IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特開-波伝播に追従すること 図1
  • 特開-波伝播に追従すること 図2
  • 特開-波伝播に追従すること 図3
  • 特開-波伝播に追従すること 図4A
  • 特開-波伝播に追従すること 図4B
  • 特開-波伝播に追従すること 図4C
  • 特開-波伝播に追従すること 図4D
  • 特開-波伝播に追従すること 図4E
  • 特開-波伝播に追従すること 図5
  • 特開-波伝播に追従すること 図6
  • 特開-波伝播に追従すること 図7
  • 特開-波伝播に追従すること 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189785
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】波伝播に追従すること
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20221215BHJP
   A61B 34/10 20160101ALI20221215BHJP
【FI】
A61B18/12
A61B34/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022093556
(22)【出願日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】17/344,194
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シガル・アルトマン
(72)【発明者】
【氏名】ファディ・マサルワ
(72)【発明者】
【氏名】ガル・バル・ゾーハル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK07
4C160KK13
4C160KK38
4C160KK39
4C160KK63
4C160KK64
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】医療システムを提供すること。
【解決手段】一実施形態では、医療システムは、心臓の腔に挿入されるように構成され、かつ腔の組織の電気活動を経時的に捕捉するように構成された電極を含む、カテーテルと、ディスプレイと、処理回路であって、捕捉された電気活動に応答して、心周期の開始時間から心周期の終了時間までの心臓の腔の解剖学的マップにわたる心臓興奮波の伝播を計算し、解剖学的マップにわたる心臓興奮波の伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作しながら、仮想カメラから見たときの解剖学的マップのそれぞれの部分にわたる心臓興奮波の伝播のそれぞれの部分を、ディスプレイにレンダリングする、ように構成されている処理回路と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療システムであって、
心臓の腔に挿入されるように構成され、かつ前記腔の組織の電気活動を経時的に捕捉するように構成された電極を含む、カテーテルと、
ディスプレイと、
処理回路であって、
前記捕捉された電気活動に応答して、心臓興奮波の伝播を心周期の開始時間から前記心周期の終了時間までの前記心臓の前記腔の解剖学的マップにわたり計算し、
前記解剖学的マップにわたる前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作しながら、前記仮想カメラから見たときの前記解剖学的マップのそれぞれの部分にわたる前記心臓興奮波の前記伝播のそれぞれの部分を、前記ディスプレイにレンダリングする、
ように構成されている処理回路と、
を含む、医療システム。
【請求項2】
前記仮想カメラは、前記解剖学的マップの内側に配置され、前記処理回路は、前記解剖学的マップの前記内側にわたる前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように前記仮想カメラを操作しながら、前記解剖学的マップの前記内側にある前記仮想カメラから見たときの前記解剖学的マップの前記それぞれの部分にわたる前記心臓興奮波の前記伝播の前記それぞれの部分を、前記ディスプレイにレンダリングするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記処理回路が、
前記捕捉された電気活動に応答して、前記解剖学的マップ上の対応する位置における局所興奮時間を見つけ、
前記対応する位置のうちのそれぞれの位置における前記局所興奮時間のうちのそれぞれの局所興奮時間に応答して、前記解剖学的マップにわたる前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように前記仮想カメラを操作しながら、前記仮想カメラから見たときの前記解剖学的マップの前記それぞれの部分にわたる前記心臓興奮波の前記伝播の前記それぞれの部分を、前記ディスプレイにレンダリングする
ように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理回路は、
局所興奮時間(LAT)ウィンドウを定義し、
前記心周期の1つの期間を通じて、前記期間における前記局所興奮時間のそれぞれの範囲にわたって、前記LATウィンドウを移動させ、
前記期間を通じて移動する前記LATウィンドウ内の前記局所興奮時間の前記それぞれの範囲に応答して、前記解剖学的マップの前記それぞれの部分にわたる前記心臓興奮波の前記伝播の前記それぞれの部分を、前記ディスプレイにレンダリングする
ように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記処理回路は、前記LATウィンドウが前記期間を通じて移動することに応答して、前記解剖学的マップにわたる前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように前記仮想カメラを操作するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理回路は、前記仮想カメラが追従する経路を見つけ、前記見つけられた経路に応答して、前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように前記仮想カメラを操作するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記処理回路は、
前記捕捉された電気活動に応答して、前記解剖学的マップ上の対応する位置における局所興奮時間を見つけ、
前記見つけられた経路、及び前記見つけられた経路に沿った前記対応する位置のうちのそれぞれの位置における前記局所興奮時間のうちのそれぞれの局所興奮時間に応答して、前記解剖学的マップにわたる前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように前記仮想カメラを操作しながら、前記仮想カメラから見たときの前記解剖学的マップの前記それぞれの部分にわたる前記心臓興奮波の前記伝播の前記それぞれの部分を、前記ディスプレイにレンダリングする
ように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記処理回路は、前記見つけられた経路に沿った前記心臓興奮波の大きさに従って、前記仮想カメラの視野を調節するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記処理回路は、前記経路を設計するユーザー入力を受信するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記処理回路は、前記仮想カメラが追従する複数の経路を見つけるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記処理回路は、前記経路のうちの最長経路を選択し、前記経路のうちの前記最長経路に応答して、前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように前記仮想カメラを操作するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記処理回路は、前記仮想カメラが追従する前記経路のうちの1つを選択するユーザー入力を受信するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
医療方法であって、
心臓の腔の組織の電気活動が、前記腔に挿入されたカテーテルの電極によって経時的に捕捉されることに応答して、心周期の開始時間から前記心周期の終了時間までの前記心臓の前記腔の解剖学的マップにわたる心臓興奮波の伝播を計算することと、
前記解剖学的マップにわたる前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作しながら、前記仮想カメラから見たときの前記解剖学的マップのそれぞれの部分にわたる前記心臓興奮波の前記伝播のそれぞれの部分を、ディスプレイにレンダリングすることと、
を含む、医療方法。
【請求項14】
前記仮想カメラは、前記解剖学的マップの内側に配置され、
前記レンダリングすることは、前記解剖学的マップの前記内側にわたる前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように前記仮想カメラを操作しながら、前記解剖学的マップの前記内側にある前記仮想カメラから見たときの前記解剖学的マップの前記それぞれの部分にわたる前記心臓興奮波の前記伝播の前記それぞれの部分を、前記ディスプレイにレンダリングすることを含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記捕捉された電気活動に応答して、前記解剖学的マップ上の対応する位置における局所興奮時間を見つけることを更に含み、
前記レンダリングすることは、前記対応する位置のうちのそれぞれの位置における前記局所興奮時間のうちのそれぞれの局所興奮時間に応答して、前記解剖学的マップにわたる前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作しながら、前記仮想カメラから見たときの前記解剖学的マップの前記それぞれの部分にわたる前記心臓興奮波の前記伝播の前記それぞれの部分を、前記ディスプレイにレンダリングすることを含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
局所興奮時間(LAT)ウィンドウを定義することと、
前記心周期の1つの期間を通じて、前記期間における前記局所興奮時間のそれぞれの範囲にわたって、前記LATウィンドウを移動させることと、を更に含み、前記レンダリングすることは、前記期間を通じて移動する前記LATウィンドウ内の前記局所興奮時間の前記それぞれの範囲に応答して、前記解剖学的マップの前記それぞれの部分にわたる前記心臓興奮波の前記伝播の前記それぞれの部分を、前記ディスプレイにレンダリングすることを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記操作することは、前記LATウィンドウが前記期間を通じて移動することに応答して、前記解剖学的マップにわたる前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように前記仮想カメラを操作することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記仮想カメラが追従する経路を見つけることを更に含み、前記操作することは、前記見つけられた経路に応答して前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように前記仮想カメラを操作することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記見つけることは、前記捕捉された電気活動に応答して、前記解剖学的マップ上の対応する位置における局所興奮時間を見つけることを含み、
前記レンダリングすることは、前記見つけられた経路、及び前記見つけられた経路に沿った前記対応する位置のうちのそれぞれの位置における前記局所興奮時間のうちのそれぞれの局所興奮時間に応答して、前記解剖学的マップにわたる前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように前記仮想カメラを操作しながら、前記仮想カメラから見たときの前記解剖学的マップの前記それぞれの部分にわたる前記心臓興奮波の前記伝播の前記それぞれの部分を、前記ディスプレイにレンダリングすることを含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記見つけられた経路に沿った前記心臓興奮波の大きさに従って、前記仮想カメラの視野を調節することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記経路を設計するユーザー入力を受信することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記仮想カメラが追従する複数の経路を見つけることを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記経路のうちの最長経路を選択することを更に含み、前記操作することは、前記経路のうちの前記最長経路に応答して、前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように前記仮想カメラを操作することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記仮想カメラが追従する前記経路のうちの1つを選択するユーザー入力を受信することを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
プログラム命令が格納される非一時的なコンピュータ可読媒体を含むソフトウェア製品であって、前記命令が、中央処理装置(CPU)によって読み取られると、前記CPUに、
心臓の腔の組織の電気活動が、前記腔に挿入されたカテーテルの電極によって経時的に捕捉されることに応答して、心周期の開始時間から前記心周期の終了時間までの前記心臓の前記腔の解剖学的マップにわたる心臓興奮波の伝播を計算させ、
前記解剖学的マップにわたる前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作しながら、前記仮想カメラから見たときの前記解剖学的マップのそれぞれの部分にわたる前記心臓興奮波の前記伝播のそれぞれの部分を、ディスプレイにレンダリングさせる、
ソフトウェア製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療システムに関し、排他的にではないがとりわけ、カテーテルベースのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
広範囲にわたる医療処置は、カテーテルなどのプローブを患者の身体内に配置することを伴う。このようなプローブを追跡するために、位置感知システムが開発されてきた。磁気的位置感知は、当該技術分野において既知の方法のうちの1つである。磁気的位置感知において、磁界発生器は、典型的には、患者の外部の既知の位置に配置される。プローブの遠位端内の磁界センサは、これらの磁界に応答して電気信号を生成し、これらの信号は、プローブの遠位端の座標位置を判定するために処理される。これらの方法及びシステムは、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、国際公開第1996/005768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455号、同第2003/0120150号及び同第2004/0068178号に記述されており、これらの開示は参照により全体が本明細書に組み込まれている。位置はまた、インピーダンス又は電流ベースのシステムを使用して追跡されてもよい。
【0003】
これらのタイプのプローブ又はカテーテルが極めて有用であると証明されている医療処置の1つは、心不整脈の治療におけるものである。心不整脈及び特に心房細動は、特に老年人口では、一般的かつ危険な病状として持続している。
【0004】
心不整脈の診断及び治療には、心組織、特に心内膜及び心容積の電気的特性をマッピングすること、並びにエネルギーの印加によって心臓組織を選択的にアブレーションすることが含まれる。そのようなアブレーションにより、不要な電気信号が心臓のある部分から別の部分へと伝播するのを停止させるか又は修正することができる。アブレーションプロセスは、非導電性の損傷部を形成することによって不要な電気経路を破壊するものである。様々なエネルギー送達の様式が、損傷部を形成する目的でこれまでに開示されており、心臓組織壁に沿って伝導ブロックを作るためのマイクロ波、レーザ、及びより一般的には無線周波エネルギーの使用が挙げられる。マッピングの後にアブレーションを行う2工程の処置において、典型的には、1つ又は2つ以上の電気センサを含むカテーテルを心臓の内部に前進させ、複数のポイントでデータを得ることによって、心臓内の各ポイントにおける電気活動が感知及び測定される。次いで、これらのデータを利用して、このアブレーションを行うべき心内膜の標的領域を選択する。
【0005】
電極カテーテルは、長年にわたり医療現場で一般的に使用されている。電極カテーテルは、心臓内の電気活動を刺激及びマッピングし、異常な電気活動が見られる部位をアブレーションするために使用される。使用時には、電極カテーテルは、主要な静脈又は動脈、例えば、大腿動脈に挿入された後、対象の心腔内へと導かれる。典型的なアブレーション処置は、その遠位端に1つ又は2つ以上の電極を有するカテーテルを心腔内に挿入することを伴う。参照電極は、一般的には患者の皮膚にテープで貼り付けられるか、あるいは心臓内又は心臓付近に配置されている第2のカテーテルによって提供され得る。RF(高周波)電流をアブレーションカテーテルの先端電極に印加し、参照電極に向かって先端電極の周囲の媒質、すなわち、血液及び組織に電流が流れる。電流の分布は、組織より高い導電性を有する血液と比較した場合、組織と接触する電極表面の量に依存する。組織の加熱は、組織の電気抵抗に起因して生じる。組織が十分に加熱されると、心臓組織において細胞破壊が引き起こされ、結果として、非電導性である心臓組織内に損傷部が形成される。
【0006】
したがって、アブレーションカテーテル又は他のカテーテルを体内、特に心内膜組織近くに配置させる場合、カテーテルの遠位先端部をその組織と直接接触させることが望ましい。この接触は、例えば、遠位先端部と体組織との間の接触を測定することによって、確かめることができる。米国特許出願公開第2007/0100332号、同第2009/0093806号、及び同第2009/0138007号には、カテーテル内に埋め込まれた力センサを使用して、カテーテルの遠位先端部と体腔内の組織との間の接触圧力を感知する方法が記載されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、医療システムであって、心臓の腔に挿入されるように構成され、かつ腔の組織の電気活動を経時的に捕捉するように構成された電極を含む、カテーテルと、ディスプレイと、処理回路であって、捕捉された電気活動に応答して、心周期の開始時間から心周期の終了時間までの心臓の腔の解剖学的マップにわたる心臓興奮波の伝播を計算し、解剖学的マップにわたる心臓興奮波の伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作しながら、仮想カメラから見たときの解剖学的マップのそれぞれの部分にわたる心臓興奮波の伝播のそれぞれの部分を、ディスプレイにレンダリングする、ように構成されている処理回路と、を含む、医療システムが開示される。
【0008】
更に、本開示の一実施形態によれば、仮想カメラは、解剖学的マップの内側に配置され、処理回路は、解剖学的マップの内側にわたる心臓興奮波の伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作しながら、解剖学的マップの内側にある仮想カメラから見たときの解剖学的マップのそれぞれの部分にわたる心臓興奮波の伝播のそれぞれの部分を、ディスプレイにレンダリングするように構成されている。
【0009】
また更に、本開示の一実施形態によれば、処理回路は、捕捉された電気活動に応答して、解剖学的マップ上の対応する位置における局所興奮時間を見つけ、対応する位置のうちのそれぞれの位置における局所興奮時間のうちのそれぞれの局所興奮時間に応答して、解剖学的マップにわたる心臓興奮波の伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作しながら、仮想カメラから見たときの解剖学的マップのそれぞれの部分にわたる心臓興奮波の伝播のそれぞれの部分を、ディスプレイにレンダリングするように構成されている。
【0010】
加えて、本開示の一実施形態によれば、処理回路は、局所興奮時間(LAT)ウィンドウを定義し、心周期の1つの期間を通じて、期間における局所興奮時間のそれぞれの範囲にわたって、LATウィンドウを移動させ、期間を通じて移動するLATウィンドウ内の局所興奮時間のそれぞれの範囲に応答して、解剖学的マップのそれぞれの部分にわたる心臓興奮波の伝播のそれぞれの部分を、ディスプレイにレンダリングするように構成されている。
【0011】
更に、本開示の一実施形態によれば、処理回路は、LATウィンドウが期間を通じて移動することに応答して、解剖学的マップにわたる心臓興奮波の伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作するように構成されている。
【0012】
更に、本開示の一実施形態によれば、処理回路は、仮想カメラが追従する経路を見つけ、見つけられた経路に応答して、心臓興奮波の伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作するように構成されている。
【0013】
また更に、本開示の一実施形態によれば、処理回路は、捕捉された電気活動に応答して、解剖学的マップ上の対応する位置における局所興奮時間を見つけ、見つけられた経路、及び見つけられた経路に沿った対応する位置のうちのそれぞれの位置における局所興奮時間のそれぞれの局所興奮時間に応答して、解剖学的マップにわたる心臓興奮波の伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作しながら、仮想カメラから見たときの解剖学的マップのそれぞれの部分にわたる心臓興奮波の伝播のそれぞれの部分を、ディスプレイにレンダリングするように構成されている。
【0014】
加えて、本開示の一実施形態によれば、処理回路は、見つけられた経路に沿った心臓興奮波の大きさ、仮想カメラの視野を調節するように構成されている。
【0015】
更に、本開示の一実施形態によれば、処理回路は、経路を設計するユーザー入力を受信するように構成されている。
【0016】
更に、本開示の一実施形態によれば、処理回路は、仮想カメラが追従する複数の経路を見つけるように構成されている。
【0017】
更に、本開示の一実施形態によれば、処理回路は、経路のうちの最長経路を選択し、経路のうちの最長経路に応答して、心臓興奮波の伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作するように構成されている。
【0018】
加えて、本開示の一実施形態によれば、処理回路は、仮想カメラが追従する経路のうちの1つを選択するユーザー入力を受信するように構成されている。
【0019】
本開示の別の実施形態によれば、医療方法であって、心臓の腔の組織の電気活動が、腔に挿入されたカテーテルの電極によって経時的に捕捉されることに応答して、心周期の開始時間から心周期の終了時間までの心臓の腔の解剖学的マップにわたる心臓興奮波の伝播を計算することと、解剖学的マップにわたる心臓興奮波の伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作しながら、仮想カメラから見たときの解剖学的マップのそれぞれの部分にわたる心臓興奮波の伝播のそれぞれの部分を、ディスプレイにレンダリングすることと、を含む、医療方法が提供される。
【0020】
更に、本開示の一実施形態によれば、仮想カメラは、解剖学的マップの内側に配置され、レンダリングすることは、解剖学的マップの内側にわたる心臓興奮波の伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作しながら、解剖学的マップの内側にある仮想カメラから見たときの解剖学的マップのそれぞれの部分にわたる心臓興奮波の伝播のそれぞれの部分を、ディスプレイにレンダリングすることを含む。
【0021】
更に、本開示の一実施形態によれば、本方法は、捕捉された電気活動に応答して、解剖学的マップ上の対応する位置における局所興奮時間を見つけることを含み、レンダリングすることは、対応する位置のうちのそれぞれの位置における局所興奮時間のうちのそれぞれの局所興奮時間に応答して、解剖学的マップにわたる心臓興奮波の伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作しながら、仮想カメラから見たときの解剖学的マップのそれぞれの部分にわたる心臓興奮波の伝播のそれぞれの部分を、ディスプレイにレンダリングすることを含む。
【0022】
更に、本開示の一実施形態によれば、本方法は、局所興奮時間(LAT)ウィンドウを定義することと、心周期の1つの期間を通じて、期間における局所興奮時間のそれぞれの範囲にわたって、LATウィンドウを移動させることと、を含み、レンダリングすることは、上記期間を通じて移動するLATウィンドウ内の局所興奮時間のそれぞれの範囲に応答して、解剖学的マップのそれぞれの部分にわたる心臓興奮波の伝播のそれぞれの部分を、ディスプレイにレンダリングすることを含む。
【0023】
加えて、本開示の一実施形態によれば、操作することは、LATウィンドウが期間を通じて移動することに応答して、解剖学的マップにわたる心臓興奮波の伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作することを含む。
【0024】
更に、本開示の一実施形態によれば、本方法は、仮想カメラが追従する経路を見つけることを更に含み、操作することは、見つけられた経路に応答して心臓興奮波の伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作することを含む。
【0025】
更に、本開示の一実施形態によれば、見つけることは、捕捉された電気活動に応答して、解剖学的マップ上の対応する位置における局所興奮時間を見つけることを含み、レンダリングすることは、見つけられた経路、及び見つけられた経路に沿った対応する位置のうちのそれぞれの位置における局所興奮時間のそれぞれの局所興奮時間に応答して、解剖学的マップにわたる心臓興奮波の伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作しながら、仮想カメラから見たときの解剖学的マップのそれぞれの部分にわたる心臓興奮波の伝播のそれぞれの部分を、ディスプレイにレンダリングすることを含む。
【0026】
また更に、本開示の一実施形態によれば、本方法は、見つけられた経路に沿った心臓興奮波の大きさ、仮想カメラの視野を調節することを含む。
【0027】
加えて、本開示の一実施形態によれば、本方法は、経路を設計するユーザー入力を受信することを含む。
【0028】
更に、本開示の一実施形態によれば、本方法は、仮想カメラが追従する複数の経路を見つけることを含む。
【0029】
更に、本開示の一実施形態によれば、本方法は、経路のうちの最長経路を選択することを更に含み、操作することは、経路のうちの最長経路に応答して、心臓興奮波の伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作することを含む。
【0030】
また更に、本開示の一実施形態によれば、本方法は、仮想カメラが追従する経路のうちの1つを選択するユーザー入力を受信することを含む。
【0031】
本開示の別の実施形態によれば、プログラム命令が格納される非一時的なコンピュータ可読媒体を含むソフトウェア製品であって、命令が、中央処理装置(CPU)によって読み取られると、CPUに、心臓の腔の組織の電気活動が、腔に挿入されたカテーテルの電極によって経時的に捕捉されることに応答して、心周期の開始時間から心周期の終了時間までの心臓の腔の解剖学的マップにわたる心臓興奮波の伝播を計算させ、解剖学的マップにわたる心臓興奮波の伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作しながら、仮想カメラから見たときの解剖学的マップのそれぞれの部分にわたる心臓興奮波の伝播のそれぞれの部分を、ディスプレイにレンダリングさせる、ソフトウェア製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から理解されよう。
図1】本発明の例示的な実施形態に従って構築され動作する医療処置システムの概略図である。
図2図1のシステムで使用するためのカテーテルの概略図である。
図3図1のシステムで使用するための局所興奮時間マップ及び心臓興奮波の伝播の概略図である。
図4A図1のシステムで使用するための心臓興奮波の伝播及び仮想カメラの概略図である。
図4B図1のシステムで使用するための心臓興奮波の伝播及び仮想カメラの概略図である。
図4C図1のシステムで使用するための心臓興奮波の伝播及び仮想カメラの概略図である。
図4D図1のシステムで使用するための心臓興奮波の伝播及び仮想カメラの概略図である。
図4E図1のシステムで使用するための心臓興奮波の伝播及び仮想カメラの概略図である。
図5図1のシステムにおける仮想カメラの視野の調節を示す概略図である。
図6図1のシステムで使用するための、仮想カメラが追従する経路を示す概略図である。
図7図1のシステムで使用するための仮想カメラが追従すると考えられ得る経路を示す概略図である。
図8図1のシステムの動作方法における工程を含むフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
概論
前述のように、マッピングの後にアブレーションを行う2工程の手技において、典型的には、1つ又は2つ以上の電極を備えるカテーテルを心臓の中に前進させ、多数の点でデータを取得することによって、心臓内の各点における電気的活動を感知し、測定している。次いで、これらのデータを利用して、アブレーションが実施される標的領域が選択される。
【0034】
マッピングは、局所興奮時間(LAT)などの捕捉された電気活動に応答して、心周期の開始時間から心周期の終了時間までの心臓の腔にわたる心臓興奮波の伝播を計算するために使用され得る。心臓興奮波の伝播は、腔の解剖学的マップにわたって、典型的にはゆっくりとした動きで(又は任意の好適な選択された速度で)、色及び/又は記号を使用してディスプレイにレンダリングされ得る。次いで、伝播を医師が分析して、心臓の腔の組織をアブレーションするかどうか、かつどこをアブレーションするかが判定される。
【0035】
医師は、解剖学的マップのサブ領域を見ていることがあり、例えば、医師は、解剖学的マップのサブ領域にズームインしたい、又は解剖学的マップの内側から(例えば、任意のある時間にしかマップのサブ領域を見ることができない仮想カメラの視点から)解剖学的マップのサブ領域を見たいと望む場合がある。解剖学的マップの選択されたサブ領域が波伝播の始まりではなく、次いで、医師が、心臓の腔の解剖学的マップにわたって心臓興奮波の伝播を行うと仮定すると、医師には、いくつらかの遅延後まで、すなわち、心臓興奮波が、マップのレンダリングされていない部分にわたって「続いた」後に、解剖学的マップの選択済みのレンダリングされたサブ領域に最終的に到達するまで、解剖学的マップの選択されたレンダリングされたサブ領域上の伝播が見えない。波伝播が始まりから終わりまで続き、次いで、始まりから繰り返すなど、ループモードで波伝播が続く場合、医師は、現在見られているマップの選択済みのレンダリングされたサブ領域の前後で解剖学的マップのレンダリングされていない部分にわたって波伝播が続いている間待機する必要があるので、遅延が更に大きくなり得る。波伝播が選択済みのレンダリングされたサブ領域に入ると、波伝播は、別の遅延後の波伝播の次の繰り返しまで速やかに消える。解剖学的マップの選択済みのサブ領域で見られる波の遅延は、医師を混乱させていることがあり、かつ、波伝播に基づいて、心臓の腔の組織をアブレーションするかどうか、かつどこをアブレーションするかを判定するために、医師が波伝播を繰り返し行う必要がある場合には特に、心臓処置中の貴重な時間を無駄にする。
【0036】
本発明の実施形態は、解剖学的マップにわたる心臓興奮波の伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作しながら、仮想カメラから見たときの対応する解剖学的マップのそれぞれの部分にわたる心臓興奮波の伝播のそれぞれの部分を、ディスプレイにレンダリングするシステムを提供することによって、上記課題を解決する。言い換えれば、仮想カメラは、解剖学的マップのレンダリングされている部分が、現在波が伝播している部分と同じになるように、解剖学的マップの表面にわたって移動する際に波伝播に追従するように自動的に移動することができる。例えば、仮想カメラの位置(配向を含む)は、マップの表面にわたって移動する際に波伝播に追従するように計算され得る。
【0037】
システムは、仮想カメラが追従する経路を計算することができる。次いで、仮想カメラは、波伝播のレンダリング中にその経路に追従することができる。いくつかの実施形態では、仮想カメラは、経路の始まりから経路の終わりまで、一定の速度で移動することでき、波伝播の開始と共に経路に沿った移動を開始する。いくつかの実施形態では、仮想カメラは、波伝播の移動速度で、すなわち、時にはよりゆっくりと、時にはより速く移動することができる。いくつかの実施形態では、仮想カメラは、現在レンダリングされている心臓興奮波の中心又はリーディングエッジに従って移動することができる。いくつかの実施形態では、仮想カメラの視野は、経路にわたって、現在レンダリングされている波の大きさに従って調節され得る。
【0038】
システムは、例えば、波伝播が分割する場合、又は仮想カメラの視野によって波全体を捕捉できない場合に、複数の経路を計算することができる。次いで、システムは、仮想カメラが追従する経路のうちの1つ、例えば、経路のうちの最長経路を選択することができる。いくつかの実施形態では、ユーザーは、仮想カメラが経路のうちのどれに追従すべきかを選択することができる。いくつかの実施形態では、ユーザーは、例えば、ポインティングデバイス(例えば、マウス又はスタイラス)又はタッチ感知スクリーンを使用して、解剖学的マップ上に、追従される経路を設計することができる。
【0039】
システムの説明
次に、本発明の例示的な実施形態に従って構築され動作する医療処置システム20の概略図である図1を参照する。図2も参照されたい。図2は、図1のシステム20で使用するためのカテーテル40の概略図である。
【0040】
医療処置システム20は、図1の挿入図25に示され、図2により詳細に示されているカテーテル40の位置を判定するために使用される。カテーテル40は、シャフト22と、それぞれの近位端がシャフト22の遠位端に接続されている複数の可撓性アーム54(簡略化のためにいくつかにのみに標識されている)と、を含む。カテーテル40は、生体被験者の身体部分(例えば、心臓26の腔)に挿入されるように構成されている。
【0041】
カテーテル40は、可撓性アーム54の近位端に対して既定の空間関係でシャフト22上に配置された位置センサ53を含む。位置センサ53は、磁気センサ50及び/又は少なくとも1つのシャフト電極52を含み得る。磁気センサ50は、回転(roll)を含む位置及び向きの位置データを提供するために、限定はしないが例えば二軸又は三軸のコイル配列などの少なくとも1つのコイルを含んでもよい。カテーテル40は、可撓性アーム54の各々に沿ったそれぞれの位置に配置され、かつ、心臓26内のそれぞれの位置において心臓26の腔の組織の電気活動を経時的に捕捉するように構成されている、複数の電極55(簡略化のために、図2ではいくつかにのみ標識されている)を含む。典型的には、カテーテル40は、電極55を使用して生体被験者の心臓26内の電気活動をマッピングするために、又は生存被験者の身体部分内で任意の他の適切な機能を実行するために使用され得る。
【0042】
医療処置システム20は、カテーテル40のシャフト22の位置及び向きを、磁気センサ50及び/又はシャフト22に取り付けられた磁気センサ50の両側のシャフト電極52(近位電極52a及び遠位電極52b)によって供給される信号に基づいて判定することができる。近位電極52a、遠位電極52b、磁気センサ50及び少なくともいくつかの電極55は、シャフト22を通って延びるワイヤにより、カテーテルコネクタ35を介してコンソール24内の様々なドライバ回路に接続されている。いくつかの実施形態では、可撓性アーム54の各々の少なくとも2つの電極55、シャフト電極52、及び磁気センサ50は、カテーテルコネクタ35を介してコンソール24内のドライバ回路に接続されている。いくつかの実施形態では、遠位電極52b及び/又は近位電極52aは省略されてもよい。
【0043】
図2に示されている図は、純粋に概念を明確化する目的のために選択されている。シャフト電極52及び電極55の他の構成も可能である。位置センサ53には更なる機能が含まれてもよい。明確にするために、灌漑ポートなど、本発明の開示された実施形態に関連しない要素は省略されている。
【0044】
医師30は、カテーテル40の近位端の近くにあるマニピュレータ32を使用してシャフト22を操作すること及び/又はシース23からの偏向によって、カテーテル40を患者28の身体部分(例えば心臓26)内の標的位置に誘導する。カテーテル40は、可撓性アーム54が集まった状態で、シース23を通して挿入され、カテーテル40がシース23から後退した後にのみ、可撓性アーム54が広がり、それらの意図された機能的形状を回復することができる。可撓性アーム54をまとめて収容することにより、シース23は、標的位置へ向かう間の血管外傷を最小限に抑える役割も果たす。
【0045】
コンソール24は、処理回路41、典型的には汎用コンピュータと、ケーブル39を通って患者28の胸部及び背部又は任意の他の好適な皮膚表面に延びるワイヤによって取り付けられた身体表面電極49において信号を生成する、及び/又は身体表面電極49から信号を受信する好適なフロントエンド及びインタフェース回路44と、を含む。
【0046】
コンソール24は、磁気感知サブシステムを更に含む。患者28は、少なくとも1つの磁場放射体42を含むパッドによって生成された磁場内に置かれ、これは、コンソール24に配設されたユニット43によって駆動される。磁場放射体42は、身体の部分(例えば、心臓26)が配置されている領域に交番磁界を送信するように構成されている。磁場放射体42によって生成された磁場は、磁気センサ50において方向信号を生成する。磁気センサ50は、送信された交番磁界の少なくとも一部を検出し、対応する電気入力として方向信号を処理回路41に供給するように構成されている。
【0047】
いくつかの実施形態では、処理回路41は、シャフト電極52、磁気センサ50及び電極55から受信した位置信号を使用して、心腔内などの器官内のカテーテル40の位置を推定する。いくつかの実施形態では、処理回路41は、電極52及び電極55から受信した位置信号を以前に取得した磁気的位置較正位置信号と相関させて、心腔内のカテーテル40の位置を推定する。シャフト電極52及び電極55の位置座標は、他の入力の中でも特に、電極52、電極55と身体表面電極49との間で測定されるインピーダンス又は電流分布の割合に基づいて、処理回路41によって判定され得る。コンソール24は、ディスプレイ27を駆動し、心臓26の解剖学的マップの内側にあるカテーテル40の遠位端を示す。
【0048】
電流分布測定値及び/又は外部磁界を使用する位置検知の方法は、様々な医療用途で、例えば、Biosense Webster Inc.(Irvine,California)により製造されるCarto(登録商標)システムに実装されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、同第6,332,089号、同第7,756,576号、同第7,869,865号、及び同第7,848,787号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号、及び同第2004/0068178(A1)号に詳述されている。
【0049】
Carto(登録商標)3システムは、有効電流位置(ACL)のインピーダンスベースの位置追跡方法を適用する。いくつかの実施形態では、処理回路41は、ACL法を使用して、電気インピーダンスの表示と磁場放射体42の磁気座標フレーム内の位置との間のマッピング(例えば、現在位置マトリックス(CPM))を作成するように構成されている。処理回路41は、CPM内でルックアップを実行することにより、シャフト電極52及び電極55の位置を推定する。
【0050】
処理回路41は、本明細書に記載される機能を実行するために、典型的にはソフトウェアでプログラムされる。ソフトウェアは、例えばネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードすることができる、あるいは、代替的に又は追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的実体的媒体上に提供及び/又は記憶することができる。
【0051】
システム20はまた、表示するための解剖学的マップのサブ領域の選択、解剖学的マップのサブ領域を見る際に使用される仮想カメラの操作、心臓興奮波の波伝播のレンダリング速度、及び/又はレンダリングされている心臓興奮波の幅などのユーザー入力を受け取るためのユーザーインターフェース57を含む。ユーザーインターフェース57は、キーボード及び/又はタッチスクリーン、フットペダル、並びに任意で、マウス、スタイラス及び/又はジョイスティックなどのポインティングデバイスを含んでもよい。
【0052】
図1は、簡潔性及び明瞭性のために、本開示の技術に関する要素のみを示す。システム20は、典型的には、開示される技術には直接関連しないために図1及び対応する説明から意図的に省略されている、追加のモジュール及び要素を含む。
【0053】
上述したカテーテル40は、アーム54ごとに6つの電極55を有する8つの可撓性アーム54を含む。カテーテル40の代わりに、例えば、様々な数の可撓性アーム及び/又はアームごとに複数の電極を備えたカテーテルなどの任意の適切なカテーテル、あるいは、例えばバルーンプローブ又はラッソカテーテルなどの様々なプローブ形状を使用することができる。
【0054】
医療処置システム20はまた、例えば、カテーテル40又はこれとは異なるカテーテルなどの任意の適切なカテーテル及び任意の適切なアブレーション方法を使用して、心臓組織のアブレーションを実行し得る。コンソール24は、心臓26の心筋のアブレーションを行うために、コンソール24に接続されたカテーテルの1つ以上の電極と、身体表面電極49のうちの1つ以上と、によって印加されるRF電力を生成するように構成されたRF信号発生器34を含んでもよい。コンソール24は、アブレーションを実施しているカテーテルの遠位端への灌注チャネルに灌注流体を送り込むポンプ(図示せず)を含んでもよい。アブレーションを実施するカテーテルは、アブレーション中に心筋の温度を測定し、測定された温度に従ってアブレーション電力及び/又は灌注流体のポンピングの灌注速度を調節するために使用される温度センサ(図示せず)を更に含んでもよい。
【0055】
次に、図1のシステム20で使用するための局所興奮時間マップ36及び心臓興奮波の伝播の概略図である図3を参照する。
【0056】
処理回路41は、任意の好適な解剖学的マップ生成法、例えば、限定されないが、高速解剖学的マッピング(FAM)を使用して、解剖学的マップ60を生成するように構成することができる。FAMは、Cohenらの米国特許第10,918,310号に記載されている。FAMでは、電極55の計算された電極位置のクラウドなどのデータポイントの3次元(3D)クラウドの周りに平滑シェルが生成される。
【0057】
処理回路41は、カテーテル40の電極55によって経時的に捕捉された電気活動に応答して、解剖学的マップ60上の対応する位置における局所興奮時間(LAT)を見つけるように構成されている。いくつかの実施形態では、局所興奮時間(LAT)は、心臓の電気活動信号(例えば、心電図(ECG)又は心内電位図(IEGM))から特定され、解剖学的マップ60の表面上のそれぞれの位置と関連付けられる。LATは、異なる色又は網掛けを使用して異なるLAT範囲62又はLAT値を示すことによって、局所興奮時間マップ36上に表され得る。例えば、-200ミリ秒(ms)~-190msの範囲内のLATを1つの色で表してもよく、-190ミリ秒(ms)~-180msの範囲内のLATを別の色で表してもよい、などである。代替的に、各LAT値は、異なる色に対応してもよい(例えば、-200msを青色で表してもよく、-199msは、わずかに異なる青色で表してもよい、など)。例えば、-200ms~+200msの範囲内のLAT値は、RGB値(0,0,255)~(255,0,0)の範囲内の色でそれぞれ表してもよく、(255,255,0)がその範囲の中央値である。
【0058】
処理回路41は、カテーテル40の電極55によって経時的に捕捉された電気活動に応答して、心周期の開始時間から心周期の終了時間までの心臓26の腔の解剖学的マップ60にわたる心臓興奮波の伝播(矢印38で示される方向を有する)を計算するように構成されている。心臓興奮波の伝播は、任意の好適な方法、例えば、限定されないが、米国特許第10,136,828号、同第6,226,542号、同第6,301,496号、及び同第6,892,091号に開示される方法のうちの1つ以上を使用して計算してもよい。心臓興奮波の伝播は、LATのスライディングウィンドウを使用して、LAT値に基づいて計算され得る。例えば、時間T0に、-200ms~-160msの範囲内のLATが解剖学的マップ60上にレンダリングされ、時間T1に、-180ms~-140msの範囲内のLATが解剖学的マップ60上にレンダリングされ、時間T2に、範囲-160ms~-120ms内のLATが解剖学的マップ60上にレンダリングされる、などである。LATウィンドウは、心臓興奮波のサイクル全体が解剖学的マップ60上にレンダリングされるまで移動し続ける。このようにすると、心臓興奮波は、解剖学的マップ60の表面上を移動するように見える。スライディングウィンドウの幅、すなわち、スライディングウィンドウにおけるLATの範囲は、構成可能であり得る。伝播の任意のある時間にLATがレンダリングされていることを示すために、色又は網掛けを使用してもよい。異なるLAT値を示すために、異なる色又は網掛けを使用してもよい。例えば、-200ms~-160msの範囲内のLATを解剖学的マップ62上に赤色でレンダリングしてもよく、-180ms~-140msの範囲内のLATを解剖学的マップ62上に橙色でレンダリングしてもよく、範囲-160ms~-120ms内のLATを解剖学的マップ62上に黄色でレンダリングしてもよい、などである。代替的に、各LAT値は、異なる色に対応してもよい(例えば、-200msを青色で表してもよく、-199msは、わずかに異なる青色で表してもよい、など)。例えば、-200ms~+200msの範囲内のLAT値は、RGB値(0,0,255)~(255,0,0)の範囲内の色でそれぞれ表してもよく、(255,255,0)がその範囲の中央値である。
【0059】
図3は、内部に仮想カメラ66がある解剖学的マップ60の断面64を示し、仮想カメラ66は、解剖学的マップ60の内壁68に面している。内壁68はまた、図3の断面64の上方に示されている。内壁68上に示されたLAT範囲62間の対応関係を示すために、内壁68及び解剖学的マップ60の断面64を横切って垂直線74が描かれており、LAT範囲は、断面64上にある。
【0060】
図3は、仮想カメラ66の視野70(2本の点線72によって境界が定められている)が、局所興奮時間マップ36の一部分に制限されていることを示している。したがって、仮想カメラ66の静止位置(配向を含む)に基づいて心臓興奮波の伝播がディスプレイ27にレンダリングされるとき、ディスプレイ27上には、伝播を続けた後の遅延と共に伝播の一部分のみが見える。
【0061】
次に、図1のシステム20で使用するための心臓興奮波の伝播及び仮想カメラ66の概略図である図4A図4Eを参照する。
【0062】
図4Aは、局所興奮時間マップ36(図3)のLAT範囲62-1に対応する2つの網掛け領域76-1を示している。網掛け領域76-1は、LAT範囲62-1を含む時間ウィンドウに対応する心臓興奮波の伝播の一部としてレンダリングされている。仮想カメラ66は、仮想カメラ66の視野70(点線72)が網掛け領域76-1の中心に向かって面している状態で配置された(すなわち、配向された)解剖学的マップ60の断面64に示されている。したがって、網掛け領域76-1は、解剖学的マップ60の内壁68の対応する部分78-1と共にディスプレイ27にレンダリングされている。
【0063】
LAT範囲62の時間ウィンドウを時間的に前方に動かすことに対応して、心臓興奮波が解剖学的マップ60の内壁68に沿って進行するとき、仮想カメラ66の位置は、進行している心臓興奮波の中心に仮想カメラ66の視野70が向けられるように操作される(例えば、時計回りに回される)。
【0064】
図4Bは、局所興奮時間マップ36(図3)のLAT範囲62-2に対応する2つの網掛け領域76-2を示している。網掛け領域76-2は、LAT範囲62-2を含む時間ウィンドウに対応する心臓興奮波の伝播の一部としてレンダリングされている。仮想カメラ66は、仮想カメラ66の視野70(点線72)が網掛け領域76-2の中心に向かって面している状態で配置された(すなわち、配向された)解剖学的マップ60の断面64に示されている。したがって、網掛け領域76-2は、解剖学的マップ60の内壁68の対応する部分78-2と共にディスプレイ27にレンダリングされている。
【0065】
図4C図4Eは、内壁68に沿った心臓興奮波の更なる進行を示しており、網掛け領域76-3、76-4、76-5、及び内壁68の対応する部分78-3、78-4、78-5は、LAT範囲62-3、62-4、62-5に対応してそれぞれレンダリングされている。図4A図4Eは、別個の時点における心臓興奮波の伝播のみを示していることに留意されたい。しかしながら、心臓興奮波の伝播は、一般に、心周期を通じた、解剖学的マップ60の表面上での滑らかな移行として示されている。
【0066】
いくつかの実施形態では、仮想カメラ66の位置は、波伝播中、一定の速度で移動することができる。いくつかの実施形態では、仮想カメラ66の位置は、波伝播の移動速度で、すなわち、時にはよりゆっくりと、時にはより早く移動することができる。いくつかの実施形態では、仮想カメラ66の位置は、現在レンダリングされている心臓興奮波の中心又はリーディングエッジに従って移動することができる。
【0067】
次に、図1のシステム20における仮想カメラ66(図3)の視野の調節を示す概略図である図5を参照する。仮想カメラ66が心臓興奮波の伝播に追従するように操作されると、仮想カメラ66の視野は、任意選択的に、伝播されている波の現在の部分の大きさに従って調節され得る。図5は、第1の時間(網掛け領域76-1がその時間における波伝播の一部としてレンダリングされ得る)において、仮想カメラ66の視野70-1が、網掛け領域76-1の全てを捕捉するように調節され、後の時間(網掛け領域76-2がその後の時間における波伝播の一部としてレンダリングされ得る)において、仮想カメラ66の視野70-2が、網掛け領域76-2の全てを捕捉するように調節されることを示している。
【0068】
次に、図1のシステム20で使用するための仮想カメラ66(図3)が追従する経路80を示す概略図である図6を参照する。処理回路41(図1)は、仮想カメラ66の視野70(図3)が追従する経路80を計算するように構成することができる。経路80は、1つ以上の基準に基づいて計算され得る。例えば、経路80は、解剖学的マップ60上の心臓興奮波の最長経路又は最大数のLAT値を横断する経路になるように計算され得る。いくつかの実施形態では、医師30(図1)は、解剖学的マップ60上に経路80を描くことができ、次いで、心臓興奮波の伝播のレンダリング中に、その経路80に仮想カメラ66が追従する。
【0069】
次に、図1のシステム20で使用するための仮想カメラ66(図3)が追従すると考えられ得る経路80を示す概略図である図7を参照する。処理回路41(図1)は、(例えば、解剖学的マップ60の表面上に経路をランダムに生成することに基づいて)複数の経路80を計算し、次いで、様々な基準に基づいて経路80のうちの1つを選択するように構成することができる。例えば、経路80のうちの1つは、解剖学的マップ60上の心臓興奮波の最長経路又は最大数のLAT値を横断する経路80になるように選択され得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、経路80は、解剖学的マップ60にわたって、ディスプレイ27(図1)にレンダリングされ得る。次いで、医師30(図1)は、解剖学的マップ60から経路80のうちの1つを選択することができ、次いで、心臓興奮波の伝播のレンダリング中に、その経路80に仮想カメラ66が追従する。
【0071】
次に、図1のシステム20の動作方法における工程を含むフローチャート100である図8を参照する。
【0072】
処理回路41は、図3を参照してより詳細に上述したように、捕捉された電気活動に応答して、解剖学的マップ60(図3)上の対応する位置における局所興奮時間を見つける(ブロック102)ように構成されている。処理回路41は、図3を参照してより詳細に説明するように、捕捉された電気活動に応答して、心周期の開始時間から心周期の終了時間までの心臓26(図1)の腔の解剖学的マップ60にわたる心臓興奮波の伝播を計算する(ブロック104)ように構成されている。心臓興奮波の伝播は、LAT値の現在のスライドしている又は移動しているウィンドウ内でLATと関連付けられた解剖学的マップ60のそれぞれの領域を活性化することによって、伝播をディスプレイ27にレンダリングするときに計算され得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、処理回路41は、仮想カメラ66(図3)が追従する1つ以上の経路80(図6図7)を見つける(ブロック106)ように構成されている。処理回路41は、図7を参照してより詳細に説明されるように、最長経路など、経路80のうちの1つを選択する(ブロック108)ように構成することができる。加えて、又は代替的に、処理回路41は、仮想カメラ66が追従する経路80のうちの1つを選択するユーザー入力を受信する(ブロック110)ように構成されている。いくつかの実施形態では、処理回路41は、仮想カメラ66が追従する経路80を設計するユーザー入力(ブロック112)を受信するように構成されている(すなわち、経路は、解剖学的マップ60の表面上で医師30によって設計され得る)。
【0074】
処理回路41は、図4A図4Eを参照してより詳細に説明したように、解剖学的マップ60にわたる心臓興奮波の伝播の進行に追従するように仮想カメラ66を操作しながら、仮想カメラ66から見たときの解剖学的マップ60のそれぞれの部分にわたる心臓興奮波の伝播のそれぞれの部分を、ディスプレイ27にレンダリングする(ブロック114)ように構成されている。
【0075】
いくつかの実施形態では、仮想カメラ66は、解剖学的マップ60の内側に配置され、処理回路41は、解剖学的マップ60の内面にわたる心臓興奮波の伝播の進行に追従するように仮想カメラ66を操作しながら、解剖学的マップ60の内側にある仮想カメラ66から見たときの解剖学的マップ60のそれぞれの部分にわたる心臓興奮波の伝播のそれぞれの部分を、ディスプレイ27にレンダリングするように構成されている。
【0076】
いくつかの実施形態では、処理回路41は、解剖学的マップ60上のそれぞれの対応する位置におけるそれぞれの局所興奮時間に応答して、解剖学的マップ60にわたる心臓興奮波の伝播の進行に追従するように仮想カメラ66を操作するように構成されている。言い換えれば、ブロック102の工程において見つけられたLATは、解剖学的マップ60上の対応する位置を有する。波の伝播中に解剖学的マップ60上でLATが活性化される(例えば、網掛け又は色を用いて強調表示される)と、活性化されたLATに従って、仮想カメラ66が操作される。例えば、仮想カメラ66の視野70は、活性化されたLAT領域の中心、又は活性化されたLAT領域のリーディングエッジに追従するように操作される。
【0077】
いくつかの実施形態では、処理回路41は、局所興奮時間(LAT)ウィンドウ(例えば、所与の時間幅、例えば、20ms又は40msを有するウィンドウ)を定義する(ブロック116)ように構成されている。処理回路41は、心周期の1つの期間を通じて、上記期間における局所興奮時間のそれぞれの範囲にわたって、LATウィンドウを移動させる(ブロック118)ように構成されている。処理回路41は、図3及び図4A図4Fを参照して上述されるように、期間を通じて移動するLATウィンドウ内の局所興奮時間のそれぞれの範囲に応答して、解剖学的マップ60のそれぞれの部分にわたる心臓興奮波の伝播のそれぞれの部分を、ディスプレイ27にレンダリングし、期間を通じて移動するLATウィンドウに応答して、解剖学的マップ60にわたる心臓興奮波の伝播の進行に追従するように仮想カメラ66を操作するように構成されている。言い換えれば、LATウィンドウが移動すると、そのウィンドウ内のLAT(すなわち、LATの範囲)が変化し、処理回路41は、解剖学的マップ60の対応する部分(そのウィンドウ内のLATに対応する)及び心臓興奮波の伝播の対応する部分(そのウィンドウ内のLATに対応する)をレンダリングし、そのウィンドウ内のLATに応答して、伝播に追従するように仮想カメラ66を操作するように構成されている。
【0078】
いくつかの実施形態では、処理回路41は、図7図8及びブロック106~112の工程を参照して上述されるように、選択された最長経路又はユーザーが設計した経路など、見つけられた(任意に選択された)経路80に応答して、心臓興奮波の伝播の進行に追従するように仮想カメラ66を操作するように構成されている。例として、仮想カメラ66の視野70は、心臓興奮波の伝播が開始したときに、経路の80の始まりにおいて開始し、心臓興奮波の伝播が終了したときに、経路80の終わりにおいて終了することによって、経路80に沿って一定の速度で心臓興奮波の伝播に追従するように操作することができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、処理回路41は、見つけられた(任意に選択された)経路80、及び見つけられた経路80に沿った対応する位置のうちのそれぞれの位置におけるそれぞれの局所興奮時間に応答して、解剖学的マップ60にわたる心臓興奮波の伝播の進行に追従するように仮想カメラ66を操作するように構成されている。例えば、仮想カメラ66の視野70は、経路80に沿った活性化されたLAT領域の中心に、又は経路80に沿った活性化されたLAT領域のリーディングエッジに追従するように操作することができる。別の例として、仮想カメラ66の視野70を、経路80に沿ったLAT値及びLATウィンドウに現在含まれているLAT値に基づき得る波の速度に基づいて、経路80に沿った心臓波の伝播に追従するように操作してもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、処理回路41は、見つけられた経路80に沿った心臓興奮波の大きさ(例えば、伝播方向に対して垂直な及び/又は伝播方向に対して平行な波の幅)に従って、仮想カメラ66の視野70を調節するように構成されている(ブロック120)。
【0081】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は数値の範囲に対する「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書において説明されるその意図された目的に沿って機能することを可能にする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば「約90%」は、72%~108%の値の範囲を指し得る。
【0082】
本発明の様々な特徴が、明確性のために別個の実施形態の文脈において記載されているが、これらも単一の実施形態に組み合わされて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の様々な特徴が、別々に又は任意の好適な部分的組み合わせで提供されてもよい。
【0083】
上述の実施形態は、例として引用されており、本発明は、上記の明細書に具体的に図示及び記載されたものに限定されない。むしろ本発明の範囲は、上記の明細書で説明される様々な特徴の組み合わせ及びその部分的組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、従来技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。
【0084】
〔実施の態様〕
(1) 医療システムであって、
心臓の腔に挿入されるように構成され、かつ前記腔の組織の電気活動を経時的に捕捉するように構成された電極を含む、カテーテルと、
ディスプレイと、
処理回路であって、
前記捕捉された電気活動に応答して、心臓興奮波の伝播を心周期の開始時間から前記心周期の終了時間までの前記心臓の前記腔の解剖学的マップにわたり計算し、
前記解剖学的マップにわたる前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作しながら、前記仮想カメラから見たときの前記解剖学的マップのそれぞれの部分にわたる前記心臓興奮波の前記伝播のそれぞれの部分を、前記ディスプレイにレンダリングする、
ように構成されている処理回路と、
を含む、医療システム。
(2) 前記仮想カメラは、前記解剖学的マップの内側に配置され、前記処理回路は、前記解剖学的マップの前記内側にわたる前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように前記仮想カメラを操作しながら、前記解剖学的マップの前記内側にある前記仮想カメラから見たときの前記解剖学的マップの前記それぞれの部分にわたる前記心臓興奮波の前記伝播の前記それぞれの部分を、前記ディスプレイにレンダリングするように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記処理回路が、
前記捕捉された電気活動に応答して、前記解剖学的マップ上の対応する位置における局所興奮時間を見つけ、
前記対応する位置のうちのそれぞれの位置における前記局所興奮時間のうちのそれぞれの局所興奮時間に応答して、前記解剖学的マップにわたる前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように前記仮想カメラを操作しながら、前記仮想カメラから見たときの前記解剖学的マップの前記それぞれの部分にわたる前記心臓興奮波の前記伝播の前記それぞれの部分を、前記ディスプレイにレンダリングする
ように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記処理回路は、
局所興奮時間(LAT)ウィンドウを定義し、
前記心周期の1つの期間を通じて、前記期間における前記局所興奮時間のそれぞれの範囲にわたって、前記LATウィンドウを移動させ、
前記期間を通じて移動する前記LATウィンドウ内の前記局所興奮時間の前記それぞれの範囲に応答して、前記解剖学的マップの前記それぞれの部分にわたる前記心臓興奮波の前記伝播の前記それぞれの部分を、前記ディスプレイにレンダリングする
ように構成されている、実施態様3に記載のシステム。
(5) 前記処理回路は、前記LATウィンドウが前記期間を通じて移動することに応答して、前記解剖学的マップにわたる前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように前記仮想カメラを操作するように構成されている、実施態様4に記載のシステム。
【0085】
(6) 前記処理回路は、前記仮想カメラが追従する経路を見つけ、前記見つけられた経路に応答して、前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように前記仮想カメラを操作するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記処理回路は、
前記捕捉された電気活動に応答して、前記解剖学的マップ上の対応する位置における局所興奮時間を見つけ、
前記見つけられた経路、及び前記見つけられた経路に沿った前記対応する位置のうちのそれぞれの位置における前記局所興奮時間のうちのそれぞれの局所興奮時間に応答して、前記解剖学的マップにわたる前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように前記仮想カメラを操作しながら、前記仮想カメラから見たときの前記解剖学的マップの前記それぞれの部分にわたる前記心臓興奮波の前記伝播の前記それぞれの部分を、前記ディスプレイにレンダリングする
ように構成されている、実施態様6に記載のシステム。
(8) 前記処理回路は、前記見つけられた経路に沿った前記心臓興奮波の大きさに従って、前記仮想カメラの視野を調節するように構成されている、実施態様6に記載のシステム。
(9) 前記処理回路は、前記経路を設計するユーザー入力を受信するように構成されている、実施態様6に記載のシステム。
(10) 前記処理回路は、前記仮想カメラが追従する複数の経路を見つけるように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0086】
(11) 前記処理回路は、前記経路のうちの最長経路を選択し、前記経路のうちの前記最長経路に応答して、前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように前記仮想カメラを操作するように構成されている、実施態様10に記載のシステム。
(12) 前記処理回路は、前記仮想カメラが追従する前記経路のうちの1つを選択するユーザー入力を受信するように構成されている、実施態様10に記載のシステム。
(13) 医療方法であって、
心臓の腔の組織の電気活動が、前記腔に挿入されたカテーテルの電極によって経時的に捕捉されることに応答して、心周期の開始時間から前記心周期の終了時間までの前記心臓の前記腔の解剖学的マップにわたる心臓興奮波の伝播を計算することと、
前記解剖学的マップにわたる前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作しながら、前記仮想カメラから見たときの前記解剖学的マップのそれぞれの部分にわたる前記心臓興奮波の前記伝播のそれぞれの部分を、ディスプレイにレンダリングすることと、
を含む、医療方法。
(14) 前記仮想カメラは、前記解剖学的マップの内側に配置され、
前記レンダリングすることは、前記解剖学的マップの前記内側にわたる前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように前記仮想カメラを操作しながら、前記解剖学的マップの前記内側にある前記仮想カメラから見たときの前記解剖学的マップの前記それぞれの部分にわたる前記心臓興奮波の前記伝播の前記それぞれの部分を、前記ディスプレイにレンダリングすることを含む、
実施態様13に記載の方法。
(15) 前記捕捉された電気活動に応答して、前記解剖学的マップ上の対応する位置における局所興奮時間を見つけることを更に含み、
前記レンダリングすることは、前記対応する位置のうちのそれぞれの位置における前記局所興奮時間のうちのそれぞれの局所興奮時間に応答して、前記解剖学的マップにわたる前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作しながら、前記仮想カメラから見たときの前記解剖学的マップの前記それぞれの部分にわたる前記心臓興奮波の前記伝播の前記それぞれの部分を、前記ディスプレイにレンダリングすることを含む、
実施態様13に記載の方法。
【0087】
(16) 局所興奮時間(LAT)ウィンドウを定義することと、
前記心周期の1つの期間を通じて、前記期間における前記局所興奮時間のそれぞれの範囲にわたって、前記LATウィンドウを移動させることと、を更に含み、前記レンダリングすることは、前記期間を通じて移動する前記LATウィンドウ内の前記局所興奮時間の前記それぞれの範囲に応答して、前記解剖学的マップの前記それぞれの部分にわたる前記心臓興奮波の前記伝播の前記それぞれの部分を、前記ディスプレイにレンダリングすることを含む、
実施態様15に記載の方法。
(17) 前記操作することは、前記LATウィンドウが前記期間を通じて移動することに応答して、前記解剖学的マップにわたる前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように前記仮想カメラを操作することを含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記仮想カメラが追従する経路を見つけることを更に含み、前記操作することは、前記見つけられた経路に応答して前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように前記仮想カメラを操作することを含む、実施態様13に記載の方法。
(19) 前記見つけることは、前記捕捉された電気活動に応答して、前記解剖学的マップ上の対応する位置における局所興奮時間を見つけることを含み、
前記レンダリングすることは、前記見つけられた経路、及び前記見つけられた経路に沿った前記対応する位置のうちのそれぞれの位置における前記局所興奮時間のうちのそれぞれの局所興奮時間に応答して、前記解剖学的マップにわたる前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように前記仮想カメラを操作しながら、前記仮想カメラから見たときの前記解剖学的マップの前記それぞれの部分にわたる前記心臓興奮波の前記伝播の前記それぞれの部分を、前記ディスプレイにレンダリングすることを含む、
実施態様18に記載の方法。
(20) 前記見つけられた経路に沿った前記心臓興奮波の大きさに従って、前記仮想カメラの視野を調節することを更に含む、実施態様18に記載の方法。
【0088】
(21) 前記経路を設計するユーザー入力を受信することを更に含む、実施態様18に記載の方法。
(22) 前記仮想カメラが追従する複数の経路を見つけることを更に含む、実施態様13に記載の方法。
(23) 前記経路のうちの最長経路を選択することを更に含み、前記操作することは、前記経路のうちの前記最長経路に応答して、前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように前記仮想カメラを操作することを含む、実施態様22に記載の方法。
(24) 前記仮想カメラが追従する前記経路のうちの1つを選択するユーザー入力を受信することを更に含む、実施態様22に記載の方法。
(25) プログラム命令が格納される非一時的なコンピュータ可読媒体を含むソフトウェア製品であって、前記命令が、中央処理装置(CPU)によって読み取られると、前記CPUに、
心臓の腔の組織の電気活動が、前記腔に挿入されたカテーテルの電極によって経時的に捕捉されることに応答して、心周期の開始時間から前記心周期の終了時間までの前記心臓の前記腔の解剖学的マップにわたる心臓興奮波の伝播を計算させ、
前記解剖学的マップにわたる前記心臓興奮波の前記伝播の進行に追従するように仮想カメラを操作しながら、前記仮想カメラから見たときの前記解剖学的マップのそれぞれの部分にわたる前記心臓興奮波の前記伝播のそれぞれの部分を、ディスプレイにレンダリングさせる、
ソフトウェア製品。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】