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特開2022-189783繊維機械のエプロンドラフト装置のためのトップエプロンホルダ
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  • 特開-繊維機械のエプロンドラフト装置のためのトップエプロンホルダ 図1
  • 特開-繊維機械のエプロンドラフト装置のためのトップエプロンホルダ 図2a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189783
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】繊維機械のエプロンドラフト装置のためのトップエプロンホルダ
(51)【国際特許分類】
   D01H 5/86 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
D01H5/86 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022093530
(22)【出願日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】LU102828
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(71)【出願人】
【識別番号】518264859
【氏名又は名称】ザウラー スピニング ソリューションズ ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Saurer Spinning Solutions GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Carlstr. 60, 52531 Uebach-Palenberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラセカラン ゼスハヤー
(72)【発明者】
【氏名】カロリーネ ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】ザラ マイスナー
(72)【発明者】
【氏名】ペーター エッガース
【テーマコード(参考)】
4L056
【Fターム(参考)】
4L056AA02
4L056AA04
4L056AA19
4L056BC02
4L056BC23
4L056BC46
4L056BC48
4L056BC52
4L056CA02
4L056CA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エプロン長さの公差を簡単な形式で迅速かつ可変に補償することができる、エプロンドラフト装置のためのトップエプロンホルダと、エプロンドラフト装置を提供する。
【解決手段】エプロンドラフト装置のためのトップエプロンホルダ1であって、トップエプロンを循環式にガイドするエプロンガイドユニット4が、エプロンガイド区分11を含み、エプロンガイド区分は、トップエプロンを収容してガイドする入口区分11aと、トップエプロンを変向するための、入口区分に対して離間した変向区分6を有し、エプロンガイドユニットが、入口区分に対応配置された収容部10と、テンショニング要素7とを有し、収容部と、テンショニング要素とは、テンショニング要素および変向区分を介してトップエプロンをガイドするために、エプロンガイド区分の、テンショニング要素および変向区分により囲まれた領域に対して離間して形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維機械、特にフライヤ、リング紡績機または空気紡績機のエプロンドラフト装置のためのトップエプロンホルダ(1)であって、
-前記エプロンドラフト装置のトップローラ(3)に巻き掛けられたトップエプロンを循環式にガイドするためのエプロンガイドユニット(4)であって、前記トップエプロンをガイドするエプロンガイド区分(11)を備え、該エプロンガイド区分(11)が、
-前記トップエプロンを収容してガイドする入口区分(11a)と、
-ガイドされた前記トップエプロンを変向するための、前記入口区分(11a)に対して離間した変向区分(6)と
を有している、エプロンガイドユニット(4)と、
-前記トップエプロンホルダ(1)を支持し、前記トップエプロンの循環方向で前記トップローラ(3)に対して下流の前記エプロンガイドユニット(4)を位置決めするためのトップローラ支持ユニット(2)と
を備える、トップエプロンホルダにおいて、
前記エプロンガイドユニット(4)が、前記トップエプロンの内面に押当て可能で交換可能なテンショニング要素(7)のための、前記入口区分(11a)に対応配置された収容部(10)と、前記テンショニング要素(7)とを有しており、前記収容部(10)と、該収容部(10)内に交換可能に収容された前記テンショニング要素(7)とが、前記テンショニング要素(7)および前記変向区分(6)を介した前記トップエプロンのガイドのために、前記エプロンガイド区分(11)の、前記テンショニング要素(7)および前記変向区分(6)により囲まれた領域に対して離間して形成されていることを特徴とする、トップエプロンホルダ(1)。
【請求項2】
前記エプロンガイド区分(11)が、前記変向区分(6)を形成している端部において、循環式にガイドされる前記トップエプロンを変向するための交換可能な変向要素(6a)の収容のために形成されている別の収容部と、前記変向要素(6a)とを有している、請求項1記載のトップエプロンホルダ(1)。
【請求項3】
前記収容部(10)および/または前記別の収容部が、前記トップエプロンを側方でガイドするための、互いに間隔を空けて配置された2つのガイド手段(5)により形成されており、前記テンショニング要素(7)もしくは前記変向要素(6a)が、前記ガイド手段(5)間の領域に配置されたガイドロッドとして形成されており、該ガイドロッドが、その長手方向軸線の方向で、前記ガイド手段(5)に向かう方向で前記収容部(10)もしくは前記別の収容部内にまで延びており、前記両方のガイド手段(5)が、特に前記エプロンガイド区分(11)の側縁部に配置されており、特に該側縁部に一体的に形成されている、請求項2記載のトップエプロンホルダ。
【請求項4】
前記テンショニング要素(7)および/または前記変向要素(6a)が、少なくとも1つの保持ピンを有しており、前記収容部(10)もしくは前記別の収容部は、前記保持ピンを前記テンショニング要素(7)もしくは前記変向要素(6a)の交換可能な収容のために収容するように形成されており、前記少なくとも1つの保持ピンが、前記テンショニング要素(7)もしくは前記変向要素(6a)の、前記トップエプロンをガイドするガイドウェブに対して横方向に延びている、請求項1から3までのいずれか1項または複数項記載のトップエプロンホルダ(1)。
【請求項5】
前記収容部は、前記エプロンガイドユニット(4)に対応配置された支持ユニットの構成部分であり、該支持ユニットに、前記テンショニング要素(7)が着脱可能に配置されており、前記支持ユニットが、前記トップエプロンホルダ(1)に支持されている、請求項1から4までのいずれか1項または複数項記載のトップエプロンホルダ(1)。
【請求項6】
前記収容部(10)内の前記テンショニング要素(7)および/または前記別の収容部(10)内の前記変向要素(6a)が、前記エプロンガイド区分(11)とは反対の方向に予荷重を加えられて、特にばね予荷重を加えられて支持されている、請求項1から5までのいずれか1項または複数項記載のトップエプロンホルダ(1)。
【請求項7】
前記収容部(10)および/または前記別の収容部に、ばねユニットが対応配置されており、該ばねユニットが、前記テンショニング要素(7)もしくは前記変向要素(6a)に作用する予荷重を調節するために構成されている、請求項6記載のトップエプロンホルダ(1)。
【請求項8】
前記収容部(10)および/または前記別の収容部が、少なくとも1つのアダプタエレメント(8a,8b,8c)を交換可能に収容するために形成されており、前記少なくとも1つのアダプタエレメント(8a,8b,8c)が、前記テンショニング要素(7)および/または前記変向要素(6a)に連結可能であり、これにより連結または収容された状態において、前記エプロン面区分(11)に対する前記テンショニング要素(7)もしくは前記変向要素(6a)の位置を変更することができる、請求項1から7までのいずれか1項または複数項記載のトップエプロンホルダ(1)。
【請求項9】
繊維機械、特にフライヤ、リング紡績機または空気紡績機のためのエプロンドラフト装置であって、
-スライバをドラフトするための駆動可能な第1のローラ対および駆動可能な第2のローラ対であって、前記第1のローラ対および前記第2のローラ対が、各ローラ対の上側のローラと下側のローラとの間で前記スライバを挟み込んで搬送するためにスライバ搬送方向で互いに離間して配置されており、前記第1のローラ対および前記第2のローラ対が、前記エプロンドラフト装置の運転状態において、前記第1のローラ対および前記第2のローラ対の把持ライン間に位置するドラフトゾーンを形成するために互いに異なる回転速度で駆動可能である、第1のローラ対および第2のローラ対と、
-前記第1のローラ対と前記第2のローラ対との間に配置されており、前記ドラフトゾーンにおいて、前記第1のローラ対のトップローラ(3)に巻き掛けられたトップエプロンを前記スライバ搬送方向に沿って循環式にガイドする、トップエプロンホルダ(1)と
を含んでいる、エプロンドラフト装置において、
前記トップエプロンホルダが、請求項1から8までのいずれか1項記載のトップエプロンホルダ(1)であることを特徴とする、エプロンドラフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維機械、特にたとえばフライヤのような粗紡機およびたとえばリング紡績機または空気紡績機のような紡績機のエプロンドラフト装置のためのトップエプロンホルダであって、
-エプロンドラフト装置のトップローラに巻き掛けられたトップエプロンを循環式にガイドするためのエプロンガイドユニットであって、トップエプロンをガイドするエプロンガイド区分を備えており、該エプロンガイド区分が、
-トップエプロンを収容してガイドする入口区分と、
-ガイドされたトップエプロンを変向するための、入口区分から離間した変向区分と
を有している、エプロンガイドユニットと、
-トップエプロンホルダを支持し、トップエプロンの循環方向でトップローラに対して下流のエプロンガイドユニットを位置決めするためのトップローラ支持ユニットと
を備える、トップエプロンホルダに関する。
【0002】
ドラフト装置は、先行技術から様々な構成で知られている。ドラフト装置は、スライバを延伸もしくはドラフトするために役立ち、これによりスライバの横断面減少を引き起こす。均整な糸を製造するための前提条件である均整なスライバを達成するために、ドラフト中に、繊維はできるだけ均等に相並んで搬送されなければならない。
【0003】
スライバを延伸するために、ドラフト装置は通常、相前後して配置された複数のローラ対を有している。ローラ対のローラは互いに接触して配置されて、その間を走行するスライバを挟み込んで搬送する。1つのローラ対は通常、ボトムローラと、このボトムローラに接触する上側の押圧ローラとから成っている。これらのローラのうちの一方のローラが駆動されており、他方のローラは、押し当てることにより回転させられる。スライバのドラフトは、スライバの、ローラ対の回転方向により規定される搬送方向で、ローラ対からローラ対へと周速度が増大することにより達成される。この場合、搬送方向で直接に連続するローラ対の互いに異なる周速度がドラフト比を規定する。
【0004】
下側のローラは、それぞれ1つのキャリヤ装置、特にドラフト装置キャリッジに配置されており、このキャリヤ装置は、スライバの搬送方向で相前後して配置されてドラフト装置のドラフト装置下側部分を形成する。スライバの繊維が、当該スライバが高いドラフト値でドラフトされるメインドラフトゾーンにおいてその結束性を失うので、ドラフト装置をエプロンドラフト装置として形成することが知られている。エプロンドラフト装置では、スライバが直接に連続するローラ対の把持ライン間でエプロンによりガイドされる。特に、メインドラフトゾーンの領域においてトップローラおよびボトムローラの周囲にそれぞれ1つのエプロンがガイドされているエプロンドラフト装置が普及している。エプロンは、出口ローラ対に向かって、エプロンガイド装置により戻り方向へと変向させられるので、スライバはトップエプロンとボトムエプロンとの間でガイドすることができる。
【0005】
通常、エンドレスベルトとして形成されているエプロンはさらに、運転のために必要となる予荷重でエプロンを保持するテンショニング装置の周囲でガイドされている。公知のテンショニング装置は、通常、走行方向に対して軸方向に配向されており、ガイドされているエプロンの走行方向での奥行に影響を与え、このことは正確な間隔調節を妨げる。エプロンの張力を調節する装置を省く場合には、整然とした運転を保証するために、エプロン長さの極めて小さな公差が必要となる。
【0006】
このことを起点として、本発明の根底にある課題は、エプロン長さの公差を簡単な形式で迅速かつ可変に補償することができる、エプロンドラフト装置のためのトップエプロンホルダと、このようなトップエプロンホルダを含むエプロンドラフト装置とを提供することである。
【0007】
本発明は、この課題を請求項1記載の特徴を有するトップエプロンホルダと、請求項9記載の特徴を有するエプロンドラフト装置とによって解決する。本発明の有利な改良形は、従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明にとって特徴的であるのは、エプロンガイドユニットが、トップエプロンの内面に押当て可能で交換可能なテンショニング要素のための、入口区分に対応配置された収容部と、このテンショニング要素とを有していることである。収容部は、好適には、入口区分の領域において、エプロンガイド区分と一体的に形成されているか、または以下でより詳細に説明するように、たとえば支持ユニットを介して入口区分に連結可能な別個の構成部分として形成されていてよい。収容部と、この収容部内に交換可能に収容されたテンショニング要素とは、テンショニング要素および変向区分を介したトップエプロンのガイドのために、エプロンガイド区分の、テンショニング要素および変向区分により囲まれた領域に対して離間して形成されている。換言すると、トップエプロンは、トップエプロンホルダの運転状態において、テンショニング要素と変向区分との間ならびにトップエプロンの内面とエプロンガイド区分の対峙する表面側との間に空隙を形成しながら、テンショニング要素によりガイドされる。供給されるトップエプロンの内側の表面区分に一致する、テンショニング要素と変向区分とにより形成されるガイド平面は、テンショニング要素および変向区分によりガイド方向にもしくはガイド平面に沿って囲まれている、エプロンガイド区分の表面区分に対して離間して延びている。運転状態においてトップエプロン内に位置する配置に基づき、その構成に応じて均一な張力を形成することができるテンショニング要素を介して、テンショニング要素の構成に応じたエプロン張力の個別の調節が可能である。エプロン長さの公差は、テンショニング要素の寸法を介して補償することができ、この場合にエプロン張力を高い精度で調節することができる。
【0009】
本発明の好適な1つの実施形態によれば、エプロンガイド区分は、変向区分を形成している端部において、循環式にガイドされるトップエプロンを変向するための交換可能な変向要素の収容のために形成されている別の収容部と、変向要素とを有している。これにより、トップエプロンの、エプロンガイド区分の表面側に対して突出したガイドを簡易な形式で支援することができる。したがって、別の収容部を備えた変向区分もしくは変向要素は、トップエプロンの定義されたガイドのために構成されている。特に、エプロンガイド区分とは別個に形成された変向要素の使用は、均整な糸品質および糸継ぎ品質にとって重要である、下流の出口ローラ対に対するエプロンの間隔の正確な調節をさらに可能にする。変向要素の使用を介して、間隔が再現可能に正確に調節させられる。さらに、変向要素は、その構成に応じて、エプロン張力の調節を高い精度で促進して支援することができる付加的なテンショニング要素を形成することができる。
【0010】
テンショニング要素の構成およびエプロンガイド区分の入口区分の領域におけるトップエプロンホルダへのテンショニング要素の配置ならびに変向要素の構成およびエプロンガイド区分の変向区分の領域におけるトップエプロンホルダへの変向要素の配置は、基本的に自由に選択可能である。しかし、本発明の特に有利な構成によれば、収容部および/または別の収容部が、トップエプロンを側方でガイドするための、互いに間隔を空けて配置された2つのガイド手段により形成されており、かつテンショニング要素もしくは変向要素が、ガイド手段間の領域に配置されたガイドロッドとして形成されており、ガイドロッドが、その長手方向軸線の方向で、ガイド手段に向かう方向で収容部もしくは別の収容部内にまで延びており、両方のガイド手段が、特にエプロンガイド区分の側縁部に配置され、特にこの側縁部に一体的に形成されていることが規定されている。
【0011】
これによりトップエプロンの循環方向に対して横方向に延びる、ガイド手段に対するガイドロッドの配向は、ガイドロッドによりトップエプロンに加えられる張力の均一な付与を保証し、トップエプロンを側方でガイドするガイド手段に対して、横方向に延びるガイドロッドの配向によって、ガイドロッドによって、トップエプロンの循環方向に対して横方向に作用する力がトップエプロンに加えられないことが保証される。特に、この横方向の配向により、ガイドロッドとの接触部分におけるトップエプロンの捩れが効果的に阻止される。特に好適には、テンショニング要素または変向要素は、それぞれの収容部もしくは別の収容部内にトップエプロンの循環方向に対して垂直に収容されており、これによりテンショニング要素およびその収容部もしくは変向要素およびその別の収容部には専らガイド方向に向けられた押圧力が加えられる。
【0012】
テンショニング要素または変向要素の、特にそれぞれまたは個別に形成されたガイドロッドとしての配置は、基本的には任意の形式で行うことができる。したがって、たとえば、テンショニング要素もしくは変向要素を着脱可能にトップエプロンホルダに位置固定して配置する可能性が生じ、これにより、トップエプロンの調節すべき張力に応じて、かつ/または変向要素に関して、出口ローラに対して調節すべき間隔に応じて、種々異なる長さの接触面を備えた種々異なって構成されたガイドロッドを使用することができ、これによりトップベルトの最適な位置調整を達成することができる。
【0013】
本発明の好適な1つの実施形態によれば、テンショニング要素および/または変向要素が、少なくとも1つの保持ピンを有しており、収容部または別の収容部は、テンショニング要素もしくは変向要素の交換可能な収容のために保持ピンを収容するように形成されており、少なくとも1つの保持ピンは、テンショニング要素もしくは変向要素の、トップエプロンをガイドするガイドウェブに対して横方向に延びている。たとえば、テンショニング要素もしくは変向要素は、単に1つの保持ピンを有する好適なバリエーションでは、ガイドウェブおよび保持ピンを通ってガイドウェブに沿って走る切断平面において横断面でT字形を形成する。2つの保持ピンを有する特に好適な1つのバリエーションでは、このような横断面形状がπ字形に移行し、このπ字形の横断面は、T字形の横断面よりも高い安定性を可能にする。
【0014】
本発明の好適な1つの改良形によれば、エプロンガイドユニットに対応配置された支持ユニットが設けられており、この支持ユニットは、テンショニング要素のための収容部または変向要素のための別の収容部を形成し、この支持ユニットに、特にガイドロッドとして形成されたテンショニング要素もしくは変向要素が着脱可能に配置されており、支持ユニットは、トップエプロンホルダ、特にエプロンガイドユニットに支持されている。
【0015】
本発明のこの構成によれば、トップエプロンホルダに支持ユニットが配置されており、支持ユニットは、テンショニング要素または変向要素の着脱可能、ひいては交換可能な収容のために形成されていることが規定されている。支持ユニットの使用は、テンショニング要素もしくは変向要素の構成に支持ユニットを適合させ、所望されるエプロン張力の調節もしくは出口ローラに対する間隔を調節するためのテンショニング要素もしくは変向要素の容易な交換を実施することができる可能性を保証する。テンショニング要素または変向要素を収容する支持ユニットは、トップエプロンホルダの運転状態において、トップエプロンの内面におけるテンショニング要素もしくは変向要素の確実な当付けが保証されると同時に、必要に応じてテンショニング要素もしくは変向要素の簡単な交換を行うことができるような位置でトップエプロンホルダに支持されている。さらに好適には、支持ユニットは、収容部もしくは別の収容部が、トップエプロンの循環方向またはガイド方向で側方のガイド手段に隣接して配置されているように配置されている。
【0016】
本発明の好適な1つの実施形態によれば、収容部内のテンショニング要素および/または別の収容部内の変向要素が、エプロンガイド区分とは反対の方向、つまりトップエプロンの方向に予荷重を加えられて、特にばね予荷重を加えられて支持または収容されていることが規定されている。トップエプロンの内面へのテンショニング要素もしくは変向要素の予荷重を加えられた当付けは、トップエプロンに特に均一に予荷重を加えることができ、運転中に発生する揺れを予荷重、特にばね予荷重によって補償することができることを保証し、これによりトップエプロンホルダを備えたエプロンドラフト装置の特に障害のない運転を保証することができる。
【0017】
特に好適には、収容部および/または別の収容部に対応して、ばねユニットが配置されて設けられている。ばねユニットは、さらに好適には、収容部または別の収容部内に配置されていてよい。このばねユニットは、必要に応じて、テンショニング要素もしくは変向要素を、ばねユニットにより形成された予荷重を維持しながら交換することを可能にし、これにより簡単かつ便利な形式で種々異なるトップエプロンへの迅速な適合を行うことができる。特に有利には、ばねユニットが、テンショニング要素もしくは変向要素に作用する予荷重を調節するために構成されていることが規定されている。
【0018】
予荷重を調節する可能性は、特に正確かつ便利な方法で、エプロン長さおよび達成すべきエプロン張力または下流の出口ローラに対する間隔への適合を、所望の適合のためにテンショニング要素もしくは変向要素を交換することを必ずしも必要とせずに、可能にする。
【0019】
補足的または代替的には、本発明のさらに好適な1つの構成によれば、収容部および/または別の収容部が、少なくとも1つのアダプタエレメントを交換可能に収容するために形成されており、少なくとも1つのアダプタエレメントはテンショニング要素および/または変向要素に連結可能であり、これにより、連結されかつ収容された状態において、エプロン面区分に対するテンショニング要素または変向要素の位置を変更もしくは適合することができることが規定されている。本発明のこの構成によれば、種々異なるアダプタエレメントの使用によって、エプロン張力を個別に調節することができる。したがって、種々異なって構成されたアダプタエレメントの交換を介して、簡単な形式で選択されたエプロン張力を設定することができる。したがって、アダプタエレメントは、たとえば、スリットを切られて構成されていてよく、これにより、アダプタエレメントをテンショニング要素もしくは変向要素上に、またはテンショニング要素もしくは変向要素に対応配置された保持ピンに被せ嵌め、必要に応じて再び簡単に取り除くことができる。
【0020】
本発明の別の1つの態様によれば、たとえば粗紡機のような繊維機械、特にフライヤのための、または紡績機、特にリング紡績機または空気紡績機のためのエプロンドラフト装置であって、スライバをドラフトするための駆動可能な第1のローラ対と駆動可能な第2のローラ対とを備えており、第1のローラ対および第2のローラ対が、各ローラ対の上側のローラと下側のローラとの間にスライバを挟み込んで搬送するためにスライバ搬送方向で互いに離間して配置されており、第1のローラ対および第2のローラ対が、エプロンドラフト装置の運転状態において、第1のローラ対および第2のローラ対の把持ライン間に位置するドラフトゾーンを形成するために互いに異なる回転速度で駆動可能であり、第1のローラ対と第2のローラ対との間にはトップエプロンホルダが配置されており、このトップエプロンホルダが、ドラフトゾーンにおいて、第1のローラ対の上側のローラに巻き掛けられたトップエプロンをスライバ搬送方向に沿って循環的にガイドする、エプロンドラフト装置が提案される。エプロンドラフト装置は、トップエプロンホルダが、上述の好適な1つの実施形態にしたがって構成されていることを特徴とする。
【0021】
本発明の実施例を以下に図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】トップエプロンホルダの斜視図である。
図2a】アダプタエレメントの第1の実施形態を示す図である。
図2b】アダプタエレメントの第2の実施形態を示す図である。
図2c】アダプタエレメントの第3の実施形態を示す図である。
【0023】
図1には、1つの実施例によるエプロンドラフト装置(図示せず)のトップエプロンホルダ1の斜視図が図示されている。
【0024】
トップエプロンホルダ1は、互いに間隔を空けて配置された2つのトップローラ支持ユニット2を有しており、これらのトップローラ支持ユニット2は、エプロンガイドユニット4のベースキャリヤ9に結合されている。
【0025】
エプロンガイドユニット4は、エプロンガイド区分11を有している。このエプロンガイド区分11は、トップエプロンホルダ1の運転状態において、無端のトップエプロン(図示せず)の横方向の走行経路を画定するウェブ状のガイド手段5によって側方で画定されている。トップエプロンは、運転中に、トップローラ3を介してエプロンガイド区分11の方向にガイドされる。トップエプロンを受けるために、エプロンガイド区分11は、入口区分11aと、この入口区分11aから離間して変向区分6とを有している。変向区分6は、トップエプロンを周囲でガイドするロッド状の変向要素6aを含んでいる。変向要素6aは、別の収容部(図示せず)内に交換可能に保持されている。変向要素6aは、ガイドロッドとして形成されている。変向要素6aの構成に応じて、エプロンドラフト装置の出口ローラ対(図示せず)の、スライバ搬送方向における下流のトップローラに対する間隔を可変に適合させることができる。
【0026】
所望のエプロン張力を発生させるために、ガイド手段5間には、ガイドロッドとして形成されたテンショニング要素7が延びており、このテンショニング要素7は、ガイド手段5に着脱可能に結合されている。テンショニング要素7は、運転中にトップエプロンの内面に接触し、その接触面を介してエプロン張力を発生させる。テンショニング要素7は、収容部10内に交換可能に保持され、収容部10は、この好適な実施例によれば、ガイド手段5により形成されている。代替的には、収容部は、図示しない実施例によれば、エプロンガイドユニット4に対応配置された支持ユニットの構成部分であってよく、この支持ユニットにテンショニング要素7が着脱可能に配置されており、支持ユニットは、トップエプロンホルダ1に支持されている。なお、収容部は、ガイド方向でガイド手段5に接しているか、または隣り合って配置されていてよい。
【0027】
エプロン張力と、出口ローラに対する間隔とは、種々異なるアダプタエレメント8a,8b,8c(図2a~図2cを参照)をテンショニング要素7もしくは変向要素6aに対応して配置することによって変更することができ、それぞれのアダプタエレメント8a,8b,8cは、収容部10もしくは別の収容部によって収容可能である。アダプタエレメント8a,8b,8cは、収容された、テンショニング要素7もしくは変向要素6aに連結された状態において、エプロン面区分11に対するテンショニング要素7もしくは変向要素6aの位置変化を引き起こし、したがって使用されたアダプタエレメント8a,8b,8cもしくはアダプタエレメントの構成に応じて、対応してエプロン張力もしくは出口ローラに対する間隔の変化を引き起こす。アダプタエレメント8a,8b,8cは、テンショニング要素7および/または変向要素6aに着脱可能に結合可能であり、テンショニング要素7および/または変向要素6aに被せ嵌められ、したがって必要に応じてテンショニング要素7および/または変向要素6aから容易に引き出すことができる。
【符号の説明】
【0028】
1 トップエプロンホルダ
2 トップローラ支持ユニット
3 トップローラ
4 エプロンガイドユニット
5 ガイド手段
6 変向区分
6a 変向要素
7 テンショニング要素/ガイドロッド
8a,8b,8c アダプタエレメント
9 ベースキャリヤ
10 収容部
11 エプロンガイド区分
11a 入口区分
図1
図2a
図2b
図2c
【外国語明細書】