(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189971
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】撮像素子
(51)【国際特許分類】
H04N 5/369 20110101AFI20221215BHJP
【FI】
H04N5/369
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175024
(22)【出願日】2022-10-31
(62)【分割の表示】P 2021119009の分割
【原出願日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2020135071
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021096751
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若嶋 駿一
(72)【発明者】
【氏名】岡本 康平
(57)【要約】
【課題】 焦点検出用位相差信号の瞳分割の方向を2種類としつつ、簡易な構成で飽和電荷量を拡大すること。
【解決手段】 複数のマイクロレンズそれぞれに対して、光が入射する面から第1の深さに構成され、互いに直交する第1の方向または第2の方向に並べられた、光電変換を行う一対の第1の領域と、第1の深さよりも深い第2の深さに構成され、第1の方向に並べられた一対の第2の領域と、一対の第1の領域と一対の第2の領域とをそれぞれ接続する複数の接続領域と、電荷を電圧に変換する変換手段と、一対の第2の領域にそれぞれ蓄積された電荷を変換手段に転送する転送手段と、を有する画像部を備える。転送手段から遠い第2の領域の第1の部分領域は、第1の部分領域よりも転送手段に近い第2の領域の第2の部分領域よりも、少なくとも、深さ方向の長さが短いか、または、不純物濃度が低いことを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマイクロレンズと、
前記複数のマイクロレンズそれぞれに対して、
光が入射する面から第1の深さに構成され、入射した光を光電変換して電荷を生成する一対の第1の領域と、
前記第1の深さよりも深い第2の深さに構成された一対の第2の領域と、
前記一対の第1の領域と前記一対の第2の領域とをそれぞれ接続する複数の接続領域と、
電荷を電圧に変換する変換手段と、
前記一対の第2の領域にそれぞれ接続された転送手段であって、前記一対の第1の領域により生成され、前記複数の接続領域を介して前記一対の第2の領域それぞれに蓄積された電荷を、前記変換手段に転送するための転送手段と、を有する画素部を備え、
前記各マイクロレンズに対する前記一対の第2の領域の並び方向は第1の方向であって、前記一対の第1の領域の並び方向は、前記第1の方向または前記第1の方向と直交する第2の方向であって、
前記転送手段から遠い前記第2の領域の第1の部分領域において、前記第1の部分領域よりも前記転送手段に近い前記第2の領域の第2の部分領域よりも、少なくとも、深さ方向の長さが短いか、または、不純物濃度が低い
ことを特徴とする撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光電変換部を有する画素部が2次元配列された撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置で行われる焦点検出方法の1つとして、撮像素子に形成された焦点検出用画素を用いて一対の瞳分割信号を取得し、位相差方式の焦点検出を行う、いわゆる撮像面位相差方式が知られている。
【0003】
このようなイメージセンサにおいて、特許文献1には、異なる波長域の可視光を光電変換するために、異なる深さに光電変換部を形成することで、位相差検出用信号の撮像用信号への混色を抑制することが開示されている。また、主に赤色光を光電変換する領域を深い部分に、また、主に青色光を光電変換する領域を浅い部分に構成し、各領域を互いに直交する方向に分割することで、1つの画素から2つの異なる方向に位相差を有する焦点検出信号を得ることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の撮像素子では、異なる深さに形成された光電変換部それぞれから信号を転送するための転送トランジスタを用いる構成か、または、異なる深さに形成された複数の光電変換部に兼用の縦型転送トランジスタを用いている。光電変換部それぞれに転送トランジスタを設けた場合、転送トランジスタの数が多くなって受光領域の面積が小さくなるため、製造コストがかかると共に光電変換部が蓄積可能な飽和電荷量が小さくなるという課題があった。また、縦型転送トランジスタを用いる場合、トランジスタを形成する工程が複雑であるため、撮像素子の製造コストがかかってしまうという課題があった。
【0006】
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、焦点検出用位相差信号の瞳分割の方向を2種類としつつ、簡易な構成で飽和電荷量を拡大することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の撮像素子は、複数のマイクロレンズと、前記複数のマイクロレンズそれぞれに対して、光が入射する面から第1の深さに構成され、入射した光を光電変換して電荷を生成する一対の第1の領域と、前記第1の深さよりも深い第2の深さに構成された一対の第2の領域と、前記一対の第1の領域と前記一対の第2の領域とをそれぞれ接続する複数の接続領域と、電荷を電圧に変換する変換手段と、前記一対の第2の領域にそれぞれ接続された転送手段であって、前記一対の第1の領域により生成され、前記複数の接続領域を介して前記一対の第2の領域それぞれに蓄積された電荷を、前記変換手段に転送するための転送手段と、を有する画素部を備え、前記各マイクロレンズに対する前記一対の第2の領域の並び方向は第1の方向であって、前記一対の第1の領域の並び方向は、前記第1の方向または前記第1の方向と直交する第2の方向であって、前記転送手段から遠い前記第2の領域の第1の部分領域において、前記第1の部分領域よりも前記転送手段に近い前記第2の領域の第2の部分領域よりも、少なくとも、深さ方向の長さが短いか、または、不純物濃度が低いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、焦点検出用位相差信号の瞳分割方向を2種類としつつ、簡易な構成で飽和電荷量を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態における撮像素子の全体構成を概略的に示す図。
【
図3】第1の実施形態における画素を構成する要素の基本的なレイアウトを示す模式図。
【
図4】
図3に示す画素の断面構造を概略的に示す断面図。
【
図5】
図4に示す画素の感度領域を z方向の深さ毎に平面視した平面図。
【
図6】
図3に示す画素の感度領域、N型接続領域が入る画素の断面構造を概略的に示す断面図。
【
図7】第1の実施形態における半導体領域の第1の配置を示す模式図。
【
図8】第1の実施形態における半導体領域の第2の配置を示す模式図。
【
図9】第1の実施形態における半導体領域の第3の配置を示す模式図。
【
図10】第1の実施形態における半導体領域の第4の配置を示す模式図。
【
図11】第1の実施形態における画素配列を4行×2列の範囲で概略的に示す図。
【
図12】変形例における画素配列を説明するための概略図。
【
図13】変形例における画素配列を2行×2列の範囲で概略的に示す図。
【
図14】変形例における画素配列を2行×2列の範囲で概略的に示す図。
【
図15】第2の実施形態における画素の等価回路図。
【
図16】第2の実施形態における半導体領域の第5の配置を示す模式図。
【
図17】第2の実施形態における半導体領域の第6の配置を示す模式図。
【
図18】第2の実施形態における半導体領域の第7の配置を示す模式図。
【
図19】第2の実施形態における画素配列を4行×4列の範囲で概略的に示す図。
【
図20】第3の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示すブロック図。
【
図21】第3の実施形態におけるx方向に分割された画素と部分瞳領域との関係を示す図。
【
図22】第3の実施形態における部分瞳領域の瞳強度分布の一例を示す概念図。
【
図23】第3の実施形態における撮像素子のセンサー入射瞳を説明する図。
【
図24】第3の実施形態における視差画像間の像ずれ量とデフォーカス量の概略関係を示す図。
【
図25】第3の実施形態における撮像素子のx方向の周辺像高に位置する画素における部分瞳領域と結像光学系の射出瞳との関係を示す図。
【
図26】第3の実施形態における
図25の各状態における射出瞳と瞳強度分布のx方向依存性の関係を示す図。
【
図27】第3の実施形態における画素の位置を示す図。
【
図28】第3の実施形態におけるy方向に分割された画素と部分瞳領域との関係を示す図。
【
図29】第3の実施形態における撮像素子のy方向の周辺像高に位置する画素における部分瞳領域と結像光学系の射出瞳との関係を示す図。
【
図30】第3の実施形態における
図29の各状態における射出瞳と瞳強度分布のy方向依存性の関係を示す図。
【
図31】第3の実施形態における撮像素子のx方向及びy方向の周辺像高に位置する画素における部分瞳領域と結像光学系の射出瞳との関係を示す図。
【
図32】第3の実施形態における第3の実施形態における
図31の各状態における射出瞳と瞳強度分布のx方向及びy方向依存性の関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る撮像素子100の全体構成を概略的に示す図である。撮像素子100は、画素アレイ部101(画素部)、垂直選択回路102、列回路103、水平選択回路104を含む。
【0012】
画素アレイ部101には、複数の画素105が行列状に配置されている。垂直選択回路102の出力が画素駆動配線群107を介して画素105に入力されることにより、垂直選択回路102により選択された行の画素105の画素信号が出力信号線106を介して列回路103に読み出される。出力信号線106は、各画素列毎もしくは複数の画素列毎に1つ、または各画素列毎に複数設けることが可能である。列回路103には複数の出力信号線106から並列に読み出された信号が入力され、信号の増幅やノイズ除去、A/D変換等の処理を行い、処理した信号を保持する。水平選択回路104が、列回路103に保持された信号を、順次、ランダム、または同時に選択することで、選択された信号が、不図示の水平出力線と出力部を介して撮像素子100の外に出力される。
【0013】
このように垂直選択回路102により選択した行の画素信号を撮像素子100の外に出力する動作を、垂直選択回路102で選択する行を変更しながら順次行うことで、撮像素子100から、2次元の撮像信号または焦点検出用信号を読み出すことができる。
【0014】
図2は、本実施形態の画素105の等価回路図である。
各画素105は、光電変換部である2つのフォトダイオード201(PDA)及び202(PDB)を有する。入射した光量に応じてPDA201により光電変換され、蓄積された信号電荷は、転送スイッチ(TXA)203を介して、電荷蓄積部を構成するフローティングディフュージョン部(FD)205に転送される。また、PDB202により光電変換され、蓄積された信号電荷は、転送スイッチ(TXB)204を介してFD205に転送される。リセットスイッチ(RES)206は、オンとなることで、FD205を定電圧源VDDの電圧にリセットする。また、RES206とTXA203及びTXB204を同時にオンとすることで、PDA201及びPDB202をリセットすることができる。
【0015】
画素を選択する選択スイッチ(SEL)207がONとなることで、増幅トランジスタ(SF)208は、FD205に蓄積された信号電荷を電圧に変換し、変換された信号電圧は画素から出力信号線106に出力される。また、TXA203、TXB204、RES206、SEL207のゲートは、それぞれ画素駆動配線群107と接続され、垂直選択回路102により制御される。
【0016】
なお、以下の説明において本実施形態では、光電変換部で蓄積する信号電荷を電子とし、光電変換部をN型半導体で形成し、P型半導体で分離するものとしているが、信号電荷を正孔とし、光電変換部をP型半導体で形成し、N型半導体で分離しても良い。
【0017】
続いて、上述した構成を有する画素において、PDA201及びPDB202をリセット後、所定の電荷蓄積時間が経過した後にPDA201及びPDB202から信号電荷を読み出す動作について説明する。まず、垂直選択回路102により選択された行のSEL207がオンとなり、SF208のソースと出力信号線106が接続されると、出力信号線106はFD205の電圧に対応する電圧が読み出される状態となる。続いて、RES206がオン/オフされ、FD205の電位がリセットされる。その後、FD205の電圧変動を受けた出力信号線106が静定するまで待機し、静定した出力信号線106の電圧を信号電圧Nとして列回路103で取り込み、信号処理を行って保持する。
【0018】
その後、TXA203がオン/オフされ、PDA201に蓄積されている信号電荷がFD205に転送される。FD205の電圧は、PDA201に蓄積していた信号電荷量に対応した分だけ低下する。その後、FD205の電圧変動を受けた出力信号線106が静定するまで待機し、静定した出力信号線106の電圧を信号電圧Aとして列回路103で取り込み、信号処理を行って保持する。
【0019】
その後、TXB204がオン/オフされ、PDB202に蓄積されている信号電荷がFD205に転送される。FD205の電圧は、PDB202に蓄積していた信号電荷量に対応した分だけ低下する。その後、FD205の電圧変動を受けた出力信号線106が静定するまで待機し、静定した出力信号線106の電圧を信号電圧(A+B)として列回路103で取り込み、信号処理を行って保持する。
【0020】
このようにして取り込んだ信号電圧Nと信号電圧Aとの差分から、PDA201に蓄積されていた信号電荷量に応じた信号Aを得ることができる。また、信号電圧Aと信号電圧(A+B)との差分から、PDB202に蓄積していた信号電荷量に応じた信号Bを得ることができる。この差分計算は、列回路103で行っても良いし、撮像素子100から出力した後に行っても良い。信号Aと信号Bをそれぞれ用いることで位相差信号を得ることができ、信号Aと信号Bを足し合わせることで撮像信号を得ることができる。または、差分計算を撮像素子100から出力した後に行う場合、信号電圧Nと信号電圧(A+B)との差分を取ることで、撮像信号を得るようにしてもよい。
【0021】
●画素の基本的な構成
次に、
図3~
図6を参照して、本実施形態における画素105の基本的な構成について詳細に説明する。
【0022】
図3は、本実施形態に係る画素105を構成する要素の基本的なレイアウトを示す模式図である。
図3において、紙面横方向がx方向、紙面上方向がy方向、紙面に対して手前に向かう方向がz方向である。また、本実施形態において、「平面視」とは半導体基板のトランジスタのゲートが配されている側の面と概平行な面(xy平面)に対してz方向または-z方向から視ることを指す。また、本実施形態において、「横」方向はx方向を指し、「縦」方向はy方向を指し、「深さ」方向はz方向を指す。
【0023】
なお、
図3において、
図1及び
図2と同じ構成には同じ参照番号を付しており、詳細説明は省略する。
図3において、301はマイクロレンズ(ML)、303はTXA203のゲート電極、304はTXB204のゲート電極、306はRES206のゲート電極、307はSEL207のゲート電極、308はSF208のゲート電極、310は電圧供給線である。
【0024】
PDA201は、蓄積領域311及び感度領域313、N型接続領域315を含み、PDB202は、蓄積領域312及び感度領域314、N型接続領域316を含む。これら蓄積領域311及び312、感度領域313及び314、N型接続領域315及び316は、N型半導体で構成される。感度領域313、314は、蓄積領域311、312よりも面積が大きい。また、
図4を参照して詳細に後述するが、蓄積領域311、312は第1の深さに構成され、感度領域313、314は、第1の深さと異なる第2の深さに構成されている。また、説明を分かり易くするために、主に、入射する光に応じて電荷が発生する領域を「感度領域」、また、主に、発生した電荷を蓄積する領域を「蓄積領域」と呼称しているが、電荷の発生領域と蓄積領域に明確な区分は無い。蓄積領域311及び312においても、到達した光に応じて電荷が発生し、また、感度領域313及び314においても、発生した電荷の一部が滞留する。
【0025】
図4は、画素105の基本的な断面構造を概略的に示す図である。
図4(a)は、
図3のA-A’断面の模式図、
図4(b)は、
図3のB-B’断面の模式図、
図4(c)は、
図3のC-C’断面の模式図である。本実施形態の画素105は半導体基板401に配されており、半導体基板401は第1面と、第1面に対向する第2面とを有する。第1面は半導体基板401の表面であり、第2面は半導体基板401の裏面である。第2面から第1面へ向かう方向をZ方向の正方向とする。半導体基板401の第1面(表面)側には、トランジスタのゲート電極、多層配線構造等が配される。また、半導体基板401の第2面(裏面)側には、各画素の2つのフォトダイオードをまとめて覆うカラーフィルタ406、ML301等の光学構造等が配され、光は第2面(裏面)側から入射する。
【0026】
図4(a)に示すように、半導体基板401には、P型半導体領域400と、P型半導体領域400に囲われた、蓄積領域311及び312と、感度領域313及び314が配されている。蓄積領域311と感度領域313、蓄積領域312と感度領域314は、それぞれ平面視で異なる形状を有し、かつ一部が平面視で重なっている。また、上述したように、蓄積領域311及び312と、感度領域313及び314とは深さ方向に異なる位置に配されており、蓄積領域311及び312が第1面側(第1の深さ)、感度領域313及び314が第2面側(第2の深さ)に配されている。P型半導体領域400の内、蓄積分離領域402は、蓄積領域311と蓄積領域312を分離し、感度分離領域403は、感度領域313と感度領域314を分離する。
【0027】
図4(b)に示すように、蓄積領域311と感度領域313は、N型接続領域315を介して深さ方向に接続されている。また、
図4(c)に示されているように、蓄積領域312と感度領域314は、N型接続領域316を介して深さ方向に接続されている。
【0028】
また、
図4(b)中、領域404は、蓄積領域311において、P型半導体によってZ方向に窪んだ形状となっており、この窪み領域404により、蓄積領域311の第1面側の、N型接続領域315と平面視で重なる領域に電荷だまりが発生することを抑制している。これにより、PDA201中の蓄積領域311中に蓄積した信号電荷をFD205へ転送する際に、信号電荷の転送残りの発生を抑制している。なお、信号電荷の転送残りの発生を抑制できるのであれば、窪み領域404に限られず、蓄積領域311の一部分の不純物濃度を低くする等の別の方法を用いても良い。
【0029】
また、
図4(c)に示すように、蓄積領域311及び312のZ方向の長さは、
図4(a)及び
図4(b)で示された断面における蓄積領域311及び312のZ方向の長さより短くなっており、短くなった分の領域405は、P型半導体により形成される。このように長さを変える理由については、詳細に後述する。
【0030】
図5は、PDA201及びPDB202のZ方向の深さ毎のXY断面図である。
図5(a)は、
図4のE-E’断面図、
図5(b)は
図4のF-F’断面図、
図5(c)は
図4のG-G’断面図、
図5(d)は
図4のH-H’断面図である。
図5(d)に示すように、ゲート電極303及び304より離れた場所にある蓄積領域311及び312の部分領域では、
図4(c)を参照して説明したように、蓄積領域311及び312が無くなり、P型半導体の切り欠き領域405に代わっている。
【0031】
図6は、
図3のD-D’で示す断面概略図である。蓄積領域311及び312、感度領域313及び314、N型接続領域315及び316が同一図に入るように、xy平面について
図3中のD-D’の折れ線に沿って展開して示している。蓄積期間中、ML301を介して半導体基板401の第2面に光が入射すると、光電変換によって、主に感度領域313及び314で電子(信号電荷)が発生する。感度領域313で発生した信号電荷の大部分は、N型接続領域315を介して蓄積領域311に移動し、蓄積される。また、感度領域314で発生した信号電荷の大部分は、N型接続領域316を介して蓄積領域312に移動して蓄積される。感度領域から蓄積領域への信号電荷移動を実現するため、感度領域から蓄積領域への電荷の移動経路上では、電子が受けるポテンシャルが単調に減少していることが望ましい。
【0032】
●蓄積領域と感度領域の配置例
蓄積領域と感度領域は、異なる深さに配置されているため、蓄積領域と感度領域が延在する方向を異ならせることができる。以下、
図7~
図10を参照して蓄積領域と感度領域の配置例について説明する。なお、上述した
図3及び
図4に示す構成と同じ機能を持つ構成には、同じ参照番号を付している。
【0033】
図7は、本実施形態に係る半導体領域の第1の配置を示す模式図である。なお、以下の説明では、第1の配置を有する画素105を、画素700と呼ぶ。
図7(a)は、画素700における、蓄積領域311、312、感度領域313、314、N型接続領域315、316、TXA203のゲート電極303、TXB204のゲート電極304、FD205の分解斜視図である。第1の配置では、蓄積領域311、312と感度領域313、314は、いずれもy方向、すなわち同じ方向に延在している。
【0034】
図7(b)は、画素700における、蓄積領域311、312、感度領域313、314、N型接続領域315、316、TXA203のゲート電極303、TXB204のゲート電極304、FD205の平面視における位置関係を示す平面模式図である。第1の配置では、光電変換により電荷が生成される感度領域313、314がx方向に並んでいることから、瞳分割方向がx方向の位相差信号を取得することができる。701は、位相差信号の分割方向を示している。
【0035】
図7(c)は、画素700における、蓄積分離領域402と感度分離領域403の平面視における位置関係を示す平面模式図である。第1の配置では、蓄積分離領域402と感度分離領域403はいずれもy方向に延在している。
【0036】
図8は、本実施形態に係る半導体領域の第2の配置を示す模式図である。なお、以下の説明では、第2の配置を有する画素105を、画素800と呼ぶ。
図8(a)は、画素800における、蓄積領域311、312、感度領域313、314、N型接続領域315、316、TXA203のゲート電極303、TXB204のゲート電極304、FD205の分解斜視図である。第2の配置では、蓄積領域311、312はy方向に延在し、感度領域313、314はx方向に延在しており、平面視において直交する方向、すなわち異なる方向に延在している。
【0037】
図8(b)は、画素800における、蓄積領域311、312、感度領域313、314、N型接続領域315、316、TXA203のゲート電極303、TXB204のゲート電極304、FD205の平面視における位置関係を示す平面模式図である。第2の配置では、光電変換により電荷が生成される感度領域313、314がy方向に並んでいることから、瞳分割方向がy方向の位相差信号を取得することができる。801は、位相差信号の分離方向を示している。
【0038】
図8(c)は、画素800における、蓄積分離領域402と感度分離領域403の平面視における位置関係を示す平面模式図である。第2の配置では、蓄積分離領域402はy方向に延在しており、感度分離領域403はx方向に延在している。
【0039】
このように、感度領域313及び314の並び方向と、蓄積領域311及び312の並び方向と直交している場合、感度分離領域403は、蓄積領域311及び312と平面視において重なる。この感度分離領域403と平面視において重なる蓄積領域311と蓄積領域312の領域では、感度分離領域403形成用のP型不純物の注入の影響により、N型濃度が薄くなってしまう。そのため、蓄積領域311及び312の、TXA203のゲート電極303及びTXB204のゲート電極304から離れた場所において、Z方向の長さを短くすることにより、N型濃度の薄い領域による信号電荷の転送残りの発生を抑制している。なお、信号電荷の転送残りの発生を抑制できれば、蓄積領域311及び312の一部の不純物濃度を低くする等の別の方法を用いても良い。
【0040】
図9は、本実施形態に係る半導体領域の第3の配置を示す模式図である。なお、以下の説明では、第3の配置を有する画素105を、画素900と呼ぶ。第3の配置は、
図7に示す第1の配置と比較して、窪み領域404の位置とN型接続領域315、316の位置が異なっている。
【0041】
図9(a)は、画素900における、蓄積領域311、312、感度領域313、314、N型接続領域315、316、TXA203のゲート電極303、TXB204のゲート電極304、FD205の分解斜視図である。第3の配置では、第1の配置と同様、蓄積領域311、312と感度領域313、314は、いずれも同じ方向(y方向)に延在している。
【0042】
図9(b)は、画素900における、蓄積領域311、312、感度領域313、314、N型接続領域315、316、TXA203のゲート電極303、TXB204のゲート電極304、FD205の平面視における位置関係を示す平面模式図である。第3の配置では、第1の配置と同様、感度領域313、314がx方向に並んでいることから、瞳分割方向がx方向の位相差信号を取得することができる。901は、位相差信号の分割方向を示している。
【0043】
図9(c)は、画素900における、蓄積分離領域402と感度分離領域403の平面視における位置関係を示す平面模式図である。第3の配置では、第1の配置と同様、蓄積分離領域402と感度分離領域403はいずれもy方向に延在している。
【0044】
図10は、本実施形態に係る半導体領域の第4の配置を示す模式図である。なお、以下の説明では、第4の配置を有する画素105を、画素1000と呼ぶ。第4の配置は、
図8に示す第2の配置と比較して、P型の窪み領域404の位置とN型接続領域315、316の位置が異なっており、それに伴い蓄積領域311、312に接続される感度領域313、314が異なっている。
【0045】
図10(a)は、画素1000における、蓄積領域311、312、感度領域313、314、N型接続領域315、316、TXA203のゲート電極303、TXB204のゲート電極304、FD205の配置を示す分解斜視図である。第4の配置では、第2の配置と同様、蓄積領域311、312はy方向に延在し、感度領域313、314はx方向に延在しており、平面視において直交している。
【0046】
図10(b)は、画素1000における、蓄積領域311、312、感度領域313、314、N型接続領域315、316、TXA203のゲート電極303、TXB204のゲート電極304、FD205の平面視における位置関係を示す平面模式図である。第4の配置では、第2の配置と同様、感度領域313、314がy方向に並んでいることから、瞳分割方向がy方向の位相差信号を取得することができる。1001は、位相差信号の分割方向を示している。
【0047】
図10(c)は、画素1000における、蓄積分離領域402と感度分離領域403の平面視における位置関係を示す平面模式図である。第4の配置では、第2の配置と同様に、蓄積分離領域402はy方向に延在しており、感度分離領域403はx方向に延在している。
【0048】
第4の配置においても、感度分離領域403形成用のP型不純物の注入の影響により、感度分離領域403と平面視において重なる蓄積領域311と蓄積領域312の領域のN型濃度が薄くなる。そのため、蓄積領域311及び312の、TXA203のゲート電極303及びTXB204のゲート電極304から離れた場所において、Z方向の長さを短くすることにより、N型濃度の薄い領域による信号電荷の転送残りの発生を抑制している。なお、信号電荷の転送残りの発生を抑制できれば、蓄積領域311及び312の一部の不純物濃度を低くする等の別の方法を用いても良い。
【0049】
図7~
図10に示すように、第1~第4の配置において、蓄積領域311、312、TXA203のゲート電極303、TXB204のゲート電極304、FD205の配置は同じである。従って、RES206、SF208、SEL207やメタル配線を同一とすることができる。これにより、全ての画素でFD205の容量を同一にすることができ、FD205に転送された信号電荷の電圧への変換ゲイン、SF208の電圧読み出しゲインを均一とすることができる。
【0050】
●画素配列
次に、上記構成を有する画素700、800、900、1000の画素配列例について説明する。
【0051】
図11は、画素アレイ部101の画素配列を4行×2列の範囲で示す模式図であり、
図11に示す4行×2列の画素を平面上に多数配置することで、撮像信号及び位相差信号を取得することができる。なお、
図11では、ML301、感度領域313、314、N型接続領域315、316、TXA203のゲート電極303、TXB204のゲート電極304、FD205、位相差信号の分割方向、カラーフィルタ406を示している。
【0052】
カラーフィルタ406としては、R(赤)の分光透過特性を有するカラーフィルタ(CFR)1101、G(緑)の分光透過特性を有するカラーフィルタ(CFG)1102、B(青)の分光透過特性を有するカラーフィルタ(CFB)1103を用いる。そして、これらのカラーフィルタ406をベイヤー配列で配置している。また、
図11に示す例では、右側の列の上から、画素700、画素700、画素900、画素900の順に配置されている。また、左側の列の上から、画素700、画素800、画素900、画素1000の順に配置されている。
【0053】
画素700及び画素900から取得した位相差信号を用いることで、瞳分割方向がx方向の位相差信号を取得することができる。また、画素800及び画素1000から取得した位相差信号を用いることで、瞳分割方向がy方向の位相差信号を取得することができる。瞳分割方向がx方向の位相差信号は、被写体が縦方向のストライプ模様に近い場合等、x方向のコントラストが高い場合により有効である。一方、瞳分割方向がy方向の位相差信号は、被写体が横方向のストライプ模様に近い場合等、y方向のコントラストが高い場合により有効である。
【0054】
上述のように配列された画素の蓄積領域は、タイプ1とタイプ2とに分けられる。タイプ1は、蓄積領域がP型半導体の窪み領域404と切り欠き領域405の両方と隣接している(画素700の蓄積領域311、画素800の蓄積領域311、画素900の蓄積領域312、画素1000の蓄積領域312)。タイプ2は、蓄積領域がP型半導体の切り欠き領域405とのみ隣接している(画素700の蓄積領域312、画素800の蓄積領域312、画素900の蓄積領域311、画素1000の蓄積領域311)。タイプ1の蓄積領域は、タイプ2の蓄積領域と比較して、N型領域の体積が小さいため、蓄積できる信号電荷量が少なくなることがある。
【0055】
撮像信号は信号Aと信号Bを足し合わせた信号であるため、撮像信号としての飽和電荷量は全画素で均一である。一方、位相差信号は信号Aと信号Bをそれぞれ用いるため、位相差信号の飽和電荷量は、第1の配置及び第2の配置と、第3の配置と第4の配置とでは異なる。これに対し、
図11に示した配置を平面上に多数配置して画素アレイ部101を構成し、画素配置に応じて平均化や特定画素の信号のみ用いる等の信号処理を行うことで、画素アレイ部101の全領域で得られる位相差信号の飽和電荷量を均一とすることができる。
【0056】
例えば、画素700のみから得た位相差信号の強度分布形状と、画素900のみから得た位相差信号の強度分布形状とが大きく異なる場合、どちらかの位相差信号が飽和している可能性が高い。このような場合、画素700のみの位相差信号と画素900のみの位相差信号のうち、信号Aと信号Bの信号強度差が小さい方の位相差信号が、位相差信号が飽和していると考えられる。そのため、信号Aと信号Bの信号強度差が大きい方の位相差信号を用いて焦点検出を行う。このようにすることで、画素アレイの全領域で、位相差信号の飽和電荷量を大きい方に合わせることができ、位相差信号の飽和電荷量を均一にすることができる。
【0057】
また、本実施形態のように配置することで、製造時のアライメントばらつきなどで、蓄積領域311、312とN型接続領域315、316とP型領域404、405の相互関係等にばらつきが生じ、蓄積領域311、312の蓄積できる電荷量が設計構造とずれた場合にも、半導体領域の画素配置に応じて平均化や特定の信号のみを用いる等の信号処理で位相差信号の飽和電荷量を均一とすることができる。
【0058】
上記の通り第1の実施形態によれば、瞳分割の方向を2種類としつつ、FD容量や飽和電荷量を均一とすることができるため、補間処理が必要ない画像データを取得することができる。
【0059】
<変形例>
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する部分には同様の符号を付し、説明を適宜省略または簡略化する。本変形例では、画素配置の別の例について説明する。
【0060】
図12は、第1の実施形態の変形例における、画素アレイ部101を示す模式図であり、x方向の中心を境に、
図12の左側の部分画素アレイ1201と右側の部分画素アレイ1202で異なる画素配置となっている。
【0061】
図13は、部分画素アレイ1201の画素配列を2行×2列の範囲で示す模式図であり、
図13に示す2行×2列の画素を平面上に多数配置することで部分画素アレイ1201が構成されている。カラーフィルタ配列は、右側の列の上からCFG1102、CFB1103、左側の列の上から、CFR1101、CFG1102となっている。半導体領域の配置は、右側の列の上から、画素900、画素900、左側の列の上から、画素900、画素1000となっている。
【0062】
図14は、部分画素アレイ1202の画素配列を2行×2列の範囲で示す模式図であり、
図14に示す2行×2列の画素を平面上に多数配置することで部分画素アレイ1202が構成されている。カラーフィルタ配列は、右側の列の上からCFG1102、CFB1103、左側の列の上からCFR1101、CFG1102となっている。半導体領域の配置は、右側の列の上から、画素700、画素700、左側の列の上から画素700、画素800となっている。
【0063】
部分画素アレイ1201において、x方向の位相差検出を行う場合、画素900から取得する位相差信号を用いる。画素900では、タイプ1の蓄積領域よりも飽和電荷量が大きい、タイプ2の蓄積領域に接続されている感度領域が、画素内の相対的にx座標が小さい側に配置されている。一方、部分画素アレイ1202において、x方向の位相差検出を行う場合、画素700から取得する位相差信号を用いる。画素700では、タイプ2の蓄積領域に接続されている感度領域が、画素内の相対的にx座標が大きい側に配置されている。このように配置することで、各画素において、画素アレイ中心から離れる側に多く光が入射する場合に、位相差信号の飽和電荷量を高くすることができる。
【0064】
本変形例では、マイクロレンズは、画素アレイと光軸の交点からの距離に応じて、交点に向かって偏心させて形成することにより、全ての画素で、画素アレイから一定の距離で瞳分割の中心が光軸と交わるように光学設計されている。この距離をセンサー瞳距離と呼ぶ。このセンサー瞳距離より、結像レンズの射出瞳距離が短い場合に、光軸との交点から離れる側に多く光が入射する。本変形例では、飽和電荷量が大きい蓄積領域に接続された感度領域が光軸から離れた側に配置されているため、位相差信号の飽和電荷量が大きくなる。
【0065】
このように、第1の実施形態の変形例のような画素配列構成とすることで、センサー瞳距離と結像レンズの射出瞳距離の関係に応じて、位相差信号の飽和電荷量を大きくすることができる。
【0066】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態では、FD205以降の画素信号の読み出し回路を2画素で共有した構成について説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する部分には同様の符号を付し、詳細な説明を省略または簡略化する。
【0067】
図15は、第2の実施形態における2画素の等価回路図である。なお、2つの画素のフォトダイオードを区別するために、以下、図面上側の画素を画素105U、画素105Uの2つのフォトダイオードをPD1A1501及びPD1B1502と呼ぶ。また、図面下側の画素を画素105D、画素105Dの2つのフォトダイオードをPD2A1503及びPD2B1504と呼ぶ。
【0068】
PD1A1501及びPD1B1502は1つのマイクロレンズ301を共有し、PD2A1503とPD2B1504は1つのマイクロレンズを共有する。そして、画素105Uと画素105Dの2つの画素で、画素信号の読み出し回路であるFD205、RES206、SEL207、SF208を共有する構成となっている。
【0069】
入射した光量に応じてPD1A1501により光電変換され、蓄積された信号電荷は、転送スイッチ(TX1A)1505を介して、FD205に転送される。また、PD1B1502により光電変換され、蓄積された信号電荷は、転送スイッチ(TX1B)1506を介してFD205に転送される。同様に、PD2A1503により光電変換され、蓄積された信号電荷は、転送スイッチ(TX2A)1507を介して、また、PD2B1504により光電変換され、蓄積された信号電荷は、転送スイッチ(TX2B)1508を介して、FD205に転送される。
【0070】
●蓄積領域と感度領域の配置例
図16は、第2の実施形態に係る2画素分の半導体領域の第5の配置を示す模式図である。なお、以下の説明では、第5の配置を有する2画素分の画素105U,105Dを、画素セット1600と呼ぶ。
【0071】
図16(a)は、画素セット1600における、蓄積領域1601、1602、1603、1604、感度領域1611、1612、1613、1614、N型接続領域1621、1622、1623、1624、TX1A1505のゲート電極1631、TX1B1506のゲート電極1632、TX2A1507のゲート電極1633、TX2B1508のゲート電極1634、FD205の配置を示す斜視模式図である。
【0072】
図15に示すPD1A1501は、蓄積領域1601、感度領域1611、N型接続領域1621からなり、PD1B1502は、蓄積領域1602、感度領域1612、N型接続領域1622からなる。また、PD2A1503は、蓄積領域1603、感度領域1613、N型接続領域1623からなり、PD2B1504は、蓄積領域1604、感度領域1614、N型接続領域1624からなる。画素105Uを構成するPD1A1501とPD1B1502は、FD205と比較して相対的にy座標が大きい側に配置されており、画素105Dを構成するPD2A1503とPD2B1504はFD205と比較して相対的にy座標が小さい側に配置されている。
【0073】
図16(b)は、画素セット1600における、蓄積領域1601、1602、1603、1604、感度領域1611、1612、1613、1614、N型接続領域1621、1622、1623、1624、TX1A1505のゲート電極1631、TX1B1506のゲート電極1632、TX2A1507のゲート電極1633、TX2B1508のゲート電極1634、FD205の平面視における位置関係を示す平面模式図である。画素105Uを構成する感度領域1611、1612、画素105Dを構成する感度領域1613、1614がいずれもy方向に延在しており、画素105U、画素105D共に、瞳分割方向がx方向の位相差信号を取得することができる。矢印1650は、位相差信号の分割方向を示している。
【0074】
図17は、第2の実施形態に係る2画素分の半導体領域の第6の配置を示す模式図である。なお、以下の説明では、第6の配置を有する2画素分の画素105U,105Dを、画素セット1700と呼ぶ。
【0075】
図17(a)は、画素セット1700における、蓄積領域1601、1602、1603、1604、感度領域1611、1612、1613、1614、N型接続領域1621、1622、1623、1624、TX1A1505のゲート電極1631、TX1B1506のゲート電極1632、TX2A1507のゲート電極1633、TX2B1508のゲート電極1634、FD205の配置を示す斜視模式図である。また、
図17(b)は、画素セット1700の構成の平面視における位置関係を示す平面模式図である。
【0076】
画素セット1700は、画素セット1600と比較して、画素105Dの感度領域1613、1614の延在方向のみが異なる構成である。画素105Uは、画素セット1600と同様、感度領域1611、1612がy方向に延在しており、瞳分割方向がx方向の位相差信号を取得することができる。一方、画素105Dは、感度領域1613、1614がx方向に延在しているため、瞳分割方向がy方向の位相差信号を取得することができる。矢印1750及び1751は、位相差信号の分割方向を示している。
【0077】
図18は、第2の実施形態に係る2画素分の半導体領域の第7の配置を示す模式図である。なお、以下の説明では、第7の配置を有する2画素分の画素105U,105Dを、画素セット1800と呼ぶ。
【0078】
図18(a)は、画素セット1800における、蓄積領域1601、1602、1603、1604、感度領域1611、1612、1613、1614、N型接続領域1621、1622、1623、1624、TX1A1505のゲート電極1631、TX1B1506のゲート電極1632、TX2A1507のゲート電極1633、TX2B1508のゲート電極1634、FD205の配置を示す斜視模式図である。また、
図18(b)は、画素セット1800の構成の平面視における位置関係を示す平面模式図である。
【0079】
画素セット1800は、画素セット1600と比較して、画素105Uの感度領域1611、1612の延在方向のみが異なる構成である。画素105Dは、画素セット1600と同様、感度領域1613、1614がy方向に延在しており、瞳分割方向がx方向の位相差信号を取得することができる。一方、画素105Uは、感度領域1611、1612がx方向に延在しているため、瞳分割方向がy方向の位相差信号を取得することができる。矢印1850及び1851は、位相差信号の分割方向を示している。
【0080】
●画素配列
次に、上記構成を有する画素セット1600、1700、1800の配列例について説明する。
【0081】
図19は、第2の実施形態において、画素アレイ部101の画素配置を4行×4列の範囲で示す模式図であり、
図19に示す4行×4列の画素を平面上に多数配置することで、撮像信号及び位相差信号を取得することが可能である。なお、
図19では、ML301、感度領域1611、1612、1613、1614、N型接続領域1621、1622、1623、1624、ゲート電極1631、1632、1633、1634、FD205、位相差信号の分割方向、カラーフィルタ406を示している。カラーフィルタ406としては、ベイヤー配列で配置されたCFR1101、CFG1102、CFB1103が示されている。
【0082】
また、
図19に示す例では、左から数えて1列目に画素セット1700、2列目に画素セット1600、3列目に画素セット1800、4列目に画素セット1600が配置されている。また、3列目と4列目は、1列目と2列目の画素セットの配置から、y方向の1画素分ずらした配置となっている。
【0083】
このような配置により、CFR1101を有する画素(R画素)、CFB1103を有する画素(B画素)、及び、CFR1101を有する画素と同じ行に配置されたCFG1102を有する画素(Gr画素)から、瞳分割方向がx方向の位相差信号を取得することができる。また、CFB1103を有する画素(B画素)と同じ行に配置されたCFG1102を有する画素(Gb画素)からで\、瞳分割方向がy方向の位相差信号を取得することができる。
【0084】
ここで、1列目に配置されたGb画素と3列目に配置されたGb画素の特性について説明する。
【0085】
1列目に配置されたGb画素は、画素セット1700の画素105Dであり、y座標が大きい感度領域1613に入射した光による電荷は蓄積領域1603に蓄積され、y座標が小さい感度領域1614に入射した光による電荷は蓄積領域1604に蓄積される。ここで、画素セット1700における蓄積領域1603は、P型半導体の窪み領域404と切り欠き領域405の両方とに隣接するタイプ1であり、蓄積領域1604は、P型半導体の切り欠き領域405とのみ隣接するタイプ2である。
【0086】
また、3列目に配置されたGb画素は、画素セット1800の画素105Uであり、y座標が大きい感度領域1611に入射した光による電荷は蓄積領域1601に蓄積され、y座標が小さい感度領域112に入射した光による電荷は蓄積領域1602に蓄積される。ここで、画素セット1800における蓄積領域1601はタイプ2であり、蓄積領域1603はタイプ1である。
【0087】
タイプ1の蓄積領域は、タイプ2の蓄積領域と比較して、N型領域の体積が小さいため、蓄積できる信号電荷量が少なくなることがある。すなわち、1列目に配置されたGb画素は、y座標が小さい感度領域に対する飽和電荷量が、y座標が大きい感度領域に対する飽和電荷量に対して大きくなる。一方、3列目に配置されたGb画素は、y座標が大きい感度領域に対する飽和電荷量が、y座標が小さい感度領域に対する飽和電荷量に対して大きくなる。
【0088】
従って、
図19のように、y座標が小さい感度領域に対する飽和電荷量が大きいGb画素(1列目)と、y座標が大きい感度領域に対する飽和電荷量が大きいGb画素(3列目)を、2列毎に交互に配置することで、y座標が大きい感度領域に多くの光が入射する場合、y座標が小さい感度領域に多くの光が入射する場合、のどちらに対しても、飽和しない信号を得ることができる。すなわち、縦方向の瞳分割画素における位相差信号の飽和電荷量を均一とすることができる。
【0089】
上記の通り第2の実施形態によれば、読み出し回路を2画素で共有した構成においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0090】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図20は、本発明の第3の実施形態にかかる撮像装置の概略構成を示すブロック図である。本実施形態の撮像装置は、上述した構成を有する撮像素子100と、全体制御・演算部2と、指示部3と、タイミング発生部4と、撮影レンズユニット5と、レンズ駆動部6と、信号処理部7と、表示部8と、記録部9と、を備えている。
【0091】
撮影レンズユニット5は、被写体の光学像を撮像素子100に結像させる。図では1枚のレンズで表されているが、撮影レンズユニット5は、フォーカスレンズ、ズームレンズ等を含む複数のレンズと、絞りを含み、撮像装置の本体から着脱可能であってもよいし、本体に一体的に構成されていてもよい。
【0092】
撮像素子100は、上述した実施形態において説明した構成を有し、撮影レンズユニット5を介して入射する光を電気信号に変換して出力する。撮像素子100の各画素からは、位相差方式の焦点検出に用いることのできる瞳分割された瞳分割信号と、画素ごとの信号である画像信号とを取得可能に信号が読み出される。
【0093】
信号処理部7は、撮像素子100から出力される信号に対して、補正処理等の所定の信号処理を行い、焦点検出に用いる瞳分割信号及び記録に用いる画像信号を出力する。
【0094】
全体制御・演算部2は、撮像装置全体の統括的な駆動及び制御を行う。また、信号処理部7により処理された瞳分割信号を用いて焦点検出のための演算を行ったり、画像信号に対して、露出制御のための演算処理や、記録・再生用画像を生成するための現像、圧縮等の所定の信号処理を行う。
【0095】
レンズ駆動部6は、撮影レンズユニット5を駆動するものであり、全体制御・演算部2からの制御信号に従って、撮影レンズユニット5に対してフォーカス制御や、ズーム制御、絞り制御等を行う。
【0096】
指示部3は、ユーザー等の操作により外部から入力される、撮影の実行指示、撮像装置の駆動モード設定、その他各種設定や選択等の入力を受け付け、全体制御・演算部2へ送信する。
【0097】
タイミング発生部4は、全体制御・演算部2からの制御信号に従って、撮像素子100及び信号処理部7を駆動するためのタイミング信号を生成する。
表示部8は、プレビュー画像や再生画像、撮像装置の駆動モード設定等の情報を表示する。
【0098】
記録部9には不図示の記録媒体が備えられ、記録用画像信号が記録される。記録媒体としては、例えばフラッシュメモリ等の半導体メモリ等が挙げられる。記録媒体は記録部9から着脱可能であってもよいし、内臓されたものであってもよい。
【0099】
続いて、全体制御・演算部2において、瞳分割信号からデフォーカス量を算出する演算方法について説明する。
まず、
図21から
図27を参照して、本実施形態におけるx方向の位相差検出方式の焦点検出について説明する。
【0100】
図21は、瞳分割方向がx方向である画素700または画素900における
図3に示されるA-A’断面図、及び、撮像素子100の撮像面2000からz軸負方向に距離Dsだけ離れた位置の瞳面を示している。なお、
図21において、x、y、zは、撮像面2000における座標軸を示し、xp、yp、zpは、瞳面における座標軸を示している。
【0101】
ML301を介して、瞳面と撮像素子100の受光面(第2面)は略共役関係となっている。そのため、部分瞳領域2001を通過した光束は感度領域313または蓄積領域311で受光される。また、部分瞳領域2002を通過した光束は感度領域314または蓄積領域312で受光される。感度領域313と感度領域314の境界付近で光電変換された信号電荷は、確率的に蓄積領域311または蓄積領域312に輸送される。そのため、部分瞳領域2001と部分瞳領域2002の境目はx座標が大きくなるにつれて、徐々に信号が切り替わっていき、瞳強度分布のx方向依存性は、
図22に例示したような形状となる。以下、感度領域313と蓄積領域311に対応する瞳強度分布を第1瞳強度分布2101と呼び、感度領域314と蓄積領域312に対応する瞳強度分布を第2瞳強度分布2102と呼ぶ。
【0102】
次に、
図23を参照して、撮像素子100のセンサー入射瞳について説明する。本実施形態の撮像素子100では、2次元の平面上の像高座標に応じて、各画素のML301は、撮像素子100の中心方向へ連続的にシフトされて配置されている。つまり、各ML301は、像高が高くになるにつれ、中心側へ偏心するように配置されている。なお、撮像素子100の中心と結像光学系の光軸は、結像光学系または撮像素子100を駆動することで手振れ等によるブレの影響を低減する機構によって変化するが、略一致する。これにより、撮像素子100から距離Dsだけ離れた位置の瞳面において、撮像素子100の各像高座標に配置された各画素700または画素900の第1瞳強度分布2101および第2瞳強度分布2102が、概ね、一致するように構成される。つまり、撮像素子100から距離Dsだけ離れた位置の瞳面において、撮像素子100の全ての画素の第1瞳強度分布2101と第2瞳強度分布2102が、概ね、一致するように構成されている。
【0103】
以下、第1瞳強度分布2101及び第2瞳強度分布2102を、撮像素子100の「センサー入射瞳」と呼び、距離Dsを、撮像素子100の「センサー瞳距離」と呼ぶ。なお、全ての画素を単一のセンサー瞳距離を有する構成とする必要はなく、例えば像高8割までの画素のセンサー瞳距離を略一致させる構成としてもよいし、あえて行ごとまたは検出領域ごとに異なるセンサー瞳距離を有するように画素を構成してもよい。
【0104】
図24に、視差画像間の像ずれ量とデフォーカス量の概略関係図を示す。撮像面2000に本実施形態の撮像素子100(不図示)が配置され、
図21と同様に、結像光学系の射出瞳が、部分瞳領域2001と部分瞳領域2002に2分割される。
【0105】
デフォーカス量dは、被写体の結像位置から撮像面までの距離を|d|とし、被写体の結像位置が撮像面より被写体側にある前ピン状態を負(d<0)、被写体の結像位置が撮像面より被写体の反対側にある後ピン状態を正(d>0)として定義する。被写体の結像位置が撮像面にある合焦状態はd=0である。
図24では、物体面2301にある被写体が合焦状態(d=0)となり、物体面2302にある被写体が前ピン状態(d<0)となる例を示している。前ピン状態(d<0)と後ピン状態(d>0)を合わせて、デフォーカス状態(|d|>0)とする。
【0106】
前ピン状態(d<0)では、物体面2302にある被写体からの光束のうち、部分瞳領域2001(2002)を通過した光束は、一度、収束した後、光束の重心位置G1(G2)を中心として幅Γ1(Γ2)に広がり、撮像面2000でボケた像となる。ボケた像は、感度領域313と蓄積領域311、及び、感度領域314と蓄積領域312により受光され、視差画像が生成される。よって、生成される視差画像は、重心位置G1(G2)に、物体面2302にある被写体の像が幅Γ1(Γ2)にボケた被写体像となる。
【0107】
被写体像のボケ幅Γ1(Γ2)は、デフォーカス量dの大きさ|d|が増加するのに伴い、概ね、比例して増加していく。同様に、視差画像間の被写体像の像ずれ量p(=G2-G1)の大きさ|p|も、デフォーカス量dの大きさ|d|が増加するのに伴い、概ね、比例して増加していく。後ピン状態(d>0)でも、視差画像間の被写体像の像ずれ方向が前ピン状態と反対となるが、同様である。合焦状態(d=0)では、視差画像間の被写体像の重心位置が一致(p=0)し、像ずれは生じない。
【0108】
したがって、感度領域313と蓄積領域311、及び、感度領域314と蓄積領域312の信号を用いて得られる2つの位相差信号において、視差画像のデフォーカス量の大きさが増加するのに伴い、2つの位相差信号間のx方向の像ずれ量の大きさが増加する。この関係性から、視差画像間のx方向像ずれ量を相関演算することにより算出した像ずれ量をデフォーカス量に変換することで、位相差検出方式の焦点検出を行う。この時の変換係数を変換係数Kxとする。
【0109】
続いて、変換係数Kxと瞳ずれの関係を説明する。
図25に撮像素子100の周辺像高(R,0)に位置する画素700または画素900における部分瞳領域2001、2002と結像光学系の射出瞳2400との関係を示す。また、
図26に射出瞳と瞳強度分布のx方向依存性の関係を示す。瞳強度分布のx方向依存性の内、射出瞳内の領域を実線、射出瞳外を破線で示している。なお、画素アレイ内における画素700または画素900の位置(R,0)は、
図27に示すように、光軸中心からxプラス方向へシフトした位置である。
【0110】
図25(a)は、結像光学系の射出瞳距離D1と撮像素子100のセンサー瞳距離Dsが同じ場合を示している。この場合、結像光学系の射出瞳2400の中央付近で第1部分瞳領域2001と第2部分瞳領域2002により瞳分割される。この場合、受光する光束範囲は、第1瞳強度分布2101と第2瞳強度分布2102の信号強度が交差するx座標を中心に、プラス方向とマイナス方向に同程度広がった範囲となり、瞳強度分布と射出瞳の関係は
図26(a)のようになる。
【0111】
これに対して、
図25(b)に示すように、結像光学系の射出瞳距離Dlが撮像素子100のセンサー瞳距離Dsより短い場合、撮像素子100の周辺像高では、結像光学系の射出瞳と撮像素子100の入射瞳の瞳ずれを生じ、結像光学系の射出瞳2400が不均一に瞳分割され、瞳強度分布と射出瞳の関係は
図26(b)のようになる。
【0112】
同様に、
図25(c)に示すように、結像光学系の射出瞳距離Dlが撮像素子100のセンサー瞳距離Dsより長い場合も、撮像素子100の周辺像高で結像光学系の射出瞳と撮像素子100の入射瞳の瞳ずれを生じ、結像光学系の射出瞳2400が不均一に瞳分割され、瞳強度分布と射出瞳の関係は
図26(c)のようになる。
【0113】
図25に示したように、射出瞳距離D1によって、瞳強度分布の内、射出瞳内となる領域が異なる。そのため、デフォーカス量の大きさと位相差信号間のx方向の像ずれ量の大きさの関係である変換係数Kxは、射出瞳距離や像高によって異なる値を持つことになる。
【0114】
続いて、
図28から
図32を参照して、瞳分割方向がy方向の位相差検出方式の焦点検出について説明する。瞳分割方向がx方向の位相差検出方式の焦点検出と同様の部分の説明は省略し、異なる部分について説明する。y方向の位相差検出方式の焦点検出では、瞳分割方向がy方向である画素800または画素1000の位相差信号からy方向の像ずれ量を算出し、変換係数Kyを用いて、像ずれ量をデフォーカス量に変換する。
【0115】
図28は感度領域の瞳分割方向がy方向である画素800または画素1000の断面図、及び、撮像素子100の撮像面2000からz軸負方向にセンサー瞳距離Dsだけ離れた位置の瞳面を示している。なお、
図28において、x、y、zは、撮像面2000における座標軸を示し、xp、yp、zpは、瞳面における座標軸を示している。
【0116】
ML301を介して、瞳面と撮像素子100の受光面(第2面)は略共役関係となっている。そのため、感度領域313で受光する光は部分瞳領域2701を通過した光束であり、感度領域314で受光する光は部分瞳領域2702を通過した光束である。また、蓄積領域311で受光する光は部分瞳領域2703を通過した光束であり、蓄積領域312で受光する光は部分瞳領域2704を通過した光束である。感度領域313、314で受光される割合と、蓄積領域311、312で受光される割合は、受光した光の波長によって概ね決まる。
【0117】
続いて、y方向の位相差検出時の視差画像間の像ずれ量とデフォーカス量の関係である変換係数Kyと瞳ずれの関係を説明する。
図29に撮像素子100の周辺像高の位置(0,U)にある画素800または画素1000における部分瞳領域2701~2704と結像光学系の射出瞳2400との関係を示す。また、
図30に射出瞳と瞳強度分布のy方向依存性の関係を示す。なお、画素アレイ内における画素800または画素1000の位置(0,U)は、
図27に示すように、光軸中心からyプラス方向へシフトした位置である。
【0118】
図29(a)は、結像光学系の射出瞳距離D1と撮像素子100のセンサー瞳距離Dsが同じ場合を示している。この場合、感度領域313、314で受光される光束は、結像光学系の射出瞳2400の中央付近でy方向に射出瞳を分割する。そのため、瞳分割方向がy方向の画素における感度領域313に対応する第3瞳強度分布2901と感度領域314に対応する第4瞳強度分布2902のy方向依存性は、
図30(a)に示したような形状となる。
【0119】
また、蓄積領域311、312で受光される光は像ずれ量の算出方向であるy方向に分割されておらず、概ね同じ光量となる。そのため、蓄積領域311に対応する第5瞳強度分布2903と蓄積領域312に対応する第6瞳強度分布2904のy方向依存性はほとんどなく、かつ同じ強度をとなるため、
図30(a)に示したような形状となる。
【0120】
画素800では、N型接続領域により感度領域313と蓄積領域311、感度領域314と蓄積領域312が接続されており、画素1000では、N型接続領域により感度領域313と蓄積領域312、感度領域314と蓄積領域311が接続されている。そのため、画素800では、第3瞳強度分布2901と第5瞳強度分布2903が合わさった信号と、第4瞳強度分布2902と第6瞳強度分布2904が合わさった信号が位相差信号として出力される。
【0121】
一方、画素1000では、第3瞳強度分布2901と第6瞳強度分布2904が合わさった信号と、第4瞳強度分布2902と第5瞳強度分布2903が合わさった信号が位相差信号として出力される。第5瞳強度分布2903と第6瞳強度分布2904はy方向に対して概ね一定で、概ね等しい信号量となるため、画素800と画素1000から得られる位相差信号は概ね等しい。そのため、画素800と画素1000の重心位置はy方向で等しく、デフォーカス量の大きさとy方向の像ずれ量の関係である変換係数Kyは概ね等しい値となる。すなわち、射出瞳をy方向に瞳分割する感度領域313、314から得られる信号に対し、y方向に瞳分割していない蓄積領域311、312から得られる信号がオフセット成分となり足し合わされるが、オフセット量が等しいため、画素800と画素1000で足し合わされる感度領域と蓄積領域の組み合わせが変わっても変換係数Kyは変わらない。
【0122】
図29(b)及び
図29(c)、
図30(b)及び
図30(c)は、位置(0,U)の画素800または画素1000において、結像光学系の射出瞳距離D1がセンサー瞳距離Dsより短いまたは長い場合である。この場合の第3瞳強度分布2901、第4瞳強度分布2902と射出瞳との関係は、瞳分割方向がx方向の場合と同じである。また、第5瞳強度分布2903と第6瞳強度分布2904は、
図29(a)、
図30(a)の場合と同じで、y方向に対して概ね一定で、概ね等しい信号量となる。そのため、画素800と画素1000に対応する変換係数Kyは等しい値となる。
【0123】
続いて、
図31を参照して、瞳分割方向がy方向の位相差検出において、画素アレイ内における画素位置が光軸からxプラス方向、yプラス方向にシフトした位置(R,U)にある画素について説明する。なお、画素アレイ内における画素の位置(R,U)は、
図27に示すように、光軸中心からxプラス方向へR、y方向へUだけシフトした位置である。
【0124】
図31(a)は、結像光学系の射出瞳距離D1と撮像素子のセンサー瞳距離Dsが同じ場合である。この場合は、位置(0,U)にある画素800または画素1000の場合と同じく、第3瞳強度分布2901と第4瞳強度分布2902は結像光学系の射出瞳2400の中央付近を分割し、第5瞳強度分布2903と第6瞳強度分布2904はy方向に分割されておらず、概ね等しい光量となるため、
図32(a)に示したような形状となる。
【0125】
図31(b)は結像光学系の射出瞳距離D1が撮像素子100のセンサー瞳距離Dsより短い場合の部分瞳領域2701~2704と結像光学系の射出瞳D1の関係である。感度領域313に対応する部分瞳領域2701と感度領域314に対応する部分瞳領域2702による射出瞳2400の分割は位置(0,U)にある画素800または画素1000の場合と概ね同じため、第3瞳強度分布2901と第4瞳強度分布2902のy方向依存性は位置(0,U)にある画素800または画素1000の場合とほぼ同等であり、
図32(b)に示したような形状となる。
【0126】
一方、部分瞳領域2703と部分瞳領域2704は、y方向に分割していないため第5瞳強度分布2903と第6瞳強度分布2904のy方向依存性はない。しかしながら、部分瞳領域2704より部分瞳領域2703の方が、光量が少なくなるため、第5瞳強度分布2903が第6瞳強度分布2904より小さくなり、
図32(b)に示したような形状となる。
【0127】
同様に、結像光学系の射出瞳距離D1が撮像素子100のセンサー瞳距離Dsより長い場合の部分瞳領域2701~2704と結像光学系の射出瞳距離D1との関係は、
図31(c)のようになる。この場合は、第3瞳強度分布2901と第4瞳強度分布2902のy方向依存性は、位置(0,U)にある画素800または画素1000の場合とほぼ同等である。
【0128】
一方、部分瞳領域2703より部分瞳領域2704の方が、光量が少なくなるため、第6瞳強度分布2904が第5瞳強度分布2903より小さくなり、
図32(c)に示したような形状となる。この場合、射出瞳をy方向に瞳分割する感度領域313、314に足し合わされるオフセット成分が画素800と画素1000で異なる。そのため、変換係数Kyは、画素800と画素1000とで異なる値となる。
【0129】
そのため、y方向の位相差検出方式の焦点検出では、画素800と画素1000から得られる位相差信号より、それぞれ像ずれ量を算出し、それぞれ別の変換係数Kyを用いてデフォーカス量を算出することで、より正確なデフォーカス量の算出が可能となる。
【0130】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0131】
100:撮像素子、101:画素アレイ部、102:垂直選択回路、103:列回路、104:水平選択回路、105:画素、106:出力信号線、107:画素駆動配線群、301:マイクロレンズ(ML)、303,304,306,307,308:ゲート電極、310:電圧供給線、311,312:蓄積領域、313,314:感度領域、315,316:N型接続領域、401:半導体基板、402:蓄積分離領域、403:感度分離領域、405:窪み領域、406:カラーフィルタ、700,800,900,1000:画素