(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189895
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】ヒータ及び像加熱装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20221215BHJP
H05B 3/10 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
G03G15/20 555
H05B3/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167851
(22)【出願日】2022-10-19
(62)【分割の表示】P 2018218910の分割
【原出願日】2018-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米久保 秀明
(57)【要約】
【課題】長手方向に並ぶ複数の発熱体によって複数の加熱領域を個別に加熱制御する構成において、画像端部近傍における定着不良や光沢低下が発生してしまうことを防ぎつつ、より一層の省電力効果を得ることのできる技術を提供する。
【解決手段】記録材における画像を形成可能な領域を、複数の発熱体に対応して長手方向に区分けした領域であって、複数の発熱体のうちの一の発熱体とこれに隣接する発熱体との境界を含み、一の発熱体及び隣接する発熱体と長手方向に所定の範囲で重なる境界領域と、境界領域を除いた範囲において一の発熱体と重なる非境界領域と、に区分けし、一の発熱体により加熱する加熱領域の制御目標温度を、画像の情報のうち境界領域に対応する情報に基づいた第1温度と、画像の情報のうち非境界領域に対応する情報に基づいた第2温度と、のうち最も高い温度とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材の搬送方向に対して直交する長手方向に並ぶ複数の発熱体を有するヒータと、
前記複数の発熱体へ供給する電力を個々に制御することで、前記複数の発熱体により加熱される複数の加熱領域の温度を個々に制御可能な制御部と、
記録材に形成される画像の情報を取得する取得部と、
を備え、
前記ヒータの熱によって記録材に形成された画像を加熱する像加熱装置において、
前記制御部は、
記録材における画像を形成可能な領域を、前記複数の発熱体に対応して前記長手方向に区分けした領域であって、前記複数の発熱体のうちの一の発熱体とこれに隣接する発熱体との境界を含み、前記一の発熱体及び前記隣接する発熱体と前記長手方向に所定の範囲で重なる境界領域と、前記境界領域を除いた範囲において前記一の発熱体と重なる非境界領域と、に区分けし、
前記一の発熱体により加熱する加熱領域の制御目標温度を、前記画像の情報のうち前記境界領域に対応する情報に基づいた第1温度と、前記画像の情報のうち前記非境界領域に対応する情報に基づいた第2温度と、のうち最も高い温度とすることを特徴とする像加熱装置。
【請求項2】
前記境界領域に対応する情報には、前記画像のうち前記境界領域に含まれる画像部分の濃度と、前記非境界領域から前記画像部分までの前記長手方向の距離と、が含まれることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
【請求項3】
前記境界領域に含まれる画像部分の濃度が高いほど、前記第1温度は高いことを特徴とする請求項2に記載の像加熱装置。
【請求項4】
前記非境界領域から前記画像部分までの前記長手方向の距離が短いほど、前記第1温度は高いことを特徴とする請求項2または3に記載の像加熱装置。
【請求項5】
前記境界領域は、前記一の発熱体と前記一の発熱体に対して前記長手方向の一方の側で隣接する発熱体との間で区分けされる一方の境界領域と、前記一の発熱体と前記一の発熱体に対して前記長手方向の他方の側で隣接する発熱体との間で区分けされる他方の境界領域と、を含み、
前記制御部は、前記制御目標温度を、前記一方の境界領域における前記第1温度と、前記他方の境界領域における前記第1温度と、前記第2温度と、のうち最も高い温度とすることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項6】
前記非境界領域に対応する情報には、前記画像のうち前記非境界領域に含まれる画像部分の濃度が含まれることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項7】
前記一の発熱体は、前記複数の加熱領域のうちその加熱範囲が前記画像と重ならない加熱領域を加熱するための発熱体であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項8】
前記複数の加熱領域のうちその加熱範囲が前記画像と重なる加熱領域の制御目標温度は、前記画像のうち該加熱領域と重なる画像部分の濃度に基づいて設定されることを特徴とする請求項7に記載の像加熱装置。
【請求項9】
前記ヒータが内面に接触する筒状のフィルムをさらに有することを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項10】
記録材に画像を形成する画像形成部と、
記録材に形成された画像を記録材に定着する定着部と、
を有する画像形成装置において、
前記定着部が請求項1~9のいずれか1項に記載の像加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
記録材の搬送方向に対して直交する長手方向に並ぶ複数の発熱体を有するヒータと、
前記複数の発熱体へ供給する電力を個々に制御することで、前記複数の発熱体により加熱される複数の加熱領域の温度を個々に制御可能な制御部と、
記録材に形成される画像の情報を取得する取得部と、
を備え、
前記ヒータの熱によって記録材に形成された画像を加熱する像加熱装置の制御方法において、
記録材における画像を形成可能な領域を、前記複数の発熱体に対応して前記長手方向に区分けした領域であって、前記複数の発熱体のうちの一の発熱体とこれに隣接する発熱体との境界を含み、前記一の発熱体及び前記隣接する発熱体と前記長手方向に所定の範囲で重なる境界領域と、前記境界領域を除いた範囲において前記一の発熱体と重なる非境界領域と、に区分けし、前記画像の情報のうち前記境界領域に対応する情報に基づいた第1温度と、前記画像の情報のうち前記非境界領域に対応する情報に基づいた第2温度と、を取得する第1のステップと、
前記一の発熱体により加熱する加熱領域の制御目標温度を、前記第1温度と前記第2温度とのうち最も高い温度に設定する第2のステップと、
を有することを特徴とする像加熱装置の制御方法。
【請求項12】
前記境界領域に対応する情報には、前記画像のうち前記境界領域に含まれる画像部分の濃度と、前記非境界領域から前記画像部分までの前記長手方向の距離と、が含まれることを特徴とする請求項11に記載の像加熱装置の制御方法。
【請求項13】
前記境界領域に含まれる画像部分の濃度が高いほど、前記第1温度は高いことを特徴とする請求項12に記載の像加熱装置の制御方法。
【請求項14】
前記非境界領域から前記画像部分までの前記長手方向の距離が短いほど、前記第1温度は高いことを特徴とする請求項12または13に記載の像加熱装置の制御方法。
【請求項15】
前記境界領域は、前記一の発熱体と前記一の発熱体に対して前記長手方向の一方の側で隣接する発熱体との間で区分けされる一方の境界領域と、前記一の発熱体と前記一の発熱体に対して前記長手方向の他方の側で隣接する発熱体との間で区分けされる他方の境界領域と、を含み、
前記第2のステップにおいて、前記制御目標温度を、前記一方の境界領域における前記第1温度と、前記他方の境界領域における前記第1温度と、前記第2温度と、のうち最も高い温度に設定することを特徴とする請求項11~14のいずれか1項に記載の像加熱装置の制御方法。
【請求項16】
前記非境界領域に対応する情報には、前記画像のうち前記非境界領域に含まれる画像部分の濃度が含まれることを特徴とする請求項11~15のいずれか1項に記載の像加熱装置の制御方法。
【請求項17】
前記一の発熱体は、前記複数の加熱領域のうちその加熱範囲が前記画像と重ならない加熱領域を加熱するための発熱体であることを特徴とする請求項11~16のいずれか1項
に記載の像加熱装置の制御方法。
【請求項18】
前記複数の加熱領域のうちその加熱範囲が前記画像と重なる加熱領域の制御目標温度は、前記画像のうち該加熱領域と重なる画像部分の濃度に基づいて設定されることを特徴とする請求項17に記載の像加熱装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真方式や静電記録方式を利用したプリンタ、複写機、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。また、画像形成装置に搭載されている定着器や記録材に定着されたトナー画像を再度加熱することにより、トナー画像の光沢度を向上させる光沢付与装置等の像加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置)に用いられる定着器や光沢付与装置等の像加熱装置において、省電力化の要請から、記録材上に形成された画像部を選択的に加熱する方式が提案されている(特許文献1)。この方式では、記録材の搬送方向に直交する方向(以下、長手方向)において、複数に分割された加熱領域を設定し、それぞれの加熱領域を加熱する発熱体が長手方向に複数設けられている。そして、各加熱領域に形成される画像の画像情報に基づき、対応する発熱体の発熱量を制御する。例えば、各加熱領域のうち画像が無い領域(以下、非画像加熱部)の制御温度は、画像が含まれる領域(以下、画像加熱部)の制御温度に比べて低く設定される。
長手方向に複数に分割された加熱領域を有する構成においては、非画像加熱部と、それに隣接している画像加熱部との境界位置近傍において、両者の制御温度の差による温度勾配が生じてしまう。このことによって、境界位置側の画像端部近傍において定着不良や光沢低下が発生してしまう可能性がある。
【0003】
そこで特許文献2では、境界位置と長手方向における画像端部との距離に応じて、境界位置に隣接する画像加熱部の温度を変化させる画像形成装置が提案されている。
図17を用いて、その内容を説明する。
図17に示す903-1、903-2、903-3は、長手方向に分割された発熱体を示している。910は画像を表しており、画像910が903-2の領域にだけ存在し、903-2が画像加熱部、903-1と903-3が非画像加熱部となっている。画像形成装置は画像の位置情報を算出し、算出された903-2の画像端部と903-1と903-2の境界位置との距離(
図17の矢印yで示す)に応じて、画像加熱部である903-2の温度を制御することで定着性能と省電力化を両立している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-95540号公報
【特許文献2】特開2018-4938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2の制御方法では、以下の課題があった。それは、画像の位置情報の算出の仕方に関する課題である。
図18は、
図17において903-1、903-2の部分を取り出して、903-3を省略して示したものである。
図18(a)は903-1、903-2の発熱体が長手方向に分割されている様子を表している。
図18(b)は画像の位置を示しており、903-1の領域の画像を画像A、903-2の領域の画像を画像Bとする。
図18(c)は903-1、903-2の発熱体の温度を表している。
特許文献2では
図18(b)に示すように、画像Aが903-1の領域に、画像Bが903-2の領域に存在するため、903-1、903-2はどちらも画像加熱部となる。そのため、
図18(c)の点線で示すような定着温度(例えば、903-1、903-2ともに200deg.)となる。しかし、画像Aが例えば低印字のパターンであり画像B
よりも低温でも定着可能な場合、903-1の温度はより低温(例えば、163deg.)でも構わない。
【0006】
図18(c)の実線で示すように、903-1、903-2に温度差がある場合、熱拡散の影響で903-1と903-2の境界位置近傍では温度が変化している。そのため、903-1の温度を下げたとしても(例えば、150deg.)、画像Aの定着温度(163deg.)を満たすことができる。このように、903-1と903-2の境界位置近傍の温度変化を考慮に入れた位置、例えば、
図18(c)に示すZの位置のような変曲点の位置を基準にした画像端部との距離に応じて、903-1の温度を決めることで、より省電力化が可能となる。特許文献2の制御方法では903-1と903-2の発熱体の分割位置を基準にした画像端部との距離に応じて903-1の温度を決めている。そのため、903-1の温度を下げても定着性能を満足できる場合でも、903-1の温度を上げることがあり、さらなる省電力化において検討の余地がある。
【0007】
本発明の目的は、長手方向に並ぶ複数の発熱体によって複数の加熱領域を個別に加熱制御する構成において、画像端部近傍における定着不良や光沢低下が発生してしまうことを防ぎつつ、より一層の省電力効果を得ることのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の像加熱装置は、
記録材の搬送方向に対して直交する長手方向に並ぶ複数の発熱体を有するヒータと、
前記複数の発熱体へ供給する電力を個々に制御することで、前記複数の発熱体により加熱される複数の加熱領域の温度を個々に制御可能な制御部と、
記録材に形成される画像の情報を取得する取得部と、
を備え、
前記ヒータの熱によって記録材に形成された画像を加熱する像加熱装置において、
前記制御部は、
記録材における画像を形成可能な領域を、前記複数の発熱体に対応して前記長手方向に区分けした領域であって、前記複数の発熱体のうちの一の発熱体とこれに隣接する発熱体との境界を含み、前記一の発熱体及び前記隣接する発熱体と前記長手方向に所定の範囲で重なる境界領域と、前記境界領域を除いた範囲において前記一の発熱体と重なる非境界領域と、に区分けし、
前記一の発熱体により加熱する加熱領域の制御目標温度を、前記画像の情報のうち前記境界領域に対応する情報に基づいた第1温度と、前記画像の情報のうち前記非境界領域に対応する情報に基づいた第2温度と、のうち最も高い温度とすることを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、
記録材に画像を形成する画像形成部と、
記録材に形成された画像を記録材に定着する定着部と、
を有する画像形成装置において、
前記定着部が本発明の像加熱装置であることを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明の像加熱装置の制御方法は、
記録材の搬送方向に対して直交する長手方向に並ぶ複数の発熱体を有するヒータと、
前記複数の発熱体へ供給する電力を個々に制御することで、前記複数の発熱体により加熱される複数の加熱領域の温度を個々に制御可能な制御部と、
記録材に形成される画像の情報を取得する取得部と、
を備え、
前記ヒータの熱によって記録材に形成された画像を加熱する像加熱装置の制御方法において、
記録材における画像を形成可能な領域を、前記複数の発熱体に対応して前記長手方向に区分けした領域であって、前記複数の発熱体のうちの一の発熱体とこれに隣接する発熱体
との境界を含み、前記一の発熱体及び前記隣接する発熱体と前記長手方向に所定の範囲で重なる境界領域と、前記境界領域を除いた範囲において前記一の発熱体と重なる非境界領域と、に区分けし、前記画像の情報のうち前記境界領域に対応する情報に基づいた第1温度と、前記画像の情報のうち前記非境界領域に対応する情報に基づいた第2温度と、を取得する第1のステップと、
前記一の発熱体により加熱する加熱領域の制御目標温度を、前記第1温度と前記第2温度とのうち最も高い温度に設定する第2のステップと、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、長手方向に並ぶ複数の発熱体によって複数の加熱領域を個別に加熱制御する構成において、画像端部近傍における定着不良や光沢低下が発生してしまうことを防ぎつつ、より一層の省電力効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図6】実施例1の制御温度決定方法を説明する概念図。
【
図8】実施例1のTR
1とTL
1の決定方法を説明する図。
【
図9】実施例1の制御温度決定のためのフローチャート。
【
図10】実施例1の電力測定時の画像を説明する図。
【
図11】実施例1のヒータ構成の他の態様を示す図。
【
図13】実施例2の画像情報Rを詳細に説明する図。
【
図15】実施例2の電力測定時の画像を説明する図。
【
図16】実施例2の制御温度の決定方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0012】
[実施例1]
1.画像形成装置の構成
図1は、本発明の実施例に係る電子写真方式の画像形成装置の例示的な構成図である。本発明が適用可能な画像形成装置としては、電子写真方式や静電記録方式を利用した複写機、プリンタなどが挙げられ、ここではレーザプリンタに適用した場合について説明する。
【0013】
画像形成装置100は、ビデオコントローラ120と制御部113を備える。ビデオコントローラ120は、記録材に形成される画像の情報を取得する取得部として、パーソナ
ルコンピュータ等の外部装置から送信される画像情報及びプリント指示を受信して処理するものである。制御部113は、ビデオコントローラ120と接続されており、ビデオコントローラ120からの指示に応じて画像形成装置100を構成する各部を制御するものである。ビデオコントローラ120が外部装置からプリント指示を受けると、以下の動作で画像形成が実行される。
【0014】
画像形成装置100は、記録材Pを給送ローラ102で給送して、中間転写体103に向けて搬送する。感光ドラム104は、図示しない駆動モータの動力によって所定の速度で反時計回り方向に回転駆動され、その回転過程で一次帯電器105によって一様に帯電処理される。画像信号に対応して変調されたレーザ光がレーザビームスキャナ106から出力され、感光ドラム104上を選択的に走査露光して静電潜像を形成する。107は現像器であり、静電潜像に現像剤である粉体トナーを付着させてトナー像(現像剤像)として可視像化する。感光ドラム104上に形成されたトナー像は、感光ドラム104と接触して回転する中間転写体103上に一次転写される。
【0015】
ここで、感光ドラム104、一次帯電器105、レーザビームスキャナ106、現像器107は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色分がそれぞれ配置されている。4色分のトナー像が同じ手順で順次中間転写体103上に重ねて転写される。中間転写体103上に転写されたトナー像は、中間転写体103と転写ローラ108で形成される二次転写部において、転写ローラ108に印加された転写バイアスにより記録材P上に二次転写される。上述した記録材Pへの未定着画像の形成にかかわる構成が本発明における画像形成部に対応する。その後、定着部(像加熱部)としての定着装置(像加熱装置)200が記録材Pを加熱及び加圧することによりトナー像が定着され、画像形成物として機外へ排出される。
【0016】
本実施例の画像形成装置100は、複数の記録材サイズに対応しており、給紙カセット11にセットされた種々のサイズの記録材に画像をプリントすることができる。記録材の種類としては、例えば、Letter紙(約216mm×279mm)、Legal紙(約216mm×356mm)、A4紙(210mm×297mm)、Executive紙(約184mm×267mm)が挙げられる。また、B5紙(182mm×257mm)、A5紙(148mm×210mm)にも対応している。さらに、DL封筒(110mm×220mm)、COM10封筒(約105mm×241mm)を含む、不定型紙をプリントできる。本実施例の画像形成装置100は、基本的に記録材を縦送りする(記録材の長辺が搬送方向と平行になるように搬送する)レーザプリンタである。装置が対応している定型の記録材の幅(カタログ上の対応記録材の幅)のうち最も大きな(幅が大きな)サイズは、Letter紙及び、Legal紙の約216mm幅である。
【0017】
制御部113は、記録材Pの搬送路上の、搬送センサ114、レジストセンサ115、定着前センサ116、定着排紙センサ117によって、記録材Pの搬送状況を管理する。また、制御部113は、定着装置200の温度制御プログラムおよび温度制御テーブルを記憶する記憶部を有する。制御部113は、後述する方法により、ビデオコントローラ120から受信した画像情報に基づいて、定着装置200の温度制御を行う。商用の交流電源401に接続されたヒータ駆動手段としての制御回路400は、定着装置200への電力供給を行う。
【0018】
2.定着装置(像加熱装置)の構成
図2は、本実施例の定着装置200の模式的断面図である。定着装置200は、エンドレスベルトとしての定着フィルム202と、定着フィルム202の内面に接触するヒータ300と、定着フィルム202を介してヒータ300と共に定着ニップ部Nを形成する加圧ローラ208と、金属ステー204と、を有する。
【0019】
定着フィルム202は、筒状に形成された可撓性を有する複層耐熱フィルムであり、厚みが50~100μm程度のポリイミド等の耐熱樹脂、または厚みが20~50μm程度のステンレス等の金属を基層として用いることができる。また、定着フィルム202の表面にはトナーの付着防止や記録材Pとの分離性を確保するための離型層が設けられている。離型層は、厚みが10~50μm程度のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等の離型性に優れた耐熱樹脂である。更に、カラー画像を形成する装置に用いる定着フィルムでは、画質向上のため、基層と離型層の間に、弾性層として、厚みが100~400μm程度、熱伝導率が0.2~3.0W/m・K程度のシリコーンゴム等の耐熱ゴムを設けても良い。本実施例では、熱応答性や画質、耐久性等の観点から、基層として厚み60μmのポリイミド、弾性層として厚み300μm、熱伝導率1.6W/m・Kのシリコーンゴム、離型層として厚み30μmのPFAを用いている。
【0020】
加圧ローラ208は、鉄やアルミニウム等の材質の芯金209と、シリコーンゴム等の材質の弾性層210を有する。ヒータ300は、耐熱樹脂製のヒータ保持部材201に保持されており、定着フィルム202を加熱する。ヒータ保持部材201は、定着フィルム202の回転を案内するガイド機能も有している。金属ステー204は、不図示の付勢部材等から加圧力を受けて、ヒータ保持部材201を加圧ローラ208に向けて付勢する。加圧ローラ208は、モータ30から動力を受けて矢印R1方向に回転する。加圧ローラ208が回転することによって、定着フィルム202が従動して矢印R2方向に回転する。定着ニップ部Nにおいて記録材Pを挟持搬送しつつ定着フィルム202の熱を与えることで、記録材P上の未定着トナー像は定着処理される。
【0021】
ヒータ300は、セラミック製の基板305上に設けられた発熱体としての発熱抵抗体が通電によって発熱するヒータである。ヒータ300は、定着フィルム202の内面に接触する表面保護層308と、基板305の表面保護層308が設けられた側(以下、摺動面側と称する)とは反対側(以下、裏面側と称する)に設けられた表面保護層307を有する。ヒータ300の裏面側には給電用の電極(ここでは代表として電極E4を示してある)が設けられている。C4は電極E4に接触する電気接点であり、電気接点から電極に給電を行っている。ヒータ300の詳細は後述する。また、ヒータ300の異常発熱により作動してヒータ300に供給する電力を遮断するサーモスイッチや温度ヒューズ等の安全素子212が、ヒータ300の裏面側においてヒータ300に直接、若しくは、ヒータ保持部材201を介して間接的に当接している。
【0022】
3.ヒータの構成
図3は、実施例1のヒータ300の構成図を示している。
図3(a)には、
図3(b)に示す搬送基準位置X付近における断面図を示してある。搬送基準位置Xは、記録材Pを搬送する際の基準位置として定義する。本実施例では、記録材Pの中央部が、搬送基準位置Xを通過するように搬送される。本実施例の画像形成装置では、記録材Pの搬送方向に直交する幅方向における中央部が、搬送基準位置Xを通過するように記録材が搬送される。ヒータ300は、概略、基板305の一方の面(裏面)に2つの層(裏面層1、2)、他方の面(摺動面)にも2つの層(摺動面層1、2)がそれぞれ形成された5層構造を有する。
【0023】
ヒータ300は、基板305の裏面層側の面上にヒータ300の長手方向に沿って設けられている第1の導電体301(301a、301b)を有する。また、ヒータ300は、基板305上に第1の導電体301とヒータ300の短手方向(長手方向と直交する方向)の異なる位置でヒータ300の長手方向に沿って設けられている第2の導電体303(搬送基準位置X付近では303-4)を有する。第1の導電体301は、記録材Pの搬
送方向の上流側に配置された導電体301aと、下流側に配置された導電体301bに分離されている。更に、ヒータ300は、第1の導電体301と第2の導電体303の間に設けられており、第1の導電体301と第2の導電体303を介して供給する電力により発熱する発熱抵抗体302を有する。
【0024】
発熱抵抗体302は、本実施例では記録材Pの搬送方向の上流側に配置された発熱抵抗体302a(搬送基準位置X付近では302a-4)と、下流側に配置された発熱抵抗体302b(搬送基準位置X付近では302b-4)に分離されている。ヒータ300の裏面層2には、発熱抵抗体302、第1の導電体301、第2の導電体303(搬送基準位置X付近では303-4)を覆う絶縁性(本実施例ではガラス)の表面保護層307が、電極部(搬送基準位置X付近ではE4)を避けて設けられている。
【0025】
図3(b)には、ヒータ300の各層の平面図を示してある。ヒータ300の裏面層1には、第1の導電体301と第2の導電体303と発熱抵抗体302の組からなる発熱ブロックがヒータ300の長手方向に複数設けられている。本実施例のヒータ300は、ヒータ300の長手方向に、合計7つの発熱ブロックHB
1~HB
7を有する。
【0026】
発熱ブロックHB1~HB7は、ヒータ300の短手方向に対称に形成された、発熱抵抗体302a-1~302a-7及び発熱抵抗体302b-1~302b-7によって、それぞれ構成されている。第1の導電体301は、発熱抵抗体(302a-1~302a-7)と接続する導電体301aと、発熱抵抗体(302b-1~302b-7)と接続する導電体301bによって構成されている。同様に、第2の導電体303は、7つの発熱ブロックHB1~HB7に対応するため、導電体303-1~303-7の7本に分割されている。
【0027】
本実施例では、発熱ブロックHB4は110mm幅であり、DL封筒、COM10封筒用のブロックである。同様に、発熱ブロックHB3~HB5は148mm幅でありA5用、発熱ブロックHB2~HB6は182mm幅でありB5用、発熱ブロックHB1~HB7は220mm幅でありLetter、Legal、A4用である。このように、7つの発熱ブロックHB1~HB7は本実施例の画像形成装置100が対応する記録材サイズを基準に分けている。
【0028】
電極E1~E7、E8-1、及びE8-2は、後述するヒータ300の制御回路400から電力を供給するために用いる電気接点C1~C7、C8-1、C8-2と接続するために用いる。電極E1~E7はそれぞれ、導電体303-1~303-7を介して、発熱ブロックHB1~HB7に電力供給するために用いる電極である。電極E8-1、及びE8-2は、導電体301a、及び導電体301bを介して、7つの発熱ブロックHB1~HB7に電力給電するために用いる共通の電気接点と接続するために用いる電極である。
本実施例では長手方向の両端に電極E8-1、及びE8-2を設けているが、例えば電極E8-1のみを片側に設ける構成(即ち、電極E8-2を設けない構成)でも良いし、記録材搬送方向の上下流で別々の電極に分けて設けても良い。
【0029】
ヒータ300の裏面層2の表面保護層307は、電極E1~E7、E8-1、及びE8-2が露出するように形成されている。これにより、ヒータ300の裏面層側から、各電極に電気接点C1~C7、C8-1、及びC8-2を接続可能な構成となっており、ヒータ300は、裏面層側から電力供給可能な構成となっている。また、発熱ブロックのうちの少なくとも一つの発熱ブロックに供給する電力と、他の前記発熱ブロックに供給する電力を独立に制御可能な構成となっている。
【0030】
ヒータ300の摺動面(定着フィルムと接触する側の面)側の摺動面層1には、ヒータ
300の発熱ブロックHB1~HB7ごとの温度を検知するため、サーミスタT1-1~T1-4、及びサーミスタT2-5~T2-7が設置されている。サーミスタT1-1~T1-4、及びサーミスタT2-5~T2-7は、PTC特性、若しくはNTC特性(本実施例ではNTC特性)を有した材料を基板上に薄く形成したものである。発熱ブロックHB1~HB7の全てにサーミスタを有しているため、サーミスタの抵抗値を検出することにより、全ての発熱ブロックの温度を検知することができる。
【0031】
4つのサーミスタT1-1~T1-4に通電するために、サーミスタの抵抗値検出用の導電体ET1-1~ET1-4と、サーミスタの共通導電体EG1が形成されている。これら導電体とサーミスタT1-1~T1-4との組によって、サーミスタブロックTB1を形成している。同様に、3つのサーミスタT2-5~T2-7に通電するために、サーミスタの抵抗値検出用の導電体ET2-5~ET2-7と、サーミスタの共通導電体EG2が形成されている。これら導電体とサーミスタT2-5~T2-7との組によって、サーミスタブロックTB2を形成している。
【0032】
ヒータ300の摺動面(定着フィルムと接触する面)側の摺動面層2には、摺動性のある表面保護層308(本実施例ではガラス)を有する。表面保護層308は、サーミスタの抵抗値検出用の導電体ET1-1~ET1-4、ET2-5~ET2-7、及びサーミスタの共通導電体EG1、EG2に電気接点を設けるため、ヒータ300の両端部を避けて形成される。表面保護層308は、ヒータ300のフィルム202との対向面において両端部を除いた、少なくともフィルム202と摺動する領域に設けてある。
【0033】
図3(c)に示すように、ヒータ保持部材201におけるヒータ300との対向面には、電極E1~E7、E8-1、及びE8-2と、電気接点C1~C7、C8-1、及びC8-2を接続するための穴が設けられている。ステー204とヒータ保持部材201の間には、前述した、安全素子212、電気接点C1~C7、C8-1、及びC8-2が設けられている。電極E1~E7、E8-1及びE8-2に接触する電気接点C1~C7、C8-1、及びC8-2は、バネによる付勢や溶接等の手法によって、それぞれヒータの電極部と電気的に接続されている。各電気接点は、ステー204とヒータ保持部材201の間に設けられたケーブルや薄い金属板等の導電材料を介して、後述するヒータ300の制御回路400と接続している。また、サーミスタの抵抗値検出用の導電体ET1-1~ET1-4、ET2-5~ET2-7、及びサーミスタの共通導電体EG1、EG2に設けられた電気接点も、後述する制御回路400と接続されている。
【0034】
4.ヒータ制御回路の構成
図4は、実施例1のヒータ300の制御回路400の回路図を示す。401は、画像形成装置100に接続される商用の交流電源である。ヒータ300の電力制御は、トライアック411~トライアック417の通電/遮断により行われる。トライアック411~417は、それぞれ、CPU420からのFUSER1~FUSER7信号に従って動作する。トライアック411~417の駆動回路は省略して示してある。ヒータ300の制御回路400は、7つのトライアック411~417によって、7つの発熱ブロックHB
1~HB
7を独立制御可能な回路構成となっている。ゼロクロス検知部421は、交流電源401のゼロクロスを検知する回路であり、CPU420にZEROX信号を出力している。ZEROX信号は、トライアック411~417の位相制御や波数制御のタイミングの検出等に用いている。
【0035】
ヒータ300の温度検知方法について説明する。サーミスタブロックTB1のサ-ミスタT1-1~T1-4によって検知される温度は、サ-ミスタT1-1~T1-4と抵抗451~454との分圧が、Th1-1~Th1-4信号としてCPU420で検知されている。同様に、サーミスタブロックTB2のサ-ミスタT2-5~T2-7によって検
知される温度は、サ-ミスタT2-5~T2-7と抵抗465~467との分圧が、Th2-5~Th2-7信号としてCPU420で検知されている。CPU420の内部処理では、各発熱ブロック(が加熱する各加熱領域)の制御目標温度と、サーミスタの現在の検知温度との差分に基づき、供給するべき電力を算出する。例えばPI制御により供給するべき電力の算出を行う。更に供給する電力に対応した位相角(位相制御)や、波数(波数制御)の制御レベルに換算し、その制御条件によりトライアック411~417を制御している。
【0036】
リレー430、リレー440は、故障などによりヒータ300が過昇温した場合、ヒータ300への電力遮断手段として用いている。リレー430、リレー440の回路動作を説明する。RLON信号がHigh状態になると、トランジスタ433がON状態になり、電源電圧Vccからリレー430の2次側コイルに通電され、リレー430の1次側接点はON状態になる。RLON信号がLow状態になると、トランジスタ433がOFF状態になり、電源電圧Vccからリレー430の2次側コイルに流れる電流は遮断され、リレー430の1次側接点はOFF状態になる。同様に、RLON信号がHigh状態になると、トランジスタ443がON状態になり、電源電圧Vccからリレー440の2次側コイルに通電され、リレー440の1次側接点はON状態になる。RLON信号がLow状態になると、トランジスタ443がOFF状態になり、電源電圧Vccからリレー440の2次側コイルに流れる電流は遮断され、リレー440の1次側接点はOFF状態になる。
【0037】
リレー430、リレー440を用いた安全回路の動作について説明する。サーミスタTh1-1~Th1-4による検知温度の何れか1つが、それぞれ設定された所定値を超えた場合、比較部431はラッチ部432を動作させ、ラッチ部432はRLOFF1信号をLow状態でラッチする。RLOFF1信号がLow状態になると、CPU420がRLON信号をHigh状態にしても、トランジスタ433がOFF状態で保たれるため、リレー430はOFF状態(安全な状態)で保つことができる。尚、ラッチ部432は非ラッチ状態において、RLOFF1信号をオープン状態の出力にしている。同様に、サーミスタTh2-5~Th2-7による検知温度の何れか1つが、それぞれ設定された所定値を超えた場合、比較部441はラッチ部442を動作させ、ラッチ部442はRLOFF2信号をLow状態でラッチする。RLOFF2信号がLow状態になると、CPU420がRLON信号をHigh状態にしても、トランジスタ443がOFF状態で保たれるため、リレー440はOFF状態(安全な状態)で保つことができる。同様に、ラッチ部442は非ラッチ状態において、RLOFF2信号をオープン状態の出力にしている。
【0038】
5.画像情報
ホストコンピュータ等の外部装置からの画像データは画像形成装置のビデオコントローラ120で受信され、画像処理が行われる。なお、本実施例の画像形成装置の画素数は600dpiであり、ビデオコントローラ120はそれに応じたビットマップデータ(CMYK各色の画像濃度データ)を作成する。ビデオコントローラ120は、画像処理で得られた3種類の画像情報、すなわち、後述する画像情報A、画像情報B、画像情報Cを制御部113へ送信する。
画像情報Aとは発熱ブロックの境界位置近傍を除く領域での画像濃度に係る画像情報であり、画像情報Bとは発熱ブロックの境界位置近傍での画像濃度に係る画像情報であり、画像情報Cとは発熱ブロックの境界位置近傍での画像の位置に係る画像情報である。
制御部113は、これらの画像情報A、画像情報B、画像情報Cに基づき、ヒータ300の7つの発熱ブロックHB1~HB7(表記を一般化するとHBi、i=1~7)への電力供給を個々に制御する。
【0039】
画像情報A、画像情報B、画像情報Cに関して詳細に説明する。
(画像情報A)
ビデオコントローラ120は、ホストコンピュータから受け取るCMYK画像データから得られる各色の画像濃度を1mmのメッシュのサイズで解析し、1mmのメッシュごとに、トナー量に変換したトナー量換算値を算出する。
図5に示すように、A
1~A
7(表記を一般化するとA
i、i=1~7)の領域内で算出されたトナー量換算最大値を総称して画像情報Aという。A
iは、記録材の画像形成可能領域(画像部分と非画像部分とからなる画像領域)を、各発熱ブロックHB
iに対応して長手方向に区分けした領域であって、後述する境界領域を除いた範囲において各発熱ブロックHB
iと重なる領域(非境界領域)である。A
iは、長手方向において各発熱ブロックHB
iよりも若干狭い領域となっている。例として
図5のA
4に示したように、A
4の領域はHB
4の領域よりも長手方向の両端部を4mm狭くしている。他のA
4以外の領域に関しても、A
iの領域はHB
iの領域よりも長手方向の両端部を4mm狭くしている。このように長手方向の両端部を4mm狭くしたのは、発熱ブロックHB
iの境界位置近傍においての制御温度の違いによる温度勾配の影響を受けないよう考慮したためである。
【0040】
画像情報Aのトナー量換算最大値を算出する方法を説明する。CMYK画像データに変換された画像データから、ドット毎のC,M,Y,K各色の画像濃度であるd(C)、d(M)、d(Y)、d(K)が得られ、その合算値であるd(CMYK)を算出する。これを各領域(A1~A7)にある全ドットについて行い、これらをトナー量換算値に変換する。本実施例においては、発熱ブロックHBiの温度は1ページ内で変えずに一定の温度としている。そのため、画像情報Aiは各領域内で算出された1ページ内でのトナー量換算値の最大値である。
【0041】
ここで、ビデオコントローラ120内での画像情報は8ビット信号であり、トナー単色当たりの画像濃度d(C)、d(M)、d(Y)、d(K)は、最小濃度00h~最大濃度FFhの範囲で表わされる。また、これらの合算値であるd(CMYK)は、2バイトの8ビット信号である。d(CMYK)は複数のトナー色の合計値であり、トナー量換算値は100%を超える場合もある。
【0042】
(画像情報B)
図5に示すように、画像情報Bは、発熱ブロックHB
iの境界位置近傍、具体的には、発熱ブロックHB
iのうちの一の発熱ブロックHBとこれに隣接する発熱ブロックHBとの境界を含み、両ブロックと長手方向に所定の範囲で重なる境界領域の情報である。この境界領域は、A
iの領域とは重なり合わずに設けられている。この境界領域内で算出されたトナー量換算最大値を総称して画像情報Bという。画像情報Bのトナー量換算最大値を算出する方法は、上述した画像情報Aの算出方法と同様である。
【0043】
図5に示すように、発熱ブロックHB
iにとって右側の画像情報BをBR
i(i=1~7)、左側の画像情報BをBL
i(i=1~7)としている。BL
i+1とBR
iとは全く同じ情報であるが、わかりやすくするために、発熱ブロックHB
iにとって右側の画像情報Bを指すときはBR
i、左側の画像情報Bを指すときはBL
i+1、として名称を使い分けて説明する。
【0044】
(画像情報C)
画像情報Cは、画像情報Bと同じ境界領域における画像の端部位置、具体的には、非境界領域から境界領域に含まれる画像部分までの長手方向の距離を表すものである。複数の発熱ブロックHBに対応して複数形成される境界領域のうち、長手方向の一番端に形成される境界領域(BL
1、BR
7)は、隣接する非境界領域がそれぞれ1つであり(A
1、
A
7)、画像情報Cは1つとなる。それ以外の境界領域(BL
2~BL
7、BR
1~BR
6)は、長手方向の一方側と他方側にそれぞれ非画像領域が隣接するため、画像情報Cは
2つとなる。
図5では、画像情報Cの説明に使うものとして代表的にBL
1、BR
3(BL
4)、BR
4(BL
5)、BR
7を拡大して表示してある。
【0045】
図5に示すように、BL
1の右側境界部からの画像距離をCL
1、BR
3の左側境界部からの画像距離をCR
3、BL
4の左側境界部からの画像距離をCL
4、BR
7の境界部からの画像距離をCR
7というように、ビデオコントローラ120は画像距離を算出する。
図5で描かれていない他の領域についても同様の方法で画像距離を画像情報Cとして算出する。画像が領域内に複数存在する場合においても、
図5のCR
4やCL
5に示すように、境界部から最も近い画像の距離を画像情報Cとする。
【0046】
本実施例においては、発熱ブロックHBiの温度は1ページ内で変えずに一定の温度としている。そのため、画像情報CRi、画像情報CLiは1ページ内での最小距離である。
【0047】
6.制御温度決定方法
制御部113が、画像情報A、画像情報B、画像情報Cに基づき、7つの発熱ブロックHB
iの制御温度T
i(i=1~7)を決定する方法について説明する。制御温度T
iが決定されるまでの概念図を
図6に示す。制御温度T
iは3種類の要求温度(TA
i、TR
i、TL
i)の最大温度が設定される。
【0048】
(TA
iの決定方法)
TA
iは、発熱ブロックHB
iの境界近傍以外の定着性を確保するために必要な温度(第2温度)である。
図6に示すように、TA
iは画像情報A
iから決められる。
図7を用いて、TA
iについて説明する。
図7(a)は
図5より画像情報Aに関わる部分を抜粋した図である。
図7(b)は画像情報A
iとTA
iの関係を示すグラフである。画像情報A
iは
図7(a)に示す領域におけるトナー量換算最大値であり、本実施例ではこの値が大きいほど線形に温度を高くする必要がある。その様子を表したのが
図7(b)である。
本実施例の画像形成装置では記録材P上のトナー量を全ベタ画像で1.15mg/cm
2(トナー量換算値の値で230%相当)が上限となるように調整されている。なお、本実施例において、記録材P上の画像濃度が高く、トナー量が多くなるほど、トナーの溶融に必要な熱量が大きくなるため、制御温度を高くする必要があった。
図7(b)に示す通り、本実施例では、A
i=230%の場合にはHB
iの温度を210deg.にしなければならず、A
i=115%の場合にはHB
iの温度は180deg.が必要となる。
【0049】
(TR
i、TL
iの決定方法)
TR
iは、発熱ブロックHB
iの右側境界近傍の定着性を確保するために必要な温度(第1温度)である。
図6に示すように、TR
iは画像情報BR
iと画像情報CR
iから決められる。
図8を用いて、TR
iについて説明する。
図8(a)は発熱ブロックHB
iと発熱ブロックHB
i+1の境界近傍の画像情報である画像情報B、画像情報Cを説明する図である。画像情報B、画像情報Cは
図5で説明した内容と同じである。画像情報Cは長手方向に8mmの領域における画像情報であるが、説明のため、画像情報Cは長手方向に特に拡大されて表示されている。
図8(a)では画像が4つあるが、境界部から最も近い画像の距離を画像情報Cとして扱うので、BR
iの左側境界部からの画像距離をCR
i、BL
i+1(BR
i)の右側境界部からの画像距離をCL
i+1とする。
【0050】
図8(b)は画像情報BR
i、および、画像情報CR
iとTR
iの関係を示すグラフである。このグラフの横軸の8mmと、
図8(a)で示した画像情報Cの長手方向8mmは同じ縮尺で描かれている。画像情報BR
iは
図8(a)に示す領域におけるトナー量換算
最大値であり、本実施例ではこの値が大きいほど、TR
iの温度を高くする必要がある。
図8(b)ではBR
i=230%、150%、80%の場合を示しており、CR
i=0mmの時、すなわち画像がBR
iの領域の左端まで存在する時は、それぞれ、TR
iは210deg.、190deg.、170deg.となる。
図8(b)ではBR
iを3段階しか示していないが、実際は必要とするBR
iの数(本実施例では1%ごと230段階)だけテーブル値として保存されている。
【0051】
また、
図8(b)の横軸の値である画像情報CR
iが大きくなるほど、すなわち画像が発熱ブロックHB
iの領域から遠ざかるほど、TR
iは温度を下げることができる。この理由は、隣接するゾーンである発熱ブロックHB
i+1において、左側境界近傍の定着性を確保するために必要な温度TL
i+1が設定されるからである。
図8(c)は画像情報BL
i+1、および、画像情報CL
i+1とTL
i+1の関係を示すグラフであり、これはちょうど
図8(b)を発熱ブロックHB
iとHB
i+1との境界で対称にした形となっている。このように隣接した発熱ブロックから供給される熱量も考慮された上で、
図8(b)のグラフは決められている。なお、HB
1の左端とHB
7の右端に関しては隣接する発熱ブロックがないので、
図8(b)に示す温度よりも高い温度を設定したテーブル値となっている。
以上説明したように、制御部113は、画像情報BR
iと画像情報CR
iを元に、
図8(b)の関係からTR
iを決定する。また、TR
iとは別の第1温度としてのTL
iに関しても同様に、画像情報BL
iと画像情報CL
iを元に決定する。
【0052】
(制御温度の決定フロー)
図9は、発熱ブロックHB
iの制御温度T
iを決定するフローを示している。制御部113がビデオコントローラ120から画像情報を受信し制御温度の計算をスタートさせると(S601)、まず、第1のステップとして、S602で画像情報A
iから
図7(b)の関係を用いてTA
iを決定(取得)する。制御温度を決める発熱ブロックがHB
2~HB
6であった場合(S603・Yes)、第1のステップとして、S604で画像情報BR
iと画像情報CR
iから
図8(b)の関係を用いてTR
iを決定(取得)する。また、同様に、第1のステップとして、S605で画像情報BL
iと画像情報CL
iからTL
iを決定(取得)する。第2のステップとして、S606でTA
i、TR
i、TL
iを比較し、最も高い温度をHB
iの制御温度T
iとして決定する。
【0053】
また、制御温度を決める発熱ブロックがHB
1であった場合(S603・Yes、S607・Yes)、第1のステップとして、S608で画像情報BL
1と画像情報CL
1から
図8(c)の関係を用いてTL
1を決定(取得)する。第2のステップとして、S609でTA
1、TL
1を比較し、高い方の温度をHB
1の制御温度T
1として決定する。発熱ブロックがHB
1であった場合も(S607・No)、フローは同様であるので説明は省略する。上述のフローによってHB
1~HB
7の制御温度T
1~T
7が全て決定され、制御部113は計算を終了する(S612)。
【0054】
7.本実施例の効果
本実施例と比較例1の消費電力の比較を行った。画像形成装置100を用いて以下の条件で消費電力の測定を行った。本実施例における画像形成装置100のプロセススピードは210mm/sであり、Letterサイズでは連続プリントで40ppm(page
per minutes)のスループットを出すことができる。使用した記録材は、HP社のMultipurpose(坪量75g/m
2、Letterサイズ)である。画像は
図10に示すような230%の画像を、長手方向にHB
4の領域を両端1mmだけはみ出させて、先端と後端の余白である5mmを除いて搬送方向に一様に描かれている。上記の条件で連続100枚のプリントを行った際の定着装置200で消費される平均電力を比較することで、本実施例の比較例1に対する省電力効果を測定した。表1に比較結果を
示す。
【0055】
【0056】
比較例1は本発明を用いなかった場合であり、HB
3とHB
5が画像部と認識される。そのため、HB
4と同じ温度(210deg.)に制御温度が設定される。一方、本実施例においては、HB
3の温度はBR
3=230%、CR
3=3mmの画像情報と、前述した
図8(b)の関係から180deg.に制御温度が設定される。HB
5も同様に180deg.に制御温度が設定される。なお、本実施例においては非画像加熱部の温度、すなわち、HB
1、HB
2、HB
6、HB
7の温度は150deg.に設定されている。また、本実施例においては、発熱ブロックHB
iの温度は1ページ内で変えずに一定の温度としている。そのため、画像情報A
i、画像情報B
iは各領域内で算出された1ページ内でのトナー量換算値の最大値であり、画像情報CR
i、画像情報CL
iは1ページ内での最小距離である。
【0057】
以上の条件で行った電力測定の結果、本実施例の定着装置200で消費される平均電力は560Wであった。一方、比較例1においては、該平均電力は587Wあった。本実施例は比較例1に比べて、HB3とHB5の制御温度を下げられるため、27Wの省電力効果があった。
【0058】
以上のように、画像情報に応じて長手方向に複数設けられた発熱ブロックの加熱条件を調整する画像形成装置において、本実施例では省電力効果を向上させることが可能である。
【0059】
本実施例において、7つの発熱ブロックは画像形成装置100が対応する記録材サイズを基準に分けられているとしたが、それ以外の分け方であってもかまわない。また、発熱ブロックの数は長手方向に7つとして説明したが、発熱ブロックの数は長手方向に2つ以上あれば本実施例の設定は適用可能である。
本実施例では、発熱ブロックHB
iの温度は1ページ内で一定の温度としたが、1ページ内で随時画像情報を更新して随時制御温度を変更することも可能である。また、画像情報を1mmのメッシュサイズを単位として得たが、必要に応じてメッシュサイズを変更しても構わない。
本実施例では、記録材Pの中央部が、搬送基準位置Xを通過するように搬送されるように設定したが、
図11に示すように記録材Pの片側の端部が、搬送基準位置Xを通過するように設定しても良い。
【0060】
[実施例2]
実施例2における、画像形成装置、像加熱装置、ヒータ、ヒータ制御回路の構成は、実施例1と同様のため、説明を省略する。実施例2は、実施例1とは異なる方法で発熱ブロックHBiの制御温度Tiを決定する。実施例1では画像情報A、画像情報B、画像情報Cを用いて各発熱ブロックHBiの制御温度Tiを決定している。この手法では、より詳細な情報(例えば、実施例1の1mmのメッシュサイズを更に細かくする)を得たい場合において、画像の情報量が多すぎてビデオコントローラ120の処理が間に合わない可能性がある。
【0061】
(実施例2の画像情報と制御温度)
一般的に出力される画像は、
図12に示すように、記録材Pの一定範囲内に画像が描かれていることが多い。
図12では、長手中央部に位置するHB
3、HB
4、HB
5が、各加熱領域のうちその加熱範囲が記録材の画像と重なる加熱領域を加熱する画像加熱部となる。また、長手端部に位置するHB
1、HB
2、HB
6、HB
7が、各加熱領域のうちその加熱範囲が記録材の画像と重ならない加熱領域を加熱する非画像加熱部となる。
また、一般的に出力される画像においては、テキストやグラフィックなどの画像属性が1ページ内で混在していないことが多い。このような場合は、発熱ブロックごとにトナー量換算最大値が大きく異なることはあまりないため、画像加熱部内で制御温度差が大きく開くことはあまりない。以上から、画像情報A、画像情報B、画像情報Cを用いて画像加熱部の制御温度を決めることで得られる省電力効果よりも、非画像加熱部の制御温度を大きく下げられることによる省電力効果が期待できるケースがある。
【0062】
そこで、実施例2では非画像加熱部の制御温度をより正確に決めるために、それに関わる画像情報Cの画像距離の分解能を細かくしている。実施例1では1mmの分解能であったものを、実施例2では0.1mmとしている。それに伴い、画像加熱部の制御温度を決めるための情報量を以下のように減らしている。実施例1では画像情報Aは2バイトの8ビット信号であったが、実施例2では1バイトの3ビット信号として、表2のようにトナー量換算最大値が16段階で表される。また、画像加熱部の制御温度を決めるための画像情報B、画像情報Cは存在せず、画像加熱部の制御温度は画像情報Aによってのみ決められる。
【0063】
【0064】
図12に示すように、実施例2では画像情報R、画像情報Lを用いる。画像情報Rは1ページ内の画像の最右端位置の発熱ブロックHB
7右端からの距離であり、画像情報Lは1ページ内の画像の最左端位置の発熱ブロックHB
1左端からの距離である。
図12に示すように、実施例2では発熱ブロックHB
3から発熱ブロックHB
5の領域まで画像が描かれている。
【0065】
図13は、
図12のような画像を例に、画像情報Rにより発熱ブロックHB
6、HB
7の制御温度が決定されることを説明する図である。また、画像情報Lにより発熱ブロックHB
1、HB
2の制御温度が決定される。画像情報Rと同様であるので、これ以降の画像情報Lによる制御温度の決定の説明を省略する。
【0066】
図13(a)は、
図5より画像情報Bに関わる部分を抜粋した図である。
図13(b)と
図13(c)は、
図12の画像の右端付近を拡大して示している。
図13(b)は、画像の右端、すなわち画像情報RがHB
5とHB
6の境界位置近傍であるBR
5の領域になく画像加熱部HB
5の中に入っているケース(ケース1)である。また、
図13(c)は、画像の右端、すなわち画像情報RがHB
5とHB
6の境界位置近傍であるBR
5の領域にあるケース(ケース2)である。
【0067】
図13(b)のケース1の場合は、発熱ブロックHB
6、HB
7は非画像部温度として150deg.が制御温度として設定される。発熱ブロックHB
6の温度を下げることができるのは、画像がHB
5とHB
6の境界位置近傍になく、HB
6の温度が高くなくても画像の右端の定着性は確保されるためである。また、画像加熱部である発熱ブロックHB
3、HB
4、HB
5の温度は実施例1と同様に、画像情報A
3、A
4、A
5をもとに
図7
(b)の関係から決定される。ただし、前述したように画像情報Aの信号は実施例1よりも圧縮されている。ケース1の制御温度は
図14のケース1に示すような分布となる。
【0068】
図13(c)のケース2の場合は、発熱ブロックHB
7は非画像部温度として150deg.が制御温度として設定され、ケース1と同じである。一方、発熱ブロックHB
6の温度はHB
5との境界位置近傍の画像の右端の定着性を確保するために、実施例1と同様に、画像情報BL
6と画像情報CL
6をもとに
図7(b)の関係から決定される。ただし、前述したように画像情報CR
iの距離の分解能は実施例1よりも細かくなっている。ケース2の制御温度は
図14のケース2に示すような分布となる。ケース2は、HB
2とHB
6の制御温度が、HB
3やHB
6との境界位置近傍の画像の定着性を確保するためにケース1よりも高くなっている。
【0069】
(実施例2の効果)
以下、実施例2と比較例2、実施例1の消費電力の比較を行った。画像形成装置100を用いて実施例1と同様の条件で消費電力の測定を行った。実施例2の画像は
図15に示すような230%の画像と、185%の画像であり、先端と後端の余白は5mmを除いて搬送方向に一様に描かれている。上記の条件で連続100枚のプリントを行った際の定着装置200で消費される平均電力を比較することで、実施例2の比較例2や実施例1に対する省電力効果を測定した。表3に比較結果を示す。
【0070】
【0071】
比較例2では本発明を用いなかった場合であり、HB2とHB6が画像部と認識される。そのため、HB2はHB3と同じ温度(210deg.)、HB6はHB5と同じ温度(199deg.)に制御温度が設定される。
【0072】
図16(a)は、
図7(b)の関係と同じであり、実施例1と実施例2の画像加熱部において、画像情報A
iから制御温度が決まる様子を表している。実施例1では、A
5=185%として
図16(a)のように199deg.にHB
5の制御温度が設定される。一方で、実施例2では、前述の表2のようにデータを16段階としているため、A
5=195%として
図16(a)のように201deg.にHB
5の制御温度が設定される。
【0073】
図16(b)は、
図8(b)の関係と同じであり、実施例1と実施例2の画像加熱部と隣接する非画像加熱部において、画像情報CR
iから制御温度が決まる様子を表している。
図16(b)は代表的にCR
i=230%の様子だけを表している。実施例1では、実施例1の画像情報CR
iの距離の分解能は1mmであるので真の画像位置はCR
2=2.8mmであるが、CR
2=2mmとして扱われる。実施例1のHB
2の温度は、BR
2=185%、CR
2=2mmの画像情報と、
図16(b)の関係から198deg.に制御温度が設定される。一方で、実施例2のHB
2の温度は、BR
2=195%、CR
2=2.8mmの画像情報と、
図16(b)の関係から191deg.に制御温度が設定される。同様の方法で実施例1と実施例2のHB
6の制御温度も設定される。
【0074】
以上の条件で行った電力測定の結果、実施例2の定着装置200で消費される平均電力は609Wであった。一方、比較例2において該平均電力は632Wであり、比較例2に
おいて該平均電力は616Wであった。実施例2は比較例2や実施例1に比べて、HB5の温度が若干上がってしまったものの、HB2とHB6の制御温度を下げられるため省電力効果があった。
【0075】
以上のように、画像情報に応じて長手方向に複数設けられた発熱ブロックの加熱条件を調整する画像形成装置において、実施例2では省電力効果を向上させることが可能である。
【0076】
上記各実施例は、それぞれの構成を可能な限り互いに組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0077】
113…制御部、120…ビデオコントローラ(取得部)、300…ヒータ、305…基板、301(301a、301b)…導電体、303(303-1~303-7)…導電体、302(302a-1~302a-7、302b-1~302b-7)…発熱抵抗体、400…制御回路、200…定着装置(像加熱装置)、202…定着フィルム
【手続補正書】
【提出日】2022-11-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い板状の基板と、
前記基板に設けられており、前記基板の長手方向に沿って並んでいる、電力が供給されると発熱する独立制御可能な複数の発熱ブロックと、
を有する、ヒータにおいて、
前記基板の前記長手方向における一方の端部に最も近い発熱ブロックの前記長手方向における長さが、その他の発熱ブロックの前記長さよりも長いことを特徴とするヒータ。
【請求項2】
前記一方の端部とは反対側の他方の端部に近い発熱ブロックほど前記長さが短いことを特徴とする請求項1に記載のヒータ。
【請求項3】
前記複数の発熱ブロックは、夫々、前記長手方向に沿って設けられている発熱体と、前記長手方向に沿って設けられており前記発熱体と接触する第1の導電体及び第2の導電体と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のヒータ。
【請求項4】
前記第1の導電体は前記複数の発熱ブロックに亘って共通の導電体となっており、前記第2の導電体は個々の発熱ブロックで独立していることを特徴とする請求項3に記載のヒータ。
【請求項5】
前記第1の導電体用の電気接点が接触する電極は、前記長手方向において前記複数の発熱ブロックが設けられた領域外に設けられており、前記第2の導電体用の電気接点が接触する電極は、前記長手方向において各発熱ブロックが設けられた領域内に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のヒータ。
【請求項6】
前記複数の発熱ブロックの夫々には、前記基板の短手方向に沿って前記発熱体が複数並んでいることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載のヒータ。
【請求項7】
筒状のフィルムと、
前記フィルムの内部空間に配置されているヒータと、
前記フィルムの外周面に接触し、前記フィルムを介して前記ヒータと共にニップ部を形成するローラと、
を有し、前記ニップ部で記録材を挟持搬送しつつ記録材に形成された画像を加熱する像加熱装置において、
前記ヒータは、請求項1乃至6のいずれか一項に記載されたヒータであり、
前記像加熱装置は、記録材のサイズに拘わらず、記録材搬送方向と平行な記録材の一辺が搬送基準位置を通過するように記録材を搬送する装置であり、
前記一方の端部に最も近い発熱ブロックの前記一方の端部側の一辺が前記搬送基準位置に対応する位置となるように、前記ヒータが配置されていることを特徴とする像加熱装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のヒータは、
細長い板状の基板と、
前記基板に設けられており、前記基板の長手方向に沿って並んでいる、電力が供給されると発熱する独立制御可能な複数の発熱ブロックと、
を有する、ヒータにおいて、
前記基板の前記長手方向における一方の端部に最も近い発熱ブロックの前記長手方向における長さが、その他の発熱ブロックの前記長さよりも長いことを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明の像加熱装置は、
筒状のフィルムと、
前記フィルムの内部空間に配置されているヒータと、
前記フィルムの外周面に接触し、前記フィルムを介して前記ヒータと共にニップ部を形成するローラと、
を有し、前記ニップ部で記録材を挟持搬送しつつ記録材に形成された画像を加熱する像加熱装置において、
前記ヒータは、上記のヒータであり、
前記像加熱装置は、記録材のサイズに拘わらず、記録材搬送方向と平行な記録材の一辺が搬送基準位置を通過するように記録材を搬送する装置であり、
前記一方の端部に最も近い発熱ブロックの前記一方の端部側の一辺が前記搬送基準位置に対応する位置となるように、前記ヒータが配置されていることを特徴とする。