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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190036
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】カートリッジ及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/18 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
G03G21/18 121
G03G21/18 167
G03G21/18 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175589
(22)【出願日】2022-11-01
(62)【分割の表示】P 2021136718の分割
【原出願日】2021-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2020146225
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樫出 陽介
(72)【発明者】
【氏名】宗次 広幸
(72)【発明者】
【氏名】原田 悠子
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 剛史
(72)【発明者】
【氏名】森岡 昌也
(72)【発明者】
【氏名】林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】角田 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 輝彦
(72)【発明者】
【氏名】河井 太刀夫
(72)【発明者】
【氏名】浜田 孝俊
(72)【発明者】
【氏名】榊原 雄一
(57)【要約】
【課題】プロセス手段を支持する枠体の軽量化と安全性の両立を図ることができる技術を提供する。
【解決手段】画像形成装置に用いられるカートリッジであって、画像形成に用いられるプロセス手段と、第1の樹脂材料で構成される第1部材と、第1の樹脂材料よりも難燃性能が高い第2の樹脂材料で構成される第2部材と、画像形成装置の装置本体から給電される接点部を有し、装置本体とプロセス手段とを電気的に接続する電極部材と、を有するカートリッジにおいて、第2部材における第2の樹脂材料の密度は、第1部材における第1の樹脂材料の密度よりも大きく、接点部は、第1部材および第2部材の近傍に配設され、第1部材よりも第2部材の近くに配設されることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に用いられるカートリッジであって、
画像形成に用いられるプロセス手段と、
第1の樹脂材料で構成される第1部材と、
前記第1の樹脂材料よりも難燃性能が高い第2の樹脂材料で構成される第2部材と、
前記画像形成装置の装置本体から給電される接点部を有し、前記装置本体と前記プロセス手段とを電気的に接続する電極部材と、
を有するカートリッジにおいて、
前記第2部材における前記第2の樹脂材料の密度は、前記第1部材における前記第1の樹脂材料の密度よりも大きく、
前記接点部は、前記第1部材および前記第2部材の近傍に配設され、前記第1部材よりも前記第2部材の近くに配設されることを特徴とするカートリッジ。
【請求項2】
画像形成装置に用いられるカートリッジであって、
画像形成に用いられるプロセス手段と、
第1の樹脂材料で構成される第1部材と、
前記第1の樹脂材料よりも難燃性能が高い第2の樹脂材料で構成される第2部材と、
前記画像形成装置の装置本体から給電される接点部を有し、前記装置本体と前記プロセス手段とを電気的に接続する電極部材と、
を有するカートリッジにおいて、
前記第2部材における前記第2の樹脂材料の密度は、前記第1部材における前記第1の樹脂材料の密度よりも大きく、
前記接点部は、前記第2部材に配設されることを特徴とするカートリッジ。
【請求項3】
前記第2部材は、
前記電極部材が配設される電極座面と、
前記電極座面から前記電極座面に対して垂直な方向に突出した突出部と、
を有することを特徴とする請求項1または2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記第1部材に一体的に組み付けられ、前記第1の樹脂材料よりも難燃性能が高い第2の樹脂材料で構成される第3部材をさらに有し、
前記第2部材は、前記電極部材が配設される電極座面を有し、
前記第3部材は、前記電極座面に対して垂直な方向に前記電極座面よりも突出した突出部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記突出部は、前記電極座面と前記第1部材との間を遮るように設けられることを特徴とする請求項3または4に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記突出部は、前記電極座面の外周を囲むように突出することを特徴とする請求項3~5のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記第1の樹脂材料で構成される第4部材をさらに有し、
前記突出部は、前記電極座面と前記第4部材との間を遮るように設けられていることを特徴とする請求項3~6のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記第1の樹脂材料と前記第2の樹脂材料は、UL94による難燃グレードが異なることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記第1の樹脂材料は、UL94による難燃性がHBである樹脂材料であり、
前記第2の樹脂材料は、UL94による難燃性がV-1である樹脂材料であることを特徴とする請求項8に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記電極部材は、導電性を有する樹脂材料で構成されることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記プロセス手段は、回転体であり、
前記第2部材と前記電極部材とは、互いに一体的に成形され、前記プロセス手段を回転可能に支持する軸受部材であり、
前記電極部材は、
前記プロセス手段に給電する軸支持部と、
前記接点部と前記軸支持部とを接続する接続部と、
成形時に樹脂を注入するためのゲート部と、
を有し、
前記接点部の面に垂直な方向に見たときに、前記接続部と前記ゲート部は、前記接点部に含まれ、前記軸支持部は、前記接点部と少なくとも一部が重なることを特徴とする請求項10に記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記軸支持部は、円筒状に形成されており、
前記第2部材は、前記軸支持部の内周を支持する内周支持部と、前記軸支持部の外周を支持する外周支持部と、を有することを特徴とする請求項11に記載のカートリッジ。
【請求項13】
前記電極部材は、金属材料で構成されることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項14】
前記プロセス手段は、像担持体、現像剤担持体、帯電部材のうちのいずれかであることを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項15】
前記カートリッジは装置本体に着脱可能であることを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項16】
前記第1部材は、前記プロセス手段を支持することを特徴とする請求項1~15のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項17】
前記第2部材は、前記第1部材に一体的に組み付けられることを特徴とする請求項1~16のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項18】
前記電極部材は、少なくとも前記第2部材と接触するように組み付けられることを特徴とする請求項1~17のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項19】
記録材に画像を形成する画像形成装置であって、
装置本体と、
前記装置本体に着脱可能な請求項1~18のいずれか1項に記載のカートリッジと、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項20】
画像形成装置に用いられるカートリッジであって、
画像形成に用いられるプロセス手段と、
第1の樹脂材料で構成される第1部材と、
前記第1の樹脂材料よりも難燃性能が高い第2の樹脂材料で構成される第2部材と、
前記画像形成装置の装置本体から給電される接点部を有し、前記装置本体と前記プロセ
ス手段とを電気的に接続する電極部材と、
を有するカートリッジにおいて、
前記第2部材における前記第2の樹脂材料の密度は、前記第1部材における前記第1の樹脂材料の密度よりも大きく、
前記装置本体から前記電極部材に給電されることで前記接点部が発火源となった場合において、前記第1部材が発火することなく前記第2部材によって自己消火されるように前記第2部材が配置されることを特徴とするカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジおよびこれを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロセスカートリッジ方式を採用した電子写真方式画像形成装置では、カートリッジを装置本体に装着した状態で装置本体の本体電極とカートリッジの電極部材が接触し、カートリッジに備えられたプロセス手段等の被導通部材が装置本体と電気的に接続される。ここで電極部材の例としては、カートリッジを構成する枠体に、導電樹脂を組付ける構成が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-63750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例では、枠体に導電部を取り付けるため、導電部としての例えば導電樹脂または金属板を用いた場合、導電部近傍の電気的な安全性を確保するために、枠体には高い難燃機能を付与した樹脂(難燃材)を使用する必要があった。難燃材を使用することにより、材質の選択肢が制限され、特に枠体部品軽量化に対する課題となっていた。
【0005】
そこで、本発明の目的は、プロセス手段を支持する枠体の軽量化と安全性の両立を図ることができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為、本出願に係る発明は、
画像形成装置に用いられるカートリッジであって、
画像形成に用いられるプロセス手段と、
第1の樹脂材料で構成される第1部材と、
前記第1の樹脂材料よりも難燃性能が高い第2の樹脂材料で構成される第2部材と、
前記画像形成装置の装置本体から給電される接点部を有し、前記装置本体と前記プロセス手段とを電気的に接続する電極部材と、
を有するカートリッジにおいて、
前記第2部材における前記第2の樹脂材料の密度は、前記第1部材における前記第1の樹脂材料の密度よりも大きく、
前記接点部は、前記第1部材および前記第2部材の近傍に配設され、前記第1部材よりも前記第2部材の近くに配設されることを特徴とする。
また、上記課題を解決するため、本出願に係る発明は、
画像形成装置に用いられるカートリッジであって、
画像形成に用いられるプロセス手段と、
第1の樹脂材料で構成される第1部材と、
前記第1の樹脂材料よりも難燃性能が高い第2の樹脂材料で構成される第2部材と、
前記画像形成装置の装置本体から給電される接点部を有し、前記装置本体と前記プロセス手段とを電気的に接続する電極部材と、
を有するカートリッジにおいて、
前記第2部材における前記第2の樹脂材料の密度は、前記第1部材における前記第1の
樹脂材料の密度よりも大きく、
前記接点部は、前記第2部材に配設されることを特徴とする。
また、上記課題を解決するため、本出願に係る発明は、
画像形成装置に用いられるカートリッジであって、
画像形成に用いられるプロセス手段と、
第1の樹脂材料で構成される第1部材と、
前記第1の樹脂材料よりも難燃性能が高い第2の樹脂材料で構成される第2部材と、
前記画像形成装置の装置本体から給電される接点部を有し、前記装置本体と前記プロセス手段とを電気的に接続する電極部材と、
を有するカートリッジにおいて、
前記第2部材における前記第2の樹脂材料の密度は、前記第1部材における前記第1の樹脂材料の密度よりも大きく、
前記装置本体から前記電極部材に給電されることで前記接点部が発火源となった場合において、前記第1部材が発火することなく前記第2部材によって自己消火されるように前記第2部材が配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、プロセス手段を支持する枠体の軽量化と安全性の両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1における現像接点構成の分解図
図2】実施例1における画像形成装置本体及びカートリッジの断面図
図3】実施例1におけるカートリッジの断面図
図4】実施例1におけるカートリッジの構成を説明する斜視図
図5】実施例1におけるクリーニングユニットの構成を説明する斜視図
図6】実施例1におけるカートリッジの装着を説明する断面図
図7】実施例1におけるカートリッジの位置決めを説明する断面図
図8】実施例1におけるカートリッジの着脱を説明するための斜視図
図9】実施例1におけるカートリッジの構成を説明する斜視図
図10】実施例1におけるカートリッジの帯電接点構成の分解斜視図
図11】実施例1におけるカートリッジの現像接点構成の説明図
図12】実施例1におけるカートリッジの帯電接点構成の説明図
図13】実施例1における導電軸受部材を説明するための説明図
図14】実施例1における導電部を説明するための拡大図
図15】実施例2における現像ユニットの分解斜視図
図16】実施例2における画像形成装置の概略図
図17】実施例2におけるカートリッジの断面図
図18】実施例2におけるカートリッジの斜視図
図19】実施例2における現像ユニットの斜視図
図20】実施例2における現像ユニットの説明図
図21】実施例2におけるクリーニングユニットの分解斜視図
図22】実施例2におけるクリーニングユニットの説明図
図23】実施例3における画像形成装置の断面概略図
図24】実施例3におけるカートリッジの断面図
図25】実施例3における画像形成装置の断面図
図26】実施例3における画像形成装置の断面図
図27】実施例3における画像形成装置の断面図
図28】実施例3におけるドラムユニットの分解斜視図
図29】実施例3における現像ユニットの分解斜視図
図30】実施例3におけるカートリッジの分解斜視図
図31】実施例3におけるカートリッジの組立斜視図
図32(a)】実施例3におけるカートリッジと非駆動側カートリッジカバー部材の斜視図
図32(b)】実施例3における非駆動側カートリッジカバー部材の断面図
図32(c)】実施例3におけるカートリッジと非駆動側カートリッジカバー部材の断面図
図32(d)】実施例3におけるカートリッジと非駆動側カートリッジカバー部材の断面図
図33(a)】実施例3における記憶素子通信ユニット及び接点バネ保持部材の斜視図
図33(b)】実施例3における記憶素子通信ユニット及び接点バネ保持部材の拡大図
図33(c)】実施例3における記憶素子通信ユニット及び接点バネ保持部材の拡大図
図34】実施例1の変形例における帯電接点構成の要所を抜き出して示したクリーニング枠体枠体部の斜視図
図35】実施例1の変形例における帯電接点構成の要所を抜き出して示した分解斜視図
図36】実施例1の変形例における帯電接点構成を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面および実施例を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の機能、材質、形状、その相対配置などは、特定の記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0010】
<実施例1>
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、電子写真感光ドラムの回転軸線方向を長手方向とする。また、長手方向において、画像形成装置本体から電子写真感光ドラムが駆動力を受ける側を駆動側とし、その反対側を非駆動側とする。図2および図3を用いて全体構成および画像形成プロセスについて説明する。図2は、本発明の一実施の形態である電子写真画像形成装置の装置本体(電子写真画像形成装置本体、画像形成装置本体)A及びプロセスカートリッジBの断面図である。図3は、プロセスカートリッジBの断面図である。ここで、プロセスカートリッジとは、感光体と、この感光体に作用するプロセス手段とを一体的にカートリッジ化して、電子写真画像形成装置本体に対して取り外し可能に装着されるものである。例えば、感光体と、前記プロセス手段としての、現像手段、帯電手段、クリーニング手段の少なくとも一つを一体的にカートリッジ化したものが挙げられる。また、電子写真画像形成装置とは電子写真画像形成方式を用いて記録媒体に画像を形成するものである。電子写真画像形成装置の例としては、例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(LEDプリンタ、レーザビームプリンタ等)、ファクシミリ装置及びワードプロセッサ等が含まれる。装置本体Aとは、電子写真画像形成装置からプロセスカートリッジB(以下、カートリッジBと記載する)を除いた部分である。
【0011】
[電子写真画像形成装置全体構成]
図2に示す電子写真画像形成装置(画像形成装置)は、カートリッジBを装置本体Aに着脱自在(着脱可能)とした電子写真技術を利用したレーザビームプリンタである。カートリッジBが装置本体Aに装着されたとき、カートリッジBの像担持体としての電子写真感光ドラム62に潜像を形成するための露光装置3(レーザスキャナユニット)が配置される。また、カートリッジBの下側に画像形成対象となる記録媒体(以下、シート材PA
と記載する)を収納したシートトレイ4が配置されている。電子写真感光ドラム62は、電子写真画像形成用に用いられる感光体(電子写真感光体)である。更に、装置本体Aには、シート材PAの搬送方向Dに沿って、ピックアップローラ5a、給送ローラ対5b、転写ガイド6、転写ローラ7、搬送ガイド8、定着装置9、排出ローラ対10、排出トレイ11等が順次配置されている。なお、定着装置9は、加熱ローラ9a及び加圧ローラ9bにより構成されている。
【0012】
<画像形成プロセス>
次に、画像形成プロセスの概略を説明する。プリントスタート信号に基づいて、電子写真感光ドラム(以下、感光ドラム62あるいは、単にドラム62と記載する)は矢印R方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。バイアス電圧が印加された帯電ローラ(帯電部材)66は、ドラム62の外周面に接触し、ドラム62の外周面を一様均一に帯電する(図3参照)。露光装置3は、画像情報に応じたレーザ光Lを出力する。そのレーザ光LはカートリッジBのクリーニング枠体71に設けられたレーザ開口71h(図2参照)を通り、ドラム62の外周面を走査露光する。これにより、ドラム62の外周面には画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0013】
一方、図3に示すように、現像装置としての現像ユニット20において、トナー室29内のトナーTは、搬送部材(撹拌部材)43の回転によって撹拌、搬送され、トナー供給室28に送り出される。トナーTは、マグネットローラ34(固定磁石)の磁力により、現像ローラ32の表面に担持される。現像ローラ32は、ドラム62に形成された潜像を現像するために、現像剤(トナーT)をその表面に担持する現像剤担持体である。トナーTは、現像ブレード42によって摩擦帯電されつつ、現像剤担持体としての現像ローラ32周面上での層厚が規制される。
【0014】
そのトナーTは、静電潜像に応じてドラム62へ供給され、潜像を現像する。これにより、潜像はトナー像として可視像化される。ドラム62はその表面に潜像や、トナーで形成される像(トナー像、現像剤像)を担持する像担持体である。また、図2に示すように、レーザ光Lの出力タイミングとあわせて、ピックアップローラ5a、給送ローラ対5bによって、装置本体Aの下部に収納されたシート材PAがシートトレイ4から送り出される。そして、そのシート材PAが転写ガイド6を経由して、ドラム62と転写ローラ7との間の転写位置へ搬送される。この転写位置において、トナー像はドラム62からシート材PAに順次転写されていく。
【0015】
トナー像が転写されたシート材PAは、ドラム62から分離されて搬送ガイド8に沿って定着装置9に搬送される。そしてシート材PAは、定着装置9を構成する加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとのニップ部を通過する。このニップ部で加圧・加熱定着処理が行われてトナー像はシート材PAに定着される。トナー像の定着処理を受けたシート材PAは、排出ローラ対10まで搬送され、排出トレイ11に排出される。
【0016】
一方、図3に示すように、転写後のドラム62は、クリーニング部材77により外周面上の残留トナーが除去されて、再び、画像形成プロセスに使用される。ドラム62から除去されたトナークリーニングユニット60の廃トナー室71bに貯蔵される。クリーニングユニット60は感光ドラム62を有する感光ドラムユニットである。上記において、帯電ローラ66、現像ローラ32、転写ローラ7、クリーニング部材77がドラム62に作用するプロセス手段である。
【0017】
[カートリッジ全体の構成]
図3図4図5を用いて、カートリッジBの全体構成について説明する。図3は、カートリッジBの断面図、図4図5は、カートリッジBの構成を説明する斜視図である。
なお本実施例においては各部品を結合する際のビスに関しては省略して説明する。カートリッジBは、クリーニングユニット(感光体保持ユニット、ドラム保持ユニット、像担持体保持ユニット、第1ユニット)60と、現像ユニット(現像剤担持体保持ユニット、第2ユニット)20を有する。
【0018】
図3に示すように、クリーニングユニット60は、ドラム62と、帯電ローラ66と、クリーニング部材77と、これらを支持するクリーニング枠体71を有する。ドラム62は、駆動側において、駆動側に設けられた駆動側ドラムフランジ63がドラム軸受73の穴部73aにより回転可能に支持される(図4参照)。広義には、ドラム軸受73とクリーニング枠体71を総称してクリーニング枠体と呼ぶこともできる。非駆動側において、図5に示すように、クリーニング枠体71に設けられた穴部71cに圧入されたドラム軸78によって、非駆動側ドラムフランジの穴部(不図示)を回転可能に支持される構成となっている。
【0019】
各ドラムフランジは軸受部によって回転可能に支持される被軸受部である。図3に示すように、クリーニングユニット60において、帯電ローラ66、クリーニング部材77は、それぞれドラム62の外周面に接触して配置される。クリーニング部材77は、弾性材料としてのゴムで形成されたブレード状の弾性部材であるゴムブレード77aと、ゴムブレードを支持する支持部材77bと、を有する。ゴムブレード77aは、ドラム62の回転方向に対してカウンター方向にドラム62に当接している。即ち、ゴムブレード77aは、その先端部がドラム62の回転方向rの上流側を向くようにドラム62に当接している。クリーニング部材77によってドラム62の表面から除去された廃トナーは、クリーニング枠体71とクリーニング部材77によって形成された廃トナー室71bに溜められる。
【0020】
また、図3に示すように、クリーニング枠体71から廃トナーが漏れることを防止するためのスクイシート65が、ドラム62に当接するようにクリーニング枠体71の縁部に設けられている。帯電ローラ66は、クリーニング枠体71の長手方向における両端部において、帯電ローラ軸受67を介し、クリーニングユニット60に回転可能に取り付けられている。なお、クリーニング枠体71の長手方向(カートリッジBの長手方向)は、ドラム62の回転軸線が延びる方向(軸線方向)と略平行である。そのため以下、特に断りなく単に長手方向あるいは単に軸線方向といった場合には、ドラム62の軸線方向を意図する。帯電ローラ66は、帯電ローラ軸受67が付勢部材68によりドラム62に向けて加圧されることでドラム62に圧接されている。帯電ローラ66は、ドラム62の回転に従動回転する。
【0021】
図3に示すように、現像ユニット20は、現像ローラ32と、現像ローラ32を支持する現像容器23と、現像ブレード42等を有する。現像ローラ32は、両端に設けられた軸受部材26(図4)、27(図5)により回転可能に現像容器23に取り付けられている。また、現像ローラ32内にはマグネットローラ34が設けられている。現像ユニット20において、現像ローラ32上のトナー層を規制するための現像ブレード42が配置されている。図4図5に示すように、現像ローラ32には間隔保持部材38が現像ローラ32の両端部に取り付けられており、間隔保持部材38とドラム62が当接することで、現像ローラ32はドラム62と微少隙間をもって保持される。また、図3に示すように、現像ユニット20からトナーが漏れることを防止するための吹き出し防止シート33が、現像ローラ32に当接するように現像容器23の縁部に設けられている。更に、現像容器23と底部材22によって形成されたトナー室29には、搬送部材43が設けられている。搬送部材43は、トナー室29に収容されたトナーを撹拌すると共に、トナー供給室28へトナーを搬送する。
【0022】
図4図5に示すように、カートリッジBは、クリーニングユニット60と現像ユニット20を合体して構成される。現像ユニット20とクリーニングユニット60の結合は、次のように行われる。まずクリーニング枠体71の駆動側の第1吊り穴71iに対する軸受部材26の現像第1支持ボス26aの中心と、非駆動側の第2吊り穴71jに対する軸受部材27の現像第2支持ボス27aの中心を合わせる。具体的には、現像ユニット20を矢印G方向に移動させることで、第1吊り穴71i、第2吊り穴71jに現像第1支持ボス26a、現像第2支持ボス27aが嵌合する。これにより、クリーニングユニット60に対して現像ユニット20が移動可能に連結される。より詳細にいうと、クリーニングユニット60に対して現像ユニット20が回転移動可能(回動可能)に連結される。即ち、ドラム62に対して現像ローラ32が接離可能な状態で連結される。この後、ドラム軸受73をクリーニングユニット60に組み付けることによってカートリッジBを構成する。
【0023】
本実施例においては非駆動側付勢部材46L(図5)、駆動側付勢部材46R(図4)は圧縮バネで形成されている。これらバネの付勢力により、駆動側付勢部材46Rと非駆動側付勢部材46Lが、現像ユニット20をクリーニングユニット60に付勢させることで現像ローラ32をドラム62の方向へ確実に押し付けるよう構成する。さらに、現像ローラ32の両端部に取り付けられた間隔保持部材38を備えている。即ち、ドラム62と現像ローラ32が間隔保持部材38を介して所定の接触圧で接触することで、現像ローラ32はドラム62から所定の間隔をもって保持され、それぞれの相対位置が決まる。
【0024】
[カートリッジ装着]
図6(a)、図6(b)、図7(a)、図7(b)を用いて、カートリッジBの装着について具体的に説明する。図6(a)は、カートリッジBの装着を説明するための画像形成装置Aの駆動側ガイド部の断面図であり、図6(b)は、カートリッジBの装着を説明するための画像形成装置Aの非駆動側ガイド部の断面図である。図7(a)は、カートリッジBの位置決めを説明するための画像形成装置Aの駆動側断面図である。図7(b)は、カートリッジBの位置決めを説明するための画像形成装置Aの非駆動側断面図である。
【0025】
カートリッジBの装着の説明をする。図6(a)、図6(b)に示すように、第1駆動側板15は、ガイドとしてのガイドレール上15gと、ガイドレール15hと、を有しており、非駆動側板16は、ガイドレール上16dと、ガイドレール16eと、を有している。また、カートリッジBの駆動側に設けられたドラム軸受73は、被回転止め部73cを有している。なおカートリッジBの装着方向は、ドラム62(図3)の軸線と実質的に直交する方向(矢印C)である。
【0026】
また、クリーニング枠体71は、長手方向において非駆動側に第1位置決め部としての被位置決め部71dと、第2位置決め部としての被回転止め部71fと、を有している。カートリッジBを装置本体Aのカートリッジ挿入口17から装着すると、カートリッジBの駆動側がカートリッジBの被回転止め部73cとが装置本体Aのガイドレール15hにガイドされる。カートリッジBの非駆動側は、カートリッジBの被位置決め部71dと被回転止め部71fとが、装置本体Aのガイドレール16dとガイドレール16eにガイドされる。これによって、カートリッジBは装置本体Aに装着される。
【0027】
次に、開閉扉13を閉じる状態を説明する。図6(a)、図6(b)、図7(a)、図7(b)に示すように、第1駆動側板15は、位置決めとしての位置決め部上15aと位置決め部下15bと回転止め部15cを有しており、非駆動側板16は、位置決め部16aと回転止め部上16cを有している。ドラム軸受73は、被位置決め部上(第1の被位置決め部、第1の突起、第1の張出部)73dと被位置決め部下(第2の被位置決め部、第2の突起、第2の張出部)73fとを有している。
【0028】
また、カートリッジ押圧部材1、2は、開閉扉13の軸方向両端に回転可能に取り付けられている。カートリッジ押圧バネ19、21は、それぞれ画像形成装置Aに設けられた前板の長手方向において両端に取り付けられている。ドラム軸受73は、付勢力受け部としての被押圧部73eを有し、クリーニング枠体71は、非駆動側にて被押圧部71oを有す(図3参照)。開閉扉13を閉じることにより、カートリッジBの被押圧部73e、71oが、装置本体Aのカートリッジ押圧バネ19、21によって付勢されたカートリッジ押圧部材1、2によって押圧される(図7参照)。
【0029】
これによって、駆動側においては、カートリッジBの被位置決め部上73dと被位置決め部下73fと回転止め部73cとがそれぞれ装置本体Aの位置決め部上15aと位置決め部下15bと回転止め部15cとに固定される。この結果、カートリッジBやドラム62が駆動側で位置決めされる。また、非駆動側において、カートリッジBの被位置決め部71dと被回転止め部71fとがそれぞれ装置本体Aの位置決め部16aと回転止め部16cとに固定される。これによって非駆動側にてカートリッジBやドラム62が位置決めされる。
【0030】
これまで、装置本体Aに対して、カートリッジBの位置を決める構成の一例として記載したが、位置決めとしての手段を限定する趣旨の記載ではない。カートリッジBの駆動側の被位置決め部73d、被回転止め部73f、及び、非駆動側の被位置決め部71d,被回転止め部71fに直接作用して、位置決め部それぞれを固定する構成でも良い。
【0031】
図8(a)、図8(b)、図8(c)、図8(d)を用いて、カートリッジBが装置本体Aから駆動力を受ける構成について説明する。図8(a)は、装置本体Aの駆動部の構成を示す図で、図8(b)は、カートリッジBの駆動部の構成を示す図である。図8(c)は、装置本体AとカートリッジBの駆動部が係合する前の状態を示す図である。図8(d)は、装置本体Aの電源が入って、装置本体AとカートリッジBの駆動部が係合した状態を示す図である。
【0032】
図8(a)に示すように、装置本体Aには、装置本体Aの駆動源(不図示)から駆動力を受けて、カートリッジBに駆動力を伝達する駆動伝達部材81が設けられている。また、図8(b)に示すように、カートリッジBには、駆動伝達部材81と係合して駆動力を受けるために、駆動側ドラムフランジ63に駆動受動部63bを設けている。ここで、開閉扉13を閉じて、装置本体Aの電源を入れると、駆動伝達部材81は、図8(c)の矢印E方向に移動する。そして、図8(d)のように、駆動伝達部材81の駆動伝達部81bと、駆動側ドラムフランジ63の駆動受動部63bとが係合し、駆動側ドラムフランジ63を介して、ドラム62が回動する。また、駆動伝達部材81の外周部には歯車形状81gが設けられている。さらに、カートリッジBの現像ローラ32の端部には現像ローラギア90が結合されている。そして、図8(d)に示した駆動側ドラムフランジ63の駆動受動部63bが係合した状態のとき、駆動伝達部材81に設けられた歯車形状81gと現像ローラギア90も噛合うように配置される。即ち、駆動伝達部材81によって、駆動側ドラムフランジを介してドラム62が回動すると同時に、現像ローラギア90を介して現像ローラ62も回動する。
【0033】
[現像接点構成]
図1図9図11を用いて、本実施例の特徴であるカートリッジBの現像接点構成の詳細について説明する。図1は、現像接点構成の要所を抜き出して示した現像ユニット20の分解斜視図である。図9は、カートリッジBの斜視図、図11(a)は、現像接点構成を説明するためのカートリッジBの側面図、図11(b)は、図11(a)の現像接点周辺を拡大したI-I断面図である。
【0034】
図1に示すとおり、現像ユニット20には、第1枠体(第1部材)としての現像容器23と、プロセス手段としての現像ローラ32が設けられている。現像容器23には、密度が0.95~1.10g/cm程度であり、UL94規格の難燃性がHBである材質(第1の樹脂材料)が用いられている。一般的に、樹脂材料は火に接すると燃えてしまう性質を持っているが、樹脂材料に添加剤を添加することにより樹脂を難燃化できることが知られている。そして、同一種類の樹脂材料においては添加剤を添加し、難燃効果を高めるほど樹脂の比重が増加するため、製品全体において必要な樹脂材料の重量が増加してしまい環境負荷が大きくなってしまうという課題がある。本実施例では、現像容器23で使用する材質として、上記添加剤が使用されておらず密度が小さい材質を用いている。現像ローラ32は、所定のバイアスを付与されることで現像剤を担持する機能を持ち、駆動側を軸受部材26(図4参照)を介して、非駆動側を導電性軸受部材937と軸受部材27を介して、回転可能な回転体として現像容器23に支持される。ここで難燃性能に関して説明する。本実施例における難燃性能の評価には、UL94規格を用いた。プラスチックなど樹脂の難燃性能の評価基準として、まず、自己消火性があるか否かがある。UL94規格の燃焼試験として、一般的に、自己消火性が無い樹脂材料に対して行う水平燃焼試験と、自己消火性がある樹脂材料に用いる垂直燃焼試験がある。水平燃焼試験に用いられる樹脂材料としてはHB材が挙げられる。垂直燃焼試験に用いられる樹脂材料としては5VA、5VB、V-0、V-1、V-2材などが挙げられる。UL94規格におけるグレードの目安として、HB材の水平燃焼試験では、自己消火性はないが遅燃性であることを示し、3mm以上の厚さの試験片なら、燃焼速度が40mm/min以下であることが求められる。垂直燃焼試験においては、V-0材は10秒間を2回ずつ炎に接触させても燃焼時間が10秒以下であること、V-1、V-2材は10秒間を2回ずつ炎に接触させても燃焼時間が30秒以下であることが求められる。ここで、燃焼時間が少ない方が燃えにくいということである。すなわち、本実施例における「難燃性能が高い」とは、難燃グレードの差のみならず、同様の燃焼試験を行った場合において、燃焼時間が少ないことを含む。UL94規格以外にも、JIS規格による酸素指数を用いてもよい。酸素指数とは、樹脂材料に火をつけた状態で、その燃焼が持続するのに必要な最低酸素濃度をパーセンテージで示した指標である。酸素指数が大きいほど難燃性能が高いとする。例えば、HB材は酸素指数が15~19程度、V-2材が24~25程度、V-1材が25~29程度、V-0材が29~であるとされる。
【0035】
図1と、図11(a)、図11(b)に示すように、導電性軸受部材937には現像ローラ32に所定のバイアスを付与するために、画像形成装置の給電部材であるバネ接点1751と、導電性樹脂による電極部材である導電部1701とが設けられている。バネ接点1751と導電部1701により、装置本体と現像ローラ32との間に電気的に導通可能な経路が形成される。
【0036】
図1に示すとおり、導電性軸受部材937は、導電部1701と、第2枠体(第2部材)としての非導電部1702と、で一体的に成形される。非導電部1702は、密度が1.12~1.50g/cm程度であり、現像容器23よりも難燃性能が高いUL94規格の難燃性がV-1である材質(第2の樹脂材料)により構成されている。また、図11に示すように導電部1701は、画像形成装置の給電部材であるバネ接点1751と接触し、給電するために外部に露出した接点部1701aと、現像ローラ32を回転可能に支持する軸支持部としての導電支持部1701bと、を有する。
【0037】
図13は、導電軸受部材937の詳細を説明するための図であり、図13(b)と図13(c)は、導電部1701と非導電部1702を長手方向にずらした分解図である。なお、図13(b)と図13(c)は、導電部1701と非導電部1702を長手方向に並べて配置して図示しているが、これらは、長手方向に互いに嵌め合わせることで一体化さ
れる構成という訳ではない。導電部1701と非導電部1702は、本実施例においては二色成形により成形されるものであり、導電部1701は、非導電部1702に対し、長手方向の一方の側に回り込んで成形される部位と、他方の側に回り込んで成形される部位と、を有している。例えば、導電部1701のうち接点部1701aと導電支持部1701bは、非導電部1702に対して長手方向に互いに反対側に成形される部位同士である。すなわち、図13(b)と図13(c)は、導電部1701と非導電部1702のそれぞれの構成(特に一体化された際には外から見えない構成部分)をわかりやすく示すため、仮想的に、両者を長手方向にずらして示した図ということである。導電部1701と非導電部1702とが一体化された状態は、図13(a)に示した通りである。
【0038】
図13(c)に示すように、非導電部1702は、電極座面1702cを持ち、電極座面1702cは、接点部1701aと長手方向に対向する、長手方向と直交する方向に延びる面である。
【0039】
ここで、導電部1701の接点部1701aは、現像容器23よりも非導電部1702の近傍に接触して配設される。例えば、装置本体Aの高圧電源の異常等により、給電部であるバネ接点1751と接点部1701aとの間で放電が発生すると、電気的な発火源となりうる可能性がある。これに対し、本構成では、接点部1701aに対して、難燃性能の高い非導電部1702が接触して配置されている。接点部1701aの発火が非導電部1702に延焼しようとしたときには、非導電部1702は、その材質内部から不燃性ガスを発生させること、また樹脂表面を炭化させることにより、樹脂内部への延焼を遮断し、自己消火を促すことができる。これにより、導電部1701の接点部1701aが現像容器23の近くに配置されていたとしても、接点部1701aが現像容器23よりも非導電部1702の方が近くに配設されることで現像容器23への延焼を防止することができる。なお、本実施例における「近傍」とは、異常等により、給電部と接点部との間で放電が発生し、電気的な発火源となった場合に、発火の影響を被る範囲であるとする。
【0040】
即ち、本実施例のカートリッジBは、現像容器23には、低密度な樹脂材料であるHB材を使用することで製品全体を軽量化し、一方で、電気的な導通経路である装置本体AとカートリッジBの接続部の近傍については、難燃性が高いV-1材を使用する。こうすることで、製品全体の安全性と軽量化を両立したカートリッジBを提供することができる。
【0041】
さらに、密度が1.12~1.50g/cm程度であり、UL94規格の難燃性がV-1である材質により構成された第3枠体(第3部材)としての軸受部材27が、導電性軸受部材937を保持し、現像容器23に締結されている。さらに図11(b)に示すように、軸受部材27は、導電部1701に隣接し、長手方向Wに対して非導電部1702の電極座面1702c(図13参照)よりも凸となる突出部27aが配設されている。すなわち、軸受部材27には、非導電部1702の電極座面1702cを外部に対して遮るように形成された突出部27aが設けられている。例えば、装置本体Aの高圧電源の異常等により、給電部であるバネ接点1751と導電部1701の接点部1701aとの間で放電が発生して、電気的に発火することがある。このとき、長手方向Wにおいて導電部1701の接点部1701aから非導電部1702の電極座面1702cまでの部位が発火した場合であっても、非導電部1702と軸受部材27から発生する不燃性ガスを、突出部27aによって閉じ込めることができる。これにより、非導電部1702の自己消火をさらに促すことができ、延焼を電極座面1702cで止めることができる。よって、安全性をさらに向上させることができる。
【0042】
突出部27aの構成としては、不燃性ガスの閉じ込め、延焼の抑制の観点からは、電極座面1702cの周囲(外周)を完全に囲むように突出した構成とするのが好ましいが、一定の効果が得られる限りにおいては、種々の構成を採用し得る。延焼は鉛直方向の上方
に広がりやすい性質を有することから、少なくとも電極座面1702cの鉛直方向上方において、電極座面1702cと第1枠体である現像容器23との間を遮るように突出部27aを配設することで、延焼を防止する効果が期待できる。すなわち、本発明の突出部としては、少なくとも、接点部の鉛直方向上方に配設される部分を含むような構成とすれば、発火時における延焼抑制の効果を奏することができる。以下で説明する、他の突出部の構成においても同様のことが言えることは言うまでもない。
【0043】
図13は、導電性軸受部材937の詳細構成を説明するための斜視図である。図13(a)は、導電部1701と非導電部1702が一体成型された状態の導電性軸受部材937である。図13(b)と図13(c)は、説明のために導電性軸受部材937の導電部1701と非導電部1702を、上述したように仮想的に、長手方向にずらして配置した図である。
【0044】
導電軸受部材937は、図13(b)のように導電部1701と非導電部1702は異なる樹脂材料によって構成され、導電部1701と非導電部1702は一体に成形されている。導電部1701は、回転体である現像ローラ32の内周部を支持する導電支持部1701bを有する。さらに、図13(d)は、図13(a)の断面を示す図であるが、非導電部1702は、導電部1701を支持するための内周支持部1702aと外周支持部1702bを有している。それら内周支持部1702aと外周支持部1702bは、導電部1701の円筒状の導電支持部1701bを、内周側と外周側の両側から挟み込むように支持している。これにより導電部1701と非導電部1702の材質の熱膨張率の差によって両者の間に隙間が発生した場合であっても、非導電部1702に対する導電支持部1701bの傾きを小さくすることができ、現像ローラ32を安定して回動させることが可能である。
【0045】
図14は、導電部1701の詳細構成を説明するための拡大図である。導電部1701は、接点部1701aと導電支持部1701bを接続するための接続部1701eを有する。上述したように、導電部1701と非導電部1702は二色成形により成形され、導電部1701は、非導電部1702に対し、成形時に樹脂が、長手方向の一方の側に回り込んで成形される部位と、他方の側に回り込んで成形される部位と、を有する。接続部1701eは、非導電部1702に対し、長手方向の一方の側に回り込んで成形される部位としての接点部1701aと、他方の側に回り込んで成形される部位としての導電支持部1701bと、を接続する部分となる。また、導電部1701の二色成形においては、樹脂は、注入口となるゲート部1701cから、接点部1701a、接続部1701e、導電支持部1701bの順にキャビティ内に注入される。本構成においては、導電部1701の形状が、接点部1701aを含んだ面に垂直な方向に見たときに、接点部1701aに、ゲート部1701cと接続部1701eがオーバーラップした(重なり、かつ含まれる)構成となっている。さらに、同方向に見たときに、接点部1701aと導電支持部1701bとが互いに一部オーバーラップした構成となっている。すなわち、ゲート部1701cから導電支持部1701bまでの樹脂の注入経路を、例えば、非導電部1702の外側を迂回するような注入経路を形成する場合と比較して、より短く形成することができる。これにより導電部1701を構成する樹脂の材料使用量を減らすことで、万が一、接点部1701aが発火したときに導電性樹脂を伝うことによる延焼を小さくすることができ、さらに高い安全性を持った接点構成とすることができる。
【0046】
なお、本実施例において、第1枠体としての現像容器23は、PS(ポリスチレン)を使用している。また、第2枠体としての非導電部1702と第3枠体としての軸受部材27は、PC+ABS(ポリカーボネートとアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの混合樹脂)、樹脂電極部材としての導電部1701は、導電POM(ポリアセタール)を使用している。これらの材質は、本実施例のものに限定されるものではない。
【0047】
[帯電接点構成]
図10図12(a)、図12(b)を用いて、本実施例の特徴である帯電接点構成の詳細について説明する。図10は、帯電接点構成の要所を抜き出して示した分解斜視図であり、図12(a)は、帯電接点構成を説明するための側面図、図12(b)は、図12(a)の帯電接点を拡大したG-G断面図である。
【0048】
図10に示すとおり、クリーニングユニット60には、第1枠体としてのクリーニング枠体71が設けられている。クリーニング枠体71の内部には、図3に示すように、プロセス手段としての帯電ローラ66が設けられており、図10に示すように、クリーニング枠体71の非駆動側の側面には、帯電ローラ66を装置本体側と電気的に接続するための電極板82が取り付けられている。クリーニング枠体71には、密度が0.95~1.10g/cm程度であり、UL94規格の難燃性がHBである材質が用いられている。帯電ローラ66は、帯電ローラ軸受67を介して、回転可能な回転体としてクリーニング枠体71に支持される。帯電ローラ66は、所定のバイアスを付与されながら回転することで、感光ドラム62表面を一様に帯電する。クリーニングユニット60は、帯電ローラ66に所定のバイアスを付与するために、画像形成装置Aから帯電ローラ66への電気的に導通可能な経路として、金属による電極部材である電極板82を有する。電極板82は、画像形成装置に配設された給電部材であるバネ接点1752から給電するために外部に露出した接触面82aを有する。
【0049】
さらにクリーニングユニット60は、密度が1.12~1.50g/cm程度であり、クリーニング枠体71よりも難燃性能が高いUL94規格の難燃性がV-1である材質によって構成された第2枠体としての接点カバー83を有する。接点保護部材である接点カバー83の一部は、図12(b)のように接触面82aよりも長手方向Wに突出した突出部83aを有する。例えば、バネ接点1752と電極板82の接触面82aの間に例えば埃のような可燃物である異物を噛みこんだ状態でバイアスがかかることでトラッキングによる異物の発火が発生することがある。このような場合においては、難燃性が高い材質によって構成された突出部83aが延焼防止壁として機能することにより、クリーニング枠体71を始めとしたカートリッジB内部への延焼を防止することができる。
【0050】
即ち、本実施例のカートリッジBは、クリーニング枠体71には、低密度な樹脂材料であるHB材を使用することで製品全体を軽量化する。その一方で、電気的な導通経路である装置本体AとカートリッジBの接続部とクリーニング枠体71の間には、難燃性が高いV-1材の突出部83aを配設する。こうすることで、製品全体の安全性と軽量化を両立したカートリッジBを提供することができる。
【0051】
なお、本実施例において、第1枠体としてのクリーニング枠体71は、PS、第2枠体としての接点カバー83は、PC+ABS、金属電極部材としての電極板82は、SUSを使用している。これらの材質は、本実施例のものに限定されるものではない。
【0052】
また、本実施例では、現像ユニット20とクリーニングユニット60とが一体化されてプロセスカートリッジBを形成する構成について説明したが、本発明のカートリッジに相当する構成としては、本実施例で示した構成に限定されない。例えば、現像ユニット20とクリーニングユニット60とがそれぞれ個別に独立して装置本体に対して着脱可能な装置構成においては、各ユニットが本発明のカートリッジに相当するとしてよい。後述する実施例においても同様である。
【0053】
[帯電接点構成]
さらに、先に説明した帯電接点構成の他の実施例について説明する。図34(a)、図
34(b)、図35図36(a)、図36(b)を用いて、帯電接点構成の他の実施例の詳細について説明する。図34(a)は、帯電接点構成の要所を抜き出して示したクリーニング枠体枠体部単体の斜視図であり、図34(b)は、クリーニング枠体枠体部に接点カバー部を2色成形した状態の電接点構成の要所を抜き出して示した斜視図であり、図35は、帯電接点構成の要所を抜き出して示した分解斜視図である。図36(a)は、帯電接点構成を説明するための側面図、図36(b)は、図36(a)の帯電接点を拡大したH-H断面図である。なお、本実施例は、先述した図10記載の第2枠体としての接点カバー83をクリーニング枠体3071と一体に成形した変形例である。よって、それ以外の構成などについては、同様であり説明を省略する。
【0054】
図35に示す通り、クリーニングユニット3060には、第1枠体としてのクリーニング枠体3071が設けられている。ここで、クリーニング枠体3071は、図34(a)、図34(b)のように、クリーニング枠体枠体部3071aとクリーニング枠体接点カバー部3071bで構成される。クリーニング枠体接点カバー部3071bは、2色成形によって、クリーニング枠体枠体部3071aと一体に成形されている。クリーニング枠体枠体部3071aには、密度が0.95~1.10g/cm程度であり、UL94規格の難燃性がHBである材質が用いられている。また、クリーニング枠体接点カバー部3071bは、密度が1.12~1.50g/cm程度であり、クリーニング枠体71よりも難燃性能が高いUL94規格の難燃性がV-1である材質によって構成されている。
さらにクリーニング枠体接点カバー部3071bは、接点保護部材であり、その一部は、図36(b)のように接触面3082aよりも長手方向WWに突出した突出部3071cを有する。例えば、バネ接点3752と電極板3082の接触面3082aの間に例えば埃のような可燃物である異物を噛みこんだ状態でバイアスがかかることでトラッキングによる異物の発火が発生することがある。このような場合においては、難燃性が高い材質によって構成された突出部3071cが延焼防止壁として機能することにより、クリーニング枠体3071を始めとしたカートリッジ内部への延焼を防止することができる。
【0055】
即ち、本実施例のカートリッジにおいても、先に記載したように、クリーニング枠体3071には、低密度な樹脂材料であるHB材を使用することで製品全体を軽量化可能である。その一方で、電気的な導通経路である装置本体とカートリッジの接続部とクリーニング枠体3071の間には、難燃性が高いV-1材の突出部3071cを配設する。こうすることで、製品全体の安全性と軽量化を両立したカートリッジを提供することができる。
【0056】
なお、本実施例において、第1枠体としてのクリーニング枠体3071のクリーニング枠体枠体部3071aは、PS、先に記載した第2枠体と同様な役割を持つクリーニング枠体接点カバー部3071bは、PC+ABS、金属電極部材としての電極板3082は、SUSを使用している。これらの材質は、本実施例のものに限定されるものではない。
【0057】
<実施例2>
[画像形成装置2600の全体構成]
図16を用いて、本発明の実施例2に係る電子写真画像形成装置2600(以下、画像形成装置2600)の全体構成について説明する。図16は、本実施例に係る画像形成装置2600の概略図である。本実施例において、プロセスカートリッジ2500、及び、トナーカートリッジ2550は、画像形成装置2600の装置本体に対して着脱自在となっている。本実施例では、第1~4の画像形成部の構成と動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。したがって、以下において、特に区別を必要としない場合は、添え字であるY~Kを省略して総括的に説明する。
【0058】
第1~第4のプロセスカートリッジ2500は、水平方向に並んで配置されている。各プロセスカートリッジ2500は、クリーニングユニット2501と現像ユニット250
2から形成される。クリーニングユニット2501は、像担持体としての感光ドラム2503と、感光ドラム2503の表面を均一に帯電する帯電手段としての帯電ローラ2504、及び、クリーニング手段としてのクリーニングブレード2505を有する。現像ユニット2502は、現像ローラ2506と現像剤T(以下、トナー)を収容し、感光ドラム2503上に静電潜像を現像する現像手段を有する。クリーニングユニット2501と現像ユニット2502は、互いに揺動可能に支持されている。なお、第1のプロセスカートリッジ1Yは、現像ユニット2502内にイエロー(Y)のトナーを収容している。同様に、第2のプロセスカートリッジ2500Mはマゼンタ(M)、第3のプロセスカートリッジ2500Cはシアン(C)、第4のプロセスカートリッジ2500Kはブラック(K)のトナーを収容している。
【0059】
プロセスカートリッジ2500は、画像形成装置2600に設けられた装着ガイド(不図示)、位置決め部材(不図示)などの装着手段を介して、画像形成装置2600に着脱可能になっている。また、プロセスカートリッジ2500の下方には静電潜像を形成するための露光手段としてのスキャナユニット2601が配置されている。さらに、画像形成性装置においてプロセスカートリッジ2500より後方(プロセスカートリッジ2500の着脱方向下流側)に廃トナー搬送ユニット2616が配置されている。
【0060】
第1~第4のトナーカートリッジ2550は、各プロセスカートリッジ2500に収容されるトナーの色と対応した順序で、プロセスカートリッジ2500の下方にそれぞれ水平方向に並んで配置されている。すなわち、第1のトナーカートリッジ2550Yはイエロー(Y)のトナーを収容している。同様に、第2のトナーカートリッジ2550Mはマゼンタ(M)、第3のトナーカートリッジ2550Cはシアン(C)、第4のトナーカートリッジ2550Kはブラック(K)のトナーを収納している。そして、各トナーカートリッジ2550は、同色のトナーを収容したプロセスカートリッジ2500にトナーを補給する。
【0061】
トナーカートリッジ2550の補給動作は、画像形成装置2600の装置本体に設けられたトナー残量検知部ユニット(不図示)が、プロセスカートリッジ2500内のトナー残量不足を検知した際に行われる。トナーカートリッジ2550は、画像形成装置2600に設けられた装着ガイド(不図示)、位置決め部材(不図示)などの装着手段を介して、画像形成装置2600に着脱可能になっている。なお、プロセスカートリッジ2500の詳細説明は後述する。
【0062】
トナーカートリッジ2550の下方には、第1~第4のトナー搬送装置2602が各トナーカートリッジ2550に対応して配置される。各トナー搬送装置2602は、各トナーカートリッジ2550から受け取ったトナーを上方に搬送し、各現像ユニット2502にトナーを供給する。プロセスカートリッジ2500の上方には、中間転写体としての中間転写ユニット2604が設けられている。中間転写ユニット2604は、一次転写部S1側を下方にして略水平に配置されている。各感光ドラム2503に対向する中間転写ベルト2603は、回転可能な無端状のベルトであり、複数の張架ローラに張架されている。中間転写ベルト2603の内面には、一次転写部材として一次転写ローラ2605が中間転写ベルト2603を介して各感光ドラム2503と一次転写部S1を形成する位置にそれぞれ配置されている。また、二次転写部材である二次転写ローラ2606は、中間転写ベルト2603に接触し、中間転写ベルト2603を介して対向側のローラと二次転写部S2を形成している。さらに、左右方向(二次転写部S2と中間転写ベルトが張架される方向)において、二次転写部S2と反対側に中間転写ベルトクリーニングユニット2607が配置される。
【0063】
中間転写ユニット2604のさらに上方には、定着ユニット2608が配置されている
。定着ユニット2608は、加熱ユニット2609と、加熱ユニット2609に圧接する加圧ローラ2610とで構成される。また、装置本体の上面は、排出トレイ2611が配設されており、排出トレイ2611と中間転写ユニットの間に廃トナー回収容器2612が配設されている。さらに、装置本体の最下部には記録材2700を収容するための給紙トレイ2613が配設されている。
【0064】
[画像形成プロセス]
図16図17を用いて、画像形成装置2600における画像形成動作について説明する。図17は、本実施例に係るプロセスカートリッジの模式的断面図である。
【0065】
画像形成時には、感光ドラム2503は、図17の矢印a方向に所定の速度で回転駆動される。中間転写ベルト2603は、図16の矢印bの方向(感光ドラム2503の回転に順方向)に回転駆動される。
【0066】
まず、感光ドラム2503の表面が帯電ローラ2504によって一様に帯電される。次に、スキャナユニット2601から照射されたレーザ光によって感光ドラム2503の表面が走査露光されることで、感光ドラム2503上に画像情報に基づいた静電潜像が形成される。感光ドラム2503上に形成された静電潜像は、現像ユニット2502によってトナー像(現像剤像)として現像される。このとき、現像ユニット2502は、画像形成装置2600本体に設けられた現像加圧ユニット(不図示)によって加圧されている。そして、感光ドラム2503上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ2605によって中間転写ベルト2603上に一次転写される。
【0067】
例えば、フルカラー画像の形成時には、第1~4の一次転写部である画像形成部S1Y~S1Kにおいて上述したプロセスが順次に行われることで、中間転写ベルト2603上に各色のトナー像が順次に重ね合わされる。
【0068】
一方、給紙トレイ2613に収容されている記録材2700は、所定の制御タイミングで給送され、中間転写ベルト2603の移動と同期して二次転写部S2へと搬送される。そして、記録材2700を介して中間転写ベルト2603に当接している二次転写ローラ2606によって、中間転写ベルト2603上の4色トナー像は一括して記録材2700上に二次転写される。
【0069】
その後、トナー像が転写された記録材2700は定着ユニット2608に搬送される。定着ユニット2608において記録材2700が加熱・加圧されることで記録材2700にトナー像が定着する。その後、定着済の記録材2700が排出トレイ2611に搬送されることで画像形成動作が完了する。また、一次転写工程後に感光ドラム2503上に残留した一次転写残トナー(廃トナー)は、クリーニングブレード2505によって除去される。二次転写工程後に中間転写ベルト2603上に残留した二次転写残トナー(廃トナー)は、中間転写ベルトクリーニングユニット2607によって除去される。クリーニングブレード2505、及び、中間転写ベルトクリーニングユニット2607によって除去された廃トナーは、装置本体に設けられる廃トナー搬送ユニット2616によって搬送され、廃トナー回収容器2612に蓄積される。なお、画像形成装置2600は、所望の単独またはいくつか(全てではない)の画像形成部のみを用いて、単色またはマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
【0070】
[プロセスカートリッジ]
図17図18を用いて、本実施例に係る画像形成装置2600に装着されるプロセスカートリッジ2500の全体構成について説明する。図17は、本実施例に係るプロセスカートリッジ2500の模式的断面図である。図18(a)は、底面側から見たときのプ
ロセスカートリッジ2500の斜視図である。図18(b)は、天面側から見たときのプロセスカートリッジ2500の斜視図である。
【0071】
プロセスカートリッジ2500は、クリーニングユニット2501と現像ユニット2502から形成される。クリーニングユニット2501と現像ユニット2502は、回転支持ピン2507を中心として、揺動可能に結合される。
【0072】
クリーニングユニット2501は、クリーニングユニット2501内の各種部材を支持するクリーニング枠体2508を有する。また、クリーニングユニット2501内には、感光ドラム2503、帯電ローラ2504、クリーニングブレード2505の他に、感光ドラム2503の回転軸線方向に平行な方向に延びる廃トナースクリュー2509を有する。クリーニング枠体2508には、感光ドラム2503を回転可能に支持するクリーニング軸受2511が、クリーニングユニット2501の長手両端に配設されている。クリーニング軸受2511には、感光ドラム2503から廃トナースクリュー2509に駆動を伝達するためのクリーニングギア列が備えられている。
【0073】
帯電ローラ2504は、感光ドラム2503に向かって、両端に配置された帯電ローラ加圧ばね2512で矢印c方向に付勢されている。帯電ローラ2504は、感光ドラム2503に対して従動するように設けられ、感光ドラム2503が画像形成時に矢印a方向に回転駆動されると、矢印dの方向(感光ドラム2503の回転に順方向)に回転する。
【0074】
クリーニングブレード2505は、一次転写後に感光ドラム2503の表面に残った転写残トナー(廃トナー)を除去するための弾性部材2505aと、弾性部材2505aを支持するための支持部材2505bとから構成されている。クリーニングブレード2505によって感光ドラム2503の表面から除去された廃トナーは、クリーニングブレード2505とクリーニング枠体2508により形成される廃トナー収容室2513に収容される。廃トナー収容室2513に収容された廃トナーは、廃トナー収容室2513内に設置される廃トナースクリュー2509によって画像形成装置2600の後方(プロセスカートリッジ2500の着脱方向下流側)に向かって搬送される。搬送された廃トナーは、廃トナー排出部2618から排出され、画像形成装置2600の廃トナー搬送ユニット2616へと受け渡される。
【0075】
現像ユニット2502は、現像ユニット2502内の各種部材を支持する現像枠体2614を有する。現像枠体2614は、現像ローラ2506と供給ローラ2515とが内部に設けられる現像室2514aと、トナーが収容され、撹拌部材2516が内部に設けられるトナー収納室2514bとに分けられる。
【0076】
現像室2514aには、現像ローラ2506、供給ローラ2515、現像ブレード2517が設けられている。現像ローラ2506は、現像剤担持体としてトナーを担持しており、画像形成時は矢印e方向に回転し、感光ドラム2503と接触することで感光ドラム2503にトナーを搬送する。また、現像ローラ2506は、その長手方向(回転軸線方向)の両端部において現像軸受ユニット2518によって回転可能に現像枠体2514に支持されている。供給ローラ2515は、現像剤供給部材として、現像ローラ2506と接触しつつ回転可能に現像軸受ユニット2518によって回転可能に現像枠体2514に支持されており、画像形成時は矢印f方向に回転する。さらに、現像ローラ2506上に形成されるトナー層の厚みを規制する、層厚規制部材としての現像ブレード2517が、現像ローラ2506の表面に当接するように配置されている。
【0077】
トナー収納室2514bには、収納されたトナーTを撹拌するとともに、現像室連通口2514cを介して供給ローラ2515へトナーを搬送するための撹拌部材2516が設
けられている。撹拌部材2516は、現像ローラ2506の回転軸線方向に平行な回転軸2516aと、可撓性を有するシートである搬送部材としての撹拌シート2516bとを有する。撹拌シート2516bの一端が回転軸2516aに取り付けられ、撹拌シート2516bの他端が自由端となっており、回転軸2516aが回転して撹拌シート2516bが矢印g方向に回転することで、撹拌シート2516bによってトナーが撹拌される。
【0078】
現像ユニット2502は、現像室2514aとトナー収納室2514bとを連通する現像室連通口2514cを有する。本実施例では、現像ユニット2502が通常使用される姿勢(使用時の姿勢)において、現像室2514aは、トナー収納室2514bの上方に位置している。撹拌部材2516によって汲み上げられたトナー収納室2514b内のトナーは、現像室連通口2514cを通って現像室2514aに供給される。
【0079】
さらに、現像ユニット2502には、着脱方向下流側の一端に受入口2519が設けられる。トナー受入口2519の上部には、受入口シール部材2520と、前後方向に移動可能なトナー受入口シャッタ2521が配置されている。トナー受入口2519は、プロセスカートリッジ2500が画像形成装置2600に装着されていない場合はトナー受入口シャッタ2521によって閉じられている。トナー受入口シャッタ2521は、プロセスカートリッジ2500の着脱動作に連動し、画像形成装置2600に付勢されて開く構成となっている。トナー受入口2519に連通して受入搬送路2522が設けられ、内部には受入搬送スクリュー2523が配置されている。さらに、現像ユニット2518の長手中央付近にはトナー収納室2514bへトナーを供給するための収納室連通口2524が設けられ、受入搬送路2522とトナー収納室2514bを連通している。受入搬送スクリュー2523は、現像ローラ2506や供給ローラ2515の回転軸線方向と平行に延びており、トナー受入口2519から受け入れたトナーを、収納室連通口2524を介してトナー収納室2514bに搬送する。
【0080】
[現像接点構成]
図15図19図20を用いて、本実施例の特徴である現像接点構成の詳細について説明する。図15は、現像接点構成の要所を抜き出して示した現像ユニット2502の分解斜視図である。図19は、現像ユニット2502の斜視図、図20(a)は、現像接点構成を説明するための側面図、図20(b)は、図20(a)の現像接点を拡大したB-B断面図である。
【0081】
図15に示すとおり、現像ユニット2502には、第1枠体としての現像枠体2514と、プロセス手段としての現像ローラ2506が設けられている。現像枠体2514には、密度が0.95~1.10g/cm程度であり、UL94規格の難燃性がHBである材質が用いられている。一般的に、樹脂材料は火に接すると燃えてしまう性質を持っているが、樹脂材料に添加剤を添加することにより樹脂を難燃化できることが知られている。そして、同一種類の樹脂材料においては添加剤を添加し、難燃効果を高めるほど樹脂の比重が増加する。そのため、製品全体において必要な樹脂材料の重量が増加してしまい環境負荷が大きくなってしまうという可能性がある。本実施例では、現像枠体2514で使用する材質として、上記添加剤が使用されておらず密度が小さい材質を用いている。現像ローラ2506は、所定のバイアスを付与されることで現像剤を担持する機能を持ち、現像軸受ユニット2518を介して、回転可能な回転体として現像枠体2514に支持される。
【0082】
図15と、図20(a)、図20(b)に示すように、現像軸受ユニット2518には現像ローラ2506に所定のバイアスを付与するために、導電性樹脂によって形成された電極部材である導電部2530が設けられている。導電部2530により、画像形成装置の給電部材である現像バネ接点2620から現像ローラ2506に電気的に導通可能な経
路が形成される。
【0083】
図15に示すとおり、現像軸受ユニット2518は、導電部2530と、第2枠体としての非導電部2531と、二色成形等の手段で一体的に成形される。非導電部2531は、密度が1.12~1.50g/cm程度であり、現像枠体2514よりも難燃性能が高いUL94規格の難燃性がV-0である材質により構成されている。また、図15に示すように導電部2530は、画像形成装置の給電部材である現像バネ接点2620(図20(b))と接触し、給電するために外部に露出した接点部2530aと、現像ローラ2506を回転可能に支持する導電支持部2530bを有する。
【0084】
図20(b)に示す様に、本構成において、導電部2530を形成するための座面は、第2枠体である非導電部2531で形成されている。この非導電部2531で形成された座面を2531aとする時、非導電部2531には、導電部2530に隣接し、座面2531aに対して垂直な方向に、座面2531aよりも突出した突出部2531bが形成されている。導電部2530は、2色成形によって、現像バネ接点2620と接触する面以外は、非導電部2531で囲まれる様に形成される。
【0085】
画像形成装置本体の現像バネ接点2620と導電部2530の接触面において、例えば、高圧電源の異常により、給電部である現像バネ接点2620と導電部2530の接触面2530aとの間で放電すると、電気的な発火源となりうる可能性がある。これに対し、本構成では、導電部2530に対して、難燃性の高い非導電部2531がその周囲を取り囲む様に形成されている。かかる構成により、接触面2530aでの発火が非導電部2531に延焼しようとした時に、非導電部2531の材質内部から発生する不燃性ガスにより自己消火作用が働き、現像枠体2514への延焼を防止する事ができる。
【0086】
即ち、本実施例においても、現像枠体2514には、低密度な樹脂材料であるHB材を使用することで製品全体を軽量化し、一方で、電気的な導通経路である装置本体とプロセスカートリッジの接続部の近傍については難燃性が高いV-0材を使用する。こうすることで、製品全体の安全性と軽量化を両立したプロセスカートリッジを提供することができる。
【0087】
[帯電接点構成]
図17図21図22(a)、図22(b)を用いて、本実施例の特徴である帯電接点構成の詳細について説明する。図21は、帯電接点構成の要所を抜き出して示した分解斜視図であり、図22(a)は、帯電接点構成を説明するための側面図、図22(b)は、図22(a)の帯電接点を拡大したE-E断面図である。
【0088】
図17に示すとおり、クリーニングユニット2501には、第1枠体としてのクリーニング枠体2508と、プロセス手段(帯電部材)としての帯電ローラ2504が設けられている。クリーニング枠体2508には、密度が0.95~1.10g/cm程度であり、UL94規格の難燃性がHBである材質が用いられている。帯電ローラ2504は、帯電ローラ軸受2525を介して、回転可能な回転体としてクリーニング枠体2508に支持される。帯電ローラ軸受2525は、導電性樹脂によって形成された帯電ローラ軸受部材2526と、金属の圧縮バネで形成された帯電ローラバネ部材2512で構成されている。帯電ローラ2504は、所定のバイアスを付与されながら回転することで、感光ドラム2503表面を一様に帯電する。クリーニングユニット2501は、帯電ローラ2504に所定のバイアスを付与するために、画像形成装置2600から帯電ローラ2504への電気的に導通可能な経路として、図21に示す金属による電極部材である電極板2528を有する。図22(b)に示す様に、電極板2528は、画像形成装置に配設された給電部材であるバネ接点2619から給電するために外部に露出した接触面2528aを
有する。
【0089】
さらにクリーニングユニット2501は、第2枠体としての接点カバー2529を有する。接点カバー2529は、密度が1.12~1.50g/cm程度であり、クリーニング枠体2508よりも難燃性能が高いUL94規格の難燃性がV-0である材質によって構成されている。接点カバー2529の一部は、図22(b)のように接触面2528aよりも長手方向Wに突出した突出部2529aを有する。例えば、バネ接点2619と電極板2528の接触面2528aの間に、例えば埃のような可燃物である異物が挟まることが原因のトラッキングによる発火が発生することがある。このような場合においては、難燃性が高い材質によって構成された突出部2529aが延焼防止壁として機能する。これにより、クリーニング枠体2508を始めとしたプロセスカートリッジ2500内部への延焼を防止することができる。
【0090】
即ち、クリーニング枠体2508には、低密度な樹脂材料であるHB材を使用することで製品全体を軽量化し、一方で、電気的な導通経路である装置本体2600とクリーニング枠体2508の間に難燃性が高いV-0材の突出部2529aを配設する。こうすることで、製品全体の安全性と軽量化を両立したカートリッジを提供することができる。
【0091】
<実施例3>
以下、本発明の実施例3について図を用いて説明する。なお、実施例3では、画像形成装置として、4個のプロセスカートリッジが着脱可能な画像形成装置を例示している。なお、画像形成装置に装着するプロセスカートリッジの個数はこれに限定されるものではない。必要に応じて適宜設定されるものである。また、以下説明する実施例では、画像形成装置の一態様としてレーザビームプリンタを例示している。
【0092】
[画像形成装置の概略構成]
図23は、画像形成装置Mの断面概略図である。また、図24は、プロセスカートリッジ2800の断面図である。この画像形成装置Mは、電子写真プロセスを用いた4色フルカラーレーザプリンタであり、記録媒体(記録材)Sにカラー画像形成を行う。画像形成装置Mは、プロセスカートリッジ方式であり、プロセスカートリッジ2800を画像形成装置本体2870に取り外し可能に装着して、記録媒体Sにカラー画像を形成するものである。
【0093】
ここで、画像形成装置Mに関して、前ドア2711を設けた側を正面(前面)、正面と反対側の面を背面(後面)とする。また、画像形成装置Mを正面から見て右側を駆動側、左側を非駆動側と称す。また、画像形成装置Mを正面から見て上側を上面、下側を下面とする。図23は画像形成装置Mを非駆動側から見た断面図であり、紙面手前が画像形成装置Mの非駆動側、紙面右側が画像形成装置Mの正面、紙面奥側が画像形成装置Mの駆動側となる。
【0094】
また、プロセスカートリッジ2800の駆動側とは、感光ドラム軸線方向で見て、後述するドラムカップリング部材(感光体カップリング部材)が配置された側である。また、プロセスカートリッジ2800の駆動側とは、現像ローラ(現像部材)軸線方向で見て、後述する現像カップリング部材が配置された側である。
【0095】
画像形成装置本体2870には、第1~第4のプロセスカートリッジ2800(2800Y、2800M、2800C、2800K)が略水平方向に配置されている。第1~第4の各プロセスカートリッジ2800(2800Y、2800M、2800C、2800K)は、それぞれ同様の電子写真プロセス機構を有しており、現像剤(以下トナーと称す)の色が各々異なるものである。第1~第4のプロセスカートリッジ2800(2800
Y、2800M、2800C、2800K)には、画像形成装置本体2870の駆動出力部(詳細は後述する)から回転駆動力が伝達される。また、第1~第4の各プロセスカートリッジ2800(2800Y、2800M、2800C、2800K)には、画像形成装置本体2870からバイアス電圧(帯電バイアス、現像バイアス等)が供給される(不図示)。
【0096】
図24に示すように、本実施例の第1~第4の各プロセスカートリッジ2800は、感光ドラム2804と、この感光ドラム2804に作用するプロセス手段としての帯電手段を備えたドラムユニット2808を有する。ここで、ドラムユニット2808は、プロセス手段として帯電手段のみならずクリーニング手段を有する場合もある。また、第1~第4の各プロセスカートリッジ2800(2800Y、2800M、2800C、2800K)は、感光ドラム2804上の静電潜像を現像する現像手段を備えた現像ユニット2809を有する。
【0097】
ドラムユニット2808と現像ユニット2809は互いに結合されている。プロセスカートリッジ2800のより具体的な構成については後述する。第1のプロセスカートリッジ2800Yは、現像枠体2825内にイエロー(Y)のトナーを収容しており、感光ドラム2804の表面にイエロー色のトナー像を形成する。第2のプロセスカートリッジ2800Mは、現像枠体2825内にマゼンタ(M)のトナーを収容しており、感光ドラム2804の表面にマゼンタ色のトナー像を形成する。第3のプロセスカートリッジ2800Cは、現像枠体2825内にシアン(C)のトナーを収容しており、感光ドラム2804の表面にシアン色のトナー像を形成する。第4のプロセスカートリッジ2800Kは、現像枠体2825内にブラック(K)のトナーを収容しており、感光ドラム2804の表面にブラック色のトナー像を形成する。
【0098】
第1~第4のプロセスカートリッジ2800(2800Y、2800M、2800C、2800K)の上方には、露光手段としてのレーザスキャナユニット2714が設けられている。このレーザスキャナユニット2714は、画像情報に対応してレーザ光Lを出力する。そして、レーザ光Lは、プロセスカートリッジ2800の露光窓2810を通過して感光ドラム2804の表面を走査露光する。第1~第4のプロセスカートリッジ2800(2800Y、2800M、2800C、2800K)の下方には、転写部材としての中間転写ユニット2712を設けている。この中間転写ユニット2712は、駆動ローラ2712e、ターンローラ2712c、テンションローラ2712bを有し、可撓性を有する転写ベルト2712aを掛け渡している。第1~第4の各プロセスカートリッジ2800(2800Y、2800M、2800C、2800K)の感光ドラム2804は、その下面が転写ベルト2712aの上面に接している。その接触部が一次転写部である。転写ベルト2712aの内側には、感光ドラム2804に対向させて一次転写ローラ2712dを設けている。
【0099】
駆動ローラ2712eには、転写ベルト2712aを介して二次転写ローラ2706を当接させている。転写ベルト2712aと二次転写ローラ2706の接触部が二次転写部である。中間転写ユニット2712の下方には、給送ユニット2704を設けている。この給送ユニット2704は、記録媒体Sを積載して収容した給紙トレイ2704a、給紙ローラ2704bを有する。
【0100】
図23における画像形成装置本体2870内の左上方には、定着装置2707と、排紙装置2708を設けている。画像形成装置本体2870の上面は、排紙トレイ2713としている。記録媒体Sは、定着装置2707に設けられた定着手段によりトナー像が定着され、排紙トレイ2713へ排出される。
【0101】
[画像形成動作]
フルカラー画像を形成するための動作は次のとおりである。第1~第4の各プロセスカートリッジ2800(2800Y、2800M、2800C、2800K)の感光ドラム2804が所定の速度で回転駆動される(図24矢印A方向)。
【0102】
転写ベルト2712aも感光ドラム2804の回転に順方向(図23矢印C方向)に感光ドラム2804の速度に対応した速度で回転駆動される。レーザスキャナユニット2714も駆動される。レーザスキャナユニット2714の駆動に同期して、各プロセスカートリッジにおいて帯電ローラ2805が感光ドラム2804の表面を所定の極性、電位に一様に帯電する。レーザスキャナユニット2714は、各感光ドラム2804の表面を各色の画像信号に応じてレーザ光Lで走査露光する。これにより、各感光ドラム2804の表面に対応色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、所定の速度で回転駆動される現像ローラ2806により現像される。
【0103】
上記のような電子写真画像形成プロセス動作により、第1のプロセスカートリッジ2800Yの感光ドラム2804には、フルカラー画像のイエロー成分に対応するイエロー色のトナー像が形成される。そして、そのトナー像が転写ベルト2712a上に一次転写される。同様に、第2のプロセスカートリッジ2800Mの感光ドラム2804には、フルカラー画像のマゼンタ成分に対応するマゼンタ色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が、転写ベルト2712a上にすでに転写されているイエロー色のトナー像に重畳されて一次転写される。同様に、第3のプロセスカートリッジ2800Cの感光ドラム2804には、フルカラー画像のシアン成分に対応するシアン色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が、転写ベルト2712a上にすでに転写されているイエロー色、マゼンタ色のトナー像に重畳されて一次転写される。同様に、第4のプロセスカートリッジ2800Kの感光ドラム2804には、フルカラー画像のブラック成分に対応するブラック色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が、転写ベルト2712a上にすでに転写されているイエロー色、マゼンタ色、シアン色のトナー像に重畳されて1次転写される。
【0104】
このようにして、転写ベルト2712a上にイエロー色、マゼンタ色、シアン色、ブラック色の4色フルカラーの未定着トナー像が形成される。一方、所定の制御タイミングで記録媒体Sが1枚ずつ分離されて給送される。その記録媒体Sは、所定の制御タイミングで二次転写ローラ2706と転写ベルト2712aとの当接部である二次転写部に導入される。これにより、記録媒体Sが前記二次転写部へ搬送されていく過程で、転写ベルト2712a上の4色重畳のトナー像が記録媒体Sの面に順次に一括転写される。更に詳細に、画像形成装置本体の構成を以下に説明する。
【0105】
[プロセスカートリッジ着脱構成概略]
図25図27を用いて、プロセスカートリッジ2800を支持するカートリッジトレイ(以下トレイと称する)2871について、更に詳細に説明する。図25は、前ドア2711が開いた状態でトレイ2871が画像形成装置本体2870の内側に位置する画像形成装置Mの断面図である。図26は、前ドア2711が開いた状態でトレイ2871が画像形成装置本体2870の外側に位置し、トレイ内部にプロセスカートリッジ2800が収納された状態の画像形成装置Mの断面図である。図27は、前ドア2711が開いた状態でトレイ2871が画像形成装置本体2870の外側に位置し、トレイ2871からプロセスカートリッジ2800が取り外された状態の画像形成装置Mの断面図である。
【0106】
図25および図26に示すように、トレイ2871は、画像形成装置本体2870に対して、実質的に水平方向である矢印X1方向(押し込み方向)および矢印X2方向(引き出し方向)に移動可能である。すなわち、トレイ2871は、画像形成装置本体2870
に対して引き出しおよび押し込み可能に設けられ、画像形成装置本体2870が水平面上に設置された状態において、トレイ2871は略水平方向に移動可能に構成されている。ここで、トレイ2871が画像形成装置本体2870の外側に位置する状態(図26の状態)を外側位置と称す。また、前ドア2711が開いた状態でトレイ2871が画像形成装置本体2870の内側に位置し、感光ドラム2804と転写ベルト2712aが離れた状態(図25の状態)を内側位置と称す。
【0107】
また、トレイ2871は、外側位置で、図27で示すようにプロセスカートリッジ2800を取り外し可能に装着可能な装着部2871aを有する。そして、プロセスカートリッジ2800は、装着部2871aに配置された状態で、トレイ2871の移動とともに画像形成装置本体2870の内側に移動する。このとき、転写ベルト2712aと感光ドラム2804との間に隙間を空けた状態で移動する。本実施例において、中間転写ユニット2712は、前ドア2711を閉じることで不図示のリンク機構によって、矢印Z1方向に上昇し、画像形成時の位置(感光ドラム2804と中間転写ベルト2712aが接触する位置)まで移動する。また、前ドア2711を開くことで、中間転写ユニット2712は矢印Z2方向に下降し、感光ドラム2804と中間転写ベルト2712aは離間する。よって、感光ドラム2804が転写ベルト2712aと接触することなく、トレイ2871はプロセスカートリッジ2800を画像形成装置本体2870の内側に移動させることができる。以上のように、トレイ2871によって、複数のプロセスカートリッジ2800をまとめて画像形成装置本体2870の内側で画像形成が可能な位置に移動させることができ、また、まとめて画像形成装置本体2870の外側に引き出すことができる。
【0108】
[プロセスカートリッジの全体構成]
図24図28図29図30図31を用いて、プロセスカートリッジ2800の構成について説明する。図28は、ドラムユニット2808の分解斜視図である。図29は、現像ユニット2809の分解斜視図である。図30は、プロセスカートリッジ2800を感光ドラム2804の軸方向の一端側である駆動側からみた分解斜視図である。図31は、プロセスカートリッジ2800を駆動側から見た組立斜視図である。
【0109】
本実施例において、第1から第4のプロセスカートリッジ2800(2800Y、2800M、2800C、2800K)は、同様の電子写真プロセス機構を有し、収容されているトナーの色やトナーの充填量が各々異なるものである。
【0110】
プロセスカートリッジ2800は、感光ドラム2804(2804Y、2804M、2804C、2804K)と、感光ドラム2804に作用するプロセス手段を備えている。ここで、プロセス手段には、感光ドラム2804を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ2805、感光ドラム2804に形成された潜像を現像する現像手段としての現像ローラ2806等がある。そして、プロセスカートリッジ2800は、ドラムユニット2808(2808Y、2808M、2808C、2808K)と現像ユニット2809(2809Y、2809M、2809C、2809K)とに分かれている。以下の説明において、ドラムユニット2808、および、現像ユニット2809の長手方向(Y1、Y2方向)とは、感光ドラム2810の回転軸線axと略平行な方向である。
【0111】
[ドラムユニットの構成]
図28図30に示すように、ドラムユニット2808は、感光ドラム2804、帯電ローラ2805、第1枠体であるドラム枠体2815で構成される。帯電ローラ2805は、駆動側帯電ローラ軸受け2820aと非駆動側帯電ローラ軸受け2820bによって回転可能に支持され、加圧バネ2821a、2821bによって感光ドラム2804に対して付勢される。感光ドラム2804は、プロセスカートリッジ2800の長手方向両端に設けられた駆動側カートリッジカバー部材2816、第2枠体である非動側カートリッ
ジカバー部材2817により回転自在に支持されている。また、非駆動側カートリッジカバー部材2817には、画像形成装置本体2870から給電を受ける電極部材2860が設けられている。詳細は後述する。
【0112】
図30図31に示すように、感光ドラム2804の長手方向の一端側には、感光ドラム2804に駆動力を伝達するためのカップリング部材2843が設けられている。カップリング部材2843は、画像形成装置本体2870のドラム駆動出力部としての本体側ドラム駆動カップリング2880(図26参照)と係合する。カップリング部材2843を介して画像形成装置本体2870の駆動モータ(不図示)の駆動力が感光ドラム2804に伝達され、感光ドラム2804は矢印A方向に回転される(図24)。また、感光ドラム2804は、長手方向他端側にドラムフランジ2842を有する。帯電ローラ2805は、感光ドラム2804に対し接触して従動回転できるように、ドラム枠体2815に支持されている。
【0113】
[現像ユニットの構成]
図24図29に示すように、現像ユニット2809は、現像ローラ2806、トナー搬送ローラ2807、現像ブレード2830、現像枠体2825などで構成されている。第4枠体(第4部材)である現像枠体2825は、下枠体2825aと蓋部材2825bにより構成される。ここで、下枠体2825aと蓋部材2825bのUL94規格の難燃性は、HBである。下枠体2825aと蓋部材2825bは超音波溶着等で結合されている。現像枠体2825は、現像ローラ2806に供給するトナーを収納するトナー収納部2829を有する。また、現像枠体2825は、駆動側軸受2826、非駆動側軸受2827を介して、現像ローラ2806、トナー搬送ローラ2807を回転自在に支持し、現像ローラ2806周面のトナーの層厚を規制する現像ブレード2830を保持する。
【0114】
現像ブレード2830は、厚さ0.1mm程度のシート状金属である弾性部材2830bを、L字断面を有する金属材料である支持部材2830aに溶接等で取り付けたものである。現像ブレード2830は、長手方向一端側と他端側の二箇所を、固定ビス2830cにて現像枠体2825に取り付けられる。現像ローラ2806は、金属材料の芯金2806cとゴム部2806dから構成されている。
【0115】
現像ローラ2806は、現像枠体2825の長手方向両端に取り付けられた駆動側軸受2826と非駆動側軸受2827によって、回転可能に支持されている。また、図30に示すように、現像ユニット2809の長手方向の一端側には、現像ユニット2809に駆動力を伝達するための現像駆動入力ギア2832が設けられている。現像駆動入力ギア2832には、画像形成装置本体2870の本体側現像駆動カップリング2885(図26参照)から駆動を受ける現像入力カップリング部2832aが設けられている。現像入力カップリング部2832a、現像駆動入力ギア2832等を介して、画像形成装置本体2870の駆動モータ(不図示)の駆動力が現像ユニット2809に入力される。
【0116】
現像ユニット2809に入力された駆動力は、現像ローラギア2831に伝達されることで、現像ローラ2806を図24の矢印D方向に回転させることが可能である。図29に示すように、現像ユニット2809の長手方向一端側には、現像駆動入力ギア2832を支持およびカバーする現像カバー部材2828が設けられている。尚、現像ローラ2806の外径は、感光ドラム2804の外径より小さく設定されている。本実施例の感光ドラム2804の外径はΦ18~Φ22の範囲で設定されており、現像ローラ2806の外径はΦ8~Φ14の範囲で設定されている。この外径に設定することにより効率的な配置が可能となる。
【0117】
[ドラムユニットと現像ユニットの組立]
図30を用いて、ドラムユニット2808と現像ユニット2809の組み付けについて説明する。ドラムユニット2808と現像ユニット2809は、プロセスカートリッジ2800の長手方向両端に設けられた駆動側カートリッジカバー部材2816と非動側カートリッジカバー部材2817によって結合される。
【0118】
プロセスカートリッジ2800の長手方向一端側に設けられた駆動側カートリッジカバー部材2816には、現像ユニット2809を揺動(移動)可能に支持するための、現像ユニット支持穴2816aが設けられている。同様に、プロセスカートリッジ2800の長手方向他端側に設けられた非駆動側カートリッジカバー部材2817には、現像ユニット2809を揺動可能に支持するための、現像ユニット支持穴2817aが設けられている。さらに、駆動側カートリッジカバー部材2816と非動側カートリッジカバー部材2817には、感光ドラム2804を回転可能に支持するためのドラム支持穴2816b、2817bが設けられている。
【0119】
ここで、一端側では駆動側カートリッジカバー部材2816の現像ユニット支持穴2816aに現像カバー部材2828の円筒部2828bの外径部を嵌合させる。他端側では非動側カートリッジカバー部材2817の現像ユニット支持穴2817aに、非駆動側軸受2827の円筒部(不図示)の外径部を嵌合させる。さらに、感光ドラム2804の長手方向両端を駆動側カートリッジカバー部材2816のドラム支持穴2816bと非動側カートリッジカバー部材2817のドラム支持穴2817bに嵌合させる。そして、駆動側カートリッジカバー部材2816と非動側カートリッジカバー部材2817は、不図示のビスや接着剤等により、ドラムユニット2808に固定する。これにより、現像ユニット2809は、ドラムユニット2808(感光ドラム2804)に対して、駆動側カートリッジカバー部材2816と非動側カートリッジカバー部材2817によって回転可能に支持される。これにより、画像形成時に現像ローラ2806は感光ドラム2804に作用する位置に位置決め可能である。
【0120】
以上の工程によってドラムユニット2808と現像ユニット2809が組立てられ、プロセスカートリッジ2800として一体的に形成された状態を図31に示す。なお、駆動側カートリッジカバー部材2816の現像ユニット支持穴2816aの中心と、非動側カートリッジカバー部材2817の現像ユニット支持穴2817aの中心とを結んだ軸線を揺動軸Kと称する。ここで、一端側の現像カバー部材2828の円筒部2828bは、現像入力カップリング2774と同軸である。すなわち、現像ユニット2809は、この揺動軸Kにおいて画像形成装置本体2870より駆動力を伝達される構成である。また、揺動軸Kを中心として、現像ユニット2809は回動自在に支持されている。
【0121】
[プロセスカートリッジの給電部の構成]
図32を用いて、本実施例における給電部の構成について説明する。図32(a)は、ドラムユニット2808における非駆動側カートリッジカバー部材2817との連結部周辺を示す斜視図であり、電極部材2860のみを分解して示した斜視図である。図32(b)は、電極部材2860の断面図である。図32(c)は、図32(a)において電極部材2860が取り付けられた状態における図32(a)中のF-F断面図である。図32(d)は、図32(a)において電極部材2860が取り付けられた状態における図32(a)中のJ-J断面図である。
【0122】
第1枠体であるドラム枠体2815は、導電樹脂2818が2色成型によってドラム枠体2815に一体的に設けられている。導電樹脂2818は、電極部材2860と当接する面2818aと、加圧バネ2821bの座面となる面2818bと、を有する。ここで、実施例1と同様に第1枠体であるドラム枠体は、密度が、0.95~1.10g/cm程度、UL94規格の難燃性がHBである。
【0123】
電極部材2860は、0.2mm程度の厚みのSUS材からなる。電極部材2860は、導電樹脂2818の面2818aと接触するエンボス形状の接触部2860c、画僧形成装置本体2870からの給電を行う電極バネ2893(図33(b)、図33(c))と接触し給電を受ける接触面2860dを有している。第2枠体である非動側カートリッジカバー部材2817は、電極部材2860を支持している。
【0124】
ここで、第2枠体である非動側カートリッジカバー部材2817は、密度が1.12~1.50g/cm、UL94規格の難燃性が、V-1である。電極部材2860は、位置決め2860aが非駆動側カートリッジカバー部材2817のボス2817cと嵌合し、切り起こし部2860bがボス2817cの面2817dに食い込むことで固定している(図32(c))。
【0125】
また、図32(b)に示すように、電極部材2860の接触部2860c側は、非駆動側カートリッジカバー部材2817との設置面2860eに対し、導電樹脂2818方向に3°程度曲げられている。これは、電極部材2860が非駆動側カートリッジカバー部材2817に組み付けられた時、導電樹脂2818の面2818aと電極部材2860の接触部2860cが離れないようにするためである。接触部2860c側が導電樹脂2818の面2818aに侵入する方向に曲げられているため、電極部材2860が非駆動側カートリッジカバー部材2817に組み付けられると、接触部2860cは一定の圧で導電樹脂2818の面2818aと接触する。よって、導電樹脂2818、非駆動側カートリッジカバー部材2817、電極部材2860の寸法バラツキがあっても、導電樹脂2818の面2818aと電極部材2860の接触部2860cは常に接触している状態となる。これにより、電極部材2860と導電樹脂2818間の接触不良による導通不良やトラッキングによる発火を防いでいる。
【0126】
接点バネ2893から電極部材2860に供給された電圧は、ドラム枠体2815に2色成型された導電樹脂2818、加圧バネ2821b、非駆動側帯電ローラ軸受け2820bを介し、帯電ローラ2805へと給電される。
【0127】
尚、導電樹脂2818は、2色成型としたが、別部品として第1枠体としてのドラム枠体2815に固定されていてもかまわない。また、電極部材2860は、切り起こし2860bで固定しているが、ビスやカシメなどで固定してもよい。さらに、電極部材2860は、接触部2860c側が設置面2860eに対して曲げられた構成としたがこの限りではない。電極部材2860の厚みを厚くして、深くエンボス形状を形成し導電樹脂2818の面2818aと常に接触させるようにしてもよい。
【0128】
[画像形成装置本体とプロセスカートリッジの給電部の構成]
図25図33を用いて、画像形成装置本体2870を含めた、給電部の構成について説明する。図33(a)は、記憶素子通信ユニット2890、及び接点バネ保持部材2892が降下した状態のプロセスカートリッジの斜視図である。図33(b)は、図33(a)中のV-V断面における給電部の拡大図である。図33(c)は、図33(a)中のN-N断面における給電部の拡大図である。
【0129】
画像形成装置本体2870は、接点バネ保持部材2892が設けられ、プロセスカートリッジ2800に給電するための接点バネ2893を保持している。接点バネ保持部材2892は、プロセスカートリッジ2800に設けられた記憶素子(不図示)を通信する記憶素子通信ユニット2890に固定されている。
【0130】
図25で示す前ドア2711と不図示のリンク機構で連動させることにより、接点バネ
2893と電極部材2860の接触、非接触が可能な構成となっている。前ドア2711を閉じる事で、記憶素子通信ユニット2890、及び接点バネ保持部材2892は、矢印Z2方向に降下する(図33(b))。また、前ドア2711を開けることで記憶素子通信ユニット2890、及び接点バネ保持部材2892は矢印Z1方向に上昇する。つまり、前ドア2711を閉じる事で接点バネ2893と電極部材2860は接触し、前ドア2711を開くことで接点バネ2893と電極部材2860は離間する構成となっている。ここで、接点バネ保持部材2892のUL94規格の難燃性は、V-1である。
【0131】
図33(b)に示すように、電極部材2860の両側に(矢印X1、X2方向)、非駆動側カートリッジカバー部材2817から矢印Z1方向に突出した突出部2817fが設けられている。突出部2817fの高さH1は、接点バネ2893と電極部材2860の接触面2860dよりもZ1方向に高くなるように設定されている。さらに、接点バネ2893と電極部材2860の間から万が一トラッキングによる発火した場合の延焼範囲Qが狭くなるように、接点バネ2893と電極部材2860の近傍に配置することが望ましい。ここで、X1、X2方向の延焼範囲Qは、火は上側に燃え広がること、非駆動側カートリッジカバー部材2817はV-1材で自己消火性を持つため燃えないことから、図33(b)中にQで示す範囲となる。
【0132】
また、図33(c)に示すように、電極部材2860の長手方向矢印Y1側には、非駆動側カートリッジカバー部材2817の突出部2817fのY1方向端部を一体的に繋ぐ突出部2817gが設けられている。突出部2817gの高さH2は、接点バネ2893と電極部材2860の接触面2860dよりもZ1方向に高くなるように設定されている。さらに、X1、X2方向と同様に延焼範囲Rが狭くなるように、接点バネ2893と電極部材2860の近傍に配置することが望ましい。ここで、Y1、Y2方向の延焼範囲Rは、X1、X2方向と同様に火は上側に燃え広がること、非駆動側カートリッジカバー部材2817はV-1材で自己消火性を持つため燃えないことから、図33(c)中にRで示す範囲となる。
【0133】
また、接点バネ保持部材2892からも長手方向に突出部2892a、2892bが設けられている。突出部2892a、2892bは、延焼範囲Rを遮るように設定される。
【0134】
次に、接点バネ2893と電極部材2860の間でトラッキングによる発火が発生した場合について説明する。接点バネ2893と電極部材2860の間で発火した場合、火は延焼範囲Q、Rに広がろうとする。しかし、発火点の上方(Z1方向)にある接点バネ保持部材2892と発火点の長手(Y1、Y2方向)、前後方向(X1、X2方向)にある非駆動側カートリッジカバー部材2817は、難燃性がV-1で自己消火性を持つため、燃え広がることはない。一方、突出部2817f、2817gを設けない場合、火は延焼範囲Q‘、R’まで広がる。したがって、延焼を抑えるものがないため、難燃性の低いHB材を用いている現像枠体2825に燃え移ってしまう可能性がある。これに対し本実施例は、延焼範囲に難燃性がV-1である非駆動側カートリッジカバー部材2817の突出部2817f、2817gと接点バネ保持部材2892の突出部2892a、2892bを設けたため難燃性の低い部品に延焼することはない。
【0135】
以上説明したように、電極部材2860の周囲に非駆動側カートリッジカバー部材2817の突出部2817f、2817gを設け、延焼範囲上方に突出部2892a、2892bを有する接点バネ保持部材2892を配置した。また、非駆動側カートリッジカバー部材2817と接点バネ保持部材2892は、UL94規格の難燃性V-1を持つ材質とした。これにより、万が一トラッキングによる発火が発生した場合でも、難燃性の低い部品に延焼させることがないため、安全性を確保したプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することができる。
【0136】
尚、本実施例では電極部材2860の周囲を非駆動側カートリッジカバー部材2817による突出部で囲むようにしたがこの限りではない。接点バネ保持部材2892からZ2方向に突出した突出部を設け、電極部材2860を囲む構成にしてもよい。また、本実施例では非駆動側カートリッジカバー部材2817と接点バネ保持部材2892は、UL94規格の難燃性V-1としたが、V-1以上の難燃性でも構わない。
【0137】
以上記載した、実施例1~3のプロセスカートリッジ構成及び、ドラムカートリッジ構成は、画像形成装置の装置本体に着脱可能ではなく、画像形成装置に括り付けられ一体となった構成においても、同様に軽量化と延焼を防止する効果が期待できる。よって、実施例1~3のプロセスカートリッジ構成及び、ドラムカートリッジ構成は、画像形成装置に括り付けで着脱されない構成においても適用される。なお、この構成においては、低密度な樹脂材料であるHB材を使用することで画像形成装置全体を軽量化が可能となるため画像形成装置の安全性の確保と軽量化を両立できる。その結果、画像形成装置本体の物流による衝撃値を抑えられるため、画像形成装置を包装する包材を小さくでき、物流効率の向上が可能となる。
【符号の説明】
【0138】
20…現像ユニット、23…現像容器、27…軸受部材、32…現像ローラ、937…導電性軸受部材、1701…導電部、1701a…接点部、1701b…導電支持部、1702…非導電部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32(a)】
図32(b)】
図32(c)】
図32(d)】
図33(a)】
図33(b)】
図33(c)】
図34
図35
図36