IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -充放電制御方法および充放電装置 図1
  • -充放電制御方法および充放電装置 図2
  • -充放電制御方法および充放電装置 図3
  • -充放電制御方法および充放電装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189912
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】充放電制御方法および充放電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20221215BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20221215BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20221215BHJP
   B60L 53/66 20190101ALI20221215BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 301B
B60L53/30
B60L53/14
B60L53/66
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168945
(22)【出願日】2022-10-21
(62)【分割の表示】P 2018202616の分割
【原出願日】2018-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼口 良輔
(57)【要約】
【課題】リレーの寿命に配慮しつつ、自動充放電動作の運転を妨げることなく、汎用性の高い充放電制御方法を提供する。
【解決手段】充放電装置を用いて電動車の充放電動作を行う充放電制御方法であって、現在時刻が予め設定された、充放電動作の運転時間帯に含まれるか否かを判定する第1ステップ(S1)と、充放電装置の制御線に介装されたリレーをオンさせて電動車にCAN通信を開始させる第2ステップ(S2)と、充放電装置のコネクタが電動車に接続されているか否かを判定する第3ステップ(S3)と、コネクタがロックされた状態であるか否かを判定する第4ステップ(S6)と、第3ステップでコネクタが電動車に接続されていると判定した場合(S3でYES)または第4ステップでコネクタがロックされた状態であると判定した場合(S6でYES)に、電動車の充放電を開始する第5ステップ(S4)とを含むことを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電装置を用いて電動車の充放電動作を行う充放電制御方法であって、
現在時刻が予め設定された、前記充放電装置による前記充放電動作の運転時間帯に含まれるか否かを判定する第1ステップと、
前記充放電装置のコネクタの接続状態を確認するために、前記運転時間帯において、前記充放電装置の制御線に介装されたリレーをオンさせて、前記電動車に前記充放電装置に対する通信を開始させる第2ステップと、
前記運転時間帯において、前記通信に基づいて、前記コネクタが前記電動車に接続されているか否かを判定する第3ステップと、
前記第3ステップの後の前記運転時間帯において、前記コネクタがロックされた状態であるか否かを判定する第4ステップと、
前記第3ステップで前記コネクタが前記電動車に接続されていると判定した場合、または前記第4ステップで前記コネクタがロックされた状態であると判定した場合に、前記電動車の充放電を開始する第5ステップと、を含み、
前記第3ステップで前記コネクタが前記電動車に接続されていると判定した場合で、かつ前記コネクタがロックされていない状態である場合、自動的に前記コネクタをロックする
ことを特徴とする充放電制御方法。
【請求項2】
前記第3ステップで前記コネクタが前記電動車に接続されていないと判定した場合に、前記電動車のユーザに対して通知を行うステップを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の充放電制御方法。
【請求項3】
電動車に対して充放電動作を行う充放電装置であって、
電力線、通信線、およびリレーが介装された制御線と、
前記電力線、前記通信線および前記制御線を前記電動車に接続するためのコネクタと、
前記電力線を介して前記電動車の充放電動作を行う電力変換部と、
前記通信線を介して前記電動車と相互に通信を行う通信部と、
前記制御線を介して前記電動車に制御指令を出力する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記充放電動作を行う運転時間帯を記憶する記憶部と、
現在時刻が前記運転時間帯に含まれるか否かを判定する第1判定部と、
前記コネクタの接続状態を確認するために、前記運転時間帯に前記リレーをオンさせて、前記電動車に前記通信を開始させるための前記制御指令を出力するシーケンス回路部と、
前記運転時間帯において、前記通信に基づいて、前記コネクタが前記電動車に接続されているか否かを判定する第2判定部と、
前記第2判定部による判定後の前記運転時間帯において、前記コネクタがロックされた状態であるか否かを判定する第3判定部と、
前記第2判定部で前記コネクタが前記電動車に接続されていると判定された場合、または前記第3判定部で前記コネクタがロックされた状態であると判定された場合に、前記電力変換部に前記充放電動作を開始させる充放電制御部と、を備え、
前記コネクタは、前記第2判定部で前記コネクタが前記電動車に接続されていると判定された場合で、かつロックされていない状態である場合、自動的にロックされる
ことを特徴とする充放電装置。
【請求項4】
通知部をさらに備え、
前記通知部は、前記第2判定部で前記コネクタが前記電動車に接続されていないと判定された場合に、前記第2判定部の制御下で前記電動車のユーザに対して通知を行う
ことを特徴とする請求項3に記載の充放電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電制御方法および充放電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の充放電装置としては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載の充放電装置は、電動車の充放電を行う充放電器と、ケーブル付きのコネクタとを備える。充放電器と電動車とは、コネクタを介して電力線、制御線および通信線が接続される。制御線にはリレーが介装されており、このリレーをオンさせることで通信線を介した相互のCAN通信が可能になる。
【0003】
特許文献1に記載の充放電装置は、コネクタが電動車に接続されていることを検出する接続検出器を備えているので、リレーをオンさせてCAN通信を行うことなく、コネクタの接続状態を確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5642226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の充放電装置は、制御線に含まれるコネクタ接続確認線に電圧が印加されていることを前提にしたものであるため、コネクタ接続確認線に電圧が印加されていない電動車の場合、接続検出器が機能しないという問題がある。すなわち、上記特許文献1に記載の充放電装置は、コネクタが電動車に接続されていないのか、接続されているのにコネクタ接続確認線に電圧が印加されていないのかを判別することができない。このため、上記特許文献1に記載の充放電装置は、汎用性が高いとはいえない。
【0006】
一方で、コネクタ接続確認線に電圧が印加されていない電動車の場合、充放電装置は、リレーをオンさせてCAN通信を行うことで、コネクタと電動車との接続状態を確認することができる。しかしながら、接続状態を確認するたびにリレーを動作させることになるので、例えば、数秒間に何度も接続状態を確認しようとするとリレーが劣化してしまう。このため、リレーの寿命の観点から、定期的な接続状態の確認を行うことができないという問題がある。
【0007】
また、手動で接続状態を設定できる充放電装置の場合、コネクタ接続確認線に電圧が印加されていない電動車であっても、リレーをオンさせることなく接続状態を確認することができる。しかしながら、この場合、必要な操作が増えて操作性が悪化するだけでなく、自動充放電動作の運転の妨げになるという問題がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、リレーの寿命に配慮しつつ、自動充放電動作の運転を妨げることなく、汎用性の高い充放電制御方法および充放電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る充放電制御方法は、
充放電装置を用いて電動車の充放電動作を行う充放電制御方法であって、
現在時刻が予め設定された、前記充放電装置による前記充放電動作の運転時間帯に含まれるか否かを判定する第1ステップと、
前記充放電装置のコネクタの接続状態を確認するために、前記運転時間帯において、前記充放電装置の制御線に介装されたリレーをオンさせて、前記電動車に前記充放電装置に対する通信を開始させる第2ステップと、
前記運転時間帯において、前記通信に基づいて、前記コネクタが前記電動車に接続されているか否かを判定する第3ステップと、
前記第3ステップの後の前記運転時間帯において、前記コネクタがロックされた状態であるか否かを判定する第4ステップと、
前記第3ステップで前記コネクタが前記電動車に接続されていると判定した場合、または前記第4ステップで前記コネクタがロックされた状態であると判定した場合に、前記電動車の充放電を開始する第5ステップと、を含み、
前記第3ステップで前記コネクタが前記電動車に接続されていると判定した場合で、かつ前記コネクタがロックされていない状態である場合、自動的に前記コネクタをロックすることを特徴とする。
【0010】
この構成では、コネクタが電動車に接続された状態であれば、コネクタがロックされた状態であるか否かにかかわらず、電動車の充放電を開始することができる。すなわち、この構成によれば、ユーザがコネクタをロックし忘れた場合であっても、コネクタが電動車に接続された状態であれば、自動的にロックされて電動車との電力の授受が可能となる。
【0011】
この構成によれば、第1~第5ステップまで人手を介することなく実行できるので、自動充放電動作の運転を妨げることがない。また、この構成によれば、制御線に含まれるコネクタ接続確認線に電圧が印加されていない電動車にも対応しているので、汎用性が高い。
【0012】
上記充放電制御方法において、
前記第3ステップで前記コネクタが前記電動車に接続されていないと判定した場合に、前記電動車のユーザに対して通知を行うステップを含むことが好ましい。
【0013】
この構成によれば、ユーザに、コネクタが電動車に接続されていないことを気付かせることができる。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る充放電装置は、
電動車に対して充放電動作を行う充放電装置であって、
電力線、通信線、およびリレーが介装された制御線と、
前記電力線、前記通信線および前記制御線を前記電動車に接続するためのコネクタと、
前記電力線を介して前記電動車の充放電動作を行う電力変換部と、
前記通信線を介して前記電動車と相互に通信を行う通信部と、
前記制御線を介して前記電動車に制御指令を出力する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記充放電動作を行う運転時間帯を記憶する記憶部と、
現在時刻が前記運転時間帯に含まれるか否かを判定する第1判定部と、
前記コネクタの接続状態を確認するために、前記運転時間帯に前記リレーをオンさせて、前記電動車に前記通信を開始させるための前記制御指令を出力するシーケンス回路部と、
前記運転時間帯において、前記通信に基づいて、前記コネクタが前記電動車に接続されているか否かを判定する第2判定部と、
前記第2判定部による判定後の前記運転時間帯において、前記コネクタがロックされた状態であるか否かを判定する第3判定部と、
前記第2判定部で前記コネクタが前記電動車に接続されていると判定された場合、または前記第3判定部で前記コネクタがロックされた状態であると判定された場合に、前記電力変換部に前記充放電動作を開始させる充放電制御部と、を備え、
前記コネクタは、前記第2判定部で前記コネクタが前記電動車に接続されていると判定された場合で、かつロックされていない状態である場合、自動的にロックされることを特徴とする。
【0015】
この構成では、コネクタが電動車に接続された状態であれば、コネクタがロックされた状態であるか否かにかかわらず、電力変換部に電動車の充放電動作を開始させることができる。すなわち、この構成によれば、ユーザがコネクタをロックし忘れた場合であっても、コネクタが電動車に接続された状態であれば、自動的にロックされて電動車との電力の授受が可能となる。
【0016】
この構成によれば、人手を介することなく電力変換部に充放電動作を開始させることができるので、自動充放電動作の運転を妨げることがない。また、この構成によれば、制御線に含まれるコネクタ接続確認線に電圧が印加されていない電動車に対しても自動充放電動作の運転を行うことができるので、汎用性が高い。
【0017】
上記充放電装置は、通知部をさらに備え、
前記通知部は、前記第2判定部で前記コネクタが前記電動車に接続されていないと判定された場合に、前記第2判定部の制御下で前記電動車のユーザに対して通知を行うことが好ましい。
【0018】
この構成によれば、ユーザに、コネクタが電動車に接続されていないことを気付かせることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、リレーの寿命に配慮しつつ、自動充放電動作の運転を妨げることなく、汎用性の高い充放電制御方法および充放電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る充放電装置のブロック図である。
図2】本発明の制御部の構成を示すブロック図である。
図3】本発明に係る充放電装置と電動車との接続関係を示す図である。
図4】本発明に係る充放電制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る充放電制御方法および充放電装置の実施形態について説明する。
【0022】
[充放電装置]
図1に、本発明の一実施形態に係る充放電装置100を示す。充放電装置100は、電気自動車、プラグインハイブリッド車等の電動車200に対して自動充放電運転を行う。充放電装置100は、本体10と、ケーブル付きコネクタ20と、電力線21(21a,21b)と、通信線22(22a,22b)と、リレーd1が介装された制御線23(23a~23e)とを備える。
【0023】
本体10は、電力変換部30と、通信部40と、制御部50と、通知部60とを備え、例えば屋外に設置される。なお、通知部60は、本体10から離れた場所に設置することができ、例えば、屋内に設置することができる。
【0024】
コネクタ20は、電力線21、通信線22および制御線23を電動車200に接続するよう構成されている。コネクタ20は、電動車200に接続された状態において、ロックされた状態とロックされていない状態とをとる。本体10には、手動で操作するロックボタンとロック解除ボタンとが設けられている(いずれも図示略)。コネクタ20が電動車200に接続された状態において、ロックボタンが操作されるとコネクタ20はロックされた状態になり、ロック解除ボタンが操作されるとコネクタ20はロックされていない状態(ロック解除された状態)になる。
【0025】
電力変換部30は、電力線21を介し、電動車200に対して充放電動作(充電動作および/または放電動作)を行うよう構成されている。電力変換部30は、例えば、双方向DC/DCコンバータからなる。
【0026】
通信部40は、通信線22を介して電動車200と相互に通信(本実施形態では、CAN通信)を行うよう構成されている。具体的には、制御部50の制御下でリレーd1がオンすると、通信部40は電動車200と相互のCAN通信が可能になる。通信部40が受信した電動車200に関する情報は、制御部50が共有する。
【0027】
制御部50は、例えば、マイコンおよび/または専用のICからなり、制御線23を介して電動車200に制御指令を出力するよう構成されている。制御部50は、図2に示すように、充放電制御部51と、シーケンス回路部52と、第1判定部53と、第2判定部54と、第3判定部55と、記憶部56とを含む。
【0028】
充放電制御部51は、電力変換部30の充放電動作を制御する。例えば、充放電制御部51は、所定の運転時間帯に自動で電力変換部30に充放電動作を開始させたり、電力変換部30の充電動作と放電動作とを切り替えたりする。運転時間帯は充放電装置100が自動充放電運転を行う時間帯であり、電動車200のユーザは充放電装置100において予め運転時間帯(例えば、開始時刻と終了時刻)を設定することができる。
【0029】
シーケンス回路部52は、電力変換部30に充放電動作を開始させる際に、電動車200に各種制御指令を出力するよう構成されている。シーケンス回路部52は、図3に示すように、リレーd1、リレーd2、フォトカプラj、電源(本実施形態では、12Vの電源)等を備える。シーケンス回路部52の動作については後述するが、一例を挙げると、シーケンス回路部52は、運転時間帯にリレーd1をオンさせて、電動車200にCAN通信を開始させるための制御指令を出力する。
【0030】
第1判定部53は、計時手段により現在時刻を計測し、現在時刻が運転時間帯に含まれるか否かを判定する。第2判定部54は、電動車200からのCAN通信に基づいて、コネクタ20が電動車200に接続された状態か否かを判定する。第3判定部55は、コネクタ20が電動車200にロックされた状態であるか否かを判定する。図2では、第1判定部53、第2判定部54および第3判定部55を別々に図示しているが、少なくとも1つの判定部が、第1判定部53、第2判定部54および第3判定部55のすべての機能を有していてもよい。
【0031】
第1判定部53は、運転時間帯ではない時も判定を行うが、第2判定部54および第3判定部55は、運転時間帯にのみ判定を行う。第2判定部54でコネクタ20が電動車200に接続されていると判定された場合、または第3判定部55でコネクタ20がロックされた状態であると判定された場合に、充放電制御部51は、電力変換部30に充放電動作を開始させる。
【0032】
記憶部56は、充放電装置100が自動充放電運転を行う運転時間帯を記憶する。本実施形態では、運転時間帯を1日で最大3つまで設定できる。このように、運転時間帯の数を制限することで、リレーd1が過度に動作するのを抑制することができる。また、記憶部56は、コネクタ20の現在の状態、すなわちコネクタ20がロックされた状態なのかロックされていない状態なのかを記憶する。
【0033】
再び図1を参照して、通知部60は、制御部50(具体的には、第2判定部54)でコネクタ20が電動車200に接続されていないと判定された場合に、電動車200のユーザに対して通知を行う。通知部60は、例えば、LEDおよび/またはブザー等の視覚的および/または聴覚的な通知手段で構成される。また、通知部60が本体10から離れて設置される場合、通知部60は、有線接続のリモートコントローラで通知したり、無線接続のリモートコントローラ(例えば、スマートフォンのアプリ)で通知したりすることができる。
【0034】
[充放電制御方法]
図4に、本発明の一実施形態に係る充放電制御方法のフローチャートを示す。本実施形態に係る充放電制御方法は、充放電装置100を用いて電動車200の充放電を行うものである。
【0035】
充放電装置100が本実施形態に係る充放電制御方法を開始させると、第1判定部53が、計時手段により現在時刻を計測し、記憶部56を参照して現在時刻が運転時間帯に含まれるか否かを判定する(S1)。このステップS1は、本発明の第1ステップに相当する。
【0036】
第1判定部53で現在時刻が運転時間帯に含まれないと判定された場合(S1でNO)、充放電装置100は充放電制御方法を一旦終了させた後に、再び充放電制御方法を開始させる。すなわち、現在時刻が運転時間帯に含まれない場合、所定の周期でステップS1の判定が繰り返される。
【0037】
第1判定部53で現在時刻が運転時間帯に含まれると判定された場合(S1でYES)、シーケンス回路部52は、制御線23aに介装されたリレーd1をオンさせる(S2)。リレーd1がオンすると、シーケンス回路部52から制御線23aを介して電動車200に制御指令(12Vの電圧信号)が出力される。このステップS2は、本発明の第2ステップに相当する。
【0038】
電動車200側は、当該制御指令によりフォトカプラfがオンし、リレーd1のオンを認識する。リレーd1のオンを認識した電動車200は、通信線22a,22bを介してCAN通信を行い、充放電装置100の通信部40に、蓄電池201に関する情報を送信する。蓄電池201に関する情報には、例えば、電池容量、最大電圧、最大充放電時間等が含まれる。
【0039】
充放電装置100側では、第2判定部54が、電動車200からのCAN通信に基づいて、コネクタ20が電動車200に接続された状態か否かを判定する(S3)。例えば、第2判定部54は、通信部40が蓄電池201に関する情報を所定時間内に受信した場合、コネクタ20が電動車200に接続された状態であると判定し(S3でYES)、通信部40が蓄電池201に関する情報を所定時間内に受信しなかった場合、コネクタ20が電動車200に接続された状態ではないと判定する(S3でNO)。このステップS3は、本発明の第3ステップに相当する。
【0040】
第2判定部54でコネクタ20が電動車200に接続された状態であると判定された場合(S3でYES)、充放電装置100は自動充放電運転を開始する(S4)。このステップS4は、本発明の第5ステップに相当する。
【0041】
自動充放電運転を開始すると、通信部40は、通信線22a,22bを介してCAN通信を行い、電動車200に電力変換部30に関する情報(例えば、最大出力電流、最大出力電圧等)を送信する。
【0042】
電力変換部30に関する情報を受信した電動車200は、トランジスタkをオンさせて、充放電装置100に準備完了通知を出力する。充放電装置100側は、準備完了通知によりフォトカプラjがオンすることで、電動車200側の準備が整ったことを認識し、絶縁診断を実施する。なお、コネクタ20がロックされていない状態の場合、充放電装置100は、絶縁診断を実施する前に自動的にコネクタ20をロックする。
【0043】
絶縁診断を実施したシーケンス回路部52は、制御線23bに介装されたリレーd2をオンさせる。リレーd2がオンすると、電動車200側は、フォトカプラgがオンすることでリレーd2のオンを認識する。リレーd2のオンを認識した電動車200は、リレーeをオンさせ、コンタクタcをオンさせる。これにより、充放電装置100の電力変換部30と電動車200の蓄電池201との間で、電力の授受が可能となる。
【0044】
一方で、第2判定部54でコネクタ20が電動車200に接続された状態ではないと判定された場合(S3でNO)、通知部60は、第2判定部54の制御下で、電動車200のユーザに対して通知を行う(S5)。通知部60は、例えば、LEDおよび/またはブザー等の視覚的および/または聴覚的な通知手段で通知を行う。
【0045】
次いで、第3判定部55は、記憶部56を参照して、コネクタ20が電動車200にロックされた状態であるか否かを判定する(S6)。上記のとおり、記憶部56は、コネクタ20がロックされた状態なのかロックされていない状態なのかを記憶している。このステップS6は、本発明の第4ステップに相当する。
【0046】
例えば、通知部60による通知が行われた後、ユーザがコネクタ20を電動車200に接続した上でロックボタンを操作した場合、第3判定部55は、コネクタ20がロックされた状態であると判定し(S6でYES)、充放電装置100は自動充放電運転を開始する(S4)。
【0047】
一方、例えば、ユーザが通知部60の通知に気付かずにコネクタ20が電動車200に接続されなかった場合、または、ユーザがコネクタ20を電動車200に接続したもののロックボタンを操作し忘れた場合、第3判定部55は、コネクタ20がロックされた状態ではないと判定する(S6でNO)。
【0048】
次いで、第1判定部53が、計時手段により現在時刻を計測し、記憶部56を参照して現在時刻が運転時間帯に含まれるか否かを判定する(S7)。第1判定部53で現在時刻が運転時間帯に含まれると判定された場合(S7でYES)、第3判定部55は、コネクタ20がロックされた状態であるか否かを判定する(S6)。
【0049】
一方で、第1判定部53で現在時刻が運転時間帯に含まれないと判定された場合(S7でNO)、充放電装置100は充放電制御方法を一旦終了させた後に、再び充放電制御方法を開始させる。
【0050】
結局、本実施形態に係る充放電装置100および充放電制御方法によれば、現在時刻が予め設定された運転時間帯に含まれる場合にのみリレーd1をオンさせ、現在時刻が運転時間帯に含まれない場合にはリレーd1をオンさせないので、リレーd1の動作回数を必要最低限に抑えることができる。
【0051】
本実施形態に係る充放電装置100および充放電制御方法によれば、一定の条件下では、コネクタ20がロックされた状態であるか否かにかかわらず、人手を介することなく電力変換部30に充放電動作を開始させることができる。すなわち、本実施形態では、ユーザがコネクタ20をロックし忘れた場合であっても、運転時間帯の前にコネクタ20が電動車200に接続された状態であれば、自動充放電運転を行うことができる。
【0052】
本実施形態に係る充放電装置100および充放電制御方法によれば、制御線23c(コネクタ接続確認線)に電圧が印加されていない電動車200に対しても自動充放電運転を行うことができる。したがって、本実施形態に係る充放電装置100および充放電制御方法は、比較的汎用性が高いといえる。
【0053】
本実施形態に係る充放電装置100および充放電制御方法によれば、運転時間帯においてコネクタ20が電動車200に接続されていない場合、通知部60による通知が行われるので、コネクタ20が電動車200に接続されていないことを運転時間帯にユーザに気付かせることができる。
【0054】
以上、本発明に係る充放電装置100および充放電制御方法の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0055】
例えば、充放電装置100において通知部60を省略したり、上記実施形態の充放電制御方法においてユーザに対して通知を行うステップ(S5)を省略したりすることができる。
【0056】
上記実施形態の充放電制御方法においては、ステップS7でYESの場合、ステップS6に移行しているが、ステップS5に移行してもよい。
【符号の説明】
【0057】
100 充放電装置
10 本体
20 コネクタ
21(21a,21b) 電力線
22(22a,22b) 通信線
23(23a~23e) 制御線
30 電力変換部
40 通信部
50 制御部
51 充放電制御部
52 シーケンス回路部
53 第1判定部
54 第2判定部
55 第3判定部
56 記憶部
60 通知部
200 電動車
201 蓄電池
図1
図2
図3
図4