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特開2022-189804距離をおいた対象物のコンポーネントの方へ車両を移動させる方法(座標変換)
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189804
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】距離をおいた対象物のコンポーネントの方へ車両を移動させる方法(座標変換)
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/10 20060101AFI20221215BHJP
   B62D 53/06 20060101ALI20221215BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20221215BHJP
【FI】
B60W30/10
B62D53/06 Z
G05D1/02 W
G05D1/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022094048
(22)【出願日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】10 2021 002 956.9
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】508323757
【氏名又は名称】ヨスト-ベルケ・ドイチェラント・ゲーエムベーハー
【住所又は居所原語表記】Siemensstrasse 2, 63263 Neu-Isenburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ミュラー
【テーマコード(参考)】
3D241
5H301
【Fターム(参考)】
3D241BA11
3D241BA15
3D241BA32
3D241BB04
3D241BC01
3D241BC02
3D241CA15
3D241CE04
3D241DB01Z
3D241DC25Z
3D241DC33Z
5H301AA03
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301GG09
5H301GG16
5H301HH01
5H301HH02
5H301QQ06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】距離をおいた対象物のコンポーネントの方へ車両を移動させる方法を提供する。
【解決手段】車両(10)がカメラ(12)と評価電子機器とを含むナビゲーションモジュール(11)を有し、対象物(20)に対する車両の遠距離領域においてカメラによって識別要素が認識され、かつ評価電子機器によってカメラの視点ポジションから識別要素へ車両の後退線(40、40ii、40iii、40a)が計算されるように、対象物(20)の予め定められたポジションに識別要素が取り付けられている。上記課題は、車両のスタートポジション(S)において、ナビゲーションモジュールによって静的対象物座標系(K)が生成され、スタートポジションから事前位置決め点(SVi、SVii、SViii)への後退線が計算されることによって解決される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離をおいた対象物(20)のコンポーネント(21)の方へ車両(10)を移動させる方法であって、前記車両(10)がカメラ(12)と評価電子機器(13)とを含むナビゲーションモジュール(11)を有し、前記対象物(20)に対する前記車両(10)の遠距離領域(Dmax)において前記カメラ(12)によって識別要素(30)が認識され、かつ前記評価電子機器(13)によって前記カメラ(12)の視点ポジションから前記識別要素(30)へ前記車両(10)の後退線(40、40ii、40iii、40a)が計算されるように、前記対象物(20)の予め定められたポジションに前記識別要素が取り付けられている方法において、
前記車両(10)のスタートポジション(S)において、前記ナビゲーションモジュール(11)によって静的対象物座標系(K)が生成され、前記スタートポジション(S)から事前位置決め点(SVi、SVii、SViii)への後退線(40、40ii、40iii、40a)が計算されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記車両(10)が、前記スタートポジション(S)から後方へ前記対象物(20)に近づけられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スタートポジション(S)から、動的車両座標系(K)から静的対象物座標系(K)に変更されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
近距離領域半径(Rmin)によって前記対象物(20)の方向に画定された近距離領域(Dmin)が定義され、仮想事前位置決め点(SVi、SVii、SViii)が前記近距離領域半径(Rmin)上に設定されることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記事前位置決め点(SVi、SVii、SViii)から前記対象物(20)の前記コンポーネント(21)の方向の目標経路(43、43ii、43iii)が計算されることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
常に複数の後退線(40、40ii、40iii)がそれぞれ異なる数学関数を用いて計算され、選択された後退線(40a)が前記車両(10)によって追従されることを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記近距離領域半径(Rmin)上で、複数の前記後退線(40、40ii、40iii)の各々についてそれぞれ1つの事前位置決め点(SVi、SVii、SViii)が計算されることを特徴とする、請求項4を引用する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
各事前位置決め点(SVi、SVii、SViii)から、前記対象物(20)の前記コンポーネント(21)の方向の関連する目標経路(43、43ii、43iii)が常に計算されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
複数の前記後退線(40、40ii、40iii)から、前記目標経路(43、43ii、43iii)と前記対象物(XKO)の縦軸との間の角度(φ、φii、φiii)が可能な限り小さいものが、選択された後退線(40a)として決定されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
1つ又は複数の前記後退線(40、40ii、40iii、40a)は、許容回廊(41)を有し、前記許容回廊(41)内で前記車両(10)の実際の走行路(42)が修正されることを特徴とする、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記許容回廊(41)から離れた場合、新スタートポジション(S)から新後退線(40、40ii、40iii)が計算されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記識別要素(30)は、前記遠距離領域(Dmax)において読み取られ、かつ検証されることを特徴とする、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記対象物(20)は、前記遠距離領域(Dmax)において、前記識別要素(30)に格納された情報を用いて識別されることを特徴とする、請求項1~請求項12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記遠距離領域(Dmax)と前記近距離領域(Dmin)との間に接近領域(Dmed)が設けられ、前記接近領域(Dmed)は、前記遠距離領域(Dmax)に対して接近領域半径(Rmed)により、かつ前記近距離領域(Dmin)に対して前記近距離領域半径(Rmin)により区切られ、前記遠距離領域(Dmax)及び/又は前記接近領域(Dmed)における前記後退線(40、40ii、40iii、40a)が数学関数によって計算されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項15】
前記近距離領域(Dmin)には、目標領域半径(Rmic)から分離されて、前記対象物(20)の方向に目標領域(Dmic)が続き、前記目標領域半径(Rmic)上に、前記車両(10)のエアサスペンション(14)が上昇する持ち上げ点(S)が設定されていることを特徴とする、請求項4又は請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載される特徴による、距離をおいた対象物のコンポーネントの方へ車両を移動させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような方法は、静止する対象物への車両の接近を容易にするため、又はそれどころか自律的に、すなわち運転者の関与なしにそれを実行できるようにするために用いられる。
【0003】
独国特許出願公開第102017119968号明細書は、トレーラの前面で検出可能な少なくとも1つの予め固定設定された点を含むパターンを開示する。トレーラ前部に位置する2次元座標系は、予め固定設定された点と、場合によっては、この予め固定設定された点に対して所定の距離をおいて配置されている他の点を用いて作成され、特にカメラシステムとして形成された検出ユニットによって検出される。このように形成された被牽引車両の主な欠点は、連結手段の発見性(Auffindbarkeit)であり、トレーラ前部に対する車両前後方向でのキングピンの距離が連結する間、不明であり、特に車両が斜めに近づく場合に誤った連結が起きる可能性がある。
【0004】
車両、及び車両によって収容されるべき作業器具を示す独国特許出願公開第102014217746号明細書は別の先行技術を記載する。チェス盤パターンを有する折り畳み可能な標識が作業器具に設けられ、これが少なくとも1つのカメラによって認識される。チェス盤パターンの歪みから、接近角度(Anfahrwinkel)の計算が行われるが、作業器具に設けられた連結手段の正確な高さは不明である。さらに、知覚エンジン(Wahrnehmungsmaschine)によってカメラ(単数又は複数)の画像全体ではなく、関心領域のみが処理され、それによりカメラ画像のごく一部しか利用されない。このことは、運転者の相応の関与を必要とする車両のかなり厳密な事前位置決めを前提とする。
【0005】
独国実用新案第202019104576号明細書には、連結過程のために2台の車両を位置決めする装置が記載される。車両うちの1つには、標識に相対する関連する連結手段に関するポジションデータも含むQRコード(登録商標)が設けられた標識が取り付けられている。標識は、もう1つの車両に配置されたカメラによって認識され読み取られる。もう1つの車両は、最終的に、計算された経路をもとにして当初ポジションから連結ポジションへ移動される。しかし公知の(kannte)装置は、特にセミトレーラの場合、標識をトレーラ前部に取り付けることになり、連結する間、カメラが標識によって通過され、それにより標識をナビゲーションのために利用できなくなるため、商用車の装備には適していないことが明らかになった。
【0006】
独国特許出願公開第102016209418号明細書は、牽引車両と被牽引車両とからなる連結車を作動させる方法及びシステムを説明し、牽引車両に対する被牽引車両の相対位置が、連結前と連結状態の両方で改善される。このために、被牽引車両は、牽引車両側の読取り装置によって読取り可能な少なくとも1つの情報担体を有する。情報担体の位置を測定することにより、情報担体の相対位置にも相当する牽引車両に対する被牽引車両の相対位置が検知される。
【0007】
独国特許出願公開第102012003992号明細書には、車両の後部に配置されたカメラと、静止する対象物に取り付けられたポジション決定マーキングと、電子画像処理装置とを備える自動車の目的地案内システムが記載される。マーキングのジオメトリに関する情報が画像処理装置に記憶され、カメラによって提供される画像と比較される。この比較から、静止対象物に対する車両の位置情報が検知される。
【0008】
独国特許出願公開第102004029130号明細書は、自動車に被牽引車両を連結する方法を扱う。被牽引車両への自動車の接近中に、被牽引車両の連結領域の格納されたモデルデータが使用され、これらが画像センサによって検出された画像データにおいてセグメント化され、すなわち画像において、モデルデータに対応する構造が発見される。格納された連結領域のモデルデータが画像データにおいて正しい位置に配置され、モデルデータと画像データとのこの重畳から被牽引車両に自動車を連結するための目標ゾーンが決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第102017119968号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102014217746号明細書
【特許文献3】独国実用新案第202019104576号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102016209418号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第102012003992号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第102004029130号明細書
【発明の概要】
【0010】
先行技術の欠点を出発点として、本発明は、静止する対象物への車両の改善された接近方法を発展させるという課題にもとづいている。
【0011】
上記課題は、本発明によれば、請求項1の特徴により解決される。車両は牽引車両であり、対象物は被牽引車両であり、コンポーネントは被牽引車両の連結手段であり得る。被牽引車両はトレーラであり、連結手段はキングピンであることが有利である。その場合、カメラと評価電子機器は、特に牽引車両に配置されている。識別要素が被牽引車両のフロント側、特にトレーラのフロント側に定置に装着されることが有利である。
【0012】
あるいは、車両は牽引車両と、これに連結される被牽引車両とを含むことができ、対象物はトラックヤードであり、コンポーネントはトラックヤードの上縁の中心ポジションであり得る。この変形形態では、カメラは特に、被牽引車両の、牽引車両から離反した側に配置されている。被牽引車両の、フロント側とは反対側に位置する側に位置合わせされた被牽引車両の後側に第2のカメラが取り付けられることが有利である。
【0013】
この方法は、対象物への車両の自律的又は半自律的接近を可能にする。自律的な接近とは、運転者又は他の人の介入なしの完全に自動化された車両の接近と解され、方法の開始も自動的に実行することができる。半自律的接近の場合、運転者は少なくとも方法を開始することができ、場合によっては個々のステップを引き起こすか、又は引き受けることができる。
【0014】
識別要素は、殊にカメラの視野内で対象物に取り付けられ、3次元の位置情報が設けられた標識である。標識が、対象物において、コンポーネントを中心として最大1.30mの組付け半径内に配置されることが合目的的である。これによって、被牽引車両のフロント側の比較的小さい面積にカメラの視野を絞ることが可能である。識別要素は、対象物の縦軸、対象物の横軸、及び場合によっては対象物の高さ軸における識別要素の距離に関する情報を含む。
【0015】
これに加えて、識別要素には、これがトレーラ前縁の真上に配置されていない限りで、識別要素に対する対象物の縦軸におけるトレーラ前縁のポジションに関する情報を格納することができる。
【0016】
3次元の位置情報にもとづいて、対象物への車両の接近中に、コンポーネント、特に例えばキングピンなどの連結手段の距離に関して正確に知ることができる。トレーラ前縁から、例えばキングピンが、トレーラタイプに応じて対象物の縦軸上の様々なポジションに位置し得る。したがって、タンク車又はサイロ車は、トレーラ前縁からキングピンまで、多くの場合600mm~700mmの距離を有するのに対して、一般的なトレーラでは、キングピンは、トレーラ前縁に対して約1700mmの距離をおいている。対象物の縦軸における識別要素に相対するキングピンポジションを知ることなしには、連結中に車両の速度が高くなりすぎる恐れがあり、それによってキングピン、さらに牽引車両連結器に著しい損傷が生じる可能性がある。
【0017】
さらに、キングピンの空間ポジションを知ることなしには、連結中に牽引車両連結器が牽引車両の下に移動しすぎ、エアサスペンションによる牽引車両後部の持ち上げが遅れた場合に、牽引車両連結器が車両高さ軸でキングピンに押し付けられて損傷する危険がある。牽引車両連結器の持ち上げが早すぎるという逆のケースも同様に問題である。なぜなら、牽引車両後部の持ち上げ中に牽引車両連結器が部分的にしかトレーラ前縁の下へ移動せず、それによって特に連結プレートが設計上、予定されていない曲げ応力を受ける。さらに、連結器がトレーラ前縁の下に部分的にしか移動しない場合、特に大きいレバーアームが牽引車両連結器と、さらにトレーラに作用し、これは牽引車両連結器が持ち上げられた場合、及び積載状態において、同様に高い曲げ応力を受ける。
【0018】
基本的に、被牽引車両を持ち上げるために車両のエアサスペンションが持ち上げられる、例えば持ち上げ点、又は連結手段が引き込まれた後に、牽引車両連結器が閉じられる車両の目標ポジションなど、対象物の近くにある点を事前位置決め点と解することができる。しかし、事前位置決め点が対象物の前にあり、牽引車両が対象物にさらに接近した場合にカメラがその視野から識別要素を見失う仮想点であるという方法が全く特に好ましい。被牽引車両、特にトレーラの形態の対象物の場合、カメラは、有利には後部領域、又は周辺に、若しくは牽引車両連結器のコンポーネントに組み付けられ、それにより牽引車両が接近し続けた場合にカメラがトレーラの下に移動し、被牽引車両のフロント側に取り付けられた識別要素は認識できなくなる。
【0019】
スタートポジションは、対象物が検出され、ナビゲーションモジュールにおいて静的対象物座標系が構築されるポジションである。基本的に、車両は対象物座標系に配置される。この手順の主な利点は、静的対象物座標系では後退線が一回しか計算されず、それによって、後退線が反復ステップで連続的に再計算される動的車両座標系の場合よりも要求される計算能力が格段に少なくなるということである。
【0020】
車両をスタートポジションから対象物へ後方に接近させることが合目的である。この場合、車両は、スタートポジションで前進から後退に変わる。
【0021】
スタートポジションから、動的車両座標系から静的対象物座標系に変更される場合も有意義であり得る。したがって、動的車両座標系から静的対象物座標系への変更が行われ、この場合、車両の実際ポジションと目標ポジションとの間で反復計算は行われない。それにより、さらなる接近のための観察が車両から対象物へ移る。動的車両座標系は、最新の車両に搭載され、大抵の場合、互いに垂直に立つ3つの軸と、高さ軸を中心とした車両の回転の向きを測定するヨーレートセンサとを備えている。
【0022】
対象物の方向に近距離領域半径によって画定される近距離領域が定義されることが有利であり、仮想事前位置決め点が近距離領域半径上に設定される。近距離領域半径は、対象物のコンポーネントに相当するとともに、例えばトレーラのキングピンの中心軸から形成され得る目標ポジションに原点を有する。近距離領域半径の開き角は、カメラの視野によって画定される。斜めの接近と、その結果生じる可能性のある被牽引車両の斜めの連結は限度内で構成可能であり、対象物の縦軸から+/-25°、好ましくは+/-15°の角度を超えてはならない近距離領域半径は、対象物のコンポーネント、特にキングピンから約3.00m~4.00m、好ましくは3.50mである。
【0023】
殊に、仮想事前位置決め点から、対象物のコンポーネントの方向の目標経路が計算される。目標経路は、例えば、事前位置決め点に設定されたステアリング操作又はステアリング角を変更することなしに車両によって走行される軌道曲線である。目標経路が、直線的に延びる目標直線から形成される方法の実施形態が極めて特に好ましい。したがって、牽引車両は、後退線の終わりに事前位置決め点から正確に直進して後退する。これによって、監視、及び目標ポジションと実際ポジションとの比較を用いる複雑な規制(Regelung)から、操縦運動を行うことなしに車両をコンポーネントの方向に後退させる比較的簡単な操縦(Steuerung)への移行が達成される。後退方向の走行は、有利には、車両のステアリングシステムによるステアリング角の照会によって照会及び調整することができる。
【0024】
常に複数の後退線が、それぞれ異なる数学関数を用いて計算され、そこから選択された後退線が車両によって追従されることが有意義である。その場合、複数の後退線を、それらが計算された後に、軌跡線の曲線族として評価電子機器に格納することができる。その場合、車両は、理想的な後退線を選択し、これを走行する。その結果、評価電子機器において、必要な計算能力が反復モデルの場合よりも低減されるという利点が生じる。反復モデルの場合、車両が接近し続けるにつれて、常に新しい後退線が順次計算される。
【0025】
近距離領域半径上で、複数の後退線の各々についてそれぞれ1つの事前位置決め点が計算される。複数の後退線の事前位置決め点はすべて、共通の近距離領域半径上に並べて、かつ対象物の縦軸から様々な離隔距離をおいて配置されている。
【0026】
特に有利な一実施形態では、各事前位置決め点から、対象物のコンポーネントの方向に関連する目標経路が常に計算され得る。その場合、近距離領域半径上で対象物の縦軸からさらに離れたところにある事前位置決め点の目標経路は、近距離領域半径上で対象物の縦軸にあるか、又はその隣にある位置決め点の目標経路よりも大きい角度を有する。
【0027】
複数の後退線から、目標経路と対象物の縦軸との間の角度が可能な限り小さいものが選択された後退線として決定されることが有利である。角度が小さいことにより、牽引車両は、対象物の縦軸において可能な限り正確に接近及び連結される。
【0028】
後退線の各々は、許容回廊(Toleranzkorridor)を有することができ、この許容回廊内で車両の実際の走行路が修正される。例えば上り坂、路面凍結、又は不安定な地面などの特殊な事象によって、車両が許容回廊から離れた場合、ここで、後退の中止、及び新スタートポジションからの新たな状況評価が行われる。
【0029】
許容回廊から離れた場合、新スタートポジションから新後退線が計算されることが有利である。
【0030】
遠距離領域において識別要素が読み取られ、かつ検証されることが有利である。車両の遠距離領域は、実施される方法の範囲内で、対象物に対して空間的に最も遠い領域である。まず、遠距離領域において、識別要素が見つけ出される必要がある。このために、カメラが準備され、その分解能と露光時間に関して調整される。識別要素は、アルゴリズムにもとづいて発見され、その後、まず特定のタイプのトレーラ又はトラックヤードの識別要素が探される。
【0031】
殊に、その場合、遠距離領域において、識別要素に格納された情報を用いて対象物が識別される。このことは、識別番号が識別要素から読み取られることにより行うことができる。識別番号、又は識別番号を補う対象物のタイプIDから、その対象物のタイプ、例えば被牽引車両又はトラックヤードが判明する。とりわけ、タイプIDと一緒に、被牽引車両の幾何学的寸法もリンクさせることができ、車両が接近した場合に考慮されるべき干渉輪郭を有する特殊な設計のケースもこれらの寸法に属する。
【0032】
遠距離領域内で、殊に対象物に車両を接近させる方法が開始され、これを運転者の要求によって半自律的に、例えばディスプレイ上で行うことができる。自律的方法の場合、スタートは、予め与えられたプログラミング、又は外部から、おそらくオペレーションスタンドから伝送される信号によって開始される。
【0033】
遠距離領域と近距離領域との間に接近領域が設けられ、接近領域は、遠距離領域に対して接近領域半径により、かつ近距離領域に対して近距離領域半径により区切られ、遠距離領域及び/又は接近領域における後退線が数学関数によって計算される場合が特に合目的的であると判明した。遠距離領域及び/又は接近領域において、少なくとも1つの理想後退線が生成される。数学関数は、特に円関数又は指数関数と解される。後退線の生成は、典型的にはナビゲーションモジュールの評価電子機器で行われる。ナビゲーションモジュールは、遠距離領域及び/又は接近領域内で識別要素の読み取りによって、対象物のコンポーネントに相対する車両の3次元の現在位置を検知する。
【0034】
別の有利な方法ステップでは、近距離領域には、目標領域半径から分離されて前記対象物の方向に目標領域が続き、目標領域半径上に、車両のエアサスペンションが上昇する持ち上げ点が設定されている。持ち上げ点は、トレーラ前縁と被牽引車両の連結手段との間に配置される。これによって、まず、被牽引車両に配置された支持ジャッキの荷重が解除される。さらに、持ち上げ点から、トレーラのトレーラプレートが連結プレートの上面に載り、それにより、この接触にもとづいて、牽引車両連結器と、トレーラのキングピンとが強制的にその企図された高さ位置に互いに位置合わせされ、車両高さ軸における誤調整による誤った連結の恐れが低減される。
【0035】
目標領域において、カメラによって、被牽引車両の連結手段、特にキングピン、及び/又は対象物に配置された代替的特徴が認識される。
【0036】
牽引車両連結器を閉じることによって目標領域が終了されることが有意義である。持ち上げ点から目標領域に達するまで、牽引車両連結器はトレーラの下を滑るように摺動して通り過ぎる。牽引車両連結器が閉じた後に、キングピンは、牽引車両連結器に回転可能に保持され、それにより牽引車両と被牽引車両とが機械的に互いに接続される。
【0037】
本発明を、より良く理解するために、本発明を8つの図をもとにして詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】牽引車両と、連結前のトレーラの形態の対象物の斜視図である。
図2】マーカ付きの標識の形態の識別要素の平面図である。
図3】トラックヤードの形態の対象物の斜視図である。
図4】トラックヤードに接近するときの、牽引車両と、それに連結されたトレーラとを含む車両の側面図を示す。
図5】牽引車両連結器に取り付けられたナビゲーションモジュールを備えた牽引車両の斜視図である。
図6】トレーラへの3つの後退線を含む牽引車両の平面図である。
図7】トレーラに向けて様々な領域を通過する後退線を含む牽引車両の平面図である。
図8】本発明による方法ステップのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、被牽引車両22を収容、及び機械的に互いに連結するために、牽引車両15に対して距離をおいた被牽引車両22の形態の対象物20のコンポーネント21に後方へ近づけられる牽引車両15の形態の車両10の斜視図を示す。
【0040】
連結状態において、牽引車両15と被牽引車両22はトレーラトラックを形成する。牽引車両15は、被牽引車両22との着脱可能な接続のために牽引車両連結器16を有し、この牽引車両連結器16に被牽引車両22の連結手段23が引き込み可能及びロック可能である。牽引車両連結器16は、図5に特に良く見て取れ、連結プレート17を備え、この連結プレートは、側方からこれに作用を及ぼす2つの軸受ブロック18を用いて牽引車両15に取り付けられている。軸受ブロック18は、組付けプレート19上に置かれ、組付けプレート19もまた、詳しく示されない車両フレームの2つの横材に載り、かつこれらと恒久的に接続されている。
【0041】
被牽引車両22の連結手段23は、通常、下向きに突出するキングピンであり、これは対象物20のコンポーネント21をなし、図1にはより良く認識できるように拡大して示されている。円滑で損傷のない連結のために、牽引車両15を、静止する被牽引車両22に可能な限り正確に後方へ接近させる必要がある。
【0042】
被牽引車両22への牽引車両15の自律的又は半自律的な接近のために、牽引車両15は、少なくとも1つのカメラ12と評価電子機器13とを含むナビゲーションモジュール11を有する。ナビゲーションモジュール11を牽引車両連結器16のコンポーネント、特に連結プレート17、軸受ブロック18の1つ及び/又は組付けプレート19に装着することが好ましい。
【0043】
車両10は、少なくとも車両10の縦軸XKFと横軸YKFから形成される動的車両座標系Kを常時生成する。さらに、車両10のナビゲーションモジュール11において、対象物20、例えば被牽引車両22の特に縦軸XKO、横軸YKO、及び高さ軸ZKOから形成することができる対象物座標系Kが生成される。これに加えて、特に的確な連結過程のために、対象物20、例えば被牽引車両22のヨー角Φを知ることが目的にかなっている。
【0044】
いずれの場合も、カメラ12の検出可能な視野は、車両10の縦軸XKFにおいて後ろに、対象物20の方向に向けられる。
【0045】
対象物20には、標識30の形態の識別要素が定置に装着され、図1において、この標識30は被牽引車両22のフロント側24に設けられている。標識30を、被牽引車両22の縦軸XKOにおいて中心に位置合わせすることができるが、そうでなくてもよい。しかし、標識30を、被牽引車両22の縦軸XKOを中心とした組付け半径Rにおいて、被牽引車両22の1/2幅T図7を参照)に対応するように装着し、これがカメラ12によって的確に見つけ出されて読み取られるようにすることが好ましい。
【0046】
標識30は、例示的に図2に見て取れる複数のマーカ31を有する。各マーカ31は、標識30の表面にコントラストに富む暗色で塗りつぶした正方形のフィールドとして形成されている。マーカ31は、牽引車両15において、図6に図示されるように、カメラ12と標識30との相対的な視点位置の変更をもとにして少なくとも1つの後退線40、40ii、40iiiを評価電子機器13で計算できるようにするために用いられる。車両10の接近中にカメラ12が標識30の側方へ移動すればするほど、マーカ31の歪みが大きくなる。マーカ31の歪みから、標識30に相対する車両10のポジションが計算される。標識30は、常にカメラ12の視野全体において探される。
【0047】
後退線40、40ii、40iiiの的確な計算のために、特に、閉じた囲いをなす外側マーカ32の角隅が用いられる。時々ある自立型の標識30の裏面にはマーカ31、特に内側マーカ33がないため、付加的な内側マーカ33は、車両10が対象物20に前側から接近するのか、後側からなのかをナビゲーションモジュール11が認識することを可能にする。内側マーカ33は、その大きさの程度の分だけ外側マーカ32の外輪郭に対して内側にずらして配置されている。個々の内側マーカ33は、内側マーカ33と同じ大きさを有するフリースペース34に隣接している。すべてのマーカ31は、基本的に単一の標識30に設けられている。
【0048】
マーカ31、特に内側マーカ33において、さらに、標識30に相対するコンポーネント21、図1の実施例ではキングピン23の3次元の位置情報が格納されている。3次元の位置情報とは、対象物20の縦軸XKO、横軸YKO、及び高さ軸ZKOにおけるコンポーネント21、例えばキングピン23に対する標識30の距離と解される。
【0049】
ナビゲーションモジュール11は、3次元の位置情報を読み取り、オフセットに対応して標識30の組付けポジションの座標系を計算により修正し、それによって標識30の代わりに対象物20のコンポーネント21に車両10が当たる。その場合、標識30が、それに格納されたコンポーネント21に関する3次元の位置情報により対象物20において常に定置に取り付けられ、それ自体の位置を変えないことが不可欠である。
【0050】
マーカ31、特に内側マーカ33は、同様にナビゲーションモジュール11によって読み取られる対象物20のアイデンティティに関する情報をさらに含む。例えば、車両10は、連結されるべき被牽引車両22がどのタイプの被牽引車両22であるのかという情報をこのようにして受け取る。被牽引車両22のタイプとは、例えば、それが冷蔵トレーラであるのか、サイロトレーラであるのか、又はタンクトレーラであるのかということと解される。このような被牽引車両22は、多くの場合、車両10が接近する場合に考慮されるべき干渉輪郭を有する。マーカ31に含まれる情報は、とりわけ、後退線40、40ii、40iii図6図7を参照)を計算する際に事故のない接近を可能するために考慮される対象物20の性質に関する幾何学的又は技術的データに該当する。
【0051】
標識30は、マーカ31に加えて、特にQRコードが設けられたコーディングフィールド35をさらに有する。さらに、標識30、合目的的にはコーディングフィールド35に、あるいはこれに代えてマーカ31、特に内側マーカ33において、カメラ12によって読み取られる被牽引車両22の識別番号が実装されることが企図され得る。識別番号により、対象物20若しくは被牽引車両22に関する論理情報を標識30とリンクさせ、それにより牽引車両15が接近する場合に対象物20又は被牽引車両22が探されるものとして識別される。基本的に、コーディングフィールド35は、主に、論理的評価のために重要であり、ナビゲーション的評価にはそれほど重要でない情報を含む。
【0052】
マーカ31、特に内側マーカ33において、又はコーディングフィールド35に実装された被牽引車両22の識別番号を用いて、少なくとも連結プレート17がトレーラ22と接触するまで牽引車両15のエアサスペンション14(図5を参照)が持ち上げられる、牽引車両15の持ち上げ点Sを定義することもできる。
【0053】
図3は、対象物20がトラックヤード25であり、その中心ポジション上縁26が制御されるべきコンポーネント21である本発明の代替の実施例を示す。トラックヤード25の予め定められたポジションには、標識30に相対するトラックヤード25の中心ポジション上縁26の3次元の位置情報が格納された標識30が定置に取り付けられている。図4による、例えば牽引車両15とそれに連結されたトレーラ22とからなる車両10は、標識30の方向に移動し、トラックヤード25の中心ポジション上縁26の3次元の位置情報の分だけ修正し、制御されるべきこのコンポーネント21の中心に後方へ当たる。
【0054】
この実施例では、標識30に制限のない視野を保証するために、被牽引車両22の後側27にナビゲーションモジュール11のカメラ12又は、ナビゲーションモジュール11に接続された付加的なカメラ12aが配置されるべきである。
【0055】
図6において、駐車した被牽引車両22への牽引車両15の形態の車両10の接近が平面図で示される。牽引車両15は、スタートポジションにある。被牽引車両22の標識30は、牽引車両15に配置されたナビゲーションモジュール11のカメラ12によってすでに検出され、読み取られ、異なった数学関数にもとづいて全部で3つの後退線40、40ii、40iiiが算出された。
【0056】
明確にする理由から、選択された後退線40aとしてすでにナビゲーションモジュール11によって識別される3つの後退線40、40ii、40iiiのうちの中央の後退線40iiのみが許容回廊41を備えている。許容回廊41とは、1つ又は複数の後退線40、40ii、40iiiの周りの包絡線と解され、その範囲内では、選択された後退線40aから逸脱した場合に、最初に選択された後退線40aに戻るために、牽引車両15をまだ逆方向に制御することができる。ナビゲーションモジュール11において、牽引車両15の現在ポジションが許容回廊41の外にあることが確認された場合、逆方向に制御することはもはやできない。むしろ、現在ポジションが新スタートポジションSと解釈され、ナビゲーションモジュール11において、ここから後退線40、40ii、40iiiの新曲線族がもう一度計算される。新たに計算された後退線40、40ii、40iiiは、殊に、同様にそれぞれ許容回廊41を備える。
【0057】
すべての実施例において、ナビゲーションモジュール11によって計算された後退線40、40ii、40iii(単数又は複数)は、常に、被牽引車両22の前の関連する事前位置決め点SVi、SVii、SViiiで終わる。事前位置決め点SVi、SVii、SViiiのうちの1つに達すると、牽引車両15は、真っすぐにしか戻らない。したがって、後退線40、40ii、40iiiの連続計算は、事前位置決め点SVi、SVii、SViiiを通過した後は行われなくなる。事前位置決め点SVi、SVii、SViiiの各々は、近距離領域半径Rmin上にあり、対象物20に対するその距離は、カメラ12、12aの視野によって予め定められる。牽引車両連結器16の周辺に配置されたカメラ12は、標識30が取り付けられた被牽引車両22のフロント側24の下に牽引車両15が接近するにつれて移動し、それにより標識30は、事前位置決め点SVi、SVii、SViiiからカメラ12の視野内ではなくなる。事前位置決め点SVi、SVii、SViiiから、牽引車両15の選択された後退線40aに沿う規制された接近ではなくなり、目標直線43、43ii、43iiiによって形成された関連する目標経路のうちの1つの上を対象物20のコンポーネント21の直線方向に操縦される直進走行である。
【0058】
図6の図の平面上の左に延びる後退線40は、近距離領域半径Rmin上の関連する事前位置決め点SViで終わる。ここから連結手段23の方向に延びる目標直線43が被牽引車両22の縦軸XKOに対して角度φをなす。図の平面上の右に延びる後退線40iiiは、同様に近距離領域半径Rmin上の事前位置決め点SViiiで終わる。事前位置決め点SViiiから連結手段23の方向に延びる目標直線43iiiは、被牽引車両22の縦軸XKOに対して角度φiiiをなす。
【0059】
中央の後退線40iiは、被牽引車両22の前の中央にある近距離領域半径Rmin上の事前位置決め点SViiで終わる。目標直線43iiは、事前位置決め点SViiから連結手段23へ延び、理想的には被牽引車両22の縦軸XKOと一直線上に並ぶ。この場合、角度φiiは0°である。
【0060】
ナビゲーションモジュール11は、計算された後退線40、40ii、40iiiから、角度φ、φii、φiiiが最小値を有するものを選択された後退線40aとして識別する。
【0061】
典型的には、車両10は、4つの異なった領域を通って延びる、図7にグラフで示され、図8にフローチャートで説明される走行路42上を対象物20の方向に移動する。図示を簡略化するために、図7には複数の可能な後退線40、40ii、40iiiのうちの1つのみ、すなわち図6ですでに有利に識別された後退線40iiが示される。
【0062】
遠距離領域Dmaxにおいて、車両10、例えば牽引車両15は、先発して連結されるべきトレーラ22に接近する。トレーラ22は、予め定められた長さTと幅Tとを有する。
【0063】
遠距離領域Dmaxは、遠距離領域半径Rmaxによって半径方向で対象物20に対して外側に、かつ接近領域半径Rmedによって対象物20の方向に画定される。車両10は、遠距離領域半径Rmaxの外側では、静止対象物20への車両10の接近のための方法及びシステムとの関連性なしに通常の走行環境で移動する。遠距離領域半径Rmaxは、持ち上げ点Sから、12.00m~17.00m、好ましくは13.00m~16.00m、特に好ましくは14.00m~15.00mの長さを有し、対象物20の正進路方向(Rechtvorausrichtung)に100°~120°の角度を描く。
【0064】
遠距離領域Dmax内で、接近点システムスタートAに達することで対象物20の方へ車両10を移動させる方法がトリガされる。システムスタートのトリガは、運転者により手動で、オペレーションスタンドからの遠隔制御で、又は予め与えられたプログラミングによって行うことができる。
【0065】
車両10の前進がまだ続いている間に、車両10は接近点接続確立Aに達し、そこからカメラ12がオンに切り替えられ、対象物20における標識30が探される。接近点Aでの接続確立が成功裏に行われた場合、次に、接近点対象物情報Aにおいて対象物20、特に被牽引車両22の識別番号が読み取られる。その結果、ナビゲーションモジュール11が、被牽引車両22のタイプと、時にはその幾何学的寸法も識別する。走行路42上での車両10の前進は、スタートポジションSで終わる。車両10の速度は、遠距離領域Dmaxにおいて50km/h未満である。
【0066】
遠距離領域Dmaxにおいて特定されたスタートポジションSから、動的車両座標系Kから静的対象物座標系Kに変更され、図7において選択された後退線40aと呼ばれる少なくとも1つの後退線40、40ii、40iiiがナビゲーションモジュール11によって生成される。後退線40iiは、標識30に設けられたマーカ31に対するカメラ12の視点の向きにもとづいて計算され、対象物20のコンポーネント21の3次元の位置情報の分だけ修正され、位置情報は、同様に標識30のマーカ31においても格納されている。場合によっては、ナビゲーションモジュール11は、1つ又は複数の後退線40、40ii、40iiiのためにさらに1つの関連する許容回廊41iiを検知する。
【0067】
接近領域半径Rmedを通過した後、車両10は、接近領域Dmedに変更される。接近領域半径Rmedは、持ち上げ点Sから、6.00m~10.00m、好ましくは7.00m~9.00mの長さを有し、対象物20の正進路方向に130°~140°の角度を描く。接近領域Dmedの走行中、すでに生成された後退線40ii、40aを走行され、その場合、その場合、標識30から3次元の位置情報が読み取られ、カメラ12に対する標識30の相対位置が追跡される。接近領域Dmedでは車両10の速度が遠距離領域Dmaxよりも低減され、例えば最大20km/hであり得る。
【0068】
接近領域Dmedは、近距離領域半径Rminに達すると近距離領域Dminへ移る。近距離領域半径Rminは、コンポーネント21と一致する目標ポジションSから、3.00m~4.00m、好ましくは3.30m~3.70mの長さを有し、対象物20の正進路方向140°までの角度を描く。近距離領域Dminでは車両10の速度が接近領域Dmedよりもさらに低減され、例えば最大5km/hであり得る。
【0069】
近距離領域半径Rminに達すると、車両10は、対象物20のコンポーネント21の直前に配置されている事前位置決め点SViiにある。対象物20のフロント側24に装着された標識30は、牽引車両15の後部がすでにトレーラ22の下に移動し、その結果、対象物20に対する車両10の相対ポジションの検出のために必要でなくなるため、事前位置決め点SViiから、カメラ12の視野によって検出されなくなるしかし牽引車両15と被牽引車両22は、被牽引車両22の縦軸XKOにおいて互いに一直線に並ぶように位置合わせされ、それにより牽引車両15は、被牽引車両22の連結手段23に当たるために後退しさえすればよい。
【0070】
近距離領域Dminは、目標領域半径Rmicに達すると目標領域Dmicに移る。目標領域半径Rmicは、コンポーネント21と一致する目標ポジションSから、対象物20の1/2幅、この例では、被牽引車両22の1/2幅T相当する、例えば2.55mの長さを有し、対象物20の正進路方向に180°までの角度を描く。縦軸XKOにおいて、牽引車両15の後部がエアサスペンション14によって牽引車両連結器16とともに持ち上げられる持ち上げ点Sが目標領域半径Rmic上に位置する。持ち上げ点Sから、牽引車両連結器16は、キングピン23が牽引車両連結器16に引き込まれる目標ポジションSに達するまで被牽引車両22と滑り接触する。目標領域Dmicでは、車両10の速度が近距離領域Dminよりもさらに低減され、例えば最大で2.5km/hであり得る。
【符号の説明】
【0071】
10 車両
11 ナビゲーションモジュール
12 カメラ
12a 付加的カメラ 被牽引車両
13 評価電子機器
14 エアサスペンション
15 牽引車両
16 牽引車両連結器
17 連結プレート
18 軸受ブロック
19 組付けプレート
20 対象物
21 コンポーネント
22 被牽引車両、トレーラ
23 連結手段、キングピン
24 フロント側 被牽引車両
25 トラックヤード
26 中心ポジション 上縁 トラックヤード
27 後側 被牽引車両
30 識別要素/標識
31 マーカ
32 外側マーカ
33 内側マーカ
34 フリースペース
35 コーディングフィールド
40i-iii 後退線
40a 選択された後退線
41 許容回廊
42 走行路 車両
43i-iii 目標経路/1つ又は複数の目標直線
接近点 対象物情報
接近点 システムスタート
接近点接続確立
max 遠距離領域
med 接近領域
min 近距離領域
mic 目標領域
max 遠距離領域半径
med 接近領域半径
min 近距離領域半径
mic 目標領域半径
組付け半径 標識
S スタートポジション
Vi-Viii 事前位置決め点
持ち上げ点
目標ポジション
幅 被牽引車両/トレーラ
長さ 牽引車両/トレーラ
x 車両縦軸
y 車両横軸
z 車両高さ軸
車両-座標系
KF 縦軸 車両
KF 横軸 車両
対象物座標系
KO 縦軸 対象物
KO 横軸 対象物
KO 高さ軸 対象物
Φ ヨー角 対象物
φi-iii 角度 目標経路又は目標直線/縦軸 対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】