IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カシオ計算機株式会社の特許一覧

特開2022-189918情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法
<>
  • 特開-情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法 図1
  • 特開-情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法 図2
  • 特開-情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法 図3
  • 特開-情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法 図4
  • 特開-情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法 図5
  • 特開-情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法 図6
  • 特開-情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法 図7
  • 特開-情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法 図8
  • 特開-情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法 図9
  • 特開-情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法 図10
  • 特開-情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法 図11
  • 特開-情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法 図12
  • 特開-情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法 図13
  • 特開-情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法 図14
  • 特開-情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法 図15
  • 特開-情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法 図16
  • 特開-情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法 図17
  • 特開-情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法 図18
  • 特開-情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法 図19
  • 特開-情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法 図20
  • 特開-情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法 図21
  • 特開-情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189918
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G09B 19/00 20060101AFI20221215BHJP
   G09B 5/02 20060101ALI20221215BHJP
   G09B 7/02 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
G09B19/00 H
G09B5/02
G09B7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169596
(22)【出願日】2022-10-24
(62)【分割の表示】P 2021086126の分割
【原出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 祥一
(57)【要約】
【課題】図形を描画させる設問に対する採点基準を簡易に設定することができる情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、座標平面又は座標空間である直交座標系に図形を描画させる設問に対する回答図形の採点処理において参照される、採点基準情報を生成する処理部を備え、処理部は、ユーザ操作に基づいて表示部に表示されている直交座標系に参照図形を描画させ、参照図形に基づいて定められた採点基準に係る情報を含む採点基準情報を生成する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座標平面又は座標空間である直交座標系に図形を描画させる設問に対する回答図形の採点処理において参照される、採点基準情報を生成する処理部を備え、
前記処理部は、ユーザ操作に基づいて表示部に表示されている前記直交座標系に参照図形を描画させ、前記参照図形に基づいて定められた採点基準に係る情報を含む前記採点基準情報を生成する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記参照図形は、前記参照図形を境界線とする所定の判定領域を表し、
前記採点基準情報は、前記採点処理において、前記回答図形が前記判定領域を通るか否かの判定に用いられる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記参照図形は、前記参照図形を境界線とする所定の判定領域を表し、
前記採点基準情報は、前記採点処理において、前記回答図形の所定の特徴点が前記判定領域内に位置しているか否かの判定に用いられる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記回答図形は、直線又は曲線のグラフであり、
前記特徴点は、前記直線の端点、又は前記曲線の端点、極大点、極小点若しくは変曲点である
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記参照図形は、前記直交座標系の座標軸に平行な辺を有する矩形であることを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記直交座標系において前記参照図形の対頂点の位置を指定する前記ユーザ操作に基づいて当該参照図形の前記直交座標系における位置を特定することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記参照図形は、2以上の基準線を含み、当該2以上の基準線を境界線とする前記判定領域を表すことを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記処理部は、前記直交座標系において前記基準線の一方側又は他方側を指示する前記ユーザ操作に基づいて前記判定領域を設定し、
前記基準線の一方側又は他方側を指示する前記ユーザ操作は、前記基準線が表示された表示画面において所定のカーソルを前記基準線の一方側又は他方側に位置させる操作であることを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記採点基準情報は、前記採点処理において、前記回答図形と前記参照図形との形状の類比に係る判定に用いられることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記参照図形は、前記直交座標系において所定の領域を占める図形であり、
前記採点基準情報は、前記採点処理において、前記回答図形と前記参照図形との面積の比較に係る判定に用いられることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記採点基準情報は、前記採点処理において、前記回答図形の所定の特徴点と前記参照図形との距離に係る判定に用いられることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記処理部は、前記採点基準情報と、前記回答図形に係る回答情報と、に基づいて前記採点処理を実行することを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
第1の処理部及び第2の処理部を備え、
前記第1の処理部は、座標平面又は座標空間である直交座標系に図形を描画させる設問に対する回答図形の採点処理において参照される、採点基準情報を生成し、
前記第2の処理部は、前記採点基準情報と、前記回答図形に係る回答情報と、に基づいて前記採点処理を実行し、
前記第1の処理部は、ユーザ操作に基づいて表示部に表示されている前記直交座標系に参照図形を描画させ、前記参照図形に基づいて定められた採点基準に係る情報を含む前記採点基準情報を生成する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項14】
コンピュータに、座標平面又は座標空間である直交座標系に図形を描画させる設問に対する回答図形の採点処理において参照される、採点基準情報を生成する処理を実行させ、
前記処理では、ユーザ操作に基づいて表示部に表示されている前記直交座標系に参照図形を描画させ、前記参照図形に基づいて定められた採点基準に係る情報を含む前記採点基準情報を生成する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項15】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
座標平面又は座標空間である直交座標系に図形を描画させる設問に対する回答図形の採点処理において参照される、採点基準情報を生成するステップを含み、
前記ステップでは、ユーザ操作に基づいて表示部に表示されている前記直交座標系に参照図形を描画させ、前記参照図形に基づいて定められた採点基準に係る情報を含む前記採点基準情報を生成する
ことを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、学校で実施される試験や各種資格試験等において、設問に対する回答をコンピュータ上で行うCBT(Computer Based Testing)の採用が進んでいる(例えば、特許文献1)。CBTでは、回答が電子データの形式で取得されるため、コンピュータを用いた自動採点技術を適用することで、採点精度の向上や採点者の負担軽減を図ることができる。特に、複数の選択肢から正答を選択させる設問や、回答を数値で入力させる設問に関しては、簡易な採点基準により高い精度で自動採点を行うことができる。
【0003】
また、座標平面にグラフ等の図形を描画させる設問では、従来、回答における描画の自由度を制限することで、簡易な採点基準による自動採点が実現されている。例えば、座標平面上の2点を選択すると当該2点間を結ぶ直線が自動的に描画される回答方法において、選択可能な点を整数座標に制限するスナップ技術を採用することで、回答の座標と正答の座標とが完全に一致した場合を正答とする簡易な採点基準により自動採点を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-251203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、回答の自由度を制限すると、必ずしも設問に対する受験者の理解を効果的に測ることができないという問題がある。
一方で、回答の自由度を高める場合には、模範解答に近似する回答図形も正答と判定できるように、正答として判定される範囲を表す採点基準を予め設定する必要がある。この採点基準の設定において、単に座標平面上の範囲をユーザが数値により指定する方法を用いると、誤りが生じやすい上に煩雑であるという課題がある。
【0006】
この発明の目的は、図形を描画させる設問に対する採点基準を簡易に設定することができる情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理装置は、
座標平面又は座標空間である直交座標系に図形を描画させる設問に対する回答図形の採点処理において参照される、採点基準情報を生成する処理部を備え、
前記処理部は、ユーザ操作に基づいて表示部に表示されている前記直交座標系に参照図形を描画させ、前記参照図形に基づいて定められた採点基準に係る情報を含む前記採点基準情報を生成する
ことを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理装置システムは、
第1の処理部及び第2の処理部を備え、
前記第1の処理部は、座標平面又は座標空間である直交座標系に図形を描画させる設問に対する回答図形の採点処理において参照される、採点基準情報を生成し、
前記第2の処理部は、前記採点基準情報と、前記回答図形に係る回答情報と、に基づいて前記採点処理を実行し、
前記第1の処理部は、ユーザ操作に基づいて表示部に表示されている前記直交座標系に参照図形を描画させ、前記参照図形に基づいて定められた採点基準に係る情報を含む前記採点基準情報を生成する
ことを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するため、本発明に係るプログラムは、
コンピュータに、座標平面又は座標空間である直交座標系に図形を描画させる設問に対する回答図形の採点処理において参照される、採点基準情報を生成する処理を実行させ、
前記処理では、ユーザ操作に基づいて表示部に表示されている前記直交座標系に参照図形を描画させ、前記参照図形に基づいて定められた採点基準に係る情報を含む前記採点基準情報を生成する
ことを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理方法は、
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
座標平面又は座標空間である直交座標系に図形を描画させる設問に対する回答図形の採点処理において参照される、採点基準情報を生成するステップを含み、
前記ステップでは、ユーザ操作に基づいて表示部に表示されている前記直交座標系に参照図形を描画させ、前記参照図形に基づいて定められた採点基準に係る情報を含む前記採点基準情報を生成する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、図形を描画させる設問に対する採点基準を簡易に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】採点システムの概略構成図である。
図2】採点サーバの機能構成を示すブロック図である。
図3】クライアント端末の機能的構成を示すブロック図である。
図4】クライアントサーバの機能的構成を示すブロック図である。
図5】採点基準生成処理を説明するシーケンス図である。
図6】採点基準設定画面の例を示す図である。
図7】採点基準データの内容例を示す図である。
図8】採点処理を説明するシーケンス図である。
図9】実施例1に係る参照図形設定画面を示す図である。
図10図9の参照図形設定画面の内容が反映された採点基準設定画面の例を示す図である。
図11図9の参照図形設定画面の内容が反映された採点基準設定画面の他の例を示す図である。
図12】実施例2に係る参照図形設定画面を示す図である。
図13】判定領域の設定方法を説明する図である。
図14】判定領域の設定方法を説明する図である。
図15図14の参照図形設定画面の内容が反映された採点基準設定画面の例を示す図である。
図16】実施例3に係る参照図形設定画面を示す図である。
図17図16の参照図形設定画面の内容が反映された採点基準設定画面の例を示す図である。
図18】実施例4に係る参照図形設定画面を示す図である。
図19図18の参照図形設定画面の内容が反映された採点基準設定画面の例を示す図である。
図20】変形例5に係る参照図形設定画面の例を示す図である。
図21】変形例5に係る参照図形設定画面の他の例を示す図である。
図22】変形例5に係る参照図形設定画面の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
<採点システムの構成>
図1は、本実施形態の採点システム1の概略構成図である。
採点システム1(情報処理システム)は、採点サーバ10(情報処理装置)と、クライアント端末20と、クライアントサーバ30と、を備えている。採点サーバ10、クライアント端末20及びクライアントサーバ30は、通信ネットワークNを介して情報通信可能に接続されている。通信ネットワークNは、例えばインターネットであるが、これに限られず、LAN(Local Area Network)等、他のネットワークであってもよい。
【0015】
採点システム1は、CBTにおける自動採点サービスを提供するコンピュータシステムである。本実施形態の採点システム1は、座標平面である直交座標系に図形を描画させる設問の自動採点を行うことができる。ただし、採点システム1は、その他の形式の設問(例えば、複数の選択肢から正答を選択させる設問や、回答を数値で入力させる設問)の自動採点を行うことが可能であってもよい。採点システム1の採点サーバ10は、クライアント端末20からの要求に応じて、設問の採点基準に係る情報を含む採点基準データ332(採点基準情報)(図4参照)を生成してクライアントサーバ30に送信する。また、採点サーバ10は、クライアントサーバ30からの自動採点APIの呼び出しに応じて回答図形の採点処理を実行し、採点結果に係る情報を含む採点結果データ335をクライアントサーバ30に送信する。採点処理では、採点基準データ332に含まれる採点基準が参照される。これらの処理の詳細については後述する。
【0016】
<採点サーバの構成>
図2は、採点サーバ10の機能構成を示すブロック図である。
採点サーバ10は、CPU11(Central Processing Unit)と、RAM12(Random Access Memory)と、記憶部13と、操作部14と、表示部15と、通信部16と、バス17などを備える。採点サーバ10の各部は、バス17を介して接続されている。
【0017】
CPU11は、採点サーバ10の各部の動作を制御するプロセッサ(処理部、第1の処理部、第2の処理部)である。CPU11は、記憶部13に記憶されている採点基準生成プログラム131及び採点プログラム132などを読み出してRAM12のワークエリアに展開し、当該展開されたプログラムに従って各種処理を実行する。例えば、CPU11は、採点基準生成プログラム131を実行することで、クライアント端末20に採点基準の生成UI(User Interface)を提供するとともに、クライアント端末20におけるユーザ操作に基づいて採点基準データ332を生成してクライアントサーバ30に送信する。また、CPU11は、クライアントサーバ30から自動採点APIが呼び出されると、採点プログラム132を実行して回答に対する採点処理を実行し、採点結果データ335を生成してクライアントサーバ30に送信する。
【0018】
RAM12は、CPU11に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。RAM12は、不揮発性メモリを含んでいてもよい。
【0019】
記憶部13は、コンピュータとしてのCPU11により読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などにより構成される。記憶部13には、CPU11により実行される採点基準生成プログラム131及び採点プログラム132などのプログラムや、当該プログラムの実行時に参照されるデータなどが記憶されている。プログラムは、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶部13に格納されている。
【0020】
操作部14は、マウスなどのポインティングデバイス及びキーボードなどを有し、ユーザによる位置入力及びキー入力などを受け付けてその操作情報をCPU11に出力する。
【0021】
表示部15は、液晶ディスプレイなどの表示装置を備え、CPU11からの表示制御信号に従って表示装置において各種表示を行う。
【0022】
通信部16は、ルータ、ネットワークカードなどにより構成される。CPU11は、通信部16を介して、通信ネットワークN上のクライアント端末20及びクライアントサーバ30と通信接続してデータの送受信を行う。
【0023】
<クライアント端末の構成>
図3は、クライアント端末20の機能的構成を示すブロック図である。
クライアント端末20は、採点システム1のサービスを利用するユーザ(例えば、生徒の回答やその採点結果を管理する教師等)が使用するコンピュータ装置である。クライアント端末20は、例えばノートPC(Personal Computer)、デスクトップPC、タブレット端末、又はスマートフォンなどである。クライアント端末20は、ブラウザ231上で、ユーザからの入力操作に応じて採点サーバ10及びクライアントサーバ30に対して各種処理の実行を要求し、採点サーバ10から受信した処理結果などを表示部25に表示する。
【0024】
クライアント端末20は、CPU21と、RAM22と、記憶部23と、操作部24と、表示部25と、通信部26と、バス27などを備えている。また、クライアント端末20の各部は、バス27を介して接続されている。
【0025】
CPU21は、クライアント端末20の各部の動作を制御するプロセッサである。CPU21は、記憶部23に記憶されているブラウザ231などのプログラムを読み出してRAM22のワークエリアに展開し、当該展開されたプログラムに従って各種処理を実行する。
【0026】
RAM22は、CPU21に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。RAM22は、不揮発性メモリを含んでいてもよい。
【0027】
記憶部23は、コンピュータとしてのCPU21により読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、HDD、SSD等により構成される。記憶部23には、CPU21により実行されるブラウザ231などのプログラムや、当該プログラムの実行時に参照されるデータなどが記憶されている。プログラムは、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶部23に格納されている。ブラウザ231は、採点サーバ10及びクライアントサーバ30から送信された各種プログラムの実行結果や、インターネット上のウェブページの情報などを表示部25上に表示させるプログラムである。
【0028】
操作部24、表示部25及び通信部26の構成は、採点サーバ10の操作部14、表示部15及び通信部16の構成と同様であるので説明は省略する。
【0029】
<クライアントサーバの構成>
図4は、クライアントサーバ30の機能的構成を示すブロック図である。
クライアントサーバ30は、採点システム1のサービスを利用するユーザが管理する個別のデータ(例えば、設問の採点基準、回答及び採点結果に係るデータ等)を記憶したり、ユーザが生成した自動採点スクリプトを記憶して実行したりするコンピュータ装置である。
【0030】
クライアントサーバ30は、CPU31と、RAM32と、記憶部33と、操作部34と、表示部35と、通信部36と、バス37などを備えている。また、クライアントサーバ30の各部は、バス37を介して接続されている。
【0031】
CPU31は、クライアントサーバ30の各部の動作を制御するプロセッサである。CPU31は、記憶部33に記憶されている自動採点スクリプト331などの各種プログラムを読み出してRAM32のワークエリアに展開し、当該展開されたプログラムに従って各種処理を実行する。例えば、CPU31は、自動採点スクリプト331を実行することで、採点用個別データ334を引数として採点サーバ10の自動採点APIを呼び出し、採点結果データ335を生成させて取得する。なお、本明細書において、プログラムには、コンパイルせずに実行可能なスクリプトが含まれるものとする。
【0032】
RAM32は、CPU31に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。RAM32は、不揮発性メモリを含んでいてもよい。
【0033】
記憶部33は、コンピュータとしてのCPU31により読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、HDD、SSD等により構成される。記憶部33には、CPU31により実行される自動採点スクリプト331などのプログラムや、当該プログラムの実行時に参照されるデータなどが記憶されている。プログラムは、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶部33に格納されている。自動採点スクリプト331は、通常、採点システム1のユーザが目的に応じて作成するが、予め作成されたものが用いられてもよい。
【0034】
記憶部33に記憶されているデータには、採点基準データ332、回答データ333(回答情報)、採点用個別データ334及び採点結果データ335などがある。
【0035】
採点基準データ332は、座標平面である直交座標系に図形を描画させる設問に対する回答図形の採点処理において参照される。採点基準データ332は、上記の採点処理における採点基準に係る情報を含む。採点基準データ332は、クライアント端末20からの要求に応じて採点サーバ10により生成され、クライアントサーバ30に送信されて記憶部33に記憶される。採点基準データ332は、採点サーバ10の自動採点APIの実行時に引数として参照可能な形式、ここではjson形式のファイルである。
【0036】
回答データ333は、上記の設問に取り組んだ生徒等の回答者が、図示略の回答用の端末装置において生成した回答図形に係るデータである。回答データ333は、回答者が複数いる場合には回答者ごとに生成される。回答データ333に含まれるデータ項目は、設問ごとに予め定められている。
【0037】
採点用個別データ334は、採点基準データ332に、ある回答者の回答データ333を挿入したデータである。したがって、採点用個別データ334には、採点基準情報と、1人の回答者が生成した回答情報とが含まれる。採点用個別データ334は、回答者が複数いる場合には回答者ごとに生成される。採点用個別データ334は、採点基準データ332と同一の形式(ここではjson形式)のファイルである。
【0038】
採点結果データ335は、回答の採点結果に係る情報を含む。採点結果データ335は、採点用個別データ334を引数として採点サーバ10の自動採点APIを呼び出すことで採点サーバ10において生成され、クライアントサーバ30に送信される。
【0039】
操作部34、表示部35及び通信部36の構成は、採点サーバ10の操作部14、表示部15及び通信部16の構成と同様であるので説明は省略する。
【0040】
<採点システムの動作>
次に、採点システム1の動作について、採点基準の生成に係る動作、及び当該採点基準を用いた採点動作を中心に説明する。これらの動作における動作主体は、採点サーバ10のCPU11、クライアント端末20のCPU21、及びクライアントサーバ30のCPU31であるが、以下では便宜上、採点サーバ10、クライアント端末20及びクライアントサーバ30を動作主体として記載する場合がある。
【0041】
図5は、採点基準生成処理を説明するシーケンス図である。
図5では、採点基準を生成する動作において、採点サーバ10、クライアント端末20及びクライアントサーバ30の相互間で送受信される信号の流れを示した図である。
【0042】
採点システム1が提供する自動採点機能を利用するユーザは、まず、クライアント端末20においてブラウザ231を起動し、所定のURLにアクセスする。これにより、クライアント端末20は、採点基準設定画面251を表示するための表示データの送信を採点サーバ10に要求する(ステップS101)。採点サーバ10は、当該要求に応じて採点基準生成プログラム131を実行し、採点基準設定画面251を表示するための表示データをクライアント端末20に送信して、クライアント端末20の表示部25に採点基準設定画面251を表示させる(ステップS102)。
【0043】
図6は、採点基準設定画面251の例を示す図である。
採点基準設定画面251には、参照正答情報41と、参照形状情報42と、回答図形情報43と、採点変数情報44と、採点ロジック情報45と、設問ID461と、小問ID462と、保存ボタン47と、参照図形描画ボタン48などが表示されている。以下では、設問の回答に用いられるxy座標平面においてx座標がa、y座標がbである点を点(a,b)と記す。
【0044】
参照正答情報41は、設問の模範解答としてユーザが設定する正答図形に係る情報である。図6では、Point0(5,10)と、Point1(-5,-10)と、を2つの端点とする直線L0が正答図形として設定されている。また、「Bind by index」の設定は、当該設定以降に設けられた複数の回答要素の回答順序まで考慮することを意味する。図6の例では、回答に際して回答者が最初に選択した点がPoint0とされ、次に選択した点がPoint1とされる。一方、「Index」の部分をドロップダウンリストから変更して「Bind by Any」と設定を変更することで、回答順序を考慮しないこととすることもできる。この場合には、選択した2点を「Point0、Point1」とする組み合わせと、「Point1、Point0」とする組み合わせがいずれも採点され、得点の高い方が採点結果として採用される。
【0045】
参照形状情報42は、採点基準において参照される各種形状に係る情報である。図6では、参照形状として、回答に用いられる座標平面を表す「graphBounds」が設定されている。ここでは、「graphBounds」は、点(-10,-10)を左下端としてx方向、y方向の長さが20である矩形領域である。図6では、参照形状として「graphBounds」のみが設定されているが、2以上の参照形状が設定されていてもよい。
【0046】
回答図形情報43は、回答者の回答図形に係るデータである。採点基準の設定時には、回答者の回答データを挿入する箇所を設けるためのダミーの回答図形情報43が入力される。ここでは、参照正答情報41と対応するように、回答図形としての直線L0の2つの端点P0(Point0)及びP1(Point1)の座標のデータが入力されている。
【0047】
採点変数情報44は、採点ロジック情報45の採点ロジックを構成するための採点変数に係る情報である。ここでは、採点変数「correct」に対し、自動採点関数「equalAll」の値が代入されている。自動採点関数「equalAll」は、参照正答情報41のデータ(ここでは、Point0及びPoint1の座標)と、回答図形情報43のデータ(同じくPoint0及びPoint1の座標)とが完全一致している場合に「true(1)」を返し、完全一致していない場合に「false(0)」を返す関数である。図6では、単一の採点変数が用いられているが、2以上の採点変数が設定されてもよい。
【0048】
採点ロジック情報45は、採点変数情報44の採点変数を用いた採点ロジックを表す。図6では、「score=correct」との論理式により得点(score)が定められている。図6の例では、参照正答情報41のデータと回答図形情報43のデータとが完全一致していないため、採点変数「correct」は「false(0)」となり、「score」は「0」となる。
【0049】
設問ID461は、設問ごとに割り当てられた固有の符号である。設問ID461により、当該設問に対応する採点基準データ332を呼び出すことができる。小問ID462は、設問に含まれる小問ごとに割り当てられた固有の符号である。設問に複数の小問が含まれている場合には、採点基準データ332には、複数の小問に対応する複数の採点基準に係る情報が含まれる。この場合には、複数の小問の得点を加算して設問全体の得点とする方法や、全ての小問が正答である場合に限って設問を正答とする方法などにより採点を行うことができる。
【0050】
保存ボタン47は、その時点における採点基準設定画面251の内容で採点基準データ332を生成するためのボタンである。
【0051】
参照図形描画ボタン48は、採点基準の設定に用いる参照図形をグラフビューワー上に描画する場合に選択されるボタンである。参照図形を用いた採点基準の設定方法については後述する。
【0052】
保存ボタン47が選択されると、クライアント端末20から採点サーバ10に対し、採点基準データ332の生成要求が送信される(図5のステップS103)。当該生成要求を受信した採点サーバ10は、採点基準生成プログラム131に従って処理を実行することで、json形式の採点基準データ332を生成してクライアントサーバ30に送信する(ステップS104)。ステップS104において採点基準データ332がクライアントサーバ30の記憶部33に記憶されると、採点基準生成処理が終了する。
【0053】
図7は、採点基準データ332の内容例を示す図である。
ここでは、図6に示す採点基準設定画面251の内容を反映した採点基準データ332が例示されている。採点基準データ332には、小問ID、採点ロジック、正答(参照正答情報41の内容)、回答者の回答(回答図形情報43の内容)、及び回答者を識別するための回答者識別IDなどが含まれている。図7は、採点基準データ332の一例であって、この形式に限られない。
【0054】
次に、生成した採点基準データ332を用いて回答図形の自動採点を行うための採点処理について説明する。
図8は、採点処理を説明するシーケンス図である。
採点処理は、採点基準データ332及び回答データ333がクライアントサーバ30の記憶部33に記憶されている場合に、クライアント端末20における所定のユーザ操作に応じて開始される。
【0055】
採点処理が開始されると、クライアント端末20は、クライアントサーバ30に対して自動採点スクリプト331の開始を要求する(ステップS201)。
【0056】
クライアントサーバ30は、当該要求に応じて自動採点スクリプト331を実行する。クライアントサーバ30は、まず、採点基準データ332に1つの回答データ333を挿入して採点用個別データ334を生成し、記憶部33に記憶させる(ステップS202)。ステップS202では、図7に示す採点基準データ332における「回答者の回答」の箇所を、個別の回答者による実際の回答内容に差し替えることにより採点用個別データ334を生成する。これにより、採点基準データ332に含まれる採点基準の情報と、ある回答者による回答データ333と、を含む採点用個別データ334が生成される。
【0057】
次に、クライアントサーバ30は、ステップS202で生成した採点用個別データ334を引数として、採点サーバ10の自動採点APIを呼び出す(ステップS203)。採点サーバ10は、自動採点APIの呼び出しに応じて採点プログラム132を実行し、採点結果データ335を生成してクライアントサーバ30に送信する(ステップS204)。ここでは、採点サーバ10は、受信した採点用個別データ334に含まれる採点基準データ332の採点基準を参照して、当該採点用個別データ334に含まれる回答データ333に対する採点を行う。図6、7の例では、まず、参照正答情報41の座標と、回答データ333の回答図形情報43の座標とを比較し、採点変数「correct」の値を取得する。そして、「score=correct」の採点ロジックに従って得点を算出し、当該得点の情報を含む採点結果データ335を生成する。
【0058】
クライアントサーバ30は、採点結果データ335を受信すると、全回答者の採点が終了したか否かを判別し(ステップS205)、採点が終了していない回答者がいると判別された場合には(ステップS205で“NO”)、次の回答者の回答データ333を用いて再度ステップS202を実行する。全回答者の採点が終了したと判別された場合には(ステップS205で“YES”)、クライアントサーバ30は、自動採点スクリプト331を終了させる。これにより、採点処理が終了する。
【0059】
<参照図形を用いた採点基準の設定方法>
本実施形態の採点システム1では、採点基準設定画面251における採点基準の設定に際して、クライアント端末20の表示部に参照図形を表示(描画)させ、この参照図形の情報を採点基準に反映させることができる。以下では、このように参照図形を用いた採点基準の設定方法に係る実施例1~5を説明する。
【0060】
(実施例1)
まず、実施例1として、参照図形により判定領域を定め、当該判定領域と回答図形との位置関係に係る採点基準を設定する場合について説明する。
【0061】
図9は、実施例1に係る参照図形設定画面252を示す図である。
参照図形設定画面252は、採点基準設定画面251において参照図形描画ボタン48が選択された場合に表示部25に表示されるグラフビューワーである。参照図形設定画面252には、座標平面51と、モード選択ボタン52と、基準線61と、基準矩形62と、回答図形71などが表示されている。このうち基準線61及び基準矩形62は、参照図形の一例である。
【0062】
座標平面51は、採点基準設定画面251の参照形状情報42において設定されている「graphBounds」に相当する。この座標平面51上に、基準線61、基準矩形62及び回答図形71などが描画される。座標平面51の座標範囲や補助線の間隔は、参照図形設定画面252の右側に設けられたテキストボックス53への数値入力により変更することができる。また、この変更が、採点基準設定画面251の参照形状情報42における「graphBounds」の内容に反映される。ユーザ操作に応じて、座標平面51のx軸上、及び/又はy軸上に、基準の値を表示させることも可能である。例えば、x軸及びy軸の交点に、原点を表す「0」を表示させることも可能である。
【0063】
モード選択ボタン52は、参照図形設定画面252における参照図形の描画モードを指定するためのボタンである。モード選択ボタン52を選択すると、複数の描画モードの選択肢を表す図示略のアイコン群が表示され、一のアイコンを選択することで描画モードを変更することができる。描画モードには、参照図形として基準線を描画する基準線描画モード、基準線を基準とする領域を指定するための領域指定モード、参照図形として基準矩形を描画する矩形描画モードなどがある。
【0064】
基準線61は、ここでは、採点基準設定画面251の参照正答情報41において設定されている直線L0(設問の模範解答としてユーザが設定した正答図形)に対応する。基準線61は、モード選択ボタン52により基準線描画モードを選択し、座標平面51において2つの端点を指定する操作(例えば、マウスカーソルを合わせてクリックする操作)を行うことにより生成することができる。端点の指定においては、選択可能な点を整数座標に制限するスナップ技術が採用されてもよい。また、基準線61の端点の位置を変更する操作により基準線61の形状を変更できてもよく、この変更が採点基準設定画面251の参照正答情報41に反映されてもよい。また、参照正答情報41における2つの端点(Point1、Point2)の座標データが変更された場合に、当該変更が参照図形設定画面252における基準線61に反映されてもよい。
【0065】
基準矩形62は、座標平面の座標軸に平行な辺を有する矩形である。図9の基準矩形62は、基準線61の2つの端点を中心とする一辺の長さが2の正方形である。基準矩形62は、当該基準矩形62を境界線とする判定領域R0、R1を表す。この判定領域R0、R1と回答図形71との位置関係を採点基準として設定することができる。例えば、回答図形71が判定領域R0、R1を通る場合に正答と判定されるように採点基準を定めることができる。この場合には、正答図形を表す基準線61と完全に一致する回答図形71の他、判定領域R0、R1を通る任意の回答図形71が正答と判定される。また、回答図形71における所定の特徴点(2つの端点P0、P1)がそれぞれR0、R1の判定領域の内部に位置している場合に正答と判定されるように採点基準を定めることも可能である。
【0066】
基準矩形62は、モード選択ボタン52により矩形描画モードが選択されている場合に、ユーザ操作に応じて座標平面51に描画される。当該ユーザ操作は、例えば座標平面51上で基準矩形62の対頂点の位置を指定する操作であり、このユーザ操作に基づいて基準矩形62の座標平面51における位置が特定される。このユーザ操作は、ドラッグ操作であってもよい。すなわち、ドラッグ操作の始点及び終点が、基準矩形62の対頂点の位置として特定されてもよい。また、対頂点の位置の指定においては、選択可能な点を整数座標に制限するスナップ技術が採用されてもよい。
【0067】
回答図形71は、採点基準設定画面251の回答図形情報43における直線L0に対応する。採点基準の生成段階では、回答図形71はダミーである。
【0068】
図10は、図9の参照図形設定画面252の内容が反映された採点基準設定画面251の例を示す図である。
図10に示す採点基準設定画面251の参照形状情報42では、参照形状として、回答座標領域を表す「graphBounds」に加えて、2つの基準矩形62に対応する判定領域「R0」、「R1」が定義されて表示されている。参照形状情報42における判定領域「R0」、「R1」を表す座標データ等は、参照図形設定画面252における判定領域R0、R1の内容からCPU11が算出して表示させたものである。よって、ユーザは、参照形状としての判定領域「R0」、「R1」の座標データを入力する手間を省くことができる。
【0069】
採点変数情報44では、採点変数「satisfied_0」、「satisfied_1」が定義されて表示されている。採点変数「satisfied_0」には、回答図形情報43の直線「L0」と、参照形状としての判定領域「R0」とを引数とする自動採点関数「lineHits」の値が代入されている。また、採点変数「satisfied_1」には、回答図形情報43の直線「L0」と、参照形状としての判定領域「R1」とを引数とする自動採点関数「lineHits」の値が代入されている。自動採点関数「lineHits」は、引数の直線が引数の判定領域を通る場合に「true」を返す関数である。
【0070】
採点ロジック情報45では、採点変数「satisfied_0」、「satisfied_1」がいずれも「true」である場合に「score」(得点)が「1」となる採点ロジックが定義されている。図9、10の例では、回答図形情報43の直線L0(回答図形71)は判定領域R0、R1をいずれも通るため、「score」は「1」と算出される。このように、図10の採点基準設定画面251により生成される採点基準データ332は、採点処理において、回答図形71が判定領域R0、R1を通るか否かの判定に用いられる。
【0071】
図11は、図9の参照図形設定画面252の内容が反映された採点基準設定画面251の他の例を示す図である。
図11の採点基準設定画面251の採点変数情報44では、採点変数「in1」、「in2」、「correct」が定義されて表示されている。採点変数「in1」には、回答図形情報43の直線L0の一方の端点P0を表す「L0.points[0]」と、判定領域「R0」とを引数とする自動採点関数「inBox」の値が代入されている。また、採点変数「in2」には、回答図形情報43の直線「L0」の他方の端点P1を表す「「L0.points[1]」」と、判定領域「R1」とを引数とする自動採点関数「inBox」の値が代入されている。自動採点関数「inBox」は、引数の点が引数の判定領域の内部に位置する場合に「true」を返す関数である。採点変数「correct」は、採点変数「in1」、「in2」がいずれも「true」である場合に「true」となるように定義されている。
【0072】
採点ロジック情報45では、「score=correct」との論理式により得点が定められている。図9、11の例では、回答図形情報43の直線L0(回答図形71)の端点P0、P1は、それぞれ判定領域R0、R1の内部にあるため、採点変数「in1」、「in2」、「correct」はいずれも「true(1)」となり、「score」は「1」と算出される。このように、図11の採点基準設定画面251により生成される採点基準データ332は、採点処理において、回答図形71の所定の特徴点(ここでは、2つの端点P0、P1)が判定領域R0、R1内に位置しているか否かの判定に用いられる。
【0073】
図10、11に例示したように、採点変数情報44における採点変数の定義、及び採点ロジック情報45の内容は、所望する採点方法に従ってユーザが自由に設定することができる。
【0074】
(実施例2)
実施例1では、参照図形としての基準矩形62により判定領域を定めたが、これに代えて、参照図形としての2以上の基準線を境界線として判定領域を定めてもよい。
【0075】
図12は、実施例2に係る参照図形設定画面252を示す図である。
図12の参照図形設定画面252では、図9に示した基準矩形62に代えて、基準線63、64が表示されている。基準線63、64は、参照図形の一例である。基準線63は、関数y=2x+2のグラフに相当し、基準線64は、関数y=2x-2のグラフに相当する。また、基準線63を境界線としてy座標が基準線63よりも小さい領域が判定領域R2とされ、基準線64を境界線としてy座標が基準線64よりも大きい領域が判定領域R3とされている。言い換えると、判定領域R2は、y≧2x-2を満たす領域であり、判定領域R3は、y≦2x+2を満たす領域である。以下では、判定領域R2、R3の重複範囲を判定領域R4と記す。
【0076】
図12の判定領域R2、R3は、以下のような手順で設定される。すなわち、まず、図13に示すように、モード選択ボタン52により領域指定モードを選択して基準線63を描画する。基準線63は、座標平面51上の2点を指定するユーザ操作により描画することができる。この状態から、表示画面においてカーソル55を基準線63の一方側又は他方側に位置させるユーザ操作(マウスオーバー操作)を行うことにより、基準線63の当該一方側又は他方側を判定領域R2として指定することができる。図13では、基準線63の-y方向(+x方向)側にカーソル55を位置させることで、判定領域R2が指定されている。指定されている判定領域R2の内容は、参照図形設定画面252の右側に設けられた情報表示部54に反映される。なお、情報表示部54のテキストボックスにおける入力内容を変更した場合に、当該変更が基準線63及び第2領域R2に反映されてもよい。図13の状態でクリック操作等の確定操作を行うことで、基準線63及び判定領域R2が確定し、採点基準設定画面251の参照形状情報42に反映される。なお、判定領域R2を指定する操作は、マウスオーバー操作以外の操作であってもよい。
【0077】
次に、図14に示すように、基準線64を描画し、基準線64の+y方向(-x方向)側にカーソル55を位置させることで、判定領域R3を指定する。図14の状態でクリック操作等を行うことで、基準線64及び判定領域R3が確定する。また、判定領域R2、R3の重複範囲である判定領域R4が確定する。
【0078】
図15は、図14の参照図形設定画面252の内容が反映された採点基準設定画面251の例を示す図である。
図15の採点基準設定画面251の参照形状情報42では、参照形状として、回答座標領域を表す「graphBounds」に加えて、図12-14に示した判定領域「R2」、「R3」が定義されて表示されている。参照形状情報42における判定領域「R2」、「R3」を表す不等式は、参照図形設定画面252における基準線63、64と、判定領域R2、R3と、の内容からCPU11が算出して表示させたものである。よって、ユーザは、参照形状としての判定領域「R2」、「R3」を特定するためのデータ入力の手間を省くことができる。
【0079】
採点変数情報44では、採点変数「sati_pt0R2」、「sati_pt0R3」、「sati_pt1R2」、「sati_pt1R3」が定義されて表示されている。採点変数「sati_pt0R2」には、回答図形情報43の直線L0の一方の端点P0を表す「L0.pt0」と、判定領域「R2」とを引数とする自動採点関数「satisfies」の値が代入されている。採点変数「sati_pt0R3」には、「L0.pt」と、判定領域「R3」とを引数とする自動採点関数「satisfies」の値が代入されている。採点変数「sati_pt1R2」には、回答図形情報43の直線L0の他方の端点P1を表す「L0.pt1」と、判定領域「R2」とを引数とする自動採点関数「satisfies」の値が代入されている。採点変数「sati_pt1R3」には、「L0.pt1」と、判定領域「R3」とを引数とする自動採点関数「satisfies」の値が代入されている。自動採点関数「satisfies」は、引数の点が引数の判定領域内に位置している場合に「true」を返す関数である。
【0080】
採点ロジック情報45では、採点変数「sati_pt0R2」、「sati_pt0R3」、「sati_pt1R2」、「sati_pt1R3」がいずれも「true」である場合に「score」が「1」となる採点ロジックが定義されている。ここで、採点変数「sati_pt0R2」、「sati_pt1R2」がいずれも「true」となるのは、回答図形情報43の直線L0(回答図形71)が判定領域R2に位置している場合であり、採点変数「sati_pt0R3」、「sati_pt1R3」がいずれも「true」となるのは、回答図形情報43の直線L0(回答図形71)が判定領域R3に位置している場合である。すなわち、図15の採点ロジックは、回答図形情報43の直線L0が、判定領域R2、R3の重複範囲である判定領域R4内に位置している場合に「score」が「1」となるものである。言い換えると、図15の採点基準設定画面251により生成される採点基準データ332は、採点処理において、回答図形71の2つの端点P0、P1が、2つの基準線63、64を境界線とする判定領域R4内に位置しているか否かの判定に用いられる。
【0081】
(実施例3)
次に、実施例3として、参照図形と回答図形との形状の類比に係る採点基準を設定する場合について説明する。
【0082】
図16は、実施例3に係る参照図形設定画面252を示す図である。図16では、座標平面51以外の要素は記載が省略されている(以降の図18、20-22についても同様)。
図16では、参照図形として、原点を中心とする一辺の長さが6の基準矩形65が描かれている。基準矩形65は、当該基準矩形65を境界線とする判定領域R5を表す。また、座標平面51上の4点を結ぶ四角形の回答図形75が描かれている。回答図形75は、当該回答図形75を境界線とする回答領域U0を表す。
【0083】
図17は、図16の参照図形設定画面252の内容が反映された採点基準設定画面251の例を示す図である。
図17の採点基準設定画面251の参照形状情報42では、参照形状として、回答座標領域を表す「graphBounds」に加えて、図16に示した判定領域「R5」が定義されて表示されている。
【0084】
回答図形情報43では、回答図形75が表す領域「U0」が定義されている。
【0085】
採点変数情報44では、採点変数「same」が定義されている。採点変数「same」には、回答図形情報43に係る領域「U0」と、判定領域「R5」とを引数とする自動採点関数「sameRegion」の値が代入されている。自動採点関数「sameRegion」は、引数の2つの領域が完全に一致している場合に「true」を返す関数である。
【0086】
なお、図17の採点基準設定画面251では、規定精度49(「Default precision」)が設定されている。既定精度49は、正答範囲からの、正答として許容されるずれ量を定めるものである。図17では、既定精度49が「0」に設定されているため、図16に示す回答図形75の各点が、基準矩形65の頂点と完全に一致している場合にのみ、採点関数「same」の値が「true」となる。これに対し、例えば既定精度49の値を「1」に設定すると、回答図形75の各点の、基準矩形65の頂点からのずれが1以下であれば、採点関数「same」の値が「true」となる。既定精度49の設定は、上述した図6、10、11、15の採点基準設定画面251に含まれていてもよい。
【0087】
採点ロジック情報45では、「score=same」との論理式により得点が定められている。図16、17の例では、判定領域R5は、回答図形75に係る回答領域U0と一致しないため、採点変数「same」は「false(0)」となり、「score」は「0」となる。このように、図17の採点基準設定画面251により生成される採点基準データ332は、採点処理において、回答図形75と、参照図形としての基準矩形65との形状の類比に係る判定に用いられる。
【0088】
(実施例4)
次に、実施例4として、参照図形と回答図形との面積の比較に係る採点基準を設定する場合について説明する。
【0089】
図18は、実施例4に係る参照図形設定画面252を示す図である。
図18では、参照図形として、原点を中心とする一辺の長さが6の基準矩形66が描かれている。基準矩形66は、当該基準矩形65を境界線とする判定領域R6を表す。また、座標平面51上の6点を結ぶ六角形の回答図形76が描かれている。回答図形76は、当該回答図形76を境界線とする回答領域U1を表す。
【0090】
図19は、図18の参照図形設定画面252の内容が反映された採点基準設定画面251の例を示す図である。
図19の採点基準設定画面251の参照形状情報42では、参照形状として、回答座標領域を表す「graphBounds」に加えて、図18に示した判定領域「R6」が定義されて表示されている。
【0091】
回答図形情報43では、回答図形76が表す領域「U1」が定義されている。
【0092】
採点変数情報44では、採点変数「intersection」が定義されている。採点変数「intersection」には、判定領域「R6」と、回答図形情報43に係る領域「U1」と、を引数とする自動採点関数「overlap」の値が代入されている。自動採点関数「overlap」は、(引数の2つの領域が重複する面積)/(引数の所定の一方の領域の面積)の値を返す関数である。
【0093】
採点ロジック情報45では、「score=intersection>0.75」との論理式により得点が定められている。これによれば、採点変数「intersection」の値が0.75より大きい場合に得点が「1」となる。このように、図19の採点基準設定画面251により生成される採点基準データ332は、採点処理において、回答図形76と、参照図形としての基準矩形66との面積の比較に係る判定に用いられる。
【0094】
(実施例5)
次に、実施例5として、所定の関数のグラフを表す参照図形と、回答領域との形状の類比や距離に係る採点基準を生成する場合について説明する。
【0095】
図20は、変形例5に係る参照図形設定画面252の例を示す図である。
図20に示す参照図形設定画面252では、2つの一次関数のグラフを表す基準線67a、67bが描かれている。基準線67a、67bは、参照図形の一例である。また、基準線67aに対応する直線の回答図形77aと、基準線67bに対応する直線の回答図形77bと、が描かれている。このような参照図形に基づいて、例えば以下の(i)~(iii)のような採点変数を設定することができ、これらの採点変数を組み合わせた採点ロジックにより得点を算出することができる。
(i)回答図形77aの各端点と、基準線67aとの距離
(ii)回答図形77bの各端点と、基準線67bとの距離
(iii)回答図形77a、77bの交点77cと、基準線67a、67bの交点67cとの異同、又は距離
例えば、(i)、(ii)の距離が1以下である場合にそれぞれ得点「1」を加算し、(iii)の交点77c、67cが一致している場合に得点「1」を加算する、といった採点ロジックを設定することができる。
【0096】
図21は、変形例5に係る参照図形設定画面252の他の例を示す図である。
図21に示す参照図形設定画面252では、双曲線関数のグラフを表す2つの基準線68a、68bが描かれている。基準線68a、68bは、参照図形の一例である。また、基準線68a、68bに対応する双曲線の回答図形78a、78bが描かれている。このような参照図形に基づいて、例えば以下の(i)~(iv)のような採点変数を設定することができ、これらの採点変数を組み合わせた採点ロジックにより得点を算出することができる。
(i)回答図形78aを囲む最小の矩形と、基準線68aを囲む最小の矩形との面積の重複率
(ii)回答図形78bを囲む最小の矩形と、基準線68bを囲む最小の矩形との面積の重複率
(iii)回答図形78a、78bと基準線68a、68bとの形状の類比
(iv)回答図形78a、78bの漸近線78cのx座標
例えば、(i)、(ii)の重複率が0.75以上である場合にそれぞれ得点「1」を加算し、(iii)が所定の類比条件を満たす場合に得点「1」を加算し、(iv)の漸近線の座標が所定値と一致する(又は、所定範囲内にある)場合に得点「1」を加算する、といった採点ロジックを設定することができる。
【0097】
図22は、変形例5に係る参照図形設定画面252の他の例を示す図である。
図22に示す参照図形設定画面252では、2次関数のグラフを表す基準線69aと、基準線69aの極小点を中心とする基準矩形69bと、が描かれている。基準矩形69bは、当該基準矩形69bを境界線とする判定領域R7を表す。基準線69a及び基準矩形69bは、参照図形の一例である。また、また、基準線69aに対応する曲線の回答図形79aが描かれている。このような参照図形に基づいて、例えば以下の(i)~(iii)のような採点変数を設定することができ、これらの採点変数を組み合わせた採点ロジックにより得点を算出することができる。
(i)回答図形79aを囲む最小の矩形と、基準線69aを囲む最小の矩形との面積の重複率
(ii)回答図形79aと基準線69aとの形状の類比
(iii)回答図形79aの特徴点としての極小点が、判定領域R7の範囲内にあるか否か
例えば、(i)の重複率が0.75以上である場合にそれぞれ得点「1」を加算し、(ii)が所定の類比条件を満たす場合に得点「1」を加算し、(iii)の極小点の位置関係が満たされている場合に得点「1」を加算する、といった採点ロジックを設定することができる。
なお、基準線69aに係る2次関数が上に凸の形状である場合には、特徴点として極大点を用いることができる。また、基準線69aが3次関数のグラフを表す場合には、極大点、極小点又は変曲点を特徴点としてもよい。
【0098】
<効果>
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置としての採点サーバ10は、座標平面51である直交座標系に図形を描画させる設問に対する回答図形の採点処理において参照される、採点基準データ332を生成する処理部としてのCPU11を備える。CPU11は、ユーザ操作に基づいて、クライアント端末20の表示部25に表示されている座標平面51に参照図形(基準線61、基準矩形62等)を描画させ、当該参照図形に基づいて定められた採点基準に係る情報を含む採点基準データ332を生成する。これにより、視覚的かつ直感的な方法で簡易に採点基準を設定することができる。また、表示させる参照図形の形状を調整する簡易な操作で、採点基準を容易に調整することができる。また、正答範囲を数値入力のみにより設定する従来の方法と比較して、採点基準の設定に誤りがある場合に容易に判別することができる。また、複数の参照図形を組み合わせることで、詳細かつ柔軟に採点基準を設定することができる。
【0099】
また、実施例1において、参照図形としての基準矩形62は、当該基準矩形62を境界線とする判定領域R0、R1を表し、採点基準データ332は、採点処理において、回答図形71が判定領域R0、R1を通るか否かの判定に用いられる。また、実施例2において、参照図形としての基準線63、64は、当該基準線63、64を境界線とする判定領域R2、R3を表し、採点基準データ332は、採点処理において、回答図形71が判定領域R2、R3を通るか否かの判定に用いられる。これにより、採点基準に用いる正答範囲を、視覚的かつ直感的な方法で簡易に設定することができる。
【0100】
また、実施例1において、参照図形としての基準矩形62は、当該基準矩形62を境界線とする判定領域R0、R1を表し、採点基準データ332は、採点処理において、回答図形71の特徴点としての端点P0、P1が判定領域R0、R1内に位置しているか否かの判定に用いられる。これにより、採点基準に用いる正答範囲を、視覚的かつ直感的な方法で簡易に設定することができる。
【0101】
また、実施例5において、回答図形77a、77b、78a、78b、79aは、直線又は曲線のグラフであり、特徴点は、直線の端点、又は曲線の端点、極大点、極小点若しくは変曲点である。これにより、直線又は曲線を描画させる設問における採点基準を、簡易かつ適切に設定することができる。
【0102】
また、実施例1、3、4において、参照図形としての基準矩形62、65、66は、座標平面51の座標軸に平行な辺を有する矩形である。これにより、簡易な処理で参照図形と回答図形との位置関係を特定することができる。
【0103】
また、実施例1、3、4において、CPU11は、座標平面51上で基準矩形62、65、66の対頂点の位置を指定するユーザ操作に基づいて当該基準矩形62、65、66の座標平面51における位置を特定する。これにより、簡易な操作で参照図形を表示させることができる。
【0104】
また、実施例2において、参照図形は、2つの基準線63、64を含み、当該2つの基準線63、64を境界線とする判定領域R4を表す。これにより、各基準線の傾きや切片を調整することで、簡易かつ柔軟に判定領域を設定することができる。
【0105】
また、実施例2において、CPU11は、座標平面51において基準線63、64の一方側又は他方側を指示するユーザ操作に基づいて判定領域R2、R3を設定し、基準線63、64の一方側又は他方側を指示するユーザ操作は、基準線63、64が表示された表示画面において所定のカーソル55を基準線63、64の一方側又は他方側に位置させる操作である。これにより、簡易な操作で判定領域を指定することができる。
【0106】
また、実施例3、5に係る採点基準データ332は、採点処理において、回答図形と参照図形との形状の類比に係る判定に用いられる。これにより、形状の類比に係る採点基準を、視覚的かつ直感的な方法で簡易に設定することができる。
【0107】
また、実施例4における参照図形としての基準矩形66は、座標平面51において所定の領域を占める図形であり、採点基準データ332は、採点処理において、回答図形76と基準矩形66との面積の比較に係る判定に用いられる。これにより、面積の比較に係る採点基準を、視覚的かつ直感的な方法で簡易に設定することができる。
【0108】
また、実施例5に係る採点基準データ332は、採点処理において、図20の回答図形77a、77bの特徴点としての端点と、参照図形としての基準線67a、67bとの距離に係る判定に用いられる。これにより、参照図形からの距離(すなわち、回答図形の位置)に係る採点基準を、視覚的かつ直感的な方法で簡易に設定することができる。
【0109】
また、CPU11は、採点基準データ332と、回答図形に係る回答データ333と、を含む採点用個別データ334に基づいて採点処理を実行する。これにより、設定した採点基準に基づく自動採点を行うことができる。
【0110】
また、本実施形態に係る採点システム1は、第1の処理部及び第2の処理部としての採点サーバ10のCPU11を備える。第1の処理部としてのCPU11は、座標平面51である直交座標系に図形を描画させる設問に対する回答図形の採点処理において参照される、採点基準データ332を生成し、第2の処理部としてのCPU11は、採点基準データ332と、回答図形に係る回答データ333と、を含む採点用個別データ334に基づいて採点処理を実行する。第1の処理部としてのCPU11は、ユーザ操作に基づいて、クライアント端末20の表示部25に表示されている座標平面51に参照図形(基準線61、基準矩形62等)を描画させ、当該参照図形に基づいて定められた採点基準に係る情報を含む採点基準データ332を生成する。これにより、視覚的かつ直感的な方法で簡易に採点基準を設定することができる。
【0111】
また、本実施形態に係る採点基準生成プログラム131は、コンピュータとしての採点サーバ10のCPU11に、座標平面51である直交座標系に図形を描画させる設問に対する回答図形の採点処理において参照される、採点基準データ332を生成する処理を実行させる。当該処理では、CPU11は、ユーザ操作に基づいて、クライアント端末20の表示部25に表示されている座標平面51に参照図形(基準線61、基準矩形62等)を描画させ、当該参照図形に基づいて定められた採点基準に係る情報を含む採点基準データ332を生成する。これにより、視覚的かつ直感的な方法で簡易に採点基準を設定することができる。
【0112】
また、本実施形態に係る情報処理方法は、コンピュータとしての採点サーバ10のCPU11により実行される情報処理方法であって、座標平面51である直交座標系に図形を描画させる設問に対する回答図形の採点処理において参照される、採点基準データ332を生成するステップを含み、当該ステップでは、ユーザ操作に基づいて、クライアント端末20の表示部25に表示されている座標平面51に参照図形(基準線61、基準矩形62等)を描画させ、当該参照図形に基づいて定められた採点基準に係る情報を含む採点基準データ332を生成する。これにより、視覚的かつ直感的な方法で簡易に採点基準を設定することができる。
【0113】
<その他>
なお、上記実施形態における記述は、本発明に係る情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法の一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、採点システム1が採点サーバ10、クライアント端末20及びクライアントサーバ30を備える例を挙げて説明したが、これに限られない。例えば、採点システム1は、採点サーバ10、クライアント端末20及びクライアントサーバ30の機能を備えた1つの情報処理装置を有していてもよい。また、採点サーバ10、クライアント端末20及びクライアントサーバ30の機能を、2以上の任意の数の情報処理装置に分担させてもよい。また、当該機能の一部は、クラウドコンピューティグにより実現されていてもよい。例えば、採点基準の生成UIを提供して採点基準データ332を生成するCPU(第1の処理部)と、採点処理を行うCPU(第2の処理部)とが、別個のサーバに設けられていてもよい。
【0114】
また、採点基準データ332の生成に係る処理、及び採点処理において用いられるプログラムやデータ(例えば、採点基準生成プログラム131、採点プログラム132、自動採点スクリプト331、採点基準データ332、回答データ333、採点用個別データ334、及び採点結果データ335)は、必ずしも上記実施形態に示した記憶部に記憶されていなくてもよく、任意の外部のファイルサーバ等に記憶されていてもよい。
【0115】
また、採点基準に係る採点ロジックは、何らかの形で参照図形の位置や形状を参照するものであればよく、上記実施形態に例示したものに限られない。
【0116】
また、採点基準データ332に回答データ333を挿入して得られた採点用個別データ334を用いて採点処理を行う例を挙げて説明したが、これに限られず、採点基準に係る採点基準情報と、回答に係る回答情報とを参照するものであれば、任意の方法で採点処理を行うことができる。
【0117】
また、上記実施形態では、座標平面であるxy直交座標系に図形を描画する例を用いて説明したが、これに限られず、座標空間であるxyz直交座標系に図形を描画する場合に本発明を適用してもよい。この場合において、参照図形、回答図形及び正答図形は、座標空間における立体であってもよい。
【0118】
また、上記実施形態における採点システム1、採点サーバ10、クライアント端末20及びクライアントサーバ30の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0119】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
座標平面又は座標空間である直交座標系に図形を描画させる設問に対する回答図形の採点処理において参照される、採点基準情報を生成する処理部を備え、
前記処理部は、ユーザ操作に基づいて表示部に表示されている前記直交座標系に参照図形を描画させ、前記参照図形に基づいて定められた採点基準に係る情報を含む前記採点基準情報を生成する
ことを特徴とする情報処理装置。
<請求項2>
前記参照図形は、前記参照図形を境界線とする所定の判定領域を表し、
前記採点基準情報は、前記採点処理において、前記回答図形が前記判定領域を通るか否かの判定に用いられる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
<請求項3>
前記参照図形は、前記参照図形を境界線とする所定の判定領域を表し、
前記採点基準情報は、前記採点処理において、前記回答図形の所定の特徴点が前記判定領域内に位置しているか否かの判定に用いられる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
<請求項4>
前記回答図形は、直線又は曲線のグラフであり、
前記特徴点は、前記直線の端点、又は前記曲線の端点、極大点、極小点若しくは変曲点である
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
<請求項5>
前記参照図形は、前記直交座標系の座標軸に平行な辺を有する矩形であることを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
<請求項6>
前記処理部は、前記直交座標系において前記参照図形の対頂点の位置を指定する前記ユーザ操作に基づいて当該参照図形の前記直交座標系における位置を特定することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
<請求項7>
前記参照図形は、2以上の基準線を含み、当該2以上の基準線を境界線とする前記判定領域を表すことを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
<請求項8>
前記処理部は、前記直交座標系において前記基準線の一方側又は他方側を指示する前記ユーザ操作に基づいて前記判定領域を設定し、
前記基準線の一方側又は他方側を指示する前記ユーザ操作は、前記基準線が表示された表示画面において所定のカーソルを前記基準線の一方側又は他方側に位置させる操作であることを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
<請求項9>
前記採点基準情報は、前記採点処理において、前記回答図形と前記参照図形との形状の類比に係る判定に用いられることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
<請求項10>
前記参照図形は、前記直交座標系において所定の領域を占める図形であり、
前記採点基準情報は、前記採点処理において、前記回答図形と前記参照図形との面積の比較に係る判定に用いられることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
<請求項11>
前記採点基準情報は、前記採点処理において、前記回答図形の所定の特徴点と前記参照図形との距離に係る判定に用いられることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
<請求項12>
前記処理部は、前記採点基準情報と、前記回答図形に係る回答情報と、に基づいて前記採点処理を実行することを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
<請求項13>
第1の処理部及び第2の処理部を備え、
前記第1の処理部は、座標平面又は座標空間である直交座標系に図形を描画させる設問に対する回答図形の採点処理において参照される、採点基準情報を生成し、
前記第2の処理部は、前記採点基準情報と、前記回答図形に係る回答情報と、に基づいて前記採点処理を実行し、
前記第1の処理部は、ユーザ操作に基づいて表示部に表示されている前記直交座標系に参照図形を描画させ、前記参照図形に基づいて定められた採点基準に係る情報を含む前記採点基準情報を生成する
ことを特徴とする情報処理システム。
<請求項14>
コンピュータに、座標平面又は座標空間である直交座標系に図形を描画させる設問に対する回答図形の採点処理において参照される、採点基準情報を生成する処理を実行させ、
前記処理では、ユーザ操作に基づいて表示部に表示されている前記直交座標系に参照図形を描画させ、前記参照図形に基づいて定められた採点基準に係る情報を含む前記採点基準情報を生成する
ことを特徴とするプログラム。
<請求項15>
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
座標平面又は座標空間である直交座標系に図形を描画させる設問に対する回答図形の採点処理において参照される、採点基準情報を生成するステップを含み、
前記ステップでは、ユーザ操作に基づいて表示部に表示されている前記直交座標系に参照図形を描画させ、前記参照図形に基づいて定められた採点基準に係る情報を含む前記採点基準情報を生成する
ことを特徴とする情報処理方法。
【符号の説明】
【0120】
1 採点システム(情報処理システム)
10 採点サーバ(情報処理装置)
11 CPU(処理部、第1の処理部、第2の処理部)
13 記憶部
131 採点基準生成プログラム
132 採点プログラム
20 クライアント端末
21 CPU
23 記憶部
231 ブラウザ
25 表示部
251 採点基準設定画面
252 参照図形設定画面
30 クライアントサーバ
31 CPU
33 記憶部
331 自動採点スクリプト
332 採点基準データ(採点基準情報)
333 回答データ(回答情報)
334 採点用個別データ(採点基準情報、回答情報)
335 採点結果データ
41 参照正答情報
42 参照形状情報
43 回答情報
44 採点変数情報
45 採点ロジック情報
461 設問ID
462 小問ID
47 保存ボタン
48 参照図形描画ボタン
49 既定精度
51 座標平面(直交座標系)
52 モード選択ボタン
53 テキストボックス
54 情報表示部
55 カーソル
61、63、64、67a、67b、68a、68b、69a 基準線(参照図形)
62、65、66、69b 基準矩形(参照図形)
71、75、76、77a、77b、78a、78b、79a 回答図形
N 通信ネットワーク
P0、P1 端点(特徴点)
R0~R7 判定領域
U0、U1 回答領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22