(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189812
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】V字型に配置された磁界センサを備える電流センサ
(51)【国際特許分類】
G01R 15/20 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
G01R15/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022094193
(22)【出願日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】10 2021 115 237.2
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518201739
【氏名又は名称】メソード・エレクトロニクス・マルタ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】METHODE ELECTRONICS MALTA LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100087815
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 昭二
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン・ブルグハート
(72)【発明者】
【氏名】イバイ・サリア
(72)【発明者】
【氏名】ユリウス・ベック
(72)【発明者】
【氏名】アレン・カール・ボニッチ
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AA05
2G025AB01
2G025AB10
2G025AC01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】異なる寸法の電流導体に装着可能な電流センサを提供する。
【解決手段】電流を導通させる通電導体と、2つの磁界センサ対に分割された4つの磁界センサとを備え、2つの磁界センサが、前記通電導体の一方の面にV字型に配置されており、2つの磁界センサが、前記通電導体の他方の面にV字型に配置されている。V字型に配置された前記磁界センサのうち、各側の磁界センサは、互いに平行に延びて、1つの磁界センサ対を形成している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流を導通させる通電導体と、
2つの磁界センサ対に分割された4つの磁界センサと、を備える電流センサであって、
2つの磁界センサが、前記通電導体の一方の面にV字型に配置されており、2つの磁界センサが、前記通電導体の他方の面にV字型に配置されており、
V字型に配置された前記磁界センサのうち、各側の磁界センサは、互いに平行に延びて、1つの磁界センサ対を形成していることを特徴とする、電流センサ。
【請求項2】
前記磁界センサ対の一方の磁界センサは、コモンモード阻止において、前記磁界センサ対の他方の磁界センサに、及び/又は、支持要素、及び/又は、前記通電導体に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の電流センサ。
【請求項3】
前記4つの磁界センサの全てが、コモンモード阻止において接続され、二重微分を生成することを特徴とする、請求項1に記載の電流センサ。
【請求項4】
前記通電導体は、バスバーであることを特徴とする、請求項1に記載の電流センサ。
【請求項5】
前記通電導体に印加された電流を測定するリファレンスセンサが配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の電流センサ。
【請求項6】
前記磁界センサを前記通電導体に対して径方向に配置するために、支持要素が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の電流センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の特徴に関連する電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
US 2021/0048454 A1は、プリント基板を備える集積電流測定装置を開示している。このプリント基板は、分流抵抗器として構成されている。分流抵抗器は、プリセットされた抵抗値を有する抵抗素子と、当該抵抗素子の両側から延びる端子と、を含む。分流抵抗器は、プリント基板の底面に取り付けられている。ホールセンサが、プリント基板の上面に、分流抵抗器に対向するように搭載されており、ここでプリント基板は、ホールセンサと分流抵抗器との間に配置された状態となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、異なる寸法の電流導体に装着可能な電流センサを提供することにある。また、この電流センサは、外部の磁界に対して高い感度を有している必要がある。本発明のさらなる目的は、安価な電流センサであって、現在入手可能な電流センサと比べて必要となる設置スペースが小さく、取り付けが容易な電流センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、通電導体に関連して使用される少なくとも1つの支持要素を備える電流センサによって達成される。
【0005】
支持要素は、少なくとも1つの磁界センサを支えている。支持要素は、少なくとも1つの磁界センサが配置された少なくとも1つの面を有している。
【0006】
本発明に係る磁界センサは、好ましくは磁界の方向に対して感度を有するセンサである。
【0007】
少なくとも2つの磁界センサは、通電導体の長手軸に対する個々の磁界センサの角度配向に関して、互いに異なっている。
【0008】
あるいは、少なくとも2つの磁界センサは、通電導体に対する個々の磁界センサの垂直距離に関して、互いに異なっている。
【0009】
電流が、通電導体を通って流れ、磁界を生成する。
【0010】
支持要素は、通電導体の近傍に位置している。
【0011】
また、支持要素は、通電導体によって生成された磁界に対して角度を有して配置されている。
【0012】
磁界センサの磁界に関する感度は、通電導体を通って流れる電流によって生成された磁界に対する、磁界センサの角度配向に依存する。
【0013】
<電流センサ>
公知の電流センサは、通電導体を通って流れる電流を測定する。通電導体を通って流れる電流は、通電導体の周辺領域に磁界を生成する。通電導体は、バスバーとして構成されていてよい。
【0014】
いわゆるバスバーの代わりに、他の通電導体を用いることも可能である。
【0015】
電流センサ内には、磁界センサが配置されている。磁界センサをバスバーに対して、どこに及びどのように配置することが出来るかについては、様々な選択肢がある。
【0016】
磁界センサは、磁界を生成及び/又は検出するために使用される。
【0017】
本発明によれば、磁界センサは、異なる種類の磁界センサも含んでいる。これらの磁界センサには、幾つかあるセンサの中でも、いわゆる異方性磁気抵抗効果を測定するセンサ(AMRセンサ)、又は、いわゆる巨大磁気抵抗を測定するセンサ(GMRセンサ)、又は、いわゆるトンネル磁気抵抗を測定するセンサ(TMRセンサ)が含まれる。上記の列挙は、単に、多数の例を示すためのものである。この列挙は、包括的なものであることを意味するものではない。他の種類又は設計の磁界センサを使用してもよい。
【0018】
以下において、一例として、本発明は、通電導体を通って流れる電流によって生成される磁界を測定する磁界センサに依拠する。
【0019】
通電導体を通って流れる電流によって生成される磁界を測定する磁界センサは、ホール効果センサであり得る。電流センサは、フラックスゲートセンサ又は磁気抵抗電流センサであってもよい。
【0020】
ホール効果センサは、磁気システムによって生成される磁界を検知する。
【0021】
ホール効果センサは、出力を多くの用途で利用可能とするために信号調節処理を必要とする基本的な磁界センサである。
【0022】
フラックスゲートセンサは、通常、上述のホール効果センサと類似した測定原理に基づいて動作する。
【0023】
いずれのセンサ(ホール効果センサ及びフラックスゲートセンサ)でも、電流によって磁界が生成される。ここでは、測定は特定の検知素子によって行われる。
【0024】
ホール効果センサとは異なり、フラックスゲートセンサはホール効果センサの代わりに可飽和インダクタを使用する。
【0025】
磁界センサは、通電導体に対する磁界センサの位置若しくは角度配向によって、又は、距離によって定義される感度を有している。
【0026】
以下に、磁界センサをより詳細に説明する。
【0027】
電流センサは、通電導体を通って流れる電流によって生成される磁界を測定する。
【0028】
公知の電流センサは、分流抵抗器、変流器、及び/又は、磁界に基づくトランスデューサといった技術を含む。
【0029】
電流センサは、検出された磁界に比例する信号を生成する。
【0030】
電流センサによって生成される信号は、例えば電流計において、測定された電流を表示するために使用可能である。
【0031】
磁気抵抗電流センサは、通常、磁界が印加されると、その抵抗を放物線状に変化させる二端子デバイスとして設計されている。
【0032】
磁気抵抗器の抵抗値は、磁界に応じて変動する。これは、磁気抵抗効果としても知られている。
【0033】
電流の測定は、ファラデー効果センサ又はホール効果センサに基づき得る。
【0034】
電流を測定するために、フラックスゲートセンサ又は分流抵抗器を使用可能である。
【0035】
また、光ファイバ電流センサを使用して、電流を測定することも可能である。言うまでもなく、電流は、他の技術的手段によっても検出及び/又は測定可能である。
【0036】
電流を測定するために使用される技術は、基礎となる物理的原理に応じて分類される。
【0037】
<検知チャネル>
通電導体の近傍に2つ又はそれ以上の検知チャネルを配置可能であるが、以下では、それぞれ2つの磁界センサを備える2つの検知チャネルが存在することとする。
【0038】
電流センサは、少なくとも1つの第1の検知チャネル及び少なくとも1つの第2の検知チャネルを含んでいてよい。
【0039】
第1の検知チャネル及び第2の検知チャネルは、それぞれ、少なくとも2つの磁界センサを含んでいてよい。両方の磁界センサは、互いに対して軸方向又は径方向に並べられていてよい。
【0040】
磁界センサは、少なくとも2つのチャネルに分割されるように配置されている。簡単に言えば、これら2つのチャネルの磁界センサは、同じ安定した結果を実現できる1つの検知チャネルだけを必要とするが1つの電子チャネルだけを必要とするように、接続可能である。
【0041】
換言すると、これら2つのチャネルは、合流して1つのチャネルを形成している。
【0042】
1つの合流チャネルは、1つの検知チャネル(チャネルCH2とも呼ばれる)によって検知された信号値(アンペア(A))を、別の検知チャネル(CH1とも呼ばれる)によって検知された信号値(アンペア(A))から減算することによって得られる結果と同じ結果を導く。
【0043】
1つの合流チャネルでは、先に2つの異なるチャネルに分割された全ての磁界センサをここで組み合わせて、1つの電子チャネルを形成する。
【0044】
各検知チャネルは、少なくとも2つの磁界センサを含む。1つの検知チャネルの磁界センサ対のうちの一方の磁界センサは、通電導体の上面を向いている。磁界センサ対のうちの第2の磁界センサは、通電導体の下面を向いている。
【0045】
通電導体の上面及び通電導体の下面は、1つの通電導体の2つの面のように配置されており、互いに対向して配置されている。
【0046】
検知チャネルの2つの磁界センサのうち、1つの磁界センサは、通電導体の上面に向けられている。他方で、検知チャネルの第2の磁界センサは、通電導体の下面に向けられている。
【0047】
少なくとも4つの磁界センサは、それぞれ、通電導体に隣接して配置されている。
【0048】
個々の磁界センサの個々の感度について、両方の検知チャネル(第1及び第2の検知チャネル)は異なる感度を有していてよい。
【0049】
電流センサの各検知チャネルは、少なくとも2つの磁界センサを備えている。1つの検知チャネルの磁界センサ対の一方の磁界センサは、通電導体の上面を向いている。磁界センサ対の第2の磁界センサは、通電導体の下面を向いている。
【0050】
磁界センサは、通電導体に対して軸方向に配置されている。
【0051】
また、1つの検知チャネルの2つの磁界センサは、通電導体の長手軸に対して、同じ角度で傾斜している。これら2つの検知チャネルが通電導体の長手軸に対して正反対の角度で傾斜していることによって、1つの検知チャネルの2つの検知チャネルの互いに対するV字型の配置が得られる。
【0052】
より良い理解のために、第1のチャネル及び第2のチャネルを、それぞれ、CH1(第1のチャネル)及びCH2(第2のチャネル)とも呼ぶ。
【0053】
2つのチャネルCH1及びCH2は、通電導体に対して配置されている。各チャネルCH1及びCH2は、2つの磁界センサを有している。
【0054】
2つの各チャネルCH1及びCH2の1つの磁界センサは、通電導体の上面を向いている。2つの各チャネルCH1及びCH2の他方の磁界センサは、通電導体の下面を向いている。換言すると、1つの磁界センサ対が通電導体の上面を向いている場合、1つの磁界センサは、チャネルCH1に割り当てられる。通電導体の上面を向いている磁界センサ対の他方の磁界センサは、チャネルCH2に割り当てられる。
【0055】
また、通電導体の下面を向いている1つの磁界センサ対のうち、一方の磁界センサは、チャネルCH1に割り当てられる。通電導体の下面を向いている当該磁界センサ対の他方の磁界センサは、チャネルCH2に割り当てられる。
【0056】
しかしながら、通電導体の上面に対向し異なる検知チャネルCH1及びCH2に割り当てられている磁界センサ対は、V字型の配置で位置決めされている。
【0057】
また、通電導体の下面に対向し異なる検知チャネルCH1及びCH2に割り当てられている磁界センサ対は、V字型の配置で位置決めされている。
【0058】
V字型の配置では、異なる検知チャネルCH1及びCH2の2つの磁界センサは、通電導体の長手軸に対して鋭角で配置されている。
【0059】
通電導体の上面に対向する2つの磁界センサは、それぞれ、長手軸に対して鋭角に配置されている。この長手軸に対する鋭角の配置では、2つの磁界センサは、互いに対しても鋭角に配置されている。
【0060】
通電導体の下面に対向する2つの磁界センサは、それぞれ、長手軸に対して鋭角に配置されている。この長手軸に対する鋭角の配置では、2つの磁界センサは、互いに対しても鋭角に配置されている。
【0061】
一対の2つの磁界センサは、それぞれ、通電導体の上側、及び、通電導体の下側に揃えられている。一対の磁界センサの各磁界センサは、通電導体の長手軸に対して同じ角度で配置されているので、一対の磁界センサの各磁界センサが通電導体の上面及び通電導体の下面の両方におけるV字型の配置を形成する。
【0062】
一対の磁界センサの2つの磁界センサが、それぞれ、ビームの上側及び下側にV字型に配置されていることにより、両検知チャネルCH1及びCH2の信号は正反対となる。
【0063】
一例として、チャネルCH1が信号4(正)を出力すれば、チャネルCH2が正反対の信号-4(負)を出力する。
【0064】
検知チャネルCH1及びCH2の磁界センサは、通電導体に対して垂直距離に配置されていてよく、この距離は、1.45mm~7.5mmの範囲である。
【0065】
また、各磁界センサは、異なる数の巻線を有していてよい。
【0066】
<支持要素>
支持要素は、少なくとも1つの磁界センサを支えている。
【0067】
支持要素は、少なくとも1つの磁界センサが配置された少なくとも1つの面を備えている。
【0068】
言うまでもなく、支持要素は、2つ以上の面を含んでいてよい。
【0069】
したがって、支持要素は、支持要素の2つの面が互いに離反した長方形を有していてよい。
【0070】
長方形の本体を有する支持要素は、磁界センサを支えるために、2つよりも多い数の面を有していてもよい。
【0071】
支持要素の各面は、少なくとも1つの磁界センサを支えている。
【0072】
支持要素は、通電導体の近傍に位置している。
【0073】
通電導体に隣接した位置では、支持要素は、通電導体を通って流れる電流によって生成された、通電導体の磁界に対して角度を有して配置されている。
【0074】
通電導体の磁界については、以下で、より詳細に説明する。
【0075】
本発明の一実施形態では、少なくとも4つの磁界センサを支える支持要素が、通電導体の上にクリップ留めされている。
【0076】
支持要素は、通電導体の上にクリップ留めされて、摩擦ロックを提供し得る。
【0077】
支持要素は、形状結合された連結部によって、又は、構造結合された連結部によって、通電導体の上にクリップ留めされていてもよい。
【0078】
支持要素は、絶縁材の平坦なシートを含んでいてよい。
【0079】
支持要素は、支持要素に積層された銅箔の層をさらに含んでいてもよい。
【0080】
支持要素は、任意の形状の基材であってよい。
【0081】
一例として、支持要素は、電気部品又は電子部品を機械的に支持及び電気的に接続するプリント基板である。
【0082】
支持要素は、少なくとも1つの導電トラック、又は、少なくとも1つの導電パッドを備え、及び/又は、非導電性基材の薄層の上及び/又は間に積層された1つ又は複数の銅の薄層からエッチングされた他の機構を有する。
【0083】
上述のように、支持要素は、片面であってもよいし、両面であってもよい。
【0084】
片面の支持要素は、1つの銅層を含み、両面の支持要素は、1つの支持要素の両面に銅層を支えている。
【0085】
支持要素は、多数の面を含み、支持要素の各面は、少なくとも1つの磁界センサを支えていてよい。
【0086】
一例として、2つの支持要素が存在する。各支持要素は、通電導体の対向する2つの面のうちの一方を向いている。各支持要素は、1つの磁界センサ対を支えている。この磁界センサ対の各磁界センサは、異なる検知チャネルCH1及びCH2にそれぞれ割り当てられている。
【0087】
<磁界センサ>
磁界センサは、電磁気センサであってもよい。
【0088】
磁界センサは、通電導体を通って流れる電流によって生成される磁界と相互作用する。
【0089】
本発明によれば、電流は、通電導体を通って流れることによって、磁界を生成する。
【0090】
本発明の一実施形態によれば、磁界センサは、コモンモード阻止において、支持要素、及び/又は、別の磁界センサ、及び/又は、通電導体に接続されている。
【0091】
コモンモード阻止とは、電気差動増幅器の2つの入力電圧が同じ量だけ変化する時に、出力電圧の変化がどれ位少ないかを示すものである。
【0092】
したがって、電気差動増幅器の2つの入力電圧は、コモンモードにおいて変化する。
【0093】
本発明の他の一実施形態は、少なくとも2つの磁界センサを提供する。これらの磁界センサは、それぞれ、通電導体の長手軸に対して角度を有して配置されている。
【0094】
長手軸に対する磁界センサの角度は、互いに異なる。
【0095】
通電導体の長手軸に対する所定の位置を維持するためには、少なくとも2つ、好ましくは4つの磁界センサが支持要素に搭載されている。
【0096】
したがって、磁界センサは、通電導体の長手軸に対して、ゼロと90度との間の角度で位置付けられ得る。
【0097】
磁界センサは、通電導体の長手軸に対して、他の任意の角度で配置されていてもよい。
【0098】
本発明の他の一実施形態では、磁界センサは、通電導体の長手軸に沿って延びている。
【0099】
本発明のさらに他の一実施形態では、少なくとも2つの磁界センサが当該長手軸に対して横方向に配置されている。
【0100】
通電導体の長手軸に対する磁界センサの角度配向に従い、磁界に対する磁界センサの角度配向が変化する。
【0101】
換言すると、通電導体の長手軸に対する磁界センサの角度配向は、通電導体を通って流れる電流によって生成される磁界に対する磁界センサの角度配向に影響する。
【0102】
通電導体を通って流れる電流によって生成される磁界に対する磁界センサの角度配向が、磁界センサの感度を決定する。
【0103】
本発明の他の一実施形態によれば、磁界センサは、通電導体の方に向けられた支持要素の面に配置されている。
【0104】
本発明の他の一実施形態は、通電導体から離反した支持要素の面の磁界センサを提供する。
【0105】
支持要素の両面に、少なくとも1つのコイルが配置されていてよい。
【0106】
本発明のさらなる一実施形態によれば、少なくとも2つの支持要素が通電導体の一側面に配置されていてよい。
【0107】
これらの少なくとも2つの支持要素は、通電導体に対して軸方向に配置されていることが可能である。
【0108】
また、これらの少なくとも2つの支持要素は、通電導体に対して径方向に配置されていることが可能である。
【0109】
通電導体に対して径方向及び/又は軸方向に配置されている、これらの少なくとも2つの支持要素は、少なくとも1つの磁界センサを備えていてよい。支持要素の各面に、少なくとも2つの磁界センサが配置されていてよい。
【0110】
本発明のさらなる実施形態は、少なくとも2つの磁界センサが支持要素の各面に配置されていることを示している。ここでは、支持要素の面は互いに離反している。
【0111】
この実施形態は、互いに反対方向を向いた少なくとも2つの磁界センサを提供する。
【0112】
また、磁界センサは、通電導体に対して異なる距離で配置されている。
【0113】
本発明の他の一実施形態によれば、磁界センサは、互いに対称に支持要素の面に配置されている。
【0114】
言うまでもなく、磁界センサは、非対称に支持要素の面に配置されていてもよい。
【0115】
対称軸は、支持要素に対して垂直であり得る。
【0116】
一例として、対称軸は、支持要素を貫通する平面において延びていてもよい。
【0117】
本発明の他の一実施形態は、磁界を検知する磁界センサが感度を有していることを開示する。
【0118】
感度は、通電導体に対する磁界センサの位置に依存する。
【0119】
感度は、通電導体に対する磁界センサの角度配向に依存し得る。
【0120】
あるいは、感度は、通電導体に対する磁界センサの距離に依存していてもよい。
【0121】
磁界センサの感度は、測定可能な、印加電流パラメータの最大値及び最小値を含む全ての値を含む。
【0122】
磁界センサの感度は、特に、通電導体の長手軸に対する磁界センサの角度配向に依存している。
【0123】
本発明の他の一実施形態は、1つ又は複数の磁界センサ、及び、1つ又は複数の支持要素を含むハウジングを提供する。
【0124】
このハウジングは、磁界センサ及び/又は支持要素及び/又は通電導体を、少なくとも部分的に包囲している。
【0125】
ハウジングは、包囲される部品を、汚染及び/又は損傷から保護することに役立つ。
【0126】
<通電導体>
通電導体は、電流を導通させる。
【0127】
通電導体の通電性能は、導電性と呼ばれる。
【0128】
通常、通電導体は、少なくとも1つの金属から製造される。金属のうち、通電導体は、銅から成ることが可能である。
【0129】
通電導体は、様々な金属の合金を含んでいてもよい。
【0130】
本発明の他の一実施形態では、バスバーの形の通電導体が開示される。
【0131】
バスバーは、矩形の平坦な金属ボディから構成されていることが可能である。バスバーは、平坦なストリップであり得る。バスバーは、頑丈な棒やロッドとして提供されていてもよい。バスバーは、多数の異なる形状で形成され得る。
【0132】
バスバーは、大電流を分配させるように構成されている。
【0133】
バスバーは、通常、絶縁されていない。バスバーは、十分な剛性を有している。
【0134】
通常、バスバーは、銅、真鍮、又は、アルミニウムから成る。
【0135】
<通電導体及び磁界>
通電導体を通って流れる電流が、磁界を生成する。磁界は、通電導体を通って流れる電流に対して垂直に延びる。
【0136】
単に一例として、電流は、通電導体の長手軸に沿って流れて磁界を生成する。磁界は、通電導体の長手軸に対して径方向に延びる。
【0137】
通電導体の周りの径方向のコースにおいて、磁界の線は、通電導体の長手軸に対して径方向に、通電導体の一方の側において上部から底部まで延びている。
【0138】
通電導体の他方の側では、磁界の線は、通電導体に対して径方向に、通電導体の長手軸に対して、底部から上部まで延びている。
【0139】
通電導体の周りの磁界の線の径方向経路の方向は、電流がビームを通って流れる方向に依存する。
【0140】
さらに、磁界の規模は、通電導体を通って流れる電流の量に比例する。
【0141】
磁界の放射は、通電導体の形状に影響を受ける。
【0142】
矩形の通電導体(バスバー等)の角が、通電導体の磁界に影響する。したがって、通電導体(バスバー)に近い距離において、磁界は、楕円形のようになる。
【0143】
本発明のさらなる一実施形態によれば、通電導体は、孔を有している。
【0144】
少なくとも2つの磁界センサを支える支持要素は、通電導体の孔を通って延びている。
【0145】
通電導体の孔を通って延びながら、支持要素は、通電導体に対する、好ましくは直角の角度配向を有している。
【0146】
また、通電導体の孔を通って延びる支持要素は、磁界に対して垂直な配向を有している。
【0147】
通電導体の中心に配置された孔が、電流を2つの等しい部分に分割する。
【0148】
通電導体を通って流れる電流によって生成された磁界は、この孔の内部で正反対の勾配を生成する。
【0149】
磁界は、通電導体を通って流れる電流に対して垂直に延びる。したがって、磁界は、通電導体の孔の中心に向かって集結する。通電導体の孔により、磁界が三次元の態様を有するようになる。
【0150】
通電導体の孔を通って延びながら、支持要素は、通電導体を通って流れる電流に対して平行に配置されていてもよい。
【0151】
孔の中では、支持要素は、通電導体内で電流の流れの向きに対して直角の位置に配置されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0152】
以下において、本発明を、4つの例を参照しながらより詳細に説明する。
【
図1】2つの検知チャネルを備える通電導体(バスバー)を示す図である。2つの検知チャネルは、一代替例として、1つに接続されることが可能であり、外部磁界の診断能力を失うが、最終出力はCH1-CH2に等しい。
【
図2】2つの磁界センサを支える支持要素を備える通電導体を示す図である。
【
図3】通電導体と、磁界センサを支える2つの支持要素とを示す図であり、磁界センサは、通電導体の上面及び下面を向いている。
【
図4】個々のチャネルCH1及びCH2の信号値(RAW出力)をV(ボルト)で表す2つの曲線を備える座標系を示す図である。
【
図5】対応する電流値をA(アンペア)で表す計測器を示す平面図である。
【
図6】通電導体に印加された変動する電流値をV(ボルト)で表す2つの曲線を含む、
図4の座標系を示す図である。
【
図7】対応する電流値をA(アンペア)で表す計測器を示す平面図である。
【
図8】変動する外部磁界の影響下での電流値をV(ボルト)で表す2つの曲線を含む、
図4の座標系を示す図である。
【
図9】対応する電流値をA(アンペア)で表す計測器を示す平面図である。
【
図10】通電導体に印加される電流がゼロに低減された、電流値をV(ボルト)で表す2つの曲線を含む、
図4の座標系を示す図である。
【
図11】外部磁界の影響下での対応する電流値をA(アンペア)で表す計測器を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0153】
図1では、通電導体1(バスバー)が、長手軸17に対して横方向に切断されている。
【0154】
通電導体1は、2つの対向面18、19を有している。対向面18は、通電導体1の下面である。対向面19は、通電導体1の長手軸17に対して通電導体1の上面である。
【0155】
図1では、CH1及びCH2と呼ばれる2つの検知チャネルが設けられており、各検知チャネルは、それぞれ、2つの検知磁界センサ5、6、8、9を有している。これらは、交互に接続されて、1つのチャネルを形成している。
【0156】
図1では、磁界センサ5、6は、検知チャネルCH1に割り当てられる。
【0157】
対向する磁界センサ8、9は、検知チャネルCH2に割り当てられる。
【0158】
図2は、通電導体1の対向面19を示す、通電導体1の上面を示している。
【0159】
通電導体1の対向面19に平行に、かつ、通電導体1の長手軸17に沿って、支持要素4が設けられている。
【0160】
図2は、支持要素4の面20に配置された磁界センサ5、8を示し、通電導体1の対向面19(上面)を示すものである。
【0161】
支持要素4の面20において、磁界センサ5、8は、通電導体1の長手軸17に対して、それぞれ、鋭角22、23で互いに対向して配置されている。
【0162】
電流25が通電導体1に印加されると、磁界24が生成される。
【0163】
磁界24の磁力線26が、通電導体1の長手軸17に対して径方向横向きに延びている。
【0164】
【0165】
通電導体1の対向面18、19(下面18及び上面19)に近接して、支持要素4、7が配置されている。
【0166】
図3では、支持要素4が、磁界センサ5及び8を支えている。
【0167】
支持要素7は、磁界センサ6及び9を支えている。
【0168】
少なくとも2つの磁界センサ5、6及び8、9が、それぞれ、通電導体1の対向面18、19上に配置されている。磁界センサ5及び6は、検知チャネルCH1に割り当てられる。一方、磁界センサ8及び9は、検知チャネルCH2に割り当てられる。
【0169】
換言すると、検知チャネルCH1は、磁界センサ5及び6を接続している。一方、検知チャネルCH2は、磁界センサ8及び9を接続している。
【0170】
図1及び
図3は、いずれも、検知チャネルCH1の磁界センサ5及び6が、通電導体1の対向面18及び19(下面18及び上面19)の方をそれぞれ向いていることを示している。
【0171】
また、検知チャネルCH2の磁界センサ8及び9は、互いに、通電導体の対向面18及び19(下面18及び上面19)の方を向いていることを示している。
【0172】
通電導体1の各対向面18及び19上では、磁界センサ5、8が、通電導体1の長手軸17に対して鋭角22で配置されている。磁界センサ6及び9は、通電導体1の長手軸17に対して鋭角23で配置されている。
【0173】
通電導体1の両方の対向面18及び19(下面18及び上面19)上では、磁界センサ5、8及び磁界センサ6、9が、通電導体1の長手軸17に対して鋭角22及び23で配置されている。
【0174】
図4~
図11を通して、計測器10が、ゼロから500までのアンペア(A)値を表示する目盛27を示している。
図4~
図11の目盛27は、4つのポインター11、12、13、14を含む。
【0175】
ポインター11は、参照値をアンペア(A)で表している。
【0176】
ポインター12は、検知チャネルCH2によって検知された信号値(アンペア(A))を、検知チャネルCH1によって検知された信号値(アンペア(A))から減算することによって得られる差分値(アンペア(A))で示す。これは、一代替例として、4つの全ての磁界センサを接続して1つの電子チャンネルを形成することによって実現することも可能である。電流25が通電導体1に印加されると、検知チャネルCH1及び検知チャネルCH2によってそれぞれ検知された個々の信号値(A)が、生成される。
【0177】
図4~
図11を通して、計測器10のポインター13は、検知チャネルCH1を表している。ポインター14は、検知チャネルCH2を表している。
【0178】
図4の例では、256アンペア(A)の参照値の電流が、通電導体1に印加される。
【0179】
図4の例では、電流25は、ほぼゼロ(0)からおよそ256Aのアンペア値まで上昇することになる。
【0180】
図4の座標系は、曲線15及び曲線16を示している。曲線15は、検知チャネルCH1の検知信号を表しており、曲線16は、検知チャネルCH2に関連付けられている。
【0181】
検知チャネルCH1及びCH2の磁界センサ5、6、8、9のV字型の配置によれば、検知チャネルCH1及びCH2の検知値(アンペア(A))の曲線15及び16は、互いに、反対方向に位置合わせされている。
【0182】
図4では、電流25は、およそ256Aの値に上昇する。
図4では、電流は、256Aの一定の水準で保持され、その結果、曲線15及び16が領域28において平行に配置される。
【0183】
図6の座標系では、2つの曲線15、16は、参照線30に対して同じ距離29を有している。参照線30は、
図4の座標系における256Aの参照値に対応する。
【0184】
図5に示される計測器10では、ポインター11は、通電導体1に印加された256Aの電流25の参照値を表している。
【0185】
図5は、
図4の図解に対応するものであるが、
図5では、通電導体1(図示しない)に印加される電流25(アンペア(A))は変動する。
【0186】
変動する電流値(A)は、2つの検知チャネルCH1及びCH2の磁界センサ5、6、8、9によって検知される。
【0187】
通電導体1に印加される電流値25(A(アンペア))が上昇すると、検知チャネルCH1及びCH2の個々の曲線15、16の、参照線30までの距離29も長くなる。
【0188】
通電導体1に印加される電流値25(A(アンペア)が減少すると、検知チャネルCH1及びCH2の曲線15、16の、参照線30までの距離29も短くなる。
【0189】
図5の計測器10は、ポインター12を示しており、これは、検知チャネルCH2によって検知された信号値(アンペア(A))を、検知チャネルCH1によって検知された信号値(アンペア(A))から減算することによって得られる差分値(アンペア(A))を示している。
【0190】
図8の座標系は、外部磁界が、検知チャネルCH1及びCH2の磁界センサ5、6、8、9によって検知された値(A(アンペア))に与える影響を示している。
【0191】
図8の座標系に示される検知チャネルCH1及びCH2の対応する曲線15及び16は、参照線30に対して同じ距離33で延びている。
【0192】
外部磁界の強度が上昇又は減少すると、検知チャネルCH1及びCH2によって検知された電流値(A)を表すこれら2つの曲線15及び16は、
図8の座標系のY軸に沿って互いに平行に移動する。
【0193】
外部磁界の強度が上昇する場合、電流値A(アンペア)を表す2つの曲線15、16は、座標系のゼロ点31から離れる方向に互いに平行に移動する。
【0194】
外部磁界の強度が減少する場合、検知チャネルCH1及びCH2の磁界センサ5、6、8、9によって検知された電流値Aを表す2つの曲線15、16は、
図8の座標系のゼロ点31に向かって互いに平行に移動する。
【0195】
図9に示される計測器10では、ポインター14は、検知チャネルCH2によって検知された値をAで表している。
【0196】
図9に示される計測器10では、ポインター13は、検知チャネルCH1によって検知された値をAで表している。
【0197】
図9の計測器10は、ポインター13とポインター14との間の中間に配置されたポインター12を示している。ポインター12は、検知チャネルCH2によって検知された信号値(アンペア(A))を、検知チャネルCH1によって検知された信号値(アンペア(A))から減算することによって得られる差分値(アンペア(A))を示している。
【0198】
図10では、電流値25(A(アンペア))をゼロに低減させる。しかしながら、
図7の描写では、外部磁界の影響は残っている。
【0199】
図7及び
図10の座標系において、電流値25(A(アンペア))をゼロに戻すことによって、検知チャネルCH1及び検知チャネルCH2の電流値をAで表す曲線15及び16が合流する。
【0200】
領域32では、両方の曲線15及び16が、参照線30に沿って、座標系のX軸に対して合流して延びている。
【0201】
【0202】
電流25がゼロに低減されると、参照値をアンペア(A)で表すポインター11及びポインター12は、ゼロを指す。
【0203】
図11に示されるポインター12は、検知チャネルCH2によって検知された信号値(アンペア(A))を、検知チャネルCH1によって検知された信号値(アンペア(A))から減算することによって得られる差分値をアンペア(A)で表す。
【0204】
図11では、外部磁界の存在は、ポインター13によって示される値(A(アンペア))によって表されている。ポインター13によって示される値(A(アンペア))は、電流の磁界に印加された電流25がゼロにされる時に、外部磁界がチャネルCH1及びCH2に与える影響を表している。
【符号の説明】
【0205】
1 通電導体
CH1 検知チャネル
CH2 検知チャネル
4 支持要素
5 磁界センサ
6 磁界センサ
7 支持要素
8 磁界センサ
9 磁界センサ
10 計測器
11 ポインター;参照値
12 ポインター;チャネルCH1とチャネルCH2との間の差分値
13 ポインター;CH1
14 ポインター;CH2
15 曲線;CH1
16 曲線;CH2
17 通電導体の長手軸
18 通電導体の対向面(下面)
19 通電導体の対向面(上面)
20 支持要素の面
21 支持要素の面
22 鋭角
23 鋭角
24 磁界
25 電流
26 磁界の線
27 目盛
28 領域
29 距離
30 参照線
31 ゼロ点
32 領域
33 距離(外部磁界)
【外国語明細書】