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特開2022-189952音響波プローブおよび音響波プローブの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189952
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】音響波プローブおよび音響波プローブの制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/06 20060101AFI20221215BHJP
   A61B 8/14 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
A61B8/06
A61B8/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174201
(22)【出願日】2022-10-31
(62)【分割の表示】P 2021546564の分割
【原出願日】2020-08-26
(31)【優先権主張番号】P 2019168384
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 弘行
(57)【要約】
【課題】ドプラ画像における圧縮処理部の動作に起因するノイズの影響を抑制することができる音響波プローブおよび音響波プローブの制御方法を提供する。
【解決手段】音響波プローブ(2)は、音線信号を生成する受信回路(13)と、音線信号にドプラ処理を行ってドプラデータを生成するドプラ処理部(15)と、ドプラ画像を生成するドプラ画像生成部(16)と、ドプラ画像を圧縮する圧縮処理部(17)と、無線通信回路(18)と、ドプラ画像における速度レンジに基づいて、ドプラ処理の処理周波数F1を決定するプローブ制御部(21)と、処理周波数F1の2倍よりも大きい圧縮処理の処理周波数F2を設定する処理周波数設定部(19)を備え、少なくとも受信回路(13)とドプラ処理部(15)とドプラ画像生成部(16)と圧縮処理部(17)とが同一の基板(24)上に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報端末に無線接続された音響波プローブであって、
振動子アレイと、
前記振動子アレイから音響波を送信する送信回路と、
音響波エコーを受信した前記振動子アレイにより取得されるアナログの受信信号をデジタル変換した後に受信フォーカス処理を施すことにより音線信号を生成する受信回路と、
前記受信回路により生成された前記音線信号に基づいてドプラ処理を行うことによりドプラデータを生成するドプラ処理部と、
前記ドプラ処理部により生成された前記ドプラデータに基づいてドプラ画像を生成するドプラ画像生成部と、
前記ドプラ画像生成部により生成された前記ドプラ画像を圧縮処理する圧縮処理部と、
前記圧縮処理部により圧縮処理された前記ドプラ画像を前記情報端末に無線送信する無線通信回路と、
ユーザの指示により設定された前記ドプラ画像における速度レンジに基づいて、前記ドプラ処理部における前記ドプラ処理の処理周波数F1を自動的に決定するプローブ制御部と、
前記ドプラ処理部における前記ドプラ処理の前記処理周波数F1の2倍よりも大きい周波数となるように前記圧縮処理部における前記圧縮処理の処理周波数F2を設定する処理周波数設定部と
を備え、
少なくとも前記受信回路と前記ドプラ処理部と前記ドプラ画像生成部と前記圧縮処理部とが同一の基板上に配置されている音響波プローブ。
【請求項2】
情報端末に無線接続された音響波プローブであって、
振動子アレイと、
前記振動子アレイから音響波を送信する送信回路と、
音響波エコーを受信した前記振動子アレイにより取得されるアナログの受信信号をデジタル変換した後に受信フォーカス処理を施すことにより音線信号を生成する受信回路と、
前記受信回路により生成された前記音線信号に基づいてドプラデータを生成するドプラ処理部と、
前記受信回路により生成された前記音線信号に基づいてドプラ処理を行うことによりBモード画像を生成するBモード画像生成部と、
前記Bモード画像生成部により生成された前記Bモード画像を圧縮処理する圧縮処理部と、
前記ドプラ処理部により生成された前記ドプラデータおよび前記圧縮処理部により圧縮処理された前記Bモード画像を前記情報端末に無線送信する無線通信回路と、
ユーザの指示により設定された前記ドプラ画像における速度レンジに基づいて、前記ドプラ処理部における前記ドプラ処理の処理周波数F1を自動的に決定するプローブ制御部と、
前記ドプラ処理部における前記ドプラ処理の前記処理周波数F1の2倍よりも大きい周波数となるように前記圧縮処理部における前記圧縮処理の処理周波数F2を設定する処理周波数設定部と
を備え、
少なくとも前記受信回路と前記ドプラ処理部と前記Bモード画像生成部と前記圧縮処理部とが同一の基板上に配置されている音響波プローブ。
【請求項3】
前記ドプラ処理部により生成された前記ドプラデータに基づいてドプラ画像を生成するドプラ画像生成部を備え、
前記圧縮処理部は、前記Bモード画像生成部により生成された前記Bモード画像と前記ドプラ画像生成部により生成された前記ドプラ画像をそれぞれ圧縮処理し、
前記無線通信回路は、前記圧縮処理部により圧縮処理された前記Bモード画像および前記ドプラ画像を無線送信する請求項2に記載の音響波プローブ。
【請求項4】
前記ドプラ画像生成部は、前記基板上に配置されている請求項3に記載の音響波プローブ。
【請求項5】
前記プローブ制御部は、前記処理周波数F1を前記速度レンジの上限値または下限値の2倍に設定する請求項1~4のいずれか一項に記載の音響波プローブ。
【請求項6】
前記送信回路による前記音響波の送信および前記受信回路による前記音響波エコーの受信を制御する音響波送受信制御部を備える請求項1~5のいずれか一項に記載の音響波プローブ。
【請求項7】
バッテリと、
前記バッテリからの電源電力を前記音響波プローブ内に供給する電源回路を備える請求項6に記載の音響波プローブ。
【請求項8】
前記音響波送受信制御部は、前記基板上に配置されている請求項6に記載の音響波プローブ。
【請求項9】
前記電源回路は、前記基板上に配置されている請求項7に記載の音響波プローブ。
【請求項10】
前記無線通信回路は、前記基板上に配置されている請求項1~9のいずれか一項に記載の音響波プローブ。
【請求項11】
前記情報端末に有線接続するための有線接続端子を備える請求項1~10のいずれか一項に記載の音響波プローブ。
【請求項12】
前記ドプラ処理部は、連続波ドプラデータまたはパルスドプラデータを生成する請求項1~11のいずれか一項に記載の音響波プローブ。
【請求項13】
情報端末に無線接続され且つプローブ制御部を備え、少なくとも受信回路とドプラ処理部とドプラ画像生成部と圧縮処理部とが同一の基板上に配置されている音響波プローブの制御方法であって、
振動子アレイから音響波を送信し、
前記受信回路に、音響波エコーを受信した前記振動子アレイにより取得されるアナログの受信信号をデジタル変換した後に受信フォーカス処理を施すことにより音線信号を生成させ、
前記ドプラ処理部に、生成された前記音線信号に基づいてドプラ処理を行うことによりドプラデータを生成させ、
前記ドプラ画像生成部に、生成された前記ドプラデータに基づいてドプラ画像を生成させ、
前記ドプラ画像生成部に、生成された前記ドプラ画像を圧縮処理させ、
圧縮処理された前記ドプラ画像を前記情報端末に無線送信し、
前記プローブ制御部に、ユーザの指示により設定された前記ドプラ画像における速度レンジに基づいて、前記ドプラ処理の処理周波数F1を自動的に決定し、
前記ドプラ処理の前記処理周波数F1の2倍よりも大きい周波数となるように前記圧縮処理の処理周波数F2を設定する
音響波プローブの制御方法。
【請求項14】
情報端末に無線接続され且つプローブ制御部を備え、少なくとも受信回路とドプラ処理部とBモード画像生成部と圧縮処理部とが同一の基板上に配置されている音響波プローブの制御方法であって、
振動子アレイから音響波を送信する送信回路と、
前記受信回路に、音響波エコーを受信した前記振動子アレイにより取得されるアナログの受信信号をデジタル変換した後に受信フォーカス処理を施すことにより音線信号を生成させ、
前記ドプラ処理部に、生成された前記音線信号に基づいてドプラ処理を行うことによりドプラデータを生成させ、
前記Bモード画像生成部に、生成された前記音線信号に基づいてBモード画像を生成させ、
前記圧縮処理部に、生成された前記Bモード画像を圧縮処理させ、
生成された前記ドプラデータおよび圧縮処理された前記Bモード画像を前記情報端末に無線送信し、
前記プローブ制御部に、ユーザの指示により設定された前記ドプラ画像における速度レンジに基づいて、前記ドプラ処理の処理周波数F1を自動的に決定し、
前記ドプラ処理の前記処理周波数F1の2倍よりも大きい周波数となるように前記圧縮処理の処理周波数F2を設定する
音響波プローブの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報端末に無線接続された音響波プローブおよび音響波プローブの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療分野において、超音波画像等の音響波画像を利用した音響波診断装置が実用化されている。一般に、音響波診断装置は、振動子アレイを内蔵した音響波プローブと、この音響波プローブに接続された装置本体とを有しており、音響波プローブから被検体に向けて超音波等の音響波を送信し、被検体からの音響波エコーを音響波プローブで受信し、その受信信号を装置本体で電気的に処理することにより音響波画像が生成される。
【0003】
このようにして生成される音響波画像として、いわゆるBモード画像、および、パワードプラ画像、連続波ドプラ画像等のドプラ画像等、種々の形式の画像が知られている。このような種々の形式の音響波画像のうち、一般的に、ドプラ画像が生成される際に用いられる受信信号は、微小な信号であるため、例えば、音響波プローブ内に配置された各種の回路からのノイズの影響を受けやすく、ドプラ画像において、ノイズに起因する波形がドプラ波形に重なるように描出されてしまうことがあった。
【0004】
ドプラ画像におけるノイズの影響を低減するために、例えば、特許文献1に開示されるような超音波診断装置が開発されている。特許文献1の超音波診断装置は、いわゆるパルス幅制御の方法により画面の明るさが制御されるモニタを備えており、ドプラ画像により表される移動体の速度情報のモニタにおける表示範囲が、ドプラ画像により表される移動体の速度情報に関するモニタ上の表示範囲が一定の範囲以上である場合に、モニタに供給される電圧パルスの周波数を低下させることにより、モニタに供給される電圧パルスに起因するノイズの影響を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-159089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般的に、装置本体と音響波プローブとが無線通信により互いに接続される音響波診断装置が知られている。このような音響波診断装置において音響波画像を生成および表示する場合には、例えば、音響波プローブにおいて撮影された音響波画像を装置本体に無線送信することが想定されるが、音響波プローブにより撮影された音響波画像を装置本体のモニタにおいてリアルタイムに表示させるためには、いわゆるJPEG(Joint Photographic Experts Group)等の形式により音響波画像を画像圧縮して、その情報量を削減することが望ましい。
【0007】
しかしながら、診断装置本体と無線通信により接続される音響波プローブにおいて、例えば、振動子アレイからの受信信号を処理する受信回路と、受信回路により生成された音線信号を処理してドプラデータを生成するドプラ処理部と、ドプラ画像またはBモード画像からなる音響波画像を生成する画像生成部と、音響波画像を圧縮処理する圧縮処理部が同一の基板上に配置されている場合には、アナログ信号である受信信号、デジタル信号である音線信号もしくはドプラデータ等が圧縮処理部の動作に起因するノイズの影響を受けることにより、ドプラデータに基づいて生成されるドプラ画像においてノイズに起因する波形がドプラ波形に重なるように描出されてしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたものであり、受信回路、ドプラ処理部および圧縮処理部が少なくとも同一の基板上に配置されている場合であっても、ドプラ画像における圧縮処理部の動作に起因するノイズの影響を抑制することができる音響波プローブおよび音響波プローブの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る第1の音響波プローブは、情報端末に無線接続された音響波プローブであって、振動子アレイと、振動子アレイから音響波を送信する送信回路と、音響波エコーを受信した振動子アレイにより取得されるアナログの受信信号をデジタル変換した後に受信フォーカス処理を施すことにより音線信号を生成する受信回路と、受信回路により生成された音線信号に基づいてドプラ処理を行うことによりドプラデータを生成するドプラ処理部と、ドプラ処理部により生成されたドプラデータに基づいてドプラ画像を生成するドプラ画像生成部と、ドプラ画像生成部により生成されたドプラ画像を圧縮処理する圧縮処理部と、圧縮処理部により圧縮処理されたドプラ画像を情報端末に無線送信する無線通信回路と、ユーザの指示により設定されたドプラ画像における速度レンジに基づいて、ドプラ処理部におけるドプラ処理の処理周波数F1を自動的に決定するプローブ制御部と、ドプラ処理部におけるドプラ処理の処理周波数F1の2倍よりも大きい周波数となるように圧縮処理部における圧縮処理の処理周波数F2を設定する処理周波数設定部とを備え、少なくとも受信回路とドプラ処理部とドプラ画像生成部と圧縮処理部とが同一の基板上に配置されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る第2の音響波プローブは、情報端末に無線接続された音響波プローブであって、振動子アレイと、振動子アレイから音響波を送信する送信回路と、音響波エコーを受信した振動子アレイにより取得されるアナログの受信信号をデジタル変換した後に受信フォーカス処理を施すことにより音線信号を生成する受信回路と、受信回路により生成された音線信号に基づいてドプラ処理を行うことによりドプラデータを生成するドプラ処理部と、受信回路により生成された音線信号に基づいてBモード画像を生成するBモード画像生成部と、Bモード画像生成部により生成されたBモード画像を圧縮処理する圧縮処理部と、ドプラ処理部により生成されたドプラデータおよび圧縮処理部により圧縮処理されたBモード画像を情報端末に無線送信する無線通信回路と、ユーザの指示により設定されたドプラ画像における速度レンジに基づいて、ドプラ処理部におけるドプラ処理の処理周波数F1を自動的に決定するプローブ制御部と、ドプラ処理部におけるドプラ処理の処理周波数F1の2倍よりも大きい周波数となるように圧縮処理部における圧縮処理の処理周波数F2を設定する処理周波数設定部とを備え、少なくとも受信回路とドプラ処理部とBモード画像生成部と圧縮処理部とが同一の基板上に配置されていることを特徴とする。
【0011】
第2の音響波プローブは、ドプラ処理部により生成されたドプラデータに基づいてドプラ画像を生成するドプラ画像生成部を備え、圧縮処理部は、Bモード画像生成部により生成されたBモード画像とドプラ画像生成部により生成されたドプラ画像をそれぞれ圧縮処理し、無線通信回路は、圧縮処理部により圧縮処理されたBモード画像およびドプラ画像を無線送信することができる。
この際に、ドプラ画像生成部は、基板上に配置されていることが好ましい。
また、プローブ制御部は、処理周波数F1を速度レンジの上限値または下限値の2倍に設定することができる。
【0012】
第1および第2の音響波プローブは、送信回路による音響波の送信および受信回路による音響波エコーの受信を制御する音響波送受信制御部を備えることができる。
この際に、第1および第2の音響波プローブは、バッテリと、バッテリからの電源電力を音響波プローブ内に供給する電源回路を備えることができる。
もしくは、音響波送受信制御部は、基板上に配置されていることができる。
この際に、電源回路は、基板上に配置されていることが好ましい。
【0013】
また、無線通信回路は、基板上に配置されていることができる。
また、第1および第2の音響波プローブは、情報端末に有線接続するための有線接続端子を備えることができる。
また、ドプラ処理部は、連続波ドプラデータまたはパルスドプラデータを生成することができる。
【0014】
本発明の第1の音響波プローブの制御方法は、情報端末に無線接続され且つプローブ制御部を備え、少なくとも受信回路とドプラ処理部とドプラ画像生成部と圧縮処理部とが同一の基板上に配置されている音響波プローブの制御方法であって、振動子アレイから音響波を送信し、受信回路に、音響波エコーを受信した振動子アレイにより取得されるアナログの受信信号をデジタル変換した後に受信フォーカス処理を施すことにより音線信号を生成させ、ドプラ処理部に、生成された音線信号に基づいてドプラ処理を行うことによりドプラデータを生成させ、ドプラ画像生成部に、生成されたドプラデータに基づいてドプラ画像を生成させ、ドプラ画像生成部に、生成されたドプラ画像を圧縮処理させ、圧縮処理されたドプラ画像を情報端末に無線送信し、プローブ制御部に、ユーザの指示により設定されたドプラ画像における速度レンジに基づいて、ドプラ処理の処理周波数F1を自動的に決定し、ドプラ処理の処理周波数F1の2倍よりも大きい周波数となるように圧縮処理の処理周波数F2を設定することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の第2の音響波プローブの制御方法は、情報端末に無線接続され且つプローブ制御部を備え、少なくとも受信回路とドプラ処理部とBモード画像生成部と圧縮処理部とが同一の基板上に配置されている音響波プローブの制御方法であって、振動子アレイから音響波を送信する送信回路と、受信回路に、音響波エコーを受信した振動子アレイにより取得されるアナログの受信信号をデジタル変換した後に受信フォーカス処理を施すことにより音線信号を生成させ、ドプラ処理部に、生成された音線信号に基づいてドプラ処理を行うことによりドプラデータを生成させ、Bモード画像生成部に、生成された音線信号に基づいてBモード画像を生成させ、圧縮処理部に、生成されたBモード画像を圧縮処理させ、生成されたドプラデータおよび圧縮処理されたBモード画像を情報端末に無線送信し、プローブ制御部に、ユーザの指示により設定されたドプラ画像における速度レンジに基づいて、ドプラ処理の処理周波数F1を自動的に決定し、ドプラ処理の処理周波数F1の2倍よりも大きい周波数となるように圧縮処理の処理周波数F2を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、音響波プローブが、音響波エコーを受信した振動子アレイにより取得されるアナログの受信信号をデジタル変換した後に受信フォーカス処理を施すことにより音線信号を生成する受信回路と、受信回路により生成された音線信号に基づいてドプラ処理を行うことによりドプラデータを生成するドプラ処理部と、ドプラ処理部により生成されたドプラデータに基づいてドプラ画像を生成するドプラ画像生成部と、ドプラ画像生成部により生成されたドプラ画像を圧縮処理する圧縮処理部と、圧縮処理部により圧縮処理されたドプラ画像を情報端末に無線送信する無線通信回路と、ユーザの指示により設定されたドプラ画像における速度レンジに基づいて、ドプラ処理部におけるドプラ処理の処理周波数F1を自動的に決定するプローブ制御部と、ドプラ処理部におけるドプラ処理の処理周波数F1の2倍よりも大きい周波数となるように圧縮処理部における圧縮処理の処理周波数F2を設定する処理周波数設定部とを備えているため、少なくとも受信回路とドプラ処理部とドプラ画像生成部と圧縮処理部とが同一の基板上に配置されている場合であっても、ドプラ画像における圧縮処理部の動作に起因するノイズの影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態1における音響波診断装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態1における受信回路の内部構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態1におけるドプラ処理部の内部構成を示す図である。
図4】本発明の実施の形態1におけるドプラ画像の例を模式的に示す図である。
図5】本発明の実施の形態1における音響波診断装置の動作を示すフローチャートである。
図6】ノイズを含むドプラ画像の例を模式的に示す図である。
図7】本発明の実施の形態2における音響波診断装置の構成を示すブロック図である。
図8】本発明の実施の形態2におけるBモード画像生成部の内部構成を示すブロック図である。
図9】本発明の実施の形態3における音響波診断装置の構成を示すブロック図である。
図10】本発明の実施の形態4における音響波診断装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「同一」、「同じ」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。
【0019】
実施の形態1
図1に、本発明の実施の形態1における音響波診断装置1の構成を示す。音響波診断装置1は、超音波画像等の音響波画像を生成し且つ生成された音響波画像を表示するものであり、音響波プローブ2と情報端末3を備えている。音響波プローブ2と情報端末3とは、無線通信により互いに接続されている。また、音響波プローブ2は、例えば、いわゆる超音波プローブとすることができ、音響波診断装置1により、音響波画像として、いわゆるパルスドプラ画像または連続波ドプラ画像等のドプラ画像の生成および表示がなされる。また、情報端末3は、例えば、いわゆる据え置き型のパーソナルコンピュータ、タブレットと呼ばれる携帯型の薄型コンピュータ、スマートフォン等により構成されることができる。
【0020】
図1に示すように、音響波プローブ2は、振動子アレイ11を備えており、振動子アレイ11に送信回路12および受信回路13が接続されている。また、送信回路12および受信回路13に音響波送受信制御部14が接続されている。また、受信回路13に、ドプラ処理部15、ドプラ画像生成部16、圧縮処理部17および無線通信回路18が順次接続されている。また、ドプラ処理部15に処理周波数設定部19が接続され、処理周波数設定部19に圧縮処理部17が接続されている。また、無線通信回路18に、通信制御部20が接続されている。また、音響波送受信制御部14、ドプラ処理部15、ドプラ画像生成部16、圧縮処理部17および通信制御部20に、プローブ制御部21が接続されている。また、プローブ制御部21に、電源回路22が接続されており、電源回路22に、バッテリ23が接続されている。
【0021】
また、受信回路13、ドプラ処理部15、ドプラ画像生成部16および圧縮処理部17は、それぞれ、同一の基板24上に配置されている。また、音響波送受信制御部14、処理周波数設定部19、通信制御部20およびプローブ制御部21により、プローブ側プロセッサ25が構成されている。
【0022】
情報端末3は、無線通信回路31を備えており、無線通信回路31に、通信制御部32が接続されている。また、無線通信回路31に、画像解凍部33、表示制御部34およびモニタ35が順次接続されている。また、通信制御部32、画像解凍部33および表示制御部34に、端末制御部36が接続されている。また、端末制御部36に、入力装置37が接続されている。また、通信制御部32、画像解凍部33、表示制御部34および端末制御部36により、端末側プロセッサ38が構成されている。
【0023】
図1に示す音響波プローブ2の振動子アレイ11は、1次元または2次元に配列された複数の振動子を有している。これらの振動子は、それぞれ送信回路12から供給される駆動信号に従って超音波を送信すると共に、被検体からの超音波エコーを受信して、超音波エコーに基づく信号を出力する。各振動子は、例えば、PZT(Lead Zirconate Titanate:チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミック、PVDF(Poly Vinylidene Di Fluoride:ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電素子およびPMN-PT(Lead Magnesium Niobate-Lead Titanate:マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛固溶体)に代表される圧電単結晶等からなる圧電体の両端に電極を形成することにより構成される。
【0024】
音響波送受信制御部14は、送信回路12および受信回路13を制御することにより、プローブ制御部21から指示された検査モードおよび走査方式に基づいて、振動子アレイ11に、超音波ビームの送信および超音波エコーの受信を行わせる。ここで、検査モードは、PWモード(Pulsed Wave Doppler Mode:パルスドプラモード)およびCWモード(Continuous Wave Doppler Mode:連続波ドプラモード)を少なくとも含む他、Bモード(Brightness Mode:輝度モード)、CFモード(Color Flow Mode:カラーフローモード)等、音響波診断装置1において使用可能な検査モードが含まれ、走査方式は、例えば、電子セクタ走査方式、電子リニア走査方式、電子コンベックス走査方式等のいずれかを示すものとする。また、音響波送受信制御部14(若しくはプローブ制御部21)は、音響波送受信制御用基準クロックを送信回路12および受信回路13に対して送る。
【0025】
送信回路12は、例えば、複数のパルス発生器を含んでおり、音響波送受信制御部14からの制御信号に応じて選択された送信遅延パターンに基づいて、振動子アレイ11の複数の振動子から送信される超音波が超音波ビームを形成するようにそれぞれの駆動信号を、遅延量を調節して複数の振動子に供給する。このように、振動子アレイ11の振動子の電極にパルス状または連続波状の電圧が印加されると、圧電体が伸縮し、それぞれの振動子からパルス状または連続波状の超音波が発生して、それらの超音波の合成波から、超音波ビームが形成される。例えば、パルスドプラモードにおいて、送信回路12は、パルス繰り返し周波数PRF(Pulse Repetition Frequency)により、振動子アレイ11から超音波パルスを発生させる。パルス繰り返し周波数PRFとは、1秒間に送信される超音波パルスの数である。このパルス繰り返し周波数PRFは、例えば、情報端末3の入力装置37を介したユーザの入力操作に基づいて設定されることができる。
【0026】
振動子アレイ11から被検体内に送信された超音波ビームは、例えば、被検体の部位等の対象において反射され、音響波プローブ2の振動子アレイ11に向かって伝搬する。このように振動子アレイ11に向かって伝搬する超音波エコーは、振動子アレイ11を構成するそれぞれの振動子により受信される。この際に、振動子アレイ11を構成するそれぞれの振動子は、伝搬する超音波エコーを受信することにより伸縮して電気信号を発生させ、これらの電気信号を受信回路13に出力する。
【0027】
受信回路13は、音響波送受信制御部14からの制御信号に従い、振動子アレイ11から出力される信号の処理を行って、音線信号を生成する。図2に示すように、受信回路4は、増幅部41、AD(Analog Digital:アナログデジタル)変換部42およびビームフォーマ43が直列に接続された構成を有している。
【0028】
増幅部41は、振動子アレイ11を構成するそれぞれの振動子から入力された信号を増幅し、増幅した信号をAD変換部42に送信する。AD変換部42は、増幅部41から送信された信号をデジタルの受信データに変換し、これらの受信データをビームフォーマ43に送信する。ビームフォーマ43は、音響波送受信制御部14からの制御信号に応じて選択された受信遅延パターンに基づいて設定される音速または音速の分布に従い、AD変換部42により変換された各受信データに対してそれぞれの遅延を与えて加算することにより、いわゆる受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、AD変換部42で変換された各受信データが整相加算され且つ超音波エコーの焦点が絞り込まれた音線信号が取得される。
【0029】
ドプラ処理部15は、受信回路13により生成された音線信号を解析することにより、いわゆるドプラ偏移周波数を検出し、検出されたドプラ偏移周波数に基づいて被検体内の移動体の速度を表す、パルスドプラデータまたは連続波ドプラデータ等のドプラデータを生成するドプラ処理を行う。この際に、ドプラ処理部15により行われるドプラ処理の処理周波数をF1とする。ここで、被検体内の移動体の速度には、例えば、被検体の血管内の血流の速度または心臓の壁等の移動物の速度が含まれる。また、例えば、パルスドプラモードにおいてパルス繰り返し周波数PRFにより超音波パルスが被検体内に送信されている場合には、ドプラ処理の処理周波数F1は、パルス繰り返し周波数PRFに等しい。
【0030】
図3に示すように、ドプラ処理部15は、検波部44、ハイパスフィルタ45、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)回路46および速度変換回路47が直列に接続されることにより構成されている。
【0031】
検波部44は、受信回路13により生成された音線信号に基づいて、いわゆる複素ベースバンド信号を生成する。より具体的には、検波部44は、受信回路13で生成された音線信号に参照周波数のキャリア信号を混合することで音線信号を直交検波して、音線信号を複素ベースバンド信号に変換する。
【0032】
ハイパスフィルタ45は、いわゆるウォールフィルタ(Wall Filter)として機能するものであり、検波部44により生成された複素ベースバンド信号から、いわゆるクラッタ信号と呼ばれる、被検体の体内組織の運動に由来する低周波数成分の信号を除去する。
FFT回路46は、ハイパスフィルタ45により出力された複素ベースバンド信号に対してフーリエ変換を施すことにより、ドプラ偏移周波数に対するスペクトル信号を生成する。
【0033】
速度変換回路47は、FFT回路46により生成されたスペクトル信号におけるドプラ偏移周波数の情報を、被検体内の移動体の速度を表す情報に変換する。具体的には、速度変換回路47は、ドプラ偏移周波数をfd、振動子アレイ11により被検体内に送信される超音波の周波数をfs、音速をC(約1530m/s)、被検体内の移動体の速度をVとして、移動体の速度V=(C/2)×(fd/fs)の関係により、被検体内の移動体の速度を表す情報を算出することができる。ここで、被検体内に送信される超音波の周波数fsは、典型的には、約1MHz~10MHzとすることができる。
【0034】
ドプラ画像生成部16は、ドプラ処理部15により生成されたドプラデータに基づいて、いわゆるパルスドプラ画像または連続波ドプラ画像等のドプラ画像を生成する。より具体的には、被検体内の移動体の速度を表すドプラデータを時間軸上に揃えつつ各周波数成分の大きさを輝度で表すことにより、ドプラ画像信号を生成する。このようにして生成されたドプラ画像信号を、単に、ドプラ画像と呼ぶ。図4に示すように、ドプラ画像UDは、横軸に時間軸を示し、縦軸に被検体内の移動体の速度を示し、ドプラ波形WDの輝度が各周波数成分におけるパワーを示すものである。ドプラ画像UDにおける縦軸方向のドプラ波形WDの表示範囲すなわち速度レンジは、例えば、入力装置37を介したユーザの入力操作により調整されることができる。
【0035】
圧縮処理部17は、処理周波数F2に従って、ドプラ画像生成部16により生成されたドプラ画像UDを圧縮処理することにより、ドプラ画像UDの情報量を低減する。例えば、圧縮処理部17は、いわゆるJPEGの形式にドプラ画像UDを圧縮することができる。
【0036】
処理周波数設定部19は、ドプラ処理部15におけるドプラ処理の処理周波数F1の2倍よりも大きい周波数となるように、圧縮処理部17における圧縮処理の処理周波数F2を設定する。
【0037】
音響波プローブ2の無線通信回路18は、電波の送信および受信を行うためのアンテナを含んでおり、圧縮処理部17により圧縮処理がなされたドプラ画像UDに基づいてキャリアを変調して、圧縮処理がなされたドプラ画像UDを表す伝送信号を生成する。無線通信回路18は、このようにして生成された伝送信号をアンテナに供給してアンテナから電波を送信することにより、圧縮処理がなされたドプラ画像UDを情報端末3の無線通信回路31に対して順次無線送信する。キャリアの変調方式としては、ASK(Amplitude Shift Keying:振幅偏移変調)、PSK(Phase Shift Keying:位相偏移変調)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying:四位相偏移変調)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation:16直角位相振幅変調)等が用いられる。
【0038】
また、音響波プローブ2の無線通信回路18および情報端末3の無線通信回路31の間の無線通信は、5G(5th Generation:第5世代移動通信システム)、4G(4th Generation:第4世代移動通信システム)等の移動体通信に関する通信規格、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band:超広帯域無線システム)等の近距離無線通信に関する通信規格に従ってなされることができる。
【0039】
音響波プローブ2の通信制御部20は、プローブ制御部21により設定された送信電波強度でドプラ画像UDの送信が行われるように音響波プローブ2の無線通信回路18を制御する。また、通信制御部20は、情報端末3から無線送信される、音響波プローブ2を制御するためのプローブ制御情報の受信が行われるように音響波プローブ2の無線通信回路18を制御する。
【0040】
プローブ制御部21は、予め記憶されている制御プログラムおよび情報端末3の入力装置37を介したユーザの入力操作に基づいて、音響波プローブ2の各部の制御を行う。
バッテリ23は、音響波プローブ2に内蔵されており、音響波プローブ2の各回路に電力を供給する。
電源回路22は、いわゆる電源のスイッチングを行うものであり、プローブ制御部21の制御の下で、音響波プローブ2の各回路とバッテリ23との間を接続する、または、その接続を切断することにより、音響波プローブ2の電源をオン状態またはオフ状態にする。
【0041】
なお、音響波送受信制御部14、処理周波数設定部19、通信制御部20およびプローブ制御部21を有するプローブ側プロセッサ25は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、および、CPUに各種の処理を行わせるための制御プログラムから構成されるが、FPGA(Field Programmable Gate Array:フィードプログラマブルゲートアレイ)、DSP(Digital Signal Processor:デジタルシグナルプロセッサ)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:アプリケーションスペシフィックインテグレイテッドサーキット)、GPU(Graphics Processing Unit:グラフィックスプロセッシングユニット)、その他のIC(Integrated Circuit:集積回路)を用いて構成されてもよく、もしくはそれらを組み合わせて構成されてもよい。
【0042】
また、プローブ側プロセッサ25の音響波送受信制御部14、処理周波数設定部19、通信制御部20およびプローブ制御部21部分的にあるいは全体的に1つのCPU等に統合させて構成することもできる。
【0043】
情報端末3の無線通信回路31は、電波の送信および受信を行うためのアンテナを含んでおり、音響波プローブ2の無線通信回路18により無線送信された伝送信号を、アンテナを介して受信し、受信した伝送信号を復調することにより、ドプラ画像UDを出力する。また、無線通信回路31は、入力装置37を介してユーザにより入力されたプローブ制御情報に基づいてキャリアを変調して、プローブ制御情報を表す伝送信号を生成する。無線通信回路31は、生成された伝送信号を音響波プローブ2の無線通信回路18に無線送信する。この際のキャリアの変調方式は、ASK、PSK、QPSK、16QAM等が用いられる。
【0044】
情報端末3の通信制御部32は、端末制御部36により設定された送信電波強度および受信電波強度により情報端末3の無線通信回路31と音響波プローブ2の無線通信回路18との間でデータの送信および受信が行われるように、情報端末3の無線通信回路31を制御する。
【0045】
画像解凍部33は、情報端末3の無線通信回路31から送出されたドプラ画像UDを、圧縮処理部17により圧縮される前の形式に解凍する。
表示制御部34は、画像解凍部33から送出されたドプラ画像UDに対して所定の処理を施し、ドプラ画像UDをモニタ35に表示する。
モニタ35は、表示制御部34による制御の下、ドプラ画像UD等を表示するものであり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)、有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display)等のディスプレイ装置を含む。
【0046】
入力装置37は、ユーザが入力操作を行うためのものであり、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッドおよびタッチパネル等を備えて構成することができる。
端末制御部36は、予め記憶されている制御プログラムおよび入力装置37を介してユーザにより入力された情報端末制御情報に基づいて、情報端末3の各部の制御を行う。
【0047】
また、図示しないが、端末制御部36に、端末側格納部が接続されている。端末側格納部は、情報端末3の制御プログラム等を記憶している。端末側格納部としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive:ハードディスクドライブ)、SSD(Solid State Drive:ソリッドステートドライブ)、FD(Flexible Disc:フレキシブルディスク)、MOディスク(Magneto-Optical disc:光磁気ディスク)、MT(Magnetic Tape:磁気テープ)、RAM(Random Access Memory:ランダムアクセスメモリ)、CD(Compact Disc:コンパクトディスク)、DVD(Digital Versatile Disc:デジタルバーサタイルディスク)、SDカード(Secure Digital card:セキュアデジタルカード)、USBメモリ(Universal Serial Bus memory:ユニバーサルシリアルバスメモリ)等の記録メディア、またはサーバ等を用いることができる。
【0048】
なお、通信制御部32、画像解凍部33、表示制御部34および端末制御部36を有する端末側プロセッサ38は、CPU、および、CPUに各種の処理を行わせるための制御プログラムから構成されるが、FPGA、DSP、ASIC、GPU、その他のICを用いて構成されてもよく、もしくはそれらを組み合わせて構成されてもよい。
また、端末側プロセッサ38の通信制御部32、画像解凍部33、表示制御部34および端末制御部36は、部分的にあるいは全体的に1つのCPU等に統合させて構成することもできる。
【0049】
次に、図5に示すフローチャートを用いて、本発明の実施の形態1における音響波診断装置1の動作について説明する。説明のために、検査モードとしてパルスドプラモードが設定され、音響波画像としてドプラ画像UDが生成されるものとする。また、情報端末3のモニタ35には、ドプラ画像生成部16により生成された、被検体内の移動体の速度を表すドプラ画像UDが既に表示されているものとする。
【0050】
ステップS1において、入力装置37を介してユーザにより、振動子アレイ11から発生する超音波パルスのパルス繰り返し周波数PRFとドプラ画像UDにおける速度レンジが設定される。ここで、一般的に、ドプラ偏移周波数が、いわゆるナイキスト周波数と呼ばれるものに相当する、パルス繰り返し周波数PRFの1/2の周波数よりも大きい場合には、ドプラ画像UDにおいて、パルス繰り返し周波数PRFの1/2の周波数に相当する速度値を基準としてドプラ波形WDが折り返される、折り返し現象が発生することが知られている。
【0051】
そのため、ユーザは、ドプラ画像UD中のドプラ波形WDにおいて折り返し現象が発生しないように、パルス繰り返し周波数PRFをドプラ偏移周波数の最大値の2倍程度に設定することが望ましい。また、パルスドプラモードにおいては、パルス繰り返し周波数PRFがドプラ処理部15におけるドプラ処理の処理周波数F1に等しいため、ドプラ処理の処理周波数F1も、パルス繰り返し周波数PRFと同様に、ドプラ偏移周波数の最大値の2倍程度に設定される。
【0052】
また、ユーザは、モニタ35に表示されているドプラ画像UDを確認して、ドプラ画像UD内にドプラ波形WDが収まるように速度レンジを設定する。この際に、ドプラ画像UDにおいてドプラ波形WDが大きく表示されるように、速度レンジの上限値と下限値が、絶対値において、ドプラ偏移周波数の最大値に相当する速度値程度に設定されることが望ましい。
【0053】
このようにして、パルス繰り返し周波数PRFとドプラ画像UDにおける速度レンジが設定されると、ステップS2に進み、音響波プローブ2において音響波の送受信が行われる。この際に、ユーザにより、被検体の体表面上に音響波プローブ2が接触されて、音響波送受信制御部14の制御の下で、送信回路12からの駆動信号に従って、ステップS1で設定されたパルス繰り返し周波数PRFで振動子アレイ11の複数の振動子から超音波パルスが発生し、それらの合成波により、被検体内に超音波ビームが送信される。送信された超音波ビームに基づく超音波エコーは、各振動子により受信されて、アナログ信号である受信信号が生成される。
【0054】
ステップS3において、ステップS2で生成された受信信号が受信回路13の増幅部41に出力されて増幅され、AD変換部42でAD変換されて受信データが取得される。この受信データに対してビームフォーマ43により受信フォーカス処理が施されることにより、音線信号が生成される。
【0055】
続くステップS4においてドプラ処理部15は、ステップS1で設定されたパルス繰り返し周波数PRFすなわち処理周波数F1に従って、ステップS3で生成された音線信号に対してドプラ処理を施すことにより、被検体内の移動体の速度を表すドプラデータを生成する。この際に、ドプラ処理部15の検波部44は、ステップS3で生成された音線信号に直交検波処理を施すことにより複素ベースバンド信号を生成し、ハイパスフィルタ45は、生成された複素ベースバンド信号からクラッタ信号を除去し、FFT回路46は、ハイパスフィルタ45から出力された複素ベースバンド信号に対してフーリエ変換を施すことによりドプラ偏移周波数に対するスペクトル信号を生成する。
【0056】
また、速度変換回路47は、FFT回路46により得られたドプラ偏移周波数をfd、振動子アレイ11により被検体内に送信される超音波の周波数をfs、音速をC、被検体内の移動体の速度をVとして、移動体の速度V=(C/2)×(fd/fs)の関係により、被検体内の移動体の速度を表す情報であるドプラデータを算出する。
【0057】
ステップS5において、ドプラ画像生成部16は、ステップS4で生成されたドプラデータを時間軸上に揃えつつ各周波数成分の大きさを輝度で表すことにより、ドプラ画像UDを生成する。
【0058】
ここで、アナログ信号である受信信号、音響波送受信制御用基準クロック、デジタル信号である音線信号およびドプラデータ等は、微弱な信号であるため、受信回路13、ドプラ処理部15、ドプラ画像生成部16および圧縮処理部17が同一の基板24上に配置されている場合には、受信信号、音響波送受信制御用基準クロック、音線信号、ドプラデータ等は、圧縮処理部17の圧縮処理の動作に伴う基板24上に配置された各回路内の電圧の変動に起因するノイズの影響を受けやすい。そのため、実施の形態1の音響波診断装置1のように、音響波プローブと情報端末とが無線通信により互いに接続され、受信回路とドプラ処理部とドプラ画像生成部と圧縮処理部が同一の基板に配置されている音響波診断装置において、例えば図6に示すように、ドプラ画像UD中に、圧縮処理により発生したノイズに起因するノイズ波形WNが含まれてしまうことがあった。図6に示す例では、ドプラ画像UDにおける速度レンジは、-2(m/s)~2(m/s)であり、-2(m/s)~-1(m/s)の範囲および1(m/s)~2(m/s)の範囲にそれぞれノイズ波形WNが位置している。
【0059】
具体的には、例えば、ドプラ画像UDがいわゆるJPEGの形式に圧縮される場合に、8ピクセル×8ピクセルのブロック単位で圧縮処理がなされるため、超音波パルスの1回の送信に対応するドプラデータすなわちドプラ処理部における1回のドプラ処理により生成されるドプラデータが、8ライン分溜まるまで待ち圧縮処理を行い、再び8ライン分溜まるまで待つことの繰り返しを行うことになる。このため、圧縮処理の処理周波数F2は、ドプラ処理の処理周波数F1よりも低いものとなる。
【0060】
また、圧縮処理部による圧縮処理が行われている期間に圧縮処理以降の回路が一度に動作するため(圧縮処理の動作中無線通信回路へデータが引き渡される)、圧縮処理部が配置されている基板上のそれぞれの回路における電圧が変動するため、圧縮処理部による圧縮処理の周波数に起因したノイズが受信信号、音響波送受信制御用基準クロック、デジタル信号である音線信号およびドプラデータ等に含まれることとなる。超音波パルスのパルス繰り返し周波数PRF、すなわち、ドプラ処理部におけるドプラ処理の処理周波数F1は、ドプラ画像UD中のドプラ波形WDにおいて折り返し現象が発生することを防止するために、ドプラ偏移周波数の最大値の2倍程度に設定されることが望ましいが、例えばこの場合に、圧縮処理の処理周波数F2は、ドプラ処理の処理周波数F1よりも低いため、ドプラ画像UDにおいて、圧縮処理の処理周波数F2に起因するノイズ波形WNがドプラ波形WDに重なるように描出されてしまうことがあった。
【0061】
ステップS6において、処理周波数設定部19は、ステップS1で設定されたドプラ処理の処理周波数F1の2倍よりも大きい周波数となるように、圧縮処理部17における圧縮処理の処理周波数F2を設定する。本発明の実施の形態1に係る音響波プローブ2では、受信回路13、ドプラ処理部15、ドプラ画像生成部16および圧縮処理部17が同一の基板24上に配置されているが、このようにして圧縮処理の処理周波数F2を設定することにより、圧縮処理の処理周波数F2に起因するノイズの周波数をドプラ偏移周波数よりもはるかに高い周波数とすることができ、また、圧縮処理に起因するノイズに煩わされることなく、ドプラ画像UDを生成することができる。すなわち、ドプラ画像UDにおいて、圧縮処理の処理周波数F2に起因するノイズ波形WNをドプラ波形WDよりも高速度側(高周波側)に追い出して、ノイズ波形WNがドプラ波形WDに重ならないようにすることができる。さらに、ステップS1でドプラ画像UDにおける速度レンジの上限値と下限値が、絶対値において、ドプラ偏移周波数の最大値に相当する速度値程度に設定されている場合には、ドプラ画像UDに、ノイズ波形WNを描出させないことができる。
圧縮処理の処理周波数を実現する方法として、例えばJPEGであれば8×8のブロック単位で上記の8ライン待ち時間を分散して待たせることで周波数を高めることができる。
【0062】
ステップS7において、圧縮処理部17は、ステップS6で設定された処理周波数F2に従って、ステップS5で生成されたドプラ画像UDをJPEG等の形式に圧縮することにより、ドプラ画像UDの情報量を低減する。
ステップS8において、音響波プローブ2の無線通信回路18は、ステップS7で圧縮されたドプラ画像UDを情報端末3の無線通信回路31に無線送信する。一般的に、無線通信において、大きい情報量のデータを伝送する場合には、データの伝送に多大な時間を要してしまうが、ステップS7でドプラ画像UDが圧縮されることにより、その情報量が低減されているため、ドプラ画像UDの無線送信におけるタイムラグの発生を抑制することができる。
【0063】
ステップS9において、情報端末3の無線通信回路31は、音響波プローブ2の無線通信回路18から無線送信された、圧縮されたドプラ画像UDを受信する。
ステップS10において、画像解凍部33は、ステップS9で受信されたドプラ画像UDを、ステップS7で圧縮される前の形式に解凍する。
ステップS11において、表示制御部34は、ステップS10で解凍されたドプラ画像UDに対して所定の処理を施し、ドプラ画像UDをモニタ35に表示する。ここで、表示されるドプラ画像UDにおいては、ステップS7の圧縮処理に起因するノイズ波形NWがドプラ波形WDに重なっておらず、ドプラ画像UDに対する圧縮処理のノイズの影響が抑制されている。
【0064】
以上のように、本発明の実施の形態1に係る音響波プローブ2によれば、圧縮処理部17における圧縮処理の処理周波数F2が、ドプラ処理部15におけるドプラ処理の処理周波数F1の2倍よりも大きい周波数に設定されるため、受信回路13、ドプラ処理部15、ドプラ画像生成部16および圧縮処理部17が同一の基板24上に配置されている場合であっても、ドプラ画像生成部16により生成されるドプラ画像UDに対する、圧縮処理の処理周波数F2に起因するノイズの影響を抑制することができる。
【0065】
なお、受信回路13、ドプラ処理部15、ドプラ画像生成部16および圧縮処理部17は、同一の基板24上に配置されているが、受信回路13、ドプラ処理部15、ドプラ画像生成部16および圧縮処理部17の他に、音響波送受信制御部14、無線通信回路18、処理周波数設定部19、無線通信回路18および電源回路22が基板24上に配置されることもできる。この場合であっても、ドプラ画像生成部16により生成されるドプラ画像UDに対する、圧縮処理の処理周波数F2に起因するノイズの影響を抑制することができる。
【0066】
また、超音波パルスのパルス繰り返し周波数PRFと、ドプラ画像UDにおける速度レンジが、それぞれ、入力装置37を介したユーザの入力操作により設定されることが説明されているが、例えば、設定された速度レンジに基づいて、パルス繰り返し周波数PRFが自動的に設定されることもできる。ドプラ画像UD中のドプラ波形WDに対する折り返し現象を防止するために、パルス繰り返し周波数PRFは、ドプラ偏移周波数の2倍程度に設定されることが望ましく、また、圧縮処理部17における圧縮処理の処理周波数F2に起因するノイズ波形WNをドプラ画像UDに描出させないために、ドプラ画像UDの速度レンジの上限値および下限値は、絶対値において、ドプラ偏移周波数に相当する速度値程度に設定されることが望ましいため、例えば、パルス繰り返し周波数PRFは、設定された速度レンジの上限値および下限値に相当する周波数の2倍程度に設定されることができる。これにより、パルス繰り返し周波数PRFを設定するユーザの手間が軽減され、ドプラ画像UDにおいて、容易に、圧縮処理の処理周波数F2に起因するノイズ波形WNを描出させないことができる。
【0067】
また、パルスドプラモードにおいてドプラ画像UDが生成されることが説明されているが、いわゆる連続波ドプラモードにおいてドプラ画像UDが生成されることもできる。この場合には、例えば、ドプラ処理部15に予め設定されているサンプリング周波数、または、入力装置37を介してユーザにより設定されたサンプリング周波数をドプラ処理の処理周波数F1とすることができる。このようにして設定されるサンプリング周波数は、ドプラ画像UD中のドプラ波形WDに対する折り返し現象の発生を防止するために、ドプラ偏移周波数の最大値の2倍程度に設定されることが望ましい。このように、検査モードとして連続波ドプラモードが設定される場合であっても、圧縮処理の処理周波数F2がドプラ処理の処理周波数F1の2倍よりも大きい周波数に設定されるため、ドプラ画像生成部16により生成されるドプラ画像UDに対する、圧縮処理の処理周波数F2に起因するノイズの影響を抑制することができる。
【0068】
また、音響波プローブ2が、音響波として超音波を発することが説明されているが、音響波の種類は超音波に限定されない。例えば、音響波は可聴領域の音波であってもよい。
また、例えば、音響波プローブ2にレーザ光源を備え、被検体内にレーザ光を照射し、レーザ光が照射された被検体内の組織の振動に起因する光音響波を用いることにより、音響波画像として、いわゆるレーザドプラ画像が生成されることもできる。このように、音響波画像としてレーザドプラ画像が生成される場合であっても、本発明の音響波プローブ2によれば、レーザドプラ画像に対する、圧縮処理の処理周波数F2に起因するノイズの影響を抑制することができる。
【0069】
実施の形態2
実施の形態1では、受信回路13、ドプラ処理部15、ドプラ画像生成部16および圧縮処理部17が同一の基板24上に配置されている場合に、ドプラ画像UDに対する圧縮処理部17の圧縮処理が、ドプラ画像UDにノイズが含まれる要因となることが説明されているが、同一の基板24上において、ドプラ画像UD以外のBモード画像等の圧縮処理が行われることもドプラ画像UDにノイズが含まれる要因となる。
【0070】
図7に示すように、本発明の実施の形態2における音響波診断装置1Aは、図1に示す実施の形態1における音響波診断装置1において、音響波プローブ2の代わりに音響波プローブ2Aが備えられ、情報端末3の代わりに情報端末3Aが備えられたものである。
【0071】
実施の形態2に係る音響波プローブ2Aは、実施の形態1に係る音響波プローブ2において、ドプラ画像生成部16が除かれ、Bモード画像生成部51が追加され、プローブ制御部21の代わりにプローブ制御部21Aが備えられ、基板24の代わりに基板24Aが備えられ、プローブ側プロセッサ25の代わりにプローブ側プロセッサ25Aが備えられたものである。
【0072】
音響波プローブ2Aにおいて、受信回路13にドプラ処理部15およびBモード画像生成部51が接続され、Bモード画像生成部51に、圧縮処理部17および無線通信回路18が順次接続されている。また、Bモード画像生成部51には、プローブ制御部21Aが接続されている。また、ドプラ処理部15に、無線通信回路18と処理周波数設定部19が接続されている。また、受信回路13、ドプラ処理部15、圧縮処理部17およびBモード画像生成部51は、同一の基板24A上に配置されている。
【0073】
また、実施の形態2における情報端末3Aは、実施の形態1における情報端末3において、ドプラ画像生成部52が追加され、端末制御部36の代わりに端末制御部36Aが備えられ、端末側プロセッサ38の代わりに端末側プロセッサ38Aが備えられたものである。ここで、ドプラ画像生成部52は、実施の形態1に係る音響波プローブ2のドプラ画像生成部16と同一である。
【0074】
情報端末3Aにおいて、無線通信回路31に画像解凍部33およびドプラ画像生成部52が接続され、画像解凍部33およびドプラ画像生成部52に表示制御部34が接続されている。また、ドプラ画像生成部52には、端末制御部36Aが接続されている。
【0075】
音響波プローブ2AのBモード画像生成部51は、受信回路13により生成された音線信号に基づいてBモード画像を生成するものであり、図8に示すように、信号処理部53、DSC(Digital Scan Converter:デジタルスキャンコンバータ)54および画像処理部55が順次接続された構成を有している。
信号処理部53は、受信回路13により生成された音線信号に対し、超音波の反射位置の深度に応じて距離による減衰の補正を施した後、包絡線検波処理を施すことにより、被検体内の組織に関する断層画像情報であるBモード画像信号を生成する。
【0076】
DSC54は、信号処理部53で生成されたBモード画像信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号に変換(ラスター変換)する。
画像処理部55は、DSC54から入力されるBモード画像信号に階調処理等の各種の必要な画像処理を施した後、Bモード画像信号を圧縮処理部17に送出する。このようにして生成されたBモード画像信号を、単に、Bモード画像と呼ぶ。
【0077】
ドプラ処理部15は、受信回路13により生成された音線信号に対して、処理周波数F1に従ってドプラ処理を施すことにより、ドプラデータを生成する。このようにして生成されたドプラデータは、無線通信回路18に送出される。
処理周波数設定部19は、圧縮処理部17における圧縮処理の処理周波数F2を、ドプラ処理部15におけるドプラ処理の処理周波数F1の2倍よりも大きい周波数に設定する。
【0078】
圧縮処理部17は、処理周波数設定部19により設定された処理周波数F2に従って、Bモード画像生成部51により生成されたBモード画像をJPEG等の形式に圧縮する。ここで、圧縮処理部17によりBモード画像の圧縮処理がなされる前後のタイミングで、基板24A上の各回路における電圧が変動するため、アナログ信号である受信信号、音響波送受信制御用基準クロック、デジタル信号である音線信号、ドプラデータ等において、圧縮処理に起因するノイズが含まれる。しかしながら、圧縮処理部17における圧縮処理の処理周波数F2は、ドプラ処理部15におけるドプラ処理の処理周波数F1の2倍よりも大きい周波数に設定されているため、Bモード画像の圧縮処理に起因するノイズの周波数は、ドプラ偏移周波数よりもはるかに大きい周波数となる。
【0079】
音響波プローブ2Aの無線通信回路18は、通信制御部20の制御の下で、ドプラ処理部15により生成されたドプラデータと、圧縮処理部17により圧縮されたBモード画像を情報端末3Aの無線通信回路31に無線送信する。
情報端末3Aの無線通信回路31は、通信制御部32の制御の下で、音響波プローブ2Aの無線通信回路18により無線送信されたドプラデータと圧縮されたBモード画像を受信する。また、情報端末3Aの無線通信回路31は、ドプラデータをドプラ画像生成部52に送出し、圧縮されたBモード画像を画像解凍部33に送出する。
【0080】
画像解凍部33は、情報端末3Aの無線通信回路31から送出されたBモード画像を、圧縮処理部17により圧縮される前の形式に解凍する。
ドプラ画像生成部52は、情報端末3Aの無線通信回路31から送出されたドプラデータに基づいて、ドプラ画像UDを生成する。情報端末3Aの無線通信回路31から送出されたドプラデータには、圧縮処理部17の圧縮処理の処理周波数F2に起因するノイズが含まれているが、このノイズの周波数は、ドプラ偏移周波数よりもはるかに大きい周波数であるため、ドプラ画像生成部52により生成されるドプラ画像UDにおいて、このノイズに起因するノイズ波形WNは、ドプラ波形WDよりも高速度側に位置し、ドプラ波形WDとは重ならない。また、ドプラ画像UDにおける速度レンジの上限値および下限値が、絶対値において、ドプラ偏移周波数の最大値程度に設定されている場合には、ドプラ画像UDにノイズ波形WNを含ませないことができる。
【0081】
表示制御部34は、画像解凍部33により解凍されたBモード画像とドプラ画像生成部52により生成されたドプラ画像UDに対して所定の処理を施して、Bモード画像とドプラ画像UDをモニタ35に表示させる。
【0082】
以上のように、本発明の実施の形態2に係る音響波プローブ2Aによれば、実施の形態1に係る音響波プローブ2と同様にして、処理周波数設定部19により、圧縮処理部17における圧縮処理の処理周波数F2が、ドプラ処理部15におけるドプラ処理の処理周波数F1の2倍よりも大きい周波数に設定されるため、受信回路13、ドプラ処理部15、圧縮処理部17およびBモード画像生成部51が同一の基板24A上に配置され、Bモード画像が圧縮される場合であっても、ドプラ画像UDに対する、圧縮処理の処理周波数F2に起因するノイズの影響を抑制することができる。
【0083】
実施の形態3
実施の形態1に係る音響波プローブ2では、ドプラ画像UDに対する圧縮処理がなされ、実施の形態2に係る音響波プローブ2Aでは、Bモード画像に対する圧縮処理がなされているが、ドプラ画像UDとBモード画像の双方に対して圧縮処理がなされることもできる。
図9に示すように、実施の形態3における音響波診断装置1Bは、図1に示す実施の形態1における音響波診断装置1において、音響波プローブ2の代わりに音響波プローブ2Bが備えられ、情報端末3の代わりに情報端末3Bが備えられたものである。
【0084】
実施の形態3に係る音響波プローブ2Bは、実施の形態1に係る音響波プローブ2において、Bモード画像生成部51が追加され、プローブ制御部21の代わりにプローブ制御部21Bが備えられ、基板24の代わりに基板24Bが備えられ、プローブ側プロセッサ25の代わりにプローブ側プロセッサ25Bが備えられたものである。
【0085】
音響波プローブ2Bにおいて、受信回路13に、ドプラ処理部15およびBモード画像生成部51が接続され、Bモード画像生成部51に、圧縮処理部17およびプローブ制御部21Bが接続されている。また、受信回路13、ドプラ処理部15、ドプラ画像生成部16、圧縮処理部17およびBモード画像生成部51は、同一の基板24B上に配置されている。
【0086】
実施の形態3における情報端末3Bは、実施の形態1における情報端末3において、端末制御部36の代わりに端末制御部36Bが備えられ、端末側プロセッサ38の代わりに端末側プロセッサ38Bが備えられたものである。
【0087】
音響波プローブ2BのBモード画像生成部51は、受信回路13により生成された音線信号に基づいてBモード画像を生成し、生成されたBモード画像を圧縮処理部17に送出する。
ドプラ処理部15は、処理周波数F1に従って、受信回路13により生成された音線信号に対してドプラ処理を施すことにより、ドプラデータを生成する。
ドプラ画像生成部16は、ドプラ処理部15により生成されたドプラデータに基づいてドプラ画像UDを生成する。
【0088】
処理周波数設定部19は、圧縮処理部17における圧縮処理の処理周波数F2を、ドプラ処理部15におけるドプラ処理の処理周波数F1よりも大きい周波数に設定する。
圧縮処理部17は、Bモード画像生成部51により生成されたBモード画像と、ドプラ画像生成部16により生成されたドプラ画像UDを、処理周波数設定部19により設定された処理周波数F2に従ってJPEG等の形式に圧縮する。そのため、ドプラ処理部15により生成されるドプラデータに含まれる、圧縮処理の処理周波数F2に起因するノイズの周波数は、ドプラ偏移周波数よりもはるかに大きい周波数となり、ドプラ画像生成部16により生成されるドプラ画像UDにおいて、ノイズに起因するノイズ波形WNは、ドプラ波形WDに重ならずに、ドプラ波形WDよりも高速度側に位置することとなる。また、ドプラ画像UDにおける速度レンジの上限値および下限値が、絶対値において、ドプラ偏移周波数の最大値程度に設定されている場合には、ドプラ画像UDにノイズ波形WNを含まないようにすることができる。
【0089】
音響波プローブ2Bの無線通信回路18は、圧縮処理部17により圧縮されたドプラ画像UDおよびBモード画像を、情報端末3Bの無線通信回路31に無線送信する。
情報端末3Bの無線通信回路31は、音響波プローブ2Bの無線通信回路18により無線送信された、圧縮されたドプラ画像UDおよびBモード画像を受信して、圧縮されたドプラ画像UDおよびBモード画像を画像解凍部33に送出する。
【0090】
画像解凍部33は、情報端末3Bの無線通信回路31から送出されたドプラ画像UDおよびBモード画像を、圧縮処理部17により圧縮される前の形式に解凍し、解凍されたドプラ画像UDおよびBモード画像を表示制御部34に送出する。
表示制御部34は、画像解凍部33から送出されたドプラ画像UDおよびBモード画像に対して所定の処理を施して、ドプラ画像UDおよびBモード画像をモニタ35に表示させる。
【0091】
以上のように、本発明の実施の形態3に係る音響波プローブ2Bによれば、実施の形態1に係る音響波プローブ2と同様にして、処理周波数設定部19により、圧縮処理部17における圧縮処理の処理周波数F2が、ドプラ処理部15におけるドプラ処理の処理周波数F1の2倍よりも大きい周波数に設定されるため、受信回路13、ドプラ処理部15、ドプラ画像生成部16、圧縮処理部17およびBモード画像生成部51が同一の基板24B上に配置されている場合であっても、ドプラ画像UDに対する、圧縮処理の処理周波数F2に起因するノイズの影響を抑制することができる。
【0092】
実施の形態4
実施の形態1における音響波診断装置1では、音響波プローブ2と情報端末3とは、無線通信により互いに接続されているが、さらに、有線通信が可能であってもよい。
図10に示すように、実施の形態4における音響波診断装置1Cは、図1に示す実施の形態1における音響波診断装置1において、音響波プローブ2の代わりに音響波プローブ2Cが備えられ、情報端末3の代わりに情報端末3Cが備えられたものである。
【0093】
実施の形態4に係る音響波プローブ2Cは、実施の形態1に係る音響波プローブ2において、有線接続端子T1が追加され、プローブ制御部21の代わりにプローブ制御部21Cが備えられ、プローブ側プロセッサ25の代わりにプローブ側プロセッサ25Cが備えられたものである。音響波プローブ2Cにおいて、圧縮処理部17に、有線接続端子T1が接続されている。
【0094】
実施の形態4における情報端末3Cは、実施の形態1における情報端末3において、有線接続端子T2が追加され、端末制御部36の代わりに端末制御部36Cが備えられ、端末側プロセッサ38の代わりに端末側プロセッサ38Cが備えられたものである。情報端末3Cにおいて、画像解凍部33に、有線接続端子T2が接続されている。
【0095】
音響波プローブ2Cの有線接続端子T1と情報端末3Cの有線接続端子T2とは、図示しないケーブル等により、互いに有線接続されることができる。このようにして、音響波プローブ2Cの有線接続端子T1と情報端末3Cの有線接続端子T2とが互いに有線接続されている状態においては、有線接続端子T1およびT2に接続されるケーブルにより、双方向のデータの伝送が可能である。例えば、音響波プローブ2Cの圧縮処理部17により圧縮されたドプラ画像UDが、有線接続端子T1およびT2に接続されるケーブルを介して情報端末3Cの画像解凍部33に伝送される。
【0096】
このようにして、音響波プローブ2Cと情報端末3Cが互いに有線接続されている場合であっても、本発明の実施の形態4に係る音響波プローブ2Cによれば、実施の形態1に係る音響波プローブ2と同様にして、処理周波数設定部19により、圧縮処理部17における圧縮処理の処理周波数F2が、ドプラ処理部15におけるドプラ処理の処理周波数F1の2倍よりも大きい周波数に設定されるため、ドプラ画像UDに対する、圧縮処理の処理周波数F2に起因するノイズの影響を抑制することができる。
【0097】
なお、実施の形態4の態様は、実施の形態1に適用されることが記載されているが、実施の形態2および実施の形態3に対しても、同様に適用されることができる。
【符号の説明】
【0098】
1,1A,1B,1C 音響波診断装置、2,2A,2B,2C 音響波プローブ、3,3A,3B,3C 情報端末、11 振動子アレイ、12 送信回路、13 受信回路、14 音響波送受信制御部、15 ドプラ処理部、16,52 ドプラ画像生成部、17 圧縮処理部、18,31 無線通信回路、20,32 通信制御部、21 プローブ制御部、22 電源回路、23 バッテリ、24,24A,24B,24C 基板、25,25A,25B,25C プローブ側プロセッサ、33 画像解凍部、34 表示制御部、35 モニタ、36,36A,36B,36C 端末制御部、37 入力装置、38,38A,38B,38C 端末側プロセッサ、41 増幅部、42 AD変換部、43 ビームフォーマ、44 検波部、45 ハイパスフィルタ、46 FFT回路、47 速度変換回路、51 Bモード画像生成部、53 信号処理部、54 DSC、55 画像処理部、T1,T2 有線接続端子、UD ドプラ画像、WD ドプラ波形、WN ノイズ波形。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10