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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189940
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】共振回路用の装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/06 20060101AFI20221215BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20221215BHJP
【FI】
H05B6/06 386
A24F40/465
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022172311
(22)【出願日】2022-10-27
(62)【分割の表示】P 2021131786の分割
【原出願日】2018-03-27
(31)【優先権主張番号】1705206.9
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】アビ アウン, ワリード
(72)【発明者】
【氏名】ファロン, ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト, ジュリアン ダリン
(72)【発明者】
【氏名】ホロッド, マーティン ダニエル
(57)【要約】
【課題】エアロゾル発生装置のサセプタを誘導加熱するためのRLC共振回路とともに使用するための新規な装置を提供する。
【解決手段】エアロゾル発生装置のサセプタを誘導加熱するためのRLC共振回路とともに使用するための方法及び装置が開示されている。本装置は、RLC共振回路の共振周波数を決定し、決定された共振周波数に基づいて、RLC共振回路がサセプタを誘導加熱させるための、決定された共振周波数より上又は下の第1の周波数を決定するように構成される。本装置は、サセプタを加熱するために、決定された第1の周波数になるようにRLC共振回路の駆動周波数を制御するように構成することができる。本装置を備えたエアロゾル発生装置もまた開示される。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置のサセプタを誘導加熱するためのRLC共振回路とともに使用するための装置であって、
前記RLC共振回路の共振周波数を決定し、
前記決定された共振周波数に基づいて、前記サセプタを誘導加熱させるための、前記決定された共振周波数より上又は下の前記RLC共振回路のための第1の周波数を決定する、
ように構成された装置。
【請求項2】
前記第1の周波数が、所与の供給電圧で前記サセプタを第1の度合いに誘導加熱させるためのものであり、前記第1の度合いが第2の度合いより小さく、前記第2の度合いが、前記RLC回路が前記共振周波数で駆動されているときに、前記サセプタが前記所与の供給電圧で誘導加熱される度合いである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記サセプタを加熱するために、前記決定された第1の周波数になるように前記RLC共振回路の駆動周波数を制御するように構成された、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
第1の期間の間、前記第1の周波数に保持するように前記駆動周波数を制御するように構成された、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
それぞれ互いに異なる複数の第1の周波数のうちの1つになるように前記駆動周波数を制御するように構成された、請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
ある順序に従って、前記複数の第1の周波数を経るように前記駆動周波数を制御するように構成された、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
複数の予め決められた順序のうちの1つから前記順序を選択するように構成された、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記順序の中の前記複数の第1の周波数のそれぞれが、前記順序の中のその前の第1の周波数よりも前記共振周波数に近くなるように前記駆動周波数を制御する、又は、
前記順序の中の前記複数の第1の周波数のそれぞれが、前記順序の中のその前の第1の周波数よりも前記共振周波数から離れるように前記駆動周波数を制御する、ように構成された、請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
1つ又は複数の期間のそれぞれの間、前記複数の第1の周波数のうちの1つ又は複数に保持するように前記駆動周波数を制御するように構成された、請求項5~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記駆動周波数の関数として前記RLC回路の電気的特性を測定し、
前記測定に基づいて前記RLC回路の前記共振周波数を決定する、ように構成された、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記RLC回路が駆動される前記駆動周波数の関数としての、前記RLC回路の前記測定された電気的特性に基づいて前記第1の周波数を決定するように構成された、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記電気的特性が、前記RLC回路のインダクタ両端間で測定された電圧であり、前記インダクタが前記サセプタにエネルギーを伝達するためのものである、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
前記電気的特性の前記測定が受動的な測定である、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項14】
前記電気的特性が、センスコイルに誘導された電流を示し、前記センスコイルが前記RLC回路のインダクタからエネルギーが伝達されるためのものであり、前記インダクタが前記サセプタにエネルギーを伝達するためのものである、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記電気的特性がピックアップコイルに誘導された電流を示し、前記ピックアップコイルが供給電圧要素からエネルギーが伝達されるためのものであり、前記供給電圧要素が駆動要素に電圧を供給するためのものであり、前記駆動要素が前記RLC回路を駆動するためのものである、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
実質的に前記エアロゾル発生装置の起動時に、並びに/或いは、実質的に新規及び/又は交換のサセプタを前記エアロゾル発生装置に取り付けた時に、並びに/或いは、実質的に新規及び/又は交換のインダクタを前記エアロゾル発生装置に取り付けた時に、前記RLC回路の前記共振周波数、及び/又は前記第1の周波数を決定するように構成された、請求項1~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記共振周波数に対応する前記RLC回路の応答のピークのバンド幅を示す特性を決定し、
前記決定された特性に基づいて前記第1の周波数を決定する、ように構成された、請求項1~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
複数の周波数のうちの1つ又は複数で前記RLC共振回路を駆動するように構成された駆動要素を備え、
前記決定された第1の周波数で前記RLC共振回路を駆動するように前記駆動要素を制御するように構成された、請求項1~17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記駆動要素がHブリッジドライバを備えた、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記RLC共振回路をさらに備える、請求項1~19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
エアロゾル発生材料を加熱し、以て、使用時にエアロゾルを発生させるように構成されたサセプタであって、RLC共振回路によって誘導加熱するように構成されたサセプタと、
請求項1~20のいずれか一項に記載の装置と、
を備えるエアロゾル発生装置。
【請求項22】
前記サセプタが、ニッケル及び鋼のうちの1つ又は複数を含む、請求項21に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項23】
前記サセプタが、ニッケルコーティングを有する本体を備えた、請求項22に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項24】
前記ニッケルコーティングの厚さが実質的に5μmより薄い、又は実質的に2μm~3μmの範囲である、請求項23に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項25】
前記ニッケルコーティングが前記本体に電気めっきされている、請求項23又は24に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項26】
前記サセプタが軟鋼のシートである、又は軟鋼のシートを備えた、請求項22~25のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項27】
軟鋼の前記シートの厚さが実質的に10μm~実質的に50μmの範囲、又は実質的に25μmである、請求項26に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項28】
エアロゾル発生装置のサセプタを誘導加熱するためのRLC共振回路とともに使用するための方法であって、
前記RLC回路の共振周波数を決定するステップと、
前記サセプタを誘導加熱させるための、前記決定された共振周波数より上又は下の前記RLC共振回路のための第1の周波数を決定するステップと、
を含む方法。
【請求項29】
前記サセプタを加熱するために、前記決定された第1の周波数になるように前記RLC共振回路の駆動周波数を制御するステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
処理システムで実行されるとき、前記処理システムに請求項28又は29に記載の方法を実行させるコンピュータプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RLC共振回路とともに使用するための装置に関し、より詳細には、エアロゾル発生装置のサセプタを誘導加熱するためのRLC共振回路に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻タバコ、葉巻タバコなどの喫煙品は、使用の間、タバコを燃焼させてタバコ煙を発生させる。燃焼させずに化合物を放出する製品を創出することによってこれらの喫煙品に代わるものを提供する試みがなされている。そのような製品の例としては、いわゆる「非燃焼-加熱式(heat-not-burn)」製品、又はタバコ加熱装置若しくはタバコ加熱製品がある。これらは、材料を燃焼するのではなく加熱することで化合物を放出する。その材料は、例えば、タバコでもよいし、他の非タバコ製品でもよい。非タバコ製品は、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様によれば、エアロゾル発生装置のサセプタを誘導加熱するためのRLC共振回路とともに使用するための装置であって、RLC共振回路の共振周波数を決定し、決定された共振周波数に基づいて、サセプタを誘導加熱させるための、決定された共振周波数より上又は下のRLC共振回路のための第1の周波数を決定するように構成された装置が提供される。
【0004】
第1の周波数は、所与の供給電圧でサセプタを第1の度合いに誘導加熱させるためのものであり、第1の度合いは第2の度合いより小さく、第2の度合いは、RLC回路が共振周波数で駆動されているときに、サセプタが所与の供給電圧で誘導加熱される度合いである。
【0005】
本装置は、サセプタを加熱するために、決定された第1の周波数になるようにRLC共振回路の駆動周波数を制御するように構成することができる。
【0006】
本装置は、第1の期間の間、第1の周波数に保持するように駆動周波数を制御するように構成することができる。
【0007】
本装置は、それぞれ互いに異なる複数の第1の周波数のうちの1つになるように駆動周波数を制御するように構成することができる。
【0008】
本装置は、ある順序に従って、複数の第1の周波数を経るように駆動周波数を制御するように構成することができる。
【0009】
本装置は、複数の予め決められた順序のうちの1つからその順序を選択するように構成することができる。
【0010】
本装置は、その順序の中の複数の第1の周波数のそれぞれが、その順序の中のその前の第1の周波数よりも共振周波数に近くなるように駆動周波数を制御するか、又は、その順序の中の複数の第1の周波数のそれぞれが、その順序の中のその前の第1の周波数よりも共振周波数から離れるように駆動周波数を制御するように構成することができる。
【0011】
本装置は、1つ又は複数の期間それぞれの間、複数の第1の周波数のうちの1つ又は複数に保持するように駆動周波数を制御するように構成することができる。
【0012】
本装置は、駆動周波数の関数としてRLC回路の電気的特性を測定し、その測定に基づいてRLC回路の共振周波数を決定するように構成することができる。
【0013】
本装置は、RLC回路が駆動される駆動周波数の関数としての、測定されたRLC回路の電気的特性に基づいて第1の周波数を決定するように構成することができる。
【0014】
電気的特性は、RLC回路のインダクタ両端間で測定された電圧とすることができ、インダクタはサセプタにエネルギーを伝達するためのものとすることができる。
【0015】
電気的特性の測定は受動的な測定とすることができる。
【0016】
電気的特性は、センスコイルに誘導された電流を示すことができ、センスコイルはRLC回路のインダクタからエネルギーが伝達されるためのものであり、インダクタはサセプタにエネルギーを伝達するためのものである。
【0017】
電気的特性はピックアップコイルに誘導された電流を示すことができ、ピックアップコイルは供給電圧要素からエネルギーが伝達されるためのものであり、供給電圧要素は駆動要素に電圧を供給するためのものであり、駆動要素はRLC回路を駆動するためのものである。
【0018】
本装置は、実質的にエアロゾル発生装置の起動時に、並びに/或いは、実質的に新規及び/又は交換のサセプタをエアロゾル発生装置に取り付けた時に、並びに/或いは、実質的に新規及び/又は交換のインダクタをエアロゾル発生装置に取り付けた時に、RLC回路の共振周波数、及び/又は第1の周波数を決定するように構成することができる。
【0019】
本装置は、共振周波数に対応するRLC回路の応答のピークのバンド幅を示す特性を決定し、決定された特性に基づいて第1の周波数を決定するように構成することができる。
【0020】
本装置は、複数の周波数のうちの1つ又は複数でRLC共振回路を駆動するように構成された駆動要素を備えることができ、本装置は、決定された第1の周波数でRLC共振回路を駆動するように駆動要素を制御するように構成される。
【0021】
駆動要素はHブリッジドライバを備えることができる。
【0022】
本装置は、RLC共振回路をさらに備えることができる。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、エアロゾル発生材料を加熱し、以て、使用時にエアロゾルを発生させるように構成され、RLC共振回路によって誘導加熱するように構成されたサセプタと、第1の態様による装置とを備えたエアロゾル発生装置が提供される。
【0024】
サセプタは、ニッケル及び鋼のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0025】
サセプタは、ニッケルコーティングを有する本体を備えることができる。
【0026】
ニッケルコーティングの厚さは実質的に5μmより薄い、又は実質的に2μm~3μmの範囲とすることができる。
【0027】
ニッケルコーティングは、本体に電気めっきすることができる。
【0028】
サセプタは軟鋼のシートとすることができる、又は軟鋼のシートを備えることができる。
【0029】
軟鋼のシートの厚さは実質的に10μm~実質的に50μmの範囲とすることができる、又は実質的に25μmとすることができる。
【0030】
本発明の第3の態様によれば、エアロゾル発生装置のサセプタを誘導加熱させるためのRLC共振回路とともに使用するための方法であって、RLC回路の共振周波数を決定するステップと、サセプタを誘導加熱させるための、決定された共振周波数より上又は下のRLC共振回路のための第1の周波数を決定するステップとを含む方法が提供される。
【0031】
本方法は、サセプタを加熱するために、決定された第1の周波数になるようにRLC共振回路の駆動周波数を制御するステップを含むことができる。
【0032】
本発明の第4の態様によれば、処理システムで実行されるとき、処理システムに第3の態様による方法を実行させるコンピュータプログラムが提供される。
【0033】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照して単なる例として挙げる本発明の好ましい実施形態の以下の説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】一例によるエアロゾル発生装置の概略図である。
図2a】第1の例によるRLC共振回路の概略図である。
図2b】第2の例によるRLC共振回路の概略図である。
図2c】第3の例によるRLC共振回路の概略図である。
図3a】共振周波数を示す、例示的なRLC共振回路の例示的な周波数応答の概略図である。
図3b】異なる駆動周波数を示す、例示的なRLC共振回路の例示的な周波数応答の概略図である。
図3c】一例による、時間の関数としてのサセプタの温度の概略図である。
図4】例示的な方法を概略的に示しているフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
誘導加熱は、電磁誘導によって導電性物体(又はサセプタ)を加熱するプロセスである。誘導ヒーターは、電磁石と、この電磁石に交流電流などの変動電流を流すための装置とを備えることができる。電磁石の変動電流は変動磁場を生じさせる。変動磁場は、電磁石に対して適切に配置されたサセプタに侵入し、サセプタ内部に渦電流を発生させる。サセプタは、渦電流に対して電気抵抗を有し、したがって、この抵抗に抗する渦電流の流れは、ジュール加熱によってサセプタを加熱する。サセプタが、鉄、ニッケル、又はコバルトなどの強磁性材料を含む場合、サセプタの磁気ヒステリシス損失によっても、すなわち、磁性材料内の磁気双極子の向きが、変動磁場と向きを合わせる結果として変動することによっても、熱を発生させることができる。
【0036】
誘導加熱では、例えば、伝導による加熱と比較すると、熱はサセプタ内部で発生し、それによって急速な加熱が可能になる。さらに、誘導ヒーターとサセプタとの間で何ら物理的な接触をする必要がなく、それによって、構造及び用途の自由度を大きくすることができる。
【0037】
電気的共振は、回路要素のインピーダンス又はアドミタンスの虚数部が互いに打ち消し合うとき、電気回路において特定の共振周波数で起きる。電気的共振を表す回路の1つの例は、直列に接続された、抵抗器によって与えられた抵抗(R)と、インダクタによって与えられたインダクタンス(L)と、コンデンサによって与えられたキャパシタンス(C)とを備えたRLC回路である。崩壊するインダクタの磁場が、コンデンサを充電するインダクタの巻線に電流を発生させるので、RLC回路で共振が起き、一方、放電するコンデンサは、インダクタに磁場を生じさせる電流を供給する。共振周波数で回路が駆動されると、インダクタとコンデンサの直列インピーダンスは最低になり、回路電流は最大になる。
【0038】
図1は、サセプタ116によってエアロゾル発生材料164を誘導加熱するためのRLC共振回路100を備えた例示的なエアロゾル発生装置150を概略的に示している。いくつかの例では、サセプタ116とエアロゾル発生材料164は一体のユニットを形成し、エアロゾル発生装置150に挿入することができ、及び/又はそれから取り外すことができ、使い捨てにすることができる。エアロゾル発生装置150は携帯型である。エアロゾル発生装置150は、エアロゾル発生材料164を加熱して、使用者が吸入するためのエアロゾルを発生させるように構成される。
【0039】
本書では、用語「エアロゾル発生材料」は、加熱されると、典型的には蒸気又はエアロゾルの形態の揮発成分を供する材料を含むことに留意されたい。エアロゾル発生材料は非タバコ含有材料であってもよいし、タバコ含有材料であってもよい。エアロゾル発生材料は、例えば、タバコ自体、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ抽出物、均質化タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数を含んでいてもよい。エアロゾル発生材料は、挽きタバコ、刻みラグタバコ、押出タバコ、再生タバコ、再生材料、液体、ゲル、ゲル化シート、粉末、又は塊などの形態とすることができる。エアロゾル発生材料は、他に非タバコ製品を含んでもよい。この非タバコ製品は、製品によってニコチンを含んでもよいし、含まないでもよい。エアロゾル発生材料は、グリセロール又はプロピレングリコールなどの、1つ又は複数の保湿剤を含んでもよい。
【0040】
図1に戻ると、エアロゾル発生装置150は、RLC共振回路100と、サセプタ116と、エアロゾル発生材料164と、制御器114と、バッテリー162とを収容する外装体151を備える。バッテリーは、RLC共振回路100に電力を供給するように構成される。制御器114は、RLC共振回路100を制御するように、例えば、バッテリー162からRLC共振回路100に供給される電圧、及びRLC共振回路100が駆動される周波数fを制御するように構成される。RLC共振回路100は、サセプタ116を誘導加熱するように構成される。サセプタ116は、使用時にエアロゾル発生材料364を加熱してエアロゾルを発生させるように構成される。外装体151は、使用時に発生したエアロゾルが装置150から出ることができるように吸い口160を備える。
【0041】
使用時、使用者は、例えば、ボタン(図示せず)又はそれ自体知られている吸煙検出器(図示せず)によって制御器114を作動させて、例えば、RLC共振回路100の共振周波数fで、RLC共振回路100を駆動させることができる。以て、共振回路100はサセプタ116を誘導加熱し、サセプタ116はエアロゾル発生材料164を加熱し、以て、エアロゾル発生材料164にエアロゾルを発生させる。エアロゾルは発生して、空気入口(図示せず)から装置150内に引き込まれた空気内に入り、以て、吸い口160に運ばれ、エアロゾルはそこで装置150から出る。
【0042】
制御器114及び装置150全体は、エアロゾル発生材料を燃焼させることなく、エアロゾル発生材料をある温度範囲に加熱して、エアロゾル発生材料の少なくとも1つの成分を揮発させるように構成することができる。例えば、その温度範囲は約50℃~約350℃、例えば、約50℃~約250℃、約50℃~約150℃、約50℃~約120℃、約50℃~約100℃、約50℃~約80℃、又は約60℃~約70℃とすることができる。いくつかの例では、その温度範囲は約170℃~約220℃である。いくつかの例では、その温度範囲はこの範囲以外であってもよく、温度範囲の上限は300℃より高くてもよい。
【0043】
サセプタ116が誘導加熱される度合い、したがって、サセプタ116がエアロゾル発生材料164を加熱する度合いを制御することが望ましい。例えば、サセプタ116が加熱される速度、及び/又はサセプタ116が加熱される程度を制御することは有用となり得る。例えば、発生させるエアロゾルの性質、香料、及び/又は温度などの発生させるエアロゾルの特性を変える、又は強めるために、例えば、特定の加熱プロファイルに従って(サセプタ116による)エアロゾル発生材料164の加熱を制御することは有用となり得る。別の例として、(サセプタ116による)エアロゾル発生材料164の加熱を異なる状態になるように制御する、例えば、エアロゾル発生媒体がエアロゾルを生成する温度より低い比較的低温にエアロゾル発生材料が加熱される「保持」状態と、エアロゾル発生材料164がエアロゾルを生成する比較的高温にエアロゾル発生材料164が加熱される「加熱」状態になるように制御することは有用となり得る。この制御は、エアロゾル発生装置150が、所与の起動信号からエアロゾルを発生させることができる時間を短縮する助けとなり得る。さらなる例としては、例えば、燃焼又は炭化しないように、例えば、特定の温度より高く加熱しないことを確実にするように、特定の範囲を超えないように(サセプタ116による)エアロゾル発生材料164の加熱を制御することは有用となり得る。例えば、サセプタ116が、エアロゾル発生材料164を燃焼又は炭化させないことを確実にするために、サセプタ116の温度が400℃を超えないことは、望ましいことがある。例えば、サセプタ116の加熱中、例えば、加熱速度が速い場合、全体として、サセプタ116の温度とエアロゾル発生材料164の温度との間に差があり得ることは認識されるであろう。したがって、いくつかの例では、制御しようとするサセプタ116の温度、又はサセプタ116が超えてはならない温度は、例えば、エアロゾル発生材料164を加熱したい温度、又はエアロゾル発生材料164が超えてはならない温度より高くなり得ることは認識されるであろう。
【0044】
RLC共振回路100によってサセプタ116の誘導加熱を制御する1つの可能な方法は、回路に与えられる供給電圧を制御することであり、それは、回路100に流れる電流を制御することができ、したがって、サセプタ116に伝達されるエネルギーをRLC共振回路100によって制御することができ、したがって、サセプタ116が加熱される度合いを制御することができる。しかしながら、供給電圧を調整することはコストの増大、必要なスペースの増大、及び電圧調整構成部品の損失による効率の低下をもたらす。
【0045】
本発明の例によれば、装置(例えば、制御器114)は、RLC共振回路100の駆動周波数fを制御することによって、サセプタ116が加熱される度合いを制御するように構成される。大ざっぱに言うと、下記でより詳細に説明するように、制御器114は、例えば、RLC共振回路100の共振周波数を調べることによって、又は、例えば、測定することによって、RLC共振回路100の共振周波数fを決定するように構成される。次いで、制御器114は、決定された共振周波数fに基づいて、サセプタを誘導加熱させるための第1の周波数を決定するように構成される。この第1の周波数は、決定された共振周波数fより上又は下である。次いで、制御器114は、サセプタ116を加熱するために、決定された第1の周波数になるようにRLC共振回路100の駆動周波数fを制御するように構成される。第1の周波数が、RLC共振回路100の共振周波数fより上又は下(すなわち、「共振外れ」)であるので、第1の周波数でRLC回路100を駆動すると、所与の電圧に対して、共振周波数fで駆動されるときと比べて、回路100に流れる電流Iは少なく、したがって、所与の電圧に対して、回路100が共振周波数fで駆動されるときと比べて、サセプタ116が誘導加熱される度合いは小さい。したがって、第1の周波数になるように共振回路の駆動周波数を制御することによって、回路に供給される電圧を制御する必要なしに、サセプタ116が加熱される度合いを制御することができ、したがって、より安価で、よりスペースのある、電力効率の良い装置150にすることができる。
【0046】
次に、図2aを参照すると、サセプタ116を誘導加熱するための例示的なRLC共振回路100が示されている。共振回路100は、直列に接続された、抵抗器104と、コンデンサ106と、インダクタ108とを備える。共振回路100は、抵抗Rと、インダクタンスLと、キャパシタンスCとを有する。
【0047】
回路100のインダクタンスLは、サセプタ116を誘導加熱するために構成されたインダクタ108によって与えられる。サセプタ116の誘導加熱は、インダクタ108によって発生させられた交流磁場によるものであり、それは、上記のように、サセプタ116内にジュール加熱、及び/又は磁気ヒステリシス損失を引き起こす。回路100のインダクタンスLの一部分は、サセプタ116の透磁性によるものであり得る。インダクタ108によって発生させられる変動磁場は、インダクタ108を流れる交流電流によって発生させられる。インダクタ108を流れる交流電流は、RLC共振回路100を流れる交流電流である。インダクタ108は、例えば、コイル状ワイヤ、例えば、銅コイルの形態とすることができる。インダクタ108は、例えば、リッツ線、例えば、個々に絶縁されたいくつかのワイヤを撚り合わせたワイヤを備えてもよい。リッツ線は、それ自体知られているように、表皮効果による電力損失を低減することができるので、MHzの範囲の駆動周波数fを用いるとき特に有用となり得る。これらの比較的高い周波数において、インダクタンスは低い値が必要である。別の例では、インダクタ108は、例えば、プリント回路基板上のコイル状トラックであってもよい。プリント回路基板上のコイル状トラックを使用すると、剛性の高い自立型トラックとなり、リッツ線(高価になり得る)に対するいかなる要件も不要にする断面を有し、低コストで高い再生産性を有して大量生産することができるので、有用となり得る。1つのインダクタ108が示されているが、1つ又は複数のサセプタ116を誘導加熱するために構成された1つ以上のインダクタがあってもよいことは容易に認識されるであろう。
【0048】
回路100のキャパシタンスCはコンデンサ106によって与えられる。コンデンサ106は、例えば、クラス1セラミックコンデンサ、例えば、C0Gコンデンサとすることができる。キャパシタンスCはまた、回路100の浮遊容量を含み得る。しかしながら、これは、コンデンサ106によって与えられるキャパシタンスCと比べると微小である、又は無視できる。
【0049】
回路100の抵抗Rは、抵抗器104と、共振回路100の構成部品を接続するトラック又はワイヤの抵抗と、インダクタ108の抵抗と、インダクタ108でエネルギー伝達するために構成されたサセプタ116によって与えられる、共振回路100を流れる電流に対する抵抗とによって与えられる。回路100が抵抗器104を備えることは必ずしも必要ではなく、回路100の抵抗Rは、接続するトラック又はワイヤ、インダクタ108、及びサセプタ116の抵抗によって与えることができることは認識されるであろう。
【0050】
回路100は、Hブリッジドライバ102によって駆動される。Hブリッジドライバ102は、共振回路100に交流電流を与えるための駆動要素である。Hブリッジドライバ102は、DC電圧供給部VSUPP110に接続され、アースGND112に接続される。DC電圧供給部VSUPP110は、例えば、バッテリー162からであってもよい。Hブリッジ102は、集積回路であってもよく、或いは、半導体式又は機械式の場合がある個別のスイッチング部品(図示せず)を備えてもよい。Hブリッジドライバ102は、例えば、高効率ブリッジ整流器であってもよい。それ自体知られているように、Hブリッジドライバ102は、スイッチング部品(図示せず)によって回路の両端間の電圧を逆転させる(次いで、戻す)ことによって、DC供給部VSUPP110から回路100に交流電流を与えることができる。これは、DCバッテリーによってRLC共振回路に電力を供給することができ、交流電流の周波数を制御することができるので有用となり得る。
【0051】
Hブリッジドライバ104は、制御器114に接続される。制御器114は、所与の駆動周波数fでRLC共振回路100に交流電流Iを与えるようにHブリッジ102又はその構成部品(図示せず)を制御する。例えば、駆動周波数fはMHzの範囲、例えば、0.5MHz~4MHzの範囲、例えば、2MHz~3MHzの範囲とすることができる。例えば、使用される特定の共振回路100(及び/又は、その構成部品)、制御器114、サセプタ116、及び/又は駆動要素102に応じて、他の周波数f又は周波数範囲を使用することができることは認識されるであろう。例えば、RLC共振回路100の共振周波数fは、回路100のインダクタンスL及びキャパシタンスCに依存し、それは、インダクタ108、コンデンサ106、及びサセプタ116に依存することは認識されるであろう。駆動周波数fの範囲は、例えば、使用される特定のRLC共振回路100及び/又はサセプタ116の共振周波数fの近くとすることができる。使用される共振回路100、並びに/或いは駆動周波数又は駆動周波数fの範囲は、所与のサセプタ116に対する他の要因に基づいて選択されてもよいことも認識されるであろう。例えば、インダクタ108からサセプタ116へのエネルギーの伝達を改善するために、表皮深さ(すなわち、インダクタ108からの交流磁場が吸収されるサセプタ116の表面からの深さ)をサセプタ116材料の厚さより浅くする、例えば、1/3~1/2にすることが有用となり得る。表皮深さは、サセプタ116の材料及び構造が異なると異なり、駆動周波数fが上がると浅くなる。したがって、いくつかの例では、比較的高い駆動周波数fを使用することが有利になり得る。他方では、例えば、電子装置内で熱として失われる、共振回路100及び/又は駆動要素102に供給される電力の割合を下げるために、低い駆動周波数fを使用することが有利になり得る。したがって、いくつかの例では、これらの要因の折衷案を、適切に、及び/又は望まれるように選ぶことができる。
【0052】
上記のように、制御器114は、RLC共振回路100の共振周波数fを決定し、次いで、決定された共振周波数fに基づいて、RLC共振回路100が駆動されるように制御される第1の周波数fを決定するように構成される。
【0053】
図3aは、共振回路100の周波数応答300を概略的に示している。図3aの例では、共振回路100の周波数応答300は、回路がHブリッジドライバ104によって駆動される駆動周波数fの関数として、回路100を流れる電流Iの概略プロットによって示されている。
【0054】
図2aの共振回路100は、インダクタ108とコンデンサ106の直列インピーダンスZが最低で、したがって、回路電流Iが最大となる共振周波数fを有する。したがって、図3aに示されているように、Hブリッジドライバ104が、共振周波数fで回路100を駆動するとき、回路100の交流電流I、したがって、インダクタ108の交流電流Iは最大Imaxとなる。したがって、インダクタ106によって発生させられた振動磁場は最大となり、したがって、インダクタ106によるサセプタ116の誘導加熱は最大となる。Hブリッジドライバ104が、共振外れである、すなわち、共振周波数fより上又は下の周波数fで回路100を駆動するとき、(所与の供給電圧VSUPP110に対して)回路100の交流電流I、したがって、インダクタ108の交流電流Iは最大よりも少なく、したがって、インダクタ106によって発生させられる振動磁場は最大より小さく、したがって、インダクタ106によるサセプタ116の誘導加熱は最大より少ない。したがって、図3aで分かるように、共振回路100の周波数応答300は、共振周波数fを中心とするピークを有し、したがって、共振周波数fの上及び下の周波数で次第に小さくなる。
【0055】
上記のように、制御器114は、回路100の共振周波数fを決定するように構成される。
【0056】
1つの例では、制御器114は、例えば、メモリ(図示せず)から共振周波数fを調べることによって、回路100の共振周波数fを決定するように構成される。例えば、回路100の共振周波数fは、例えば、装置150の製造時に、前もって計算又は測定又はその他の方法で決定されて、メモリ(図示せず)に予め記憶することができる。別の例では、回路100の共振周波数fは、例えば、使用者の入力(図示せず)から、或いは、例えば、別の装置又は入力から、制御器114に伝えられてもよい。回路が制御される元となる回路100の共振周波数fとして、予め記憶された共振周波数を使用することによって、回路100の簡単な制御が可能となる。たとえ、予め記憶された共振周波数が、回路100の実際の共振周波数と正確に同じでなくても、予め記憶された共振周波数100に基づいた有用な制御が可能となる。
【0057】
回路100(直列RLC回路)の共振周波数fは、回路100のキャパシタンスC及びインダクタンスLに依存し、次式で与えられる。
【0058】
【数1】

上記のように、回路100のインダクタンスLは、サセプタ116を誘導加熱するように構成されたインダクタ108によって与えられる。回路100のインダクタンスLの少なくとも一部分は、サセプタ116の透磁性によるものである。インダクタンスL、したがって、回路100の共振周波数fは、したがって、使用される特定のサセプタ(複数可)、及びインダクタ108(複数可)に対するその位置に依存し得、それは時々変化し得る。さらに、サセプタ116の透磁性は、サセプタ116の温度の変化とともに変化し得る。したがって、いくつかの例では、回路100の共振周波数をより正確に決定するために、回路100の共振周波数を測定することが有用となり得る。
【0059】
いくつかの例では、回路100の共振周波数を決定するために、制御器114は、RLC共振回路100の周波数応答300を測定するように構成される。例えば、制御器は、RLC回路が駆動される駆動周波数fの関数として、RLC回路100の電気的特性を測定するように構成することができる。制御器114は、RLC回路100が駆動される絶対周波数を決定するためにクロック発生器(図示せず)を備えてもよい。制御器114は、ある期間にわたって駆動周波数fのある範囲を走査するようにHブリッジ104を制御するように構成することができる。RLC回路100の電気的特性は、駆動周波数の走査中に測定することができ、したがって、駆動周波数fの関数としてRLC回路100の周波数応答300を決定することができる。
【0060】
この電気的特性の測定は受動的な測定、すなわち、共振回路100とのいかなる直接の電気的接触も含まない測定とすることができる。
【0061】
例えば、図2aに示された例を再び参照すると、電気的特性は、RLC回路100のインダクタ108によってセンスコイル120aに誘導された電流を示すことができる。図2aに示されているように、センスコイル120aは、インダクタ108からエネルギー伝達されるように配置され、回路100に流れる電流Iを検出するように構成される。センスコイル120aは、例えば、ワイヤのコイル、又はプリント回路基板上のトラックであってもよい。例えば、インダクタ108がプリント回路基板上のトラックの場合、センスコイル120aは、プリント回路基板上のトラックとすることができ、例えば、インダクタ108の平面に平行な平面に、インダクタ108の上方又は下方に配置することができる。別の例では、2つ以上のインダクタ108がある例では、センスコイル120aは、インダクタの両方からエネルギー伝達されるように、これらのインダクタ108間に配置することができる。例えば、これらのインダクタ108がプリント回路基板上のトラックであり、互いに平行な平面にある場合、センスコイル120aは、2つのインダクタの中間で、これらのインダクタ108に平行な平面にある、プリント回路基板上のトラックとすることができる。いずれの場合も、回路100、したがってインダクタ108に流れる交流電流Iによって、インダクタ108は交流磁場を発生する。交流磁場は、センスコイル120a内に電流を誘導する。センスコイル120a内に誘導された電流は、センスコイル120aの両端間に電圧VINDを生成する。センスコイル120aの両端間の電圧VINDは測定することができ、RLC回路100に流れる電流Iに比例する。センスコイル120aの両端間の電圧VINDは、Hブリッジドライバ104が共振回路100を駆動している駆動周波数fの関数として記録することができ、したがって、決定された回路100の周波数応答300を記録することができる。例えば、制御器114は、Hブリッジドライバ104を制御して共振回路100で交流電流を駆動している周波数fの関数としてセンスコイル120aの両端間の電圧VINDの測定値を記録することができる。次いで、制御器は、周波数応答300を分析して、ピークの中心にある共振周波数f、したがって、回路100の共振周波数を決定することができる。
【0062】
図2bは、RLC回路100の電気的特性の受動的な測定の別の例を示している。図2bは、図2aのセンスコイル120aがピックアップコイル120bに取り替えられていることを除いて図2aと同じである。図2bに示されているように、ピックアップコイル120bは、RLC回路の需要電力が変わることによってDC供給電圧ワイヤ又はトラック110を通って流れるDC電流が変わるときに、DC供給電圧ワイヤ又はトラック110によって生成された磁場の一部分を傍受するように配置される。DC供給電圧ワイヤ又はトラック110に流れる電流の変化によって生成される磁場は、ピックアップコイル120bに電流を誘導し、それがピックアップコイル120bの両端間の電圧VINDを生成する。例えば、理想的な場合では、DC供給電圧ワイヤ又はトラック110に流れる電流は直流のみのはずであるが、実際には、DC供給電圧ワイヤ又はトラック110に流れる電流は、例えば、Hブリッジドライバ104のスイッチングの不完全さによって、Hブリッジドライバ104によってある程度変調されることがある。したがって、これらの電流の変調は、ピックアップコイルに電流を誘導し、それは、ピックアップコイル120bの両端間の電圧VINDによって検出される。
【0063】
ピックアップコイル120bの両端間の電圧VINDは、Hブリッジドライバ104が共振回路100を駆動する駆動周波数fとして測定及び記録することができ、したがって、回路100の決定された周波数応答300を測定及び記録することができる。例えば、制御器114は、Hブリッジドライバ104を制御して共振回路100の交流電流を駆動する周波数fの関数としてピックアップコイル120aの両端間の電圧VINDの測定値を記録することができる。次いで、制御器は、周波数応答300を分析して、ピークの中心にある共振周波数f、したがって、回路100の共振周波数を決定することができる。
【0064】
いくつかの例では、Hブリッジドライバ104の不完全さによって引き起こされることがあるDC供給電圧ワイヤ又はトラック110の電流の変調成分を低減又は除去することが望ましいことがあることに留意されたい。これは、例えば、Hブリッジドライバ104の両端間にバイパスコンデンサ(図示せず)を実装することによって達成することができる。この場合、回路100の周波数応答300を決定するために使用されるRLC回路100の電気的特性は、ピックアップコイル120b以外の手段によって測定することができることは認識されるであろう。
【0065】
図2cは、RLC回路の電気的特性の能動的な測定の例を示している。図2cは、図2aのセンスコイル120aが、インダクタ108の両端間の電圧Vを測定するように構成された要素120c、例えば、受動的な差動回路120cに取り替えられていることを除いて図2aと同じである。共振回路100の電流Iが変化すると、インダクタ108の両端間の電圧Vは変化する。インダクタ108の両端間の電圧Vは、Hブリッジドライバ104が共振回路100を駆動する駆動周波数fの関数として測定及び記録することができ、したがって、回路100の決定された周波数応答300を測定及び記録することができる。例えば、制御器114は、Hブリッジドライバ104を制御して共振回路100の交流電流を駆動する周波数fの関数としてインダクタ108の両端間の電圧Vの測定値を記録することができる。次いで、制御器114は、周波数応答300を分析して、ピークの中心にある共振周波数f、したがって、回路100の共振周波数を決定することができる。
【0066】
図2a~図2cに示された例のそれぞれにおいて、又はその他において、制御器114は、周波数応答300を分析して、ピークの中心にある共振周波数fを決定することができる。例えば、制御器114は、知られているデータ分析技法を使用して、周波数応答から共振周波数を決定することができる。例えば、制御器は、周波数応答データから直接、共振周波数fを推定することができる。例えば、制御器114は、最大の応答が記録された周波数fを共振周波数fとして決定することができる、又は、2つの最大の応答が記録された周波数fを決定して、これらの2つの周波数fの平均を共振周波数fとして決定することができる。さらに別の例としては、制御器114は、RLC回路に対する周波数fの関数として電流I(又は、インピーダンスなどの別の応答)を示す関数を周波数応答データにフィットさせ、フィットさせた関数から共振周波数fを推定又は計算することができる。
【0067】
RLC回路100の周波数応答の測定に基づいて共振周波数fを決定することは、所与の回路100、サセプタ1116、又はサセプタ温度に対する共振周波数の仮定値に依存する必要性を除去し、したがって、回路100の共振周波数をより正確に決定することができ、したがって、共振回路100が駆動される周波数をより正確に制御することができる。さらに、この制御は、サセプタ116、又は共振回路100、又は装置全体350としての変化に対してよりロバストである。例えば、サセプタ116の温度の変化による(例えば、サセプタ116の温度の変化とともに、サセプタの透磁率の変化、したがって、共振回路100のインダクタンスLの変化による)共振回路100の共振周波数の変化は、この測定において考慮することができる。
【0068】
いくつかの例では、サセプタ116は交換可能とすることができる。例えば、サセプタ116は使い捨て可能とすることができ、例えば、加熱するように配置されたエアロゾル発生材料164と一体化することができる。したがって、測定による共振周波数の決定は、サセプタ116が交換されたとき、異なるサセプタ116間の違い、及び/又は、インダクタ108に対するサセプタ116の配置の違いを考慮することができる。さらに、インダクタ108、又は、実際、共振回路100のいかなる構成部品も、例えば、一定の使用後、又は損傷後、交換可能とすることができる。したがって、同様に、インダクタ108が交換されたとき、共振周波数の決定は、異なるインダクタ108間の違い、及び/又は、サセプタ116に対するインダクタ108の配置の違いを考慮することができる。
【0069】
したがって、制御器は、実質的にエアロゾル発生装置150の起動時に、並びに/或いは、実質的に新規及び/又は交換のサセプタ116をエアロゾル発生装置150に取り付けた時に、並びに/或いは、実質的に新規及び/又は交換のインダクタ108をエアロゾル発生装置150に取り付けた時に、RLC回路100の共振周波数を決定するように構成することができる。
【0070】
上記のように、制御器114は、決定された共振周波数に基づいて、サセプタ116を誘導加熱させるための、決定された共振周波数より上又は下(すなわち、共振外れ)の第1の周波数fを決定するように構成される。
【0071】
図3bは、1つの例による、RLC共振回路100の周波数応答300を概略的に示しており、特定の点(黒い円)が、異なる駆動周波数f、f、f、f’に対応する応答300上に示されている。図3bの例では、共振回路100の周波数応答300は、回路100が駆動される駆動周波数fの関数として、回路100に流れる電流Iを概略的にプロットすることによって示されている。応答300は、回路100が駆動される駆動周波数fの関数として、例えば、制御器114によって測定された、例えば、回路100の電流I(又は、その代わりに、別の電気的特性)に対応することができる。図3bに示されたように、また、上記のように、応答300は、共振周波数fの近くに中心があるピークを形成する。共振回路100が共振周波数fで駆動されると、所与の供給電圧に対して、共振回路100に流れる電流Iは最大Imaxとなる。共振回路が共振周波数fより上の(例えば、より高い)周波数f’で駆動されると、所与の供給電圧に対して、共振回路100に流れる電流Iは最大Imaxより少ない。同様に、共振回路が共振周波数fより下の(例えば、より低い)周波数f、f、fで駆動されると、所与の供給電圧に対して、共振回路100に流れる電流I、I、Iは最大Imaxより少ない。所与の供給電圧に対して、回路が共振周波数fで駆動されるときと比べて、第1の周波数f、f、f、f’のうちの1つで駆動されるときは、共振回路に流れる電流Iはより少ないので、共振回路110のインダクタ108からサセプタ116へのエネルギー伝達はより少なく、したがって、所与の供給電圧に対して、回路が共振周波数fで駆動されるときにサセプタ116が誘導加熱される度合いと比べて、サセプタ116が誘導加熱される度合いはより小さい。第1の周波数f、f、f、f’のうちの1つで駆動されるように共振回路100を制御することによって、制御器は、サセプタ116が加熱される度合いを制御することができる。
【0072】
認識されるように、共振回路100が駆動されるように制御される周波数が、共振周波数fから(上又は下に)離れれば離れるほど、サセプタ116が誘導加熱される度合いは小さくなる。それでもなお、第1の周波数f、f、f、f’のそれぞれにおいて、エネルギーは回路100のインダクタ108からサセプタ116に伝達され、サセプタ116は誘導加熱される。
【0073】
いくつかの例では、制御器114は、所定の量を、決定された共振周波数fに足す、又は決定された共振周波数fから引くことによって、或いは、所定の数を共振周波数fに掛ける、又は所定の数で共振周波数fを割ることによって、或いは、任意の他の操作によって、第1の周波数f、f、f、f’のうちの1つ又は複数を決定することができ、この第1の周波数で駆動されるように共振回路100を制御することができる。共振回路100が、第1の周波数f、f、f、f’で駆動されているときに、サセプタ116がそれでも誘導加熱されるように、すなわち、第1の周波数f、f、f、f’が、サセプタ116が実質的に誘導加熱されないほど離れた共振外れではないように、所定の量又は数又は他の操作を設定することができる。所定の量又は数又は操作は、前もって、例えば、製造中に決定又は計算することができ、例えば、制御器114によってアクセス可能なメモリ(図示せず)に記憶することができる。例えば、回路100の応答300は、前もって測定することができ、回路100の異なる電流I、I、I、すなわちサセプタ116の誘導加熱の異なる度合いに対応する第1の周波数f、f、f、f’をもたらす操作は決定され、制御器114によってアクセス可能なメモリ(図示せず)に記憶される。次いで、制御器は、サセプタ116が誘導加熱される度合いを制御するために、適切な操作、したがって、第1の周波数f、f、f、f’を選択することができる。
【0074】
他の例では、上記のように、制御器114は、例えば、回路100が駆動される駆動周波数fの関数として回路100の電気的特性を測定及び記録することによって、駆動周波数fの関数として共振回路100の応答300を決定することができる。上記のように、これは、例えば、装置150の起動時、又は回路100の構成部品の交換時に行うことができる。これに代えて、又はこれに加えて、装置の動作中にこれを行うことができる。次いで、制御器114は、例えば、上記のような技法を使用して、測定された応答300を分析することによって、共振周波数fに対して第1の周波数f、f、f、f’を決定することができる。次いで、制御器114は、サセプタ116が誘導加熱される度合いを制御するために、適切な第1の周波数f、f、f、f’を選択することができる。上記と同様に、測定された共振回路100の応答に基づいて第1の周波数を決定することによって、共振回路100の構成部品の交換又はそれらの相対的な配置、並びに、例えば、サセプタ116、共振回路100、又は装置150の温度又は他の状態が異なることによる応答300自体の変化など、装置150内の変化に対してより正確でロバストな制御が可能となる。
【0075】
いくつかの例では、制御器114は、応答300のピークのバンド幅を示す特性を決定することができ、決定された特性に基づいて第1の周波数f、f、f、f’を決定することができる。例えば、制御器は、応答300のピークのバンド幅Bに基づいて第1の周波数f、f、f、f’を決定することができる。図3aに示すように、ピークのバンド幅Bは、
【数2】

におけるピークのHzでの全幅である。共振回路100の応答300のピークのバンド幅Bを示す特性は、前もって、例えば、装置の製造中に決定し、制御器114によってアクセス可能なメモリ(図示せず)に予め記憶することができる。この特性は、応答300のピークの幅を示す。したがって、この特性の使用は、応答300を分析することなく、制御器114が、共振周波数fでの最大値に対する所与の度合いの誘導加熱をもたらす第1の周波数を決定するための簡単な方法を提供することができる。例えば、制御器114は、例えば、バンド幅Bを示す特性の部分又は倍数を、決定された共振周波数fに足す、又は決定された共振周波数fから引くことによって、第1の周波数を決定することができる。例えば、制御器114は、決定された共振周波数fを持ってきて、バンド幅Bの半分の周波数を、決定された共振周波数fに足す、又は決定された共振周波数fから引くことによって、第1の周波数を決定することができる。図3aから分かるように、この結果、回路に流れる電流Iは
【数3】

となり、したがって、所与の供給電圧に対して、回路100が共振周波数で駆動されるときと比べて、サセプタ116が加熱される度合いは小さくなる。
【0076】
他の例では、上記のように、制御器114は、回路100の応答300を分析することから、例えば、回路100が駆動される駆動周波数fの関数として回路100の電気的特性を測定することから、バンド幅Bを示す特性を決定することができることは認識されるであろう。
【0077】
回路100が駆動されるように制御される、決定された第1の周波数f、f、f、f’は、共振周波数fより上又は下(すなわち、共振外れ)であり、したがって、所与の供給電圧に対して、共振周波数fで駆動されるときと比べて、サセプタ116が共振回路100によって誘導加熱される度合いは小さい。以て、サセプタ116が誘導加熱される度合いの制御が達成される。
【0078】
上記のように、サセプタ116が加熱される速度、及び/又はサセプタ116が加熱される程度を制御することは有用となり得る。これを達成するために、制御器114は、共振回路100の駆動周波数fをそれぞれ互いに異なる第1の周波数f、f、f、f’のうちの1つ又は複数になるように制御することができる。例えば、複数の第1の周波数f、f、f、f’はそれぞれ、制御器114によって決定され、次いで、サセプタ116(したがって、エアロゾル発生材料164)が加熱される所望の度合いに従って、複数の第1の周波数f、f、f、f’のうちの適切な1つが選択される。
【0079】
上記のように、発生させるエアロゾルの性質、香料、及び/又は温度などの発生させるエアロゾルの特性を変える、又は強めるために、例えば、特定の加熱プロファイルに従って(サセプタ116による)エアロゾル発生材料164の加熱を制御することは有用となり得る。これを達成するために、制御器114は、共振回路100の駆動周波数fを、ある順序に従って、複数の第1の周波数を順次経るように制御することができる。例えば、この順序は加熱順序に相当することができ、この場合、サセプタ116が誘導加熱される度合いはその順序で増大する。例えば、制御器114は、その順序の中の第1の周波数のそれぞれが、その順序の中のその前の第1の周波数よりも共振周波数に近くなるように、共振回路100が駆動される駆動周波数fを制御することができる。例えば、図3bを参照すると、順序としては、第1の周波数fに続いて第1の周波数f、それに続いて第1の周波数fとすることができ、この場合、fはfよりも共振周波数fに近く、fはfよりも共振周波数fに近い。したがって、この場合、共振回路100に流れる電流Iは、I、続いてI、続いてIとなり、この場合、IはIより小さく、IはIより小さい。その結果、サセプタ116が誘導加熱される度合いは時間の関数として増大する。これは、エアロゾル発生材料164の時間的な加熱プロファイルを制御し、したがって調節し、したがって、例えば、エアロゾル送出を調節するために有用となり得る。したがって、装置150はより柔軟性がある。例えば、この順序は加熱順序に相当することができ、この場合、サセプタ116が誘導加熱される度合いはその順序で増大する。別の例として、制御器114は、その順序の中の第1の周波数のそれぞれが、その順序の中のその前の第1の周波数よりも共振周波数から離れるように、共振回路100が駆動される駆動周波数fを制御することができる。例えば、図3bを参照すると、順序としては、第1の周波数fに続いて第1の周波数f、それに続いて第1の周波数fとすることができ、したがって、共振回路100に流れる電流Iは、I、続いてI、続いてIとなり、この場合、IはIより小さく、IはIより小さい。その結果、サセプタ116が誘導加熱される度合いは時間の関数として減少する。これは、例えば、サセプタ116又はエアロゾル発生媒体164の温度をより制御して下げるために有用となり得る。上記の順序では、その順序の中の各周波数は、最後の周波数よりも共振周波数に近い(又は共振周波数から離れている)が、必ずしもそのようにする必要はなく、望むように、複数の第1の周波数の任意の順序を含む他の順序に従ってもよいことは認識されるであろう。
【0080】
いくつかの例では、制御器114は、例えば、制御器114によってアクセス可能なメモリ(図示せず)に記憶された、予め決められた複数の順序から複数の第1の周波数f、f、f、f’の順序を選択することができる。この順序は、例えば、上記の加熱順序又は冷却順序、或いは任意の他の予め決められた順序とすることができる。制御器114は、例えば、加熱又は冷却モード選択などの使用者の入力、使用されるサセプタ116又はエアロゾル発生媒体164のタイプ(例えば、使用者の入力によって、又は、別の識別手段から識別される)、サセプタ116又はエアロゾル発生媒体164の温度などの装置全体150からの動作入力などに基づいて、複数の順序のうちのどれを選択するかを決定することができる。これは、使用者の希望、又は動作環境に従って、エアロゾル発生材料164の時間的な加熱プロファイルを制御し、したがって調節するために有用となり得て、より柔軟性のある装置150を可能にする。
【0081】
いくつかの例では、制御器114は、第1の期間の間、駆動周波数fを第1の周波数f、f、f、f’に保持するように制御することができる。いくつかの例では、制御器114は、1つ又は複数の期間それぞれの間、第1の周波数fを複数の第1の周波数f、f、f、f’のうちの1つ又は複数に保持するように制御することができる。これによって、サセプタ116及びエアロゾル発生材料164の加熱プロファイルのさらなる調節及び柔軟性が可能となる。
【0082】
特定の例として、(サセプタ116による)エアロゾル発生材料164の加熱を異なる状態又はモードに制御すること、例えば、エアロゾル発生材料164が、ある期間の間、比較的低い「保持」又は「予熱」の度合いに加熱される「保持」状態、及び、ある期間の間、エアロゾル発生材料164が比較的高い度合いに加熱される「加熱」状態に制御することは有用となり得る。下記で説明するように、このような状態の制御は、エアロゾル発生装置150が、所与の起動信号からエアロゾルの実質的な量を発生することができるまでの時間を短縮する助けとなり得る。
【0083】
図3bには特定の例が概略的に示されており、この図は、1つの例によれば、時間tの関数としてサセプタ116(又は、エアロゾル発生材料164)の温度Tのプロットを概略的に示している。時刻tの前、装置150は「切」状態とすることができ、すなわち、電流は共振回路100に流れていない。したがって、サセプタ116の温度は周囲温度T、例えば21℃とすることができる。時刻tで、装置150は、例えば、使用者が装置150のスイッチを入れることによって「入」状態に切り替わる。制御器114は、第1の周波数fで駆動されるように回路100を制御する。制御器114は、期間P12の間、駆動周波数fを第1の周波数fに保持する。期間P12は、下記のように、時刻tでさらなる入力が制御器114によって受け取られるまで持続するような可変期間とすることができる。第1の周波数fで駆動されている回路100によって、交流電流Iが回路100、したがって、インダクタ108に流れ、したがって、サセプタ116が誘導加熱される。サセプタ116が誘導加熱されると、その温度(したがって、エアロゾル発生材料164の温度)は期間P12にわたって上昇する。この例では、サセプタ116(及び、エアロゾル発生材料164)は、定常温度Tに達するように期間P12に加熱される。温度Tは、周囲温度Tより高い温度とすることができるが、エアロゾル発生材料164がエアロゾルの実質的な量を発生する温度より低くすることができる。例えば、温度Tは100℃とすることができる。したがって、装置150は、「予熱」又は「保持」状態又はモードにあり、この場合、エアロゾル発生材料164は加熱されるが、エアロゾルは実質的には生成されない、又はエアロゾルの実質的な量は生成されない。時刻tで、制御器114は、起動信号などの入力を受け取る。起動信号は、使用者が装置150のボタン(図示せず)を押すことから、又はそれ自体知られている吸煙検出器(図示せず)から生じさせることができる。起動信号を受け取ると、制御器114は、共振周波数fで駆動されるように回路100を制御することができる。制御器114は、期間P23の間、駆動周波数fを共振周波数fに保持する。期間P23は、時刻tでさらなる入力が制御器114によって受け取られるまで、例えば、使用者がボタン(図示せず)をもはや押していない、又は吸煙検出器(図示せず)がもはや作動していないときまで、又は最高加熱期間が経過するまで持続するような可変期間とすることができる。共振周波数fで駆動されている回路100によって、交流電流IMAXが回路100及びインダクタ108に流れ、したがって、サセプタ116が、所与の電圧に対して、最大限まで誘導加熱される。サセプタ116が最大限まで誘導加熱されると、その温度(及びエアロゾル発生材料164の温度)は、期間P23にわたって上昇する。この例では、サセプタ116(及びエアロゾル発生材料164)は、定常温度TMAXに達するように期間P23に加熱される。温度TMAXは、「予熱」温度Tより高い温度で、実質的に、エアロゾル発生材料164がエアロゾルの実質的な量を発生する温度、又はそれより高い温度とすることができる。温度TMAXは、例えば、300℃とすることができる(しかしながら、もちろん、材料164、サセプタ116、装置105全体の構成、並びに/或いは他の要件及び/又は条件に応じた異なる温度であってもよい)。したがって、装置150は「加熱」状態又はモードにあり、この場合、エアロゾル発生材料164は、エアロゾルが実質的に生成される、又はエアロゾルの実質的な量が生成される温度に達する。エアロゾル発生材料164はすでに予熱されているので、装置150に対する起動信号からエアロゾルの実質的な量を生成するまでにかかる時間は、したがって、「予熱」又は「保持」状態が適用されていない場合と比べて短くなる。したがって、装置150はより速く反応する。
【0084】
上記の例では、制御器114は、起動信号を受け取ると、共振周波数fで駆動されるように共振回路100を制御したが、他の例では、制御器114は、「予熱」モード又は状態の第1の周波数fよりも共振周波数fに近い第1の周波数f、fで駆動されるように共振回路100を制御してもよい。
【0085】
いくつかの例では、サセプタ116はニッケルを含んでもよい。例えば、サセプタ116は、薄いニッケルコーティングを有する本体又は基板を備えてもよい。例えば、本体は、厚さが約25μmの軟鋼のシートであってもよい。他の例では、シートは、アルミニウム又はプラスチック又はステンレス鋼又は他の非磁性材料などの異なる材料より作られてもよく、並びに/或いは、10μm~50μmなどの異なる厚さを有してもよい。本体は、ニッケルでコーティング又は電気めっきされてもよい。ニッケルは、例えば、2μm~3μmなど、5μmより薄い厚さを有してもよい。コーティング又は電気めっきは別の材料のものでもよい。サセプタ116の厚さをほんのわずか、比較的薄くすると、使用時にサセプタ116を加熱するのに必要な時間を短縮する助けになり得る。サセプタ116をシートの形態にすると、サセプタ116からエアロゾル発生材料164への熱結合の効率を高くすることができる。サセプタ116は、エアロゾル発生材料164を備える消耗品に一体化されてもよい。サセプタ116材料の薄いシートは、この目的のために特に有用になり得る。サセプタ116は使い捨てにしてもよい。このようなサセプタ116は費用効果が高くなり得る。1つの例では、ニッケルでコーティング又はめっきされたサセプタ116は、エアロゾル発生装置150の作動範囲となることがある約200℃~約300℃の範囲の温度に加熱することができる。
【0086】
いくつかの例では、サセプタ116は鋼であってもよく、又は、鋼を含んでもよい。サセプタ116は、厚さが約10μm~約50μm、例えば約25μmの軟鋼のシートであってもよい。サセプタ116の厚さをほんのわずか、比較的薄くすると、使用時にサセプタを加熱するのに必要な時間を短縮する助けになり得る。サセプタ116は、例えば、使い捨てにすることができるエアロゾル発生材料164と一体化されるのとは反対に、装置105に一体化されてもよい。それでもなお、例えば、使用後に、例えば、使用中の熱応力及び酸化ストレスによる劣化後にサセプタ116の交換を可能にするために、サセプタ116は装置115から取り外し可能としてもよい。したがって、サセプタ116は「半永久」であってもよく、その場合には、まれに交換される。サセプタ116としての軟鋼シート又は箔、或いはニッケルコーティングの鋼シート又は箔は耐久性があり、したがって、例えば、多くの使用、及び/又はエアロゾル発生材料164との多くの接触での損傷に抗することができるので、この目的に特に適していることがある。サセプタ116をシートの形態にすると、サセプタ116からエアロゾル発生材料164への熱結合の効率を高くすることができる。
【0087】
鉄のキュリー温度Tは770℃である。軟鋼のキュリー温度Tはほぼ770℃である。コバルトのキュリー温度Tは1127℃である。1つの例では、軟鋼のサセプタ116は、エアロゾル発生装置150の作動範囲となることがある約200℃~約300℃の範囲の温度に加熱することができる。装置150のサセプタ116の作動温度範囲から離れたキュリー温度Tを有するサセプタ116は、この場合には、回路100の応答300に対する変化が、サセプタ116の作動温度範囲にわたって比較的小さくなり得るので、有用となり得る。例えば、250℃における軟鋼などのサセプタ材料の飽和磁化の変化は比較的小さくなり得、例えば、それは、周囲温度での値に対して10%より小さく、したがって、例示的な作動範囲における異なる温度で、その結果生じる回路100のインダクタンスLの変化、したがって共振周波数fの変化は比較的小さくなり得る。これによって、所定の値に基づいて、決定される共振周波数fを正確にすることができ、したがって、より簡単に制御することができる。
【0088】
図4は、エアロゾル発生装置150のサセプタ116を誘導加熱するためのRLC共振回路100を制御する方法400を概略的に示すフロー図である。ステップ402において、方法400は、例えば、メモリから調べる、又は測定することによって、RLC回路100の共振周波数fを決定するステップを含む。ステップ404において、方法400は、サセプタ116を誘導加熱させるための、決定された共振周波数fより上又は下の第1の周波数f、f、f、f’を決定するステップを含む。例えば、この決定は、予め記憶された量を共振周波数fに足す、又は共振周波数fから引くことによって、又は回路100の周波数応答の測定に基づいて行うことができる。ステップ406において、方法400は、サセプタ116を加熱するために、決定された第1の周波数f、f、f、f’になるようにRLC共振回路100の駆動周波数fを制御するステップを含む。例えば、制御器114は、制御信号をHブリッジドライバ114に送って、第1の周波数f、f、f、f’でRLC回路100を駆動することができる。
【0089】
制御器114は、プロセッサ及びメモリ(図示せず)を備えることができる。メモリは、プロセッサによって実行可能な命令を記憶することができる。例えば、メモリは命令を記憶することができ、これらの命令は、プロセッサで実行されるときにプロセッサに上記の方法400を実行させる、及び/又は、上記の例のうちのいずれか1つ又は組合せの機能を実行させることができる。これらの命令は、任意の適切な記憶媒体、例えば、非一時的な記憶媒体に記憶することができる。
【0090】
上記の例のいくつかは、回路が駆動される周波数fの関数としてのRLC共振回路100に流れる電流IによるRLC共振回路100の周波数応答300を参照したが、必ずしもそのようにする必要はなく、他の例では、RLC回路100の周波数応答300は、回路が駆動される周波数fの関数としてのRLC共振回路に流れる電流Iに関連し得る任意の測定値であってもよいことは認識されるであろう。例えば、周波数応答300は、周波数fに対する回路のインピーダンスの応答としてもよく、或いは、上記のように、回路が駆動される周波数fの関数としてのインダクタ両端間で測定された電圧、或いは、供給電圧線又はトラックに流れる電流の変化によってピックアップコイル内への電流の誘導から生じる電圧又は電流、或いは、RLC共振回路のインダクタ108によってセンスコイル内への電流の誘導から生じる電圧又は電流、或いは、無誘導のピックアップコイル又はホール効果デバイスなどの無誘導のフィールドセンサからの信号であってもよい。各場合において、周波数応答300のピークの周波数特性を決定することができる。
【0091】
上記の例のいくつかでは、応答300のピークのバンド幅Bが参照されたが、その代わりに、応答300のピークの幅の任意の他の指標が使用されてもよいことは認識されるであろう。例えば、任意の所定の応答振幅のピーク、又は最大応答振幅の、ある比率での全幅又は半幅が使用されてもよい。他の例では、共振回路100のいわゆる「Q」又は「品質」係数又は値は、Q=f/Bによって、バンド幅Bと共振回路100の共振周波数fに関係付けることができるが、これを決定及び/又は測定して、適切な係数が適用された上記の例で説明したことと同様に、バンド幅B及び/又は共振周波数fの代わりに使用することができることも認識されるであろう。したがって、いくつかの例では、回路100のQ係数を測定又は決定することができ、したがって、決定されたQ係数に基づいて、回路100の共振周波数f、回路100のバンド幅B、及び/又は回路100が駆動される第1の周波数を決定することができることは認識されるであろう。
【0092】
上記の例は、最大点と関連付けられたピークを参照したが、必ずしもそのようにする必要はなく、決定された周波数応答300、及び測定される方法に応じて、ピークは最低点と関連付けることができることは容易に認識されるであろう。例えば、共振時、RLC回路100のインピーダンスが最低であり、したがって、例えば、駆動周波数fの関数としてインピーダンスを周波数応答300として使用される場合、RLC回路の周波数応答300のピークは最低点と関連付けられる。
【0093】
上記の例のいくつかでは、制御器114は、RLC共振回路100の周波数応答300を測定するように構成されると説明されているが、他の例では、例えば、制御器114は、別個の測定又は制御システム(図示せず)によって伝えられた周波数応答データを分析することによって、共振周波数又は第1の周波数を決定することができる、或いは、別個の制御又は測定システムによって伝えられることによって直接、共振周波数又は第1の周波数を決定することができることは認識されるであろう。次いで、制御器114は、RLC回路100が駆動される周波数を、そのように決定された第1の周波数に制御することができる。
【0094】
上記の例のいくつかでは、制御器114は、第1の周波数を決定して、共振回路が駆動される周波数を制御するように構成されると説明されているが、必ずしもそのようにする必要はなく、他の例では、必ずしも制御器114である必要のない、又は必ずしも制御器114を備える必要のない装置が、第1の周波数を決定して、共振回路が駆動される周波数を制御するように構成されることは認識されるであろう。この装置は、例えば、上記の方法によって、第1の周波数を決定するように構成されてもよい。この装置は、制御信号を、例えば、Hブリッジドライバ102に送って、そのように決定された第1の周波数で駆動されるように共振回路100を制御するように構成されてもよい。この装置又は制御器114は、必ずしも、エアロゾル発生装置150の一体部品である必要はなく、例えば、エアロゾル発生装置150とともに使用するための別個の装置又は制御器114であってもよいことは認識されるであろう。さらに、この装置又は制御器114は、必ずしも、共振回路を制御するためのものである必要はなく、及び/又は、必ずしも、共振回路が駆動される周波数を制御するように構成される必要はなく、他の例では、この装置又は制御器114は、第1の周波数を決定するように構成されてもよいが、それ自体、共振周波数を制御しないことは認識されるであろう。例えば、第1の周波数を決定すると、この装置又は制御器114は、この情報、又は決定された第1の周波数を示す情報を別個の制御器(図示せず)に送ることができ、或いは、この別個の制御器(図示せず)は、この装置又は制御器114からのこの情報、又は指標を得ることができ、次いで、別個の制御器(図示せず)は、この情報又は指標に基づいて、共振回路が駆動される周波数を制御する、例えば、共振回路が駆動される周波数を第1の周波数に制御する、例えば、共振回路を第1の周波数で駆動するようにHブリッジドライバ102を制御することができる。
【0095】
上記の例では、この装置又は制御器114は、エアロゾル発生装置のサセプタを誘導加熱するためのRLC共振回路とともに使用するためのものと説明されているが、必ずしもそのようにする必要はなく、他の例では、この装置又は制御器114は、任意の装置、例えば、任意の誘導加熱装置のサセプタを誘導加熱するためのRLC共振回路とともに使用するためのものであってもよい。
【0096】
上記の例では、RLC共振回路100は、Hブリッジドライバ102によって駆動されると説明されているが、必ずしもそのようにする必要はなく、他の例では、RLC共振回路100は、発振器などの、共振回路100に交流電流を与えるための任意の適切な駆動要素によって駆動されてもよい。
【0097】
上記の例は、本発明を説明するための例として理解されるべきである。任意の1つの例に関して説明されたいかなる特徴も単独で使用することができ、又は、説明された他の特徴と組み合わせて使用することができ、例のうちの任意の他の例の1つ又は複数の特徴と組み合わせて使用することもでき、又は他の例のうちの任意の他の例と任意に組み合わせて使用することができることを理解されるべきである。さらに、上記で説明していない等価物及び修正物もまた、添付の特許請求の範囲に規定された本発明の範囲から逸脱せずに使用することができる。
【符号の説明】
【0098】
100…RLC共振回路、114…制御器(装置)、116…サセプタ、150…エアロゾル発生装置。

図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に明細書本文に記載し図面に示した通りの装置、方法、及びコンピュータプログラム。
【外国語明細書】