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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018989
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】シートシャッター用シートケース
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20220120BHJP
【FI】
E06B9/17 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020122481
(22)【出願日】2020-07-17
(71)【出願人】
【識別番号】391020056
【氏名又は名称】小松電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(74)【代理人】
【識別番号】100166659
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 和也
(72)【発明者】
【氏名】小松 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】堀江 好明
(72)【発明者】
【氏名】小林 泰久
(57)【要約】
【課題】シートケースの構造の簡略化、軽量化、現場組立の容易化、構成部材の現場加工・調達を容易にすることを図る。
【解決手段】この発明のシートケースは、シート42の昇降スライドを案内する左右のシートガイド2と、上記シート42の巻取用のドラム8を内部に軸支し、上記シートガイド2の上端に左右方向に横設されるシートケース1とを備えたシートシャッターにおいて、前記シートガイド2上で背面側を構造部材6側に取付けられ前記巻取用のドラム8を軸支する左右のサイドフレーム10,12と、該左右のサイドフレーム10,12間に上記巻取用のドラム8を囲むように横設される複数本のビーム32~34とを設け、各ビーム32~34の断面に相対向して隣接する他のビーム32~34に向って開放される差込溝32c,33c,34cを形成するとともに、互に向き合う差込溝32c,33c,34c間に薄板状で左右方向のカバープレート41a~41cの前後又は上下両辺の端部を挿脱可能に差込み固定している。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート(42)の昇降スライドを案内する左右のシートガイド(2)と、上記シート(42)の巻取用のドラム(8)を内部に軸支し、上記シートガイド(2)の上端に左右方向に横設されるシートケース(1)とを備えたシートシャッターにおいて、前記シートガイド(2)上で背面側を構造部材(6)側に取付けられ前記巻取用のドラム(8)を軸支する左右のサイドフレーム(10),(12)と、該左右のサイドフレーム(10),(12)間に上記巻取用のドラム(8)を囲むように横設される複数本のビーム(32~34)とを設け、各ビーム(32~34)の断面に相対向して隣接する他のビーム(32~34)に向って開放される差込溝(32c),(33c),(34c)を形成するとともに、互に向き合う差込溝(32c),(33c),(34c)間に薄板状で左右方向のカバープレート(41a~41c)の前後又は上下両辺の端部を挿脱可能に差込み固定したシートシャッター用シートケース。
【請求項2】
カバープレート(41a~41c)の差込端の少なくとも一端を差込み状態で着脱可能に固定した請求項1に記載のシートシャッター用シートケース。
【請求項3】
カバープレート(41a~41c)が端部の差込時に湾曲させて差込溝(32c),(33c),(34c)に弾力的に差込可能な弾性部材よりなり、差込溝(32c),(33c),(34c)と受部(32e),(33e),(34e)で保持される請求項1又は2に記載のシートシャッター用シートケース。
【請求項4】
ビーム(32~34)が外周に差込溝(32c),(33c),(34c)を凹設した中空のパイプ部材に押出し成形した部材からなる請求項1~3のいずれかに記載のシートシャッター用シートケース。
【請求項5】
差込溝(32c),(33c),(34c)がシートケース(1)の外周寄りの位置に開放端を備えた請求項1~4のいずれかに記載のシートシャッター用シートケース。
【請求項6】
ビーム(32~34)の端部にねじ止め用のタップ孔(32a),(33a),(34a)が形成され、当該端部を左右のサイドフレーム(10),(12)側にボルト締めによって着脱可能に固定する請求項1~5のいずれかに記載のシートシャッター用シートケース。
【請求項7】
上端がシートケース(1)の上面側に沿って接し、後端がシートケース(1)の背面側の高位置に着脱可能に且つ後傾させて取付けられる薄板状又はシート状の傾斜カバー(3)を設けた請求項1~6のいずれかに記載のシートシャッター用シートケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シートシャッター用シートケースに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にシートシャッターは工場や倉庫等の出入口や各種間仕切りの一部等に設けられ、空調効果やクリーンルームの防塵、防虫対策等に使用され、左右のシートガイド付の支柱上端にシート(巻取ドラム)ケースを横設した特許文献1に示すようなゲート型のものが知られている。
【0003】
上記のようなシートシャッターは、用途や設置条件に応じて各部の材質や構造の細部が決められるが、ゲートの左右幅(間口)と高さは、上部のシートケースの左右幅と支柱高さで決められ、通常これらのサイズ加工と最小限の組立てはメーカーの工場で行われ、荷造りされて取付け現場に納品される。
その後設置現場では支柱や横長のシートケースの装備品を組立て、建物側に左右の支柱を取付けて立設し、上端にシートケースを取付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-36254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし上記のような現場組立てでは、シート巻取用のドラムやモーター等を予め組込んだ高重量で横長のボックス状のシートケースをクレーン等で吊り上げながら組付けるため、作業が重労働となり、玉掛け作業に伴う熟練した施工技術を要求されるほか、高重量対応のクレーンを必要とし作業効率も良くないという問題があった。
【0006】
また、シートケースも予め取付場所の構造寸法に応じた最終寸法に、メーカー工場で組付可能に加工したものを納品して行うため、国内外各地に点在する部材メーカー,製品メーカー,ユーザー間の輸送に多大な労力や搬送コストを掛ける必要があるほか、輸送のためのエネルギーロスやCO排出等の環境問題も生じている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明のシートケースは、第1にシート42の昇降スライドを案内する左右のシートガイド2と、上記シート42の巻取用のドラム8を内部に軸支し、上記シートガイド2の上端に左右方向に横設されるシートケース1とを備えたシートシャッターにおいて、前記シートガイド2上で背面側を構造部材6側に取付けられ前記巻取用のドラム8を軸支する左右のサイドフレーム10,12と、該左右のサイドフレーム10,12間に上記巻取用のドラム8を囲むように横設される複数本のビーム32~34とを設け、各ビーム32~34の断面に相対向して隣接する他のビーム32~34に向って開放される差込溝32c,33c,34cを形成するとともに、互に向き合う差込溝32c,33c,34c間に薄板状で左右方向のカバープレート41a~41cの前後又は上下両辺の端部を挿脱可能に差込み固定したことを特徴としている。
【0008】
第2に、カバープレート41a~41cの差込端の少なくとも一端を差込み状態で着脱可能に固定したことを特徴としている。
【0009】
第3に、カバープレート41a~41cが端部の差込時に湾曲させて差込溝32c,33c,34cに弾力的に差込可能な弾性部材よりなり、差込溝32c,33c,34cと受部32e,33e,34eで保持されることを特徴としている。
【0010】
第4に、ビーム32~34が外周に差込溝32c,33c,34cを凹設した中空のパイプ部材に押出し成形した部材からなることを特徴としている。
【0011】
第5に、差込溝32c,33c,34cがシートケース1の外周寄りの位置に開放端を備えたことを特徴としている。
【0012】
第6に、ビーム32~34の端部にねじ止め用のタップ孔32a,33a,34aが形成され、当該端部を左右のサイドフレーム10,12側にボルト締めによって着脱可能に固定することを特徴としている。
【0013】
第7に、上端がシートケース1の上面側に沿って接し、後端がシートケース1の背面側の高位置に着脱可能に且つ後傾させて取付けられる薄板状又はシート状の傾斜カバー3を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以上のように構成される結果、シートの巻取りドラムを収容するシートケースが分解組立可能な左右の軸受フレームとビーム及びビーム間に差込装着するカバープレートとで構成されるため、巻き取りモーターを有するシートの巻取りドラム以外は、例えば、サイドフレームは、部材メーカーより施工現場に近い拠点にサイドフレームの材料を集積させて、爾後、適宜に現地の鉄工所などに加工手配し、棒状のビームと平板状のカバープレートは、いずれもそれぞれの部材メーカーで出荷標準の左右長さに採寸加工して現場に納品し、若しくはラフな採寸加工のものを現場で現物採寸により加工できるため、部品の多くが製品メーカーを経由せずに現地に集積させて現場加工,現場組立が可能となり、現地での組み立てを簡単な作業で設置できる。
【0015】
このため、すべての部品をシートシャッター製造メーカーへ材料納入することや、改めてすべての部品の折曲げ加工や採寸加工をして全体をセットで組合わせて、現地への組み立てたアッセンブリー製品輸送など搬送納品する必要がなく、ドラム長さとともに採寸加工,荷造り,搬送作業の可成りの部分が省力化できるという利点がある。
【0016】
本発明は以上のように、シートケースを構成するのに、シートケースの骨組み機能を外側に差込溝を一体的に付設した中空のパイプ部材からなるビームで構成し、シートケースのカバー機能を差込溝に差し込みされる湾曲可能なカバープレートで構成し、該ビームとカバープレートの組み合わせで、シートケースを軽量にして、現地で組み立て簡単に構成できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明を適用するシートシャッターの上部構造を示す正面図である。
図2】同じくシートシャッターの上部構造を示す側面図である。
図3】シートシャッターのシート巻取ドラム及び駆動用モーターを軸支したシートケースの平断面図である。
図4】シートケースの右端背面側の組立構造を示す拡大断面図である。
図5】シートケースの右端部のモーター取付部の構造を示す関連部品の拡大分解平断面図である。
図6】シートケースとシート巻取用ドラム及びモーター側カップリングの拡大縦断面図である。
図7】シートケースの周壁とその取付構造を示す要部拡大縦断面図である。
図8】(A)はモーター取付用の介挿板の拡大側面図、(B)は(A)におけるB-B断面図である。
図9】シートケースのサイドフレームの拡大右側面図である。
図10】(A),(B),(C)はいずれも図9におけるA-A断面,B-B断面及びC-C断面をそれぞれ表している。
図11】シートシャッターのシートガイドの拡大平断面図である。
図12】シートシャッターのシートガイドの拡大分解平断面図である。
図13】同じくシートガイド部の連結部材の拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<1.シートシャッターの全体構造概要>
図1図13は本発明の1実施形態を示し、この内図1図2は本発明が適用されるシートシャッターの上部構造の概要を示す正面図及び側面図である。
図示するシートシャッターは、縦断面が正方形又は正方形に近い長方形のボックス状に組立形成されたシートケース1を備え、その左右端下方には上下方向のシートガイド2が取付けられ、全体として正面視ゲート状に組立て設置される。尚、この例では設置されたシートケース1上の背面側の壁面からシートケース1の上面前端部に向って下降傾斜してシートケース1上を覆う薄板状の傾斜カバー3が設けられている。
【0019】
上記傾斜カバー3は、シートケース1の上面への塵埃の付着や屋外の場合は雨水の降り掛りの防止等を図るもので、薄手のステンレス鋼板,塗装鉄板,プラスチック又はFRPシート等からなる。上端は壁面に沿って取付けられる左右方向の取付杆4にビス止め等によって、下端はシートケース1の上部前端側に両面テープ又はマグネットシート等を介していずれも着脱可能に取付け固定される。尚、上記取付杆4は図6図7に示す後述のカバープレート支持用のビーム32と同一断面のものが転用されている。
【0020】
<2.シート巻取用ドラムの片側軸支機構の概要>
シートケース1は図3図5図7に示すように左右幅が建物の出入口で左右に隣接する支柱又はシートシャッター取付専用の支柱,壁体等の構造部材6に背面側においてボルト7により取付け固定されている。本例ではシートケース1内のシート巻取用のドラム8の左右の軸支機構が異なり、ドラム8は一端(左端)で直接軸支され、他端(右端)は内蔵するモーター9を介して軸支される機構となっており、特許文献1等に示すものと共通している。
【0021】
シートケース1の左右両サイドには、図3に示すようにケースの端部を覆う左右対称形に板金形成されたサイドカバー11と、各サイドカバー11の内側に重ねて予め部分溶着して一体的に固定される左右のサイドフレーム10,12とがそれぞれ設けられている。左右のサイドカバー11,11とサイドフレーム10,12は共に後端部が内向きに直角方向に折曲げられた取付片11a,10a,同11a,12aを備えており、左右において前後に重ね合わされ、構造部材6に対しボルト7で締着固定されている。
【0022】
左右のサイドカバー11,11とサイドフレーム10,12の左右方向の重ね合せ面間の中心回りには、後述するボルト13,14のボルトヘッド13a,14aを介在させるための間隙16,17が形成される。この内右側の各ボルト14のボルトヘッド14aの高さ(肉厚)は、上記間隙17の幅に対し約1mm程度高く(厚く)形成されており、組付時のサイドカバー11のボルト締め(図5参照29)により、ボルトヘッド14aを内向きに押圧挟持する締め付代ΔS(図4参照)が形成される。(この締付け機構については後で詳述する。)
【0023】
<3.ドラム軸の軸支機構>
左側のサイドフレーム10の略中心位置には、中空の軸受ボス18が内向きに突出して外端部外周のフランジ部19において前述したボルト13により締着固定され、この軸受ボス18の基端側には、ドラム8の端板21の中心部に突設した中空のドラム軸22の外端部がベアリング23を介して回転自在に軸支されている。
【0024】
また、軸受ボス18の周壁には通気孔24が穿設されており、この通気孔24とドラム軸22の断面内の中空部22aを通じ、ドラム8内にシートシャッターの設置環境の条件に応じて、冷却用又は加温用のガス(エア)が供給又は排出(流通)できる機構となっている。
【0025】
<4.モーターの取付機構>
次にシートケース1の右端側におけるドラム8の軸支とモーターの取付機構につき説明すると、モーター9の基端(右端)側のフランジ部26の端面には、図8(A),(B)に示す平板状の正方形又は長方形の薄手板からなる介挿板27が、フランジ部26の円形外周に沿ったピッチサークル上に配設されたボルト孔Hを介してボルト14により予め取付けられている。
【0026】
他方、サイドフレーム12は、図9に示すように側面視前後横長の長方形であるが、その中心回りには、上記ピッチサークル上のボルト14(図8に示すように本例では6本)全部を挿通する円形の挿通孔28がボルト14の外周に近接して繰り抜き形成されている。この挿通孔28は各ボルト14位置に個別に穿設しても良い。さらにサイドフレーム12の長方形の四隅と下端後半部には、後で述べるシートケース1内に横設され、該シートケース1の周壁(カバープレート)を保持するためのビーム類32~34(後述する)の挿通スペースとしての切欠部12b~12eが切欠形成されている。この切欠部12b~12eと同形の切欠部が同じくビーム類の他方の端部を挿通するために左側のサイドフレーム10にも形成されている(図示せず)。
【0027】
さらにサイドフレーム12の挿通孔28の周縁部は、図3図5図9図10(A)に示すように、介挿板27と重なり合うように側面視略正方形の形状で内向きに押出し成形された陥没部12fとなっている。この陥没部12fによりサイドフレーム12とサイドカバー11との間に前述したボルトヘッド収容間隙17が形成される。ちなみに上記陥没部12fと同様に左サイドフレーム10にも内向きの陥没部10bが形成され、同様なボルトヘッド収容間隙16が形成される。
【0028】
前記介挿板27の外側面とサイドフレーム12の陥没部12fの内周面は、互に重ね合わされて6本のボルト14を挿通孔28を介して(ボルトヘッド14aを)外側に突出させた状態でボルト29(この例では4本)とナット31により締着固定される。ボルト29は介挿板27とサイドフレーム12の陥没部12fとの四角形の各コーナー部に穿設されたボルト孔H,Hに挿通されて両者を締着する(図3図5参照)。また各ボルト29のボルトヘッドは薄肉に形成され、予めサイドフレーム12側に溶着固定され、先端が左右内向きに突出されている。
【0029】
一方サイドカバー11は、既述のように背面側の取付片11aがサイドフレーム12の取付片12aと重ねられて構造部材6にボルト7によって共締めされて取付けられるが、サイドフレーム12の外側を覆ってシートケース1の左右両端の端面カバーとして左右内向きにも締着固定される。
【0030】
即ち、左右のサイドカバー11,11間の側面視における四隅と下辺中央内側には、両カバー11,11間を連結するように左右方向の中空部材よりなる合計5本の棒状の中空部材からなるビーム32,33,34が互に平行に配置され、左右のサイドカバー11,11は該ビーム32~34の両端断面内に形成されたタップ孔32a,33a,34aにボルト(タッピングビス)35で内向きに締着固定されている(図3図4図6参照)。上記ビーム32~34は後述するようにシートケース1の周壁を装着する取付部材を構成している。
【0031】
このビーム32~34への締着により右側サイドカバー11の内面は、前記間隙17内において前述のサイドフレーム12より外向きに突出したボルトヘッド14aを外側より介挿板27及びフランジ部26との間で強い力で内向きに押接するとともに、介挿板27とサイドフレーム12を介し、モーター9を一体的に支持するフレームメンバーとして機能する。その結果モーターは薄手の板金部材であるにも拘わらず、軽量部材の一体的な組合せユニットによって強固に支持される。
【0032】
<5.モーターを介したシート巻取ドラムの支持と連結>
上記構成によりモーター9はサイドフレーム12の内面側に内向きに支持されるとともに、図3図6に示すようにモーター9の先端に突出するモーター軸36に嵌合されたカップリング37を介して、ドラム8内部と一体的な回転駆動が可能に連結されており、同時にモーター9はドラム8の右端をサイドフレーム12側に軸支する機構となっている。
【0033】
上記カップリング37はモーター軸36に嵌合されるフランジ付のボス部37aと、フランジ部に同心的に取付けられ、側面視菊座状に形成された一対の皿状部材からなるカップ部材37bとからなり、上記菊座状の周壁(カップリング羽根)とドラム8内周の係合溝8aにスプライン状に嵌合させて、モーター9によってドラム8を支持しながら回転駆動させる機構となっている(図3図6参照)。
【0034】
<6.ビームとビームによるカバープレートの取付機構>
左右のサイドカバー11,11を左右内向きに締着固定し、シートケース1の周壁の骨組みとなるビーム32~34は、図6図7に示すようにこの例では共にアルミ押出し成形された角型の中空異形断面を備えている。この内シートケース1の角型側断面の上辺側の前後コーナー部、下辺側の前端コーナー部のビーム32,33、底辺中央部付近と底辺背面側のビーム34とは次に述べるケース周壁(カバープレート41a~41d)端部の取付構造の違いにより異なる。
【0035】
即ち、この実施形態で示すシートケース1は、図6図7で示すように側断面が略正方形に近い長方形であり、上記断面の各コーナーと、断面底辺の背面寄りの位置に計5本のビーム32~34が左右全長に亘って配置されている。
上記5本のビームの内上辺背面側(後部)のビーム32と上辺正面側(前部)及び底辺正面側(前部)のビーム33の隣接ビーム間には、四角形の上辺及び前辺(上面壁及び前面壁)を形成する左右方向の長方形で、一定の剛性と弾力性を備えた薄板からなるカバープレート41a,41bが側端においてそれぞれ差込固定されている。カバープレート41a,41bの材質は、例えば 2~0.2mm厚程度の薄手の平板状又はシート状の材料で耐水性,耐候性,弾力性等を備えたものが望ましく、コーティング紙,セルロース材,プラスチック材,FRP材のほか、ステンレス鋼板,アルミ板等の採用が可能である。
【0036】
またシートケース1の底辺前部のビーム33と底辺中途のビーム34との間にも幅狭の薄板材からなる底辺カバープレート41cの前後両側辺が差込固定されているが、底辺中途のビーム34と底辺後部コーナーのビーム34との間は、ドラム8に巻取られたシート42(図11参照)の昇降通路用の開口部1aを形成している。またシートケース1の背面側上下のビーム32,34間にもカバープレート41dが取付けられているが、シートケース1を建物の壁面等に直接取付ける場合は、この背面カバープレート41dは省略することができる。
【0037】
<7.カバープレートの取付機構とビームの断面構造>
前記ビーム32~34は、いずれも角形中空パイプを本体部32b,33b,34bとし、その外周には垂直方向又は水平方向のカバープレート41a~41dの両側端を差込固定するための差込溝32c,33c,34cとそれぞれ形成されている。
【0038】
さらに上下辺及び前側辺となるカバープレート41a~41cを差込む差込溝32c,33c,34cの溝奥側には、差込まれたカバープレート41a~41cの差込端を外周側から押圧係止する薄板状の押え片32d,33d,34dが形成されるとともに、各差込溝32c,33c,34cの入口側には、差込まれるカバープレート41a~41cをケース内側から受け止める薄板状の受部32e,33e,34eが垂直方向又は水平方向に形成されている。ケース前方の上下コーナーのビーム33においては、2つの押え片33dが上下方向左右方向に直交して外向きの矢印状断面に形成されている。
【0039】
上記ビーム32,33及び底辺中途のビーム34に対し、カバープレート41a~41cを差込み(嵌め込み)固定して装着するには、各カバープレートを外側に弾力的に湾曲させた状態で、前後又は上下に向き合う差込溝に対し、各カバープレートの両端を差込み、弾力を解放復元させることによって装着される。この装着状態では、各カバープレートの両側端は、対応する差込溝32c,33c,34cの最深部まで挿入された状態で、内側より受部32e,33e,34eに受止められながら、各押え片32d,33d,34dに外側より受止められて弾力的に係止される。上記各カバープレート41a~41cの側端部は必要に応じて例えば各ビーム32~34の受部32e~34e側にビス止めすることもできる。メンテナンス等に際しカバープレート41a~41cを取外す際は、ケース内側から外向きに押圧湾曲させることによって取外しができる。
【0040】
図6図7に示すように上辺背面側のビーム32と正面側の上下ビーム33は、共に略正方形の中空断面の各パイプ状断面からなる本体部32b,33bを形成しており、内側のコーナー部に前述したサイドカバー11を締着するためのタッピングビス35のタップ孔32a,32dが形成されている。またケース断面底辺の中途のビーム34のと下部背面側のビーム34は共に長方形断面で中空の角パイプ状に形成され、上記同様内側コーナー断面部にサイドカバー11の取付用タップ孔34aを形成している。背面側のビーム32,34は、背面の壁その他の構造物にビス止め等によって取付けることもできる。
【0041】
<8.ビームのその他の機能>
上記ビーム32~34の角パイプ状本体32b,33b,34bの中空部は、シートシャッター制御用の配線管として利用ができる他、シートケース21内及びモーター9やドラム8,シート等を、シャッターの設置環境に応じて冷却し又は加温するためのエアやガスの流通配管として利用することが可能である。
【0042】
これらのビーム32~34は、アルミ押出成形の金属製とし又は剛性を備えたFRP製とすることにより、上記各面のカバープレート41a~41cを強固に且つ着脱容易に取付け保持するほか、シートケース1の断面コーナー部を形成する構造部材としても機能する。
【0043】
<9.シートケースの構造部材への取付け>
上記のように構成されるシートケース1は、建物側又は壁面等の構造部材6に対し、既述のようにボルト7によって取付けられるが、この時サイドフレーム10,12,サイドカバー11の取付部10a,11a,12aのボルト孔H図10(A)に示すように、この例では上下方向に3個、左右2列に設けられている。
この内再上段の孔Hは、下部がボルト7のボルトヘッドを挿通できる大径の円弧状で、上部が通常のボルト孔径の小径の円弧状に連続するダルマ形に穿設され、構造部材6側には、最上段のボルト孔Hのみに挿通する2本のボルト7のみが予めねじ込まれている。
【0044】
サイドフレーム10,12とサイドカバー11は先ずこの最上段のボルト7を挿通して係止することにより仮止めされ、その後下段側のボルト孔Hにボルト7を挿通し、すべてのボルト7が挿通された状態で位置合せして構造部材6側に取付固定される。この方法では予め介挿板27を取付けたドラム8が吊り上げられ、構造部材6に取付けられた左右のサイドフレーム10,12に対してボルト29,ナット31により取付固定される。この取付に際し、背面側上下のビーム32,34が背面のカバープレート41aと共に取付けられ、次いでビーム32~34とサイドカバー11がビス35により締着される。
【0045】
サイドフレーム10,12とサイドカバー11は、現場の作業条件により、予めドラム8の端部に取付けられた状態で吊り上げて構造部材6側に取付けることも可能である。
【0046】
<10.シートガイドの構造と取付機構>
図11図13はシートガイド2の断面構造及びその組付部品を示し、左右のシートガイド2は、平面視で全体として前後方向に長方形(正方形でも可)の中空断面を形成し、背面側を左右複数列(2列)のボルト43で構造部材6に沿って多段位置で取付けられる。この取付部材となり且つ背面壁と外側面を逆L字形断面に構成されるガイドフレーム44,内側面側を構成し前後の略中心位置に内向きのコ字形のガイド溝46を形成した横方向内向きのΩ字形断面のレール部材47,前方(正面)側に着脱可能な縦長の蓋を構成する縦長で平板状断面のカバー部材48とを組合わせて構成されている。40はガイドフレーム44の内部背面側の下端コーナーに接地してガイドフレーム下端をアンカー固定する押え金具である。
【0047】
またレール部材47のガイド溝46の周壁47aの外端とガイドフレーム44の外側壁44aの内面とは、横向きのアングル状断面の板金部材からなる連結部材49によって上下方向に間隔をおいて複数箇所(例えば3~4箇所)で連結され、これらのシートガイド2の構成部品の内、ガイドフレーム44とレール部材47はアルミ製の薄肉押出し成形部品からなり、カバー部材48は、アルミ製の薄肉押出し成形部品又は、上下方向の平板状にプラスチック押出し成形品からなる。ガイドフレーム44の外側には配線ダクトを形成するコ字形C型断面のダクトカバー51が取付けられている。
【0048】
ガイドフレーム44とレール部材47は、図11に示すようにカバー部材48とともに全体として中空の角筒状断面に組合わされるが、シートガイド2の内側壁側上部のガイド溝46の開放部側上方でガイドフレーム44とレール部材47の内側壁端部が重ね合わされてビス52で連結締着される。
【0049】
他方、ガイドフレーム44の外側壁44aの下端側とレール部材47のガイド溝46の周壁47aの周面との間は、平面視L字形(アングル状)断面の連結部材49によって上下方向に間隔をおいて複数箇所(例えば3~4箇所)で連結固定され、ガイドフレーム44とレール部材47は上記2箇所において連結されて一体的に固定される。
【0050】
この時、連結部材49の左右方向の一辺の後面と前側溝壁47aの前面側の重なり合う両面間は、ビス53でねじ止めされ、連結部材49の他方(前後方向)の辺は、ガイドフレーム44の外側壁44aの内面に溝状断面に形成されたフック部44bに後方より差込係止することによりガイドフレーム44とレール部材47とを連結している。
【0051】
ガイドフレーム44とレール部材47の周壁前端は、互に正面壁の一部を構成しながら左右方向から向き合った上下方向に平行な開口部54を形成しており、両者の開口部間に前記カバー部材48が係脱可能に差込まれ又は嵌合されて保持される。カバー部材48を取外した状態では、シートガイド2内での配線,配管や内部に収容した機器類の操作,メンテナンス作業等が可能である。
【0052】
また前記連結部材49を介したガイドフレーム44とレール部材47の連結とカバー部材48の嵌め込みを容易にするために、連結部材49による連結には融通機構が設けられている。即ち、連結部材49をレール部材47に取付ける連結部材49側のビス孔(ボルト孔)H図13に示すように左右方向の長孔に形成されており、仮付状態で左右位置調整可能となっている。この他連結部材49の他方の(前後方向の)取付片は、組付時にガイドフレーム44の外側壁44aに沿ってフック部44bの溝内で(仮締め状態では)前後にスライドできる機構となっている。
これらの構成により、カバー部材48を嵌め込み固定するガイドフレーム44とレール部材47の前面部の開口部54の左右幅を、カバー部材48の幅に合わせて最適に調節することができる。
【0053】
また必要に応じ、フック部44bの内面と連結部材49の前後方向の辺の間に弾力性のあるゴム又は合成樹脂材等からなるシート状のクッション材(図示しない)を介挿してもよい。この機構により、開口部54の左右幅は弾力的に開閉調整ができるため、カバー部材48がスムースに嵌合固定される。
【0054】
さらにガイドフレーム44の外側壁44aの前後の内面コーナーには、斜め方向の補強リブ44cが設けられてサイドフレーム44の強度補強ができるほか、該補強リブ44cとガイドフレーム44の周壁コーナーとの間には三角形のパイプ状の中空部44dが形成され、この中空部44dはシートシャッター内、例えばシートケース1内のモーター9やシート42等に、冷却や加温用のガス(エア)、又は消毒・殺菌用のガスを供給する流路として利用することが可能である。シートガイド2の内向きの周壁の適宜な高さ位置には、これらのガスをシート42の表面に噴射するための内向きのノズル56を設置することも可能である。このノズル56は上記中空部44dとの間でホース等による接続配管が必要な他、シートガイド2内の中空スペースに供給すべき薬剤等の収容タンクやこれらの接続配管が必要である(いずれも図示しない)。
尚、上記補強リブ44c及び中空部44dは、シート42の種類や左右両側端のガイド機構(例えば後述する芯材57の有無)等の相違に応じて異なるサイドフレーム44の断面に対応して、これらを設置するコーナーの選択や数の増減ができる。
【0055】
尚、上記シートガイド2自体は、通常はシートケース1の取付けに先立って構造部材6側に組付けられるが、現場の作業条件等によってはシートケース1の取付後に設置することも可能である。そしてシートガイド2の上端とシートケース1の背面側底面とは、要所においてアングル状断面のジョイント金具(図示しない)等によって連結固定されるが、いずれも構造部材6側に取付固定されることにより、シートケース1の全重量をシートガイド2によって支持させる構造は避けられ、そうすることによってシートガイド2の軽量化が実現できる。
また、シートシャッターの設置場所付近の床面、若しくは床面に設置させた台座の水平面内を組み立て台として、シートシャッター全体を横倒し状態に組み立てて、組み立て完成後に起立させて構造部材6側に組付けても良い。このようにすると組み立てするときに作業者の腰高位置ぐらいが組み立て作業箇所となり効率的に組み立て作業が遂行できる。
【0056】
<11.シートの構成例とシートガイド>
図11に示すシート42は、グラスファイバー等で補強された公知の樹脂製シートであるが、この例では所定間隔毎に左右方向に芯材57を挿通し、その左右の突出端に昇降を円滑に案内するガイドリング58を軸支しており、このガイドリング58が内側からガイド溝46内に収容されて昇降ガイドされる公知の機構のものである。
【0057】
したがってレール部材47の断面構造寸法等は、使用されるシート42の左右両端の構造によって異なり、芯材のないシートを用いる場合は、当該シートの側端の形状に適合する断面構造のものが使用される。またシートガイド2の内側正面側には、芯材57が突出しない平坦なシート面に断面先端が弾力的に押設されてシートシャッターの内側と外側の気密性を確保する弾性部材からなるシール部材59が突設されている。
【0058】
<12.カバープレートの応用例>
前述の通り、この実施形態で示すシートケース1は、図6図7で示すように側断面が略正方形に近い長方形であり、一定の剛性と弾力性を備えた薄板からなるカバープレート41a,41bが側端においてそれぞれ着脱可能に差込固定されている。従って、例えば
シートケース1の前面側に位置するカバープレート41bの表面にデザイン表示したり広告表示をしたりするものに付け替えることが可能であり、ユーザーの好みに応じて適宜に取り替えることができる。
このように、多彩な表現ができる巻取ボックスカバーを構成できるので、例えば、会社などにおいてもカバープレート41bに、社内啓蒙標語やメッセージ、絵画や表彰された社員の写真を入れるなどすることが可能となり社内情報伝達の媒体として利用できる利便性がある。
また、これらのカバープレート41bを透過性のものに構成した場合には巻取りボックス内のライトで照らされて職場環境を明るくする効果が期待できる。
さらには、このカバープレート41bを有機ELで表示するようにしておくと、例えば販売店舗などの商品情報や販売特ダネ情報、他店舗の案内情報などを電子表示管理することが可能となり顧客サービスの向上に寄与できる利点もある。
【符号の説明】
【0059】
1 シートケース
2 シートガイド
3 傾斜カバー
6 構造部材
8 ドラム
9 モーター
10 サイドフレーム
10a 取付片
10b 陥没部
11 サイドカバー
12 サイドフレーム
11a,12a 取付片
12b~12e 切欠部
12f 陥没部
14 ボルト
14a ボルトヘッド
17 間隙
19 ボルト
26 フランジ部
27 介挿板
28 挿通孔
32~34 ビーム
32c~34d 差込溝
32e~34e 受部
32a~34a タップ孔
35 タッピングビス(ボルト)
41a~41c カバープレート
42 シート
44 ガイドフレーム
44a 外側壁
44b フック部
44c 補強リブ
44d パイプ状の中空部
46 ガイド溝
47 レール部材
47a ガイド溝周壁
48 カバー部材
49 連結部材
~H ボルト孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
図12
図13