(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189831
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】ターポリマーを含むアルカリ性器物洗浄洗剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 3/37 20060101AFI20221215BHJP
C11D 3/04 20060101ALI20221215BHJP
C11D 1/66 20060101ALI20221215BHJP
C11D 1/722 20060101ALI20221215BHJP
C11D 3/386 20060101ALI20221215BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20221215BHJP
C11D 17/06 20060101ALI20221215BHJP
D06F 35/00 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
C11D3/37
C11D3/04
C11D1/66
C11D1/722
C11D3/386
C11D17/08
C11D17/06
D06F35/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022158107
(22)【出願日】2022-09-30
(62)【分割の表示】P 2020547335の分割
【原出願日】2019-03-13
(31)【優先権主張番号】62/642,441
(32)【優先日】2018-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド アレクサンダー リーム
(72)【発明者】
【氏名】カーター マーティン シルバーネイル
(72)【発明者】
【氏名】ケリー アン ギルモア
(72)【発明者】
【氏名】ジョン マシュー フドメル
(57)【要約】
【課題】ハードスケールの蓄積を最小限に抑え、タンパク質汚れを含む食品汚れを脱泡し、例えば、高い食品汚れ濃度で、例えばタンパク質の再堆積を低減する洗剤を提供する。
【解決手段】硬質表面上へのタンパク質の発泡、膜形成、および再堆積の抑制を含む、汚れに対して高いクリーニング性能を提供しながら、炭酸カルシウムの蓄積を防止または抑制するように設計された洗剤組成物が、開示される。洗剤組成物の使用方法もまた開示される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ性洗剤組成物であって、
1重量%~80重量%の、アルカリ金属炭酸塩および/またはアルカリ金属水酸化物を含むアルカリ源と、
アクリル酸、マレイン酸またはイタコン酸、および2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸またはメタリルスルホン酸を含む、1重量%~15重量%のターポリマーと、を含み、前記ターポリマーが、約70重量%~約90重量%のアクリル酸、約5重量%~約19重量%のマレイン酸、および約1重量%~約15重量%の2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、もしくはメタリルスルホン酸を含むか、または前記ターポリマーが、約70重量%~約90重量%のアクリル酸、約5重量%~約35重量%のイタコン酸、および約1重量%~約15重量%の2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、もしくはメタリルスルホン酸を含む、アルカリ性洗剤組成物。
【請求項2】
アルカリ性洗剤組成物であって、
1重量%~80重量%の、アルカリ金属炭酸塩および/またはアルカリ金属水酸化物を含むアルカリ源と、
アクリル酸、マレイン酸、またはイタコン酸、および2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、またはメタリルスルホン酸を含む、1重量%~15重量%のターポリマーと、を含み、
前記組成物が、水溶性ケイ酸塩または漂白剤を含まない、アルカリ性洗剤組成物。
【請求項3】
前記ターポリマーが、約70重量%~約90重量%のアクリル酸と、約5重量%~約20重量%のマレイン酸または約5重量%~約35重量%のイタコン酸と、約1重量%~約15重量%の2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、またはメタリルスルホン酸と、を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも2つの非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1、2、または3に記載の組成物。
【請求項5】
前記界面活性剤のうちの少なくとも1つが、消泡剤である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
約1重量%~約10重量%の前記2つの界面活性剤を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
約10重量%~約90重量%のアルコキシル化トリオール界面活性剤を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記アルコキシル化トリオール界面活性剤が、約10重量%~80重量%のエチレンオキシドと、約20重量%~90重量%のプロピレンオキシドと、を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
約10重量%~約90重量%のポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマーを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
約20重量%~約90重量%のエチレンジアミン-ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマーを含み、ポリ(エチレンオキシド)が、分子重量で約10重量%~約90重量%であり、ポリ(プロピレンオキシド)が、分子重量で約20重量%~約90重量%である、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
前記アルカリ源が、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記ターポリマーが、約1,000~約50,000の分子量を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物中の前記ターポリマーが、約5ppm~約250ppmである、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
1つ以上の酵素をさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
水溶液である、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
洗剤組成物によって表面上への炭酸カルシウムの堆積を抑制する方法であって、
炭酸カルシウムの堆積を抑制するように、汚れた表面を請求項1~15のいずれか一項に記載の洗剤組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項17】
前記洗剤組成物の前記接触が、固体洗剤の使用溶液を生成する最初のステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記表面への前記洗剤組成物の前記接触が、少なくとも約50ppm、少なくとも400ppm、または少なくとも約600ppmの使用濃度で行われる、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記表面への前記洗剤組成物の前記接触が、約400ppm~約5000ppmの使用濃度で行われる、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記接触が、120°F(約48.9℃)以上の温度で行われる、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月13日に出願された米国出願第62/642,441号の出願日の利益を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、ガラス製品、プラスチック、および他の硬質表面に対して高いクリーニング性能を提供しながら、炭酸カルシウムの蓄積を防止もしくは抑制し、任意に、タンパク質の発泡、タンパク質の再堆積、および/または膜形成を防止もしくは抑制するように設計された洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
器物洗浄に使用される従来の洗剤には、アルカリ性洗剤が含まれる。アルカリ性洗剤は、ガラス、プラスチック、メラミン皿から食品汚れ(グリース、デンプン、およびタンパク質)を除去し、洗浄排水だめ(wash sump)で食品汚れを脱泡し、皿の上の食品汚れの再堆積を軽減するために一般的に使用される。現在、ハードスケールの蓄積を最小限に抑え、タンパク質汚れを含む食品汚れを脱泡し、例えば、高い食品汚れ濃度で、例えばタンパク質の再堆積を低減する洗剤が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
アクリル酸、マレイン酸またはイタコン酸、またはこれらの混合物、およびスルホン酸、例えば、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、または2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、またはこれらの混合物を含む1つ以上の異なるターポリマーを含む、アルカリ性洗剤組成物が、提供される。一実施形態において、洗剤組成物は、約1重量%~約20重量%のターポリマー、約1重量%~約15重量%のターポリマー、約1重量%~約10重量%のターポリマー、または約5重量%~約15重量%のターポリマーを含む。一実施形態において、本組成物は、ケイ酸塩、例えば、水溶性ケイ酸塩を含まない。一実施形態において、本組成物は、ホスホン酸塩を含まない。一実施形態において、本組成物は、クエン酸塩を含まない。一実施形態において、本組成物は、漂白剤を含まない。一実施形態において、本組成物は、ポリグリコシドを含まない。一実施形態において、本組成物は、ケイ素を含まない。一実施形態において、ターポリマーは、約1,000~約50,000、例えば、約1,000~約20,000、または約1,000~約10,000の分子量を有する。ターポリマー含有洗剤組成物は、ガラスおよびプラスチック表面を含むが、これらに限定されない、表面上での炭酸カルシウムの蓄積に関して改善された性能を示す。
【0005】
例えば、業務用器物洗浄用途における、高温、高い水の硬度、または高い汚れ濃度を含むがこれらに限定されない条件下で、プラスチック、ガラス、メラミン皿等の硬質表面上の、タンパク質の発泡、膜形成、再堆積、またはこれらの任意の組み合わせを防止または抑制するアルカリ性洗剤組成物も、提供される。一実施形態において、例えば皿等の硬質表面上でのタンパク質の発泡、膜形成、再堆積、またはこれらの組み合わせを軽減するアルカリ性洗剤組成物は、少なくとも2つの界面活性剤、例えば、少なくとも2つの非イオン性界面活性剤の組み合わせを含み、そのうちの少なくとも1つは、任意に、消泡特性を有する。
【0006】
また、少なくとも1つの界面活性剤、例えば、任意に、消泡特性を欠いている非イオン性界面活性剤を含み、本明細書に記載のターポリマーを含み得るアルカリ性洗剤組成物も、提供される。
【0007】
一実施形態において、界面活性剤の1つは、アルコキシル化ジオール、トリオール、またはテトロールを含む。一実施形態において、アルカリ性洗剤組成物は、約1重量%~約10重量%の2つの界面活性剤を含み、アルコキシル化ジオール、トリオール、またはテトロールは、約10重量%~約90重量%、約10重量%~約80重量%、約15重量%~約60重量%、または約15重量%~約40重量%の2つの界面活性剤の合計重量を含む。一実施形態において、アルコキシル化ジオール、トリオール、またはテトロールは、約10重量%~約80重量%のエチレンオキシド(EO)と、約20重量%~約90重量%のプロピレンオキシド(PO)と、を有する。一実施形態において、アルコキシル化ジオール、トリオール、またはテトロールは、約20重量%~約60重量%のエチレンオキシドと、約40重量%~80重量%のプロピレンオキシドと、を有する。一実施形態において、アルコキシル化ジオール、トリオール、またはテトロールは、約25重量%~約55重量%のエチレンオキシドと、約45重量%~約85重量%のプロピレンオキシドと、を有する。一実施形態において、アルコキシル化ジオール、トリオール、またはテトロールの分子量は、約1,500~約10,000、約2,000~約8,000、約2,000~約6,000、または約2,000~4,000である。一実施形態において、アルコキシル化ジオール、トリオール、またはテトロール界面活性剤の1つは、Dowfax(登録商標)DF-112を含む。一実施形態において、アルコキシル化ジオール、トリオール、またはテトロール界面活性剤の1つは、Dowfax(登録商標)DF-114を含む。
【0008】
一実施形態において、界面活性剤の1つは、アルコキシル化エチレンジアミンを含む。一実施形態において、アルカリ性洗剤組成物は、約1重量%~約10重量%の2つの界面活性剤を含み、アルコキシル化エチレンジアミンは、約10重量%~約90重量%、約20重量%~約80重量%、約30重量%~約70重量%、約40重量%~約65重量%、または約50重量%~約65重量%の2つの界面活性剤の合計重量を含む。一実施形態において、アルコキシル化エチレンジアミンは、約10重量%~約80重量%のエチレンオキシドと、約20重量%~90重量%のプロピレンオキシドと、を有する。一実施形態において、アルコキシル化エチレンジアミンは、約20重量%~約70重量%のエチレンオキシドと、約20重量%~80重量%のプロピレンオキシドと、を有する。一実施形態において、アルコキシル化エチレンジアミンは、約30重量%~約60重量%のエチレンオキシドと、約40重量%~70重量%のプロピレンオキシドと、を有する。一実施形態において、アルコキシル化エチレンジアミンの分子量は、約2,000~約10,000、約3,000~約10,000、または約4,000~9,000である。一実施形態において、非イオン性界面活性剤の1つは、Tetronic(登録商標)90R4を含む。
【0009】
一実施形態において、界面活性剤の1つは、ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマーを含む。一実施形態において、アルカリ性洗剤組成物は、約1重量%~約10重量%の2つの界面活性剤を含み、ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマーは、約10重量%~約90重量%、20重量%~約80重量%、約15重量%~約60重量%、または約15重量%~約50重量%の2つの界面活性剤の合計重量を含む。一実施形態において、ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマーにおけるEO対POの比は、3:7、2:8、または4:6である。一実施形態において、非イオン性界面活性剤の1つは、Pluronic(登録商標)N3を含む。一実施形態において、非イオン性界面活性剤の1つは、Pluronic(登録商標)25R2を含む。
【0010】
一実施形態において、洗剤組成物は、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属炭酸塩を含む。一実施形態において、洗剤組成物は、固体である。一実施形態において、洗剤組成物は、水性液体である。
【0011】
洗剤組成物の使用方法も提供される。
【0012】
さらに、一実施形態において、約70重量%~約90重量%のアクリル酸、約5重量%~約19重量%のマレイン酸、および約1重量%~約15重量%の2-アクリルアミド2-メチルプロパン、ビニル、スチレン、アリルまたはメタリルスルホン酸を含むターポリマーが、提供される。一実施形態において、ターポリマーは、約70重量%~約90重量%のアクリル酸、約5重量%~約35重量%のイタコン酸、および約1重量%~約15重量%の2-アクリルアミド2-メチルプロパン、ビニル、スチレン、アリルまたはメタリルスルホン酸を含む。
【0013】
複数の実施形態が開示されているが、本発明のまた他の実施形態は、本発明の例証的な実施形態を図示および説明する以下の詳細な説明から、当業者には明らかになるであろう。したがって、図面および発明を実施するための形態は、本質的に例示的であり限定的ではないとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】発泡および膜形成は、Tetronic 90R4、Dowfax DF-114、またはこれらの組み合わせを含むアルカリ性洗剤組成物から生じる。
【
図1B】Tetronic 90R4、Dowfax DF-114、またはこれらの組み合わせを含むアルカリ性洗剤組成物を使用した50サイクル試験の結果。
【
図2A】発泡および膜形成は、Tetronic 90R4、Pluronic N3、またはこれらの組み合わせを含むアルカリ性洗剤組成物から生じる。
【
図2B】Tetronic 90R4、Pluronic N3、またはこれらの組み合わせを含むアルカリ性洗剤組成物を使用した50サイクル試験の結果。
【
図3】アクリル酸、マレイン酸またはイタコン酸、およびスルホン酸のターポリマーを含むアルカリ性洗剤組成物を使用した100サイクル試験の結果。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の様々な実施形態を詳細に説明する。様々な実施形態への言及は、本開示の範囲を限定しない。本明細書において提示される図は、本開示による様々な実施形態に対する限定ではなく、本開示の例示的な説明のために提示される。例えば、実施形態は、ターポリマーを有する特定の洗剤組成物に限定されず、変化し得、当業者によって理解される少なくとも2つの界面活性剤を有する組成物を含み得る。本明細書に使用されるすべての専門用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためであり、いかなる様式または範囲においても限定的であることを意図されないことがさらに理解されるべきである。例えば、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数形「a」、「an」、および「the」は、その内容が別途明確に示さない限り、複数の指示対象を含み得る。さらに、すべての単位、接頭辞、および記号は、そのSI認証形態で表示され得る。
【0016】
本明細書内に列挙された数値範囲は、定義された範囲内の数を含む。本開示全体を通して、本開示の様々な態様が、範囲形式で提示されている。範囲形式での記載は、単に便宜性および簡潔性のためであると理解されるべきであり、本開示の範囲への不可変な限定として解釈されるべきではない。したがって、範囲の説明は、その範囲内のすべての可能性のある部分範囲ならびに個々の数値を具体的に開示しているとみなされるべきである(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
【0017】
本開示をより容易に理解し得るように、ある特定の用語をまず定義する。別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示の実施形態に関連する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似しているか、それらを修正したか、またはそれらと同等である多くの方法および材料が、必要以上の実験を伴うことなく本開示の実施形態の実践に使用されることができ、例示的な材料および方法が、本明細書に記載されている。本開示の実施形態についての記載および特許請求において、以下に記載の定義に従って、以下の専門用語が使用されるであろう。
【0018】
「約」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、現実世界において濃縮物もしくは使用溶液の作製のために使用される典型的な測定および液体取扱い手順、それらの手順における不慮の誤差、組成物の作製もしくは方法の実行に使用される成分の製造、供給源、もしくは純度の違い等によって生じ得る、数量の変動を指す。「約」という用語はまた、特定の初期混合物から生じる組成物についての異なる平衡条件に起因して異なる量も包含する。「約」という用語により修飾されるか否かにかかわらず、特許請求の範囲は、その量の当量を含む。
【0019】
「活性物質」または「パーセント活性物質」または「重量パーセント活性物質」または「活性物質濃度」という用語は、本明細書において互換的に使用され、例えば水または塩等の不活性成分を引いたパーセンテージとして表されるクリーニングに関与する成分の濃度を指す。
【0020】
「アルキル」または「アルキル基」とは、1個以上の炭素原子を有する飽和炭化水素を指し、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等)、環式アルキル基(または「シクロアルキル」もしくは「脂環式」もしくは「炭素環式」基)(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等)、分岐鎖アルキル基(例えば、イソプロピル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソブチル等)、ならびにアルキル置換アルキル基(例えば、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基)を含む。
【0021】
別段に特定されない限り、「アルキル」という用語は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含む。本明細書で使用される場合、「置換アルキル」という用語は、炭化水素骨格の1つ以上の炭素の1つ以上の水素を置換する置換基を有するアルキル基を指す。そのような置換基には、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲノ、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート(phosphonato)、ホスフィネート(phosphinato)、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環式、アルキルアリール、または芳香族(複素芳香族を含む)基が含まれ得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、置換アルキルには、複素環式基が含まれ得る。本明細書で使用される場合、「複素環式基」という用語は、環中の1個以上の炭素原子が炭素以外の元素、例えば、窒素、硫黄、または酸素である炭素環式基に類似の閉環構造を含む。複素環式基は、飽和でも不飽和でもよい。例示的な複素環式基としては、これらに限定されるものではないが、アジリジン、エチレンオキシド(エポキシド、オキシラン)、チイラン(エピスルフィド)、ジオキシラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ジオキセタン、ジチエタン、ジチエト、アゾリジン、ピロリジン、ピロリン、オキソラン、ジヒドロフラン、およびフランが挙げられる。
【0023】
「再堆積防止剤」は、クリーニングされている物体上に再堆積する代わりに水中に懸濁されたままであることを助ける化合物を指す。再堆積防止剤は、クリーニングされている表面上の除去された汚れの再堆積の低減を補助するために有用である。
【0024】
本明細書で使用される場合、「クリーニング」という用語は、汚れの除去を促進するか、またはそれらを助けるために使用される方法を指す。
【0025】
「硬質表面」という用語は、カウンタートップ、タイル、床、壁、パネル、窓、衛生器具、台所および浴室の家具、器具、エンジン、回路基板、および皿等の固形の実質的に非可撓性の表面を指す。硬質表面には、例えば、ヘルスケア用表面および食品加工用表面が含まれ得る。
【0026】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、一般に、これらに限定されないが、ホモポリマー、コポリマー、例えばブロック、グラフト、ランダムおよび交互コポリマー等、ターポリマー、ならびにより高次の「x」量体を含み、それらの誘導体、組み合わせおよびブレンドをさらに含む。さらに、別段に具体的に限定されない限り、「ポリマー」という用語は、これらに限定されないが、アイソタクチック、シンジオタクチックおよびランダム対称、ならびにそれらの組み合わせを含む、分子のすべての可能な異性体構成を含むものとする。さらに、別段に具体的に限定されない限り、「ポリマー」という用語は、分子のすべての可能な幾何学構成を含むものとする。
【0027】
本明細書で使用される場合、「汚れ」という用語は、炭水化物、タンパク質、脂肪、油等を含むがこれらに限定されない、極性または非極性の有機または無機の物質を指す。これらの物質は、それらの有機状態で存在するか、または金属と錯体化して無機錯体を形成し得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、その構成成分を完全に欠くか、またはその構成成分が組成物の性能に影響を及ぼさない程度の少量の構成成分を有する組成物を指す。構成成分は、不純物としてまたは汚染物質として存在してもよく、0.5重量%未満でなければならない。別の実施形態において、構成成分の量は、0.1重量%未満であり、さらに別の実施形態において、構成成分の量は、0.01重量%未満である。
【0029】
「実質的に同様のクリーニング性能」という用語は、概してクリーン性の同じ度合(または少なくとも顕著に劣る度合ではない)、または概して同じ労力の消費(または少なくとも顕著に劣る消費ではない)、もしくはその両方を用いる代用クリーニング製品または代用クリーニング系により概して達成されることを指す。
【0030】
「閾値剤(threshold agent)」という用語は、溶液に由来する硬水イオンの結晶化を阻害するが、その硬水イオンと特定の錯体を形成する必要がない化合物を指す。閾値剤としては、限定されるものではないが、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、オレフィン/マレイン酸コポリマー等が挙げられる。
【0031】
本明細書で使用される場合、「器物」という用語は、食器道具および調理道具、食器、ならびにシャワー、シンク、トイレ、浴槽、天板、窓、鏡、運搬用車両、および床等の他の硬質表面を指す。本明細書で使用される場合、「器物洗浄」という用語は、器物の洗浄、クリーニング、またはすすぎを指す。「器物」という用語は、一般に、食器および調理器具、皿、ならびに他の硬質表面等の品目を指す。器物はまた、ガラス、セラミック、陶磁器、水晶、金属、プラスチックまたは天然物質(限定されないが、粘土、竹、麻等)を含む様々な基材で作製された品目を指す。本開示による組成物でクリーニングされ得るプラスチックの種類としては、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、ポリカーボネート(PC)、メラミンホルムアルデヒド樹脂またはメラミン樹脂(メラミン)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、およびポリスルホン(PS)を含むものが挙げられるが、これらに限定されない。本開示の化合物および組成物を使用してクリーニングされ得る他の例示的なプラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリスチレンポリアミドが挙げられる。
【0032】
「重量パーセント(weight percent)」、「重量%(wt-%)」、「重量パーセント(percent by weight)」、「重量%(% by weight)」という用語、およびそれらの変形は、本明細書で使用される場合、その物質の重量を組成物の総重量で除し、100を乗じた物質の濃度を指す。本明細書で使用される場合、「パーセント」、「%」等は、「重量パーセント」、「重量%」等と同義であることが意図されることが理解される。
【0033】
本明細書に開示される方法および組成物は、本開示の構成成分および成分、ならびに本明細書に記載の他の成分を含み得るか、それらから本質的になり得るか、またはそれらからなり得る。本明細書で使用される場合、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、方法および組成物が、追加の工程、構成要素、または成分が、特許請求の範囲に記載の方法および組成物の基本的かつ新規な特徴を著しく変更しない場合にのみ、その追加の工程、構成要素、または成分を含んでもよいことを意味する。
【0034】
洗剤組成物
本開示による洗剤組成物は、様々な産業用および消費者用表面、例えば、食品および飲料、繊維製品、器物洗浄、およびヘルスケア産業で使用される表面をクリーニングするためのアルカリ金属アルカリ性洗剤を提供する。
【0035】
洗剤組成物は、アルカリ金属炭酸塩および/またはアルカリ金属水酸化物のアルカリ源、ならびに1つ以上のポリマー、例えば、マレイン酸またはイタコン酸、アクリル酸、およびスルホン酸塩を含むターポリマー、ならびに任意に少なくとも1つの追加の機能性成分を含む、それらからなる、および/またはそれらから本質的になる。一実施形態において、洗剤組成物は、アルカリ金属炭酸塩および/またはアルカリ金属水酸化物のアルカリ源、ならびに2つ以上の界面活性剤、例えば、少なくとも2つの非イオン性界面活性剤、ならびに任意に少なくとも1つの追加の機能性成分を含む、それらからなる、および/またはそれらから本質的になる。一実施形態において、洗剤組成物は、アルカリ金属炭酸塩および/またはアルカリ金属水酸化物のアルカリ源、マレイン酸またはイタコン酸、アクリル酸およびスルホン酸塩を含むターポリマー、ならびに2つ以上の界面活性剤、例えば、少なくとも2つの非イオン性界面活性剤を含む、それらからなる、および/またはそれらから本質的になる。さらに別の実施形態において、洗剤組成物は、アルカリ金属炭酸塩および/またはアルカリ金属水酸化物のアルカリ源、マレイン酸またはイタコン酸、アクリル酸およびスルホン酸塩を含むターポリマー、2つ以上の界面活性剤、例えば、少なくとも2つの非イオン性界面活性剤、ならびに少なくとも1つの追加の機能的成分を含む、それらからなる、および/またはそれらから本質的になる。
【0036】
固体洗剤組成物中の成分の量の例示的な範囲には、1重量%~80重量%、5重量%~70重量%、20重量%~70重量%、25重量%~70重量%、または45重量%~70重量%の、アルカリ金属炭酸塩および/またはアルカリ金属水酸化物を含むアルカリ源、ならびに一実施形態において、1重量%~15重量%、1重量%~10重量%、5重量%~15重量%、または5重量%~10重量%のターポリマーが含まれるが、これらに限定されないか、または固体洗剤組成物中の成分の量には、1重量%~80重量%、5重量%~70重量%、20重量%~70重量%、25重量%~70重量%、または45重量%~70重量%の、アルカリ金属炭酸塩および/またはアルカリ金属水酸化物を含むアルカリ源、ならびに一実施形態において、1重量%~10重量%、1重量%~8重量%、1重量%~6重量%、または1重量%~4重量%の2つの非イオン性界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
固体洗剤組成物は、固体濃縮組成物を含み得る。「固体」組成物は、粉体、粒子、凝集体、フレーク、顆粒、ペレット、錠剤、ロゼンジ、パック、ブリケット、レンガ、固体ブロック、単位用量、または当業者に既知の他の固体形態を指す。「固体」という用語は、固体洗剤組成物の予測される保管および使用条件下での洗剤組成物の状態を指す。一般に、洗剤組成物は、100°F(約37.8℃)、112°F(約44.4℃)、または120°F(約48.9℃)の高温に曝露されたときに固体形態のままであり得ることが予測される。鋳造、圧縮、または押出された「固体」は、ブロックを含む任意の形態をとり得る。鋳造、圧縮、または押出された固体に言及する場合、それは、硬化された組成物が、目に見えて流動せず、適度な応力、圧力、または単なる重力下でその形状を実質的に保持するであろうことを意味する。例えば、鋳型から取り外されたときの鋳型の形状、押出機からの押出に際して形成された物品の形状等である。固体鋳造組成物の硬度の程度は、コンクリートに類似した、比較的緻密で硬い溶融固体ブロックの硬度から、コーキング材に類似した、可鍛性でスポンジ様のものとして特徴付けられる軟度にわたり得る。
【0038】
アルカリ性洗剤組成物は、様々な表面、すなわち硬質表面に適用するための使用溶液を提供するために、使用前または使用時点で希釈される濃縮物として(または希釈され、組み合わされる複数の濃縮物として)利用可能になり得る。後で組み合わせられる濃縮物を提供することの利点は、使用溶液よりも濃縮物を出荷および貯蔵するのがより安価であり、またより少ない包装が使用されるため持続可能であることから、出荷および貯蔵コストが削減され得ることである。
【0039】
アルカリ源
洗剤組成物は、アルカリ性源を含む。一実施形態において、アルカリ源は、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属炭酸塩から選択される。好適なアルカリ金属水酸化物および炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウムが挙げられるが、これらに限定されない。任意の「灰系」または「アルカリ金属炭酸塩」としては、すべてのアルカリ金属炭酸塩、メタケイ酸塩、ケイ酸塩、重炭酸塩、および/またはセスキ炭酸塩が挙げられることも理解されるべきである。一実施形態において、「アルカリ金属炭酸塩」は、メタケイ酸塩、ケイ酸塩、重炭酸塩、および/またはセスキ炭酸塩を含まない。一態様では、アルカリ源は、アルカリ金属炭酸塩である。いくつかの態様では、アルカリクリーニング組成物は、有機アルカリ源を含まない。
【0040】
アルカリ源は、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、または少なくとも約12のpHを有する使用溶液を提供するのに十分な量で提供される。使用溶液のpH範囲は、例えば、約8.0~約13.0、別の例では、約10~12.5である。
【0041】
一実施形態において、組成物は、約1重量%~約80重量%のアルカリ源、約10重量%~約75重量%のアルカリ源、約20重量%~約75重量%のアルカリ源、または約40重量%~約75重量%のアルカリ源を含む。加えて、本開示に従って限定されるものではないが、すべての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。
【0042】
ターポリマーを含むポリマー
一実施形態において、洗剤組成物は、マレイン酸またはイタコン酸、アクリル酸およびスルホン酸のターポリマーを含む。好適なターポリマーは、約1,000~50,000、約1,000~約20,000、約1,000~10,000、または約1,000~約6,000の分子量を有する。
【0043】
洗剤組成物は、ターポリマーと組み合わせて他のポリマーを含んでもよく、または少なくとも2つの界面活性剤とともに、ポリマレイン酸ホモポリマー、ポリアクリル酸ホモポリマー、およびポリカルボキシレート等の他のポリマーを含んでもよい。ビルダーおよび/または水質調整ポリマーとして使用され得る例示的なポリカルボキシレートとしては、ポリアクリル酸ホモポリマー、ポリマレイン酸ホモポリマー、マレイン酸/オレフィンコポリマー、スルホン化コポリマーまたはターポリマー、アクリル/マレイン酸コポリマーまたはターポリマー、ポリメタクリル酸ホモポリマー、ポリメタクリル酸コポリマーまたはターポリマー、アクリル酸-メタクリル酸コポリマー、加水分解ポリアクリルアミド、加水分解ポリメタクリルアミド、加水分解ポリアミド-メタクリルアミドコポリマー、加水分解ポリアクリロニトリル、加水分解ポリメタクリロニトリル、加水分解アクリロニトリル-メタクリロニトリルコポリマー、およびこれらの組み合わせ等のペンダントカルボキシレート(-CO2-)基を有するものが挙げられるが、これらに限定されない。キレート剤/隔離剤のさらなる考察については、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Kirk-Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、第5巻、339~366ページおよび第23巻、319~320ページを参照されたい。これらの材料はまた、準化学量論的レベルで使用されて結晶調整剤としても機能し得る。
【0044】
一実施形態において、組成物は、約1重量%~約30重量%のターポリマー、またはターポリマーおよび他のポリマー、またはターポリマー以外のポリマー、約1重量%~約20重量%のターポリマー、またはターポリマーおよび他のポリマー、またはターポリマー以外のポリマー、約1重量%~約15重量%のターポリマー、またはターポリマーおよび他のポリマー、またはターポリマー以外のポリマーを含み、約1重量%~約10重量%のターポリマー、またはターポリマーおよび他のポリマー、またはターポリマー以外のポリマーであり得る。さらなる態様では、本組成物は、約1重量%~約20重量%のターポリマー、約1重量%~約15重量%のターポリマー、約1重量%~約10重量%のターポリマー、約2.5重量%~約15重量%、または約2.5重量%~約10重量%のターポリマーを含む。加えて、本開示に従って限定されるものではないが、すべての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。
【0045】
非イオン性界面活性剤
一態様では、洗剤組成物は、少なくとも2つの非イオン性界面活性剤を含み得、例えば、ターポリマー含有洗剤組成物は、任意に、2つ以上の非イオン性界面活性剤、例えば、非イオン性アルコキシル化界面活性剤を含み得る。例示的な好適なアルコキシル化界面活性剤としては、Pluronic(登録商標)という名称で入手可能なもの等のエチレンオキシド/プロピレンブロックコポリマー(EO/POコポリマー)、キャップ付きEO/POコポリマー、アルコールアルコキシレート、キャップ付きアルコールアルコキシレート、それらの混合物等が挙げられる。
【0046】
非イオン性界面活性剤は、一般的に、有機疎水性基および有機親水性基の存在を特徴とし、典型的には、有機脂肪族、アルキル芳香族、またはポリオキシアルキレン疎水性化合物と、通常はエチレンオキシドまたはそのそれらの多水和生成物、ポリエチレングリコールである親水性アルカリ性オキシド部分との縮合によって生成される。具体的には、反応性水素原子を有するヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、またはアミド基を有する任意の疎水性化合物を、エチレンオキシド、またはその多水和添加剤、またはそれらと、プロピレンオキシド等のアルコキシレンとの混合物と縮合させて、非イオン性表面活性剤を形成することができる。任意の特定の疎水性化合物と縮合する親水性ポリオキシアルキレン部分の長さは、親水性特性と疎水性特性との間の所望の程度のバランスを有する水分散性または水溶性化合物を生成するように、容易に調節され得る。
【0047】
一実施形態において、本組成物に有用な非イオン性界面活性剤は、低泡性非イオン性界面活性剤である。本組成物に有用な非イオン性低泡性界面活性剤の例としては、以下のものが挙げられる。
1)開始剤反応性水素化合物としてのプロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、およびエチレンジアミンをベースとしたブロックポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物。開始剤の連続的なプロポキシル化およびエトキシル化から作製されるポリマー化合物の例は、BASF社製のPluronic(登録商標)およびTetronic(登録商標)の商品名で市販されている。Pluronic(登録商標)は、エチレンオキシドを、プロピレングリコールの2つのヒドロキシル基へのプロピレンオキシドの付加によって形成される疎水性塩基と縮合させることによって形成される二官能性(2つの反応性水素)化合物である。分子のこの疎水性部分は、1,000~4,000の分子量を有する。次いで、この疎水性物質を親水性基の間に挟み込むようにエチレンオキシドが付加され、最終的な分子の約10重量%~約80重量%を構成するように長さが制御される。Tetronic(登録商標)化合物は、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの、エチレンジアミンへの逐次付加から得られる四官能性ブロックコポリマーである。プロピレンオキシドハイドロタイプの分子量は、500~7,000の範囲であり、分子の10重量%~80重量%を構成するように、親水性物質であるエチレンオキシドが付加される。
2)エチレンジアミンへのプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの逐次付加によりにより生成されたアルコキシル化ジアミン。この分子の疎水性部分は、250~6,700の分子量を有し、中心の親水性物質は、最終的な分子の0.1重量%~50重量%を含む。この化学の市販化合物の例は、Tetronic(商標)Surfactantsという商品名でBASF Corporationから市販されている。
3)エチレンジアミンへのエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの逐次付加によりにより生成されたアルコキシル化ジアミン。この分子の疎水性部分は、250~6,700の分子量を有し、中心の親水性物質は、最終的な分子の0.1重量%~50重量%を含む。この化学の市販化合物の例は、Tetronic R(商標)Surfactantsという商品名でBASF Corporationから市販されている。
【0048】
これらの化合物は、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、塩化ベンジル等の疎水性小分子と、1~5個の炭素原子を含有する短鎖脂肪酸、アルコールまたはアルキルハロゲン化物と、それらの混合物との反応による発泡を低減するために、(多官能性部分の)末端ヒドロキシ基(複数可)を「キャッピング」または「端部ブロッキング」することで改質され得る。また、末端ヒドロキシ基を塩化物基に変換する塩化チオニル等の反応物質も含まれる。末端ヒドロキシ基へのそのような修飾は、オールブロック、ブロック-ヘテリック、ヘテリック-ブロック、またはオールヘテリック非イオン性物質をもたらし得る。
【0049】
例示的な洗剤組成物
一実施形態において、アルカリ性洗剤組成物は、アルカリ源と、アクリル酸、マレイン酸またはイタコン酸、および2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸またはメタリルスルホン酸を含むターポリマーと、任意に少なくとも2つの非イオン性界面活性剤と、を含む。一実施形態において、アルカリ性洗剤組成物は、約1重量%~80重量%の水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウム、および約1重量%~約20重量%、約1重量%~約15重量%、約2.5重量%~約15重量%、または約2.5重量%~約10重量%のターポリマーを含む。一実施形態において、ターポリマーは、約70重量%~約90重量%のアクリル酸、約5重量%~約25重量%のマレイン酸またはイタコン酸、および約1重量%~約15重量%の2-アクリルアミド2-メチルプロパン、ビニル、スチレン、アリルまたはメタリルスルホン酸を含む。一実施形態において、ターポリマーは、約1,000~約50,000、例えば、約1,000~約20,000、約1,000~約10,000の分子量を有する。
【0050】
一実施形態において、アルカリ性洗剤組成物は、アルカリ源と、少なくとも2つの非イオン性界面活性剤と、を含む。一実施形態において、非イオン性界面活性剤は、アルコキシル化トリオールおよびアルコキシル化エチレンジアミンを含み、アルカリ性洗剤組成物は、約1重量%~約80重量%の水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウム、および約1重量%~約10重量%の2つの界面活性剤を含む。一実施形態において、アルコキシル化トリオールは、約10重量%~約80重量%、約10重量%~約60重量%、約15重量%~約50重量%、または約15重量%~約40重量%の2つの界面活性剤の合計重量を含む。一実施形態において、アルコキシル化トリオールは、約30重量%~約70重量%のエチレンオキシド(EO)と、約30重量%~70重量%のプロピレンオキシド(PO)と、を有する。一実施形態において、アルコキシル化トリオールは、約20重量%~約60重量%のエチレンオキシドと、約40重量%~80重量%のプロピレンオキシドと、を有する。一実施形態において、アルコキシル化トリオールは、約25重量%~約65重量%のエチレンオキシドと、約35重量%~75重量%のプロピレンオキシドと、を有する。一実施形態において、アルコキシル化トリオールの分子量は、約1,500~約10,000、約2,000~約8,000、約2,000~約6,000、または約2,000~4,00である。一実施形態において、アルコキシル化エチレンジアミンは、約20重量%~約90重量%、約30重量%~約80重量%、または約40重量%~約80重量%の2つの界面活性剤の合計重量を含む。
【0051】
一実施形態において、アルカリ性洗剤組成物は、アルカリ源と、ターポリマーと、少なくとも2つの非イオン性界面活性剤と、を含む。一実施形態において、界面活性剤は、アルコキシル化トリオールおよびアルコキシル化エチレンジアミンを含み、アルカリ性洗剤組成物は、約1重量%~約80重量%の水酸化ナトリウム、および約1重量%~約10重量%の2つの界面活性剤を含む。一実施形態において、アルコキシル化トリオールは、約10重量%~約80重量%、10重量%~約60重量%、約15重量%~約50重量%、または約15重量%~約40重量%の2つの界面活性剤の合計重量を含む。一実施形態において、アルコキシル化トリオールは、約20重量%~約80重量%のエチレンオキシド(EO)と、約50重量%~80重量%のプロピレンオキシド(PO)と、を有する。一実施形態において、アルコキシル化トリオールは、約20重量%~約80重量%のエチレンオキシドと、約20重量%~80重量%のプロピレンオキシドと、を有する。一実施形態において、アルコキシル化トリオールは、約25重量%~約55重量%のエチレンオキシドと、約30重量%~60重量%のプロピレンオキシドと、を有する。一実施形態において、アルコキシル化トリオールの分子量は、約1,500~約10,000、約2,000~約8,000、約2,000~約6,000、または約(abou)2,000~4,000である。一実施形態において、アルコキシル化エチレンジアミンは、約40重量%~約90重量%、約50重量%~約85重量%、または約60重量%~約80重量%の2つの界面活性剤の合計重量を含む。一実施形態において、アルコキシル化エチレンジアミンの分子量は、約約6,000~約8,000、または約7,000~8,600である。一実施形態において、ターポリマーは、約70重量%~約90重量%のアクリル酸、約5重量%~約20重量%のマレイン酸またはイタコン酸、および約1重量%~約15重量%の2-アクリルアミド2-メチルプロパン、ビニル、スチレン、アリルまたはメタリルスルホン酸を含む。
【0052】
一実施形態において、アルカリ性洗剤組成物は、アルカリ源と、アクリル酸、マレイン酸またはイタコン酸、および2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸またはメタリルスルホン酸を含むターポリマーと、ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマーおよびアルコキシル化エチレンジアミンを含む少なくとも2つの非イオン性界面活性剤と、を含む。一実施形態において、アルカリ性洗剤組成物は、約1重量%~約80重量%の水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムと、約1重量%~約10重量%の2つの界面活性剤と、を含み、アルコキシル化エチレンジアミンは、約20重量%~約90重量%、約30重量%~約80重量%、または約40重量%~約80重量%の2つの界面活性剤の合計重量を含む。一実施形態において、アルカリ性洗剤組成物は、約1重量%~約10重量%の2つの界面活性剤を含み、ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマーは、約10重量%~約90重量%、約15重量%~約80重量%、または約15重量%~約70重量%の2つの界面活性剤の合計重量を含む。一実施形態において、ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマーにおけるEO対POの比は、3:7、2:8、または4:6である。一実施形態において、アルコキシル化エチレンジアミンの分子量は、約約1,000~約10,000、または約4,000~9,000である。一実施形態において、ターポリマーは、約70重量%~約90重量%のアクリル酸、約5重量%~約20重量%のマレイン酸またはイタコン酸、および約1重量%~約15重量%の2-アクリルアミド2-メチルプロパン、ビニル、スチレン、アリルまたはメタリルスルホン酸を含む。
他の例示的な実施形態を、以下の表1に示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0053】
アミノカルボキシレート
一実施形態において、洗剤組成物は、アミノカルボキシレート(またはアミノカルボン酸材料)を含み得る。一態様では、アミノカルボキシレートは、NTAをほとんどまたは全く含まないアミノカルボン酸材料を含む。好適なアミノカルボキシレートとしては、例えば、N-ヒドロキシエチルアミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、グルタミン酸N,N-二酢酸(GLDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、イミノジコハク酸(IDS)、エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、3-ヒドロキシ-2,2-イミノジコハク酸(HIDS)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、およびカルボン酸置換基を有するアミノ基を有する他の同様の酸が挙げられる。一実施形態において、アミノカルボキシレートは、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。
【0054】
一態様では、本組成物は、約1重量%~約25重量%のアミノカルボキシレート、約1重量%~約20重量%のアミノカルボキシレート、約1重量%~約15重量%のアミノカルボキシレート、または好ましくは約5重量%~約15重量%のアミノカルボキシレートを含む。加えて、本発明に従うよう限定するものではないが、列挙されるすべての範囲は、範囲を定義する数字を含み、定義された範囲内の各整数を含む。
【0055】
他の任意の界面活性剤
他の任意の消泡剤には、ポリジメチルシロキサン中に分散されるシリカ、ポリジメチルシロキサン、およびAbil B9952の名前で入手可能であるもの等の官能化ポリジメチルシロキサン等のシリコーン化合物、脂肪アミド、炭化水素ワックス、脂肪酸、脂肪エステル、脂肪アルコール、脂肪酸石鹸、エトキシレート、鉱物油、ポリエチレングリコールエステル、ならびにリン酸モノステアリル等のアルキルリン酸エステル等が含まれ得る。消泡剤の考察は、Martinらの米国特許第3,048,548号、Brunelleらの米国特許第3,334,147号、およびRueらの米国特許第3,442,242号に見出すことができ、これらの開示は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
他の任意の非イオン性低発泡界面活性剤には、
本開示の組成物において有利に使用されるポリオキシアルキレン表面活性剤は、式:P[(C3H6O)n(C2H4O)mH]xに対応し、式中、Pは、8~18個の炭素原子を有し、かつx個の反応性水素原子を含有する有機化合物の残基であり、ここでxは1または2の値を有し、nは、ポリオキシエチレン部分の分子量が少なくとも44となるような値を有し、mは、分子のオキシプロピレン含量が10重量%~90重量%となるような値を有する。いずれの場合においても、オキシプロピレン鎖は、任意選択で、しかし有利に、少量のエチレンオキシドを含有してもよく、オキシエチレン鎖もまた、任意選択で、しかし有利に、少量のプロピレンオキシドを含有してもよい。
【0057】
アルコキシル化アミンには、アルコールのアルコキシル化/アミノ化/アルコキシル化界面活性剤が含まれる。これらの非イオン性界面活性剤は、少なくとも部分的に、以下の一般式:
R20--(PO)sN-(EO)tH、
R20--(PO)sN-(EO)tH(EO)uH、および
R20--N(EO)tHによって表すことができ、
式中、R20は、8~20個、例えば、12~14個の炭素原子のアルキル、アルケニル、もしくは他の脂肪族基、またはアルキル-アリール基であり、EOは、オキシエチレンであり、POは、オキシプロピレンであり、sは、1~20、例えば2~5であり、tは、1~10、例えば2~5であり、uは、1~10、例えば2~5である。これらの化合物の範囲の他の変形は、以下の代替式:
R20--(PO)v--N[(EO)wH][(EO)zH]
によって表すことができ、式中、R20は、上記の定義のとおりであり、vは、1~20(例えば、1、2、3、または4(例えば2))であり、wおよびzは、独立して、1~10、例えば2~5である。これらの化合物は、商業的には、非イオン性界面活性剤としてHuntsman Chemicalsにより販売されている製品ラインにより代表される。
【0058】
無泡性非イオン性界面活性剤の好適な量としては、クリーニング溶液の約0.01重量%~約15重量%が挙げられる。特に好適な量としては、クリーニング溶液の約0.1重量%~約12重量%または約0.5重量%~約10重量%が挙げられる。
【0059】
追加の任意の機能性成分
洗剤組成物の構成要素は、アルカリ性洗剤またはクリーニング組成物を使用する器物洗浄および他の用途における使用に好適である様々な機能性構成要素とさらに組み合わせることができる。いくつかの実施形態において、ターポリマーまたは2つの非イオン性界面活性剤、およびアルカリ源を含む洗剤組成物は、大量の、例えば、約1重量%~約90重量%、約5重量%~約80重量%、10重量%~約70重量%、約40重量%~約80重量%、または実質的にすべての洗剤組成物の総重量で作製する。例えば、いくつかの実施形態において、その中に追加の機能性成分はほとんど、または全く含まれない。
【0060】
他の実施形態において、追加の機能性成分が、本組成物中に含まれてもよい。機能性成分は、組成物に所望の性質および機能性を付与する。本出願の目的のために、「機能性成分」という用語は、使用および/または濃縮溶液中に分散または溶解される場合、特定の使用において有益な特性を提供する材料を含む。機能性材料のいくつかの特定の例は、以下により詳細に考察されるが、考察される特定の材料は単に例として挙げられているだけであり、多様な他の機能性成分が使用されてもよい。例えば、以下に考察される機能性材料の多くは、クリーニング、具体的には、器物洗浄用途で使用される材料に関する。しかしながら、他の実施形態は、他の用途で使用するための機能性成分を含み得る。
【0061】
他の実施形態において、本組成物は、アルカリ金属ボレート、ホスフェートおよびパーカーボネート等の追加のアルカリ源を含んでもよい。本組成物はまた、追加の消泡剤、再付着防止剤、漂白剤、溶解度調整剤、分散剤、すすぎ補助剤、金属保護剤、酵素、安定化剤、腐食防止剤、金属触媒、追加の隔離剤および/またはキレート剤、香料および/または染料、レオロジー調整剤または増粘剤、ヒドロトロープまたは発色剤、緩衝剤、溶媒等も含み得る。
【0062】
ホスホン酸塩
いくつかの実施形態において、本組成物は、ホスホン酸塩を含む。ホスホン酸塩の例としては、米国特許第8,871,699号および同第9,255,242号に記載されているホスフィノコハク酸オリゴマー(PSO);2-ホスフィノブタン-1,2,4-トリカルボン酸(PBTC)、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、CH2C(OH)[PO(OH)2]2;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、N[CH2PO(OH)2]3;アミノトリ(メチレンホスホネート)、ナトリウム塩(ATMP)、N[CH2PO(ONa)2]3;2-ヒドロキシエチルイミノビス(メチレンホスホン酸)、HOCH2CH2N[CH2PO(OH)2]2;ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、(HO)2POCH2N[CH2CH2N[CH2PO(OH)2]2]2;ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホネート)、ナトリウム塩(DTPMP)、C9H(28-x)N3NaxO15P5(x=7);ヘキサメチレンジアミン(テトラメチレンホスホネート)、カリウム塩、C10H(28-x)N2KxO12P4(x=6);ビス(ヘキサメチレン)トリアミン(ペンタメチレンホスホン酸)、(HO2)POCH2N[(CH2)2N[CH2PO(OH)2]2]2;モノエタノールアミンホスホネート(MEAP);ジグリコールアミンホスホネート(DGAP)およびリン酸、H3PO3が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なホスホン酸塩は、PBTC、HEDP、ATMP、およびDTPMPである。ホスホン酸塩が加えられるときに、中和反応によって発生される熱もしくはガスがほとんど存在しないか、または全く存在しないように、中和されたもしくはアルカリ性のホスホン酸塩、または混合物に加えられる前にホスホン酸塩とアルカリ源とを組み合わせたものが、用いられ得る。しかしながら、一実施形態において、本組成物は、リンを含まない。
【0063】
ホスホン酸塩の好適な量としては、組成物の約0重量%~約25重量%、組成物の約0.1重量%~約20重量%、または組成物の約0.5重量%~約15重量%が挙げられる。
【0064】
任意の界面活性剤
いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、界面活性剤を含む。本開示の組成物とともに使用するのに好適な界面活性剤としては、追加の非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および双性イオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、約0重量%~約50重量%の界面活性剤、または約0重量%~約25重量%の界面活性剤を含む。
【0065】
アニオン性界面活性剤
疎水性物質の電荷が負であるためアニオン性物質として分類される界面活性物質、またはpHが中性以上に上昇しない限り分子の疎水性部分が電荷を持たない界面活性剤(例えば、カルボン酸)もまた、本開示において有用である。カルボキシレート、スルホネート、スルフェート、およびホスフェートは、アニオン性界面活性剤に見出される極性(親水性)可溶化基である。これらの極性基と関連したカチオン(対イオン)のうち、ナトリウム、リチウム、およびカリウムは、水溶性を付与し、アンモニウムおよび置換アンモニウムイオンは、水溶性および油溶性の両方を提供し、カルシウム、バリウム、およびマグネシウムは、油溶性を促進する。当業者が理解するように、アニオン性物質は、優れた洗浄性界面活性剤であり、したがって重質洗剤組成物への好ましい添加物である。
【0066】
本組成物における使用に好適なアニオン性スルフェート界面活性剤としては、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルフェート、直鎖および分岐第1級および第2級アルキルスルフェート、アルキルエトキシスルフェート、脂肪オレイルグリセロールスルフェート、アルキルフェノールエチレンオキシドエーテルスルフェート、C5-C17アシル-N-(C1-C4アルキル)、ならびに-N-(C1-C2ヒドロキシアルキル)グルカミンスルフェート、ならびにアルキルポリグルコシドのスルフェート等のアルキルポリサッカリドのスルフェート等が挙げられる。また、エチレンオキシドおよびノニルフェノールのスルフェートまたは濃縮生成物(通常1分子当たり1~6個のオキシエチレン基を有する)等の、アルキルスルフェート、アルキルポリ(エチレンオキシ)エーテルスルフェート、および芳香族ポリ(エチレンオキシ)スルフェートも含まれる。
【0067】
本組成物において使用するのに好適な陰イオン性スルホネート界面活性剤としてはまた、アルキルスルホネート、線状および分枝状第1級および第2級アルキルスルホネート、ならびに置換基を有するかまたは有しない芳香族スルホネートが挙げられる。
【0068】
本組成物における使用に好適なアニオン性カルボキシレート界面活性剤としては、カルボン酸(および塩)、例えば、アルカン酸(およびアルカノエート)、エステルカルボン酸(例えば、アルキルスクシネート)、エーテルカルボン酸、スルホン化脂肪酸、例えば、スルホン化オレイン酸等が挙げられる。そのようなカルボキシレートとしては、アルキルエトキシカルボキシレート、アルキルアリールエトキシカルボキシレート、アルキルポリエトキシポリカルボキシレート界面活性剤、および石鹸(例えば、アルキルカルボキシル)が挙げられる。本組成物において有用な第2級カルボキシレートとしては、第2級炭素に接続されたカルボキシル単位を含有するものが挙げられる。第2級炭素は、例えば、p-オクチル安息香酸におけるように、またはアルキル置換シクロヘキシルカルボキシレートにおけるように、環構造にあってもよい。第2級カルボキシレート界面活性剤は、典型的にはエーテル結合、エステル結合、およびヒドロキシル基を含まない。さらに、それらは、典型的には、頭部基(両親媒性部分)内に窒素原子を欠く。好適な第2級石鹸界面活性剤は、典型的には、11~13個の総炭素原子を含有するが、より多くの炭素原子(例えば、最大16個)が存在し得る。好適なカルボキシレートとしてはまた、例えば、アシルグルタメート、アシルペプチド、サルコシネート(例えば、N-アシルサルコシネート)、タウレート(例えば、N-アシルタウレートおよびメチルタウリドの脂肪酸アミド)等のアシルアミノ酸(および塩)が挙げられる。
【0069】
好適なアニオン性界面活性剤としては、以下の式のアルキルまたはアルキルアリールエトキシカルボキシレートが挙げられ、
R-O-(CH
2CH
2O)
n(CH
2)
m-CO
2X(3)
式中、Rは、C
8~C
22アルキル基であるか、または
【化1】
であり、R
1は、C
4~C
16アルキル基であり、nは、1~20の整数であり、mは、1~3の整数であり、Xは、水素、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム等の対イオン、またはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、もしくはトリエタノールアミン等のアミン塩である。いくつかの実施形態において、nは4~10の整数であり、mは1である。いくつかの実施形態において、Rは、C
8~C
16アルキル基である。いくつかの実施形態において、Rは、C
12~C
14アルキル基であり、nは4であり、mは1である。
【0070】
他の実施形態において、Rは、
【化2】
であり、R
1は、C
6~C
12アルキル基である。またさらに他の実施形態において、R
1は、C
9アルキル基であり、nは10であり、mは1である。
【0071】
そのようなアルキルおよびアルキルアリールエトキシカルボキシレートは市販されている。これらのエトキシカルボキシレートは、典型的には、酸の形態として入手可能であり、それらは、アニオン性または塩の形態に容易に変換され得る。市販のカルボキシレートとしては、Neodox 23-4、C12~13アルキルポリエトキシ(4)カルボン酸(Shell Chemical)、およびEmcol CNP-110、C9アルキルアリールポリエトキシ(10)カルボン酸(Witco Chemical)が挙げられる。カルボキシレート、例えば製品Sandopan(登録商標)DTC、C13アルキルポリエトキシ(7)カルボン酸もまた、Clariantから入手可能である。
【0072】
カチオン性界面活性剤
カチオン性第4級界面活性剤/第4級アミンアミンアルキルアミンアルコキシレート
カチオン性第4級界面活性剤は、正味の正の変化を有する窒素中心カチオン部分に基づく物質である。好適なカチオン性界面活性剤は、第4級アンモニウム基を含有する。好適なカチオン性界面活性剤は、特に、一般式:N(+)R1R2R3R4X(-)のものを含み、式中、R1、R2、R3、およびR4は互いに独立して、アルキル基、脂肪族基、芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、H+イオンを表し、それぞれ1~22個の炭素原子を有するが、ただし、基R1、R2、R3、およびR4のうちの少なくとも1つが、少なくとも8個の炭素原子を有することを条件とし、式中、X(-)は、アニオン、例えば、ハロゲン、アセテート、ホスフェート、ナイトレート、またはアルキル硫酸、例えば、塩化物を表す。脂肪族基はまた、架橋基または他の基、例えば、炭素および水素原子に加えて、追加のアミノ基を含有してもよい。
【0073】
特定のカチオン性活性成分としては、例えば、これらに限定されるものではないが、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(ADBAC)、塩化アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンゼトニウム、N,N-ビス-(3-アミノプロピル)ドデシルアミン、グルコン酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシデン(chlorhexidene gluconate)の有機物および/もしくは有機塩、PHMB(ポリヘキサメチレンビグアニド)、ビグアニドの塩、置換ビグアニド誘導体、第4級アンモニウム含有化合物の有機塩もしくは第4級アンモニウム含有化合物の無機塩、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0074】
カチオン性界面活性剤は、少なくとも1つの長炭素鎖疎水性基および少なくとも1つの正荷電窒素を含有する化合物を含む、またはそれを指す。長い炭素鎖基は、単純な置換によって窒素原子に直接結合されてもよいか、または例えば、いわゆる中断アルキルアミンおよびアミドアミン内の架橋官能基(複数可)によって間接的に結合されてもよい。かかる官能基は、分子を、より親水性および/もしくはより水分散性にし、共界面活性剤混合物によってより容易に水に溶解されるようにし、かつ/または水溶性にすることができる。水溶性の増大のために、追加の第1級、第2級、もしくは第3級アミノ基が導入され得るか、またはアミノ窒素が低分子量アルキル基を用いて4級化され得る。さらに、窒素は、多様な不飽和度の分岐鎖もしくは直鎖部分の一部、または飽和もしくは不飽和複素環式環の一部であり得る。それに加えて、カチオン性界面活性剤は、2個以上のカチオン性窒素原子を有する複雑な結合を含有してもよい。
【0075】
アミンオキシド、両性物質および双性イオンとして分類される界面活性剤化合物は、それ自体が一般的には中性近くから酸性pHの溶液中でカチオン性であり、界面活性剤の分類と重複する。ポリオキシエチル化カチオン性界面活性剤は、概して、アルカリ性溶液中で非イオン性界面活性剤のように挙動し、酸性溶液中でカチオン性界面活性剤のように挙動する。
【0076】
最も単純なカチオン性アミンであるアミン塩および第4級アンモニウム化合物は、以下、
【化3】
のように概略的に描写され得、式中、Rは、長アルキル鎖を表し、R’、R’’、およびR’’’は、長アルキル鎖、またはより小さいアルキル基もしくはアリール基、または水素のいずれかであり得、Xは、アニオンを表す。アミン塩および第4級アンモニウム化合物は、それらの高度の水溶性のために使用することができる。
【0077】
例示的なカチオン性第4級アンモニウム化合物は、以下、
【化4】
のように概略的に示され得、式中、Rは、C8-C18アルキルまたはアルケニルを表し、R
1およびR
2は、C1-C4アルキル基であり、nは、10~25であり、xは、ハロゲン化物または硫酸メチルから選択されるアニオンである。
【0078】
大規模な商業用のカチオン性界面活性剤の大部分は、当業者に既知であり、「Surfactant Encyclopedia」,Cosmetics&Toiletries,Vol.104(2)86-96(1989)に記載されている、4つの主要なクラスおよび追加の下位群に細分することができる。第1のクラスは、アルキルアミンおよびそれらの塩を含む。第2のクラスは、アルキルイミダゾリンを含む。第3のクラスは、エトキシル化アミンを含む。第4のクラスは、例えば、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンゼン塩、複素環アンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩等の第4級物を含む。カチオン性界面活性剤は、本組成物において有益であり得る多様な特性を有することが知られている。これらの望ましい特性としては、中性pH以下の組成物における洗浄力、抗微生物性効能、他の薬剤と連携した増粘またはゲル等が含まれ得る。
【0079】
本開示の組成物において有用なカチオン界面活性剤としては、式R
1
mR
2
xY
LZを有するものが挙げられ、式中、各R
1が、最大3個のフェニルまたはヒドロキシ基で任意選択的に置換され、以下の構造のうちの最大4つ、
【化5】
またはこれらの構造の異性体もしくは混合物が任意選択的に挟まれた、直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を含有する有機基であり、8~22個の炭素原子を含有する。R
1基は、追加的に最大12個のエトキシ基を含有し得る。mは、1~3の数字である。一実施形態において、分子中の1個以下のR
1基は、mが2であるときに16個以上の炭素原子を有するか、またはmが3であるときに12個超の炭素原子を有する。各R
2は、1~4個の炭素原子またはベンジル基を含有するアルキルまたはヒドロキシアルキル基であり、かつ分子中の1個以下のR
2は、ベンジルであり、xは、0~11、例えば0~6の数である。Y基上の任意の炭素原子位置の残りは、水素によって充填される。
【0080】
Yは、以下、
【化6】
またはこれらの混合物であり得る。
【0081】
一実施形態において、Lは、1または2であり、Y基は、Lが2である場合、1~22個の炭素原子および2個の遊離炭素単結合を有するR1およびR2類似体(例えば、アルキレンまたはアルケニレン)から選択される部分によって分離されている。Zは、硫酸アニオン、メチル硫酸アニオン、水酸化物アニオン、または硝酸アニオン等の水溶性アニオンであり、例えば、カチオン性構成成分の電気的中性を付与する数の硫酸アニオンまたはメチル硫酸アニオンである。
【0082】
クリーニング組成物中のカチオン性第4級界面活性剤の好適な濃度は、クリーニング組成物の約0重量%~約10重量%を含み得る。
【0083】
両性界面活性剤
両性(amphoteric)または両性(ampholytic)界面活性剤は、塩基性および酸性親水性基、ならびに有機疎水性基の両方を含有する。これらのイオン性実体は、他の種類の界面活性剤について本明細書に記載されているアニオン性基またはカチオン性基のいずれであってもよい。塩基性窒素および酸性カルボキシレート基は、塩基性および酸性親水性基として用いられる典型的な官能基である。いくつかの界面活性剤では、スルホネート、スルフェート、ホスホネート、またはホスフェートは、負電荷を提供する。
【0084】
両性界面活性剤は、脂肪族第2級および第3級アミンの誘導体として広く記載することができ、ここで脂肪族ラジカルは、直鎖または分枝鎖であってよく、脂肪族置換基のうちの1個は、約8~18個の炭素原子を含み、1個は、アニオン性水可溶化基、例えば、カルボキシ、スルホ、スルファト、ホスファト、またはホスホノを含む。両性界面活性剤は、当業者に知られており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「Surfactant Encyclopedia」Cosmetics&Toiletries,Vol.104(2)69-71(1989)に記載されている2つの主なクラスに細分される。第1のクラスには、アシル/ジアルキルエチレンジアミン誘導体(例えば、2-アルキルヒドロキシエチルイミダゾリン誘導体)およびそれらの塩が含まれる。第2のクラスには、N-アルキルアミノ酸およびそれらの塩が含まれる。いくつかの両性界面活性剤は、両方のクラスに適合すると想定され得る。
【0085】
両性界面活性剤は、当業者に既知の方法で合成され得る。例えば、2-アルキルヒドロキシエチルイミダゾリンは、長鎖カルボン酸(または誘導体)とジアルキルエチレンジアミンとの縮合および閉環によって合成される。市販の両性界面活性剤は、その後の加水分解およびアルキル化によるイミダゾリン環の開環によって、例えばクロロ酢酸または酢酸エチルを用いて誘導体化される。アルキル化の間に、1または2つのカルボキシ-アルキル基が反応して、第3級アミンおよびエーテル結合を形成し、異なるアルキル化剤が、異なる第3級アミンを生じる。
【0086】
本開示において応用性がある長鎖イミダゾール誘導体は、一般に、以下の一般式を有する。
【化7】
【化8】
式中、Rは、約8~約18個の炭素原子を含有する非環式疎水基であり、Mは、アニオンの電荷を中和するためのカチオン、一般的にはナトリウムである。本組成物に用いることができる商業的に有名なイミダゾリン由来両性化合物としては、例えば、ココアンホプロピオネート、ココアンホカルボキシ-プロピオネート、ココアンホグリシネート、ココアンホカルボキシ-グリシネート、ココアンホプロピル-スルホネート、およびココアンホカルボキシ-プロピオン酸が挙げられる。アンホカルボン酸は、脂肪族イミダゾリンから生成することができ、ここで、アンホジカルボン酸のジカルボン酸官能基は、二酢酸および/またはジプロピオン酸である。
【0087】
本明細書で上記のカルボキシメチル化化合物(グリシネート)は、しばしばベタインと呼ばれる。ベタインは、双性イオン界面活性剤と題した以下の節において、本明細書で以下に説明される特別なクラスの両性化合物である。
【0088】
長鎖N-アルキルアミノ酸は、反応RNH2によって容易に調製され、式中、R=C8-C18直鎖または分岐鎖アルキル、ハロゲン化カルボン酸を有する脂肪族アミンである。アミノ酸の第1級アミノ基のアルキル化は、第2級および第3級アミンをもたらす。アルキル置換基は、複数の反応性窒素中心を提供する追加のアミノ基を有してもよい。最も商業的なN-アルキルアミン酸は、ベータ-アラニンまたはベータ-N(2-カルボキシエチル)アラニンのアルキル誘導体である。本開示での応用性を有する商業用N-アルキルアミノ酸両性電解質の例としては、アルキルベータ-アミノジプロピオネート、RN(C2H4COOM)2、およびRNHC2H4COOMが挙げられる。一実施形態において、Rは、約8~約18個の炭素原子を含有する非環式疎水基であり得、Mは、アニオンの電荷を中和するためのカチオンである。
【0089】
好適な両性界面活性剤は、ココナッツ油またはココナッツ脂肪酸等のココナッツ製品から誘導されるものを含む。追加の好適なココナツ由来の界面活性剤には、これらの構造の一部として、エチレンジアミン部分、アルカノールアミド部分、アミノ酸部分、例えば、グリシン、またはそれらの組み合わせ、および約8~18個(例えば、12個)の炭素原子の脂肪族置換基が含まれる。そのような界面活性剤は、アルキルアンホジカルボン酸ともみなされ得る。これらの両性界面活性剤は、C12-アルキル-C(O)-NH-CH2-CH2-N+(CH2-CH2-CO2Na)2-CH2-CH2-OHまたはC12-アルキル-C(O)-N(H)-CH2-CH2-N+(CH2-CO2Na)2-CH2-CH2-OHとして表される化学構造を含み得る。ココアンホジプロピオン酸二ナトリウムは、1つの好適な両性界面活性剤であり、Rhodia Inc.,Cranbury,N.J.からMiranol(商標)FBSの商品名で市販されている。化学名ココアンホジ酢酸二ナトリウムを有する別の好適なココナツ由来の両性界面活性剤は、同じくRhodia Inc.,Cranbury,N.J.からMirataine(商標)JCHAの商品名で販売されている。
【0090】
両性クラスの典型的なリストおよびこれらの界面活性剤の種は、1975年12月30日にLaughlin and Heuringに発行された米国特許第3,929,678号に記載されている。さらなる例は、“Surface Active Agents and Detergents”(Vol.I and II by Schwartz,Perry and Berch)に記載されている。これらの参考文献の各々は、本明細書に参照によりその全体が組み込まれる。
【0091】
双性イオン界面活性剤
双性イオン界面活性剤は、両性界面活性剤のサブセットと考えることができ、アニオン電荷を含み得る。双性イオン界面活性剤は、第2級および第3級アミンの誘導体、複素環式第2級および第3級アミンの誘導体、または第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、または第3級スルホニウム化合物の誘導体として広く記載することができる。典型的には、双性イオン性界面活性剤は、正荷電第4級アンモニウム、または場合によってはスルホニウムもしくはホスホニウムイオン、負荷電カルボキシル基、およびアルキル基を含む。双性イオン性化合物は、一般に、分子の等電領域においてほぼ同程度にイオン化し、正-負電荷中心間に強い「内部塩」誘引を生じ得るカチオン性基およびアニオン性基を含有する。このような双性イオン性合成界面活性剤の例としては、脂肪族基が直鎖または分枝鎖であり得る、脂肪族第4級アンモニウム、ホスホニウム、およびスルホニウム化合物の誘導体が挙げられ、脂肪族置換基のうちの1個が、8~18個の炭素原子を含み、1個がアニオン性水可溶化基、例えば、カルボキシ、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、またはホスホネートを含む。
【0092】
ベタインおよびスルタイン界面活性剤は、本明細書で使用するための双性イオン界面活性剤の例である。これらの化合物の一般式は、以下のとおりであり、
【化9】
式中、R
1は、0~10個のエチレンオキシド部分および0~1個のグリセリル部分を有する、8~18個の炭素原子のアルキル、アルケニル、またはヒドロキシアルキルラジカルを含み、Yは、窒素原子、リン原子、および硫黄原子からなる群から選択され、R
2は、1~3個の炭素原子を含むアルキル基またはモノヒドロキシアルキル基であり、Yが硫黄原子であるとき、xは1であり、Yが窒素原子またはリン原子であるときは2であり、R
3は、1~4個の炭素原子のアルキレンまたはヒドロキシアルキレンまたはヒドロキシアルキレンであり、Zは、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸基、ホスホン酸基、およびリン酸基からなる群から選択されるラジカルである。
【0093】
上記の構造を有する双性イオン界面活性剤の例としては、4-[N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-N-オクタデシルアンモニオ]-ブタン-1-カルボキシレート、5-[S-3-ヒドロキシプロピル-S-ヘキサデシルスルホニオ]-3-ヒドロキシペンタン-1-サルフェート、3-[P,P-ジエチル-P-3,6,9-トリオキサテトラコサンホスホニオ]-2-ヒドロキシプロパン-1-ホスフェート、3-[N,N-ジプロピル-N-3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピル-アンモニオ]-プロパン-1-ホスホネート、3-(N,N-ジメチル-N-ヘキサデシルアンモニオ)-プロパン-1-スルホネート、3-(N,N-ジメチル-N-ヘキサデシルアンモニオ)-2-ヒドロキシ-プロパン-1-スルホネート、4-[N,N-ジ(2(2-ヒドロキシエチル)-N(2-ヒドロキシドデシル)アンモニオ]-ブタン-1-カルボキシレート、3-[S-エチル-S-(3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピル)スルホニオ]-プロパン-1-ホスフェート、3-[P,P-ジメチル-P-ドデシルホスホニオ]-プロパン-1-ホスホネート、およびS[N,N-ジ(3-ヒドロキシプロピル)-N-ヘキサデシルアンモニオ]-2-ヒドロキシ-ペンタン-1-サルフェートが挙げられる。当該洗剤界面活性剤に含有されるアルキル基は、直鎖または分岐鎖でもよく、飽和または不飽和であり得る。
【0094】
本組成物における使用に好適な双性イオン界面活性剤には、以下の一般構造のベタインが含まれる。
【化10】
これらの界面活性剤ベタインは、典型的に、極度のpHで強いカチオンもしくはアニオンの特徴を呈さないか、またはこれらの等電範囲で水溶性の減少を示さない。「外部」第4級アンモニウム塩とは異なり、ベタインは、アニオンと共生できる。好適なベタインの例としては、ココナツアシルアミドプロピルジメチルベタイン、ヘキサデシルジメチルベタイン、C
12-14アシルアミドプロピルベタイン、C
8-14アシルアミドヘキシルジエチルベタイン、4-C
14-16アシルメチルアミドジエチルアンモニオ-1-カルボキシブタン、C
16-18アシルアミドジメチルベタイン、C
12-16アシルアミドペンタンジエチルベタイン、およびC
12-16アシルメチルアミドジメチルベタインが挙げられる。
【0095】
本開示において有用なスルタインは、式(R(R1)2N+R2SO3-を有する化合物を含み、式中、Rは、C6-C18ヒドロカルビル基であり、各R1は、典型的に独立して、C1-C3アルキル、例えばメチルであり、R2は、C1-C6ヒドロカルビル基、例えば、C1-C3アルキレンまたはヒドロキシアルキレン基である。
【0096】
双性イオン性クラスおよびこれらの界面活性剤の種の典型的なリストは、1975年12月30日にLaughlin and Heuringによって発行された米国特許第3,929,678号に記載されている。さらなる例は、“Surface Active Agents and Detergents”(Vol.I and II by Schwartz,Perry and Berch)に記載されている。これらの参照文献の各々は、本明細書にその全体が組み込まれる。
【0097】
酵素
本開示による固体アルカリ性組成物は、汚れの除去の向上、再付着の防止、さらにクリーニング組成物の使用溶液中の泡の低減をもたらすための酵素をさらに含み得る。酵素の目的は、典型的には汚れた表面に見られ、洗剤組成物によって除去されて、洗浄水源に入る、デンプンまたはタンパク質性材料等の粘着性の汚れを分解することである。酵素組成物は、基質から汚れを除去し、基質表面上での汚れの再堆積を防止する。酵素は、消泡等の追加のクリーニング効果および洗浄性効果をもたらす。
【0098】
洗剤組成物または洗剤使用溶液に組み込むことができる例示的な種類の酵素としては、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、クチナーゼ、グルコナーゼ、ペルオキシダーゼ、および/またはそれらの混合物が挙げられる。本開示による酵素組成物は、植物、動物、細菌、真菌、または酵母起源等の任意の好適な起源からの、2つ以上の酵素を用いることができる。しかしながら、本開示の一実施形態によれば、酵素は、プロテアーゼである。本明細書で使用される場合、「プロテアーゼ」または「プロテイナーゼ」という用語は、ペプチド結合の加水分解を触媒する酵素を指す。
【0099】
当業者が確認するように、酵素は、特定の種類の汚れに働くように設計されている。例えば、本開示の一実施形態によれば、器物洗浄用途では、高温の器物洗浄機において効果的であり、かつタンパク質系の汚れを低減するのに効果的であるため、プロテアーゼ酵素を使用してもよい。プロテアーゼ酵素は、血液、皮膚鱗屑、粘液、草、食品(例えば、卵、牛乳、ほうれん草、肉残渣、トマトソース)等のタンパク質を含む汚れをクリーニングするのに特に有利である。プロテアーゼ酵素は、アミノ酸残基の巨大分子タンパク質の連結を切断することができ、使用水溶液に容易に溶解または分散する小さい断片に基質を変換する。プロテアーゼは、加水分解として知られる化学反応によって汚れを破壊する能力に起因して、洗浄性酵素と称されることが多い。プロテアーゼ酵素は、例えば、枯草菌、バチルス・リケニフォルミスおよびストレプトマイセス・グリセウスから得ることができる。プロテアーゼ酵素もまた、セリンエンドプロテアーゼとして市販されている。市販のプロテアーゼ酵素の例は、以下の商品名:Esperase、Purafect、Purafect L、Purafect Ox、Everlase、Liquanase、Savinase、Prime L、Prosperase、およびBlapで入手可能である。
【0100】
本開示によれば、酵素は、特定のクリーニング用途およびクリーニングを必要とする汚れの種類に基づいて変動し得る。例えば、特定のクリーニング用途の温度は、本開示による酵素組成物用に選択される酵素に影響を与えるだろう。器物洗浄用途、例えば、およそ60℃を超える、またはおよそ70℃を超える、またはおよそ65℃~80℃の温度で基材をクリーニングし、プロテアーゼ等の酵素は、そのような高温で酵素活性を保持するそれらの能力のために望ましい。
【0101】
酵素は、独立した実体であり得る、および/または洗剤組成物と組み合わせて配合され得る。加えて、酵素は、様々な遅延または制御放出配合物に配合されてもよい。例えば、固体成形洗剤組成物は、熱を加えることなく調製することができる。当業者が理解するように、酵素は、熱を加えることによって変性する傾向があり、したがって、洗剤組成物内での酵素の使用は、固化等の形成プロセスにおける工程として熱に頼らない洗剤組成物を形成する方法を必要とする。
【0102】
酵素はさらに、固体(すなわち、パック、粉末等)または液体配合物で商業的に入手され得る。市販の酵素は、一般に、安定剤、緩衝液、補因子、および不活性媒体と組み合わされる。実際の活性酵素含有量は製造方法に依存し、これは当業者には周知であり、そのような製造方法は、本開示にとって重要ではない。
【0103】
代替的に、酵素(複数可)は、洗剤組成物とは別に提供されてもよく、特定の用途、例えば、食器洗浄機の洗浄液または洗浄水に直接添加されてもよい。
【0104】
本開示による使用に好適な酵素組成物の追加の説明は、例えば、米国特許第7,670,549号、同第7,723,281号、同第7,670,549号、同第7,553,806号、同第7,491,362号、同第6,638,902号、同第6,624,132号、および同第6,197,739号、ならびに米国特許公開第2012/0046211号、および第2004/0072714号に開示されており、これらの各々は、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。加えて、参照文献“Industrial Enzymes”,Scott,D.,in Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,3rd Edition,(editors Grayson,M.and EcKroth,D.)Vol.9,pp.173-224,John Wiley&Sons,New York,1980は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0105】
一態様では、酵素組成物は、約0.01重量%~約40重量%、約0.01重量%~約30重量%、約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、および例えば約0.5重量%~約1重量%の量で固体組成物中に提供される。
【0106】
使用方法
本開示による洗剤組成物は、例えば、食品および飲料産業、器物洗浄およびヘルスケアにおいて、様々な工業用表面をクリーニングするためのアルカリ金属炭酸塩および/またはアルカリ金属水酸化物アルカリ性洗剤を提供する。
【0107】
物品はまた、様々な工業用途、食品および飲料用途、ヘルスケア、カーボネート系のアルカリ性洗剤(または代替的に水酸化物系のアルカリ性洗剤)が使用されている任意の他の消費者市場にも見出すことができる。好適な物品には、工業プラント、メンテナンスおよび修理サービス、製造施設、台所、およびレストランが含まれ得る。
【0108】
固体洗剤組成物は、固体濃縮組成物を含み得る。固体組成物を希釈して、使用組成物を形成する。概して、濃縮物は、水で希釈されて、対象物に接触して所望のクリーニング、すすぎ等を提供する使用溶液を提供することが意図される組成物を指す。洗浄される物品に接触する洗剤組成物は、本開示に従った方法で使用される配合物によって濃縮物または使用組成物(あるいは使用溶液)と称され得る。洗剤組成物中の活性成分および他の任意の機能性成分の濃度は、洗剤組成物が濃縮物としてまたは使用溶液として提供されるかどうかによって変化するであろうことが理解されるべきである。
【0109】
使用溶液は、所望の洗浄特性を有する使用溶液を提供する希釈比で濃縮物を水で希釈することによって、濃縮物から調製され得る。濃縮物を希釈して使用組成物を形成するために使用される水は、希釈水または希釈剤と称され得、場所によって変化し得る。典型的な希釈係数は、およそ1~およそ10,000であるが、水の硬度、除去される汚れの量等の要因に依存するであろう。一実施形態において、濃縮物は、約1:10~約1:10,000の濃縮物と水との比で希釈される。例えば、濃縮物は、約1:100~約1:5,000の濃縮物と水との比で希釈されるか、または濃縮物は、約1:250~約1:2,000の濃縮物と水との比で希釈される。
【0110】
一態様では、アルカリ性洗剤組成物は、少なくとも約500ppm、少なくとも1000ppm、または2000ppm以上の使用濃度で使用され得る。いくつかの態様では、アルカリ性洗剤組成物は、約500ppm~4000ppmの使用濃度で使用され得る。
【0111】
態様では、アルカリ性洗剤組成物は、7を超える、または好ましくは8を超える、または9を超える、または10を超えるpHでクリーニングを必要とする表面に接触させるための使用溶液を提供する。
【0112】
十分な時間接触すると、クリーニングを必要とする表面上の汚れが、緩み、かつ/または物品もしくは表面から除去される。いくつかの態様では、器物または物品は、一定期間「浸される」必要があり得る。いくつかの態様では、汚れの除去を必要とする器物または他の物品を水没させる等の接触ステップは、少なくとも数秒間、例えば少なくとも約45秒~24時間、少なくとも約45秒~6時間、または少なくとも約45秒~1時間、染みと接触する事前浸漬溶液を形成する温水の使用をさらに含む。器物洗浄機内で事前浸漬が適用されるいくつかの態様では、浸漬期間は、業務用機械では約2秒~20分、消費者用機械では任意選択でより長い時間であってもよい。一態様では、少なくとも60秒間、または少なくとも90秒間の期間にわたって、事前浸漬が適用される(例えば、器物はアルカリ性脂肪酸石鹸溶液に浸漬される)。有益なことに、本開示による器物または他の汚れたまたは染みのある物品の浸漬は、撹拌を必要としないが、汚れのさらなる除去のために撹拌の使用を採用することができる。
【0113】
当業者が本開示から確認するように、本方法は、本明細書に記載されているよりも多くのステップまたはより少ないステップを含み得る。
【0114】
製造方法
本開示のアルカリ性洗剤組成物は、本明細書に開示されている重量パーセントおよび比率で構成要素を組み合わせることによって形成することができる。アルカリ性組成物は、固体として提供され、使用溶液は、器物洗浄プロセス(または他の用途)の間に形成される。
【0115】
凝固マトリックスを用いて形成された固体アルカリ性洗剤組成物は、バッチ式または連続式混合システムを用いて生成される。例示的な実施形態において、一軸または二軸スクリュー押出機を使用して、高剪断で1種以上の薬剤を組み合わせて混合し、均質な混合物を形成する。いくつかの実施形態において、加工温度は、構成要素の溶融温度以下である。加工される混合物は、形成、鋳造、または洗剤組成物が固体形態に硬化するのに好適な他の手段によって、混合器から分注され得る。マトリックスの構造は、その硬度、融点、材料分布、結晶構造、および当該技術分野における既知の方法による他の同様の特性に従って、特徴付けられ得る。一般に、本開示の方法に従って加工された固体洗剤ブロックは、その質量全体を通して成分の分布に関して実質的に均質であり、かつ寸法的に安定である。
【0116】
具体的には、形成プロセスにおいて、液体および固体の構成要素は、最終混合システム内に導入され、構成要素は、構成要素がその質量全体に分布した実質的に均質な半固体混合物を形成するまで、連続的に混合される。例示的な実施形態において、構成要素は、混合システム内で少なくともおよそ5秒間混合される。混合物は、次いで、混合システムからダイもしくは他の成形手段の中へ、またはそれを通して排出される。生成物は、次いで、梱包される。例示的な実施形態において、形成された組成物は、およそ1分間~およそ3時間で固体形態に硬化し始める。具体的には、形成された組成物は、およそ1分間~およそ2時間で固体形態に硬化し始める。より具体的には、形成された組成物は、およそ1分間~およそ20分間で固体形態に硬化し始める。
【0117】
圧縮は、錠剤または他の従来の固体組成物を形成するために用いられる従来の圧力と比較して低い圧力を用いることができる。例えば、一実施形態において、本方法は、約5000psi以下の圧力を固体上に用いる。ある特定の実施形態において、本方法は、約3500psi以下、約2500psi以下、約2000psi以下、または約1000psi以下の圧力を用いる。ある特定の実施形態において、本方法は、約1~約1000psi、約2~約900psi、約5psi~約800psi、または約10psi~約700psiの圧力を用いることができる。
【0118】
具体的には、鋳造プロセスにおいて、液体および固体の構成要素は、最終混合システム内に導入され、構成要素は、構成要素がその質量全体に分布した実質的に均質な液体混合物を形成するまで、連続的に混合される。例示的な実施形態において、構成要素は、混合システム内で少なくともおよそ60秒間混合される。混合が完了すると、生成物は梱包容器に移され、そこで凝固が起こる。例示的な実施形態において、鋳造組成物は、およそ1分間~およそ3時間で固体形態に硬化し始める。具体的には、鋳造組成物は、およそ1分間~およそ2時間で固体形態に硬化し始める。より具体的には、鋳造組成物は、およそ1分間~およそ20分間で固体形態に硬化し始める。
【0119】
「固体形態」という用語は、硬化組成物が、適度な応力もしくは圧力または単なる重力下で流動せず、その形状を実質的に保持するであろうことを意味する。固体鋳造組成物の硬度の程度は、例えば、コンクリートのような、比較的緻密で硬い溶融固体生成物の硬度から、硬化されたペーストとして特徴付けられる軟度にわたり得る。加えて、「固体」という用語は、固体洗剤組成物の予測される保管および使用条件下での洗剤組成物の状態を指す。一般に、洗剤組成物は、最大およそ100°F(約37.8℃)、特におよそ120°F(約48.9℃)を超える温度に曝されたときに、固体形態のままであろうと予測される。
【0120】
得られる固体組成物は、これらに限定されるものではないが、圧縮された固体、鋳造固体生成物、押出、成型、もしくは形成された固体ペレット、ブロック、錠剤、粉末、顆粒、剥片を含む形態をとってもよく、または形成された固体は、その後、粉末、顆粒、もしくは薄片に粉砕もしくは形成され得る。例示的な実施形態において、固化マトリックスによって形成される押出ペレット材料は、およそ50グラム~およそ250グラムの重量を有し、固化マトリックスによって形成される押出固体は、およそ100グラム以上の重量を有し、固化マトリックスによって形成される固体ブロック洗剤は、およそ1~およそ10キログラムの質量を有する。固体組成物は、機能性材料の安定化された供給源を提供する。いくつかの実施形態において、固体組成物は、濃縮溶液および/または使用溶液を生成するために、例えば、水性媒体または他の媒体中に、溶解されてもよい。この溶液は、その後の使用および/もしくは希釈のために貯水槽に方向づけられ得るか、または使用点に対して直接適用され得る。代替的に、固体アルカリ性洗剤組成物は単位用量の形態で提供され、典型的にはおよそ1グラム~およそ100グラムのサイズを有する鋳造固体、押出ペレット、または錠剤として提供される。別の代替形態では、ブロックまたは複数のペレット等の複数回使用の固体を提供することができ、繰り返し使用して複数サイクルの水性洗剤組成物を生成することができる。
【0121】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに説明される。
【実施例0122】
本開示の実施形態を、以下の非限定的な実施例においてさらに定義する。これらの実施例は、本開示のある特定の実施形態を示してはいるが、単に例証として与えられていることが理解されるべきである。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本開示の本質的な特徴を確認することができ、その趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な使用法および条件にそれを適合するために本開示の実施形態の様々な変更および修正を行うことができる。したがって、本開示の実施形態の様々な修正は、本明細書に示され記載されているものに加えて、前述の記載から当業者には明らかとなるであろう。かかる修正もまた、添付の特許請求の範囲の範疇であることが意図される。
【0123】
実施例1
自動器物洗浄用途でガラスおよびプラスチック表面への炭酸カルシウムスケールの蓄積を制御するためのターポリマー含有洗剤プラットフォームが、開発された。一例では、ターポリマーは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を含有するアクリレートターポリマーを含む。一実施形態において、ターポリマーは、アルカリ金属水酸化物または炭酸塩系の洗剤組成物に利用することができる。2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を含有するアクリレートターポリマーを含む洗剤組成物は、効果的な硬度スケール制御を提供し、現在の技術の性能を維持または改善しながら、より費用効果の高い原材料を使用する。したがって、ターポリマーは、アルカリ性洗剤組成物における硬度スケール防止剤である。一実施形態において、ターポリマーは、洗剤組成物中に約50ppmを超える濃度で使用される。
【0124】
材料
Pluronic N-3-BASF Corporationから入手可能な非イオン性界面活性剤
Acusol 448(50%水溶液)-DOW Chemical Companyから入手可能なアクリル酸およびマレイン酸のコポリマー
8026-067、8113-005、8113-006、8113-030-Nalco Waterから入手可能なアクリル酸、マレイン酸、および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸のターポリマー(表2を参照)。
8273-009-Nalco Waterから入手可能なアクリル酸、イタコン酸、および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸のターポリマー(表2を参照)。
【表6】
【0125】
方法
ターポリマー
例示的な合成方法は、以下のとおりである。脱イオン水、無水マレイン酸、および50%水酸化ナトリウム溶液を、オーバーヘッドパドル撹拌、窒素注入口、およびコンデンサー付きの反応容器に加えた。この混合物を、例えば、約600rpm~約800rpmで撹拌し、例えば、約80℃~約100℃で加熱し、約1.0L/分~約2.5L/分で20~40分間窒素ガスでパージした。水中の過硫酸ナトリウム(「SPS」)および50%過酸化水素水溶液の溶液を、撹拌により調製した。
【0126】
反応器への添加のために、複数のセミバッチ供給が調製された。SPS溶液、アクリル酸、および50%ATBS水溶液を、一定期間、例えば、約150~200分間にわたって反応器に同時に加えた。一実施形態において、SPS供給は、他の供給と比較してより長い期間である。SPS供給の完了後、反応温度は、例えば、約80℃~約100℃で20~40分間保持され、その後、室温まで冷却された。
【0127】
例えば、脱イオン水(210.80g)、無水マレイン酸(40.0g)、および50%水酸化ナトリウム溶液(65.0g)として形成されたポリマー8113-082を、オーバーヘッドパドル撹拌、窒素注入口、およびコンデンサー付きの反応容器に加えた。この混合物を、例えば、650rpm~750rpmで撹拌し、90℃~100℃で加熱し、1.5L/分で30分間窒素ガスでパージした。水(70.0g)中の過硫酸ナトリウム(「SPS」)(30.0g)の溶液を、撹拌により調製した。
【0128】
反応器への添加のために、4つのセミバッチ供給が調製された。SPS溶液を200分間にわたって反応器に加え、40%重亜硫酸ナトリウム(「SBS」)水溶液(200.0g)を180分間にわたって反応器に加え、アクリル酸(340.0g)を180分間にわたって反応器に加え、50%ATBS水溶液(44.20g)を180分間にわたって反応器に加えた。SPS溶液供給、SBS溶液供給、アクリル酸供給、およびATBS供給の添加を、同時に開始した。完了後、反応温度は、摂氏90℃~100℃の間で約30分間保持され、その後、室温まで冷却された。
【0129】
100サイクル試験方法:業務用器物洗浄洗剤および食器洗浄機に対する硬水膜評価
機器:
1.適切な水供給部が取り付けられた業務用食器洗浄機
2.Raburn 36コンパートメントグラスラック(Ecolab部品番号6316-SH)
3.6つのLibbeyの10ozの耐熱性グラスタンブラ、Collins番号53、Libbey部品番号SCC 001071
4.1 Cambroの10ozのニューポートタンブラ(NT10)。
5.1、6インチの1本のワイヤ
6.平衡成分
7.試験を完了するのに十分な洗剤
8.マルチサイクルコントローラ
9.分析ライトボックス
10.Diagnostic Instruments,Inx.モデル11.1モノクロ(IRカメラ付き)
11.SPOT Advanceカメラソフトウェア
12.ImageJソフトウェア
【0130】
試薬:
1.洗剤濃度を試験するEcolab試験キット415番(Ecolab部品番号55970)(アルカリ度および硬度キット)
2.水の硬度を試験するためのEcolab試験キット307番(Ecolab部品番号56309、402番(Ecolab部品番号57030)、または415番(Ecolab部品番号55970)
3.洗剤/リンス補助剤の配合物
【0131】
試薬および機器の調製および標準化:
1.各実験の前に、Ecolab試験キット307番、402番、または415番を使用して水の硬度を確認および記録する。
2.Ecolab試験キット415番を使用して洗剤濃度を確認する
【0132】
実験手順:
1.試験に使用する食器洗浄機の給水ラインを、所望の水の硬度バルブに接続する。必要に応じて、食器洗浄機および外部ブースタヒータの電源を入れる。この機器は、充填を開始する必要がある。
2.初期充填後、完全な洗浄サイクルのために機器を実行する。試験の前に、廃棄し、充填し、これらをさらに2回繰り返す。これは、試験全体を通じて水の状態が一貫していることを確認するために行われる。
3.試験キット307番(Ecolab部品番号56309)、402番(Ecolab部品番号57030)、または415番(Ecolab部品番号55970)を使用して水の硬度を試験し、これらの値を記録する。必要に応じて調整する。
4.IDTM-WW-005に従って処理された6つのグラスと1つの新しいプラスチックカップをRaburn 36コンパートメントラックに配置する(実施例2の構成を参照)。1本のワイヤを使用して、プラスチックカップを所定の位置に固定し、このカップがラックから飛び出さないようにする。
5.食器洗浄機に取り付けられているディスペンサ(Wash MaxまたはApex)のうちの1つに所望の化学物質を挿入し、ディスペンサへの給水をオンにする。
6.使用される洗剤に基づいて、APEXコントローラで所望の洗剤設定ポイント(DSTP)を設定する。
7.洗浄サイクルを開始して、洗剤の分配を開始する。
8.Ecolab試験キット415番(Ecolab部品番号55970)を使用して、アルカリ度の滴定によって洗剤濃度を決定する。
9.必要に応じて、試験に必要なすすぎ補助剤の量を設定する。
10.洗剤およびすすぎ補助剤の所望の濃度を設定して確認したら、試験用グラスのラックを食器洗浄機に入れる。
11.所望のサイクルコントローラパラメータを確認する。食器洗浄機のドアを閉めて、試験を開始する。
12.グラスをラック内で乾燥させる。
【0133】
グラスの視覚的等級付け
1.グラスが完全に乾いたら、天然ライトボックスに並べて、すべての室内灯を消す。2つの天然ライトボックスの光のうちの1つをオンにして、6つのグラスの写真を1枚撮る。
2.同じ光および同じ方向の下で、各グラスおよびプラスチックタンブラには、スポッティングおよび撮影の両方に対して視覚スコア(1~5)が与えられる。
【0134】
画像解析ソフトウェアを使用したガラス製品の膜評価
1.分析ライトボックス内でLED光源の両方をオンにする。
2.スタンドのカメラの高さをライトボックスの上から10’5/16’’に調整する。
3.コンピュータとカメラの電源を入れ、2.8を読み取るようにレンズの絞りを調整する。
4.部屋のすべての光を消して、LED光以外のいかなる外部の光も除去する。
5.画像化されるグラスをグラスホルダーの側面に挿入する。グラスは光源に対して水平(左から右)でなければならない。グラスの表面はカメラに対して垂直でなければならず、上端はグラスの下端よりも低く配置される。フェルト裏地がインサート内に配置されていることを確認する。この布地は、金属インサートからの反射を排除し、画像分析を使用する際の干渉を防止する。
6.デスクトップのアイコンからコンピュータのアプリケーション「SPOT Advanced」を開く。
7.画像設定を次の仕様に調整する。
a.1ピクセルあたりのビット数:12
b.外部シャッタ:35ms
c.曝露時間:155ms
d.ゲイン:1
e.画像タイプ:明視野反射光
8.画面の右側のツールバーのライブアイコンのすぐ下にあるカメラアイコン/曝露をクリックして写真を撮り、ラック内の6つのグラスタンブラごとに繰り返す。
9.ImageJソフトウェアを開き、分析したい画像ファイルを開く。
10.画像で次のマクロを実行する。
a.makeRectangle(262、328、1184、586)、
実行(「クロップ」)、
実行(「90度右回転」)、
makeRectangle(272、360、60、366)、
実行(「測定」)、
11.グラスは、各グラスで測定された光学密度(「平均」)によってランク付けされる。複合スコアの各試験で6つのグラスからの測定値を平均化する。光学濃度が低いほど、ガラス製品への膜の堆積が少ないことを示す。
【0135】
結果
配合物の構成要素としてアルカリ金属水酸化物を利用するアルカリ性洗剤は、工業用器物洗浄設定で一般的に使用される。硬水の存在下での洗剤の高pHは、ガラスおよびプラスチック製品への炭酸カルシウムスケールの堆積を含む効果的なクリーニングにおける障害を引き起こす。アクリル酸およびマレイン酸のターポリマーは、工業用アルカリ性洗剤のスケール制御用の閾値剤として使用されており、多くの条件下で許容可能な性能を示す。ポリマレイン酸は、工業用アルカリ性洗剤で使用するための最高のスケール防止剤として特定されているが、コストが非常に高くなり得る。本明細書に記載されるように、アクリル酸/マレイン酸のターポリマーの骨格への2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の組み込みは、ガラスおよびプラスチック表面上の炭酸カルシウムスケールの改善された閾値阻害をもたらす。これらのポリマーは、150~180°F(約65.6~82.2℃)の器物洗浄用途に特に有用であることが証明されている。
【表7】
【0136】
業務用器物洗浄機における硬水スケールの蓄積を評価するための標準的な方法を提供するために、100サイクルの試験方法が採用された。この方法では、試験配合物を評価するために、試験グラスを、既定の濃度の洗剤を用いて、業務用食器洗浄機で100回洗浄する。
【表8】
【表9】
【0137】
実施例2
高温、水の硬度、および/または汚れ濃度で、タンパク質汚れが、プラスチック、ガラス、およびメラミン皿に再堆積する。高温、水の硬度、および/もしくは汚れ濃度で業務用器物洗浄用途におけるタンパク質の発泡を防止もしくは抑制する、膜形成を防止もしくは抑制する、および/または再堆積を防止もしくは抑制するための組成物を、調製および試験した。本明細書に開示されている組成物のうちの1つは、アルコキシル化トリオールとアルコキシル化エチレンジアミンのブレンドを提供し、アルカリ金属水酸化物または炭酸塩と様々なポリマー/キレート剤を含むアルカリ性洗剤とブレンドすると、食品汚れを脱泡し、高い汚れ濃度でその再堆積を低減する。
【0138】
方法
50サイクルの試験方法(10gpgの水の硬度、160°F(約71.1℃)の洗浄/180°F(約82.2℃)のすすぎ)
Glewwe発泡試験(10gpgの水の硬度、120~160°F(約48.9~71.1℃)の洗浄、6psiのジェット圧力、50/50のビーフシチュー/高温汚れ)
50サイクル試験
設備:1)AM-15食器洗浄機
2)Raburnのグラスラック
3)6-Libbeyの10ozの耐熱性グラスタンブラ
4)2つのプラスチックタンブラ
5)メラミンタイル2枚
6)ビーフシチューと高温の汚れの50/50の組み合わせ
7)試験を完了するに十分な洗剤
【0139】
試薬および機器の調製および標準化:
1)実験ごとに6つのきれいなLibbeyグラスおよび2つの新しいプラスチックタンブラを入手する。
2)ビーフシチューと高温の食品汚れの50/50の組み合わせを準備する。
2缶のDinty Mooreのビーフシチュー(1360g)
1缶(大)のトマトソース(822g)
15.5本のBlue Bonnetマーガリン(1746.g)
粉末牛乳(436.4g)
3)AM-15 Hobart食器洗浄機(53Lの排水だめ、2.8Lのすすぎ)を所望の硬度の水で満たす。硬度の粒子を滴定する。
4)180°F(約82.2℃)の最終すすぎ温度に達するまで、機械を加熱する。
【0140】
実験手順:
1)各サイクルの食品汚れおよび(手作業で投与した場合)洗剤の用量、および排水だめを充填するための初期用量(複数可)を計量する。
2)ステップ1で計量した材料が入ったプライム器物洗浄機。
3)下に示すように、グラス、プラスチックタンブラ、タイルをラックに配置する(P=プラスチックタンブラ、G=グラスタンブラ、T=メラミンタイル)。
【表10】
4)ラック内の皿で合計50回の洗浄サイクルを実行する。すすぎによって引き起こされた希釈を補うために、事前に計量された成分を含む1サイクルあたり1つのプラスチックガラスを追加する。
【0141】
評価/スコアリング:
黒い背景に対してスポットライトボックスでの膜形成を評価し、スポッティング/膜形成がはっきりと見えるようにする。タンパク質を評価し、各セットの全平均および標準偏差を決定する。使用される評価尺度は、次のとおりである(1/2ステップで評価することもできる)。
膜/スポッティングの評価
1 膜/スポッティングなし
2 膜/スポッティングにおいて20%のガラス表面が覆われている
3 膜/スポッティングにおいて40%のガラス表面が覆われている
4 膜/スポッティングにおいて60%のガラス表面が覆われている
膜/スポッティングにおいて5~80%のガラス表面が覆われている
タンパク質の評価
1 タンパク質なし
2 タンパク質において20%のガラス表面が覆われている
3 タンパク質において40%のガラス表面が覆われている
4 タンパク質において60%のガラス表面が覆われている
5 タンパク質において約80%のガラス表面が覆われている
【0142】
Glewwe発泡試験
機器:
1)Glewwe発泡機
2)タイマー
3)バランスおよびピペット
4)適切な硬度の水
5)適切な食品汚れ
6)試験を完了するに十分な洗剤
【0143】
実験手順:
1)ステンレス鋼のチューブアセンブリに必要なジェットを取り付ける
2)必要な硬度の3Lの水を、発泡機のプラスチック製シリンダ-ステンレス鋼ビーカアセンブリに加える。
3)ゲージが少なくとも10psiを読み取るまで、ジェットバルブを完全に開き、5秒間隔で機械のオンとオフを繰り返して、ラインおよびポンプから空気を取り除く。
4)ポンプを作動させたまま、蒸気および/または0gpgの冷却水を使用して、所望の温度に到達させる。
5)ジェットを1~2psiに調整し、食品汚れおよび/または洗剤を排水だめに加え、ジェットを30~60秒間実行して、排水だめが十分に混合されるようにする。
6)ジェットを6psiに調整し、機器をオフにして、泡が収まるのを待つ。必要に応じて、機械のカートを揺り動かして排水だめに波を作り、泡の破損を早める。
7)ジェットを1分間オンにしてから、ジェットをオフにし、泡の高さを0秒、15秒、および60秒後に最も近い1/8インチまで読み取る。シリンダ内に様々な泡の高さがある場合、泡の高さの平均を記録する。
8)Glewwe発泡機を洗い流すには、シリンダの側面をすすぎ、水を排出させる。排水バルブを閉じて側面を再度すすぎ、シリンダが約1.5リットルの水で満たすようにする。ポンプの電源を入れ、1分間動作させる。ポンプの電源を切り、排水バルブを開いて排水する。3~4回、またはきれいになるまで繰り返す。シリンダ内に水がない状態でポンプを動作しないこと。
【0144】
結果
例示的な固体器物洗浄剤組成物は、約60~70%の
水酸化ナトリウムと、約1~5%の界面活性剤と、任意に約5~10%の水、約5~10%のリン酸コハク酸オリゴマー、約5~10%のグルコン酸ナトリウム、および約5~10%のアクリル-マレイン酸コポリマー(Acusol 448)のうちの1つ以上と、を含む。界面活性剤成分は、一実施形態において、a)15~50重量%のアルコキシル化トリオール、およびb)50~85重量%のエチレンジアミン-ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマーであり、ポリ(エチレンオキシド)は、分子の10~50%の分子重量を構成し、ポリ(プロピレンオキシド)は、50~90%の分子重量を構成する。洗剤組成物は希釈されて、例えば、業務用器物洗浄用途におけるプラスチック、ガラス、およびメラミン皿をクリーニングするための溶液を形成する。
【0145】
【0146】
Acusol 448は、アクリル酸-マレイン酸コポリマー、PSO-ホスホコハク酸オリゴマーであり、Tetronic 90R4は、エチレンジアミン-ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)、4:6のEO:PO
重量比であり、Dowfax DF-114-は、アルコキシル化トリオール界面活性剤(Dow)である。
【0147】
Glewwe発泡試験の結果(インチ単位)を以下に示す(
図1も参照)。
【表13】
【0148】
実施例3
界面活性剤組成物は、洗剤組成物中に約1重量%~5重量%で存在してもよく、a)約15~約50重量%のポロキサマーまたはポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマー、例えば、Pluronic N-3またはPluronic 25R2、およびb)約50~約85重量%のアルコキシル化エチレンジアミン、例えば、エチレンジアミン-ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレン)ブロックコポリマーを含んでもよく、ポリ(エチレンオキシド)が、約10重量%~約50重量%の分子重量を構成し、ポリ(プロピレンオキシド)が、約50重量%~約90重量%の分子重量を構成する。
【0149】
以下の組成物を、実施例2に記載される方法を使用して試験した。
【表14】
【表15】
【0150】
Pluronic N3-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)、3:7のEO:PO重量比。
【0151】
Glewwe発泡試験の結果(インチ単位)を表9に示す(
図2も参照)。試験の条件は、50/50のビーフシチュー/高温の汚れ、120~160°F(約48.9~71.1℃)の水温、10gpgの水の硬度、6psiのジェット圧力であった。
【表16】
【0152】
上記明細書は、開示された組成物および方法の製造および使用の説明を提供する。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく多くの実施形態を行うことができるため、本発明は特許請求の範囲に属する。
【0153】
本明細書におけるすべての刊行物および特許出願は、本発明が属する分野の当業者の水準を示している。すべての刊行物および特許出願は、あたかも各個々の刊行物または特許出願が具体的かつ個々に参照により組み込まれるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書におけるすべての刊行物および特許出願は、本発明が属する分野の当業者の水準を示している。すべての刊行物および特許出願は、あたかも各個々の刊行物または特許出願が具体的かつ個々に参照により組み込まれるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。以下の項目[1]~[20]に、本発明の実施形態の例を列記する。
[1]
アルカリ性洗剤組成物であって、
1重量%~80重量%の、アルカリ金属炭酸塩および/またはアルカリ金属水酸化物を含むアルカリ源と、
アクリル酸、マレイン酸またはイタコン酸、および2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸またはメタリルスルホン酸を含む、1重量%~15重量%のターポリマーと、を含み、前記ターポリマーが、約70重量%~約90重量%のアクリル酸、約5重量%~約19重量%のマレイン酸、および約1重量%~約15重量%の2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、もしくはメタリルスルホン酸を含むか、または前記ターポリマーが、約70重量%~約90重量%のアクリル酸、約5重量%~約35重量%のイタコン酸、および約1重量%~約15重量%の2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、もしくはメタリルスルホン酸を含む、アルカリ性洗剤組成物。
[2]
アルカリ性洗剤組成物であって、
1重量%~80重量%の、アルカリ金属炭酸塩および/またはアルカリ金属水酸化物を含むアルカリ源と、
アクリル酸、マレイン酸、またはイタコン酸、および2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、またはメタリルスルホン酸を含む、1重量%~15重量%のターポリマーと、を含み、
前記組成物が、水溶性ケイ酸塩または漂白剤を含まない、アルカリ性洗剤組成物。
[3]
前記ターポリマーが、約70重量%~約90重量%のアクリル酸と、約5重量%~約20重量%のマレイン酸または約5重量%~約35重量%のイタコン酸と、約1重量%~約15重量%の2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、またはメタリルスルホン酸と、を含む、項目2に記載の組成物。
[4]
少なくとも2つの非イオン性界面活性剤をさらに含む、項目1、2、または3に記載の組成物。
[5]
前記界面活性剤のうちの少なくとも1つが、消泡剤である、項目4に記載の組成物。
[6]
約1重量%~約10重量%の前記2つの界面活性剤を含む、項目4に記載の組成物。
[7]
約10重量%~約90重量%のアルコキシル化トリオール界面活性剤を含む、項目6に記載の組成物。
[8]
前記アルコキシル化トリオール界面活性剤が、約10重量%~80重量%のエチレンオキシドと、約20重量%~90重量%のプロピレンオキシドと、を含む、項目7に記載の組成物。
[9]
約10重量%~約90重量%のポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマーを含む、項目6に記載の組成物。
[10]
約20重量%~約90重量%のエチレンジアミン-ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマーを含み、ポリ(エチレンオキシド)が、分子重量で約10重量%~約90重量%であり、ポリ(プロピレンオキシド)が、分子重量で約20重量%~約90重量%である、項目6に記載の組成物。
[11]
前記アルカリ源が、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、またはそれらの組み合わせを含む、項目1~9のいずれか一項に記載の組成物。
[12]
前記ターポリマーが、約1,000~約50,000の分子量を有する、項目1~11のいずれか一項に記載の組成物。
[13]
前記組成物中の前記ターポリマーが、約5ppm~約250ppmである、項目1~12のいずれか一項に記載の組成物。
[14]
1つ以上の酵素をさらに含む、項目1~13のいずれか一項に記載の組成物。
[15]
水溶液である、項目1~14のいずれか一項に記載の組成物。
[16]
洗剤組成物によって表面上への炭酸カルシウムの堆積を抑制する方法であって、
炭酸カルシウムの堆積を抑制するように、汚れた表面を項目1~15のいずれか一項に記載の洗剤組成物と接触させることを含む、方法。
[17]
前記洗剤組成物の前記接触が、固体洗剤の使用溶液を生成する最初のステップを含む、項目16に記載の方法。
[18]
前記表面への前記洗剤組成物の前記接触が、少なくとも約50ppm、少なくとも400ppm、または少なくとも約600ppmの使用濃度で行われる、項目16または17に記載の方法。
[19]
前記表面への前記洗剤組成物の前記接触が、約400ppm~約5000ppmの使用濃度で行われる、項目16~18のいずれか一項に記載の方法。
[20]
前記接触が、120°F(約48.9℃)以上の温度で行われる、項目16~19のいずれか一項に記載の方法。