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特開2022-189818抗菌中空糸膜、その製造方法及び浄水機構
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189818
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】抗菌中空糸膜、その製造方法及び浄水機構
(51)【国際特許分類】
   B01D 69/08 20060101AFI20221215BHJP
   B01D 71/34 20060101ALI20221215BHJP
   B01D 71/36 20060101ALI20221215BHJP
   B01D 71/38 20060101ALI20221215BHJP
   B01D 71/42 20060101ALI20221215BHJP
   B01D 71/44 20060101ALI20221215BHJP
   B01D 71/52 20060101ALI20221215BHJP
   B01D 71/68 20060101ALI20221215BHJP
   C02F 1/44 20060101ALI20221215BHJP
   C02F 1/28 20060101ALI20221215BHJP
   C02F 1/50 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
B01D69/08
B01D71/34
B01D71/36
B01D71/38
B01D71/42
B01D71/44
B01D71/52
B01D71/68
C02F1/44 B
C02F1/28 G
C02F1/28 R
C02F1/50 510A
C02F1/50 520B
C02F1/50 531U
C02F1/50 540D
C02F1/50 560B
C02F1/50 560E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094491
(22)【出願日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】10-2021-0075785
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】522232994
【氏名又は名称】フィルコア カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FILCORE Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】Shihwa Industrial Complex, 1-402, 60 Sangidaehak-ro, Jeongwang-dong, Siheung-si, Gyeonggi-do 15085, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】504253669
【氏名又は名称】株式会社キッツマイクロフィルター
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】門前 孝志
(72)【発明者】
【氏名】キム スンヒュン
(72)【発明者】
【氏名】キム ガヨン
【テーマコード(参考)】
4D006
4D624
【Fターム(参考)】
4D006GA02
4D006HA93
4D006JA25A
4D006KA01
4D006KA33
4D006KB12
4D006KD30
4D006KE21P
4D006KE30Q
4D006MA01
4D006MA21
4D006MA25
4D006MA28
4D006MB02
4D006MB19
4D006MC29
4D006MC30
4D006MC39
4D006MC40X
4D006MC45X
4D006MC62X
4D006MC63
4D006MC90
4D006NA10
4D006NA17
4D006NA75
4D006PA01
4D006PB06
4D006PB24
4D006PC52
4D006PC53
4D624AA02
4D624AB11
4D624BC01
4D624CA12
4D624CA13
4D624CB12
4D624CB25
4D624CB34
4D624DB18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】飲料水の汚染抑制及びコスト低減を達成する抗菌中空糸膜の製造方法、十分な抗菌性と水透過能力に優れ、自然圧(重力)によっても浄水可能な特性を有する抗菌中空糸膜、並びに貯留する飲料水に対しても抗菌特性を有する浄水機構を提供する。
【解決手段】高分子樹脂に銅ナノ粒子を蒸着させた高分子樹脂、銅ナノ粒子が蒸着されていない高分子樹脂及び添加剤を有機溶媒に溶融して高分子溶液を製造し、有機溶媒及び添加剤を混合して内部凝固剤を製造し、前記高分子溶液と前記内部凝固剤を二重ノズルに投入してエアギャップに放射した後、エアギャップを通過した高分子溶液と内部凝固剤を外部凝固剤に浸漬させ、相転移過程を経た後、中空糸膜を製造するステップを含み、前記銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂及び銅ナノ粒子が蒸着されていない高分子樹脂の全重量に対し、銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂が5重量%乃至9重量%とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子樹脂に銅(Cu)ナノ粒子を蒸着させる第1のステップ;
前記銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂、銅ナノ粒子が蒸着されていない高分子樹脂及び添加剤を有機溶媒に溶融して高分子溶液を製造する第2のステップ;
有機溶媒及び添加剤を混合して内部凝固剤を製造する第3のステップ;
前記高分子溶液と前記内部凝固剤を二重ノズルに投入してエアギャップに放射した後、エアギャップを通過した高分子溶液と内部凝固剤を外部凝固剤に浸漬させ、相転移過程を経た後、中空糸膜を製造する第4のステップ;を含み、
前記銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂及び銅ナノ粒子が蒸着されていない高分子樹脂の全重量に対し、銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂が5重量%乃至9重量%である、抗菌中空糸膜の製造方法。
【請求項2】
前記高分子樹脂はポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニリデンフルオライド樹脂及びポリテトラフルオロエタン樹脂からなる群より選択されるものである、請求項1に記載の抗菌中空糸膜の製造方法。
【請求項3】
前記高分子樹脂はポリスルホン樹脂である、請求項1に記載の抗菌中空糸膜の製造方法。
【請求項4】
前記高分子溶液は、銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂及び銅ナノ粒子が蒸着されていない高分子樹脂10乃至20重量%、ポリビニルピロリドン(PVP)10乃至20重量%、ポリエチレングリコール(PEG)5乃至15重量%、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)50乃至70重量%及び10重量%以下の水を含む、請求項1に記載の抗菌中空糸膜の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載された製造方法により製造される抗菌中空糸膜。
【請求項6】
中空糸膜内に0.5ppm~50ppmの銅ナノ粒子を担持するように形成される、抗菌性中空糸膜。
【請求項7】
請求項1による抗菌中空糸膜の製造方法により製造された抗菌中空糸膜を設けた浄水機構。
【請求項8】
請求項1による抗菌中空糸膜の製造方法により製造された抗菌中空糸膜を被濾過水の最低水位から接液する位置に設けた浄水機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌中空糸膜、その製造方法及び浄水機構に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料水中の細菌に対して、抗菌性を有する金属、例えば、銀や銅を微細な粒子状にして用いることは知られている。特に、食水を浄水する浄水機構内に、既存の中空糸膜や活性炭などにこれらの金属粒子を担持させることで食水の中に溶出された金属イオンにより抗菌しようとしている。
【0003】
一方、例えば、銅は、その加工性やコスト面において飲料水の送水のための配管、管、弁や継手の原材料として以前から多く用いられてきたが、飲料水の水質で評価する場合、必須の栄養元素であると同時に、飲料水の汚染物質でもある。WHOの飲料水水質ガイドラインにもこれに関する規定がある。
【0004】
また、抗菌性のある部材を用いて浄水する浄水機構も原水を取り入れる1次の方のみに排泄され、浄水機構に貯蔵された飲用水を持続的に抗菌または除菌する技術がないため、貯留時間が長くなれば細菌増殖の恐れがあった。
【0005】
従来、中空糸膜フィルタの近くに銅を添着させた活性炭を配置し、抗菌機能を発揮する浄水器が知られている(特許文献1)。また、ナノ化された銅酸化物により被覆された纎維の技術が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平05-293473号公報
【特許文献2】国際公開第2008-027530号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、飲料水の汚染抑制及びコスト低減という側面において、銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂の割合が最大限低く、かつ十分な抗菌性を示すことのできる抗菌中空糸膜の製造方法を提供することにその目的がある。また、本発明は、十分な抗菌性と水透過能力に優れ、自然圧(重力)によっても浄水可能な特性を有する抗菌中空糸膜を提供することにその目的がある。併せて、本発明は貯留する飲料水に対しても抗菌特性を有する浄水機構を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような課題を解決するために、本発明は、下記を提供する。
【0009】
(1)高分子樹脂に銅(Cu)ナノ粒子を蒸着させる第1のステップ;
前記銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂、銅ナノ粒子が蒸着されていない高分子樹脂及び添加剤を有機溶媒に溶融して高分子溶液を製造する第2のステップ;
有機溶媒及び添加剤を混合して内部凝固剤を製造する第3のステップ;
前記高分子溶液と前記内部凝固剤を二重ノズルに投入してエアギャップに放射した後、エアギャップを通過した高分子溶液と内部凝固剤を外部凝固剤に浸漬させ、相転移過程を経た後、中空糸膜を製造する第4のステップ;を含み、
前記銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂及び銅ナノ粒子が蒸着されていない高分子樹脂の全重量に対し、銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂が5重量%乃至9重量%である、抗菌中空糸膜の製造方法。
【0010】
(2)(1)において、前記高分子樹脂は、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニリデンフルオライド樹脂及びポリテトラフルオロエタン樹脂からなる群より選択されるものである、抗菌中空糸膜の製造方法。
【0011】
(3)(1)において、前記高分子樹脂は、ポリスルホン樹脂である、抗菌中空糸膜の製造方法。
【0012】
(4)(1)において、前記高分子溶液は、銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂及び銅ナノ粒子が蒸着されていない高分子樹脂10乃至20重量%、ポリビニルピロリドン(PVP)10乃至20重量%、ポリエチレングリコール(PEG)5乃至15重量%、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)50乃至70重量%及び10重量%以下の水を含む、抗菌中空糸膜の製造方法。
【0013】
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つの製造方法により製造される抗菌中空糸膜。
【0014】
(6)中空糸膜内に0.5ppm~50ppmの銅ナノ粒子を担持するように形成される、抗菌性中空糸膜。
【0015】
(7)内部に水を貯蔵することができる容器本体と、容器本体内に配置され、銅ナノ粒子が担持された抗菌性中空糸膜を含む中空糸膜担持モジュールを含み、中空糸膜担持モジュールの少なくとも一部が水に浸漬されるように構成された、浄水機構。
【0016】
(8)(7)において、浄水機構は、容器本体内部に貯蔵される水の量を検出するセンサ部と、水に対する中空糸膜担持モジュールの浸漬量を制御する制御部をさらに含み、中空糸膜担持モジュールは、容器本体内部で水の水位によって移動可能に構成された駆動部を含み、制御部は、センサ部から検出された水の量に基づいて、上記駆動部を駆動させる、浄水機構。
【0017】
(9)(7)または(8)において、浄水機構は、容器本体の上端に形成された開口部と、開口部に脱着可能であり、水を排出するための排出部を備えたカバーをさらに含み、中空糸膜担持モジュールは、容器本体に対して鉛直方向に移動可能な、浄水機構。
【0018】
(10)(7)または(8)において、浄水機構は、水平面に対する容器本体の横方向の一端に形成された開口部と、開口部に脱着可能であり、水を排出するための排出部を備えたカバーをさらに含み、中空糸膜担持モジュールは、容器本体に対して横方向に移動可能な、浄水機構。
【0019】
(11)第1項による抗菌中空糸膜の製造方法により製造された浄水機構。
【0020】
(12)第1項による抗菌中空糸膜の製造方法により製造された抗菌中空糸膜を被濾過水の最低水位から接液する位置に設けた浄水機構。
【発明の効果】
【0021】
本発明による中空糸膜は、内外部に銅(Cu)ナノ粒子が蒸着されていることから、除菌性能、耐汚染性などに優れている。
【0022】
本発明による抗菌中空糸膜、その製造方法及び浄水機構は、飲用水の汚染抑制という側面において、抗菌中空糸膜に含まれた銅ナノ粒子濃度を最小限で有しながらも、99%以上の十分な抗菌性能を示すことができる。
【0023】
本発明による抗菌中空糸膜が適用された浄水機構は、銅ナノ粒子が担持された抗菌性中空糸膜を含む中空糸膜担持モジュールを含むので、容器本体内部に貯蔵される水に対する抗菌または除菌を行うことができる。
【0024】
また、本発明による抗菌中空糸膜が適用された浄水機構は、水の量の変化によって容器本体内部に貯蔵された水の単位体積当たりの銅ナノ粒子の水内の存在量を調節することができるので、銅ナノ粒子の溶出による水の汚染を効果的に防止することができる。
【0025】
高分子樹脂の全重量に対して銅ナノ粒子を5~9重量%蒸着した高分子樹脂を入れて製造した抗菌性中空糸膜を被濾過水の最低水位から接液する位置に設けた浄水機構であって、原水の液面が使用により最低水位であっても、また最高水位(満タン)であっても抗菌性を発揮することができるので、長時間の放置によって貯留水の雑菌が繁殖したり、水位が低くなって抗菌作用が失われることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、浄水機構の具体例として可搬型浄水ボトル(商品名;スーパーデリオス)である。
図2図2は、浄水機構の具体例として家庭用浄水器を示している。
図3図3は、浄水機構の具体例としてピッチャータイプの浄水器を示している。
図4図4は、浄水機構の具体例として他のピッチャータイプの浄水器を示している。
図5図5の(イ)、(ロ)は、図4の手動ポンプの拡大動作図である。
図6図6は、本発明による浄水機構の一実施例である。
図7図7は、本発明による浄水機構の他の実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下において本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、多様な形態に変更されて具現することができ、ここで説明する具現例に限定されるものではない。
【0028】
特に定義されない限り、本明細書で用いられた全ての技術的及び科学的用語は、本発明の属する技術分野における熟練された専門家によって通常理解されるものと同一の意味を有する。一般的に、本明細書で用いられた命名法及び以下に記述する実験方法は本技術分野においてよく知られており、通常用いられるものである。
【0029】
本発明は、中空糸膜の内外部に銅ナノ粒子が蒸着され、除菌性能、耐汚染性に優れた抗菌中空糸膜、その製造方法及び浄水機構を提示する。
【0030】
上記抗菌中空糸膜の製造方法は、高分子樹脂に銅ナノ粒子を蒸着させる第1のステップ;前記銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂、銅ナノ粒子が蒸着されていない高分子樹脂及び添加剤を有機溶媒に溶融して高分子溶液を製造する第2のステップ;有機溶媒及び添加剤を混合して内部凝固剤を製造する第3のステップ;前記高分子溶液と前記内部凝固剤を二重ノズルに投入してエアギャップに放射した後、エアギャップを通過した高分子溶液と内部凝固剤を外部凝固剤に浸漬させ、相転移過程を経た後、中空糸膜を製造する第4のステップ;を含み、前記銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂及び銅ナノ粒子が蒸着されていない高分子樹脂の全重量に対し、銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂が5重量%乃至9重量%である。
【0031】
上記第1のステップは、高分子樹脂に銅ナノ粒子を蒸着させることができる。前記高分子樹脂は、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニリデンフルオライド樹脂及びポリテトラフルオロエタン樹脂からなる群より選択することができる。好ましくは、前記高分子樹脂は、ポリスルホン樹脂またはポリエーテルスルホン樹脂であり得る。さらに好ましくは、前記高分子樹脂は、ポリスルホン樹脂であり得る。
【0032】
上記銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂は、真空蒸着槽内で真空蒸着方法により製造することができる。
【0033】
上記銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂の製造は、真空蒸着槽内に中空糸膜メンブレイン放射用素材である高分子樹脂を入れて撹拌しながら、DCスパッタリング(Sputtering)方式によって抗菌用金属原子を分離してプラズマ状態の1~20nm粒度サイズの塊り現象がない純度99.99%の均一な銅ナノ粒子を形成させて高分子樹脂に均一に直接蒸着させる物理的蒸着方式により行われる。
【0034】
上記第2のステップは、銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂、銅ナノ粒子が蒸着されていない高分子樹脂及び添加剤を有機溶媒に溶融して高分子溶液を製造するものである。前記高分子溶液は、相転換後、中空糸膜を形成する溶液で中空糸膜の構造及び透水性能を左右することができる。
【0035】
金属ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂は、高分子溶液内にむらなく分布され、中空糸膜製造後にも中空糸膜内にむらなく分布するようになる。中空糸膜の特性上、中空糸膜は、気孔が多いスポンジ構造となっており、この時、中空糸膜内外部の数多い気孔の表面に存在するナノ粒子が抗菌作用をするようになる。
【0036】
前記銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂及び銅ナノ粒子が蒸着されていない高分子樹脂の全重量に対し、銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂が5重量%乃至9重量%であり得る。中空糸膜の銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂を5重量%~9重量%の範囲内にすることにより、中空糸膜の抗菌効果に優れ、かつ飲用水の汚染抑制を最小限にすることができるという点において有利である。特に、5%からは抗菌性能が99%以上となることができる程度に中空糸膜内にナノ粒子が分布する。銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂の含量が5重量%未満では中空糸膜内に分布されているナノ粒子の絶対含有量が少なく、抗菌性能が99%以下であり、抗菌性能のバラツキがあって安定した抗菌性能を維持しなければならないという点で好ましくない。
【0037】
また、銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂の9重量%超では銅ナノ粒子蒸着高分子樹脂の価格が高いので、コスト面において好ましくない。
【0038】
一方、韓国と世界保健機構などにおいて、飲める水の銅イオン濃度基準は、1ppm以下である。本出願人が、銅ナノ粒子蒸着ポリスルホン100重量%を用いて中空糸膜を製造し、中空糸膜を350mlの水中に24時間放置した後、水中の銅イオン含量の測定時に1.46ppmの結果が出された。上記の結果から見ると、銅ナノ粒子蒸着ポリスルホン60重量%を使用時に、銅イオン含量が0.9ppm程度になるものと予想され、この半分である30重量%以下であれば、安定して銅イオン含量が1ppm以下であるものと予想される。従って、銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂の最大含量は、30重量%であるものと予想される。また、銅ナノ粒子蒸着高分子樹脂の値段が銅ナノ粒子が蒸着されていない高分子樹脂に比べて約8倍程度値段が高いため、銅ナノ粒子ポリスルホンを少なく用いると、原価を節減することができるという側面で好ましい。
【0039】
上記第2のステップにおいては、銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂、高分子樹脂及び添加剤を有機溶媒に溶融撹拌して高分子溶液を製造することができ、撹拌時間は、8時間乃至24時間である。
【0040】
上記有機溶媒は、n-メチルピロリドン(NNMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロベンゼン、m-クレゾール、テトラヒドロフラン及びN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)の中から選択された単独または2種以上の混合溶媒を用いることが好ましく、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)であることがより好ましい。
【0041】
上記添加剤は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、メチルアルコール、エチルアルコール、水、カルシウムクロリド、リチウムクロリドなどから単独または2種以上の混合添加剤を用いることが好ましく、ポリビニルピロリドン(PVP)及びポリエチレングリコール(PEG)であることがより好ましい。添加剤は、中空糸膜の気孔形成と親水性付与の役割をすることができる。
【0042】
前記高分子溶液の粘度は、10乃至30,000cp以下であることが好ましく、1,000乃至30,000cp以下であることがより好ましく、1,000乃至10,000cp以下であることがより一層好ましい。この時、高分子溶液の粘度は、流動性の側面で低いことが好ましいが、低過ぎる場合、高分子の吸収膨潤が起こり得る問題点がある。
【0043】
前記高分子溶液は、銅ナノ粒子が蒸着された高分子樹脂及び銅ナノ粒子が蒸着されていない高分子樹脂10乃至20重量%、ポリビニルピロリドン(PVP)10乃至20重量%、ポリエチレングリコール(PEG)5乃至15重量%、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)50乃至70重量%及び10重量%以下の水を含むことができる。
【0044】
上記第3のステップは、内部凝固剤を製造するものであり、内部凝固剤は、中空糸膜の中空部分を形成するためのものである。部分的には、膜構造及び気孔のサイズに影響し得るものであって、用いられる成分は、前記高分子溶液の製造に用いられる添加剤と有機溶媒及びこれらの混合物からなる。内部凝固剤に、添加剤のうち、ポリスルホン樹脂と溶解度パラメーター(solubility parameter)の値の差が大きな凝固力の強い非溶媒を多く用いることとなれば、中空糸膜内部に活性層が形成され、気孔が小くなって除去性能は向上するが、透水性能が落ちる可能性があり、凝固力が弱い有機溶媒を用いることとなれば、中空糸膜外部に活性層が形成されて気孔が大きくなり、除去性能は落ちるが、透水性は向上する。また、凝固力が弱い有機溶媒を多く用いることとなれば、中空糸膜の内部の中空部分が円形を形成することができないか、または中空糸膜の形成ができない可能性があるので、添加剤である非溶媒と有機溶媒を適切な割合で用いることが好ましい。
【0045】
上記第4のステップにおいては、前記高分子溶液と前記内部凝固剤を二重ノズルに投入してエアギャップに放射した後、エアギャップを通過した高分子溶液と内部凝固剤を外部凝固剤に浸漬させ、相転移過程を経た後、中空糸膜を製造することができる。この時、高分子溶液と内部凝固剤をエアギャップに放射することで、中空糸膜の相転移を遅延させて気孔のサイズを部分的に調節することができるようになる。
【0046】
外部凝固剤は、高分子溶液を固体相に完全に相転移させる役割をすることができる。外部凝固剤は、水のみ用いるか、または水を主成分として上記有機溶媒、添加剤、またはこれらの混合物を添加して製造することができる。
【0047】
上記第4のステップにおいては、エアギャップに一定の湿度と温度を供給することとなるが、湿度は、親水化添加剤を中空糸膜の表面の方に移動させて膜の透水性能を高めることができ、温度は、気孔のサイズを一部調節することができる。
【0048】
上記エアギャップに放射された高分子溶液と内部凝固剤は、外部凝固剤で凝固され、完全相転移が起こることとなり、中空糸膜に製造することができる。
【0049】
本発明は、また、上記製造方法により製造される抗菌中空糸膜に関する。上記抗菌中空糸膜は、多様な除去性能と水透過性能を有することができる。
【0050】
本発明は、また、中空糸膜内に0.5ppm~50ppmの銅ナノ粒子を担持するように形成される、抗菌性中空糸膜に関する。
【0051】
上記5重量%~9重量%で銅ナノ粒子を蒸着したポリスルホン樹脂を入れて製造した抗菌中空糸膜内の銅含有量測定値は2.8ppm~5.3ppmであるが、高分子溶液が凝固剤により相転移過程中に失われる銅ナノ粒子のバラツキがあるはずであり、ppm単位の少ない量であるので、測定誤差があるものと考慮され、バラツキと誤差を考慮すれば、中空糸膜内に好ましくは0.5~50ppm、より好ましくは1~10ppmの銅ナノ粒子を担持するように形成され得る。
【0052】
上記中空糸膜の断面は、網状形態のスポンジ構造であり、断面を見ると、外表面から内表面に徐々に気孔が増大する構造である。中空糸膜の外表面は、網状構造で形成されている。中空糸膜の内表面は、直径30μm内外の楕円形気孔が形成されている構造であって、中空糸膜内の気孔のサイズは、5~60μmであり得る。中空糸膜内に0.5ppm~50ppmの銅ナノ粒子を担持するように形成されることにより、コスト側面と十分な抗菌性を有する点で有利であり、それから外れる場合、抗菌性が不安定であるか、またはコストが上がる点で好ましくない。
【0053】
また、本発明において製造された抗菌中空糸膜は、浄水機構に適用されて用いられ得る。
【0054】
また、本発明は、銅ナノ粒子が担持された抗菌性中空糸膜を含む中空糸膜担持モジュールを含む浄水機構に関する。
【0055】
具体的に、図1は、浄水機構の具体例として可搬型浄水ボトル(商品名;スーパーデリオス)である。カートリッジ内部は、吐出口(2次側)に抗菌性中空糸膜が配置され、ボトル側に活性炭がそれぞれ配置されている。従来は、現行のごとくボトルをカートリッジが上へ向くように置くが、本実施例ではカートリッジ上部に台座用キャップを設け、当該キャップが対座を兼ねてボトル本体を支える。こうすることで、カートリッジ内部の抗菌性中空糸膜が常に原水(被濾過水)に接しているため抗菌力が発揮される。
【0056】
図2は、浄水機構の具体例として家庭用浄水器を示している。上部にある突起は被濾過水の流入口と濾過された飲料水(濾過水)が吐出される吐出口である。浄水器内部は流入した被濾過水が活性炭によってカルキ臭、カビ臭、塩素やトリハロメタンが吸着された後、中空糸膜によって雑菌が除去される。従来は、活性炭に抗菌性機能を持たせる技術があるが、本実施例では、中空糸膜側に銅ナノ粒子を担持させている。従来技術であれば浄水器を使用していない場合に浄水器内に塩素が除去された滞留水が中空糸膜内部に残るため活性炭の抗菌作用の効果を発揮しにくくなるが、本実施例では、中空糸膜が担持した銅ナノ粒子が中空糸膜内の滞留水及び活性炭の周辺の滞留水に直接的に接するので抗菌作用を十分に発揮することができる。
【0057】
図3は、浄水機構の具体例としてピッチャータイプの浄水器を示している。従来は、浄水器の蓋を開けて被濾過水をピッチャー内に流入させる流入口(1次側)に主にプレフィルタ・活性炭で構成される浄水カートリッジを配置してその濾過水をピッチャーに貯留させるものであった。加えて、浄水器に活性炭と中空糸膜を採用することはなかった。理由は、中空糸膜で濾過するには濾過を促進するために水圧が必要であり、従来のピッチャータイプであれば満タンの濾過水の水頭圧を考慮できるものの、使用によって量が少なくなれば濾過ができなくなるからである。同様な理由により、中空糸膜を採用した浄水カートリッジを吐出側(2次側)に設けると、浄水器から濾過水を吐出する際に濾過に時間がかかるため、ピッチャー本来の必要量を速やかに供給する機能が失われてしまう。
【0058】
しかしながら、1次側に浄水カートリッジを設ければ濾過するための水圧は確保しやすくなるものの、濾過水に既に浄水カートリッジによって塩素が除去されているため、放置(貯留)時間が長くなるにつれ雑菌が繁殖する危険性が増してしまう。
【0059】
そこで、本実施例では、ピッチャーを被濾過水の流入口から吐出口までの流通路を隔壁によって2分割領域を有する構造とし、ピッチャーの貯留水が使用する最低限度の水位にあっても抗菌性中空糸膜が貯留水に没するかあるいは接することが可能なピッチャー底部あるいは底部近傍であって、隔壁の一部にカートリッジを着脱自在に固設することで、一次側貯留水がカートリッジの濾過を介して2次側貯留水となるように2つの領域を結ぶ流通路を形成する。これにより、使用度合いに応じて新しい浄水カートリッジに交換することができ、また浄水カートリッジが濾過前の一次側貯留水と濾過後の二次側貯留水が接液するため常に抗菌状態を維持することができる。
【0060】
こうした構造により、開閉蓋を開けて被処理水を入れると、1次側貯留水として貯まることで、水圧がカートリッジにかかり被処理水が濾過され2次側貯留水として貯まる。そして、濾過水を吐出する際には、吐出口から2次側貯留水が速やかに供給されることになる。
【0061】
なお、1次側貯留水と2次側貯留水量の比率は、一度に吐出される濾過水の必要量と、1次側貯留水の水頭圧でカートリッジが濾過する速度との兼ね合いで決定され、例えば、コップ2杯分の量400ccを2次側貯留水として数分以内に確保するためには、1次側貯留水量として800cc以上が必要であり、ピッチャー全体の実用的な大きさを考慮すれば1次側貯留水量対2次側貯留水量は約1対2~1対4の比率範囲が好ましい。
【0062】
図4は、浄水機構の具体例として他のピッチャータイプの浄水器を示している。図3と異なるのは開閉蓋に手動ポンプが設けられていること、並びに活性炭・抗菌中空糸膜から構成される着脱自在の浄水カートリッジが隔壁の一部、且つ2次側貯留水側に設けられている。
【0063】
図5の(イ)、(ロ)は、図4の手動ポンプの拡大動作図である。(イ)は、手動押手を押下した状態(一次側貯留水に圧力をかける状態)であり、通気弁1、2が図示しないコイルばね等で弁閉付勢されたまま、ボトル内の空気を下方に圧縮するための1次側貯留水が強制的に浄水カートリッジによって濾過され、2次側貯留水として貯留される。
【0064】
そして、手動押手から手を放すと、押手コイルの矢印方向の付勢力によって、手動押手が上昇して(ロ)の待機状態(外部空気を取り込む状態)に戻るものであるが、戻る過程で通気弁1、2が弁開して通気孔1、2を介して外部空気をボトル内に取り込む。以上のような手動ポンプ操作によって、外部空気を取り込みながら、その付勢圧力で浄水することができるので、1次側貯留水の領域をさほど大きく取ることなく2次側貯留水の領域を大きく取ることができる。
【0065】
図6には、本発明の一実施例による浄水機構(1)が図示されている。浄水機構(1)は、内部に水を貯蔵することができる容器本体(10)と、容器本体(1)内に配置され、銅ナノ粒子が担持された抗菌性中空糸膜を含む中空糸膜担持モジュール(20)を含む。このような抗菌性中空糸膜は、上述したような本発明による特徴の抗菌性中空糸膜として構成され得る。また、中空糸膜担持モジュール(20)は、抗菌性中空糸膜を覆うモジュールハウジングを備えることができ、モジュールハウジングは、抗菌性中空糸膜が容器本体(10)の内部に貯蔵された水と接触可能に構成される。例えば、モジュールハウジングは、水との接触面に多数の微細開口を含むか、または水との接触面が透過性膜の形態で構成され得る。
【0066】
図6において、浄水機構(1)は、容器本体(10)の上端に形成された開口部(30)と、開口部(30)に脱着可能であり、水を排出するための排出部(41)を備えたカバー(40)を含んでおり、飲用の前に水は開口部(30)を通じて容器本体(1)に適正量で貯蔵され、カバー(40)の排出部(41)を通じてコップなどに適正量を排出して飲用することができる。
【0067】
このように容器本体(10)の内部に貯蔵される水の量は、使用によって可変的である。
【0068】
従って、本発明による浄水機構(1)は、中空糸膜担持モジュールの少なくとも一部が水に浸漬されるように構成される。
【0069】
また、本発明による浄水機構(1)は、容器本体(10)の内部に貯蔵される水の量を検出するセンサ部と(不図示)、水に対する中空糸膜担持モジュール(20)の浸漬量を制御する制御部をさらに含む(不図示)。また、中空糸膜担持モジュール(20)は、容器本体(10)の内部で水の水位によって移動可能に構成された駆動部(21)を含む。
【0070】
センサ部は、水の量を検出することができる公知になっているセンサであり得、その種類が特別に限定されない。また、制御部は、センサ部からの検出値を受信し、制御信号を駆動部(21)に送信することができるものであればよく、その種類が特別に限定されない。
【0071】
制御部は、センサ部から検出された水の量に基づいて、駆動部(21)を駆動させる。駆動部(21)は、例えば、図6に図示されたように、中空糸膜担持モジュール(20)を容器本体(10)の内部から鉛直方向に昇降可能に構成された昇降部材であり得る。または、駆動部(21)は、中空糸膜担持モジュール(20)内に水の一部が収容されるようにして中空糸膜担持モジュール(20)の浮力を調節することで、水に対する中空糸膜担持モジュール(20)の浸漬量を調節可能に構成することができる。ただし、駆動部(21)は、中空糸膜担持モジュール(20)の浸漬量を調節可能な形態であればよく、上述した例に限定されるものではない。
【0072】
このように、本発明による浄水機構(1)によると、中空糸膜担持モジュール(20)の少なくとも一部が水に浸漬されるように構成されるので、銅ナノ粒子によって容器本体(10)の内部に貯蔵される水に対する抗菌または除菌を行うことができる。
【0073】
また、本発明による浄水機構(1)は、水の量の変化によって容器本体(10)の内部に貯蔵された水の単位体積当たりの銅ナノ粒子の水内の存在量を調節することができるので、銅ナノ粒子の溶出による水の汚染を効果的に防止することができる。
【0074】
次に、図7を参考して本発明による浄水機構の他の実施例を説明する。
【0075】
図6の浄水機構(1)は、水が垂直方向に貯蔵されるのに対し、図7に図示された浄水機構(100)は、水が横方向に貯蔵されるという差があるが、本発明の目的を達成するための技術的特徴は、図6の浄水機構(1)と共通する。
【0076】
具体的に図7の浄水機構(100)は、内部に水を貯蔵することができる容器本体(110)と、容器本体(110)内に配置され、銅ナノ粒子が担持された抗菌性中空糸膜を含む中空糸膜担持モジュール(120)を含む。
【0077】
また、浄水機構(100)は、水平面に対する容器本体(110)の横方向の一端に形成された開口部(130)と、開口部(130)に脱着可能であり、水を排出するための排出部(141)を備えたカバー(140)をさらに含む。
【0078】
また、浄水機構(100)は、容器本体(110)の内部に貯蔵される水の量を検出するセンサ部と(不図示)、水に対する中空糸膜担持モジュール(120)の浸漬量を制御する制御部をさらに含む(不図示)。また、中空糸膜担持モジュール(120)は、容器本体(110)の内部で水の水位によって横方向に移動可能に構成された駆動部(121)を含む。
【0079】
すなわち、図7による浄水機構(100)は、中空糸膜担持モジュール(120)が容器本体(110)の内部から横方向に移動可能であるという点において、中空糸膜担持モジュール(20)が容器本体(10)の内部から鉛直方向に移動可能な図6による浄水機構(1)と異なる。
【0080】
また、図7による浄水機構(100)は、開口部(130)の反対側に水が貯蔵されるようにするために、中空糸膜担持モジュール(120)の外周部が容器本体(110)の内周部と接するように構成することができる。また、開口部(130)を通じて水を容器本体(110)に貯蔵するために、中空糸膜担持モジュール(120)が着脱可能に構成されるか、または容器本体の横方向の他端に別個の注入口を形成することができる。
【0081】
図7による浄水機構(100)は、浄水機構(1)と同様に、センサ部から検出された水の量に基づいて、制御部が駆動部(121)を駆動させる。
【0082】
従って、浄水機構(100)によると、中空糸膜担持モジュール(120)の少なくとも一部が水に浸漬されるように構成されるので、銅ナノ粒子により容器本体(110)の内部に貯蔵される水に対する抗菌または除菌を行いながら、銅ナノ粒子の溶出による水の汚染を効果的に防止することができる。
【0083】
また、本発明は、本発明による抗菌中空糸膜の製造方法により製造された抗菌中空糸膜を設けた浄水機構に関する。また、本発明は、本発明による抗菌中空糸膜の製造方法により製造された抗菌中空糸膜を被濾過水の最低水位から接液する位置に設けた浄水機構に関する。
【0084】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものであるだけで、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
【実施例0085】
銅イオン濃度による抗菌性を確認するために、下記のような中空糸膜を作製して、以下において実験した。
【0086】
実施例1(銅イオン濃度5重量%)
N,N-ジメチルアセトアミドに、銅ナノ粒子を蒸着させたポリスルホン樹脂0.75重量%、ポリスルホン樹脂14.25重量%、ポリビニルピロリドン(PVP)とポリエチレングリコール(PEG)混合液30重量%を溶解させて高分子溶液を製造した(全銅ナノ粒子を蒸着させたポリスルホン樹脂及び銅ナノ粒子を蒸着させていないポリスルホン樹脂に対して銅ナノ粒子を蒸着させたポリスルホン樹脂が5重量%である)。内部凝固剤は、水10重量%、ポリエチレングリコール20重量%、N,N-ジメチルアセトアミド70重量%を混合して製造した。高分子溶液は直径1,000μmである二重ノズルを通じて、内部凝固剤は、直径400μmである二重ノズルを通じて、エアギャップ湿度95%、温度35℃の条件で、エアギャップ距離は、10cmとして放射速度20m/minで放射した後、外部凝固剤に浸漬させ、相転移過程を経た後、中空糸膜を製造した。
【0087】
※銅イオン濃度(重量%)=銅ナノ粒子を蒸着させたポリスルホン樹脂/(銅ナノ粒子を蒸着させたポリスルホン樹脂+銅ナノ粒子を蒸着させていないポリスルホン樹脂)×100
【0088】
実施例2及び3(銅イオン濃度7重量%、9重量%)及び比較例1乃至3
高分子溶液の製造時、銅ナノ粒子を蒸着させたポリスルホン樹脂及び銅ナノ粒子を蒸着させていないポリスルホン樹脂を下記で用いることを除いては、実施例1と同様に中空糸膜を製造した。
【0089】
【表1】
【0090】
(1)浸水抗菌試験
実施例1乃至3及び比較例1乃至3の中空糸膜を適用した浄水器フィルタに滅菌蒸溜水を注入し、排出して洗浄した後、菌培養液を注入し、入口を密封した。菌培養液注入直後と、24時間後の菌培養液を回収した。回収した菌培養液1mLを乾燥フィルム培地サニ太くん(一般好気性菌、日本)に接種して1日後、鮮明な赤い集落を計数して菌数を測定した。
【0091】
※菌減少率=[(24時間後の菌数)-(接種直後の菌数)]/(24時間後の菌数)×100(%)
【0092】
【表2】
【0093】
表2に示されているように、実施例1乃至3は、菌減少率がいずれも99.2%以上であって、銅イオン濃度範囲が5重量%乃至9重量%で菌減少率が飲用水として要求される浄水性能を満たすことを確認することができた。
【0094】
(2)抗菌中空糸膜
上記実施例1乃至3の中空糸膜は、中空糸膜内に0.5ppm~50ppmの銅ナノ粒子を担持するように形成されたものである。
【0095】
上記浸水抗菌試験からも分かるように、中空糸膜内に0.5ppm~50ppmの銅ナノ粒子を担持するように形成された中空糸膜が、中空糸膜内に0.5ppm未満の銅ナノ粒子を担持するように形成された中空糸膜よりも抗菌効果に優れていることを確認することができた。すなわち、本発明による中空糸膜内に0.5ppm~50ppmの銅ナノ粒子を担持するように形成される抗菌性中空糸膜は、抗菌効果に優れていることを確認することができた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7