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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018987
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】エレベーターのブレーキスイッチ機構
(51)【国際特許分類】
   B66B 11/08 20060101AFI20220120BHJP
   F16D 66/00 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
B66B11/08 G
F16D66/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020122479
(22)【出願日】2020-07-17
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 浩二
(72)【発明者】
【氏名】小山田 正人
【テーマコード(参考)】
3F306
3J058
【Fターム(参考)】
3F306AA02
3F306BA09
3J058AA06
3J058AA13
3J058AA17
3J058AA24
3J058AA30
3J058AA38
3J058BA60
3J058DB18
3J058FA37
(57)【要約】
【課題】ブレーキプランジャのストロークを小さくしたままマイクロスイッチの動作点を容易に確認することができるブレーキスイッチ機構を提供する。
【解決手段】エレベーターの巻上機10のブレーキ装置20に設けられ、ブレーキ装置20の制動又は開放を検出するブレーキスイッチ機構30であって、ブレーキプランジャ27の往復動作によって回動する回動操作片31と、マイクロスイッチ40の筐体41に回動可能に支持され、回動操作片31の係合部31Bに係合し、回動操作片31の回動によって回動するスイッチレバー42と、を有し、スイッチレバー42が回動することによって接続された電気回路を開閉するマイクロスイッチ40と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの巻上機のブレーキ装置に設けられ、前記ブレーキ装置の制動又は開放を検出するエレベーターのブレーキスイッチ機構であって、
前記ブレーキ装置は、前記巻上機の駆動軸に固定されるブレーキドラムと、前記ブレーキドラムの外周面に摺接可能なブレーキパッドと、前記ブレーキパッドを支持すると共にスプリングに付勢されて前記ブレーキパッドを前記ブレーキドラムに押圧可能なアームと、電磁力により往復動作することによって回動レバーを介して前記アームを前記ブレーキパッドが前記ブレーキドラムから離間する向きに移動させるブレーキプランジャと、を備え、
前記巻上機に固定される支持梁に回動可能に支持される回動支点を有し、前記回動支点から先端部までの間において前記ブレーキプランジャと係止し、前記ブレーキプランジャの往復動作によって回動する回動操作片と、
マイクロスイッチ筐体に回動可能に支持され、前記回動操作片の先端部に係合し、前記回動操作片の回動によって回動するスイッチレバーと、前記筐体に設けられ、前記スイッチレバーの回動によって押圧される摺動子と、前記筐体の内部に配置され、前記摺動子に押圧されることによって端子に当接又は離間する導電可動片と、を有し、前記スイッチレバーが回動することによって接続された電気回路を開閉するマイクロスイッチと、
を備える、
エレベーターのブレーキスイッチ機構。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベーターのブレーキスイッチ機構であって、
前記回動操作片の先端部の動作量を確認する目盛りをさらに備える、
エレベーターのブレーキスイッチ機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターの巻上機のブレーキ装置に設けられ、ブレーキ装置の制動又は開放を検出するブレーキスイッチ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターの巻上機のブレーキ装置には、ブレーキ装置の制動又は開放を検出してエレベーターの制御装置に送信するブレーキスイッチが設けられる(例えば、特許文献1)。ブレーキスイッチとしては、スイッチレバーの押圧によって接点が開閉されて電気回路が開閉されるマイクロスイッチが用いられる。
【0003】
ブレーキスイッチでは、マイクロスイッチのスイッチレバーがブレーキ装置のブレーキプランジャに係合し、ブレーキプランジャの往復動作によってスイッチレバーが押圧されて接点が開閉される。ブレーキスイッチの保守点検作業では、ブレーキプランジャの往復動作の範囲内にマイクロスイッチの動作点が存在するかどうかが確認される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-063434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ブレーキプランジャの往復動作の長さ(以下、ストローク)が小さい場合が多く(例えば3mm)、ブレーキスイッチの保守点検作業において小さなストロークの範囲内でブレーキスイッチの動作点を確認する作業は困難であり、作業者の高度な技能が必要とされる。
【0006】
一方、ブレーキプランジャのストロークを大きくした場合には、ブレーキ装置の制動時の動作音が大きくなる、緊急停止時におけるブレーキプランジャの衝撃が大きくなる、ブレーキプランジャのプランジャーブッシュの摩耗が大きくなる等の別の課題が発生する。
【0007】
本発明の目的は、ブレーキプランジャのストロークを小さくしたままマイクロスイッチの動作点を容易に確認することができるエレベーターのブレーキスイッチ機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るエレベーターのブレーキスイッチ機構は、エレベーターの巻上機のブレーキ装置に設けられ、ブレーキ装置の制動又は開放を検出するエレベーターのブレーキスイッチ機構であって、ブレーキ装置は、巻上機の駆動軸に固定されるブレーキドラムと、ブレーキドラムの外周面に摺接可能なブレーキパッドと、ブレーキパッドを支持すると共にスプリングに付勢されてブレーキパッドをブレーキドラムに押圧可能なアームと、電磁力により往復動作することによって回動レバーを介してアームをブレーキパッドがブレーキドラムから離間する向きに移動させるブレーキプランジャと、を備え、巻上機に固定される支持梁に回動可能に支持される回動支点を有し、回動支点から先端部までの間においてブレーキプランジャと係止し、ブレーキプランジャの往復動作によって回動する回動操作片と、マイクロスイッチ筐体に回動可能に支持され、回動操作片の先端部に係合し、回動操作片の回動によって回動するスイッチレバーと、筐体に設けられ、スイッチレバーの回動によって押圧される摺動子と、筐体の内部に配置され、摺動子に押圧されることによって端子に当接又は離間する導電可動片と、を有し、スイッチレバーが回動することによって接続された電気回路を開閉するマイクロスイッチと、を備える。
【0009】
本発明に係るエレベーターのブレーキスイッチ機構において、回動操作片の先端部の動作量を確認する目盛りをさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るエレベーターのブレーキスイッチ機構によれば、ブレーキプランジャのストロークを小さくしたままマイクロスイッチの動作点を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係わるエレベーターの巻上機を示す側面図である。
図2】本実施形態に係わるエレベーターの巻上機の電動機を取り外した状態を図1の矢印Aから見た図である。
図3図1の矢印Bから見たブレーキ装置の詳細図である。
図4】本実施形態の一例であるブレーキスイッチ機構を示す側面図である。
図5図4においてマイクロスイッチを透過した側面図である。
図6】マイクロスイッチの内部を示す断面図である。
図7】(A)ブレーキ装置が制動状態のブレーキスイッチ機構を示す側面図、(B)ブレーキ装置が開放状態のブレーキスイッチ機構を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。以下の説明において、具体的な形状、材料、方向、数値等は、本開示の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができる。
【0013】
図1及び図2を用いて、本実施形態の一例であるブレーキスイッチ機構30が設けられるエレベーターの巻上機10について説明する。図1は、巻上機10を示す側面図である。図2は、巻上機10の電動機13を取り外した状態を図1の矢印Aから見た図である。
【0014】
以下では、鉛直方向を上下方向とし、巻上機10の駆動軸12と平行な方向を前後方向とし、上下方向及び前後方向と互いに直交する方向を幅方向として、巻上機10について説明する。また、前側に向かって幅方向のそれぞれを左右側とする。
【0015】
巻上機10は、エレベーターの主ロープの両端にそれぞれ吊り下げられた乗りかごと釣合錘とをそれぞれのレールに沿って昇降させる装置である。巻上機10は、エレベーターの昇降路の直上の機械室に設けられる。図1及び図2に示すように、巻上機10は、上記主ロープが巻き架けられる綱車11と、伝達機構を介して綱車11を回転させる駆動軸12と、駆動軸12を駆動する電動機13と、上記伝達機構を被装するケーシング15と、駆動軸12の回転を制動するブレーキ装置20とを備える。ブレーキ装置20について詳細は後述する
【0016】
図1から図3を用いて、本実施形態の一例であるブレーキスイッチ機構30が設けられるブレーキ装置20について説明する。図3は、図1の矢印Bから見たブレーキ装置20の詳細図である。
【0017】
以下では、図3に示すように、上述した前後方向において、ブレーキ装置20が開放するときにブレーキプランジャ27が移動する向きを前側とし、ブレーキ装置20が制動するときにブレーキプランジャ27が移動する向きを後側としてブレーキ装置20について説明する。
【0018】
図1及び図2に示すように、ブレーキ装置20は、巻上機10の駆動軸12に固定されたブレーキドラム21と、ブレーキドラム21の外周面に摺接することによってブレーキドラム21の回転を制動する一対のブレーキパッド22と、ブレーキパッド22をそれぞれ支持すると共に回動してブレーキパッド22をブレーキドラム21に近接させる一対のブレーキアーム23と、ブレーキパッド22がブレーキドラム21を押圧するようにブレーキアーム23をそれぞれ付勢する一対のブレーキスプリング24とを有する。
【0019】
図2及び図3に示すように、ブレーキ装置20は、ブレーキスプリング24に付勢されたブレーキアーム23を支持すると共にブレーキパッド22とブレーキドラム21との間隔を所定間隔に調整する一対の調整ボルト25と、後述するブレーキプランジャ27によって回動されることによって一対の調整ボルト25のそれぞれをブレーキパッド22がブレーキドラム21から離間する向き(図3において幅方向の外向き)に移動させる一対の回動レバー26とを有する。
【0020】
そして、ブレーキ装置20は、電磁力によって前後方向に往復することによって一対の回動レバー26をそれぞれ回動させるブレーキプランジャ27と、ブレーキプランジャ27が挿通されると共に励磁又は消磁可能に構成されブレーキプランジャ27を電磁力によって前後方向に往復させるソレノイドコイル(図示略)とを有する。
【0021】
換言すれば、ブレーキプランジャ27は、電磁力により前後方向に往復することによって一対の回動レバー26を介して一対のブレーキアーム23をそれぞれブレーキパッド22がブレーキドラム21から離間する向きに移動させて、ブレーキ装置20を開放する。
【0022】
ブレーキ装置20の動作について説明する。ブレーキ装置20が制動しているときは、ブレーキアーム23がブレーキスプリング24に付勢され、ブレーキパッド22がブレーキドラム21を押圧することによってブレーキパッド22がブレーキドラム21に摺接してブレーキドラム21の回転を制動している。
【0023】
一方、ブレーキ装置20が開放されるときは、ソレノイドコイルによってブレーキプランジャ27が前後方向の前側に移動する。これにより、回動レバー26が回動して調整ボルト25を幅方向の外側に向けて移動させる。このとき、ブレーキアーム23がブレーキスプリング24の付勢力に逆らってブレーキパッド22がブレーキドラム21から離間する方向に開き、ブレーキドラム21の制動が開放される。
【0024】
図4から図6を用いて、本実施形態の一例であるブレーキスイッチ機構30について説明する。図4は、ブレーキスイッチ機構30の側面図である。図5は、回動操作片31の説明を分かり易くするため図4においてマイクロスイッチ40を透過した側面図である。図6は、マイクロスイッチ40の内部を示す断面図である。
【0025】
本実施形態の一例であるブレーキスイッチ機構30は、エレベーターの巻上機10のブレーキ装置20に設けられ、ブレーキ装置20の制動又は開放を検出する機構である。ブレーキスイッチ機構30によれば、詳細は後述するが、ブレーキプランジャ27の前後方向の往復動作の長さ(以下、ストローク)を小さくしたまま後述するマイクロスイッチ40の動作点を容易に確認することができる。
【0026】
図4に示すように、ブレーキスイッチ機構30は、巻上機10の前後方向の後側に設けられる。ブレーキスイッチ機構30は、ブレーキプランジャ27の往復動作によって回動する回動操作片31と、回動操作片31を回動自在に支持する支持梁32と、回動操作片31の下端部を付勢する引っ張りバネ33と、回動操作片31の上端部の動作量を確認する目盛り34と、詳細は後述するスイッチレバー42が回動することによって電気回路を開閉するマイクロスイッチ40とを有する。
【0027】
回動操作片31は、L字状の平板であって、支持梁32の回動支点Mにおいて回動自在に支持される。回動操作片31の上端部には、詳細は後述するスイッチレバー42のローラ42Aに係合する幅方向の左側(図4から図6では紙面手前側)に突出した係合部31Bが設けられる。回動操作片31の回動支点Mと係合部31Bとの間には、貫通孔31Aが形成され、この貫通孔31Aにブレーキプランジャ27が挿通され、ナットNによって所定位置に位置決めされている。回動操作片31の下端部は、引っ張りバネ33によって時計回りの方向に付勢され、ブレーキプランジャ27の軸方向の動きに回動操作片31が追従可能である。
【0028】
回動操作片31は、ブレーキプランジャ27の前後方向の往復動作によって回動する部材である。回動操作片31によれば、ブレーキプランジャ27のストロークを拡大してマイクロスイッチ40に伝達することができる。
【0029】
貫通孔31Aには、上述したようにブレーキプランジャ27が貫通している。ブレーキプランジャ27の後端部にはネジ部が形成され、ネジ部にはナットNが螺合されている。これにより、ブレーキ装置20の開放時にブレーキプランジャ27が前側に向かって移動するとき、ナットNが回動操作片31の貫通孔31Aの縁部に係合して、回動操作片31の上端側が前側に向かって(図4から図6では反時計回りに)押圧されて、回動操作片31が回動する。
【0030】
係合部31Bは、回動操作片31から幅方向の左側(図4から図6では紙面手前側)に突出して形成され、係合部31Bの前面が後述するスイッチレバー42のローラ42Aの側周面に当接する。これにより、ブレーキ装置20の開放時にブレーキプランジャ27が前側に向かって移動し、回動操作片31の上端側が前側に向かって(図4から図6では反時計回りに)回動するときに、マイクロスイッチ40のスイッチレバー42が押圧される。
【0031】
支持梁32は、上述したように、回動支点Mにおいて回動操作片31を回動自在に支持する部材である。支持梁32は、ブレーキ装置20の筐体35から延出して設けられている。
【0032】
引っ張りバネ33は、回動操作片31の下端部が後側に引っ張られると前側に戻るように付勢する部材である。引っ張りバネ33は、回動操作片31の下端部と筐体35との間に設けられる。これにより、ブレーキ装置20の制動時に後側へ向かって移動するブレーキプランジャ27に対し回動操作片31が時計回りに追従して回動する。
【0033】
目盛り34は、回動操作片31の上端部(係合部31B)の動作量を作業者が目視で確認するものである。目盛り34によれば、例えば回動操作片31のストロークにおける中間点を容易に確認することができる。目盛り34は、詳細は後述するマイクロスイッチ40の筐体41の側面に設けられている。
【0034】
マイクロスイッチ40は、上述したように、スイッチレバー42が回動することによって例えばエレベーターの制御装置に接続された電気回路を開閉するスイッチである。マイクロスイッチ40によれば、回動操作片31の回動という機械動作を電気回路の開閉という電気信号に変換することができる。本実施形態のマイクロスイッチ40は、ヒンジ・ローラー型のマイクロスイッチを用いるが、これに限定されない。
【0035】
図4及び図6に示すように、マイクロスイッチ40は、密閉された内部空間を有する筐体41と、回動操作片31の回動によって回動するスイッチレバー42と、スイッチレバー42の回動によって押圧される摺動子43と、摺動子43に押圧されることによって例えば常時開端子45Aに当接する導電可動片44とを有する。
【0036】
筐体41は、支持台46に支持されてブレーキ装置20の筐体35に固定されている。筐体41は、密閉された内部空間に、導電可動片44、常時開端子45A及び常時閉端子45Bを収容している。
【0037】
スイッチレバー42は、回動操作片31の回動により押圧されて回動して摺動子43を押圧するレバーである。スイッチレバー42は、基端部42Bが筐体41の後側面の下端部に回動可能に支持され、自由端部にはローラ42Aが支持される。スイッチレバー42は、常時、筐体41から後向きに摺動子43によって付勢されている。
【0038】
摺動子43は、スイッチレバー42に押圧されることによって筐体41の前向きに移動して導電可動片44を押圧するものである。摺動子43は、導電可動片44によって筐体41から後向きに付勢されている。
【0039】
導電可動片44は、摺動子43に押圧されることによって、例えば常時開端子45Aに当接する部材である。導電可動片44は、基端部が回動可能に支持され、先端部が回動することによって常時開端子45Aに当接又は離間する。導電可動片44は、常時、バネ部材44Aによって常時閉端子45Bに当接する向きに付勢されている。
【0040】
導電可動片44の基端部、常時開端子45A及び常時閉端子45Bは、それぞれ外部端子と電気的に接続されて電気回路を構成する。例えば、導電可動片44の基端部と、常時開端子45Aとに接続された電気回路を構成した場合には、マイクロスイッチ40は開接点として機能する。また、導電可動片44の基端部と、常時閉端子45Bとに接続された電気回路を構成した場合には、マイクロスイッチ40は閉接点として機能する。さらに、導電可動片44の基端部と、常時開端子45Aと、常時閉端子45Bと、に接続された電気回路を構成した場合には、マイクロスイッチ40は切替接点として機能する。
【0041】
マイクロスイッチ40の動作について説明する。マイクロスイッチ40では、常時、導電可動片44がバネ部材44Aによって常時閉端子45Bに当接する向きに付勢されている。これにより、摺動子43が導電可動片44によって後向きに付勢され、スイッチレバー42が摺動子43によって筐体41からの後向きに付勢されている。
【0042】
マイクロスイッチ40では、ブレーキ装置20の開放時にブレーキプランジャ27が前側に向かって移動し、スイッチレバー42が回動操作片31の回動により押圧されて回動する。これにより、摺動子43がスイッチレバー42によって前向きに押圧されて、導電可動片44が前向きに押圧されて常時開端子45Aに当接し、マイクロスイッチ40に接続された電気回路が開となる。
【0043】
図7を用いて、ブレーキスイッチ機構30の動作について説明する。図7(A)は、ブレーキ装置20が制動時のブレーキスイッチ機構30を示す図である。図7(B)は、ブレーキ装置20が開放時のブレーキスイッチ機構30を示す図である。
【0044】
図7(A)に示すように、ブレーキ装置20が制動しているときは、ブレーキプランジャ27が後側に位置している。ブレーキスイッチ機構30では、回動操作片31は、引っ張りバネ33の付勢力によって下端部が前側に向かって付勢され、回動操作片31が時計回りの方向に傾斜し、ブレーキプランジャ27に螺合されたナットNに当接している。
【0045】
図7(B)に示すように、ブレーキ装置20が開放しているときは、ブレーキプランジャ27が前側に向かって移動する。ブレーキスイッチ機構30では、回動操作片31は、ブレーキプランジャ27に螺合されたナットNに前向きに押圧されて反時計周りの方向に傾斜する。このとき、回動操作片31の係合部31Bがマイクロスイッチ40のスイッチレバー42を押圧することによってマイクロスイッチ40に接続された電気回路が切り替えられる。
【0046】
ブレーキスイッチ機構30が設けられたブレーキ装置20の保守点検作業の一例について説明する。
【0047】
まず、ブレーキスイッチ機構30のマイクロスイッチ40の外部端子にブザー又はランプを並列接続してマイクロスイッチ40の動作点(開又は閉)のタイミングが外部から確認できるようにする。次に、回動操作片31を手動で回動させて、マイクロスイッチ40の動作点のタイミングにおける回動操作片31の上端部の位置を目盛り34によって確認する。このとき、ブレーキプランジャ27のストロークの大きさが回動操作片31によって拡大されているので、作業者は容易にブレーキプランジャ27のストロークの範囲内でマイクロスイッチ40の動作点を確認することができる。
【0048】
次に、実際にブレーキ装置20を作動させて、ブレーキ装置20の制動時又は開放時のブレーキプランジャ27のストロークの範囲として、回動操作片31の上端部の動作範囲を目盛り34にて確認する。このとき、ブレーキプランジャ27のストロークの大きさが回動操作片31によって拡大されているので、作業者は容易にブレーキプランジャ27のストロークを確認することができる。
【0049】
そして、マイクロスイッチ40の動作点における回動操作片31の上端部の位置が、ブレーキ装置20の制動時又は開放時の回動操作片31の上端部(係合部31B)の動作範囲の中間付近にあれば、ブレーキスイッチ機構30は適正な状態であるといえる。一方、マイクロスイッチ40の動作点のタイミングにおける回動操作片31の上端部の位置が、ブレーキ装置20の制動時又は開放時の回動操作片31の上端部の動作範囲の両端近くにある場合は、ブレーキプランジャ27のストロークを修正する、又はマイクロスイッチ40の位置を修正する等の調整を行う。
【0050】
なお、本発明は上述した実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において種々の変更や改良が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
10 巻上機、11 綱車、12 駆動軸、13 電動機、15 ケーシング、20 ブレーキ装置、21 ブレーキドラム、22 ブレーキパッド、23 ブレーキアーム、24 ブレーキスプリング、25 調整ボルト、26 回動レバー、27 ブレーキプランジャ、30 ブレーキスイッチ機構、31 回動操作片、31 筐体、31A 貫通孔、31B 係合部、32 支持梁、33 引っ張りバネ、34 目盛り、35 筐体、40 マイクロスイッチ、41 筐体、42 スイッチレバー、42A ローラ、43 摺動子、44 導電可動片、44A バネ部材、45A 常時開端子、45B 常時閉端子、46 支持台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7