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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019003
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】球状物体外観検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20220120BHJP
   B65G 47/248 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
B65G47/248 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020122514
(22)【出願日】2020-07-17
(71)【出願人】
【識別番号】591137787
【氏名又は名称】株式会社ヒューブレイン
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】特許業務法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】蒲田 喜彦
【テーマコード(参考)】
2G051
3F081
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB01
2G051AB02
2G051BA01
2G051CA04
2G051CA07
2G051CB02
2G051CB05
2G051DA07
3F081AA12
3F081BB03
3F081BE09
3F081CA02
3F081CA07
3F081CA44
3F081CC08
(57)【要約】
【課題】球状物体が真円(球)であることが前提とされており、球状物体の転がりや回転の斑や偏りがあった場合にそれを確認することができず、全面を検査すること、また、全面が検査できているかの確認が困難な点を改善する。
【解決手段】本発明は、球状物体(ワークW)を吸着固定する第1検査ステージ2及び第2検査ステージ3を備え、第1検査ステージ2で上半球を撮像し、第1及び第2検査ステージ2,3で球状物体を挟んで反転させて、第2検査ステージ3において露出している上半球(第1検査ステージ2では下半球)を撮像するようにした。
【効果】球状物体は上半球、下半球を撮像する際に吸着固定されているから、転がりや回転させる手法のように偏りが生じることがなく、よって全面を確実に撮像、検査できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小で球状の物体の全面外観検査を行う球状物体外観検査装置であって、球状物体を複数載置する該球状物体の直径より小さい吸引孔が所定間隔で形成されたポーラスプレート及びこのポーラスプレートの露出面の裏面側に設けられて内部を負圧とする負圧チャンバーからなり、互いの前記ポーラスプレート側が臨むように上下位置に配置される第1検査ステージ及び第2検査ステージと、前記第1検査ステージの上方に設けられた球状物体の載置位置の上方を複数箇所から撮影する撮像手段と、撮像後の球状物体を載置した前記第1検査ステージに該第2検査ステージを重ねて上下反転させた後、該第2検査ステージから該第1ステージを離間させる反転機構と、前記第1検査ステージ及び第2検査ステージを所定位置まで搬送する搬送機構と、を備えた球状物体外観検査装置。
【請求項2】
前記ポーラスプレートを白色半透明とし、前記負圧チャンバー内に拡散光源を設けた請求項1記載の球状物体外観検査装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、撮像位置にある球状物体の真上から若干角度を有した部位及び前後左右斜め上方部位を撮像する台数を1セットとした請求項1又は2記載の球状物体外観検査装置。
【請求項4】
前記ポーラスプレートにおける前記吸引孔は、開口径が球状物体の直径の2/3とされ、ピッチが球状物体の直径の2倍以上でかつ隣接する球状物体同士の間隔が直径以上となるように形成されている請求項1~3のいずれかに記載の球状物体外観検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば球状の物体について疵や汚れの有無について効率よくかつ確実に全面検査することのできる球状物体外観検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、大量の球状物体の効率的な検査を可能にすることを目的として、例えば先行文献1(特開平9-229908号)には、同心円状に配置された第1回転体の外周縁と第2回転体の内周縁の間隙を環状溝として形成し、この環状溝に置かれた球体を保持手段によって回転自在に保持し、第1及び第2回転体を第1及び第2駆動手段によって相互に異なる回転速度で回転させる探傷用回転装置が提案されている。
【0003】
先行文献1は、第1~第3回転体を用い、このうち第3回転体の外周縁部に球体物質が個別に保持するための保持枠用の切り欠きが形成され、この切り欠きに順次球状物体が挿入され、検査位置まで回転体が回転することで上記構成の球状物体を搬送して順次外観検査が行われる。
【0004】
一般的に、球状物体は、該球状物体を転がす又は回すといったような手法で全面を見ようとすると、球状物体が真円(球)であるとは限らず、意図するように転がるとは限らないので、全量について確実に全面を検査することが困難であり、また、全面を検査したことを確認することも困難である。このことは、特許文献1もまた同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-229908号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする問題は、従来の球状物体の検査装置では、球状物体が真円(球)であることが前提とされており、球状物体を転がしたり、回したりする手法で全面を検査する場合には、球状物体の転がりや回転の斑や偏りがあった場合にそれを確認することができず、結果的に、全面を検査すること、また、全面が検査できているかの確認も困難な点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の球状物体外観検査装置は、球状物体を複数載置する該球状物体の直径より小さい吸引孔が所定間隔で形成されたポーラスプレート及びこのポーラスプレートの露出面の裏面側に設けられて内部を負圧とする負圧チャンバーからなり、互いの前記ポーラスプレート側が臨むように上下位置に配置される第1検査ステージ及び第2検査ステージと、前記第1検査ステージの上方に設けられた球状物体の載置位置の上方を複数箇所から撮影する撮像手段と、撮像後の球状物体を載置した前記第1検査ステージに該第2検査ステージを重ねて上下反転させた後、該第2検査ステージから該第1ステージを離間させる反転機構と、前記第1検査ステージ及び第2検査ステージを所定位置まで搬送する搬送機構と、を備えたことを主要な特徴とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、球状物体を転がしたり、回したりすることなく、第1及び第2検査ステージにおいて、負圧チャンバーでポーラスプレートの吸引孔に吸着固定した状態で撮像するので、球状物体の転がりや回転の斑や偏りが生じる可能性はなく、確実に全面を検査することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施例態様による球状物体外観検査装置の概略構成を示す図である。
図2】本発明の球状物体外観検査装置による外観検査手順を示す図である。
図3】本発明の一実施例態様による球状物体外観検査装置における第1検査ステージ(第2検査ステージ)を示し、(a)は分解斜視図、(b)は断面図、である。
図4】本発明の一実施例態様による球状物体外観検査装置における球状物体と吸引孔の関係を示し、(a)は上方から見た図、(b)は断面図、である。
図5】本発明の一実施例態様による球状物体外観検査装置における撮像手段を示し、(a)は上方から見た図、(b)は下方から見た図、(c)は球状物体における各カメラの撮像領域を示す斜視図、(d)は球状物体における各カメラの垂直位置と撮像領域を示す平面図、である。
図6】本発明の一実施例態様による球状物体外観検査装置における、(a)(b)は反転機構の概略構成を示す図、である。
図7】本発明の他の実施例態様による球状物体外観検査装置の概略構成を示す図である。
図8】本発明の一実施例態様による球状物体外観検査装置における第1検査ステージ(第2検査ステージ)を示し、(a)は分解斜視図、(b)は断面図、である。
図9】本発明の一実施例態様による球状物体外観検査装置における撮像手段を示し、(a)は上方から見た図、(b)は下方から見た図、(c)は球状物体における各カメラの撮像領域を示す斜視図、(d)は球状物体における各カメラの垂直位置と撮像領域を示す平面図、である。
図10】本発明の一実施例態様による球状物体外観検査装置における、(a)は搬送機構の概略構成を示す図、(b)(c)は反転機構の概略構成を示す図、である
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、球状の物体について疵や汚れの有無について効率よくかつ確実に全面検査するという目的を、球状物体を複数載置する該球状物体の直径より小さい吸引孔が所定間隔で形成されたポーラスプレート及びこのポーラスプレートの露出面の裏面側に設けられて内部を負圧とする負圧チャンバーからなり、互いの前記ポーラスプレート側が臨むように上下位置に配置される第1検査ステージ及び第2検査ステージと、前記第1検査ステージの上方に設けられた球状物体の載置位置の上方を複数箇所から撮影する撮像手段と、撮像後の球状物体を載置した前記第1検査ステージに該第2検査ステージを重ねて上下反転させた後、該第2検査ステージから該第1ステージを離間させる反転機構と、前記第1検査ステージ及び第2検査ステージを所定位置まで搬送する搬送機構と、を備えることで達成した。
【0011】
上記構成の本発明は、次のように球状物体の外観検査が行われる。ポーラスプレートが上面とされた第1検査ステージに球状物体が載置される。第1検査ステージでは負圧チャンバー内を減圧して負圧状態としており、球状物体が第1検査ステージにおけるポーラスプレートの吸引孔に吸着して位置が固定された状態となる。そして、この状態で、まず、球状物体の吸引孔から露出している上半球を撮像する。この後、例えば第1検査ステージを搬送機構により、ポーラスプレートが下面とされた第2検査ステージの吸引孔と第1検査ステージの球状物体を介した吸引孔とが一致する位置まで移動させる。
【0012】
第1検査ステージを第2検査ステージの位置まで移動させた後、反転機構により、例えば第2検査ステージを下降(第1検査ステージ側へ移動)させて重ね、該第1検査ステージと該第2検査ステージとで球状物体を挟み込み、その後、第1検査ステージと第2検査ステージとの上下の関係を、該第2検査ステージのポーラスプレートが上面となり、該第1検査ステージのポーラスプレートが下面となるよう、反転させ、第2検査ステージの負圧チャンバー内の減圧を開始する。
【0013】
このとき、第2検査ステージにおいて球状物体は、それまで第1検査ステージにおいて下半球となっていた部分が(上半球となって)露出する。この状態で、第2検査ステージが搬送機構により撮像手段の位置へ搬送されて、撮像される。これにより、球状物体が位置固定された状態で全面検査されることとなる。
【0014】
また、上記構成において、例えば前記ポーラスプレートを白色半透明とし、前記負圧チャンバー内に拡散光源を設けた構成としてもよい。例えば光沢ある球状物体は、撮像手段と同方向に光源があるとハレーションが生じる可能性があるが、こうすることで、必要最小限の光量を得つつハレーションを抑制できる。
【0015】
さらに、上記構成において、前記撮像手段は、撮像位置にある球状物体の真上から若干角度を有した部位及び前後左右斜め上方部位を撮像する台数を1セットとしてもよい。
【0016】
例えば光沢ある球状物体は、撮像手段が映り込んでしまうことがあり、互いの撮像手段が映り込まないように設けることで、球状物体の外観検査精度が向上する。また、撮像手段移動機構を備えることで、第1又は第2検査ステージに整列した複数の球状物体を行又は列で順に個別に撮像することができ、全量検査が可能となる。
【0017】
また、本発明は、上記構成において、前記ポーラスプレートにおける前記吸引孔は、開口径が球状物体の直径の2/3とされ、ピッチが球状物体の直径の2倍以上でかつ隣接する球状物体同士の間隔が直径以上となるように形成されていてもよい。
【0018】
吸引孔は、開口径の直径が2/3より小さいと、吸引面積が少ないので、僅かな振動で吸引が解除されてしまう可能性があり、また、2/3より大きいと、該吸引孔に球状物体が嵌り込みすぎて撮像手段による撮像面積が少なくなり、反転させても撮像できていない領域が生じる可能性がある。また、吸引孔のピッチ(孔の中心間距離)を球状物体の直径の2倍以上でかつ隣接する球状物体同士の間隔が直径以上としておけば、撮像する球状物体に隣接する球状物体が映り込むことを抑制することができる。
【実施例0019】
以下、本発明の具体例について図1図10を参照して説明する。図1図6には本発明の基本的な実施例(第1実施例)を、図7図10には本発明の他の実施例(第2実施例)を示す。なお、第2実施例については、第1実施例と重複する説明は省略して相違する構成のみ説明する。
【0020】
(第1実施例)
1は、微小で球状の物体W(以下、ワークWと言う)の全面外観検査を行う球状物体外観検査装置(以下、検査装置と言う)であって、主要構成は以下の通りである。2は、ワークWを複数載置するための吸引孔2aが所定間隔で形成されたポーラスプレート2A及びこのポーラスプレート2Aの露出面の裏面側に設けられて内部を負圧とする負圧チャンバー2Bからなる第1検査ステージである。
【0021】
3は、第1検査ステージ2と同様の、吸引孔3aが複数形成されたポーラスプレート3A及びこのポーラスプレート3Aの露出面の裏面側に設けられた負圧チャンバー3Bからなる第2検査ステージである。4は、第1検査ステージ2の上方に設けられ、ワークWの載置位置の上方を複数箇所から撮影する撮像ユニット(撮像手段)である。
【0022】
5は、撮像後のワークWを載置した第1検査ステージ2に第2検査ステージ3を重ねて上下反転させ、その後、第2検査ステージ3から第1ステージ2を離間させる反転機構である。6は、前記第1検査ステージ及び第2検査ステージを所定位置まで搬送する搬送機構である。
【0023】
続いて、第一実施例における検査装置1の各構成要素の詳細を説明する。第1検査ステージ2及び第2検査ステージ3(以下、第1検査ステージ2で説明する)は、図3(a)に示すように、例えば負圧チャンバー2B内底面で吸引孔3aの下方に複数の拡散光源7を設けている。拡散光源7は、単位面積あたりで均一な光量を得る目的で複数設けており、指向性光源であると局部的に光量差が生じるので、例えば擦りガラス様のシェードを設けている。
【0024】
また、本実施例では、例えば、ポーラスプレート2Aは、白色半透明の樹脂製プレートを用いている。ポーラスプレート2Aは、後述する撮像ユニット4と前記拡散光源7との関係で透光性を有した材料を用いている。
【0025】
なお、ワークWの材質(光沢や表面色)の関係で、ワークWの上方から照明を当ててもハレーションが生じないならば、非透光性材料を用いても構わない。また、ポーラスプレート2Aは、本実施例では、拡散光源7を用いる関係で、白色半透明のものを用いるが、拡散光源7を用いない場合は、例えば擦りガラス様のものを用いればよい。
【0026】
ポーラスプレート2Aに形成された吸引孔2aは、本実施例では、例えば図4(a)に示すように、ワークWの直径rの2/3の内径とされ、つまりワークWが2/3だけ露出(突出)するように形成されている。また、吸引孔2aは、ワークWの直径rの2倍のピッチAでかつ隣接するワークW同士の間隔Bが直径以上となるように形成されている。このようにすることで、ワークWの撮像時に、後述する撮像ユニット4の配置と相俟って、隣接するワークWが互いに映り込むことがなく、良好に撮像することができる。
【0027】
さらに、図3(a)に示すように、負圧チャンバー2Bを構成する四側壁のうちの一つ側壁面の中央には、吸引ノズルの接続孔2bが形成されており、ここに不図示の吸引接続機構が接続されている。
【0028】
撮像ユニット4は、第1実施例では、第1検査ステージ2の撮像位置と第2検査ステージ3の撮像位置の上方に次の同構成で各々固定的に設けられている。撮像ユニット4は、図5(a)(b)に示すように、撮像位置にあるワークWの真上から若干角度を有した部位にカメラC1、一直径方向の斜め上部を撮像するカメラC2,C3、カメラC2,C3から90°の位置(他直径方向)の斜め上部を撮像するカメラC4,C5を有している。なお、これらカメラC1~C5を総称するときは、カメラCと記す。
【0029】
また、撮像ユニット4は、カメラホルダ4Aに、本実施例では例えばカメラC1は真上(ワークWの中心軸)から約15°の位置を、カメラC2~C5は、ワークWの中心軸から約60°の位置を、視野とするようにそれぞれ設けられている。
【0030】
カメラC1~C5によって、ワークWは図5(c)のように撮像され、これをデータ的に平面視すると、カメラC1~C5によって図5(d)に示すように各撮像領域が少しずつ重複して撮像されることとなる。よって、吸引孔2a上で露出したワークW全体の約6~7割(上半球全部、直径では2/3)が撮像されることになる。なお、この状態の下半球については後述する。
【0031】
反転機構5は、本実施例では、図6に示すように構成している。図6(b)(c)に示す反転機構5は、例えば昇降と平面移動が可能とされたアーム5A,5Aと、このアーム部5A,5Aの各々の先端に設けた開閉自在のハンド部5B,5Bを備えている。
【0032】
すなわち、反転機構5は、1台で、例えば予めハンドリングしているポーラスプレート3Aが下面とされた第2検査ステージ3をアーム部5A,5Aにより第1検査ステージ2に向けて下降させて重ね合わせ、そのうえでハンド部5B,5Bにより第2検査ステージ3が下、第1検査ステージ2が上となるように反転させて搬送位置に載置し、上に位置する第1検査ステージ2をハンド部5A,5Aによりハンドリングして、初期位置へ退避移動するよう動作する構成とされている。なお、初期位置へ退避移動した第1検査ステージ2は、次の第1検査ステージ2に対しては「第2検査ステージ3」となる。
【0033】
本発明の反転機構5は、基本的には上記のとおり上下のハンド部5Bで第1検査ステージ2、第2検査ステージ3の各々又は重ねた状態の両方を挟んでハンドリングするが、例えば第2検査ステージ3を、第1検査ステージ2の上方から重ねる場合、及び第1検査ステージ2を、第2検査ステージ3から退避させる場合には、第2検査ステージ3、第1検査ステージ2の、それぞれの下方に臨んだポーラスプレート3A,2Aとは反対の面を吸着して把持する機能も備えている。
【0034】
すなわち、反転機構5は、不図示ながらハンド部5Bの挟持面(第1検査ステージ2、第2検査ステージ3に当接する面)に吸引手段の空気の吸引孔が形成されており、上側となるハンド部5Bの挟持面において負圧を発生させることで、一旦、第2検査ステージ3、第1検査ステージ2を、吸着して上方に持ち上げ、その後、上下のハンド部5Bで挟んでハンドリングする。
【0035】
搬送機構6は、例えば、第1本実施例では、図1に示すように、図2に示す工程をコンベア、移動台、テーブル、で繋いで構成している。すなわち、搬送機構6は、ワークWが載置された第1検査テーブル2を撮像位置まで搬送するコンベア61と、撮像位置において固定された撮像ユニット4に対して第1検査テーブル2をX軸方向、Y軸方向にピッチ搬送するタクトコンベア62と、撮像を終えた第1検査テーブル2を反転位置まで搬送するコンベア63と、重ねた状態の第1検査テーブル2と第2検査テーブル3を反転機構5によりハンドリングするための反転テーブル64と、反転後の第1検査テーブル2と第2検査テーブル3が載置され、第1検査テーブル2が退避された後の第2検査テーブル3を撮像位置まで搬送するコンベア65と、撮像位置において固定された撮像ユニット4に対して第2検査テーブル3をX軸方向、Y軸方向にピッチ搬送するタクトコンベア66と、上半球、下半球が撮像されたワークWを載置した第2検査テーブル3を次工程へ搬送するコンベア67と、を備えている。
【0036】
本発明の検査装置1は、図2の手順でワークWの上半球、下半球の外観検査が行われる。上流工程でワークWが載置され、負圧チャンバー2B内が減圧されてワークWが吸引固定状態とされた第1検査ステージ2(#1)を、コンベア61により第1検査ステージ2を撮像位置まで搬送される(#2)。
【0037】
第1検査ステージ2が撮像位置まで搬送されると、タクトコンベア62により、撮像ユニット4に対して、第1検査ステージ2をX軸方向に1列ピッチ搬送して、その列の最初から最後のワークWを撮像した後、Y軸方向に1行ピッチ搬送して、X軸方向に前記とは逆に1列ピッチ搬送を繰り返して、全てのワークWの第1検査ステージ2において露出している半球(説明上この状況下のワークWの撮像部位を上半球と言う)について撮像され(#3)、不図示の制御手段にて画像データ上に疵や汚れがないかが判断される。
【0038】
第1検査ステージ2におけるワークWの上半球の撮像を終えると、第1検査ステージ2はタクトコンベア62によりそのままコンベア63へ搬送され(#4)、停止したコンベア63において反転機構5によりハンドリングされた(ポーラスプレート3Aが下方に向いている)第2検査ステージ3と、重ね合わされる(#5)。ここまでは、第1検査ステージ2の負圧チャンバー2B内が減圧されている。
【0039】
第2検査ステージ3(上側)と第1検査ステージ2(下側)とが重ね合された後、第1検査ステージ2の負圧チャンバー2B内の減圧を停止すると同時に第2検査ステージ3の負圧チャンバー3B内を減圧し、以降、撮像が終了するまで第2検査ステージ3の負圧チャンバー3Bを減圧してワークWを吸着固定する。そして、この状態でコンベア63により反転テーブル64へ送り、この反転テーブル64において、反転機構5が第1検査ステージ2と第2検査ステージ3との両者をハンドリングして該第1検査ステージ2が上側、該第2検査ステージ3が下側となるように上下反転させる(#6)。
【0040】
第1検査ステージ2が上側、該第2検査ステージ3が下側となるように上下反転させると、第1検査ステージ2において検査した上半球が、第2検査ステージ3において下半球となり、つまりそれまで第1検査ステージ3において露出していなかった下半球が第2検査ステージ3において露出することとなる(説明上この状況下のワークWの撮像部位を下半球と言う)。そして、反転機構5は、一旦、第1検査ステージ2が上側、該第2検査ステージ3が下側の両者をコンベア65に載置し、続いて第1検査ステージ2を第2検査ステージから、垂直に移動させた後、退避位置へ退避させる。なお、この退避した第1検査ステージ2は、次サイクルでは第2検査ステージ3という位置づけとなる。
【0041】
第1検査ステージ2が第2検査ステージ3から退避した後、コンベア65が稼働して、第2検査ステージ3を撮像位置となるタクトコンベア66へと搬送する(#7)。そして、タクトコンベア66に第2検査ステージ3が載置されると、上記第1検査ステージ2で上半球を撮像したのと同様に、ピッチ搬送されて全てのワークWの第2検査ステージ3において露出している下半球について撮像され(#8)、不図示の制御手段にて画像データ上に疵や汚れがないかが判断される。
【0042】
こうしてワークWの下半球が撮像を終えた第2検査ステージ3は、タクトコンベア66によりそのままコンベア67へ搬送され、撮像データに基づいて疵や汚れのあるワークWが分別される工程へ搬送される。
【0043】
本実施例では、撮像ユニット4を2基備えた構成を示したが、搬送機構6のレイアウトによっては、反転後でワークWの下半球を露出させた第2検査ステージ3を第1検査ステージ3の撮像位置に戻すように構成して、撮像ユニット4を1基としてもよく、検査ステージの台数や反転機構5と搬送機構6のレイアウトは、上記に限らない。
【0044】
(第2実施例)
図7図10に示す第2実施例の検査装置1は、第1実施例と較べて次の点が相違する。第1検査ステージ2及び第2検査ステージ3について(第1検査ステージ2で代表説明)、図8(a)(b)に示すように、負圧チャンバー2Bの底面の中央には、吸引ノズルの接続孔2bが形成されており、ここに不図示の吸引接続機構が接続される。なお、本実施例における吸引接続機構は、接続孔2bとの接続、切り離しが極めて容易に行えるようになっている。
【0045】
また、撮像ユニット4は、図9に示すように、カメラホルダ4Aに設けたカメラC1~C5は第1実施例と同様であるが、本第2実施例では、カメラホルダ4Aは、Xねじ軸4aとYねじ軸4bが各々直交状に螺入されたスライダ4Bの下部に設けられている。なお、これらカメラホルダ4A、Xねじ軸4a、Yねじ軸4b、スライダ4Bが撮像手段移動機構を構成する。
【0046】
撮像ユニット4は、複数のカメラCを一体的に搭載したカメラホルダ4Aを設けたスライダ4Bが、撮像位置のXねじ軸4a、Yねじ軸4bの回動により移動しつつ、ワークWを上方から撮像する。なお、ワークWの撮像手段に関しては、ワークWの大きさや一度に検査する個数により、例えば望遠で1台のX軸及びY軸に移動しないカメラで撮像する構成であっても構わない。
【0047】
さらに、搬送機構6は、本第2実施例では、図7及び図10に示すように構成している。搬送機構6は、テーブル6Aにおいて、第1検査ステージ2及び第2検査ステージ3(あるいはより多くの検査ステージ)が移動する構成とされている。なお、本実施例におけるテーブル6Aのレイアウトは、これに限られない。
【0048】
テーブル6Aは、本実施例では、例えば矩形の搬送面を第1及び第2検査ステージ2,3の縦横の寸法で4つが配置され、4区画の搬送面6Aa,6Ab,6Ac,6Adに分割している(なお、これらを総称するときはテーブル6Aと言う)。テーブル6Aは、搬送面6Aaから搬送面6Abに向かう方向からワークWの配置済みの第1検査ステージ2が搬送される搬入口6Bと、搬送面6Adから搬送面6Aaに向かう方向から検査済みの第2検査ステージ3が搬出される搬出口6Cと、がそれぞれ設けられている。
【0049】
また、テーブル6Aにおける搬送面6Aa~6Adには、駆動型のローラR1,R2が設けられている。ローラR1は、搬送面6Aaから搬送面6Ab、搬送面6Acから搬送面6Ad、の方向に搬送されるよう設けられ、ローラR2は、搬送面6Abから搬送面6Ac、搬送面6Adから搬送面6Aa、の方向に搬送されるよう設けられている。
【0050】
さらに、テーブル6Aにおける各搬送面6Aa~6Adの中心を結んだ位置には溝6Dが設けられており、この溝6Dに不図示の吸引接続機構の吸引ノズルが位置し、第1及び第2検査ステージ2,3の接続孔2b、3bが接近すると、例えば磁力で速やかに接続し、第1及び第2検査テーブル2,3の移動と共に溝6Dに沿って移動する構成とされている。
【0051】
搬送機構6において、本実施例では、例えば撮像ユニット4は、搬送面6Aaの上方に設けられている。なお、上記のとおり、搬送機構6のレイアウトは限定されず、搬送面6Aaと搬送面6Adの2箇所に撮像ユニット4を設けて、搬送面6Adに搬出口6Cを設ける構成としてもよい。また、搬送機構6において、本実施例では、例えば反転機構5は、搬送面6Ab上方に設けられている。
【0052】
上記構成の検査装置1は、図2に示すように稼働する。搬送機構6に至る上流工程で第1検査ステージ2にワークWを載置し(#1)、搬入口6Cを介してローラR1に案内されてワークWが載置された第1検査ステージ2が搬送面6Aa、つまり本例におけるワークWの上半球の撮像位置に搬送される(#2)。
【0053】
第1検査ステージ2は搬送面6Aaに搬送されると、上記のとおり溝6Dに位置する吸引接続機構の吸引ノズルと負圧チャンバー2Bの接続孔2bとが接続され、ただちに該負圧チャンバー2B内の減圧が開始される。負圧チャンバー2B内が負圧となると、ポーラスプレート2Aの吸引孔2aにワークWが吸着固定される。
【0054】
そして、搬送面6Aaに第1検査ステージ2が位置したときに、撮像ユニット4を作動させて、該第1検査ステージ2上にあるワークWの行又は列で走査状に個別に撮像し、不図示の制御手段にて画像データ上に疵や汚れがないかを判断する(#3)。
【0055】
搬送面6Aaにおいて、ワークWの上半球の撮像が完了すると、第1検査ステージ2は、ローラR1に案内されて搬送面6Abに搬送される(#4)。第1検査ステージ2が搬送面6Abに搬送されると、ポーラスプレート3Aを下方に向けた第2検査ステージ3を把持した反転機構5が搬送面6Ab上に移動し、ここで下降して、第2検査ステージ3(上)の吸引孔3aと第1検査ステージ2(下)の吸引孔2aとがワークWを介して対応するように重ねる(#5)。
【0056】
反転機構5は、第2検査ステージ3と第1検査ステージ2を重ねた後に、両者を一体としてハンド部5Bで把持し直して、続いて、第1検査ステージ2が上、第2検査ステージ3が下となるように反転させ、搬送面6AcにローラR2に案内されつつ搬送される(#6)。
【0057】
反転機構5は、搬送面6Acに第1検査ステージ2が上、第2検査ステージ3が下となるように載置した後、第1検査ステージ2だけを把持し直して、元の位置へ戻る。一方、第2検査ステージ3は、第1検査ステージ2が反転機構5によって搬送面6Acから離間する間に搬送面6AdにローラR1に案内されて移動する。
【0058】
なお、搬送面6Acに、第1検査ステージ2と共に載置された第2検査ステージ3は、上記のとおり溝6Dに位置する吸引接続機構の吸引ノズルと負圧チャンバー3Bの接続孔3bとが接続され、ただちに該負圧チャンバー3B内の減圧が開始される。負圧チャンバー2B内が負圧となると、ポーラスプレート3Aの吸引孔3aにワークWが吸着固定される。
【0059】
本実施例では、搬送面6Adにおいて待機状態とされた第2検査ステージ3は、搬送面6Aaが空いていることが不図示の制御部で確認されると、ローラR2に案内されて搬送面6Adから搬送面6Aaに搬送され(#7)、搬送面6Aaにおいて、ワークWの第2検査ステージ3において露出している上半球(第1検査ステージ2において下半球)について撮像ユニット4により撮像され、不図示の制御手段にて画像データ上に疵や汚れがないかを判断する(#8)。この後、第2検査ステージ3は、搬出口6Cから搬出され、撮像データに基づいて疵や汚れのあるワークWが分別される工程へ搬送される。
【0060】
本実施例では、撮像ユニット4を1基としていたので、搬送面6Aaで上半球を外観検査した後、再度搬送された搬送面6Aaで下半球を撮像するようにしたが、稼働する検査ステージの台数や反転機構5と撮像ユニット4を含めた搬送機構6のレイアウトは、上記に限らない。
【0061】
以上のとおり、本発明は、第1検査ステージ2において吸着固定したワークWについて上半球を撮像し、第2検査ステージ3を下降させてワークWを挟み込み、反転させ、第2検査ステージ3において吸着固定して下半球が露出したワークWを撮像するから、ワークWは位置ずれが生じたり、撮像していない面が生じたりすることがなく、個々のワークWの全面が確実に検査されることとなる。
【符号の説明】
【0062】
1 (球状物体外観)検査装置
2 第1検査ステージ
2A ポーラスプレート
2B 負圧チャンバー
2a 吸引孔
2b 接続孔
3 第1検査ステージ
3A ポーラスプレート
3B 負圧チャンバー
3a 吸引孔
3b 接続孔
4 撮像ユニット(撮像手段)
4A カメラホルダ
4B スライダ
4a Xねじ軸
4b Yねじ軸
C カメラ
5 反転機構
6 搬送機構
7 拡散光源
W ワーク(球状物体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10