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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189757
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】広告装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/00 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
G09F13/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090708
(22)【出願日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】P 2021097347
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521254410
【氏名又は名称】株式会社KILAMEK
(74)【代理人】
【識別番号】100132621
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 孝行
(74)【代理人】
【識別番号】100123364
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 徳子
(72)【発明者】
【氏名】土山 亮太
(72)【発明者】
【氏名】金屋 琢磨
【テーマコード(参考)】
5C096
【Fターム(参考)】
5C096BA05
5C096BB02
5C096CA13
5C096CB01
5C096CC06
5C096CH16
5C096FA02
(57)【要約】
【課題】横方向の視覚的演出のみならず、下方向の視覚的演出が可能な提灯を提供する。
【解決手段】提灯1は、伸縮自在の火袋2と、火袋2の上部に配置される上輪3と、火袋2の下部に配置される下輪4と、火袋2内に配置される第1光源10と、火袋2内に配置され第1光源10の下方に配置される第2光源20と、下輪4側に配置されるフィルター30とを備えている。また、フィルター30には、文字、マーク、イラスト、絵柄、等が施された被表示部31が設けられており、第2光源20の光により被表示部31が、提灯1の下方に位置する路面、床等の表示面40に表示される。提灯1の下方に新たな表示が演出され、視覚からの温かみのある印象効果がもたらされ、人々を和ます効果が期待できる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状の本体部と、前記本体部の上部に配置される上輪と、前記本体部の下部に配置される下輪とを有する広告装置であって、
前記本体部内に配置される光源と、
前記下輪側に配置されるフィルターと、を備え、
前記フィルターには被表示部が設けられ、
前記光源の光により前記被表示部が前記下輪の下方にある投影部に投影されることを特徴とする、
広告装置。
【請求項2】
前記光源は、前記上輪の中央部と、前記下輪との中央部とを結ぶ線上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の広告装置。
【請求項3】
前記光源は、第1光源と第2光源とで構成され、
前記第2光源は、前記第1光源の下方に配置され、
前記被表示部は、前記第2光源の光により投影部に投影されることを特徴とする、
請求項1に記載の広告装置。
【請求項4】
前記第2光源は、光の指向性を有し、
前記フィルターに向かって出射することを特徴とする、
請求項3に記載の広告装置。
【請求項5】
前記第2光源は拡散角を有し、
前記拡散角が5°~70°であることを特徴とする、
請求項4に記載の広告装置。
【請求項6】
前記光源は、前記本体部の軸方向中央部よりも上側に配置されることを特徴とする、
請求項2に記載の広告装置。
【請求項7】
前記光源は、前記上輪内に配置されることを特徴とする、
請求項2に記載の広告装置。
【請求項8】
前記光源は、光の指向性を有し、
前記フィルターに向かって出射することを特徴とする、
請求項2に記載の広告装置。
【請求項9】
前記フィルターの前記被表示部は、複数の孔により形成されていることを特徴とする、
請求項1~8の何れか1項に記載の広告装置。
【請求項10】
前記被表示部の一部には、他の部分と分離した分離部が設けられ、
前記分離部が前記分離部の周辺に配置される枠に接続されていることを特徴とする、
請求項9に記載の広告装置。
【請求項11】
前記第2光源と、前記投影部との距離を調整できる調整部をさらに備え、
前記調整部を調整することにより、前記投影部に投影される前記被表示部の大きさを調整することができることを特徴とする請求項3に記載の広告装置。
【請求項12】
前記本体部が、伸縮自在の火袋であり、
広告装置が提灯であることを特徴とする、請求項1に記載の広告装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告のために用いられる広告装置に関する。
【背景技術】
【0002】
広告装置の一種である提灯は、古くから知られた製品であり、火袋に光源を配置して、光源の光で火袋を照らしているが、単に照らすことだけでなく光源の光を利用して装飾的効果を狙った技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、火袋に光源ユニットと吊り紐を配置し、吊り紐に風受け部を吊り下げ、風受け部が風を受けて搖動されて、光源ユニットが、紐引掛け具を支点として搖動し、その結果、火袋との間の間隔が変化し、火袋が、光源ユニットからの光で4方の側方外面部で異なった輝度を生じさせる提灯であり、照射された光が提灯表面で明暗に搖動するようになすことで、光源からの光効果を生かし、ゆらぎ効果によって見る人に対して癒しを与える効果をより大きく発揮せしめることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-125539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された提灯は、横方向のみの視覚的演出であり、提灯の基本原理を発展させたものではなく、従来の提灯が有する広告効果を大幅に向上させるものではないという問題点があった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑み、横方向の視覚的演出のみならず、下方向の視覚的演出が可能な広告装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者は、上述した問題点に関して鋭意研究・開発を続けた結果、以下のような画期的な広告装置を見出した。
【0008】
上記課題を解決するための本発明の第1の態様は、中空状の本体部と、本体部の上部に配置される上輪と、本体部の下部に配置される下輪とを有する広告装置であって、本体部内に配置される光源と、下輪側に配置されるフィルターと、を備え、フィルターには被表示部が設けられ、光源の光により被表示部が下輪の下方にある投影部に投影されることを特徴とする、広告装置にある。
【0009】
ここで、「中空状」とは、内部に空間が形成されているものであれば、その形状は特に限定されず、水平方向の断面が、円、楕円や、三角、四角、五角、六角等の多角形状のもの等を含む概念である。また、「上輪」および「下輪」も、その形状は特に限定されず、水平方向の断面が、円、楕円や、三角、四角、五角、六角等の多角形状のもの等を含む概念である。さらに「投影部」は、被表示部を投影することができるものであれば特に限定されない。投影部としては、例えば、道路等の通路、店舗の軒先、店内装飾にて床への投影等が挙げられる。また、「下方に配置」とは、鉛直方向の下方に配置されている場合だけでなく、鉛直方向に対してある程度の角度(例えば、鉛直方向に対して0°より大きく70°以下、好ましくは鉛直方向に対して0°より大きく30°以下)を成すような下方に配置された場合を含む概念である。
【0010】
かかる第1の態様によれば、広告装置の下方にある被表示部に形成された文字、絵柄等が投影部に投影されるので、広告装置の側方からの照射に加えて、簡単な構造でありながらも新たな表示ができ、広告装置の下方向の視覚的演出効果(広告効果)を高めることができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、光源は、上輪の中央部と、下輪との中央部とを結ぶ線上に配置されていることを特徴とする第1の態様に記載の広告装置にある。
【0012】
かかる第2の態様によれば、被表示部に形成された文字、絵柄等を、より美しく投影することができる。
【0013】
本発明の第3の態様は、光源は、第1光源と第2光源とで構成され、第2光源は、第1光源の下方に配置され、被表示部は、第2光源の光により投影部に投影されることを特徴とする、第1の態様に記載の広告装置にある。
【0014】
かかる第3の態様によれば、被表示部に形成された文字、絵柄等を、さらに美しく投影することができる。
【0015】
本発明の第4の態様は、第2光源は、光の指向性を有し、フィルターに向かって出射することを特徴とする、第3の態様に記載の広告装置にある。
【0016】
かかる第4の態様によれば、第2光源の光は確実にフィルターを照らし、第2光源の光でフィルターの被表示部を下輪の下方にある投影部に投影させることができる。
【0017】
本発明の第5の態様は、第2光源は拡散角を有し、拡散角が5°~70°であることを特徴とする、第4の態様に記載の広告装置にある。
【0018】
ここで「拡散角」とは、後述する図2に示すように、鉛直方向と光源から放出される光の進行方向とが成す角度(θ1、θ2、θ3等)をいう。
【0019】
かかる第5の態様によれば、投影像のピンボケが抑制され、良好な質感のある被表示部の投影の像が得られる。
【0020】
本発明の第6の態様は、光源は、本体部の軸方向中央部よりも上側に配置されることを特徴とする、第2の態様に記載の広告装置にある。
【0021】
かかる第6の態様によれば、被表示部に形成された文字、絵柄等を、より美しく投影することができる。
【0022】
本発明の第7の態様は、光源は、上輪内に配置されることを特徴とする、第2の態様に記載の広告装置にある。
【0023】
かかる第7の態様によれば、本体部を上下方向から折り畳んだ際に、光源の存在が邪魔にならず、本体部をコンパクトに折りたたむことができる。
【0024】
本発明の第8の態様は、光源は、光の指向性を有し、フィルターに向かって出射することを特徴とする、第2の態様に記載の広告装置にある。
【0025】
かかる第8の態様によれば、被表示部に形成された文字、絵柄等を、より美しく投影することができる。
【0026】
本発明の第9の態様は、フィルターの被表示部は、複数の孔により形成されていることを特徴とする、第1~第8の態様のいずれか1つに記載の広告装置にある。
【0027】
かかる第9の態様によれば、孔を介して空気の流出入が生じるので、本体部内の空気が循環され、第1の光源および第2の光源から発する熱をこもらせることがなくなり、広告装置の安全性が高まる。また、孔により、本体部に入った水等を排出することも可能である。
【0028】
本発明の第10の態様は、被表示部の一部には、他の部分と分離した分離部が設けられ、分離部が分離部の周辺に配置される枠に接続されていることを特徴とする、第9の態様に記載の広告装置にある。
【0029】
かかる第10の態様によれば、投影部に投影される文字や絵柄等を違和感なく表示させることができる。
【0030】
本発明の第11の態様は、第2光源と、投影部との距離を調整できる調整部をさらに備え、調整部を調整することにより、投影部に投影される被表示部の大きさを調整することができることを特徴とする第3の態様の何れか1つに記載の広告装置にある。
【0031】
かかる第11の態様によれば、調節部により、第2光源と投影部との距離を調整することができるので、投影部に投影される被表示部の大きさを変更させることができる。その結果、投影部の形状と、そこに投影される被表示部とを組み合わせることによって、より高い視覚的演出効果(広告効果)を発揮させることができる。
【0032】
本発明の第12の態様は、本体部が、伸縮自在の火袋であり、広告装置が提灯であることを特徴とする、第1の態様の何れか1つに記載の広告装置にある。
【0033】
かかる第12の態様によれば、提灯の下方にある被表示部に形成された文字、絵柄等が投影部に投影されるので、提灯の側方からの照射に加えて、簡単な構造でありながらも新たな表示ができ、提灯の下方向の視覚的演出効果(広告効果)を高めることができる。また、提灯は風等により、揺れることができるので、その揺れに応じて、投影部に投影される表示部の像も揺れることになる。その結果、見る者をより惹きつけて、広告効果を向上させることができる広告装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】実施形態1に係る広告装置の一例である提灯を示す模式図である。
図2】実施形態1に係る第2光源の拡散角の一例を示す説明図で、(a)は狭角、(b)はやや広め、(c)は広角である。
図3】実施形態1に係るフィルターの配置状況を示す模式図で、(a)は下輪の上部、(b)は下輪の中央部、(c)は下輪の下部である。
図4】実施形態1に係るフィルターの一例を示し、(a)は概略正面図、(b)は実施例1の(a)のA-A概略断面図、(c)実施例2の(a)のA-A概略断面図である。
図5】実施形態1に係る被表示部における文字の一例を示す説明図である。
図6】実施形態2に係る広告装置の一例である提灯を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る広告装置の実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
(実施形態1)
【0036】
図1は、本実施形態に係る広告装置の一例である提灯を示す模式図である。図1に基づいて、本実施形態の広告装置を詳述する。
【0037】
本実施形態に係る提灯1は、蛇腹構造等により上下方向に伸縮自在の円筒状(水平方向の断面が円である)の火袋2(本体部)と、火袋2の上部に配置される上輪3と、火袋2の下部に配置される下輪4と、火袋2内に配置される第1光源10と、火袋2内に配置され、第1光源10の下方に配置される第2光源20と、下輪4内に配置されるフィルター30とを備えている。なお、本実施形態では、第1光源10および第2光源20が光源となる。
【0038】
火袋2、上輪3および下輪4は、一般的な提灯に使用される構造および材質で構成されている。そして、火袋2の表面に文字や模様等が形成されていてもよい。火袋2の表面に文字や模様等が形成されていると、通常の提灯と同様の効果(宣伝効果等)が得られる。
【0039】
第1光源10は、白熱球やLED等からなる電球であり、外部からの電力を供給する電線21に吊り下げられて火袋2の中央近傍に配置される。そして、第1光源10から出射された光は、ほぼ360度方向に広がり、火袋2を透過した光は提灯1の側方等を照らすようになっている。その結果、側面から見て、火袋2が発光しているように見える。
【0040】
第2光源20は、白熱球やLED等からなる電球であり、第1光源10と同様に電線21に吊り下げられ、第1光源10の下方に配置されている。そして、第2光源20の光の出射方向は、下輪4に向けられている。
【0041】
下輪4の内部には、円盤状のフィルター30が配置され、第2光源20から出射した光は、フィルター30を通過して、下輪4の離間した位置にある提灯1の下方を照らすことができるようになっている。ここで、第1光源10および第2光源20の吊り下げ方は、電線21に限らず、例えばバッテリー内蔵型の光源10、20であれば、紐、ワイヤー等で行うことができる。
【0042】
フィルター30には、文字、マーク、イラスト、絵柄等が施された被表示部31が設けられており、第2光源20の光により被表示部31が、提灯1の下方に位置する投影部である路面、床等の表示面40に表示(投影)される。換言すれば、第2光源20により被表示部31が表示面40に投影されるので、フィルター30は被投影部でもある。また、フィルター30の被表示部31の文字や絵柄等は限定されることなく、要望に応じて自由に形成することができる。例えば、フィルターに形成する文字も耐久性等を踏まえたデザインを複数取り揃えて使用したり、絵柄等を季節毎や使用目的毎に合わせて変更することも可能である。なお、被表示部31の具体例は図4に示されている。
【0043】
ここで、第2光源20は、指向性のある光源であり、拡散角θは90°であることが望ましい。第2光源20の光は、被表示部31のみを照射することが基本であり、フィルター30全体を照射してもよい。
【0044】
拡散角θは、図2に示すように、変化させることが可能である。図2(a)は狭い拡散角θ1であり、図2(b)やや広めの拡散角θ2であり、図2(c)は、広い拡散角θ3を示している。拡散角θは、第2光源20の出射面からフィルター30までの照射距離Dおよび表示される質感等により決めることができ、5°~70°であればよく、5°~50°が好ましく、5°~30°が特に好ましい。
【0045】
下輪4の底面から投影部の表面(表示面40)までの表示距離Lは、使用される場所により異なる。例えば、店舗の入口付近に提灯1を設置する場合は、例えば、20cm~50cm程度が想定されるが、室内では、例えば、80cm~100cm程度と想定される。第2光源20を吊り下げている電線21の調整により照射距離Dを変化させることが可能であり、また、拡散角θも使用場所、使用目的に応じて、より投影が綺麗に映し出されるように調整することができる。
【0046】
フィルター30の設置位置は、適宜選択可能である。図3(a)示すように、下輪4の上端4a近傍に配置してもよく、図3(b)に示すように、下輪4の中央近傍でもよく、図3(c)に示すように、下輪4の底部4bでもよい。図3(c)の例では、下輪4と一体的に設けられていてもよい。また、下輪4の上端4aの外形よりも底部4bの外形を大きくすることにより、第2光源20からの光が無駄なくフィルター30の隅々まで届かせることが可能であり、被表示部31も大きく設けることができる。
【0047】
次に、図4に基づいて、フィルター30について説明する。図4は、フィルターの一例を示す概略正面図および概略断面図である。
【0048】
これらの図に示すように、フィルター30は、木材や樹脂材等からなり、例えば平板状を成している。フィルター30は、基本的に透過部と不透過部が設けられているが、半透過部が設けられていてもよい。半透過部とは、光の一部を透過させることができる部分であり、カラーフィルタのように所定の範囲の波長の光を透過させることができるものや、半透明材質等で構成することができる。
【0049】
本実施形態のフィルター30には、透過部となる被表示部31が設けられている。被表示部31は、文字、マーク、イラスト、絵柄等からなるが、図4に示される例では、夏祭りを想定し、中央に祭りの文字、その周辺に花火のイラストが施されている。すなわち、被表示部31とは、投影部に投影される文字、マーク、イラスト、絵柄等の個々の集合体である。
【0050】
被表示部31の形成方法は種々あるが、図4(b)の実施例1では、孔32で形成された被表示部31を示している。
【0051】
フィルター30の被表示部31は、不透過な黒色等で形成されたアクリル板にフィルター30を貫通する複数の孔32を形成し、第2光源20の光が透過部である孔32を通過する(図4(b)中矢印参照)ことで、被表示部31が提灯1の下方にある投影部に投影される。
【0052】
図4(c)の実施例2は、透過材料を利用した被表示部31を示している。この実施例におけるフィルター30は透過性部材からなり、被表示部31を除いてその他の部分の表面上には不透過処理部31aが形成されている。不透過処理部31aは、黒色等を施すことで形成でき、例えば、塗布、印刷、貼り付け等による形成方法を選択することができる。
【0053】
第2光源20の光が、透過部である被表示部31を通過(図4(c)中矢印参照)することによって、被表示部31が提灯1の下方にある投影部に投影されることになる。
【0054】
そして、被表示部に孔32が形成されていることで、フィルター30を介して、火袋2内に空気の流出入が生じる。その結果、火袋2内の空気が循環され、2つの光源10、20から発する熱をこもらせることがなくなり、提灯の安全性が高まる。また、孔32により、火袋2に入った水を排出することも可能となる。
【0055】
一方、孔32を設けない実施例2では、第2光源20の光が透過しない場所に通気口を設けることで、実施例と同様の効果が得られる。また、半透過部を設けることで演出効果を向上させることが可能であり、光の透過量を変化させることでグラデーション効果を得ることも可能である。
【0056】
ここで、実施例1の様に孔32を設けることで、例えば文字のB、D等がうまく形成できない場合がある。このような場合には、図5の上段に示す様に、他の部分と分離した不透過部分の分離部32aを設け、各分離部32aを周辺の枠32bに貼り付けたり、針金等で接続する。ここで、文字の書体としては、耐久性等を踏まえ、投影しても文字が潰れたり、見にくくなるようなものを用いることができる。このようにして、分離部32aを備えたフィルターを形成することができる。また、図5の下段に示すように、孔32をドット状に形成する(小さな径の孔を所定の模様が投影されるように複数形成する)ことで分離部32aを設けることなく、例えば文字のB、D等を形成することができる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の提灯1は、側方の照射に加えて、下方向に文字や絵柄等を投影部に投影させることができるので、演出効果(宣伝効果)が高まる。また、日本文化の伝統である提灯1に特殊な演出効果を加えることで、視覚からの温かみのある印象効果がもたらされ、人々を和ます効果が期待できる。さらに、提灯1は、宣伝や広告等にも利用可能であり、社名やロゴ、店の商品等を投影できる。加えて、家庭においては、季節毎の風情を楽しむこともできる。そして、イベント等では種々様々な演出効果が期待できる。
【0058】
本実施形態に係る提灯1は、伸縮自在の火袋2と、火袋2の上部に配置される上輪3と、火袋2の下部に配置される下輪4とを有する提灯であって、火袋2内に配置される第1光源10と第2光源20と、下輪4側に配置されるフィルター30と、を備え、第2光源20は、第1光源10の下方に配置され、フィルター30には被表示部31が設けられ、第2光源20の光により被表示部31が下輪4から下方にある路面等の投影部に投影される。
【0059】
これにより、提灯1の下方に被表示部31に形成された文字、絵柄等を投影することができるので、提灯1の側方からの照射に加えて、簡単な構造で新たな表示をすることができ、提灯1の下方向の視覚的演出効果を高めることができる。
【0060】
本発明の提灯1の一態様として例えば、第2光源20は、光の指向性を有し、フィルター30に向かって出射する。
【0061】
これにより、第2光源20の光は確実にフィルター30を照らし、第2光源20の光でフィルター30の被表示部31を下輪4の下方にある投影部に投影させることができる。
本発明の提灯1の一態様として例えば、第2光源20は拡散角θを有し、拡散角θが5°~70°である。
【0062】
これにより、表示面40での投影像のピンボケが抑制され、良好な質感のある被表示部31の投影が得られる。
【0063】
本発明の提灯1の一態様として例えば、フィルター30の被表示部31は、複数の孔32により形成されている。
【0064】
これにより、孔32を介して空気の流出入が生じるので、火袋2内の空気が循環され、2つの光源10、20から発する熱をこもらせることがなくなり、提灯1の安全性が高まる。また、孔32により、火袋2に入った水を排出することも可能である。
【0065】
本発明の被表示部31の一部には、分離部32aが設けられ、分離部32aが分離部32a部の周辺に配置される枠32bに接続されている。
【0066】
これにより、被表示部31により、投影部に投影される文字等が違和感なく表示される。
【0067】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
(実施形態2)
【0068】
実施形態1の広告装置は、店舗の位置口付近等に固定して取り付けられるが、本発明はこれに限定されない。例えば、図6に示すように、ヒトによって携帯可能な広告装置として構成してもよい。図6は、本実施形態に係る広告装置の模式図である。
【0069】
この図に示すように、本実施形態に係る提灯1Aは、蛇腹構造等により上下方向に伸縮自在の略球状の火袋2A(本体部)と、火袋2Aの上部に配置される上輪3と、火袋2の下部に配置される下輪4と、火袋2A内に配置される光源10Aと、下輪4内に配置されるフィルター(図示しない)と、棒状の吊下げ部50とを備えている。なお、上輪3、下輪4およびフィルターは、実施形態1と同様のものを用いることができる。
【0070】
吊下げ部50は、ヒトが把持する把持部51と、把持部51の端部(先端側端部)に接続される竿部52とで構成されている。竿部52の先端部にはフック53が取り付けられており、フック53に上輪3に取り付けられた半円形状の係止部54を引っ掛けることによって、吊下げ部50に火袋2Aを吊り下げることができるようになっている。なお、吊下げ部50、フック53、係止部54は、火袋2Aを吊り下げることができるものであれば、材質や形状は特に限定されない。
【0071】
そして、把持部51内には、乾電池等の電源(図示しない)が内蔵されており、その電源には、把持部51および竿部52の内部を通って、竿部52の先端部に設けられた孔(図示しない)から引き出された電線21Aの一端が接続されている。一方、電線21Aの他端は、上輪3の中央部に設けられた孔(図示しない)を通って、火袋2A内に配置された光源10Aに接続されている。そして、把持部51には、電線21Aを流れる電流を制御するスイッチ(図示しない)が取り付けられており、電源から光源10Aへの電力の供給を制御できるようになっている。
【0072】
ここで、光源10Aは、上輪3の中央部と、下輪4との中央部とを結ぶ線上で、かつ火袋2Aの上下軸方向の中央部よりも上側に配置されている。なお、光源10Aは、火袋2Aの上下軸方向の1/3よりも上側に配置されていることが好ましく、上輪3内に配置されることが特に好ましい。光源10Aを上輪3内に配置することによって、火袋2Aを上下方向から折り畳んだ際に、光源10Aの存在が邪魔にならず、火袋2Aをコンパクトに折り畳むことができる。なお、光源10Aが、火袋2Aの上下軸方向の中央部以下に配置された場合には、提灯1Aの下方にある被表示部(道路等)に、文字、絵柄等が綺麗に表示されなくなってしまう。また、光源10Aは、指向性のある光源であり、拡散角θは90°であることが望ましい。
【0073】
このように、提灯1Aを構成することによって、ヒトが容易に持ち運びできると共に、提灯1Aの下方にある被表示部(道路等)に形成された文字、絵柄等が投影部に投影されるので、提灯1Aの側方からの照射に加えて、簡単な構造でありながらも新たな表示ができ、提灯1Aの下方向の視覚的演出効果(広告効果)を高めることができる。また、ヒトが携帯することにより、提灯1A揺れるので、その揺れに応じて、投影部に投影される表示部の像も揺れることになる。その結果、見る者をより惹きつけて、広告効果を向上させることができる。
(他の実施形態)
【0074】
実施形態1では、光源として、第1光源および第2光源を用いたが、本発明はこれに限定されない。これらの光源以外に、他の光源を本体内に配置するようにしてもよい。
【0075】
また、上述した実施形態では、宣伝効果があるものとして本発明を説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0076】
例えば、通常の提灯の火袋の側面に、見る者が進むべき方向を示した矢印を描こうとしても、矢印が示す方向があいまいになってしまう。
【0077】
しかし、本発明に係る広告装置では、フィルターに見る者が進むべき方向を示す矢印の被表示部を設けて、それを床等の投影部に投影することによって、見る者が進むべき方向を、見る者に対して正確に知らせることができる。すなわち、フィルターに、見る者が進むべき方向を示す矢印の被表示部を設けることによって、本発明に係る広告装置は、道案内等の用途にも使用することができる。
【0078】
さらに、実施形態1では、第2光源と、投影部との距離は変更しないようにしたが、変更できるようにしてもよい。
【0079】
例えば、本発明に係る広告装置を吊り下げる紐等の紐状部材に、調節部として、その紐状部材の長さを変更(調節)できるバックル等や、本体部内に配置され、第2光源を吊り下げる紐等の紐状部材に、その紐状部材の長さを変更(調節)できるバックル等をさらに備えてもよい。なお、調節部は、第2光源と、投影部との距離を変更(調節)することができるものであれば、特に限定されない。
【0080】
このように広告装置を構成することにより、調節部により、第2光源と投影部との距離を調整することができるので、投影部に投影される被表示部の大きさを変更することができる。その結果、投影部の形状と、そこに投影される被表示部とを組み合わせることによって、高い視覚的演出効果を発揮させることができる。具体的には、例えば、投影部が椀状となっており、被表示部がその椀状の凹部内に投影される物の絵柄等の形状であった場合には、お椀状の物の中に、あたかもその物が置かれているような、印象に残る映像を表示させることができる。
【0081】
また、実施形態1では、被表示部は下輪内に配置されていたが、本発明はこれに限定されない。非表示部は第2光源より下方(下輪側)に配置されていれば(例えば、第2光源より下方の火袋の内部や、下輪より下側に配置されていてもよい)、上述した実施形態の提灯と同様の効果が得られる。
【0082】
さらに、実施形態2では、把持部に乾電池等の電源を内蔵するようにしたが、本発明はこれに限定されない。電源が、把持部外に設けられていてもよいことは言うまでもない。
【0083】
また、実施形態2では、フックに係止部を引っ掛けることによって、吊下げ部に火袋を吊り下げるようにしたが、本発明はこれに限定されない。吊下げ部に火袋を吊り下げる方法としては、既存の方法を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の提灯は、従来にない演出効果や質感を望む分野に最適である。
【符号の説明】
【0085】
1、1A 提灯
2、2A 火袋
3 上輪
4 下輪
4a 上端
4b 底部
10 第1光源
10A 光源
20 第2光源
21、21A 電線
30 フィルター
31 被表示部
31a 不透過処理部
32 孔
32a 分離部
32b 枠
40 表示面
50 吊下げ部
51 把持部
52 竿部
53 フック
54 係止部

図1
図2
図3
図4
図5
図6