(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189758
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】光学的完全性の音響検出の方法及び適用
(51)【国際特許分類】
G01N 29/04 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
G01N29/04
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022091029
(22)【出願日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】63/209,935
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/664,832
(32)【優先日】2022-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッコード, ミカエル ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ハジェフ, イーシャン
(72)【発明者】
【氏名】キング, ブライアン エム.
(72)【発明者】
【氏名】チェン, トン
(72)【発明者】
【氏名】シャンジャニ, イーザー
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047BA03
2G047BC03
2G047BC07
2G047CA01
2G047GA01
2G047GB02
2G047GB03
2G047GG28
2G047GG30
2G047GG33
2G047GG36
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光学的完全性の検出に関し、より具体的には、光学的完全性の音響検出の様々な方法及び用途に関する。
【解決手段】光学部品上及び/又は光学部品内(例えば、光学面上及び/又は光学部品のバルク内)の不連続部を検出することによって光学部品の光学的完全性を検出することができる。いくつかの例では、完全性検出を使用して、任意選択的にレーザを含む光学システムの安全性コンプライアンスを保証することができる。音響完全性検出は、トランスデューサ524(例えば、圧電トランスデューサ)を利用して、光学面に沿って及び/又は光学部品の厚さを介して超音波を送信することができる。光学面の不連続部は、送信波と相互作用して、送信波の少なくとも一部の減衰、方向転換及び/又は反射を引き起こす可能性がある。不連続部との相互作用後の送信波エネルギーの一部を測定して、不連続部の位置、種類、及び/又は重大度を判定することができる。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスであって、
ディスプレイと、
レンズアレイと、
前記レンズアレイと前記ディスプレイとの間に結合された1つ以上の超音波トランスデューサと、を備え、前記1つ以上の超音波トランスデューサは、前記レンズアレイに伝播する1つ以上の超音波を生成し、前記レンズアレイからの前記1つ以上の超音波の1つ以上の反射を受信する、ように構成されている、電子デバイス。
【請求項2】
前記1つ以上の超音波トランスデューサと通信するプロセッサであって、前記プロセッサは、
前記1つ以上の超音波の前記1つ以上の反射を使用して、前記レンズアレイを含む光学システムの完全性を判定するように構成されている、プロセッサ
を更に備える、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記光学システムの前記完全性を判定することは、
前記1つ以上の超音波の前記1つ以上の反射の1つ以上の特性を検出することと、
前記1つ以上の反射の前記1つ以上の特性を1つ以上の所定の閾値と比較することと、
を含む、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記1つ以上の反射の前記1つ以上の特性は、ピーク、トラフ、波長、振幅、又は周期を含む、請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記レンズアレイの下方に配置された1つ以上の光エミッタを更に備え、前記1つ以上の光エミッタは、光を放出するように構成されており、
前記1つ以上の光エミッタによって放出された前記光は、前記レンズアレイの1つ以上のレンズを介して、前記レンズアレイに結合された前記1つ以上の超音波トランスデューサを介して、且つ前記ディスプレイを介して伝播するように構成されている、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記1つ以上の光エミッタは1つ以上のレーザを含む、請求項5に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記1つ以上の超音波トランスデューサに結合されたプロセッサであって、
前記1つ以上の反射が1つ以上の完全性基準を満たすという判定に従って、光を放出するように、前記1つ以上の光エミッタを有効にし、
前記1つ以上の反射が前記1つ以上の完全性基準を満たさないという判定に従って、光の放出を取り止めるように、前記1つ以上の光エミッタを無効にする、
ように構成されている、プロセッサを更に備える、請求項5に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記レンズアレイの1つ以上のレンズは、ガラス又はエポキシを含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記1つ以上の超音波トランスデューサは、
第1の圧電層と、
前記第1の圧電層の第1の側に配置された第1の電極層と、
前記第1の圧電層の前記第1の側と対向している、前記第1の圧電層の第2の側に配置された第2の電極層と、
を含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記1つ以上の超音波トランスデューサは、
第2の圧電層と、
第3の電極層と、を含み、前記第2の電極層は、前記第2の圧電層の第1の側に配置されており、前記第3の電極層は、前記第2の圧電層の前記第1の側と対向している、前記第2の圧電層の第2の側に配置されており、前記第2の電極層は、接地電極として構成されている、請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記ディスプレイと前記1つ以上の超音波トランスデューサとの間の第1の接着層と、
前記1つ以上の超音波トランスデューサと前記レンズアレイとの間の第2の接着剤と、
を更に備える、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記レンズアレイと前記1つ以上の超音波トランスデューサとの間に配置された基板を更に備え、
前記1つ以上の超音波トランスデューサは、前記基板上に形成される、請求項10に記載の電子デバイス。
【請求項13】
方法であって、
ディスプレイと、レンズアレイと、前記レンズアレイと前記ディスプレイとの間に結合された1つ以上の超音波トランスデューサと、を含む電子デバイスにおいて、
前記1つ以上の超音波トランスデューサから前記レンズアレイに伝播する1つ以上の超音波を生成することと、
前記レンズアレイからの前記1つ以上の超音波の1つ以上の反射を受信することと、
前記1つ以上の超音波の前記1つ以上の反射を使用して、前記レンズアレイを含む光学システムの完全性を判定することと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記光学システムの前記完全性を判定することは、
前記1つ以上の超音波の前記1つ以上の反射の1つ以上の特性を検出することと、
前記1つ以上の反射の前記1つ以上の特性を1つ以上の所定の閾値と比較することと、
を含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の反射の前記1つ以上の特性は、ピーク、トラフ、波長、振幅、又は周期を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記電子デバイスは、
前記レンズアレイの下方に配置された1つ以上の光エミッタを更に含み、前記1つ以上の光エミッタは、光を放出するように構成されており、
前記1つ以上の光エミッタによって放出された前記光は、前記レンズアレイの1つ以上のレンズを介して、前記レンズアレイに結合された前記1つ以上の超音波トランスデューサを介して、且つ前記ディスプレイを介して伝播するように構成されている、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上の反射が1つ以上の完全性基準を満たすという判定に従って、光を放出するように、前記1つ以上の光エミッタを有効にすることと、
前記1つ以上の反射が前記1つ以上の完全性基準を満たさないという判定に従って、光の放出を取り止めるように、前記1つ以上の光エミッタを無効にすることと、
を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記電子デバイスの前記1つ以上の超音波トランスデューサは、
第1の圧電層と、
前記第1の圧電層の第1の側に配置された第1の電極層と、
前記第1の圧電層の前記第1の側と対向している、前記第1の圧電層の第2の側に配置された第2の電極層と、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記電子デバイスの前記1つ以上の超音波トランスデューサは、
第2の圧電層と、
第3の電極層と、を含み、前記第2の電極層は、前記第2の圧電層の第1の側に配置されており、前記第3の電極層は、前記第2の圧電層の前記第1の側と対向している、前記第2の圧電層の第2の側に配置されており、前記第2の電極層は、接地電極として構成されている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令は、ディスプレイと、1つ以上の光エミッタと、レンズアレイと、前記レンズアレイと前記ディスプレイとの間に結合された1つ以上の超音波トランスデューサと、処理回路と、を含む電子デバイスによって実行されると、前記電子デバイスに、
前記1つ以上の超音波トランスデューサから前記レンズアレイに伝播する1つ以上の超音波を生成させ、
前記レンズアレイからの前記1つ以上の超音波の1つ以上の反射を受信させ、
前記1つ以上の反射が1つ以上の完全性基準を満たすという判定に従って、前記1つ以上の光エミッタが光を放出するように、前記1つ以上の光エミッタを有効にさせ、
前記1つ以上の反射が前記1つ以上の完全性基準を満たさないという判定に従って、光の放出を取り止めるように、前記1つ以上の光エミッタを無効にさせる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年6月11日出願の米国特許仮出願第63/209,935号及び2022年5月24日出願の米国特許出願第17/664.832の利益を主張し、それら出願の内容は、それら全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
これは、概して、光学的完全性の検出に関し、より具体的には、光学的完全性の音響検出の様々な方法及び用途に関する。
【背景技術】
【0003】
幾何光学部品は、現在、コンピューティングシステムで光学動作を実行するために利用可能である。レンズ、マイクロレンズ、レンズアレイなどの幾何光学部品(「屈折光学部品」、「幾何光学系」、「屈折光学系」)は、入射光を曲げることができ、異なる屈折率の材料間の非垂直(例えば、90度より大きい、又は小さい)インタフェースを使用して光ビームを形成することができる。1つ以上の外形付き表面は、コンプライアンス(例えば、光/レーザの目の安全コンプライアンス、光/レーザの皮膚安全コンプライアンスなど)を含む、近視野及び遠視野光学性能を有するコンピューティングシステムを提供することができる。平坦な光学系(例えば、回折光学系、メタ表面など)と比較して、幾何光学系は、いくつかの利点を挙げると、低コスト、高効率、及び高性能のために、家電製品においてますます普及しつつある。コンプライアンス及び性能を保証する(すなわち、実質的な保証)ために、外部形状/形態、内部屈折率、積層及び設置、流体浸漬状態などを含む、コンピューティングシステムの照明システム内の幾何光学系の光学的完全性は、能動照明使用中(例えば、幾何光学系を介して光を放出する)に監視されなければならない。しかしながら、抵抗性又は容量性安全トレースの使用などの従来の完全性検出方法は、湾曲した/急激な移行を有する多次元表面上のリソグラフパターニングの制限のため、及び従来のレンズアレイ材料(例えば、ガラス及びエポキシ)の熱膨張のために、幾何光学系の外形付き表面(例えば、凸面)に確実に適用することができない。更に、例えば、レンズアレイの直接的及び間接的な光学/撮像検出は、全ての使用時に(例えば、撮像解像度に起因して)完全に効果的ではない/適合していない可能性があり、及び/又は大幅な追加のシステムコストを誘発することがある。
【発明の概要】
【0004】
これは、音響完全性検出(完全性評価)のためのシステムアーキテクチャ、装置、及び方法、並びにシステムアーキテクチャ、装置及び方法の例示的な用途に関する。光学面に接触又は一体化した不純物又は不連続部の位置は、例えば、飛行時間(TOF)技術、又はバリアのアレイからの反射の減衰を使用して判定することができる。音響完全性検出は、圧電トランスデューサなどの1つ以上のトランスデューサを利用して、電子デバイスの光学面に沿って及び/又は光学部品の厚さを介して超音波を送信することができる。波が光学面に沿って伝播すると、光学面と接触又は一体化した1つ以上の不純物又は不連続部(例えば、傷、液体の浸入など)が送信波と相互作用して、送信波の少なくとも一部の減衰、方向転換及び/又は反射を引き起こす可能性がある。いくつかの例では、1つ以上の不純物又は不連続部との相互作用後の送信波エネルギーの部分を測定して、光学部品の光学面上/中の1つ以上の不純物又は不連続部の存在及び/又は位置を判定することができる。例えば、デバイスの1つ以上の光学部品(例えば、レンズ)を含む光学システム(例えば、レンズアレイ)に結合された1つ以上のトランスデューサ(例えば、音響トランスデューサ)は、各レンズの光学面に沿って、及び/又はレンズアレイの厚さを介して音響波を送信するように構成されている場合があり、音響波が光学面内又はそれに接触する傷又は水滴に遭遇したときに反射して戻ってくる波の一部を受信することができる。不純物又は不連続部の位置は、例えば、波の送信と反射波の検出との間で経過する時間の量に基づいて、判定することができる。音響完全性検出は、抵抗性及び/若しくは容量性安全トレースの適用などの他の完全性検出技術の代わりに、又はそれと併せて使用することができる。いくつかの例では、本明細書に記載の音響完全性検出技術は、デバイスのレンズアレイ内のレンズの外形付き表面上で使用することができ、これはレンズ表面の3次元形状に起因して容量性又は抵抗性安全トレースには適さないことがある。いくつかの例では、本明細書に記載の音響タッチ検知技術は、レンズアレイに結合されたディスプレイの表面上で使用することができる。いくつかの例では、音響完全性検出システムは、レンズアレイの1つ以上のレンズにおいて不純物又は不連続部が検出されたときに光の放出が無効にされるように、照明システムの1つ以上の発光体の動作性を制御するように構成されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】本開示の実施例による、音響光学的完全性検出システムを含むことができる例示的な電子デバイスを示す。
【
図1B】本開示の実施例による、音響光学的完全性検出システムを含むことができる例示的な電子デバイスを示す。
【
図1C】本開示の実施例による、音響光学的完全性検出システムを含むことができる例示的な電子デバイスを示す。
【
図1D】本開示の実施例による、音響光学的完全性検出システムを含むことができる例示的な電子デバイスを示す。
【
図1E】本開示の実施例による、音響光学的完全性検出システムを含むことができる例示的な電子デバイスを示す。
【0006】
【
図2】本開示の実施例による、光学的完全性検出システムを含む電子デバイスの例示的なブロック図を示す。
【0007】
【
図3A】本開示の実施例による、光学システムの光学的完全性の音響検出のための例示的な方法を示す。
【0008】
【
図3B】本開示の実施例による、光学システムの光学的完全性に基づいて発光体を動作させるための例示的なプロセスを示す。
【0009】
【
図4】本開示の実施例による、音響光学的完全性検出回路の例示的な構成を示す。
【0010】
【
図5A】それぞれ、本開示の実施例による、電子デバイスの材料スタックアップ及び材料スタックアップの単純な単一スライスの例示的な斜視図を示す。
【
図5B】それぞれ、本開示の実施例による、電子デバイスの材料スタックアップ及び材料スタックアップの単純な単一スライスの例示的な斜視図を示す。
【0011】
【
図6A】本開示の実施例による、電子デバイスの材料スタックアップのレンズアレイに1つ以上の音響トランスデューサを取り付けるための例示的な構成を示す。
【
図6B】本開示の実施例による、電子デバイスの材料スタックアップのレンズアレイに1つ以上の音響トランスデューサを取り付けるための例示的な構成を示す。
【0012】
【
図7】本開示の実施例による、ディスプレイとレンズアレイとの間に結合された1つ以上の音響トランスデューサの例示的な詳細な側面断面図を示す。
【0013】
【
図8A】本開示の実施例による、レンズアレイに結合された1つ以上の音響トランスデューサを形成する1つ以上の超音波検知層の例示的な構成の例示的な詳細な側面断面図を示す。
【
図8B】本開示の実施例による、レンズアレイに結合された1つ以上の音響トランスデューサを形成する1つ以上の超音波検知層の例示的な構成の例示的な詳細な側面断面図を示す。
【
図8C】本開示の実施例による、レンズアレイに結合された1つ以上の音響トランスデューサを形成する1つ以上の超音波検知層の例示的な構成の例示的な詳細な側面断面図を示す。
【0014】
【
図9A】本開示の実施例による、光学システムの光学的完全性の音響検出を示す例示的な信号図を示す。
【
図9B】本開示の実施例による、光学システムの光学的完全性の音響検出を示す例示的な信号図を示す。
【
図9C】本開示の実施例による、光学システムの光学的完全性の音響検出を示す例示的な信号図を示す。
【
図9D】本開示の実施例による、光学システムの光学的完全性の音響検出を示す例示的な信号図を示す。
【
図9E】本開示の実施例による、光学システムの光学的完全性の音響検出を示す例示的な信号図を示す。
【
図9F】本開示の実施例による、光学システムの光学的完全性の音響検出を示す例示的な信号図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の様々な実施例の説明では、実践することが可能な特定の実施例が例示として示される、実施例の一部分を構成する添付図面を参照する。それら様々な実施例の範囲から逸脱することなく、他の実施例を使用することができ、構造上の変更を実施することができる点を理解されたい。
【0016】
これは、音響完全性検出(例えば、光学的完全性検出)のためのシステムアーキテクチャ、装置、及び方法、並びにシステムアーキテクチャ、装置及び方法の例示的な用途に関する。光学システム(例えば、マイクロレンズアレイ)の光学部品(例えば、レンズ)の表面(例えば、湾曲した、又は外形付き表面)の光学的完全性は、例えば、バリアのアレイからの反射の減衰を使用して評価することができる。音響完全性検出は、圧電トランスデューサなどの1つ以上のトランスデューサを利用して、光学面に沿って及び/又は電子デバイスの厚さを介して超音波を送信することができる。波が光学面に沿って伝播すると、光学面内に又は光学面と接触して存在する1つ以上の不純物(例えば、亀裂、傷、水の浸入など)が送信波と相互作用し、送信波の少なくとも一部の減衰、方向転換及び/又は反射を引き起こす可能性がある。1つ以上の不純物との相互作用後の送信波エネルギーの一部を測定してデバイス内の光学部品の光学面の光学的完全性を判定することができる。例えば、デバイス内の光学部品の光学面に結合された1つ以上のトランスデューサ(例えば、音響トランスデューサ)は、光学面に沿って、及び/又は光学部品の厚さを介して音響波を送信するように構成されている場合があり、音響波が光学面上及び/又は光学面内の不純物に遭遇したときに反射して戻ってくる波の一部を受信することができる。不純物の存在は、例えば、振幅又は周期の差などの送信波及び反射波の1つ以上の特性の評価(すなわち、測定)に基づいて判定することができる。例えば、反射波の1つ以上の特性は、トランスデューサによって捕捉されたベースライン音響応答と比較することができる(例えば、既知の良好な光学系の光学安全コンプライアンスを確認する光学試験中に工場で)。いくつかの例では、不純物の位置は、(例えば、飛行時間技術を使用して)例えば部分的に、波の送信と反射波の検出との間で経過する時間の量に基づいて判定することができる。音響完全性検出は、抵抗性及び/若しくは容量性安全トレースの適用などの他の完全性検出技術の代わりに、又はそれと併せて使用することができる。いくつかの例では、本明細書に記載の音響完全性検出技術は、光学部品の外形付き表面上で使用することができ、これは、急激な移行を伴う3次元表面上のリソグラフパターニングの制限のために容量性又は抵抗性タッチ検知には適さないことがある。いくつかの例では、本明細書に記載の音響完全性検出技術は、レンズアレイのガラス又はエポキシ表面上で使用することができる。いくつかの例では、音響完全性検出システムは、デバイス内の照明システムの1つ以上の発光体からの光の放出を制御するように構成されている場合がある。
【0017】
図1A~
図1Eは、システムの光学部品の光学面内及び/又は光学面上の不純物を検出するための音響センサを含むことができるタッチスクリーン及び光学部品を有するシステムの例を示す。
図1Aは、タッチスクリーン124を含み、本開示の実施例による音響光学的完全性検出システム(「音響光学的完全性検出システム」、「音響完全性検出システム」、「音響完全性評価システム」)を含むことができる例示的な携帯電話136を示す。
図1Bは、タッチスクリーン126を含み、本開示の実施例による音響完全性検出システムを含むことができる例示的なデジタルメディアプレイヤ140を示す。
図1Cは、タッチスクリーン128及びトラックパッド146を含み、本開示の実施例による音響完全性検出システムを含むことができる例示的なパーソナルコンピュータ144を示す。
図1Dは、タッチスクリーン130を含み、本開示の実施例による音響完全性検出システムを含むことができる例示的なタブレットコンピューティングデバイス148を示す。
図1Eは、タッチスクリーン152を含み、本開示の実施例による音響完全性検出システムを含むことができる例示的なウェアラブルデバイス150(例えば、ウォッチ)を示す。ウェアラブルデバイス150は、ストラップ154又は任意の他の適切な締結具を介してユーザに結合され得る。
図1A~
図1Eに示されている例示的なデバイスは、例として提供されており、他の種類のデバイスは、デバイスの光学部品の光学面上及び/又は光学面内の不純物の存在を検出するための音響完全性検出システムを含むことができることを理解されたい。更に、
図1A~
図1Eに示されるデバイスは、タッチスクリーンを含むが、いくつかの例では、デバイスは、非タッチ検知ディスプレイを有し得る。
【0018】
音響センサを上述のシステムに組み込んで、システムの光学部品(例えば、レンズ)の光学面に音響完全性検出能力を付加することができる。例えば、音響センサは、レンズアレイ内の1つ以上のレンズの光学面が製造段階中に(例えば、レンズアレイを含むデバイスの最終的なパッケージングの前に)、不純物について評価されることを可能にすることができる。いくつかの例では、上述のシステムは、レーザ、発光ダイオード、垂直キャビティ面発光レーザ(VSCEL)などであり得る1つ以上の発光体を含む照明システムを備えることができる。従って、例えば、音響センサは、1つ以上のエミッタからの有効な光の放出を助長する十分な量の光学的完全性を確保するように、1つ以上のエミッタの作動前にデバイスの光学システムの光学部品の光学的完全性を評価することを可能にすることができる。別の例として、いくつかの例では、光学部品の光学面を音響センサで増強して、湿潤環境又はデバイスが濡れる可能性がある条件下(例えば、運動、水泳、雨、手洗いなど)での、水の浸入を検出する際に使用するための光学的完全性検出能力を提供することができる。
【0019】
図2は、本開示の実施例による、音響光学的完全性システムを含む電子デバイスの例示的なブロック図を示す。いくつかの例では、デバイス200(これは、上記のデバイス136、140、144、148及び150に対応することができる)の(レンズアレイ内の)レンズ202(すなわち、上述の光学システムの光学部品)は、1つ以上の音響トランスデューサ204と結合され得る。いくつかの例では、トランスデューサ204は圧電トランスデューサとすることができ、圧電トランスデューサは、送信機として動作するときに電気信号を印加することによって振動させることができ、受信機として動作するときに検出された振動に基づいて電気信号を生成することができる。いくつかの例では、トランスデューサ204は、透明な圧電セラミック材料(例えば、ZnO又はAlN)又は透明な圧電ポリマー材料(例えば、PVDF)から形成することができる。同様に、トランスデューサ204は、振動されると出力として電気エネルギーを生成することができる。いくつかの例では、トランスデューサ204は、接着剤(例えば、剛性エポキシの薄層)によってレンズ202に接着され得る。いくつかの例では、トランスデューサ204は、堆積、リソグラフィなどのプロセスを通して光学面上に配置することができる。いくつかの例では、トランスデューサ204は、導電性又は非導電性接着材料を使用して表面に接着され得る。電気エネルギーがトランスデューサ204に印加されると、トランスデューサを振動させることができ、トランスデューサと接触している表面材料も振動させることができ、表面材料の分子の振動は表面材料を介して音響波として伝播することができる。いくつかの例では、トランスデューサ204の振動を使用して、ガラス、プラスチック(例えば、エポキシ)などであり得るレンズ202の光学面の媒体内の広い周波数範囲(例えば、20kHz~800kHz、20kHz~1MHz、又は他の適切な周波数範囲)にわたって選択された周波数の超音波音響波を生成することができる。本開示の範囲内に留まりながら、上記の例示的な範囲外の他の周波数を使用することができることを理解されたい。
【0020】
いくつかの例では、(例えば、レンズアレイ内の)レンズ202はまた、1つ以上の発光体220(例えば、レーザ)に部分的又は完全に光学的に結合され得る。いくつかの例では、発光体220は、光を放出するように構成されており、光は、レンズ202を介して、トランスデューサ204を介して、及びタッチスクリーン208を介して伝播することができる。いくつかの例では、トランスデューサ204はまた、ハウジング218に結合/一体化され得るタッチスクリーン208の一部に部分的又は完全に配置され(又は結合され)得る。例えば、タッチスクリーン208(例えば、容量性)は、ガラスパネル(カバーガラス)を備えてもよく、タッチスクリーンのディスプレイ領域は、非ディスプレイ領域(例えば、タッチスクリーンのディスプレイ領域の周囲を囲む黒い境界領域)によって囲まれていてもよい。いくつかの例では、トランスデューサ204は、トランスデューサがユーザに見えないように、(例えば、黒いマスクの後ろのガラスパネルの背面側の)タッチスクリーン208のガラスパネルの黒いマスク領域に部分的又は完全に配置することができる。いくつかの例では、トランスデューサ204は、トランスデューサ204がタッチスクリーン208とレンズ202との間に結合されるように、タッチスクリーン208のディスプレイ領域に部分的又は完全に結合され得る。そのような例では、トランスデューサ204は、例えば、光の全て又は実質的な部分がディスプレイ領域を通過することを可能にするために、透明又は部分的に透明な材料(例えば、ZnO、AlN)で構築されてもよい。
【0021】
デバイス200は、音響光学的完全性検出回路206を更に備えることができ、音響光学的完全性検出回路206は、トランスデューサ204の振動を刺激するために電気信号を駆動するための回路(例えば、送信回路)、並びにトランスデューサが受信した音響エネルギーによって刺激されたときにトランスデューサによって出力される電気信号を検知するための回路(例えば、受信回路)を含むことができる。いくつかの例では、音響完全性検出回路206のタイミング動作は、音響完全性検出回路206の動作のタイミングを制御することができる別個の音響光学的完全性検出コントローラ210によって任意選択的に提供することができる。いくつかの例では、完全性検出コントローラ210は、音響完全性検出回路206とホストプロセッサ214との間に結合され得る。いくつかの例では、コントローラ機能は、(例えば、単一の集積回路上で)音響完全性検出回路206と統合することができる。音響完全性検出回路206からの出力データは、以下でより詳細に説明するように、レンズ202又はデバイスのディスプレイ(例えば、タッチスクリーン208)上及び/又は中の不純物の位置、種類、及び/又は重大度を判定する更なる処理のためにホストプロセッサ214に出力することができる。いくつかの例では、表面不純物の位置、種類、及び/又は重大度を判定するための処理は、音響完全性検出回路206、コントローラ210、又はデバイス200の別個のサブプロセッサ(図示せず)によって実行することができる。いくつかの例では、音響検出回路206、コントローラ210、又は別個のサブプロセッサ(図示せず)は、表面不純物の存在の判定を使用して(すなわち、位置、種類、及び/又は重大度を判定することに基づいて)、(発光体220からの)光の放出を制御することができる。
【0022】
音響完全性検出回路206に加えて、デバイスは、追加のタッチ回路212と、任意選択的に、タッチスクリーン208に結合され得るタッチコントローラ(図示せず)とを含むことができる。タッチコントローラを含むいくつかの例では、タッチコントローラは、タッチ回路212とホストプロセッサ214との間に配置することができる。タッチ回路212は、例えば、容量性又は抵抗性タッチ検知回路とすることができ、特にタッチスクリーンのディスプレイ領域において、タッチスクリーン208と接触している及び/又は近接している物体(例えば、指、スタイラスなど)の接触及び/又はホバリングを検出するために使用することができる。従って、デバイス200は、以下でより詳細に説明するように、デバイス内の光学部品(レンズ202)の不純物を検出しながら、デバイスの異なる領域内の物体(及びそれらの位置)を検出するための複数の種類の検出回路(例えば、タッチ回路212及び音響完全性検出回路206)を含むことができる。本明細書ではタッチスクリーンを含むものとして説明されているが、タッチ回路212を省略することができ、タッチスクリーン208を他の非タッチ検知ディスプレイに置き換えることができることを理解されたい。
【0023】
ホストプロセッサ214は、音響又は他のタッチ出力(例えば、容量性)を受信し、タッチ出力に基づいてアクションを実行することができる。ホストプロセッサ214はまた、プログラム記憶装置216及びタッチスクリーン208に接続することができる。ホストプロセッサ214は、例えば、タッチスクリーン208と通信して、ユーザインタフェース(UI)の画像などの、タッチスクリーン208上に画像を生成し、タッチ検知回路212を使用して、表示されたUIへのタッチ入力などのタッチスクリーン208上又はその近くのタッチを検出することができる。タッチ入力は、限定はしないが、カーソル又はポインタなどの物体の移動、スクロール又はパニング、制御設定の調整、ファイル又は文書を開くこと、メニューの閲覧、選択の実行、命令の実行、ホストデバイスに接続された周辺デバイスの操作、電話の応答、電話の発信、電話の着信、音量又はオーディオ設定の変更、アドレス、頻繁に発信される番号、着信、不在着信などの電話通信に関する情報の保存、コンピュータ又はコンピュータネットワークへのログイン、許可された個人にコンピュータ又はコンピュータネットワークの制限された領域へのアクセスを許可すること、コンピュータデスクトップのユーザの好ましい配置に関連付けられたユーザプロファイルのロード、ウェブコンテンツへのアクセスの許可、特定のプログラムの起動、メッセージの暗号化又は復号などを含むことができるアクションを実行するために、プログラム記憶装置216に記憶されたコンピュータプログラムによって使用することができる。ホストプロセッサ214はまた、傷又は水の進入などの、レンズ202上又はその近くの不純物及び/又は発光体220の動作を検出するための音響完全性検出回路206(及び、いくつかの例では、音響完全性検出コントローラ210)の動作など、タッチ処理に関連しないことがある追加の機能を実行することができる。
【0024】
本明細書に記載の機能のうちの1つ以上は、メモリに記憶され、タッチ回路212及び/若しくは音響完全性検出回路206(又はそれらのそれぞれのコントローラ)によって実行される、又はプログラム記憶装置216に記憶され、ホストプロセッサ214によって実行されるファームウェアによって実行されて得ることに留意されたい。ファームウェアは、コンピュータベースのシステム、プロセッサを含むシステムなどの命令を実行するシステム、装置、若しくはデバイス、又は、命令を実行するシステム、装置、若しくはデバイスから命令をフェッチし、実行することができる他のシステム、によって使用されるか、又はこれらに接続した任意の非一時的コンピュータ可読記憶媒体内にもまた、記憶され、及び/又は送信されることができる。本開示のコンテキストでは、「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」は、命令実行システム、装置、若しくはデバイスによって、又はそれらに関連して使用するためのプログラムを含むことができ、又は記憶することができるいずれかの媒体(信号を除く)とすることができる。非一時的なコンピュータ可読媒体記憶装置としては、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、又は半導体システム、装置又はデバイス、携帯コンピュータディスケット(磁気)、ランダムアクセスメモリ(RAM)(磁気)、読み出し専用メモリ(ROM)(磁気)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)(磁気)、携帯用光ディスク(CD、CD-R、CD-RW、DVD、DVD-R、又はDVD-RWなど)、又はコンパクトフラッシュ(登録商標)カードなどのフラッシュメモリ、セキュアデジタルカード、USBメモリデバイス、メモリースティック等を挙げることができるが、これらに限定はされない。
【0025】
このファームウェアは、コンピュータベースのシステム、プロセッサを含むシステムなどの命令を実行するシステム、装置、若しくはデバイス、又は、命令を実行するシステム、装置、若しくはデバイスから命令をフェッチし、実行することができる他のシステム、によって使用されるか、又はこれらに接続した任意の送信媒体内でもまた、伝搬することができる。本明細書の文脈では、「伝送媒体」は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって使用されるか又はこれらに接続したプログラムを通信し、伝搬し、又は伝送することができる任意の媒体とすることができる。送信可読媒体としては、限定はされないが、電子、磁気、光学、電磁又は赤外線の有線又は無線の伝播媒体を挙げることができるが、これらに限定はされない。
【0026】
デバイス200は、
図2の部品及び構成に限定されず、他の又は追加の部品を、様々な実施例に係る複数の構成で含み得ることを理解されたい。更には、デバイス200の部品は、単一のデバイス内部に含めることができ、又は、複数のデバイス間で分散させることもできる。更に、部品間の接続は例示的なものであり、
図2の構成に示された矢印に関係なく、実装に応じて部品間に異なる一方向又は双方向接続を含めることができることを理解されたい。
【0027】
図3Aは、本開示の実施例による、光学システムの光学的完全性の音響検出のための例示的な方法300を示す。302において、音響エネルギーは、例えば超音波の形態で、デバイスの光学部品の光学面に沿って、又は光学面を通って、(例えば、1つ以上のトランスデューサ204によって)送信され得る。いくつかの例では、波は、圧縮波、せん断水平波、レイリー波、ラム波、ラブ波、ストンレイ波、又は表面音響波として伝播することができる。送信される音響エネルギーの他の伝播モードもまた、表面材料の特性及びトランスデューサから光学部品の光学面へのエネルギー送信の方式に基づいて存在することができる。いくつかの例では、光学面(例えば、レンズ202)はガラス又はエポキシから形成することができ、又は表面(例えば、タッチスクリーン208)はガラス又はサファイア結晶から形成することができる。送信エネルギーは、表面の不連続部/不純物に達するまで表面に沿って伝播することができ、これによりエネルギーの一部の反射をもたらすことができる。いくつかの例では、不連続部又は不純物は、表面の形状における不規則性(例えば、表面にエッチングされた溝又はパターン)であり得る。いくつかの例では、不連続部は、表面に結合された(例えば、表面上に配置された)反射材料であり得る。いくつかの例では、表面と接触する水(例えば、水の浸入)も不連続部であり得る。いくつかの例では、不連続部は、(例えば、超音波がトランスデューサに対向している表面の縁部に伝播するとき)表面材料の縁部(すなわち、エンドポイント)で生じ得る。いくつかの例では、(例えば、タッチスクリーンの)ディスプレイからの光学システム(例えば、レンズアレイ)の光学部品の層間剥離も不連続部であり得る。送信エネルギーが上記の不連続部のうちの1つに到達すると、エネルギーの一部は反射され得、反射されたエネルギーの一部は1つ以上のトランスデューサ204に向けられ得る。
【0028】
304において、戻る音響エネルギーを受信することができ、音響エネルギーは、1つ以上のトランスデューサ204によって電気信号に変換することができる。306において、音響検知システムは、光学部品の表面上及び/又は表面内に1つ以上の不純物又は不連続部が存在するか否かを判定することができ、受信した音響エネルギーに基づいて1つ以上の不純物の位置、種類、及び/又は重大度を更に検出することができる。いくつかの例では、送信源(例えば、トランスデューサ204)からの不純物の距離は、反射エネルギーの送信と受信との間の飛行時間、及び材料を通る超音波の伝播速度から決定することができる。いくつかの例では、ベースライン反射エネルギー(完全に機能的且つ連続的な光学面から知られている(すなわち、異常な/予期しない不連続部又は不純物がない))を反射エネルギーの測定値と比較することができる。ベースライン反射エネルギーは、例として、特定の光学面及び光学部品の理想的な完全性曲線のシミュレーションに基づいて、及び/又は特定の光学面及び光学部品の試験中に得られた記憶された(例えば、メモリに保存された)完全性曲線に基づいて決定することができる。ベースラインからの反射エネルギーの測定された偏差のタイミングは、不純物の位置と相関させることができる。いくつかの例では、送信波及び受信波の複数の弧に沿った振幅を記録及び処理して、各位置の振幅の画像を再構成することができる。方法300は、上述したように、一般に、波を送信したトランスデューサによって受信された反射波を参照するが、いくつかの例では、送信機及び受信機の機能は、302での音響エネルギーの送信及び304での音響エネルギーの受信が同じトランスデューサで発生しないように分離することができる(例えば、送信するように構成された1つのトランスデューサ及び受信するように構成された1つのトランスデューサ)。方法300を実行するために使用することができる例示的なデバイス構成及び測定タイミングの例は、以下で更に詳細に説明される。
【0029】
いくつかの例では、1つ以上の発光体220からの光の放出が光学部品の完全性に依存するように、音響光学的完全性検出は、1つ以上の発光体220の動作性を判定することができる。例えば、音響光学的完全性検出は、光が1つ以上の発光体から放出されるために満たさなければならない受信した音響エネルギー(例えば、光学的完全性を示す)に対する基準を含むことができる。1つ以上の基準は、本明細書では光学的完全性基準又は完全性基準と称され得る。
図3Bは、本開示の実施例による、光学システムの光学的完全性に基づいて発光体を動作させるための例示的なプロセス320を示す。プロセス300は、
図3Aに関して上述したように、302及び304のように音響エネルギーを送信及び受信することを含むことができる。322において、音響光学的完全性検出システムは、受信した音響エネルギー及び1つ以上の完全性基準を使用して光学的完全性を評価することができる。いくつかの例では、検出された光学的完全性は、上述のように、振幅、飛行時間、周期などの定量値などの、反射エネルギーの1つ以上の特性によって表すことができる。上述のように、これらの定量値は、システムが検出された不純物の位置、種類、及び/又は重大度を決定することを可能にし、例えば、光学部品はフラグを立てられることがあり、検出された不純物は対処されることがある(例えば、交換、固定など)。追加的又は代替的に、検出された光学的完全性は、
図3Bに示す例示的なプロセス320では、不純物が検出されたか否か(例えば、正又は負の検出)に関して単純に表され得る。従って、322において、光学的完全性検出システムは、予期しない不連続部/不純物が検出されたか否かをチェックし、予期しない不連続部/不純物の検出又は非検出に基づいて光の放出を可能にするか否かを判定することができる。この単純化された評価ステップは、(不純物の位置、種類、及び/又は重大度を検出するのにかかる時間と比較して)、光の放出を実行するか否かの判定をより迅速にし得ることが理解されよう。図示のように、1つ以上の基準が満たされる場合(すなわち、不純物が検出されない)、発光体220は有効にされ、光を放出することが許可される(324)。あるいは、1つ以上の基準が満たされない場合(すなわち、1つ以上の不純物が検出される)、発光体220は無効にされ、光を放出することが許可されない(326)。
【0030】
図3A及び
図3Bに示す例示的なプロセス300及び320は、所望又は必要に応じて何回も、又はわずかに実施され得ることを理解されたい。例えば、プロセス320は、光が1つ以上の発光体220から出射されるたびに実行されてもよい。追加的又は代替的に、いくつかの例では、完全性検出プロセス300は、偽陽性(すなわち、不純物の誤検出)及び/又は偽陰性(すなわち、不純物を検出しない誤検出)の発生を低減するために複数回(例えば、2回又は3回)実行されてもよい。
【0031】
図4は、本開示の実施例による、音響光学的完全性検出回路400の例示的な構成を示す。音響完全性検出回路400は、音響完全性検出回路402~404及び408~420(上記の音響完全性検出回路206に対応することができる)と、制御ロジック422(上記の音響完全性検出コントローラ210に対応することができる)とを含むことができる。いくつかの例では、音響完全性検出回路400はまた、任意選択的にトランスデューサ406(上記のトランスデューサ204に対応することができる)を含むことができる。
図4には示されていないが、いくつかの例では、音響光学的完全性検出回路400は、光学部品(レンズ202に対応することができる)と、発光回路(発光体220に対応することができ、光学的完全性検出に基づいて発光体を動作させるための制御回路を含んでもよい)とを含む光学システムを任意選択的に含むこともできる。
【0032】
いくつかの例では、送信機402は、複数のトランスデューサ406のうちの1つ以上のトランスデューサの動きを刺激するための電気信号を生成することができる。いくつかの例では、送信信号は差動信号とすることができ、いくつかの例では、送信信号はシングルエンド信号とすることができる。いくつかの例では、送信機402は単純なバッファとすることができ、送信信号はパルス(又は特定の周波数でのパルスのバースト)とすることができる。いくつかの例では、送信機402は、デジタル-アナログ変換器(DAC)402Aと、DAC 402Aの量子化出力を平滑化するために任意選択的に使用することができる任意選択のフィルタ402Bとを含むことができる。いくつかの例では、トランスデューサ自体の特性がフィルタリング特性を提供することができ、フィルタ402Bを省略することができる。DAC 402Aは、任意の送信波形を生成するために使用することができる。いくつかの例では、任意の波形は、送信信号を予め歪めてチャネルを等化することができる。いくつかの例では、トランスデューサ406に結合された表面材料の特性、表面材料の不連続部、及びデバイスの光学部品の光学面の反射特性などの、各チャネルの特性を測定及び記憶することができる。いくつかの例では、チャネル特性は製造ステップ(又は工場較正ステップ)として測定することができ、他の例では、特性は周期的較正ステップ(すなわち、チャネル特性がどれだけ速く変化すると予想されるかに応じて、月に1回、年に1回など)として測定することができる。いくつかの例では、チャネル特性は、チャネルの伝達関数に変換することができ、任意の送信波形は、チャネル伝達関数の逆数を使用して構成されている場合があり、それにより、戻り信号が等化される(例えば、戻り信号は、見掛け上任意の波形を有する送信波形にもかかわらず、パルス又はパルスのバーストとして検出され得る)。いくつかの例では、単一の差動パルスを送信波形として使用することができる。例えば、バイポーラ方形パルス(トランスデューサに印加される電圧は正と負の両方であり得る)を送信波形として使用することができ、バイポーラ方形パルスはシングルエンド又は差動実装を使用して実現され得る。
【0033】
(例えば、差動実装において)一対のデマルチプレクサ404を使用して、測定サイクルにおける特定の測定ステップのためのアクティブトランスデューサとすることができるトランスデューサ406のうちの1つに、送信機402を選択的に結合することができる。いくつかの例では、デマルチプレクサ404は接地接続を有することができ、選択されていないデマルチプレクサ出力は短絡、開放、又は接地することができる。上述したように、トランスデューサ406はまた、音響エネルギーによってトランスデューサに動きが誘発されたときに出力電気信号を生成することができる。(例えば、差動実装において)一対のマルチプレクサ408を使用して、受信信号を増幅するように構成されたプログラマブル利得増幅器410に結合するためのトランスデューサ406を選択することができる。いくつかの例では、同一のトランスデューサ406は、駆動モード中にデマルチプレクサ404によって送信機402に結合され、受信モード中にマルチプレクサ408によってプログラマブル利得増幅器410に結合され得る。従って、単一のトランスデューサ406を音響エネルギーの送信及び受信の両方に使用することができる。いくつかの例では、第1のトランスデューサはデマルチプレクサ404によって送信機402に結合され得、第2のトランスデューサはマルチプレクサ408によってプログラマブル利得増幅器410に結合され得る。例えば、送信トランスデューサ及び受信トランスデューサは、個別の圧電素子とすることができ、送信トランスデューサは、より高い電圧(又は電流)によって駆動されて、トランスデューサ406に十分な運動を生成させて、デバイス(例えば、上記のデバイス200)の表面に音響波を生成するように設計され得、受信トランスデューサは、より小さい振幅の反射エネルギーを受信するように設計され得る。そのようなアーキテクチャでは、送信側回路(例えば、402及び404)は任意選択的に高電圧回路に実装することができ、受信側回路(例えば、408~420)は任意選択的に別個の低電圧回路に実装することができる。いくつかの例では、マルチプレクサ408を高電圧回路に実装して、送信側回路による送信動作中に残りの受信側回路(例えば、410~420)を適切に分離することもできる。追加的又は代替的に、いくつかの例では、送信回路は、トランスデューサの充電及び放電に必要なエネルギーの一部を回収するために使用できるエネルギー回収アーキテクチャを含むことができる。いくつかの例では、プログラマブル利得増幅器出力は、利得及びオフセット補正回路412に結合され得る。シングルエンド実装の場合、単一のデマルチプレクサ404及び単一のマルチプレクサ408を使用することができ、送信機402、プログラマブル利得増幅器410、並びに利得及びオフセット補正回路412への入力もシングルエンドであり得ることを理解されたい。しかしながら、差動実装は、シングルエンド実装よりも改善されたノイズ抑制を提供することができる。
【0034】
いくつかの例では、音響タッチ検知回路は、複数の送信トランスデューサ及び1つの受信トランスデューサを含むシステムに使用することができる。そのような例では、デマルチプレクサ404は、不要であり得、音響タッチ検知回路から省略され得る。いくつかの例では、音響タッチ検知回路は、複数の受信トランスデューサ及び1つの送信トランスデューサを含むシステムに使用することができる。そのような例では、マルチプレクサ408は、不要であり得、音響タッチ検知回路から省略され得る。
【0035】
いくつかの例では、利得及びオフセット補正回路412の出力は、任意選択的に、1つ以上のアナログ処理回路に結合され得る。いくつかの例では、利得及びオフセット補正回路412の出力は、受信信号を(例えば、I/Q復調によって)復調するように構成された復調回路414に結合され得る。いくつかの例では、利得及びオフセット補正回路412の出力は、受信信号上でエンベロープ検出を実行するように構成されたエンベロープ検出回路415に結合され得る。いくつかの例では、利得及びオフセット補正回路412の出力は、フィルタ416においてフィルタ処理され得る。いくつかの例では、これらのブロックは異なる順序で配置され得る。いくつかの例では、これらのアナログ処理回路の処理は、デジタル領域で実行することができる。
【0036】
受信信号は、生であるか又は、復調回路414、エンベロープ検出回路415、又はフィルタ416のうちの1つ以上によって処理されたかに関わらず、デジタル信号への変換のためにアナログ-デジタル変換器(ADC)418に渡され得る。いくつかの例では、入力/出力(I/O)回路420を使用して、処理のための受信データを送信することができる。いくつかの例では、I/O回路420の出力は、デバイスのホストプロセッサに、又はホストプロセッサとは別に補助プロセッサ(サブプロセッサ)に転送され得る。例えば、図示のように、I/O回路420の出力は、1つ以上のプロセッサを含むことができるプロセッサシステムオンチップ(SoC)430に結合され得る。いくつかの例では、プロセッサSoC430は、ホストプロセッサ432(例えば、アクティブモードプロセッサ)及び補助プロセッサ434(例えば、低電力プロセッサ)を含むことができる。いくつかの例では、データをシステム内の他のプロセッサ(例えば、プロセッサSoC430)に送信する前に、いくつかのデジタル信号処理を(例えば、音響タッチ検知回路400によって)実行することができる。制御回路422を使用して、音響完全性検出回路402~420のタイミング及び動作を制御することができる。いくつかの例では、I/O回路は、プロセッサSoC430(例えば、ホストプロセッサ432)へのデータ転送に使用されるだけでなく、プロセッサSoC430からの制御レジスタ及び/又はファームウェアダウンロードを書き込むためにも使用される。
【0037】
本明細書で説明するように、発光回路は、例えば、1つ以上の発光体を駆動するように構成されたレーザドライバ(
図4には示されず)を含むことができる。いくつかの例では、発光回路は、光学不純物が検出されたときに、(例えば、レーザを含む光学システムの安全コンプライアンスを保証するために)レーザを含む光学システムからの光の放出を防止するための割り込み信号又は他の制御信号を受信することができる。いくつかの例では、発光回路を有効又は無効にするための制御は、I/O回路420の出力(従って、トランスデューサ406の出力)を使用してプロセッサSoC430によって実行されてもよい。いくつかの例では、制御は、プロセッサSoC430を使用せずにI/O回路420によって直接提供されてもよい。本明細書で説明するように、発光回路は、(例えば、1つ以上のトランスデューサ406によって受信された1つ以上の反射によって)不連続部がトランスデューサ406のうちの1つ以上によってレンズ(例えば、レンズ202に対応する)の位置、上、及び/又は近くで検出されたというインジケーション(又は複数のインジケーション)を受信してもよい。発光回路の制御は、1つ以上の発光体を駆動するレーザドライバによって受信される割り込み信号(例えば、ロジックハイなどの1ビットのメッセージ又はフラグ)を生成することができ、これにより、(例えば、
図3Bの326によって示されるように)1つ以上の発光体に光の放出を取り止めさせることができる。追加的又は代替的に、不連続部が1つ以上のトランスデューサ406によって検出されず、前進信号(例えば、ロジックローなどの単一ビットのメッセージ又はフラグ)を受信すると、(例えば、
図3Bの324によって示されるように)発光回路は、割り込み信号がない場合にレーザドライバ/発光体が光を放出することを可能にしてもよい。
【0038】
図4の構成は、
図4の部品及び構成に限定されず、他の又は追加の部品を、様々な実施例に係る複数の構成で含み得ることを理解されたい。例えば、簡単にするために明示的に示されていないが、
図4の構成は、上述したように、例えば、1つ以上の発光体220を駆動し、(例えば、光学的不純物が検出された場合)光の放出を防止するための割り込み信号を受信するように構成されたレーザドライバを含むことができる発光回路を含むことができる。更に、部品402~404及び408~420の一部又は全ては、単一の回路に含まれ得、又は本開示の例の範囲内に留まりながら複数の回路に分割され得る。
【0039】
本明細書に記載されるように、様々な音響検知技術を使用して、光学部品の光学面上、光学面内、又は光学面付近の1つ以上の不純物を検出し、それによって光学システムの光学部品の光学的完全性を評価することができる。いくつかの例では、光学システムは、1つ以上のレンズを有するマイクロレンズアレイ(MLA)であってもよく、上記に開示されるように、1つ以上の発光体を含む照明システムと相互作用してもよい。以下に説明するように、1つ以上の音響トランスデューサはMLAに結合されて、1つ以上のレンズの光学的完全性を評価し、(例えば、照明システムのためのフェイルセーフとして動作するために)光学的完全性に基づいて、1つ以上の発光体を有効又は無効にすることができる。
【0040】
図5A~
図5Bは、それぞれ、本開示の実施例による、電子デバイスの材料スタックアップ及び材料スタックアップの単純な単一スライスの例示的な斜視図を示す。
図5Aは、電子デバイス内の照明システムを含む材料スタックアップ520の斜視図を示す。
図2を参照するときに前述したように、電子デバイスは、1つ以上のレンズ202の上方に配置されたタッチスクリーン208又は他のスクリーン(例えば、非タッチディスプレイスクリーン)を備えてもよい。
図5Aに示すように、材料スタックアップ(本明細書では「スタックアップ」とも呼ばれる)は、ディスプレイ522(例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオードなどのディスプレイ回路を配置することができるディスプレイ層)の上に積層されたカバーガラス521を含むディスプレイスクリーンを含んでもよい。図示のように、スタックアップ520は、ディスプレイ522の下方に結合された(例えば、積層又は堆積された)MLA523と、最後に、接着剤519を使用してMLA523に結合された1つ以上のトランスデューサ524及び/又は音響完全性検出回路506とを更に備えることができる。本明細書で上述したように、トランスデューサ524及び/又は音響完全性検出回路506は、音響/超音波(例えば、せん断水平波)を生成し、反射された音響波を受信するように構成されている場合がある。以下に説明するように、音響波はMLA523を通って伝播し、MLA523の1つ以上のレンズの中又は上に存在し得る不純物又は不連続部を検出することができる。
【0041】
上述したように、電子デバイスは、MLA523を利用する照明システムを備えることができる。
図5Aに示すように、照明システムは、コリメータ525と、1つ以上の発光体527とを備えることができる。図示されていないが、ドライバは、1つ以上の発光体527を駆動するように構成されている場合があり、コリメータ525は、1つ以上の発光体527から放出された光ビームをコリメートすることができる。ドライバは、例えば、
図2に示すように音響光学的完全性検出回路206及び/又は音響光学的完全性検出コントローラ210と通信することができる。本明細書に記載されるように、1つ以上の発光体527(例えば、レーザであり得る)は、光529を選択的に放出するように構成されている場合がある。一例として示すように、1つ以上の発光体527から放出された光529は、コリメータ525を通って導かれてもよく、コリメータは、ディスプレイルーティング開口部を含んでもよく、例えばその結果、光529は、とりわけ、高出力のユーザに向けた照明機能(例えば、顔認識機能のための遠視野での照明)を可能にするために、ディスプレイ522を通ってMLA523によって屈折されてもよい。傷、水の侵入、又は層間剥離した接続(例えば、MLAとディスプレイとの間)などのMLA523の中又は上に存在する不純物又は不連続部は、光529(従って、光パワー)がディスプレイ522を介して効果的に照明されるのを難しくする又は妨げることがある。後により詳細に説明するように、超音波トランスデューサ524及び音響完全性検出回路506は、MLA523の光学的完全性の評価のための効果的で信頼性の高い統合検出方法を提供して、1つ以上のエミッタ527からのより高い光パワー出力、従ってデバイス性能の向上を可能にすることができる。
【0042】
図5Bは、簡略化された構成で示される、
図5Aの材料スタックアップの単一のスライス520Aの斜視図を示す。上述したように、タッチスクリーン又は他の非タッチディスプレイスクリーンを有する電子デバイスは、カバーガラス521、ディスプレイ522、及び電子デバイスのノッチ内に材料スタックアップ構成で配置されたMLA523を備えることができる。
図5Bに示すように、
図5Bの材料スタックアップ520の単一のスライス520Aは、MLA523の1つ以上のレンズのうちの1つのレンズ530を強調表示することができる。一例として、MLA523は、任意の適切な数及び配置(例えば、12×30のレンズ、15×35のレンズ、10×24のレンズなど)のレンズのアレイであってもよい。図示のように、レンズ530は、接着層528(例えば、エポキシ層、感圧接着剤など)を介してディスプレイ522に結合されてもよい。本明細書で説明するように、接着層(例えば、接着層528又は接着層519の一部)は、トランスデューサ524及び/又は音響完全性検出回路506(
図5Bには示されず)をディスプレイ522及び/又はMLA523(従って、レンズ530)に結合することができる。以下でより詳細に説明するように、音響波の送信及び反射された音響波の受信は、MLA523の1つ以上のレンズ(例えば、レンズ530)の光学面を任意の不純物又は不連続部について評価することを可能にし得る。
【0043】
図6A~
図6Bは、本開示の実施例による、電子デバイスの材料スタックアップのレンズアレイ623に1つ以上の音響トランスデューサ624及び/又は音響完全性検出回路606を取り付けるための例示的な構成を示す。
図5A~
図5Bを参照するときに上述したように、1つ以上のトランスデューサ624及び/又は音響完全性検出回路606は、MLA623に結合され得、その結果、1つ以上のトランスデューサ624によって生成された超音波は、MLA623の1つ以上のレンズを通って伝播することができ、反射された超音波は、1つ以上のトランスデューサ624によって受信され得る。本明細書で説明するように、トランスデューサ624及び/又は音響完全性検出回路606をMLA623に効果的に結合するための様々な取り付け構成が可能である。
図6A~
図6Bは、カバーガラス621(例えば、カバーガラス521に対応する)、ハウジング618の一部(例えば、ハウジング518の一部に対応する)、コリメータ625(例えば、コリメータ525に対応する)、及び発光体(図示せず)によって放出される光629(例えば、光529に対応する)も示しており、その詳細は簡潔にするために繰り返さない。
【0044】
図6Aは、トランスデューサ624及び/又は音響完全性検出回路606をMLA623に取り付けるための第1の例示的な構成を示す。
図6Aに示すように、トランスデューサ624及び/又は音響完全性検出回路606は、任意選択的に、MLA623の底面の一部と重なっている。いくつかの例では、トランスデューサ624はMLA623とディスプレイ622との間に結合され、ここで、1つ以上のトランスデューサは、1つ以上の超音波検知層631において実装され得る。いくつかのそのような例では、音響完全性検出回路606(例えば、音響完全性検出回路206及び/又は音響完全性検出回路400に対応する)は、接着剤619(例えば、接着剤519に対応する)を使用してMLA623に結合され得る。図示のように、トランスデューサは、
図7を参照してより詳細に説明するように、接着層628(例えば、
図5Bの接着層528に対応する)を介してディスプレイ622に接着された1つ以上の超音波検知層631に実装されてもよい。音響完全性検出回路は、例えば、音響波を生成し、反射された音響波を検出し、及び/又は反射された音響波を処理するように構成することができる。いくつかの例では、トランスデューサ624及び/又は音響完全性検出回路606は、MLA623の片側(例えば、
図6Aに示すようにMLA623の右側、又はMLA623の左側)に取り付けられてもよい。あるいは、いくつかの例では、トランスデューサ624及び/又は音響完全性検出回路606は、必要又は所望に応じて、MLA623の両側(例えば、MLA623の下側の右側及び左側)に取り付けられてもよい。例えば、複数のトランスデューサは、MLA623の1つ以上のレンズの不純物又は不連続部の検出及び/又は局在化を改善してもよい。
【0045】
図6Bは、トランスデューサ624及び/又は音響完全性検出回路606をMLA623に取り付けるための第2の例示的な構成を示す。
図6Bに示すように、トランスデューサ624及び/又は音響完全性検出回路606は、トランスデューサ624及び/又は音響完全性検出回路606がMLA623とディスプレイ622との間に結合されるように、MLA623の側面の一部に任意選択的に当接される。いくつかの例では、トランスデューサ624及び/又は音響完全性検出回路606は、接着剤619を使用してMLA623及びディスプレイ622に結合され得る。いくつかの例では、トランスデューサは、
図7を参照してより詳細に説明するように、接着層628(例えば、
図5Bの接着層528に対応する)を介してディスプレイ622に接着された1つ以上の超音波検知層631に実装されてもよい。音響完全性検出回路は、例えば、音響波を生成し、反射された音響波を検出し、及び/又は反射波を処理するように構成することができる。いくつかの例では、トランスデューサ624及び/又は音響完全性検出回路606は、
図6Bに示すように、MLA623の片側(例えば、MLA623の右側)、又はMLA623の左側に取り付けられてもよい。あるいは、いくつかの例では、1つ以上のトランスデューサ624及び/又は音響完全性検出回路606は、必要又は所望に応じて、MLA623の両側(例えば右側及び左側)に取り付けられてもよい。例えば、複数のトランスデューサは、MLA623の1つ以上のレンズの不純物又は不連続部の検出及び/又は局在化を改善してもよい。
【0046】
上述したように、完全性検出のための音響波の効果的な送信及び反射された音響波の受信を可能にするために、上記のトランスデューサ及び/又は音響完全性検出回路実装構成のいずれか又は両方が可能であることを理解されたい。しかしながら、トランスデューサの機能性とは別に、例えば、製造コストの容易さ及び/又は低減のために、一方の構成が他の構成より好ましい例があることがある。
【0047】
本明細書に記載されるように、音響トランスデューサ及び/又は音響完全性検出回路は、電子デバイスの材料スタックアップ内のディスプレイ及び/又はレンズアレイに結合され得る。いくつかの例では、音響トランスデューサは、電子デバイスの材料スタックアップ内のディスプレイ及び/又はレンズアレイの間に結合されてもよい。音響トランスデューサはレンズアレイの1つ以上のレンズを通って(例えば、波形特性の変化を介して)音響波を生成及び送信するように構成されてもよく、それにより、1つ以上のレンズの中又は上に存在する不純物及び欠陥は、音響トランスデューサによって受信された反射波によって捕捉される。
図7は、本開示の実施例による、ディスプレイ722とレンズアレイ723との間に結合された音響完全性検出アセンブリ760(1つ以上のトランスデューサ及び音響完全性検出回路を含む)の例示的な詳細な側断面図を示す。本明細書で説明するように、1つ以上の音響トランスデューサ及び/又は音響完全性検出回路を形成する材料層及び支持回路は、一例として、様々な構成で提供され得る。
【0048】
図7の詳細な断面図に示すように、音響完全性検出アセンブリ760(例えば、本明細書では光学的完全性センサ又は完全性検知システムとも称される)は、一例として、スタックアップに配置された1つ以上の材料副層を含むことができる。いくつかの例では、
図7に示すように、音響完全性検出アセンブリ760は、上に1つ以上のトランスデューサを配置することができる基板(例えば、ガラス基板)を含むことができる。
図7の詳細図に示すように、1つ以上のトランスデューサ724を形成する対応する副層は、例えば、1つ以上の超音波検知層731によって表すことができる。
図8A~
図8Cを参照するときにより詳細に説明するように、1つ以上の超音波検知層731は、電極及び圧電材料の個別の副層を備えていてもよく、例えば、各トランスデューサは、圧電材料及び2つの電極のセグメントから形成される。上記で示唆したように、1つ以上の超音波検知層731の様々な構成が提供され、1つ以上のトランスデューサを形成してもよい。いくつかの例では、超音波検知層は、上部超音波検知層731Aによって示されるように、基板734(例えば、ガラス基板)の上にのみ配置されている場合がある。いくつかの例では、超音波検知層は、下部超音波検知層731Bによって示されるように、基板734の底面にのみ配置されていてもよい。いくつかの例では、超音波検知層731によって示されるように、超音波検知層は基板734の上部と底部の両方に配置されていてもよい(例えば、上部超音波検知層731A及び下部超音波検知層731B)。
【0049】
第1の構成では、いくつかの例によれば、基板734の上部に配置された上部超音波検知層731Aは、(例えば、上部超音波検知層731Aに隣接する)ディスプレイ722の底面の完全性を検査/評価するための音響波の使用を可能にし、これは層間剥離(例えば、エポキシ層733Aの接着不良に起因するディスプレイ722からの基板734の剥離)などの不連続部を検出するのに特に有用であり得る。第2の構成では、いくつかの例によれば、基板734の底部に配置された下部超音波検知層731Bは、MLA723の上面及びMLA723のレンズ730A~730Cの表面の完全性を検査するために音響波を使用することを可能にし、これは、レンズの傷、1つ以上のレンズの表面に接触する液体の浸入、及び層間剥離(例えば、エポキシ層733Bの接着不良によるMLA723の上面の基板734からの剥離)などの不連続部を検出するのに特に有用であり得る。第3の構成では、いくつかの例によれば、基板734の上部及び底部に配置された超音波検知層731は、ディスプレイ722の底面及びMLA723の上面の両方の完全性、並びにMLA723のレンズ730A~730Cの個々の完全性を検査するために音響波の使用を可能にする。従って、超音波検知層731の数及び配置は、上記の考慮事項に基づいて、電子デバイスの材料スタックアップ内の様々な光学面の光学的完全性を検査するために、上記の構成のうちの1つに従って選択され得る。
【0050】
いくつかの例では、例えば、
図5A~
図6Bに示す材料スタックアップなど、基板734は設けられていない。いくつかのそのような例では、基板734は除去され得、単一の超音波検知層はMLA723の上に直接形成され得る(例えば、下部超音波検知層731Bによって同様に示されるように、MLA723の平坦な表面上に)。次いで、超音波検知層がディスプレイ722とMLA723との間に配置されるように(例えば、ディスプレイ及びMLAと直接接触する)、単一の超音波検知層はディスプレイ722に直接結合され得る(エポキシ層733Aなどの接着層を介して)。このようにして、ディスプレイ722の底面及びMLA723のレンズ730A~730Cの個々の表面の完全性を検査するために音響波が使用されて、レンズの傷、液体の浸入及び層間剥離(例えば、ディスプレイ722の底面からのMLA723の上面の層間剥離)などの異常な不連続部を検出してもよい。
【0051】
図7に示すように、音響完全性検出アセンブリ760は、それぞれディスプレイ722の底面に沿って、及びMLA723の上面に沿って設けられ得る接着エポキシ層733A及び733Bを使用して、ディスプレイ及びMLAに結合され得る。従って、(例えば、1つ以上の超音波検知層731から形成される)1つ以上のトランスデューサはディスプレイ722に結合され得、及び/又は1つ以上のトランスデューサはMLA723に結合され得る。いくつかの例では、超音波検知層の構成に応じて、エポキシ層733A及び733Bは、基板734の1つ以上の表面に直接接触し得ることを理解されたい。接着エポキシ層733A及び733Bは、トランスデューサをディスプレイ722及び/又はMLA723に結合するための追加又は代替の材料を含んでもよいことも理解されたい。更に、図示するように、超音波検知層731は、例えば、適切な数の導電性ビア735(例えば、金属ビア)を使用して音響完全性検出回路706(例えば、
図2の206に対応する)に電気的に接続されてもよい。
図7に示す導電性ビア735の数は単なる例であり、より多い又はより少ない数(例えば、2個、3個、7個、10個など)の導電性ビア735を設けることができることを理解されたい。ビア735が示されているが、任意の適切な電気的接続(例えば、電気ラップアラウンドワイヤ、ワイヤボンド、又はケーブル)を使用することができることも理解されたい。音響完全性検出回路706は、音響光学的完全性検出コントローラ(例えば、
図2の210に対応する)又は他の処理回路に電気的に接続され得るフレックス回路(例えば、フレキシブルプリント回路基板)732に結合され得る。いくつかの例では、マイクロレンズアレイの1つ以上のレンズ(例えば、レンズ730A~730C)は、例えば、用途及び温度などの他の制約に基づいて選択され得るガラス又はプラスチックなどの適切な材料から構成されている場合がある。
【0052】
上記で概説したように、音響トランスデューサ724は、トランスデューサを形成する1つ以上の超音波検知層(例えば、731)を備えてもよく、トランスデューサから超音波が送信され、光学システムに関連する電子デバイスの材料スタックアップ内の1つ以上の表面の完全性をプローブ/検査してもよい。上述のように、1つ以上の超音波検知層は、例えば、電極層及び/又は圧電層を含む追加の副層を含むことができる。
図8A~8Cは、本開示の実施例による、レンズアレイ823に結合された1つ以上の音響トランスデューサを形成する1つ以上の超音波検知層の例示的な構成の例示的な詳細な側面断面図を示す。
【0053】
図7を参照するときに前述したように、いくつかの例では、電子デバイスの材料スタックアップは基板(例えば、ガラス基板)834を含んでもよい。また上述したように、1つ以上の超音波検知層831(例えば、
図7の731)は、ガラス基板(例えば、734)の片側又は両側に配置されていてもよい。いくつかの例では、
図8Aに示すように、第1及び第2の超音波検知層が基板834の上面及び底面に配置される。例えば、
図8Aは、基板834の上に配置された上部超音波検知層831Aと、基板834の下方に配置された下部超音波検知層831Bとを示す。いくつかの例では、超音波検知層831は片側に設けられる。例えば、
図8B~
図8Cは、基板834の上に配置された超音波検知層831を示す。
図8A~
図8Cに示すように、基板834は、上述のようにエポキシ接着層833を介してMLA823の上面(例えば、平坦)に結合され得る。
図8A~
図8Cには示されていないが、1つ以上のトランスデューサをディスプレイに結合するために、基板の上の上部超音波検知層831A又は超音波検知層831の上に追加の接着層を配置することができる。
【0054】
上述したように、及び
図8A~
図8Cの詳細図に示すように、1つ以上の超音波検知層(例えば、831、831A、831B)は各々、複数の電極層及び1つ以上の圧電層を含むことができる。電極層及び圧電層の様々な構成を使用して、1つ以上のトランスデューサを形成することができる。
図8Aは、本開示の実施例による複数の電極層836A~836D、837A~837B及び1つ以上の圧電層838A~838Dの第1の構成の例示的な詳細断面図を示す。
【0055】
図8Aに示すように、第1の超音波検知層831A及び第2超音波検知層831Bは、基板834の上面及び底面に設けられてもよい(例えば、
図7の超音波検知層731に対応する)。いくつかの例では、
図8Aの詳細図に示す第1の構成では、第1及び第2の超音波検知層831A、831B内に複数の電極層及び複数の圧電層が設けられてもよい。例えば、第1の超音波検知層831Aを参照すると、第1の電極層836A、第2の電極層836B、及び第3の電極層837Aが設けられてもよく、第1の電極層836A、第2の電極層836B、及び第3の電極層837Aは、光学的に透明又は半透明の電極(例えば、ITO、金属メッシュ、銀ナノワイヤなどで構成されている)である。この第1の構成では、第1の電極層836Aは受信機電極(Rx電極)として構成されてもよく、第2の電極836Bは送信機電極(Tx電極)として構成されてもよく、第3の電極層837Aは接地電極として構成されてもよい。更に、第1の圧電層838A及び第2の圧電層838Bが設けられてもよく(例えば、ZnO又はAlNで構成されている)、第1の圧電層838Aは、接地電極層837AとRX電極(例えば、第1の電極層836A)との間に配置されており、第2の圧電層838Bは、接地電極層837AとTx電極(例えば、第2の電極層836B)との間に配置される。第1の圧電層838A、第1の電極層836A、及び接地電極層837Aは、反射された音響波を受信するように構成された第1の受信機トランスデューサ824Aを形成することができ、第2の圧電層838B、第2の電極層836B、及び接地電極層837Aは、音響波を送信するように構成された送信機トランスデューサ824Bを形成してもよい。本明細書に記載されるように、いくつかの例では、第1の電極層836A及び第2の電極層836Bは複数の電極を含み得、それにより、トランスデューサ824Aのアレイ及び/又はトランスデューサ824Bのアレイが形成され得る。
【0056】
図8Aに示すように、第2の超音波検知層831Bは、基板834とMLA823との間に設けられ得る。いくつかの例では、図示するように、第2の超音波検知層831Bは、基板834の底面にわたって配置されたトランスデューサ824C及び824Dのアレイを含むことができる。示されるように、第4の電極層836C、第5の電極層836D、及び第6の電極層837Bは、光学的に透明又は半透明の電極(例えば、ITO、金属メッシュなど)であり得る。第4の電極層836Cは、図示のように、第1の受信機電極画素836C-a、第2の受信機電極画素836C-b、及び第3の受信機電極画素836C-cを含む複数のパターン化された第1の電極(例えば、Rx電極)が提供されるように画素化されてもよい。同様に、第5の電極層836Dは、図示のように、第1の送信機電極画素836D-a、第2の送信機電極画素836D-b、及び第3の送信機電極画素836D-cを含む複数のパターン化された第2の電極(例えば、Tx電極)が提供されるように画素化されてもよい。図示のように、第2の超音波検知層831Bは、接地電極層837Bと第4及び第5の電極層836C~836Dとの間にそれぞれ配置された第3の圧電層838C及び第4の圧電層838Dを更に含むことができる。この例では、複数のパターン化された第1の電極836C-a~836C-cは、第3の圧電層838Cを共有するように構成されていてもよく、複数のパターン化された第2の電極836D-a~836D-cは、第4の圧電層838Dを共有するように構成されていてもよく、それにより、トランスデューサ824Cの第1のアレイ及びトランスデューサ824Dの第2のアレイを作成し、トランスデューサの第1のアレイの1つの受信機構成トランスデューサ及びトランスデューサの第2のアレイの1つの送信機構成トランスデューサが、MLA823のそれぞれのレンズの上に形成される。例えば、第4の電極層836C、第3の圧電層838C、及び接地電極層837Bの受信機電極画素836C-a~836C-cは、各々が反射された音響波を受信するように構成された受信機トランスデューサ824Cのアレイを形成してもよく、第5の電極層836D、第4の圧電層838D、及び接地電極層837Bの送信機電極画素836D-a~836D-cは、各々が音響波を送信するように構成された送信機トランスデューサ824Dのアレイを形成してもよい。このようにして、MLA823の各レンズ830A~830Cは、超音波を送信し、それぞれのレンズからの1つ以上のそれぞれの反射を受信することによって、それぞれのレンズの完全性を個別にプローブするように構成された受信機構成トランスデューサ及び送信機構成トランスデューサの対応する対を備えることができる。
【0057】
引き続き上述し、
図8Aに示す電極及び圧電層の第1の構成を参照すると、ディスプレイ(例えば、
図7のディスプレイ722に対応する)の光学面は、第1の超音波検知層831Aから送信される音響波を使用してプローブされ得る。第2の電極836B及び第2の圧電層838B(及び共有接地電極層837A)から形成された送信機トランスデューサ824Bは、ディスプレイ(図示せず)に上方に音響波を送信し、ディスプレイの底面から検出可能な反射を生成することができる。第1の電極836A及び第1の圧電層838A(及び接地電極層837A)から形成された受信機トランスデューサ824Aは、例えば、反射波からエネルギーを受信することができる。本明細書で説明するように、ディスプレイの底面(例えば、層間剥離に起因する)に沿った不純物又は異常な不連続部の存在は、送信された音響波の変化を引き起こすことができ、これは、受信機トランスデューサ824Aで受信された反射された音響波で(例えば、ベースライン信号と比較した受信信号の振幅、飛行時間、周期などの変化に基づいて)検出することができる。従って、ディスプレイ(例えば、発光体からの光が通過する
図7のディスプレイ722)の底面に関する光学システムの完全性は、超音波を送信し、1つ以上のそれぞれの反射を受信することによって評価され得る。
【0058】
同様に、MLA823の例示的なレンズ830A~830Cの光学面は、第2の超音波検知層831Bから送信された音響波を使用してプローブされ得る。例えば、複数のパターン化された第2の電極836D-a~836D-c及び第4の圧電層838D(及び接地電極層837B)から形成された送信機トランスデューサ824Dのアレイは、基板834を介して音響波を各々送信し、MLA823の各レンズから検出可能な反射を生成することができる。複数のパターン化された第1の電極836C-a~836C-c及び第3の圧電層838C(及び接地電極層837B)によって形成された受信機トランスデューサ824Cのアレイは、反射波からエネルギーを受信することができる。MLA823のレンズ830A~830Cのいずれかにおける不純物又は異常な不連続部の存在は、送信された音響波への変化を引き起こすことができ、これは、受信機トランスデューサ824Cのアレイで受信された反射された音響波で(例えば、ベースライン信号と比較した受信信号の振幅、飛行時間、周期などの変化に基づいて)検出することができる。更に、MLA823の上面に不純物又は異常な不連続部(例えば、層間剥離に起因する)が存在すると、送信音響波に変化が生じる可能性があり、これは反射された音響波において検出することができる。従って、MLA823のレンズ(例えば、レンズ830A~830C)及び上面の完全性は、1つ以上の超音波を送信し、1つ以上のそれぞれの反射を受信することによって評価することができる。
【0059】
図8Aの例示的な材料スタックアップ内の複数の電極層及び複数の圧電層の構成は、必要又は所望に応じて変更することができることを理解されたい。例えば、第1の超音波検知層831Aは、代替的に、基板834の上面にわたって配置されており、第2の超音波検知層831Bと同様の構成でアレイとして設けられてもよい。別の例として、第2の超音波検知層831Bは、代替的に、第1の超音波検知層831Aと同様の構成の画素化電極なしで実装されてもよい。別の例として、第1の超音波検知層831Aが画素化アレイであり、第2の超音波検知層831Bが画素化されていないように、第1の超音波検知層831A及び第2の超音波検知層831Bの例示的な構成を切り替えることができる。いくつかの例では、圧電材料及び/又は接地電極はまた、各トランスデューサに別個のセグメントを有するセグメントに分割され得る。追加的又は代替的に、送信機及び受信機として構成されたトランスデューサは、共通の接地電極を共有するのではなく、別個の接地電極を使用することができる。追加的又は代替的に、送信機と受信機の対のトランスデューサ機能は、1つのトランスデューサに統合することができる(例えば、
図8Cを参照して説明したように)。
【0060】
図8Bは、本開示の実施例による複数の電極層836A~836B、837及び1つ以上の圧電層838A~838Bの第2の構成の例示的な詳細断面図を示す。
図8Bに示すように、基板834の上面に超音波検知層831を設けてもよい(例えば、
図7の上部超音波検知層731Aによって先に示したように)。
【0061】
いくつかの例では、
図8Bの詳細図に示す第2の構成では、超音波検知層831は、基板834の上面にわたって配置されたアレイとして設けられてもよい。第1の電極層836A、第2の電極層836B及び第3の電極層837は、光学的に透明又は半透明の電極(例えば、ITO、金属メッシュなど)とすることができる。第1の電極層836Aは、画素化されて、第1の受信機電極画素836A-a、第2の受信機電極画素836A-b、及び第3の受信機電極画素836A-cを含む複数のパターン化された第1の電極(例えば、Rx電極)を形成することができる。同様に、第2の電極層836Bを画素化して、第1の送信機電極画素836B-a、第2の送信機電極画素836B-b、及び第3の送信機電極画素836B-cを含む複数のパターン化された第2の電極(例えば、Tx電極)を形成することができる。第3の電極層837は、接地電極層として構成されてもよい。図示のように、超音波検知層831は、接地電極層837の両側に配置された第1の圧電層838A及び第2の圧電層838Bを更に含んでもよい。この例では、複数のパターン化された第1の電極836A-a~836A-c、第1の圧電層838A、及び接地電極は、受信機構成のトランスデューサを形成する。複数のパターン化された第2の電極836B-a~836B-c、第2の圧電層838B、及び接地電極は、送信機構成のトランスデューサを形成する。図示のように、第1のトランスデューサアレイ824A及び第2のトランスデューサアレイ824Bは、MLA823のそれぞれのレンズの上に形成された1つの受信機構成トランスデューサ及び1つの送信機構成トランスデューサで形成することができる。
図8Aに関して説明したのと同様の方法で、受信機及び送信機トランスデューサの対応する対は、超音波を送信し、それぞれのレンズからの1つ以上のそれぞれの反射を受信することによって、(基板834を介して)それぞれのレンズの光学的完全性を個別にプローブするように構成されている場合がある。
【0062】
図8Bの例示的な材料スタックアップ内の複数の電極層及び複数の圧電層の構成は、必要又は所望に応じて変更することができることを理解されたい。例えば、超音波検知層831は、
図8Aに示す第1の超音波検知層831Aと同様に画素化されていなくてもよい。別の例として、超音波検知層831は、代替的に、基板834の底面に設けられてもよい(例えば、
図7の下部超音波検知層731Bによって先に示したように)。いくつかの例では、圧電材料及び/又は接地電極はまた、各トランスデューサに別個のセグメントを有するセグメントに分割され得る。追加的又は代替的に、送信機及び受信機として構成されたトランスデューサは、共通の接地電極を共有するのではなく、別個の接地電極を使用することができる。
【0063】
図8A~
図8Bを参照して上述したように、1つ以上の超音波検知層(例えば、超音波検知層831A~831B、831)は、複数の圧電層(例えば、第1の圧電層838A、第2の圧電層838B、第3の圧電層838Cなど)を含むことができ、いくつかのトランスデューサは、別個の送信機又は受信機の機能のために構成されている。追加的又は代替的に、いくつかの例では、1つ以上の超音波検知層は、送信機機能と受信機機能の両方を実行するように構成することができるトランスデューサを形成するために、以下に説明するように、単一の圧電層を含むことができる。
図8Cは、本開示の実施例による複数の電極層836A~836B、及び1つ以上の圧電層838の第3の構成の例示的な詳細断面図を示す。
図8Cに示すように、基板834の上面に超音波検知層831を設けてもよい(例えば、
図7の上部超音波検知層731Aによって先に示したように)。
【0064】
いくつかの例では、
図8Cの詳細図に示す第3の構成では、超音波検知層831は、基板834の上面にわたって配置されていてもよく、2つの電極層及び1つの圧電層を含んでもよい。例えば、第1の電極層836A及び第2の電極層836Bが設けられてもよく、第1の電極層836A及び第2の電極層836Bは光学的に透明又は半透明の電極である。第1の電極層836A及び/又は第2の電極層は、画素化されていてもよい。図示のように、
図8Cは、第1の電極836A-a、第2の電極836A-b、第3の電極836A-c、第4の電極836B-a、第5の電極836B-b、及び第6の電極836B-cを含む。更に、単一の圧電層838が設けられてもよく、単一の圧電層838は、第1の電極層836Aと第2の電極層836Bとの間に配置される。この例では、複数のパターン化された第1の電極836A-a~836A-c、複数のパターン化された第2の電極836B-a~836B-c、及び圧電層838は、トランスデューサ824のアレイを形成することができ、各トランスデューサは、MLA823のそれぞれのレンズの上に形成され、各トランスデューサは、送信機構成で動作して超音波を生成し、次いで受信機構成で動作して超音波反射を受信することができる。このように構成されたトランスデューサを使用して、超音波を送信し、それぞれのレンズから1つ以上のそれぞれの反射を受信することにより、(例えば、基板834を介して)それぞれのレンズの光学的完全性を個別にプローブすることができる。
【0065】
図8Cの例示的な材料スタックアップ内の複数の電極層及び複数の圧電層の構成は、必要又は所望に応じて変更することができることを理解されたい。例えば、両方の電極層が
図8Cに画素化されるように示されているが、電極層のうちの1つ(例えば、接地層)は、画素化されなくてもよい。いくつかの例では、超音波検知層831は、
図8Aに示す第1の超音波検知層831Aと同様の構成で画素化されず、単一の圧電層838で実装されたトランスデューサの送信機及び受信機機能を統合することができる。別の例として、超音波検知層831は、代替的に、基板834の底面に設けられてもよい(例えば、
図7の下部超音波検知層731Bによって先に示したように)。別の例として、単一の圧電層838を有する超音波検知層831は、基板834の上面及び底面の両方に設けられてもよい(例えば、
図7の超音波検知層731によって先に示したように)。いくつかの例では、圧電材料はまた、各トランスデューサに別個のセグメントを有するセグメントに分割され得る。
【0066】
上述したように、
図8A及び
図8Bの第1及び第2の構成では、1つ以上の副層は、個別の超音波検知層内に2つの圧電層を含むことができ、第1の圧電層(例えば、838A)は受信機トランスデューサを形成することができ、第2の圧電層(例えば、838B)は送信機トランスデューサを形成することができる。送信機圧電層と受信機圧電層との分離は、送信機圧電層(例えば、第2の圧電層836B)(高電圧(例えば、1V)であってもよい)の励起/振動が分離され、従って結果として生じる受信機圧電層(例えば、第1の圧電層836A)の振動から独立させることができるため、クロストークを低減することができる。特に、送信された音響波と反射された音響波との間のクロストークが比較的低く、及び/又は無視できてもよく、反射波の変化が検出されるのを可能にするため、(例えば、超音波検知層とMLA823のレンズなどの目的の層との間の層の総厚が比較的小さい場合)、短距離にわたって音響波を送信する場合、別個の送信機及び受信機トランスデューサが有益であり得る。いくつかの例では、短距離は、トランスデューサと目的の反射を生成する不連続部(例えば、積層が生じる層の界面、MLA823の表面など)との間の中間層における超音波エネルギーの波長の3倍以下の距離を指すことができる。いくつかの例では、中間層における超音波エネルギーの波長は、送信された超音波エネルギーの周波数及び中間層における超音波エネルギーの速度から計算することができる。共有トランスデューサに送信機及び受信機の機能を有することは、共有機能トランスデューサが送信機及び受信機トランスデューサとの間のクロストーク(例えば、刺激マスキング反射から生じるリンギングに起因する)として、送信機によって放出されたエネルギーの一部を受信するため、短距離にわたって比較的機能的に信頼性が低い可能性がある。
【0067】
いくつかの例では、超音波検知層がMLA823の真上に(例えば、
図7の下部超音波検知層731Bによって同様に示されるように、MLA823の平坦な表面上に)配置されている場合があるように、基板834は省略されてもよい。
【0068】
本明細書で説明するように、ディスプレイと光学システム(例えば、レンズアレイ)との間に結合された1つ以上のトランスデューサは、光学システムの1つ以上の光学部品(例えば、レンズ)に伝播する超音波を生成し、光学システムの光学的完全性を評価するために、光学部品の1つ以上の光学面(例えば、レンズ面)から反射された超音波を受信するように構成されていてもよい。上述したように、送信された超音波が1つ以上の不純物又は不連続部に遭遇した場合に、反射された超音波の1つ以上の特性が(送信された超音波と比較して)変化し得る。1つ以上の不純物又は不連続部は、個別の光学部品の光学面上、光学面内、及び/又は光学面の近くに存在する任意の不純物又は不連続部であってもよい。反射された超音波の1つ以上の特性は、1つ以上の不純物又は不連続部の位置、種類、及び/又は重大度を判定するために、(例えば、
図2の音響完全性検出回路206及び/又はコントローラ210によって)分析及び処理されてもよい。
【0069】
本明細書で使用される場合、「不純物」、「不連続部」、「欠陥」、「不完全性」、「異常不連続部」などの用語は、しばしば互換的に使用される。一般に、これらの用語は、光学システムの意図された使用を難しくする、干渉する、又は妨げる可能性がある任意の表面又は表面付近の異常を指す。例えば、不純物は、レンズアレイの1つ以上のレンズの1つ又は複数の傷であり得る。不純物は、レンズアレイ内のつぶれたレンズ、破損したレンズ、又は欠落したレンズであり得る。別の例として、不純物は、レンズアレイの1つ以上のレンズと接触する液体侵入(例えば、水の浸入)であり得る。別の例として、不純物は、ディスプレイ(又は他の部品)からのレンズアレイの層間剥離(例えば、分離)であり得る。送信された音響波がレンズアレイを通って伝播すると、例えば、不純物は、不純物から伝播する反射された音響波の変化を生成する送信された音響波の限界又は障壁を提示する。
【0070】
図9A~
図9Fは、本開示の実施例による、光学システムの光学的完全性の音響検出を示す例示的な信号図を示す。
図9A~
図9Fに示される例示的な信号図は、
図8A~8Cの例示的な構成のうちの1つ以上の構成における1つ以上のトランスデューサによって受信された反射を表す信号(例えば、アナログ信号)を表すことに留意されたい。信号図(例えば、「トップセンサ、RX層」、「トップセンサ、TX層」、「底部センサ、RX層」、「底部センサ、TX層」)の図の見出しは、各々が、別個の受信機及び送信機トランスデューサとして構成されている2つの圧電層(例えば、
図8Aの838A及び838B)及び3つの電極層(例えば、836A、836B及び837A)を有する超音波検知層を含む構成に対応し得ることを理解されたい。
【0071】
図9A~
図9Fは、開示された音響完全性検出方法に従って検出されたMLAにおける不純物をシミュレートする例示的な信号
図940A~940Lを示す。
図9A~
図9Fに示すように、図の凡例941によって示されるように、信号図は、例えば、経時的な(ナノ秒[ns])電圧(マイクロボルト[μV])で表されるベースライン信号942(例えば、不純物/予期しない不連続部が存在しない場合のトランスデューサの各々における音響エネルギーの測定に対応する信号)及び反射信号943(例えば、不純物/予期しない不連続部の存在下でのトランスデューサの各々における音響エネルギーに対応する信号)を示す。いくつかの例では、反射信号943をベースライン信号942と比較することができ、ベースライン信号からの反射信号の1つ以上の特性の逸脱は、欠陥を示すことができる。上部超音波検知層及び下部超音波検知層のそれぞれのベースライン信号942は、
図9A~
図9Fに示す全てのそれぞれの信号図について同じであり得ることを理解されたい。
【0072】
いくつかの例では、反射信号943とベースライン信号942との間の相関を計算することができ、相関が閾値を下回ると、不純物を検出することができる。いくつかの例では、反射信号943とベースライン信号942との間の差の大きさの二乗(例えば、エネルギーメトリック)を計算することができ、計算された値が閾値を超えると、不純物を検出することができる。いくつかの例では、ベースライン信号942に現れない反射信号943における新しいピークの出現に基づいて欠陥を検出することができる。上記は、反射信号943とベースライン信号942との間の比較の例示的な手段であるが、特性の他の変化(例えば、振動の周波数、位相、振幅などの変化)を使用できることを理解されたい。
【0073】
図9A~
図9Bは、層間剥離不純物のシミュレーションを示す。一般に、層間剥離不純物は、これらに限定されないが、カバーガラス721とディスプレイ722との間、ディスプレイ722の内部、ディスプレイの底部の接着層733A、ディスプレイの底部の接着層733Aと超音波検知層731(基板734の上)の超音波トランスデューサとの間、超音波検知層731の超音波トランスデューサ(基板734の下方)とMLA723の上の接着層733Bとの間、及び接着層733BとMLA723との間を含むスタックアップ内の任意の位置で検出することができる。
図9A~
図9Bは、エポキシ層733BでのMLA723の層間剥離のシミュレーションを示す。信号
図940A及び940Bは、上部超音波検知層(「トップセンサ」)内のトランスデューサに対応することができ、信号
図940C及び940Dは、下部超音波検知層(「底部センサ」)のトランスデューサに対応することができる。
【0074】
図9A~
図9Bに示すように、送信構成の底部トランスデューサ(例えば、トランスデューサ824Dに対応する)は、初期期間944Aの信号
図940Dで最大に見える信号振幅によって示され、対応するトランスデューサの距離が刺激トランスデューサから(例えば、トランスデューサ824D)増加するにつれて、信号
図940C、940B、及び940Aの対応する時間で振幅が減少する。信号
図940A~940Dのいくつかの初期期間944A~944Dでは、ベースライン信号942及び反射信号943は、同一又は実質的に同一であってもよく、それにより、2つの信号は、初期期間944A~944D(例えば、信号
図940A~940Dの各々について異なる持続時間であってもよい)の間に連続的に重複又は実質的に重複する。次いで、初期期間944の後、反射信号943の相対的なピーク(例えば、ピーク945)及びトラフ(例えば、トラフ944)は、ベースライン信号942のピーク及びトラフから逸脱し始める。トランスデューサのうちの1つからの反射信号(又は複数のトランスデューサからの反射信号)を使用して、(例えば、ベースラインに対する相関の閾値低下、又は波形からの逸脱の大きさの二乗の増加に基づいて)層間剥離不純物の存在を識別することができる。
【0075】
いくつかの例では、スタックアップ内の特定の位置における層間剥離不純物の存在が判定され得る。例えば、不純物の位置は、トランスデューサによって、音響波の送信と反射信号の偏差の検出(初期期間944の後の時間)との間の時間量に基づいて判定され得る。例えば、信号
図940Aでは、ベースライン信号には現れないトラフ954から始まる反射信号において余分な振動を検出することができる。トランスデューサと不純物との間の距離は、飛行時間(TOF)と呼ばれることもあるその時間を使用して、且つ例えば、既知の量であり得るか、又は経験的に測定され得る表面媒体(例えば、ガラス又はエポキシ)内の音響波の伝播速度を使用して判定され得る。従って、層間剥離不純物の位置を特定することができ、必要に応じて補正ステップを行うことができる(例えば、層間剥離損傷の修復、ユニットの廃棄、光学システムの動作の無効化又は補償)。いくつかの例では、複数の異なるTOF測定値が、
図9A~
図9Bに示されている複数の信号
図940A~940Dについて決定され得ることに注意すべきである。そのような例では、例えば、スタックアップ内の層間剥離不純物の一般的な位置を生成するために、平均(又は他の何らかの数学的演算)を実行することができる。
【0076】
いくつかの例では、反射信号は、音響/超音波エネルギーの伝播速度、並びに特定の位置と送信構成に構成されたトランスデューサとの間の距離、及び/又は特定の位置と受信構成に構成されたトランスデューサとの間の距離に基づいて定義された特定の時間窓内で比較されて、スタックアップ内の対応する位置での層間剥離を検出するために、特定の窓内のベースライン信号からの逸脱を検出することができる。スタックアップ内の他の領域での層間剥離を検出するために、同様の方法で異なる時間窓を検査することができることを理解されたい。
【0077】
図9C~
図9Dは、開示された音響完全性検出方法に従って検出された損傷マイクロレンズアレイ不純物をシミュレートする例示的な信号
図940E~940Hを示す。
図9E~
図9Fは、開示された音響完全性検出方法に従って検出された水侵入不純物をシミュレートする例示的な信号
図940I~940Lを示す。
図9A~
図9Bに関して説明したのと同様の方法で、送信構成における底部センサは刺激信号を生成することができ、信号
図940E~940Lは、受信構成及び送信構成におけるトップセンサ及び底部センサについての反射信号943及びベースライン信号942を示す。
【0078】
信号
図940E~940Lの初期期間944E~944L(異なる持続時間であってもよい)では、ベースライン信号942及び反射信号943は同一又は実質的に同一であってもよく、反射信号943はベースライン信号942から逸脱してもよい。反射信号943とベースライン942との間のそのような観察された変化は、
図9A~9Bに関して説明したのと同様の方法で、欠陥の存在及び/又は位置を検出するために使用することができる。例えば、反射信号とベースライン信号との間の差の相関又は大きさの二乗(例えば、エネルギー尺度)を使用して、ベースラインからの偏差を検出することができる。ベースラインからの閾値逸脱は、一般に欠陥の存在を示すことができる。
【0079】
いくつかの例では、偏差の量及び/又は方法に基づいて異なる欠陥を区別することができる。例えば、
図9E~9Fに示すように、水分侵入不純物シミュレーションは、例えば、レンズ不純物及び/又は層間剥離不純物の相関と比較して、ベースライン及び反射信号がより高度に相関していることを示している。同様に、
図9C~9Dに示されるように、MLA不純物シミュレーションは、ベースライン及び反射信号が、例えば、層間剥離不純物の相関関係と比較して、より高度に相関していることを示す。結果として、1つ以上の異なる閾値を経験的に決定し、不純物を異なるカテゴリーに分類するために使用することができる。追加的又は代替的に、異なる欠陥は、飛行時間差を使用してスタックアップ内の位置に基づいて区別することができる。例えば、スタックアップ内の異なる層に対応する目的の窓を定義及び分析して、その位置での層間剥離、MLAの位置でのレンズ欠陥、又はMLAと発光体との間の位置での水の浸入に対応する目的の窓内で偏差が発生したか否かを検出することができる。
【0080】
ただし、
図9A~
図9Fは、底部センサが刺激されるシミュレーションを示しており、代わりに別のセンサ(例えば、トップセンサ)が刺激され得ることを理解されたい。いくつかの例では、異なる欠陥/不純物の検出は、異なるセンサの刺激に基づくことができる。例えば、スタックアップの下半分の層間剥離を検出するために底部センサを刺激することができ、スタックアップの上半分の層間剥離を検出するためにトップセンサを刺激することができる(例えば、基板の上方)。
【0081】
いくつかの例では、上述のように、不純物の位置を決定することができる。いくつかの例では、1つ以上の特定のレンズへの損傷、1つ以上の特定のレンズ上の層の層間剥離、及び/又は1つ以上の特定のレンズ上の水の侵入を、位置に基づいて検出することができる。いくつかのそのような例では、これらの局所的な不純物を修復することができる。いくつかのそのような例では、これらの局所的な不純物を使用して、これらの局所的な不純物の1つを通る光路を有する一部の発光体を無効にすることができるが、他の発光体は動作し続けるか、又は有効のままであり得る。いくつかの例では、欠陥の位置に関係なく、全ての発光体を無効にすることができる。
【0082】
図2を参照して述べたように、トランスデューサ(例えば、
図2の204)によって生成される超音波音響波の周波数は、高くてもよく(例えば、100kHzより大きい)、例えば、20kHz~800kHzの周波数範囲(又は別の周波数範囲)から選択可能であってもよい。トランスデューサを高周波数で動作させることは、スタックアップ内の個別の光学部品内又は光学部品上、又は他の層内に存在し得る1つ以上の不純物又は不連続部が、短い距離(例えば、約300μm以下の材料厚さ)にわたって、かつ温度変化などの他の潜在的要因とは無関係に、確実に検出及び評価され得ることを確実にするのに役立ち得る。あるいは、例えば、低周波数の使用は、(高周波数刺激と比較して)解像度が低下した反射をもたらす可能性があり、一般に不純物又は不連続部の検出を可能にすることができるが、反射の1つ以上の特性の信頼できる検出及び評価をより困難にする可能性がある(従って、不純物の位置、種類、及び/又は重大度を決定する可能性が低い)。
【0083】
図3Bに関して説明したように、不純物の検出は、光照明システム(例えば、
図5の発光体527から)内で光が放出され得るか否かを判定することができる。上述したように、いくつかの例では、不純物の検出は、光が放出されるのを妨げ得る(
図3Bの335)が、不純物が検出されない場合は、光が放出されるのを可能にしないことがある(
図3Bの330)。このように、この判定は、不純物の詳細(すなわち、位置、種類、及び重大度)によらず行うことができる。しかしながら、いくつかの例では、不純物が検出された場合であっても、光の放出が依然として可能であり得、これは、上記で概説したように、光学的完全性の詳細に基づくことができる。例えば、レンズのつぶれ若しくは欠落、又はディスプレイからのレンズアレイの層間剥離などの1つ以上の深刻な不純物の検出は、1つ以上の発光体による光の放出が許容レベルを超えて光学的に難しくなることを示すことができる。しかしながら、1つ以上の、わずかな傷又は無視できる程度に近い水の浸入などの、著しく軽度の不純物の検出は、例えば、デバイス動作を著しく妨げることなく光の放出が依然として可能であることを示すことができる。従って、音響完全性検出方法は、その重大度(及び/又は位置及び/又は種類)によって判定される個別の不純物がデバイスの動作を損なうことはないか、又はデバイスの動作に重大な影響を及ぼさないという判定に基づいて、1つ以上の発光体からの光の放出を可能にするように構成されている場合がある。
【0084】
例えば、
図2に戻って参照すると、ホストプロセッサ214は、1つ以上の超音波トランスデューサによって受信された反射された超音波の1つ以上の変化に対応する信号データ(例えば、全反射データは、トランスデューサ及び/又は音響光学的完全性検出回路206からホストプロセッサに転送することができる)を受信して処理するように構成されてもよい。従って、ホストプロセッサ214は、上述したように、光の放出を可能にするか否かを判定するために、1つ以上の不純物の位置、種類、及び/又は重大度を判定するように構成されてもよい。更に、いくつかの例では、放出される光の光パワー(例えば、レーザ光)は、不純物又は不連続部に起因して失われ得る光パワーを補償するために、必要に応じて低減され得る。いくつかの例では、ホストプロセッサは、光学システムに制御信号を提供して、光の放出を有効又は無効にし、及び/又は発光を修正することができる。いくつかの例では、本明細書で説明するように、ホストプロセッサは、光ドライバ(例えば、ロジックロー又はロジックハイ)を有効又は無効にするための単一ビットメッセージ又はフラグを提供することができる。いくつかの例では、ホストプロセッサは、異なる光学ドライバを別々に制御するために、及び/又は光の放出のパラメータ(例えば、強度)を制御するために、複数のビットを提供することができる。いくつかの例では、ホストプロセッサからの制御信号は、音響光学的完全性検出回路206を介して光学ドライバに提供され得る。
【0085】
本明細書では、信号データを処理し、制御信号を提供するように構成されたホストプロセッサとして説明されているが、いくつかの例では、これらの機能の一部又は全ては、音響光学的完全性検出回路206によって提供され得る。いくつかの例では、音響光学的完全性検出回路206は、不純物の位置、種類及び/又は重大度を判定するために信号データを処理することができ、ホストプロセッサは、不純物の位置、種類及び/又は重大度に基づいて制御信号を生成することができる。いくつかの例では、音響光学的完全性検出回路206は、不純物の位置、種類及び/又は重大度を使用して制御信号を生成することができる。いくつかの例では、音響光学的完全性検出回路206は、不純物の位置、種類及び/又は重大度を、光の放出を制御するように構成することができるプロセッサ又はサブプロセッサに提供することができる。
【0086】
いくつかの例では、開示された音響完全性検出システム及び方法は、追加的又は代替的に、1つ以上の発光体から放出される光の光学特性を監視するように構成されてもよい。一例として、光(例えば、レーザ光)がMLAのレンズを通って、1つ以上のトランスデューサを通って、ディスプレイ層を通って伝播すると、1つ以上のトランスデューサの(超音波検知層の)圧電層が加熱され得る(圧電層(例えば、ZnOの焦電特性)の材料特性に起因して)。圧電層が加熱されると、圧電層は各々、個別の層の温度に比例する電圧を生成することができる。このように、発生した電圧を(連続的に)測定して圧電層の温度を監視し、MLAのレンズを伝搬する光の光強度を評価することができる。従って、例えば、レーザ光の光強度の評価は、1つ以上の発光体から送信/出力される光パワーの監視及び評価を可能にすることができる。
【0087】
従って、本明細書で説明するように、開示された音響完全性検出システム及び方法の1つの利点は、光学システムの幾何光学部品の不純物又は不連続部を確実に検出及び評価することができ、幾何光学部品の補正、交換及び/又は修理を可能にすることができることである。開示された音響完全性検出システム及び方法の1つの利点は、光学システムの光学部品の不純物又は不連続部を効果的かつ確実に検出することができ、デバイス内の安全かつ効率的な光の放出のための照明システムの制御を可能にすることができることである。開示された音響完全性検出システム及び方法の1つの利点は、マイクロレンズアレイなどの幾何光学系(例えば、平坦でない)を有する照明システムにフェイルセーフが設けられることであり、これにより、より高い光パワー放出、従ってより高いデバイス性能が可能になり得る。開示された音響完全性検出システム及び方法の1つの利点は、幾何光学系の低コストかつ高性能出力及び幾何光学系に対するフェイルセーフの統合のために、より低いコストでデバイスに高電力照明システムを提供することができ、これは、光パワー損失の例を防止するのに役立ち得ることである。開示された音響完全性検出システム及び方法の1つの利点は、デバイスの幾何光学系に信頼性の高い音響完全性検出システムを設けることができるため、製品のコンプライアンス、従ってユーザの安全性が現場で大幅に改善され得ることである。
【0088】
従って、上記によれば、本開示のいくつかの例は、電子デバイスに関する。電子デバイスは、ディスプレイと、1つ以上のレンズを含むレンズアレイと、レンズアレイとディスプレイとの間に結合された1つ以上の超音波トランスデューサと、を備え得る。1つ以上の超音波トランスデューサは、レンズアレイに伝播する1つ以上の超音波を生成し、レンズアレイからの超音波の1つ以上の反射を受信するように構成されている場合がある。
【0089】
追加的又は代替的に、いくつかの例では、電子デバイスは、1つ以上の超音波トランスデューサと通信するプロセッサを更に備えることができる。プロセッサは、超音波の1つ以上の反射を使用してレンズアレイを含む光学システムの完全性を判定するように構成されている場合がある。
【0090】
追加的又は代替的に、いくつかの例では、光学システムの完全性を判定することは、超音波の1つ以上の反射の1つ以上の特性を検出することと、1つ以上の反射の1つ以上の特性を1つ以上の所定の閾値と比較することと、を含み得る。
【0091】
追加的又は代替的に、いくつかの例では、1つ以上の反射の1つ以上の特性は、ピーク、トラフ、波長、振幅、又は周期を含んでもよい。
【0092】
追加的又は代替的に、いくつかの例では、電子デバイスは、レンズアレイの下方に配置された1つ以上の光エミッタを更に備えてもよい。1つ以上の光エミッタは、光を放出するように構成されている場合がある。1つ以上の光エミッタによって放出される光は、レンズアレイの1つ以上のレンズを介して、レンズアレイに結合された1つ以上の超音波トランスデューサを介して、及び/又はディスプレイを介して伝播するように構成されている場合がある。
【0093】
追加的又は代替的に、いくつかの例では、1つ以上の光エミッタは、1つ以上のレーザを備えていてもよい。
【0094】
追加的又は代替的に、いくつかの例では、電子デバイスは、1つ以上のトランスデューサに結合されたプロセッサを更に備えていてもよい。プロセッサは、1つ以上の反射が1つ以上の完全性基準を満たすという判定に従って、光を放出するように、1つ以上の光エミッタを有効にし、1つ以上の反射が1つ以上の完全性基準を満たさないという判定に従って、光の放出を取り止めるように、1つ以上の光エミッタを無効にするように構成されている場合がある。追加的又は代替的に、いくつかの例では、光を放出するように、1つ以上の光エミッタを有効にすることは、(例えば、ホストプロセッサ又は音響光学的完全性検出回路から)第1の制御信号を生成することと、1つ以上の光エミッタを駆動するように構成されたドライバに第1の制御信号を送信することと、を含むことができる。追加的又は代替的に、いくつかの例では、光の放出を取り止めるように、1つ以上の光エミッタを無効にすることは、(例えば、別個の1つ若しくは複数のライン上で、又は1つ若しくは複数の共有ライン上で異なるロジックレベル若しくは異なるビットを使用して)第1の制御信号とは異なる第2の制御信号(例えば、ホストプロセッサ又は音響光学的完全性検出回路から)を生成することと、第2の制御信号をドライバに送信することとを含む。
【0095】
追加的又は代替的に、いくつかの例では、レンズアレイの1つ以上のレンズは、ガラス又はエポキシを含んでもよい。
【0096】
追加的又は代替的に、いくつかの例では、1つ以上のトランスデューサは、第1の圧電層と、第1の圧電層の一方の側に配置された第1の電極層と、第1の圧電層の第1の側と対向している、第1の圧電層の第2の側に配置された第2の電極層とを備え得る。
【0097】
追加的又は代替的に、いくつかの例では、1つ以上のトランスデューサは、第2の圧電層と、第3の電極層と、を備え得る。第2の電極層は、第2の圧電層の第1の側に配置することができ、第3の電極層は、第2の圧電層の第1の側と対向している、第2の圧電層の第2の側に配置することができる。第2の電極層は、接地電極として構成することができる。
【0098】
追加的又は代替的に、いくつかの例では、電子デバイスは、ディスプレイと1つ以上のトランスデューサとの間に第1の接着層と、1つ以上のトランスデューサとレンズアレイとの間に第2の接着剤とを更に備え得る。
【0099】
追加的又は代替的に、いくつかの例では、電子デバイスは、レンズアレイと1つ以上のトランスデューサとの間に配置された基板を更に備えてもよい。1つ以上のトランスデューサは、基板上に形成され得る。
【0100】
本開示のいくつかの例は、光学的完全性検出の方法に関する。この方法は、ディスプレイと、1つ以上のレンズを含むレンズアレイと、レンズアレイとディスプレイとの間に結合された1つ以上の超音波トランスデューサと、を備える電子デバイスにおいて、1つ以上のトランスデューサからレンズアレイに伝播する1つ以上の超音波を生成することと、レンズアレイからの超音波の1つ以上の反射を受信することと、超音波の1つ以上の反射を使用して、レンズアレイを含む光学システムの完全性を判定することと、を含み得る。
【0101】
追加的又は代替的に、いくつかの例では、光学システムの完全性を判定することは、超音波の1つ以上の反射の1つ以上の特性を検出することと、1つ以上の反射の1つ以上の特性を1つ以上の所定の閾値と比較することと、を含み得る。
【0102】
追加的又は代替的に、いくつかの例では、1つ以上の反射の1つ以上の特性は、ピーク、トラフ、波長、振幅、又は周期を含んでもよい。
【0103】
追加的又は代替的に、いくつかの例では、電子デバイスは、レンズアレイの下に配置された1つ以上の光エミッタを更に備えてもよい。1つ以上の光エミッタは、光を放出するように構成されている場合がある。1つ以上の光エミッタによって放出される光は、レンズアレイの1つ以上のレンズを介して、レンズアレイに結合された1つ以上の超音波トランスデューサを介して、及び/又はディスプレイを介して伝播するように構成されている場合がある。
【0104】
追加的又は代替的に、いくつかの例では、方法は、1つ以上の反射が1つ以上の完全性基準を満たすという判定に従って、光を放出するように、1つ以上の光エミッタを有効にすることと、1つ以上の反射が1つ以上の完全性基準を満たさないという判定に従って、光の放出を取り止めるように、1つ以上の光エミッタを無効にすることと、を更に含み得る。
【0105】
追加的又は代替的に、いくつかの例では、電子デバイスの1つ以上のトランスデューサは、第1の圧電層と、第1の圧電層の一方の側に配置された第1の電極層と、第1の圧電層の第1の側と対向している、第1の圧電層の第2の側に配置された第2の電極層とを備え得る。
【0106】
追加的又は代替的に、いくつかの例では、電子デバイスの1つ以上のトランスデューサは、第2の圧電層と、第3の電極層と、を備え得る。第2の電極層は、第2の圧電層の第1の側に配置することができ、第3の電極層は、第2の圧電層の第1の側と対向している、第2の圧電層の第2の側に配置することができる。第2の電極層は、接地電極として構成することができる。
【0107】
本開示のいくつかの例は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体を対象とする。非一時的コンピュータ可読記憶媒体は命令を記憶することができ、命令は、ディスプレイと、1つ以上の光エミッタと、1つ以上のレンズを含むレンズアレイと、レンズアレイとディスプレイとの間に結合された1つ以上の超音波トランスデューサと、処理回路と、を含む電子デバイスによって実行されると、電子デバイスに上記の方法のいずれかを実行させることができる。
【0108】
本開示の例を添付の図面を参照して十分に説明したが、様々な変更及び修正が当業者には明らかとなることに留意されたい。そのような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の例の範囲内に含まれると理解されるべきである。
【外国語明細書】