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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189942
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/14 20060101AFI20221215BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20221215BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20221215BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
H05B33/14
H05B33/14 A
H05B33/14 Z
H05B33/12 E
H05B33/12 C
H05B33/12 B
G02B5/20 101
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173234
(22)【出願日】2022-10-28
(62)【分割の表示】P 2017228875の分割
【原出願日】2017-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2016232765
(32)【優先日】2016-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山岡 諒平
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 哲史
(72)【発明者】
【氏名】上坂 正吾
(72)【発明者】
【氏名】野村 詩穂
(57)【要約】
【課題】長時間の駆動に対して良好な特性が維持できる、信頼性の高い発光素子を提供す
る。また、色純度が高く、発光効率が良好な発光素子を提供する。また、上記発光素子を
適用した長寿命な発光装置を提供する。さらに、長寿命な電子機器および照明装置を提供
する。
【解決手段】一対の電極間にEL層を有する発光素子において、EL層は、第1の発光層
、第2の発光層、および第3の発光層を含む積層構造を有する発光素子である。発光層は
電子輸送性材料と正孔輸送性材料と発光材料を有する。また、第1の発光層と第3の発光
層から得られる発光は、発光色が同じであり、かつ第2の発光層から得られる発光よりも
長波長である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色のカラーフィルタと重なる第1の発光素子と、緑色のカラーフィルタと重なる第2の発光素子と、青色のカラーフィルタと重なる第3の発光素子とを有し、
前記第1乃至第3の発光素子は、それぞれ、共通する構造を有する第1乃至第4の発光層を有し、
前記第1乃至第3の発光層は、順次積層して設けられ、
前記第4の発光層は、前記第1乃至第3の発光層とは離れて設けられ、
前記第1の発光層は、第1の発光性材料と、含窒素六員複素芳香族骨格を有する第1の化合物と、含窒素五員複素環骨格または3級アミン骨格を有する第2の化合物と、を有し、
前記第2の発光層は、第2の発光性材料と、含窒素六員複素芳香族骨格を有する第3の化合物と、含窒素五員複素環骨格または3級アミン骨格を有する第4の化合物と、を有し、
前記第3の発光層は、第3の発光性材料と、含窒素六員複素芳香族骨格を有する第5の化合物と、含窒素五員複素環骨格または3級アミン骨格を有する第6の化合物と、を有し、
前記第2の発光性材料は、前記第1の発光性材料および前記第3の発光性材料よりも短波長の発光を示し、
前記第4の発光層は、青色発光を示す第4の発光性材料を有する、発光装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記赤色のカラーフィルタを介して得られる赤色発光は、
CIE1931色度座標における色度xが0.680より大きく0.720以下であり、且つ色度yが0.260以上0.320以下であり、
前記緑色のカラーフィルタを介して得られる緑色発光は、
CIE1931色度座標における色度xが0.130以上0.250以下であり、色度yが0.710より大きく0.810以下である、発光装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記赤色のカラーフィルタを介して得られる赤色発光、前記緑色のカラーフィルタを介して得られる緑色発光、及び前記青色のカラーフィルタを介して得られる青色発光のCIE1931色度座標を結んで得られる三角形の面積が、BT.2020規格における前記赤色発光、前記緑色発光及び前記青色発光の各CIE1931色度座標を結んで得られる三角形の面積と比較し、面積比で80%以上、100%以下である、発光装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記第1の化合物と前記第2の化合物とは励起錯体を形成する組み合わせであり、
前記第3の化合物と前記第4の化合物とは励起錯体を形成する組み合わせであり、
前記第5の化合物と前記第6の化合物とは励起錯体を形成する組み合わせである、発光装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
酸化物半導体を用いた駆動回路部を有する、発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、新規な発光素子に関する。または該発光素子を有する発光装置、電
子機器、及び照明装置に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明
の一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関する。または、本発明の一態様
は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マ
ター)に関する。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野
としては、半導体装置、発光装置、表示装置、照明装置、蓄電装置、記憶装置、それらの
駆動方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
近年、エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence:EL)
を利用した発光素子の研究開発が盛んに行われている。これら発光素子の基本的な構成は
、一対の電極間に発光性の物質を含む層(EL層)を挟んだ構成である。この素子の電極
間に電圧を印加することにより、発光性の物質からの発光が得られる。
【0004】
上述の発光素子は自発光型であるため、これを用いた発光装置は、視認性に優れ、バッ
クライトが不要であり、消費電力が少ない等の利点を有する。さらに、薄型軽量に作製で
き、応答速度が高いなどの利点も有する。
【0005】
また、上述の発光素子を発光装置に用いる場合、画素中の各副画素にそれぞれ互いに異
なる色の光を呈する機能を有するEL層を設ける方法(以下、塗り分け方式と呼ぶ)と、
画素中の副画素に例えば白色の光を呈する機能を有する共通のEL層を設け、各副画素に
それぞれ異なる色の光を透過する機能を有するカラーフィルタを設ける方法(以下、カラ
ーフィルタ方式と呼ぶ)がある。
【0006】
カラーフィルタ方式の利点としては、全副画素でEL層を共通とすることができるため
、塗り分け方式と比較して、EL層の材料の損失が少なく、またEL層形成時に要する工
程を少なくできるため、発光装置を低コストで高い生産性をもって製造できることが挙げ
られる。次に、塗り分け方式においては、各副画素のEL層の材料が互いに混入すること
を防ぐために、各副画素間に余白が必要となるが、カラーフィルタ方式では当該余白が不
要であるため、より高精細な発光装置を実現することが挙げられる。
【0007】
上記発光素子は、EL層に含まれる発光性の物質の種類によって、様々な発光色を提供
することができる。照明装置への応用を考えた場合、白色またはそれに近い色の発光を呈
する高効率な発光素子が求められている。また、カラーフィルタ方式の発光装置への応用
を考えた場合、色純度が高い発光を呈する高効率な発光素子が求められている。また、こ
れらに用いる発光素子としては、消費電力の少ない発光素子が求められている。
【0008】
発光素子の発光効率を向上させるためには、光取出し効率を向上させることが重要であ
る。発光素子からの光取り出し効率を向上させるために、一対の電極間で光の共振効果を
利用した微小光共振器(マイクロキャビティ)構造を採用し、特定波長における光強度を
増加させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
また、白色を発光する発光素子として、複数のEL層の間に電荷発生層を設ける素子(
タンデム素子ともいう)が提案されている。
【0010】
この様な発光素子に関しては、その素子特性を向上させる為に、素子構造の改良や材料開
発等が盛んに行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010-182699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
発光素子の開発において、その信頼性は、発光素子を評価する上で重要視される項目の一
つである。初期段階での特性が良好であったとしても、長時間の駆動に耐えられず、素子
としての寿命が短い場合には、その利用価値が低く、製品化に結びつけることが困難とな
る。従って、初期段階での良好な特性を維持しつつ、できるだけ長時間の駆動に耐えうる
発光素子の開発が望まれる。また、発光素子においては、発光装置の高精細化に伴い、色
純度が高い光を呈する発光素子が求められている。
【0013】
そこで、本発明の一態様では、長時間の駆動に対して良好な特性が維持できる、信頼性の
高い発光素子を提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、色純度の高い発光
素子を提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、発光効率の高い発光素子を
提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、消費電力が低減された発光素子を
提供することを課題とする。
【0014】
または、本発明の一態様は、上記発光素子を適用した長寿命な発光装置を提供することを
課題とする。また、本発明の一態様は、上記発光素子を適用した色純度が高い発光装置を
提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、上記発光素子を適用した発光効率
が高い発光装置を提供することを課題とする。本発明の一態様は、長寿命な電子機器およ
び照明装置を提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、上記発光素子を適用
した消費電力が低減された発光装置を提供することを課題とする。
【0015】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、必ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はない。なお、これら以外の課題
は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図
面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様は、一対の電極間にEL層を有する発光素子において、EL層が有する発
光層の構造を従来と異なる積層構造とすることにより、発光素子の駆動により経時的にキ
ャリアバランスの変化が生じる場合や、それに伴う発光領域のシフトが生じる場合であっ
ても長時間の駆動に対して良好な特性を維持することができる発光素子である。
【0017】
具体的には、発光素子の発光層が第1の層、第2の層及び第3の層を有する場合、第1の
層と同じ発光色を呈する第2の層を設け、第1の層及び第2の層が呈する発光よりも短波
長の発光を示す発光性材料が含まれる第3の層を、第1の層及び第2の層で挟む構造とす
ることにより、キャリアバランスの変化による発光領域のシフトが生じた場合であっても
、第1の層または第2の層でその変化を補うことが可能となり、発光層全体での安定な状
態を維持できるため、長時間駆動に対して良好な特性が維持できる発光素子を実現するこ
とができる。
【0018】
従って、本発明の一態様は、陽極と、陰極との間にEL層を有し、EL層は、陽極側から
第1の発光層、第2の発光層、および第3の発光層が順次積層された構造を有し、第1の
発光層と第3の発光層から得られる発光は、発光色が同じであり、かつ第2の発光層から
得られる発光よりも長波長である発光素子である。
【0019】
また、本発明の別の一態様は、陽極と、陰極との間に、第1の発光ユニットと、第2の発
光ユニットを有し、第1の発光ユニットと第2の発光ユニットは、中間層を介し積層され
、第2の発光ユニットは、EL層を有し、EL層は陽極側から第1の発光層、第2の発光
層、および第3の発光層が順次積層された構造を有し、第1の発光層と第3の発光層から
得られる発光は、発光色が同じであり、かつ第2の発光層から得られる発光よりも長波長
である発光素子である。
【0020】
また、上記構成において、第1の発光層及び第3の発光層から得られる発光は、600n
m以上740nm以下に少なくとも一つの発光スペクトルピークを有し、前記第2の発光
層から得られる発光は480nm以上550nm以下に少なくとも一つの発光スペクトル
ピークを有すると好ましい。
【0021】
また、上記構成において、第1の発光層及び第3の発光層から得られる発光が、半値幅が
5nm以上120nm以下であり、かつ発光スペクトルのピーク位置が620nm以上6
80nm以下であると好ましい。
【0022】
また、上記構成において、第1の発光層および第3の発光層は同一の発光性材料を有する
と好ましい。
【0023】
また、上記構成において、発光性材料は、三重項励起エネルギーを発光に変換する機能を
有すると好ましい。
【0024】
また、上記各構成において、発光層に含まれる発光性材料が燐光を発する物質であると好
ましい。
【0025】
また、上記各構成において、第1の発光層は第1の正孔輸送性材料及び第1の電子輸送性
材料を有し、第2の発光層は第2の正孔輸送性材料及び第2の電子輸送性材料を有し、第
3の発光層は第3の正孔輸送性材料及び第3の電子輸送性材料を有すると好ましい。
【0026】
また、上記各構成において、第1の正孔輸送性材料及び第1の電子輸送性材料は第1の励
起錯体を形成し、第2の正孔輸送性材料及び第2の電子輸送性材料は第2の励起錯体を形
成し、第3の正孔輸送性材料及び第3の電子輸送性材料は第3の励起錯体を形成すると好
ましい。
【0027】
また、上記各構成において、第2の発光層の膜厚は、第1の発光層及び第3の発光層の膜
厚よりも厚いと好ましい。
【0028】
また、上記各構成において、陽極または陰極のどちらか一方が反射電極であり、他方が半
透過・半反射電極であると好ましい。
【0029】
また、本発明の別の一態様は、上記発光素子を複数有し、第1のカラーフィルタを介して
得られる第1の発光素子からの発光は、CIE1931色度座標における色度xが0.6
80より大きく0.720以下、色度yが0.260以上0.320以下、第2のカラー
フィルタを介して得られる第2の発光素子からの発光は、CIE1931色度座標におけ
る色度xが0.130以上0.250以下、色度yが0.710より大きく0.810以
下、である発光装置である。
【0030】
また、本発明の別の一態様は、第1の発光素子から得られる赤色、第1の発光素子から得
られる緑色及び発光装置から得られる青色のCIE1931色度座標を結んで得られる三
角形の面積が、BT.2020規格における赤色、緑色及び青色の各CIE1931色度
座標を結んで得られる三角形の面積と比較し、面積比で80%以上、100%以下である
、発光装置である。
【0031】
また、本発明の一態様は、発光素子を有する発光装置だけでなく、発光装置を有する電子
機器および照明装置も範疇に含めるものである。従って、本明細書中における発光装置と
は、画像表示デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を指す。また、発光素子にコネク
ター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはT
CP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TC
Pの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光素子にCOG(Chip
On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも、発光装
置に含む場合がある。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一態様では、長時間の駆動に対して良好な特性が維持できる、信頼性の高い発光
素子を提供することができる。また、本発明の一態様は、色純度の高い発光素子を提供す
ることができる。また、本発明の一態様は、発光効率の高い発光素子を提供することがで
きる。また、本発明の一態様は、消費電力が低減された発光素子を提供することができる
【0033】
または、本発明の一態様は、上記発光素子を適用した長寿命な発光装置を提供することが
できる。また、本発明の一態様は上記発光素子を適用した色純度が高い発光装置を提供す
ることができる。また、本発明の一態様は、上記発光素子を適用した発光効率が高い発光
装置を提供することができる。また、本発明の一態様は、長寿命な電子機器および照明装
置を提供することができる。また、本発明の一態様は、上記発光素子を適用した消費電力
が低減された発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一態様の発光素子の断面模式図。
図2】本発明の一態様の発光素子の断面模式図と、発光層におけるエネルギー準位の相関を説明する図。
図3】本発明の一態様の発光素子の断面模式図。
図4】本発明の一態様の発光素子の断面模式図。
図5】本発明の一態様に係る、アクティブマトリクス型発光装置の概念図。
図6】本発明の一態様に係る、アクティブマトリクス型発光装置の概念図。
図7】本発明の一態様に係る、アクティブマトリクス型発光装置の概念図。
図8】本発明の一態様に係る、表示装置の概略図。
図9】本発明の一態様に係る、表示装置の回路図。
図10】本発明の一態様に係る、表示装置の回路図及び画素の概略図。
図11】本発明の一態様に係る、表示装置の概略図。
図12】本発明の一態様に係る、表示装置の概略図。
図13】本発明の一態様に係る、表示装置の概略図。
図14】本発明の一態様に係る、電子機器の概略図。
図15】本発明の一態様に係る、電子機器の概略図。
図16】本発明の一態様に係る、電子機器を表す図。
図17】本発明の一態様に係る、照明装置を表す図。
図18】実施例に係る、発光素子の概略図。
図19】実施例に係る、発光素子の電流効率-輝度特性を説明する図。
図20】実施例に係る、発光素子の電流密度-電圧特性を説明する図。
図21】実施例に係る、発光素子の外部量子効率-輝度特性を説明する図。
図22】実施例に係る、発光素子の発光スペクトルを説明する図。
図23】実施例に係る、比較発光素子の電流効率-輝度特性を説明する図。
図24】実施例に係る、比較発光素子の電流密度-電圧特性を説明する図。
図25】実施例に係る、比較発光素子の外部量子効率-輝度特性を説明する図。
図26】実施例に係る、比較発光素子の発光スペクトルを説明する図。
図27】実施例に係る、発光素子の信頼性試験結果を説明する図。
図28】実施例に係る、比較発光素子の信頼性試験結果を説明する図。
図29】実施例に係る、AMOLEDディスプレイの画像。
図30】実施例に係る、発光素子の概略図。
図31】実施例に係る、発光素子の発光スペクトルを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下
の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細
を様々に変更し得ることが可能である。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内
容に限定して解釈されない。
【0036】
なお、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、
実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、
必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0037】
また、本明細書等において、第1、第2等として付される序数詞は便宜上用いており、
工程順又は積層順を示さない場合がある。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」又
は「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等に記載され
ている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合が
ある。
【0038】
また、本明細書等において、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを
指す符号は異なる図面間でも共通して用いる場合がある。
【0039】
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ
替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変
更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」
という用語に変更することが可能な場合がある。
【0040】
また、本明細書等において、一重項励起状態は、励起エネルギーを有する一重項状態の
ことである。また、一重項励起エネルギー準位の最も低い準位(S1準位)は、最も低い
一重項励起状態(S1状態)の励起エネルギー準位のことである。また、三重項励起状態
は、励起エネルギーを有する三重項状態のことである。また、三重項励起エネルギー準位
の最も低い準位(T1準位)は、最も低い三重項励起状態(T1状態)の励起エネルギー
準位のことである。なお、本明細書等において、単に一重項励起状態および一重項励起エ
ネルギー準位と表記した場合であっても、S1状態およびS1準位を表す場合がある。ま
た、三重項励起状態および三重項励起エネルギー準位と表記した場合であっても、T1状
態およびT1準位を表す場合がある。
【0041】
また、本明細書等において蛍光材料とは、一重項励起状態から基底状態へ緩和する際に
可視光領域に発光を与える材料である。燐光材料とは、三重項励起状態から基底状態へ緩
和する際に、室温において可視光領域に発光を与える材料である。換言すると燐光材料と
は、三重項励起エネルギーを可視光へ変換可能な材料の一つである。
【0042】
なお、本明細書等において、室温とは、0℃以上40℃以下のいずれかの温度をいう。
【0043】
また、色とは、一般に色相(単色光の波長に相当)、彩度(あざやかさ即ち白みを帯び
ていない度合)および明度(明るさ即ち光の強弱)の三要素によって規定される。また、
本明細書等において色とは、上述の三要素のうちのいずれか一つの要素のみ、または任意
で選んだ2つの要素のみを示してもよい。また、本明細書において、2つの光の色が異な
るとは、上述の三要素のうちいずれか少なくとも一つが異なることをいい、さらに、2つ
の光のスペクトルの形状若しくは各ピークの相対強度の分布が異なることをも含む。
【0044】
また、本明細書等において、青色の波長領域とは、400nm以上480nm未満の波
長領域であり、青色の発光は該波長領域に少なくとも一つの発光スペクトルピークを有す
る。また、緑色の波長領域とは、480nm以上550nm未満の波長領域であり、緑色
の発光は該波長領域に少なくとも一つの発光スペクトルピークを有する。また、黄色の波
長領域とは、550nm以上600nm未満の波長領域であり、黄色の発光は該波長領域
に少なくとも一つの発光スペクトルピークを有する。また、赤色の波長領域とは、600
nm以上740nm以下の波長領域であり、赤色の発光は該波長領域に少なくとも一つの
発光スペクトルピークを有する。
【0045】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光素子について説明する。
【0046】
本発明の一態様である発光素子は、一対の電極間に発光層を含むEL層を挟んで形成され
ており、EL層は少なくとも第1の発光層と、第2の発光層と、第3の発光層との積層構
造を有する。
【0047】
以下、本発明の一態様である発光素子の素子構造について、図1により説明する。
【0048】
図1(A)に示す発光素子150は、一対の電極(電極101及び電極102)間に発光
層140を含むEL層100が挟まれており、EL層100は、電極101側から正孔(
ホール)注入層111、正孔(ホール)輸送層112、発光層140(140a、140
b、140c)、電子輸送層118、電子注入層119等が順次積層された構造を有する
【0049】
なお、本実施の形態では電極101を陽極、電極102を陰極として説明するが、発光素
子の構成はこれに限定されない。すなわち、電極101を陰極、電極102を陽極とする
構成であっても良い。その場合、積層順が逆となる。つまり、陽極側から正孔注入層、正
孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層という順序で積層すれば良い。
【0050】
なお、発光層140は、発光層140a、発光層140b、発光層140cが積層された
積層構造を有し、図1(B)に示すように、発光層140aはホスト材料141aと発光
性材料142aを有する。また、ホスト材料141aは電子輸送性材料141a_1と正
孔輸送性材料141a_2を有すると好ましい。同様に、発光層140bはホスト材料1
41bと発光性材料142bを有する。また、ホスト材料141bは電子輸送性材料14
1b_1と正孔輸送性材料141b_2を有すると好ましい。また、発光層140cはホ
スト材料141cと発光性材料142cを有する。また、ホスト材料141cは電子輸送
性材料141c_1と正孔輸送性材料141c_2を有すると好ましい。
【0051】
上記、複数の発光性材料を有する発光層140のように、一つの発光層から複数色の光を
取り出すことができる構成は、簡便に多色発光を有する発光素子を作製できるため好まし
い。
【0052】
発光素子150のような、複数の発光色を有する発光素子を長時間駆動する場合、各色で
の輝度劣化速度が異なると、経時的に発光素子150から取り出される発光色が変化する
場合があり、該発光素子をディスプレイ等に用いた場合、表示品位の劣化につながる。こ
こで、発光層140が発光層140a、発光層140b、発光層140cの3層を有し、
発光層140aと、発光層140cから得られる発光色が同じであり、かつ発光層140
bの発光色より長波長とすることで、各色の輝度劣化の差が抑制でき、発光素子の信頼性
が向上することを本発明者らは見出した。
【0053】
ここで、発光性材料142aと発光性材料142cは同一の材料であると好ましい。この
ような構成とすることで、長時間に渡り発光素子を駆動させた場合の発光色の変化を小さ
くすることができる。また、異なる発光材料を用いる場合と比べ、発光素子作製が容易に
なるため好ましい。
【0054】
なお、電子輸送性材料141a_1、電子輸送性材料141b_1、電子輸送性材料14
1c_1はそれぞれ同一の材料であると好ましい。また正孔輸送性材料141a_2、正
孔輸送性材料141b_2、正孔輸送性材料141c_2はそれぞれ同一の材料であると
好ましい。このような構成とすることで、長時間に渡り発光素子を駆動させた場合の発光
色の変化を小さくすることができる。また、異なる材料を用いる場合と比べ、発光素子作
製が容易になるため好ましい。
【0055】
また、電子輸送性材料141a_1と正孔輸送性材料141a_2が、電子輸送性材料1
41b_1と正孔輸送性材料141b_2が、電子輸送性材料141c_1と正孔輸送性
材料141c_2が、それぞれ励起錯体を形成する組合せであると好ましい。該構成とす
ることで、後述するように発光素子の駆動電圧を低減することができる。また、発光性材
料142a、発光性材料142b、発光性材料142cが三重項励起エネルギーを発光に
変換できる物質であると好ましく、さらに好ましくは燐光を発する物質であると好ましい
。該構成とすることで、発光効率が良好な発光素子とすることができる。また、後述する
ExTETを用いることができるため、発光効率が良好かつ良好な信頼性を有する発光素
子とすることができる。
【0056】
発光素子を駆動させた際、材料の劣化と共に、経時的に発光層内のキャリアバランスが変
動することで再結合領域(発光層中において励起子が発生する領域)が変位することがあ
る。この場合、時間が経過するにつれて、相対的に発光層140aの発光強度が発光層1
40bの発光強度よりも小さくなってしまい、経時的な発光色の変化につながってしまう
。ここで、発光層140のように、発光層140bの上に発光層140aと同じ色の発光
が得られる、発光層140cを形成することで、上記、再結合領域の変位があった場合で
も、発光層140cから同じ色の発光を得ることができるので、各発光色間での輝度劣化
の差を抑制することができる。すなわち、発光層全体での特性の低下を抑制することがで
きるため、長時間駆動に対して良好な特性が維持できる。
【0057】
また、この場合、発光層140bの膜厚は発光層140a及び発光層140cの膜厚より
も厚いことが好ましい。このような構成にすることにより、発光層140bからの発光と
、発光層140a及び発光層140cからの発光、双方を効率良く得ることができる。ま
た、発光層140bからの発光強度と、発光層140a及び発光層140cからの発光強
度を調整することができる。また、このような構成にすることにより、発光層140bか
ら得られる発光と、発光層140a及び発光層140cから得られる発光の輝度劣化の差
を抑制することができる。
【0058】
また、本発明の一態様は、複数の発光色を有する発光素子でありカラーフィルタを用いて
フルカラー表示を実現することができる。すなわち、該複数の発光色をカラーフィルタに
より分光することで、各色(例えば主として発光層140aおよび140cから得られる
第一の発光色と、主として発光層140bから得られる第二の発光色)を示す複数の発光
素子を得ることができる。これらの発光素子を画素に用いれば、フルカラー表示が可能と
なる。この場合、上述した各発光色間で輝度劣化の差を抑制できるという本願発明の効果
は、各色を示す発光素子、すなわち各画素の輝度劣化の差が小さくなることにつながる。
したがって、各画素間で輝度劣化の差が小さい、すなわち経時的に色ずれの少ないフルカ
ラー表示装置を得ることができる。
【0059】
なお、この場合、発光層140a及び発光層140cからの発光は、600nm以上74
0nm以下に少なくとも一つの発光スペクトルピークを有し、発光層140bからの発光
は480nm以上550nm以下に少なくとも一つの発光スペクトルピークを有すると好
ましい。このような構成することによって、表示品位の高いフルカラー表示を実現するこ
とができる。現在ではこのようなフルカラー表示における品質の指標としていくつかの規
格値が定められている。
【0060】
例えば、ディスプレイ、プリンタ、デジタルカメラ、スキャナなどの機器において、機器
間の色再現の違いを統一するためにIEC(国際電気標準会議)が定めた国際標準の色空
間に関する規格としてsRGB規格が広く定着している。なお、sRGB規格では、CI
E(国際照明委員会)が定めるCIE1931色度座標(xy色度座標)における色度(
x,y)を、赤(R)(x,y)=(0.640,0.330)、緑(G)(x,y)=
(0.300,0.600)、青(B)(x,y)=(0.150,0.060)として
いる。
【0061】
また、アメリカの国家テレビ標準化委員会(National Television
System Committee)が作成したアナログテレビ方式の色域規格であるN
TSC規格では、色度(x,y)を、赤(R)(x,y)=(0.670,0.330)
、緑(G)(x,y)=(0.210,0.710)、青(B)(x,y)=(0.14
0,0.080)としている。
【0062】
また、デジタル映画(シネマ)を配給する際の国際的な統一規格であるDCI-P3(D
igital Cinema Initiatives)規格では、色度(x,y)を、
赤(R)(x,y)=(0.680,0.320)、緑(G)(x,y)=(0.265
,0.690)、青(B)(x,y)=(0.150,0.060)としている。
【0063】
また、NHKが定めた高精細なUHDTV(Ultra High Definitio
n Television、スーパーハイビジョンともいう)で使われるRecomme
ndation ITU-R BT.2020(以下、BT.2020という))規格で
は、色度(x,y)を、赤色(R)(x,y)=(0.708,0.292)、緑色(G
)(x,y)=(0.170,0.797)、青色(B)(x,y)=(0.131,0
.046))としている。
【0064】
このように画像表示に関する様々な規格が定められているが、本発明の一態様である発光
素子において、発光層140a及び発光層140cから得られる発光は、半値幅が5nm
以上、120nm以下であり、且つ、発光スペクトルのピーク位置が620nm以上、6
80nm以下であると好ましい。より好ましくは半値幅が15nm以上、90nm以下で
あり、且つ、発光スペクトルのピーク位置が625nm以上、660nm以下である。こ
のような発光が得られる構成とすることで、カラーフィルタを介した際、赤色に関して、
高い色再現性を有する発光素子を得ることができる。
【0065】
≪マイクロキャビティ構造≫
また、本発明の一態様である発光素子において、例えば、図1(C)に示す電極101を
反射電極とし、電極102を半透過・半反射電極とし、微小光共振器(マイクロキャビテ
ィ)構造とすることにより、EL層100に含まれる発光層140から得られる発光を両
電極間で共振させ、電極102から射出される発光を強めることができる。
【0066】
なお、本実施の形態では、電極102側(陰極側)に光を取り出す場合について説明する
が、電極101側(陽極側)に光を取り出す構成としても構わない。その場合、電極10
1を半透過・半反射電極とし、電極102を反射電極とすれば良い。
【0067】
発光素子の電極101が、反射性を有する導電性材料と透光性を有する導電性材料(透明
導電膜)との積層構造からなる反射電極である場合、透明導電膜の膜厚を制御することに
より光学調整を行うことができる。具体的には、発光層140から得られる光の波長λに
対して、電極101と、電極102との電極間距離がmλ/2(ただし、mは自然数)近
傍となるように調整するのが好ましい。
【0068】
また、発光層140から得られる所望の光(波長:λ)を増幅させるために、電極101
から発光層140の所望の光が得られる領域(発光領域)までの光学距離と、電極102
から発光層140の所望の光が得られる領域(発光領域)までの光学距離と、をそれぞれ
(2m’-1)λ/4(ただし、m’は自然数)近傍となるように調節するのが好ましい
。なお、ここでいう発光領域とは、発光層140における正孔(ホール)と電子との再結
合領域を示す。
【0069】
このような光学調整を行うことにより、発光層140から得られる特定の単色光のスペク
トルを狭線化させ、色純度の良い発光を得ることができる。
【0070】
上記マイクロキャビティ構造では、2色以上の発光色を有する発光素子の場合、発光色に
より、電極間で光を共振させるための光学距離が異なるため、全ての発光色に適した光学
調整(全ての発光色において、発光領域から電極102間の距離を(2m’-1)λ/4
近傍とする)は困難であり、BT.2020規格のような、超高色域が求められる場合、
全ての発光色からマイクロキャビティの効果を効率良く得ることは困難であった。
【0071】
ここで、上記マイクロキャビティ構造を適用した2色以上の発光色を有する発光素子にお
いて、発光層140を発光層140a、発光層140b、発光層140cのように3層に
し、発光層140aと、発光層140cから得られる発光色が同じであり、かつ発光層1
40bの発光色より長波長とすることで、マイクロキャビティの効果を効率良く得ること
ができ、より色純度が高く、発光効率が良好な発光素子が得られることを本発明者らは見
出した。
【0072】
2色以上の発光色を有する発光素子において、マイクロキャビティ構造を用いて発光強度
を強める場合、発光領域と電極102間の光学距離が(2m’-1)λ/4(ただし、m
’は自然数)になるように各層の膜厚を調整する必要がある。ここで、λは波長を表すた
め、λが小さい方が発光領域と電極102間の光学距離が短くなることが分かる。換言す
ると、λが長い方が発光領域と電極102間の光学距離が長くなる。
【0073】
図1(C)に本発明の一態様にかかる発光素子における発光領域と電極102間の距離の
概念図を示す。図1(C)は説明の簡略化のため発光層140、電子輸送層118、電子
注入層119、電極102のみを図示している。図1(C)より、発光領域146を発光
層140aと発光層140bの界面近傍とすることで発光層140aからの発光と発光層
140bからの発光、双方の発光を取り出すことができる。ここで、本発明の一態様に係
る発光素子のように、発光層140が発光層140a、発光層140b、発光層140c
の3層を有し、発光層140aと、発光層140cから得られる発光色が同じであり、か
つ発光層140bの発光色より長波長とすることで、発光波長が長い発光層140aの発
光領域から電極102間の距離λを長くすることができ、発光波長が短い発光層140
bの発光領域から電極102間の距離λを短くすることができる。すなわち、本発明の
一態様に係る発光素子では、発光領域から電極102までの距離と、各色における光学距
離との調整が容易になる。そのため、マイクロキャビティ構造による効果を効率良く利用
することができBT.2020規格のような超高色域にも対応することができる。よって
、色度が良好で、発光効率の良好な発光素子を得ることができる。
【0074】
また、発光領域146または発光層140bの膜厚を適宜調整することで、発光色の調整
を行うことができる。また、図1(C)では発光領域146が発光層140a及び発光層
140bに広がっている例を示したが、発光層140cまで広がっていても構わない。こ
の場合、発光領域146が広範囲に及ぶため、発光層140aと発光層140cから得ら
れる発光色の輝度劣化が抑制されるため好ましい。
【0075】
以上より、本発明の一態様に係る発光素子は色純度が高く、発光効率が高い発光素子を得
ることができ、該発光素子はBT.2020規格のような超高色域にも対応することがで
きる。また、駆動による各色での色度変化が少ない、信頼性の良好な発光素子を得ること
ができる。
【0076】
なお、電極101及び電極102の反射領域を厳密に決定することが困難な場合、電極
101及び電極102の任意の領域を反射領域と仮定することで、発光層140から射出
される光の強度を強める光学距離を導出してもよい。また、発光層140の発光領域を厳
密に決定することは困難な場合、発光層140の任意の領域を発光領域と仮定することで
、発光層140から射出される光の強度を強める光学距離を導出してもよい。また、本明
細書等において、λ近傍とは、λに対し、-20nm以上+20nm以下である。
【0077】
<材料>
次に、本発明の一態様に係る発光素子の構成要素の詳細について、以下説明を行う。
【0078】
≪発光層≫
発光層140は発光層140a、発光層140b、発光層140cを有し、発光層14
0a、発光層140b及び発光層140c中ではそれぞれ、ホスト材料141a、ホスト
材料141b及びホスト材料141cが重量比で最も多く存在し、発光性材料142a、
発光性材料142b及び発光性材料142cはそれぞれホスト材料141a、ホスト材料
141b及びホスト材料141c中に分散される。発光性材料142a、発光性材料14
2b及び発光性材料142cが蛍光性化合物の場合、発光層140aのホスト材料141
a(電子輸送性材料141a_1及び正孔輸送性材料141a_2)、発光層140bの
ホスト材料141b(電子輸送性材料141b_1及び正孔輸送性材料141b_2)及
び発光層140cのホスト材料141c(電子輸送性材料141c_1及び正孔輸送性材
料141c_2)のS1準位は、発光性材料142a、発光性材料142b及び発光性材
料142cそれぞれのS1準位よりも高いことが好ましい。また、発光性材料142a、
発光性材料142b及び発光性材料142cが燐光性化合物の場合、発光層140aのホ
スト材料141a(電子輸送性材料141a_1及び正孔輸送性材料141a_2)、発
光層140bのホスト材料141b(電子輸送性材料141b_1及び正孔輸送性材料1
41b_2)及び発光層140cのホスト材料141c(電子輸送性材料141c_1及
び正孔輸送性材料141c_2)のT1準位は、発光性材料142a、発光性材料142
b及び発光性材料142cそれぞれのT1準位よりも高いことが好ましい。
【0079】
電子輸送性材料141a_1、電子輸送性材料141b_1及び電子輸送性材料141
c_1としては、含窒素六員複素芳香族骨格を有する化合物であると好ましい。具体的に
は、ピリジン骨格、ジアジン骨格(ピラジン骨格、ピリミジン骨格、及びピリダジン骨格
)、及びトリアジン骨格を有する化合物が挙げられる。これらの塩基性を有する含窒素複
素芳香族骨格を有する化合物としては、例えば、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピ
リミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体
、フェナントロリン誘導体、プリン誘導体などの化合物が挙げられる。また、電子輸送性
材料141a_1、電子輸送性材料141b_1及び電子輸送性材料141c_1として
は、正孔よりも電子の輸送性の高い材料(電子輸送性材料)を用いることができ、1×1
-6cm/Vs以上の電子移動度を有する材料であることが好ましい。
【0080】
具体的には、例えば、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(
略称:BCP)などのピリジン骨格を有する複素環化合物や、2-[3-(ジベンゾチオ
フェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPD
Bq-II)、2-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]
ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq-II)、2-[3’-
(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサ
リン(略称:2mCzBPDBq)、2-[4-(3,6-ジフェニル-9H-カルバゾ
ール-9-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2CzPDBq-
III)、7-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]
キノキサリン(略称:7mDBTPDBq-II)、及び、6-[3-(ジベンゾチオフ
ェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:6mDBTPDB
q-II)、2-[3-(3,9’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ジ
ベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mCzCzPDBq)、4,6-ビス[3-(
フェナントレン-9-イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mPnP2Pm)、4
,6-ビス[3-(4-ジベンゾチエニル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mDB
TP2Pm-II)、4,6-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]
ピリミジン(略称:4,6mCzP2Pm)などのジアジン骨格を有する複素環化合物や
、2-{4-[3-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾ
ール-9-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:P
CCzPTzn)などのトリアジン骨格を有する複素環化合物や、3,5-ビス[3-(
9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリジン(略称:35DCzPPy)、1,
3,5-トリ[3-(3-ピリジル)フェニル]ベンゼン(略称:TmPyPB)などの
ピリジン骨格を有する複素環化合物も用いることができる。上述した複素環化合物の中で
も、トリアジン骨格、ジアジン(ピリミジン、ピラジン、ピリダジン)骨格、またはピリ
ジン骨格を有する複素環化合物は、安定で信頼性が良好であり好ましい。また、当該骨格
を有する複素環化合物は、電子輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与する。また、ポリ(
2,5-ピリジンジイル)(略称:PPy)、ポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-
2,7-ジイル)-co-(ピリジン-3,5-ジイル)](略称:PF-Py)、ポリ
[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(2,2’-ビピリジン
-6,6’-ジイル)](略称:PF-BPy)のような高分子化合物を用いることもで
きる。ここに述べた物質は、主に1×10-6cm/Vs以上の電子移動度を有する物
質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を用いて
も構わない。
【0081】
正孔輸送性材料141a_2、正孔輸送性材料141b_2及び正孔輸送性材料141
c_2としては、含窒素五員複素環骨格または3級アミン骨格を有する化合物が好ましい
。具体的には、ピロール骨格または芳香族アミン骨格を有する化合物が挙げられる。例え
ば、インドール誘導体、カルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体などが挙げられ
る。また、含窒素五員複素環骨格としては、イミダゾール骨格、トリアゾール骨格、及び
テトラゾール骨格が挙げられる。また、正孔輸送性材料141a_2、正孔輸送性材料1
41b_2及び正孔輸送性材料141c_2としては、電子よりも正孔の輸送性の高い材
料(正孔輸送性材料)を用いることができ、1×10-6cm/Vs以上の正孔移動度
を有する材料であることが好ましい。また、該正孔輸送性材料は高分子化合物であっても
良い。
【0082】
これら正孔輸送性の高い材料として、具体的には、芳香族アミン化合物としては、N,
N’-ジ(p-トリル)-N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(略称:DT
DPPA)、4,4’-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルア
ミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’-ビス{4-[ビス(3-メチルフェニ
ル)アミノ]フェニル}-N,N’-ジフェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’
-ジアミン(略称:DNTPD)、1,3,5-トリス[N-(4-ジフェニルアミノフ
ェニル)-N-フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる
【0083】
また、カルバゾール誘導体としては、具体的には、3-[N-(4-ジフェニルアミノ
フェニル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA1
)、3,6-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]-9
-フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA2)、3,6-ビス[N-(4-ジフェニ
ルアミノフェニル)-N-(1-ナフチル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称
:PCzTPN2)、3-[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニ
ルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6-ビス[N-
(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバ
ゾール(略称:PCzPCA2)、3-[N-(1-ナフチル)-N-(9-フェニルカ
ルバゾール-3-イル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)
等を挙げることができる。
【0084】
また、カルバゾール誘導体としては、他に、4,4’-ジ(N-カルバゾリル)ビフェ
ニル(略称:CBP)、1,3,5-トリス[4-(N-カルバゾリル)フェニル]ベン
ゼン(略称:TCPB)、9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-
9H-カルバゾール(略称:CzPA)、1,4-ビス[4-(N-カルバゾリル)フェ
ニル]-2,3,5,6-テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
【0085】
また、N,N-ジフェニル-9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル
]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:CzA1PA)、4-(10-フェニル-
9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、4-(9H-カルバゾール
-9-イル)-4’-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:
YGAPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フ
ェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPA)、N,9-ジフェニル
-N-{4-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]フェニル}-9H-
カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPBA)、N,9-ジフェニル-N-(9,1
0-ジフェニル-2-アントリル)-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCA
PA)、9-フェニル-3-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9
H-カルバゾール(略称:PCzPA)、3,6-ジフェニル-9-[4-(10-フェ
ニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:DPCzPA)、N,
N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’-オクタフェニルジベンゾ[g,
p]クリセン-2,7,10,15-テトラアミン(略称:DBC1)等を用いることが
できる。
【0086】
また、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4-ビニルトリフェ
ニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N-(4-{N’-[4-(4-ジフェニル
アミノ)フェニル]フェニル-N’-フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](
略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス
(フェニル)ベンジジン](略称:Poly-TPD)等の高分子化合物を用いることも
できる。
【0087】
さらに、正孔輸送性の高い材料としては、例えば、4,4’-ビス[N-(1-ナフチ
ル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα-NPD)やN,N’-
ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1’-ビフェニル]-4,
4’-ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’-トリス(カルバゾール-9-イル
)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、4,4’,4’’-トリス[N-(1-ナフ
チル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:1’-TNATA)、4,4
’,4’’-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDAT
A)、4,4’,4’’-トリス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ]
トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’-ビス[N-(スピロ-9,9’
-ビフルオレン-2-イル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)、4
-フェニル-4’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:
BPAFLP)、4-フェニル-3’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェ
ニルアミン(略称:mBPAFLP)、N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2
-イル)-N-{9,9-ジメチル-2-[N’-フェニル-N’-(9,9-ジメチル
-9H-フルオレン-2-イル)アミノ]-9H-フルオレン-7-イル}フェニルアミ
ン(略称:DFLADFL)、N-(9,9-ジメチル-2-ジフェニルアミノ-9H-
フルオレン-7-イル)ジフェニルアミン(略称:DPNF)、2-[N-(4-ジフェ
ニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]スピロ-9,9’-ビフルオレン(略称:
DPASF)、4-フェニル-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)
トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、4,4’-ジフェニル-4’’-(9-
フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1B
P)、4-(1-ナフチル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)
トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4,4’-ジ(1-ナフチル)-4’’-
(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBN
BB)、4-フェニルジフェニル-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)ア
ミン(略称:PCA1BP)、N,N’-ビス(9-フェニルカルバゾール-3-イル)
-N,N’-ジフェニルベンゼン-1,3-ジアミン(略称:PCA2B)、N,N’,
N’’-トリフェニル-N,N’,N’’-トリス(9-フェニルカルバゾール-3-イ
ル)ベンゼン-1,3,5-トリアミン(略称:PCA3B)、N-(4-ビフェニル)
-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9-フェニル-9H-カル
バゾール-3-アミン(略称:PCBiF)、N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)
-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジ
メチル-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBBiF)、9,9-ジメチル-N
-フェニル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]フ
ルオレン-2-アミン(略称:PCBAF)、N-フェニル-N-[4-(9-フェニル
-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]スピロ-9,9’-ビフルオレン-2-ア
ミン(略称:PCBASF)、2-[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N
-フェニルアミノ]スピロ-9,9’-ビフルオレン(略称:PCASF)、2,7-ビ
ス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]スピロ-9,9’-
ビフルオレン(略称:DPA2SF)、N-[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フ
ェニル]-N-(4-フェニル)フェニルアニリン(略称:YGA1BP)、N,N’-
ビス[4-(カルバゾール-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニル-9,9-ジ
メチルフルオレン-2,7-ジアミン(略称:YGA2F)などの芳香族アミン化合物等
を用いることができる。また、3-[4-(1-ナフチル)-フェニル]-9-フェニル
-9H-カルバゾール(略称:PCPN)、3-[4-(9-フェナントリル)-フェニ
ル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCPPn)、3,3’-ビス(9-
フェニル-9H-カルバゾール)(略称:PCCP)、1,3-ビス(N-カルバゾリル
)ベンゼン(略称:mCP)、3,6-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)-9-フェ
ニルカルバゾール(略称:CzTP)、3,6-ジ(9H-カルバゾール-9-イル)-
9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PhCzGI)、2,8-ジ(9H-カルバ
ゾール-9-イル)-ジベンゾチオフェン(略称:Cz2DBT)等のアミン化合物、カ
ルバゾール化合物等を用いることができる。上述した化合物の中でも、ピロール骨格、芳
香族アミン骨格を有する化合物は、安定で信頼性が良好であり好ましい。また、当該骨格
を有する化合物は、正孔輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与する。
【0088】
また、正孔輸送性材料141a_2、正孔輸送性材料141b_2及び正孔輸送性材料
141c_2としては、イミダゾール骨格、トリアゾール骨格、及びテトラゾール骨格等
の含窒素五員複素環骨格を有する化合物を用いることができる。具体的には、例えば、3
-(4-ビフェニリル)-4-フェニル-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,
2,4-トリアゾール(略称:TAZ)、9-[4-(4,5-ジフェニル-4H-1,
2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzTAZ
1)、2,2’,2’’-(1,3,5-ベンゼントリイル)トリス(1-フェニル-1
H-ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、2-[3-(ジベンゾチオフェン-4-
イル)フェニル]-1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm-
II)等を用いることができる。
【0089】
また、発光層140において、発光性材料142a、発光性材料142b、発光性材料
142c、としては、特に限定はないが、蛍光性化合物としては、アントラセン誘導体、
テトラセン誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘
導体、スチルベン誘導体、アクリドン誘導体、クマリン誘導体、フェノキサジン誘導体、
フェノチアジン誘導体などが好ましく、例えば以下の物質を用いることができる。
【0090】
具体的には、5,6-ビス[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-2
,2’-ビピリジン(略称:PAP2BPy)、5,6-ビス[4’-(10-フェニル
-9-アントリル)ビフェニル-4-イル]-2,2’-ビピリジン(略称:PAPP2
BPy)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス[4-(9-フェニル-9H-フルオ
レン-9-イル)フェニル]ピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)
、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ビス[3-(9-フェニル-9H
-フルオレン-9-イル)フェニル]ピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6mMem
FLPAPrn)、N,N’-ビス[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル
)フェニル]-N,N’-ビス(4-tert-ブチルフェニル)ピレン-1,6-ジア
ミン(略称:1,6tBu-FLPAPrn)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス
[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]-3,8-ジシクロヘ
キシルピレン-1,6-ジアミン(略称:ch-1,6FLPAPrn)、N,N’-ビ
ス[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニルスチルベ
ン-4,4’-ジアミン(略称:YGA2S)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)
-4’-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)
、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(9,10-ジフェニル-2-アント
リル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-
(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略
称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,11-テトラ(tert-ブチル)ペリレン
(略称:TBP)、4-(10-フェニル-9-アントリル)-4’-(9-フェニル-
9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、N,N’
’-(2-tert-ブチルアントラセン-9,10-ジイルジ-4,1-フェニレン)
ビス[N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン](略称:DPAB
PA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フ
ェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPPA)、N-[4-(9
,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]-N,N’,N’-トリフェニル-1
,4-フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)、N,N,N’,N’,N’’,N
’’,N’’’,N’’’-オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン-2,7,10
,15-テトラアミン(略称:DBC1)、クマリン30、N-(9,10-ジフェニル
-2-アントリル)-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2
PCAPA)、N-[9,10-ビス(1,1’-ビフェニル-2-イル)-2-アント
リル]-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCABPh
A)、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-N,N’,N’-トリフェニル
-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N-[9,10-ビス(1,1
’-ビフェニル-2-イル)-2-アントリル]-N,N’,N’-トリフェニル-1,
4-フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10-ビス(1,1’-ビフ
ェニル-2-イル)-N-[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N-フ
ェニルアントラセン-2-アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9-トリフェニ
ルアントラセン-9-アミン(略称:DPhAPhA)、クマリン6、クマリン545T
、N,N’-ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)、ルブレン、2,8-ジ-te
rt-ブチル-5,11-ビス(4-tert-ブチルフェニル)-6,12-ジフェニ
ルテトラセン(略称:TBRb)、ナイルレッド、5,12-ビス(1,1’-ビフェニ
ル-4-イル)-6,11-ジフェニルテトラセン(略称:BPT)、2-(2-{2-
[4-(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}-6-メチル-4H-ピラン-4-イリ
デン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2-{2-メチル-6-[2-(2,3
,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル
]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N
’,N’-テトラキス(4-メチルフェニル)テトラセン-5,11-ジアミン(略称:
p-mPhTD)、7,14-ジフェニル-N,N,N’,N’-テトラキス(4-メチ
ルフェニル)アセナフト[1,2-a]フルオランテン-3,10-ジアミン(略称:p
-mPhAFD)、2-{2-イソプロピル-6-[2-(1,1,7,7-テトラメチ
ル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル
)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)
、2-{2-tert-ブチル-6-[2-(1,1,7,7-テトラメチル-2,3,
6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]
-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、2-(2,
6-ビス{2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}-4H-ピラン-4-イ
リデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2-{2,6-ビス[2-(8-
メトキシ-1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H
-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プ
ロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)、5,10,15,20-テトラフェニル
ビスベンゾ[5,6]インデノ[1,2,3-cd:1’,2’,3’-lm]ペリレン
、などが挙げられる。
【0091】
発光性材料142a、発光性材料142b、発光性材料142c(燐光性化合物)とし
ては、イリジウム、ロジウム、または白金系の有機金属錯体、あるいは金属錯体が挙げら
れ、中でも有機イリジウム錯体、例えばイリジウム系オルトメタル錯体が好ましい。オル
トメタル化する配位子としては4H-トリアゾール配位子、1H-トリアゾール配位子、
イミダゾール配位子、ピリジン配位子、ピリミジン配位子、ピラジン配位子、あるいはイ
ソキノリン配位子などが挙げられる。金属錯体としては、ポルフィリン配位子を有する白
金錯体などが挙げられる。
【0092】
青色または緑色の波長領域に発光ピークを有する物質としては、例えば、トリス{2-
[5-(2-メチルフェニル)-4-(2,6-ジメチルフェニル)-4H-1,2,4
-トリアゾール-3-イル-κN]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:I
r(mpptz-dmp))、トリス(5-メチル-3,4-ジフェニル-4H-1,
2,4-トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:Ir(Mptz)3)、トリス[
4-(3-ビフェニル)-5-イソプロピル-3-フェニル-4H-1,2,4-トリア
ゾラト]イリジウム(III)(略称:Ir(iPrptz-3b))、トリス[3-
(5-ビフェニル)-5-イソプロピル-4-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾラ
ト]イリジウム(III)(略称:Ir(iPr5btz))、のような4H-トリア
ゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、トリス[3-メチル-1-(2-メチル
フェニル)-5-フェニル-1H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(
略称:Ir(Mptz1-mp))、トリス(1-メチル-5-フェニル-3-プロピ
ル-1H-1,2,4-トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:Ir(Prptz
1-Me))のような1H-トリアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、f
ac-トリス[1-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-2-フェニル-1H-イミダ
ゾール]イリジウム(III)(略称:Ir(iPrpmi))、トリス[3-(2,
6-ジメチルフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジナト]イリ
ジウム(III)(略称:Ir(dmpimpt-Me))のようなイミダゾール骨格
を有する有機金属イリジウム錯体や、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピ
リジナト-N,C’]イリジウム(III)テトラキス(1-ピラゾリル)ボラート(
略称:FIr6)、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C
’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2-[3’,
5’-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト-N,C’}イリジウム(I
II)ピコリナート(略称:Ir(CF3ppy)(pic))、ビス[2-(4’,
6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C’]イリジウム(III)アセチルア
セトナート(略称:FIr(acac))のような電子吸引基を有するフェニルピリジン
誘導体を配位子とする有機金属イリジウム錯体が挙げられる。上述した中でも、4H-ト
リアゾール骨格、1H-トリアゾール骨格およびイミダゾール骨格のような含窒素五員複
素環骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、高い三重項励起エネルギーを有し、信頼性
や発光効率にも優れるため、特に好ましい。
【0093】
また、緑色または黄色の波長領域に発光ピークを有する物質としては、例えば、トリス
(4-メチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mpp
m))、トリス(4-t-ブチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)
(略称:Ir(tBuppm))、(アセチルアセトナト)ビス(6-メチル-4-フ
ェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppm)(acac))
、(アセチルアセトナト)ビス(6-tert-ブチル-4-フェニルピリミジナト)イ
リジウム(III)(略称:Ir(tBuppm)(acac))、(アセチルアセト
ナト)ビス[4-(2-ノルボルニル)-6-フェニルピリミジナト]イリジウム(II
I)(略称:Ir(nbppm)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[5-
メチル-6-(2-メチルフェニル)-4-フェニルピリミジナト]イリジウム(III
)(略称:Ir(mpmppm)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス{4,
6-ジメチル-2-[6-(2,6-ジメチルフェニル)-4-ピリミジニル-κN
フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:Ir(dmppm-dmp)(aca
c))、(アセチルアセトナト)ビス(4,6-ジフェニルピリミジナト)イリジウム(
III)(略称:Ir(dppm)(acac))のようなピリミジン骨格を有する有
機金属イリジウム錯体や、(アセチルアセトナト)ビス(3,5-ジメチル-2-フェニ
ルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr-Me)(acac))
、(アセチルアセトナト)ビス(5-イソプロピル-3-メチル-2-フェニルピラジナ
ト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr-iPr)(acac))のような
ピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、トリス(2-フェニルピリジナト-N
,C’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)3)、ビス(2-フェニルピリ
ジナト-N,C’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy
(acac))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルア
セトナート(略称:Ir(bzq)(acac))、トリス(ベンゾ[h]キノリナト
)イリジウム(III)(略称:Ir(bzq))、トリス(2-フェニルキノリナト
-N,C’)イリジウム(III)(略称:Ir(pq))、ビス(2-フェニルキ
ノリナト-N,C’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pq
(acac))のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、ビス(2
,4-ジフェニル-1,3-オキサゾラト-N,C’)イリジウム(III)アセチル
アセトナート(略称:Ir(dpo)(acac))、ビス{2-[4’-(パーフル
オロフェニル)フェニル]ピリジナト-N,C’}イリジウム(III)アセチルアセ
トナート(略称:Ir(p-PF-ph)(acac))、ビス(2-フェニルベンゾ
チアゾラト-N,C’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(b
t)(acac))など有機金属イリジウム錯体の他、トリス(アセチルアセトナト)
(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)(Phen
))のような希土類金属錯体が挙げられる。上述した中でも、ピリミジン骨格を有する有
機金属イリジウム錯体は、信頼性や発光効率にも際だって優れるため、特に好ましい。
【0094】
また、黄色または赤色の波長領域に発光ピークを有する物質としては、例えば、(ジイ
ソブチリルメタナト)ビス[4,6-ビス(3-メチルフェニル)ピリミジナト]イリジ
ウム(III)(略称:Ir(5mdppm)(dibm))、ビス[4,6-ビス(
3-メチルフェニル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(
略称:Ir(5mdppm)(dpm))、ビス[4,6-ジ(ナフタレン-1-イル
)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:Ir(d1n
pm)(dpm))のようなピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、(ア
セチルアセトナト)ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)
(略称:Ir(tppr)(acac))、ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナ
ト)(ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(dp
m))、ビス{4,6-ジメチル-2-[3-(3,5-ジメチルフェニル)-5-フェ
ニル-2-ピラジニル-κN]フェニル-κC}(2,6-ジメチル-3,5-ヘプタン
ジオナト-κO,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-P)
(dibm)])、ビス{4,6-ジメチル-2-[5-(4-シアノ-2,6-ジメチ
ルフェニル)-3-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ピラジニル-κN]フェニル-
κC}(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κO,O’)イ
リジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-dmCP)(dpm)])、(ア
セチルアセトナト)ビス[2,3-ビス(4-フルオロフェニル)キノキサリナト]イリ
ジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))のようなピラジン骨格を有
する有機金属イリジウム錯体や、トリス(1-フェニルイソキノリナト-N,C’)イ
リジウム(III)(略称:Ir(piq))、ビス(1-フェニルイソキノリナト-
N,C’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)(a
cac))のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体の他、2,3,7,8
,12,13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィリン白金(II)
(略称:PtOEP)のような白金錯体や、トリス(1,3-ジフェニル-1,3-プロ
パンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM
(Phen))、トリス[1-(2-テノイル)-3,3,3-トリフルオロアセト
ナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)(P
hen))のような希土類金属錯体が挙げられる。上述した中でも、ピリミジン骨格を有
する有機金属イリジウム錯体は、信頼性や発光効率にも際だって優れるため、特に好まし
い。また、ピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、色度の良い赤色発光が得ら
れるため、本発明の一態様に係る発光素子に好適に用いることができる。
【0095】
発光層140に含まれる発光材料としては、三重項励起エネルギーを発光に変換できる
材料であれば好ましい。該三重項励起エネルギーを発光に変換できる材料としては、燐光
性化合物の他に、熱活性化遅延蛍光(Thermally activated del
ayed fluorescence:TADF)材料が挙げられる。したがって、燐光
性化合物と記載した部分に関しては、熱活性化遅延蛍光材料と読み替えても構わない。な
お、熱活性化遅延蛍光材料とは、三重項励起エネルギー準位と一重項励起エネルギー準位
との差が小さく、逆項間交差によって三重項励起状態から一重項励起状態へエネルギーを
変換する機能を有する材料である。そのため、三重項励起状態をわずかな熱エネルギーに
よって一重項励起状態にアップコンバート(逆項間交差)が可能で、一重項励起状態から
の発光(蛍光)を効率よく呈することができる。また、熱活性化遅延蛍光が効率良く得ら
れる条件としては、三重項励起エネルギー準位と一重項励起エネルギー準位のエネルギー
差が好ましくは0eVより大きく0.2eV以下、さらに好ましくは0eVより大きく0
.1eV以下であることが挙げられる。なお、TADF材料は発光材料としてだけではな
く、発光層のホスト材料としても用いることができる。
【0096】
熱活性化遅延蛍光材料が、一種類の材料から構成される場合、例えば以下の材料を用い
ることができる。
【0097】
まず、フラーレンやその誘導体、プロフラビン等のアクリジン誘導体、エオシン等が挙
げられる。また、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、スズ(S
n)、白金(Pt)、インジウム(In)、もしくはパラジウム(Pd)等を含む金属含
有ポルフィリンが挙げられる。該金属含有ポルフィリンとしては、例えば、プロトポルフ
ィリン-フッ化スズ錯体(SnF(Proto IX))、メソポルフィリン-フッ化
スズ錯体(SnF(Meso IX))、ヘマトポルフィリン-フッ化スズ錯体(Sn
(Hemato IX))、コプロポルフィリンテトラメチルエステル-フッ化スズ
錯体(SnF(Copro III-4Me))、オクタエチルポルフィリン-フッ化
スズ錯体(SnF(OEP))、エチオポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF(E
tio I))、オクタエチルポルフィリン-塩化白金錯体(PtClOEP)等が挙
げられる。
【0098】
また、一種の材料から構成される熱活性化遅延蛍光材料としては、π電子過剰型複素芳
香環及びπ電子不足型複素芳香環を有する複素環化合物も用いることができる。具体的に
は、2-(ビフェニル-4-イル)-4,6-ビス(12-フェニルインドロ[2,3-
a]カルバゾール-11-イル)-1,3,5-トリアジン(略称:PIC-TRZ)、
2-{4-[3-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾー
ル-9-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PC
CzPTzn)、2-[4-(10H-フェノキサジン-10-イル)フェニル]-4,
6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PXZ-TRZ)、3-[4-(5-
フェニル-5,10-ジヒドロフェナジン-10-イル)フェニル]-4,5-ジフェニ
ル-1,2,4-トリアゾール(略称:PPZ-3TPT)、3-(9,9-ジメチル-
9H-アクリジン-10-イル)-9H-キサンテン-9-オン(略称:ACRXTN)
、ビス[4-(9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン)フェニル]スルホン
(略称:DMAC-DPS)、10-フェニル-10H,10’H-スピロ[アクリジン
-9,9’-アントラセン]-10’-オン(略称:ACRSA)等が挙げられる。該複
素環化合物は、π電子過剰型複素芳香環及びπ電子不足型複素芳香環を有するため、電子
輸送性及び正孔輸送性が高く、好ましい。中でも、π電子不足型複素芳香環を有する骨格
のうち、ジアジン骨格(ピリミジン骨格、ピラジン骨格、ピリダジン骨格)、またはトリ
アジン骨格は、安定で信頼性が良好なため、好ましい。また、π電子過剰型複素芳香環を
有する骨格の中でも、アクリジン骨格、フェノキサジン骨格、チオフェン骨格、フラン骨
格、及びピロール骨格は、安定で信頼性が良好なため、当該骨格の中から選ばれるいずれ
か一つまたは複数を有することが、好ましい。なお、ピロール骨格としては、インドール
骨格、カルバゾール骨格、及び3-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-
9H-カルバゾール骨格、が特に好ましい。なお、π電子過剰型複素芳香環とπ電子不足
型複素芳香環とが直接結合した物質は、π電子過剰型複素芳香環のドナー性とπ電子不足
型複素芳香環のアクセプター性が共に強く、一重項励起状態のエネルギー準位と三重項励
起状態のエネルギー準位との差が小さくなるため、特に好ましい。
【0099】
また、発光層140において、ホスト材料141a、ホスト材料141b及びホスト材
料141cおよび発光性材料142a、発光性材料142b及び発光性材料142c以外
の材料を有していても良い。
【0100】
発光層140に用いることが可能な材料としては、特に限定はないが、例えば、アント
ラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、ジベンゾ[g,
p]クリセン誘導体等の縮合多環芳香族化合物が挙げられ、具体的には、9,10-ジフ
ェニルアントラセン(略称:DPAnth)、6,12-ジメトキシ-5,11-ジフェ
ニルクリセン、9,10-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:D
PPA)、9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2-tert
-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:t-BuDNA)、9,
9’-ビアントリル(略称:BANT)、9,9’-(スチルベン-3,3’-ジイル)
ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’-(スチルベン-4,4’-ジイル)ジ
フェナントレン(略称:DPNS2)、1,3,5-トリ(1-ピレニル)ベンゼン(略
称:TPB3)などを挙げることができる。また、これら及び公知の物質の中から、上記
発光性材料142a、発光性材料142b及び発光性材料142cの励起エネルギー準位
より高い一重項励起エネルギー準位または三重項励起エネルギー準位を有する物質を、一
種もしくは複数種選択して用いればよい。
【0101】
また、例えば、オキサジアゾール誘導体等の複素芳香族骨格を有する化合物を発光層1
40に用いることができる。具体的には、例えば、2-(4-ビフェニリル)-5-(4
-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(略称:PBD)や、1
,3-ビス[5-(p-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-
2-イル]ベンゼン(略称:OXD-7)、9-[4-(5-フェニル-1,3,4-オ
キサジアゾール-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CO11)、4,
4’-ビス(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)スチルベン(略称:BzOs)
などの複素環化合物が挙げられる。
【0102】
また、複素環を有する金属錯体(例えば亜鉛及びアルミニウム系金属錯体)などを発光
層140に用いることができる。例えば、キノリン配位子、ベンゾキノリン配位子、オキ
サゾール配位子、あるいはチアゾール配位子を有する金属錯体が挙げられる。具体的には
、例えば、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリ
ス(4-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビ
ス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq
)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニルフェノラト)アルミニウム(
III)(略称:BAlq)、ビス(8-キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)
など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等が挙げられる。また、
この他ビス[2-(2-ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnP
BO)、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnB
TZ)などのオキサゾール系、またはチアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いる
ことができる。
【0103】
なお、発光層140は2層以上の複数層でもって構成することもできる。例えば、第1
の発光層と第2の発光層を正孔輸送層側から順に積層して発光層140とする場合、第1
の発光層のホスト材料として正孔輸送性を有する物質を用い、第2の発光層のホスト材料
として電子輸送性を有する物質を用いる構成などがある。また、第1の発光層と第2の発
光層とが有する発光材料は、同じ材料であっても異なる材料であってもよく、同じ色の発
光を呈する機能を有する材料であっても、異なる色の発光を呈する機能を有する材料であ
ってもよい。2層の発光層に、互いに異なる色の発光を呈する機能を有する発光材料をそ
れぞれ用いることで、複数の発光を同時に得ることができる。特に、2層の発光層が呈す
る発光により、白色になるよう、各発光層に用いる発光材料を選択すると好ましい。
【0104】
なお、発光層140は、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法、グ
ラビア印刷等の方法で形成することができる。また、上述した材料の他、量子ドットなど
の無機化合物または高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を有しても
よい。
【0105】
≪正孔注入層≫
正孔注入層111は、正孔注入層111と一対の電極の一方(電極101または電極1
02)の界面におけるホール注入障壁を低減することでホール注入を促進する機能を有し
、例えば遷移金属酸化物、フタロシアニン誘導体、あるいは芳香族アミンなどによって形
成される。遷移金属酸化物としては、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム
酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物などが挙げられる。フタロシアニン誘導体
としては、フタロシアニンや金属フタロシアニンなどが挙げられる。芳香族アミンとして
はベンジジン誘導体やフェニレンジアミン誘導体などが挙げられる。ポリチオフェンやポ
リアニリンなどの高分子化合物を用いることもでき、例えば自己ドープされたポリチオフ
ェンであるポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)などがそ
の代表例である。
【0106】
正孔注入層111として、正孔輸送性材料と、これに対して電子受容性を示す材料の複
合材料を有する層を用いることもできる。あるいは、電子受容性を示す材料を含む層と正
孔輸送性材料を含む層の積層を用いても良い。これらの材料間では定常状態、あるいは電
界存在下において電荷の授受が可能である。電子受容性を示す材料としては、キノジメタ
ン誘導体やクロラニル誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体などの有機アクセプター
を挙げることができる。具体的には、7,7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-
テトラフルオロキノジメタン(略称:F4-TCNQ)、クロラニル、2,3,6,7,
10,11-ヘキサシアノ-1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン(略
称:HAT-CN)等の電子吸引基(ハロゲン基やシアノ基)を有する化合物である。ま
た、遷移金属酸化物、例えば第4族から第8族金属の酸化物を用いることができる。具体
的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸
化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムなどである。中でも酸化モリブデンは大気
中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0107】
正孔輸送性材料としては、電子よりも正孔の輸送性の高い材料を用いることができ、1
×10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する材料であることが好ましい。具体的に
は、発光層140に用いることができる正孔輸送性材料として挙げた芳香族アミン、カル
バゾール誘導体、芳香族炭化水素、スチルベン誘導体などを用いることができる。また、
該正孔輸送性材料は高分子化合物であっても良い。
【0108】
また、正孔輸送性材料として他には芳香族炭化水素が挙げられ、例えば、2-tert
-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:t-BuDNA)、2-
tert-ブチル-9,10-ジ(1-ナフチル)アントラセン、9,10-ビス(3,
5-ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2-tert-ブチル-9
,10-ビス(4-フェニルフェニル)アントラセン(略称:t-BuDBA)、9,1
0-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10-ジフェニルアントラ
セン(略称:DPAnth)、2-tert-ブチルアントラセン(略称:t-BuAn
th)、9,10-ビス(4-メチル-1-ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)
、2-tert-ブチル-9,10-ビス[2-(1-ナフチル)フェニル]アントラセ
ン、9,10-ビス[2-(1-ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7-
テトラメチル-9,10-ジ(1-ナフチル)アントラセン、2,3,6,7-テトラメ
チル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン、9,9’-ビアントリル、10,1
0’-ジフェニル-9,9’-ビアントリル、10,10’-ビス(2-フェニルフェニ
ル)-9,9’-ビアントリル、10,10’-ビス[(2,3,4,5,6-ペンタフ
ェニル)フェニル]-9,9’-ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、
ペリレン、2,5,8,11-テトラ(tert-ブチル)ペリレン等が挙げられる。ま
た、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10-6
cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14乃至炭素数42である芳香族炭化水素
を用いることがより好ましい。
【0109】
なお、芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香
族炭化水素としては、例えば、4,4’-ビス(2,2-ジフェニルビニル)ビフェニル
(略称:DPVBi)、9,10-ビス[4-(2,2-ジフェニルビニル)フェニル]
アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
【0110】
また、4-{3-[3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]フ
ェニル}ジベンゾフラン(略称:mmDBFFLBi-II)、4,4’,4’’-(ベ
ンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾフラン)(略称:DBF3P-II)、
1,3,5-トリ(ジベンゾチオフェン-4-イル)ベンゼン(略称:DBT3P-II
)、2,8-ジフェニル-4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フ
ェニル]ジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-III)、4-[4-(9-フェニ
ル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]-6-フェニルジベンゾチオフェン(略称
:DBTFLP-IV)、4-[3-(トリフェニレン-2-イル)フェニル]ジベンゾ
チオフェン(略称:mDBTPTp-II)等のチオフェン化合物、フラン化合物、フル
オレン化合物、トリフェニレン化合物、フェナントレン化合物等を用いることができる。
上述した化合物の中でも、ピロール骨格、フラン骨格、チオフェン骨格、芳香族アミン骨
格を有する化合物は、安定で信頼性が良好であり好ましい。また、当該骨格を有する化合
物は、正孔輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与する。
【0111】
≪正孔輸送層≫
正孔輸送層112は正孔輸送性材料を含む層であり、正孔注入層111の材料として例
示した正孔輸送性材料を使用することができる。正孔輸送層112は正孔注入層111に
注入された正孔を発光層140へ輸送する機能を有するため、正孔注入層111のHOM
O(Highest Occupied Molecular Orbital、最高被
占軌道ともいう)準位と同じ、あるいは近いHOMO準位を有することが好ましい。
【0112】
また、1×10-6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい
。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外の物質を用いてもよい
。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層だけでなく、上記物質からなる層が二層
以上積層してもよい。
【0113】
≪電子輸送層≫
電子輸送層118は、電子注入層119を経て一対の電極の他方(電極101または電
極102)から注入された電子を発光層140へ輸送する機能を有する。電子輸送性材料
としては、正孔よりも電子の輸送性の高い材料を用いることができ、1×10-6cm
/Vs以上の電子移動度を有する材料であることが好ましい。電子を受け取りやすい化合
物(電子輸送性を有する材料)としては、含窒素複素芳香族化合物のようなπ電子不足型
複素芳香族や金属錯体などを用いることができる。具体的には、発光層140に用いるこ
とができる電子輸送性材料として挙げたピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン
誘導体、トリアジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、フェナ
ントロリン誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、オキサジアゾール
誘導体などが挙げられる。また、1×10-6cm/Vs以上の電子移動度を有する物
質であることが好ましい。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外
の物質を電子輸送層として用いても構わない。また、電子輸送層118は、単層だけでな
く、上記物質からなる層が二層以上積層してもよい。
【0114】
また、複素環を有する金属錯体が挙げられ、例えば、キノリン配位子、ベンゾキノリン
配位子、オキサゾール配位子、あるいはチアゾール配位子を有する金属錯体が挙げられる
。具体的には、例えば、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:A
lq)、トリス(4-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Al
mq3)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称
:BeBq2)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニルフェノラト)ア
ルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8-キノリノラト)亜鉛(II)(略
称:Znq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等が挙げら
れる。また、この他ビス[2-(2-ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(
略称:ZnPBO)、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(
略称:ZnBTZ)などのオキサゾール系、またはチアゾール系配位子を有する金属錯体
なども用いることができる。
【0115】
また、電子輸送層118と発光層140との間に電子キャリアの移動を制御する層を設
けても良い。これは上述したような電子輸送性の高い材料に、電子トラップ性の高い物質
を少量添加した層であって、電子キャリアの移動を抑制することによって、キャリアバラ
ンスを調節することが可能となる。このような構成は、電子輸送性材料の電子輸送性が正
孔輸送性材料の正孔輸送性と比べて著しく高い場合に発生する問題(例えば素子寿命の低
下)の抑制に大きな効果を発揮する。
【0116】
≪電子注入層≫
電子注入層119は、電子注入層119と電極102の界面における電子注入障壁を低
減することで電子注入を促進する機能を有し、例えば第1族金属、第2族金属、あるいは
これらの酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩などを用いることができる。また、先に示す電子
輸送性材料と、これに対して電子供与性を示す材料の複合材料を用いることもできる。電
子供与性を示す材料としては、第1族金属、第2族金属、あるいはこれらの酸化物などを
挙げることができる。具体的には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ナトリウム(Na
F)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)、リチウム酸化物(L
iOx)等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いるこ
とができる。また、フッ化エルビウム(ErF)のような希土類金属化合物を用いるこ
とができる。また、電子注入層119にエレクトライドを用いてもよい。該エレクトライ
ドとしては、例えば、カルシウムとアルミニウムの混合酸化物に電子を高濃度添加した物
質等が挙げられる。また、電子注入層119に、電子輸送層118で用いることが出来る
物質を用いても良い。
【0117】
また、電子注入層119に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合
材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発
生するため、電子注入性および電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては
、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した
電子輸送層118を構成する物質(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができ
る。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的
には、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、ナトリウム
、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。
また、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カル
シウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス
塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合
物を用いることもできる。
【0118】
なお、上述した、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層は、
それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法、グラビア印刷等の
方法で形成することができる。また、上述した、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子
輸送層、及び電子注入層には、上述した材料の他、量子ドットなどの無機化合物や、高分
子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いてもよい。
【0119】
≪量子ドット≫
発光材料としては量子ドットも用いることができる。量子ドットは、数nmから数十n
mサイズの半導体ナノ結晶であり、1×10個から1×10個程度の原子から構成さ
れている。量子ドットはサイズに依存してエネルギーシフトするため、同じ物質から構成
される量子ドットであっても、サイズによって発光波長が異なる。そのため、用いる量子
ドットのサイズを変更することによって、容易に発光波長を変更することができる。
【0120】
また、量子ドットは、発光スペクトルのピーク幅が狭いため、色純度のよい発光を得る
ことができる。さらに、量子ドットの理論的な内部量子効率はほぼ100%であると言わ
れており、蛍光発光を呈する有機化合物の25%を大きく上回り、燐光発光を呈する有機
化合物と同等となっている。このことから、量子ドットを発光材料として用いることによ
って発光効率の高い発光素子を得ることができる。その上、無機材料である量子ドットは
、その本質的な安定性にも優れているため、寿命の観点からも好ましい発光素子を得るこ
とができる。
【0121】
量子ドットを構成する材料としては、第14族元素、第15族元素、第16族元素、複
数の第14族元素からなる化合物、第4族から第14族に属する元素と第16族元素との
化合物、第2族元素と第16族元素との化合物、第13族元素と第15族元素との化合物
、第13族元素と第17族元素との化合物、第14族元素と第15族元素との化合物、第
11族元素と第17族元素との化合物、酸化鉄類、酸化チタン類、カルコゲナイドスピネ
ル類、各種半導体クラスターなどを挙げることができる。
【0122】
具体的には、セレン化カドミウム、硫化カドミウム、テルル化カドミウム、セレン化亜
鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、テルル化亜鉛、硫化水銀、セレン化水銀、テルル化水銀、砒化
インジウム、リン化インジウム、砒化ガリウム、リン化ガリウム、窒化インジウム、窒化
ガリウム、アンチモン化インジウム、アンチモン化ガリウム、リン化アルミニウム、砒化
アルミニウム、アンチモン化アルミニウム、セレン化鉛、テルル化鉛、硫化鉛、セレン化
インジウム、テルル化インジウム、硫化インジウム、セレン化ガリウム、硫化砒素、セレ
ン化砒素、テルル化砒素、硫化アンチモン、セレン化アンチモン、テルル化アンチモン、
硫化ビスマス、セレン化ビスマス、テルル化ビスマス、ケイ素、炭化ケイ素、ゲルマニウ
ム、錫、セレン、テルル、ホウ素、炭素、リン、窒化ホウ素、リン化ホウ素、砒化ホウ素
、窒化アルミニウム、硫化アルミニウム、硫化バリウム、セレン化バリウム、テルル化バ
リウム、硫化カルシウム、セレン化カルシウム、テルル化カルシウム、硫化ベリリウム、
セレン化ベリリウム、テルル化ベリリウム、硫化マグネシウム、セレン化マグネシウム、
硫化ゲルマニウム、セレン化ゲルマニウム、テルル化ゲルマニウム、硫化錫、セレン化錫
、テルル化錫、酸化鉛、フッ化銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、酸化銅、セレン化銅、酸
化ニッケル、酸化コバルト、硫化コバルト、酸化鉄、硫化鉄、酸化マンガン、硫化モリブ
デン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化タンタル、酸化チタン、酸化ジルコニウ
ム、窒化ケイ素、窒化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、セレンと亜
鉛とカドミウムの化合物、インジウムと砒素とリンの化合物、カドミウムとセレンと硫黄
の化合物、カドミウムとセレンとテルルの化合物、インジウムとガリウムと砒素の化合物
、インジウムとガリウムとセレンの化合物、インジウムとセレンと硫黄の化合物、銅とイ
ンジウムと硫黄の化合物、およびこれらの組合せなどを挙げることができるが、これらに
限定されない。また、組成が任意の比率で表される、いわゆる合金型量子ドットを用いて
も良い。例えば、カドミウムとセレンと硫黄の合金型量子ドットは、元素の含有比率を変
化させることで発光波長を変えることができるため、青色発光を得るには有効な手段の一
つである。
【0123】
量子ドットの構造としては、コア型、コア-シェル型、コア-マルチシェル型などがあ
り、そのいずれを用いても良いが、コアを覆ってより広いバンドギャップを持つ別の無機
材料でシェルを形成することによって、ナノ結晶表面に存在する欠陥やダングリングボン
ドの影響を低減することができる。これにより、発光の量子効率が大きく改善するためコ
ア-シェル型やコア-マルチシェル型の量子ドットを用いることが好ましい。シェルの材
料の例としては、硫化亜鉛や酸化亜鉛が挙げられる。
【0124】
また、量子ドットは、表面原子の割合が高いことから、反応性が高く、凝集が起こりや
すい。そのため、量子ドットの表面には保護剤が付着している又は保護基が設けられてい
ることが好ましい。当該保護剤が付着している又は保護基が設けられていることによって
、凝集を防ぎ、溶媒への溶解性を高めることができる。また、反応性を低減させ、電気的
安定性を向上させることも可能である。保護剤(又は保護基)としては、例えば、ポリオ
キシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエ
チレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、トリプロピルホス
フィン、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン等の
トリアルキルホスフィン類、ポリオキシエチレンn-オクチルフェニルエーテル、ポリオ
キシエチレンn-ノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テル類、トリ(n-ヘキシル)アミン、トリ(n-オクチル)アミン、トリ(n-デシル
)アミン等の第3級アミン類、トリプロピルホスフィンオキシド、トリブチルホスフィン
オキシド、トリヘキシルホスフィンオキシド、トリオクチルホスフィンオキシド、トリデ
シルホスフィンオキシド等の有機リン化合物、ポリエチレングリコールジラウレート、ポ
リエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類、また、
ピリジン、ルチジン、コリジン、キノリン類等の含窒素芳香族化合物等の有機窒素化合物
、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミ
ン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン等のアミノアルカン類、ジブチルスルフィ
ド等のジアルキルスルフィド類、ジメチルスルホキシドやジブチルスルホキシド等のジア
ルキルスルホキシド類、チオフェン等の含硫黄芳香族化合物等の有機硫黄化合物、パルミ
チン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸、アルコール類、ソルビタン脂肪酸エ
ステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンイ
ミン類等が挙げられる。
【0125】
量子ドットは、サイズが小さくなるに従いバンドギャップが大きくなるため、所望の波
長の光が得られるように、そのサイズを適宜調整する。結晶のサイズが小さくなるにつれ
て、量子ドットの発光は青色側へ、つまり、高エネルギー側へシフトするため、量子ドッ
トのサイズを変更させることにより、紫外領域、可視領域、赤外領域のスペクトルの波長
領域にわたって、その発光波長を調整することができる。量子ドットのサイズ(直径)は
、0.5nm乃至20nm、好ましくは1nm乃至10nmの範囲のものが通常良く用い
られる。なお、量子ドットはそのサイズ分布が狭いほど、より発光スペクトルが狭線化し
、色純度の良好な発光を得ることができる。また、量子ドットの形状は特に限定されず、
球状、棒状、円盤状、その他の形状であってもよい。なお、棒状の量子ドットである量子
ロッドは、指向性を有する光を呈する機能を有するため、量子ロッドを発光材料として用
いることにより、より外部量子効率が良好な発光素子を得ることができる。
【0126】
ところで、有機EL素子では多くの場合、発光材料をホスト材料に分散し、発光材料の
濃度消光を抑制することによって発光効率を高めている。ホスト材料は発光材料以上の一
重項励起エネルギー準位または三重項励起エネルギー準位を有する材料であることが必要
である。特に、青色燐光材料を発光材料に用いる場合、それ以上の三重項励起エネルギー
準位を有し、且つ、寿命の観点で優れたホスト材料が必要であり、その開発は困難を極め
ている。ここで、量子ドットは、ホスト材料を用いずに量子ドットのみで発光層を構成し
ても発光効率を保つことができるため、この点でも寿命という観点から好ましい発光素子
を得ることができる。量子ドットのみで発光層を形成する場合には、量子ドットはコア-
シェル構造(コア-マルチシェル構造を含む)であることが好ましい。
【0127】
発光層の発光材料に量子ドットを用いる場合、当該発光層の膜厚は3nm乃至100n
m、好ましくは10nm乃至100nmとし、発光層中の量子ドットの含有率は1乃至1
00体積%とする。ただし、量子ドットのみで発光層を形成することが好ましい。なお、
当該量子ドットを発光材料としてホストに分散した発光層を形成する場合は、ホスト材料
に量子ドットを分散させる、またはホスト材料と量子ドットとを適当な液媒体に溶解また
は分散させてウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレード
コート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコ
ート法、ラングミュア・ブロジェット法など)により形成すればよい。燐光性の発光材料
を用いた発光層については、上記ウェットプロセスの他、真空蒸着法も好適に利用するこ
とができる。
【0128】
ウェットプロセスに用いる液媒体としては、たとえば、メチルエチルケトン、シクロヘ
キサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲ
ン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族
炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、ジメチルホル
ムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機溶媒を用いることがで
きる。
【0129】
≪一対の電極≫
電極101及び電極102は、発光素子の陽極または陰極としての機能を有する。電極
101及び電極102は、金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物や積層体な
どを用いて形成することができる。
【0130】
電極101または電極102の一方は、光を反射する機能を有する導電性材料により形
成されると好ましい。該導電性材料としては、アルミニウム(Al)またはAlを含む合
金等が挙げられる。Alを含む合金としては、AlとL(Lは、チタン(Ti)、ネオジ
ム(Nd)、ニッケル(Ni)、及びランタン(La)の一つまたは複数を表す)とを含
む合金等が挙げられ、例えばAlとTi、またはAlとNiとLaを含む合金等である。
アルミニウムは、抵抗値が低く、光の反射率が高い。また、アルミニウムは、地殻におけ
る存在量が多く、安価であるため、アルミニウムを用いることによる発光素子の作製コス
トを低減することができる。また、銀(Ag)、またはAgとN(Nは、イットリウム(
Y)、Nd、マグネシウム(Mg)、イッテルビウム(Yb)、Al、Ti、ガリウム(
Ga)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、
スズ(Sn)、鉄(Fe)、Ni、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir
)、または金(Au)の一つまたは複数を表す)とを含む合金等を用いても良い。銀を含
む合金としては、例えば、銀とパラジウムと銅を含む合金、銀と銅を含む合金、銀とマグ
ネシウムを含む合金、銀とニッケルを含む合金、銀と金を含む合金、銀とイッテルビウム
を含む合金等が挙げられる。その他、タングステン、クロム(Cr)、モリブデン(Mo
)、銅、チタンなどの遷移金属を用いることができる。
【0131】
また、発光層から得られる発光は、電極101及び電極102の一方または双方を通し
て取り出される。したがって、電極101または電極102の少なくとも一方は、光を透
過する機能を有する導電性材料により形成されると好ましい。該導電性材料としては、可
視光の透過率が40%以上100%以下、好ましくは60%以上100%以下であり、か
つその抵抗率が1×10-2Ω・cm以下の導電性材料が挙げられる。
【0132】
また、電極101及び電極102は、光を透過する機能と、光を反射する機能と、を有
する導電性材料により形成されても良い。該導電性材料としては、可視光の反射率が20
%以上80%以下、好ましくは40%以上70%以下であり、かつその抵抗率が1×10
-2Ω・cm以下の導電性材料が挙げられる。例えば、導電性を有する金属、合金、導電
性化合物などを1種又は複数種用いて形成することができる。具体的には、例えば、イン
ジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide、以下ITO)、珪素または酸化珪
素を含むインジウム錫酸化物(略称:ITSO)、酸化インジウム-酸化亜鉛(Indi
um Zinc Oxide)、チタンを含有した酸化インジウム-錫酸化物、インジウ
ム-チタン酸化物、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウムなどの金属
酸化物を用いることができる。また、光を透過する程度(好ましくは、1nm以上30n
m以下の厚さ)の金属薄膜を用いることができる。金属としては、例えば、Ag、または
AgとAl、AgとMg、AgとAu、AgとYbなどの合金等を用いることができる。
【0133】
なお、本明細書等において、光を透過する機能を有する材料は、可視光を透過する機能
を有し、且つ導電性を有する材料であればよく、例えば上記のようなITOに代表される
酸化物導電体に加えて、酸化物半導体、または有機物を含む有機導電体を含む。有機物を
含む有機導電体としては、例えば、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる
複合材料、有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを混合してなる複合材料等が挙げ
られる。また、グラフェンなどの無機炭素系材料を用いても良い。また、当該材料の抵抗
率としては、好ましくは1×10Ω・cm以下、さらに好ましくは1×10Ω・cm
以下である。
【0134】
また、上記の材料の複数を積層することによって電極101及び電極102の一方また
は双方を形成してもよい。
【0135】
また、光取り出し効率を向上させるため、光を透過する機能を有する電極と接して、該
電極より屈折率の高い材料を形成してもよい。このような材料としては、可視光を透過す
る機能を有する材料であればよく、導電性を有する材料であっても有さない材料であって
もよい。例えば、上記のような酸化物導電体に加えて、酸化物半導体、有機物が挙げられ
る。有機物としては、例えば、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、または電
子注入層に例示した材料が挙げられる。また、無機炭素系材料や光が透過する程度の金属
薄膜も用いることができ、数nm乃至数十nmの層を複数積層させてもよい。
【0136】
電極101または電極102が陰極としての機能を有する場合には、仕事関数が小さい
(3.8eV以下)材料を有することが好ましい。例えば、元素周期表の第1族又は第2
族に属する元素(リチウム、ナトリウム、セシウム等のアルカリ金属、カルシウム、スト
ロンチウム等のアルカリ土類金属、マグネシウム等)、これら元素を含む合金(例えば、
AgとMg、AlとLi)、ユーロピウム(Eu)、Yb等の希土類金属、これら希土類
金属を含む合金、アルミニウム、銀を含む合金等を用いることができる。
【0137】
また、電極101または電極102を陽極として用いる場合、仕事関数の大きい(4.
0eV以上)材料を用いることが好ましい。
【0138】
また、電極101及び電極102は、光を反射する機能を有する導電性材料と、光を透
過する機能を有する導電性材料との積層としてもよい。その場合、電極101及び電極1
02は、各発光層からの所望の波長の光を共振させ、所望の波長の光を強めることができ
るように、光学距離を調整する機能を有することができるため好ましい。
【0139】
電極101及び電極102の成膜方法は、スパッタリング法、蒸着法、印刷法、塗布法
、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、CVD法、パルスレー
ザ堆積法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等を適宜用い
ることができる。
【0140】
≪基板≫
また、本発明の一態様に係る発光素子は、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に
作製すればよい。基板上に作製する順番としては、電極101側から順に積層しても、電
極102側から順に積層しても良い。
【0141】
なお、本発明の一態様に係る発光素子を形成できる基板としては、例えばガラス、石英
、又はプラスチックなどを用いることができる。また可撓性基板を用いてもよい。可撓性
基板とは、曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボ
ネート、ポリアリレート、からなるプラスチック基板等が挙げられる。また、フィルム、
無機蒸着フィルムなどを用いることもできる。なお、発光素子、及び光学素子の作製工程
において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。あるいは、発
光素子、及び光学素子を保護する機能を有するものであればよい。
【0142】
例えば、本明細書等においては、様々な基板を用いて発光素子を形成することが出来る
。基板の種類は、特に限定されない。その基板の一例としては、半導体基板(例えば単結
晶基板又はシリコン基板)、SOI基板、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、金
属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タングス
テン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性基板、貼り合わせフィルム、繊維
状の材料を含む紙、又は基材フィルムなどがある。ガラス基板の一例としては、バリウム
ホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、又はソーダライムガラスなどがある。可
撓性基板、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどの一例としては、以下が挙げられる。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)
、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表さ
れるプラスチックがある。または、一例としては、アクリル等の樹脂などがある。または
、一例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、又はポリ塩化ビニ
ルなどがある。または、一例としては、ポリアミド、ポリイミド、アラミド、エポキシ、
無機蒸着フィルム、又は紙類などがある。
【0143】
また、基板として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、発光素子を形成してもよ
い。または、基板と発光素子との間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に発光素
子を一部あるいは全部完成させた後、基板より分離し、他の基板に転載するために用いる
ことができる。その際、耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも発光素子を転載できる。な
お、上述の剥離層には、例えば、タングステン膜と酸化シリコン膜との無機膜の積層構造
の構成や、基板上にポリイミド等の樹脂膜が形成された構成等を用いることができる。
【0144】
つまり、ある基板を用いて発光素子を形成し、その後、別の基板に発光素子を転置し、
別の基板上に発光素子を配置してもよい。発光素子が転置される基板の一例としては、上
述した基板に加え、セロファン基板、石材基板、木材基板、布基板(天然繊維(絹、綿、
麻)、合成繊維(ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル)若しくは再生繊維(アセテー
ト、キュプラ、レーヨン、再生ポリエステル)などを含む)、皮革基板、又はゴム基板な
どがある。これらの基板を用いることにより、壊れにくい発光素子、耐熱性の高い発光素
子、軽量化された発光素子、または薄型化された発光素子とすることができる。
【0145】
また、上述した基板上に、例えば電界効果トランジスタ(FET)を形成し、FETと
電気的に接続された電極上に発光素子150を作製してもよい。これにより、FETによ
って発光素子150の駆動を制御するアクティブマトリクス型の発光装置を作製できる。
【0146】
以上、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることがで
きる。
【0147】
(実施の形態2)
本実施の形態においては、実施の形態1に示す発光素子の構成と異なる構成の発光素子
、及び当該発光素子の発光機構について、図2(A)~図2(C)を用いて、以下説明を
行う。なお、図2(A)、図2(B)において、図1(A)~図1(C)に示す符号と同
様の機能を有する箇所には、同様のハッチパターンとし、符号を省略する場合がある。ま
た、同様の機能を有する箇所には、同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する場合が
ある。
【0148】
<発光素子の構成例>
図2(A)は、発光素子250の断面模式図である。
【0149】
図2(A)に示す発光素子250は、一対の電極(電極101及び電極102)の間に
、複数の発光ユニット(発光ユニット106及び発光ユニット110)を有する。複数の
発光ユニットのうちいずれか一つの発光ユニットは、図1(A)に示した、EL層100
と同様な構成を有すると好ましい。つまり、図1(A)で示した発光素子150は、1つ
の発光ユニットを有し、発光素子250は、複数の発光ユニットを有すると好ましい。な
お、発光素子250において、電極101が陽極として機能し、電極102が陰極として
機能するとして、以下説明するが、発光素子250の構成としては、逆であっても構わな
い。
【0150】
また、図2(A)に示す発光素子250において、発光ユニット106と発光ユニット
110とが積層されており、発光ユニット106と発光ユニット110との間には電荷発
生層115が設けられる。なお、発光ユニット106と発光ユニット110は、同じ構成
でも異なる構成でもよい。例えば、発光ユニット110に、EL層100と同様な構成を
用いると好ましい。
【0151】
また、発光素子250は、発光層120と、発光層170と、を有する。また、発光ユ
ニット106は、発光層170の他に、正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送
層113、及び電子注入層114を有する。また、発光ユニット110は、発光層120
の他に、正孔注入層116、正孔輸送層117、電子輸送層118、及び電子注入層11
9を有する。
【0152】
また図2(A)に示すように、発光層120が実施の形態1で示した発光層140と同様
に、発光層120が発光層120a、発光層120b、発光層120cの3層を有し、発
光層120aと、発光層120cから得られる発光色が同じであり、かつ発光層120b
の発光色より長波長であると好ましい。該構成とすることによって、発光素子250は発
光素子150と同様に、信頼性が良好な発光素子とすることができる。
【0153】
また、発光ユニット106と発光ユニット110はそれぞれ異なる発光色を示すと好まし
い。該構成とすることによって、1つの発光素子から複数の発光色を得ることができる。
その一例は、白色発光素子を作製することができる。
【0154】
電荷発生層115は、正孔輸送性材料に電子受容体であるアクセプター性物質が添加さ
れた構成であっても、電子輸送性材料に電子供与体であるドナー性物質が添加された構成
であってもよい。また、これらの両方の構成が積層されていても良い。
【0155】
電荷発生層115に、有機化合物とアクセプター性物質の複合材料が含まれる場合、該
複合材料には実施の形態1に示す正孔注入層111に用いることができる複合材料を用い
ればよい。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール化合物、芳香族炭化
水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用
いることができる。なお、有機化合物としては、正孔移動度が1×10-6cm/Vs
以上であるものを適用することが好ましい。ただし、電子よりも正孔の輸送性の高い物質
であれば、これら以外のものを用いてもよい。有機化合物とアクセプター性物質の複合材
料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実
現することができる。なお、発光ユニットの陽極側の面が電荷発生層115に接している
場合は、電荷発生層115が該発光ユニットの正孔注入層または正孔輸送層の役割も担う
ことができるため、該発光ユニットには正孔注入層または正孔輸送層を設けない構成であ
っても良い。あるいは、発光ユニットの陰極側の面が電荷発生層115に接している場合
は、電荷発生層115が該発光ユニットの電子注入層または電子輸送層の役割も担うこと
ができるため、該発光ユニットには電子注入層または電子輸送層を設けない構成であって
も良い。
【0156】
なお、電荷発生層115は、有機化合物とアクセプター性物質の複合材料を含む層と他
の材料により構成される層を組み合わせた積層構造として形成してもよい。例えば、有機
化合物とアクセプター性物質の複合材料を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一
の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、
有機化合物とアクセプター性物質の複合材料を含む層と、透明導電膜を含む層とを組み合
わせて形成してもよい。
【0157】
なお、発光ユニット106と発光ユニット110とに挟まれる電荷発生層115は、電
極101と電極102とに電圧を印加したときに、一方の発光ユニットに電子を注入し、
他方の発光ユニットに正孔を注入するものであれば良い。例えば、図2(A)において、
電極101の電位の方が電極102の電位よりも高くなるように電圧を印加した場合、電
荷発生層115は、発光ユニット106に電子を注入し、発光ユニット110に正孔を注
入する。
【0158】
なお、電荷発生層115は、光取出し効率の点から、可視光に対して透光性(具体的に
は、電荷発生層115に対する可視光の透過率が40%以上)を有することが好ましい。
また、電荷発生層115は、一対の電極(電極101及び電極102)よりも低い導電率
であっても機能する。
【0159】
上述した材料を用いて電荷発生層115を形成することにより、発光層が積層された場
合における駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0160】
また、図2(A)においては、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明した
が、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、同様に適用することが可能
である。発光素子250に示すように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷発生層
で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度発光を可能とし、さらに
長寿命な発光素子を実現できる。また、消費電力が低い発光素子を実現することができる
【0161】
また、発光ユニット110の発光層が燐光性化合物を有すると好適である。なお、複数
のユニットのうち、少なくとも一つのユニットに、実施の形態1で示した構成を適用する
ことによって、色純度が高く、発光効率の高い発光素子および駆動後も色変化が少ない発
光素子を提供することができる。
【0162】
発光ユニット110が有する発光層120aは、図2(B)で示すように、ホスト材料
121と、発光性材料122とを有する。また、ホスト材料121は、有機化合物121
_1と、有機化合物121_2と、を有する。なお、発光層120aが有する発光性材料
122が燐光性化合物として、以下説明する。なお、発光層120b、発光層120cも
発光層120aと同様な構成であると好ましい。すなわち、発光層120b、発光層12
0cも1種の燐光性材料と2種の有機化合物を有し、後述する発光層120aと同様の発
光機構を有すると好ましい。
【0163】
≪発光層120aの発光機構≫
次に、発光層120aの発光機構及び材料構成について、以下説明を行う。
【0164】
発光層120aが有する、有機化合物121_1と、有機化合物121_2とは励起錯
体を形成すると好ましい。
【0165】
有機化合物121_1と有機化合物121_2との組み合わせは、互いに励起錯体を形
成することが可能な組み合わせであればよいが、一方が正孔輸送性を有する化合物であり
、他方が電子輸送性を有する化合物であることが、より好ましい。
【0166】
発光層120aにおける有機化合物121_1と、有機化合物121_2と、発光性材
料122とのエネルギー準位の相関を図2(C)に示す。なお、図2(C)における表記
及び符号は、以下の通りである。
・Host(121_1):有機化合物121_1(ホスト材料)
・Host(121_2):有機化合物121_2(ホスト材料)
・Guest(122):発光性材料122(燐光性化合物)
・SPH1:有機化合物121_1(ホスト材料)のS1準位
・TPH1:有機化合物121_1(ホスト材料)のT1準位
・SPH2:有機化合物121_2(ホスト材料)のS1準位
・TPH2:有機化合物121_2(ホスト材料)のT1準位
・TPG:発光性材料122(燐光性化合物)のT1準位
・SPE:励起錯体のS1準位
・TPE:励起錯体のT1準位
【0167】
有機化合物121_1及び有機化合物121_2は、一方がホールを、他方が電子を受
け取ることで速やかに励起錯体を形成する(図2(C) ルートE参照)。あるいは、
一方が励起状態となると、速やかに他方と相互作用することで励起錯体を形成する。励起
錯体の励起エネルギー準位(SPEまたはTPE)は、励起錯体を形成するホスト材料(
有機化合物121_1及び有機化合物121_2)のS1準位(SPH1及びSPH2
より低くなるため、より低い励起エネルギーでホスト材料121の励起状態を形成するこ
とが可能となる。これによって、発光素子の駆動電圧を下げることができる。
【0168】
そして、励起錯体の(SPE)と(TPE)の双方のエネルギーを、発光性材料122
(燐光性化合物)のT1準位へ移動させて発光が得られる(図2(C) ルートE、E
参照)。
【0169】
なお、励起錯体のT1準位(TPE)は、発光性材料122のT1準位(TPG)より
大きいこと及び、励起錯体を形成する各有機化合物(有機化合物121_1および有機化
合物121_2)のT1準位(TPH1およびTPH2)と同等か、より小さいことが好
ましい。そうすることで、生成した励起錯体の一重項励起エネルギーおよび三重項励起エ
ネルギーを、励起錯体のS1準位(SPE)およびT1準位(TPE)から発光性材料1
22のT1準位(TPG)へ効率良くエネルギー移動することができる。
【0170】
また、有機化合物121_1と有機化合物121_2とが、効率よく励起錯体を形成す
るためには、有機化合物121_1および有機化合物121_2の一方のHOMO準位が
他方のHOMO準位より高く、一方のLUMO準位が他方のLUMO準位より高いことが
好ましい。
【0171】
また、有機化合物121_1と有機化合物121_2との組み合わせが、正孔輸送性を
有する化合物と電子輸送性を有する化合物との組み合わせである場合、その混合比によっ
てキャリアバランスを容易に制御することが可能となる。具体的には、正孔輸送性を有す
る化合物:電子輸送性を有する化合物=1:9から9:1(重量比)の範囲が好ましい。
また、該構成を有することで、容易にキャリアバランスを制御することができることから
、キャリア再結合領域の制御も簡便に行うことができる。
【0172】
なお、上記に示すルートE乃至Eの過程を、本明細書等においてExTET(Ex
ciplex-Triplet Energy Transfer)と呼称する場合があ
る。別言すると、発光層120aは、励起錯体から発光性材料122への励起エネルギー
の供与がある。なお、この場合は必ずしもTPEからSPEへの逆項間交差効率が高い必
要はなく、SPEからの発光量子収率が高い必要もないため、材料を幅広く選択すること
が可能となる。
【0173】
ExTETを利用することで、発光効率が高く信頼性の良い発光素子を得ることができる
【0174】
なお、本実施の形態では、説明のため発光層120が3層の場合について例示したが、さ
らに複数の発光層の積層構造であっても良い。この場合、全ての燐光発光層にExTET
を適用することが好ましい。該構成とすることで、発光効率が高く、信頼性の良い発光素
子を得ることができる。
【0175】
以上、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることがで
きる。
【0176】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る発光装置の例について、図3及び図4を用い
て以下に説明する。
【0177】
<発光装置の構成例1>
図3(A)(B)は、本発明の一態様の発光素子を示す断面図である。なお、図3(A
)(B)において、図1(A)に示す符号と同様の機能を有する箇所には、同様のハッチ
パターンとし、符号を省略する場合がある。また、同様の機能を有する箇所には、同様の
符号を付し、その詳細な説明は省略する場合がある。
【0178】
図3(A)(B)に示す発光素子260a及び発光素子260bは、基板200側に光
を取り出す下面射出(ボトムエミッション)型の発光素子であってもよく、基板200と
反対方向に光を取り出す上面射出(トップエミッション)型の発光素子であってもよい。
なお、本発明の一態様はこれに限定されず、発光素子が呈する光を基板200の上方およ
び下方の双方に取り出す両面射出(デュアルエミッション)型の発光素子であっても良い
【0179】
発光素子260a及び発光素子260bが、ボトムエミッション型である場合、電極1
01は、光を透過する機能を有することが好ましい。また、電極102は、光を反射する
機能を有することが好ましい。あるいは、発光素子260a及び発光素子260bが、ト
ップエミッション型である場合、電極101は、光を反射する機能を有することが好まし
い。また、電極102は、光を透過する機能を有することが好ましい。
【0180】
発光素子260a及び発光素子260bは、基板200上に電極101と、電極102
とを有する。また、電極101と電極102との間に、発光層123Bと、発光層123
Gと、発光層123Rと、を有する。また、正孔注入層111と、正孔輸送層112と、
電子輸送層113と、電子注入層114と、を有する。
【0181】
また、発光素子260bは、電極101の構成の一部として、導電層101aと、導電
層101a上の導電層101bと、導電層101a下の導電層101cとを有する。すな
わち、発光素子260bは、導電層101aが、導電層101bと、導電層101cとで
挟持された電極101の構成を有する。
【0182】
発光素子260bにおいて、導電層101bと、導電層101cとは、異なる材料で形
成されてもよく、同じ材料で形成されても良い。導電層101bと導電層101cが、同
じ導電性材料で形成される場合、電極101の形成過程におけるエッチング工程によるパ
ターン形成が容易になるため好ましい。
【0183】
なお、発光素子260bにおいて、導電層101bまたは導電層101cにおいて、い
ずれか一方のみを有する構成としてもよい。
【0184】
なお、電極101が有する導電層101a、101b、及び101cは、それぞれ実施
の形態1で示した電極101または電極102と同様の構成および材料を用いることがで
きる。
【0185】
図3(A)(B)においては、電極101と電極102とで挟持された領域221B、
領域221G、及び領域221R、の間に隔壁145を有する。隔壁145は、絶縁性を
有する。隔壁145は、電極101の端部を覆い、該電極と重なる開口部を有する。隔壁
145を設けることによって、各領域の基板200上の電極101を、それぞれ島状に分
離することが可能となる。
【0186】
なお、発光層123Bと、発光層123Gとは、隔壁145と重なる領域において、互
いに重なる領域を有していてもよい。また、発光層123Gと、発光層123Rとは、隔
壁145と重なる領域において、互いに重なる領域を有していてもよい。また、発光層1
23Rと、発光層123Bとは、隔壁145と重なる領域において、互いに重なる領域を
有していてもよい。
【0187】
隔壁145としては、絶縁性であればよく、無機材料または有機材料を用いて形成され
る。該無機材料としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シ
リコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等が挙げられる。該有機材料としては、例
えば、アクリル樹脂、またはポリイミド樹脂等の感光性の樹脂材料が挙げられる。
【0188】
なお、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い膜を
指し、好ましくは酸素が55原子%以上65原子%以下、窒素が1原子%以上20原子%
以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以
下の範囲で含まれる膜をいう。窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒
素の含有量が多い膜を指し、好ましくは窒素が55原子%以上65原子%以下、酸素が1
原子%以上20原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原
子%以上10原子%以下の濃度範囲で含まれる膜をいう。
【0189】
また、発光層123R、発光層123G、発光層123Bは、それぞれ異なる色を呈す
る機能を有する発光材料を有することが好ましい。例えば、発光層123Rが赤色を呈す
る機能を有する発光材料を有することで、領域221Rは赤色の発光を呈し、発光層12
3Gが緑色を呈する機能を有する発光材料を有することで、領域221Gは緑色の発光を
呈し、発光層123Bが青色を呈する機能を有する発光材料を有することで、領域221
Bは青色の発光を呈する。このような構成を有する発光素子260aまたは発光素子26
0bを、発光装置の画素に用いることで、フルカラー表示が可能な発光装置を作製するこ
とができる。また、それぞれの発光層の膜厚は、同じであっても良いし、異なっていても
良い。
【0190】
また、発光層123B、発光層123G、発光層123R、のいずれか一つまたは複数
の発光層は、実施の形態1で示した発光層140の構成を有することが好ましい。そうす
ることで、本発明の一態様に係る発光装置は色純度が高く、発光効率が良好であり、装置
駆動後も色度変化の少ない発光装置とすることができる。
【0191】
なお、発光層123B、発光層123G、発光層123R、のいずれか一つまたは複数
の発光層は、2層以上が積層された構成としても良い。
【0192】
以上のように、少なくとも一つの発光層が実施の形態1で示した発光層の構成を有し、
該発光層を有する発光素子260aまたは発光素子260bを、発光装置の画素に用いる
ことで、色純度が高く、発光効率の高い発光装置及び信頼性が高い発光装置を作製するこ
とができる。すなわち、発光素子260aまたは発光素子260bを有する発光装置は、
消費電力を低減することができる。
【0193】
なお、光を取り出す電極と重なる領域に、光学素子(例えば、カラーフィルタ、偏光板
、反射防止膜等)を設けることで、発光素子260a及び発光素子260bの色純度を向
上させることができる。そのため、発光素子260aまたは発光素子260bを有する発
光装置の色純度を高めることができる。あるいは、発光素子260a及び発光素子260
bの外光反射を低減することができる。そのため、発光素子260aまたは発光素子26
0bを有する発光装置のコントラスト比を高めることができる。
【0194】
特に光を取り出す方向にカラーフィルタを設けることが好ましい。本発明の一態様に係る
発光素子は上述のように高い色純度の光を効率良く取り出すことができるため、光を取り
出す方向にカラーフィルタを設けることで、より色純度の高い光を取り出すことができる
。具体的には、赤と緑のカラーフィルタをそれぞれ用いることにより、BT.2020規
格の超高色域に対応するような、赤色の発光が、CIE1931色度座標における色度x
が0.680より大きく0.720以下、色度yが0.260以上0.320以下、緑色
の発光が、CIE1931色度座標における色度xが0.130以上0.250以下、色
度yが0.710より大きく0.810以下の領域の非常に色純度の高い光も効率良く取
り出すことができる。そのため、本発明の一態様に係る発光装置は高い色純度が求められ
る発光装置に好適に用いることができる。この時、本発明の一態様に係る発光装置から得
られるRGB各色のCIE1931色度座標を結んで得られる三角形の面積は、BT.2
020規格におけるRGB各色のCIE1931色度座標を結んで得られる三角形の面積
と比較し、面積比で80%以上となると好ましい。このような構成にすることによって高
い色再現性を有する発光装置とすることができる。
【0195】
なお、発光素子260a及び発光素子260bにおける他の構成については、実施の形
態1、及び実施の形態2における発光素子の構成を参酌すればよい。
【0196】
<発光装置の構成例2>
次に、図3(A)(B)に示す発光装置と異なる構成例について、図4(A)(B)を
用いて、以下説明を行う。
【0197】
図4(A)(B)は、本発明の一態様の発光装置を示す断面図である。なお、図4(A
)(B)において、図3(A)(B)に示す符号と同様の機能を有する箇所には、同様の
ハッチパターンとし、符号を省略する場合がある。また、同様の機能を有する箇所には、
同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する場合がある。
【0198】
図4(A)(B)は、一対の電極間に、発光層を有する発光素子の構成例である。図4
(A)に示す発光素子262aは、基板200と反対の方向に光を取り出す上面射出(ト
ップエミッション)型の発光素子、図4(B)に示す発光素子262bは、基板200側
に光を取り出す下面射出(ボトムエミッション)型の発光素子である。ただし、本発明の
一態様はこれに限定されず、発光素子が呈する光を発光素子が形成される基板200の上
方および下方の双方に取り出す両面射出(デュアルエミッション)型であっても良い。
【0199】
発光素子262a及び発光素子262bは、基板200上に電極101と、電極102
と、電極103と、電極104とを有する。また、電極101と電極102との間、及び
電極102と電極103との間、及び電極102と電極104との間に、少なくとも発光
層170と、発光層190と、電荷発生層115とを有する。また、正孔注入層111と
、正孔輸送層112と、電子輸送層113と、電子注入層114と、正孔注入層116と
、正孔輸送層117と、電子輸送層118と、電子注入層119と、を有する。
【0200】
また、電極101は、導電層101aと、導電層101a上に接する導電層101bと
、を有する。また、電極103は、導電層103aと、導電層103a上に接する導電層
103bと、を有する。電極104は、導電層104aと、導電層104a上に接する導
電層104bと、を有する。
【0201】
図4(A)に示す発光素子262a、及び図4(B)に示す発光素子262bは、電極
101と電極102とで挟持された領域222B、電極102と電極103とで挟持され
た領域222G、及び電極102と電極104とで挟持された領域222R、の間に、隔
壁145を有する。隔壁145は、絶縁性を有する。隔壁145は、電極101、電極1
03、及び電極104の端部を覆い、該電極と重なる開口部を有する。隔壁145を設け
ることによって、各領域の基板200上の該電極を、それぞれ島状に分離することが可能
となる。
【0202】
また、電荷発生層115としては、正孔輸送性材料に電子受容体(アクセプター)が添
加された材料、または電子輸送性材料に電子供与体(ドナー)が添加された材料により、
形成することができる。なお、電荷発生層115の導電率が一対の電極と同程度に高い場
合、電荷発生層115によって発生したキャリアが、隣接する画素に流れて、隣接する画
素が発光してしまう場合がある。したがって、隣接する画素が不正に発光することを抑制
するためには、電荷発生層115は、一対の電極よりも導電率が低い材料で形成されると
好ましい。
【0203】
また、発光素子262a及び発光素子262bは、領域222B、領域222G、及び
領域222Rから呈される光が取り出される方向に、それぞれ光学素子224B、光学素
子224G、及び光学素子224Rを有する基板220を有する。各領域から呈される光
は、各光学素子を介して発光素子外部に射出される。すなわち、領域222Bから呈され
る光は、光学素子224Bを介して射出され、領域222Gから呈される光は、光学素子
224Gを介して射出され、領域222Rから呈される光は、光学素子224Rを介して
射出される。
【0204】
また、光学素子224B、光学素子224G、及び光学素子224Rは、入射される光
から特定の色を呈する光を選択的に透過する機能を有する。例えば、光学素子224Bを
介して射出される領域222Bから呈される光は、青色を呈する光となり、光学素子22
4Gを介して射出される領域222Gから呈される光は、緑色を呈する光となり、光学素
子224Rを介して射出される領域222Rから呈される光は、赤色を呈する光となる。
【0205】
光学素子224R、光学素子224G、及び光学素子224Bには、例えば、着色層(
カラーフィルタともいう)、バンドパスフィルタ、多層膜フィルタなどを適用できる。ま
た、光学素子に色変換素子を適用することができる。色変換素子は、入射される光を、当
該光の波長より長い波長の光に変換する光学素子である。色変換素子として、量子ドット
を用いる素子であると好適である。量子ドットを用いることにより、発光装置の色再現性
を高めることができる。
【0206】
なお、光学素子224R、光学素子224G、及び光学素子224B上に他の光学素子
を一または複数、重ねて設けてもよい。他の光学素子としては、例えば円偏光板や反射防
止膜などを設けることができる。円偏光板を、発光装置の発光素子が発する光が取り出さ
れる側に設けると、発光装置の外部から入射した光が、発光装置の内部で反射されて、外
部に射出される現象を防ぐことができる。また、反射防止膜を設けると、発光装置の表面
で反射される外光を弱めることができる。これにより、発光装置が発する発光を、鮮明に
観察できる。
【0207】
なお、図4(A)(B)において、各光学素子を介して各領域から射出される光を、青
色(B)を呈する光、緑色(G)を呈する光、赤色(R)を呈する光、として、それぞれ
破線の矢印で模式的に図示している。
【0208】
また、各光学素子の間には、遮光層223を有する。遮光層223は、隣接する領域か
ら発せられる光を遮光する機能を有する。なお、遮光層223を設けない構成としても良
い。
【0209】
遮光層223としては、外光の反射を抑制する機能を有する。または、遮光層223と
しては、隣接する発光素子から発せられる光の混色を防ぐ機能を有する。遮光層223と
しては、金属、黒色顔料を含んだ樹脂、カーボンブラック、金属酸化物、複数の金属酸化
物の固溶体を含む複合酸化物等を用いることができる。
【0210】
なお、光学素子224Bと、光学素子224Gとは、遮光層223と重なる領域におい
て、互いに重なる領域を有していても良い。あるいは、光学素子224Gと、光学素子2
24Rとは、遮光層223と重なる領域において、互いに重なる領域を有していても良い
。あるいは、光学素子224Rと、光学素子224Bとは、遮光層223と重なる領域に
おいて、互いに重なる領域を有していても良い。
【0211】
また、基板200、及び光学素子を有する基板220の構成としては、実施の形態1を
参酌すればよい。
【0212】
さらに、発光素子262a及び発光素子262bは、マイクロキャビティ構造を有する
【0213】
マイクロキャビティ構造を設け、各領域の一対の電極間の光学距離を調整することで、
各電極近傍における光の散乱および光の吸収を抑制し、高い光取り出し効率を実現するこ
とができる。
【0214】
なお、図4(A)に示す発光素子262a、上面射出型の発光素子であるため、導電層
101a、導電層103a、及び導電層104aは、光を反射する機能を有することが好
ましい。また、電極102は、光を透過する機能と、光を反射する機能とを有することが
好ましい。
【0215】
また、図4(B)に示す発光素子262bは、下面射出型の発光素子であるため、導電
層101a、導電層103a、導電層104aは、光を透過する機能と、光を反射する機
能と、を有することが好ましい。また、電極102は、光を反射する機能を有することが
好ましい。
【0216】
また、発光素子262a及び発光素子262bにおける発光層170または発光層19
0の少なくとも一方には、実施の形態1で示した発光素子の構成を有することが好ましい
。そうすることで、色純度が高く、発光効率が良好であり、装置駆動後も色変化の少ない
発光装置を作製することができる。
【0217】
実施の形態1で示した、本発明の一態様に係る発光素子は上述のように、マイクロキャビ
ティ構造の効果を効率良く用いることができるため、高い色純度の光を効率良く取り出す
ことができる。そのため、光を取り出す方向にカラーフィルタを設けることで、より色純
度の高い光を取り出すことができる。具体的には、光学素子224Rと光学素子224G
にそれぞれ、赤と緑のカラーフィルタをそれぞれ用いることにより、BT.2020規格
の超高色域に対応する領域である、赤色の発光が、CIE1931色度座標における色度
xが0.680より大きく0.720以下、色度yが0.260以上0.320以下、緑
色の発光が、CIE1931色度座標における色度xが0.130以上0.250以下、
色度yが0.710より大きく0.810以下という、非常に色純度の高い光も効率良く
取り出すことができる。そのため、本発明の一態様に係る発光装置は高い色純度が求めら
れる発光装置に好適に用いることができる。この時、本発明の一態様に係る発光装置から
得られるRGB各色のCIE1931色度座標を結んで得られる三角形の面積は、BT.
2020規格におけるRGB各色のCIE1931色度座標を結んで得られる三角形の面
積と比較し、面積比で80%以上となると好ましい。このような構成にすることによって
高い色再現性を有する発光装置とすることができる。
【0218】
また、発光層170と、発光層190と、が呈する発光により、白色となるよう、各発
光層に用いる発光材料を選択すると好ましい。
【0219】
また、発光層170または発光層190は、一方または双方で3層以上が積層された構
成としても良く、発光材料を有さない層が含まれていても良い。
【0220】
以上のように、実施の形態1及び実施の形態2で示した発光層の構成を少なくとも一つ
有する発光素子262aまたは発光素子262bを、発光装置の画素に用いることで、色
純度が高く、発光効率も良好であり、装置駆動後も色度変化が少ない発光装置を作製する
ことができる。
【0221】
なお、発光素子262a及び発光素子262bにおける他の構成については、発光素子
260aまたは発光素子260b、あるいは実施の形態1で示した発光素子の構成を参酌
すればよい。
【0222】
以上、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることがで
きる。
【0223】
(実施の形態4)
本実施の形態では実施の形態1で説明した発光素子を用いた発光装置について、図5(A
)及び図5(B)を用いて説明する。
【0224】
図5(A)は、発光装置を示す上面図、図5(B)は図5(A)をA-BおよびC-Dで
切断した断面図である。この発光装置は、発光素子の発光を制御するものとして、点線で
示された駆動回路部(ソース側駆動回路)601、画素部602、駆動回路部(ゲート側
駆動回路)603を含んでいる。また、604は封止基板、625は乾燥材、605はシ
ール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
【0225】
なお、引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入力
される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリ
ントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等
を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配
線基板(PWB:Printed Wiring Board)が取り付けられていても
良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくは
PWBが取り付けられた状態を含むものとする。
【0226】
次に、上記発光装置の断面構造について図5(B)を用いて説明する。素子基板610上
に駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動
回路601と画素部602中の一つの画素が示されている。
【0227】
なお、ソース側駆動回路601はnチャネル型TFT623とpチャネル型TFT624
とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路は種々のCMOS回路、P
MOS回路、NMOS回路で形成しても良い。また本実施の形態では、基板上に駆動回路
を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上では
なく、外部に形成することもできる。
【0228】
また、画素部602はスイッチング用TFT611と電流制御用TFT612とそのドレ
インに電気的に接続された第1の電極613とを含む画素により形成される。なお、第1
の電極613の端部を覆うように絶縁物614が形成されている。絶縁物614は、ポジ
型の感光性樹脂膜を用いることにより形成することができる。
【0229】
また、絶縁物614上に形成される膜の被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の
上端部または下端部に曲率を有する面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の
材料として感光性アクリルを用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲面をもたせるこ
とが好ましい。該曲面の曲率半径は0.2μm以上0.3μm以下が好ましい。また、絶
縁物614として、ネガ型、ポジ型、いずれの感光材料も使用することができる。
【0230】
第1の電極613上には、EL層616、および第2の電極617がそれぞれ形成されて
いる。ここで、陽極として機能する第1の電極613に用いる材料としては、仕事関数の
大きい材料を用いることが望ましい。例えば、ITO膜、またはケイ素を含有したインジ
ウム錫酸化物膜、2wt%以上20wt%以下の酸化亜鉛を含む酸化インジウム膜、窒化
チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタンと
アルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜
と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線と
しての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させるこ
とができる。
【0231】
また、EL層616は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート法
等の種々の方法によって形成される。EL層616を構成する材料としては、低分子化合
物、または高分子化合物(オリゴマー、デンドリマーを含む)であっても良い。
【0232】
さらに、EL層616上に形成され、陰極として機能する第2の電極617に用いる材料
としては、仕事関数の小さい材料(Al、Mg、Li、Ca、またはこれらの合金や化合
物、MgAg、MgIn、AlLi等)を用いることが好ましい。なお、EL層616で
生じた光が第2の電極617を透過させる場合には、第2の電極617として、膜厚を薄
くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO、2wt%以上20wt%以下の酸化亜鉛を含む
酸化インジウム、ケイ素を含有したインジウム錫酸化物、酸化亜鉛(ZnO)等)との積
層を用いるのが良い。
【0233】
なお、第1の電極613、EL層616、第2の電極617により、発光素子618が形
成されている。発光素子618は実施の形態1及び実施の形態2の構成を有する発光素子
であると好ましい。なお、画素部は複数の発光素子が形成されてなっているが、本実施の
形態における発光装置では、実施の形態1及び実施の形態2で説明した構成を有する発光
素子と、それ以外の構成を有する発光素子の両方が含まれていても良い。
【0234】
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素
子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素子
618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されており
、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、樹脂若しくは乾燥材又はその
両方で充填される場合もある。
【0235】
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂やガラスフリットを用いるのが好ましい。また
、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、
封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiber R
einforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエス
テルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0236】
以上のようにして、実施の形態1及び実施の形態2で説明した発光素子を用いた発光装置
を得ることができる。
【0237】
<発光装置の構成例3>
図6には発光装置の一例として、白色発光を呈する発光素子を形成し、着色層(カラーフ
ィルタ)を形成した発光装置の例を示す。
【0238】
図6(A)には基板1001、下地絶縁膜1002、ゲート絶縁膜1003、ゲート電極
1006、1007、1008、第1の層間絶縁膜1020、第2の層間絶縁膜1021
、周辺部1042、画素部1040、駆動回路部1041、発光素子の第1の電極102
4W、1024R、1024G、1024B、隔壁1026、EL層1028、発光素子
の第2の電極1029、封止基板1031、シール材1032などが図示されている。
【0239】
また、図6(A)、図6(B)には着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層10
34G、青色の着色層1034B)を透明な基材1033に設けている。また、黒色層(
ブラックマトリックス)1035をさらに設けても良い。着色層及び黒色層が設けられた
透明な基材1033は、位置合わせし、基板1001に固定する。なお、着色層、及び黒
色層は、オーバーコート層1036で覆われている。また、図6(A)においては、光が
着色層を透過せずに外部へと出る発光層と、各色の着色層を透過して外部に光が出る発光
層とがあり、着色層を透過しない光は白、着色層を透過する光は赤、青、緑となることか
ら、4色の画素で映像を表現することができる。
【0240】
図6(B)では赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層103
4Bをゲート絶縁膜1003と第1の層間絶縁膜1020との間に形成する例を示した。
図6(B)に示すように着色層は基板1001と封止基板1031の間に設けられても良
い。
【0241】
また、以上に説明した発光装置では、TFTが形成されている基板1001側に光を取り
出す構造(ボトムエミッション型)の発光装置としたが、封止基板1031側に発光を取
り出す構造(トップエミッション型)の発光装置としても良い。
【0242】
<発光装置の構成例4>
トップエミッション型の発光装置の断面図を図7に示す。この場合、基板1001は光を
通さない基板を用いることができる。TFTと発光素子の陽極とを接続する接続電極を作
製するまでは、ボトムエミッション型の発光装置と同様に形成する。その後、第3の層間
絶縁膜1037を電極1022を覆って形成する。この絶縁膜は平坦化の役割を担ってい
ても良い。第3の層間絶縁膜1037は第2の層間絶縁膜1021と同様の材料の他、他
の様々な材料を用いて形成することができる。
【0243】
発光素子の下部電極1025W、1025R、1025G、1025Bはここでは陽極と
するが、陰極であっても構わない。また、図7のようなトップエミッション型の発光装置
である場合、下部電極1025W、1025R、1025G、1025Bは反射電極とす
ることが好ましい。なお、第2の電極1029は光を反射する機能と、光を透過する機能
を有すると好ましい。また、第2の電極1029と下部電極1025W、1025R、1
025G、1025Bとの間でマイクロキャビティ構造を適用し特定波長の光を増幅する
機能を有すると好ましい。EL層1028の構成は、実施の形態2で説明したような構成
とし、白色の発光が得られるような素子構造とする。
【0244】
図6(A)、図6(B)、図7において、白色の発光が得られるEL層の構成としては、
発光層を複数層用いること、複数の発光ユニットを用いることなどにより実現すればよい
。なお、白色発光を得る構成はこれらに限られない。
【0245】
図7のようなトップエミッション構造では着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色
層1034G、青色の着色層1034B)を設けた封止基板1031で封止を行うことが
できる。封止基板1031には画素と画素との間に位置するように黒色層(ブラックマト
リックス)1035を設けても良い。着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1
034G、青色の着色層1034B)や黒色層(ブラックマトリックス)はオーバーコー
ト層によって覆われていても良い。なお封止基板1031は透光性を有する基板を用いる
【0246】
また、ここでは赤、緑、青、白の4色でフルカラー表示を行う例を示したが特に限定され
ず、赤、緑、青の3色でフルカラー表示を行ってもよい。また、赤、緑、青、黄の4色で
フルカラー表示を行ってもよい。
【0247】
以上のようにして、実施の形態1で説明した発光素子を用いた発光装置を得ることができ
る。
【0248】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0249】
(実施の形態5)
本実施の形態では実施の形態1で説明した発光素子を用いた発光装置のより具体的な例
について説明する。以下で例示する発光装置は、反射型の液晶素子と、発光素子の両方を
有し、透過モードと反射モードの両方の表示を行うことのできる、発光装置である。発光
素子に実施の形態1で説明した発光素子を適用すると好ましい。
【0250】
<発光装置の構成例5>
図8(A)は、発光装置400の構成の一例を示すブロック図である。発光装置400
は、表示部362にマトリクス状に配列した複数の画素410を有する。また発光装置4
00は、回路GDと、回路SDを有する。また方向Rに配列した複数の画素410、及び
回路GDと電気的に接続する複数の配線G1、複数の配線G2、複数の配線ANO、及び
複数の配線CSCOMを有する。また方向Cに配列した複数の画素410、及び回路SD
と電気的に接続する複数の配線S1及び複数の配線S2を有する。
【0251】
画素410は、反射型の液晶素子と、発光素子を有する。画素410において、液晶素
子と発光素子とは、互いに重なる部分を有する。
【0252】
図8(B1)は、画素410が有する電極311bの構成例を示す。電極311bは、
画素410における液晶素子の反射電極として機能する。また電極311bには、開口4
51が設けられている。
【0253】
図8(B1)には、電極311bと重なる領域に位置する発光素子360を破線で示し
ている。発光素子360は、電極311bが有する開口451と重ねて配置されている。
これにより、発光素子360が発する光は、開口451を介して表示面側に射出される。
【0254】
図8(B1)では、方向Rに隣接する画素410が異なる色に対応する画素である。こ
のとき、図8(B1)に示すように、方向Rに隣接する2つの画素において、開口451
が一列に配列されないように、電極311bの異なる位置に設けられていることが好まし
い。これにより、2つの発光素子360を離すことが可能で、発光素子360が発する光
が隣接する画素410が有する着色層に入射してしまう現象(クロストークともいう)を
抑制することができる。また、隣接する2つの発光素子360を離して配置することがで
きるため、発光素子360のEL層をシャドウマスク等により作り分ける場合であっても
、高い精細度の発光装置を実現できる。
【0255】
また、図8(B2)に示すような配列としてもよい。
【0256】
非開口部の総面積に対する開口451の総面積の比の値が大きすぎると、液晶素子を用
いた表示が暗くなってしまう。また、非開口部の総面積に対する開口451の総面積の比
の値が小さすぎると、発光素子360を用いた表示が暗くなってしまう。
【0257】
また、反射電極として機能する電極311bに設ける開口451の面積が小さすぎると
、発光素子360が射出する光から取り出せる光の効率が低下してしまう。
【0258】
開口451の形状は、例えば多角形、四角形、楕円形、円形または十字等の形状とする
ことができる。また、細長い筋状、スリット状、市松模様状の形状としてもよい。また、
開口451を隣接する画素に寄せて配置してもよい。好ましくは、開口451を同じ色を
表示する他の画素に寄せて配置する。これにより、クロストークを抑制できる。
【0259】
[回路構成例]
図9は、画素410の構成例を示す回路図である。図9では、隣接する2つの画素41
0を示している。
【0260】
画素410は、スイッチSW1、容量素子C1、液晶素子340、スイッチSW2、ト
ランジスタM、容量素子C2、及び発光素子360等を有する。また、画素410には、
配線G1、配線G2、配線ANO、配線CSCOM、配線S1、及び配線S2が電気的に
接続されている。また、図9では、液晶素子340と電気的に接続する配線VCOM1、
及び発光素子360と電気的に接続する配線VCOM2を示している。
【0261】
図9では、スイッチSW1及びスイッチSW2に、トランジスタを用いた場合の例を示
している。
【0262】
スイッチSW1は、ゲートが配線G1と接続され、ソース又はドレインの一方が配線S
1と接続され、ソース又はドレインの他方が容量素子C1の一方の電極、及び液晶素子3
40の一方の電極と接続されている。容量素子C1は、他方の電極が配線CSCOMと接
続されている。液晶素子340は、他方の電極が配線VCOM1と接続されている。
【0263】
またスイッチSW2は、ゲートが配線G2と接続され、ソース又はドレインの一方が配
線S2と接続され、ソース又はドレインの他方が、容量素子C2の一方の電極、トランジ
スタMのゲートと接続されている。容量素子C2は、他方の電極がトランジスタMのソー
ス又はドレインの一方、及び配線ANOと接続されている。トランジスタMは、ソース又
はドレインの他方が発光素子360の一方の電極と接続されている。発光素子360は、
他方の電極が配線VCOM2と接続されている。
【0264】
図9では、トランジスタMが半導体を挟む2つのゲートを有し、これらが接続されてい
る例を示している。これにより、トランジスタMが流すことのできる電流を増大させるこ
とができる。
【0265】
配線G1には、スイッチSW1を導通状態または非導通状態に制御する信号を与えるこ
とができる。配線VCOM1には、所定の電位を与えることができる。配線S1には、液
晶素子340が有する液晶の配向状態を制御する信号を与えることができる。配線CSC
OMには、所定の電位を与えることができる。
【0266】
配線G2には、スイッチSW2を導通状態または非導通状態に制御する信号を与えるこ
とができる。配線VCOM2及び配線ANOには、発光素子360が発光する電位差が生
じる電位をそれぞれ与えることができる。配線S2には、トランジスタMの導通状態を制
御する信号を与えることができる。
【0267】
図9に示す画素410は、例えば反射モードの表示を行う場合には、配線G1及び配線
S1に与える信号により駆動し、液晶素子340による光学変調を利用して表示すること
ができる。また、透過モードで表示を行う場合には、配線G2及び配線S2に与える信号
により駆動し、発光素子360を発光させて表示することができる。また両方のモードで
駆動する場合には、配線G1、配線G2、配線S1及び配線S2のそれぞれに与える信号
により駆動することができる。
【0268】
なお、図9では一つの画素410に、一つの液晶素子340と一つの発光素子360と
を有する例を示したが、これに限られない。図10(A)は、一つの画素410に一つの
液晶素子340と4つの発光素子360(発光素子360r、360g、360b、36
0w)を有する例を示している。図10(A)に示す画素410は、図9とは異なり、1
つの画素でフルカラーの表示が可能な画素である。
【0269】
図10(A)では図9の例に加えて、画素410に配線G3及び配線S3が接続されて
いる。
【0270】
図10(A)に示す例では、例えば4つの発光素子360を、それぞれ赤色(R)、緑
色(G)、青色(B)、及び白色(W)を呈する発光素子を用いることができる。また液
晶素子340として、白色を呈する反射型の液晶素子を用いることができる。これにより
、反射モードの表示を行う場合には、反射率の高い白色の表示を行うことができる。また
透過モードで表示を行う場合には、演色性の高い表示を低い電力で行うことができる。
【0271】
また、図10(B)には、画素410の構成例を示している。画素410は、電極31
1が有する開口部と重なる発光素子360wと、電極311の周囲に配置された発光素子
360r、発光素子360g、及び発光素子360bとを有する。発光素子360r、発
光素子360g、及び発光素子360bは、発光面積がほぼ同等であることが好ましい。
【0272】
<発光装置の構成例6>
図11は、本発明の一態様の発光装置300の斜視概略図である。発光装置300は、
基板351と基板361とが貼り合わされた構成を有する。図11では、基板361を破
線で明示している。
【0273】
発光装置300は、表示部362、回路部364、配線365、回路部366、配線3
67等を有する。基板351には、例えば回路部364、配線365、回路部366、配
線367及び画素電極として機能する電極311b等が設けられる。また図11では基板
351上にIC373、FPC372、IC375及びFPC374が実装されている例
を示している。そのため、図11に示す構成は、発光装置300とIC373、FPC3
72、IC375及びFPC374を有する表示モジュールと言うこともできる。
【0274】
回路部364は、例えば走査線駆動回路として機能する回路を用いることができる。
【0275】
配線365は、表示部や回路部364に信号や電力を供給する機能を有する。当該信号
や電力は、FPC372を介して外部、またはIC373から配線365に入力される。
【0276】
また、図11では、COG(Chip On Glass)方式等により、基板351
にIC373が設けられている例を示している。IC373は、例えば走査線駆動回路、
または信号線駆動回路などとしての機能を有するICを適用できる。なお発光装置300
が走査線駆動回路及び信号線駆動回路として機能する回路を備える場合や、走査線駆動回
路や信号線駆動回路として機能する回路を外部に設け、FPC372を介して発光装置3
00を駆動するための信号を入力する場合などでは、IC373を設けない構成としても
よい。また、IC373を、COF(Chip On Film)方式等により、FPC
372に実装してもよい。
【0277】
図11には、表示部362の一部の拡大図を示している。表示部362には、複数の発
光素子が有する電極311bがマトリクス状に配置されている。電極311bは、可視光
を反射する機能を有し、後述する液晶素子340の反射電極として機能する。
【0278】
また、図11に示すように、電極311bは開口を有する。さらに電極311bよりも
基板351側に、発光素子360を有する。発光素子360からの光は、電極311bの
開口を介して基板361側に射出される。
【0279】
図12に、図11で例示した発光装置の、FPC372を含む領域の一部、回路部36
4を含む領域の一部、表示部362を含む領域の一部、回路部366を含む領域の一部、
及びFPC374を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
【0280】
図12に示す発光装置は、表示パネル700と、表示パネル800とが積層された構成
を有する。表示パネル700は、樹脂層701と樹脂層702を有する。表示パネル80
0は、樹脂層201と樹脂層202を有する。樹脂層702と樹脂層201とは、接着層
50によって接着されている。また樹脂層701は、接着層51により基板351と接着
されている。また樹脂層202は、接着層52により基板361と接着されている。
【0281】
〔表示パネル700〕
表示パネル700は、樹脂層701、絶縁層478、複数のトランジスタ、容量素子4
05、絶縁層411、絶縁層412、絶縁層413、絶縁層414、絶縁層415、発光
素子360、スペーサ416、接着層417、着色層425、遮光層426、絶縁層47
6、及び樹脂層702を有する。
【0282】
回路部364はトランジスタ401を有する。表示部362は、トランジスタ402及
びトランジスタ403を有する。
【0283】
各トランジスタは、ゲート、絶縁層411、半導体層、ソース、及びドレインを有する
。ゲートと半導体層は、絶縁層411を介して重なる。絶縁層411の一部は、ゲート絶
縁層としての機能を有し、他の一部は、容量素子405の誘電体としての機能を有する。
トランジスタ402のソース又はドレインとして機能する導電層は、容量素子405の一
方の電極を兼ねる。
【0284】
図12では、ボトムゲート構造のトランジスタを示す。回路部364と表示部362と
で、トランジスタの構造が異なっていてもよい。回路部364及び表示部362は、それ
ぞれ、複数の種類のトランジスタを有していてもよい。
【0285】
例えば、図13に示す図12の変形例のように、トランジスタ205、206および接続
部207を構成する要素を透光性を有する導電体で形成することができる。発光素子36
0から発する光は、トランジスタ205、206および接続部207の一部または全体を
透過することができる。また、基板361側から入射し、液晶312を透過した光は、導
電層193bで反射させることができる。なお、トランジスタ205、206の信頼性を
向上させるため、ゲート電極として作用する導電層およびバックゲート電極として作用す
る導電層の一方または両方は、金属などの透光性を有さない層で形成してもよい。
【0286】
図12において、容量素子405は、一対の電極と、その間の誘電体とを有する。容量
素子405は、トランジスタのゲートと同一の材料、及び同一の工程で形成した導電層と
、トランジスタのソース及びドレインと同一の材料、及び同一の工程で形成した導電層と
、を有する。
【0287】
絶縁層412、絶縁層413、及び絶縁層414は、それぞれ、トランジスタ等を覆っ
て設けられる。トランジスタ等を覆う絶縁層の数は特に限定されない。絶縁層414は、
平坦化層としての機能を有する。絶縁層412、絶縁層413、及び絶縁層414のうち
、少なくとも一層には、水又は水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ま
しい。外部から不純物がトランジスタに拡散することを効果的に抑制することが可能とな
り、発光装置の信頼性を高めることができる。
【0288】
絶縁層414として有機材料を用いる場合、発光装置の端部に露出した絶縁層414を
通って発光素子360等に発光装置の外部から水分等の不純物が侵入する恐れがある。不
純物の侵入により、発光素子360が劣化すると、発光装置の劣化につながる。そのため
図12に示すように、絶縁層414が、発光装置の端部に位置しないことが好ましい。
図12の構成では、有機材料を用いた絶縁層が発光装置の端部に位置しないため、発光素
子360に不純物が侵入することを抑制できる。
【0289】
発光素子360は、電極421、EL層422、及び電極423を有する。発光素子3
60は、光学調整層424を有していてもよい。発光素子360は、着色層425側に光
を射出する、トップエミッション構造である。
【0290】
トランジスタ、容量素子、及び配線等を、発光素子360の発光領域と重ねて配置する
ことで、表示部362の開口率を高めることができる。
【0291】
電極421及び電極423のうち、一方は、陽極として機能し、他方は、陰極として機
能する。電極421及び電極423の間に、発光素子360の閾値電圧より高い電圧を印
加すると、EL層422に陽極側から正孔が注入され、陰極側から電子が注入される。注
入された電子と正孔はEL層422において再結合し、EL層422に含まれる発光物質
が発光する。
【0292】
電極421は、トランジスタ403のソース又はドレインと電気的に接続される。これ
らは、直接接続されてもよいし、他の導電層を介して接続されてもよい。電極421は、
画素電極として機能し、発光素子360ごとに設けられている。隣り合う2つの電極42
1は、絶縁層415によって電気的に絶縁されている。
【0293】
電極423は、共通電極として機能し、複数の発光素子360にわたって設けられてい
る。電極423には、定電位が供給される。
【0294】
発光素子360は、接着層417を介して着色層425と重なる。スペーサ416は、
接着層417を介して遮光層426と重なる。図12では、電極423と遮光層426と
の間に隙間がある場合を示しているが、これらが接していてもよい。図12では、スペー
サ416を基板351側に設ける構成を示したが、基板361側(例えば遮光層426よ
りも基板361側)に設けてもよい。
【0295】
カラーフィルタ(着色層425)とマイクロキャビティ構造(光学調整層424)との
組み合わせにより、発光装置からは、色純度の高い光を取り出すことができる。光学調整
層424の膜厚は、各画素の色に応じて変化させる。
【0296】
着色層425は特定の波長域の光を透過する有色層である。例えば、赤色、緑色、青色
、又は黄色の波長域の光を透過するカラーフィルタなどを用いることができる。
【0297】
遮光層426は、隣接する着色層425の間に設けられている。遮光層426は隣接す
る発光素子360からの光を遮光し、隣接する発光素子360間における混色を抑制する
。ここで、着色層425の端部を、遮光層426と重なるように設けることにより、光漏
れを抑制することができる。遮光層426としては、発光素子360が発する光を遮る材
料を用いることができる。なお、遮光層426は、回路部364などの表示部362以外
の領域に設けると、導波光などによる意図しない光漏れを抑制できるため好ましい。
【0298】
樹脂層701の一方の表面には絶縁層478が形成されている。また、樹脂層702の
一方の表面には絶縁層476が形成されている。絶縁層476及び絶縁層478に防湿性
の高い膜を用いることが好ましい。一対の防湿性の高い絶縁層の間に発光素子360及び
トランジスタ等を配置することで、これらの素子に水等の不純物が侵入することを抑制で
き、発光装置の信頼性が高くなるため好ましい。
【0299】
防湿性の高い絶縁膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の窒素と珪素を
含む膜、及び、窒化アルミニウム膜等の窒素とアルミニウムを含む膜等が挙げられる。ま
た、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等を用いてもよい。
【0300】
例えば、防湿性の高い絶縁膜の水蒸気透過量は、1×10-5[g/(m・day)
]以下、好ましくは1×10-6[g/(m・day)]以下、より好ましくは1×1
-7[g/(m・day)]以下、さらに好ましくは1×10-8[g/(m・d
ay)]以下とする。
【0301】
接続部406は、配線365を有する。配線365は、トランジスタのソース及びドレ
インと同一の材料、及び同一の工程で形成することができる。接続部406は、回路部3
64に外部からの信号や電位を伝達する外部入力端子と電気的に接続する。ここでは、外
部入力端子としてFPC372を設ける例を示している。接続層419を介してFPC3
72と接続部406は電気的に接続する。
【0302】
接続層419としては、様々な異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic
Conductive Film)及び異方性導電ペースト(ACP:Anisotr
opic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0303】
以上が表示パネル700についての説明である。
【0304】
〔表示パネル800〕
表示パネル800は、縦電界方式が適用された反射型表示装置である。
【0305】
表示パネル800は、樹脂層201、絶縁層578、複数のトランジスタ、容量素子5
05、配線367、絶縁層511、絶縁層512、絶縁層513、絶縁層514、液晶素
子529、配向膜564a、配向膜564b、接着層517、絶縁層576、及び樹脂層
202を有する。
【0306】
樹脂層201と樹脂層202とは、接着層517によって貼り合わされている。樹脂層
201、樹脂層202、及び接着層517に囲まれた領域に、液晶563が封止されてい
る。基板361の外側の面には、偏光板599が位置する。
【0307】
液晶素子529は、電極311b、電極562、及び液晶563を有する。電極311
bは画素電極として機能する。電極562は共通電極として機能する。電極311bと電
極562との間に生じる電界により、液晶563の配向を制御することができる。液晶5
63と電極311bの間には配向膜564aが設けられている。液晶563と電極562
の間には、配向膜564bが設けられている。
【0308】
樹脂層202には、絶縁層576、電極562、及び配向膜564b等が設けられてい
る。
【0309】
樹脂層201には、電極311b、配向膜564a、トランジスタ501、トランジス
タ503、容量素子505、接続部506、及び配線367等が設けられている。
【0310】
樹脂層201上には、絶縁層511、絶縁層512、絶縁層513、絶縁層514等の
絶縁層が設けられている。
【0311】
ここで、トランジスタ503のソース又はドレインのうち、電極311bと電気的に接
続されていない方の導電層は、信号線の一部として機能してもよい。また、トランジスタ
503のゲートとして機能する導電層は、走査線の一部として機能してもよい。
【0312】
図12では、回路部366の例としてトランジスタ501が設けられている例を示して
いる。
【0313】
各トランジスタを覆う絶縁層512、絶縁層513のうち少なくとも一方は、水や水素
などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。
【0314】
絶縁層514上には、電極311bが設けられている。電極311bは、絶縁層514
、絶縁層513、絶縁層512等に形成された開口を介して、トランジスタ503のソー
ス又はドレインの一方と電気的に接続されている。また電極311bは、容量素子505
の一方の電極と電気的に接続されている。
【0315】
表示パネル800は、反射型の表示装置であるため、電極311bに可視光を反射する
導電性材料を用い、電極562に可視光を透過する導電性材料を用いる。
【0316】
可視光を透過する導電性材料としては、例えば、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、
錫(Sn)の中から選ばれた一種を含む材料を用いるとよい。具体的には、酸化インジウ
ム、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、インジウム亜
鉛酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウ
ム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化
物、酸化シリコンを含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸
化亜鉛などが挙げられる。なお、グラフェンを含む膜を用いることもできる。グラフェン
を含む膜は、例えば酸化グラフェンを含む膜を還元して形成することができる。
【0317】
可視光を反射する導電性材料としては、例えば、アルミニウム、銀、またはこれらの金
属材料を含む合金等が挙げられる。そのほか、金、白金、ニッケル、タングステン、クロ
ム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、もしくはパラジウム等の金属材料、またはこれら金
属材料を含む合金を用いることができる。また、上記金属材料または合金に、ランタン、
ネオジム、またはゲルマニウム等が添加されていてもよい。アルミニウムとチタンの合金
、アルミニウムとニッケルの合金、アルミニウムとネオジムの合金、アルミニウム、ニッ
ケル、及びランタンの合金(Al-Ni-La)等のアルミニウムを含む合金(アルミニ
ウム合金)、銀と銅の合金、銀とパラジウムと銅の合金(Ag-Pd-Cu、APCとも
記す)、銀とマグネシウムの合金等の銀を含む合金を用いてもよい。
【0318】
ここで、偏光板599として直線偏光板を用いてもよいが、円偏光板を用いることもで
きる。円偏光板としては、例えば直線偏光板と1/4波長位相差板を積層したものを用い
ることができる。これにより、外光反射を抑制することができる。また、偏光板599の
種類に応じて、液晶素子529に用いる液晶素子のセルギャップ、配向、駆動電圧等を調
整することで、所望のコントラストが実現されるようにすればよい。
【0319】
電極562は、樹脂層202の端部に近い部分において、樹脂層201側に設けられた
導電層と接続体543により電気的に接続されている。これにより、樹脂層201側に配
置されるFPC374やIC等から電極562に電位や信号を供給することができる。
【0320】
接続体543としては、例えば導電性の粒子を用いることができる。導電性の粒子とし
ては、有機樹脂またはシリカなどの粒子の表面を金属材料で被覆したものを用いることが
できる。金属材料としてニッケルや金を用いると接触抵抗を低減できるため好ましい。ま
たニッケルをさらに金で被覆するなど、2種類以上の金属材料を層状に被覆させた粒子を
用いることが好ましい。また接続体543として、弾性変形、または塑性変形する材料を
用いることが好ましい。このとき導電性の粒子である接続体543は、図12に示すよう
に上下方向に潰れた形状となる場合がある。こうすることで、接続体543と、これと電
気的に接続する導電層との接触面積が増大し、接触抵抗を低減できるほか、接続不良など
の不具合の発生を抑制することができる。
【0321】
接続体543は、接着層517に覆われるように配置することが好ましい。例えば、硬
化前の接着層517に接続体543を分散させておけばよい。
【0322】
樹脂層201の端部に近い領域には、接続部506が設けられている。接続部506は
、接続層519を介してFPC374と電気的に接続されている。
【0323】
以上が表示パネル800についての説明である。
【0324】
〔表示素子について〕
表示面側に位置する第1の画素が有する表示素子には、外光を反射して表示する素子を
用いることができる。このような素子は、光源を持たないため、表示の際の消費電力を極
めて小さくすることが可能となる。第1の画素が有する表示素子には、代表的には反射型
の液晶素子を用いることができる。または、第1の画素が有する発光素子として、シャッ
ター方式のMEMS(Micro Electro Mechanical Syste
m)素子、光干渉方式のMEMS素子の他、マイクロカプセル方式、電気泳動方式、エレ
クトロウェッティング方式、電子粉流体(登録商標)方式等を適用した素子などを用いる
ことができる。
【0325】
また、表示面側とは反対側に位置する第2の画素が有する表示素子は光源を有し、その
光源からの光を利用して表示する素子を用いることができる。このような画素が射出する
光は、その輝度や色度が外光に左右されることがないため、色再現性が高く(色域が広く
)、且つコントラストの高い、つまり鮮やかな表示を行うことができる。第2の画素が有
する発光素子には、例えばOLED(Organic Light Emitting
Diode)、LED(Light Emitting Diode)、QLED(Qu
antum-dot Light Emitting Diode)などの自発光性の発
光素子を用いることができる。または、第2の画素が有する表示素子として、光源である
バックライトと、バックライトからの光の透過光の光量を制御する透過型の液晶素子とを
組み合わせたものを用いてもよい。
【0326】
〔液晶素子〕
液晶素子としては、例えば垂直配向(VA:Vertical Alignment)
モードが適用された液晶素子を用いることができる。垂直配向モードとしては、MVA(
Multi-Domain Vertical Alignment)モード、PVA(
Patterned Vertical Alignment)モード、ASV(Adv
anced Super View)モードなどを用いることができる。
【0327】
また、液晶素子には、様々なモードが適用された液晶素子を用いることができる。例え
ばVAモードのほかに、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In
-Plane-Switching)モード、FFS(Fringe Field Sw
itching)モード、ASM(Axially Symmetric aligne
d Micro-cell)モード、OCB(Optically Compensat
ed Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric L
iquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric
Liquid Crystal)モード等が適用された液晶素子を用いることができる
【0328】
なお、液晶素子は、液晶の光学的変調作用によって光の透過または非透過を制御する素
子である。なお、液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横方向の電界、縦方向の
電界又は斜め方向の電界を含む)によって制御される。なお、液晶素子に用いる液晶とし
ては、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶(PDLC:
Polymer Dispersed Liquid Crystal)、強誘電性液晶
、反強誘電性液晶、ゲスト・ホスト型液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は
、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチッ
ク相、等方相等を示す。
【0329】
また、液晶材料としては、ポジ型の液晶、またはネガ型の液晶のいずれを用いてもよく
、適用するモードや設計に応じて最適な液晶材料を用いればよい。
【0330】
また、液晶の配向を制御するため、配向膜を設けることができる。なお、横電界方式を
採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相
の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転
移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範
囲を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を液晶層に用いる
。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が短く、光学的等方
性である。また、ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、配向処理が不
要であり、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不
要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作
製工程中の表示装置の不良や破損を軽減することができる。
【0331】
反射型の液晶素子を用いる場合には、表示面側に偏光板を設ける。またこれとは別に、
表示面側に光拡散板を配置すると、視認性を向上させられるため好ましい。
【0332】
〔発光素子〕
発光素子としては、自発光が可能な素子を用いることができ、電流又は電圧によって輝
度が制御される素子をその範疇に含んでいる。例えば、LED、QLED、有機EL素子
、無機EL素子等を用いることができるが、実施の形態1及び実施の形態2で説明した発
光素子を用いることが好ましい。
【0333】
本実施の形態では、特に発光素子は、トップエミッション型の発光素子を用いることが
好ましい。光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取
り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。また、発光
素子は、EL層を1つ有するシングル素子であってもよいし、複数のEL層が電荷発生層
を介して積層されたタンデム素子であってもよい。
【0334】
EL層は少なくとも発光層を有する。EL層は、発光層以外の層として、正孔注入性の
高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入
性の高い物質、又はバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含
む層をさらに有していてもよい。
【0335】
EL層には先の実施の形態1で挙げた低分子系化合物、高分子系化合物、無機化合物を
用いることができる。EL層を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、
転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0336】
〔接着層〕
接着層としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着
剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としては
エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミ
ド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、E
VA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性
が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を
用いてもよい。
【0337】
また、上記樹脂に乾燥剤を含んでいてもよい。例えば、アルカリ土類金属の酸化物(酸
化カルシウムや酸化バリウム等)のように、化学吸着によって水分を吸着する物質を用い
ることができる。または、ゼオライトやシリカゲル等のように、物理吸着によって水分を
吸着する物質を用いてもよい。乾燥剤が含まれていると、水分などの不純物が素子に侵入
することを抑制でき、表示パネルの信頼性が向上するため好ましい。
【0338】
また、上記樹脂に屈折率の高いフィラーや光散乱部材を混合することにより、光取り出
し効率を向上させることができる。例えば、酸化チタン、酸化バリウム、ゼオライト、ジ
ルコニウム等を用いることができる。
【0339】
〔接続層〕
接続層としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Condu
ctive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic C
onductive Paste)などを用いることができる。
【0340】
〔着色層〕
着色層に用いることのできる材料としては、金属材料、樹脂材料、顔料または染料が含
まれた樹脂材料などが挙げられる。
【0341】
〔遮光層〕
遮光層として用いることのできる材料としては、カーボンブラック、チタンブラック、
金属、金属酸化物、複数の金属酸化物の固溶体を含む複合酸化物等が挙げられる。遮光層
は、樹脂材料を含む膜であってもよいし、金属などの無機材料の薄膜であってもよい。ま
た、遮光層に、着色層の材料を含む膜の積層膜を用いることもできる。例えば、ある色の
光を透過する着色層に用いる材料を含む膜と、他の色の光を透過する着色層に用いる材料
を含む膜との積層構造を用いることができる。着色層と遮光層の材料を共通化することで
、装置を共通化できるほか工程を簡略化できるため好ましい。
【0342】
以上、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態で示した構成と適宜組み合わせること
ができる。
【0343】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について説明する。
【0344】
本発明の一態様では、発光色の経時変化の少ない、表示品位が安定した発光素子を作製で
きる。そのため、該発光素子を電子機器に適用することによって、信頼性の高い電子機器
を作製できる。また、本発明の一態様はOLED素子であるため、曲面を有し、信頼性の
高い電子機器を作製できる。さらに、本発明の一態様により、可撓性を有し、信頼性の高
い電子機器を作製できる。
【0345】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパー
ソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカ
メラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生
装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0346】
また、本発明の一態様の発光装置は、外光の強さによらず、高い視認性を実現することが
できる。そのため、携帯型の電子機器、装着型の電子機器(ウェアラブル機器)、及び電
子書籍端末などに好適に用いることができる。
【0347】
図14(A)、(B)に示す携帯情報端末900は、筐体901、筐体902、表示部9
03、及びヒンジ部905等を有する。
【0348】
筐体901と筐体902は、ヒンジ部905で連結されている。携帯情報端末900は、
折り畳んだ状態(図14(A))から、図14(B)に示すように展開させることができ
る。これにより、持ち運ぶ際には可搬性に優れ、使用するときには大きな表示領域により
、視認性に優れる。
【0349】
携帯情報端末900には、ヒンジ部905により連結された筐体901と筐体902に亘
って、フレキシブルな表示部903が設けられている。
【0350】
本発明の一態様を用いて作製された発光装置を、表示部903に用いることができる。こ
れにより、高い歩留まりで携帯情報端末を作製することができる。
【0351】
表示部903は、文書情報、静止画像、及び動画像等のうち少なくとも一つを表示するこ
とができる。表示部に文書情報を表示させる場合、携帯情報端末900を電子書籍端末と
して用いることができる。
【0352】
携帯情報端末900を展開すると、表示部903が大きく湾曲した形態で保持される。例
えば、曲率半径1mm以上50mm以下、好ましくは5mm以上30mm以下に湾曲した
部分を含んで、表示部903が保持される。表示部903の一部は、筐体901から筐体
902にかけて、連続的に画素が配置され、曲面状の表示を行うことができる。
【0353】
表示部903は、タッチパネルとして機能し、指やスタイラスなどにより操作することが
できる。
【0354】
表示部903は、一つのフレキシブルディスプレイで構成されていることが好ましい。こ
れにより、筐体901と筐体902の間で途切れることのない連続した表示を行うことが
できる。なお、筐体901と筐体902のそれぞれに、ディスプレイが設けられる構成と
してもよい。
【0355】
ヒンジ部905は、携帯情報端末900を展開したときに、筐体901と筐体902との
角度が所定の角度よりも大きい角度にならないように、ロック機構を有することが好まし
い。例えば、ロックがかかる(それ以上に開かない)角度は、90度以上180度未満で
あることが好ましく、代表的には、90度、120度、135度、150度、または17
5度などとすることができる。これにより、携帯情報端末900の利便性、安全性、及び
信頼性を高めることができる。
【0356】
ヒンジ部905がロック機構を有すると、表示部903に無理な力がかかることなく、表
示部903が破損することを防ぐことができる。そのため、信頼性の高い携帯情報端末を
実現できる。
【0357】
筐体901及び筐体902は、電源ボタン、操作ボタン、外部接続ポート、スピーカ、マ
イク等を有していてもよい。
【0358】
筐体901または筐体902のいずれか一方には、無線通信モジュールが設けられ、イン
ターネットやLAN(Local Area Network)、Wi-Fi(登録商標
)(Wireless Fidelity)などのコンピュータネットワークを介して、
データを送受信することが可能である。
【0359】
図14(C)に示す携帯情報端末910は、筐体911、表示部912、操作ボタン91
3、外部接続ポート914、スピーカ915、マイク916、カメラ917等を有する。
【0360】
本発明の一態様を用いて作製された発光装置を、表示部912に用いることができる。こ
れにより、高い歩留まりで携帯情報端末を作製することができる。
【0361】
携帯情報端末910は、表示部912にタッチセンサを備える。電話を掛ける、或いは文
字を入力するなどのあらゆる操作は、指やスタイラスなどで表示部912に触れることで
行うことができる。
【0362】
また、操作ボタン913の操作により、電源のON、OFF動作や、表示部912に表示
される画像の種類の切り替えを行うことができる。例えば、メール作成画面から、メイン
メニュー画面に切り替えることができる。
【0363】
また、携帯情報端末910の内部に、ジャイロセンサまたは加速度センサ等の検出装置を
設けることで、携帯情報端末910の向き(縦か横か)を判断して、表示部912の画面
表示の向きを自動的に切り替えることができる。また、画面表示の向きの切り替えは、表
示部912に触れること、操作ボタン913の操作、またはマイク916を用いた音声入
力等により行うこともできる。
【0364】
携帯情報端末910は、例えば、電話機、手帳または情報閲覧装置等から選ばれた一つま
たは複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとして用いることができる。携帯
情報端末910は、例えば、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、動画
再生、インターネット通信、ゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができ
る。
【0365】
図14(D)に示すカメラ920は、筐体921、表示部922、操作ボタン923、シ
ャッターボタン924等を有する。またカメラ920には、着脱可能なレンズ926が取
り付けられている。
【0366】
本発明の一態様を用いて作製された発光装置を、表示部922に用いることができる。こ
れにより、高い歩留まりでカメラを作製することができる。
【0367】
ここではカメラ920を、レンズ926を筐体921から取り外して交換することが可能
な構成としたが、レンズ926と筐体921とが一体となっていてもよい。
【0368】
カメラ920は、シャッターボタン924を押すことにより、静止画または動画を撮像す
ることができる。また、表示部922はタッチパネルとしての機能を有し、表示部922
をタッチすることにより撮像することも可能である。
【0369】
なお、カメラ920は、ストロボ装置や、ビューファインダーなどを別途装着することが
できる。または、これらが筐体921に組み込まれていてもよい。
【0370】
図15(A)~(E)は、電子機器を示す図である。これらの電子機器は、筐体9000
、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチまたは操作スイ
ッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角
速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、
電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含
むもの)、マイクロフォン9008等を有する。
【0371】
本発明の一態様を用いて作製された発光装置を、表示部9001に好適に用いることがで
きる。これにより、高い歩留まりで電子機器を作製することができる。
【0372】
図15(A)~(E)に示す電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様
々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機
能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム
)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコンピュー
タネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信または受信を
行う機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して表示部に表示
する機能、等を有することができる。なお、図15(A)~(E)に示す電子機器が有す
る機能はこれらに限定されず、その他の機能を有していてもよい。
【0373】
図15(A)は腕時計型の携帯情報端末9200を、図15(B)は腕時計型の携帯情報
端末9201を、それぞれ示す斜視図である。
【0374】
図15(A)に示す携帯情報端末9200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成
、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを
実行することができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲し
た表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、通信規格さ
れた近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと
相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末
9200は、接続端子9006を有し、他の情報端末とコネクターを介して直接データの
やりとりを行うことができる。また接続端子9006を介して充電を行うこともできる。
なお、充電動作は接続端子9006を介さずに無線給電により行ってもよい。
【0375】
図15(B)に示す携帯情報端末9201は、図15(A)に示す携帯情報端末と異なり
、表示部9001の表示面が湾曲していない。また、携帯情報端末9201の表示部の外
形が非矩形状(図15(B)においては円形状)である。
【0376】
図15(C)~(E)は、折り畳み可能な携帯情報端末9202を示す斜視図である。な
お、図15(C)が携帯情報端末9202を展開した状態の斜視図であり、図15(D)
が携帯情報端末9202を展開した状態または折り畳んだ状態の一方から他方に変化する
途中の状態の斜視図であり、図15(E)が携帯情報端末9202を折り畳んだ状態の斜
視図である。
【0377】
携帯情報端末9202は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では、継ぎ目
のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9202が有する表示部
9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。
ヒンジ9055を介して2つの筐体9000間を屈曲させることにより、携帯情報端末9
202を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。例えば
、携帯情報端末9202は、曲率半径1mm以上150mm以下で曲げることができる。
【0378】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0379】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光素子を様々な電子機器、照明装置に適用する
一例について、図16及び図17を用いて説明する。
【0380】
本発明の一態様の発光素子を、可撓性を有する基板上に作製することで、曲面に発光領
域を有する電子機器、照明装置を実現することができる。
【0381】
また、本発明の一態様の発光素子を適用した発光装置は、自動車の照明にも適用するこ
とができ、例えば、フロントガラス、天井等に照明を設置することもできる。
【0382】
図16(A)は、多機能端末3500の一方の面の斜視図を示し、図16(B)は、多
機能端末3500の他方の面の斜視図を示している。多機能端末3500は、筐体350
2に表示部3504、カメラ3506、照明3508等が組み込まれている。本発明の一
態様の発光装置を照明3508に用いることができる。
【0383】
照明3508は、本発明の一態様の発光装置を用いることで、面光源として機能する。
したがって、LEDに代表される点光源と異なり、指向性が少ない発光が得られる。例え
ば、照明3508とカメラ3506とを組み合わせて用いる場合、照明3508を点灯ま
たは点滅させて、カメラ3506により撮像することができる。照明3508としては、
面光源としての機能を有するため、自然光の下で撮影したような写真を撮影することがで
きる。
【0384】
なお、図16(A)、(B)に示す多機能端末3500は、図14(A)~図14(C
)に示す電子機器と同様に、様々な機能を有することができる。
【0385】
また、筐体3502の内部に、スピーカ、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角
速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、
電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含む
もの)、マイクロフォン等を有することができる。また、多機能端末3500の内部に、
ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、多
機能端末3500の向き(縦か横か)を判断して、表示部3504の画面表示を自動的に
切り替えるようにすることができる。
【0386】
表示部3504は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部3
504に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。
また、表示部3504に近赤外光を発光するバックライト又は近赤外光を発光するセンシ
ング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。なお、表示部35
04に本発明の一態様の発光装置を適用してもよい。
【0387】
図16(C)は、防犯用のライト3600の斜視図を示している。ライト3600は、
筐体3602の外側に照明3608を有し、筐体3602には、スピーカ3610等が組
み込まれている。本発明の一態様の発光素子を照明3608に用いることができる。
【0388】
ライト3600としては、例えば、照明3608を握持する、掴持する、または保持す
ることで発光することができる。また、筐体3602の内部には、ライト3600からの
発光方法を制御できる電子回路を備えていてもよい。該電子回路としては、例えば、1回
または間欠的に複数回、発光が可能なような回路としてもよいし、発光の電流値を制御す
ることで発光の光量が調整可能なような回路としてもよい。また、照明3608の発光と
同時に、スピーカ3610から大音量の警報音が出力されるような回路を組み込んでもよ
い。
【0389】
ライト3600としては、あらゆる方向に発光することが可能なため、例えば、暴漢等
に向けて光、または光と音で威嚇することができる。また、ライト3600にデジタルス
チルカメラ等のカメラ、撮影機能を有する機能を備えてもよい。
【0390】
図17は、発光素子を室内の照明装置8501として用いた例である。なお、発光素子
は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置を形成することもできる。その他、曲面
を有する筐体を用いることで、発光領域が曲面を有する照明装置8502を形成すること
もできる。本実施の形態で示す発光素子は薄膜状であり、筐体のデザインの自由度が高い
。したがって、様々な意匠を凝らした照明装置を形成することができる。さらに、室内の
壁面に大型の照明装置8503を備えても良い。また、照明装置8501、8502、8
503に、タッチセンサを設けて、電源のオンまたはオフを行ってもよい。
【0391】
また、発光素子をテーブルの表面側に用いることによりテーブルとしての機能を備えた
照明装置8504とすることができる。なお、その他の家具の一部に発光素子を用いるこ
とにより、家具としての機能を備えた照明装置とすることができる。
【0392】
以上のようにして、本発明の一態様の発光素子を適用して照明装置及び電子機器を得る
ことができる。なお、適用できる照明装置及び電子機器は、本実施の形態に示したものに
限らず、あらゆる分野の照明装置及び電子機器に適用することが可能である。
【0393】
また、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用
いることができる。
【実施例0394】
本実施例では、本発明の一態様である発光素子、発光素子1~発光素子3及び発光装置
1の作製例を示す。本実施例で作製した発光素子の断面模式図を図18に、素子構造の詳
細を表1及び表2に、それぞれ示す。発光素子1~発光素子3は発光層646の積層順を
陽極側から赤色発光層、緑色発光層、赤色発光層としている。なお、比較例として、発光
層646に赤色発光層と緑色発光層を1層ずつ用いた、比較発光素子4~比較発光素子6
及び比較発光装置2も合わせて作製した。素子構造の詳細を表3及び表4にそれぞれ示す
。また、本実施例で用いる材料の化学式を以下に示す。
【0395】
【化1】
【0396】
【化2】
【0397】
【表1】
【0398】
【表2】
【0399】
【表3】
【0400】
【表4】
【0401】
<発光素子の作製>
≪発光素子1の作製≫
基板650上に銀とパラジウムと銅の合金(Ag-Pd-Cu、またはAPCともいう
)、及びITSO膜を厚さがそれぞれ200nm、95nmになるよう順次形成すること
で、電極642を形成した。ITSO膜は、光を透過する機能を有し、APC膜は、光を
反射する機能と光を透過する機能とを有する導電膜である。なお、電極642の電極面積
は、4mm(2mm×2mm)とした。
【0402】
次に、電極642上に正孔注入層631として、3-[4-(9-フェナントリル)-
フェニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCPPn)と、酸化モリブデ
ン(MoO)と、を重量比(PCPPn:MoO)が1:0.5になるように、且つ
厚さが22.5nmになるように共蒸着した。
【0403】
次に、正孔注入層631上に正孔輸送層632として、PCPPnを厚さが10nmに
なるように蒸着した。
【0404】
次に、正孔輸送層632上に、発光層644として、7-[4-(10-フェニル-9
-アントリル)フェニル]-7H-ジベンゾ[c,g]カルバゾール(略称:cgDBC
zPA)と、N,N’-(ピレン-1,6-ジイル)ビス[(6,N-ジフェニルベンゾ
[b]ナフト[1,2-d]フラン)-8-アミン](略称:1,6BnfAPrn-0
3)と、を重量比(cgDBCzPA:1,6BnfAPrn-03)が1:0.03に
なるように、且つ厚さが25nmになるように共蒸着した。ここで、1,6BnfAPr
n-03がゲスト材料であり、青色の発光を示す。
【0405】
次に、発光層644上に、電子輸送層633として、cgDBCzPAと、2,9-ビ
ス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称
:NBPhen)とを、厚さがそれぞれ10nmと15nmとになるように順次蒸着した
【0406】
次に、電子輸送層633上に、電子注入層634として、酸化リチウム(略称:Li
O)と、銅フタロシアニン(略称:CuPc)とを、厚さがそれぞれ0.1nmと2nm
とになるように順次蒸着した。
【0407】
次に、正孔注入層を兼ねる電荷発生層635として、4,4’,4’’-(ベンゼン-
1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P-II)と、酸
化モリブデン(MoO)と、を重量比(DBT3P-II:MoO)が1:0.5に
なるように、且つ厚さが10nmになるように共蒸着した。
【0408】
次に、電荷発生層635上に正孔輸送層637として、4-フェニル-4’-(9-フ
ェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)を厚さが15
nmになるように蒸着した。
【0409】
次に、発光層646として、2-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニ
ル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq-II)
と、N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カル
バゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(
略称:PCBBiF)と、ビス{4,6-ジメチル-2-[3-(3,5-ジメチルフェ
ニル)-5-フェニル-2-ピラジニル-κN]フェニル-κC}(2,6-ジメチル-
3,5-ヘプタンジオナト-κO,O’)イリジウム(III)(略称:Ir(dmd
ppr-P)(dibm))と、を重量比(2mDBTBPDBq-II:PCBBi
F:Ir(dmdppr-P)(dibm))が0.6:0.4:0.06になるよう
に、且つ厚さが10nmになるように共蒸着し、続いて、2mDBTBPDBq-IIと
、PCBBiFと、トリス[2-(6-tert-ブチル-4-ピリミジニル-κN
フェニル-κC]イリジウム(III)(略称:Ir(tBuppm))と、を重量比
(2mDBTBPDBq-II:PCBBiF:Ir(tBuppm))が0.8:0
.2:0.06になるように、且つ厚さが30nmになるように共蒸着し、続いて、2m
DBTBPDBq-IIと、PCBBiFと、Ir(tBuppm)(acac)と、
を重量比(2mDBTBPDBq-II:PCBBiF:Ir(tBuppm)(ac
ac))が0.6:0.4:0.06になるように、且つ厚さが5nmになるように共蒸
着した。ここで、Ir(dmdppr-P)(dibm)とIr(tBuppm)
発光(ゲスト)材料であり、Ir(dmdppr-P)(dibm)は赤色、Ir(t
Buppm)は緑色の発光をそれぞれ示す。
【0410】
次に、発光層646上に電子輸送層638として、2mDBTBPDBq-IIと、N
BPhenとを、それぞれ厚さが25nm及び20nmになるように順次蒸着した。また
、電子輸送層638上に電子注入層639として、フッ化リチウム(LiF)を厚さが1
nmになるよう蒸着した。
【0411】
次に、電子注入層639上に、電極641として、銀(Ag)とマグネシウム(Mg)
と、を重量比(Ag:Mg=1:0.1)となるように、且つ厚さが25nmとなるよう
に共蒸着した。さらに、ITSOを厚さが70nmになるように形成した。
【0412】
次に、窒素雰囲気のグローブボックス内において、有機EL用シール材を用いて封止す
るための基板652を、有機材料を形成した基板650に固定することで、発光素子1を
封止した。具体的には、基板650に形成した有機材料の周囲にシール材を塗布し、該基
板650と基板652とを貼り合わせ、波長が365nmの紫外光をシール材に6J/c
照射し、80℃にて1時間熱処理した。以上の工程により発光素子1を得た。
【0413】
また、発光素子1に重畳する光学素子648として、基板654上に赤色のカラーフィ
ルタ(CF Red)を2.6μmの厚さで形成した。
【0414】
≪発光素子2及び3の作製≫
発光素子2は、先に示す発光素子1と、電極642、正孔注入層631の形成工程、及
び光学素子648の形成工程のみ異なり、それ以外の工程は発光素子1と同様の作製方法
とした。また、発光素子3は先に示す発光素子1と、正孔注入層631の形成工程、及び
光学素子648の形成工程のみ異なり、それ以外の工程は発光素子1と同様の作製方法と
した。
【0415】
発光素子2の電極642として、基板650上に、APC膜、及びITSO膜を厚さがそ
れぞれ200nm、45nmになるよう順次形成することで、電極642を形成した。
【0416】
発光素子2の正孔注入層631として、PCPPnと、MoOと、を重量比(PCP
Pn:MoO)が1:0.5になるように、且つ厚さが17.5nmになるように共蒸
着した。
【0417】
また、発光素子2に重畳する光学素子648として、基板654上に緑色のカラーフィ
ルタ(CF Green)を1.0μmの厚さで形成した。
【0418】
発光素子3の正孔注入層631として、PCPPnと、MoOと、を重量比(PCP
Pn:MoO)が1:0.5になるように、且つ厚さが30nmになるように共蒸着し
た。
【0419】
また、発光素子3に重畳する光学素子648として、基板654上に青色のカラーフィ
ルタ(CF Blue)を0.8μmの厚さで形成した。
【0420】
≪比較発光素子4の作製≫
比較発光素子4は、先に示す発光素子1と、正孔注入層631の形成工程、発光層64
6、電子輸送層638の形成工程のみ異なり、それ以外の工程は発光素子1と同様の作製
方法とした。
【0421】
比較発光素子4の正孔注入層631として、PCPPnと、MoOと、を重量比(P
CPPn:MoO)が1:0.5になるように、且つ厚さが15nmになるように共蒸
着した。
【0422】
比較発光素子4の発光層646として、2mDBTBPDBq-IIと、PCBBiF
と、Ir(dmdppr-P)(dibm)と、を重量比(2mDBTBPDBq-I
I:PCBBiF:Ir(dmdppr-P)(dibm))が0.6:0.4:0.
04になるように、且つ厚さが15nmになるように共蒸着し、続いて、2mDBTBP
DBq-IIと、PCBBiFと、Ir(tBuppm)と、を重量比(2mDBTB
PDBq-II:PCBBiF:Ir(tBuppm))が0.7:0.3:0.06
になるように、且つ厚さが20nmになるように共蒸着した。
【0423】
次に、発光層646上に電子輸送層638として、2mDBTBPDBq-IIと、N
BPhenとを、それぞれ厚さが35nm及び20nmになるように順次蒸着した。
【0424】
また、比較発光素子4に重畳する光学素子648として、基板654上に赤色のカラー
フィルタ(CF Red)を2.6μmの厚さで形成した。
【0425】
≪比較発光素子5の作製≫
比較発光素子5は、先に示す比較発光素子4と、電極642、正孔注入層631、光学
素子648の形成工程のみ異なり、それ以外の工程は比較発光素子4と同様の作製方法と
した。
【0426】
比較発光素子5の電極642として、基板650上にAPC膜、及びITSO膜を厚さが
それぞれ200nm、45nmになるよう順次形成することで、電極642を形成した。
【0427】
比較発光素子5の正孔注入層631として、PCPPnと、MoOと、を重量比(P
CPPn:MoO)が1:0.5になるように、且つ厚さが12.5nmになるように
共蒸着した。
【0428】
また、比較発光素子5に重畳する光学素子648として、基板654上に緑色のカラー
フィルタ(CF Green)を1.0μmの厚さで形成した。
【0429】
≪比較発光素子6の作製≫
比較発光素子6は、先に示す発光素子1と、電極642、正孔注入層631の形成工程
、発光層646、電子輸送層638の形成工程、光学素子648の形成工程のみ異なり、
それ以外の工程は発光素子1と同様の作製方法とした。
【0430】
比較発光素子6の電極642として、基板650上にAPC膜及びITSO膜を厚さがそ
れぞれ200nm、10nmになるよう順次形成することで、電極642を形成した。
【0431】
比較発光素子6の正孔注入層631として、PCPPnと、MoOと、を重量比(P
CPPn:MoO)が1:0.5になるように、且つ厚さが12.5nmになるように
共蒸着した。
【0432】
比較発光素子6の発光層646として、2mDBTBPDBq-IIと、PCBBiF
と、Ir(tBuppm)と、を重量比(2mDBTBPDBq-II:PCBBiF
:Ir(tBuppm))が0.8:0.2:0.06になるように、且つ厚さが20
nmになるように共蒸着し、続いて、2mDBTBPDBq-IIと、Ir(dmdpp
r-P)(dibm)と、を重量比(2mDBTBPDBq-II:Ir(dmdpp
r-P)(dibm))が1:0.04になるように、且つ厚さが20nmになるよう
に共蒸着した。
【0433】
次に、発光層646上に電子輸送層638として、2mDBTBPDBq-IIと、N
BPhenとを、それぞれ厚さが25nm及び15nmになるように順次蒸着した。
【0434】
また、比較発光素子6に重畳する光学素子648として、基板654上に青色のカラー
フィルタ(CF Blue)を0.8μmの厚さで形成した。
【0435】
<発光素子1~発光素子3の特性>
作製した発光素子1~発光素子3の電流効率-輝度特性を図19に示す。また、電流密
度-電圧特性を図20に示す。また、外部量子効率-輝度特性を図21に示す。なお、各
発光素子の測定は室温(23℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0436】
また、発光素子1~発光素子3の1000cd/m付近における、発光スペクトル(
ELスペクトル)を図22に示す。なお、図22において縦軸は、各発光スペクトルの最
大値で規格化した発光強度(EL強度)である。
【0437】
また、1000cd/m付近における、発光素子1~発光素子3の素子特性を表5に
示す。
【0438】
【表5】
【0439】
図22に示すように、発光素子1、発光素子2、及び発光素子3の発光スペクトルのピ
ーク波長はそれぞれ631nm、529nm、及び457nmであり、赤色、緑色、及び
青色の発光を示した。また、発光素子1、発光素子2、及び発光素子3の発光スペクトル
の半値全幅はそれぞれ31nm、25nm、及び15nmであり、色純度の高い発光を示
した。
【0440】
発光素子1~発光素子3における発光層646は発光層646(1)~発光層646(3
)の三層を有し、発光層646(2)の発光波長は発光層646(1)及び発光層646
(3)の発光波長より長波長である。また、発光素子1~発光素子3はマイクロキャビテ
ィ構造を有している。そのため、色純度が高く発光効率が良好な発光素子を得ることがで
きる。したがって、これらの発光素子の構成は、発光装置に好適に用いることができる。
【0441】
<比較発光素子4~比較発光素子6の特性>
作製した比較発光素子4~比較発光素子6の電流効率-輝度特性を図23に示す。また
、電流密度-電圧特性を図24に示す。また、外部量子効率-輝度特性を図25に示す。
なお、各発光素子の測定は室温(23℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0442】
また、比較発光素子4~比較発光素子6の1000cd/m付近における、発光スペ
クトル(ELスペクトル)を図26に示す。なお、図26において縦軸は、各発光スペク
トルの最大値で規格化した発光強度(EL強度)である。
【0443】
また、1000cd/m付近における、比較発光素子4~比較発光素子6の素子特性
を表6に示す。
【0444】
【表6】
【0445】
図26に示すように、比較発光素子4~比較発光素子6の発光スペクトルのピーク波長
はそれぞれ623nm、527nm、460nmであり、赤色、緑色、及び青色の発光を
示した。また、比較発光素子4~比較発光素子6の発光スペクトルの半値全幅はそれぞれ
27nm、21nm、18nmであり、色純度の良好な発光を示した。
【0446】
<発光装置の消費電力の見積もり>
次に、上記作製した発光素子を用いた、RGB三色の副画素を有する発光装置を作製し
た場合における、該発光装置の消費電力を見積もった。
【0447】
発光装置1は、発光素子1、発光素子2及び発光素子3を有する発光装置であり、比較
発光装置2は、比較発光素子4、比較発光素子5及び比較発光素子6を有する発光装置で
ある。発光装置の構成を表7に示す。
【0448】
【表7】
【0449】
本実施例においては、表示領域の縦横比が16:9で、対角サイズが4.3インチで、
面積が50.97cmである発光装置において、開口率が35%と仮定して、発光装置
の消費電力を見積もった。また、該仕様の発光装置において、色温度が6500Kの白色
(色度(x,y)が(0.313,0.329))を300cd/mで表示領域全面に
表示させたときの発光素子及び発光装置の特性を表8に示す。
【0450】
【表8】
【0451】
表8のように、上記仕様の発光装置1においては、発光素子1の輝度が612cd/m
、発光素子2の輝度が1923cd/m、発光素子3の輝度が137cd/mの時
に、色温度が6500Kの白色(色度(x,y)が(0.313,0.329))を30
0cd/mで表示領域全面に表示させることができ、この時に発光装置1の消費電力は
454mWと見積もることができた。
【0452】
また、表8のように、上記仕様の比較発光装置2においては、比較発光素子4の輝度が
727cd/m、比較発光素子5の輝度が1692cd/m、比較発光素子6の輝度
が153cd/mの時に、色温度が6500Kの白色(色度(x,y)が(0.313
,0.329))を300cd/mで表示領域全面に表示させることができ、この時に
比較発光装置2の消費電力は609mWと見積もることができた。
【0453】
比較発光装置2から得られるRGB各色のCIE1931色度座標を結んで得られる三角
形の面積は、BT.2020規格におけるRGB各色のCIE1931色度座標を結んで
得られる三角形の面積と比較し、面積比が89%である、色再現性に優れた発光装置であ
ることが分かった。同様に、発光装置1から得られるRGB各色のCIE1931色度座
標を結んで得られる三角形の面積は、BT.2020規格におけるRGB各色のCIE1
931色度座標を結んで得られる三角形の面積と比較し、面積比が96%であり、比較発
光装置2よりも高い色再現性を有する発光装置であることが分かった。
【0454】
以上のように、発光装置1は比較発光装置2と比較して、色再現性が高く、消費電力も低
いことが分かった。これは、発光層646は発光層646(1)~発光層646(3)の
三層を有し、発光層646(2)の発光波長は発光層646(1)及び発光層646(3
)の発光波長より短波長である構成としたことで、マイクロキャビティ構造を用いる場合
、赤(R)と緑(G)の各色において、より効果的な光学設計が可能となるためである。
【0455】
<信頼性試験結果>
発光装置1及び比較発光装置2に用いた、発光素子1~発光素子3と比較発光素子4及び
比較発光素子5の定電流駆動試験を行った。各素子の定電流密度は表8に示す値を用いた
。すなわち、各発光装置において、色温度が6500Kの白色(色度(x,y)が(0.
313,0.329))を300cd/mで表示領域全面に表示させたときの各発光素
子の電流密度の値を用いた。その結果を図27及び図28に示す。図27及び図28より
、比較発光素子4と発光素子1を比較すると、発光素子1の方が素子寿命が良好であるこ
とが分かった。また、発光素子1と発光素子2の輝度劣化曲線はほぼ同等であるのに対し
比較発光素子4と比較発光素子5の輝度劣化曲線は異なり、比較発光素子4の方が比較発
光素子5よりも劣化の速度が速いことが分かった。さらに、発光素子1~発光素子3の輝
度劣化曲線もほぼ同等である。よって、本発明の一態様に係る発光素子を用いることで、
駆動中の色度変化が極めて少ない、信頼性の良好な発光装置を提供することができる。
【0456】
以上より、第1の発光層、第2の発光層、および第3の発光層を含む積層構造を有し、第
1の発光層と第3の発光層から得られる発光は、発光色が同じであり、かつ第2の発光層
から得られる発光よりも長波長である発光素子とすることで、色再現性が高く、消費電力
が低く、信頼性が良好な発光装置を提供することができる。
【実施例0457】
本実施例では、本発明の一態様である発光素子を適用して作製した13.3インチAMO
LEDディスプレイについて示す。この13.3インチAMOLEDディスプレイは、実
施例1で示した発光素子1の発光層と同様の構造を有する。
【0458】
なお、この13.3インチAMOLEDディスプレイの駆動回路部には、酸化物半導体を
適用したFETを用いた。また、120Hz、12bitを実現するためには寄生容量の
小さいバックプレーンが有利となるため、寄生容量の小さいトップゲートセルフアライン
(Top Gate Self-Align, TGSA)構造を採用した。
【0459】
作製した13.3インチAMOLEDディスプレイの画像を図29に示す。また、このデ
ィスプレイの主な仕様および特性を以下の表9に示す。
【0460】
【表9】
【実施例0461】
本実施例では、本発明の別の一態様である発光素子、発光素子7、発光素子8の作製例を
示す。本実施例で作製した発光素子の断面模式図を図30に、素子構造の詳細を表10に
、それぞれ示す。また、本実施例で用いる材料の化学式と略称を以下に示す。なお、他の
化合物の構造と略称については、先の実施例を参酌すれば良い。
【0462】
【化3】
【0463】
【表10】
【0464】
<発光素子の作製>
≪発光素子7の作製≫
基板650上にITSO膜を厚さが70nmとなるように形成することで、電極642
を形成した。電極642の電極面積は、4mm(2mm×2mm)とした。
【0465】
次に、電極642上に正孔注入層631として、PCPPnと、酸化モリブデン(Mo
)と、を重量比(PCPPn:MoO)が1:0.5になるように、且つ厚さが1
0nmになるように共蒸着した。
【0466】
次に、正孔注入層631上に正孔輸送層632として、PCPPnを厚さが10nmに
なるように蒸着した。
【0467】
次に、正孔輸送層632上に、発光層644として、cgDBCzPAと、1,6Bn
fAPrn-03(希薄トルエン溶液における発光ピーク波長:450nm)と、を重量
比(cgDBCzPA:1,6BnfAPrn-03)が1:0.03になるように、且
つ厚さが25nmになるように共蒸着した。ここで、1,6BnfAPrn-03がゲス
ト材料であり、青色の発光を示す。
【0468】
次に、発光層644上に、電子輸送層633として、cgDBCzPAと、NBPhe
nとを、厚さがそれぞれ10nmと15nmとになるように順次蒸着した。
【0469】
次に、電子輸送層633上に、電子注入層634として、酸化リチウム(略称:Li
O)と、銅フタロシアニン(略称:CuPc)とを、厚さがそれぞれ0.1nmと2nm
とになるように順次蒸着した。
【0470】
次に、正孔注入層を兼ねる電荷発生層635として、DBT3P-IIと、酸化モリブ
デン(MoO)と、を重量比(DBT3P-II:MoO)が1:0.5になるよう
に、且つ厚さが10nmになるように共蒸着した。
【0471】
次に、電荷発生層635上に正孔輸送層637として、BPAFLPを厚さが15nm
になるように蒸着した。
【0472】
次に、発光層646として、2mDBTBPDBq-IIと、PCBBiFと、Ir(
tBuppm)(0.1mMジクロロメタン溶液における発光ピーク波長:540nm
)と、を重量比(2mDBTBPDBq-II:PCBBiF:Ir(tBuppm)
)が0.8:0.2:0.06になるように、且つ厚さが20nmになるように共蒸着し
、続いて、2mDBTBPDBq-IIと、PCBBiFと、Ir(dmdppr-P)
(dibm)(0.1mMジクロロメタン溶液における発光ピーク波長:640nm)
と、を重量比(2mDBTBPDBq-II:PCBBiF:Ir(dmdppr-P)
(dibm))が0.8:0.2:0.04になるように、且つ厚さが10nmになる
ように共蒸着し、続いて、2mDBTBPDBq-IIと、PCBBiFと、Ir(tB
uppm)と、を重量比(2mDBTBPDBq-II:PCBBiF:Ir(tBu
ppm))が0.8:0.2:0.06になるように、且つ厚さが10nmになるよう
に共蒸着した。
【0473】
次に、発光層646上に電子輸送層638として、2mDBTBPDBq-IIと、N
BPhenとを、それぞれ厚さが25nm及び15nmになるように順次蒸着した。また
、電子輸送層638上に電子注入層639として、フッ化リチウム(LiF)を厚さが1
nmになるよう蒸着した。
【0474】
次に、電子注入層639上に、電極641として、アルミニウム(Al)を厚さが12
0nmとなるように蒸着した。
【0475】
次に、窒素雰囲気のグローブボックス内において、有機EL用シール材を用いて封止す
るための基板652を、有機材料を形成した基板650に固定することで、発光素子7を
封止した。具体的には、基板650に形成した有機材料の周囲にシール材を塗布し、該基
板650と基板652とを貼り合わせ、波長が365nmの紫外光をシール材に6J/c
照射し、80℃にて1時間熱処理した。以上の工程により発光素子7を得た。
【0476】
≪発光素子8の作製≫
発光素子8は、先に示す発光素子7と、正孔注入層631、発光層644、発光層64
6の形成工程のみ異なり、それ以外の工程は発光素子7と同様の作製方法とした。
【0477】
発光素子8の正孔注入層631として、電極642上に、PCPPnと、酸化モリブデ
ン(MoO)と、を重量比(PCPPn:MoO)が1:0.5になるように、且つ
厚さが40nmになるように共蒸着した。
【0478】
正孔輸送層632上に、発光層644として、cgDBCzPAと、N,N’-ビス(3
-メチルフェニル)-N,N’-ビス[3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イ
ル)フェニル]ピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)(希
薄トルエン溶液における発光ピーク波長:461nm)と、を重量比(cgDBCzPA
:1,6mMemFLPAPrn)が1:0.03になるように、且つ厚さが25nmに
なるように共蒸着した。
【0479】
発光層646として、2mDBTBPDBq-IIと、PCBBiFと、Ir(tBu
ppm)(acac)(0.1mMジクロロメタン溶液における発光ピーク波長:54
6nm)と、を重量比(2mDBTBPDBq-II:PCBBiF:Ir(tBupp
m)(acac))が0.8:0.2:0.06になるように、且つ厚さが20nmに
なるように共蒸着し、続いて、2mDBTBPDBq-IIと、PCBBiFと、ビス{
4,6-ジメチル-2-[5-(2,6-ジメチルフェニル)-3-(3,5-ジメチル
フェニル)-2-ピラジニル-κN]フェニル-κC}(2,4-ペンタンジオナト-κ
O,O’)イリジウム(III)(略称:Ir(dmdppr-dmp)(acac
)(0.1mMジクロロメタン溶液における発光ピーク波長:610nm)と、を重量比
(2mDBTBPDBq-II:PCBBiF:Ir(dmdppr-dmp)(ac
ac))が0.8:0.2:0.06になるように、且つ厚さが10nmになるように共
蒸着し、続いて、2mDBTBPDBq-IIと、PCBBiFと、Ir(tBuppm
(acac)と、を重量比(2mDBTBPDBq-II:PCBBiF:Ir(t
Buppm)(acac))が0.8:0.2:0.06になるように、且つ厚さが1
0nmになるように共蒸着した。
【0480】
<発光素子7、発光素子8の特性>
作製した発光素子7、発光素子8の発光スペクトル(ELスペクトル)を図31に示す
。なお、図31において縦軸は、各発光スペクトルの最大値で規格化した発光強度(EL
強度)である。なお、測定は室温で行った。
【0481】
図31に示すように、発光素子7、発光素子8の発光スペクトルからはそれぞれ、赤色
、緑色、及び青色各色の領域に発光ピークが見られ、発光素子7、発光素子8は3色が混
合した白色の発光を呈した。また、発光素子7と発光素子8間で各色のスペクトルピーク
の位置を比較すると、発光素子7の方が青色、緑色はより短波長、赤色はより長波長側に
ピークを有することが分かった。この違いは発光材料のピーク波長の違いによるものであ
る。
【符号の説明】
【0482】
50 接着層
51 接着層
52 接着層
100 EL層
101 電極
101a 導電層
101b 導電層
101c 導電層
102 電極
103 電極
103a 導電層
103b 導電層
104 電極
104a 導電層
104b 導電層
106 発光ユニット
110 発光ユニット
111 正孔注入層
112 正孔輸送層
113 電子輸送層
114 電子注入層
115 電荷発生層
116 正孔注入層
117 正孔輸送層
118 電子輸送層
119 電子注入層
120 発光層
120a 発光層
120b 発光層
120c 発光層
121 ホスト材料
121_1 有機化合物
121_2 有機化合物
122 発光性材料
123B 発光層
123G 発光層
123R 発光層
140 発光層
140a 発光層
140b 発光層
140c 発光層
141a ホスト材料
141a_1 電子輸送性材料
141a_2 正孔輸送性材料
141b ホスト材料
141b_1 電子輸送性材料
141b_2 正孔輸送性材料
141c ホスト材料
141c_1 電子輸送性材料
141c_2 正孔輸送性材料
142a 発光性材料
142b 発光性材料
142c 発光性材料
145 隔壁
146 発光領域
150 発光素子
170 発光層
190 発光層
200 基板
201 樹脂層
202 樹脂層
205 トランジスタ
206 トランジスタ
207 接続部
220 基板
221B 領域
221G 領域
221R 領域
222B 領域
222G 領域
222R 領域
223 遮光層
224B 光学素子
224G 光学素子
224R 光学素子
250 発光素子
260a 発光素子
260b 発光素子
262a 発光素子
262b 発光素子
300 発光装置
311 電極
311b 電極
312 液晶
340 液晶素子
351 基板
360 発光素子
360b 発光素子
360g 発光素子
360r 発光素子
360w 発光素子
361 基板
362 表示部
364 回路部
365 配線
366 回路部
367 配線
372 FPC
373 IC
374 FPC
375 IC
400 発光装置
401 トランジスタ
402 トランジスタ
403 トランジスタ
405 容量素子
406 接続部
410 画素
411 絶縁層
412 絶縁層
413 絶縁層
414 絶縁層
415 絶縁層
416 スペーサ
417 接着層
419 接続層
421 電極
422 EL層
423 電極
424 光学調整層
425 着色層
426 遮光層
451 開口
476 絶縁層
478 絶縁層
501 トランジスタ
503 トランジスタ
505 容量素子
506 接続部
511 絶縁層
512 絶縁層
513 絶縁層
514 絶縁層
517 接着層
519 接続層
529 液晶素子
543 接続体
562 電極
563 液晶
564a 配向膜
564b 配向膜
576 絶縁層
578 絶縁層
599 偏光板
601 ソース側駆動回路
602 画素部
603 ゲート側駆動回路
604 封止基板
605 シール材
607 空間
608 配線
610 素子基板
611 スイッチング用TFT
612 電流制御用TFT
613 電極
614 絶縁物
616 EL層
617 電極
618 発光素子
623 nチャネル型TFT
624 pチャネル型TFT
631 正孔注入層
632 正孔輸送層
633 電子輸送層
634 電子注入層
635 電荷発生層
637 正孔輸送層
638 電子輸送層
639 電子注入層
641 電極
642 電極
644 発光層
646 発光層
648 光学素子
650 基板
652 基板
654 基板
700 表示パネル
701 樹脂層
702 樹脂層
800 表示パネル
900 携帯情報端末
901 筐体
902 筐体
903 表示部
905 ヒンジ部
910 携帯情報端末
911 筐体
912 表示部
913 操作ボタン
914 外部接続ポート
915 スピーカ
916 マイク
917 カメラ
920 カメラ
921 筐体
922 表示部
923 操作ボタン
924 シャッターボタン
926 レンズ
1001 基板
1002 下地絶縁膜
1003 ゲート絶縁膜
1006 ゲート電極
1007 ゲート電極
1008 ゲート電極
1020 層間絶縁膜
1021 層間絶縁膜
1022 電極
1024B 電極
1024G 電極
1024R 電極
1024W 電極
1025B 下部電極
1025G 下部電極
1025R 下部電極
1025W 下部電極
1026 隔壁
1028 EL層
1029 電極
1031 封止基板
1032 シール材
1033 基材
1034B 着色層
1034G 着色層
1034R 着色層
1035 黒色層
1036 オーバーコート層
1037 層間絶縁膜
1040 画素部
1041 駆動回路部
1042 周辺部
3500 多機能端末
3502 筐体
3504 表示部
3506 カメラ
3508 照明
3600 ライト
3602 筐体
3608 照明
3610 スピーカ
8501 照明装置
8502 照明装置
8503 照明装置
8504 照明装置
9000 筐体
9001 表示部
9003 スピーカ
9005 操作キー
9006 接続端子
9007 センサ
9008 マイクロフォン
9055 ヒンジ
9200 携帯情報端末
9201 携帯情報端末
9202 携帯情報端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31