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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190011
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】半導体装置の駆動方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/355 20110101AFI20221215BHJP
   H04N 5/3745 20110101ALI20221215BHJP
【FI】
H04N5/355 900
H04N5/355 450
H04N5/3745
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175450
(22)【出願日】2022-11-01
(62)【分割の表示】P 2021035184の分割
【原出願日】2015-04-10
(31)【優先権主張番号】P 2014082063
(32)【優先日】2014-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2014093786
(32)【優先日】2014-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2014101672
(32)【優先日】2014-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2014181468
(32)【優先日】2014-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2014211511
(32)【優先日】2014-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2015010893
(32)【優先日】2015-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】黒川 義元
(72)【発明者】
【氏名】魚地 秀貴
(57)【要約】
【課題】撮像間隔の短い固体撮像装置を提供する。
【解決手段】n行目m列の画素が有する第1のフォトダイオードと、n+1行目m列の画
素が有する第2のフォトダイオードを、トランジスタを介して接続する。第1のフォトダ
イオードと第2のフォトダイオードで同時に受光し、受光量に応じた電位をまずn行目m
列の画素に保持し、続けて、リセット動作を行わずにn+1行目m列の画素に受光量に応
じた電位を保持する。その後、それぞれの電位を読み出す。大光量下では、第1のフォト
ダイオードまたは第2のフォトダイオードのどちらか一方を使用する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回路と、第2の回路と、第6のトランジスタと、を有する半導体装置の駆動方法であって、
第1のステップと、第2のステップと、第3のステップと、第4のステップとを有し、
前記第1の回路は、第1の光電変換素子と、第1のトランジスタ乃至第3のトランジスタと、を有し、
前記第2の回路は、第2の光電変換素子と、第4のトランジスタと、第5のトランジスタと、を有し、
前記第1の光電変換素子は、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、第1のノードと電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのゲートは前記第1のノードと電気的に接続され、
前記第2の光電変換素子は、前記第4のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、
前記第4のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、第2のノードと電気的に接続され、
前記第5のトランジスタのゲートは前記第2のノードと電気的に接続され、
前記第6のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、
前記第6のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、前記第4のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、
前記第1のステップにおいて、前記第1のトランジスタ及び前記第4のトランジスタはオフ状態であり、
前記第1のステップにおいて、前記第2のトランジスタ及び前記第6のトランジスタはオン状態であり、
前記第1のステップにおいて、前記第2の光電変換素子の受光量に応じた第1の電位を前記第1のノードに書き込み、
前記第2のステップにおいて、前記第1、および第2のトランジスタはオフ状態であり、
前記第2のステップにおいて、前記第4のトランジスタ及び前記第6のトランジスタはオン状態であり、
前記第2のステップにおいて、前記第2の光電変換素子の受光量に応じた第2の電位を前記第2のノードに書き込み、
前記第3のステップにおいて、前記第1の電位に応じた情報を、前記第3のトランジスタを介して読み出し、
前記第4のステップにおいて、前記第2の電位に応じた情報を、前記第5のトランジスタを介して読み出し、
前記第3のステップ及び前記第4のステップは、前記第1のステップ及び前記第2のステップの終了後に行われることを特徴とする半導体装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、半導体装置とその駆動方法に関する。具体的には、フォトセンサを有
する複数の画素が設けられた固体撮像装置と、その駆動方法に関する。更には、当該固体
撮像装置を有する電子機器に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。例えば、本発明の一態様は、
物、方法、もしくは製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシン、マニュフ
ァクチャ、もしくは組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。または、本発明
の一態様は、記憶装置、プロセッサそれらの駆動方法またはそれらの製造方法に関する。
【0003】
本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうるもの全般を
指す。よって、トランジスタやダイオードなどの半導体素子や半導体回路は半導体装置で
ある。また、表示装置、発光装置、照明装置、電気光学装置、固体撮像装置、および電子
機器などは、半導体素子や半導体回路を含む場合がある。よって、表示装置、発光装置、
照明装置、電気光学装置、固体撮像装置、および電子機器なども半導体装置を有する場合
がある。
【背景技術】
【0004】
CMOSセンサと呼ばれる、MOSトランジスタの増幅機能を用いたフォトセンサは、汎
用のCMOSプロセスを用いて製造できる。そのため、CMOSセンサを各画素に有する
固体撮像装置の製造コストを低くできる上に、フォトセンサと表示素子を同一基板上に作
り込んだ半導体装置を実現することができる。また、CMOSセンサはCCDセンサに比
べて駆動電圧が低いため、固体撮像装置の消費電力を低減することができる。
【0005】
CMOSセンサを用いた固体撮像装置では、撮像の際に、フォトダイオードにおける電荷
の蓄積動作と、上記電荷の読み出し動作とを、行ごとに順次行うローリングシャッタ方式
が一般的に用いられている(特許文献1参照)。また、ローリングシャッタ方式の代わり
に、電荷の蓄積動作を全画素において一斉に行われるグローバルシャッタ方式が採用され
る場合もある(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-141717号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】M.Furuta et al、”A High-Speed, High-Sensitivity Digital CMOS Image Sensor With a Global Shutter and 12-bit Column-Parallel Cyclic A/D Converters”、IEEE Journal of Solid-State Circuits、April 2007、Vol.42、No.4、pp.766-774
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ローリングシャッタ方式及びグローバルシャッタ方式に関わらず、CMOSセンサを用い
た固体撮像装置では、様々な環境下での撮像を可能にするために、ダイナミックレンジの
向上や、連続撮影時の撮像間隔の短縮が求められている。
【0009】
例えば、外光の照度が低い環境下(夜間や暗い室内など)での撮像は、フォトダイオード
に照射される光が弱い(光量が少ない)ため、露光時間を長くする必要がある。また、露
光時間内に被写体が動いてしまう、又は固体撮像装置を動かしてしまうことで、歪んだ被
写体の画像データが形成される。そのため、露光時間を長くすることは、歪んだ被写体の
画像データを形成するおそれがある。
【0010】
また、固体撮像装置の微細化に伴い、フォトダイオードの光が照射される領域も小さくな
るため、外光の照度が低い環境下での撮像はさらに難しくなる。
【0011】
また、高速に移動する被写体などを連続して撮像する場合には、撮像間隔をより短くする
必要がある。
【0012】
また、固体撮像装置の性能を評価する上で、低消費電力であることも求められる重要な性
能の一つである。特に、携帯電話などの携帯型の電子機器だと、固体撮像装置の消費電力
の高さは、連続使用時間の短縮化というデメリットに繋がる。
【0013】
本発明の一態様は、ダイナミックレンジを向上させることが可能な固体撮像装置などを提
供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、撮像された画像の品質を向上
させることが可能な固体撮像装置などを提供することを課題の一とする。または、撮像間
隔の短い固体撮像装置などを提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は
、消費電力の少ない固体撮像装置などを提供することを課題の一とする。または、本発明
の一態様は、新規な半導体装置などを提供することを課題の一とする。
【0014】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題
は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図
面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様は、第1の回路と、第2の回路と、第6のトランジスタと、を有する半導
体装置の駆動方法であって、第1のステップと、第2のステップと、第3のステップと、
第4のステップとを有し、第1の回路は、第1の光電変換素子と、第1のトランジスタ乃
至第3のトランジスタと、を有し、第2の回路は、第2の光電変換素子と、第4のトラン
ジスタと、第5のトランジスタと、を有し、第1の光電変換素子は、第1のトランジスタ
のソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、第1のトランジスタのソースまたは
ドレインの他方は、第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続さ
れ、第2のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、第1のノードと電気的に接続
され、第3のトランジスタのゲートは第1のノードと電気的に接続され、第2の光電変換
素子は、第4のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、第4の
トランジスタのソースまたはドレインの他方は、第2のノードと電気的に接続され、第5
のトランジスタのゲートは第2のノードと電気的に接続され、第6のトランジスタのソー
スまたはドレインの一方は、第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的
に接続され、第6のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、第4のトランジスタ
のソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、第1のステップにおいて、第1のト
ランジスタ及び第4のトランジスタはオフ状態であり、第1のステップにおいて、第2の
トランジスタ及び第6のトランジスタはオン状態であり、第1のステップにおいて、第2
の光電変換素子の受光量に応じた第1の電位を第1のノードに書き込み、第2のステップ
において、第1および第2のトランジスタはオフ状態であり、第2のステップにおいて、
第4のトランジスタ及び第6のトランジスタはオン状態であり、第2のステップにおいて
、第2の光電変換素子の受光量に応じた第2の電位を第2のノードに書き込み、第3のス
テップにおいて、第1の電位に応じた情報を、第3のトランジスタを介して読み出し、第
4のステップにおいて、第2の電位に応じた情報を、第5のトランジスタを介して読み出
し、第3のステップ及び第4のステップは、第1のステップ及び第2のステップの終了後
に行われることを特徴とする。
【0016】
第1のトランジスタは、酸化物半導体を有するトランジスタを用いることが好ましい。ま
た、第2のトランジスタ及び第4のトランジスタは、酸化物半導体を有するトランジスタ
を用いることが好ましい。また、第6のトランジスタは、酸化物半導体を有するトランジ
スタを用いることが好ましい。
【0017】
第1の光電変換素子及び第2の光電変換素子は、pin型の接合を有する光電変換素子を
用いることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様により、ダイナミックレンジが向上した固体撮像装置などを提供すること
ができる。または、撮像された画像の品質が向上した固体撮像装置などを提供することが
できる。または、撮像間隔の短い固体撮像装置などを提供することができる。または、消
費電力の少ない固体撮像装置などを提供することができる。または、新規な半導体装置な
どを提供することができる。
【0019】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は
、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面
、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一態様の撮像装置の構成例を説明する図。
図2】画素の構成例を説明する図。
図3】画素の構成例を説明する図。
図4】画素の構成例を説明する図。
図5】画素の回路構成例を説明する図。
図6】撮像動作の一例を説明するタイミングチャート。
図7】撮像動作の一例を説明する回路図。
図8】撮像動作の一例を説明する回路図。
図9】撮像動作の一例を説明する回路図。
図10】撮像動作の一例を説明するタイミングチャート。
図11】撮像動作の一例を説明する回路図。
図12】撮像動作の一例を説明する回路図。
図13】画素の回路構成例を説明する図。
図14】画素の回路構成例を説明する図。
図15】本発明の一態様の撮像装置の構成例を説明する図。
図16】画素の回路構成例を説明する図。
図17】撮像動作の一例を説明するタイミングチャート。
図18】撮像動作の一例を説明する回路図。
図19】撮像動作の一例を説明する回路図。
図20】撮像動作の一例を説明する回路図。
図21】撮像動作の一例を説明する回路図。
図22】画素の回路構成例を説明する図。
図23】撮像装置の構成例を説明する図。
図24】トランジスタの一例を説明する図。
図25】エネルギーバンド構造を説明する図。
図26】トランジスタの一例を説明する図。
図27】回路構成の一例を説明する図。
図28】回路構成の一例を説明する図。
図29】回路構成の一例を説明する図。
図30】トランジスタの一形態を説明する図。
図31】トランジスタの一形態を説明する図。
図32】トランジスタの一形態を説明する図。
図33】トランジスタの一形態を説明する図。
図34】本発明の一態様に係る電子機器を説明する図。
図35】実施例に係る固体撮像素子の写真及びブロック図。
図36】実施例に係る固体撮像素子の仕様を説明する図。
図37】実施例に係る固体撮像素子が有する画素の回路図。
図38】実施例に係る固体撮像素子の撮像動作を説明するタイミングチャート。
図39】実施例に係る固体撮像素子の撮像動作を説明する図。
図40】実施例に係る固体撮像素子で被写体を撮像した写真。
図41】FETのVg-Id特性及びノイズ特性。
図42】実施例に係る固体撮像素子の画素レイアウト図。
図43】実施例に係る周辺回路の測定結果を示す図。
図44】固体撮像装置の外観を示す写真、および固体撮像装置の積層構造を示す図。
図45】固体撮像装置の回路構成を示すブロック図。
図46】固体撮像装置の仕様を示す図。
図47】画素の回路構成を示す図。
図48】固体撮像装置で撮像した写真。
図49】撮像画像の階調のヒストグラム。
図50】異なる撮像方式による画素ごとの階調差のヒストグラム。
図51】異なる撮像方式による画素ごとの階調差のヒストグラム。
図52】各撮像方式における、5フレーム中の異なる2フレーム間の階調差の標準偏差。
図53】ファンの外観、および高速回転するファンを撮像した写真。
図54】消費電力の測定結果。
図55】固体撮像装置の外観を示す写真、および固体撮像装置が有する画素の拡大写真。
図56】固体撮像装置の仕様を示す図。
図57】固体撮像装置で撮像した写真。
図58】オプティカルフローシステムのブロック図、および固体撮像装置の外観を示す写真。
図59】固体撮像装置の回路構成を示すブロック図。
図60】固体撮像装置の仕様を示す図。
図61】画素の回路構成を示す図。
図62】実施例に係る固体撮像素子の撮像動作を説明するタイミングチャート。
図63】測定波形を示す図。
図64】固体撮像装置で撮像した写真。
図65】固体撮像装置で撮像した写真。
図66】固体撮像装置で撮像した写真。
図67】固体撮像装置の消費電力と消費エネルギーの測定結果に係る図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は
以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれ
ば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈さ
れるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分または同
様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略することがある
【0022】
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限
定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、
その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配
線」が一体となって形成されている場合なども含む。
【0023】
例えば、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている
場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている
場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとす
る。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定され
ず、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に記載されているもの
とする。
【0024】
ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層
、など)であるとする。
【0025】
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可
能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダ
イオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に接続されていない場合で
あり、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容
量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さず
に、XとYとが、接続されている場合である。
【0026】
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可
能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダ
イオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されること
が可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、ス
イッチは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流す
か流さないかを制御する機能を有している。または、スイッチは、電流を流す経路を選択
して切り替える機能を有している。なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、X
とYとが直接的に接続されている場合を含むものとする。
【0027】
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能
とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変
換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電
源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)
、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅または電流量などを大きく出来る
回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成
回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能であ
る。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号
がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。なお、XとY
とが機能的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合と、XとY
とが電気的に接続されている場合とを含むものとする。
【0028】
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとY
とが電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟ん
で接続されている場合)と、XとYとが機能的に接続されている場合(つまり、XとYと
の間に別の回路を挟んで機能的に接続されている場合)と、XとYとが直接接続されてい
る場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟まずに接続されている場合)
とが、本明細書等に開示されているものとする。つまり、電気的に接続されている、と明
示的に記載されている場合は、単に、接続されている、とのみ明示的に記載されている場
合と同様な内容が、本明細書等に開示されているものとする。
【0029】
なお、例えば、トランジスタのソース(又は第1の端子など)が、Z1を介して(又は介
さず)、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z
2を介して(又は介さず)、Yと電気的に接続されている場合や、トランジスタのソース
(又は第1の端子など)が、Z1の一部と直接的に接続され、Z1の別の一部がXと直接
的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z2の一部と直接的
に接続され、Z2の別の一部がYと直接的に接続されている場合では、以下のように表現
することが出来る。
【0030】
例えば、「XとYとトランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第2
の端子など)とは、互いに電気的に接続されており、X、トランジスタのソース(又は第
1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yの順序で電気的に
接続されている。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(又は第
1の端子など)は、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子な
ど)はYと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トラ
ンジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この順序で電気的に接続されている
」と表現することができる。または、「Xは、トランジスタのソース(又は第1の端子な
ど)とドレイン(又は第2の端子など)とを介して、Yと電気的に接続され、X、トラン
ジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など
)、Yは、この接続順序で設けられている」と表現することができる。これらの例と同様
な表現方法を用いて、回路構成における接続の順序について規定することにより、トラン
ジスタのソース(又は第1の端子など)と、ドレイン(又は第2の端子など)とを、区別
して、技術的範囲を決定することができる。
【0031】
または、別の表現方法として、例えば、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)
は、少なくとも第1の接続経路を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路は
、第2の接続経路を有しておらず、前記第2の接続経路は、トランジスタを介した、トラ
ンジスタのソース(又は第1の端子など)とトランジスタのドレイン(又は第2の端子な
ど)との間の経路であり、前記第1の接続経路は、Z1を介した経路であり、トランジス
タのドレイン(又は第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路を介して、Yと電気
的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有しておらず、前記第3の
接続経路は、Z2を介した経路である。」と表現することができる。または、「トランジ
スタのソース(又は第1の端子など)は、少なくとも第1の接続経路によって、Z1を介
して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路は、第2の接続経路を有しておらず、
前記第2の接続経路は、トランジスタを介した接続経路を有し、トランジスタのドレイン
(又は第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路によって、Z2を介して、Yと電
気的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有していない。」と表現
することができる。または、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)は、少なく
とも第1の電気的パスによって、Z1を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の電気
的パスは、第2の電気的パスを有しておらず、前記第2の電気的パスは、トランジスタの
ソース(又は第1の端子など)からトランジスタのドレイン(又は第2の端子など)への
電気的パスであり、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)は、少なくとも第3
の電気的パスによって、Z2を介して、Yと電気的に接続され、前記第3の接続経路は、
前記第4の接続経路を有しておらず、前記第4の電気的パスは、トランジスタのドレイン
(又は第2の端子など)からトランジスタのソース(又は第1の端子など)への電気的パ
スである。」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成
における接続経路について規定することにより、トランジスタのソース(又は第1の端子
など)と、ドレイン(又は第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定すること
ができる。
【0032】
なお、これらの表現方法は、一例であり、これらの表現方法に限定されない。ここで、X
、Y、Z1、Z2は、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、
層、など)であるとする。
【0033】
なお、回路図上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されてい
る場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もあ
る。例えば配線の一部が電極としても機能する場合は、一の導電膜が、配線の機能、及び
電極の機能の両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書における電
気的に接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場
合も、その範疇に含める。
【0034】
なお、本明細書等において、様々な基板を用いて、トランジスタを形成することが出来る
。基板の種類は、特定のものに限定されることはない。その基板の一例としては、半導体
基板(例えば単結晶基板またはシリコン基板)、SOI基板、ガラス基板、石英基板、プ
ラスチック基板、金属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有
する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性基板、貼り合
わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、または基材フィルムなどがある。ガラス基板の一
例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、またはソーダライ
ムガラスなどがある。可撓性基板の一例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET
)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)に代表さ
れるプラスチック、またはアクリル等の可撓性を有する合成樹脂などがある。貼り合わせ
フィルムの一例としては、ポリフッ化ビニルまたは塩化ビニルなどのビニル、ポリプロピ
レン、ポリエステルなどがある。基材フィルムの一例としては、ポリエステル、ポリアミ
ド、ポリイミド、無機蒸着フィルム、または紙類などがある。特に、半導体基板、単結晶
基板、またはSOI基板などを用いてトランジスタを製造することによって、特性、サイ
ズ、または形状などのばらつきが少なく、電流能力が高く、サイズの小さいトランジスタ
を製造することができる。このようなトランジスタによって回路を構成すると、回路の低
消費電力化、または回路の高集積化を図ることができる。
【0035】
なお、ある基板を用いてトランジスタを形成し、その後、別の基板にトランジスタを転置
し、別の基板上にトランジスタを配置してもよい。トランジスタが転置される基板の一例
としては、上述したトランジスタを形成することが可能な基板に加え、紙基板、セロファ
ン基板、石材基板、木材基板、布基板(天然繊維(絹、綿、麻)、合成繊維(ナイロン、
ポリウレタン、ポリエステル)若しくは再生繊維(アセテート、キュプラ、レーヨン、再
生ポリエステル)などを含む)、皮革基板、またはゴム基板などがある。これらの基板を
用いることにより、特性のよいトランジスタの形成、消費電力の小さいトランジスタの形
成、壊れにくい装置の製造、耐熱性の付与、軽量化、または薄型化を図ることができる。
【0036】
また、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、発明の理解を容易とす
るため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する
発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。例えば
、実際の製造工程において、エッチングなどの処理によりレジストマスクなどが意図せず
に目減りすることがあるが、理解を容易とするために省略して示すことがある。
【0037】
また、特に上面図(「平面図」ともいう。)において、図面をわかりやすくするために、
一部の構成要素の記載を省略する場合がある。また、一部の隠れ線等の記載を省略する場
合がある。
【0038】
なお、本明細書等において「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上または直
下で、かつ、直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極
B」の表現であれば、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶
縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
【0039】
また、ソースおよびドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回
路動作において電流の方向が変化する場合など、動作条件などによって互いに入れ替わる
ため、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難である。このため、
本明細書においては、ソースおよびドレインの用語は、入れ替えて用いることができるも
のとする。
【0040】
また、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で
配置されている状態をいう。従って、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂
直」および「直交」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている
状態をいう。従って、85°以上95°以下の場合も含まれる。
【0041】
また、電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位(GND電位)またはソース電
位)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧を電位と言い換えることが可能で
ある。
【0042】
なお、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分低い場合は「絶縁体」とし
ての特性を有する。よって、「半導体」を「絶縁体」に置き換えて用いることも可能であ
る。この場合、「半導体」と「絶縁体」の境界は曖昧であり、両者の厳密な区別は難しい
。したがって、本明細書に記載の「半導体」と「絶縁体」は、互いに読み換えることがで
きる場合がある。
【0043】
また、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分高い場合は「導電体」とし
ての特性を有する。よって、「半導体」を「導電体」に置き換えて用いることも可能であ
る。この場合、「半導体」と「導電体」の境界は曖昧であり、両者の厳密な区別は難しい
。したがって、本明細書に記載の「半導体」と「導電体」は、互いに読み換えることがで
きる場合がある。
【0044】
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度
が0.1原子%未満の元素は不純物と言える。不純物が含まれることにより、例えば、半
導体のDOS(Density of State)が高くなることや、キャリア移動度
が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導
体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族
元素、第14族元素、第15族元素、主成分以外の遷移金属などがあり、特に、例えば、
水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素
などがある。酸化物半導体の場合、例えば水素などの不純物の混入によって酸素欠損を形
成する場合がある。また、半導体がシリコン膜である場合、半導体の特性を変化させる不
純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第1
5族元素などがある。
【0045】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるた
めに付すものであり、工程順または積層順など、なんらかの順番や順位を示すものではな
い。また、本明細書等において序数詞が付されていない用語であっても、構成要素の混同
を避けるため、特許請求の範囲において序数詞が付される場合がある。また、本明細書等
において序数詞が付されている用語であっても、特許請求の範囲において異なる序数詞が
付される場合がある。また、本明細書等において序数詞が付されている用語であっても、
特許請求の範囲などにおいて序数詞を省略する場合がある。
【0046】
なお、「チャネル長」とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはト
ランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる
領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電極
)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのト
ランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。すなわち、
一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明
細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値
、最小値または平均値とする。
【0047】
また、「チャネル幅」とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半
導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、またはチャネルが形成され
る領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つ
のトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。すな
わち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため
、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、
最大値、最小値または平均値とする。
【0048】
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネ
ル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示される
チャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば、
立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面図
において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる
場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の上面に
形成されるチャネル領域の割合に対して、半導体の側面に形成されるチャネル領域の割合
が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において示される見かけ上のチャネル幅よ
りも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
【0049】
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実測
による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積
もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状
が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
【0050】
そこで、本明細書では、トランジスタの上面図において、半導体とゲート電極とが重なる
領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さである見かけ上のチャ
ネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel W
idth)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合に
は、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細
書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。な
お、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチ
ャネル幅などは、断面TEM像などを取得して、その画像を解析することなどによって、
値を決定することができる。
【0051】
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求め
る場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャ
ネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
【0052】
また、本明細書等において、高電源電位VDD(以下、単に「VDD」または「H電位」
ともいう)とは、低電源電位VSSよりも高い電位の電源電位を示す。また、低電源電位
VSS(以下、単に「VSS」または「L電位」ともいう)とは、高電源電位VDDより
も低い電位の電源電位を示す。また、接地電位をVDDまたはVSSとして用いることも
できる。例えばVDDが接地電位の場合には、VSSは接地電位より低い電位であり、V
SSが接地電位の場合には、VDDは接地電位より高い電位である。
【0053】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の撮像装置について、図面を参照して説明する。
【0054】
[撮像装置100の構成例]
図1(A)は、本発明の一態様の撮像装置100の構成例を示す平面図である。撮像装置
100は、画素部110と、画素部110を駆動するための第1の周辺回路260、第2
の周辺回路270、第3の周辺回路280、及び第4の周辺回路290を有する。画素部
110は、p行q列(p及びqは2以上の自然数)のマトリクス状に配置された複数の画
素111を有する。第1の周辺回路260乃至第4の周辺回路290は、複数の画素11
1に接続し、複数の画素111を駆動するための信号を供給する機能を有する。なお、本
明細書等において、第1の周辺回路260乃至第4の周辺回路290などを「周辺回路」
もしくは「駆動回路」と呼ぶ場合がある。例えば、第1の周辺回路260は周辺回路の一
部と言える。
【0055】
また、周辺回路は、少なくとも、論理回路、スイッチ、バッファ、増幅回路、または変換
回路の1つを有する。また、周辺回路は画素部110を形成する基板に形成してもよいし
、周辺回路の一部または全部をIC等の半導体装置で実装してもよい。なお、周辺回路は
、第1の周辺回路260乃至第4の周辺回路290のうち、少なくとも1つを省略しても
よい。例えば、第1の周辺回路260または第4の周辺回路290の一方の機能を、第1
の周辺回路260または第4の周辺回路290の他方に付加して、第1の周辺回路260
または第4の周辺回路290の一方を省略してもよい。また、例えば、第2の周辺回路2
70または第3の周辺回路280の一方の機能を、第2の周辺回路270または第3の周
辺回路280の他方に付加して、第2の周辺回路270または第3の周辺回路280の一
方を省略してもよい。また、例えば、第1の周辺回路260乃至第4の周辺回路290の
いずれか1つに、他の回路の機能を付加して、第1の周辺回路260乃至第4の周辺回路
290のいずれか1つ以外を省略してもよい。
【0056】
また、図1(B)に示すように、撮像装置100が有する画素部110において画素11
1を傾けて配置してもよい。画素111を傾けて配置することにより、行方向及び列方向
の画素間隔(ピッチ)を短くすることができる。これにより、撮像装置100で撮像され
た画像の品質をより高めることができる。
【0057】
[画素111の構成例]
撮像装置100が有する1つの画素111を複数の副画素112で構成し、それぞれの副
画素112に特定の波長帯域の光を透過するフィルタ(カラーフィルタ)を組み合わせる
ことで、カラー画像表示を実現するための情報を取得することができる。
【0058】
図2(A)は、カラー画像を取得するための画素111の一例を示す平面図である。図2
(A)に示す画素111は、赤(R)の波長帯域の光を透過するカラーフィルタが設けら
れた副画素112(以下、「副画素112R」ともいう)、緑(G)の波長帯域の光を透
過するカラーフィルタが設けられた副画素112(以下、「副画素112G」ともいう)
及び青(B)の波長帯域の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素112(以下
、「副画素112B」ともいう)を有する。副画素112は、フォトセンサとして機能で
きる。
【0059】
副画素112(副画素112R、副画素112G、及び副画素112B)は、配線131
、配線141、配線144、配線146、配線135と電気的に接続される。また、副画
素112R、副画素112G、及び副画素112Bは、それぞれが独立した配線137に
接続している。また、本明細書等において、例えばn行目の画素111に接続された配線
144及び配線146を、それぞれ配線144[n]及び配線146[n]と記載する。
また、例えばm列目の画素111に接続された配線137を、配線137[m]と記載す
る。なお、図2(A)において、m列目の画素111が有する副画素112Rに接続する
配線137を配線137[m]R、副画素112Gに接続する配線137を配線137[
m]G、及び副画素112Bに接続する配線137を配線137[m]Bと記載している
。副画素112は、上記配線を介して周辺回路と電気的に接続される。
【0060】
また、本実施の形態に示す撮像装置100は、隣接する画素111の、同じ波長帯域の光
を透過するカラーフィルタが設けられた副画素112がスイッチを介して接続する構成を
有する。図2(B)に、n行(nは1以上p以下の自然数)m列(mは1以上q以下の自
然数)に配置された画素111が有する副画素112と、該画素に隣接するn+1行m列
に配置された画素111が有する副画素112の接続例を示す。図2(B)において、n
行m列に配置された副画素112Rと、n+1行m列に配置された副画素112Rがスイ
ッチ201を介して接続されている。また、n行m列に配置された副画素112Gと、n
+1行m列に配置された副画素112Gがスイッチ202を介して接続されている。また
、n行m列に配置された副画素112Bと、n+1行m列に配置された副画素112Bが
スイッチ203を介して接続されている。
【0061】
なお、副画素112に用いるカラーフィルタは、赤(R)、緑(G)、青(B)に限定さ
れず、図3(A)に示すように、それぞれシアン(C)、黄(Y)及びマゼンダ(M)の
光を透過するカラーフィルタを用いてもよい。1つの画素111に3種類の異なる波長帯
域の光を検出する副画素112を設けることで、フルカラー画像を取得することができる
【0062】
図3(B)は、それぞれ赤(R)、緑(G)及び青(B)の光を透過するカラーフィルタ
が設けられた副画素112に加えて、黄(Y)の光を透過するカラーフィルタが設けられ
た副画素112を有する画素111を例示している。図3(C)は、それぞれシアン(C
)、黄(Y)及びマゼンダ(M)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素11
2に加えて、青(B)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素112を有する
画素111を例示している。1つの画素111に4種類の異なる波長帯域の光を検出する
副画素112を設けることで、取得した画像の色の再現性をさらに高めることができる。
【0063】
また、例えば、図2(A)において、赤の波長帯域を検出する副画素112、緑の波長帯
域を検出する副画素112、および青の波長帯域を検出する副画素112の画素数比(ま
たは受光面積比)は、必ずしも1:1:1である必要は無い。図3(D)に示すように、
画素数比(受光面積比)を赤:緑:青=1:2:1とするBayer配列としてもよい。
また、画素数比(受光面積比)を赤:緑:青=1:6:1としてもよい。
【0064】
なお、画素111に設ける副画素112は1つでもよいが、2つ以上が好ましい。例えば
、同じ波長帯域を検出する副画素112を2つ以上設けることで、冗長性を高め、撮像装
置100の信頼性を高めることができる。
【0065】
また、フィルタとして可視光の波長以下の波長を有する光を吸収または反射して、赤外光
を透過するIR(IR:Infrared)フィルタを用いることで、赤外光を検出する
撮像装置100を実現することができる。また、フィルタとして可視光の波長以上の波長
を有する光を吸収または反射して、紫外光を透過するUV(UV:Ultra Viol
et)フィルタを用いることで、紫外光を検出する撮像装置100を実現することができ
る。また、フィルタとして、放射線を紫外光や可視光に変換するシンチレータを用いるこ
とで、撮像装置100をX線やγ線などを検出する放射線検出器として機能させることも
できる。
【0066】
また、フィルタとしてND(ND:Neutral Density)フィルター(減光
フィルター)を用いると、光電変換素子(受光素子)に多大な光量の光が入射した時に生
じる、出力が飽和する現象(以下、「出力飽和」ともいう。)を防ぐことができる。減光
量の異なるNDフィルタを組み合わせて用いることで、撮像装置のダイナミックレンジを
大きくすることができる。
【0067】
また、前述したフィルタ以外に、画素111にレンズを設けてもよい。ここで、図4の断
面図を用いて、画素111、フィルタ602、レンズ600の配置例を説明する。レンズ
600を設けることで、入射光を光電変換素子220に効率よく受光させることができる
。具体的には、図4(A)に示すように、画素111に形成したレンズ600、フィルタ
602(フィルタ602R、フィルタ602G、フィルタ602B)、及び画素回路23
0等を通して光660を光電変換素子220に入射させる構造とすることができる。
【0068】
ただし、二点鎖線で囲んだ領域に示すように、矢印で示す光660の一部が配線層604
の一部によって遮光されてしまうことがある。したがって、図4(B)に示すように光電
変換素子220側にレンズ600及びフィルタ602を形成して、入射光を光電変換素子
220に効率良く受光させる構造が好ましい。光電変換素子220側から光660を入射
させることで、検出感度の高い撮像装置100を提供することができる。
【0069】
[副画素112の回路構成例]
次に、図5の回路図を用いて、副画素112の具体的な回路構成例について説明する。図
5に、n行目の画素111が有する副画素112[n]と、n+1行目の画素111が有
する副画素112[n+1]が、トランジスタ129を介して電気的に接続する回路構成
例を示す。トランジスタ129は、スイッチ201、スイッチ202、またはスイッチ2
03として機能できる。
【0070】
具体的には、n行目の画素111が有する副画素112[n]は、フォトダイオードPD
[n](光電変換素子)、トランジスタ121、トランジスタ123、およびトランジス
タ124を含んで構成される。また、n+1行目の画素111が有する副画素112[n
+1]は、フォトダイオードPD[n+1]、トランジスタ125、トランジスタ127
、およびトランジスタ128を含んで構成される。
【0071】
本実施の形態では、トランジスタ121乃至トランジスタ129としてnチャネル型のト
ランジスタを用いる場合を例示する。よって、トランジスタ121乃至トランジスタ12
9では、ゲートに供給される信号がH電位の時にソースとドレインとの間が導通状態(オ
ン状態)となり、L電位の時に非導通状態(オフ状態)となる。
【0072】
ただし、本発明の一態様はこれに限定されず、トランジスタ121乃至トランジスタ12
9としてpチャネル型のトランジスタを用いることもできる。また、nチャネル型のトラ
ンジスタとpチャネル型のトランジスタを適宜組み合わせて用いることもできる。
【0073】
図5の回路図において、フォトダイオードPD[n]のアノードまたはカソードの一方は
、電位VPを供給可能な配線131と電気的に接続される。また、フォトダイオードPD
[n]のアノードまたはカソードの他方と、トランジスタ121のソースまたはドレイン
の一方と、トランジスタ122のソースまたはドレインの一方は、ノードND[n]に電
気的に接続される。また、トランジスタ122のソースまたはドレインの他方は、電位V
Rを供給可能な配線133と電気的に接続され、トランジスタ122のゲートは電位PR
を供給可能な配線141と電気的に接続される。また、トランジスタ121のソースまた
はドレインの他方とトランジスタ123のゲートは、ノードFD[n]に電気的に接続さ
れ、トランジスタ121のゲートは電位TXを供給可能な配線144[n]と電気的に接
続される。また、トランジスタ123のソースまたはドレインの一方は、電位VOを供給
可能な配線135に電気的に接続され、トランジスタ123のソースまたはドレインの他
方は、トランジスタ124のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。また、
トランジスタ124のソースまたはドレインの他方は、配線137[m]と電気的に接続
され、トランジスタ124のゲートは電位SELを供給可能な配線146[n]と電気的
に接続される。また、トランジスタ129のソースまたはドレインの一方は、ノードND
[n]に電気的に接続され、トランジスタ129のゲートは電位PAを供給可能な配線1
42と電気的に接続される。
【0074】
また、フォトダイオードPD[n+1]のアノードまたはカソードの一方は、電位VPを
供給可能な配線132と電気的に接続される。また、フォトダイオードPD[n+1]の
アノードまたはカソードの他方と、トランジスタ125のソースまたはドレインの一方と
、トランジスタ126のソースまたはドレインの一方は、ノードND[n+1]に電気的
に接続される。また、トランジスタ126のソースまたはドレインの他方は、電位VRを
供給可能な配線134と電気的に接続され、トランジスタ126のゲートは電位PRを供
給可能な配線143と電気的に接続される。また、トランジスタ125のソースまたはド
レインの他方とトランジスタ127のゲートは、ノードFD[n+1]に電気的に接続さ
れ、トランジスタ125のゲートは電位TXを供給可能な配線144[n+1]と電気的
に接続される。また、トランジスタ127のソースまたはドレインの一方は、電位VOを
供給可能な配線136に電気的に接続され、トランジスタ127のソースまたはドレイン
の他方は、トランジスタ128のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。ま
た、トランジスタ128のソースまたはドレインの他方は、配線137[m]と電気的に
接続され、トランジスタ128のゲートは電位SELを供給可能な配線146[n+1]
と電気的に接続される。また、トランジスタ129のソースまたはドレインの他方は、ノ
ードND[n+1]に電気的に接続される。
【0075】
また、図5では配線131及び配線132を分けて記載しているが、1本の共通配線とし
てもよい。また、図5では配線141及び配線143を分けて記載しているが、1本の共
通配線としてもよい。また、図5では配線135及び配線136を分けて記載しているが
、1本の共通配線としてもよい。
【0076】
<動作例1>
次に、図6乃至図9を用いて、撮像装置100をグローバルシャッタ方式で行う撮像動作
の一例を説明する。全ての副画素112において、リセット動作及び蓄積動作を一括で行
い、読み出し動作を順次行うことで、グローバルシャッタ方式による撮像を行うことがで
きる。ここでは、副画素112の動作例を、副画素112[n]及び副画素112[n+
1]を用いて説明する。
【0077】
図6は副画素112の動作を説明するタイミングチャートであり、図7乃至図9は、副画
素112の動作状態を示す回路図である。なお、本実施の形態に示すタイミングチャート
では、駆動方法を分かりやすく説明するため、前述した配線およびノードには、特に明示
する場合を除いてH電位またはL電位が与えられるものとする。
【0078】
グローバルシャッタ方式を用いることで、全ての画素111の蓄積動作を同一期間内に行
うことができる。したがって、ローリングシャッタ方式を用いた場合のように、蓄積動作
を行う期間が異なることによる撮像画像の歪みが生じない。なお、グローバルシャッタ方
式を用いた場合のフレーム間隔を期間301として図6に示す。期間301は、リセット
動作、蓄積動作、全行の画素の読み出し動作に要する時間の和となる。
【0079】
動作例1では、電位PAをL電位として、トランジスタ129をオフ状態とした場合の撮
像動作について説明する。電位PAをL電位とすることで、副画素112[n]及び副画
素112[n+1]をそれぞれ独立して動作させることができる。また、電位VRをH電
位とし、電位VPおよび電位VOをL電位とする。また、電位SEL[n]および電位S
EL[n+1]をL電位とする。
【0080】
[リセット動作]
まず、時刻T1において、電位PR、および電位TXの電位をH電位とする。すると、ト
ランジスタ121、トランジスタ122がオン状態となり、ノードND[n]、およびノ
ードFD[n]がH電位となる。また、トランジスタ125、トランジスタ126がオン
状態となり、ノードND[n+1]、およびノードFD[n+1]がH電位となる。この
動作により、ノードFD[n]およびノードFD[n+1]に保持されている電荷量がリ
セットされる(図7(A)参照。)。時刻T1乃至時刻T2までの期間を「リセット期間
」ともいう。また、リセット期間中の動作を「リセット動作」ともいう。
【0081】
なお、図示していないが、リセット期間において撮像装置100が有する全てのノードF
D[n]およびノードFD[n+1]がリセットされる。
【0082】
[蓄積動作]
次いで、時刻T2において、電位PRをL電位とする。電位TXはH電位のままとする。
また、時刻T2において、フォトダイオードPD[n]およびフォトダイオードPD[n
+1]には、逆方向バイアスが印加されている。フォトダイオードPD[n]およびフォ
トダイオードPD[n+1]に逆方向バイアスが印加されている状態で、フォトダイオー
ドPD[n]およびフォトダイオードPD[n+1]に光が入射すると、フォトダイオー
ドPD[n]およびフォトダイオードPD[n+1]が有する電極の他方から一方に向か
って電流が流れる(図7(B)参照。)。この時の電流量は光の強度に従って変化する。
すなわち、フォトダイオードPD[n]およびフォトダイオードPD[n+1]に入射す
る光の強度が高いほど上記電流量は多くなり、ノードFD[n]およびノードFD[n+
1]からの電荷の流出も多くなる。逆に、フォトダイオードPD[n]およびフォトダイ
オードPD[n+1]に入射する光の強度が低いほど上記電流量は少なくなり、ノードF
D[n]およびノードFD[n+1]からの電荷の流出も少なくなる。よって、ノードF
D[n]およびノードFD[n+1]の電位は、光の強度が高いほど変化が大きく、光の
強度が低いほど変化が小さい。
【0083】
次いで、時刻T3において、電位TXをL電位とする。すると、トランジスタ121及び
トランジスタ125はオフ状態となる。トランジスタ121及びトランジスタ125をオ
フ状態とすることで、ノードFD[n]およびノードFD[n+1]からフォトダイオー
ドPD[n]およびフォトダイオードPD[n+1]への電荷の移動が止まり、ノードF
D[n]およびノードFD[n+1]の電位が決定される(図8(A)参照。)。時刻T
2乃至時刻T3までの期間を「露光期間」ともいう。動作例1における露光期間を期間3
11として図6に示す。また、露光期間中の動作を「蓄積動作」ともいう。
【0084】
[読み出し動作]
次いで、時刻T4において、配線146[n]に供給する電位SELをH電位とする。こ
こでは、nが1の場合(1行目の場合)について説明する。なお、配線146[n]にH
電位を供給する直前に、配線137[m]の電位がH電位になるようにプリチャージして
おく。配線146[n]に供給する電位SELをH電位とすると、トランジスタ124が
オン状態となり、ノードFD[n]の電位に応じた速度で配線137[m]の電位が低下
する(図8(B)参照。)。時刻T5において配線146[n]に供給する電位SELを
L電位とすると、トランジスタ124がオフ状態となり、配線137[m]の電位が決定
される。この時の配線137[m]の電位を測定することで、副画素112[n]の受光
量を算出することができる。
【0085】
次に、時刻T5において、配線146[n+1](ここでは、2行目の配線146)に供
給する電位SELをH電位とする。なお、配線146[n+1]に供給する電位をH電位
とする直前に、配線137[m]の電位がH電位になるようにプリチャージしておく。配
線146[n+1]に供給する電位SELをH電位とすると、トランジスタ128がオン
状態となり、ノードFD[n+1]の電位に応じた速度で配線137[m]の電位が低下
する(図9(A)参照。)。時刻T6において配線146[n+1]に供給する電位SE
LをL電位とすると、トランジスタ128がオフ状態となり、配線137[m]の電位が
決定される(図9(B)参照)。この時の配線137[m]の電位を測定することで、副
画素112[n+1]の受光量を算出することができる。
【0086】
このようにして、時刻T6の後も、3行目から順に配線137[m]の電位を測定するこ
とで、n行目及びn+1行目の配線137[m]の電位を取得することができる。1行目
乃至p行目の配線137[m]の電位を測定することによって、撮像装置100が有する
画素111それぞれの受光量を取得することができる。すなわち、撮像装置100により
撮像された被写体の画像データを取得することができる。例えば、時刻T4乃至時刻T5
までの期間など、各行毎に受光量を取得する期間を「読み出し期間」ともいう。また、読
み出し期間中の動作を「読み出し動作」ともいう。なお、読み出し動作を行うタイミング
は適宜決めることができる。なお、n行目に接続された、1列目からq列目の配線137
の電位の測定は、1列目から順に行ってもよいし、1列目からq列目までを同時に行って
もよいし、複数列単位で行ってもよい。
【0087】
なお、グローバルシャッタ方式では、リセット動作及び蓄積動作を全画素で一斉に行うた
め、全ての列の画素において、一斉に電位TX及び電位PRの電位を変化させればよい。
【0088】
蓄積動作が終了してから読み出し動作が開始されるまでの期間は、各行の画素のノードF
Dに電荷が保持されるため、当該期間を電荷保持期間ともいう。グローバルシャッタ方式
では、リセット動作と蓄積動作を全画素で一斉に行うため、露光期間が終了するタイミン
グは全画素で同じとなる。しかし、各行の画素について順次読み出し動作を行うため、電
荷保持期間が各行の画素によって異なる。例えば、1行目の画素の電荷保持期間は、時刻
T3からT4までの期間であるが、2行目の画素の電荷保持期間は、時刻T3から時刻T
5までの期間である。このように、読み出し動作は各行毎に行うため、読み出し期間が開
始されるタイミングは各行毎に異なる。よって、最終行の画素における電荷保持期間が最
長となる。
【0089】
階調数が画一的な画像を撮像すると、理想的には全ての画素において同じ高さの電位を有
する出力信号が得られる。しかし、電荷保持期間の長さが行毎に異なる場合、各行の画素
のノードFDに蓄積されている電荷が時間の経過と共にリークしてしまうと、画素の出力
信号の電位が行毎に異なってしまい、行毎にその階調数が変化した画像データが得られて
しまう。
【0090】
そこで、トランジスタ121及びトランジスタ125にオフ電流が著しく低いトランジス
タを用いることが好ましい。トランジスタ121及びトランジスタ125にオフ電流が著
しく低いトランジスタを用いることで、グローバルシャッタ方式を用いて撮像を行っても
、電荷保持期間が異なることに起因するノードFD[n]及びノードFD[n+1]の電
位変化を小さく抑えることができる。すなわち、グローバルシャッタ方式を用いて撮像を
行っても、電荷保持期間が異なることに起因する画像データの階調の変化を小さく抑え、
撮像された画像の品質を向上させることができる。
【0091】
なお、本明細書等において動作例1に示した駆動方法を通常GS駆動方法と呼ぶことにす
る。
【0092】
図5に示した回路構成を用いて、通常GS駆動方法を行う場合、n行目の画像データと、
n+1行目の画像データが混合する可能性がある。よって、トランジスタ129にオフ電
流が著しく低いトランジスタを用いることが好ましい。トランジスタ129にオフ電流が
著しく低いトランジスタを用いることによって、当該画像データの混合を抑制できる。
【0093】
本発明の一態様によれば、撮像された画像の品質を向上することができる。
【0094】
<動作例2>
次に、図10乃至図12を用いて、高速撮像を実現する撮像装置100の動作例について
説明する。図10は副画素112の動作を説明するタイミングチャートであり、図11
図12は、副画素112の動作状態を示す回路図である。
【0095】
なお、動作例2におけるフレーム間隔を期間302として図10に示す。期間302は、
リセット動作、蓄積動作、全行の画素の読み出し動作に要する時間の和となる。
【0096】
動作例2では、電位PAをH電位として、トランジスタ129をオン状態とした場合の撮
像動作について説明する。電位PAをH電位とすることで、副画素112[n]が有する
フォトダイオードPD[n]と、副画素112[n+1]が有するフォトダイオードPD
[n+1]を、並列に接続しで同時に使用することができる。すなわち、実質的に受光面
積を増やすことができる。また、動作例1と同様に、電位VRをH電位とし、電位VPお
よび電位VOをL電位とする。また、電位SEL[n]および電位SEL[n+1]をL
電位とする。
【0097】
[リセット動作]
まず、時刻T1において、電位PR、および電位TXの電位をH電位とする。すると、ト
ランジスタ121、トランジスタ122がオン状態となり、ノードND[n]、およびノ
ードFD[n]がH電位となる。また、トランジスタ125、トランジスタ126がオン
状態となり、ノードND[n+1]、およびノードFD[n+1]がH電位となる。この
動作により、ノードFD[n]およびノードFD[n+1]に保持されている電荷量がリ
セットされる(図11(A)参照。)。
【0098】
また、動作例2では、トランジスタ129をオン状態としているため、リセット期間中に
トランジスタ122またはトランジスタ126のうちどちらか一方をオフ状態としてもよ
い。なお、図示していないが、リセット期間において撮像装置100が有する全てのノー
ドFD[n]およびノードFD[n+1]がリセットされる。
【0099】
[蓄積動作]
次いで、時刻T2において、電位PRをL電位とする。また、配線144[n+1]に供
給される電位TXをL電位とする。配線144[n]に供給される電位TXはH電位のま
まとする。また、時刻T2において、フォトダイオードPD[n]およびフォトダイオー
ドPD[n+1]には、逆方向バイアスが印加されている。フォトダイオードPD[n]
およびフォトダイオードPD[n+1]に逆方向バイアスが印加されている状態で、フォ
トダイオードPD[n]およびフォトダイオードPD[n+1]に光が入射すると、フォ
トダイオードPD[n]およびフォトダイオードPD[n+1]が有する電極の他方から
一方に向かって電流が流れる(図11(B)参照。)。前述したように、この時の電流量
は光の強度に従って変化する。よって、ノードFD[n]の電位は、光の強度が高いほど
変化が大きく、光の強度が低いほど変化が小さい。
【0100】
次いで、時刻T3において、配線144[n]に供給される電位TXをL電位とする。す
ると、トランジスタ121はオフ状態となり、ノードFD[n]の電位が決定される(図
12(A)参照。)。
【0101】
次いで、時刻T3において、配線144[n+1]に供給される電位TXをH電位とする
。すると、フォトダイオードPD[n]およびフォトダイオードPD[n+1]の受光量
に応じてノードFD[n+1]の電位が変化する(図12(B)参照。)。
【0102】
次いで、時刻T4において、配線144[n+1]に供給される電位TXをL電位とする
。すると、トランジスタ125はオフ状態となり、ノードFD[n+1]の電位が決定さ
れる。なお、動作例2における露光期間を期間312として図10に示す。
【0103】
n行目の蓄積動作終了後に、リセット動作を行わずにn+1行目の蓄積動作を行うことで
、フレーム間隔を短くすることができる。
【0104】
[読み出し動作]
読み出し動作は、動作例1と同様に行うことができる。
【0105】
動作例2では、フォトダイオードPD[n]とフォトダイオードPD[n+1]が並列に
接続された状態になるため、入射光量が同じであれば、動作例1よりも短時間でノードF
D[n]及びノードFD[n+1]の電位を決定することができる。よって、露光期間を
短くすることができ、フレーム間隔を短くすることができる。
【0106】
また、n行目の蓄積動作終了後に、リセット動作を行わずにn+1行目の蓄積動作を行う
ことで、フレーム間隔を短くすることができる。よって、撮像間隔が短く、高速な撮像が
可能な固体撮像装置を提供することができる。
【0107】
リセット動作及び蓄積動作は、例えば、配線144[n]を奇数行、配線144[n+1
]を偶数行として行ってもよい。また、フォトダイオードPDが有する電極の他方を共通
とする画素を増やすことで、より連続して蓄積動作を行うことができる。すなわち、A個
の画素におけるフォトダイオードが有する電極の他方を共通とし、A回の連続した蓄積動
作で順に各画素の電荷蓄積領域に電荷を蓄積した後、各画素の撮像データを順次読み出す
ことで、短い時間間隔で連続したフレームの画像データを取得することができる。本発明
の一態様によれば、撮像間隔の短い固体撮像装置を提供することができる。
【0108】
なお、本明細書等において動作例2に示した駆動方法を高速GS駆動方法と呼ぶことにす
る。
【0109】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0110】
(実施の形態2)
本実施の形態では、副画素112の他の回路構成例について、図面を参照して説明する。
【0111】
副画素112が有するフォトダイオードPDは、アノードまたはカソードの一方をノード
NDに電気的に接続し、アノードまたはカソードの他方を配線131(もしくは配線13
2)に電気的に接続してもよい(図13(A)参照)。この場合、電位VRをL電位とし
、電位VPをH電位とすることで、前述した動作例と同様に撮像装置100を動作させる
ことができる。
【0112】
また、副画素112のノードFDに、容量素子151を設けてもよい(図13(B)参照
)。容量素子151を設けることで、ノードFDにおける画像データの保持時間を高める
ことができる。また、撮像装置100のダイナミックレンジを高めることができる。
【0113】
また、トランジスタ122のソースまたはドレインの一方は、ノードFD[n]と電気的
に接続してもよい。また、トランジスタ126のソースまたはドレインの一方は、ノード
FD[n+1]と電気的に接続してもよい(図14(A)参照)。
【0114】
また、トランジスタ122と同様に機能することができる、トランジスタ154を設けて
もよい。また、トランジスタ126と同様に機能することができる、トランジスタ155
を設けてもよい(図14(B)参照)。トランジスタ154のソースまたはドレインの一
方はノードFD[n]と電気的に接続され、ソースまたはドレインの他方は配線133と
電気的に接続され、ゲートは電位PRを供給することができる配線と電気的に接続される
。トランジスタ155のソースまたはドレインの一方はノードFD[n+1]と電気的に
接続され、ソースまたはドレインの他方は配線134と電気的に接続され、ゲートは電位
PRを供給することができる配線と電気的に接続される。
【0115】
トランジスタ122に加えてトランジスタ154を設けることで、リセット動作時に必要
な時間を短縮することができる。よって、撮像装置100の動作速度を高めることができ
る。また、トランジスタ122、トランジスタ126、トランジスタ154、及びトラン
ジスタ155の内、少なくとも1つが動作可能であればリセット動作を行うことができる
。よって、撮像装置100の信頼性を高めることができる。
【0116】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0117】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の撮像装置1100について、図面を参照して説明す
る。本実施の形態に示す撮像装置1100は、上記実施の形態に示した撮像装置100と
比べてさらにダイナミックレンジを向上させることができる構成を有する。図15は、本
発明の一態様の撮像装置1100の構成例を示す平面図である。撮像装置1100は上記
実施の形態に示した撮像装置100と同様の構成を有することができるが、画素111が
有する副画素の構成が異なる。本実施の形態では、撮像装置1100の撮像装置100と
異なる点(副画素の構成)について説明する。なお、本実施の形態において、特に説明の
ない撮像装置1100の構成については、上記実施の形態に示した撮像装置100に係る
説明を援用する。
【0118】
[副画素1112の回路構成例]
撮像装置1100が有する副画素1112の具体的な回路構成例について説明する。撮像
装置1100は、奇数行目または偶数行目のどちらか一方の画素111に副画素1112
を用い、他方の画素111に副画素112を用いる。本実施の形態では、奇数行目の画素
111に副画素1112を用い、偶数行目の画素111に副画素112を用いる例を説明
する。よって、本実施の形態においてnは1以上p以下の奇数である。
【0119】
副画素1112は、上記実施の形態に示した副画素112にトランジスタ152を付加し
た構成を有する。図16に、画素111[n]が有する副画素1112[n]と、画素1
11[n+1]が有する副画素112[n+1]が、トランジスタ129を介して電気的
に接続する回路構成例を示す。
【0120】
副画素1112[n]は、フォトダイオードPD[n](光電変換素子)、トランジスタ
121、トランジスタ123、トランジスタ124、及びトランジスタ152を含んで構
成される。図16に示す副画素1112[n]において、フォトダイオードPD[n]の
アノードまたはカソードの一方は、電位VPを供給可能な配線131と電気的に接続され
る。また、フォトダイオードPD[n]のアノードまたはカソードの他方は、トランジス
タ152のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。また、トランジスタ15
2のソースまたはドレインの他方は、ノードND[n]に電気的に接続される。また、ト
ランジスタ152のゲートは、電位PBを供給可能な配線161[n]と電気的に接続さ
れる。
【0121】
図16では、トランジスタ152としてnチャネル型のトランジスタを用いる場合を例示
しているが、pチャネル型のトランジスタを用いることも可能である。なお、他の構成に
ついては撮像装置100と同様とすることができるため、本実施の形態での詳細な説明は
省略する。
【0122】
撮像装置1100は、トランジスタ129をオフ状態とし、トランジスタ152をオン状
態として、撮像装置100と同様の通常GS駆動方法を用いた撮像を行うことができる。
また、撮像装置1100は、トランジスタ129及びトランジスタ152をオン状態とし
て、撮像装置100と同様の高速GS駆動方法を用いた撮像を行うことができる。また、
撮像装置1100は、トランジスタ129をオン状態とし、トランジスタ152をオフ状
態とすることで、受光素子に入射する光量が多い場合でも出力飽和が生じにくい高速GS
駆動方法による撮像を行うことができる。すなわち、撮像装置1100は、受光素子に入
射する光量が多い場合でも、高速GS駆動方法による正確な撮像を可能とすることができ
る。撮像装置1100は、撮像装置100よりもさらにダイナミックレンジを向上させる
ことができる。
【0123】
<動作例3>
次に、図17乃至図21を用いて、大光量下においても出力飽和が生じにくい高速撮像を
実現することができる撮像装置1100の動作例について説明する。図17は副画素11
12の動作を説明するタイミングチャートであり、図18乃至図21は、副画素1112
の動作状態を示す回路図である。
【0124】
なお、動作例3におけるフレーム間隔を期間303として図17に示す。期間303は、
リセット動作、蓄積動作、全行の画素の読み出し動作に要する時間の和となる。
【0125】
[リセット動作]
まず、時刻T1において、電位PBをL電位とする。また、電位PR、および電位TXの
電位をH電位とする。すると、トランジスタ152がオフ状態となり、トランジスタ12
1、トランジスタ122がオン状態となり、ノードND[n]、およびノードFD[n]
がH電位となる。また、トランジスタ125、トランジスタ126がオン状態となり、ノ
ードND[n+1]、およびノードFD[n+1]がH電位となる。この動作により、ノ
ードFD[n]およびノードFD[n+1]に保持されている電荷量がリセットされる(
図18参照。)。
【0126】
また、動作例2と同様に、トランジスタ129をオン状態としているため、リセット期間
中にトランジスタ122またはトランジスタ126のうちどちらか一方をオフ状態として
もよい。なお、図示していないが、リセット期間において撮像装置1100が有する全て
のノードFD[n]およびノードFD[n+1]がリセットされる。
【0127】
[蓄積動作]
次いで、時刻T2において、電位PRをL電位とする。また、配線144[n+1]に供
給される電位TXをL電位とする。配線144[n]に供給される電位TXはH電位のま
まとする。また、時刻T2において、フォトダイオードPD[n+1]には、逆方向バイ
アスが印加されている。フォトダイオードPD[n+1]に逆方向バイアスが印加されて
いる状態で、フォトダイオードPD[n+1]に光が入射すると、フォトダイオードPD
[n+1]が有する電極の他方から一方に向かって電流が流れる(図19参照。)。前述
したように、この時の電流量は光の強度に従って変化する。よって、ノードFD[n]の
電位は、光の強度が高いほど変化が大きく、光の強度が低いほど変化が小さい。
【0128】
次いで、時刻T3において、配線144[n]に供給される電位TXをL電位とする。す
ると、トランジスタ121はオフ状態となり、ノードFD[n]の電位が決定される(図
20参照。)。
【0129】
次いで、時刻T3において、配線144[n+1]に供給される電位TXをH電位とする
。すると、フォトダイオードPD[n+1]の受光量に応じてノードFD[n+1]の電
位が変化する(図21参照。)。
【0130】
次いで、時刻T4において、配線144[n+1]に供給される電位TXをL電位とする
。すると、トランジスタ121はオフ状態となり、ノードFD[n+1]の電位が決定さ
れる。なお、動作例3における露光期間を期間313として図17に示す。
【0131】
n行目の蓄積動作終了後に、リセット動作を行わずにn+1行目の蓄積動作を行うことで
、フレーム間隔を短くすることができる。
【0132】
[読み出し動作]
読み出し動作は、上記実施の形態に示した動作例1と同様に行うことができる。
【0133】
動作例2と異なり、動作例3ではフォトダイオードPD[n]を用いずフォトダイオード
PD[n+1]のみを用いるため、受光素子に入射する光量が多い時に生じやすい出力飽
和が生じにくい。
【0134】
なお、本明細書等において動作例3に示した駆動方法を高照度高速GS駆動方法と呼ぶこ
とにする。本実施の形態に示した撮像装置1100は、通常GS駆動方法、高速GS駆動
方、及び高照度高速GS駆動方法を用いた撮像を行うことができる。本発明の一態様によ
れば、ダイナミックレンジが広く、高速撮像が可能な撮像装置を実現することができる。
【0135】
また、図22に示すように、画素111[n+1]が有する副画素に、副画素1112[
n+1]を用いてもよい。図22に示す副画素1112[n+1]は、上記実施の形態に
示した副画素112にトランジスタ153を付加した構成を有する。
【0136】
図22に示す副画素1112[n+1]において、フォトダイオードPD[n+1]のア
ノードまたはカソードの一方は、電位VPを供給可能な配線132と電気的に接続される
。また、フォトダイオードPD[n+1]のアノードまたはカソードの他方は、トランジ
スタ153のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。また、トランジスタ1
53のソースまたはドレインの他方は、ノードND[n+1]に電気的に接続される。ま
た、トランジスタ153のゲートは、電位PCを供給可能な配線161[n+1]と電気
的に接続される。
【0137】
図22に示すように、トランジスタ152、に加えてトランジスタ153を設けることで
、高照度高速GS駆動方法時に用いるフォトダイオードを、フォトダイオードPD[n]
に替えてフォトダイオードPD[n+1]とすることができる。高照度高速GS駆動方法
時に、フォトダイオードPD[n]とフォトダイオードPD[n+1]を適宜切り替えて
用いることで、フォトダイオードの劣化を軽減し、撮像装置の信頼性を向上させることが
できる。
【0138】
図22では、トランジスタ152としてnチャネル型のトランジスタを用いる場合を例示
しているが、pチャネル型のトランジスタを用いることも可能である。
【0139】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0140】
(実施の形態4)
本実施の形態では、撮像装置100を、固体撮像素子の一種であるCMOSイメージセン
サで構成する場合の一例について、図23乃至図26を用いて説明する。図23に示す画
素領域251は、撮像装置100が有する画素111の一部の断面図である。図23に示
す周辺回路領域252は、撮像装置100が有する周辺回路の一部の断面図である。また
図23に示すトランジスタ241の拡大図を図24に示す。また、図23に示すトラン
ジスタ281の拡大図を図26(A)に示す。また、図23に示すトランジスタ282の
拡大図を図26(B)に示す。
【0141】
本実施の形態で例示する撮像装置100は、基板101上に絶縁層102を有し、絶縁層
102上にpin型の接合が形成された光電変換素子220を有する。すなわち、光電変
換素子220は、p型半導体層221、i型半導体層222、およびn型半導体層223
を有する。なお、光電変換素子220は、平面視において、p型半導体層221とn型半
導体層223の間にi型半導体層222を挟んで形成されている。なお、光電変換素子2
20は、i型半導体層222を設けずにp型半導体層221とn型半導体層223で構成
してもよい。光電変換素子220にi型半導体層222を設けることで、受光感度を高め
ることができる。本実施の形態で例示する光電変換素子220は、上記実施の形態に例示
したフォトダイオードPDとして機能できる。
【0142】
なお、真性半導体(i型半導体)は、理想的には、不純物を含まずにフェルミレベルが禁
制帯のほぼ中央に位置する半導体であるが、本明細書等では、ドナーとなる不純物または
アクセプタとなる不純物を添加して、フェルミレベルが禁制帯のほぼ中央に位置するよう
にした半導体も真性半導体に含む。また、ドナーとなる不純物またはアクセプタとなる不
純物を含む半導体であっても、真性半導体として機能できる状態の半導体であれば、当該
半導体は真性半導体に含まれる。
【0143】
基板101としては、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、金属基
板、半導体基板などを用いることができる。また、本実施の形態の処理温度に耐えうる耐
熱性を有するプラスチック基板を用いてもよい。その基板の一例としては、半導体基板(
例えば単結晶基板又はシリコン基板)、SOI(SOI:Silicon on Ins
ulator)基板、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、金属基板、ステンレス
・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タングステン基板、タングス
テン・ホイルを有する基板、などがある。ガラス基板の一例としては、バリウムホウケイ
酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、又はソーダライムガラスなどがある。
【0144】
また、光電変換素子220および画素回路230の形成後に、機械研磨法やエッチング法
などを用いて基板101を除去してもよい。基板101を残す場合は、基板101として
光電変換素子220で検出する光が透過できる材料を用いればよい。
【0145】
絶縁層102は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコ
ン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ラン
タン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム及び酸化タンタルなどの酸化物材料や、窒化シリコ
ン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの窒化物材料など
を、単層または多層で形成することができる。絶縁層102は、スパッタリング法やCV
D法、熱酸化法、塗布法、印刷法等を用いて形成することが可能である。
【0146】
p型半導体層221、i型半導体層222、およびn型半導体層223の形成は、例えば
、絶縁層102上に島状のi型半導体層222を形成した後に、i型半導体層222の上
にマスクを形成し、i型半導体層222の一部に選択的に不純物元素を導入して実現でき
る。不純物元素の導入は、例えば、質量分離を伴うイオン注入法や、質量分離を伴わない
イオンドーピング法を用いて行うことができる。不純物元素の導入後、マスクを除去する
【0147】
p型半導体層221、i型半導体層222、およびn型半導体層223は、単結晶半導体
、多結晶半導体、微結晶半導体、ナノクリスタル半導体、セミアモルファス半導体、非晶
質半導体、等を用いて形成することができる。例えば、非晶質シリコンや、微結晶ゲルマ
ニウム等を用いることができる。また、炭化シリコンやガリウム砒素などの化合物半導体
を用いることができる。
【0148】
p型半導体層221、i型半導体層222、およびn型半導体層223を形成するための
材料としてシリコンを用いる場合、p型の不純物元素としては、例えば第13族元素を用
いることができる。また、n型の不純物元素としては、例えば第15族元素を用いること
ができる。
【0149】
また、例えば、上記半導体層をSOIにより形成する場合、絶縁層102はBOX層(B
OX:Buried Oxide)であってもよい。
【0150】
また、本実施の形態に示す撮像装置100は、p型半導体層221、i型半導体層222
、およびn型半導体層223上に絶縁層103と絶縁層104を有する。絶縁層103お
よび絶縁層104は、絶縁層102と同様の材料および方法で形成することができる。な
お、絶縁層103と絶縁層104のどちらか一方を省略してもよいし、絶縁層をさらに積
層してもよい。
【0151】
また、本実施の形態に示す撮像装置100は、絶縁層104上に平坦な表面を有する絶縁
層105を形成する。絶縁層105は、絶縁層102と同様の材料および方法で形成する
ことができる。また、絶縁層105として、低誘電率材料(low-k材料)、シロキサ
ン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)などを用いてもよい。
また、絶縁層105表面に化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechani
cal Polishing)処理(以下、「CMP処理」ともいう。)を行ってもよい
。CMP処理を行うことにより、試料表面の凹凸を低減し、この後形成される絶縁層や導
電層の被覆性を高めることができる。
【0152】
また、絶縁層103乃至絶縁層105のp型半導体層221と重なる領域に開口224が
形成され、絶縁層103乃至絶縁層105のn型半導体層223と重なる領域に開口22
5が形成されている。また、開口224および開口225中に、コンタクトプラグ106
が形成されている。コンタクトプラグ106は絶縁層に設けられた開口内に導電性材料を
埋め込むことで形成される。導電性材料として、例えば、タングステン、ポリシリコン等
の埋め込み性の高い導電性材料を用いることができる。また、図示しないが、当該材料の
側面および底面を、チタン層、窒化チタン層又はこれらの積層等からなるバリア層(拡散
防止層)で覆うことができる。この場合、バリア層も含めてコンタクトプラグという場合
がある。
【0153】
また、絶縁層105の上に、電極226および電極227が形成されている。電極226
は、開口224において、コンタクトプラグ106を介してp型半導体層221と電気的
に接続されている。また、電極227は、開口225において、コンタクトプラグ106
を介してn型半導体層223と電気的に接続されている。
【0154】
また、電極226および電極227を覆って絶縁層107を形成されている。絶縁層10
7は、絶縁層105と同様の材料および方法で形成することができる。また、絶縁層10
7表面にCMP処理を行ってもよい。CMP処理を行うことにより、試料表面の凹凸を低
減し、この後形成される絶縁層や導電層の被覆性を高めることができる。
【0155】
電極226および電極227は、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イット
リウム、ジルコニウム、モリブデン、マンガン、銀、タンタル、またはタングステンなど
の金属、またはこれを主成分とする合金を単層構造または積層構造として用いることがで
きる。例えば、マンガンを含む銅膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する
二層構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅-マグネシウム-
アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造
、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチ
タン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上
にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン
膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を
積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造、タン
グステン膜上に銅膜を積層し、さらにその上にタングステン膜を形成する三層構造等があ
る。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネ
オジム、スカンジウムから選ばれた一または複数組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を
用いてもよい。
【0156】
なお、インジウム錫酸化物、亜鉛酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸
化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化
チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジ
ウム錫酸化物などの酸素を含む導電性材料、窒化チタン、窒化タンタルなどの窒素を含む
導電性材料を用いてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材
料を組み合わせた積層構造とすることもできる。また、前述した金属元素を含む材料と、
窒素を含む導電性材料を組み合わせた積層構造とすることもできる。また、前述した金属
元素を含む材料、酸素を含む導電性材料、および窒素を含む導電性材料を組み合わせた積
層構造とすることもできる。
【0157】
光電変換素子220は、絶縁層102側から入射した光660を検出する。
【0158】
画素111が有するトランジスタは、光電変換素子と重ねて設けてもよい。図23では、
光電変換素子220の上方にトランジスタ241及びトランジスタ246を設けている。
具体的には、トランジスタ241及びトランジスタ246を絶縁層108と絶縁層109
を介して絶縁層107上に設けている。
【0159】
本実施の形態では、トランジスタ241、トランジスタ246、及びトランジスタ289
をトップゲート構造のトランジスタとして例示しているが、ボトムゲート構造のトランジ
スタとしてもよい。
【0160】
また、上記トランジスタとして、逆スタガ型のトランジスタや、順スタガ型のトランジス
タを用いることも可能である。また、チャネルが形成される半導体層を2つのゲート電極
で挟む構造の、デュアルゲート型のトランジスタを用いることも可能である。また、シン
グルゲート構造のトランジスタに限定されず、複数のチャネル形成領域を有するマルチゲ
ート型トランジスタ、例えばダブルゲート型トランジスタとしてもよい。
【0161】
また、上記トランジスタとして、プレーナ型、FIN型(フィン型)、TRI-GATE
型(トライゲート型)などの、様々な構成のトランジスタを用いることが出来る。
【0162】
上記トランジスタは、それぞれが同様の構造を有していてもよいし、異なる構造を有して
いてもよい。トランジスタのサイズ(例えば、チャネル長、およびチャネル幅)等は、各
トランジスタで適宜調整すればよい。
【0163】
撮像装置100が有する複数のトランジスタを全て同じ構造とする場合は、それぞれのト
ランジスタを同じ工程で同時に作製することができる。
【0164】
トランジスタ241は、ゲート電極として機能することができる電極243と、ソース電
極またはドレイン電極の一方として機能することができる電極244と、ソース電極また
はドレイン電極の他方として機能することができる電極245と、ゲート絶縁層として機
能できる絶縁層117と、半導体層242と、を有する(図24参照。)。
【0165】
なお、図23では、トランジスタ241のソース電極またはドレイン電極の他方として機
能する電極と、トランジスタ246のソース電極またはドレイン電極の一方として機能す
ることができる電極を、どちらも電極245を用いて形成している。ただし、本発明の一
態様はこれに限定されない。トランジスタ241のソース電極またはドレイン電極の他方
として機能する電極と、トランジスタ246のソース電極またはドレイン電極の一方とし
て機能することができる電極を、それぞれ異なる電極を用いて形成してもよい。
【0166】
絶縁層108は、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の不純物の拡散を
防ぐ機能を有する絶縁膜を用いて形成することが好ましい。該絶縁膜としては、酸化シリ
コン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニ
ウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム等がある。なお、該
絶縁膜として、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化
アルミニウム等を用いることで、光電変換素子220側から拡散する不純物が、半導体層
242へ到達することを抑制することができる。なお、絶縁層108は、スパッタリング
法、CVD法、蒸着法、熱酸化法などにより形成することができる。絶縁層108は、こ
れらの材料を単層で、もしくは積層して用いることができる。
【0167】
絶縁層109は絶縁層102と同様の材料および方法で形成することができる。また、半
導体層242として酸化物半導体を用いる場合、絶縁層108に化学量論的組成を満たす
酸素よりも多くの酸素を含む絶縁層を用いて形成することが好ましい。化学量論的組成を
満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁層は、加熱により酸素の一部が脱離する。化学量
論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁層は、TDS分析にて、酸素原子に換
算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm以上、好ましくは3.0×
1020atoms/cm以上である絶縁層である。なお、上記TDS分析時における
膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の範
囲が好ましい。
【0168】
また、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁層は、絶縁層に酸素を添
加する処理を行って形成することもできる。酸素を添加する処理は、酸素雰囲気下による
熱処理や、イオン注入装置、イオンドーピング装置またはプラズマ処理装置を用いて行う
ことができる。酸素を添加するためのガスとしては、16もしくは18などの酸
素ガス、亜酸化窒素ガスまたはオゾンガスなどを用いることができる。なお、本明細書で
は酸素を添加する処理を「酸素ドープ処理」ともいう。
【0169】
トランジスタ241、トランジスタ246、トランジスタ289等の半導体層は、単結晶
半導体、多結晶半導体、微結晶半導体、ナノクリスタル半導体、セミアモルファス半導体
、非晶質半導体等を用いて形成することができる。例えば、非晶質シリコンや、微結晶ゲ
ルマニウム等を用いることができる。また、炭化シリコン、ガリウム砒素、酸化物半導体
、窒化物半導体などの化合物半導体や、有機半導体等を用いることができる。
【0170】
本実施の形態では、半導体層242として酸化物半導体を用いる例について説明する。ま
た、本実施の形態では、半導体層242を、半導体層242a、半導体層242b、およ
び半導体層242cの積層とする場合について説明する。
【0171】
半導体層242a、半導体層242b、および半導体層242cは、InもしくはGaの
一方、または両方を含む材料で形成する。代表的には、In-Ga酸化物(InとGaを
含む酸化物)、In-Zn酸化物(InとZnを含む酸化物)、In-M-Zn酸化物(
Inと、元素Mと、Znを含む酸化物。元素Mは、Al、Ti、Ga、Y、Zr、La、
Ce、NdまたはHfから選ばれた1種類以上の元素で、Inよりも酸素との結合力が強
い金属元素である。)がある。
【0172】
半導体層242aおよび半導体層242cは、半導体層242bを構成する金属元素のう
ち、1種類以上の同じ金属元素を含む材料により形成されることが好ましい。このような
材料を用いると、半導体層242aおよび半導体層242bとの界面、ならびに半導体層
242cおよび半導体層242bとの界面に界面準位を生じにくくすることができる。よ
って、界面におけるキャリアの散乱や捕獲が生じにくく、トランジスタの電界効果移動度
を向上させることが可能となる。また、トランジスタのしきい値電圧のばらつきを低減す
ることが可能となる。よって、良好な電気特性を有する半導体装置を実現することが可能
となる。
【0173】
半導体層242aおよび半導体層242cの厚さは、3nm以上100nm以下、好まし
くは3nm以上50nm以下とする。また、半導体層242bの厚さは、3nm以上20
0nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下、さらに好ましくは3nm以上50n
m以下とする。
【0174】
また、半導体層242bがIn-M-Zn酸化物であり、半導体層242aおよび半導体
層242cもIn-M-Zn酸化物であるとき、半導体層242aおよび半導体層242
cをIn:M:Zn=x:y:z[原子数比]、半導体層242bをIn:M:Z
n=x:y:z[原子数比]とすると、y/xがy/xよりも大きくなる
ように半導体層242a、半導体層242c、および半導体層242bを選択する。好ま
しくは、y/xがy/xよりも1.5倍以上大きくなるように半導体層242a
、半導体層242c、および半導体層242bを選択する。さらに好ましくは、y/x
がy/xよりも2倍以上大きくなるように半導体層242a、半導体層242c、
および半導体層242bを選択する。より好ましくは、y/xがy/xよりも3
倍以上大きくなるように半導体層242a、半導体層242cおよび半導体層242bを
選択する。このとき、半導体層242bにおいて、yがx以上であるとトランジスタ
に安定した電気特性を付与できるため好ましい。ただし、yがxの3倍以上になると
、トランジスタの電界効果移動度が低下してしまうため、yはxの3倍未満であると
好ましい。半導体層242aおよび半導体層242cを上記構成とすることにより、半導
体層242aおよび半導体層242cを、半導体層242bよりも酸素欠損が生じにくい
層とすることができる。
【0175】
なお、半導体層242aおよび半導体層242cがIn-M-Zn酸化物であるとき、Z
nおよびOを除いてのInと元素Mの含有率は、好ましくはInが50atomic%未
満、元素Mが50atomic%以上、さらに好ましくはInが25atomic%未満
、元素Mが75atomic%以上とする。また、半導体層242bがIn-M-Zn酸
化物であるとき、ZnおよびOを除いてのInと元素Mの含有率は好ましくはInが25
atomic%以上、元素Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34a
tomic%以上、元素Mが66atomic%未満とする。
【0176】
例えば、InまたはGaを含む半導体層242a、およびInまたはGaを含む半導体層
242cとしてIn:Ga:Zn=1:3:2、1:3:4、1:3:6、1:6:4、
または1:9:6などの原子数比のターゲットを用いて形成したIn-Ga-Zn酸化物
や、In:Ga=1:9などの原子数比のターゲットを用いて形成したIn-Ga酸化物
や、酸化ガリウムなどを用いることができる。また、半導体層242bとしてIn:Ga
:Zn=3:1:2、1:1:1、5:5:6、または4:2:4.1などの原子数比の
ターゲットを用いて形成したIn-Ga-Zn酸化物を用いることができる。なお、半導
体層242aおよび半導体層242bの原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比
のプラスマイナス20%の変動を含む。
【0177】
半導体層242bを用いたトランジスタに安定した電気特性を付与するためには、半導体
層242b中の不純物および酸素欠損を低減して高純度真性化し、半導体層242bを真
性または実質的に真性と見なせる酸化物半導体層とすることが好ましい。また、少なくと
も半導体層242b中のチャネル形成領域が真性または実質的に真性と見なせる半導体層
とすることが好ましい。
【0178】
なお、実質的に真性と見なせる酸化物半導体層とは、酸化物半導体層中のキャリア密度が
、1×1017/cm未満、1×1015/cm未満、または1×1013/cm
未満である酸化物半導体層をいう。
【0179】
[酸化物半導体のエネルギーバンド構造]
ここで、半導体層242a、半導体層242b、および半導体層242cの積層により構
成される半導体層242の機能およびその効果について、図25に示すエネルギーバンド
構造図を用いて説明する。図25は、図24にC1-C2の一点鎖線で示す部位のエネル
ギーバンド構造図である。図25は、トランジスタ241のチャネル形成領域のエネルギ
ーバンド構造を示している。
【0180】
図25中、Ec382、Ec383a、Ec383b、Ec383c、Ec386は、そ
れぞれ、絶縁層109、半導体層242a、半導体層242b、半導体層242c、絶縁
層117の伝導帯下端のエネルギーを示している。
【0181】
ここで、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差(「電子親和力」ともいう。)は、真
空準位と価電子帯上端のエネルギーとの差(イオン化ポテンシャルともいう。)からエネ
ルギーギャップを引いた値となる。なお、エネルギーギャップは、分光エリプソメータ(
HORIBA JOBIN YVON社 UT-300)を用いて測定できる。また、真
空準位と価電子帯上端のエネルギー差は、紫外線光電子分光分析(UPS:Ultrav
iolet Photoelectron Spectroscopy)装置(PHI社
VersaProbe)を用いて測定できる。
【0182】
なお、原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:2のターゲットを用いて形成したIn-G
a-Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.5eV、電子親和力は約4.5eVである
。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:4のターゲットを用いて形成したIn-
Ga-Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.4eV、電子親和力は約4.5eVであ
る。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:6のターゲットを用いて形成したIn
-Ga-Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.3eV、電子親和力は約4.5eVで
ある。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:6:2のターゲットを用いて形成したI
n-Ga-Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.9eV、電子親和力は約4.3eV
である。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:6:8のターゲットを用いて形成した
In-Ga-Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.5eV、電子親和力は約4.4e
Vである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:6:10のターゲットを用いて形成
したIn-Ga-Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.5eV、電子親和力は約4.
5eVである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1のターゲットを用いて形
成したIn-Ga-Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.2eV、電子親和力は約4
.7eVである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=3:1:2のターゲットを用いて
形成したIn-Ga-Zn酸化物のエネルギーギャップは約2.8eV、電子親和力は約
5.0eVである。
【0183】
絶縁層109と絶縁層117は絶縁物であるため、Ec382とEc386は、Ec38
3a、Ec383b、およびEc383cよりも真空準位に近い(電子親和力が小さい)
【0184】
また、Ec383aは、Ec383bよりも真空準位に近い。具体的には、Ec383a
は、Ec383bよりも0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上または0
.15eV以上、かつ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下または0.4eV以下真
空準位に近いことが好ましい。
【0185】
また、Ec383cは、Ec383bよりも真空準位に近い。具体的には、Ec383c
は、Ec383bよりも0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上または0
.15eV以上、かつ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下または0.4eV以下真
空準位に近いことが好ましい。
【0186】
また、半導体層242aと半導体層242bとの界面近傍、および、半導体層242bと
半導体層242cとの界面近傍では、混合領域が形成されるため、伝導帯下端のエネルギ
ーは連続的に変化する。即ち、これらの界面において、準位は存在しないか、ほとんどな
い。
【0187】
従って、当該エネルギーバンド構造を有する積層構造において、電子は半導体層242b
を主として移動することになる。そのため、半導体層242aと絶縁層107との界面、
または、半導体層242cと絶縁層117との界面に準位が存在したとしても、当該準位
は電子の移動にほとんど影響しない。また、半導体層242aと半導体層242bとの界
面、および半導体層242cと半導体層242bとの界面に準位が存在しないか、ほとん
どないため、当該領域において電子の移動を阻害することもない。従って、上記酸化物半
導体の積層構造を有するトランジスタ241は、高い電界効果移動度を実現することがで
きる。
【0188】
なお、図24に示すように、半導体層242aと絶縁層109の界面、および半導体層2
42cと絶縁層117の界面近傍には、不純物や欠陥に起因したトラップ準位390が形
成され得るものの、半導体層242a、および半導体層242cがあることにより、半導
体層242bと当該トラップ準位とを遠ざけることができる。
【0189】
特に、本実施の形態に例示するトランジスタ241は、半導体層242bの上面が半導体
層242cと接し、半導体層242bの下面が半導体層242aと接して形成されている
。このように、半導体層242bを半導体層242aと半導体層242cで覆う構成とす
ることで、上記トラップ準位の影響をさらに低減することができる。
【0190】
ただし、Ec383aまたはEc383cと、Ec383bとのエネルギー差が小さい場
合、半導体層242bの電子が該エネルギー差を越えてトラップ準位に達することがある
。トラップ準位に電子が捕獲されることで、絶縁層の界面にマイナスの固定電荷が生じ、
トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。
【0191】
従って、Ec383a、およびEc383cと、Ec383bとのエネルギー差を、それ
ぞれ0.1eV以上、好ましくは0.15eV以上とすると、トランジスタのしきい値電
圧の変動が低減され、トランジスタの電気特性を良好なものとすることができるため、好
ましい。
【0192】
また、半導体層242a、および半導体層242cのバンドギャップは、半導体層242
bのバンドギャップよりも広いほうが好ましい。
【0193】
本発明の一態様によれば、電気特性のばらつきが少ないトランジスタを実現することがで
きる。よって、電気特性のばらつきが少ない半導体装置を実現することができる。本発明
の一態様によれば、信頼性の良好なトランジスタを実現することができる。よって、信頼
性の良好な半導体装置を実現することができる。
【0194】
また、酸化物半導体のバンドギャップは2eV以上あるため、チャネルが形成される半導
体層に酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流を極めて小さくすることができる
。具体的には、チャネル幅1μm当たりのオフ電流を室温下において1×10-20A未
満、好ましくは1×10-22A未満、さらに好ましくは1×10-24A未満とするこ
とができる。すなわち、オンオフ比を20桁以上150桁以下とすることができる。
【0195】
本発明の一態様によれば、消費電力が少ないトランジスタを実現することができる。よっ
て、消費電力が少ない撮像装置や半導体装置を実現することができる。
【0196】
また、酸化物半導体はバンドギャップが広いため、酸化物半導体を用いた半導体装置は使
用できる環境の温度範囲が広い。本発明の一態様によれば、動作温度範囲が広い撮像装置
や半導体装置を実現することができる。
【0197】
なお、上述の3層構造は一例である。例えば、半導体層242aまたは半導体層242c
の一方を形成しない2層構造としても構わない。
【0198】
[酸化物半導体について]
ここで、半導体層242に適用可能な酸化物半導体について詳細に説明しておく。
【0199】
半導体層として酸化物半導体を用いる場合は、CAAC-OS(C Axis Alig
ned Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶
酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、nc-OS(nano Crystalline
Oxide Semiconductor)、非晶質酸化物半導体などを用いることが
できる。
【0200】
CAAC-OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。
【0201】
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Micro
scope)によって、CAAC-OS膜の明視野像および回折パターンの複合解析像(
高分解能TEM像ともいう。)を観察することで複数の結晶部を確認することができる。
一方、高分解能TEM像によっても明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバ
ウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC-OS膜は、結
晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0202】
試料面と概略平行な方向から、CAAC-OS膜の断面の高分解能TEM像を観察すると
、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は
、CAAC-OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映し
た形状であり、CAAC-OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
【0203】
断面の高分解能TEM像および平面の高分解能TEM像より、CAAC-OS膜の結晶部
は配向性を有していることがわかる。
【0204】
CAAC-OS膜では、異なる結晶部間ではa軸およびb軸の配向は不規則であるが、c
軸配向性を有し、かつc軸が被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向を向いてい
る。
【0205】
なお、結晶部は、CAAC-OS膜を成膜した際、または加熱処理などの結晶化処理を行
った際に形成される。上述したように、結晶のc軸は、CAAC-OS膜の被形成面また
は上面の法線ベクトルに平行な方向に配向する。従って、例えば、CAAC-OS膜の形
状をエッチングなどによって変化させた場合、結晶のc軸がCAAC-OS膜の被形成面
または上面の法線ベクトルと平行にならないこともある。
【0206】
また、CAAC-OS膜中において、c軸配向した結晶部の分布が均一でなくてもよい。
例えば、CAAC-OS膜の結晶部が、CAAC-OS膜の上面近傍からの結晶成長によ
って形成される場合、上面近傍の領域は、被形成面近傍の領域よりもc軸配向した結晶部
の割合が高くなることがある。また、不純物の添加されたCAAC-OS膜は、不純物が
添加された領域が変質し、部分的にc軸配向した結晶部の割合の異なる領域が形成される
こともある。
【0207】
CAAC-OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、
シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコ
ンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化
物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる
要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径
(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の
原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純
物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
【0208】
また、CAAC-OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物
半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによって
キャリア発生源となることがある。
【0209】
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または
実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜
は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。従って、当該
酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノー
マリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真
性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体膜
を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。
なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時
間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く
、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる
場合がある。
【0210】
また、CAAC-OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性
の変動が小さい。
【0211】
次に、多結晶酸化物半導体膜について説明する。
【0212】
多結晶酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において結晶粒を確認することができる。多
結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶粒は、例えば、高分解能TEM像で、2nm以上30
0nm以下、3nm以上100nm以下または5nm以上50nm以下の粒径であること
が多い。また、多結晶酸化物半導体膜は、高分解能TEM像で、結晶粒界を確認できる場
合がある。
【0213】
多結晶酸化物半導体膜は、複数の結晶粒を有し、当該複数の結晶粒間において結晶の方位
が異なっている場合がある。
【0214】
次に、微結晶酸化物半導体膜について説明する。
【0215】
微結晶酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領
域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。微結晶酸化物半導体膜
に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大き
さであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微
結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体膜を、nc
-OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)
膜と呼ぶ。また、nc-OS膜は、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確
認できない場合がある。
【0216】
nc-OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上
3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OS膜は、異なる
結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。従
って、nc-OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付かない場
合がある。例えば、nc-OS膜に対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXRD装
置を用いて構造解析を行うと、out-of-plane法による解析では、結晶面を示
すピークが検出されない。また、nc-OS膜に対し、結晶部よりも大きいプローブ径(
例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を行う
と、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OS膜に対し、結
晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折
を行うと、スポットが観測される。また、nc-OS膜に対しナノビーム電子回折を行う
と、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc
-OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測
される場合がある。
【0217】
nc-OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。その
ため、nc-OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、
nc-OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc-O
S膜は、CAAC-OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0218】
従って、nc-OS膜は、CAAC-OS膜と比べて、キャリア密度が高くなる場合があ
る。キャリア密度が高い酸化物半導体膜は、電子移動度が高くなる場合がある。従って、
nc-OS膜を用いたトランジスタは、高い電界効果移動度を有する場合がある。また、
nc-OS膜は、CAAC-OS膜と比べて、欠陥準位密度が高いため、キャリアトラッ
プが多くなる場合がある。従って、nc-OS膜を用いたトランジスタは、CAAC-O
S膜を用いたトランジスタと比べて、電気特性の変動が大きく、信頼性の低いトランジス
タとなる。ただし、nc-OS膜は、比較的不純物が多く含まれていても形成することが
できるため、CAAC-OS膜よりも形成が容易となり、用途によっては好適に用いるこ
とができる場合がある。そのため、nc-OS膜を用いたトランジスタを有する半導体装
置は、生産性高く作製することができる場合がある。
【0219】
次に、非晶質酸化物半導体膜について説明する。
【0220】
非晶質酸化物半導体膜は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶部を有さない酸化
物半導体膜である。石英のような無定形状態を有する酸化物半導体膜が一例である。
【0221】
非晶質酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において結晶部を確認することができない。
【0222】
非晶質酸化物半導体膜に対し、XRD装置を用いた構造解析を行うと、out-of-p
lane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、非晶質酸化物半
導体膜に対し、電子回折を行うと、ハローパターンが観測される。また、非晶質酸化物半
導体膜に対し、ナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測されず、ハローパターンが
観測される。
【0223】
非晶質酸化物半導体膜は、水素などの不純物を高い濃度で含む酸化物半導体膜である。ま
た、非晶質酸化物半導体膜は、欠陥準位密度の高い酸化物半導体膜である。
【0224】
不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜は、キャリアトラップやキャリア
発生源が多い酸化物半導体膜である。
【0225】
従って、非晶質酸化物半導体膜は、nc-OS膜と比べて、さらにキャリア密度が高くな
る場合がある。そのため、非晶質酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、ノーマリーオ
ンの電気特性になりやすい。従って、ノーマリーオンの電気特性が求められるトランジス
タに好適に用いることができる場合がある。非晶質酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が高
いため、キャリアトラップが多くなる場合がある。従って、非晶質酸化物半導体膜を用い
たトランジスタは、CAAC-OS膜やnc-OS膜を用いたトランジスタと比べて、電
気特性の変動が大きく、信頼性の低いトランジスタとなる場合がある。
【0226】
次に、単結晶酸化物半導体膜について説明する。
【0227】
単結晶酸化物半導体膜は、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損が少ない)
酸化物半導体膜である。そのため、キャリア密度を低くすることができる。従って、単結
晶酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、ノーマリーオンの電気特性になることが少な
い。また、単結晶酸化物半導体膜は、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低いため、キャ
リアトラップが少なくなる場合がある。従って、単結晶酸化物半導体膜を用いたトランジ
スタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。
【0228】
なお、酸化物半導体膜は、欠陥が少ないと密度が高くなる。また、酸化物半導体膜は、結
晶性が高いと密度が高くなる。また、酸化物半導体膜は、水素などの不純物濃度が低いと
密度が高くなる。単結晶酸化物半導体膜は、CAAC-OS膜よりも密度が高い。また、
CAAC-OS膜は、微結晶酸化物半導体膜よりも密度が高い。また、多結晶酸化物半導
体膜は、微結晶酸化物半導体膜よりも密度が高い。また、微結晶酸化物半導体膜は、非晶
質酸化物半導体膜よりも密度が高い。
【0229】
なお、酸化物半導体膜は、nc-OS膜と非晶質酸化物半導体膜との間の物性を示す構造
を有する場合がある。そのような構造を有する酸化物半導体膜を、特に非晶質ライク酸化
物半導体(amorphous-like OS:amorphous-like Ox
ide Semiconductor)膜と呼ぶ。
【0230】
なお、amorphous-like OS膜およびnc-OS膜の結晶部の大きさの計
測は、高分解能TEM像を用いて行うことができる。例えば、InGaZnOの結晶は
層状構造を有し、In-O層の間に、Ga-Zn-O層を2層有する。InGaZnO
の結晶の単位格子は、In-O層を3層有し、またGa-Zn-O層を6層有する、計9
層がc軸方向に層状に重なった構造を有する。よって、これらの近接する層同士の間隔は
、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその
値は0.29nmと求められている。そのため、高分解能TEM像における格子縞に着目
し、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所においては、それぞれ
の格子縞がInGaZnOの結晶のa-b面に対応すると見なした。その格子縞の観察
される領域のおける最大長を、amorphous-like OS膜およびnc-OS
膜の結晶部の大きさとする。なお、結晶部の大きさは、0.8nm以上のものを選択的に
評価する。
【0231】
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、CA
AC-OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0232】
ところで、酸化物半導体膜がCAAC-OS膜であったとしても、部分的にnc-OS膜
などと同様の回折パターンが観測される場合がある。したがって、CAAC-OS膜の良
否は、一定の範囲におけるCAAC-OS膜の回折パターンが観測される領域の割合(C
AAC化率ともいう。)で表すことができる場合がある。例えば、良質なCAAC-OS
膜であれば、CAAC化率は、50%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは9
0%以上、より好ましくは95%以上となる。なお、CAAC-OS膜と異なる回折パタ
ーンが観測される領域の割合を非CAAC化率と表記する。
【0233】
半導体層242a、半導体層242b、および半導体層242cに適用可能な酸化物半導
体の一例として、インジウムを含む酸化物を挙げることができる。酸化物は、例えば、イ
ンジウムを含むと、キャリア移動度(電子移動度)が高くなる。また、酸化物半導体は、
元素Mを含むと好ましい。元素Mは、好ましくは、アルミニウム、ガリウム、イットリウ
ムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、シリコ
ン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、
ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステンなどがある。ただ
し、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。元素Mは、例
えば、酸素との結合エネルギーが高い元素である。元素Mは、例えば、酸化物のエネルギ
ーギャップを大きくする機能を有する元素である。また、酸化物半導体は、亜鉛を含むと
好ましい。酸化物が亜鉛を含むと、例えば、酸化物を結晶化しやすくなる。
【0234】
ただし、酸化物半導体は、インジウムを含む酸化物に限定されない。酸化物半導体は、例
えば、亜鉛スズ酸化物、ガリウムスズ酸化物、ガリウム酸化物であっても構わない。
【0235】
また酸化物半導体は、エネルギーギャップが大きい酸化物を用いる。酸化物半導体のエネ
ルギーギャップは、例えば、2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.8eV以上
3.8eV以下、さらに好ましくは3eV以上3.5eV以下とする。
【0236】
以下では、酸化物半導体中における不純物の影響について説明する。なお、トランジスタ
の電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減し、低キャリア密
度化および高純度化することが有効である。なお、酸化物半導体のキャリア密度は、1×
1017個/cm未満、1×1015個/cm未満、または1×1013個/cm
未満とする。酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃
度も低減することが好ましい。
【0237】
例えば、酸化物半導体中のシリコンは、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合が
ある。そのため、酸化物半導体中のシリコン濃度を、二次イオン質量分析法(SIMS:
Secondary Ion Mass Spectrometry)において、1×1
19atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm未満、さら
に好ましくは2×1018atoms/cm未満とする。
【0238】
また、酸化物半導体中に水素が含まれると、キャリア密度を増大させてしまう場合がある
。酸化物半導体の水素濃度はSIMSにおいて、2×1020atoms/cm以下、
好ましくは5×1019atoms/cm以下、より好ましくは1×1019atom
s/cm以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm以下とする。また、
酸化物半導体中に窒素が含まれると、キャリア密度を増大させてしまう場合がある。酸化
物半導体の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm未満、好ま
しくは5×1018atoms/cm以下、より好ましくは1×1018atoms/
cm以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm以下とする。
【0239】
また、酸化物半導体の水素濃度を低減するために、半導体層242と接する絶縁層109
および絶縁層117の水素濃度を低減すると好ましい。絶縁層109および絶縁層117
の水素濃度はSIMSにおいて、2×1020atoms/cm以下、好ましくは5×
1019atoms/cm以下、より好ましくは1×1019atoms/cm以下
、さらに好ましくは5×1018atoms/cm以下とする。また、酸化物半導体の
窒素濃度を低減するために、絶縁層109および絶縁層117の窒素濃度を低減すると好
ましい。絶縁層109および絶縁層117の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×10
atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm以下、より好ま
しくは1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1017atoms
/cm以下とする。
【0240】
本実施の形態では、まず、絶縁層109上に半導体層242aを形成し、半導体層242
a上に半導体層242bを形成する。
【0241】
なお、酸化物半導体層の成膜には、スパッタ法を用いることが好ましい。スパッタ法とし
ては、RFスパッタ法、DCスパッタ法、ACスパッタ法等を用いることができる。DC
スパッタ法、またはACスパッタ法は、RFスパッタ法よりも均一性良く成膜することが
できる。
【0242】
本実施の形態では、半導体層242aとして、In-Ga-Zn酸化物ターゲット(In
:Ga:Zn=1:3:2)を用いて、スパッタリング法により厚さ20nmのIn-G
a-Zn酸化物を形成する。なお、半導体層242aに適用可能な構成元素および組成は
これに限られるものではない。
【0243】
また、半導体層242a形成後に酸素ドープ処理を行ってもよい。
【0244】
次に、半導体層242a上に、半導体層242bを形成する。本実施の形態では、半導体
層242bとして、In-Ga-Zn酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1
)を用いて、スパッタリング法により厚さ30nmのIn-Ga-Zn酸化物を形成する
。なお、半導体層242bに適用可能な構成元素および組成はこれに限られるものではな
い。
【0245】
また、半導体層242b形成後に酸素ドープ処理を行ってもよい。
【0246】
次に、半導体層242aおよび半導体層242bに含まれる水分または水素などの不純物
をさらに低減して、半導体層242aおよび半導体層242bを高純度化するために、加
熱処理を行ってもよい。
【0247】
例えば、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性雰囲気下、酸化性雰囲気下、又は超乾
燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定
した場合の水分量が20ppm(露点換算で-55℃)以下、好ましくは1ppm以下、
好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下で、半導体層242aおよび半導体層242
bに加熱処理を施す。なお、酸化性雰囲気とは、酸素、オゾンまたは窒化酸素などの酸化
性ガスを10ppm以上含有する雰囲気をいう。また、不活性雰囲気とは、前述の酸化性
ガスが10ppm未満であり、その他、窒素または希ガスで充填された雰囲気をいう。
【0248】
また、加熱処理を行うことにより、不純物の放出と同時に絶縁層109に含まれる酸素を
半導体層242aおよび半導体層242bに拡散させ、半導体層242aおよび半導体層
242bの酸素欠損を低減することができる。なお、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後
に、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行
ってもよい。なお、加熱処理は、半導体層242bの形成後であれば、いつ行ってもよい
。例えば、半導体層242bの選択的なエッチング後に加熱処理を行ってもよい。
【0249】
加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下で行えば
よい。処理時間は24時間以内とする。24時間を超える加熱処理は生産性の低下を招く
ため好ましくない。
【0250】
次に、半導体層242b上にレジストマスクを形成し、該レジストマスクを用いて、半導
体層242aおよび半導体層242bの一部を選択的にエッチングする。この時、絶縁層
109の一部がエッチングされ、絶縁層109に凸部が形成される場合がある。
【0251】
半導体層242aおよび半導体層242bのエッチングは、ドライエッチング法でもウェ
ットエッチング法でもよく、両方を用いてもよい。エッチング終了後、レジストマスクを
除去する。
【0252】
また、トランジスタ241は、半導体層242b上に、半導体層242bの一部と接して
、電極244および電極245を有する。電極244および電極245(これらと同じ層
で形成される他の電極または配線を含む)は、電極226と同様の材料および方法で形成
することができる。
【0253】
また、トランジスタ241は、半導体層242b、電極244、および電極245上に半
導体層242cを有する。半導体層242cは、半導体層242b、電極244、および
電極245の、それぞれの一部と接する。
【0254】
本実施の形態では、半導体層242cを、In-Ga-Zn酸化物ターゲット(In:G
a:Zn=1:3:2)を用いたスパッタリング法により形成する。なお、半導体層24
2cに適用可能な構成元素および組成はこれに限られるものではない。例えば、半導体層
242cとして酸化ガリウムを用いてもよい。また、半導体層242cに酸素ドープ処理
を行ってもよい。
【0255】
また、トランジスタ241は、半導体層242c上に絶縁層117を有する。絶縁層11
7はゲート絶縁層として機能することができる。絶縁層117は、絶縁層102と同様の
材料及び方法で形成することができる。また、絶縁層117に酸素ドープ処理を行っても
よい。
【0256】
半導体層242cおよび絶縁層117の形成後、絶縁層117上にマスクを形成し、半導
体層242cおよび絶縁層117の一部を選択的にエッチングして、島状の半導体層24
2c、および島状の絶縁層117としてもよい。
【0257】
また、トランジスタ241は、絶縁層117上に電極243を有する。電極243(これ
らと同じ層で形成される他の電極または配線を含む)は、電極226と同様の材料および
方法で形成することができる。
【0258】
本実施の形態では、電極243を電極243aと電極243bの積層とする例を示してい
る。例えば、電極243aを窒化タンタルで形成し、電極243bを銅で形成する。電極
243aがバリア層として機能し、銅元素の拡散を防ぐことができる。よって、信頼性の
高い半導体装置を実現することができる。
【0259】
また、トランジスタ241は、電極243を覆う絶縁層118を有する。絶縁層118は
、絶縁層102と同様の材料及び方法で形成することができる。また、絶縁層118に酸
素ドープ処理を行ってもよい。また、絶縁層118表面にCMP処理を行ってもよい。
【0260】
また、絶縁層118上に絶縁層113を有する。絶縁層113は、絶縁層105と同様の
材料および方法で形成することができる。また、絶縁層113表面にCMP処理を行って
もよい。CMP処理を行うことにより、試料表面の凹凸を低減し、この後形成される絶縁
層や導電層の被覆性を高めることができる。また、絶縁層113および絶縁層118の一
部に開口が形成されている。また、該開口中に、コンタクトプラグ114が形成されてい
る。
【0261】
また、絶縁層113の上に、配線261、配線265、および配線267(これらと同じ
層で形成される他の電極または配線を含む)が形成されている。配線267は、絶縁層1
13及び絶縁層118に設けられた開口において、コンタクトプラグ114を介して電極
249と電気的に接続されている。また、配線265は、絶縁層113及び絶縁層118
に設けられた開口において、コンタクトプラグ114を介して電極244と電気的に接続
されている。
【0262】
また、撮像装置100は、配線261、配線265、および配線267(これらと同じ層
で形成される他の電極または配線を含む)を覆って絶縁層115を有する。絶縁層115
は、絶縁層105と同様の材料および方法で形成することができる。また、絶縁層115
表面にCMP処理を行ってもよい。CMP処理を行うことにより、試料表面の凹凸を低減
し、この後形成される絶縁層や導電層の被覆性を高めることができる。また、絶縁層11
5の一部に開口が形成されている。
【0263】
また、絶縁層115の上に、配線263、および配線266(これらと同じ層で形成され
る他の電極または配線を含む)が形成されている。
【0264】
なお、配線263、および配線266(これらと同じ層で形成される他の電極または配線
を含む)は、それぞれが絶縁層中に形成された開口およびコンタクトプラグを介して、他
層の配線または他層の電極と電気的に接続することができる。
【0265】
また、配線263、および配線266を覆って絶縁層116を有する。絶縁層116は、
絶縁層105と同様の材料および方法で形成することができる。また、絶縁層116表面
にCMP処理を行ってもよい。
【0266】
図23に示すトランジスタ241は、例えば、トランジスタ121相当する。光電変換素
子220上に画素を構成するトランジスタを設けることで、平面視において光電変換素子
220の占有面積を大きくすることができる。よって、撮像装置100の受光感度を高め
ることができる。また、解像度を高めても受光感度が低下しにくい撮像装置100を実現
することができる。
【0267】
周辺回路を構成するトランジスタの一例として、図23に示したトランジスタ281の拡
大断面図を図26(A)に示す。また、図23に示したトランジスタ282の拡大断面図
図26(B)に示す。本実施の形態では、一例として、トランジスタ281がpチャネ
ル型のトランジスタ、トランジスタ282がnチャネル型のトランジスタである場合につ
いて説明する。
【0268】
トランジスタ281は、チャネルが形成されるi型半導体層283、p型半導体層285
、絶縁層286、電極287、側壁288を有する。また、i型半導体層283中の側壁
288と重なる領域に低濃度p型不純物領域284を有する。
【0269】
トランジスタ281が有するi型半導体層283は、光電変換素子220が有するi型半
導体層222と同一工程で同時に形成することができる。また、トランジスタ281が有
するp型半導体層285は、光電変換素子220が有するp型半導体層221と同一工程
で同時に形成することができる。
【0270】
絶縁層286はゲート絶縁層として機能できる。また、電極287はゲート電極として機
能できる。低濃度p型不純物領域284は、電極287形成後、側壁288形成前に、電
極287をマスクとして用いて不純物元素を導入することにより形成することができる。
すなわち、低濃度p型不純物領域284は、自己整合方式により形成することができる。
なお、低濃度p型不純物領域284はp型半導体層285と同じ導電型を有し、導電型を
付与する不純物の濃度がp型半導体層285よりも少ない。
【0271】
トランジスタ282はトランジスタ281と同様の構成を有するが、低濃度p型不純物領
域284とp型半導体層285に換えて、低濃度n型不純物領域294とn型半導体層2
95を有する点が異なる。
【0272】
また、トランジスタ282が有するn型半導体層295は、光電変換素子220が有する
n型半導体層223と同一工程で同時に形成することができる。また、トランジスタ28
1と同様に、低濃度n型不純物領域294は、自己整合方式により形成することができる
。なお、低濃度n型不純物領域294はn型半導体層295と同じ導電型を有し、導電型
を付与する不純物の濃度がn型半導体層295よりも少ない。
【0273】
なお、本明細書等で開示された、金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜はスパッタ
法やプラズマCVD法により形成することができるが、他の方法、例えば、熱CVD(C
hemical Vapor Deposition)法により形成してもよい。熱CV
D法の例としてMOCVD(Metal Organic Chemical Vapo
r Deposition)法やALD(Atomic Layer Depositi
on)法を使っても良い。
【0274】
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生成
されることが無いという利点を有する。
【0275】
熱CVD法は、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、チャンバー内を大気圧ま
たは減圧下とし、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで成膜を行
ってもよい。
【0276】
また、ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスが順
次にチャンバーに導入され、そのガス導入の順序を繰り返すことで成膜を行ってもよい。
例えば、それぞれのスイッチングバルブ(高速バルブとも呼ぶ)を切り替えて2種類以上
の原料ガスを順番にチャンバーに供給し、複数種の原料ガスが混ざらないように第1の原
料ガスと同時またはその後に不活性ガス(アルゴン、或いは窒素など)などを導入し、第
2の原料ガスを導入する。なお、同時に不活性ガスを導入する場合には、不活性ガスはキ
ャリアガスとなり、また、第2の原料ガスの導入時にも同時に不活性ガスを導入してもよ
い。また、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した後
、第2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着して第1の層を
成膜し、後から導入される第2の原料ガスと反応して、第2の層が第1の層上に積層され
て薄膜が形成される。このガス導入順序を制御しつつ所望の厚さになるまで複数回繰り返
すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、ガス導入順
序を繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり、微
細なFET(Field Effect Transistor)を作製する場合に適し
ている。
【0277】
MOCVD法やALD法などの熱CVD法は、これまでに記載した実施形態に開示された
金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜を形成することができ、例えば、In-Ga
-Zn-O膜を成膜する場合には、トリメチルインジウム、トリメチルガリウム、及びジ
メチル亜鉛を用いる。なお、トリメチルインジウムの化学式は、In(CHである
。また、トリメチルガリウムの化学式は、Ga(CHである。また、ジメチル亜鉛
の化学式は、Zn(CHである。また、これらの組み合わせに限定されず、トリメ
チルガリウムに代えてトリエチルガリウム(化学式Ga(C)を用いることも
でき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル亜鉛(化学式Zn(C)を用いることも
できる。
【0278】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化ハフニウム膜を形成する場合には、溶媒と
ハフニウム前駆体化合物を含む液体(ハフニウムアルコキシドや、テトラキスジメチルア
ミドハフニウム(TDMAH)などのハフニウムアミド)を気化させた原料ガスと、酸化
剤としてオゾン(O)の2種類のガスを用いる。なお、テトラキスジメチルアミドハフ
ニウムの化学式はHf[N(CHである。また、他の材料液としては、テトラ
キス(エチルメチルアミド)ハフニウムなどがある。
【0279】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化アルミニウム膜を形成する場合には、溶媒
とアルミニウム前駆体化合物を含む液体(トリメチルアルミニウム(TMA)など)を気
化させた原料ガスと、酸化剤としてHOの2種類のガスを用いる。なお、トリメチルア
ルミニウムの化学式はAl(CHである。また、他の材料液としては、トリス(ジ
メチルアミド)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、アルミニウムトリス(2,
2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)などがある。
【0280】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化シリコン膜を形成する場合には、ヘキサク
ロロジシランを被成膜面に吸着させ、吸着物に含まれる塩素を除去し、酸化性ガス(O
、一酸化二窒素)のラジカルを供給して吸着物と反応させる。
【0281】
例えば、ALDを利用する成膜装置によりタングステン膜を成膜する場合には、WF
スとBガスを順次繰り返し導入して初期タングステン膜を形成し、その後、WF
ガスとHガスを順次繰り返し導入してタングステン膜を形成する。なお、Bガス
に代えてSiHガスを用いてもよい。
【0282】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体膜、例えばIn-Ga-Zn-O
膜を成膜する場合には、In(CHガスとOガスを順次繰り返し導入してIn-
O層を形成し、その後、Ga(CHガスとOガスを順次繰り返し導入してGaO
層を形成し、更にその後Zn(CHガスとOガスを順次繰り返し導入してZnO
層を形成する。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。また、これらのガスを用い
てIn-Ga-O層やIn-Zn-O層、Ga-Zn-O層などの混合化合物層を形成し
ても良い。なお、Oガスに変えてAr等の不活性ガスでバブリングして得られたH
ガスを用いても良いが、Hを含まないOガスを用いる方が好ましい。また、In(CH
ガスにかえて、In(Cガスを用いても良い。また、Ga(CH
ガスにかえて、Ga(Cガスを用いても良い。また、Zn(CHガスを
用いても良い。
【0283】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0284】
(実施の形態5)
周辺回路及び画素回路に、OR回路、AND回路、NAND回路、及びNOR回路などの
論理回路や、インバータ回路、バッファ回路、シフトレジスタ回路、フリップフロップ回
路、エンコーダ回路、デコーダ回路、増幅回路、アナログスイッチ回路、積分回路、微分
回路、及びメモリ素子などを適宜設けることができる。
【0285】
本実施の形態では、図27(A)乃至図27(E)を用いて、周辺回路及び画素回路に用
いることができるCMOS回路などの一例を示す。図27(A)乃至図27(E)に示す
回路図において、酸化物半導体を用いたトランジスタであることを明示するために、酸化
物半導体を用いたトランジスタの回路記号に「OS」の記載を付している。
【0286】
図27(A)に示すCMOS回路は、pチャネル型のトランジスタ281とnチャネル型
のトランジスタ282を直列に接続し、且つ、それぞれのゲートを接続した、いわゆるイ
ンバータ回路の構成例を示している。
【0287】
図27(B)に示すCMOS回路は、pチャネル型のトランジスタ281とnチャネル型
のトランジスタ282を並列に接続した、いわゆるアナログスイッチ回路の構成例を示し
ている。
【0288】
図27(C)に示す回路は、nチャネル型のトランジスタ289のソースまたはドレイン
の一方を、pチャネル型のトランジスタのゲートおよび容量素子257の一方の電極に接
続した、いわゆるメモリ素子の構成例を示している。また、図27(D)に示す回路は、
nチャネル型のトランジスタ289のソースまたはドレインの一方を、容量素子257の
一方の電極に接続した、いわゆるメモリ素子の構成例を示している。
【0289】
図27(C)および図27(D)に示す回路は、トランジスタ289のソースまたはドレ
インの他方から入力された電荷を、ノード256に保持することができる。トランジスタ
289に酸化物半導体を用いたトランジスタを用いることで、長期間に渡ってノード25
6の電荷を保持することができる。また、トランジスタ281を、チャネルが形成される
半導体層に酸化物半導体を用いたトランジスタとしてもよい。
【0290】
図27(E)に示す回路は、光センサの構成例を示している。図27(E)において、チ
ャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を用いたトランジスタ292のソースまたは
ドレインの一方はフォトダイオード291と電気的に接続され、トランジスタ292のソ
ースまたはドレインの他方はノード254を介してトランジスタ293のゲートと電気的
に接続されている。チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を用いたトランジスタ
292は、オフ電流を極めて小さくすることができるため、受光した光量に応じて決定さ
れるノード254の電位が変動しにくい。よって、ノイズの影響を受けにくい撮像装置を
実現することができる。また、リニアリティが高い撮像装置を実現することができる。
【0291】
また、周辺回路に、図28(A)に示すシフトレジスタ回路1800とバッファ回路19
00を組み合わせた回路を設けてもよい。また、周辺回路に、図28(B)に示すシフト
レジスタ回路1810とバッファ回路1910とアナログスイッチ回路2100を組み合
わせた回路を設けてもよい。各垂直出力線2110はアナログスイッチ回路2100によ
って選択され、出力信号を出力線2200に出力する。アナログスイッチ回路2100は
シフトレジスタ回路1810とバッファ回路1910で順次選択することができる。
【0292】
また、上記実施の形態に示した回路図において、配線137(OUT)に図29(A)、
図29(B)、図29(C)に示すような積分回路が接続されていてもよい。当該回路に
よって、読み出し信号のS/N比を高めることができ、より微弱な光を検出することがで
きる。すなわち、撮像装置の感度を高めることができる。
【0293】
図29(A)は、演算増幅回路(OPアンプともいう)を用いた積分回路である。演算増
幅回路の反転入力端子は、抵抗素子Rを介して配線137に接続される。演算増幅回路の
非反転入力端子は、接地電位に接続される。演算増幅回路の出力端子は、容量素子Cを介
して演算増幅回路の反転入力端子に接続される。
【0294】
図29(B)は、図29(A)とは異なる構成の演算増幅回路を用いた積分回路である。
演算増幅回路の反転入力端子は、抵抗素子Rと容量素子C1を介して配線137(OUT
)に接続される。演算増幅回路の非反転入力端子は、接地電位に接続される。演算増幅回
路の出力端子は、容量素子C2を介して演算増幅回路の反転入力端子に接続される。
【0295】
図29(C)は、図29(A)および図29(B)とは異なる構成の演算増幅回路を用い
た積分回路である。演算増幅回路の非反転入力端子は、抵抗素子Rを介して配線137に
接続される。演算増幅回路の反転入力端子は、演算増幅回路の出力端子に接続される。な
お、抵抗素子Rと容量素子Cは、CR積分回路を構成する。また、演算増幅回路はユニテ
ィゲインバッファを構成する。
【0296】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0297】
(実施の形態6)
本実施の形態では、上記実施の形態に示したトランジスタに用いることができるトランジ
スタの構成例について、図30乃至図33を用いて説明する。
【0298】
〔ボトムゲート型トランジスタ〕
図30(A1)に例示するトランジスタ410は、ボトムゲート型のトランジスタの1つ
であるチャネル保護型のトランジスタである。トランジスタ410は、半導体層242の
チャネル形成領域上に、チャネル保護層として機能できる絶縁層209を有する。絶縁層
209は、絶縁層117と同様の材料および方法により形成することができる。電極24
4の一部、および電極245の一部は、絶縁層209上に形成される。
【0299】
チャネル形成領域上に絶縁層209を設けることで、電極244および電極245の形成
時に生じる半導体層242の露出を防ぐことができる。よって、電極244および電極2
45の形成時に半導体層242の薄膜化を防ぐことができる。本発明の一態様によれば、
電気特性の良好なトランジスタを実現することができる。
【0300】
図30(A2)に示すトランジスタ411は、絶縁層118上にバックゲート電極として
機能できる電極213を有する点が、トランジスタ410と異なる。電極213は、電極
243と同様の材料および方法で形成することができる。
【0301】
一般に、バックゲート電極は導電層で形成され、ゲート電極とバックゲート電極で半導体
層のチャネル形成領域を挟むように配置される。よって、バックゲート電極は、ゲート電
極と同様に機能させることができる。バックゲート電極の電位は、ゲート電極と同電位と
してもよいし、GND電位や、任意の電位としてもよい。また、バックゲート電極の電位
をゲート電極と連動させず独立して変化させることで、トランジスタのしきい値電圧を変
化させることができる。
【0302】
電極243および電極213は、どちらもゲート電極として機能することができる。よっ
て、絶縁層117、絶縁層209、および絶縁層118は、ゲート絶縁層として機能する
ことができる。
【0303】
なお、電極243または電極213の一方を、「ゲート電極」という場合、他方を「バッ
クゲート電極」という場合がある。例えば、トランジスタ411において、電極213を
「ゲート電極」と言う場合、電極243を「バックゲート電極」と言う場合がある。また
、電極213を「ゲート電極」として用いる場合は、トランジスタ411をトップゲート
型のトランジスタの一種と考えることができる。また、電極243および電極213のど
ちらか一方を、「第1のゲート電極」といい、他方を「第2のゲート電極」という場合が
ある。
【0304】
半導体層242を挟んで電極243および電極213を設けることで、更には、電極24
3および電極213を同電位とすることで、半導体層242においてキャリアの流れる領
域が膜厚方向においてより大きくなるため、キャリアの移動量が増加する。この結果、ト
ランジスタ411のオン電流が大きくなる共に、電界効果移動度が高くなる。
【0305】
したがって、トランジスタ411は、占有面積に対して大きいオン電流を有するトランジ
スタである。すなわち、求められるオン電流に対して、トランジスタ411の占有面積を
小さくすることができる。本発明の一態様によれば、トランジスタの占有面積を小さくす
ることができる。よって、本発明の一態様によれば、集積度の高い半導体装置を実現する
ことができる。
【0306】
また、ゲート電極とバックゲート電極は導電層で形成されるため、トランジスタの外部で
生じる電界が、チャネルが形成される半導体層に作用しないようにする機能(特に静電気
に対する静電遮蔽機能)を有する。
【0307】
また、電極243および電極213は、それぞれが外部からの電界を遮蔽する機能を有す
るため、絶縁層109側もしくは電極213上方に生じる荷電粒子等の電荷が半導体層2
42のチャネル形成領域に影響しない。この結果、ストレス試験(例えば、ゲートに負の
電荷を印加する-GBT(Gate Bias-Temperature)ストレス試験
)の劣化が抑制されると共に、異なるドレイン電圧におけるオン電流の立ち上がり電圧の
変動を抑制することができる。なお、この効果は、電極243および電極213が、同電
位、または異なる電位の場合において生じる。
【0308】
なお、BTストレス試験は加速試験の一種であり、長期間の使用によって起こるトランジ
スタの特性変化(すなわち、経年変化)を、短時間で評価することができる。特に、BT
ストレス試験前後におけるトランジスタのしきい値電圧の変動量は、信頼性を調べるため
の重要な指標となる。BTストレス試験前後において、しきい値電圧の変動量が少ないほ
ど、信頼性が高いトランジスタであるといえる。
【0309】
また、電極243および電極213を有し、且つ電極243および電極213を同電位と
することで、しきい値電圧の変動量が低減される。このため、複数のトランジスタにおけ
る電気特性のばらつきも同時に低減される。
【0310】
また、バックゲート電極を有するトランジスタは、ゲートに正の電荷を印加する+GBT
ストレス試験前後におけるしきい値電圧の変動も、バックゲート電極を有さないトランジ
スタより小さい。
【0311】
また、バックゲート電極側から光が入射する場合に、バックゲート電極を、遮光性を有す
る導電膜で形成することで、バックゲート電極側から半導体層に光が入射することを防ぐ
ことができる。よって、半導体層の光劣化を防ぎ、トランジスタのしきい値電圧がシフト
するなどの電気特性の劣化を防ぐことができる。
【0312】
本発明の一態様によれば、信頼性の良好なトランジスタを実現することができる。また、
信頼性の良好な半導体装置を実現することができる。
【0313】
図30(B1)に例示するトランジスタ420は、ボトムゲート型のトランジスタの1つ
であるチャネル保護型のトランジスタである。トランジスタ420は、トランジスタ41
0とほぼ同様の構造を有しているが、絶縁層209が半導体層242を覆っている点が異
なる。また、半導体層242と重なる絶縁層209の一部を選択的に除去して形成した開
口部において、半導体層242と電極244が電気的に接続している。また、半導体層2
42と重なる絶縁層209の一部を選択的に除去して形成した開口部において、半導体層
242と電極245が電気的に接続している。絶縁層209の、チャネル形成領域と重な
る領域は、チャネル保護層として機能できる。
【0314】
図30(B2)に示すトランジスタ421は、絶縁層118上にバックゲート電極として
機能できる電極213を有する点が、トランジスタ420と異なる。
【0315】
絶縁層209を設けることで、電極244および電極245の形成時に生じる半導体層2
42の露出を防ぐことができる。よって、電極244および電極245の形成時に半導体
層242の薄膜化を防ぐことができる。
【0316】
また、トランジスタ420およびトランジスタ421は、トランジスタ410およびトラ
ンジスタ411よりも、電極244と電極243の間の距離と、電極245と電極243
の間の距離が長くなる。よって、電極244と電極243の間に生じる寄生容量を小さく
することができる。また、電極245と電極243の間に生じる寄生容量を小さくするこ
とができる。本発明の一態様によれば、電気特性の良好なトランジスタを実現できる。
【0317】
〔トップゲート型トランジスタ〕
図31(A1)に例示するトランジスタ430は、トップゲート型のトランジスタの1つ
である。トランジスタ430は、絶縁層109の上に半導体層242を有し、半導体層2
42および絶縁層109上に、半導体層242の一部に接する電極244および半導体層
242の一部に接する電極245を有し、半導体層242、電極244、および電極24
9上に絶縁層117を有し、絶縁層117上に電極243を有する。
【0318】
トランジスタ430は、電極243および電極244、並びに、電極243および電極2
45が重ならないため、電極243および電極244間に生じる寄生容量、並びに、電極
243および電極245間に生じる寄生容量を小さくすることができる。また、電極24
3を形成した後に、電極243をマスクとして用いて不純物元素255を半導体層242
に導入することで、半導体層242中に自己整合(セルフアライメント)的に不純物領域
を形成することができる(図31(A3)参照)。本発明の一態様によれば、電気特性の
良好なトランジスタを実現することができる。
【0319】
なお、不純物元素255の導入は、イオン注入装置、イオンドーピング装置またはプラズ
マ処理装置を用いて行うことができる。
【0320】
不純物元素255としては、例えば、第13族元素または第15族元素のうち、少なくと
も一種類の元素を用いることができる。また、半導体層242に酸化物半導体を用いる場
合は、不純物元素255として、希ガス、水素、および窒素のうち、少なくとも一種類の
元素を用いることも可能である。
【0321】
図31(A2)に示すトランジスタ431は、電極213および絶縁層217を有する点
がトランジスタ430と異なる。トランジスタ431は、絶縁層109の上に形成された
電極213を有し、電極213上に形成された絶縁層217を有する。前述した通り、電
極213は、バックゲート電極として機能することができる。よって、絶縁層217は、
ゲート絶縁層として機能することができる。絶縁層217は、絶縁層205と同様の材料
および方法により形成することができる。
【0322】
トランジスタ411と同様に、トランジスタ431は、占有面積に対して大きいオン電流
を有するトランジスタである。すなわち、求められるオン電流に対して、トランジスタ4
31の占有面積を小さくすることができる。本発明の一態様によれば、トランジスタの占
有面積を小さくすることができる。よって、本発明の一態様によれば、集積度の高い半導
体装置を実現することができる。
【0323】
図31(B1)に例示するトランジスタ440は、トップゲート型のトランジスタの1つ
である。トランジスタ440は、電極244および電極249を形成した後に半導体層2
42を形成する点が、トランジスタ430と異なる。また、図31(B2)に例示するト
ランジスタ441は、電極213および絶縁層217を有する点が、トランジスタ440
と異なる。トランジスタ440およびトランジスタ441において、半導体層242の一
部は電極244上に形成され、半導体層242の他の一部は電極245上に形成される。
【0324】
トランジスタ411と同様に、トランジスタ441は、占有面積に対して大きいオン電流
を有するトランジスタである。すなわち、求められるオン電流に対して、トランジスタ4
41の占有面積を小さくすることができる。本発明の一態様によれば、トランジスタの占
有面積を小さくすることができる。よって、本発明の一態様によれば、集積度の高い半導
体装置を実現することができる。
【0325】
トランジスタ440およびトランジスタ441も、電極243を形成した後に、電極24
3をマスクとして用いて不純物元素255を半導体層242に導入することで、半導体層
242中に自己整合的に不純物領域を形成することができる。本発明の一態様によれば、
電気特性の良好なトランジスタを実現することができる。また、本発明の一態様によれば
、集積度の高い半導体装置を実現することができる。
【0326】
〔s-channel型トランジスタ〕
図32に例示するトランジスタ450は、半導体層242bの上面及び側面が半導体層2
42aに覆われた構造を有する。図32(A)はトランジスタ450の上面図である。図
32(B)は、図32(A)中のX1-X2の一点鎖線で示した部位の断面図(チャネル
長方向の断面図)である。図32(C)は、図32(A)中のY1-Y2の一点鎖線で示
した部位の断面図(チャネル幅方向の断面図)である。
【0327】
絶縁層109に設けた凸部上に半導体層242を設けることによって、半導体層242b
の側面も電極243で覆うことができる。すなわち、トランジスタ450は、電極243
の電界によって、半導体層242bを電気的に取り囲むことができる構造を有している。
このように、導電膜の電界によって、半導体を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、
surrounded channel(s-channel)構造とよぶ。また、s-
channel構造を有するトランジスタを、「s-channel型トランジスタ」も
しくは「s-channelトランジスタ」ともいう。
【0328】
s-channel構造では、半導体層242bの全体(バルク)にチャネルが形成され
る場合がある。s-channel構造では、トランジスタのドレイン電流を大きくする
ことができ、さらに大きいオン電流を得ることができる。また、電極243の電界によっ
て、半導体層242bに形成されるチャネル形成領域の全領域を空乏化することができる
。したがって、s-channel構造では、トランジスタのオフ電流をさらに小さくす
ることができる。
【0329】
なお、絶縁層109の凸部を高くし、また、チャネル幅を小さくすることで、s-cha
nnel構造によるオン電流の増大効果、オフ電流の低減効果などをより高めることがで
きる。また、半導体層242bの形成時に、露出する半導体層242aを除去してもよい
。この場合、半導体層242aと半導体層242bの側面が揃う場合がある。
【0330】
また、図33に示すトランジスタ451のように、半導体層242の下方に、絶縁層を介
して電極213を設けてもよい。図33(A)はトランジスタ451の上面図である。図
33(B)は、図33(A)中のX1-X2の一点鎖線で示した部位の断面図である。図
33(C)は、図33(A)中のY1-Y2の一点鎖線で示した部位の断面図である。
【0331】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0332】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る撮像装置を用いた電子機器の一例について説明
する。
【0333】
本発明の一態様に係る撮像装置を用いた電子機器として、テレビ、モニタ等の表示装置、
照明装置、デスクトップ型或いはノート型のパーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ
、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に記憶され
た静止画又は動画を再生する画像再生装置、ポータブルCDプレーヤ、ラジオ、テープレ
コーダ、ヘッドホンステレオ、ステレオ、ナビゲーションシステム、置き時計、壁掛け時
計、コードレス電話子機、トランシーバ、携帯電話、自動車電話、携帯型ゲーム機、タブ
レット型端末、パチンコ機などの大型ゲーム機、電卓、携帯情報端末、電子手帳、電子書
籍、電子翻訳機、音声入力機器、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電気シェーバ、
電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器、電気洗濯機、電気掃除機、温水器、扇風機
、毛髪乾燥機、エアコンディショナー、加湿器、除湿器などの空調設備、食器洗い器、食
器乾燥器、衣類乾燥器、布団乾燥器、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫、DNA
保存用冷凍庫、懐中電灯、チェーンソー等の工具、煙感知器、透析装置等の医療機器、フ
ァクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売
機などが挙げられる。さらに、誘導灯、信号機、ベルトコンベア、エレベータ、エスカレ
ータ、産業用ロボット、電力貯蔵システム、電力の平準化やスマートグリッドのための蓄
電装置等の産業機器が挙げられる。また、燃料を用いたエンジンや、非水系二次電池から
の電力を用いて電動機により推進する移動体なども、電子機器の範疇に含まれるものとす
る。上記移動体として、例えば、電気自動車(EV)、内燃機関と電動機を併せ持ったハ
イブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、これらのタイヤ車輪
を無限軌道に変えた装軌車両、電動アシスト自転車を含む原動機付自転車、自動二輪車、
電動車椅子、ゴルフ用カート、小型又は大型船舶、潜水艦、ヘリコプター、航空機、ロケ
ット、人工衛星、宇宙探査機や惑星探査機、宇宙船などが挙げられる。
【0334】
図34(A)はビデオカメラであり、第1筐体941、第2筐体942、表示部943、
操作キー944、レンズ945、接続部946等を有する。操作キー944およびレンズ
945は第1筐体941に設けられており、表示部943は第2筐体942に設けられて
いる。そして、第1筐体941と第2筐体942とは、接続部946により接続されてお
り、第1筐体941と第2筐体942の間の角度は、接続部946により変更が可能であ
る。表示部943における映像を、接続部946における第1筐体941と第2筐体94
2との間の角度に従って切り替える構成としても良い。レンズ945の焦点となる位置に
は本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。
【0335】
図34(B)は携帯電話であり、筐体951に、表示部952、マイク957、スピーカ
ー954、カメラ959、入出力端子956、操作用のボタン955等を有する。カメラ
959には本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
【0336】
図34(C)はデジタルカメラであり、筐体921、シャッターボタン922、マイク9
23、発光部927、レンズ925等を有する。レンズ925の焦点となる位置には本発
明の一態様の撮像装置を備えることができる。
【0337】
図34(D)は携帯型ゲーム機であり、筐体901、筐体902、表示部903、表示部
904、マイク905、スピーカー906、操作キー907、スタイラス908、カメラ
909等を有する。なお、図34(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部903
と表示部904とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定さ
れない。カメラ909には本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
【0338】
図34(E)は腕時計型の情報端末であり、筐体931、表示部932、リストバンド9
33、カメラ939等を有する。表示部932はタッチパネルとなっていてもよい。カメ
ラ909には本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
【0339】
図34(F)は携帯データ端末であり、第1筐体911、表示部912、カメラ919等
を有する。表示部912が有するタッチパネル機能により情報の入出力を行うことができ
る。カメラ909には本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
【0340】
なお、本発明の一態様の撮像装置を具備していれば、上記で示した電子機器に特に限定さ
れないことは言うまでもない。
【0341】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【実施例0342】
上記実施の形態に示した固体撮像装置800を作製し、撮像データの取得を行った。図3
5(A)は、作製した固体撮像装置の外観を示す写真である。作製した固体撮像装置は、
画素領域(Pixel Array)中にマトリクス状に配置された複数の画素(Pix
el)を有する。また、各画素に信号を供給するための周辺回路(Row Driver
及びColumn Driver)を画素領域の外側に設けている。また、Column
Driverは、アナログデータをデジタルデータに変換するためのA/D Conv
erterを有している。図35(B)は、固体撮像装置800の構成を示すブロック図
である。また、固体撮像装置800の仕様を図36の中央カラムに示す。
【0343】
図37は、固体撮像装置800が有する画素の回路図を示す。固体撮像装置800が有す
る画素は、上記実施の形態に示した画素と同様の回路構成を有する。また、固体撮像装置
800は、画素ごとに共有化トランジスタ(Sharing Transistor)と
して機能するトランジスタ829を有する。トランジスタ829は、上記実施の形態に示
したトランジスタ129に相当する。また、図37中のトランジスタ821は、上記実施
の形態に示したトランジスタ121またはトランジスタ125に相当する。トランジスタ
821は転送トランジスタとして機能する。
【0344】
本実施例では、トランジスタ829とトランジスタ821を、酸化物半導体を用いて作製
した。
【0345】
図38は、固体撮像装置800の撮像動作を説明するタイミングチャートである。図38
に示すように、Tx1乃至Txnに対応する画素を順次リセットおよび露光する。そして
各行の画素から順次読み出しを行い、A/Dコンバータにおいてデジタルデータに変換す
る。
【0346】
図39に示すように、Tx1乃至Txnに分割して、トランジスタ821を順次オン状態
とすることで、露光を短時間間隔で連続して行うshort interval con
tinuous capturingが実現できる。また、撮像データを連続露光後に順
次読み出してA/D変換を行う。すなわち、short time capturing
/slow read outで高速連続撮像が可能であり、A/Dコンバータに別段の
高速性は要求されない。よって、周辺回路の占有面積を低減することができる。また、周
辺回路の消費電力を低減することができる。
【0347】
また、この撮像方式では露光から読み出しまでの時間が画素行によって異なるが、トラン
ジスタ821に酸化物半導体を用いたFETを用いることで、ノードFDからの電荷リー
クを極めて少なくすることで可能になる。また、トランジスタ829により複数のフォト
ダイオードを共有し、複数のノードFDを各々チャージすることができる。よって、露光
時間短縮による画質劣化を補う。
【0348】
固体撮像装置800で約6000rpmで回転する被写体を撮像した際の画像を図40
示す。ここで、Exposure Tx1とExposure Tx2の開始タイミング
の時間間隔を300μsとしている。Tx1に対応する画素による撮像画像(図40(A
))と、Tx2に対応する画素による撮像画像(図40(B))を比較すると、300μ
sに相当する約10°の回転が確認できる。すなわち、提案する撮像動作により、短時間
間隔で連続して撮像できることが確認できた。また、この撮像動作によれば、周辺回路な
どに格段の高速性を要求としない。
【実施例0349】
シリコンを用いたnチャネル型FET(Nch-Si)、シリコンを用いたpチャネル型
FET(Pch-Si)、及びIn-Ga-Zn酸化物を用いたCAAC-OS-FET
(「CAAC-IGZO-FET」ともいう。)を作製した。図41(A)に、これらの
FETのVg-Id特性を示す。図41(A)の横軸はゲートソース間の電圧を示す。図
41(A)の縦軸はドレインに流れる電流値を示す。なお、pチャネル型FETではドレ
インに流れる電流の向きが逆になるため、得られた値を-1倍して示している。なお、ソ
ースドレイン間の電圧は1.9V(pチャネル型FETでは-1.9V)とした。
【0350】
また、図41(B)に、前述したFETのノイズ特性を示す。
【0351】
図41(A)及び図41(B)より、CAAC-IGZO-FETは微細化に伴う駆動能
力の向上に加え、Nch-Si-FETに対して、ノイズで優位にある傾向が示唆される
。よって、Nch-Si-FETを使用しない固体撮像素子の有効性が期待できる。これ
らをふまえ、画素トランジスタを全てCAAC-IGZO-FETで構成し、さらに、ド
ライバやA/D変換回路などの周辺回路をPch-Si-FETとCAAC-IGZO-
FETを用いたCMOS(「ハイブリッドCMOS」ともいう)で構成した固体撮像素子
を試作し、周辺回路の動作可否を検証した。試作した固体撮像素子の仕様を図36右カラ
ムに示す。
【0352】
図42に画素のレイアウト図を示す。試作した固体撮像素子はfront side i
lluminationでありfill factorは31 %であるが、back
side illuminationを適用することで100%のfill facto
rが可能である。
【0353】
図43に周辺回路の測定結果を示す。カラムドライバがクロック(CCK)に同期して画
像データ出力イネーブル信号(COUT)を出力する様子が確認できた。このことから、
CAAC-IGZO FET/Pch-Si FET hybrid CMOS固体撮像
素子の周辺回路の実動作が確認できた。
【実施例0354】
上記実施の形態に係る表示装置として固体撮像装置810を作製し、撮像データの取得を
行った。図44(A)は、作製した固体撮像装置810の外観を示す写真である。図44
(B)は、固体撮像装置810の積層構造を示す概略図である。図45は、固体撮像装置
810の回路構成を示すブロック図である。また、作製した固体撮像装置810の仕様を
図46に示す。
【0355】
固体撮像装置810は、画素領域(Pixel Array)中にマトリクス状に配置さ
れた複数の画素(Pixel)を有する。また、固体撮像装置810は、周辺回路(Ro
w Driver、Column Driver、およびA/D Converterな
ど)を画素領域の外側に設けている。
【0356】
なお、Row Driverは、撮像により取得した画像データの読み出しを行う画素を
選択する機能を有する。A/D Converterは、読み出された画像データを、ア
ナログデータからデジタルデータに変換する機能を有する。Column Driver
は、固体撮像装置810の外部に転送する画像データ(デジタルデータ)を順次選択する
機能を有する。
【0357】
画素領域に含まれるトランジスタは、全てCAAC-IGZO-FETとした。よって、
シリコン基板上に画素用のトランジスタを設ける必要が無く、シリコン基板上に設けるフ
ォトダイオードをサブ画素の大きさまで大面積化することができる。これにより、固体撮
像装置810の光感度の向上が期待できる。なお、固体撮像装置810は照射光をチップ
上面から取得するfront side illumination方式としているため
、上部配線の影響でfill factorは31%であるが、back side i
lluminationを適用することができれば100%のfill factorが
可能である。
【0358】
固体撮像装置810は、テクノロジサイズが0.18μmのPch-Si-FETと、テ
クノロジサイズが0.35μmのCAAC-IGZO-FETを用いたハイブリッドプロ
セスで作製した。なお、ダイサイズは6.5mm×6.0mmである。また、固体撮像装
置810が有する画素は、1つの画素が2つのサブ画素で構成されている。また、カラー
化を行う場合を考慮してベイヤーパターンなどにも対応できるようにするため、2つのサ
ブ画素の間に、別の画素に属するサブ画素が挟まる構成としている(図47参照。)。
【0359】
上記実施の形態に係る固体撮像装置810は、サブ画素間でフォトダイオードPDを共有
する撮像方式(「連続撮像sharing方式」ともいう。)、サブ画素間でフォトダイ
オードPDを共有しない撮像方式(「連続撮像non-sharing方式」ともいう。
)が可能な他、サブ画素を独立した画素とする撮像方式(「通常撮像方式」ともいう。)
などを被撮像物や撮像目的に応じて設定することが可能である。
【0360】
<撮像方式>
以下、各々の撮像方式について説明する。
【0361】
〔連続撮像sharing方式〕
最初に、連続撮像sharing方式について説明する。本方式では、共有化トランジス
タであるトランジスタ829をオン状態として、各サブ画素が結合した1つの画素として
扱う。各サブ画素のフォトダイオードPDを結合することで、高感度の画素とすることが
できる。画素の駆動方法は、全画素のTX1、TX2、…、TXnにそれぞれ対応するサ
ブ画素を順次リセットおよび露光する。そして各行の画素のサブ画素から順次読み出しを
行い、A/Dコンバータにおいてデジタルデータに変換する。すなわち、高速なA/D変
換を行うことなく連続撮像が可能になる。
【0362】
リセット動作は、リセットトランジスタ、転送トランジスタであるトランジスタ821、
トランジスタ829をオン状態にして、対応するサブ画素のフォトダイオードPDとsh
aring path(2つの画素のトランジスタ829を接続する配線)をリセット電
位VRにチャージすることで行う。露光動作は、トランジスタ821とトランジスタ82
9をオン状態としで、n個のフォトダイオードPDの光電流を、対応するサブ画素のフォ
トダイオードPDに流すことで行う。読み出し動作は、選択トランジスタをオン状態とし
、増幅トランジスタによるソースフォロワ出力を、OUT配線に接続したA/Dコンバー
タでデジタルデータに変換することにより行う。
【0363】
〔連続撮像non-sharing方式〕
次に、連続撮像non-sharing方式について説明する。本方式では、共有化トラ
ンジスタをオフ状態として、各サブ画素を独立した画素として扱う。画素の駆動方法は、
全画素のTX1乃至TXnに各々対応するサブ画素を順次リセットおよび露光する。そし
て各行の画素のサブ画素から順次読み出しを行い、A/Dコンバータにおいてデジタルデ
ータに変換する。すなわち、連続撮像方式が可能になる。なお、本方式は、連続撮像sh
aring方式に対して、各サブ画素のフォトダイオードを共有化しないため、感度は低
くなるが、ノイズ源になりうるsharing pathの寄与が無いのでノイズに対し
て有利である。
【0364】
〔通常撮像方式〕
最後に、通常撮像方式について説明する。本方式では、トランジスタ829をオフ状態と
して、各サブ画素を独立した画素として扱う。画素の駆動方法は、全画素のTX1乃至T
Xnに各々対応するサブ画素を同時にリセットおよび露光する。そして各行の画素のサブ
画素から順次読み出しを行い、A/Dコンバータにおいてデジタルデータに変換する。す
なわち、通常のイメージセンサと同様の撮像が可能になる。
【0365】
<撮像結果>
連続撮像sharing方式、連続撮像non-sharing方式、通常撮像方式にお
ける撮像が可能であることを確認するために、固体撮像装置810に定常光源からの均一
光を照射して、上記撮像方式による撮像を行った。
【0366】
具体的には、連続撮像sharing方式(以降、「A方式」と呼ぶ)、連続撮像sha
ring方式でTX1に対応したサブ画素のみ撮像(以降、「B方式」と呼ぶ)、連続撮
像sharing方式でTX2に対応したサブ画素のみ撮像(以降、「C方式」と呼ぶ)
、連続撮像non-sharing方式(以降、「D方式」と呼ぶ)、連続撮像non-
sharing方式でTX1に対応したサブ画素のみ撮像(以降、「E方式)と呼ぶ)、
連続撮像non-sharing方式でTX2に対応したサブ画素のみ撮像(以降、「F
方式」と呼ぶ)、通常撮像方式(以降、「G方式」と呼ぶ)、以上7条件の撮像方式を用
いて明るさが一様な光源を撮像した。光源には林時計工業株式会社製のメタルハライドラ
ンプLA-180Me-R4を用いた。また、撮像のリセット時間は90μs、露光時間
は180μsとした。
【0367】
得られた撮像画像を図48に、撮像画像の階調のヒストグラムを図49に、異なる撮像方
式による画素ごとの階調差のヒストグラムを図50および図51に、それぞれの撮像方式
において、5フレーム中の異なる2フレーム間の階調差の標準偏差を図52に示す。なお
、図中の”gradation”は撮像画像のA/D変換後の出力デジタル値であり、輝
度に対応する。数値が大きいほど明るく、小さいほど暗い。ここで、sharing p
athの寄与などを含めた各撮像方式における生のノイズを比較するため、各撮像画像に
ついてはCDSを行っていない生の撮像データを示している。すなわち、Correla
ted Double Sampling(CDS)によりキャンセル可能なノイズも含
んでいる。
【0368】
〔連続撮像sharing方式による撮像結果〕
まず、連続撮像sharing方式について確認した。具体的には、TX1、TX2に対
応するサブ画素での撮像を短期間に連続して行うことによる撮像画像への影響を確認する
ため、A方式のTX1画像とTX2画像、A方式のTX1画像とB方式のTX1画像、A
方式のTX2画像とC方式のTX2画像、を比較した。なお、これらの撮像画像は、本来
一致すべき撮像画像である。
【0369】
A方式のTX1画像とTX2画像、A方式のTX1画像とB方式のTX1画像、A方式の
TX2画像とC方式のTX2画像について、図49(A)のヒストグラムより平均値の差
が各々0.11階調、0.15階調、0.08階調でヒストグラムの形状がほぼ一致する
ことがわかる。
【0370】
また、A方式のTX1画像とTX2画像との階調差、A方式のTX1画像とB方式のTX
1画像との階調差、A方式のTX2画像とC方式のTX2画像との階調差について、図5
0(A)、図50(B)、図50(C)のヒストグラムより、標準偏差が各々15.91
、8.12、7.30である。A方式のTX1画像とTX2画像との階調差に関しては、
図49(A)の各ヒストグラムの標準偏差12.02、12.30から推定される標準偏
差(12.02+12.301/2=17.20以内であることから、画素の面内
ばらつきから推定される範囲内に分布していることがわかる。
【0371】
A方式のTX1画像とB方式のTX1画像との階調差、A方式のTX2画像とC方式のT
X2画像との階調差に関しては、図52の各標準偏差5.19乃至8.35、5.50乃
至8.08と同程度であることから、フレーム間ばらつきから推定される分布をしている
ことがわかる。
【0372】
以上のことから、連続撮像sharing方式において、TX1、TX2に対応するサブ
画素で、同一のフォトダイオードで独立して撮像画像を取得できることがわかった。
【0373】
〔連続撮像non-sharing方式による撮像結果〕
次に、連続撮像non-sharing方式について確認した。具体的には、TX1、T
X2に対応するサブ画素での撮像を短期間に連続して行うことによる撮像画像への影響を
確認するため、D方式のTX1画像とTX2画像、D方式のTX1画像とE方式のTX1
画像、D方式のTX2画像とF方式のTX2画像、を比較した。なお、これらの撮像画像
は、TX1、TX2に対応したサブ画素の位置が異なることによる照射光強度のずれの範
囲内で一致すべき撮像画像である。
【0374】
D方式のTX1画像とTX2画像、D方式のTX1画像とE方式のTX1画像、D方式の
TX2画像とF方式のTX2画像について、図49(B)のヒストグラムより平均値の差
が0.61階調、0.66階調、0.33階調でヒストグラムの形状がほぼ一致すること
がわかる。
【0375】
また、D方式のTX1画像とTX2画像との階調差、D方式のTX1画像とE方式のTX
1画像との階調差、D方式のTX2画像とF方式のTX2画像との階調差について図50
(D)、図50(E)、図50(F)のヒストグラムより、標準偏差が各々9.14、4
.71、5.19である。D方式のTX1画像とTX2画像との階調差に関しては、図4
9(B)の各ヒストグラムの標準偏差8.23、7.89から推定される標準偏差(7.
61+7.401/2=10.61以内であることから、画素の面内ばらつきから
推定される範囲内に分布していることがわかる。
【0376】
D方式のTX1画像とE方式のTX1画像との階調差、D方式のTX2画像とF方式のT
X2画像との階調差に関しては、図52の各標準偏差2.75乃至3.68、3.22乃
至3.89と同程度であることから、フレーム間ばらつきから推定される分布をしている
ことがわかる。
【0377】
以上のことから、連続撮像non-sharing方式において、TX1、TX2に対応
するサブ画素で、独立して撮像画像を取得できることがわかる。
【0378】
〔通常撮像方式による撮像結果〕
次に、通常撮像方式について確認した。具体的には、TX1、TX2に対応するサブ画素
での撮像を一括もしくは独立して行うことによる撮像画像への影響を確認するため、G方
式のTX1画像とTX2画像、E方式のTX1画像とG方式のTX1画像、F方式のTX
2画像とG方式のTX2画像、を比較する。なお、これらの撮像画像は、TX1、TX2
に対応したサブ画素の位置が異なることによる照射光強度のずれの範囲内で一致すべき撮
像画像である。
【0379】
G方式のTX1画像とTX2画像、E方式のTX1画像とG方式のTX1画像、F方式の
TX2画像とG方式のTX2画像について、図49(C)のヒストグラムより平均値の差
が0.55階調、0.37階調、0.79階調でヒストグラムの形状がほぼ一致すること
がわかる。
【0380】
また、G方式のTX1画像とTX2画像との階調差、E方式のTX1画像とG方式のTX
1画像との階調差、F方式のTX2画像とG方式のTX2画像との階調差について、図5
1(A)、図51(B)、図51(C)のヒストグラムより、標準偏差が各々8.91、
4.92、4.12である。G方式のTX1画像とTX2画像との階調差に関しては、図
49(C)の各ヒストグラムの標準偏差8.23、7.89から推定される標準偏差(8
.23+7.891/2=11.40以内であることから、画素の面内ばらつきか
ら推定される範囲内に分布していることがわかる。
【0381】
G方式のTX1画像とE方式のTX1画像との階調差、G方式のTX2画像とF方式のT
X2画像との階調差に関しては、図52の各標準偏差2.75乃至4.86、2.93乃
至3.95と同程度であることから、フレーム間ばらつきから推定される分布をしている
ことがわかる。
【0382】
以上のことから、通常撮像方式と連続撮像sharing方式において、TX1、TX2
に対応するサブ画素で、同様の撮像画像を取得できることがわかった。
【0383】
〔連続撮像sharing方式と連続撮像non-sharing方式の感度比較〕
次に、連続撮像sharing方式と連続撮像non-sharing方式の感度を比較
することで、sharingトランジスタをonにすることによる感度向上効果の確認を
行う。両撮像方式において、林時計工業株式会社製のメタルハライドランプLA-180
Me-R4から光強度を変えて一様な光を照射した際の撮像画像を取得した。なお、リセ
ット時間は90μs、露光時間は180μsとした。取得した撮像画像について、各撮像
方式におけるリセット画像を用いてソフトウェア上のCDS処理を行った後、各撮像方式
に関して光量(照射光強度×照射時間)とA/D変換後の出力デジタル値(階調値)の関
係を求めた。
【0384】
そして、A/D変換回路の入力電圧(画素のソースフォロワ出力電圧に対応)と階調値と
の関係から、階調値と画素のソースフォロア出力電圧との関係を求めることで感度を求め
た。その結果、図46に示すように、連続撮像sharing方式と連続撮像non-s
haring方式の感度は、各々0.224V/(lx・s)、0.196V/(lx・
s)となった。
【0385】
このことから、sharingトランジスタをonにすることで約14%の感度の向上が
確認できた。Sharing pathの最適化により感度のさらなる向上が期待できる
【0386】
次に、上記撮像方式で短期間連続撮像が可能であることを示すために、固体撮像装置81
0で高速回転するファン(図53(A)参照。)を撮像した。実際の撮像は、面光源の上
に固体撮像装置810を置いて行った。したがって、実際にはファンの影を撮像した。な
お、ファンの回転数は6000rpm、撮像間隔を300μsとした。得られた画像のT
X1、TX2に対応したサブ画素での撮像画像を図53(B)、図53(C)に示す。こ
こで、あらかじめ、リセット画像、全白画像を撮像しておき、それぞれを階調0、階調2
55とする処理をソフトウェアで行うことでコントラストを調整している。図53(B)
図53(C)において、TX1、TX2に対応したサブ画素での撮像画像を比較すると
、300μsの期間に6000rpmで回転する角度に相当する約11°のずれが確認で
きる。すなわち、上記撮像方式により、短期間に連続して撮像できることが確認できた。
【0387】
〔短期間連続撮像〕
次に、撮像間隔が300μsの時の、固体撮像装置810の消費電力を測定した。消費電
力の測定結果を図54(A)に示す。図54(A)では、固体撮像装置810の各部にお
ける消費電力の内訳も示している。なお、固体撮像装置810全体の消費電力は809μ
Wであった。
【0388】
続いて、従来の固体撮像装置(非特許文献1に開示されている高速カメラ用イメージセン
サ。)の消費電力と固体撮像装置810の消費電力を比較した。従来の固体撮像装置と固
体撮像装置810の比較を図54(B)に示す。図54(B)では、FOM(Figur
e of Merit)を、FOM=power consumption÷(numb
er of pixels×frame rate×resolution of A/
D converter)と定義している。固体撮像装置810では、撮像間隔が300
μs、つまり3333fps相当の撮像が可能であることから、FOMは1.58pW/
(pixel×fps×bit)である。一方、従来の固体撮像装置は、画像の分解能は
514×530であり、A/Dコンバータの分解能は12bitであり、3500fps
における消費電力が1Wであることから、FOMは87.40pW/(pixel×fp
s×bit)である。2つの撮像方式のFOMを比較すると、固体撮像装置810の消費
電力は従来の固体撮像装置の消費電力の約1/55であり、固体撮像装置810は従来の
固体撮像装置に比べて消費電力において有利であることが確認できた。
【0389】
本発明の一態様の固体撮像装置は、高速なA/D変換回路を必要としないため、低消費電
力化が可能である。本発明の一態様によれば、Pch-Si-FETとCAAC-IGZ
O-FETのみで、A/D変換回路、ロードライバ、カラムドライバなどの周辺回路を構
成できる。また、画素回路はCAAC-IGZO-FETとフォトダイオードのみで構成
可能である。したがって、本発明の一態様によれば、Pch-Si-FETとCAAC-
IGZO-FETの積層型CMOSが実現できる。すなわち、Nch-Si-FETを有
さないCMOS構成が実現できる。
【実施例0390】
上記実施の形態に係る表示装置として固体撮像装置820を作製した。図55(A)は、
作製した固体撮像装置820の外観を示す写真である。
【0391】
固体撮像装置820は、画素領域(Pixel Array)中にマトリクス状に配置さ
れた複数の画素(Pixel)を有する。また、固体撮像装置820は、周辺回路(Ro
w Driver、Column Driver、およびA/D Converterな
ど)を画素領域の外側に設けている。
【0392】
なお、Row Driverは、撮像により取得した画像データの読み出しを行う画素を
選択する機能を有する。A/D Converterは、読み出された画像データを、ア
ナログデータからデジタルデータに変換する機能を有する。Column Driver
は、固体撮像装置820の外部に転送する画像データ(デジタルデータ)を順次選択する
機能を有する。
【0393】
図55(B)は、図55(A)に示した1つの画素825を拡大した写真である。画素は
フォトダイオードと複数のトランジスタを有する。また、画素領域に含まれるトランジス
タは、全てCAAC-IGZO-FETとした。よって、シリコン基板上に画素用のトラ
ンジスタを設ける必要が無く、シリコン基板上に設けるフォトダイオードを大面積化する
ことができる。これにより、固体撮像装置820の光感度の向上が期待できる。なお、固
体撮像装置820は照射光をチップ上面から取得するfront side illum
ination方式としているため、上部配線の影響でfill factorは30%
であるが、back side illuminationを適用することができれば1
00%のfill factorが可能である。
【0394】
固体撮像装置820の仕様を、図56に示す。固体撮像装置820は、テクノロジサイズ
(チャネル長)が0.18μmのSi-FETと、テクノロジサイズ(チャネル長)が0
.35μmのCAAC-IGZO-FETを用いたハイブリッドプロセスで作製した。な
お、ダイサイズは6.5mm×6.0mmである。
【0395】
固体撮像装置820で約400rpmで回転する被写体を撮像した画像を図57(A-2
)に示す。なお、図57(A-1)は静止した状態の被写体を撮像した画像である。図5
7(A-1)および図57(A-2)は、グローバルシャッタ方式で撮像した画像である
。また、スマートフォン(市販品)に搭載されているカメラで約400rpmで回転する
被写体を撮像した画像を図57(B-2)に示す。なお、図57(B-1)は静止した状
態の被写体を撮像した画像である。図57(B-1)および図57(B-2)は、ローリ
ングシャッタ方式で撮像した画像である。
【0396】
図57(B-2)より、ローリングシャッタ方式で回転する被写体を撮像すると、被写体
が大きく歪んだ画像が得られることがわかる。一方、図57(A-2)より、グローバル
シャッタ方式で回転する被写体を撮像すると、被写体の歪みがほとんどない画像が得られ
ることがわかる。
【実施例0397】
DSPとイメージセンサ(撮像装置)とで構成されるオプティカルフローシステムにおい
て、精度よくオプティカルフローを求めるには撮像の高速性が求められるが、オプティカ
ルフローの計算にはすべての画像は必要ない。そのため、従来の高フレームレートのイメ
ージセンサは不必要な撮像が多く、消費電力が高いため必ずしも有効でない。
【0398】
そこで、上記実施の形態に係る固体撮像装置830を作製し、固体撮像装置830を用い
たオプティカルフローシステム880を提案する。上記実施の形態に係る固体撮像装置8
30は、100μsの時間間隔すなわち10000fps相当の連続撮像が可能であり、
1fpsでの読み出しが可能である。したがって、固体撮像装置830を用いると少ない
消費電力で、オプティカルフローを計算するのに十分な撮像データを得ることができる。
【0399】
図58(A)に、オプティカルフローシステム880のブロック図を示す。また、図58
(B)は、作製した固体撮像装置830の外観を示す写真である。オプティカルフローシ
ステム880では、電源系への負担軽減を考慮して瞬間電力を削減するために、固体撮像
装置830は高速で2枚の画像を撮像し、DSPブロック835によるオプティカルフロ
ー計算開始までに、撮像した画像を低速で読み出す。
【0400】
固体撮像装置830は、画素領域(Pixel Array)中にマトリクス状に配置さ
れた複数の画素(Pixel)を有する。また、固体撮像装置830は、周辺回路(Ro
w Driver、Column Driver、およびA/D Converterな
ど)を画素領域の外側に設けている。図59に固体撮像装置830全体のブロック図を示
す。
【0401】
なお、Row Driverは、撮像により取得した画像データの読み出しを行う画素を
選択する機能を有する。A/D Converterは、読み出された画像データを、ア
ナログデータからデジタルデータに変換する機能を有する。Column Driver
は、固体撮像装置830の外部に転送する画像データ(デジタルデータ)を順次選択する
機能を有する。
【0402】
画素はフォトダイオードと複数のトランジスタを有する。また、画素領域に含まれるトラ
ンジスタは、全てCAAC-IGZO-FETとした。よって、シリコン基板上に画素用
のトランジスタを設ける必要が無く、シリコン基板上に設けるフォトダイオードを大面積
化することができる。
【0403】
固体撮像装置830の仕様を、図60に示す。固体撮像装置830は、テクノロジサイズ
(チャネル長)が0.18μmのSi-FETと、テクノロジサイズ(チャネル長)が0
.35μmのCAAC-IGZO-FETを用いたハイブリッドプロセスで作製した。
【0404】
固体撮像装置830は、short interval continuous cap
turingと低速読み出しが可能であり、短時間間隔で2枚の画像を撮像し、低フレー
ムレートで読み出しを行なうことができる。
【0405】
DSPブロック835は、2枚の画像からオプティカルフローを作成する。固体撮像装置
830の画素の回路図を図61に示す。1つの画素は、2つのサブ画素を有する。それぞ
れのサブ画素は、4つのトランジスタ、1つのフォトダイオード、および1つの共有化ト
ランジスタを有する。画素が有する2つのサブ画素は、共有化トランジスタを介してフォ
トダイオードを共有可能としている。また、カラー化を行う可能性を考慮してベイヤーパ
ターンにも対応できるようにするため、2つのサブ画素の間に、別の画素に属するサブ画
素が挟まる構成としている。画素のトランジスタをCAAC-IGZO FETで構成す
ることで、FDの電荷保持特性を向上させることができ、画質の劣化のない低速な読み出
しが可能になる。
【0406】
図62のタイミングチャートに示すように、固体撮像装置830は、TX1、TX2を順
次アクティブとすることで、露光を短時間間隔で連続して行う。また、連続露光後に、撮
像データを行ごとに順次読み出してA/D変換を行う。すなわち、short time
capturing/slow read outで高速連続撮像が可能でありA/D
コンバータに別段の高速性は要求されないため、低消費電力が期待できる。
【0407】
6500rpmで回転するファンAと10000rpmで回転するファンBを固体撮像装
置830で撮像し、得られた画像からオプティカルフローを計算した。フレームレートを
1fpsとし、capturing intervalが100μsの時と1000μs
の時についてオプティカルフローを計算した。一例として、capturing int
ervalが100μsの際の測定波形を図63に示す。
【0408】
図64(A)乃至図64(C)にcapturing intervalが100μsの
時の画像を示す。図64(A)はTX1画像であり、図64(B)はTX2画像である。
図64(C)はLucas-Kanade法で計算したオプティカルフローを示している
。また、図65(A)乃至図65(C)にcapturing intervalが10
00μsの時の画像を示す。図65(A)はTX1画像であり、図65(B)はTX2画
像である。図65(C)はLucas-Kanade法で計算したオプティカルフローを
示している。
【0409】
図64(A)および図64(B)、ならびに、図65(A)および図65(B)から、c
apturing intervalの間に各ファンが回転する角度差が確認できる。ま
た、図64(C)から、capturing intervalが100μsの時、正確
な2つのファンのオプティカルフローが確認できる。一方、図65(C)では、capt
uring intervalが1000μsと長いため、ファンAのフローの方向がば
らばらであり、ファンBのフローは逆回転として計算されているようにさえ見える。この
ことから、固体撮像装置830の高速連続撮像で得られた画像から正確にオプティカルフ
ローを求めることができることが確認できた。
【0410】
次に、低速な読み出しでも画質の劣化のほとんどないことを示すために、フレームレート
を1fpsにした時と60fpsにした時で、静止したファンの撮像をそれぞれ行なった
図66(A)にフレームレート1fpsで撮像した画像を示す。図66(B)にフレー
ムレート60fpsで撮像した画像を示す。どちらのフレームレートにおいても、正常に
ファンを撮像できていることが確認できる。
【0411】
また、フレームレート1fpsと、フレームレート60fpsのそれぞれにおいて一様面
光源を撮像し、読み出しの最初の行と最後の行の間の階調差を見積もった。その結果、フ
レームレート1fpsで撮像したときの階調差は0.16、フレームレート60fpsで
撮像したときの階調差は0.064と見積もられた。CAAC-IGZO FETの低リ
ーク性により、低フレームレートでも画質の劣化がほとんどないことが確認できた。
【0412】
また、固体撮像装置830の消費電力削減効果を確認するために、図67(A)に示す3
つの条件における消費電力と1フレーム当たりの消費エネルギーを測定した。図67(B
)に測定結果を示す。条件1を基準とすると、周波数のみを下げた条件2の電力は条件1
の92.3%で、さらに電圧も下げた条件3の電力は条件1の0.71%となった。また
、条件3の1フレーム当たりの消費エネルギーは条件1のものよりも低いことがわかる。
低フレームレートでは周波数だけでなく電圧も下げることができるので、1フレーム当た
りの消費エネルギーを下げられる程の高い省電力効果が確認できた。
【0413】
例えば、画素数が128×128の固体撮像装置830で、8bit階調の画像を100
00fpsで撮像し、1fpsでオプティカルフローを求める場合を考える。固体撮像装
置830の電力は図67(B)の条件3から7.9μW(=9.2μW/(240×80
)×(128×128))と見積もられる。上記実施の形態に係る固体撮像装置830を
用いることで、高精度かつ低瞬間電力のオプティカルフローシステムが実現できる。
【符号の説明】
【0414】
103 絶縁層
104 絶縁層
105 絶縁層
106 コンタクトプラグ
107 絶縁層
108 絶縁層
109 絶縁層
110 画素部
111 画素
112 副画素
113 絶縁層
114 コンタクトプラグ
115 絶縁層
116 絶縁層
117 絶縁層
118 絶縁層
121 トランジスタ
122 トランジスタ
123 トランジスタ
124 トランジスタ
125 トランジスタ
126 トランジスタ
127 トランジスタ
128 トランジスタ
129 トランジスタ
131 配線
132 配線
133 配線
134 配線
135 配線
136 配線
137 配線
141 配線
142 配線
143 配線
144 配線
146 配線
151 容量素子
152 トランジスタ
153 トランジスタ
154 トランジスタ
155 トランジスタ
161 配線
201 スイッチ
202 スイッチ
203 スイッチ
205 絶縁層
209 絶縁層
213 電極
217 絶縁層
220 光電変換素子
221 p型半導体層
222 i型半導体層
223 n型半導体層
224 開口
225 開口
226 電極
227 電極
230 画素回路
241 トランジスタ
242 半導体層
243 電極
244 電極
245 電極
246 トランジスタ
249 電極
251 画素領域
252 周辺回路領域
254 ノード
255 不純物元素
256 ノード
257 容量素子
260 周辺回路
261 配線
263 配線
265 配線
266 配線
267 配線
270 周辺回路
280 周辺回路
281 トランジスタ
282 トランジスタ
283 i型半導体層
284 低濃度p型不純物領域
285 p型半導体層
286 絶縁層
287 電極
288 側壁
289 トランジスタ
290 周辺回路
291 フォトダイオード
292 トランジスタ
293 トランジスタ
294 低濃度n型不純物領域
295 n型半導体層
301 期間
302 期間
303 期間
311 期間
312 期間
313 期間
382 Ec
386 Ec
390 トラップ準位
410 トランジスタ
411 トランジスタ
420 トランジスタ
421 トランジスタ
430 トランジスタ
431 トランジスタ
440 トランジスタ
441 トランジスタ
450 トランジスタ
451 トランジスタ
600 レンズ
602 フィルタ
604 配線層
660 光
800 固体撮像装置
810 固体撮像装置
820 固体撮像装置
821 トランジスタ
825 画素
829 トランジスタ
830 固体撮像装置
835 DSPブロック
880 オプティカルフローシステム
901 筐体
902 筐体
903 表示部
904 表示部
905 マイク
906 スピーカー
907 操作キー
908 スタイラス
909 カメラ
911 筐体
912 表示部
919 カメラ
921 筐体
922 シャッターボタン
923 マイク
925 レンズ
927 発光部
931 筐体
932 表示部
933 リストバンド
939 カメラ
941 筐体
942 筐体
943 表示部
944 操作キー
945 レンズ
946 接続部
951 筐体
952 表示部
954 スピーカー
955 ボタン
956 入出力端子
957 マイク
959 カメラ
1100 撮像装置
1112 副画素
1800 シフトレジスタ回路
1810 シフトレジスタ回路
1900 バッファ回路
1910 バッファ回路
2100 アナログスイッチ回路
2110 垂直出力線
2200 出力線
112B 副画素
112G 副画素
112R 副画素
242a 半導体層
242b 半導体層
242c 半導体層
243a 電極
243b 電極
383a Ec
383b Ec
383c Ec
602B フィルタ
602G フィルタ
602R フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58
図59
図60
図61
図62
図63
図64
図65
図66
図67