(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189819
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】カップ形状のシャワージェット噴射口ノズル及びシャワーヘッド
(51)【国際特許分類】
B05B 1/18 20060101AFI20221215BHJP
A47K 3/28 20060101ALI20221215BHJP
B05B 1/12 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
B05B1/18 101
A47K3/28
B05B1/12
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022094509
(22)【出願日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】10 2021 205 915.5
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】513045563
【氏名又は名称】ハンスグローエ エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】マルセル ビルガー
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ キンレ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ベーレ
(72)【発明者】
【氏名】パスカル ヨナート
【テーマコード(参考)】
2D132
4F033
【Fターム(参考)】
2D132FA00
2D132FA03
2D132FA15
2D132FB01
2D132FB02
2D132FJ12
2D132FJ16
2D132FJ20
4F033AA11
4F033BA04
4F033CA14
4F033DA05
4F033EA01
4F033FA03
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】本発明は、シャワージェット噴射口ノズルとシャワーヘッド及びこれらを有するシャワー装置に関する。
【解決手段】シャワージェット噴射口ノズルは、中空チャンバ(1)、ノズル長手軸(D
L)に対して横方向に中空チャンバを画成する側壁(2)及びノズル長手軸の方向に中空チャンバの噴射側を画成する底部(3)を有し、その底部が弾性的な材料から形成されており、かつその底部内に少なくとも一つのジェット噴射開口部(4)からなる、開口した噴射端縁部を備えたジェット噴射開口部構造(4
S)が形成されており、底部は、そのジェット噴射開口部構造によって中空チャンバ内のシャワー流体駆動圧の作用を受けて弾性的に撓んで変形し、かつノーマル駆動圧領域で増大するシャワー流体駆動圧に伴ってジェット噴射開口部構造の開口横断面を連続的に増大させるように設計されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ形状のシャワージェット噴射口ノズルであって、
中空チャンバ(1)と、
ノズル長手軸(DL)に対して横方向に前記中空チャンバを画成する側壁(2)と、
前記ノズル長手軸の方向に前記中空チャンバの出口側を画成する底部(3)であって、該底部が弾性的な材料から形成され、少なくとも一つのジェット噴射開口部(4)からなり、開口した初期構造を有するジェット噴射開口部構造(4S)が形成されている、底部と、を備え、
前記底部が、前記中空チャンバ内のシャワー流体駆動圧の作用を受けて前記ジェット噴射開口部構造を弾性的に撓むように変形させ、かつ前記ジェット噴射開口部構造の開口横断面(QS)を、ノーマル駆動圧領域内で増大するシャワー流体駆動圧に伴って連続的に増大させるように、設計されている、シャワージェット噴射口ノズルにおいて、
前記ジェット噴射開口部構造(4S)は、前記側壁(2)から離隔し、前記底部(3)は、内側(3I)及び/又は外側(3A)に、前記底部の隣接する領域に比較して小さい材厚を有する弱化パターン(5)を有し、該弱化パターンは、前記中空チャンバ(1)内の流体駆動圧の作用を受けて弾性的に撓んで変形するように設計され、
前記ジェット噴射開口部構造(4s)は、周方向に交互に複数の膨出領域(6)と複数の陥凹領域(7)を形成しながら交互に増大し、かつ減少する開口半径(RO)を備えた少なくとも一つのジェット噴射開口部(4)を有し、前記膨出領域は、それぞれ、最小の膨出曲率半径(KA)を備えた丸みを帯びた形状を有し、前記陥凹領域(7)は、それぞれ最小の陥凹曲率半径(KE)を備えた丸みを帯びた形状を有し、最小の前記膨出曲率半径と最小の前記陥凹曲率半径は、0.01~1mmの間の領域内にあり、及び/又は最小の前記膨出曲率半径は最小の前記陥凹曲率半径に対して0.3~2.5の間の寸法比にあり、及び/又は
前記ジェット噴射開口部構造(4S)は、平坦でない開口端縁部(8n)を備えた少なくとも一つのジェット噴射開口部(4)を有し、前記開口端縁部は、前記底部(3)の平面(EB)に関して流体噴射方向(FA)と流体噴射方向とは逆を向いた軸方向成分(RA)を有して波形状に延びている、
ことを特徴とするシャワージェット噴射口ノズル。
【請求項2】
更に、前記弱化パターンは前記底部内に少なくとも一つの弱化領域(51)を有し、該弱化領域は、対応付けられた、前記ジェット噴射開口部構造のジェット噴射開口部から離れるように延びている、
ことを特徴とする請求項1に記載のシャワージェット噴射口ノズル。
【請求項3】
更に、前記底部内の前記弱化領域は直線形状の弱化領域であり、該弱化領域は、径方向の主方向成分に対して、直線的に、又は1回屈曲され、又は波線形状に複数回屈曲されて延び、及び/又は
前記底部内の前記弱化領域は、前記側壁まで延び、かつ該側壁内の弱化領域(9)へ移行し、及び/又は
前記底部内の前記弱化領域は直線形状の弱化領域であり、該弱化領域は対応付けられた前記ジェット噴射開口部の前記膨出領域の1つから、又は前記陥凹領域の1つから出発している、
ことを特徴とする請求項2に記載のシャワージェット噴射口ノズル。
【請求項4】
更に、前記少なくとも一つの弱化領域がジェット噴射開口部から離れるように延びる、前記ジェット噴射開口部のための前記底部は、ジェット噴射角度を調節するように形成され、前記底部の内側における、前記ジェット噴射開口部から離れるように延びる少なくとも一つの弱化領域は、前記ジェット噴射開口部の長手中心平面(LM)に対してジェット噴射角度を調節するように、非対称の配置で形成され、及び/又は、前記底部は、少なくとも前記ジェット噴射開口部を含む領域内で、ジェット噴射角度を調節するように内側に傾斜して延び、及び/又は、前記ジェット噴射開口部は前記底部内でジェット噴射角度を調節するように偏心して配置されている、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のシャワージェット噴射口ノズル。
【請求項5】
更に、前記底部の内側における前記ジェット噴射開口部から離れるように延びる少なくとも一つの弱化領域の非対称の配置は、前記ジェット噴射開口部の長手中心平面に関して対向する2つの直線形状の、異なる長さ及び/又は異なる幅の弱化領域(51a、51b)を有し、又は前記底部の内側における前記ジェット噴射開口部から離れるように延びる弱化領域(51c)を有し、弱化されていない底部領域(3u)は、前記ジェット噴射開口部の長手中心平面に関して前記弱化領域に対向している、
ことを特徴とする請求項4に記載のシャワージェット噴射口ノズル。
【請求項6】
更に、前記弱化パターンは、前記底部の内側と外側に、それぞれ少なくとも一つの弱化領域(51d、51e)を有し、内側に設けられた前記少なくとも一つの弱化領域(51d)は外側に設けられた前記少なくとも一つの弱化領域(51e)に対して、前記底部の周方向に変位して配置されている、
ことを特徴とする請求項1~5の何れかに記載のシャワージェット噴射口ノズル。
【請求項7】
更に、前記ジェット噴射開口部構造の前記少なくとも一つのジェット噴射開口部が、丸みを帯びた多角形横断面基本形状を有し、前記膨出領域が、前記多角形横断面基本形状の丸みを帯びたコーナー領域を形成している、
ことを特徴とする請求項1~6の何れかに記載のシャワージェット噴射口ノズル。
【請求項8】
更に、
前記ジェット噴射開口部構造の前記少なくとも一つのジェット噴射開口部は0.2~1.2mmの領域内の噴射等価直径を有し、及び/又は
前記弱化パターンの外部の前記底部の材厚(WB)は0.1~1mmの領域内にあり、及び/又は
前記弱化パターンの領域内の前記底部の最小材厚(WM)は、前記弱化パターンの外部の前記底部の材厚(WB)の1/5~1/2の間であって、及び/又は
前記ジェット噴射開口部構造の前記少なくとも一つのジェット噴射開口部は、漏斗状4分円形状に丸みを帯びた流入領域(4E)を有し、該流入領域は0.1~0.3mmの間の流入曲率半径(ER)を有し、及び/又は
中空チャンバ内径(HD)は1.5~4mmの領域内にあり、及び/又は
中空チャンバ長さ(HL)は4~8mmの領域内にあり、及び/又は
前記弱化パターンの外部の前記側壁の材厚(WS)は少なくとも0.8mmである、
ことを特徴とする請求項1~7の何れかに記載のシャワージェット噴射口ノズル。
【請求項9】
更に、前記ジェット噴射開口部構造(4S)は複数のジェット噴射開口部を有し、かつ前記底部は、該底部の隣接する領域に比較して大きい材厚を備えた補強ウェブパターン(10)を有し、該補強ウェブパターンは前記底部を複数の底部領域(31、32、33)に分割し、それぞれにおいて、前記ジェット噴射開口部の少なくとも一つが配置され、又はそれぞれ補強ウェブ端部をもって前記ジェット噴射開口部のそれぞれまで延びている、
ことを特徴とする請求項1~8の何れかに記載のシャワージェット噴射口ノズル。
【請求項10】
請求項1~9の何れかに記載の少なくとも一つのカップ形状のシャワージェット噴射口ノズルによって特徴付けられるシャワーヘッド、特にサニタリーシャワーヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ形状のシャワージェット噴射口ノズルに関するものであり、中空チャンバと、中空チャンバをノズル長手軸に対して横方向に画成する側壁と、中空チャンバをノズル長手軸の方向に噴射側で画成する底部と、を有しており、底部が弾性的な材料から形成され、かつ底部に、開口した出口構成を有する、少なくとも一つのジェット噴射開口部からなるジェット噴射開口部構造が形成され、底部は、中空チャンバ内のシャワー流体駆動圧の作用を受けて、ジェット噴射開口部構造が弾性的に撓んで変形し、かつジェット噴射開口部構造の開口横断面が、通常駆動圧領域内で増加するシャワー流体駆動圧に伴って徐々に上昇するように、設計されている。本発明は、さらに、少なくとも一つのこの種のシャワージェット噴射口ノズルを備えたシャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
この形式及び同様な形式のシャワージェット噴射口ノズルは、特にサニタリーシャワーのようなシャワーにおいて広く使用されている。底部の、弾性的に撓む変形可能性は、様々な目的のために利用することができる。上述した種概念に基づくノズルタイプにおいて、少なくとも一つのジェット噴射開口部からなるジェット噴射開口部構造は、開口した出口構造を有しており、それは、ノズル中空チャンバ内に流体圧が存在しない、あるいはいずれにせよ取り立てていうほどは存在しない、圧力なしの噴射状況においてすでにジェット噴射開口部構造が開口した、すなわち流体の通過を可能にする、構造を有していることを、意味している。言い換えると、ジェット噴射開口部構造の開口横断面、すなわちその、シャワー流体の通過のための尺度となる実効通過横断面が、圧力なしの初期状態においてゼロより大きく、したがって圧力なしの初期状態において閉鎖されており、流体圧が生じて始めて開口する、他の種類のノズルとは異なる。
【0003】
ここでシャワー流体駆動圧というのは、名称が示すように、シャワージェット噴射口ノズルの駆動中のシャワー流体の圧力であって、これは、シャワーの規定どおりのノーマルな駆動に関するものであって、ノズル中空チャンバ内のシャワー流体の圧力が、たとえばジェット噴射開口部構造の詰まりに基づいて、ノーマル駆動圧領域を越えて上昇する、過圧状況のような、特殊状況に関するものではない。もっと正確に言うと、シャワー流体駆動圧というのは、ノズルのノーマルなシャワー駆動において、ノズルの中空チャンバ内を支配する流体圧であり、したがってノズル内圧あるいは短く内圧とも称される。ノーマル駆動圧領域というのは、ノズルのノーマル駆動において、又はそれぞれ実際の駆動環境に応じて、流体圧が存在し得る、圧力領域である。すなわち実際の流体駆動圧は、たとえば、州又は地域固有の設定又は公共の水道のような、対応付けられた流体供給の条件に、そしてまた該当するシャワーの構造及びその使用状態に、依存することがあり得る。公共の水道に接続される、サニタリーシャワーの場合においては、建物側で提供される供給圧は、たとえば典型的に約0.05MPa~0.15MPaの領域内にあり、かつノズル中空チャンバ内のシャワー流体駆動圧、すなわちノズル内圧は、ノーマル駆動において、たとえば間欠的に0MPa~約0.04MPaの値、大体において約0.02MPaと0.04MPaの間の値をとる。従来のシャワーにおいて、たとえばノズルの詰まりに基づいて生じ得るような、約0.05MPaより高いノズル内圧は、圧力負荷によるノズル又はシャワーの損傷の危険を伴うために、通常望ましくないので、たとえば過圧弁の組み込みによって対処される。
【0004】
この種概念に基づく種類のシャワージェット噴射口ノズルは、特許文献1に開示されている。このノズルにおいては、底部は、たとえば3つ又は4つのフラップ部分によって形成されており、それらはノズル出口において側壁から径方向内側へ張り出しており、かつそれらフラップ部分の間にノズルの個々のジェット噴射開口部を定めている。シャワー駆動において、フラップ部分は中空チャンバ内の流体駆動圧の作用を受けて、シャワー流体駆動圧の高さに依存する程度だけ径方向と軸方向に、すなわちノズル長手軸に対して平行に、弾性的に撓んで外側へ反る。圧力のない初期構造において、ジェット噴射開口部は、比較的小さい中央の開口部と、この開口部から径方向外側へ向かって側壁まで通じるスリット領域とからなり、それらのスリット領域がそれぞれ隣接するフラップ部分を互いに分離させて保ち、すなわちジェット噴射開口部はスター形状又は十字形状の基本形状を有している。流体駆動圧が生じた場合にフラップ部分が開くことによって、ジェット噴射開口部の開口横断面が増大し、それによってノズルの流れ抵抗を、様々な流体流れ率に自動的に適合させようとしている。ジェット噴射開口部がその横断面形状を質的に、どちらかと言うと円い形状に変化させる。そこでは代替的に、底部のない円筒状のノズルが提案され、それらのノズルの側壁が作用する流体駆動圧を受けて弾性的に撓んで変形することができ、そのために側壁に軸方向スリットが設けられている。
【0005】
特許文献2に開示されているカップ形状のシャワージェット噴射口ノズルにおいては、中空チャンバ内に生じるシャワー流体駆動圧の作用を受けて丸く変形する、弾性的な材料からなる底部内に、細かいジェット噴射開口部の形式の複数のジェット噴射開口部が形成されており、かつ底部に加えて、好ましくは側壁も弾性的な材料から形成されており、かつ、底部と同様に流体圧にしたがって湾曲して変形するように、構成されている。このノズル構成をもって、汚れ粒子と石灰堆積による詰まり現象に対する比較的低い感度と同時に、霧状に細かいシャワージェットを発生させることができるように、意図されている。
【0006】
特許文献3に開示されているシャワーヘッドにおいては、カップ形状の円筒状の弾性的ジェットフォーマー(その底部には、約1.2mm直径の個々の円いジェット噴射開口部が設けられている)が、硬いジェット噴射ディスクの約2~10mm直径の円形の収容開口部内に嵌め込まれている。流体駆動圧が生じた場合に、底部が外側へ湾曲して変形することができ、それによって石灰堆積の自動的な剥がれ又は剥離を可能にしようとしている。
【0007】
さらに、シャワージェット噴射口ノズルが多様な形態において知られており、それらにおいて側壁及び場合によっては選択的に存在する弾性的材料からなる底部は、ユーザーによってもたらされる圧力によってのみ変形され、特にそれによって石灰堆積を除去するように設計されている。それに対してノズル及び特にそのジェット噴射開口部は、シャワーの駆動中に作用するシャワー流体駆動圧を受けて形状安定のままであり、したがって、放出されるシャワージェットの一定のジェット噴射イメージを保証するために、変形せず、そのためにその側壁とその選択的な底部は、それに応じた圧力耐性をもって形成されている。特許文献4は、この種の、弾性的な材料からなるリングカップ形状のシャワージェット噴射口ノズルを開示しており、そこでは付加的に、ノズルのリングカップ底部は、内側へ向かって湾曲し、あるいは平坦に形成されている場合に、生じるシャワー流体駆動圧によって外側へ向かって湾曲する可能性が述べられている。
【0008】
さらに、シャワージェット噴射口ノズルが知られており、そのジェット噴射開口部の構造は、開口していない、閉鎖された初期構造をもって形成されており、すなわちその開口横断面は圧力なしの初期構造においてゼロに等しく、ジェット噴射開口部構造は、シャワー流体駆動圧の作用を受けて初めて開口する。このタイプのシャワージェット噴射口ノズルが、特許文献5に開示されている。そこに記載のノズルにおいて、それぞれのジェット噴射開口部は、弾性的な閉鎖膜によって形成され、あるいは覆われており、その閉鎖膜に圧力なしの状態において閉鎖されるスリットパターンが設けられており、そのスリットパターンによって閉鎖膜が流体圧作用を受けて変形して開口することができる。このノズルタイプは、サニタリーシャワーにおいては、典型的に、望ましくない後漏れの効果を阻止するために、用いられる。このタイプの他のシャワージェット噴射口ノズルが、特許文献6に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0062426(A1)号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102016225987(A1)号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第4039337(A1)号明細書
【特許文献4】国際公開第95/22407(A1)号
【特許文献5】欧州特許出願公開第1700636(A2)号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第3101808(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、技術的問題として、上で述べた従来技術に比較してはるかに改良された、特に様々な高さのシャワー流体駆動圧において提供可能なシャワージェット特性に関し、かつ好ましくは比較的細かいシャワージェット、少ない石灰化傾向及び是認可能な低い製造コストに関して改良された、冒頭で挙げた種類のシャワージェット噴射口ノズルを提供することである。さらに本発明は、そのようなシャワーの提供を目標としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明はこの問題を、請求項1の特徴を有するシャワージェット噴射口ノズルと請求項10の特徴を有するシャワー装置を提供することによって解決する。本発明の好ましい展開が、下位請求項に記載されており、これをもってその文言は、参照により明細書の構成要素とされる。これは特に、下位請求項内の帰属によって定められる特徴の組み合わせから生じる、本発明のすべての実施形態も含むものである。
【0012】
本発明の第1の視点によれば、本発明に係るシャワージェット噴射口ノズルにおいて、ジェット噴射開口部構造は側壁から離隔しており、かつ底部は内側及び/又は外側に、底部の隣接する領域に比較して小さい材厚を有する弱化パターンを有しており、弱化パターンは、中空チャンバ内の流体駆動圧の影響を受けて弾性的に撓んで変形するように、設計されている。
【0013】
コンピュータシミュレーション又は経験的な実験によって、この措置が好ましいやり方で、このような構成のシャワージェット噴射口ノズルが様々な高さの流体駆動圧のために所望のシャワージェット特性を準備し、かつ維持できることに寄与することが、立証可能に明らかにされている。特にこの措置は、シャワー流体駆動圧の上昇に伴ってジェット噴射開口部構造の開口横断面が所望に連続して増加することを準備し、かつ同時にノーマル駆動圧領域内で変化するシャワー流体駆動圧によってジェット噴射開口部構造の横断面形状を定められたように調節し、たとえば質的にほぼ維持し、あるいは代替的に所望の値に変化させることを助ける。これが、たとえば種々の水道網内の異なる水圧により、あるいは供給水圧の短時間の変動により、あるいは、たとえば前段に設置されている遮断アーマチュアにおいてユーザーが可変に設定できるような、種々のシャワー流体体積流及びそれに基づくノズル中空チャンバ内のシャワー流体駆動圧の変化により、ノズルの中空チャンバ内に様々なシャワー流体駆動圧が存在する、様々なノーマルな駆動状況内で、それぞれ所望のシャワージェット特性、すなわち所望のジェット噴射の種類又は所望のジェット噴射イメージを得て、たとえば維持し、あるいは所望に変化させることに、寄与する。
【0014】
ジェット噴射開口部構造がノズルの側壁から離隔しているので、関連する全てのジェット噴射開口部は底部の、ノズル側壁から離隔した領域の内部に位置し、それによって側壁の形状を安定させる作用が特に良好に底部へ伝達されることが、可能になる。底部内の弱化パターンは、流体圧作用を受けて弾性的に可塑変形するやり方と程度を所望に設定することを可能にする。底部は、弱化パターンの領域内で、隣接する材厚のより大きい底部領域内よりも、容易に変形可能であるので、形状付与と材厚に関する弱化パターンの定められた構成によって、流体圧に依存する底部の変形が所望に調節可能かつそれに伴って決定可能である。特に底部は、必要な場合に弱化パターンの適切な構成によって次のように、すなわちまず、要請されるように、ジェット噴射開口部構造の開口横断面が、ノーマル駆動圧領域内で増大するシャワー流体駆動圧に伴って連続的に増大し、他方でジェット噴射開口部構造の開口横断面は、ノーマル駆動圧領域内で変化するシャワー流体駆動圧によって良好に管理可能であり続け、たとえばほぼ変化しないままとなり、あるいはあらかじめ定められた形状変化を行うように、形成することができる。好ましくはその結果、ノズルのために、従来の流体圧に依存して変形しない構造の堅固なノズルに比較して、ノズル内でノズルを通り抜けるシャワー流体の増大する体積流を有するノズル内の流体圧の上昇について、はっきりとよりフラットな特性曲線が得られ、かつ同時にジェット噴射開口部構造の横断面形状は、それぞれ必要性と適用性に応じて、質的に維持し、あるいは所定の場合には、流体圧にしたがって所望に変化するように設定することもできる。弱化パターンは、特に、ノズル内圧の上昇による底部変形及びそれからもたらされるそれぞれのジェット噴射開口部の拡幅に依存する、所望の高い程度の安定性を得ることに、寄与することができ、その高い程度の安定性が、ノズル内圧が変化した場合のジェット噴射開口部の横断面形状と開口横断面の飛躍的な変化を回避する。
【0015】
本発明の第2の視点によれば、本発明に係るシャワージェット噴射口ノズルのジェット噴射開口部構造は、周方向に交互に膨出領域と陥凹領域とを形成しながら交互に増大する開口半径と減少する開口半径を備えた少なくとも一つのジェット噴射開口部を有しており、膨出領域はそれぞれ最小の膨出曲率半径を有する丸みを帯びた形状を、そして陥凹領域はそれぞれ最小の陥凹曲率半径を有する丸みを帯びた形状を有している。最小の膨出曲率半径と最小の陥凹曲率半径は、0.01mmと1mmの間の領域内にある。この寸法設計特性に加えて、あるいはそれの代わりに、最小の膨出曲率半径は最小の陥凹曲率半径に対して0.3~2.5の間の寸法比にある。ジェット噴射開口部構造が複数のジェット噴射開口部を有する場合に、これらすべてのジェット噴射開口部あるいはその一部のみが、膨出領域と陥凹領域とを備えたこの種の形状を、有することができる。
【0016】
ここでも、コンピュータシミュレーション及び/又は経験的な実験によって、このように構成されたジェット噴射開口部構造が特に好ましいシャワージェット特性を得ることを可能にすることが、立証可能に明らかにされている。特に、交互に設けられた複数の膨出領域と複数の陥凹領域及びそれらの、記載の最小曲率半径を有する、又は値1から激しくずれない、特に0.3~2.5の間にある寸法比を有する、それぞれ充分に丸みをおびた形状が、該当するジェット噴射開口部の好ましいシャワージェット特性に寄与することが明らかにされており、さらに、ジェット噴射開口部のこの構成によって、可能なシャワー流体駆動圧の広い領域にわたって、かつきわめて所定のシャワー流体駆動圧、又はジェット噴射流体駆動圧の狭い部分領域についてだけでなく、実際に生じる重要なシャワー流体駆動圧の領域の内部で、所望の変化しない好ましいシャワージェット特性を得ることができることが、示されている。シャワージェットに、ジェット噴射開口部の丸みを帯びた膨出領域と陥凹領域によって、予測できない驚くべきやり方で好ましいジェット噴射特性が与えられ、かつ可能な流体圧及びそれからもたらされる様々に拡幅された、ジェット噴射開口部の横断面形状の広いノーマル駆動圧領域にわたって、ほぼ維持もされる。このジェット噴射開口部から噴射するシャワージェットは、ジェット噴射開口部を出た後に比較的長い距離区間にわたってそのジェット噴射形状をほぼ維持することができ、短い距離区間後にすでに個別ジェット噴射又は滴に分解されることはない。これは、ジェット噴射開口部の丸みを帯びた膨出領域と陥凹領域がシャワージェット内の流れ挙動に与えるポジティブな影響に起因することができ、それによってたとえば、ジェット噴射開口部の開口端縁部の尖った、あるいは角のある領域によってもたらされ得る、シャワー流体流の乱れと単一性が回避される。他方で、1mmより大きい最小の陥凹曲率半径又は最小の膨出曲率半径は、ジェット噴射開口部の領域内の底部の変形を困難にし、したがって所定の適用のためには所望の利点をもたらさないことが、あり得る。
【0017】
本発明の第3の視点によれば、本発明に係るシャワージェット噴射口ノズルのジェット噴射開口部構造は、平坦でない開口端縁部を有する少なくとも一つのジェット噴射開口部を有しており、その開口端縁部は底部の平面に関して流体噴射方向及び流体噴射方向とは逆を向いた軸方向成分を有して波形に延びている。流体噴射方向というのは、ノズル長手軸の、ノズルから出る方向であって、シャワー流体はノズルを、この流体噴射方向を向いた方向成分を有して、大体の場合においてこの方向を向いた主方向成分を有して、すなわちこれに対して平行あるいはこれに対して45°より小さい鋭角で出てゆく。ジェット噴射開口部構造が複数のジェット噴射開口部を有する場合に、これらすべてのジェット噴射開口部あるいはその一部のみが、この種の平坦でない開口端縁部を有する。
【0018】
ここでもコンピュータシミュレーション及び/又は経験的な実験によって、該当するジェット噴射開口部のこの構成が同様に、全体としてノーマル駆動圧領域内で増大するシャワー流体駆動圧に伴うジェット噴射開口部及びそれに伴ってジェット噴射構造の開口横断面の所望の連続的増大を好ましいやり方で準備することにも、ノーマル駆動圧領域内部で様々なシャワー流体駆動圧のための好ましいシャワージェット特性を準備することにも、寄与することが、立証可能に明らかにされており、それはたとえば、ジェット噴射開口部構造の横断面形状及びそれによってもたらされるシャワージェット特性をノーマル駆動圧領域にわたってほぼ一定に維持し、あるいは所望のやり方で変化させることができるようにすることが、該当するジェット噴射開口部の平坦でない開口端縁部のしかるべき具体的形態によって達成される。開口周囲に沿って一周する間に交互にノズル中空チャンバから外側に向かう方向と、ノズル中空チャンバ内へ内側に向かう方向に延びる開口端縁部の、ノズル長手軸に対して平行な軸方向成分に関するその波形の推移により、その横断面形状を等しく維持しながらジェット噴射開口部の開口横断面の変化のために望ましい、ノズル底部及びそれに伴ってそのジェット噴射開口部構造の高い弾性的な変形性が様々なシャワー流体駆動圧の広い領域にわたって得られ、変化するノズル内圧にともなって、きわめて均一な変形挙動すなわちその高い一様性が得られる。
【0019】
上述した3つの本発明視点は、それぞれそれ自体で、かつ、記載の情報及び説明によって当業者に理解されるように、それぞれ2つ又は3つすべての視点を任意に組み合わせて、シャワージェット噴射口ノズルの提供に寄与し、それらは特にそれによって提供可能なシャワージェット特性に関して、ノズル中空チャンバ内の通常のノーマル駆動圧領域内のはっきりと異なるシャワー流体駆動圧においても、冒頭で挙げた従来技術のシャワージェット噴射口ノズルに比較して著しい利点を可能にすることが、明らかにされている。さらにこれらの発明視点の各々は、特にノズル底部の流体圧に依存する可変の弾性変形により、シャワージェット噴射口ノズルの石灰化傾向を低く抑え、石灰堆積を防止し、かつ石灰が堆積してもそれを自動的に再び剥離させることに寄与し、かつ必要な場合には比較的細かいシャワージェットを発生させることができ、そのためにそれぞれのジェット噴射開口部をそれに応じた小ささの開口横断面を有するように構成することができる。本発明に係るシャワージェット噴射口ノズルは、さらに、上述した3つの発明視点の各々において、比較的小さい手間で形成され、かつたとえば、シャワールーム内のヘッドシャワー、ハンドシャワー及びサイドシャワーの形式のシャワーリングシャワーのような、サニタリーシャワーに、そして、キッチン作業スペース内で使用されるような、キッチンシャワーに、非常に適している。
【0020】
本発明に係るシャワージェット噴射口ノズルは、そのジェット噴射発生挙動又はそのシャワージェット噴射特性に関して、ノーマルなシャワー駆動において発生し得るような、様々な流体圧に、たとえば様々な州又は地域の様々な水道網内で設定されている様々な流体圧に、そして水供給又は他の流体供給の流体圧の駆動に基づく変動に、そして、対応付けられたシャワー自体内で発生することがあり得る、ノーマルなシャワー駆動における流体圧変動に、最適に適合することができる。特別な利点は、特に、本発明に係るシャワージェット噴射口ノズルにおいて、シャワー流体駆動圧、すなわちノズル中空チャンバ内及び特にノズル出口の近傍のシャワー流体の内圧は、ノズルを通り抜けるシャワー流体の体積流の上昇に伴って、従来の、同様な構造ではあるが、ノーマルなシャワー駆動における流体圧を受けてほとんど変形しない、堅固なノズルとして形成されているシャワージェット噴射口ノズルの場合におけるより、上昇するのがずっと少ないことにある。
【0021】
言い換えると、本発明に係るシャワージェット噴射口ノズルのために、これらの従来のノズル比較して、体積流に依存する内圧について、はっきりとよりフラットな特性曲線が生じる。言い方を変えると、本発明に係るシャワージェット噴射口ノズルは、ノズル中空チャンバ内の比較的低いままの流体内圧において、ノズルを通り抜ける流体の比較的高い体積流を可能にする。したがって本発明に係るシャワージェット噴射口ノズルは、好ましくは自らが放出するシャワージェットのシャワージェット特性又はジェット噴射イメージをほぼ維持しながら、かつノズル中空チャンバ内の流体圧の望ましくない著しい上昇なしで、比較的小さい体積流も、比較的大きい体積流も、可能にする。
【0022】
本発明の展開において、弱化パターンが底部内に少なくとも一つの弱化領域を有しており、その弱化領域はジェット噴射開口部構造の対応付けられたジェット噴射開口部から離れるように延びている。弱化パターンが複数の弱化領域を有している場合に、必要な場合においてこの特徴は、これらすべての弱化領域において、あるいはその一部のみにおいて、実施される。弱化領域(この中で底部が特に容易に変形する)がジェット噴射開口部まで延びていることは、きわめて多くの適用について、ノズル中空チャンバ内で増大するシャワー流体駆動圧による、ジェット噴射開口部の所望に拡幅する変形に関して、特に好ましいことが明らかにされている。所定の他の適用場合にとって目的に合う場合があるような、代替的な形態において、弱化パターンの少なくとも一つの弱化領域は、ジェット噴射開口部又はその開口端縁部に対する所定の最小間隔を維持する。
【0023】
本発明の形態において、底部内の弱化領域は、直線形状の弱化領域であって、それが径方向の主方向成分を有してまっすぐに、あるいは1回曲がって、あるいは波線形状に多数回曲がって延びている。この措置は、きわめて多くの適用にとって、底部変形挙動を大幅に最適化するために好ましいことが明らかにされている。底部又はジェット噴射開口部に関して径方向又は主として径方向の、直線形状の弱化領域の延びは、高い流体圧によって拡幅するジェット噴射開口部の横断面形状を所望に調節するための、好ましい変形挙動に寄与する。弱化領域のまっすぐな延びは、さらに、製造を簡単にすることができる。1回曲がった、又は波線状に複数回曲がった延びは、まっすぐな延びに比較して、可能なシャワージェット流体駆動圧の比較的大きい領域にわたって、底部及びそれに伴ってそのジェット噴射開口部構造のさらに強い変形を可能にする。それによってさらに、必要な場合には、ジェット噴射開口部の長手軸を中心とする付加的な回転成分を有して、ジェット噴射開口部の領域内の底部の変形を行うことができる。しかるべき適用において好ましいことがあり得るような、代替的な形態において、弱化領域は、たとえば径方向の少数の方向成分を有する螺旋形状の延びを有することができ、すなわち弱化領域は、径方向のわずかな方向成分と径方向に対して垂直に延びる方向の主方向成分とをもって延びている。
【0024】
本発明の形態において、底部内の弱化領域は側壁まで延びて、そこで側壁内の弱化領域へ移行している。この措置によって、側壁は、特に底部に隣接する領域内で、必要な場合に底部の変形挙動に寄与する。というのは、側壁内の付加的な弱化領域は、側壁及び側壁が底部へもたらす形状を安定させる作用にとってある程度の弱化を意味するからである。それぞれ側壁内のこの付加的な弱化領域の形態に応じて、さらに底部の変形が側壁の補完的な変形も伴うことができる。側壁のこの機能性の需要がない、代替的な形態においては、弱化領域のない側壁が実施されている。
【0025】
本発明の形態において、底部内の弱化領域は直線形状の弱化領域であって、その弱化領域が膨出領域に対応付けられたジェット噴射開口部あるいは陥凹領域に対応付けられたジェット噴射開口部から離れて延びている。この措置は、好ましくは、シャワー流体駆動圧が上昇した場合に底部の変形が増大することによりジェット噴射開口部が拡幅した場合に、ジェット噴射開口部の横断面形状を所望に調節すること、たとえば質的にあらかじめ定められた横断面形状を維持すること、及び/又は、特にその膨出領域又はその陥凹領域の領域内で、より高い流体圧によるジェット噴射開口部の拡幅を所望に調節し、又は支援することに、寄与することができる。しかるべき適用のために好ましい場合があるような、代替的な形態において、たとえばジェット噴射開口部がこの種の膨出領域と陥凹領域を持たない場合において、あるいは弱化領域がジェット噴射開口部のセクション内でその膨出領域及び陥凹領域の外部に延びている場合において、弱化領域はジェット噴射開口部の膨出領域又は陥凹領域から離れるように延びていない。
【0026】
本発明の形態において、底部はジェット噴射開口部(このジェット噴射開口部から少なくとも一つの弱化領域が離れるように延びている)のために、ジェット噴射角度調節するように形成されており、ジェット噴射開口部から離れるように延びる少なくとも一つの弱化領域は底部の内側に、ジェット噴射開口部の長手中心平面に対してジェット噴射角度を調節するように非対称の配置で形成されており、及び/又は底部は少なくともジェット噴射開口部を含む領域内でジェット噴射角度を調節するように内側に傾斜して延びており、及び/又は底部内でジェット噴射開口部はビーク角度を調節するように偏心して配置されている。
【0027】
底部が、ジェット噴射開口部のためにジェット噴射角度調節するように形成されている、という特徴付けは、ここでは、この場合に底部が、ジェット噴射開口部のためにジェット噴射角度調節がもたらされるように、すなわちノズルの駆動中にシャワージェットがこのジェット噴射開口部から、ノズルの長手軸に関して調節されたジェット噴射角度で、すなわち長手軸と鋭角を形成して、噴射するように、形成されていることを意味する。典型的に、サニタリーシャワー適用のためのこの鋭角又は調節角度は、たとえば0°~30°の間、大体において0°~20°の間、たとえば5°~15°の間の領域内にある。
【0028】
ジェット噴射角度調節は、好ましくは底部のしかるべき形成によって、特にその少なくとも一つの内側の弱化領域をしかるべく非対称に配置することによって、及び/又はこの底部内側のしかるべき傾斜した推移によって、及び/又はジェット噴射開口部のしかるべき偏心した配置によって、準備される。これらの措置は、それ自体あるいは組み合わせて、シャワー流体がジェット噴射開口部の長手中心平面の一方の側において、対向する他方の側におけるよりも、より高い流れ速度及びノズル長手軸に対して垂直に、流れ速度のより高い横成分を有して、ジェット噴射開口部内へ流入することに、寄与し、それによってシャワージェットがノズル長手軸に対して平行ではなく、前述した調節角度で、ジェット噴射開口部から噴射する効果が生じる。
【0029】
すなわち、底部の内側の弱化領域は、シャワー流体のための通路として作用することができ、その非対称の配置によって、シャワー流体のためにジェット噴射開口部の長手中心平面に関して一方の側において、対向する側におけるよりも、高い流れ速度が生じることになり、その結果、シャワー流体はこの長手中心平面に対して平行でなく、傾斜して、すなわちノズル長手軸に対して前述した調節角度で、ジェット噴射開口部から噴射する。同一の効果又は同種の効果は、底部内側の傾斜した形成により、又は底部内のジェット噴射開口部の偏心した配置によって、得られる。
【0030】
この底部形態によってシャワージェットのための調節角度は、シャワー流体駆動圧が変化し、それに基づいて底部が変形し、かつジェット噴射開口部が拡幅又は狭窄した場合に、予測されない程度において、ほぼ一定に留まることが明らかにされている。言い換えると、所望の調節角度は、ノズルを通り抜ける流体の体積流が比較的小さい駆動状態についても、体積流が比較的高い駆動状態についても、実質的に変化しないままである。代替的な形態において、ノズルの底部は、この種のジェット噴射角度調節なしで実施されており、すなわちシャワージェットはノズル長手軸に対して平行のジェット噴射主方向をもってノズルから噴射する。
【0031】
本発明の他の形態において、ジェット噴射開口部から離れるように延びる少なくとも一つの、底部の内側の弱化領域は、長手中心平面に関して対向する2つの直線形状の、異なる長さ及び/又は異なる幅の弱化領域、あるいはジェット噴射開口部から離れるように延びる、底部の内側の1つの弱化領域を有しており、その弱化領域に、ジェット噴射開口部の長手中心平面に関して弱化されていない底部領域が対向している。これが、機能的にきわめて有効かつ製造技術的に比較的簡単に実施可能な可能性を表しており、その可能性は、少なくとも一つの関連した弱化領域の特殊な非対称の配置によってジェット噴射開口部のための所望のジェット噴射角度調節を実施するものである。代替的に、この非対称の配置のための他の実施、たとえば直線形状の弱化領域の代わりにしかるべく非対称に配置された平面的な弱化領域を使用して、実施することが可能である。
【0032】
本発明の展開において、弱化パターンは、底部の内側と外側にそれぞれ少なくとも一つの弱化領域を有しており、内側の少なくとも一つの弱化領域は、外側の少なくとも一つの弱化領域に対して、底部の周方向に変位して配置されている。この措置は、たとえば、底部の比較的大きい程度の変形が望ましい、すなわち与えられた流体圧において底部を比較的強く変形させたい、適用のために効果的であることが明らかにされている。これは、底部の両側の弱化によって得られ、その両側の弱化は、弱化領域が内側のみに、あるいは弱化領域が外側のみに存在している場合よりも、底部をより容易に変形可能にする。というのは、底部の両側の弱化は、底部周方向に互いに変位しているので、弱化は互いにじゃませず、したがって底部内の切り欠きとして形成することができ、その切り欠きは、底部の約半分の材厚以上の深さを有する。逆に、所定の流体圧において所望の程度の変形を得るために、底部の両側に弱化領域を形成することは、底部の内側のみに、あるいは外側のみに弱化領域を形成するのに比較して、底部のより小さい材料弱化を必要とする。それで充分であり、かつ目的に合致している、代替的な形態において、弱化パターンは、底部の内側のみ、あるいは外側のみに形成されている。
【0033】
本発明の展開において、ジェット噴射開口部構造は、丸みを帯びた多角形の横断面基本形状を備えたジェット噴射開口部を有しており、膨出領域が多角形の横断面基本形状の丸みを帯びたコーナー領域を形成する。ジェット噴射開口部構造は、複数のジェット噴射開口部を有しており、これらのジェット噴射開口部のすべて、あるいはその一部のみが、この種の横断面基本形状を有する。それぞれのジェット噴射開口部のための横断面基本形状のこの選択が、多くの適用のために、特にサニタリーシャワーにおいて、ノーマル駆動圧領域内の種々のシャワー流体駆動圧のもとで、ジェット噴射開口部から噴射するシャワージェットの最適なジェット噴射特性をもたらすことが、明らかにされている。それは特に、四角形又は三角形の横断面基本形状であり、かつ多くの適用のためには、4つより大きい、丸みを帯びたコーナー領域又は膨出領域を有する多角形の横断面基本形状、たとえば5つ又は6つの丸みを帯びたコーナー領域を備えたもの、とすることもできる。
【0034】
本発明の展開において、ジェット噴射開口部構造は、0.2~1.2mmの領域内の噴射等価直径を備えたジェット噴射開口部を有している。ということは、0.2~1.2mmの間の開口直径を有する仮想の円形のジェット噴射開口部の開口横断面に相当する、開口横断面を有する噴射開口部が形成されるということである。したがってそれは、従来のサニタリーシャワーのジェット噴射開口部に比較して、比較的小さい開口横断面を有するジェット噴射開口部である。この種のジェット噴射開口部はそれに応じた細かいシャワージェットを発生させ、したがってそのシャワージェットは当業者によってニードルジェット噴射又はファインジェット噴射とも称される。この寸法設計は、それぞれしかるべき実施において、底部又はノズルのすべてのジェット噴射開口部に、あるいは複数のジェット噴射開口部の1つだけに、又はすべてのジェット噴射開口部の一部だけに、該当する。代替的な形態において、各ジェット噴射開口部は、1.2mmより大きい、あるいは0.2mmよりさらに小さい、噴射等価直径を有する。
【0035】
本発明の展開において、弱化パターンの外部の底部の材厚は、0.1~1mmの領域内にある。底部のこの厚み寸法設計は、多くの展開のために、特にサニタリーシャワーにおいて、底部の充分な圧力安定性に関して、そして所望の流体圧に依存する変形性に関して、好ましいことが明らかにされている。代替的な形態において、弱化パターンの外部の底部の厚みは、特殊な適用の場合には、0.1mmより小さく、あるいは1mmより大きい。
【0036】
本発明の展開において、弱化パターンの領域内の底部の最小材厚は、弱化パターンの外部の底部の材厚の5分の1と2分の1の間にある。これは、多くの適用のために、特にサニタリーシャワーにおいて、安定性と変形性に関して必要な特性を満たすために、弱化された領域内の底部の材厚と、弱化されない領域内のそれとの最適な比率であることが明らかにされている。所定の適用のために好ましい場合がある、代替的な形態において、この比率は1/5より小さく、あるいは0.5より大きい。
【0037】
本発明の展開において、ジェット噴射開口部構造は、漏斗形状に四分円の丸みを帯びた流入領域を備えたジェット噴射開口部を有しており、その流入領域は、0.1~0.3mmの間の流入曲率半径を有している。ジェット噴射開口部構造が複数のジェット噴射開口部を有する場合に、これらすべてのジェット噴射開口部又はその一部のみが、この種の流入領域を有することができる。ジェット噴射開口部の流入領域のこの構造と寸法設計は、ジェット噴射開口部によって提供される、そこから放出されるシャワージェットのジェット噴射特性に関して、好ましいことが明らかにされている。特に、このジェット噴射開口部から噴射するシャワージェットは、比較的安定していること、すなわちジェット噴射開口部から出た後に比較的長い距離にわたってそのジェット噴射形状をほぼ維持することが、明らかにされており、たとえば複数の個別ジェット噴射に分かれたり、滴に分解したりすることがない。代替的な形態において、与えられた適用においてシャワージェットのためのそれに伴うジェット噴射特性が受け入れられるものである場合に、上述した流入曲率半径は、0.1mmより小さく、あるいは0.3mmより大きく選択されている。
【0038】
本発明の展開において、中空チャンバ内径は、1.5~4mmの領域内にある。ノズルのためのこの寸法設計措置は、多くの適用のために、特にサニタリーシャワーにおいて、それによって可能となるシャワージェットに関して、好ましいことが明らかにされている。代替的な形態において、ノズルの中空チャンバ内径は、は、所定の適用のために、1.5mmより小さく、あるいは4mmより大きく選択することもできる。
【0039】
本発明の展開において、ノズルの中空チャンバ長さは、4~8mmの領域内にある。これも、多数の適用のために、特にサニタリーシャワーにおいて、好ましいことが明らかにされている、ノズルのための寸法設計措置である。代替的に、それが特殊な適用のために効果的であると思われる場合に、中空チャンバ長さは4mmより小さく、あるいは8mmより大きく選択することもできる。
【0040】
本発明の展開において、側壁の材厚は、少なくとも0.8mmである。側壁のためのこの寸法設計措置は、側壁を所望に充分に安定させ、その側壁は、本発明に係るシャワージェット噴射口ノズルにおいて、第1に底部を安定させる部材として機能し、かつ底部とは異なり、ノーマル駆動において発生する流体駆動圧を受けて、変形せず、変形したとしても、とりたてて言うほどではない。なお、これらの材厚記載は、側壁も弱化領域又は弱化パターンを有している場合において、弱化される領域の外部の側壁の材厚に関するものである。代替的な形態において、所定の適用のためには、0.8mmより少ない材厚を有する側壁を形成することができる。
【0041】
本発明の展開において、ジェット噴射開口部構造は複数のジェット噴射開口部を有し、かつ底部は、底部の隣接する領域に比較して大きい材厚を備えた補強ウェブパターンを有しており、補強ウェブパターンが底部を多数の底部領域に分割し、それらの中にそれぞれ、ジェット噴射開口部の少なくとも一つが配置されており、あるいはそれぞれ補強ウェブ端部がジェット噴射開口部のそれぞれまで延びている。
【0042】
この措置は、底部に多数のジェット噴射開口部が設けられている、所定の適用において効果的である。第1の場合において、補強ウェブパターンが底部を部分領域に分割し、それらの中にそれぞれ少なくとも一つのジェット噴射開口部が配置されている。底部領域内において、底部は、それぞれシャワー流体駆動圧にしたがって変形可能であって、それによってそこにある少なくとも一つのジェット噴射開口部の開口横断面の所望の変化がもたらされ、一方で、補強ウェブパターンは、底部に、その部分領域が変形可能であるにもかかわらず、全体として充分な安定性とそれに伴って圧力安定性を与えるのに寄与する。他の場合において、それぞれ補強ウェブパターンのウェブは、ジェット噴射開口部の1つまで延びている。補強ウェブパターンは、シャワー流体駆動圧を受けて変形する、複数のジェット噴射開口部を有する底部に、充分な固有安定性を与えるのに、寄与する。代替的な形態において、特に底部が唯一のジェット噴射開口部のみを有する場合、あるいは複数のジェット噴射開口部が形成されており、かつ対応付けられた弱化領域があるにもかかわらず、この種の補強ウェブパターンなしでも充分な固有安定性を有している場合に、補強ウェブパターンは、設けられない。
【0043】
本発明に係るシャワーは、少なくとも一つの本発明に係るシャワージェット噴射口ノズルを有している。このシャワーは、特にシャワー装置のサニタリーのヘッドシャワー、ハンドシャワー又はキッチン作業スペースのキッチンシャワーとすることができる。代替的に、たとえば液状又はガス状の媒体をスプレー状に供給するための化学的設備技術における、非サニタリーシャワーであってもよい。好ましくはシャワーが多数のシャワージェット噴射口ノズルを有しており、それらはさらに好ましくはすべて、本発明に係るシャワージェット噴射口ノズルによって実施されている。
【0044】
本発明の好ましい実施形態が、図面に示されている。これらの実施形態及び他の実施形態を、以下で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1は、十字形状のジェット噴射開口部を有するカップ形状のシャワージェット噴射口ノズルを前側から示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のノズルを後ろから、すなわち
図1の上から、示す平面図である。
【
図4】
図4は
図2内の中央の底部領域IVの詳細を示している。
【
図6】
図6は、底部内側の弱化パターンを有する、
図1~5のノズルの変形例を縦断面斜視図で示している。
【
図7】
図7は、
図6のノズルを後ろから、すなわち
図6の上から、示す平面図である。
【
図8】
図8は、付加的な側壁弱化パターンを有するノズル変形例のための、
図6の縦断面斜視図である。
【
図10】
図10は、底部外側の弱化パターンを有するノズル変形例のための、
図6の縦断面斜視図である。
【
図12】
図12は、修正された底部内側の弱化パターンを有するノズル変形例のための、
図6の縦断面斜視図である。
【
図14】
図14は、修正され、屈曲された底部内側の弱化パターンを有する、他のノズル変形例のための、
図6の縦断面斜視図である。
【
図16】
図16は、修正された、波線形状の底部内側の弱化パターンを有する他のノズル変形例のための、
図6の縦断面斜視図である。
【
図18】
図18は、修正された、波線形状の底部内側の弱化パターンを有する他のノズル変形例のための、
図6の縦断面斜視図である。
【
図20】
図20は、ジェット噴射開口部の修正された横断面形状を有するノズル変形例のための、
図6の縦断面斜視図である。
【
図22】
図22は、平坦でない、波線形状の開口端縁部を備えたジェット噴射開口部を有するノズル変形例のための、
図6の縦断面斜視図である。
【
図24】
図24は、ジェット噴射開口部を有する
図22と23のノズルの中央の底部領域を前から示す詳細な平面図である。
【
図25】
図25は、唯一の直線形状の弱化領域を備えた、ジェット噴射角度を調節する非対称の底部内側の弱化パターンを有するノズル変形例を後ろから示す平面図である。
【
図26】
図26は、ジェット噴射角度調節機能を視覚化する、
図25のノズルの前方の領域を示す縦断面図である。
【
図27】
図27は、3つの直線形状の弱化領域を備えた、ジェット噴射角度を調節する、非対称の底部内側の弱化パターンを有する他のノズル変形例を後ろから示す平面図である。
【
図28】
図28は、4つの直線形状の弱化領域を備えた、ジェット噴射角度を調節する、非対称の、底部内側の弱化パターンを有する他のノズル変形例を後ろから示す平面図である。
【
図29】
図29は、偏心したジェット噴射開口部と、等しくない長さの直線形状の弱化領域を備えた、ジェット噴射角度を調節する、非対称の底部内側の弱化パターンとを有する他のノズル変形例を後ろから示す平面図である。
【
図30】
図30は、斜めの底部内側と、等しくない長さの直線形状の弱化領域を備えたジェット噴射角度を調節する非対称の底部内側の弱化パターンとを有する、ノズル変形例の前方の領域を示す縦断面斜視図である。
【
図32】
図32は、等しくない長さの直線形状の弱化領域を備えた、ジェット噴射角度を調節する非対称の底部内側の弱化パターンを有する他のノズル変形例を後ろから示す平面図である。
【
図33】
図33は、等しくない広さの直線形状の弱化領域を備えたジェット噴射角度を調節する非対称の底部内側の弱化パターンを有する他のノズル変形例を後ろから示す平面図である。
【
図34】
図34は、底部内の3つの十字形状のジェット噴射開口部と補強ウェブパターンとを有するノズル変形例を後ろから示す平面図である。
【
図36】
図36は、4つの十字形状のジェット噴射開口部を有するノズル変形例を前から示す斜視図である。
【
図38】
図38は、3つの三角形状のジェット噴射開口部と補強ウェブパターンとを有するノズル変形例を前から示す斜視図である。
【
図40】
図40は、4つの十字形状のジェット噴射開口部及び底部内側と底部外側の弱化パターンを有するノズル変形例を前から示す斜視図である。
【
図43】
図43は、シャワー流体駆動圧がない場合、あるいはそれが小さい場合のノズルの駆動状態において、
図6と7に示すノズルの底部領域を前から写真撮影したものである。
【
図44】
図44は、シャワー流体駆動圧が高い場合のノズルの駆動状態において、
図43の写真撮影を示している。
【
図45】
図45は、ノズルの圧力なしの初期状態において、
図27のA-A線に沿って
図27のノズルの前方の領域を示す縦断面図である。
【
図46】
図46は、適度な高さのシャワー流体駆動圧におけるノズルの駆動状態において、
図45を示している。
【
図47】
図47は高くなったシャワー流体駆動圧におけるノズルの駆動状態において
図46を示している。
【
図48】
図48はさらに高くなったシャワー流体駆動圧におけるノズルの駆動状態において
図47を示している。
【
図49】
図49は、本発明に係るノズルと従来の比較ノズルについて、ノズル内圧とノズル体積流の典型的な機能的関係を明らかにする特性曲線図である。
【
図50】
図50は、エラストマーのジェット噴射プレートの片側に形成された本発明に係るシャワージェット噴射口ノズルを有するシャワーを半分の縦断面で示している。
【
図51】
図51は、
図50のシャワーのエラストマーのジェット噴射口プレートを後ろから平面で示す斜視図である。
【
図52】
図52はエラストマーのジェット噴射口プレートを前から平面で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1~48に種々の形態及び視点で示すように、本発明に係るカップ形状のシャワージェット噴射口ノズルは、中空チャンバ1、ノズル長手軸D
Lに対して横方向に中空チャンバ1を画成する側壁2及びノズル長手軸D
Lの方向に中空チャンバ1の出口側を画成する底部3を有している。底部3は、弾性的な材料、好ましくは、シャワージェット噴射口ノズルにおいて使用するために当業者に知られているような、エラストマー材料から形成されている。すなわち、エラストマー材料は、たとえば、20~70の間のショア-A-硬度を有する、弾性的なシリコン材料とすることができる。
【0047】
底部3には、ジェット噴射開口部構造4Sが形成されており、それは、少なくとも一つのジェット噴射開口部4からなり、かつ開口した初期構造を有し、すなわちジェット噴射開口部4の少なくとも一つは圧力のない初期状態においてすでに開口しており、それは、シャワー流体の通過用に提供される、その開口横断面、すなわちその開口した横断面積が、圧力なしの初期状態においてすでに、ゼロより大きいことを、意味している。底部3は、中空チャンバ1内のシャワー流体駆動圧、すなわちノズル内圧、の作用を受けてそのジェット噴射開口部構造4Lが弾性的に撓んで変形し、かつシャワー流体駆動圧の増大に伴ってジェット噴射開口部構造4Sの開口横断面を連続して増大させるように、設計されており、これは少なくとも、あらかじめ定められたノーマル駆動圧領域内に、すなわちシャワージェット噴射口ノズルのノーマル駆動においてシャワー流体駆動圧又はノズル内圧があることができる領域内に、含まれる値について言えることである。このノーマル駆動圧領域から、過圧領域が区別され、その過圧領域はこのノーマル駆動圧領域の上方にあって、かつシャワー流体駆動圧はいずれにせよ異常な過圧駆動状態が発生した場合にその過圧領域内へ達する。
【0048】
好ましい実施形態において、ジェット噴射開口部構造4
Sは側壁2から離隔しており、すなわちその少なくとも一つのジェット噴射開口部4は底部3内で径方向に側壁2までは延びておらず、代表して
図1、35、36及び38内で示されるように、その側壁から所定の径方向の間隔d
Rを維持しており、かつ底部3は、その中空チャンバ1へ向いた内側3
I及び/又はその中空チャンバ1とは逆の外側3
Aに、底部3の隣接する領域に比較して小さい材厚を有する弱化パターン5を備えている。この弱化パターン5は、中空チャンバ1内のシャワー流体駆動圧の作用を受けて弾性的に撓んで変形するように、設計されている。
図6~9、12~19、25~35、38と39は、弱化パターン5が底部内側のみに形成されている、実施例を示している。
図10と11に示す実施例においては、弱化パターン5は底部外側のみに形成されている。
図40~42は、弱化パターン5が底部内側にも底部外側にも形成されている、実施例を示している。
【0049】
好ましい実施形態において、ジェット噴射開口部構造4
Sの複数のジェット噴射開口部4の唯一又は少なくとも一つが、周方向に膨出領域6と陥凹領域7とを交互に形成しながら増大する開口半径R
Oと減少する開口半径を有している。膨出領域6はそれぞれ、最小の膨出曲率半径K
Aを備えた丸みを帯びた形状を有し、同様にして陥凹領域7はそれぞれ、最小の陥凹曲率半径K
Eを備えた丸みを帯びた形状を有している。最小の膨出曲率半径K
Aと最小の陥凹曲率半径K
Eは、それぞれ0.01~1mmの間にあり、及び/又は最小の膨出曲率半径K
Aは最小の陥凹曲率半径K
Eに対して0.3~2.5の間の寸法比K
A/K
Eにある。種々のこの種の実施例が、
図1~39に示されており、膨出領域6と陥凹領域7が
図2、4、7、17、21及び39に代表して示されており、
図4には付加的に関連する最小の曲率半径K
A、K
Eが示されている。したがって、特に
図4から明らかなように、該当するジェット噴射開口部4の開口端縁部8の半径R
Oは、円周角にしたがって、この場合においては常に、それぞれの陥凹領域7の反転点における最小値とそれぞれの膨出領域6の反転点における最大値の間で、存在する最小の曲率半径K
A、K
Eに応じて比較的均一な変化勾配をもって、飛躍的な変化なしで、変化する。
【0050】
好ましい実施形態において、ジェット噴射開口部構造4
Sのジェット噴射開口部4の唯一又は少なくとも一つが、平坦でない開口端縁部8nを有しており、その開口端縁部は底部3の平面E
Bに関して流体噴射方向F
Aを、そして流体噴射方向F
Aとは逆を向いた軸方向成分を有して波形に延びている。流体噴射方向F
Aは、ノズル長手軸D
Lに対して平行であり、かつ底部平面E
Bはノズル長手軸D
Lに対して垂直である。この種の実施例が、
図22~24に示されている。言い換えると、開口端縁部8nは、その周回転の推移において底部3の残りの領域に対して交互に、流体噴射方向F
Aとは逆の軸方向成分を有して内側へ向かって中空チャンバ1内へ、そして流体噴射方向F
Aを向いた軸方向成分を有して中空チャンバ1つから離れるように外側へ向かって、湾曲している。
【0051】
好ましい形態において、弱化パターン5は底部3内に少なくとも一つの弱化領域5
1を有しており、その弱化領域はジェット噴射開口部構造4
Sの対応付けられたジェット噴射開口部4からそれを離れるように延びている。該当する実施例が、
図6~19、25~35及び45~48に示されている。それぞれのジェット噴射開口部4から離れるように延びて、
図6~9、12~17及び28~35の変形例内では4つの底部内側の弱化領域5
1~5
4が、
図10と11の変形例では4つの底部外側の弱化領域5
1~5
4が、
図18と19の変形例においては5つの底部内側の弱化領域5
1~5
5が、
図25と26の変形例においては唯一の底部内側の弱化領域5
1が、そして
図27及び45~48の変形例においては、3つの底部内側の弱化領域5
1~5
3が対応付けられている。
【0052】
相応する実施において、底部3内の少なくとも一つの弱化領域5
1は、直線形状の弱化領域であって、その弱化領域は、径方向の主方向成分を有して、すなわちノズルの径方向において、それに対して接線状よりも大きい方向成分を有して、直線的又は1回曲げられ、あるいは波線形状に複数回曲げられて、延びている。
図6~13、25~35及び38~42が示す実施例においては、それぞれの弱化領域は直線的に延びており、その弱化領域は
図12と13の実施例においては、径方向外側へ向かって周方向に広がる形状を有しており、他の実施例においては、それぞれの弱化領域の幅は、その長手方向に沿って実質的に変わらず一定である。
図14と15に示す実施例においては、それぞれの直線形状の弱化領域は、1回曲がって延びている。
図16~19は、2つの実施例を示しており、それらにおいてそれぞれの直線形状の弱化領域は複数回曲がって波線形状に延びている。
【0053】
相応する実施において、底部3内の少なくとも一つの弱化領域5
1は、側壁2まで延びて、そこで側壁2内の弱化領域9へ移行している。
図8、9及び40~42は、この種の実施例を示しており、
図8と9の例において弱化領域9は軸方向に側壁2の長手方向の延び全体に沿ってその内側に接して延びており、
図40~42の例においては、弱化領域9は、比較的短い長さのみにわたって底部3に隣接して、側壁2の内側に接して軸方向に延びている。
【0054】
相応する実施において、底部3内に少なくとも一つの弱化領域5
1は、直線形状の弱化領域であり、その弱化領域が膨出領域6の1つから、あるいは陥凹領域7の1つから、対応付けられたジェット噴射開口部4へ通じている。
図6から11、14~17、25~35、38と39は、実施例を示しており、それらにおいて弱化領域はすべて膨出領域6の1つから出ている。
図12と13の実施例において、弱化領域はすべて陥凹領域7の1つから出ている。
図18、19及び28の実施例において、膨出領域又は陥凹領域6、7に対する弱化領域の固定的な対応付けは設けられていない。
【0055】
好ましい実施形態において、底部3は、ジェット噴射開口部4のためにジェット噴射角度調節するように形成されており、そのジェット噴射開口部から離れるように少なくとも一つの弱化領域5
1が延びている。そのために、第1の実施形態において、ジェット噴射開口部4から離れるように延びる少なくとも一つの弱化領域5
1が、底部3の内側3
Iに、ジェット噴射開口部の長手中心平面L
Mに対して非対称の配置で形成されている。該当する実施例が、
図25~33に示されている。第1の実施形態に対して付加的又は代替的に実施することができる、第2の実施形態においては、底部3は、少なくともジェット噴射開口部4を含む領域の内側でジェット噴射角度調節するように傾斜して延びている。これに関する実施例が、
図30と31に示されている。最初に挙げた2つの実施形態の各々に対して付加的又は代替的に設けることができる、第3の実施形態において、底部3内のジェット噴射開口部4は、ジェット噴射角度調節するように偏心して配置されている。これに関する実施例が、
図29に示されている。
【0056】
図25~33に例として示されるような、しかるべき形態において、底部3の内側3Iに設けられた、ジェット噴射開口部4から離れるように延びる少なくとも一つの弱化領域の非対称の配置は、ジェット噴射開口部4の長手中心平面L
Mに関して対向する、長さの異なる及び/又は幅の異なる2つの直線形状の弱化領域5
1a、5
1bを、あるいは底部3の内側3
Iにジェット噴射開口部4から離れるように延びる少なくとも一つの弱化領域5
1cを有しており、その弱化領域に、ジェット噴射開口部4の長手中心平面L
Mに関して弱化されていない底部領域3
uが対向している。
図25~28が、直近で挙げた種類の実施例を示しており、それにおいて、ジェット噴射開口部4から離れるように延びる少なくとも一つの弱化領域5
1cに、弱化されていない領域3
uが対向している。
図33の実施例において、対向する2つの弱化領域5
1a、5
1bは、異なる幅を有し、特に弱化領域5
1aが幅B
5を有し、弱化領域5
1bはそれよりも小さい幅b
5を有している。
図29~32に示す実施例において、2つの対向する弱化領域5
1a、5
1bは異なる長さを有し、特に弱化領域5
1aは長さL
5を有し、弱化領域5
1bはそれより小さい長さl
5を有する。
【0057】
相応する実施において、弱化パターン5は底部3の内側3
Iと外側3
Aにそれぞれ少なくとも一つの弱化領域5
1d、5
1eを有しており、内側3
Iにおける少なくとも一つの弱化領域5
1dは、外側3
Aにおける少なくとも一つの弱化領域5
1eに対して、底部3の周方向に変位して配置されている。それに応じた実施例が、
図40~42に示されており、例としてそこにそれぞれ、底部内側3
Iに4つの互いに対して90°変位した直線形状のまっすぐな弱化領域5
1dが、そしてそれらに対してそれぞれ45°変位して配置された4つの直線形状のまっすぐな、底部外側3
Aにおける弱化領域5
1eが設けられている。底部外側の弱化領域5
1eは、径方向にそれぞれ2つの隣接するジェット噴射開口部4の間の領域内に延び、底部内側の弱化領域5
1dは径方向にそれぞれ底部中心領域からジェット噴射開口部4の1つへ向かって延びている。同様にして、代替的な形態において、底部外側と底部内側に、たとえばそれぞれ2つ又は好ましくは3つ又は4つより多い直線形状のまっすぐな、あるいは湾曲して延びる弱化領域のみを、等間隔の周間隔及び好ましくは周方向中央に互いに変位して、設けることができる。
【0058】
好ましい形態において、ジェット噴射開口部構造4
Sの複数のジェット噴射開口部4の唯一又は少なくとも一つが、丸みを帯びた多角形状の横断面基本形状を有しており、その丸みを帯びたコーナー領域は膨出領域6によって形成されている。
図1~21及び25~37は、これに関する、四角の、すなわち十字形状の横断面基本形状を有する実施例を示しており、
図38と39は、ジェット噴射開口部4の三角形の横断面基本形状を有する実施例を示している。
【0059】
好ましい実施において、ジェット噴射開口部構造4Sの複数のジェット噴射開口部4の唯一又は少なくとも一つが、図示される実施例の場合がそうであるように、0.2~1.2mmの領域内の噴射等価直径を有している。ということは、該当するジェット噴射開口部4が圧力なしの初期状態において、シャワー流体用の自由な通過横断面を有しており、その通過横断面が、記載の領域内の、すなわち0.2~1.2mmの間の、直径を有する仮想の円形のジェット噴射開口部と同じ大きさとなることである。このジェット噴射開口部4は、特により小さい直径の領域内で、たとえばシャワージェットとして細かいジェット噴射/ニードルジェット噴射を提供するのに適している。
【0060】
図示される例におけるような、好ましい実施において、
図5と26に代表して示されている、弱化パターンが設けられているとして、その外部の底部3の材厚W
Bは、0.1~1mmの領域内にある。この寸法設計は、大部分の適用のために、底部3の所望の安定性に関して好ましいことが明らかにされている。
【0061】
図示される例におけるような、好ましい実施において、
図26に代表して示されている、底部3の最小材厚は、弱化パターン5の外部の底部の材厚W
Bの1/5~1/2の間にある。これは、多くの適用について、流体圧の上昇に伴ってそれぞれのジェット噴射開口部4の開口横断面を増大させるために、流体圧に依存する底部3の所望の変形可能性に関して、底部3の弱化された領域と弱化されていない領域の最適な調整であることが、明らかにされている。
【0062】
好ましい実施において、ジェット噴射開口部構造4
Sの複数のジェット噴射開口部4の唯一又は少なくとも一つは、
図5に代表して示され、かつ好ましくは図示されるすべての例において設けられるように、漏斗形状に4分円状に丸みを帯びた流入領域4
Eを有している。この流入領域4
Eは、同様に
図5に示されている、0.1~0.3mmの間の流入曲率半径E
Rを有している。この措置が、中空チャンバ1からジェット噴射開口部4内へのシャワー流体の乱れの少ない流入を支援することが、明らかにされており、それが、ジェット噴射開口部4から外側へ向かって噴射するシャワージェットのジェット噴射形状を安定化させるのに、寄与する。
【0063】
図示される例におけるように、好ましい実施において、
図3に示されている中空チャンバ1の内径H
Dは、1.5~4mmの領域内にあって、中空チャンバ内径H
Dは、ジェット噴射ノズルのカップ形状にしたがって、ノズルの長手方向の延びに沿って好ましくは実質的に一定であり続け、かつ底部3の内径に相当する。
【0064】
図示される例におけるように、好ましい実施において、同様に
図3に代表して示されている、中空チャンバ1の軸方向の長さH
Lは、4~8mmの領域内にある。中空チャンバ内径H
Dに比較して大体においてずっと大きい中空チャンバ長さH
Lは、ノズル内へ達したシャワー流体が少なくとも一つのジェット噴射開口部4を通過する前に、それを外側へ向かって所望に誘導するのを支援することができる。
【0065】
図示される例におけるように、好ましい実施において、
図3に代表して示されている、弱化パターン5の外部のノズルの側壁2の材厚W
Sは、少なくとも0.8mmである。好ましくは、側壁2のこの寸法設計は、ノズルの残りの寸法設計に次のように、すなわちシャワー流体駆動圧がノーマル駆動圧領域内に留まっている間、このシャワー流体駆動圧の作用を受けて、実質的に底部3のみが弾性的に撓んで変形するが、側壁2は中空チャンバ1内のシャワー流体駆動圧のこの圧力値においてはわかるほど変形せず、すなわち実質的に堅固なままであるように、合わせられている。これは、本発明に係るシャワージェット噴射口ノズルにおいて、中空チャンバ1内の、ノーマル駆動圧領域内にあるシャワー流体駆動圧の作用を受けて、底部3のみははっきりと変形するが、同時にその側壁2も湾曲して変形することはない、という効果を有している。はっきりと変形するというのは、変形がノズルを通るシャワー流体の流れに、感じられるくらい、又は測定可能に影響を与えるほど、大きいことである。
【0066】
しかるべき形態において、ジェット噴射開口部構造4
Sは、複数のジェット噴射開口部4を有しており、かつ底部3は、底部3の隣接する領域に比較して大きい材厚を備えた補強ウェブパターン10を有しており、補強ウェブパターン10が底部を複数の底部領域に分割し、その底部領域内にそれぞれジェット噴射開口部の少なくとも一つが配置されており、あるいは補強ウェブパターンのそれぞれ補強ウェブ端部がそれぞれのジェット噴射開口部4まで延びている。この種の実施例が、
図34~39に示されている。
【0067】
図34と35の実施例において、補強ウェブパターン10は、3つのラジアルウェブをもって星形形状に形成されており、それらのラジアルウェブによって底部3が3つの底部領域3
1、3
2、3
3に分割されており、それらの中にそれぞれ、この場合においては3つの十字形状のジェット噴射開口部4が配置されている。これらジェット噴射開口部4の各々に、それぞれ4つの直線形状のまっすぐな弱化領域5
1~5
4を備えた弱化パターン5が対応付けられている。補強ウェブパターン10は、底部3を安定化させる作用を有しており、かつ底部3の変形をあらかじめ定めることのできる所望の程度に制限する。
図38と39の実施例は、
図34と35の実施例に相当するが、以下の修正を有する。ジェット噴射開口部4のために、四角の代わりに丸みを帯びた三角の横断面基本形状を有するものが使用されており、かつそれぞれ対応付けられた弱化パターン5は、ジェット噴射開口部4の膨出領域6から径方向外側へ向かって延びる、3つの直線形状のまっすぐな弱化領域5
1、5
2、5
3を有している。
図36と37の実施例において、補強ウェブパターン10は、底部3の中央の領域内に配置された補強ウェブからなる十字形状を有し、各ウェブ端部に、この場合においては4つの十字形状のジェット噴射開口部4が連続している。
【0068】
図示されて、上で説明された措置は、それぞれそれ自体かつ組み合わせて、シャワージェット噴射口ノズルの特殊な好ましいシャワージェット挙動に寄与する。そのために、
図1~5の例において、弾性的に変形可能な底部3は、底部3の中央領域内に十字形状のジェット噴射開口部4を1つだけ有している。
図5と6の実施例においては、さらに、4つの底部内側の直線形状のまっすぐな弱化領域5
1~5
4を有する底部側の弱化パターン5が設けられている。これによって、中空チャンバ1内にシャワー流体駆動圧又はノズル内圧が与えられた場合に、底部3の変形が容易になる。
図8と9の実施例において、4つの底部内側の直線形状のまっすぐな弱化領域5
1~5
4は、ノズル側壁2内の付加的な直線形状のまっすぐな弱化領域9を通して続いており、その弱化領域は中空チャンバ長さ又は側壁長さの全体にわたって延びている。側壁2内の弱化領域9は、所望の程度において、側壁2が底部3に与える安定化作用を減少させることができ、それが、必要な場合において圧力が与えられた場合に底部3のより大きい変形を許す。
【0069】
図10と11の実施例において、弱化パターン5は底部内側ではなく、底部外側に形成されている。
図12と13の実施例においては、底部内側の弱化領域5
1~5
4は、
図6~11の実施例におけるように膨出領域6内へ連通する代わりに、陥凹領域7内へくさび形状に連通している。
図14と15の実施例においては、弱化領域5
1~5
4は、1回湾曲又は屈曲して延びている。それによってそれらは、径方向の延びが同じ場合に、より大きい長さを有し、それが、必要な場合に底部3の変形を容易にすることができる。
図16と17の例において、直線形状の弱化領域5
1~5
4は波線形状に延びており、それによって径方向の延びが同じである場合に、その長さがさらに増大し、それが、底部3の変形挙動をさらに支援することができる。
図18と19の実施例において、弱化パターン5は、
図16と17の例の膨出領域6から延びる4つの弱化領域5
1~5
4の代わりに、5つの波線形状の弱化領域5
1~5
5を有し、それによって底部3は、必要な場合にはさらに容易に変形する。
【0070】
図20と21の実施例においては、ジェット噴射開口部4は、
図21内で左から右へ延びる、より長い交差軸と
図21において下から上へ延びる、より短い交差軸とを有する、長く延びる丸みを帯びた十字形状を有しているが、図示される他の十字形状のジェット噴射開口部4においては、2つの交差軸は同じ長さである。したがって必要な場合において、ジェット噴射開口部4から噴射するシャワージェットのジェット噴射形状がしかるべく修正される。さらに、細長い十字形状が、この領域内の底部3の変形を容易にする。
【0071】
図22~24の実施例においては、平坦でない波形の開口端縁部8nを有するジェット噴射開口部4の形態が、開口領域内の底部3の比較的ソフトな変形挙動を可能にする。流体圧作用の増大に伴って波形に折りたたまれた開口端縁部8nが徐々に展開することができるので、開口端縁部8nのために比較的大きい変形距離が提供され、開口端縁部8nを有する底部3は、比較的大きく外側へ向かって変形し、又はめくれることができる。
【0072】
図25~33の実施例は、弱化パターン5のしかるべき形態によってそれぞれ所望のジェット噴射角度調節を可能にし、それにおいてシャワージェットは該当するジェット噴射開口部4からノズル軸D
Lに対して正確に平行にではなく、ノズル長手軸D
Lに対して鋭角の調節角度で、噴射し、したがってノズルを出る。そのために、弱化パターン5は上述したノズルの長手中心平面L
Mに対して好ましくは非対称に、たとえば
図25~28の例におけるように、対応する複数の弱化領域の異なる寸法により、あるいは
図32と33の例におけるように、該当する弱化領域の異なる寸法設計により、あるいは
図30と31の例におけるように、底部3がその内側3Iにおいて斜めに延びていることによって、形成されている。斜めに延びることは、ある種の傾いた平面によって形成されており、その平面は、
図30の表示において左上から右下へ斜めに延びている。なお、上述した措置は、必要な場合において互いに任意に組み合わせることができる。
【0073】
図26には、
図27の例についてのジェット噴射角度調節が詳しく示されている。
図26の断面図において、ジェット噴射開口部4の左に直線形状の弱化領域5
1又は5
1cが見られ、その右に、弱化されていない底部領域3
uが対向している。直線形状の弱化領域5
1又は5
1cは、底部内側3
Iに通路形状の切り欠きを形成しており、その結果、駆動圧を受けているシャワー流体が直線形状の弱化領域5
1cに沿って、対向する弱化されていない底部領域3
u内よりも少し高い流れ速度で、ジェット噴射開口部4内へ達する。これが、
図26に、弱化領域51c内のより長い流れ矢印F
1と、対向する弱化されていない領域3
u内の、より短い流れ矢印F
2によって象徴的に示されている。この効果の結果として、ジェット噴射開口部4から噴射するシャワー流体のために、
図26に流れ矢印F
3で象徴される流れ方向がもたらされ、それは、弱化されていない底部領域3
u内のより小さい流れ速度のより小さい横成分によるよりも、弱化領域51cの側のより大きい流れ速度のより大きい横成分によって幾分強く支配されるので、シャワージェットは、ノズル長手軸D
Lに対して正確に平行にではなく、ノズル長手軸D
Lと
図26に記載の調節角度αを形成する、調節されたジェット噴射方向において、ジェット噴射開口部4とそれに伴ってノズルから噴射する。
【0074】
したがって、底部3及び特に弱化パターン5のしかるべき寸法設計によって、ノズルからのシャワージェットのそれぞれ所望のジェット噴射方向が提供される。調節角度αは、比較的広い領域内で選択可能であって、大体において、0°より大きく、かつ約20°~30°よりも小さい領域内の調節角度、たとえば5°~15°の間の角度が効果的である。
【0075】
図29~33の実施例においては、調節角度効果は、弱化領域に弱化されていない底部領域が対向していることに基づいているのではなく、等しくない強さで形成された弱化領域が対向していることにあって、これは、
図30と31の例においては付加的に底部内側3
Iの斜め位置によって強化される。
【0076】
図34~42の実施例は、それぞれ底部3内に複数のジェット噴射開口部4を有しており、底部安定化のためには、
図34~39の例におけるように、補強ウェブパターン10を設けることが、効果的であり得る。
図40~42の例においては、円形のジェット噴射開口部4が使用されており、そこでは、弱化パターン5の上述した弱化領域が底部外側にも底部内側にも形成されていることによって、底部は比較的容易に変形可能に形成されている。
【0077】
図43と44は、
図6と7の形態において形成された本発明に係るノズルのために、シャワー流体駆動圧、すなわち中空チャンバ1内のノズル内圧が上昇した場合に、ジェット噴射開口部4の実効開口横断面のはっきりとした拡大を有する、ノズルの好ましい底部変形挙動を示している。
【0078】
図43は、ノズルを、
図6及び7においても認識されるような、中央のジェット噴射開口部の丸みをおびた十字形状を有する、その圧力なしの初期状態において示している。
図44は、ノズルを同じ視点において約0.1MPaの駆動圧負荷を受けた状態で示しており、これはすでに、通常、ノーマル駆動圧領域を少し上回る圧力値である。どのように底部3が外側膨出するように変形されているかが、良好に認識され、それによってジェット噴射開口部4の開口横断面が著しく、たとえば
図43の圧力なしの状態におけるその横断面の約5~6倍に増大している。
図44においては、4つの直線形状の径方向の弱化領域5
1~5
4も認識され、それらが底部3に、このはっきりとした、かつ完全に弾性的に可逆的な、変形を許す。さらに、
図43と44を用いて、底部3の変形が増大した場合にジェット噴射開口部4の十字形状が実質的に維持されており、すなわち駆動圧が異なる場合にジェット噴射開口部4の通過横断面の本質的な形状変化が生じないことが、明らかにされる。
【0079】
図45~48は、本発明に係るノズルがさらに、底部3がジェット噴射開口部4の周囲に沿って、生じ得る弱化領域内でも、弱化されていない底部領域内でも、ほぼ完全対称に変形する、という利点を有することを、明らかにしている。これがさらに有する好ましい効果は、シャワージェットがノズル長手軸D
Lに対して平行に噴射するか、あるいはそれに対して斜め角度又は調節角度で噴射するか、に関係なく、流体駆動圧の上昇に伴って増大する底部3の変形は、シャワージェットがジェット噴射開口部4とそれに伴ってノズルを出てゆくジェット噴射角度のはっきりとした変化をもたらさないことである。
【0080】
そのために
図45~48は、
図26の形態におけるノズルを、異なる流体駆動圧による駆動状態において示している。
図45は、圧力なしの状態における、あるいはいずれにしても、まだ底部3のはっきりとした変形をもたらしていない、きわめて低い流体駆動圧における、状態を示している。
図46は、少し増大された流体圧においてノズルを示している。
図45に比較して、底部3がすでにわずかに外側へ向かって湾曲して変形していることが、認識される。底部3は、弱化領域5
1c内で、そして弱化されていない底部領域3
uにおいて、ジェット噴射開口部4の端縁部において実質的に等しい距離外側へ湾曲している。これは、
図47及び48に示す、それぞれさらに増大した流体駆動圧を有する駆動状態についても、認識される。
図38の、駆動流体圧が高い場合でも、高くなる圧力に伴って増大する底部3の外側へ向かう前記湾曲はほぼ対称のままであり、すなわち前記湾曲はジェット噴射開口部4の周端縁部全体に沿って、弱化領域5
1c内でも、弱化されない領域3
u内でも、実質的に等しい大きさである。
【0081】
図49は、本発明に係るシャワージェット噴射口ノズルの、異なる流体駆動圧における特に好ましい挙動を、シャワー流体駆動圧の、すなわちノズルの中空チャンバ1の内部の、好ましくはそれぞれのジェット噴射開口部4の近傍を支配する、ノズルの駆動中のシャワー流体圧の、特性曲線図において、体積流にしたがって、すなわち単位時間あたりノズルのジェット噴射開口部構造4
Sを通り抜けるシャワー流体の体積にしたがって、質的に明らかにしている。特性曲線K1は、流体駆動圧の作用を受けて変形しない従来のシャワージェット噴射口ノズルの挙動を示しており、そのシャワージェット噴射口ノズルは体積流が増大した場合に、そのジェット噴射開口部構造のはっきりと広がる変形を有していない。
【0082】
特性曲線K1から明らかなように、すでに述べたように、特にそれぞれのジェット噴射開口部の直前の圧力である、ノズル内圧は、この従来のノズルにおいて実質的に正方形状に増大する。それとは異なり、本発明に係るノズルにおけるノズル内圧は、体積流の増大に伴って、あまりはっきりとは上昇せず、体積流に依存する関連する圧力挙動は、
図49の特性曲線K2によって質的に示されている。この好ましいノズル挙動の基礎となる、本発明に係るノズルの特性は、シャワー流体駆動圧の増大に伴ってその底部が変形し、かつそれによってそのジェット噴射開口部構造の開口横断面が著しく増大することである。これが、比較的低いノズル内圧において、比較的高い体積流を可能にする。すなわち、特性曲線K2に基づく本発明に係るノズルは、しかるべく設計されている場合に、たとえば最大で約0.04MPa及び好ましくは特に約0.02MPaまでのノズル内圧において、約30リットル/分までの体積流を可能にする。言い換えると、本発明に係るノズルは、駆動中に比較的低いシャワー流体駆動圧又はノズル内圧においてすでに、比較的高い体積流を可能にする。さらに言い方を変えると、本発明に係るノズルは、約0.04MPa又は約0.05MPaまでのノーマル駆動圧領域内ですでに、比較的高い体積流を可能にする。これが本発明に係るノズルを、提供される様々な流体駆動圧を有する適用において柔軟に使用するのに特に適したものにしている。すなわち本発明に係るノズルは、同一の構造において、様々な高さの流体供給圧を提供する様々な地域又は州のために使用することができ、一方で従来のやり方はそのために、大体において様々な仕様の特別に適合されたノズルを使用しなければならない。
【0083】
本発明に係るシャワーは、少なくとも一つの本発明に係るシャワージェット噴射口ノズルを有し、かつ特にサニタリーシャワーとすることができる。
図50は、例を示しており、それにおいてシャワーは、たとえばサニタリーヘッドシャワーのために使用されるような、それ自体知られたフラット構造である。図示されるシャワーは、シャワーハウジング11を有しており、そのシャワーハウジングがボールジョイント12を介して流入スリーブ13に揺動運動可能に保持されている。噴射側において、シャワーハウジング11はジェット噴射ディスク14によって閉鎖されており、そのジェット噴射ディスクにはジェット噴射ディスク開口部15が設けられている。各ジェット噴射ディスク開口部15内に、ジェット噴射部材として、本発明に係るカップ形状のシャワージェット噴射口ノズル16が配置されている。
【0084】
図示されるシャワーの実施例において、本発明に係るシャワージェット噴射口ノズル16はジェット噴射プレート17に一体的に形成されており、そのジェット噴射プレートが1つの構成部品として
図51及び52に示されており、かつ
図52に示す前側をもってジェット噴射ディスク14の後ろ側又は内側に対して添接する。ジェット噴射プレート17は、通常のシリコンベースのエラストマー材料のような、弾性的な材料から形成されており、したがってジェット噴射マットとも称される。ジェット噴射プレート17に、本発明に係るシャワージェット噴射口ノズル16が形成されている。
図51は、ジェット噴射プレート17の後ろ側を示しており、その後ろ側からシャワージェット噴射口ノズル16の流入領域18が開口している。代替的なシャワー形態において、本発明に係るシャワージェット噴射口ノズルが個別部材として取りつけられており、そのためにそれは適切な基部領域を有している。そのために、
図1~
図48に図示される実施例において、シャワージェット噴射口ノズルは、
図1、3及び6に代表して示されているように、選択的な基部領域19をもって形成されている。
【0085】
図示され、かつずっと上で説明された実施例が明らかにするように、本発明は、異なる高さのシャワー流体駆動圧においてその提供可能なシャワージェット特性に関して特別な利点を有し、かつ好ましくは比較的細かいシャワージェットを提供するのに適した、シャワージェット噴射口ノズルを提供する。底部の湾曲する変形によって、石灰堆積が生じることを阻止することができ、かつ場合によって形成された石灰堆積は自動的に再び剥離させることができる。本発明に係るノズルは、任意のサニタリー及び非サニタリーのシャワー内で使用するのに適している。
【外国語明細書】