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特開2022-189743流体のタンジェンシャルフロー濾過のための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189743
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】流体のタンジェンシャルフロー濾過のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20221215BHJP
   A61M 1/34 20060101ALI20221215BHJP
   A61M 60/113 20210101ALI20221215BHJP
   A61M 60/232 20210101ALI20221215BHJP
   A61M 60/37 20210101ALI20221215BHJP
   A61M 60/422 20210101ALI20221215BHJP
   A61M 60/554 20210101ALI20221215BHJP
   A61M 60/849 20210101ALI20221215BHJP
【FI】
A61M1/16 115
A61M1/34
A61M60/113
A61M60/232
A61M60/37
A61M60/422
A61M60/554
A61M60/849
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022082801
(22)【出願日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】21178687.6
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】511081820
【氏名又は名称】レヴィトロニクス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アントニー シビリア
(72)【発明者】
【氏名】ジーモン ストックリ
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB02
4C077DD08
4C077DD12
4C077EE01
4C077HH03
4C077HH13
4C077HH15
4C077JJ03
4C077JJ08
4C077JJ13
4C077JJ19
(57)【要約】
【課題】膜貫通圧力および/またはタンジェンシャルフローを調整することができる、流体のタンジェンシャルフロー濾過のための装置および方法の提供
【解決手段】第1の流体開口部および第2の流体開口部、フィルター要素、および透過液開口部を有するフィルターユニットと、第1の流体開口部をリザーバに接続することができる第1の流れ接続部と、第2の流体開口部をリザーバに接続することができる第2の流れ接続部とを含み、第1の流れ接続部に設けられた第1の遠心ポンプにより、流体をリザーバからフィルターユニットに搬送することができ、フィルターユニットは、流体がフィルター要素に対して略平行に流れるように設計され、第2の流れ接続部に設けられた第2の遠心ポンプにより、第2の流体開口部で逆圧を発生させることができる、流体のタンジェンシャルフロー濾過のための装置および方法が提案される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体のタンジェンシャルフロー濾過のための装置であって、
前記流体用の第1の流体開口部(21)および第2の流体開口部(22)、ならびにフィルター要素(25)、および前記流体から濾過された透過液を排出するための透過液開口部(23)を有するフィルターユニット(2)を備え、
前記装置は、前記第1の流体開口部(21)を前記流体用のリザーバ(8)に接続することができる第1の流れ接続部(31)と、前記第2の流体開口部(22)を前記流体用のリザーバ(8)に接続することができる第2の流れ接続部(32)とをさらに備え、
第1の遠心ポンプ(41)が、前記第1の流れ接続部(31)に設けられ、前記第1の遠心ポンプ(41)により、前記流体を前記リザーバ(8)から前記フィルターユニット(2)に搬送することができ、
第1の制御ユニット(51)が、前記第1の遠心ポンプ(41)を作動させるために提供され、
前記フィルターユニット(2)は、前記フィルターユニット(2)内のタンジェンシャルフロー濾過用の前記流体が前記フィルター要素(26)に対して略平行に流れることができるように設計されている、前記装置において、
前記流体用の第2の遠心ポンプ(42)が、前記第2の流れ接続部(32)に設けられ、前記第2の遠心ポンプ(42)によって、前記第2の流体開口部(22)で逆圧を発生させることができ、
前記第2の制御ユニット(52)は、前記第2の遠心ポンプ(42)を作動させるために提供されることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記第1の流れ接続部(31)を通る前記流体の流量を決定するための流量センサ(6)を備え、
前記第1の制御ユニット(51)は、前記第1の遠心ポンプ(41)の動作パラメータ、特に回転速度を介して、前記流量の所望の値を調整できるように設計されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
複数の圧力センサ(71、72、73)が提供され、前記複数の圧力センサ(71、72、73)は、前記フィルター要素(25)を介して前記複数の圧力センサによって膜貫通圧力が決定され得るように配置され、前記第2の制御ユニット(52)は、前記第2の制御ユニット(52)が前記第2の遠心ポンプ(42)の動作パラメータ、特に回転速度を介して、前記膜貫通圧力の所望の値を調整できるように設計されている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の圧力センサ(71、72、73)は、
前記第1の流体開口部(21)での前記流体の第1の圧力(P1)を決定することができるようになっている第1の圧力センサ(71)と、
前記第2の流体開口部(22)での前記流体の第2の圧力(P2)を決定することができるようになっている第2の圧力センサ(72)と、
前記透過液開口部(23)での第3の圧力(P3)を決定することができるようになっている第3の圧力センサ(73)と
を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の制御ユニット(51)および前記第2の制御ユニット(52)に信号接続された中央制御ユニット(5)が提供され、前記中央制御ユニット(5)は、前記第1の制御ユニット(51)および前記第2の制御ユニット(52)を作動させるために設計されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の遠心ポンプ(42)は、
前記流体を搬送するためのロータ(30)と、
前記ロータ(30)と共に、前記ロータを軸線方向(A)の周りに回転させるための電磁回転ドライブ(10)を形成するステータ(20)とを備え、
前記ロータ(30)は、
磁気有効コア(301)と、
前記流体を搬送するための複数のベーン(305)とを備え、
前記ステータ(20)は、前記ロータ(30)を非接触で磁気的に駆動させることができ、前記ステータ(20)に対して非接触で磁気的に浮上させることができるようになっているベアリング・ドライブステータとして設計される、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の遠心ポンプ(41)は、
前記流体を搬送するためのロータ(30)と、
前記ロータと共に、前記ロータ(30)を軸線方向(A)の周りに回転させるための電磁回転ドライブ(10)を形成するステータ(20)とを備え、
前記ロータ(30)は、
磁気有効コア(301)と、
前記流体を搬送するための複数のベーン(305)とを備え、
前記ステータ(20)は、前記ロータ(30)を非接触で磁気的に駆動させることができ、前記ステータ(20)に対して非接触で磁気的に浮上させることができるようになっているベアリング・ドライブステータとして設計される、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
各々の遠心ポンプ(41、42)は、それぞれポンプハウジング(60)を有するポンプユニット(40)を含み、
前記ポンプハウジング(60)は、前記流体を搬送するための入口(411、421)と出口(412、422)とを備え、
前記ロータ(30)は、前記ポンプハウジング(60)内に配置され、前記流体を搬送するための複数のベーン(305)を備え、
前記ポンプユニット(40)は、前記ポンプユニット(40)を前記ステータ(20)に挿入できるように設計されている、請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
少なくとも以下の構成要素:
前記フィルターユニット(2)と、
各々の遠心ポンプ(41、42)に対してそれぞれ1つのポンプユニット(40)と、
前記第1の流れ接続部(31)および前記第2の流れ接続部を実現するために設計された複数のチューブ(311、312、321、322)と、
任意選択で、前記流体用のリザーバ(8)またはリザーバ(8)用のインサート(80)とを備え、前記構成要素の各々が使い捨て部品として設計されている、請求項8に記載の装置用の使い捨て部品のセット。
【請求項10】
流体をタンジェンシャルフロー濾過する方法であって、
前記流体用の第1の流体開口部(21)および第2の流体開口部(22)、ならびにフィルター要素(25)、および前記流体から濾過された透過液を排出するための透過液開口部(23)を有するフィルターユニット(2)に前記流体が供給され、
前記フィルターユニット(2)は、前記フィルターユニット(2)内のタンジェンシャルフロー濾過用の前記流体が前記フィルター要素(25)に略平行に案内されるように設計されており、
前記方法において、前記流体は、第1の遠心ポンプ(41)によって、リザーバ(8)から第1の流れ接続部(31)を通って前記フィルターユニット(2)にさらに搬送され、
前記流体は、前記第2の流体開口部(22)から第2の流れ接続部(32)を通って前記リザーバ(8)に案内されて戻ることができ、
前記第1の遠心ポンプ(41)は、第1の制御ユニット(51)によって作動される、前記方法において、
前記第2の流れ接続部(32)に設けられた第2の遠心ポンプ(42)を用いて前記第2の流体開口部(22)に逆圧が発生し、
前記第2の遠心ポンプ(42)は、第2の制御ユニット(52)によって作動されることを特徴とする、方法。
【請求項11】
前記第1の流れ接続部(31)を通る前記流体の流量は、流量センサ(6)によって決定され、前記流量の所望の値は、前記第1の制御ユニット(51)によって前記第1の遠心ポンプ(41)の動作パラメータ、特に回転速度を介して決定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の流体開口部(21)での第1の圧力(P1)は、第1の圧力センサ(71)によって決定されるか、または、
前記第2の流体開口部(22)での第2の圧力(P2)は、第2の圧力センサ(72)によって決定されるか、または、
前記透過液開口部(23)での第3の圧力(P3)は、第3の圧力センサ(73)によって決定され、
前記第1の圧力(P1)または前記第2の圧力(P2)または前記第3の圧力(P3)の所望の値は、前記第2の遠心ポンプ(42)の動作パラメータ、特に回転速度を介して、前記第2の制御ユニット(52)によって調整される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
膜貫通圧力が、前記フィルター要素(26)を介して複数の圧力センサ(71、72、73)によって決定され、
前記膜貫通圧力の所望の値は、前記第1の制御ユニット(51)または前記第2の制御ユニット(52)によって、前記第1の遠心ポンプ(41)の動作パラメータを介して、または前記第2の遠心ポンプ(42)の動作パラメータを介して調整され、
前記動作パラメータは、好ましくは、前記第1の遠心ポンプ(41)または前記第2の遠心ポンプ(42)の回転速度である、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記タンジェンシャルフロー濾過は、前記流体が前記第1の流体開口部(21)から前記第2の流体開口部(22)に流れる第1の動作モードと、前記流体が前記第2の流体開口部(22)から前記第1の流体開口部(21)に流れる第2の動作モードとを含む交互モードで行われる、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとの間の変更は、前記所定の時間スキームに従って実行される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれのカテゴリーの特許独立請求項の前文による流体のタンジェンシャルフロー濾過のための装置および方法に関するものである。本発明はさらに、そのような装置のための使い捨て部品のセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
クロスフロー濾過とも呼ばれるタンジェンシャルフロー濾過は、流体を濾過するよく知られた方法であり、例えば、バイオテクノロジーおよび化学産業、ならびに食品および製薬業界で使用されている。タンジェンシャルフロー濾過では、濾過される流体、例えば懸濁液は、ゼロとは異なる流速で、フィルター要素、例えば、フィルター膜に平行に導かれ、濾液としても示される透過液は、流れの方向に対して横方向に除去される。流速が比較的速いため、フィルターケーキまたはカバー層がフィルター要素上に蓄積することを可能な限り回避する必要がある。
【0003】
タンジェンシャルフロー濾過は、濾過される流体、例えば懸濁液がリザーバから取り出され、その中にフィルター要素が配置されたフィルターユニットを通して搬送ポンプによって搬送され、次いでフィルターユニットからリザーバに誘導されて戻るバッチプロセスとしてしばしば実行される。流れ方向を横切るフィルターユニット内のフィルター要素を通過する透過液は、透過液開口部を通して排出または除去される。リザーバとフィルターユニット間の流れ接続部には、フレキシブルチューブまたはフレキシブルチューブ接続が選択されることがよくある。
【0004】
そのようなプロセスでは、タンジェンシャルフロー濾過を使用して、懸濁液を数回循環させ、それぞれ透過液として除去される液体成分、例えば水または栄養溶液をそれぞれ濾過することによって、流体(例えば、懸濁液)を濃縮することができるため、リザーバ内の懸濁液がますます濃縮されるようになる。しかしながら、タンジェンシャルフロー濾過によって回収される物質、例えばタンパク質を透過液として除去することも可能である。
【0005】
特に、連続プロセスおよびバッチプロセスの両方で、例えば細胞または他の生物学的材料を培養するためのプロセスにおいて、バイオリアクターと組み合わせてタンジェンシャルフロー濾過を使用することも知られている。例えば、細胞の連続培養に使用されるバイオリアクターを用いた灌流プロセスが知られており、それにより、例えば、細胞の代謝産物がタンジェンシャルフロー濾過によって分離され、細胞はバイオリアクターに導かれて戻る。例えば、細胞のための栄養溶液は、バイオリアクターに連続的に供給することができ、それにより、濾過された成分の質量または体積を置き換えることができる。特に灌流バイオリアクターでのそのような用途についても、今日では、時間のかかる滅菌プロセスを回避または削減するために、装置のコンポーネントを使い捨て部品として設計する傾向が高まっている。
【0006】
タンジェンシャルフロー濾過の効率に大きく影響するパラメータの1つは、フィルター要素全体の圧力降下であり、これにより、透過液がフィルター要素を通って移動する。このパラメータの尺度としてよく使用される変数は、膜貫通圧力(TMP)であり、これは、フィルター要素全体の圧力降下の算術平均として定義される。フィルター要素の入口での流体の圧力をP1で、フィルター要素の出口での圧力をP2で、透過液開口部での圧力をP3で表すと、膜貫通圧力TMPは次のように定義される。
(数1)
TMP=(P1+P2)/2-P3
【0007】
膜貫通圧力は、膜貫通圧力差とも表される。フィルター要素を通る透過液の流れを増加させるために、フィルターユニットの下流の流体の流れ抵抗を増加させることは既知の手段であり、それによってフィルター要素の出口での圧力P2が増加する。これにより、膜貫通圧力TMPが上昇する結果となり、これにより透過液の流れが大きくなる。
【0008】
通常、フィルターユニットの下流の流れ抵抗、したがってフィルター要素の出口での圧力P2は、流体の自由流断面積を狭くすることによって実現される。比例または(チューブ)ピンチバルブを使用することにより、この狭小化を実現することが知られている。しかしながら、この技術には大きな欠点がある。
【0009】
ピンチバルブの位置と膜貫通圧力との関係は非常に非線形であるため、搬送ポンプが一定に送出している場合でも、ピンチバルブを長時間調整することによってのみ、所望の膜貫通圧力を調整することができる。また、所望の膜貫通圧力の少なくともおおよその調整がまったく確実に可能であるピンチバルブの調整範囲は非常に狭い範囲しかない。例えば、既知のピンチバルブの場合、この範囲は、1ミリメートルよりも大幅に小さいピンチデバイスのストロークに対応する可能性がある。
【0010】
ピンチバルブの流れの断面が狭くなるため、非常に高いせん断力が発生する可能性があり、これは流体(例えば、懸濁液に含まれる粒子、細胞、またはタンパク質などの高分子に)損傷を与える可能性がある。したがって、望ましくない劣化が流体または流体の構成要素で発生する可能性がある。これらの高いせん断力は、特に流れの断面積の減少に起因する高い流速によっても引き起こされる。
【0011】
さらに不利な効果は、ピンチバルブ内のチューブの変形により、粒子がチューブから放出され、それが流体を汚染することである。これは、特にバイオテクノロジーまたは製薬の用途では、重大なリスクでもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、この最先端技術から始めて、膜貫通圧力および/またはタンジェンシャルフローを非常に高い精度で可能な限り広い動作範囲にわたって簡単な方法で確実に調整することができる、流体のタンジェンシャルフロー濾過のための装置および方法を提案することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的を満たす主題は、それぞれのカテゴリーの特許独立請求項の構成によって特徴付けられる。
【0014】
したがって、本発明によれば、流体のタンジェンシャルフロー濾過のための装置であって、流体用の第1の流体開口部および第2の流体開口部、ならびにフィルター要素、および流体から濾過された透過液を排出するための透過液開口部を有するフィルターユニットを含み、装置は、第1の流体開口部を流体用のリザーバに接続することができる第1の流れ接続部と、第2の流体開口部を流体用のリザーバに接続することができる第2の流れ接続部とをさらに含み、第1の遠心ポンプが、第1の流れ接続部に設けられ、第1の遠心ポンプにより、流体をリザーバからフィルターユニットに搬送することができ、第1の制御ユニットが、第1の遠心ポンプを作動させるために提供され、フィルターユニットは、フィルターユニット内のタンジェンシャルフロー濾過用の流体がフィルター要素に対して略平行に流れることができるように設計されている、装置が提案される。流体用の第2の遠心ポンプが、第2の流れ接続部に設けられ、第2の遠心ポンプによって、第2の流体開口部で逆圧を発生させることができ、第2の制御ユニットは、第2の遠心ポンプを作動させるために提供される。
【0015】
したがって、本発明によれば、その主な機能がフィルターユニットを通して流体を搬送することまたは流体を循環させることである第1の遠心ポンプに加えて、第2の遠心ポンプが第2の流れ接続部に設けられ、これはフィルターユニットの2番目の流体開口部に接続される。この第2の遠心ポンプは、第1の遠心ポンプと反対方向に動作し、したがって、第2の流体開口部で逆圧を生成することができ、その結果、第2の流体開口部での圧力が増加する。このようにして、フィルター要素を横切る圧力降下が増加し、それによって透過液の流れを増加させることができる。第2の流体開口部の圧力を増加させるために第2の流れ接続部を挟む必要がなく、第2の流れ接続部の自由流の断面も他の手段によって変更する必要がないことが特に有利である。このようにして、最先端技術から知られている装置の高い非線形性を回避することができる。第2の流体開口部での流体の圧力は、第2の遠心ポンプによって、広い動作範囲にわたって再現可能かつ確実に、簡単な方法で高精度に調整することができる。
【0016】
第2の流れ接続部における流れ断面を減少させるための手段は、本発明に従って省くことができるという事実のために、すなわち、例えば、チューブ接続部の挟み込みを省くことによって、関連する大幅に増加した流速もまた回避することができ、その結果、流体またはその成分に作用するせん断力が非常に低くなる。これは、特に流体またはその成分の可能な限り穏やかな処理に関して非常に有利である。したがって、本発明に係る装置の特定の利点は、特に第2の流れ接続部において、流れ断面を減少させるためのピンチバルブまたは他の要素なしで装置を設計できることである。
【0017】
また、例えばピンチバルブを使用する場合に避けられないように、第2の流れ接続部における強い機械的変形は、本発明に係るソリューションによって回避することができる。このようにして、特に、粒子が第2の流れ接続部、例えばチューブ接続部から逃げて、流体を汚染することを防ぐことができる。
【0018】
好ましい一実施形態によれば、装置は、第1の流れ接続部を通る流体の流量を決定するための流量センサを備え、第1の制御ユニットは、第1の遠心ポンプの動作パラメータ、特に回転速度を介して、流量の所望の値を調整できるように設計されている。したがって、この実施形態では、第1の遠心ポンプを使用して、第1の流れ接続部を通る流体の流れについての所定の所望の値を調整または調節する。
【0019】
さらに、複数の圧力センサが提供され、複数の圧力センサは、フィルター要素を介して複数の圧力センサによって膜貫通圧力が決定され得るように配置され、第2の制御ユニットは、第2の制御ユニットが第2の遠心ポンプの動作パラメータ、特に回転速度を介して、膜貫通圧力の所望の値を調整できるように設計されていることが好ましい。したがって、この実施形態では、膜貫通圧力は、第2の遠心ポンプによって所望の値に調整または調節される。
【0020】
好ましくは、複数の圧力センサは、第1の流体開口部での流体の第1の圧力を決定することができる第1の圧力センサと、第2の流体開口部での流体の第2の圧力を決定することができる第2の圧力センサと、透過液開口部での第3の圧力を決定することができる第3の圧力センサとを含む。このようにして、膜貫通圧力の実際の値を非常に簡単かつ正確な方法で決定することができる。
【0021】
また好ましい一実施形態によれば、第1の制御ユニットおよび第2の制御ユニットに信号接続された中央制御ユニットが提供され、中央制御ユニットは、第1の制御ユニットおよび第2の制御ユニットを作動させるために設計されている。したがって、第1および第2の遠心ポンプを互いに独立して作動させることに加えて、第1および第2の遠心ポンプのための第1および第2の制御ユニットをそれぞれ協調して作動させる中央制御ユニットを提供することも可能である。中央制御ユニットを備えた実施形態の1つの利点は、単一の遠心ポンプの場合、圧力、またはより正確には送出ヘッドが、遠心ポンプの回転速度の2乗に比例するという事実から生じる二次項を、作動または調節において排除することができることである。
【0022】
特に好ましくは、第2の遠心ポンプは、流体を搬送するためのロータと、ロータと共に、ロータを軸線方向の周りに回転させるための電磁回転ドライブを形成するステータとを含み、ロータは、磁気有効コアと、流体を搬送するための複数のベーンとを含み、ステータは、ロータを非接触で磁気的に駆動させることができ、ステータに対して非接触で磁気的に浮上させることができる、ベアリング・ドライブステータとして設計される。したがって、ロータの非接触磁気浮上により、例えば摩耗による流体の汚染につながる可能性がある機械的なベアリングは必要とされない。ロータの非接触磁気浮上はまた、例えばロータの回転速度を介して、第2の遠心ポンプによって生成される圧力の非常に正確で簡単な調整を可能にする。
【0023】
代替として、しかしながら好ましくは補完的に、第1の遠心ポンプは、流体を搬送するためのロータと、ロータと共に、ロータを軸線方向の周りに回転させるための電磁回転ドライブを形成するステータとを含み、ロータは、磁気有効コアと、流体を搬送するための複数のベーンとを含み、ステータは、ロータを非接触で磁気的に駆動させることができ、ステータに対して非接触で磁気的に浮上させることができる、ベアリング・ドライブステータとして設計される。
【0024】
したがって、ステータに対して非接触で磁気的に駆動でき、非接触で磁気的に浮上できるロータを備えた第1の遠心ポンプのみを設計するか、またはステータに対して非接触で磁気的に駆動でき、非接触で磁気的に浮上できるロータを備えた第2の遠心ポンプのみを設計することが可能である。好ましくは、第1および第2の遠心ポンプの両方がそれぞれ、ステータに対して非接触で磁気的に駆動され、非接触で磁気的に浮上することができるロータを備えて設計される。
【0025】
ロータの磁気浮上に関して、各々のロータは、それぞれ、軸線方向に垂直な半径方向平面内で能動的に磁気浮上され、軸線方向において、傾斜に対して受動的に磁気的に安定化されることが特に好ましい。
【0026】
特に好ましい実施形態は、テンプルモータとしての実施形態であり、各々のステータは、軸線方向に延在する長手方向肢部と、半径方向平面内に配置され、長手方向肢部から半径方向に延在する横方向肢部とを各々が含む複数のコイルコアを含み、少なくとも1つの集中巻線が、それぞれの長手方向肢部を取り囲む各々の長手方向肢部に配置されている。テンプルモータとしての実施形態は、特にコンパクトで同時に効率的な実施形態である。
【0027】
特に好ましい一実施形態によれば、各々の遠心ポンプは、それぞれポンプハウジングを有するポンプユニットを含み、ポンプハウジングは、流体を搬送するための入口と出口とを含み、ロータは、ポンプハウジング内に配置され、流体を搬送するための複数のベーンを含み、ポンプユニットは、ポンプユニットをステータに挿入できるように設計されている。
【0028】
好ましくは、装置のいくつかの構成要素、特に流体と接触するそれらの構成要素が、使用目的に従って、一度だけ使用することができ、この使用後に、新しい、つまり未使用の使い捨て部品と交換する必要がある、使い捨て部品として設計されるように、本発明に係る装置は設計されている。
【0029】
このため、本発明に係る装置のための使い捨て部品のセットは、本発明によってさらに提案され、このセットは、少なくとも以下の構成要素:
フィルターユニットと、
各々の遠心ポンプに対してそれぞれ1つのポンプユニットと、
第1の流れ接続部および第2の流れ接続部を実現するために設計された複数のチューブと、
任意選択で、流体用のリザーバまたはリザーバ用のインサートとを含み、構成要素の各々が使い捨て部品として設計されている。
【0030】
使い捨て部品として設計されたこの構成要素のリストは網羅的ではないことが理解される。使い捨て部品のセットは、他の使い捨て部品、例えば圧力センサの構成要素を含むことができる。
【0031】
さらに、流体のタンジェンシャルフロー濾過のための方法が本発明によってさらに提案され、この方法では、流体用の第1の流体開口部および第2の流体開口部、ならびにフィルター要素、および流体から濾過された透過液を排出するための透過液開口部を有するフィルターユニットに流体が供給され、フィルターユニットは、フィルターユニット内のタンジェンシャルフロー濾過用の流体がフィルター要素に略平行に案内されるように設計されており、この方法では、流体は、第1の遠心ポンプによって、リザーバから第1の流れ接続部を通ってフィルターユニットにさらに搬送され、流体は、第2の流体開口部から第2の流れ接続部を通ってリザーバに案内されて戻ることができ、第1の遠心ポンプは、第1の制御ユニットによって作動される。第2の流れ接続部に設けられた第2の遠心ポンプを用いて第2の流体開口部に逆圧が発生し、第2の遠心ポンプは、第2の制御ユニットによって作動される。
【0032】
本発明に係る方法の利点は、本発明に係る装置に関連して既に説明されたものと同様である。
【0033】
好ましくは、第1の流れ接続部を通る流体の流量は、流量センサによって決定され、流量の所望の値は、第1の制御ユニットによって第1の遠心ポンプの動作パラメータ、特に回転速度を介して決定される。
【0034】
また、第1の流体開口部での第1の圧力は、第1の圧力センサによって決定されるか、または、第2の流体開口部での第2の圧力は、第2の圧力センサによって決定されるか、または、透過液開口部での第3の圧力は、第3の圧力センサによって決定され、第1の圧力または第2の圧力または第3の圧力の所望の値は、第2の遠心ポンプの動作パラメータ、特に回転速度を介して、第2の制御ユニットによって調整されることが好ましい。
【0035】
さらに、膜貫通圧力が、フィルター要素を介して複数の圧力センサによって決定され、膜貫通圧力の所望の値は、第1の制御ユニットまたは第2の制御ユニットによって、第1の遠心ポンプの動作パラメータを介して、または第2の遠心ポンプの動作パラメータを介して調整され、動作パラメータは、好ましくは、第1の遠心ポンプまたは第2の遠心ポンプの回転速度である場合、有利である。
【0036】
好ましい一変形例では、タンジェンシャルフロー濾過は、流体が第1の流体開口部から第2の流体開口部に流れる第1の動作モードと、流体が第2の流体開口部から第1の流体開口部に流れる第2の動作モードとを含む交互モードで行われる。これは、濾過される流体が、第1の動作モードで第1の遠心ポンプからフィルターユニットを通って第2の遠心ポンプに流れ、第2の動作モードで反対方向に第2の遠心ポンプからフィルターユニットを通って第1の遠心ポンプに流れるように2つの遠心ポンプが作動することを意味する。これは、特に、第2の流体開口部で第2の遠心ポンプによって生成される逆圧が、フィルターユニットの第1の流体入口で第1のポンプによって生成される圧力よりも大きくなるように、第2の動作モードで2つの遠心ポンプを作動させることによって達成することができる。
【0037】
2つの動作モードでの流れの方向は、それぞれ2つの遠心ポンプによって生成される圧力の差圧によって決定される。
【0038】
交互モードでのこの動作の利点は、フィルター要素が反対方向に交互にオーバーフローし、これにより、多くの用途で、フィルター要素への堆積またはフィルター要素への不要なフィルターケーキの蓄積をより効率的に回避できることである。
【0039】
交互モードでは、第1の動作モードと第2の動作モードとの間の変更は、好ましくは、所定の時間スキームに従って実行される。
【0040】
第1の動作モードと第2の動作モードを50%:50%の比率で実行することが可能であるが、もちろん、75%:25%など他の比率も可能である。適切な比率の選択は、それぞれの用途に応じて選択することも、それぞれの用途に対して最適化することもできる。
【0041】
第1の動作モードと第2の動作モードとの間で変化する頻度もまた、必要に応じて調整することができる。さらに、各々の動作モードについて、それぞれの流量または3つの圧力のうちの1つ、すなわち、第1の流体開口部での圧力、第2の流体開口部での圧力、または透過液開口部での圧力、したがって膜貫通圧力もまた、必要に応じて調整することができる。
【0042】
本発明のさらに有利な手段および実施形態は、従属請求項から生じる。
【0043】
以下では、本発明は、装置およびプロセス技術の両方の観点から、実施形態に基づいて、および図面に基づいて、より詳細に説明される。図面は(部分的に断面図で)以下を示している。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】タンジェンシャルフロー濾過のための本発明に係る装置の第1の実施形態の概略図。
図2】第2の動作モードにおける第1の実施形態の概略図。
図3】第1の実施形態の変形例、
図4】タンジェンシャルフロー濾過のための本発明に係る装置の第2の実施形態の概略図。
図5】第2の動作モードにおける第2の実施形態の概略図。
図6】テンプルモータとして設計された電磁ロータリードライブの斜視図。
図7】軸線方向の断面で接触することなく磁気的に浮上させることができるロータを有する遠心ポンプの一実施形態。
図8】概略図におけるリザーバの一実施形態。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、流体のタンジェンシャルフロー濾過のための本発明に係る装置の第1の実施形態を概略図で示しており、これは、全体として符号1で示されている。流体は、例えば、少なくとも1つの成分が濾過される懸濁液である。ここで、透過液として排出される濾過される成分が、濾過中に回収される標的生成物(例えば、タンパク質)であるか、または透過液を濾過することによって保持液として残っている流体が、例えば、流体の1つまたは複数の成分の濃度が増加するように、濾過によって濃縮されるべき標的生成物である可能性がある。
【0046】
タンジェンシャルフロー濾過用の装置1は、フィルター要素25が配置されたフィルターユニット2、フィルターユニット2を流体用のリザーバ(貯蔵槽)8に接続することができる第1の流れ接続部31、およびフィルターユニット2をリザーバ8に接続することができる第2の流れ接続部32を含む。
【0047】
例えば、リザーバ8はまた、細胞の連続培養のための灌流プロセスのためのバイオリアクターとすることができ、それにより、フィルターユニット2は、細胞の代謝産物を濾過して除去するために、または無細胞培地を取得するために使用され、細胞または細胞を含む懸濁液は、その後バイオリアクターに戻される。
【0048】
流体用の第1の遠心ポンプ41は、流体用の入口411および出口412を有する第1の流れ接続部31に配置される。さらに、第1の遠心ポンプ41を作動させるために、第1の制御ユニット51が設けられている。好ましくは、第1の制御ユニット51は、第1の遠心ポンプ41の動作を調節することができる調節装置を含む。
【0049】
流体用の第2の遠心ポンプ42は、流体用の入口421および出口422を有する第2の流れ接続部32に配置される。さらに、第2の遠心ポンプ42を作動させるために、第2の制御ユニット52が設けられている。好ましくは、第2の制御ユニット52は、第2の遠心ポンプ42の動作を調節することができる調節装置を含む。
【0050】
第2の遠心ポンプ42は、そのように配置され、第1の遠心ポンプ41とは反対方向に動作するように操作される。これは、第1の遠心ポンプ41の出口412が、フィルターユニット2を介して第2の遠心ポンプ42の出口422に接続されていることを意味する。第1の遠心ポンプ41の出口412および第2の遠心ポンプ42の出口422の両方は、それぞれ、フィルターユニット2に接続されている。
【0051】
流体の流れ、特に流れの方向は、図1では符号Fを付した矢印で表されている。
【0052】
フィルターユニット2は、流体用の第1の流体開口部21および第2の流体開口部22、ならびに図1において符号Pの付いた矢印によって示される、流体から濾過された透過液を排出するための透過液開口部23を含む。
【0053】
図1に示される流れFの方向において、第1の流体開口部21は、流体がそれを通ってフィルターユニット2に流入するフィルターユニット2の入口として機能し、第2の流体開口部22は、保持液がそれを通ってフィルターユニット2から流出する出口として機能する。
【0054】
フィルターユニット2は、クロスフロー濾過とも呼ばれるタンジェンシャルフロー濾過用に設計されている。これは、フィルターユニット2内の流体がフィルター要素25に平行に案内され、その結果、流体がフィルター要素25全域にわたって流れ、透過液からの濾過が流体の流れ方向に垂直に行われることを意味する。
【0055】
タンジェンシャルフロー濾過用に設計されたそのようなフィルターユニット2は、最先端技術から当業者に十分に知られており、したがって、さらなる説明を必要としない。
【0056】
タンジェンシャルフロー濾過における実質的な変数は、透過液からの濾過を動作させる、フィルター要素25を横切る圧力差である。一般的な慣行として、フィルター要素25を横切るこの圧力差はまた、この用途の枠組みにおけるいわゆる膜貫通圧力(TMP)によって特徴付けられる。膜貫通圧力(TMP)は、フィルター要素25を横切る圧力降下の算術平均を示す数学変数である。
【0057】
第1の流体開口部21での流体の圧力は、第1の圧力P1として示されている。第2の流体開口部22での流体の圧力は、第2の圧力P2として示されている。透過液開口部23での流体の圧力は、第3の圧力P3として示されている。そして、膜貫通圧力TMPは次のように定義される。
(数2)
TMP=(P1+P2)/2-P3
【0058】
膜貫通圧力は、膜貫通圧力差とも呼ばれる。
【0059】
第1の流れ接続部31および第2の流れ接続部32は、好ましくは、可撓性パイプとして設計されたパイプ、すなわち、壁を変形させることができるパイプで実現される。各々のパイプは、例えば、(例えば、シリコーンゴム、PVC(塩化ポリビニル)、PU(ポリウレタン)、PE(ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、PP(ポリエチレン)、EVA(エチルビニルアセテート)、またはナイロンで作製された)チューブとして(特に、プラスチックチューブとして)設計されている。好ましくは、第1の流れ接続部31または第2の流れ接続部32に属する各々のチューブは、単回使用のために設計されている。単回使用のために設計された場合、処理される物質と接触するそれらの構成要素(つまり、この場合は特にチューブ)は、正確に1回だけ使用され、その後、次の利用の間に新しい(つまり、未使用の)使い捨て部品と交換される。
【0060】
第1の流れ接続部31は、リザーバ8の第1の開口部81を第1の遠心ポンプ41の入口411に接続する供給チューブ311と、第1の遠心ポンプ41の出口412をフィルターユニット2の流体開口部21に接続する供給チューブ312とを含む。
【0061】
さらに、第1の流れ接続部31を通る流体の流量を決定するために、流量センサ6が提供される。例えば、流量センサ6は、第1の流れ接続部31の供給チューブ311の中または上に、すなわち、リザーバ8と第1の遠心ポンプ41との間に提供される。特に、流量センサ6は、いわゆるクランプオンセンサとして、すなわち、供給チューブ311が流量センサ6の測定範囲内にクランプされるように供給チューブ311上にクランプされる流量センサ6として設計することができる。
【0062】
第2の流れ接続部32は、フィルターユニット2の第2の流体開口部22を第2の遠心ポンプ42の出口422に接続する排出チューブ322と、第2の遠心ポンプ42の入口421をリザーバ8の第2の開口部82に接続するリターンチューブ321とを含む。
【0063】
このようにして、第1の遠心ポンプ41の出口412および第2の遠心ポンプ42の出口422の両方が、それぞれフィルターユニット2に接続される、すなわち第1の遠心ポンプ41の出口412が、フィルターユニット2の第1の流体開口部に接続され、第2の遠心ポンプ42の出口422が、フィルターユニット2の第2の流体開口部22に接続される。このため、第2の遠心ポンプ42は、第2の流体開口部22で逆圧を発生させることができるため、第2の圧力P2は、第2の流体開口部22で調整することができる。
【0064】
動作状態では、第1の遠心ポンプ41は、流体をフィルターユニット2およびフィルター要素25を介して移動させるように機能する。第1の遠心ポンプ41は、流体を、リザーバ8から第1の流れ接続部31を通り、フィルターユニット2を通り、第2の流れ接続部32を通り、リザーバ8に戻すように循環させる。
【0065】
動作状態では、第2の遠心ポンプ42は、フィルターユニット2の第2の流体開口部22で逆圧を発生させるように機能し、すなわち、第2の遠心ポンプ42は、フィルターユニット2の第2の流体開口部22で優勢な第2の圧力P2を増加させるように操作される。
【0066】
好ましくは、装置1は、複数の圧力センサ71、72、73をさらに含み、圧力センサ71、72、および73は、フィルター要素25を介してTMPを決定するために使用できるように配置および設計される。
【0067】
図1に示される実施形態では、合計3つの圧力センサ71、すなわち、第1の流体開口部21での流体の第1の圧力P1を決定することができる第1の圧力センサ71、第2の流体開口部22での流体の第2の圧力P2を決定することができる第2の圧力センサ72、および透過液開口部23での第3の圧力P3を決定することができる第3の圧力センサ73が提供される。
【0068】
圧力センサ71、72、73のうちの1つのみ(例えば、第1の圧力センサ71のみ、または第2の圧力センサ72のみ、または第3の圧力センサ73のみ)が提供される、本発明に係る装置1の実施形態もまた可能であることが理解される。さらに、正確に2つの圧力センサ(すなわち、第1の圧力センサ71と第2の圧力センサ72のみ、または第1の圧力センサ71と第3の圧力センサ73のみ、または第2の圧力センサ72と第3の圧力センサ73のみ)が提供される実施形態もまた可能である。
【0069】
圧力センサ71、72、73の数、およびどの圧力センサ71、72、73が提供されるかは、特に、本発明に係る方法が実行される調節装置または制御システムの特定の設計に依存する。
【0070】
図1に示される第1の実施形態では、第1の圧力センサ71は、第1の遠心ポンプ41とフィルターユニット2との間に、すなわち、供給チューブ312の中または上に提供される。第2の圧力センサ72は、フィルターユニット2と第2の遠心ポンプ42との間に、すなわち、排出チューブ322の中または上に提供される。第3の圧力センサ73は、透過液開口部23またはその下流に配置される。
【0071】
本発明に係る方法は、好ましくは、本発明に係る装置1を用いて、2つの遠心ポンプ41または42の一方が、流量の所望の値を調整または調節するために使用され、2つの遠心ポンプ42または41の他方が、膜貫通圧力(TMP)をTMPの所望の値に調整または調節するために使用される。
【0072】
それにより、流量およびTMPの所望の値の調整のために、それぞれの調整が、第1の遠心ポンプ41または第2の遠心ポンプ42の動作パラメータを介して第1の制御ユニット51または第2の制御ユニット52によってそれぞれ実行されることが好ましい。特に好ましくは、それぞれの動作パラメータは、第1の遠心ポンプ41または第2の遠心ポンプ42の回転速度である。
【0073】
以下に、装置1の動作のいくつかの変形例について説明する。これらの変形例の共通の特徴は、第1の制御ユニット51が流れ制御のために、すなわち、第1の流れ接続部31を通る流体の流れを流量の所望の値に調節するために使用されることである。第2の制御ユニット52は、圧力調節、すなわち、膜貫通圧力(TMP)をTMPの所望の値に調節するため、または第1の圧力P1または第2の圧力P2または第3の圧力P3をそれぞれの所望の値に調節するために使用される。したがって、第2の制御ユニット52は、圧力調節のために使用される。
【0074】
2つの制御ユニット51および52はそれぞれ、自立的な制御ユニット51、52として設計することができる。制御ユニット51および52が互いに信号または情報を交換する必要はないが、可能である。
【0075】
第1の制御ユニット51は、1つまたは複数の測定信号または実際の値および/または所望の値を含むことができる第1の入力変数E1を受け取り、第1の入力変数E1によって第1の出力変数A1を決定し、これにより、第1の遠心ポンプ41が作動されて、流量の所望の値を調節または維持する。第1の出力変数A1は、特に、第1の遠心ポンプ41の回転速度を調整することができる情報、または第1の遠心ポンプ41の回転速度の値を含む。
【0076】
第2の制御ユニット52は、1つまたは複数の測定信号または実際の値および/または所望の値を含むことができる第2の入力変数E2を受け取り、第2の入力変数E2によって第2の出力変数A2を決定し、これにより、第2の遠心ポンプ42が作動して、TMPまたは第1の圧力P1または第2の圧力P2または第3の圧力P3の所望の値を調節または維持する。第2の出力変数A2は、特に、第2の遠心ポンプ52の回転速度を調整することができる情報、または第2の遠心ポンプ42の回転速度の値を含む。
【0077】
第1の変形例によれば、第1の入力変数E1は、流量の所望の値と、流量センサ6の助けを借りて決定される流量の実際の値とを含む。第1の遠心ポンプ41の回転速度は、流量の実際の値が流量の所望の値に調節されるように、第1の出力変数A1によって変更される。第2の入力変数E2は、第1の圧力P1、第2の圧力P2、および第3の圧力P3の実際の値、ならびにTMPの所望の値を含む。第2の遠心ポンプ42の回転速度は、TMPの実際の値がTMPの所望の値に調節されるように、第2の出力変数A2によって変更される。TMPの実際の値は、例えば、3つの圧力P1、P2、P3から決定できる。
【0078】
さらなる変形例によれば、第1の入力変数E1は、流量の所望の値と、流量センサ6の助けを借りて決定される流量の実際の値とを含む。第1の遠心ポンプ41の回転速度は、流量の実際の値が流量の所望の値に調節されるように、第1の出力変数A1によって変更される。第2の入力変数E2は、圧力P1またはP2またはP3のうちの1つの実際の値、すなわち、第1の圧力P1の実際の値、または第2の圧力P2の実際の値、または第3の圧力P3の実際の値のいずれかのみを含む。第2の入力変数E2は、この圧力の所望の値、すなわち、第1の圧力P1の所望の値、または第2の圧力P2の所望の値、または第3の圧力P3の所望の値のいずれかをさらに含む。第2の遠心ポンプ42の回転速度は、圧力P1またはP2またはP3の実際の値がこの圧力P1またはP2またはP3の所望の値に調節されるように、第2の出力変数A2によって変更される。この変形例では、第1の制御ユニット51の流量調節および第2の制御ユニット52の圧力調節の両方が、好ましくは、それぞれ比例積分(PI)調節として設計される。
【0079】
用途に応じて、タンジェンシャルフロー濾過の方法は、濾過される流体(例えば、懸濁液)が、第1の遠心ポンプ41によってリザーバ8から取り出され、第1の流れ接続部31を通って、フィルター要素25がその中に配置されたフィルターユニット2を通って、第2の流れ接続部32を通って、リザーバ8に戻る、バッチプロセスとして実行され得る。流れ方向に対して横方向にフィルターユニット2内のフィルター要素25を通過する透過液は、透過液開口部23を通って排出または除去される。これにより、第2の遠心ポンプ42によって逆圧が発生し、第2の流体開口部22で第2の圧力P2を調整する。第1の制御ユニット51は、第1の遠心ポンプ41を介して、好ましくは第1の遠心ポンプ41の回転速度を介して、流体の流量を流量の所望の値に調節する。第2の制御ユニット52は、圧力を、好ましくはTMPまたは第1の圧力P1または第2の圧力P2または第3の圧力P3を、第2の遠心ポンプ42を介して、好ましくは第2の遠心ポンプ42の回転速度を介して、この圧力の所望の値に調節する。
【0080】
しかしながら、例えば、代謝産物の連続的除去のための灌流バイオリアクターを用いた用途において、連続的方法としてタンジェンシャルフロー濾過のための方法を実行することも可能である。
【0081】
この方法を実行するための第1の変形例によれば、流体は、濾過プロセス全体の間、すなわち、例えば、バッチプロセス全体の間または連続プロセス全体の間、常に装置1を通って同じ方向に循環される。
【0082】
本発明に係る方法を実施するための別の一変形例によれば、タンジェンシャルフロー濾過は交互モードで実施される。交互モードは、流体が、例えば上記のように、フィルターユニット2を通って第1の流体開口部21から第2の流体開口部22に流れる第1の動作モードと、流体の流れ方向が反転する第2の動作モードとを含むため、第2の動作モードでは、流体は、フィルターユニット2の第2の流体開口部22から第1の流体開口部21に流れる。
【0083】
図2では、第2の動作モードが、装置1の第1の実施形態の概略図で示され、図2は、それ以外は図1に対応する。
【0084】
第1の動作モードから第2の動作モードへの変更は、2つの遠心ポンプ41、42を作動させることによって簡単な方法で実現することができる。例えば、第2の動作モードでは、2つの遠心ポンプ41、42は、したがって、第2の遠心ポンプ42によって生成される逆圧が非常に大きく、フィルターユニット2の第2の流体開口部22での第2の圧力P2が、フィルターユニット2の第1の流体入口21で第1の遠心ポンプ41によって生成される第1の圧力P1よりも大きくなるように作動される。
【0085】
第2の動作モードでは、第1の動作モードと比較して、第1の制御ユニット51および第2の制御ユニット52の機能が交換されることが好ましい。したがって、第2の動作モードでは、第2の制御ユニット52は、好ましくは、流量調節のために、すなわち、流体の流量を流量の所望の値に調節するために使用される。第1の制御ユニット51は、圧力調節のために、すなわち、膜貫通圧力(TMP)をTMPの所望の値に調整するために、または第1の圧力P1または第2の圧力P2または第3の圧力P3をそれぞれの所望の値に調節するために使用される。ここで、第1の制御ユニット51は、このように圧力調節のために使用される。
【0086】
したがって、第2の動作モードでは、第2の制御ユニット52は、上記のように1つまたは複数の測定信号または実際の値および/または所望の値を含むことができる第1の入力変数E1を受け取り、第2の遠心ポンプ42が、流量の所望の値を調節または維持するために作動される第1の入力変数E1の助けを借りて、第1の出力変数A1を決定する。
【0087】
第1の制御ユニット51は、上記のように1つまたは複数の測定信号または実際の値および/または所望の値を含むことができる第2の入力変数E2を受け取り、第1の遠心ポンプ41が、TMPまたは第1の圧力P1または第2の圧力P2または第3の圧力P3の所望の値を調節または維持するために作動される第2の入力変数E2の助けを借りて、第2の出力変数A2を決定する。
【0088】
タンジェンシャルフロー濾過の方法を交互モードで実行することは、フィルター要素25が交互に反対方向にオーバーフローし、それにより、フィルター要素25への堆積またはフィルター要素25上の望ましくないフィルターケーキの蓄積を、多くの用途でより効率的に回避することができるという利点を有する。流れの方向を逆にすることにより、フィルター要素25上または中に既に形成された堆積物を再び(少なくとも部分的に)除去することも可能である。
【0089】
流れ方向を逆転させるこの手段により、フィルター要素25の目詰まりまたは部分的な目詰まりも防止または少なくとも低減し、したがって、フィルター要素の透過性を維持し、したがって、例えば、1つの流れ方向のみによる動作と比較して、透過液の収量を増加させることができる。さらに、1つの流れ方向のみによる動作と比較して、フィルターユニット2またはフィルター素子25を長期間使用することが可能となる。
【0090】
交互モードでは、第1の動作モードと第2の動作モードとの間の変更は、好ましくは、所定の時間スキームに従って実行される。
【0091】
最終的にフィルターユニットを通る流体の流れ方向を決定する、第1の遠心ポンプ41および第2の遠心ポンプ42によって生成される2つの圧力の差圧、したがって第1の圧力P1と第2の圧力P2との間の差は、動作モードごとに独立して調整できる。特に、第1の動作モードでの動作量に関して、第1の圧力P1と第2の圧力P2との差に対して第2の動作モードとは異なる値を調整することもできる。さらに、例えば、第2の動作モードとは異なる膜貫通圧力(TMP)を第1の動作モードで調整または調節することが可能である。第1の動作モードにおいて第2の動作モードとは異なる流体の流量を調整または調節することも可能である。
【0092】
第1の動作モードと第2の動作モードとの間の変更の数または変化の頻度もまた自由に調整可能であり、それぞれの用途に合わせて最適化することができる。
【0093】
タンジェンシャルフロー濾過の全プロセスにおける第1の動作モードまたは第2の動作モードのパーセンテージも自由に選択できる。例えば、第1の動作モードと第2の動作モードを50%:50%の比率で、すなわち等しい比率で実行することが可能であるが、もちろん他の比率、例えば75%:25%またはさらには99%:1%も可能である。適切な比率の選択は、それぞれの用途に応じて選択することも、それぞれの用途に合わせて最適化することもできる。
【0094】
図1に類似した図において、図3は、本発明に係る装置の第1の実施形態の一変形例を示している。
【0095】
装置1のこの変形例では、例えば、第2の流れ接続部32に配置され、これを用いて流体の粘度を決定することができる粘度センサ9がさらに提供される。好ましくは、粘度センサ9は、流体の粘度のインライン測定のために設計されている。粘度センサは、好ましくは、第2の流れ接続部32のリターンチューブ321の中または上に配置される。例えば、粘度センサ9によって、特に、流体からの透過液の濾過が流体の粘度の変化をもたらすような用途において、流体の濃度の進行を決定することができる。
【0096】
さらに、図3に示される変形例では、透過液開口部23の下流に(例えば、第3の圧力センサ73の下流に)配置される第2の流量センサ62も提供される。フィルター要素25によって流体から濾過された透過液の流れは、第2の流量センサ62を用いて、したがって、例えば、透過液の量(物質の量または体積または質量)によって決定することができる。これから、タンジェンシャルフロー濾過の効率に関する情報を得ることができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、粘度センサ9および第2の流量センサ62の両方が提供される。他の実施形態では、2つの要素のうちの1つだけ、粘度センサ9のみ、または第2の流量センサ62のみのいずれかが提供される。
【0098】
さらに、粘度センサを使用する代わりに、例えば、インライン屈折計またはインライン光分光計を使用してタンパク質濃度を決定することが可能である。しかしながら、このような器具は非常に高価であるため、それぞれの使用前にそれらを洗浄および滅菌する必要なしに、これらの装置を再利用できることが重要である。例えば、これは、透明なプラスチック、例えば、ポリカーボネートで作られた部品を、それを通して屈折計または光分光計の光を導くことができるそれぞれのチューブに挿入することによって達成することができる。ここで、挿入される部品は、円形ではなく、例えば長方形、六角形、または八角形のような平坦な壁で設計されていることが有利である。
【0099】
図4および図5において、タンジェンシャルフロー濾過のための本発明に係る装置1の第2の実施形態が、それぞれ概略図に示され、図4は、第1の動作モードにおける第2の実施形態を示し、図5は、第2の動作モードにおける第2の実施形態を示している。
【0100】
以下の第2の実施形態の説明では、第1の実施形態との違いのみをより詳細に説明する。同じ部品または第2の実施形態の機能において同等な部品は、第1の実施形態またはその変形例と同じ符号で示されている。特に、符号は、第1の実施形態に関連して既に説明したものと同じ意味を有する。第1の実施形態の前述のすべての説明およびその変形例もまた、第2の実施形態に同じ方法でまたは類似の方法で当てはまることが理解される。
【0101】
第2の実施形態では、装置1は、第1の制御ユニット51および第2の制御ユニット52に信号接続された中央制御ユニット5をさらに含み、中央制御ユニット5は、第1の制御ユニット51および第2の制御ユニット52を作動させるように設計される。
【0102】
装置1の第2の実施形態は、タンジェンシャルフロー濾過が交互モードで実行される方法の実施形態にとって特に有利である。もちろん、装置1の第2の実施形態は、交互モードでのタンジェンシャルフロー濾過での使用に限定されず、タンジェンシャルフロー濾過中に流れ方向の逆転が起こらない本発明に係る方法のそのような実施形態にも使用することができる。
【0103】
図4および図5に示される実施形態では、装置1の第2の実施形態は、特に交互モードで動作するように設計されている。
【0104】
中央制御ユニット5は、特にいくつかの所望の値を含む入力変数Eを受け取る。中央制御部5の入力変数Eは、例えば、以下の所望の値:第1の圧力P1の所望の値、第2の圧力P2の所望の値、第3の圧力P3の所望の値、膜貫通圧力TMPの所望の値、流体の流量の所望の値、第1の動作モードと第2の動作モードとの間の変化の頻度の所望の値、第1または第2の動作モードの相対デューティサイクル(すなわち、タンジェンシャルフロー濾過における第1または第2の動作モードのパーセンテージシェア)の所望の値のうちの1つまたは複数を含む。いくつかの所望の値(例えば、圧力P1、P2、P2またはTMPの所望の値、または流量の所望の値)は、第1の動作モードに対して、第2の動作モードとは異なる値を有することができる(が必ずしもそうである必要はない)。
【0105】
中央制御ユニット5は、入力変数Eから第1の制御信号S1を生成して第1の制御ユニット51を作動させ、第2の制御信号S2を生成して第2の制御ユニット52を作動させる。第1の制御信号S1は第1の制御ユニット51に送信され、第2の制御信号S2は第2の制御ユニット52に送信される。
【0106】
第1の動作モードでは、第1の制御ユニット51は、第1の制御信号S1に加えて、特に以下の実際の値:流体の流量の実際の値、第1の圧力P1の実際の値、第2の圧力P2の実際の値、第3の圧力P3の実際の値のうちの1つまたは複数を含む入力変数E1を受け取る。第1の制御ユニット51は、第1の制御信号S1によって、および第1の入力変数E1によって、第1の遠心ポンプ41が作動される第1の出力変数A1を決定する。
【0107】
第1の動作モードでは、第2の制御ユニット52は、第2の制御信号S2に加えて、特に、以下の実際の値:流体の流量の実際の値、第1の圧力P1の実際の値、第2の圧力P2の実際の値、第3の圧力P3の実際の値のうちの1つまたは複数を含む入力変数E2を受け取る。第2の制御ユニット52は、第2の制御信号S2によって、および第2の入力変数E2によって、第2の遠心ポンプ42が作動される第2の出力変数A2を決定する。
【0108】
第1の実施形態と類似の方法で、第1の制御ユニット51は、第2の動作モード(図5)で入力変数E2を受け取ることができ、第2の制御ユニット52は、入力変数E1を受け取ることができることが理解される。
【0109】
図4および図5に示される実施形態では、入力変数E1として第1の制御ユニット51によって受け取られる情報は、入力変数E2として第2の制御ユニットによって受け取られる情報と同一であるため、交互動作モードの場合、第1の制御ユニット51および第2の制御ユニット52は、流体の所望の流れ方向に応じて、流れ調節または圧力調節として機能するために利用可能なすべての情報を有する。制御信号S1またはS2に基づいて、第1の制御ユニット51または第2の制御ユニット52は、それらが現在流量調節として動作するか圧力調節として動作するか、および第1の動作モードから第2の動作モードへの変化およびその逆がいつ行われるかを認識することができる。両方の遠心ポンプ41、42の調節により、圧力調節と流量調節を同時に実現することが可能である。
【0110】
原則として、流体がフィルターユニット2を通って移動することができるすべてのタイプの遠心ポンプは、第1の遠心ポンプ41および第2の遠心ポンプ42として適切である。
【0111】
以下では、図6および図7に基づいて、第1の遠心ポンプ41または第2の遠心ポンプ42、好ましくは第1および第2の遠心ポンプ41および42の両方に特に好ましいタイプの遠心ポンプについて説明する。
【0112】
好ましくは、第1の遠心ポンプ41および第2の遠心ポンプ42の両方が、図6および図7に示される実施形態に従って設計されるので、以下の説明において、第1の遠心ポンプ41と第2の遠心ポンプ42との間にさらなる言語的区別はなされないが、遠心ポンプ41、42が参照され、説明は、第1の遠心ポンプ41と第2の遠心ポンプ42に同じように適用される。
【0113】
特に好ましくは、しかしながら必ずしもそうではないが、第1の遠心ポンプ41および第2の遠心ポンプ42は、少なくとも略同一に設計されている。
【0114】
以下に説明する遠心ポンプ41、42は、流体を搬送するためのロータ30と、ロータ30と共に、ロータ30を軸線方向Aの周りに回転させるための電磁回転ドライブ10を形成するステータ20とを含み、ロータ30は、磁気有効コア301と、流体を搬送するための複数のベーン305(図7)とを含み、ステータ20は、ロータ30を非接触で磁気的に駆動させることができ、ステータ20に対して非接触で磁気的に浮上させることができる、ベアリング・ドライブステータとして設計される。
【0115】
遠心ポンプ41、42のこの実施形態の特定の利点は、電磁回転ドライブ10のロータ30および遠心ポンプ41、42のロータ30の両方によって流体が搬送されるため、ロータ30が一体型ロータとして設計されることである。したがって、ロータ30は、合計で、3つの機能を1つで果たす。つまり、それは電磁ドライブ10のロータ30であり、それは磁気浮上のロータ30であり、そしてそれは流体が作用するインペラである。一体型ロータとしてのこの実施形態は、非常にコンパクトで省スペースの設計の利点を提供する。
【0116】
さらなる利点は、ステータ20に対するロータ30の非接触磁気浮上であり、これは、ロータ30用の機械的ベアリングがないため、機械的ベアリングで発生する可能性があるような汚染物質が流体に入らないことを保証する。また、機械的ベアリングとそれらで発生する摩擦力が無いため、駆動電流や駆動電圧などの電気的動作変数とロータ30の回転速度との間の関係がはるかにより正確に定義され、これは、遠心ポンプ41、42の調節を改善または簡素化する。
【0117】
図6は、いわゆるテンプルモータとして、ベアリングレスモータの原理に従って設計された電磁回転ドライブ10の一実施形態の斜視図を示している。図7は、軸線方向の断面に非接触で磁気的に浮上させることができるロータ30を備えた遠心ポンプ41、42の一実施形態を示している。
【0118】
電磁回転ドライブ10は、ベアリングレスモータの原理に従って設計され、この原理に従って動作する。ベアリングレスモータという用語は、ロータ30がステータ20に対して完全に磁気的に浮上し、別個の磁気ベアリングが提供されていない電磁回転ドライブ10を意味する。この目的のために、ステータ20は、電気ドライブのステータ20および磁気浮上のステータの両方であるベアリング・ドライブステータとして設計されている。ステータ20は、一方では、軸線方向Aを画定する所望の回転軸の周りの回転に影響を与えるトルクをロータ30に及ぼし、他方では、その半径方向位置を能動的に制御または調整することができるように、必要に応じて調節することができる剪断力をロータ30に及ぼす、回転磁場を生成することができる電気巻線206を含む。したがって、ロータ30の3つの自由度、すなわち、その回転およびその半径方向の位置(2つの自由度)を能動的に調節することができる。さらに3つの自由度、すなわち軸線方向Aにおけるその位置、および所望の回転軸に垂直な半径方向平面に対しての傾斜(2つの自由度)に関して、ロータ30は、好ましくは、磁気抵抗力によって受動的に磁気浮上または安定化される、つまりそれは制御できない。ロータ30の完全な磁気浮上によって別個の磁気ベアリングがないことは、ベアリングレスモータにその名前を与える特性である。ベアリング・ドライブステータでは、ベアリング機能をドライブ機能から分離することはできない。
【0119】
所望の回転軸は、図6および図7に示されるように、ロータ30がステータ20に対して中心にあり、傾斜していない位置にあるときに、ロータ30が動作状態でその周りに回転する軸を指す。この所望の回転軸は、軸線方向Aを画定する。通常、軸線方向Aを画定する所望の回転軸は、ステータ20の中心軸に対応する。
【0120】
以下において、半径方向とは、軸線方向Aに対して垂直に位置する方向を指す。
【0121】
ロータ30は、リング状またはディスク状に設計された磁気有効コア310を含む。図6の図によれば、磁気有効コア310は、永久磁気ディスクとして設計され、磁気中心面Cを画定する(図7)。ロータ30の磁気有効コア310の磁気中心面Cは、ロータ30が軸線方向Aにおいて傾斜および偏向されていない場合、ロータ30の磁気有効コア310が動作状態で浮上する軸線方向Aに垂直な面を指す。原則として、ディスク状またはリング状の磁気有効コア301では、磁気中心面Cは、軸線方向Aに垂直な、ロータ30の磁気有効コア301の幾何学的中心面である。ロータ30の磁気有効コア310が動作状態でステータ20内において浮上するその平面は、半径方向平面Eとも呼ばれる。半径方向平面は、z軸が軸線方向Aに延在するデカルト座標系のx-y平面を画定する。ロータ30の磁気有効コア310が軸線方向(A)に対して傾斜および偏向されていない場合、半径方向平面Eは磁気中心平面Cと一致する。
【0122】
磁気有効コア310またはロータ30の半径方向位置は、半径方向平面Eにおけるロータ30の位置を指す。
【0123】
ロータ30の「磁気有効コア310」は、トルク生成および磁気浮上力の生成のためにステータ20と磁気的に相互作用するロータ30のその領域を指す。
【0124】
電磁回転ドライブ10は、テンプルモータとして設計され、複数のコイルコア205(ここでは6つのコイルコア205)を有するステータ20を含み、コイルコア205の各々が、軸線方向Aに延在する長手方向肢部251と、長手方向肢部251に垂直に配置され、半径方向に延在し、端面によって境界が定められている横方向肢部252とを含む。コイルコア205は、横方向肢部252の端面がロータ30の磁気有効コアを取り囲むように、円形の線上に等距離に配置されている。集中巻線206は、それぞれの長手方向肢部252を取り囲む各々の長手方向肢部251上に配置される。
【0125】
コイルコア205の長手方向肢部251は、互いに平行に整列され、そのすべては、軸線方向Aに平行に延在し、ロータ30を取り囲み(または外部ロータとしての設計ではロータ30によって囲まれ)、これらの平行な長手方向肢部251は、テンプルの柱を連想させるため、テンプルモータにその名前を付けたものである。
【0126】
図6では、ロータ30の磁気有効コア310のみが示されている。もちろん、ロータ30はまた、好ましくはプラスチック、または金属、または金属合金、またはセラミックスまたはセラミックス材料でできているジャケットまたはカプセル化物などの他の構成要素を含むことができることが理解される。さらに、ロータ30はまた、流体を圧送するためのベーン305を含む(図7を参照)。ロータ30はまた、他の構成要素を含むことができる。
【0127】
横方向肢部252から離れて面する長手方向肢部251のこれらの端部(図6および図7では、これらは、図によると下端である)は、戻り部207によって互いに接続されている。戻り部207は、好ましくは、リング状に設計されるか、または長手方向肢部 251を互いに接続するいくつかのセグメントを含む。ステータ20の戻り部207およびコイルコア205の両方は、磁束を案内する磁束伝導要素として機能するため、それぞれ軟磁性材料でできている。コイルコア205および戻り部207に適した軟磁性材料は、例えば、フェロ磁性またはフェリ磁性材料、すなわち、特に鉄、ニッケル鉄、コバルト鉄、シリコン鉄、またはミューメタルである。この場合、ステータ20については、コイルコア205および戻り部207が板金で設計されている、すなわち、それらが積み重ねられたいくつかの薄い板金要素からなる、ステータシートスタックとしての設計が好ましい。
【0128】
ロータ30の磁気駆動および磁気浮上に必要な回転電磁場を生成するために、コイルコア205の長手方向肢部251は、集中巻線206として設計された巻線を支持し、正確に1つの集中巻線206が、ここで説明される実施形態における各々の長手方向肢部251の周りにそれぞれ配置される。動作状態では、これらの回転電磁場は、これらの集中巻線206で生成され、これにより、トルクがロータ30に加えられ、調整可能な横方向力がロータ30に半径方向に加えられるため、ロータ30の半径方向位置、すなわち軸線方向Aに垂直な半径方向平面E内のその位置は、能動的に制御または調節することができる。もちろん、各々の長手方向肢部251が2つ以上の集中巻線206、例えば、正確に2つの集中巻線を有する実施形態もまた、可能である。
【0129】
すでに述べたように、磁気有効コア310は、永久磁気的に設計されている。この目的のために、磁気有効コア301は、少なくとも1つの永久磁石を含むことができるが、いくつかの永久磁石を含むこともできるか、または、ここで説明される実施形態では、磁気有効コア301が永久磁石となるように、完全に永久磁石材料からなることができる。ロータ30の磁気有効コア308の磁化は、磁気有効コア301内の符号のない矢印によって図6に表されている。したがって、磁気有効コア301は、半径方向に磁化される。
【0130】
図7は、軸線方向Aの断面における遠心ポンプ41、42の一実施形態を示している。
【0131】
遠心ポンプ41、42は、流体を搬送するための入口411、421および出口412、422を含むポンプハウジング60を有するポンプユニット40を含み、ロータ30は、ポンプハウジング60内に配置され、流体を搬送するための複数のベーン305を含む。ポンプユニット40は、ロータ30の磁気有効コア310が横方向肢部252の端面によって囲まれるように、ポンプユニット40をステータ20に挿入できるように設計されている。
【0132】
ポンプユニット40のポンプハウジング60は、ベース部分601およびカバー602を含み、これらは、密閉式に互いに接続されており、出口412、422は、好ましくは、しかしながら必ずしもそうでなくてもよいが、ポンプハウジングのベース部分601内に完全に配置される。カバー602は、流体が軸線方向Aからロータ30に流れるように、軸線方向Aに延在する入口411、412を含む。
【0133】
ロータ30は、流体を搬送するための複数のベーン305、例えば、合計4つのベーン305を含み、それにより、この数は、例示的な特徴を有する。ロータ30は、ロータ30の磁気有効コア308が封入され、好ましくは密閉されて、ロータ30の磁気有効コア310が搬送される流体と接触しないようにするジャケット308をさらに含む。すべてのベーン305は、ジャケット308上に配置され、ロータ30の円周方向に対して等距離に配置される。各々のベーン305は、半径方向に外方に延在し、トルクに耐えるようにジャケット308に接続されている。ベーン305は、その後、ジャケット308に固定される別個の構成要素とすることができる。もちろん、ベーン305のすべてがジャケット308の一体部品とすることも可能であり、すなわち、ジャケット308は、ベーン305のすべてが単一の部品として設計されることも可能である。ベーン305を備えたロータ30は、遠心ポンプ41、42のベーンまたはインペラをそれぞれ形成し、それによって1つまたは複数の流体が作用する。
【0134】
ベアリングレスモータの原理に係る電磁回転ドライブ10を備えた遠心ポンプ41、42の設計はまた、ロータ30をステータ20から非常に容易に分離できることを可能にする。このようにして、例えば、ロータ30またはロータを含むポンプユニット40は、単回使用のための使い捨て部品として設計することができるため、これは非常に大きな利点である。今日、このような使い捨て用途は、非常に高い純度要件のために、以前はプロセスで処理される物質と接触するすべての構成要素を精巧な方法で(例えば、蒸気滅菌によって)洗浄および滅菌する必要があったプロセスに取って代わることがよくある。単回使用のために設計された場合、処理される物質と接触する構成要素は、正確に1回だけ使用され、次の利用のために新しい(つまり、未使用の)使い捨て部品と交換される。
【0135】
したがって、本発明に係る装置は、特に、複数回使用するように設計された再利用可能な装置と、単回使用のために設計された使い捨て装置とを含むように設計することもできる。再利用可能な装置は、特に、流体と接触しない構成要素、すなわち、特に、遠心ポンプ41、42のステータ20、および例えば、圧力センサ71、72、73の少なくとも一部を含む。圧力センサ71、72、73は、それらがそれぞれ使い捨て部品および再利用可能部品を含むように設計することができる。
【0136】
本発明に係る装置1がリザーバ8をさらに含むことも可能である。リザーバ8全体が使い捨て部品として、例えば、寸法的に安定したプラスチック容器として設計されるような実施形態、およびリザーバ8の1つの構成要素のみが使い捨て部品として設計されるような実施形態が可能である。
【0137】
リザーバ8のそのような実施形態は、図8の概略図で表されている。リザーバ8は、流体を受け入れるためのプラスチック製の可撓性インサート80を含む。インサート80は、好ましくは、保管中に必要なスペースをできるだけ少なくするように折りたたむことができる可撓性バッグ(例えば、プラスチックバッグまたは合成バッグ)である。インサート80は、例えば、追加の物質(例えば、栄養溶液または酸素などのガス)を供給するために、追加の入口または出口(図示せず)を含むことができる。例えば、温度、圧力、濃度などのパラメータを監視するプローブまたは測定センサを受け入れるためのさらなる入口を使用することも可能である。入口(複数可)は、物質移動用にすることもできる。特に、必要なガスは、例えば、バイオリアクターとしての実施形態では、ここで供給または排出することができる。特に微生物または生物細胞の培養では、酸素または空気を容器80に供給し、他のガス(特に、二酸化炭素)を容器から排出することができることがしばしば必要である。
【0138】
特に、いわゆるサンプリングポート(図示せず)は、リザーバ8またはインサート80に接着または溶接することができる。これらは、短いチューブ状のプラスチック構造であり、それを通して、例えば、サンプルをインサート80から取り出すことができる。各々のサンプリングポートは、通常、それ自体が知られている方法でインサート80から突出するその端部のクランプによって固定されているので、望ましくない物質がこれらのサンプリングポートを通ってインサート80の内部に入ることはできない。
【0139】
リザーバ8は、再利用可能な構成要素として、およびインサート80を受け入れるように設計された、寸法的に安定した支持容器85をさらに含む。少なくとも1つの窓86を支持容器85の壁に提供することができ、それを通してインサート80への視覚的アクセスが可能である。
【0140】
図8に示される非常に概略的な実施形態においても、流体がインサート80を備えたリザーバ8を出て、またはリザーバ8に戻される2つのチューブのそれぞれ、すなわち、リターンチューブ321および供給チューブ311は、液体の除去と戻しの両方にそれぞれ使用できる。これは、装置1が交互モードで動作する場合、供給チューブ311は、インサート80から流体を除去するために第1の動作モードなどの一方の動作モードで使用され、流体をインサート80に戻すために第2の動作モードなどの他方の動作モードで使用されるからである。同じことがリターンチューブ321にも同様に当てはまる。これは、チューブ321および311の両方がそれぞれ、流体がそれらを通して吸い込まれることができるように特に設計されているか、または流体が2つのチューブ(すなわち、供給チューブ311およびリターンチューブ321)のそれぞれを通して吸い込まれる(すなわち、除去され、ならびに戻される)ことができる他の手段が、例えばインサート80の設計において提供されることを意味する。
【0141】
特に、複数回使用するための再利用可能な構成要素ならびに単回使用のための構成要素を含む装置1のそのような実施形態に関して、それぞれが使い捨て部品として設計される少なくとも以下の構成要素:フィルターユニット2、各々の遠心ポンプ41、42用のポンプユニット40、第1の流れ接続部31および第2の流れ接続部を実現するように設計された複数のチューブ311、312、321、322、および任意選択で、流体用のリザーバ8またはリザーバ8用のインサート80を含む、本発明に係る装置1用の使い捨て部品のセットがさらに提案される。
【0142】
さらなる実質的な一態様は、流体と接触するタンジェンシャルフロー濾過用の装置1のすべての部分、特に、フィルターユニット2またはフィルター要素25、リザーバ8、またはプラスチックバッグとして設計されたインサート80、流れ接続部31、32、必要に応じて、圧力センサ71、72、73、および遠心ポンプ41および42のポンプユニット40またはそれらの構成要素もまた、特定の用途分野のために滅菌可能である必要がある。上記のすべての構成要素がガンマ線滅菌可能である場合、特に有利である。このタイプの滅菌では、滅菌される構成要素がガンマ線にさらされる。例えば蒸気滅菌と比較した場合のガンマ線滅菌の利点は、特に、パッケージを介して滅菌を行うこともできることである。特に使い捨て部品の場合、部品は製造後に出荷用のパッケージに入れられ、顧客に出荷される前に一定期間保管されるのが一般的なやり方である。このような場合、滅菌は顧客への納品直前にパッケージを介して行うが、これは蒸気滅菌または他のプロセスではできない。
【0143】
一方、ポンプユニット40は1回しか使用できないため、意図したとおりに使用する場合はポンプユニット40を洗浄する必要がないため、設計においてポンプユニット40の良好な洗浄性を重視する必要がないという大きな利点がある。さらに、一般的に、ポンプユニット40またはその構成要素は、複数回滅菌可能でなければならない必要はない。ガンマ線にさらされるとプラスチックが劣化し、複数回のガンマ線滅菌によってプラスチックが使用できなくなる可能性があるため、これは、特にガンマ線滅菌の場合に大きな利点である。
【0144】
使い捨て部品の場合、通常、高温および/または高(蒸気)圧下での滅菌は不要であるため、例えば、高温に耐えられない、または複数の高温・圧力レベルにさらすことができない、より安価なプラスチックを使用できる。
【0145】
したがって、これらすべての側面を考慮すると、使い捨て装置または使い捨て部品の製造のために、少なくとも一度はガンマ線滅菌できるようなプラスチックを使用することが好ましい。単回のガンマ線滅菌を可能にするには、材料は少なくとも40kGyの線量でのガンマ線安定性が必要である。また、ガンマ線滅菌中に有毒物質が生成されない必要がある。また、混合される物質または混合された物質と接触するすべての材料がUSPクラスVI基準を満たすことが好ましい。
【0146】
例えば、プラスチック製のポンプユニット40の部品を製造するために、以下のプラスチック:ポリプロピレン(PP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリアクリル、ポリカーボネート(PC)が好ましい。
【0147】
使い捨て装置70のプラスチック部品を製造するためのあまり適切でない、または不適切でさえある材料は、例えば、商標名のテフロン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、およびパーフルオロアルコキシポリマー(PFA)として知られている材料である。これらの材料の場合、実際には、ガンマ線滅菌中にフッ素などの危険なガスが逃げて、それがその後、フッ化水素酸(HF)などの有毒または有害な化合物を形成する可能性がある危険性がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】