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特開2022-189764温度減衰器を使用したゲイン変動補償
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189764
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】温度減衰器を使用したゲイン変動補償
(51)【国際特許分類】
   H03G 3/30 20060101AFI20221215BHJP
   H03H 7/25 20060101ALI20221215BHJP
   H04B 1/40 20150101ALI20221215BHJP
【FI】
H03G3/30 E
H03H7/25
H04B1/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092082
(22)【出願日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】17/345,107
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518364964
【氏名又は名称】ルネサス エレクトロニクス アメリカ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】RENESAS ELECTRONICS AMERICA INC.
【住所又は居所原語表記】1001 Murphy Ranch Road, Milpitas, California 95035, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド・ガディリ・サドラバディ
(72)【発明者】
【氏名】トゥマイ・カナール
【テーマコード(参考)】
5J100
5K011
【Fターム(参考)】
5J100JA09
5J100QA02
5J100QA06
5J100SA01
5K011BA04
5K011DA02
5K011DA12
5K011EA03
5K011JA01
5K011KA13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】減衰器を使用したゲイン変動を制御するための方法及び装置を提供する。
【解決手段】システム100において、集積回路102の信号の減衰を実行する減衰器130は、周囲温度で減衰を変化させる。減衰器130は、減衰器130に適用される制御信号に基づいて減衰をさらに調整することができる。制御信号は、減衰器130の温度プロファイルと集積回路102の目標ゲイン変動とのうち1つ以上に基づくことがある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
減衰器を備え、
前記減衰器は、集積回路の信号の減衰を実行し、
周囲温度で前記減衰を変化させ、
前記減衰器に適用された制御信号に基づいて前記減衰を調整する、
ように構成された、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記制御信号は、
前記減衰の温度プロファイルと、
前記集積回路の目標ゲイン変動と、
のうち少なくとも1つ以上に基づく、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、
前記減衰器は、少なくとも1つのダイオードを備え、
前記制御信号は、
前記減衰器の前記少なくとも1つのダイオードのバイアス電圧と、
前記減衰器の前記少なくとも1つのダイオードのバイアス電流と、
のうちの1つである、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、
前記減衰器が、前記集積回路に統合された、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、
前記集積回路が、ビームフォーマである、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、
前記減衰器は、前記ビームフォーマの複数の通信チャンネルのうち共通の接続点に置かれている、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、
前記減衰器は、前記減衰器の電流路に直列に接続された少なくとも1つのダイオードを備え
前記少なくとも1つのダイオードは、
前記周囲温度に反比例して減衰を変化させ、
前記制御信号によって表示されるバイアスの減少に応じて前記減衰を増加させる、
ように構成された、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、
前記減衰器は、前記減衰器の電流路に接続されるカソード端子と、前記制御信号を受信するように構成された入力端子に接続されるアノード端子とを備え、
前記少なくとも1つのダイオードは、
前記周囲温度に比例して前記減衰を変化させ、
前記制御信号によって表示されるバイアスの増大に応じて前記減衰を増加させる、
ように構成された、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、通信デバイスと、前記集積回路として、前記通信デバイスに接続されるビームフォーマとをさらに備える、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、
前記減衰器が、前記ビームフォーマと前記通信デバイスとの間に接続された、装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置において、コントローラをさらに備え、
前記コントローラは、
前記集積回路の目標ゲイン変動を受け取り、
前記集積回路のゲイン変動を決定し、
決定した前記ゲイン変動を調整して前記目標ゲイン変動に一致させるために、前記制御信号を生成して前記集積回路に適用される前記減衰を調整する、
ように構成された、装置。
【請求項12】
方法であって、
減衰器によって集積回路の信号の減衰を実行し、
前記減衰器によって周囲温度で前記減衰を変化させ、
前記減衰器に適用される制御信号に基づいて、前記減衰器によって、前記減衰を調整する、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
コントローラによって、前記集積回路の目標ゲイン変動を受け取り、
前記コントローラによって、前記集積回路のゲイン変動を決定し、
決定した前記ゲイン変動を調整して前記目標ゲイン変動に一致させるために、前記コントローラによって、前記制御信号を生成して前記集積回路に適用される前記減衰を調整する、
ことをさらに備える方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法において、
前記減衰器に統合された少なくとも1つのダイオードのバイアス電圧と、
前記減衰器に統合された前記少なくとも1つのダイオードのバイアス電流と、
のうちの一方として前記制御信号を生成する、
ことをさらに備える方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法において、
前記減衰器の電流路に直列に接続された前記減衰器の少なくとも1つのダイオードによって前記減衰を適用し、
前記少なくとも1つのダイオードによって、前記周囲温度に反比例して前記減衰を変化させ、
前記少なくとも1つのダイオードのバイアスであって前記制御信号によって表示されるバイアスを減少させて、前記減衰を増加させる、
ことをさらに備える、方法。
【請求項16】
請求項12に記載の方法において、
前記減衰器の少なくとも1つのダイオードによって前記減衰を適用し、前記少なくとも1つのダイオードが、前記減衰器の電流路に接続されるカソード端子と、前記制御信号を受信するように構成された入力端子に接続されるアノード端子とを含み、
前記少なくとも1つのダイオードによって、前記周囲温度に比例して前記減衰を変化させ、
前記少なくとも1つのダイオードのバイアスであって前記制御信号によって表示されるバイアスを増大させて、前記減衰を増加させる、
ことをさらに備える方法。
【請求項17】
集積回路の信号の減衰を実行するとともに周囲温度で前記減衰を変化させるように構成された減衰器を制御する装置であって、
コントローラを備え、
前記コントローラは、
前記集積回路の目標ゲイン変動を受け取り、
前記集積回路のゲイン変動を決定し、
決定した前記ゲイン変動を調整して前記目標ゲイン変動に一致させるために、制御信号を生成して前記集積回路に適用される前記減衰を調整する、
ことをさらに備える装置。
【請求項18】
請求項17に記載の装置において、
前記コントローラは、
前記減衰の温度プロファイルと、
前記集積回路の前記目標ゲイン変動と、
のうち1つ以上を使用して、前記制御信号を生成するように構成された、装置。
【請求項19】
請求項17に記載の装置において、
前記減衰器は、少なくとも1つのダイオードを備え、
前記制御信号は、
前記減衰器の少なくとも1つのダイオードのバイアス電圧と、
前記減衰器の前記少なくとも1つのダイオードのバイアス電流と、
のうちの一方である、装置。
【請求項20】
請求項17に記載の装置において、
前記集積回路は、ビームフォーマであり、
前記減衰器は、前記ビームフォーマの複数の通信チャンネルのうち共通の接続点に置かれた、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、減衰器を使用したゲイン変動を制御するための方法および装置に関する。特に、減衰器は、温度変化に対する損失を制御するプログラム可能な温度可変減衰器となり得る。
【背景技術】
【0002】
コンピュータチップまたは集積回路の性能は、周囲温度の変化などの温度変化に応じて変化し得る。一例では、ビームフォーマデバイスまたはチップのゲインは、その周囲温度が変化するにつれて変化し得る。特に、ゲインは、周囲温度が上昇するにつれて低下し得るが、低下したゲインは、温度変化によって変化する構成要(トランジスタなど)のパラメータにより生じ得る。周囲温度の変化に伴うゲイン変動により、集積回路が予測不可能で不安定な条件下で動作し得る。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの例では、信号減衰の装置が一般的に説明されている。装置は、減衰器を含むことができる。減衰器は、集積回路の信号の減衰を実行するように構成することができる。減衰器は、周囲温度で減衰を変化させるようにさらに構成することができる。減衰器は、減衰器に適用される制御信号に基づいて減衰を調整するように構成することができる。
【0004】
いくつかの例では、信号減衰の方法が一般的に説明されている。方法は、減衰器によって、集積回路の信号の減衰を実行することを含むことができる。方法は、減衰器によって、周囲温度で減衰を変化させることをさらに含むことができる。方法は、減衰器によって、減衰器に適用される制御信号に基づいて減衰を調整することをさらに含むことができる。
【0005】
いくつかの例では、集積回路の信号と周囲温度で減衰を変化させるための信号との減衰を実行するように構成された減衰器を制御する装置が、一般的に説明されている。装置は、コントローラを含むことができる。コントローラは、集積回路の目標ゲイン変動を受信するように構成することができる。コントローラは、集積回路のゲイン変動を決定するようにさらに構成することができる。コントローラは、決定したゲイン変動を目標ゲイン変動に一致するように調整するために、制御信号を生成して集積回路に適用される減衰を調整するようにさらに構成することができる。
【0006】
様々な実施形態のさらなる特徴ならびに構造および動作は、添付の図面を参照して以下に詳細に説明される。図面において、同様の参照番号は、同一または機能的に類似した要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態において、温度減衰器を使用してゲイン変動補償を実施することができる例示的なシステムを示す図である。
図2A】一実施形態において、プログラム可能な温度可変減衰器の例を示す図である。
図2B】一実施形態において、プログラム可能な温度可変減衰器の別の例を示す図である。
図2C】一実施形態において、プログラム可能な温度可変減衰器の例を示す図である。
図3A】一実施形態において、プログラム可能な温度可変減衰器の別の例を示す図である。
図3B】一実施形態において、プログラム可能な温度可変減衰器の別の例を示す図である。
図4】一実施形態において、温度減衰器を使用してゲイン変動補償の実施の例示的なシミュレーション結果を示す図である。
図5】一実施形態において、温度減衰器を使用してゲイン変動補償を実施するプロセスを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
温度が上昇するにつれて、ビームフォーマなどの集積回路のゲイン(利得)変動は、ビームフォーマの性能の不安定の状態を引き起こし得る。温度変化に応じてビームフォーマチップのゲイン変動に対処するために、さまざまなバイアス方式を使用することができる。たとえば、ビームフォーマへの電流量を増やし、より高い周囲温度でゲインを増大させるために、温度モデルを使用することができる。ただし、これらの温度モデルは、チップの性能を完全に予測できないため、信頼性を欠くことがあり、結果として生じるゲイン変動は、シミュレートされた結果と大幅に異なることがある。さらに、より高温で電流を増大してゲインを促進すると、かなりの電力消費を生じることがある。
【0009】
図1は、一実施形態において、温度減衰器を使用してゲイン変動補償を実施することができる例示的なシステム100を示す図である。システム100は、RF送信機またはRFトランシーバ(送受信機)などの通信デバイスによって実施される無線周波数(RF)伝送システムであり得る。システム100は、一般的な無線周波数、ミリ波周波数、および/またはマイクロ波周波数で動作するように構成することができる。システム100は、第4世代(4G)無線通信システム、第5世代(5G)無線通信システム、衛星通信システム、共通データリンクなどのポイントツーポイント通信システムなどの無線通信システム、および/または、他のタイプの無線通信ネットワークの一部であり得る。
【0010】
システム100は、ビームフォーマチップ(または「ビームフォーマ」)102、回路104、複数のアンテナ110a、110b、110c、110d、および減衰器130を含むことができる。回路104は、RF送信機またはRFトランシーバなどのRF通信デバイスの一部となり得る。たとえば、回路104は、ベースバンドプロセッサ、アップダウンコンバータなどのミキサー回路、フィルタ、メモリデバイス、ローカル発振器、デジタル-アナログ変換器(DAC)、アナログ-デジタル変換器(ADC)、信号発生器、マイクロコントローラ、および/または、RF通信デバイスに属する他のタイプの構成要素(コンポーネント)または集積回路を含むことができる。回路104は、RF信号をビームフォーマ102に出力するように構成することができる。回路104がRFトランシーバの一部である例では、回路104は、ビームフォーマ102からRF信号を受信するように構成することができる。回路104とビームフォーマ102との間でやりとりされるRF信号は、情報またはデータを運ぶことができる無線周波数、ミリ波周波数、または、マイクロ波周波数信号であり得る。
【0011】
ビームフォーマ102は、複数の送信チャネル(伝送路)または複数のトランシーバチャネルを含むことができる。図1に示される例では、ビームフォーマ102は、複数のチャネル106a、106b、106c、106dを含むことができ、この場合には複数のチャネル106a、106b、106c、106dは、トランシーバチャネルであり得る。複数のチャネル106a、106b、106c、106dのうちの各チャネルは、送信チャネルおよび受信機チャネルを含むことができる。例としてチャネル106aを使用すると、チャネル106aは、送信チャネル108aおよび受信機チャネル108bを含むことができる。複数のチャネル106a、106b、106c、106dは、それぞれ複数のアンテナ110a、110b、110c、110dに接続することができる。図1の例では4つのチャネルが示されているが、当業者には、ビームフォーマ102が任意の数のチャネルを含むことができることが明らかであろう。複数のチャネル106a、106b、106c、106dのうちの各チャネルは、制御回路、電力増幅器、ゲイン制御回路、位相調整器または位相制御回路などの構成要素、および/または、ビームフォーミング技術の実行を容易にすることができる他のタイプの構成要素または集積回路を含むことができる。
【0012】
回路104がRF送信機またはRFトランシーバの一部である例では、複数のチャネル106a、106b、106c、106dのうちの各チャネルは、回路104からビームフォーマ102に送信されたRF信号のコピーを受信することができる。複数のチャネル106a、106b、106c、106dは、ノード120などの共通点を介してRF信号のコピーを受信することができる。複数のチャネル106a、106b、106c、106dが送信チャネルである例では、ノード120は、ビームフォーマ102の通信バスにおける共通の接続点であり得る。複数のチャネル106a、106b、106c、106dは、それぞれの位相およびゲインを有するビームフォーミング信号を生成することができる。複数のチャネル106a、106b、106c、106dは、生成したビームフォーミング信号を複数のアンテナ110a、110b、110c、110dにそれぞれ送信することができる。
【0013】
複数のアンテナ110a、110b、110c、110dは、生成したビームフォーミング信号を出力してビームを形成するように構成されたフェーズドアレイアンテナを形成することができる。ビームは、回路104により提供されるRF信号によって運ばれた情報またはデータをブロードキャストすることができる。アンテナ110a、110b、110c、110dによって生成されたビームは、複数のチャネル106a、106b、106c、106dにより設定されたパラメータ(たとえば、ゲインおよび位相)に基づくことがある。たとえば、複数のアンテナ110a、110b、110c、110dは、複数のチャネル106a、106b、106c、106dによって設定された位相に基づいて、異なる時間にそれぞれのビームフォーミング信号を出力することができる。ビームフォーミング信号の異なる出力時間およびビームフォーミング信号の異なるゲインは、アンテナ110a、110b、110c、110dによって生成されたビームのフィールドパターンおよび方向を形成することができる。一例では、ビームはまた、複数のチャネル106a、106b、106c、106dにより設定された位相の異なる組み合わせに基づいて、システム100によって誘導することができる。
【0014】
さらに、複数のアンテナ110a、110b、110c、110dのうちの各アンテナはまた、情報またはデータを運ぶビームを受信することができる。複数のアンテナ110a、110b、110c、110dは、複数のチャネル106a、106b、106c、106dにそれぞれのRF信号をそれぞれ提供することができる。複数のチャネル106a、106b、106c、106dのうちの各アンテナは、それ自体の受信したRF信号を復号することができ、復号した信号は、加算ノードまたはコンバイナ回路などの共通の接続点で組み合わせることができる。複数のチャネル106a、106b、106c、106dがトランシーバチャネルである例では、ノード120は、加算ノードまたはコンバイナ回路であり得る。コンバイナ回路は、複数のチャネル116a、116b、116c、116dからの信号を、回路104に送信できるRF信号に結合するように構成することができる。
【0015】
減衰器130は、ビームフォーマ102に統合されて、ビームフォーマ102の動作に関連する信号の減衰を実行することができる。たとえば、減衰器130は、ビームフォーマ102から複数のアンテナ110a、110b、110c、110dに送信される信号、および、回路104および/または複数のアンテナ110a、110b、110c、110dからビームフォーマ102によって受信される信号、または、ビームフォーマ102内でやりとりされる他の信号を減衰させることができる。減衰器130は、たとえば、可変制御電圧または可変制御電流によって構成可能またはプログラム可能であり得るプログラム可能な温度可変減衰器であり得る。減衰器130によって実行される減衰は、システム100の周囲温度に反比例して変化することができ、この変化する減衰は、可変制御電圧または可変制御電流によってさらに微調整または調整され得る。減衰器130内の回路構成要素の配置および構成に応じて、減衰器130によって実行される減衰は、1)可変制御電圧または可変制御電流に比例して変化すること、または、2)可変制御電圧または可変制御電流に反比例して変化することができる。
【0016】
一例では、ビームフォーマ102の性能は、1つまたは複数のゲインパラメータによって測定することができる。これらのゲインパラメータは、たとえば、順方向電圧ゲイン、逆方向電圧ゲイン、および/または、ビームフォーマ102のチャネルの入力ポートおよび/または出力ポートに関連する他のゲインパラメータを含むことができる。減衰器130によって実行される減衰は、減衰器130内のダイオードなどのその構成要素の温度依存性に基づいて制御することができる。たとえば、減衰器130によって実行される減衰のレベルは、減衰器130の構成要素(たとえば、ダイオード)を、構成要素の温度プロファイルに従って、異なるレベルにバイアスすることによってプログラム可能になり得る。可変制御電圧または可変制御電流を使用して減衰器130によって実行される減衰をさらに微調整または調整することにより、より低い周囲温度でのビームフォーマ102のゲインを低減または抑制するために、より低い周囲温度で減衰を増加させることができる。周囲温度が上昇するにつれて、ビームフォーマ102の制御されたゲイン変動を得るために減衰器130によって実行される減衰を調整することができる。したがって、特定の目標のゲイン変動(たとえば、最小ゲイン変動)が望ましい場合、減衰器130は、制御された方法でビームフォーマ102内の信号を減衰させて目標のゲイン変動を得るように可変制御電圧または可変制御電流によって構成またはプログラムされ得る。さらに、より低い温度で減衰を増加させることにより、より高い温度でビームフォーマ102のゲインを増大させる必要がない場合があり、したがって、高温でゲインを増大させるためにビームフォーマ102による電力消費を逃れる(避ける)ことができる。
【0017】
さらに、減衰器130は、減衰器130が同じ量の損失または減衰を複数のチャンネルのそれぞれに適用できるように、ビームフォーマ102の複数のチャネル(たとえば、チャネル116a、116b、116c、116d)の間の共通の接続点に配置することができる。たとえば、図1に示す例では、減衰器130をノード120とビームフォーマ102のポート131との間に接続でき、この場合にはポート131は、ビームフォーマ102を回路104に接続することができる。減衰器130の別の可能な位置は、ポート131と回路104との間の位置132になり得る。複数のチャネル間の共通の接続点で減衰器130を統合することにより、減衰器130は、複数のチャンネルにおける各々のチャンネル内に減衰器130のコピーを統合する必要なしに、すべてのチャネルに同じ量の減衰を適用することができ、これにより、回路基板のスペースを保つ(維持する)ことができる。また、いくつかの例では、ビームフォーマ102は、所望のゲイン変動を達成するために、システム100の異なる部分に異なる量の損失を適用するようにシステム100内の異なる位置に統合された減衰器130の複数のコピーを含むことができる。別の例では、減衰器130の異なるコピーを、ビームフォーマ102の異なるチャネル内に配置することができる。
【0018】
図2Aは、一実施形態において、プログラム可能な温度可変減衰器の例を示す図である。図2Aに示される例では、減衰器130は、端子またはピン202、204、212、210を含むことができる。ピン202、204、212、214は、減衰器130の入出力(I/O)端子またはピンであり得る。図2Aに示される例では、減衰器130は、一対の導体(たとえば、一対のワイヤ、一対のねじれたワイヤなど)を使用して接続用の差動信号伝達を実施する平衡減衰器であり得る。ピン202、212は、減衰器130の正チャネルを形成する正端子であり、ピン204、214は、減衰器130の負チャネルを形成する負端子であり得る。図2Bで示される別の例では、減衰器130はまた、単線伝送ラインを使用して接続用の単線信号伝達を実施する不平衡減衰器であり得る。図2Aおよび図2Bに示される例が同様に機能することができ、図2Aに関する本明細書の説明が図2Bに適用可能であり、逆もまた同様であることが当業者には明らかであろう。
【0019】
図2Aに示される例では、ピン202、204、212、214は、図1に示されるシステム100の異なる部分または構成要素に接続することができる。図1に示される例では、減衰器130のピン202、204はビームフォーマ102のポート131に接続でき、減衰器130のピン212、214はビームフォーマ102のノード120に接続することができる。別の例では、減衰器130のピン202、204は、ビームフォーマ102のノード120に接続でき、減衰器130のピン212、214は、ビームフォーマ102のポート131に接続することができる。別の例では、減衰器130が位置132に配置された場合には、減衰器130のピン202、204は回路104に接続でき、減衰器130のピン212、214は、ビームフォーマ102のポート131に接続することができる。さらに、いくつかの例では、減衰器130が位置132に配置された場合には、減衰器130のピン202、204はビームフォーマ102のポート131に接続でき、減衰器130のピン212、214は回路104に接続することができる。減衰器130は、送信方向と受信方向の両方で実施することができる。たとえば、減衰器130とビームフォーマとの間、または、減衰器130と回路104との間の接続は、減衰器130がビームフォーマによって送受信される信号の減衰を実行できるように、送信モードと受信モードとの間で切り替えることができる。
【0020】
減衰器130は、ダイオード206およびダイオード216を含むことができる。一例では、ダイオード206、216は、PINダイオード(たとえば、p型半導体領域とn型半導体領域との間に、広くてドープされてない固有の半導体領域をもつダイオード)であり得る。ダイオード206、216は、ビームフォーマ102の設計、構成、および/または実装に応じて、任意のタイプのダイオードであり得ることが当業者には明らかであろう。ダイオード206、216は、減衰器130の電流路またはチャンネルに沿って直列に接続することができる。例えば、ダイオード206は、減衰器130の正チャネルに沿ってピン202、212と直列に接続することができ、ダイオード216は、減衰器130の負チャンネルに沿ってピン204、214と直列に接続することができる。ダイオード206およびダイオード216は、並列接続で互いに接続することができ、この場合には1つまたは複数の抵抗器R1、R2、R3、R4は、ダイオード206とダイオード216との間に接続されて、ダイオード206、216のインピーダンス整合およびバイアスを容易にすることができる。
【0021】
一例では、ダイオードが順方向にバイアスされているとき、ダイオードは、温度プロファイルまたは特性を有することができ、この場合には、ダイオードの損失(たとえば、挿入損失)が温度(たとえば、システム100の内部および/またはシステム100を囲む周囲温度)に逆比例して変化し得る。したがって、周囲温度が低下すると、ダイオードの損失が増大することがある。順方向にバイアスされたダイオードの損失が温度の上昇とともに減少するにつれ、より多くの電流が、順方向にバイアスされたダイオードを通過するように許容されてもよい。さらに、順方向にバイアスされたダイオードは、順方向にバイアスされたダイオードに印加されたバイアス電圧またはバイアス電流を増減することによって、異なる抵抗レベルまで順方向にバイアスすることができる。
【0022】
図2Aに示される例では、減衰器130は、制御信号232を受信するように構成された入力端子230を含むことができる。制御信号232は、さまざまな抵抗レベルまでダイオード206、216を順方向へバイアスできるバイアス電圧またはバイアス電流であり得る。したがって、ダイオード206、216の損失が周囲温度に反比例して変化することに加えて、制御信号232は、ダイオード206、216のこの変化する損失をさらに調整して、減衰器130によって実行される減衰を調整および制御することができる。たとえば、制御信号232が入力端子230に供給されない場合、減衰器130によって実行される減衰は、周囲温度が上昇するにつれて、より少ない減衰(ダイオードの損失が減少している)を有するようにダイオード206、216の絶対温度(PTAT)プロファイルに比例する温度プロファイルに従うことができる。なお、周囲温度が上昇するにつれて、減衰器130の減衰は、ダイオード206、216により減少され、それらのダイオードは、それらの損失が減少するにつれ、および、周囲温度が上昇するにつれ、より多くの電流を、減衰器130のチャネルに通過させることを可能にすることに留意されたい。したがって、周囲温度が低下するにつれて、より少ない電流がダイオード206、216を通過してもよく、これにより、減衰器130によって加えられる減衰を増加させる。
【0023】
図2Aに示される例では、制御信号232は、減衰器130によって適用される減衰(たとえば、ダイオードの損失を増大させて、ダイオードを流れる電流を減少させる)を増加させるために、ダイオード206、216に印加されるバイアス電圧またはバイアス電流を減少させることができる。さらに、制御信号232は、減衰器130によって適用される減衰(たとえば、抵抗を増加させてダイオードを流れる電流を減少させる)を減少させるために、ダイオード206、216に印加されるバイアス電圧またはバイアス電流を増大させることができる。
【0024】
減衰器130によって適用される減衰の増加は、ビームフォーマ102の損失を増大させることができ、この場合には、この損失は、ビームフォーマ102のゲインを相殺することができる。したがって、制御信号232は、減衰器130を制御して、ビームフォーマ102の損失を調整し、ビームフォーマ102のゲイン変動を制御することができる。制御信号232を使用して、減衰器130によってビームフォーマ102に適用される減衰(周囲温度の変化に応じてすでに変化している可能性がある)を増減することができる。
【0025】
一例では、減衰器130は、コントローラ200に接続することができる。コントローラ200は、例えば、制御信号232を生成し、制御信号232を入力端子230に入力するように構成されたマイクロコントローラまたは制御論理であり得る。コントローラ200は、目標ゲイン変動を表す信号またはデータを受信することができる。図2Cに示される例では、コントローラ200は、ビームフォーマ102の目標ゲイン変動242を示す入力データを受信することができる。目標ゲイン変動242は、G/ΔTなどのビームフォーマ102のゲインの変化率を示すことができる。コントローラ200は、ビームフォーマ102の周囲温度およびゲインを監視することができる。コントローラ200は、監視したゲインおよび周囲温度を使用して、ビームフォーマ102の現在または瞬間的なゲイン変動240、たとえばΔG/ΔTを決定することができる。
【0026】
図2Cに示される例では、ゲイン変動ΔGは、目標ゲイン変動ΔGよりも大きい。コントローラ200は、周囲温度が特定の温度閾値TTHより下であることに応えて減衰器130によって適用される減衰を増加させるために、制御信号232によって印加されるバイアス電圧またはバイアス電流を減らすように構成またはプログラムすることができる。TTH以下の温度で増加した減衰は、TTHより下、および、時にはTTHを超える温度でビームフォーマのゲインを低下させることができる。一例では、温度閾値TTHは、約20℃から27℃などの室温であり、低温は室温より低い温度と呼ばれるとともに高温は室温より高い温度と呼ばれ得るようにしている。TTHより下の温度で減衰を増加させるとともにゲインを減少させる結果として、結果として生じたゲイン変動244を達成することができる。なお、ゲイン変動244は、目標ゲイン変動242と全く同一ではないかもしれないことに留意されたい。しかし、制御信号232は、ゲイン変動が目標ゲイン変動242に一致または可能な限り近くなるように、目標ゲイン変動242に基づいて調整可能であり得る。コントローラ200は、ビームフォーマ102の動作を連続的に監視することができ、減衰器130の減衰を連続的に微調整して、ビームフォーマ102の所望のゲイン変動を得ることができるようにプログラムすることができる。
【0027】
図3Aは、一実施形態において、プログラム可能な温度可変減衰器の別の例を示す図である。図3に示される例では、減衰器130は、端子またはピン302、304、312、314を含むことができる。ピン302、304、312、314は、減衰器130の入力/出力(I/O)端子またはピンであり得る。図3Aに示される例では、減衰器130は、一対の導体(たとえば、一対のワイヤ、一対のねじれたワイヤなど)を使用して接続のための差動信号伝達を実施することができる。ピン302、312は、減衰器130の正チャネルを形成する正端子であり、ピン304、314は、減衰器130の負チャネルを形成する負端子であり得る。図3Bによって示される例では、減衰器130はまた、単線伝送ラインを使用して接続用の単線信号伝達を実施する不平衡減衰器であり得る。図3Aおよび図3Bに示される例が同様に機能することができ、図3Aに関する本明細書の説明が図3Bに適用可能であり、逆もまた同様であることが当業者には明らかであろう。
【0028】
図3Bに示される例では、ピン302、304、312、314は、図1に示されるシステム100の異なる部分または構成要素に接続することができる。減衰器130のピン302,304はビームフォーマ102のポート131に接続でき、減衰器130のピン312,314はビームフォーマ102のノード120に接続することができる。別の例では、減衰器130のピン302,304は、ビームフォーマ102のノード120に接続することができ、減衰器130のピン312、314は、ビームフォーマ102のポート311に接続することができる。別の例では、減衰器130が位置132に置かれる場合、減衰器130のピン302、304は回路104に接続することができ、減衰器130のピン312、314はビームフォーマ102のポート310に接続することができる。さらに、いくつかの例では、減衰器130が位置132に置かれる場合、減衰器130のピン302、304はビームフォーマ102のポート311に接続され、減衰器130のピン312、314は回路104に接続することができ。減衰器130は、送信方向および受信方向の両方で実装することができる。たとえば、減衰器130とビームフォーマとの間または減衰器130と回路104との間の接続は、減衰器130がビームフォーマ102によって送受信される信号の減衰を実行できるように、送信モードと受信モードとの間で切り替えることができる。
【0029】
減衰器130は、ダイオード306およびダイオード316を含むことができる。一例では、ダイオード306、316は、PINダイオードであり得る。ダイオード206、216は、ビームフォーマ102の設計、構成、および/または実装に応じて、任意のタイプのダイオードであり得ることが当業者には明らかであろう。ダイオード306、316は、ダイオード306のアノード端子をダイオード316のアノード端子に接続することができるように、互いに直列に反対方向に接続することができる。ダイオード306のカソード端子は、減衰器130の正チャネルに接続することができ、ダイオード316のカソード端子は、減衰器130の負チャネルに接続することができる。1つまたは複数の抵抗器Ra、Rb、Rc、Rd、Reは、減衰器130の正チャネルおよび負チャネルに沿って直列に接続して、ダイオード306、316のインピーダンス整合およびバイアスを容易にすることができる。
【0030】
図3Aに示される例では、減衰器130は、制御信号332を受信するように構成された入力端子330を含むことができる。制御信号332は、ダイオード306、316をさまざまな抵抗レベルまで順方向にバイアスをかけることができる。したがって、周囲温度に反比例して変化するダイオード306、316の損失に加えて、制御信号332は、ダイオード306、316のこの変化した損失をさらに調整して、減衰器130によって実行される減衰を調整および制御することができる。たとえば、制御信号332が入力端子330に供給されない場合、減衰器130によって実行される減衰は、周囲温度が上昇するにつれて、より多くの減衰(ダイオードの損失が減少している)を持つように、ダイオード306、316の温度プロファイル(たとえば、絶対温度(CTAT)プロファイルを補完するもの)に対抗することができる。なお、減衰器130の減衰は、周囲温度が上昇するにつれてダイオード306、316により増加され、それらのダイオードは、それらの損失が減少するにつれておよび周囲温度が上昇するにつれて、より多くの電流に、減衰器130のチャンネルを通過させることを可能にすることに留意されたい。ダイオード306、316を通って流れる電流の増大は、減衰器の正チャネルおよび負チャネルを流れる電流を減少させ、こうして、減衰を増加させる。したがって、周囲温度が低下するにつれて、より多くの電流がダイオード306、316を通過する可能性があり、これにより、減衰器130によって適用される減衰が増加する。
【0031】
図3Aに示される例では、制御信号332は、減衰器によって適用される減衰(たとえば、ダイオードの損失を減少させて、より多くの電流に、減衰器130の正チャンネルおよび負チャンネルからダイオードにリダイレクトされることを可能にする)を減少させるために、ダイオード306、316に印加されるバイアス電圧またはバイアス電流を増大させることができる。さらに、制御信号332は、減衰器130によって適用される減衰(たとえば、ダイオードの損失を増大させて、減衰器130の正チャンネルおよび負チャネルからダイオードに向け直された電流を低減する)を増加させるために、ダイオード306、316に印加されるバイアス電圧またはバイアス電流を減少させることができる。
【0032】
減衰器130によって適用される減衰の増加は、ビームフォーマ102の損失を増大させることができ、この場合には、この損失は、ビームフォーマ102のゲインを相殺することができる。したがって、制御信号332は、減衰器130を制御して、ビームフォーマ102の損失を調整することができ、ビームフォーマ102のゲイン変動を制御することができる。制御信号332を使用して、減衰器130によってビームフォーマ102に適用される減衰(周囲温度の変化に応じてすでに変化している可能性がある)を増減することができる。
【0033】
一例では、減衰器130は、コントローラ300に接続することができる。コントローラ300は、たとえば、制御信号232を生成し、制御信号232を減衰器130の入力端子230に入力するように構成されたマイクロコントローラまたは制御論理であり得る。コントローラ300は、目標ゲイン変動を表す信号またはデータを受信することができる。図2に示されるコントローラ200と同様に、コントローラ300は、ビームフォーマ102の目標ゲイン変動242(図2Bに示される)を示す入力データを受信することができる。コントローラ300は、周囲温度とビームフォーマのゲインとを監視することができる。コントローラ300は、監視したゲインおよび周囲温度を使用して、ビームフォーマ102のΔG/ΔTなどのゲイン変動240を決定することができる。ゲイン変動ΔGが目標ゲイン変動ΔGよりも大きいことに応じて、コントローラ300は、周囲温度が温度閾値TTHより下であるときに減衰器130によって適用される減衰を増加させるために、制御信号332によって印加されるバイアス電圧またはバイアス電流を増大させるように構成またはプログラムすることができる。
【0034】
制御信号232、332は、減衰器130によって適用さられる減衰を調整するために、ダイオード206、216およびダイオード305、316の変化する損失に対して追加の微調整または調整を提供することができる。制御信号232、332は、ダイオード206、216、306、316に任意の値または量のバイアス電圧またはバイアス電流を提供することができ、これにより、動作中における制御電圧の離散レベルおよびプリセットレベル(固定され、かつ、変更され得る)を利用する可能性があるいくつかの可変減衰器と比較すると、有利であり得る。さらに、制御信号232、332を使用して減衰器130の変動した損失を調整することは、サーミスタなどの追加の構成要素が回路基板スペースを占有できるとともにそれらの温度係数が設定されて積分用に選択された後に変更不可能であるので、その追加の構成要素を使用して温度補償を支援する可能性がある減衰器と比較すると、有利であり得る。したがって、本明細書に記載の減衰器130は、小さなサイズ(たとえば、より少ない基板面積を使い尽くす)を持つことができ、より少ない電力を消費することができ、双方向(たとえば、受信構成と送信構成の両方で使用される)であり得、さらに、ビームフォーマ102にすでに適用されている様々な減衰を微調整することができる。
【0035】
図4は、一実施形態において、温度減衰器を使用してゲイン変動補償の実施の例示的なシミュレーション結果を示す図である。図4に示される例では、シミュレーション402は、減衰器130がシステム100に統合されていない、または、アクティブ化(作動)されていないときのビームフォーマ102のゲインのシミュレーションである。シミュレーション404は、減衰器130がシステム100に統合され、または、アクティブ化されているときのビームフォーマ102のゲインのシミュレーションである。シミュレーション402において、ビームフォーマ102のゲインは、周囲温度が-30℃から110℃に上昇したときに約2.5デシベル(dB)減少した。シミュレーション404では、周囲温度が-30℃から110℃に上昇すると、ビームフォーマ102のゲインは約1.0dB減少した。したがって、減衰器130の統合は、温度変化に応じてビームフォーマ102のゲイン変動を減少させることができる。
【0036】
図5は、一実施形態において、温度減衰器を使用してゲイン変動補償を実施するプロセスを示すフロー図である。プロセスは、ブロック502、504、および/または、506のうちの1つ以上によって例示されるような1つ以上の操作、アクション、または、機能を含むことができる。個別のブロックとして例示されるが、様々なブロックは、所望の実装に応じて、追加のブロックに分割され、より少ないブロックに結合され、削除され、並行に実行され得る。
【0037】
プロセス500は、ブロック502で開始することができる。ブロック502で、装置の減衰器は、集積回路の信号の減衰を実行することができる。プロセス500は、ブロック502からブロック504に進むことができる。ブロック504では、減衰器は、周囲温度に伴って減衰を変化させることができる。プロセス500は、ブロック504からブロック506に進むことができる。ブロック506では、減衰器は、減衰器に適用される制御信号に基づいて減衰を調整することができる。
【0038】
一例では、装置のコントローラ、または、装置に接続されたコントローラは、集積回路の目標ゲイン変動を受け取ることができる。コントローラは、集積回路のゲイン変動を決定することができる。コントローラは、決定したゲイン変動を調整して目標ゲイン変動に一致させるために、制御信号を生成して、集積回路に適用される減衰を調整することができる。一例では、制御信号は、減衰器に統合された少なくとも1つのPINダイオードのバイアス電圧と、減衰器に統合された少なくとも1つのPINダイオードのバイアス電流のうちの1つであり得る。
【0039】
一例では、減衰器の少なくとも1つのダイオードは、減衰を適用することができ、その場合には、少なくとも1つのダイオードは、減衰器の電流路(パス)と直列に接続することができる。少なくとも1つのダイオードは、周囲温度に反比例して減衰を変化させることができる。コントローラは、少なくとも1つのダイオードのバイアスであって制御信号によって表されるものを減少させて、減衰を増加させることができる。
【0040】
一例では、減衰器の少なくとも1つのダイオードは、減衰を作用することができ、この場合には、少なくとも1つのダイオードは、減衰器の電流路に接続されたカソード端子と、制御信号を受信するように構成された入力端子に接続されるアノード端子とを含むことができる。少なくとも1つのダイオードは、周囲温度に比例して減衰を変化させることができる。コントローラは、少なくとも1つのダイオードのバイアスであって制御信号によって表されるものを増大させて、減衰を増加させることができる。
【0041】
図中のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能、および動作を例示している。これに関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、指定された論理機能を実施するための1つまたは複数の実行可能命令を備えたモジュール、セグメント、または、命令の一部を表すことができる。いくつかの代替の実装では、ブロックに書き留められた機能は、図中に書き留められた順序とは異なって生じるかもしれない。たとえば、連続して表示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行される場合があり、または、そのブロックは、関連する機能に応じて、時には逆の順序で実行される場合がある。ブロック図および/またはフローチャート図の各ブロックと、ブロック図および/またはフローチャート図のブロックの組み合わせとは、指定された機能または動作を実行する、または、特殊目的のハードウェアとコンピュータ命令の組み合わせを実行する特殊目的のハードウェアベースのシステムによって実装することができることにも留意されたい。
【0042】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的であり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。さらに、「comprises(含む)」および/または「comprising(含む)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の機能、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/または、それらのグループの存在または追加を排除するものではないことが理解される。
【0043】
以下の特許請求の範囲では、もしあれば、すべての手段またはステッププラス機能要素の対応する構造、材料、行為、および同等物は、具体的に特許請求の範囲に記載されたように、他の請求された要素と組み合わせて機能を実行するための任意の構造、材料、または、行為を含むことを意図している。本発明の説明は、例示および説明の目的で提示されているが、網羅的であること、または、開示された形態の本発明に限定されることを意図するものではない。多くの変更および変形は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本発明の原理および実際の適用を最もよく説明するとともに、当業者が、企図される特定の使用に適した様々な変更を伴う様々な実施形態について本発明を理解できるようにするために、実施形態は選択および説明された。

図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5