第1の縁壁252Bは、円周方向に面する表面253(
図6)を含む。先端レール250B、250Cの間には、別の複数の冷却通路246Bが本体240に画定され、その中に円周方向に延びる。ここで、第2の出口表面270Bは、第1の縁壁252Bに隣接している。第2の出口表面270Bは、
図6に示すのと同じ構成部を有する。すなわち、出口表面270B(
図5)は、内部に画定された出口開口部272B(
図5)を有し、それを通って冷却通路246Bの少なくとも1つが本体240から出る。第2の出口表面270Bは、第1の縁壁252Bの円周方向に面する表面253に対して15°~80°の範囲で傾斜している(角度α)。任意の数の第1の縁壁構成部238が、用いられてもよい。
【0059】
図8は、翼形部202の後縁210および先端シュラウド220の円周方向に面する前縁234の半径方向外側斜視図を示す。
図9は、翼形部202の後縁210および先端シュラウド220の円周方向に面する前縁234の半径方向内側斜視図を示す。
図4、
図5、および
図9を参照すると、質量不均衡をさらに低減するために、先端シュラウド220は、翼形部202の後縁210に隣接する本体240の後縁232に画定された湾曲開口部290を含むことができる。図示の例では、湾曲開口部290は、翼形部202の正圧側204にある。湾曲開口部290は、通常、翼形部202の最後方の先端レール250Cおよび後縁210の円周方向前方に延びる本体240のエリアに形成される。いくつかの状況では、隣接する先端シュラウド220は、それらのZ字形のためにZノッチと呼ばれることもある連動面を有する。ここで、
図4に示すように、湾曲開口部290は、隣接する先端シュラウド220の本体240によって充填されず、隣接する表面と連動しない。一実施形態では、湾曲開口部290は、半径方向Zに対して15°~45°の範囲で傾斜した(角度β)平面を画定する。
【0060】
図10は、本開示の代替の実施形態による、先端シュラウド220の斜視図を示す。
図10は、円周方向に面する前縁234と円周方向に面する後縁236の両方に沿った第1の縁壁構成部238を含む一実施形態を示す。ここで、質量不均衡は存在しない場合があるが、質量の低減が依然として望まれる。
【0061】
図11は、本開示のさらなる代替の実施形態による、先端シュラウド220の斜視図を示す。
図11は、ただ1つの場所(例えば、先端レール250A~Bの間)において、円周方向に面する前縁234に沿った1つの第1の縁壁構成部238を含む一実施形態を示す。ここで、質量不均衡は、翼形部202の前縁204の近くの先端シュラウド220にのみ存在し得、
図5の実施形態よりも質量の低減が少ないことが望ましい。
【0062】
図12は、本開示の他の実施形態による、先端シュラウド220の斜視図を示す。
図12は、
図5と同様の第1の縁壁構成部238を含むが、先端レール250B~Cを含まない一実施形態を示す。すなわち、先端レール250Aは1つしか存在しない。図示のように、先端レール250によって限定されない場合、第1および第2の壁構成部238、256は、任意の所望の軸方向長さを有してもよい。
【0063】
図13は、本開示の他の実施形態による、先端シュラウド220の斜視図を示す。
図13は、円周方向に面する前縁234に沿っているが、2つの先端レール250A~Bのみを有する第1の縁壁構成部238を含む一実施形態を示す。第1の縁壁構成部238は、例えば、質量不均衡に対処するために質量の低減が望まれる先端シュラウド220上の任意の場所で使用することができることが認識されよう。図示されていない他の構成部もまた、可能であり得る。
【0064】
例えば、
図6に示されるように、出口表面270は、平坦な表面を有する。他の実施形態では、出口表面270は、一般に、第1の縁壁252の円周方向に面する表面253との角度を有してもよく、平坦でなくてもよい。
図14~
図15は、本開示の代替の実施形態による、先端シュラウド220の出口表面270の断面図を示す。
図14では、出口表面270は、階段状である。ここで、出口表面270は、いくつかの機械加工ステップによって作製されてもよく、角度αは、ステップの一貫した要素、例えば、その外側角部によって画定されてもよい。
図15では、出口表面270は、冷却通路246の出口開口部272の上で、例えば、出口表面270が第1の縁壁252と交わる点および出口表面270の半径方向最外点から角度αを概して保持しながら、例えば、内側にわずかに円弧状であり得る。出口表面270は、本開示の範囲内でいくつかの他の形状を有することができる。
【0065】
本開示の実施形態は、内部に画定された出口開口部を含み、それを通って先端シュラウドの冷却通路の少なくとも1つが本体から出る出口表面を含む第1の縁壁構成部を有する先端シュラウドを提供する。出口表面の形成は、第2の壁構成部の冷却効果を保持しながら、場合によっては質量不均衡に寄与する質量を除去することによって達成される。本開示の実施形態はまた、追加の質量を除去するために翼形部の後縁の近くに湾曲開口部を有する先端シュラウド本体の後縁を提供することができる。
【0066】
本明細書および特許請求の範囲を通してここで使用される、近似を表す文言は、関連する基本的機能に変化をもたらすことなく、差し支えない程度に変動し得る任意の量的表現を修飾するために適用することができる。したがって、「およそ」、「約」、および「実質的に」などの用語によって修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応することができる。ここで、ならびに本明細書および特許請求の範囲を通して、範囲の限定は組み合わせおよび/または置き換えが可能であり、文脈または文言が特に指示しない限り、このような範囲は識別され、それに包含されるすべての部分範囲を含む。範囲の特定の値に適用される「約」は、両端の値に適用され、値を測定する機器の精度に特に依存しない限り、記載された値の+/-10%を示すことができる。
【0067】
以下の特許請求の範囲におけるミーンズプラスファンクションまたはステッププラスファンクションの要素すべての、対応する構造、材料、動作、および均等物は、具体的に請求された他の請求要素と組み合わせてその機能を実施するための、一切の構造、材料、または動作を包含することを意図している。本開示の記述は、例示および説明の目的で提示されており、網羅的であることも、または本開示を開示した形態に限定することも意図していない。当業者には、本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく多くの修正および変形が明らかであろう。本開示の原理および実際の用途を最良に説明し、想定される特定の使用に適するように様々な修正を伴う様々な実施形態について本開示を他の当業者が理解することができるようにするために、本実施形態を選択し、かつ説明した。
【符号の説明】
【0068】
90 ターボ機械
100 ガスタービン(GT)システム
102 圧縮機
104 燃焼器
105 燃焼領域
106 燃料ノズルアセンブリ
108 タービン
110 ロータシャフト
112 静止ノズル
114 回転タービンブレード
115 静的ブレードセクション
116 ロータホイール
120 半径方向外側端壁
122 半径方向内側端壁
124 ケーシング
130 翼形部
200 タービンブレード
202 翼形部
204 正圧側、前縁
206 負圧側
208 前縁
210 後縁
212 根元セクション
214 フィレット
220 タービンブレード先端シュラウド
222 半径方向外側端部
224 ダブテール
226 半径方向内側端部
228 フィレット
230 前縁
232 後縁
234 円周方向に面する前縁、円周方向に面する縁部
236 円周方向に面する後縁、円周方向に面する縁部
238 第1の縁壁構成部
240 本体
242 翼形部冷却チャンバ
244 開口部
246 冷却通路
246A 第1の複数の冷却通路
246B 第2の複数の冷却通路
248 半径方向外側表面
250 先端レール
250A 第1の先端レール
250B 第2の先端レール
250C 第3の先端レール
252 第1の縁壁
252A 第1の縁壁
252B 第1の縁壁
253 円周方向に面する表面
254 第2の縁壁
254A 第2の縁壁
254B 第2の縁壁
256 第2の縁壁構成部
258 内側壁
258A 内側壁
258B 内側壁
260 半径方向に延びるポケット
262 出口開口部
264 開口部
270 出口表面
270B 第2の出口表面
272 出口開口部
272B 出口開口部
276 半径方向に延びる壁
278 開口部
290 湾曲開口部
6-6 線
7-7 線
L0 段
L1 段
L2 段
L3 段
Z 半径方向
α 角度
β 角度
【外国語明細書】